JP6533928B2 - 筒状体摺動構造物およびそれを一部に適用した伸縮可能な梯子 - Google Patents

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Description

本発明は、所定状態となるまで摺動可能となる筒状体同士の摺動構造物、および、その筒状体同士の摺動構造物を一部に適用して長さ方向に伸縮自在の梯子に関する。
一般的に、筒状体の長さを伸縮する構造として筒状体同士を摺動可能とした構造物が知られている。
図13および図14は、筒状体同士を摺動可能としてその長さを伸縮可能とした構造物の例を示した図である(特開2012−072638号公報)。図13および図14の構造例とも、従来技術における伸縮可能な梯子の筒状支柱体として組み込まれた例となっている。
図13および図14には、径の大きな第1の筒状体10と、径の小さな第2の筒状体20が図示されている。
図13は、大きな径の第1の筒状体10が固定され、小さな径の第2の筒状体20が下方にスライドする例を説明する図となっている。
第1の筒状体10は、第2の筒状体20より径が大きくなっている。
第2の筒状体20は、第1の筒状体10の内径よりわずかに小さな外径を持ち、第1の筒状体10に内挿される形となっている。
第1の筒状体10の一部には絞り部分が設けられており、内壁面の内側に膨出するように内側膨出部11が設けられている。
第2の筒状体20の一部には膨出部分が設けられており、外壁面の外側に膨出するように外側膨出部21が設けられている。
図13に示すように、第1の筒状体10に対して、第2の筒状体20が上から内挿される形で挿入して摺動してゆくと、図13の右側に示すように、内側膨出部11と外側膨出部21が当接して係止状態となるまで下方に移動可能であるが、両者が係止すると第1の筒状体10に対する第2の筒状体20の相対的な摺動が停止する。第2の筒状体20はそれ以上下方には移動できず、第1の筒状体10の下側に抜け出ることがない。
次に、図14は、径の小さな第2の筒状体20に対して、径の大きな第1の筒状体10が下方にスライドする例を説明する図となっている。
図14は、小さな径の第2の筒状体20が固定され、大きな径の第1の筒状体10が下方にスライドする例を説明する図となっている。
第1の筒状体10は、第2の筒状体20の外径よりわずかに小さな内径を持ち、第1の筒状体10に対して外挿される形となっている。
図14の構成例でも、図13の場合と同様、第1の筒状体10の一部には絞り部分が設けられており、内壁面の内側に膨出するように内側膨出部11が設けられており、第2の筒状体20の一部には膨出部分が設けられており、外壁面の外側に膨出するように外側膨出部21が設けられている。
図14に示すように、第2の筒状体20に対して、第1の筒状体10が上から外挿される形で挿入して摺動してゆくと、図14の右側に示すように、内側膨出部11と外側膨出部21が当接して係止状態となるまで下方に移動可能であるが、両者が係止すると第1の筒状体10に対する第2の筒状体20の相対的な摺動が停止する。第1の筒状体10はそれ以上下方には移動できず、第2の筒状体20の下側に抜け出ることがない。
このように、図13のように、大きな径の第1の筒状体10が固定され、小さな径の第2の筒状体20が下方に摺動してゆく構造例でも、図14のように、小さな径の第2の筒状体20が固定され、大きな径の第1の筒状体10が下方に摺動してゆく構造例でも、内側膨出部11と外側膨出部21が当接して係止し合うまでスライド可能であるが、両者が係止すればスライド移動が停止する仕組みとなっている。
筒状体が摺動して伸縮可能な構造は多様な部材として適用されている。そのごく一例として、伸縮梯子の筒状の支柱体の構造として使用されている。伸縮梯子とは平常時には短縮収納状態となっているが、使用時に動的に伸長して使用状態となり、梯子の使用が終了すれば短縮収納状態に戻される梯子である。例えば、作業において高所から下方の作業現場へ降りてゆく移動手段として作業時に吊下箇所に吊下される作業用吊下梯子や、建物や電車などお客が外部に避難する必要が生じた緊急時に下方へ避難するための避難手段として吊下箇所に吊下される避難用吊下梯子などがある。その他にも用途に応じて様々なバリエーションがあり得る。
