JP6534612B2 - グリセロールのリン酸化物の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、高効率でグリセロールのリン酸化物を製造する方法に関する。
グリセロールのリン酸化物は、化粧品原料や、医薬品製造のための中間体等として利用価値の高いことから、グリセロールのリン酸化物を効率よく取得する方法が検討されている。効率的なリン酸化を実現する一つの方法としては、例えば、グリセロールのリン酸化を触媒するリン酸化酵素を使用する方法が挙げられる。リン酸化酵素については、これまでに数多くの種類が知られており、多様な生物種由来のものが見出されている(非特許文献1)。しかしながら、このように多数存在するリン酸化酵素のいずれを用いてもリン酸化反応の効率が向上するというものではない。また、グリセロールのリン酸化物を得る反応においては、リン酸基供与体の存在下でリン酸化酵素とグリセロールを反応させる必要がある。しかし、従来使用されているリン酸化酵素は、リン酸基供与体として高価なATP(アデノシン三リン酸)を必要するため、製造コストがかかるという問題があった。一方、安価なリン酸基供与体としてポリリン酸が例示されるが、これを用いてグリセロールのリン酸化反応を触媒する酵素は知られていなかった(例えば、非特許文献2を参照)。このような背景から、工業上利用価値の高いグリセロールのリン酸化物を効率よく、且つより低コストで製造する方法が切望されていた。
Cell Mol Life Sci.1998 Aug;54(8):833−50 Protein Eng. 1998 Dec;11(12):1219−27.
本発明は、高いリン酸化効率を実現することが可能なグリセロールのリン酸化方法を提供することを主な目的とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、特定の微生物に由来するリン酸化酵素を使用することにより、グリセロールのリン酸化効率が顕著に向上することを見出した。また、このようなリン酸化酵素によれば、ポリリン酸のような安価なリン酸基供与体を用いてリン酸化反応を行った場合でも効率よくリン酸化物が得られることを見出した。更に、本発明者らは、前記特定の微生物から得られたリン酸化酵素において活性を担うアミノ酸配列を特定した。本発明はこれらの知見に基づいて更に改良を重ねた結果完成されたものである。
即ち、本発明は下記態様のリン酸化方法を提供する。
項1.グリセロールのリン酸化物の製造方法であって、リン酸基供与体の存在下でリン酸化酵素をグリセロールに作用させる工程を含み、
前記リン酸化酵素が、クラスAの酸性ホスファターゼであり、且つ活性中心として下記配列(1)で表わされるアミノ酸配列を含むポリペプチドからなることを特徴とする、前記製造方法:
―X1―X2―X3−Pro−Ser−Gly−His−X4― (1)
ここで、
1は、グリシン、アラニン又はフェニルアラニンを示し、
2は、任意のアミノ酸を示し、
3は、チロシン又はトリプトファンを示し、
4は、トレオニン、セリン又はアラニンを示し、
且つ、X1がフェニルアラニンの場合は、X4がトレオニン又はセリンである。
項2.配列(1)におけるX1、及びX4が以下の(A1)〜(A8)のいずれかである、項1に記載の製造方法。
(A1)X1がグリシン、且つX4がトレオニン;
(A2)X1がグリシン、且つX4がセリン;
(A3)X1がアラニン、且つX4がセリン;
(A4)X1がアラニン、且つX4がトレオニン;
(A5)X1がアラニン、且つX4がアラニン;
(A6)X1がグリシン、且つX4がアラニン;
(A7)X1がフェニルアラニン、且つX4がトレオニン;
(A8)X1がフェニルアラニン、且つX4がセリン。
項3.配列(1)において、X2がセリン、アラニン又はアスパラギン酸である、項1又は2に記載の製造方法。
項4.配列(1)におけるX1、X2、X3及びX4が以下の(B1)〜(B11)のいずれかである、項1又は3に記載の製造方法。
(B1)X1がグリシン、X2がセリン、X3がチロシン、且つX4がトレオニン;
(B2)X1がグリシン、X2がアラニン、X3がチロシン、且つX4がトレオニン;
(B3)X1がグリシン、X2がセリン、X3がチロシン、且つX4がセリン;
(B4)X1がグリシン、X2がアスパラギン酸、X3がチロシン、且つX4がトレオニン;
(B5)X1がアラニン、X2がセリン、X3がチロシン、且つX4がセリン;
(B6)X1がアラニン、X2がセリン、X3がチロシン、且つX4がトレオニン;
(B7)X1がアラニン、X2がセリン、X3がチロシン、且つX4がアラニン;
(B8)X1がグリシン、X2がセリン、X3がチロシン、且つX4がアラニン;
(B9)X1がフェニルアラニン、X2がセリン、X3がチロシン、且つX4がトレオニン;
(B10)X1がフェニルアラニン、X2がセリン、X3がチロシン、且つX4がセリン;
(B11)X1がグリシン、X2がセリン、X3がトリプトファン、且つX4がセリン。
項5.配列(1)で表わされるアミノ酸配列において第7位のヒスチジン(His)残基が、リン酸化酵素として用いられるポリペプチドのN末端から数えて第120〜160位に位置する、項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
項6.前記リン酸化酵素が、更に下記(I)又は(II)に示されるポリペプチドからなる、項1〜5のいずれかに記載される製造方法:
(II)に示されるポリペプチドが挙げられる。
(I)前記配列(1)で表わされる活性中心をコードするアミノ酸配列部位よりもN末端側に配列番号2で示されるアミノ酸配列を有するポリペプチド、
(II)前記配列(1)で表わされる活性中心をコードするアミノ酸配列部位よりもN末端側に、配列番号2で示されるアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入又は付加されたアミノ酸配列を含み、且つ前記(I)に示されるポリペプチドと比べて同等以上のグリセロールのリン酸化反応を触媒する活性を有するポリペプチド。
項7.配列番号2で示されるアミノ酸配列における第1位のアミノ酸残基が、リン酸化酵素として用いられるポリペプチドのN末端側から数えて第5〜40位に配置されている、項6に記載される製造方法。
項8.前記リン酸化酵素が、更に下記(III)〜(VI)のいずれか示すポリペプチドからなる、項1〜5のいずれかに記載される製造方法:
(III)配列(1)で表わされるアミノ酸配列のN末端側に、配列番号26〜32及び106〜110のいずれかに示すアミノ酸配列を有するポリペプチド、
(IV)配列(1)で表わされるアミノ酸配列のN末端側に、配列番号26〜32及び106〜110のいずれかに示すアミノ酸配列において、1若しくは複数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入又は付加されたアミノ酸配列を含み、且つ(III)に示される各々対応するポリペプチドと比べて同等以上のグリセロールのリン酸化反応を触媒する活性を有するポリペプチド、
(V)配列(1)で表わされるアミノ酸配列のC末端側に、配列番号33〜39及び111〜115のいずれかに示すアミノ酸配列を有するポリペプチド、ならびに
(VI)配列(1)で表わされるアミノ酸配列のC末端側に、配列番号33〜39及び111〜115のいずれかに示すアミノ酸配列において、1若しくは複数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入又は付加されたアミノ酸配列を含み、且つ(V)に示される、対応するポリペプチドと比べて同等以上のグリセロールのリン酸化反応を触媒する活性を有するポリペプチド。
項9.前記リン酸化酵素が、下記(VII)又は(VIII)に示されるポリペプチドからなる、項1〜8のいずれかに記載の製造方法:
(VII)配列番号3〜9、13、104、105、116、117、及び119〜121のいずれかに示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(VIII)配列番号3〜9、13、104、105、116、117、及び119〜121のいずれかに示されるアミノ酸配列において、前記配列(1)で表わされるアミノ酸配列からなる活性中心以外の領域の1又は複数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入又は付加されたアミノ酸配列からなり、且つ(VII)に示される、対応するポリペプチドと比べて同等以上のグリセロールのリン酸化反応を触媒する活性を有するポリペプチド。
項10.グリセロールのリン酸化物の製造方法であって、リン酸基供与体の存在下でリン酸化酵素をグリセロールに作用させる工程を含み、
前記リン酸化酵素が、クラスAの酸性ホスファターゼであり、且つ下記(i)又は(ii)に示されるポリペプチドからなることを特徴とする、前記製造方法:
(i)配列番号2で示されるアミノ酸配列を有し、グリセロールのリン酸化反応を触媒する活性を有するポリペプチド、
(ii)配列番号2で示されるアミノ酸配列において、1若しくは複数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入又は付加されたアミノ酸配列を有し、且つ前記(i)に示されるポリペプチドと比べて同等以上のグリセロールのリン酸化反応を触媒する活性を有するポリペプチド。
項11.配列番号2で示されるアミノ酸配列における第1位のアミノ酸残基が、リン酸化酵素として用いられるポリペプチドのN末端側から数えて第5〜40位に配置されている、項10に記載の製造方法。
項12.前記リン酸化酵素が、配列番号2で表わされるアミノ酸配列よりもC末端側に、下記配列(1)で表わされるアミノ酸配列を有するポリペプチドからなる、項10又は11に記載される製造方法:
―X1―X2―X3−Pro−Ser−Gly−His−X4― (1)
ここで、
1は、グリシン、アラニン又はフェニルアラニンを示し、
2は、任意のアミノ酸を示し、
3は、チロシン又はトリプトファンを示し、
4は、トレオニン、セリン又はアラニンを示し、
且つ、X1がフェニルアラニンの場合は、X4がトレオニン又はセリンである。
項13.配列(1)におけるX1及びX4が以下の(A1)〜(A8)のいずれかである、項12に記載の製造方法。
(A1)X1がグリシン、且つX4がトレオニン;
(A2)X1がグリシン、且つX4がセリン;
(A3)X1がアラニン、且つX4がセリン;
(A4)X1がアラニン、且つX4がトレオニン;
(A5)X1がアラニン、且つX4がアラニン;
(A6)X1がグリシン、且つX4がアラニン;
(A7)X1がフェニルアラニン、且つX4がトレオニン;
(A8)X1がフェニルアラニン、且つX4がセリン。
項14.配列(1)において、X2がセリン、アラニン又はアスパラギン酸である、項12又は13に記載の製造方法。
項15.配列(1)におけるX1、X2、X3及びX4が以下の(B1)〜(B11)のいずれかである、項12〜14のいずれかに記載の製造方法。
(B1)X1がグリシン、X2がセリン、X3がチロシン、且つX4がトレオニン;
(B2)X1がグリシン、X2がアラニン、X3がチロシン、且つX4がトレオニン;
(B3)X1がグリシン、X2がセリン、X3がチロシン、且つX4がセリン;
(B4)X1がグリシン、X2がアスパラギン酸、X3がチロシン、且つX4がトレオニン;
(B5)X1がアラニン、X2がセリン、X3がチロシン、且つX4がセリン;
(B6)X1がアラニン、X2がセリン、X3がチロシン、且つX4がトレオニン;
(B7)X1がアラニン、X2がセリン、X3がチロシン、且つX4がアラニン;
(B8)X1がグリシン、X2がセリン、X3がチロシン、且つX4がアラニン;
(B9)X1がフェニルアラニン、X2がセリン、X3がチロシン、且つX4がトレオニン;
(B10)X1がフェニルアラニン、X2がセリン、X3がチロシン、且つX4がセリン;
(B11)X1がグリシン、X2がセリン、X3がトリプトファン、且つX4がセリン。
項16.配列(1)で表わされるアミノ酸配列において第7位のヒスチジン(His)残基が、リン酸化酵素として用いられるポリペプチドのN末端から数えて第120〜160位に位置する、項12〜15のいずれかに記載の製造方法。
項17.前記リン酸化酵素が、更に下記(iii)〜(vi)に示すアミノ酸配列の少なくとも1種を含む、項10〜16のいずれかに記載される製造方法:
