JP6535432B2 - 半導体エピタキシャルウェーハの製造方法、半導体エピタキシャルウェーハ、および固体撮像素子の製造方法 - Google Patents

半導体エピタキシャルウェーハの製造方法、半導体エピタキシャルウェーハ、および固体撮像素子の製造方法 Download PDF

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本発明は、半導体エピタキシャルウェーハの製造方法、半導体エピタキシャルウェーハ、および固体撮像素子の製造方法に関する。本発明は特に、より高いゲッタリング能力を発揮することで金属汚染を抑制することが可能な半導体エピタキシャルウェーハおよびその製造方法に関する。
半導体デバイスの特性を劣化させる要因として、金属汚染が挙げられる。例えば、裏面照射型固体撮像素子では、この素子の基板となる半導体エピタキシャルウェーハに混入した金属は、固体撮像素子の暗電流を増加させる要因となり、白傷欠陥と呼ばれる欠陥を生じさせる。裏面照射型固体撮像素子は、配線層などをセンサー部よりも下層に配置することで、外からの光をセンサーに直接取り込み、暗所などでもより鮮明な画像や動画を撮影することができるため、近年、デジタルビデオカメラやスマートフォンなどの携帯電話に広く用いられている。そのため、白傷欠陥を極力減らすことが望まれている。
ウェーハへの金属の混入は、主に半導体エピタキシャルウェーハの製造工程および固体撮像素子の製造工程(デバイス製造工程)において生じる。前者の半導体エピタキシャルウェーハの製造工程における金属汚染は、エピタキシャル成長炉の構成材からの重金属パーティクルによるもの、あるいは、エピタキシャル成長時の炉内ガスとして塩素系ガスを用いるために、その配管材料が金属腐食して発生する重金属パーティクルによるものなどが考えられる。近年、これら金属汚染は、エピタキシャル成長炉の構成材を耐腐食性に優れた材料に交換するなどにより、ある程度は改善されてきているが、十分ではない。一方、後者の固体撮像素子の製造工程においては、イオン注入、拡散および酸化熱処理などの各処理中で、半導体基板の重金属汚染が懸念される。
そのため、従来は、半導体エピタキシャルウェーハに金属を捕獲するためのゲッタリングシンクを形成するか、あるいは高濃度ボロン基板などの金属の捕獲能力(ゲッタリング能力)が高い基板を用いて、半導体ウェーハへの金属汚染を回避していた。
半導体ウェーハにゲッタリングシンクを形成する方法としては、半導体ウェーハの内部に結晶欠陥である酸素析出物(シリコン酸化物析出物の通称であり、BMD:Bulk Micro Defectともいう。)や転位を形成するイントリンシックゲッタリング(IG)法と、半導体ウェーハの裏面にゲッタリングシンクを形成するエクストリンシックゲッタリング(EG)法が一般的である。
ここで、重金属のゲッタリング法の一手法として、半導体ウェーハ中にイオン注入によりゲッタリングサイトを形成する技術がある。特許文献1には、シリコンウェーハの一面から炭素イオンを注入して、炭素イオン注入領域を形成した後、この表面にシリコンエピタキシャル層を形成し、シリコンエピタキシャルウェーハとする製造方法が記載されている。この技術では、炭素イオン注入領域がゲッタリングサイトとして機能する。
特許文献2には、半導体ウェーハのデバイス形成領域以外の領域の表面にゲッタリング用物質の選択的イオン注入を行い、ゲッタリング層を形成する半導体装置の製造方法が記載されている。
特許文献3には、エピタキシャル成長基板内に複数層のエピタキシャル成長層を有するとともに、前記複数層のエピタキシャル成長層の間に、イオン注入により形成されたゲッタリング層を有し、このゲッタリング層が撮像領域の周辺領域に形成されている撮像素子が記載されている。
特開平6−338507号公報 特開平7−263452号公報 特開2001−177086号公報
特許文献1、特許文献2および特許文献3に記載された技術は、いずれもエピタキシャル層形成前にモノマーイオン(シングルイオン)を半導体ウェーハまたはエピタキシャル層に注入するものである。しかしながら、本発明者らの検討によれば、モノマーイオン注入を施した半導体エピタキシャルウェーハではゲッタリング能力が不十分であり、より強力なゲッタリング能力が求められることがわかった。
そこで本発明は、上記課題に鑑み、より高いゲッタリング能力を発揮することで金属汚染を抑制することが可能な半導体エピタキシャルウェーハおよびその製造方法、並びに、この半導体エピタキシャルウェーハから固体撮像素子を形成する固体撮像素子の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らの更なる検討によれば、半導体ウェーハの表面にクラスターイオンを照射することにより、モノマーイオンを注入する場合に比べて、以下の有利な点があることを知見した。すなわち、クラスターイオンを照射した場合、モノマーイオンと同等の加速電圧で照射しても、1原子または1分子あたりのエネルギーは、モノマーイオンの場合より小さくして半導体ウェーハに衝突するため、照射した元素の深さ方向プロファイルのピーク濃度を半導体ウェーハ表面のより近い位置に急峻に位置させることができ、一度に複数の原子を照射できるので、高濃度とすることができる。その結果、ゲッタリング能力が向上することを知見した。また、半導体ウェーハ上に形成されたエピタキシャル層の表面の一部にもクラスターイオンを照射して、同様のゲッタリング領域を形成できることを見出した。本発明者らは上記知見に基づき、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の半導体エピタキシャルウェーハの製造方法は、半導体ウェーハの表面に第1クラスターイオンを照射して、該半導体ウェーハの表面に、前記第1クラスターイオンの構成元素が固溶してなる第1改質層を形成する第1工程と、前記半導体ウェーハの第1改質層上にエピタキシャル層を形成する第2工程と、該エピタキシャル層の表面の一部に第2クラスターイオンを照射して、前記エピタキシャル層の表面の一部に、前記第2クラスターイオンの構成元素が固溶してなる第2改質層を形成する第3工程と、を有することを特徴とする。