特開2012−072638号公報
上記したように、筒状体同士を摺動可能にした構造例は知られているが、印加される力が大きくなると、両者の係止構造が崩れて筒状体が抜け出てしまうおそれがある。
図15は、上記図13で示した構造において発生し得る問題を説明する図である。図15は、大きな径の第1の筒状体10が固定され、小さな径の第2の筒状体20が下方にスライドする例である。
内側の小さな径の第2の筒状体20が長く重い場合などには大きな重力が掛かる場合がある。外側膨出部21からの圧力により大きな重量がかかると、第1の筒状体の内側膨出部11の膨らみが潰れ、径が拡がるおそれがある。第1の筒状体の内側膨出部11が潰れて径がある程度拡がってくると、第1の筒状体10と第2の筒状体20との係止が働かなくなり、第2の筒状体20の外側膨出部21が通過してしまい、下側へ抜け出てしまうおそれがある。
固定されている第1の筒状体10に対して、第2の筒状体20が係止されずに下方に抜け出ると、第2の筒状体20全体が落下する不具合が発生する。
同様の問題は、上記図14で示した構造においても発生し得る。
図16は、上記図14で示した構造において発生し得る問題を説明する図である。図16は、内側の小さな径の第2の筒状体20が固定され、外側の大きな径の第1の筒状体10が下方にスライドする例である。
内側の第2の筒状体20に対して係止している外側の大きな径の第1の筒状体10が長く重い場合などに大きな重力が掛かる場合がある。内側膨出部11には外側膨出部11から受ける圧力により大きな重量がかかると、第1の筒状体10の内側膨出部11の膨らみが潰れ、径が拡がるおそれがある。第1の筒状体の内側膨出部11が潰れて径がある程度拡がってくると、第2の筒状体10との係止が働かなくなり、第1の筒状体の内側膨出部11が通過してしまい、下側へ抜け出てしまうおそれがある。
固定されている第2の筒状体20に対して、第1の筒状体10が係止されずに下方に抜け出ると、第1の筒状体10全体が落下する不具合が発生する。
この摺動構造体が梯子に組み込まれたものであれば、筒状体同士の係止が働かなくなると、梯子部材が離脱して一部が落下する危険がある。もっとも伸縮梯子の場合、梯子部材が離脱して落下する事故が発生しないように、二重・三重に安全対策が採られており、落下する事故は発生し得ないようになっているが、筒状体同士の摺動構造が正常に機能することが好ましいことは言うまでもない。
本発明は上記のような実情に鑑みてなされたもので、筒状体同士が摺動して伸縮可能な筒状体摺動構造物において、所定位置にまで伸長した筒状体同士の摺動を制限する構造が大きな構造的強度を持ち、抜け出る不具合が発生しないよう構造的強度を確保せしめることを目的とする。その構造的強度が確保された筒状体同士の摺動構造を組み入れ、伸長使用状態において構造的強度が確保されたものであるとともに、抜け出る不具合が発生しないよう構造的強度を確保せしめた伸縮梯子を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の筒状体摺動構造物は、第1の筒状体と、前記第1の筒状体の内径よりわずかに小さな外径を持ち、前記第1の筒状体に内挿され得る第2の筒状体と、前記第1の筒状体の一部に設けられた絞り部分であり、内壁面の内側に膨出するように設けられた内側膨出部と、前記第2の筒状体の一部に設けられた膨出部分であり、外壁面の外側に膨出するように設けられた外側膨出部と、前記第1の筒状体の前記絞り部分の前記内側膨出部に対して外周から取り付けられ、前記内側膨出部の外壁面側の絞り形状に嵌り込む絞り部分充填部を支持し、前記絞り形状に嵌合しつつ外部から締め付けて前記内側膨出部の構造的強度を向上する外締体を備えたことを特徴とする筒状体摺動構造物である。
なお、上記構成において、前記内側膨出部の内径より前記外側膨出部の外径の方が大きく、前記第1の筒状体の前記内側膨出部が設けられた箇所を、前記第2の筒状体の前記外側膨出部が通過できない関係として両者を係止するものであることが好ましい。