(iii)配列番号2で表わされるアミノ酸配列のN末端側に、配列番号40で示すアミノ酸配列を有し、グリセロールのリン酸化反応を触媒する活性を有するポリペプチド、
(iv)配列番号2で表わされるアミノ酸配列のN末端側に、配列番号40で示されるアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入又は付加されたアミノ酸配列を有し、且つ(iii)に示されるポリペプチドと比べて同等以上のグリセロールのリン酸化反応を触媒する活性を有するポリペプチド、
(v)配列番号2で表わされるアミノ酸配列のC末端側に、配列番号41で示されるアミノ酸配列を有し、グリセロールのリン酸化反応を触媒する活性を有するポリペプチド、ならびに
(vi)配列番号2で表わされるアミノ酸配列のC末端側に、配列番号41で示されるアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入又は付加されたアミノ酸配列を含み、且つ(v)に示されるポリペプチドと比べて同等以上のグリセロールのリン酸化反応を触媒する活性を有するポリペプチド。
項18.前記リン酸化酵素が、下記(vii)又は(viii)に示されるポリペプチドからなる、項10〜17のいずれかに記載の製造方法:
(vii)配列番号9、15〜17、19、22及び25のいずれかに示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(viii)配列番号9、15〜17、19、22及び25のいずれかに示されるアミノ酸配列において、配列番号2で示されるアミノ酸配列以外の領域の1又は複数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入又は付加されたアミノ酸配列からなり、且つ前記(vii)のポリペプチドと比べて同等以上のグリセロールのリン酸化反応を触媒する活性を有するポリペプチド。
項19.前記リン酸基供与体がポリリン酸である、項1〜18のいずれかに記載の製造方法。
項20.前記グリセロールのリン酸化物がα−グリセロリン酸である、項1〜19のいずれかに記載される製造方法。
項21.前記リン酸基供与体の存在下でリン酸化酵素をグリセロールに作用させる工程において、反応液のpHが4〜5である、項1〜20のいずれかに記載の製造方法。
項22.前記リン酸基供与体の存在下でリン酸化酵素をグリセロールに作用させる工程において、リン酸化酵素1重量部当たりのグリセロールの添加量が1000〜50000重量部である、項1〜21のいずれかに記載の製造方法。
項23.前記リン酸基供与体の存在下でリン酸化酵素をグリセロールに作用させる工程において、反応液中のリン酸基供与体の濃度が2〜10重量%である、項1〜22のいずれかに記載の製造方法。
本発明のリン酸化方法によれば、グリセロールのリン酸化効率を顕著に高めることができる。また、リン酸供与体として安価なポリリン酸を用いることが可能となり、製造コストを抑えることができる。
各微生物由来のリン酸化酵素を用いてグリセロールのリン酸化を行った結果を示すグラフである。図1中、(i)はグリセロール4M、pH5.0で反応を行った場合、(ii)はグリセロール4M、pH4.0で反応を行った場合、及び(iii)はグリセロール0.5M、pH4.5で反応を行った場合の結果を示すグラフである。 リン酸基供与体の種類をかえてグリセロールのリン酸化反応を行った結果を示すグラフである。 変異体aを用いてグリセロールのリン酸化反応を行い、得られたグリセロール−3−リン酸の量を表すグラフである。 変異体b〜gを用いてグリセロールのリン酸化反応を行い、得られたグリセロール−3−リン酸の量を表すグラフである。 図3中、(i)及び(ii)はリン酸化酵素変異体A〜Lの構造を示す。図3(i)〜(ii)において、各変異体のアミノ酸配列中の変異箇所を下線で示す。 変異体A〜Lを用いてグリセロールのリン酸化反応を行い、得られたグリセロール−3−リン酸の量を表すグラフである。
1.リン酸化酵素
本発明はグリセロールのリン酸化物の製造方法を提供する。当該方法はリン酸基供与体の存在下において、所定のリン酸化酵素をグリセロールに作用させることを特徴とする。以下、本発明のグリセロールのリン酸化物の製造方法を「本発明の方法」と略記することがある。
本発明においてリン酸化の対象となるグリセロールはC383で表わされ、1,2,3−トリヒドロキシプロパン又はグリセリンとも呼ばれる。
本発明の方法においては、リン酸化酵素としてクラスAの酸性ホスファターゼを用いてグリセロールのリン酸化反応を触媒し、グリセロールのリン酸化物を得る。ここで、酸性ホスファターゼとは、他の分子から遊離リン酸基を結合させる働きを持つモノリン酸エステラーゼである。また、クラスAとは酸性ホスファターゼの分類の一つであり、EDTAおよび無機リン酸で酵素活性が阻害されない特性を有する酵素のグループに属することを表す。更に、クラスAの酸性ホスファターゼは、アミノ酸配列KX6RP−(X12-54)−PSGH−(X31-54)−SRX5HX3D(Xは任意のアミノ酸を指す)を含む酵素の総称と定義されている(The EMBO Journal Vol19,No.11 pp2412−2423より)。
本発明で使用されるリン酸化酵素として、態様(α):下記配列(1)で表わされる活性中心を含むリン酸化酵素、及び態様(β):配列番号2で示されるアミノ酸配列を含むリン酸化酵素が例示される。以下、各リン酸化酵素について詳述する。
(1-1)リン酸化酵素の態様(α)
本発明の方法において使用されるリン酸化酵素の態様(α)として、下記配列(1)(配列番号1)で表されるアミノ酸配列からなる活性中心を含み、且つグリセロールのリン酸化反応を触媒する活性を有するリン酸化酵素が挙げられる。
―X1―X2―X3−Pro−Ser−Gly−His−X4― (1)
ここで、
1は、グリシン、アラニン又はフェニルアラニンを示し、
2は、任意のアミノ酸を示し、
3は、チロシン又はトリプトファンを示し、
4は、トレオニン、セリン又はアラニンを示し、
且つ、X1がフェニルアラニンの場合は、X4がトレオニン又はセリンである。
前記配列(1)においてX2は、いずれのアミノ酸であってもよいが、好ましくは非電荷アミノ酸、非極性アミノ酸、又は酸性アミノ酸、更に好ましくはセリン、アラニン又はアスパラギン酸、特に好ましくはセリンが挙げられる。
また、本発明の方法に使用されるリン酸化酵素の具体的な態様として、配列(1)におけるX1、X2及びX4が以下の(A1)〜(A8)のいずれかであるものが挙げられる。
(A1)X1がグリシン、且つX4がトレオニン;好ましくは、X1がグリシン、X2がセリン、アラニン、又はアスパラギン酸、且つX4がトレオニン;更に好ましくはX1がグリシン、X2がアラニン、且つX4がトレオニン、
(A2)X1がグリシン、且つX4がセリン;好ましくは、X1がグリシン、X2がセリン、且つX4がセリン、
(A3)X1がアラニン、且つX4がセリン;好ましくは、X1がアラニン、X2がセリン、且つX4がセリン、
(A4)X1がアラニン、且つX4がトレオニン;好ましくは、X1がアラニン、X2がセリン、且つX4がトレオニン、
(A5)X1がアラニン、且つX4がアラニン;好ましくは、X1がアラニン、X2がセリン、且つX4がアラニン、
(A6)X1がグリシン、且つX4がアラニン;好ましくは、X1がグリシン、X2がセリン、且つX4がアラニン、
(A7)X1がフェニルアラニン、且つX4がトレオニン;好ましくは、X1がフェニルアラニン、X2がセリン、且つX4がトレオニン、
(A8)X1がフェニルアラニン、且つX4がセリン;好ましくはX1がフェニルアラニン、X2がセリン、且つX4がセリン。
前記(A1)〜(A8)の態様の中でも、グリセロールのリン酸化をより一層効率的に行うという観点から、好ましくは(A1)の態様が挙げられる。
また、本発明の方法に使用されるリン酸化酵素のより具体的な態様として、配列(1)におけるX1、X2、及びX4が以下の(B1)〜(B11)のいずれかであるものが挙げられる。
(B1)X1がグリシン、X2がセリン、X3がチロシン、且つX4がトレオニン;
(B2)X1がグリシン、X2がアラニン、X3がチロシン、且つX4がトレオニン;
(B3)X1がグリシン、X2がセリン、X3がチロシン、且つX4がセリン;
(B4)X1がグリシン、X2がアスパラギン酸、X3がチロシン、且つX4がトレオニン;
(B5)X1がアラニン、X2がセリン、X3がチロシン、且つX4がセリン;
(B6)X1がアラニン、X2がセリン、X3がチロシン、且つX4がトレオニン;
(B7)X1がアラニン、X2がセリン、X3がチロシン、且つX4がアラニン;
(B8)X1がグリシン、X2がセリン、X3がチロシン、且つX4がアラニン;
(B9)X1がフェニルアラニン、X2がセリン、X3がチロシン、且つX4がトレオニン;
(B10)X1がフェニルアラニン、X2がセリン、X3がチロシン、且つX4がセリン;
(B11)X1がグリシン、X2がセリン、X3がトリプトファン、且つX4がセリン。
前記(B1)〜(B11)の態様の中でも、グリセロールのリン酸化をより一層効率的に行うという観点から、好ましくは(B1)の態様が挙げられる。
クラスAの酸性ホスファターゼのアミノ酸配列において、活性中心が配置される部位については公知であり、本発明で使用されるリン酸化酵素のアミノ酸配列において、上記配列(1)で表わされる活性中心が配置される部位は、当業者であれば適宜設定可能である。
また、クラスAの酸性ホスファターゼのアミノ酸配列において、活性中心が2つ存在することが知られており、2つの活性中心の内、上記配列(1)で表わされる活性中心はN末端側に配置される。2つの活性中心の内、末端側に配置される活性中心は、通常RX5HX2Sからなるアミノ酸配列(Xは任意のアミノ酸を示す)を有しており、上記配列(1)で表わされる活性中心のC末端側から通常20〜50個、好ましくは30〜40個のアミノ酸残基を介して連結している。
また、クラスAの酸性ホスファターゼのアミノ酸配列において、上記配列(1)で表わされる活性中心よりもN末端側およびC末端側の各アミノ酸配列も公知であり、本発明で使用されるリン酸化酵素のアミノ酸配列において、上記配列(1)で表わされる活性中心以外のアミノ酸配列は、当業者であれば適宜設定可能である。
態様(α)のリン酸化酵素の全アミノ酸配列における上記配列(1)で表わされる活性中心の位置は、グリセロールのリン酸化を触媒する活性を有する限り特に限定されないが、例えば、配列(1)で表わされるアミノ酸配列において第7位のヒスチジン(His)残基がリン酸化酵素(クラスAの酸性ホスファターゼ)として用いられるポリペプチドのN末端から数えて第120〜160位、好ましくは125〜155位、更に好ましくは130〜150位となる位置が挙げられる。また、本発明のグリセロールのリン酸化物の製造方法において使用されるリン酸化酵素は、上記配列(1)で示される活性中心の他に、リン酸化酵素として用いられるポリペプチドのN末端から第160〜200位、好ましくは165〜195位、更に好ましくは170〜190位となる位置に第2の活性中心としてヒスチジン残基を有していてもよい。
また、本発明において使用されるリン酸化酵素の一態様として、更に下記(I)又は(II)に示されるポリペプチドが挙げられる。
(I)前記配列(1)で表わされる活性中心をコードするアミノ酸配列部位よりもN末端側に配列番号2で示されるアミノ酸配列を有するポリペプチド、
(II)前記配列(1)で表わされる活性中心をコードするアミノ酸配列部位よりもN末端側に、配列番号2で示されるアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入又は付加されたアミノ酸配列を含み、且つ前記(I)に示されるポリペプチドと比べて同等以上のグリセロールのリン酸化反応を触媒する活性を有するポリペプチド。
ここで、配列番号2で表わされるアミノ酸配列は、具体的には以下の通りである。
PDERLVLAPPPAPGSAAQ(配列番号2)