ここで、前記半導体ウェーハは、シリコンウェーハとすることができる。
また、前記半導体ウェーハは、シリコンウェーハの表面にシリコンエピタキシャル層が形成されたエピタキシャルシリコンウェーハとしてもよく、この場合、前記第1工程において前記第1改質層は前記シリコンエピタキシャル層の表面に形成される。
本発明では、前記第1工程の後、前記半導体ウェーハに対して結晶性回復のための熱処理を行うことなく、前記半導体ウェーハをエピタキシャル成長装置に搬送して前記第2工程を行うことができる。
ここで、前記第1および/または第2クラスターイオンが、構成元素として炭素を含むことが好ましく、構成元素として炭素を含む2種以上の元素を含むことがより好ましい。
また、前記第1クラスターイオンの照射条件は、炭素1原子あたりの加速電圧が50keV/atom以下、クラスターサイズが100個以下、炭素のドーズ量が5.0×1015atoms/cm以下であることが好ましい。前記第2クラスターイオンの照射条件は、炭素1原子あたりの加速電圧が50keV/atom以下、クラスターサイズが100個以下、炭素のドーズ量が1.0×1014atoms/cm以上であることが好ましい。
本発明の半導体エピタキシャルウェーハは、半導体ウェーハと、該半導体ウェーハの表面に形成された、該半導体ウェーハ中に所定元素が固溶してなる第1改質層と、該第1改質層上のエピタキシャル層と、該エピタキシャル層の表面の一部に形成された、前記エピタキシャル層中に所定元素が固溶してなる第2改質層と、を有し、前記第1改質層および第2改質層における前記所定元素の深さ方向の濃度プロファイルの半値幅がともに100nm以下であることを特徴とする。
ここで、前記半導体ウェーハは、シリコンウェーハとすることができる。
また、前記半導体ウェーハは、シリコンウェーハの表面にシリコンエピタキシャル層が形成されたエピタキシャルシリコンウェーハとしてもよく、この場合、前記第1改質層は前記シリコンエピタキシャル層の表面に位置する。
さらに、前記半導体ウェーハの表面からの深さが150nm以下の範囲内に、前記第1改質層における前記濃度プロファイルのピークが位置し、前記エピタキシャル層の表面からの深さが150nm以下の範囲内に、前記第2改質層における前記濃度プロファイルのピークが位置することが好ましい。
前記第1および/または第2改質層における前記濃度プロファイルのピーク濃度は、1×1015atoms/cm以上であることが好ましい。
ここで、前記所定元素が炭素を含むことが好ましく、前記所定元素が炭素を含む2種以上の元素を含むことがより好ましい。
そして、本発明の固体撮像素子の製造方法は、上記いずれか1つの製造方法で製造されたエピタキシャルウェーハまたは上記いずれか1つのエピタキシャルウェーハの、表面に位置するエピタキシャル層に、固体撮像素子を形成することを特徴とする。
本発明によれば、半導体ウェーハの表面と、該半導体ウェーハ上に形成されたエピタキシャル層の表面の一部とにクラスターイオンを照射して2つの改質層を形成したので、これら改質層がより高いゲッタリング能力を発揮することで、金属汚染を抑制することが可能な半導体エピタキシャルウェーハを得ることができ、また、この半導体エピタキシャルウェーハから高品質の固体撮像素子を製造することができる。
(A)〜(C)は、本発明の一実施形態による半導体エピタキシャルウェーハ100の製造方法の一部を説明する摸式断面図である。 (A)〜(D)は、図1(C)に引き続き、半導体エピタキシャルウェーハ100の製造方法を説明する図であり、右側の図はウェーハ表面図であり、左側の図は右側の図のI−I断面の模式図である。 (A)〜(E)は、本発明の他の実施形態による半導体エピタキシャルウェーハ200の製造方法を説明する摸式断面図である。 (A)はクラスターイオンを照射する場合の照射メカニズムを説明する模式図、(B)はモノマーイオンを注入する場合の注入メカニズムを説明する模式図である。 実施例1について、デバイス除外領域の位置でのSIMS測定で得られた炭素濃度プロファイルである。 実施例1について、デバイス形成領域の位置でのSIMS測定で得られた炭素濃度プロファイルである。 比較例1について、デバイス除外領域の位置でのSIMS測定で得られた炭素濃度プロファイルである。
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、同一の構成要素には原則として同一の参照番号を付して、説明を省略する。また、図1〜3では説明の便宜上、実際の厚さの割合とは異なり、半導体ウェーハ10に対して第1および第2エピタキシャル層14,20の厚さを誇張して示す。
(半導体エピタキシャルウェーハの製造方法)
本発明の第1実施形態による半導体エピタキシャルウェーハ100の製造方法を、図1および図2を参照して説明する。本製造方法ではまず、図1(A),(B)に示す第1工程として、半導体ウェーハ10の表面10Aに第1クラスターイオン16を照射して、半導体ウェーハの表面10Aに、この第1クラスターイオン16の構成元素が固溶してなる第1改質層18を形成する。次に、図1(C)に示す第2工程として、半導体ウェーハ10の第1改質層18上にエピタキシャル層20を形成する。ここで、エピタキシャル層20は、裏面照射型固体撮像素子等の半導体素子を製造するためのデバイス層となる。