上記構成により、外締体が外方から強固に締め付け、外締体の内面形状が絞り部分の内側膨出部の形状と合致するものであり、内側膨出部が外方へ潰れることができないよう強固にサポートでき、筒状体同士の摺動を制限する係止構造が大きな構造的強度を持ち、抜け出る不具合が発生しない構造的強度を確保せしめることができる。
なお、絞り部分充填部としては、外締体の内壁面の膨出部分として一体化されたものとして提供できる。外締体の内壁面の膨出部分として一体化されたものであれば、外締体を第1の筒状体の絞り部分の内側膨出部に取り付けて締め付けるだけで第1の筒状体の絞り部分に絞り部分充填部がしっかりと取り付けられ、外締体により締め付けることができる。
また、絞り部分充填部としては、外締体の内壁面と、第1の筒状体の絞り部分の内側膨出部との間に注入された接着剤が硬化することにより形成された樹脂成型体とすることもできる。外締体自体はシンプルな筒状体で良く、第1の筒状体の絞り部分の内側膨出部に通し入れた後に、第1の筒状体の絞り部分の内側膨出部と外締体の隙間に接着剤を注入して乾燥させるだけで絞り部分充填部が形成されるため、本発明の筒状体摺動構造物の組み立て作業が省力化できる。
なお、絞り部分充填部が設けられる外締体の内壁面が、溝または凹凸が設けられた粗面となっていることが好ましい。外締体の内壁面に溝又は凹凸が設けられた粗面となっておれば、硬化した接着剤の保持力が向上する。
ここで、筒状体のうち固定される側と径の大きさの関係において2パターンある。
第1のパターンは、前記第2の筒状体が支持された状態にあり、前記第1の筒状体が前記第2の筒状体に対して上側から外挿され、前記外締体が取り付けられた前記第1の筒状体の前記内側膨出部の位置が、前記第2の筒状体の前記外側膨出部の位置より高く、前記内側膨出部と前記外側膨出部の係止によって前記第1の筒状体が前記第2の筒状体に対して係止されるパターンである。
第2のパターンは、前記第1の筒状体が支持された状態にあり、前記第2の筒状体が前記第1の筒状体に対して上側から内挿され、前記外締体が取り付けられた前記第1の筒状体の前記内側膨出部の位置が、前記第2の筒状体の前記外側膨出部の位置より低く、前記内側膨出部と前記外側膨出部の係止によって前記第2の筒状体が前記第1の筒状体に対して係止されるパターンである。
いずれのパターンであっても、外締体を取り付けることにより係止構造の構造的強度が大きく向上する。
次に、本発明の伸縮梯子は、上記の筒状体摺動構造物を一部に適用した伸縮可能な梯子である。上記した第1のパターンの筒状体摺動構造物を組み込んだものとしては、所定の間隔を隔てて互いに平行に配置された一対の筒状体と前記筒状体の間に設けられた横桟を備えた梯子基本部材を基本単位とし、前記梯子基本部材同士が前記筒状体の筒軸線方向に入れ子状態で摺動可能に順次接続したものであり、前記梯子基本部材が摺動収納された短縮収納状態と、前記梯子基本部材が摺動伸長した伸長使用状態を持ち、各段の前記梯子基本部材同士が摺動して下方に伸長して前記伸長使用状態となり、前記伸長使用状態から前記短縮収納状態に変化し得る伸縮可能な梯子において、当段の前記梯子基本部材の前記筒状体の上部付近に前記絞り部分を設けて前記内側膨出部と前記外締体を設け、上段側にある前記梯子基本部材の前記筒状体の下部付近に前記外側膨出部を設け、前記第1の筒状体と前記第2の筒状体の関係とし、上段側にある前記梯子基本部材に対して当段の前記梯子基本部材を上下に摺動可能とし、前記内側膨出部と前記外側膨出部が係止し合うまで伸長可能としたことを特徴とするものである。
上記した第2のパターンの筒状体摺動構造物を組み込んだものとしては、所定の間隔を隔てて互いに平行に配置された一対の筒状体と前記筒状体の間に設けられた横桟を備えた梯子基本部材を基本単位とし、前記梯子基本部材同士が前記筒状体の筒軸線方向に入れ子状態で摺動可能に順次接続したものであり、前記梯子基本部材が摺動収納された短縮収納状態と、前記梯子基本部材が摺動伸長した伸長使用状態を持ち、各段の前記梯子基本部材同士が摺動して下方に伸長して前記伸長使用状態となり、前記伸長使用状態から前記短縮収納状態に変化し得る伸縮可能な梯子において、当段の前記梯子基本部材の前記筒状体の下部付近に前記絞り部分を設けて前記内側膨出部と前記外締体を設け、上段側にある前記梯子基本部材の前記筒状体の上部付近に前記外側膨出部を設け、前記第1の筒状体と前記第2の筒状体の関係とし、上段側にある前記梯子基本部材に対して当段の前記梯子基本部材を上下に摺動可能とし、前記内側膨出部と前記外側膨出部が係止し合うまで伸長可能としたことを特徴とするものである。