配列番号2で示されるアミノ酸配列は、前記配列(1)で表わされる活性中心をコードするアミノ酸配列部位に直接連結されていてもよく、グリセロールのリン酸化反応を触媒する活性を損なわない限り、例えば70〜130個、好ましくは80〜120個、更に好ましくは90〜110個のアミノ酸を介して連結されていてもよい。また、態様(α)のリン酸化酵素のグリセロールのリン酸化反応を触媒する活性を損なわない限り、配列番号2で示されるアミノ酸配列のN末端側に、例えば5〜50個、好ましくは8〜40個、更に好ましくは10〜30個の任意のアミノ酸配列を含んでいてもよい。更に、態様(α)のリン酸化酵素のグリセロールのリン酸化反応を触媒する活性を損なわない限り、配列(1)で表わされる活性中心をコードするアミノ酸配列部位のC末端側に、例えば60〜120個、好ましくは70〜110個、更に好ましくは80〜100個の任意のアミノ酸配列を含んでいてもよい。
態様(α)のリン酸化酵素を構成するアミノ酸配列において、配列番号2で示されるアミノ酸配列の位置は、グリセロールのリン酸化反応を触媒する活性を損なわない限り特に限定されないが、例えば、配列番号2で示されるアミノ酸配列における第1位のアミノ酸残基が、態様(α)のリン酸化酵素として用いられるポリペプチドのN末端側から数えて第5位〜40位、好ましくは第8位〜35位、更に好ましくは第10位〜30位に配置されている態様が挙げられる。
また、前記(II)のポリペプチドにおいて、配列番号2で示されるアミノ酸配列中の置換、欠失、挿入又は付加されたアミノ酸の数としては、対応するポリペプチドと比べて同等以上のグリセロールのリン酸化反応を触媒する活性を有していることを限度として、特に制限されないが、例えば、1個又は数個、或いは例えば1〜10個、より好ましくは1〜8個、更に好ましくは1〜5個、特に好ましくは1〜3個又は1若しくは2個が挙げられる。アミノ酸が置換、欠失、挿入又は付加された変異体の取得方法については、下記「2.リン酸化酵素の調製」において詳述する。
アミノ酸を付加する場合であれば、付加されるアミノ酸の数としては、例えば1〜10個、より好ましくは1〜8個、更に好ましくは1〜5個、特に好ましくは1〜3個又は1若しくは2個が挙げられる。また、これらとは別に、各アミノ酸配列のC末端に、必要に応じてHisタグ等のタンパク質精製用の配列が付加されていてもよい。
また、アミノ酸を欠失させる場合であれば、欠失させるアミノ酸の数としては、例えば1〜10個、より好ましくは1〜8個、更に好ましくは1〜5個、特に好ましくは1〜3個又は1若しくは2個が挙げられる
また、アミノ酸を挿入する場合であれば、挿入させるアミノ酸の数としては、例えば1〜10個、より好ましくは1〜8個、更に好ましくは1〜5個、特に好ましくは1〜3個又は1若しくは2個が挙げられる。
アミノ酸置換を行う場合には、側鎖官能基の性質に基づいて保存的置換を行うことができる。また、対応するポリペプチドと比べて同等以上のグリセロールのリン酸化反応を触媒する活性を有する限り、置換前のアミノ酸残基の性質と置換後のアミノ酸残基の性質が異なる非保存的置換であってもよい。天然アミノ酸は、側鎖官能基によって非極性アミノ酸、非電荷アミノ酸、酸性アミノ酸及び塩基性アミノ酸の各カテゴリーに分類される。保存的置換とは、もとのアミノ酸残基と置換後のアミノ酸残基が同一のカテゴリーに分類されるアミノ酸残基であることを指す。ここで、「非極性アミノ酸」として具体的には、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、メチオニン、フェニルアラニン、及びトリプトファン;「非電荷アミノ酸」として、グリシン、セリン、トレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、及びグルタミン;「酸性アミノ酸」として、アスパラギン酸及びグルタミン酸;「塩基性アミノ酸」として、リジン、アルギニン、及びヒスチジンがそれぞれ挙げられる。
更に、本発明において使用されるリン酸化酵素の他の一態様として、更に下記(III)〜(VI)のいずれか示すポリペプチドが挙げられる。
(III)配列(1)で表わされるアミノ酸配列のN末端側に、配列番号26〜32及び106〜110のいずれかに示すアミノ酸配列を有するポリペプチド、
(IV)配列(1)で表わされるアミノ酸配列のN末端側に、配列番号26〜32及び106〜110のいずれかに示すアミノ酸配列において、1若しくは複数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入又は付加されたアミノ酸配列を含み、且つ(III)に示される各々対応するポリペプチドと比べて同等以上のグリセロールのリン酸化反応を触媒する活性を有するポリペプチド、
(V)配列(1)で表わされるアミノ酸配列のC末端側に、配列番号33〜39及び111〜115のいずれかに示すアミノ酸配列を有するポリペプチド、ならびに
(VI)配列(1)で表わされるアミノ酸配列のC末端側に、配列番号33〜39及び111〜115のいずれかに示すアミノ酸配列において、1若しくは複数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入又は付加されたアミノ酸配列を含み、且つ(V)に示される、対応するポリペプチドと比べて同等以上のグリセロールのリン酸化反応を触媒する活性を有するポリペプチド。
配列番号26〜32、106及び107は、それぞれ配列番号3〜9、104及び105において前記配列(1)で表わされる活性中心よりもN末端側のアミノ酸配列に相当する。配列番号26〜32、106及び107で示される具体的なアミノ酸配列は以下の通りである。
配列番号26:
MDAGYLTPATQPDATQYLPPPPQAGSARQAADDHAFESTRGLKGGARWALATSDADLRIEALLRSFSCAAGFTIDASKAPRLAALIHRMDVSEIPDMRNAKASWHRARPFVGNTQSICTEDDRSHLATS
配列番号27:
MDAHGYLEKSELPDSLQLVPPPPQDDSAALANDETVSKAMLALRGTPRWELAAQDAVLRFPAAATHFSCALGIQIDQTSTPHLVRVLERSMRDASTATSAAKARYQRPRPFMRNAQPMCTPDDDAALRKN
配列番号28:
MDHPHGYLTAENTPNAANFLPPPPAEGSLREQADIAAYRAMRSLEGSERWAIARADNEIETPGAPRAFDCALGFKFEPEQMPTLTLLMGKMLGDLEMIQTPAKKGYFRKRPFVVEPLPTCIAPETWLAAS
配列番号29:
MDTAPYLAAGQYPDGMAILPPPPALDSPGAALDMAVFRATRKLEGTPRWRIATDDVTNDPLRRNACAMGMVLDVKTAPALARLLDRAGTGPVVGRVKAAYQVPRPYLREDGPICEAKTAHLASN
配列番号30:
MDLSQSVSAHTEKSEPSSTYHFHSDPLLYLAPPPTSGSPLQAHDDQTFNSTRQLKGSTRWALATQDADLHLASVLKDYACAAGMNLDIAQLPHLANLIKRALRTEYDDIGRAKNNWNRKRPFVDTDQPICTEKDREGLGKQ
配列番号31:
MDIGINSDPQLAWSETQFVSPQQVDLARLLPPPPAMDSAEQRDEIALLLQLQKDRTPDMVAFAQADAAREVFRFTDVVGPQFTAEKLPVAAAFFKAVKENGDAILGNAKKHWDRPRPYAASSQIDPCVPKPGN
配列番号32:
MDTSATAQGGILPDSAAPDERLVLAPPPAPGSAAQSDDDRVFHVTRALKDTPRWKLAQSDADLDPAHVVRDFSCAAGFEIDLARAPHLARVLERIRHAVGHRTSDVKKYWHRTRPFVGTNLPICTSPEGLGLN
配列番号106:
MDTGPTVTDPHFKLAPGYLEPASLPVRLALLGGPPKPDSAAFARDEEARRAALALRGSAREKLAATDAELTFPAPAKSFSCALGTDINEKKTPHLYAMMQHVLTDAGGSTYAGKNAYNRTRPFVQHDEGTCRKDMEPVLRTD
配列番号107:
MEEAKPFITSQELDLTQYLPAPPADDSAQTQAELKELLQIQATRTPEQEKAAIADAQENVWRFADVMGPGFDAEKLPKTAALFERIVATEDVVDDHAKKAFNRPRPYMLDEQIHPLLKKSKS
配列番号108〜110は、クラスAの酸性ホスファターゼのアミノ酸配列である配列番号10〜12において、活性中心よりもN末端側のアミノ酸配列に相当する。配列番号108〜110で示される具体的なアミノ酸配列は以下の通りである。
配列番号108:
MDALLDGYLSEAEMPDSLLLLSPPPEHNSSLFDLDLEHAKKAVESKDKERFLQAARDADLSFPFAVKSFEPILGIEISETKTPKFYVLMRRVMTDAGLSTYAAKNHYKRERPFMVNNQKTCTPDQENILYKV
配列番号109:
MDSAPSLEKDKLAAAAPKGYLSEEATPNLVAILPPPPAGHSAAEAADRAVYNAARAFQGSPRWALATDDVADGGAALLQDYACVLGQRIDQASVPDLMRLLDRARIDIARATRVAKRRYRRLRPFVGNDLPICVARTAELADS
配列番号110:
MDSSLFGYTAQAQQFTLPDGRAFLPPPPQAEEPAQQADLRAFEKTRGLKDKARWKLAQNDANLNPSHVIKDFSCAAGFNLDPEKLPAMVNLLTSLAQPVEQDVSNEKDFWKRRRPFVGTNKDICTAHSDGLDNS
配列番号33〜39、111及び112は、配列番号3〜9、104及び105において前記配列(1)で表わされる活性中心よりもC末端側のアミノ酸配列に相当する。配列番号33〜39、111及び112で示される具体的なアミノ酸配列は以下の通りである。
配列番号33:
LLGWSTALVLAELLPDRSTEILQRGRVFGESRIVCGVHWASDVLEGYMTGAGDIAAMHGNPAFRADLDAARTELEGLRHEAPKPNPQACTIEHDAAAHSPL
配列番号34:
AIGWTWGLILSEIAPAHRDALLARGRAFGDSRLVCNVHWQSDVIQGRMVGAAAVAALHGNPAFEKDLAAARREIEKAQAKQPTAAAAAACNAEREALKTVLPGVM
配列番号35:
ALGWAWGLVLAELAPDRADAILRRGLAYGESRAVCGVHYPSDVEAGRIVGATIVTRLKADPAFQADFAKAKEEFDAARAAATEATAACPASLARQ
配列番号36:
ANGWLEAQILAEVMPDKATAILARGRAYGESRAICGSHSKSAVEAGYMAGASVFAVLQTSPAYQRDLAAARQEAARLRTTAPRPDAQSCVAEAEALRVRP
配列番号37:
TIGWSVALILAELIPDHAANILQRGQIFGTSRIVCGAHWFSDVQAGYIMASGEIAALHGDADFRRDMELARKELEKARTSAHTPDDLLCKIEQSAR
配列番号38:
TYGTLMGIILANMVPEKAQALAARAEQYRFNREIGGVHYPSDVAAGRITGTVIAAFLFNSPEFQQQYAAARAEVRSALGLAQ
配列番号39:
TAGYGMALLLAHLMPEHASAILQRGRVFGESRIVCGAHWKSDVQAGYLNASSLMDVLLARPELQDDLAAARQELLAMQGTAPVPDAGTCAVEHDAAIHSLLSE
配列番号111:
SAAGWAWGLVLAEVQPARATELLARGLAFGQSRVVCNAHWQSDVDAGRIMGAATVAVLHDNPAFLADLAAAKREVQDATNANLKPTEDCAAERVALSLSMH
配列番号112:
STIGYLMATVLGEMVPEKRNALFARASGYAENRLVAGFHYRSDTVMSRTGAALIAQKMEEQPDFKTEFDAAKAELRAQSGLK
配列番号113〜115は、クラスAの酸性ホスファターゼのアミノ酸配列である配列番号10〜12において、活性中心よりもC末端側のアミノ酸配列に相当する。配列番号113〜115で示される具体的なアミノ酸配列は以下の通りである。
配列番号113:
AVGWAWSLVLIKLFPDKQEEILKRGHDFGESRVICNAHWYSDVEMGRVMGRAAVECLCVNSAFLSDLEEVKKEMAGA