次に、図2(A)〜(D)に示す第3工程を行う。ここで、エピタキシャル層20の表面は、後の半導体製造工程において半導体素子が作製される領域20B(以下、「デバイス形成領域」という。)と、半導体素子が作製されない領域20A(以下、「デバイス除外領域」という。)とに分けられる。デバイス除外領域20Aとしては、例えばエピタキシャル層20表面のうちウェーハ外周端から1〜5mm程度のエッジ領域(製品保証除外領域)やウェーハのスクラブライン予定位置付近の領域が挙げられる。第3工程ではまず、図2(A)に示すように、デバイス形成領域20Bにマスク22を設置する。この状態で、図2(B),(C)に示すように、エピタキシャル層20の表面の一部(本実施形態ではデバイス除外領域20A)に第2クラスターイオン24を照射して、このデバイス除外領域20Aに、第2クラスターイオン24の構成元素が固溶してなる第2改質層26を形成する。図2(D)に示すように、最後にマスク22を除去することにより、半導体エピタキシャルウェーハ100を得る。図2(D)は、この製造方法の結果得られた半導体エピタキシャルウェーハ200の模式断面図である。
半導体ウェーハ10としては、例えばシリコン、化合物半導体(GaAs、GaN、SiC)からなり、表面にエピタキシャル層を有しないバルクの単結晶ウェーハが挙げられるが、裏面照射型固体撮像素子を製造する場合、一般的にはバルクの単結晶シリコンウェーハを用いる。また、半導体ウェーハ10は、チョクラルスキ法(CZ法)や浮遊帯域溶融法(FZ法)により育成された単結晶シリコンインゴットをワイヤーソー等でスライスしたものを使用することができる。また、より高いゲッタリング能力を得るために、炭素および/または窒素を添加してもよい。また、任意の不純物を添加して、n型またはp型としてもよい。図1および図2に示した第1実施形態は、半導体ウェーハ10として、表面にエピタキシャル層を有しないバルク半導体ウェーハ12を用いる例である。
また、半導体ウェーハ10としては、図3(A)に示すように、バルク半導体ウェーハ12表面に半導体エピタキシャル層(第1エピタキシャル層)14が形成されたエピタキシャル半導体ウェーハを挙げることもできる。例えば、バルクの単結晶シリコンウェーハの表面にシリコンエピタキシャル層が形成されたエピタキシャルシリコンウェーハである。シリコンエピタキシャル層は、CVD法により一般的な条件で形成することができる。第1エピタキシャル層14は、厚さが0.1〜10μmの範囲内とすることが好ましく、0.2〜5μmの範囲内とすることがより好ましい。
この例として、本発明の第2実施形態による半導体エピタキシャルウェーハ200の製造方法は、図3に示すように、バルク半導体ウェーハ12の表面(少なくとも片面)に第1エピタキシャル層14が形成された半導体ウェーハ10の表面10Aに第1クラスターイオン16を照射して、半導体ウェーハの表面10A(本実施形態では第1エピタキシャル層14の表面)に、第1クラスターイオン16の構成元素からなる第1改質層18を形成する第1工程(図3(A)〜(C))と、半導体ウェーハ10の第1改質層18上に第2エピタキシャル層20を形成する第2工程(図3(D))と、第2エピタキシャル層の表面の一部(本実施形態ではデバイス除外領域)に第2クラスターイオンを照射して、このデバイス除外領域に、第2クラスターイオンの構成元素からなる第2改質層26を形成する第3工程(図3(E))と、を有することを特徴とする。第2エピタキシャル層20は半導体素子を形成するためのデバイス層となり、第2改質層26以外の表面がデバイス形成領域20Bとなる。図3(D)から図3(E)の工程は図2に示すものと同様であるため、図示を省略した。図3(E)は、この製造方法の結果得られた半導体エピタキシャルウェーハ200の模式断面図である。
ここで、本発明の特徴的工程は、図1(A)および図3(B)に示す半導体ウェーハ表面へのクラスターイオン照射工程と、図2(B)および図3(D)〜(E)に示すエピタキシャル層のデバイス除外領域へのクラスターイオン照射工程である。
この工程を採用することの技術的意義を、作用効果とともに説明する。第1クラスターイオン16を照射した結果形成される第1改質層18は、クラスターイオン16の構成元素が半導体ウェーハの表面の結晶の格子間位置または置換位置に固溶して局所的に存在する領域であり、ゲッタリングサイトとして働く。同様に、第2クラスターイオン24を照射した結果形成される第2改質層26もゲッタリングサイトとして働く。その理由は、以下のように推測される。すなわち、クラスターイオンの形態で照射された炭素やホウ素などの元素は、シリコン単結晶の置換位置・格子間位置に高密度で局在する。そして、シリコン単結晶の平衡濃度以上にまで炭素やホウ素を固溶すると、重金属の固溶度(遷移金属の飽和溶解度)が極めて増加することが実験的に確認された。つまり、平衡濃度以上にまで固溶した炭素やホウ素により重金属の固溶度が増加し、これにより重金属に対する捕獲率が顕著に増加したものと考えられる。
ここで、本発明では第1クラスターイオン16および第2クラスターイオン24を照射するため、モノマーイオンを注入する場合に比べて、より高いゲッタリング能力を得ることができる。そのため、本製法により得られる半導体エピタキシャルウェーハ100,200から製造した裏面照射型固体撮像素子は、従来に比べ白傷欠陥発生の抑制が期待できる。