なお、さらに、筒状摺動構造物の離脱を防止する策としてロック機構を設けることができる。つまり、内側膨出部と前記外側膨出部が係止し合う状態において、前記梯子基本部材同士を一時的に摺動不能に固定するロック機構と、外部からの操作を契機として前記ロック機構のロック状態を解除し、当段と下段の前記梯子基本部材同士を摺動可能にするロック解除機構を備えた構造とする。
本発明の筒状摺動構造物によれば、外締体を取り付けることにより、外締体が外方から強固に締め付け、外締体の内面形状が絞り部分の内側膨出部の形状と合致するものであり、内側膨出部が外方へ潰れることができないよう強固にサポートでき、筒状体同士の摺動を制限する係止構造が大きな構造的強度を持ち、筒状体が抜け出る不具合が発生しない構造的強度を確保せしめることができる。
また本発明の伸縮梯子によれば、梯子本体を展開する際には梯子基本部材同士が摺動し合って展開するとともに、各々の梯子基本部材同士の摺動構造の構造的強度が大きくなり、梯子基本部材が抜け出る不具合が発生しない構造的強度を確保せしめることができる。
実施例1にかかる筒状体摺動構造物100のうち、絞り部分を持つ第1の筒状体110−1の基本的構成例を模式的に示す図である。 第2の筒状体110−2を固定して第1の筒状体110−1を上から下に摺動させて係止する組み合わせパターンを示す図である。 第1の筒状体110−1を固定して第2の筒状体110−2を上から下に摺動させて係止する組み合わせパターンを示す図である。 外締体190の絞り部分充填部を接着剤で形成する構成例を模式的に示す図である。 実施例2にかかる伸長使用状態の伸縮梯子100の背面図(作業個所の壁面側に向く面)を示している。 短縮収納状態にある伸縮梯子100を短縮収納状態から展開して伸長使用状態とする手順を説明する図である。 伸長使用状態にある伸縮梯子100を回収して短縮収納状態に変化させる手順を説明する図である。 実施例3にかかる伸長使用状態の伸縮梯子100の背面図(作業個所の壁面側に向く面)を示している。 短縮収納状態にある伸縮梯子100を短縮収納状態から展開して伸長使用状態とする手順を説明する図である。 伸長使用状態にある伸縮梯子100を回収して短縮収納状態に変化させる手順を説明する図である。 伸縮梯子100の展開時における、梯子基本部材101の接合部分のロック機構130によりロックが掛かる仕組みを簡単に示す図である。 伸縮梯子100の回収時におけるロック解除機構140によってロック機構130のロックを解除する仕組みを簡単に示す図である。 従来技術において、大きな径の第1の筒状体10が固定され、小さな径の第2の筒状体20が下方にスライドする例を説明する図である。 従来技術において、径の小さな第2の筒状体20に対して、径の大きな第1の筒状体10が下方にスライドする例を説明する図である。 図13で示した構造において発生し得る問題を説明する図である。 図14で示した構造において発生し得る問題を説明する図である。
以下、図面を参照しつつ、本発明の伸縮可能な伸縮梯子の実施例を説明する。
本発明の範囲は以下の実施例に示した具体的な形状、デザイン、個数、角度などには限定されないことは言うまでもない。
以下、各実施例として以下の順で説明する。
実施例1は、筒状体摺動構造物の基本的構造を説明する。
実施例2は、筒状体摺動構造物を一部に組み込んだ伸縮梯子のうち、下に行くほど筒状体の径が大きくなるパターンの構造を持つ伸縮梯子について説明する。
実施例3は、筒状体摺動構造物を一部に組み込んだ伸縮梯子のうち、下に行くほど筒状体の径が小さくなるパターンの構造を持つ伸縮梯子について説明する。