配列番号114:
SQGWAYGLIMANLMPEKATQFLVRSRLYGESRVVCGVHWLSDIEAARTGASALVAVLLADPGFRTDLERARTDLKRALSGEGAKPDPALCAREDAAARQPLL
配列番号115:
TWGWLTASILASALPDRATQIMQRGRIFGESRIVCGVHWKSDVQAGYMNGSAIFAALQEQPTFTEQMAKVRQELLALRDAKTAPDAKTCAVEQQAAQD
本発明においては、グリセロールのリン酸化反応を触媒する活性を損なわない限り、態様(α)のリン酸化酵素として、前記配列(1)と、上記N末端の配列(配列番号26〜32及び106〜110)から選択される1種と、C末端の配列(配列番号33〜39及び111〜115)から選択される1種との組み合わせを含むものであってもよい。
また、(IV)又は(VI)に記載されるポリペプチドにおいて、置換、欠失、挿入又は付加されるアミノ酸の数、置換するアミノ酸の種類等については、前記(II)に記載されるポリペプチドの場合と同様である。
本発明の方法において使用される態様(α)のリン酸化酵素としてより具体的には、下記(VII)又は(VIII)のポリペプチドからなるリン酸化酵素が挙げられる。
(VII)配列番号3〜9、13、104、105、116、117、及び119〜121のいずれかに示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(VIII)配列番号3〜9、13、104、105、116、117、及び119〜121のいずれかに示されるアミノ酸配列において、前記配列(1)で表わされるアミノ酸配列からなる活性中心以外の領域の1又は複数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入又は付加されたアミノ酸配列からなり、且つ(VII)に示される、対応するポリペプチドと比べて同等以上のグリセロールのリン酸化反応を触媒する活性を有するポリペプチド。
ここで、(VIII)に記載されるポリペプチドにおいて、置換、欠失、挿入又は付加されるアミノ酸の数、置換するアミノ酸の種類等については、前記(II)に記載されるポリペプチドの場合と同様である。また、これらのポリペプチドを構成するアミノ酸配列中に、配列番号2で示されるアミノ酸配列に相当する配列が含まれる場合、当該配列以外の箇所に変異を導入することが好ましい。
本発明のグリセロールのリン酸化物の製造方法においては、これらのリン酸化酵素から1種を選択して単独で使用してもよく、2種以上を組合せて用いてもよい。
(1-2)リン酸化酵素の態様(β)
本発明の方法において使用されるリン酸化酵素の態様(β)として、下記(i)又は(ii)に記載されるポリペプチドからなるものが挙げられる。
(i)配列番号2で示されるアミノ酸配列を有し、グリセロールのリン酸化反応を触媒する活性を有するポリペプチド、
(ii)配列番号2で示されるアミノ酸配列において、1若しくは複数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入又は付加されたアミノ酸配列を有し、且つ前記(i)に示されるポリペプチドと比べて同等以上のグリセロールのリン酸化反応を触媒する活性を有するポリペプチド。
上記(ii)に記載されるポリペプチドにおいて、置換、欠失、挿入又は付加されるアミノ酸の数、置換するアミノ酸の種類等については、前記(II)に記載されるポリペプチドの場合と同様である。
配列番号2で示されるアミノ酸配列、及び配列番号2で示されるアミノ酸配列において、1若しくは複数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入又は付加されたアミノ酸配列は、リン酸化酵素のアミノ酸配列における活性中心よりもN末端側に配置される部分配列である。態様(β)のリン酸化酵素のアミノ酸配列において、配列番号2で示されるアミノ酸配列は、活性中心よりもN末端側に配置されていればよいが、具体的には、配列番号2で示されるアミノ酸配列における第1位のアミノ酸残基が、リン酸化酵素のアミノ酸配列のN末端側から数えて第5位〜40位、好ましくは第8位〜35位、更に好ましくは第10位〜30位に配置されている態様が挙げられる。
また、上記(i)及び(ii)のポリペプチドにおいて、活性中心のアミノ酸配列については、クラスAの酸性ホスファターゼの活性中心として機能し得るものであることを限度として特に制限されないが、好ましくは、前記配列(1)で示されるアミノ酸配列が挙げられる。配列(1)で示されるアミノ酸配列については、上記「(1-1)リン酸化酵素の態様(α)」に記載される通りである。
上記(i)及び(ii)のポリペプチドにおいて、活性中心として前記配列(1)で示されるアミノ酸配列が含まれる場合、配列番号2で示されるアミノ酸配列と配列(1)で表わされる活性中心をコードするアミノ酸配列部位が直接連結されていてもよいが、グリセロールのリン酸化反応を触媒する活性を損なわない限り、例えば70〜130個、好ましくは80〜110個、更に好ましくは90〜110個のアミノ酸を介して連結されていてもよい。また、上記(i)及び(ii)のポリペプチドは、グリセロールのリン酸化反応を触媒する活性を損なわない限り、配列番号2で示されるアミノ酸配列のN末端側に例えば5〜50個、好ましくは8〜40個、更に好ましくは10〜30個の任意のアミノ酸配列を有するものであってもよい。
更に、上記(i)及び(ii)のポリペプチドは、グリセロールのリン酸化反応を触媒する活性を損なわない限り、活性中心をコードするアミノ酸配列部位のC末端側に、例えば60〜120個、好ましくは70〜110個、更に好ましくは80〜100個の任意のアミノ酸配列を有するものであってもよい。上記(i)及び(ii)のポリペプチドにおいて、活性中心よりもC末端側のアミノ酸配列は、クラスAの酸性ホスファターゼにおける活性中心よりもC末端側のアミノ酸配列と同様であればよい。
また、態様(β)のリン酸化酵素は、更に下記(iii)〜(vi)に示すアミノ酸配列の少なくとも1種を含むものであってもよい。
(iii)配列番号2で表わされるアミノ酸配列のN末端側に、配列番号40で示すアミノ酸配列を有し、グリセロールのリン酸化反応を触媒する活性を有するポリペプチド、
(iv)配列番号2で表わされるアミノ酸配列のN末端側に、配列番号40で示されるアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入又は付加されたアミノ酸配列を有し、且つ(iii)に示されるポリペプチドと比べて同等以上のグリセロールのリン酸化反応を触媒する活性を有するポリペプチド、
(v)配列番号2で表わされるアミノ酸配列のC末端側に、配列番号41で示されるアミノ酸配列を有し、グリセロールのリン酸化反応を触媒する活性を有するポリペプチド、ならびに
(vi)配列番号2で表わされるアミノ酸配列のC末端側に、配列番号41で示されるアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入又は付加されたアミノ酸配列を含み、且つ(v)に示されるポリペプチドと比べて同等以上のグリセロールのリン酸化反応を触媒する活性を有するポリペプチド。
配列番号40は、配列番号9において配列番号2に対応するアミノ酸配列のN末端側のアミノ酸配列に相当する。配列番号41は、配列番号9において配列番号2に対応するアミノ酸配列のC末端側のアミノ酸配列に相当する。これらの具体的なアミノ酸配列は以下の通りである。
配列番号40:
MDTSATAQGGILPDSAA
配列番号41:
SDDDRVFHVTRALKDTPRWKLAQSDADLDPAHVVRDFSCAAGFEIDLARAPHLARVLERIRHAVGHRTSDVKKYWHRTRPFVGTNLPICTSPEGLGLNASYPSGHTTAGYGMALLLAHLMPEHASAILQRGRVFGESRIVCGAHWKSDVQAGYLNASSLMDVLLARPELQDDLAAARQELLAMQGTAPVPDAGTCAVEHDAAIHSLLSE
前記(iv)又は(vi)に記載されるポリペプチドにおいて、置換、欠失、挿入又は付加されるアミノ酸の数、置換するアミノ酸の種類等については、前記(II)に記載されるポリペプチドの場合と同様である。
本発明の方法において使用される態様(β)のリン酸化酵素としてより具体的には、下記(vii)又は(viii)のポリペプチドからなるリン酸化酵素が挙げられる。
(vii)配列番号9、15〜17、19、22及び25のいずれかに示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(viii)配列番号9、15〜17、19、22及び25のいずれかに示されるアミノ酸配列において、配列番号2で示されるアミノ酸配列以外の領域の1又は複数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入又は付加されたアミノ酸配列からなり、且つ前記(vii)のポリペプチドと比べて同等以上のグリセロールのリン酸化反応を触媒する活性を有するポリペプチド。
前記(iv)又は(vi)に記載されるポリペプチドにおいて、置換、欠失、挿入又は付加されるアミノ酸の数、置換するアミノ酸の種類等については、前記(II)に記載されるポリペプチドの場合と同様である。
本発明のグリセロールのリン酸化物の製造方法においては、1種のリン酸化酵素から1種を単独で使用してもよく、2種以上のリン酸化酵素を組合せて用いてもよい。また、前記態様(α)のリン酸化酵素と、態様(β)のリン酸化酵素とを組み合わせて使用してもよい。
2.リン酸化酵素の調製
上述のようなグリセロールのリン酸化反応において触媒活性を有する酵素は、例えば、これらの酵素を有している微生物の培養物から得ることができる。或いは、これらの酵素を有している微生物から目的のリン酸化酵素をコードする塩基配列を取得し、組換えタンパク質として従来公知の方法に従って調製することができる。
配列番号3〜9、104及び105に示されるアミノ酸配列からなるリン酸化酵素は、それぞれ以下の特定の微生物から取得することができる。
即ち、配列番号3で示されるアミノ酸配列からなるリン酸化酵素は、Gluconacetobacter hanseniiから得ることができる。更に、配列番号4で示されるアミノ酸配列からなるリン酸化酵素はXanthomonas oryzae、配列番号5で示されるアミノ酸配列からなるリン酸化酵素はBrevundimonas diminuta、配列番号6で示されるアミノ酸配列からなるリン酸化酵素は、Sphingomonas trueperi、配列番号7で示されるアミノ酸配列からなるリン酸化酵素はZymomonas mobilis、配列番号8で示されるアミノ酸配列からなるリン酸化酵素はDesulfovibrio magneticus、配列番号9で示されるアミノ酸配列からなるリン酸化酵素はGluconobacter oxydansより得ることができる。配列番号104で示されるアミノ酸配列からなるリン酸化酵素はSerratia plymuticaより得ることができる。配列番号105で示されるアミノ酸配列からなるリン酸化酵素はRahnella aquatilisより得ることができる。
配列番号3〜9、104及び105に示されるアミノ酸配列からなるリン酸化酵素は、対応する各微生物を培養して菌体を処理することにより得ることができ、より具体的には以下の方法が例示される。
配列番号3に示されるアミノ酸配列からなるリン酸化酵素をGluconacetobacter hanseniiの培養菌体から得る場合、その培養条件は、当該微生物についての公知の培養方法から適宜設定することができるが、例えば、1%ポリペプトン、0.2%乾燥酵母エキス、0.1%硫酸マグネシウムを含む培地中、培養温度30℃の好気的条件が挙げられる。
配列番号4に示されるアミノ酸配列からなるリン酸化酵素をXanthomonas oryzaeの培養菌体から得る場合、その培養条件は、当該微生物についての公知の培養方法から適宜設定することができるが、例えば、1%ポリペプトン、0.2%乾燥酵母エキス、0.1%硫酸マグネシウムを含む培地中、培養温度30℃の好気的条件が挙げられる。