なお、本明細書において「クラスターイオン」とは、原子または分子が複数集合して塊となったクラスターに正電荷または負電荷を与え、イオン化したものを意味する。クラスターは、複数(通常2〜2000個程度)の原子または分子が互いに結合した塊状の集団である。
本発明者らは、クラスターイオンを照射することにより、高いゲッタリング能力が得られる作用を以下のように考えている。
シリコンウェーハに、例えば炭素のモノマーイオンを注入する場合、図4(B)に示すように、モノマーイオンは、シリコンウェーハを構成するシリコン原子を弾き飛ばし、シリコンウェーハ中の所定深さ位置に注入される。注入深さは、注入イオンの構成元素の種類およびイオンの加速電圧に依存する。この場合、シリコンウェーハの深さ方向における炭素の濃度プロファイルは、比較的ブロードになり、注入された炭素の存在領域は概ね0.5〜1μm程度となる。複数種のイオンを同一エネルギーで同時照射した場合には、軽い元素ほど深く注入され、すなわち、それぞれの元素の質量に応じた異なる位置に注入されるため、注入元素の濃度プロファイルはよりブロードになる。
一方、シリコンウェーハに、例えば炭素とホウ素からなるクラスターイオンを照射する場合、図4(A)に示すように、第1クラスターイオン16は、シリコンウェーハに照射されるとそのエネルギーで瞬間的に1350〜1400℃程度の高温状態となり、シリコンが融解する。その後、シリコンは急速に冷却され、シリコンウェーハ中の表面近傍に炭素およびホウ素が固溶する。なお、図4(A)では半導体ウェーハの表面10Aに照射する第1クラスターイオン16について図示したが、エピタキシャル層20に照射する第2クラスターイオン17の場合でも同様の現象が起きる。すなわち、本明細書における「改質層」とは、照射するイオンの構成元素が半導体ウェーハ表面またはエピタキシャル層の表面の結晶の格子間位置または置換位置に固溶した層を意味する。シリコンエピタキシャルウェーハの深さ方向における炭素およびホウ素の濃度プロファイルは、クラスターイオンの加速電圧およびクラスターサイズに依存するが、モノマーイオンの場合に比べてシャープになり、照射された炭素およびホウ素が局所的に存在する領域(すなわち、改質層)の厚みは、概ね500nm以下の領域(例えば50〜400nm程度)となる。なお、クラスターイオンの形態で照射された元素は、エピタキシャル層20の形成過程で多少の熱拡散は起こる。このため、エピタキシャル層20形成後の炭素およびホウ素の濃度プロファイルは、これらの元素が局所的に存在するピークの両側に、ブロードな拡散領域が形成される。しかし、改質層の厚みは大きく変化しない(後述の図5,6参照)。その結果、炭素およびホウ素の析出領域を局所的にかつ高濃度にして、第1および第2改質層18,26を形成することができる。また、第1改質層18はシリコンウェーハの表面近傍、すなわちエピタキシャル層20の直下に形成されるため、より近接ゲッタリングが可能となる。以上の結果、より高いゲッタリング能力を得ることができるものと考えられる。なお、クラスターイオンの形態であれば、複数種のイオンを同時に照射することができる。
特に、第1改質層18では、Ni,Cuなどの拡散の速い重金属を効果的にゲッタリングする一方、第2改質層26では、それに加えて、Ti,Wなどの拡散の遅い重金属をもゲッタリングすることが期待できる。
クラスターイオンは結合様式によって多種のクラスターが存在し、例えば以下の文献に記載されるような公知の方法で生成することができる。ガスクラスタービームの生成法として、(1)特開平9−41138号公報、(2)特開平4−354865号公報、イオンビームの生成法として、(1)荷電粒子ビーム工学:石川 順三:ISBN978-4-339-00734-3 :コロナ社、(2)電子・イオンビーム工学:電気学会:ISBN4-88686-217-9 :オーム社、(3)クラスターイオンビーム基礎と応用:ISBN4-526-05765-7:日刊工業新聞社。また、一般的に、正電荷のクラスターイオンの発生にはニールセン型イオン源あるいはカウフマン型イオン源が用いられ、負電荷のクラスターイオンの発生には体積生成法を用いた大電流負イオン源が用いられる。
以下で、第1クラスターイオン16および第2クラスターイオン24の照射条件について説明する。なお、以下に説明する照射元素、クラスターサイズ、加速電圧、ドーズ量などの照射条件に関して、第1クラスターイオン16の照射条件と第2クラスターイオン24の照射条件とは同じであっても異なっていてもよい。
照射する元素の種類は特に限定されず、炭素、ホウ素、リン、砒素などを挙げることができる。しかし、より高いゲッタリング能力を得る観点から、第1および/または第2クラスターイオンが、構成元素として炭素を含むことが好ましい。格子位置の炭素原子は共有結合半径がシリコン単結晶と比較して小さいため、シリコン結晶格子の収縮場が形成されるため、格子間の不純物を引き付けるゲッタリング能力が高い。
また、照射元素としては炭素を含む2種以上の元素がより好ましい。特に、炭素に加えて、ホウ素、リン、砒素およびアンチモンからなる群より選択された1または2以上のドーパント元素を照射することが好ましい。固溶する元素の種類により効率的にゲッタリング可能な金属の種類が異なるため、2種以上の元素を固溶させることにより、より幅広い金属汚染に対応できるからである。例えば、炭素の場合、ニッケルを効率的にゲッタリングすることができ、ホウ素の場合、銅、鉄を効率的にゲッタリングすることができる。