実施例4は、筒状体摺動構造物を一部に組み込んだ伸縮梯子に対して伸長使用状態にある場合に、筒状体の摺動を一時的に固定するロック機構とロック解除機構を設けた構造について説明する。
図1は、実施例1にかかる筒状体摺動構造物100のうち、絞り部分を持つ第1の筒状体110−1の基本的構成例を模式的に示す図である。
図1(a)は、第1の筒状体110−1の内側膨出部111が設けられている絞り部分に対して外締体190を取り付ける様子を示す図である。上側は平面図となっている。外締体190は上側の平面図のみに示されている。
図1(b)は、外締体190を取り付けて締め付けた構造を示す図である。上側は平面図となっている。
第1の筒状体110−1は、金属製や剛性のあるプラスチック製などの筒状の柱体である。図1(a)に示すように、第1の筒状体110−1の一部に内側膨出部111が設けられており、外方から内壁側へ絞られている。内側膨出部111は、その外壁面において絞られており、その分内壁面側に膨出している。上側にある平面図において内壁面側に内側膨出部111が見えている。
外締体190は、金属製または剛性のあるプラスチック製などの金具であり、第1の筒状体110−1に対して取り付けられるものである。
外締体190の形状は、この例では輪状の金具であり、左右2つに分かれており、締結金具191で輪状の形状に強固に締結できるものとなっている。
外締体190の内面形状には、第1の筒状体110−1の内側膨出部111の外壁面側の絞り部分の凹形状に嵌り込む絞り部分充填部192を備えている。
図1(b)に示すように、この外締体190の絞り部分充填部192は、第1の筒状体110−1の内側膨出部111の外壁面の絞り部分である凹形状に嵌り込む形状となっており、外部から外締体190を締結金具191で締め付けることにより内側膨出部111が絞り部分充填部192により外方から内側に向けてしっかりと挟持され、第1の筒状体110−1の内側膨出部111が内面側から潰れて外方へ拡がらないよう構造的強度が向上している。
絞り部分充填部192は、図1に示すように、外径が筒状体の外締体190の内壁面において内側への膨らみとして一体化されたものであり、内壁面の一部に絞り部分充填部192が内側へ突出したものとなっている。
なお、絞り部分充填部192を接着剤で構成する例は後述する。
次に、本発明の筒状体摺動構造物の基本的な組み合わせについて説明する。
筒状体摺動構造物は、図1に示したように外締体190が取り付けられて構造的強度が補強された第1の筒状体110−1に対して、径の小さな第2の筒状体110−2を組み合わせたものである。
図2および図3は、本発明の筒状体摺動構造物の2つの組み合わせパターンを示した図である。
図2は、径の小さな第2の筒状体110−2を固定して、径の大きな第1の筒状体110−1を上から下に被せるように摺動させて係止する組み合わせパターンを示す図である。
まず、第2の筒状体110−2を説明する。
第2の筒状体110−2は、金属製や剛性のあるプラスチック製などの筒状の柱体である。第2の筒状体110−2の外径は第1の筒状体110−1の内径よりも小さくなっており、第1の筒状体110−1に内挿できるものとなっている。
第2の筒状体110−2は、図2(a)の下側に示すように、第2の筒状体110−2の一部には外側膨出部112が設けられており、外方に向けて膨出している。外側膨出部112は、内壁面側から外壁面側へ膨出している。
外側膨出部112の外径は、第1の筒状体110−1の内径よりもわずかに小さくなっており、第1の筒状体110−1に内挿できるものとなっているが、第1の筒状体110−1の内壁面にある内側膨出部111の内径よりも大きくなっており、内側膨出部111を通過できない径となっている。
図2(a)に示すように、第2の筒状体110−2が図示しない上部において支持固定されているものとする。この第2の筒状体110−2に対して、上方から下方に向けて第1の筒状体110−1を外挿するように被せてゆく。