配列番号5に示されるアミノ酸配列からなるリン酸化酵素をBrevundimonas diminutaの培養菌体から得る場合、その培養条件は、当該微生物についての公知の培養方法から適宜設定することができるが、例えば、1%ポリペプトン、0.2%乾燥酵母エキス、0.1%硫酸マグネシウム培地中、培養温度30℃の好気的条件が挙げられる。
配列番号6に示されるアミノ酸配列からなるリン酸化酵素をSphingomonas trueperiの培養菌体から得る場合、その培養条件は、当該微生物についての公知の培養方法から適宜設定することができるが、例えば、5%ペプトン、3%牛肉エキスを含む培地中、培養温度26℃の好気的条件が挙げられる。
配列番号7に示されるアミノ酸配列からなるリン酸化酵素をZymomonas mobilisの培養菌体から得る場合、その培養条件は、当該微生物についての公知の培養方法から適宜設定することができるが、例えば、0.5%乾燥酵母エキス、2%グルコースを含む培地中、培養温度30℃の好気的条件が挙げられる。
配列番号8に示されるアミノ酸配列からなるリン酸化酵素をDesulfovibrio magneticusの培養菌体から得る場合、その培養条件は、当該微生物についての公知の培養方法から適宜設定することができるが、例えば、0.02%リン酸2水素カリウム、60ppm塩化アンモニウム、50ppmシステイン、0.058%フマル酸ナトリウム、0.044%ピルビン酸ナトリウム、0.2%鉄−キナ酸溶液、0.4%Wolfe’sビタミン溶液、0.2%Wolfe’sミネラル溶液を含む培地中、培養温度30℃の嫌気的条件が挙げられる。
配列番号9に示されるアミノ酸配列からなるリン酸化酵素をGluconobacter oxydansの培養菌体から得る場合、その培養条件は、当該微生物についての公知の培養方法から適宜設定することができるが、例えば、0.5%ポリペプトン、0.5%乾燥酵母エキス、0.5%グルコース、0.1%硫酸マグネシウム培地中、培養温度30℃の好気的条件が挙げられる。
配列番号104に示されるアミノ酸配列からなるリン酸化酵素をSerratia plymuticaの培養菌体から得る場合、その培養条件は、当該微生物についての公知の培養方法から適宜設定することができるが、例えば、1%ポリペプトン、0.2%乾燥酵母エキス、0.1%硫酸マグネシウムを含む培地中、培養温度37℃の好気的条件が挙げられる。
配列番号105に示されるアミノ酸配列からなるリン酸化酵素をRahnella aquatilisの培養菌体から得る場合、その培養条件は、当該微生物についての公知の培養方法から適宜設定することができるが、例えば、1%ポリペプトン、0.2%乾燥酵母エキス、0.1%硫酸マグネシウムを含む培地中、培養温度30℃の好気的条件が挙げられる。
培養終了後、培養物よりリン酸化酵素を採取する方法は、通常の酵素採取方法を採用することができる。酵素採取方法としては、例えば、培養した菌体を超音波破砕して菌体抽出液を調製し、硫安分画、イオン交換、クロマトフォーカシング、ゲル濾過等の公知の酵素精製に供して採取する方法が挙げられる。また、菌体外に分泌された酵素を含む培養液を酵素溶液として用いても良い。
また、前記配列番号3〜9、104及び105で示されるアミノ酸配列からなるリン酸化酵素を組換えタンパク質として調製し、本発明の方法において使用することもできる。組換えタンパク質としてリン酸化酵素を得る場合、公知の遺伝子工学の手法に基づいて調製を行うことができる。通常は、リン酸化酵素のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド(DNA)をベクターに挿入し、宿主細胞に導入して形質転換体を得て、これを培養することによりリン酸化酵素を組換えタンパク質として産生させることができる。配列番号3〜9、104及び105で示されるミノ酸配列からなるリン酸化酵素をコードするポリヌクレオチドは、それぞれ配列番号94〜100、122及び123で示される。なお、各リン酸化酵素の活性を損なわない範囲で後述するベクターに由来する配列が含まれていてもよい。また、リン酸化酵素をコードするポリヌクレオチドは、コドン利用頻度を使用する宿主のコドン利用頻度に最適化してもよい。
ベクターとしては、適切な宿主細胞内で該DNAがコードする遺伝子を発現できるものであればいずれでもよい。このようなベクターとしては、例えば、プラスミドベクター、ファージベクター、コスミドベクター、シャトルベクター等が挙げられる。
本発明においてベクターは、前記本発明の酵素変異体をコードするポリヌクレオチド(DNA)と作動可能に連結された、プロモーター(T7プロモーター、lacUV5プロモーター、trpプロモーター、trcプロモーター、tacプロモーター、lppプロモーター、tufBプロモーター、recAプロモーター、pLプロモーター等の機能的プロモーター;転写要素(例えばエンハンサー、CCAATボックス、TATAボックス、SPI部位等);シグナル配列(具体的には、核移行シグナル、小胞体移行シグナル、PTS1(Peroxisomal targeting signal 1)、PTS2等)などの制御因子を含んでいてもよい。ここで、作動可能に連結とは、遺伝子の発現を調節するプロモーター、エンハンサー等の種々の調節エレメントと遺伝子が、宿主細胞中で作動し得る状態で連結されることをいう。
ベクターとしては当該分野において一般的に使用されるものから適宜選択して用いることができるが、より具体的には、pET22b(+)、pET39b(+)等が例示される。
宿主細胞としては、前述のリン酸化酵素をコードするポリヌクレオチド(DNA)を含む発現ベクターにより形質転換され、当該ポリヌクレオチドによりコードされたリン酸化酵素を発現することができる細胞であれば、特に制限はされない。
宿主細胞としては、より具体的には、エシェリヒア(Escherichia)属、バチルス(Bacillus)属、シュードモナス(Pseudomonas)属、セラチア(Serratia)属、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)属、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属、ストレプトコッカス(Streptococcus)属、ラクトバチルス(Lactobacillus)属等の細菌;ロドコッカス(Rhodococcus)属、ストレプトマイセス(Streptomyces)属等の放線菌;サッカロマイセス(Saccharomyces)属、クライベロマイセス(Kluyveromyces)属、シゾサッカロマイセス(Schizosaccharomyces)属、チゴサッカロマイセス(Zygosaccharomyces)属、ヤロウイア(Yarrowia)属、トリコスポロン(Trichosporon)属、ロドスポリジウム(Rhodosporidium)属、ピキア(Pichia)属、キャンディダ(Candida)属等の酵母;ノイロスポラ(Neurospora)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、セファロスポリウム(Cephalosporium)属、トリコデルマ(Trichoderma)属等のカビなどの微生物が例示される。これらのうち、導入および発現効率の観点から細菌が好ましく、エシェリヒア属の細菌である大腸菌(Escherichia coli)の細胞が好ましい。
形質転換の方法は公知であり、宿主細胞の種類等により適宜選択することができ、具体的には、コンピテントセル法、エレクトロポレーション法、ヒートショック法等が例示される。
形質転換体の培養は、宿主細胞として用いた細胞の種類に応じて従来公知の培養条件に基づいて行うことができる。例えば、大腸菌細胞を宿主細胞として用いた場合の培養条件としては、振盪培養又は通気培養等の好気的条件のもと、培養温度20〜40℃、培養期間6〜24時間、培養液のpH5〜8を挙げることができる。
また、使用する培養培地についても、宿主細胞が生育可能且つ本発明の酵素変異体を産生可能あれば特に限定されず、当該分野において通常採用される、炭素源、窒素源、無機物、アミノ酸、核酸、ビタミン類等を必要量含有する培地を使用することができる。また、培養中必要に応じて、アンピシリンやテトラサイクリン等の抗生物質を培地に添加してもよい。
また、培養終了後に目的のリン酸化酵素を回収する方法は、前述の培養菌体からリン酸化酵素を回収する手法に従えばよい。
更に、アミノ酸配列に、変異(置換、欠失、挿入、付加)を導入する場合は、従来公知の方法に従って行うことができる。アミノ酸変異の導入方法としては、例えば部位特異的変異導入法が挙げられ、Inverse PCRに基づく手法やQuikChange II Kit(ストラタジーン社製)の市販キットを利用することにより実施され得る。これらの手法により配列番号94〜100、122及び123で示される塩基配列に基づいて所望の変異を有するリン酸化酵素をコードするポリヌクレオチドを得ることができる。そして、得られたポリヌクレオチドを利用し、上記と同様の公知の遺伝子工学の手法に従って組換えタンパク質としてリン酸化酵素の変異体を調製することができる。
このような変異を有するポリペプチドからなるリン酸化酵素は、変異導入前の対応する各ポリペプチドに対するアミノ酸の配列同一性が20%以上、好ましくは30%以上、更に好ましくは40%以上であり、且つ変異導入前の対応するポリペプチドからなるリン酸化酵素と同等又はそれ以上のグリセロールのリン酸化反応を触媒することが可能であるものが挙げられる。
ポリペプチドの配列同一性については、対比される2つのポリペプチドを最適に整列させ、アミノ酸が両方の配列で一致した位置の数を比較アミノ酸総数で除し、この結果に100を乗じた数値で表わされる。具体的には、ポリペプチドの配列同一性は、「GENETYX Ver.10」(ゼネティックス社)のMaximum matchingプログラムを用いることで決定することができる。
3.グリセロールのリン酸化
本発明のグリセロールをリン酸化する方法においては、グリセロール、リン酸基供与体及び前記リン酸化酵素を溶媒に添加して反応液組成物を調製し、リン酸化反応を行うことができる。あるいは、前記リン酸化酵素を産生し得る前述の微生物の培養物又は前記形質転換体の培養物を、リン酸基供与体の存在下でグリセロールに作用させることによりグリセロールのリン酸化を行ってもよい。
本発明の方法において、培養物とは、菌体を含む培養液、培養菌体、又はその処理物を意味する。ここでその処理物とは、例えば、無細胞抽出液、凍結乾燥菌体、アセトン乾燥菌体、またはそれら菌体の磨砕物等を意味する。さらに、これらの培養物は、固定化酵素あるいは固定化菌体として用いることもできる。なお、固定化は、当業者に周知の方法(例えば共有結合法、物理的吸着法、包括法等)で行うことができる。
リン酸基供与体としては、本発明の酵素変異体に対するリン酸基の供給源として機能し、グリセロールのリン酸化物が生成される限り特に限定されないが、例えば、式(1):Hn+2n3n+1(式中、n≧2)で表わされるポリリン酸が挙げられる。ポリリン酸の重合度は特に限定されないが、好ましくは2〜10000個、更に好ましくは2〜1000個の前記構成単位が重合しているものが挙げられる。ポリリン酸として具体的には、ジリン酸(n=2:ピロリン酸)、トリリン酸(n=3)、テトラリン酸(n=4)等が例示される。また、前記式(1)においてn=5以上のリン酸が重合したものもリン酸基供与体として好適に使用することができる。これらの重合度の異なるポリリン酸を2種以上組み合せた混合物をリン酸基供与体として使用してもよい。
更に、本発明で使用されるリン酸基供与体として、前記ポリリン酸のエステルや、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、カルシウム等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩等のポリリン酸塩を使用することもできる。ポリリン酸のエステルとして具体的には、アデノシン二リン酸(ADP)、アデノシン三リン酸(ATP)等が例示される。また、ポリリン酸塩として具体的には、ピロリン酸ナトリウム(Na427)、トリポリリン酸ナトリウム(Na5310)、トリポリリン酸カリウム(K5310)、テトラポリリン酸ナトリウム(Na6413)、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ピロリン酸アンモニウム塩、トリポリリン酸アンモニウム塩等が例示される。また、リン酸基供与体として前記ポリリン酸の他に、パラニトロフェニルホスフェート、アセチルリン酸等が挙げられる。