イオン化させる化合物も特に限定されないが、イオン化が可能な炭素源化合物としては、エタン、メタン、二酸化炭素(CO)などを用いることができ、イオン化が可能なホウ素源化合物としては、ジボラン、デカボラン(B1014)などを用いることができる。例えば、ジベンジルとデカボランを混合したガスを材料ガスとした場合、炭素、ホウ素および水素が集合した水素化合物クラスターを生成することができる。また、シクロヘキサン(C12)を材料ガスとすれば、炭素および水素からなるクラスターイオンを生成することができる。炭素源化合物としては特に、ピレン(C1610)、ジベンジル(C1414)などより生成したクラスターC(3≦n≦16,3≦m≦10)を用いることが好ましい。小サイズのクラスターイオンビームを制御し易いためである。
イオン化させる化合物としては、炭素および上記ドーパント元素の両方を含む化合物とすることも好ましい。このような化合物をクラスターイオンとして照射すれば、1回の照射で炭素およびドーパント元素の両方を固溶させることができるからである。
次に、第1および/または第2クラスターイオンの加速電圧およびクラスターサイズを制御することにより、第1改質層18および第2改質層26における構成元素の深さ方向の濃度プロファイルのピークの位置を制御することができる。本明細書において「クラスターサイズ」とは、1つのクラスターを構成する原子または分子の個数を意味する。
本実施形態の第1工程では、より高いゲッタリング能力を得る観点から、半導体ウェーハ10の表面10Aからの深さが150nm以下の範囲内に、第1改質層18における構成元素の深さ方向の濃度プロファイルのピークが位置するように、第1クラスターイオン16を照射し、デバイス除外領域20Aにおいては、エピタキシャル層20の表面20Aからの深さが150nm以下の範囲内に、第2改質層26における構成元素の深さ方向の濃度プロファイルのピークが位置するように、第2クラスターイオン24を照射する。なお、本明細書において、「構成元素の深さ方向の濃度プロファイル」は、構成元素が2種以上の元素を含む場合は、合計ではなく、それぞれ単独の元素についてのプロファイルを意味するものとする。
ピーク位置を当該深さの範囲に設定するために必要な条件として、第1および/第2クラスターイオンとしてC(3≦n≦16,3≦m≦10)を用いる場合、炭素1原子あたりの加速電圧は、0keV/atom超え50keV/atom以下とし、好ましくは、40keV/atom以下とする。また、クラスターサイズは2〜100個、好ましくは60個以下、より好ましくは50個以下とする。
なお、加速電圧の調整には、(1)静電加速、(2)高周波加速の2方法が一般的に用いられる。前者の方法としては、複数の電極を等間隔に並べ、それらの間に等しい電圧を印加して、軸方向に等加速電界を作る方法がある。後者の方法としては、イオンを直線状に走らせながら高周波を用いて加速する線形ライナック法がある。また、クラスターサイズの調整は、ノズルから噴出されるガスのガス圧力および真空容器の圧力、イオン化する際のフィラメントへ印加する電圧などを調整することにより行うことができる。なお、クラスターサイズは、四重極高周波電界による質量分析またはタイムオブフライト質量分析によりクラスター個数分布を求め、クラスター個数の平均値をとることにより求めることができる。
また、クラスターイオンのドーズ量は、イオン照射時間を制御することにより調整することができる。本実施形態では、第1クラスターイオン16の炭素のドーズ量は1×1013〜1×1016atoms/cmとし、好ましくは5×1015atoms/cm以下とする。1×1013atoms/cm未満の場合、ゲッタリング能力を十分に得ることができない可能性があり、1×1016atoms/cm超えの場合、エピタキシャル層20の表面に大きなダメージを与えるおそれがあるからである。また、第2クラスターイオン24の炭素のドーズ量は1×1013〜1×1016atoms/cmとするが、より高いゲッタリング能力を得る観点から、1×1014atoms/cm以上とすることが好ましい。
本実施形態では、デバイス除外領域20Aの全体に第2クラスターイオン24を照射する例を図示したが、本発明はこれに限定されず、デバイス除外領域20Aの一部に第2クラスターイオン24を照射してもよいことは勿論である。
なお、図3に示す第2実施形態では、第1クラスターイオンの照射をバルク半導体ウェーハ12ではなく第1エピタキシャル層14に行うことも特徴の1つである。バルク半導体ウェーハはエピタキシャル層に比べて酸素濃度が2桁程度高い。そのため、バルク半導体ウェーハ中に形成された改質層は、エピタキシャル層に形成された改質層よりも多くの酸素が拡散され、多くの酸素を捕獲する。捕獲された酸素はデバイス工程中に捕獲サイトから再放出され、デバイスの活性領域に拡散し、点欠陥を形成するため、デバイスの電気特性に悪影響を与える。したがって、固溶酸素濃度が低いエピタキシャル層にイオン注入し、酸素の拡散の影響をほとんど無視できるエピタキシャル層にゲッタリング層を形成することがデバイス工程において重要な設計条件となる。
ここで、モノマーイオンは一般的に150〜2000keV程度の加速電圧で注入するが、各イオンがそのエネルギーをもってシリコン原子と衝突するため、モノマーイオンが注入されたシリコンウェーハ表面部の結晶性が乱れ、その後にウェーハ表面上に成長させるエピタキシャル層の結晶性を乱す。一方、クラスターイオンは一般的に10〜100keV/Cluster程度の加速電圧で照射するが、クラスターは複数の原子または分子の集合体であるため、1原子または1分子あたりのエネルギーを小さくして打ち込むことができ、半導体ウェーハの結晶へ与えるダメージは小さい。そのため、一実施形態では、上記第1工程の後、半導体ウェーハに対して結晶性回復のための熱処理を行うことなく、半導体ウェーハをエピタキシャル成長装置に搬送して上記第2工程を行うことができ、高いゲッタリング能力を有する半導体エピタキシャルウェーハ100,200を効率的に製造することができる。すなわち、RTA(Rapid Thermal Annealing)やRTO(Rapid Thermal Oxidation)などの、エピタキシャル装置とは別個の急速昇降温熱処理装置などを用いて回復熱処理を行う必要がない。