図2(b)に示すように、上部において支持固定されている第2の筒状体110−2に対して、第1の筒状体110−1が通過しようとしても、第2の筒状体110−2の外側膨出部112が存在しており、それよりも径が小さい内側膨出部111は外側膨出部112を通過できず、外側膨出部112で係止され、それ以上は下方に移動できない構成となっている。第2の筒状体110−2が上部において支持固定されているので、その第2の筒状体110−2によって第1の筒状体110−1が係止支持されることとなる。
つまり、第1の筒状体110−1は、第2の筒状体110−2の外側膨出部112に係止するまで下側方向へ摺動することができスライド移動するが、第2の筒状体110−2の外側膨出部112に係止する時点で下側方向への摺動が制限されて停止する構造となる。
ここで、第1の筒状体110−1の内側膨出部111に対して、第2の筒状体110−2の外側膨出部112から圧力が掛かるが、外締体190により内側方向にしっかりと強固に挟持されて締めあげられており、内側膨出部111の形状が潰れてしまうような不具合は発生しない。
次に、径の大きな第1の筒状体110−1を固定して、径の小さな第2の筒状体110−2を上から下に摺動させて係止する組み合わせパターンについて説明する。
図3は、径の大きな第1の筒状体110−1を固定して、径の小さな第2の筒状体110−2を上から下に摺動させて係止する組み合わせパターンを示す図である。
第2の筒状体110−2は、図2のものと同様であり、その外径は第1の筒状体110−1の内径よりも小さくなっており、第2の筒状体110−2の一部には外側膨出部112が設けられており、外方に向けて膨出している。
図3(a)に示すように、第1の筒状体110−1が図示しない上部において支持固定されているものとする。この第1の筒状体110−1に対して、上方から下方に向けて第2の筒状体110−2を内挿して通過させるようにスライドさせてゆく。
図3(b)に示すように、上部において支持固定されている第1の筒状体110−1を第2の筒状体110−2が通過しようとしても、第1の筒状体110−1の内側膨出部111が存在しており、それよりも径が大きい外側膨出部112は内側膨出部111を通過できず、内側膨出部111で係止され、それ以上は下方に移動できない構成となっている。第1の筒状体110−1が上部において支持固定されているので、その第1の筒状体110−1によって第2の筒状体110−2が係止支持されることとなる。
つまり、第2の筒状体110−2は、第1の筒状体110−1の内側膨出部111に係止するまで下側方向へ摺動することができスライド移動するが、第1の筒状体110−1の内側膨出部111に係止する時点で下側方向への摺動が制限されて停止する構造となる。
ここで、第1の筒状体110−1の内側膨出部111に対して、上から通過しようとする第2の筒状体110−2の外側膨出部112により圧力が掛かるが、外締体190により内側方向にしっかりと強固に挟持されて締めあげられており、内側膨出部111の形状が潰れてしまうような不具合は発生しない。
本発明の筒状体摺動構造物は、上記図2に示したパターン、図3に示したパターンのいずれであっても、筒状体同士が所定の位置までは摺動して相対的にスライド移動できるが、第1の筒状体110−1の内側膨出部111と第2の筒状体の外側膨出部112が係止し合った状態となるとそれ以上摺動できず、スライド移動が制限されて支持される状態となる。
次に、絞り部分充填部を接着剤で形成する構成例について説明する。
図4は、絞り部分充填部を接着剤で形成する構成例について説明する図である。
図4に示すように、外締体190’の概形は筒状体であり、図1に示した構成例のように内側に膨出した一体化した絞り部分充填部192などは設けられていない。
図4に示すように、第1の筒状体110−1に外締体190’を通し入れ、絞り部分の内側膨出部111まで通し入れて外装したまま取り付ける。絞り部分充填部192’は、外締体190’の内壁面と、第1の筒状体110−1の絞り部分の内側膨出部111との間に接着剤を注入し、そのまま乾燥・硬化させる。接着剤が硬化することにより樹脂成型体が形成される。絞り部分充填部192’は接着剤が硬化したものであるので、外締体190’の内壁面と第1の筒状体110−1の内側膨出部111の両者にしっかりと接合されており、外締体190’が固定される。また、絞り部分充填部192’は第1の筒状体110−1の絞り部分の内側膨出部111に入り込んだまま硬化した樹脂体となっているため、内側膨出部111を内側方向に向けてしっかりと強固に支持することができ、内側膨出部111の形状が潰れてしまうような不具合は発生しない。