本発明においてリン酸基供与体として、好ましくはジリン酸、トリリン酸、テトラリン酸等のポリリン酸;アデノシン二リン酸(ADP)、アデノシン三リン酸(ATP)等のポリリン酸のエステル;ピロリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、トリポリリン酸カリウム、テトラポリリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム等のポリリン酸のアルカリ金属塩;パラニトロフェニルホスフェート、アセチルリン酸が挙げられ、より好ましくはポリリン酸、ポリリン酸のエステル、ポリリン酸のアルカリ金属塩が挙げられ、更に好ましくはポリリン酸、ポリリン酸のアルカリ金属塩が挙げられ、特に安価に入手可能であるという観点より好ましくはポリリン酸が挙げられる。これらのリン酸基供与体を1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合せてもよい。
反応に使用されるリン酸化酵素の濃度としては、反応液組成物中、0.0001〜5重量%、好ましくは0.001〜1重量%、更に好ましくは0.001〜0.5重量%が挙げられる。また、リン酸基供与体の濃度としては、0.5〜20重量%、好ましくは1〜15重量%、更に好ましくは2〜10重量%が挙げられる。また、グリセロールの濃度としては、0.1〜80重量%、好ましくは1〜60重量%、更に好ましくは5〜50重量%が挙げられる。
リン酸化酵素(ポリペプチド)1重量部あたりのリン酸基供与体の添加割合としては、100〜30000重量部、好ましくは250〜20000重量部、更に好ましくは500〜15000重量部が挙げられる。また、リン酸化酵素(ポリペプチド)1重量部あたりのグリセロールの添加割合としては、100〜100000重量部、好ましくは500〜70000重量部、更に好ましくは1000〜50000重量部が挙げられる。
リン酸化反応を実施する際の反応温度としては、10〜60℃、好ましくは20〜50℃、更に好ましくは30〜40℃が挙げられる。
リン酸化反応を実施する際の反応溶液の至適pHとしては、pH2〜7、好ましくはpH4〜6、より好ましくはpH3〜5、更に好ましくはpH4〜5が挙げられる。pHの調製は、塩酸、クエン酸、グルコン酸、コハク酸、酢酸、酒石酸、ソルビン酸、乳酸、マレイン酸、硫酸、リン酸、リンゴ酸、アルギニン、アンモニア水、ジイソプロパノールアミン、ジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、モノエタノールアミン、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、及びこれらの塩等の緩衝剤従来公知の緩衝剤を用いて行うことができる。
リン酸化反応を実施する際の反応時間は、グリセロールのリン酸化物が生成され得る限り特に限定されないが、例えば、1〜50時間、好ましくは5〜40時間、更に好ましくは10〜30時間が挙げられる。
反応溶媒としては、通常、イオン交換水、蒸留水、超純水等の水性溶媒を使用することができる。また、水性溶媒中には、本発明の効果を損なわない範囲でメタノール、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルスルホキシド(DMSO)等の有機溶媒;ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルエーテル、ポリエチレングリコールp−オクチルフェニルエーテル(商品名Triton X−100)、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(商品名Tween 20)等の非イオン界面活性剤が含まれていてもよい。
有機溶媒の添加量としては、通常0.1〜50重量%、好ましくは1〜30重量%、更に好ましくは5〜20重量%が例示される。また、非イオン界面活性剤の添加量としては、通常0.0001〜0.1重量%、好ましくは0.0005〜0.05重量%、更に好ましくは0.001〜0.01重量%が例示される。
上記反応により得られるグリセロールのリン酸化物を採取する方法としては、例えば、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィー、吸着カラムクロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー等のカラムクロマトグラフィーによる方法;エタノール、アセトニトリル等の有機溶剤を加えて析出させる方法等を挙げることができる。
また、リン酸化酵素(ポリペプチド)1重量部あたりグリセロール5000〜50000重量部、pH4〜6の条件下でグリセロールのリン酸化反応を行う場合、例えば、配列番号3〜9、104及び105に示されるアミノ酸配列からなるリン酸化酵素又はそれらの変異体が挙げられ、好ましくは配列番号4〜8に示されるアミノ酸配列からなるリン酸化酵素又はそれらの変異体が挙げられ、更に好ましくは配列番号4に示されるアミノ酸配列からなるリン酸化酵素又はその変異体が挙げられる。
本発明のグリセロールのリン酸化物の製造方法において、リン酸化反応の条件を調整し、好適なリン酸化酵素を選択することによって、更に高いリン酸化効率を実現することができる。例えば、リン酸化酵素(ポリペプチド)1重量部あたりグリセロール5000〜50000重量部、pH3〜5の条件下でグリセロールのリン酸化反応を行う場合、例えば、配列番号3、4、8又は9に示されるアミノ酸配列からなるリン酸化酵素、又はその変異体が挙げられ、更に好ましくは配列番号4に示されるアミノ酸配列からなるリン酸化酵素又はその変異体が挙げられる。
更に、リン酸化酵素(ポリペプチド)1重量部あたりグリセロール2000〜10000重量部、pH4〜5の条件下でグリセロールのリン酸化反応を行う場合、例えば、配列番号3、5又は9に示されるアミノ酸配列からなるリン酸化酵素又はその変異体が挙げられ、更に好ましくは配列番号3に示されるアミノ酸配列からなるリン酸化酵素又はその変異体が挙げられる。
本発明の方法においては、グリセロールがリン酸化され得る限り、リン酸基が付与される水酸基の位置は特に限定されないが、得られるリン酸化されたグリセロールの具体例としてグリセロール−3−リン酸(グリセロリン酸とも呼ばれる)が挙げられる。グリセロリン酸にはα体とβ体が存在し、本発明の方法によって得られるグリセロリン酸としてはいずれもが包含され得るが、好ましくはα体のグリセロリン酸が挙げられる。なお、後述する実施例においてはα体のグリセロール−3−リン酸(α−グリセロリン酸とも呼ばれる)が主に生成されることが確認されている。
以下に試験例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されることを意図するものではない。
[リン酸化酵素の調製]
リン酸化酵素遺伝子の取得
下表1に示される各菌株よりゲノムDNAを調製し、各菌株に対応するプライマーを用いてリン酸化酵素遺伝子をPCR法により増幅した。
Figure 0006534612
形質転換体の調製
配列番号3〜7、9〜12、104及び105に関しては、得られたPCR産物を制限酵素(NcoI及びHindIII)で消化し、NcoI及びHindIIIで制限酵素処理したpET22b(+)ベクター(Novagen)とライゲーションによりこれらを連結して、リン酸化酵素発現用ベクターを得た。配列番号8に関しては、得られたPCR産物を制限酵素(BamHI及びHindIII)で消化し、BamHI及びHindIIIで制限酵素処理したpET22b(+)ベクター(Novagen)とライゲーションによりこれらを連結して、リン酸化酵素発現用ベクターを得た。なお、該ベクターには、リン酸化酵素をコードする領域の他に、更にT7プロモーター、産生されるタンパク質をペリプラズムに移行するためのpelBシグナル、タンパク質精製のためのHisタグ遺伝子、及び薬剤選択のためのアンピシリン耐性遺伝子が保持されている。上記方法により得られたベクターをヒートショック法により大腸菌BL21(DE3)株(Novagen)に形質転換した。
リン酸化酵素の調製
リン酸化酵素発現用ベクターを有する大腸菌BL21(DE3)株の形質転換体の培養は、0.2重量%グルコース、0.5重量%カザミノ酸、0.1mg/mlアンピシリンを含むLB培地(ナカライテスク(株)製:(組成)1重量%トリプトン;0.5重量%乾燥酵母エキス;0.5重量%塩化ナトリウム)中で、培養温度27℃にてインキュベートした。培養液の600nmにおける光学密度が0.5になったら、0.1mMの濃度となるようにイソプロピル−β−チオガラクトピラノシドを添加し、更に培養温度27℃で16〜24時間、培養を行った。
培養後、湿菌体重量15gを150mMの塩化ナトリウムを含む20mM Tris−HCl緩衝液(pH8.0)に懸濁し、超音波ホモジナイザー(TOMY UD201)を用いて細胞抽出液を得た。この抽出液を20,000×gにて20分間遠心分離操作を行い、上清画分を回収した。60%飽和度となるよう硫酸アンモニウムを加え、20,000×gにて20分間遠心分離操作を行い、沈殿を回収した。この硫安分画後の沈殿を20mM Tris−HCl緩衝液(pH7.5)に懸濁し、50mM塩化ナトリウムを含む20mM Tris−HCl緩衝液(pH7.5)にて透析を行った。透析後、His−Trap HPカラムを用いたアフィニティー精製を行った。リン酸化酵素を含むフラクションを回収後、20mM Tris−HCl緩衝液(pH7.5)にて透析し、リン酸化酵素を取得した。アフィニティー精製の条件は次の通りである。
リン酸化酵素の精製条件
カラム:His−Trap HP(GE healthcare製)
平衡化緩衝液:20mM Tris−HCl(pH7.5)、50mM塩化ナトリウム
溶出緩衝液:20mM Tris−HCl(pH7.5)、50mM塩化ナトリウム、1M イミダゾール
(溶出緩衝液を0〜50%のグラジエントで溶出)
流速:5.0ml/min
精製機器:AKTA prime plus(GE healthcare)
得られた各リン酸化酵素の活性中心のアミノ酸配列及びその位置について表2に示す。
Figure 0006534612
[試験例1]
上述のようにして得られた各微生物由来のリン酸化酵素(配列番号3〜12、104及び105により示される)を用いて、グリセロールのリン酸化を行った。リン酸化反応の条件及び結果を以下に示す。
グリセロールのリン酸化
超純水にグリセロール(4M又は0.5M)、リン酸基供与体としてポリリン酸(4重量%)(商品名:ポリリン酸、ナカライテスク社製)、及びTritonX−100(0.1重量%)を添加して反応混合溶液を調製した。この時、グリセロール4Mを使用した場合はKOHで反応液をpH4.0又は5.0に調整し、グリセロール0.5Mを使用した場合はKOHで反応液をpH4.5に調整した。更に、反応混合溶液に配列番号3〜12、104及び105で示されるアミノ酸配列からなるリン酸化酵素を終濃度20μg/mlとなるよう添加した。この反応液を37℃の恒温エアーインキュベーター内で一晩反応させた。その後、反応液0.1mlを採取し、50mM PIPES緩衝液(pH7.0)にて50〜500倍に希釈した。このサンプル中におけるグリセロール−3−リン酸濃度を下記条件のグリセロール−3−リン酸デヒドロゲナーゼを用いた酵素法により検出した。
グリセロール−3−リン酸の検出方法
グリセロール−3−リン酸デヒドロゲナーゼ10U/ml、フェリシアンカリウム2mMとなるよう50mM PIPES緩衝液(pH7.0)と混合した。この測定溶液0.9mlにリン酸化反応後の溶液を0.1ml混合し、37℃で3分間、420nmにおける吸光度の減少速度を測定した。既知濃度のグリセロール−3−リン酸を用いた際の吸光度の減少速度から標準曲線を作製し、産生されたグリセロール−3−リン酸の濃度を算出した。結果を図1に示す。図1中、(i)はグリセロール4M、pH5.0で反応させた場合、(ii)はグリセロール4M、pH4.0で反応させた場合、(iii)はグリセロール0.5M、pH4.5で反応させた場合の結果を示す。なお、コントロールとして50mM PIPES緩衝液(pH7.0)の吸光度を測定した(図中、「緩衝液」と示される)。