それは、以下に述べるエピタキシャル層20を形成するためのエピタキシャル装置内で、エピタキシャル成長に先立ち行われる水素ベーク処理によって、半導体ウェーハ10の結晶性を十分回復させることができるからである。水素ベーク処理の一般的な条件は、エピタキシャル成長装置内を水素雰囲気とし、600℃以上900℃以下の炉内温度で半導体ウェーハ10を炉内に投入し、1℃/秒以上15℃/秒以下の昇温レートで1100℃以上1200℃以下の温度範囲にまで昇温させ、その温度で30秒以上1分以下の間保持するものである。この水素ベーク処理は、本来はエピタキシャル層成長前の洗浄処理によりウェーハ表面に形成された自然酸化膜を除去するためのものであるが、上記条件の水素ベークにより半導体ウェーハ10の結晶性を十分回復させることができる。
もちろん第1工程の後、第2工程の前に、エピタキシャル装置とは別個の熱処理装置を用いて回復熱処理を行ってもよい。この回復熱処理は、900℃以上1200℃以下で10秒以上1時間以下の条件とすることが好ましい。この回復熱処理は、例えば、半導体ウェーハ10をエピタキシャル成長装置内に搬送する前に、RTAやRTOなどの急速昇降温熱処理装置や、バッチ式熱処理装置(縦型熱処理装置、横型熱処理装置)を用いて行うことができる。
改質層18上に形成する第2エピタキシャル層20としては、シリコンエピタキシャル層が挙げられ、一般的な条件により形成することができる。例えば、水素をキャリアガスとして、ジクロロシラン、トリクロロシランなどのソースガスをチャンバー内に導入し、使用するソースガスによっても成長温度は異なるが、概ね1000〜1200℃の範囲の温度でCVD法により半導体ウェーハ10上にエピタキシャル成長させることができる。エピタキシャル層20は、厚さが1〜15μmの範囲内とすることが好ましい。1μm未満の場合、半導体ウェーハ10からのドーパントの外方拡散により第2エピタキシャル層20の抵抗率が変化してしまう可能性があり、また、15μm超えの場合、固体撮像素子の分光感度特性に影響が生じるおそれがあるからである。
(半導体エピタキシャルウェーハ)
次に、上記製造方法により得られる半導体エピタキシャルウェーハ100,200について説明する。第1実施形態による半導体エピタキシャルウェーハ100および第2実施形態による半導体エピタキシャルウェーハ200は、図2(D)および図3(E)に示すように、半導体ウェーハ10と、この半導体ウェーハ10の表面に形成され、半導体ウェーハ10中に所定元素が固溶してなる第1改質層18と、この第1改質層18上のエピタキシャル層20と、このエピタキシャル層20の表面の一部(本実施形態ではデバイス除外領域20A)に形成された、エピタキシャル層20中に所定元素が固溶してなる第2改質層26と、を有する。そして、いずれにおいても第1改質層18および第2改質層26における所定元素の深さ方向の濃度プロファイルの半値幅WおよびWがともに100nm以下であることを特徴とする。
すなわち、本発明の製造方法によれば、モノマーイオン注入に比べて、クラスターイオンを構成する元素の析出領域を局所的かつ高濃度にすることができるため、第1改質層における半値幅Wおよび第2改質層における半値幅Wをともに100nm以下とすることが可能となった。下限としては10nmと設定することができる。なお、本明細書における「深さ方向の濃度プロファイル」は、二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)にて測定した深さ方向の濃度分布を意味する。また、「第1改質層における濃度プロファイルの半値幅」は、測定精度を考慮して、エピタキシャル層の厚さが1μm超の場合は、エピタキシャル層を1μmに薄膜化した状態で、SIMSにて濃度プロファイルを測定したときの半値幅とする。
所定元素としては、半導体ウェーハの主材料(シリコンウェーハの場合、シリコン)以外の元素であれば特に限定されないが、炭素または炭素を含む2種以上の元素とすることが好ましいのは既述のとおりである。
より高いゲッタリング能力を得る観点から、半導体エピタキシャルウェーハ100,200のいずれも、半導体ウェーハ10の表面10Aからの深さが150nm以下の範囲内に、第1改質層18における濃度プロファイルのピークが位置し、エピタキシャル層20の表面20Aからの深さが150nm以下の範囲内に、第2改質層26における濃度プロファイルのピークが位置することが好ましい。また、第1改質層18および/または第2改質層26における濃度プロファイルのピーク濃度が、1×1015atoms/cm以上であることが好ましく、1×1017〜1×1022atoms/cmの範囲内がより好ましく、1×1019〜1×1021atoms/cmの範囲内がさらに好ましい。
また、第1改質層18および第2改質層26の深さ方向厚みは、概ね30〜400nmの範囲内とすることができる。
本実施形態の半導体エピタキシャルウェーハ100,200によれば、従来に比べ高いゲッタリング能力を発揮することで、金属汚染をより抑制することが可能である。
(固体撮像素子の製造方法)
本発明の実施形態による固体撮像素子の製造方法は、上記の製造方法で製造されたエピタキシャルウェーハまたは上記のエピタキシャルウェーハ、すなわち半導体エピタキシャルウェーハ100,200の表面に位置するエピタキシャル層20に、固体撮像素子を形成することを特徴とする。この製造方法により得られる固体撮像素子は、従来に比べ白傷欠陥の発生を十分に抑制することができる。