なお、外締体190’自体はシンプルな筒状体で良く、第1の筒状体の絞り部分の内側膨出部に通し入れた後に、第1の筒状体の絞り部分の内側膨出部と外締体の隙間に接着剤を注入して乾燥させるだけで絞り部分充填部が形成されるため、本発明の筒状体摺動構造物の組み立て作業が省力化できる。
なお、外締体190’の内壁面が、溝または凹凸が設けられた粗面となっていることが好ましい。外締体190’の内壁面に溝又は凹凸が設けられた粗面となっておれば、接着剤が硬化して形成された樹脂体の接着力が向上する。
実施例2として、実施例1の図2に説明した筒状体摺動構造物を一部に組み込んだ伸縮梯子であって、下側に行くほど梯子基本部材の筒状体の径が大きくなるパターンの構造を持つものについて説明する。
なお、以下、掛止具を介して吊下すれば伸長する伸縮可能な吊下梯子として説明するが、地面から上へ伸ばしてゆく伸縮梯子であっても適用可能であるので、本発明の伸縮梯子は吊下式のものに限定されない。
図5は、実施例2にかかる伸長使用状態の伸縮梯子100の背面図(作業個所の壁面側に向く面)を示している。
本発明の伸縮梯子100は、図5の右側に示すように、梯子基本部材101を基本単位とし、上下方向に複数個を連続的に組み合わせたものとなっている。なお、梯子基本部材101同士は上下方向にスライド可能な構造となっており、伸縮梯子100全体として、伸縮式のものとなっている。
この構成例では、基本単位の梯子基本部材101は8段で構成され、横桟の数で言えば最下段のものも含めて10段設けられている例である。この構成例では筒状支柱体110の上部には把持部180が設けられている。
なお、上下方向に組み合わせされている梯子基本部材101の筒状体110は、上段の梯子基本部材101との関係において、当段の梯子基本部材101の筒状体は図2における摺動する第1の筒状体110−1となり、上段の梯子基本部材101の筒状体は図2における支持された第2の筒状体110−2となるが、下段の梯子基本部材101との関係において、当段の梯子基本部材101の筒状体は図2における支持された第2の筒状体110−2となり、上段の梯子基本部材101の筒状体は図2における摺動する第1の筒状体110−1となる。このように、同じ1つの梯子基本部材101の筒状体が、上段との関係で図2に示した摺動する第1の筒状体110−1となり、下段との関係では図2に示した支持された第2の筒状体110−2となる点を理解するように注意する必要がある。
梯子基本部材101は、図5の右側に示すように、一対の筒状支柱体110と、筒状体110の間に設けられた横桟120と、外締体190を備えた構造となっている。
各々の梯子基本部材101にはある程度の剛性・強度が必要である。梯子基本部材101は作業個所において伸縮梯子として作業者の昇降を支える機械的強度が必要となるからである。また、作業員が多少の重量の荷物も担った状態で昇降することもあり得るため、その荷重にも耐える必要がある。
梯子基本部材101ごとの筒状支柱体110の長さは特に限定されないが、人間が一段ずつ昇降する際の歩幅に適切な長さであれば良い。
伸縮梯子100全体としては、図5の左側に示すように、基本構成単位である梯子基本部材101のほか、掛止具170、把持部180を備えている。
以下、各構成要素を説明する。
筒状支柱体110は、図5に示すように、所定の間隔を隔てて互いに平行に配置された一対の支柱体である。素材は、アルミニウムなどの軽金属で構造的強度が強い素材で形成することが好ましい。
なお、1つの筒状体110において、上方には内側膨出部111が設けられ、下方には外側膨出部112が設けられている。内側膨出部111、外側膨出部112は、図1および図2に示したものと同様である。