結果
図1(i)より、グリセロール4M、pH5.0で反応させた場合には、配列番号3〜9、104及び105で示されるアミノ酸配列からなるリン酸化酵素を使用してグリセロールのリン酸化を行った場合、他のリン酸化酵素と比較して、リン酸化効率が顕著に高かったことが示された。また、配列番号4に示されるアミノ酸配列からなるリン酸化酵素は、これらの中でも特に高いグリセロール−3−リン酸を生成し、前記条件下でグリセロールに対して高いリン酸化作用を有していることが示された。この結果から、活性中心として前記配列(1)に示すアミノ酸配列を有しているクラスAの産生ホスファターゼは、グリセロールのリン酸化酵素として利用できることが明らかとなった。
図1(ii)より、グリセロール4M、pH4.0で反応させた場合には、配列番号3、4、8又は9に示されるアミノ酸配列からなるリン酸化酵素を使用してグリセロールのリン酸化を行った場合、他のリン酸化酵素と比較して、リン酸化効率が顕著に高かったことが示された。また、配列番号4に示されるアミノ酸配列からなるリン酸化酵素は、これらの中でも特に高いグリセロール−3−リン酸を生成し、前記条件下でグリセロールに対して高いリン酸化作用を有していることが示された。
図1(iii)より、グリセロール0.5M、pH4.5で反応させた場合には、配列番号3、5又は9で示されるアミノ酸配列からなるリン酸化酵素を使用してグリセロールのリン酸化を行った場合、他のリン酸化酵素と比較して、リン酸化効率が高いことが示された。特に配列番号3で示されるアミノ酸配列からなるリン酸化酵素は、リン酸化効率が顕著に高いことが示された。
[試験例2]
リン酸基供与体の検討
リン酸基供与体の種類をかえて、各リン酸化酵素(配列番号3〜6及び8)によるグリセロールのリン酸化効率を検討した。リン酸基供与体としてピロリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、テトラポリリン酸ナトリウム、トリポリリン酸カリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、又はポリリン酸を使用した。なお、ポリリン酸としてナカライテスク社製 ポリリン酸を使用した。リン酸基供与体の濃度は0.2Mとした。但し、ポリリン酸について7.5重量%とした。リン酸化酵素(配列番号3〜6又は8で示されるリン酸化酵素:各0.02mg/ml)、基質(グリセロール)濃度1M、及びリン酸基供与体を超純水に加えて反応液を調製した。なお、反応液のpHは水酸化カリウムもしくは酢酸にてpH5.0となるように調整した。また、反応は、37℃にて24時間行った。反応後、生成されたグリセロール−3−リン酸の量を、試験例1と同様の方法に従ってグリセロール−3−リン酸デヒドロゲナーゼを用いた酵素法により測定した。結果を図2に示す。
図2に示されるように、いずれのリン酸基供与体を用いてもグリセロールのリン酸化物が得られることが示された。特に、配列番号3のリン酸化酵素の場合はリン酸基供与体としてトリポリリン酸ナトリウム、テトラポリリン酸ナトリウム、トリポリリン酸カリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、又はポリリン酸を用いることによって更に効率よくリン酸化物を生成することができた。
また、配列番号4のリン酸化酵素の場合はリン酸基供与体としてヘキサメタリン酸ナトリウム、又はポリリン酸を用いることによって更に効率よくリン酸化物を生成することができた。
配列番号5のリン酸化酵素の場合はリン酸基供与体としてトリポリリン酸ナトリウム、トリポリリン酸カリウム、又はポリリン酸を用いることによって更に効率よくリン酸化物を生成することができた。
配列番号6のリン酸化酵素の場合はリン酸基供与体としてトリポリリン酸ナトリウム、テトラポリリン酸ナトリウム、トリポリリン酸カリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、又はポリリン酸を用いることによって更に効率よくリン酸化物を生成することができた。
配列番号8のリン酸化酵素の場合はリン酸基供与体としてトリポリリン酸ナトリウム、トリポリリン酸カリウム、又はポリリン酸を用いることによって更に効率よくリン酸化物を生成することができた。
[試験例3]
リン酸化酵素の変異体によるグリセロールのリン酸化
(3-1)活性中心近傍に変異が導入された変異体−1
(変異の導入及び形質転換体の作製)
グリセロールのリン酸化活性が認められなかった配列番号11に示すアミノ酸配列からなるリン酸化酵素に変異を導入し、変異体aを作製した。作製方法を以下に示す。
変異体aは、配列番号11で示されるアミノ酸配列をコードしている塩基配列をテンプレートとして、表3に示されるプライマーの組み合わせを用い、PCR反応を行った。得られたPCR産物を、表3中、各変異体の欄に対応して記載される制限酵素で消化した。更に、PCR産物を処理したものと同一の制限酵素で処理を行ったpET22b(+)ベクター(Novagen)と前記制限酵素処理されたPCR産物をライゲーションすることによりこれらを連結して、グリセロールリン酸化酵素発現用ベクターを得た。なお、該ベクターには、各変異体aをコードする塩基配列の他、T7プロモーター、産生されるタンパク質をペリプラズムに移行するためのpelBシグナル、タンパク質精製のためのHisタグ遺伝子、及び薬剤選択のためのアンピシリン耐性遺伝子が保持されている。上記方法により得られたベクターをヒートショック法により大腸菌BL21(DE3)株(Novagen)に形質転換した。
変異体aの作製に使用したプライマーセット及び制限酵素サイト、ならびに各プライマーの塩基配列を表3及び4にそれぞれ示す。表3中、変異体の欄において、例えば変異体aの「F144G/A151T」は、配列番号11における144位のフェニルアラニン残基をグリシン残基に置換し、且つ151位のアラニン残基をトレオニン残基に置換したことを示す。
Figure 0006534612
Figure 0006534612
(形質転換体の培養)
グリセロールリン酸化酵素発現用ベクターを有する大腸菌BL21(DE3)株の形質転換体の培養は、0.2重量%グルコース、0.5重量%カザミノ酸、0.1mg/mlアンピシリンを含むLB培地(ナカライテスク(株)製:(組成)1重量%トリプトン;0.5重量%乾燥酵母エキス;0.5重量%塩化ナトリウム)中で、培養温度27℃にてインキュベートした。培養液の600nmにおける光学密度が0.5になったら、0.1mMとなるようにイソプロピル−β−チオガラクトピラノシドを添加し、更に培養温度27℃で16〜24時間、培養を行った。
(グリセロールリン酸化酵素変異体の取得)
培養後、湿菌体重量15gを150mMの塩化ナトリウムを含む20mMトリス−HCl緩衝液(pH8.0)に懸濁し、超音波ホモジナイザー(TOMY UD201)を用いて細胞抽出液を得た。この抽出液を20,000×gにて20分間遠心分離操作を行い、上清画分を回収した。60%飽和度となるよう硫酸アンモニウムを加え、20,000×gにて20分間遠心分離操作を行い、沈殿を回収した。この硫安分画後の沈殿を20mMトリス−HCl緩衝液(pH7.5)に懸濁し、50mM塩化ナトリウムを含む20mMトリス−HCl緩衝液(pH7.5)にて透析を行った。透析後、His−Trap HPカラムを用いたアフィニティー精製を行った。グリセロールリン酸化酵素を含むフラクションを回収後、20mMトリス−HCl緩衝液(pH7.5)にて透析し、グリセロールリン酸化酵素変異体を取得した。配列番号11に示すアミノ酸配列からなるリン酸化酵素と、変異体aの活性中心のアミノ酸配列を表5に示す。
Figure 0006534612
精製条件
アフィニティー精製の条件は次の通りである。
カラム:His−Trap HP(GE healthcare製)
平衡化緩衝液:20mM トリス−HCl(pH7.5)、50mM塩化ナトリウム
溶出緩衝液:20mM トリス−HCl(pH7.5)、50mM塩化ナトリウム、1M イミダゾール
(溶出緩衝液を0−50%のグラジエントで溶出)
流速:5.0ml/min
精製機器:AKTA prime plus(GE healthcare)
(グリセロールリン酸化酵素変異体aを用いたグリセロールのリン酸化)
以上のようにして得られた変異体aのリン酸化酵素を用いてグリセロールのリン酸化反応を行った。超純水にグリセロール(4M)、リン酸基供与体としてポリリン酸(7.5重量%)(商品名:ポリリン酸、ナカライテスク社製)を添加して反応混合溶液を調製した。また、KOHで反応液をpH5.0に調整した。更に、反応混合溶液に変異体aのリン酸化酵素をそれぞれ終濃度50μg/mlとなるよう添加した。この反応液を37℃の恒温エアーインキュベーター内で24時間反応させた。このサンプル中におけるグリセロール−3−リン酸濃度をグリセロール−3−リン酸デヒドロゲナーゼを用いた酵素法により検出した。グリセロールのリン酸化及びグリセロール−3−リン酸の検出は試験例1と同様に行った。結果を図3に示す。
図3に示されるように、リン酸化酵素活性が極めて低かった配列番号11のリン酸化酵素においてF144G/A151Tの変異が導入された変異体aは、顕著な酵素活性の向上が認められた。
(3-2)活性中心近傍に変異が導入された変異体−2
グリセロールのリン酸化活性が認められなかった配列番号11に示すアミノ酸配列からなるリン酸化酵素に変異を導入し、変異体b〜gを作製した。変異体b〜gの作製方法は、配列番号11で示されるアミノ酸配列をコードしている塩基配列(ワイルドタイプ)を大腸菌発現用としてコドンを最適化した塩基配列(配列番号128)をテンプレートとして用い、表6及び7に示すプライマーを使用したこと以外は、前記(3-1)と同様である。
Figure 0006534612
Figure 0006534612
配列番号11に示すアミノ酸配列からなるリン酸化酵素と、変異体b〜gの活性中心のアミノ酸配列を表8に示す。
Figure 0006534612
前記(3-1)と同条件で、形質転換体の培養、及びグリセロールリン酸化酵素変異体の取得、グリセロールのリン酸化を行った。
得られた結果を図4に示す。この結果から、変異体dには、グリセロールリン酸化活性が殆ど認められなかったが、変異体b、c及びe〜gには、優れたグリセロールのリン酸化活性が認められた。この結果からも、活性中心として前記配列(1)に示すアミノ酸配列を有しているクラスAの産生ホスファターゼは、グリセロールのリン酸化酵素として利用できることが明らかとなった。
(3-2)N末端に変異が導入された変異体
配列番号12に示されるアミノ酸配列をコードするDNAをテンプレートとして配列番号9の部分配列で置換された変異体A〜Lを作製した。作製方法は、前記(3−1)に記載される変異体a〜dと同様に行い、下表9に示されるプライマーセット及びテンプレートを用いてPCR産物を得た。更に、表9中、各変異体に対応して記載される制限酵素サイトに作用する各制限酵素を用いてPCR産物を処理し、ベクターに挿入した。変異体A〜Lの構造を図5(i)及び(ii)に示す。
N末端側に変異を導入した変異体A〜Lの作製に使用したプライマーセットの組み合わせ、制限酵素サイト及び使用したテンプレートを表9に示し、各プライマーの塩基配列を表10に示す。表9中、変異体の欄において、例えば変異体Aの「A143−E244」の記載は、配列番号12の第144〜242番に該当するアミノ酸配列を、配列番号9における第143番のアラニン残基から第244番のグルタミン酸残基に該当するアミノ酸配列で置換したことを表す。
Figure 0006534612
Figure 0006534612
(グリセロールリン酸化酵素変異体A〜Lを用いたグリセロールのリン酸化)
得られた変異体A〜Lを用いてグリセロールのリン酸化反応を行った。グリセロールのリン酸化については前記変異体a〜dの場合と同様に行い、グリセロール−3−リン酸の検出は試験例1と同様に行った。結果を図6に示す。