(実施例1)
CZ単結晶シリコンインゴットから得たn型シリコンウェーハ(直径:300mm、厚さ:725μm、ドーパント:リン、ドーパント濃度:5.0×1014atoms/cm)を用意した。次に、クラスターイオン発生装置(日新イオン機器社製、型番:CLARIS)を用いて、第1クラスターイオンとして、ジベンジル(C1414)よりCクラスターを生成して、ドーズ量9.0×1013Clusters/cm(炭素のドーズ量4.5×1014atoms/cm)、炭素1原子あたりの加速電圧14.8keV/atomの条件で、シリコンウェーハの表面に照射し、第1改質層を形成した。その後、シリコンウェーハを枚葉式エピタキシャル成長装置(アプライドマテリアルズ社製)内に搬送し、装置内で1120℃の温度で30秒の水素ベーク処理を施した後、水素をキャリアガス、トリクロロシランをソースガスとして1150℃でCVD法により、シリコンウェーハの第1改質層上にシリコンエピタキシャル層(厚さ:8μm、ドーパント:リン、ドーパント濃度:1.5×1014atoms/cm)をエピタキシャル成長させた。次に、フォトレジスト膜を成膜し、図2(A)の表面図に示す配置となるように、エピタキシャル層上にマスクを設置した。このときのエピタキシャル層の露出部は、仮想的にデバイス除外領域として設定した領域である。そして、第1クラスターイオンと同じ照射条件にて、第2クラスターイオンをエピタキシャル層の露出部に照射し、第2改質層を形成した。最後に、剥離液を用いてマスクを除去して、本発明に従うシリコンエピタキシャルウェーハを得た。
(実施例2)
第1,第2クラスターイオンのドーズ量を6.0×1013Clusters/cm(炭素のドーズ量3.0×1014atoms/cm)とした以外は、実施例1と同様にして本発明に従うシリコンエピタキシャルウェーハを製造した。
(実施例3)
第1,第2クラスターイオンの材料ガスをシクロヘキサン(C12)に変更してクラスターをCに調整した以外は、実施例1と同様にして本発明に従うシリコンエピタキシャルウェーハを製造した。
(実施例4)
第1,第2クラスターイオンのドーズ量を6.0×1013Clusters/cm(炭素のドーズ量3.0×1014atoms/cm)とした以外は、実施例3と同様にして本発明に従うシリコンエピタキシャルウェーハを製造した。
(比較例1)
第1,第2クラスターイオンの照射に替えて、COを材料ガスとして、炭素のモノマーイオンを生成し、ドーズ量9.0×1013atoms/cm、加速電圧300keV/atomの条件で、シリコンウェーハの表面およびエピタキシャル層の露出部に注入したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例のシリコンエピタキシャルウェーハを作製した。
(比較例2)
炭素のモノマーイオンのドーズ量を6.0×1013atom/cmとした以外は、比較例1と同様にして比較例にかかるシリコンエピタキシャルウェーハを製造した。
<評価方法および評価結果>
上記実施例および比較例で作製した各サンプルについて評価を行った。評価方法を以下に示す。
(1)SIMS測定
作製した各サンプルについて、デバイス除外領域の位置でSIMS測定を行った。代表例として、実施例1の炭素濃度プロファイルを図5に、比較例1の炭素濃度プロファイルを図7に示す。なお、横軸の深さはエピタキシャル層の表面をゼロとしている。ここで得られた第2改質層に相当する炭素濃度プロファイルの半値幅、ピーク位置(エピタキシャル層表面からのピーク深さ)、およびピーク濃度を表1に示す。さらに、作製した各サンプルについて、エピタキシャル層を1μmまで薄膜化した後にSIMS測定を行った。このとき得られた第1改質層に相当する炭素濃度プロファイルの半値幅、ピーク位置(エピタキシャル層を除いたシリコンウェーハ表面からのピーク深さ)、およびピーク濃度を表1に示す。なお、実施例1については、デバイス形成領域の位置でもSIMS測定を行ったので、その炭素濃度プロファイルを図6に示す。
(2)ゲッタリング能力評価
作製した各サンプルのエピタキシャル層表面を、Ni汚染液(1.0×1013/cm)でスピンコート汚染法を用いて故意に汚染し、引き続き900℃、30分の熱処理を施した。その後、SIMS測定を行った。Niの捕獲量(SIMSプロファイルの積分値)を以下のように分類して、評価基準とした。評価結果を表1に示す。
◎:1.0×1012atoms/cm以上
○:7.5×1011atoms/cm以上1.0×1012atoms/cm未満
△:7.5×1011atoms/cm未満
Figure 0006535432
<評価結果の考察>
まず、実施例1において、デバイス形成領域では、図6に示すように、エピタキシャル層直下の第1改質層に相当するピークのみが検出されたが、デバイス除外領域では、図5に示すように、第1改質層に相当するピークに加え、エピタキシャル層頂面の第2改質層に相当するピークも検出された。そして、実施例1の図5と比較例1の図7とを比較すると、クラスターイオン照射により、モノマーイオン注入の場合よりも、局所的かつ高濃度に炭素が固溶した第1,第2改質層が形成できたことがわかる。
そして、表1のSIMS測定結果から明らかなように、実施例1〜4では、第1改質層および第2改質層における炭素濃度プロファイルの半値幅がともに100nm以下となっており、この局所的かつ高濃度に炭素が固溶した第1,第2改質層に起因して、比較例1,2よりも高いゲッタリング能力を得ることができた。