図5に示されるように、変異体A〜Lを用いてグリセロールのリン酸化反応を行った結果、変異体B、C及びDの場合にグリセロール−3−リン酸の生成量が増加した。従って、配列番号9のアミノ酸配列のN末端側から第1〜70番のアミノ酸配列がグリセロールのリン酸化酵素活性を担っていることが示された。また、変異体F〜Lを用いてグリセロールのリン酸化反応を行った結果、変異体F及びI、Lの場合にはリン酸化酵素活性の向上が認められた。一方、その他の変異体G、H、J及びKについては変異体F及びIと比較するとリン酸化酵素活性の向上は大きくはなかった。従って、配列番号9のアミノ酸配列において、N末端から第18位のプロリン残基から第35位のグルタミン残基がグリセロールのリン酸化酵素活性を担っていることが示された。
よって、配列番号2で示されるアミノ酸配列(PDERLVLAPPPAPGSAAQ)がグリセロールのリン酸化反応を触媒する酵素活性の発現に重要であることが示された。
配列番号1は配列(1)で表わされるアミノ酸配列である。
配列番号2はリン酸化酵素のN末端必須領域のアミノ酸配列である。
配列番号13は変異体a(F144G/A151T)のアミノ酸配列である。
配列番号14は変異体A(A143−E244)のアミノ酸配列である。
配列番号15は変異体B(M1−A143)のアミノ酸配列である。
配列番号16は変異体C(M1−P122)のアミノ酸配列である。
配列番号17は変異体D(M1−R70)のアミノ酸配列である。
配列番号18は変異体E(S126−A143)のアミノ酸配列である。
配列番号19は変異体F(P18−R70)のアミノ酸配列である。
配列番号20は変異体G(A29−R70)のアミノ酸配列である。
配列番号21は変異体H(R53−R70)のアミノ酸配列である。
配列番号22は変異体I(M1−P52)のアミノ酸配列である。
配列番号23は変異体J(M1−A25)のアミノ酸配列である。
配列番号24は変異体K(M1−A17)のアミノ酸配列である。
配列番号25は変異体L(M1−Q35)のアミノ酸配列である。
配列番号42はアミノ酸配列3で示されるリン酸化酵素に対するフォワードプライマーである。
配列番号43はアミノ酸配列3で示されるリン酸化酵素に対するリバースプライマーである。
配列番号44はアミノ酸配列4で示されるリン酸化酵素に対するフォワードプライマーである。
配列番号45はアミノ酸配列4で示されるリン酸化酵素に対するリバースプライマーである。
配列番号46はアミノ酸配列5で示されるリン酸化酵素に対するフォワードプライマーである。
配列番号47はアミノ酸配列5で示されるリン酸化酵素に対するリバースプライマーである。
配列番号48はアミノ酸配列6で示されるリン酸化酵素に対するフォワードプライマーである。
配列番号49はアミノ酸配列6で示されるリン酸化酵素に対するリバースプライマーである。
配列番号50はアミノ酸配列7で示されるリン酸化酵素に対するフォワードプライマーである。
配列番号51はアミノ酸配列7で示されるリン酸化酵素に対するリバースプライマーである。
配列番号52はアミノ酸配列8で示されるリン酸化酵素に対するフォワードプライマーである。
配列番号53はアミノ酸配列8で示されるリン酸化酵素に対するリバースプライマーである。
配列番号54はアミノ酸配列9で示されるリン酸化酵素に対するフォワードプライマーである。
配列番号55はアミノ酸配列9で示されるリン酸化酵素に対するリバースプライマーである。
配列番号56はアミノ酸配列10で示されるリン酸化酵素に対するフォワードプライマーである。
配列番号57はアミノ酸配列10で示されるリン酸化酵素に対するリバースプライマーである。
配列番号58はアミノ酸配列11で示されるリン酸化酵素に対するフォワードプライマーである。
配列番号59はアミノ酸配列11で示されるリン酸化酵素に対するリバースプライマーである。
配列番号60はアミノ酸配列12で示されるリン酸化酵素に対するフォワードプライマーである。
配列番号61はアミノ酸配列12で示されるリン酸化酵素に対するリバースプライマーである。
配列番号62はプライマー番号(1)の塩基配列である。
配列番号63はプライマー番号(2)の塩基配列である。
配列番号64はプライマー番号(3)の塩基配列である。
配列番号65はプライマー番号(4)の塩基配列である。
配列番号66はプライマー番号1の塩基配列である。
配列番号67はプライマー番号2の塩基配列である。
配列番号68はプライマー番号3の塩基配列である。
配列番号69はプライマー番号4の塩基配列である。
配列番号70はプライマー番号5の塩基配列である。
配列番号71はプライマー番号6の塩基配列である。
配列番号72はプライマー番号7の塩基配列である。
配列番号73はプライマー番号8の塩基配列である。
配列番号74はプライマー番号9の塩基配列である。
配列番号75はプライマー番号10の塩基配列である。
配列番号76はプライマー番号11の塩基配列である。
配列番号77はプライマー番号12の塩基配列である。
配列番号78はプライマー番号13の塩基配列である。
配列番号79はプライマー番号14の塩基配列である。
配列番号80はプライマー番号15の塩基配列である。
配列番号81はプライマー番号16の塩基配列である。
配列番号82はプライマー番号17の塩基配列である。
配列番号83はプライマー番号18の塩基配列である。
配列番号84はプライマー番号19の塩基配列である。
配列番号85はプライマー番号20の塩基配列である。
配列番号86はプライマー番号21の塩基配列である。
配列番号87はプライマー番号22の塩基配列である。
配列番号88はプライマー番号23の塩基配列である。
配列番号89はプライマー番号24の塩基配列である。
配列番号90はプライマー番号25の塩基配列である。
配列番号91はプライマー番号26の塩基配列である。
配列番号92はプライマー番号27の塩基配列である。
配列番号93はプライマー番号28の塩基配列である。
配列番号116は変異体b(F144A)のアミノ酸配列である。
配列番号117は変異体c(F144G)のアミノ酸配列である。
配列番号118は変異体d(A151D)のアミノ酸配列である。
配列番号119は変異体e(A151T)のアミノ酸配列である。
配列番号120は変異体f(A151S)のアミノ酸配列である。
配列番号121は変異体g(F144G/A151S)のアミノ酸配列である。
配列番号124はアミノ酸配列104で示されるリン酸化酵素に対するフォワードプライマーである。
配列番号125はアミノ酸配列104で示されるリン酸化酵素に対するリバースプライマーである。
配列番号126はアミノ酸配列105で示されるリン酸化酵素に対するフォワードプライマーである。
配列番号127はアミノ酸配列105で示されるリン酸化酵素に対するリバースプライマーである。
配列番号128は、配列番号11示されるリン酸化酵素をコードする遺伝子を大腸菌発現用としてコドンを最適化した塩基配列である。
配列番号129はプライマー番号(5)の塩基配列である。
配列番号130はプライマー番号(6)の塩基配列である。
配列番号131はプライマー番号(7)の塩基配列である。
配列番号132はプライマー番号(8)の塩基配列である。
配列番号133はプライマー番号(9)の塩基配列である。
配列番号134はプライマー番号(10)の塩基配列である。
配列番号135はプライマー番号(11)の塩基配列である。
配列番号136はプライマー番号(12)の塩基配列である。
配列番号137はプライマー番号(13)の塩基配列である。
配列番号138はプライマー番号(14)の塩基配列である。
配列番号139はプライマー番号(15)の塩基配列である。

Claims (8)

  1. グリセロールのリン酸化物の製造方法であって、リン酸基供与体の存在下でリン酸化酵素をグリセロールに作用させる工程を含み、
    前記リン酸化酵素が、下記(VII)又は(VIII)に示されるポリペプチドからなるクラスAの酸性ホスファターゼであることを特徴とする、前記製造方法:
    (VII)配列番号3〜9、13、104、105、116、117、及び119〜121のいずれかに示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
    (VIII)配列番号3〜9、13、104、105、116、117、及び119〜121のいずれかに示されるアミノ酸配列において、活性中心アミノ酸配列以外の領域の1又は数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入又は付加されたアミノ酸配列からなり、且つ当該置換、欠失、挿入又は付加が行われていない対応するポリペプチドと比べて同等以上のグリセロールのリン酸化反応を触媒する活性を有するポリペプチド。
    前記活性中心のアミノ酸配列は、
    配列番号3の場合は、―Gly―Ala―Tyr−Pro−Ser−Gly−His−Thr―、
    配列番号4、及び7の場合は、―Gly―Ser―Tyr−Pro−Ser−Gly−His−Thr―、
    配列番号5、及び121の場合は、―Gly―Ser―Tyr−Pro−Ser−Gly−His−Ser―、
    配列番号6の場合は、―Gly―Asp―Tyr−Pro−Ser−Gly−His−Thr―、
    配列番号8の場合は、―Ala―Ser―Tyr−Pro−Ser−Gly−His−Ser―、
    配列番号9の場合は、―Ala―Ser―Tyr−Pro−Ser−Gly−His−Thr―、
    配列番号13の場合は、―Gly―Ser―Tyr−Pro−Ser−Gly−His−Thr―、
    配列番号104及び105の場合は、―Gly―Ser―Trp−Pro−Ser−Gly−His−Ser―、
    配列番号116の場合は、―Ala―Ser―Tyr−Pro−Ser−Gly−His−Ala―、
    配列番号117の場合は、―Gly―Ser―Tyr−Pro−Ser−Gly−His−Ala―、
    配列番号119の場合は、―Phe―Ser―Tyr−Pro−Ser−Gly−His−Thr―、並びに
    配列番号120の場合は、―Phe―Ser―Tyr−Pro−Ser−Gly−His−Ser―である。
  2. グリセロールのリン酸化物の製造方法であって、リン酸基供与体の存在下でリン酸化酵素をグリセロールに作用させる工程を含み、
    前記リン酸化酵素が、下記(vii)又は(viii)に示されるポリペプチドからなるクラスAの酸性ホスファターゼであることを特徴とする、前記製造方法:
    (vii)配列番号9、15〜17、19、22及び25のいずれかに示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;
    (viii)配列番号9、15〜17、19、22及び25のいずれかに示されるアミノ酸配列において、配列番号2で示されるアミノ酸配列以外の領域の1又は数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入又は付加されたアミノ酸配列からなり、且つ当該置換、欠失、挿入又は付加が行われていない対応するポリペプチドと比べて同等以上のグリセロールのリン酸化反応を触媒する活性を有するポリペプチド。
  3. 前記リン酸基供与体がポリリン酸である、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記リン酸基供与体が、式:Hn+2PnO3n+1(nは3〜10000)で表されるポリリン酸である、請求項1〜3のいずれかに記載される製造方法。
  5. 前記グリセロールのリン酸化物がα−グリセロリン酸である、請求項1〜のいずれかに記載される製造方法。
  6. 前記リン酸基供与体の存在下でリン酸化酵素をグリセロールに作用させる工程において、反応液のpHが4〜5である、請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
  7. 前記リン酸基供与体の存在下でリン酸化酵素をグリセロールに作用させる工程において、リン酸化酵素1重量部当たりのグリセロールの添加量が1000〜50000重量部である、請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
  8. 前記リン酸基供与体の存在下でリン酸化酵素をグリセロールに作用させる工程において、反応液中のリン酸基供与体の濃度が2〜10重量%である、請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法。
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