本発明によれば、より高いゲッタリング能力を発揮することで金属汚染を抑制することが可能な半導体エピタキシャルウェーハおよびその製造方法、並びに、この半導体エピタキシャルウェーハから固体撮像素子を形成する固体撮像素子の製造方法を提供することができる。
100,200 半導体エピタキシャルウェーハ
10 半導体ウェーハ
10A 半導体ウェーハの表面
12 バルク半導体ウェーハ
14 第1エピタキシャル層
16 第1クラスターイオン
18 第1改質層
20 第2エピタキシャル層
20A デバイス除外領域
20B デバイス形成領域
22 マスク
24 第2クラスターイオン
26 第2改質層

Claims (16)

  1. 半導体ウェーハの表面にゲッタリングに寄与する構成元素を含む第1クラスターイオンを照射して、該半導体ウェーハの表面に、前記第1クラスターイオンの構成元素が固溶してなる第1改質層を形成する第1工程と、
    前記半導体ウェーハの第1改質層上にエピタキシャル層を形成する第2工程と、
    該エピタキシャル層の表面の一部にゲッタリングに寄与する構成元素を含む第2クラスターイオンを照射して、前記エピタキシャル層の表面の一部に、前記第2クラスターイオンの構成元素が固溶してなる第2改質層を形成する第3工程と、
    を有し、該第3工程後の前記第1改質層および第2改質層における前記ゲッタリングに寄与する構成元素の深さ方向の濃度プロファイルの半値幅がともに100nm以下である半導体エピタキシャルウェーハを得ることを特徴とする半導体エピタキシャルウェーハの製造方法。
  2. 前記半導体ウェーハが、シリコンウェーハである請求項1に記載の半導体エピタキシャルウェーハの製造方法。
  3. 前記半導体ウェーハが、シリコンウェーハの表面にシリコンエピタキシャル層が形成されたエピタキシャルシリコンウェーハであり、前記第1工程において前記第1改質層は前記シリコンエピタキシャル層の表面に形成される請求項1に記載の半導体エピタキシャルウェーハの製造方法。
  4. 前記第1工程の後、前記半導体ウェーハに対して結晶性回復のための熱処理を行うことなく、前記半導体ウェーハをエピタキシャル成長装置に搬送して前記第2工程を行う請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体エピタキシャルウェーハの製造方法。
  5. 前記第1および/または第2クラスターイオンが、構成元素として炭素を含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導体エピタキシャルウェーハの製造方法。
  6. 前記第1および/または第2クラスターイオンが、構成元素として炭素を含む2種以上の元素を含む請求項5に記載の半導体エピタキシャルウェーハの製造方法。
  7. 前記第1クラスターイオンの照射条件は、炭素1原子あたりの加速電圧が50keV/atom以下、クラスターサイズが100個以下、炭素のドーズ量が5.0×1015atoms/cm2以下である請求項5または6に記載の半導体エピタキシャルウェーハの製造方法。
  8. 前記第2クラスターイオンの照射条件は、炭素1原子あたりの加速電圧が50keV/atom以下、クラスターサイズが100個以下、炭素のドーズ量が1.0×1014atoms/cm2以上である請求項5〜7のいずれか1項に記載の半導体エピタキシャルウェーハの製造方法。
  9. 半導体ウェーハと、該半導体ウェーハの表面に形成された、該半導体ウェーハ中にゲッタリングに寄与する所定元素が固溶してなる第1改質層と、該第1改質層上のエピタキシャル層と、該エピタキシャル層の表面の一部に形成された、前記エピタキシャル層中にゲッタリングに寄与する所定元素が固溶してなる第2改質層と、を有し、
    前記第1改質層および第2改質層における前記ゲッタリングに寄与する所定元素の深さ方向の濃度プロファイルの半値幅がともに100nm以下であることを特徴とする半導体エピタキシャルウェーハ。
  10. 前記半導体ウェーハが、シリコンウェーハである請求項9に記載の半導体エピタキシャルウェーハ。
  11. 前記半導体ウェーハが、シリコンウェーハの表面にシリコンエピタキシャル層が形成されたエピタキシャルシリコンウェーハであり、前記第1改質層は前記シリコンエピタキシャル層の表面に位置する請求項9に記載の半導体エピタキシャルウェーハ。
  12. 前記半導体ウェーハの表面からの深さが150nm以下の範囲内に、前記第1改質層における前記濃度プロファイルのピークが位置し、前記エピタキシャル層の表面からの深さが150nm以下の範囲内に、前記第2改質層における前記濃度プロファイルのピークが位置する請求項9〜11のいずれか1項に記載の半導体エピタキシャルウェーハ。
  13. 前記第1および/または第2改質層における前記濃度プロファイルのピーク濃度が、1×1015atoms/cm3以上である請求項9〜12のいずれか1項に記載の半導体エピタキシャルウェーハ。
  14. 前記所定元素が炭素を含む請求項9〜13のいずれか1項に記載の半導体エピタキシャルウェーハ。
  15. 前記所定元素が炭素を含む2種以上の元素を含む請求項14に記載の半導体エピタキシャルウェーハ。
  16. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の製造方法で製造されたエピタキシャルウェーハまたは請求項9〜15のいずれか1項に記載のエピタキシャルウェーハの、表面に位置するエピタキシャル層に、固体撮像素子を形成することを特徴とする固体撮像素子の製造方法。




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