上方の内側膨出部111の外周には外締体190が取り付けられており、内側膨出部111の形状が潰れないように外周側からしっかりと挟持され、構造的強度が補強されている。
なお、最上段の梯子基本部材101の筒状支柱体110には、後述する掛止具170が設けられている。また、この構成例では、最上段の梯子基本部材101の筒状支柱体110の高さは掛止具170の位置よりも上方に向けて把持部180が延設されている。
横桟120は、筒状支柱体110の間に設けられた横架された部材であり、作業者が昇降時に足を載せ置く部分である。横桟120は伸縮梯子100の梯子1段分となっている。この例では、梯子基本部材101の筒状支柱体110の上端付近同士を横桟120が結ぶ形で設けられた例となっている。
横桟120の素材は、アルミニウムなどの軽金属で構造的強度が強い素材で形成することが好ましい。横桟120にはある程度の剛性・強度が必要である。作業者の昇降を支える機械的強度が必要となるからである。また、作業員が多少の重量の荷物も担った状態で昇降することもあり得るため、その荷重にも耐える必要がある。
横桟120の横方向の長さは特に限定されないが、作業員が1人ずつ昇降することを前提としたものであれば、少なくとも人間の腰幅程度の長さは必要である。
掛止具170は、梯子本体110を吊下箇所から吊り下げるために掛け止めする部材である。掛止具170の形状は、掛けやすいものであれば特に限定されないが、この構成例ではコの字型をしており、マンホール等の開口の縁に対して掛け止めしやすい構造をしている。
把持部180は、吊下箇所に吊下された梯子を利用して昇降しやすいように設けたものである。最上段の梯子基本部材101の筒状支柱体110を上方に向けて把持部180を延設しておけば、作業者が把持部180を把持すれば安全が確保されやすく、作業効率も向上するというメリットがある。
次に、梯子基本部材101同士の摺動による伸縮梯子の伸長と短縮の仕組みについて説明する。
各々の梯子基本部材101は、最上段の梯子基本部材101から最下段の梯子基本部材101にかけてそれらの筒状支柱体110の筒部の径の大きさが順次大きくなるように設けられており、それらが入れ子式になっており筒状支柱体110の筒軸線方向に摺動可能に順次接続されたものとなっている。つまり、当段の梯子基本部材101の筒状支柱体110に対してその直下にある下段の梯子基本部材101の筒状支柱体110は筒部の大きさが一回り大きいものとなっており、入れ子式になっている。
当段の梯子基本部材101の筒状支柱体110の筒部は、下段の梯子基本部材101の筒状支柱体110の筒部に対して摺動して出し入れできるようになっており、下方に引き出すことにより伸長状態となり、上方に押し込むことにより短縮状態となる。各段の梯子基本部材101がすべて短縮状態となった場合、伸縮梯子100全体が短縮収納状態となり、各段の梯子基本部材101がすべて伸長状態となった場合、伸縮梯子100全体も伸長状態となる。
次に、本発明の伸縮梯子100の利用の手順について図6および図7を参照しつつ説明する。
図6は、短縮収納状態にある伸縮梯子100を短縮収納状態から展開して伸長使用状態とする手順を説明する図である。
作業員等は、短縮収納状態にある本発明の伸縮梯子100を運搬して吊下箇所に搬入し、作業個所となるマンホールの縁など吊下箇所において掛止具170を介して実施例2にかかる伸縮梯子100を吊下する。
作業員は、図6(a)の状態に示すように、掛止具170を介して伸縮梯子100を吊下する。
各段の梯子基本部材101は、筒状体110同士が摺動し合い、重力により落下を開始して下方に伸長してゆく。
まず、最上段の梯子基本部材101の筒状体110は、掛止具170を介して支持されており、図2における第2の筒状体110−2として機能する。1つ下にある下段(上から2段目)の梯子基本部材101の筒状体110が図2における第1の筒状体110−1として、下方に摺動してゆく。摺動が進んでゆくと、やがて図2(b)および図6の右図に示すように、内側膨出部111が外側膨出部112を通過できずに当接して係止され、摺動が制限され吊下支持状態となる。
ここで、上から2段目の梯子基本部材101の筒状体110の上方の内側膨出部111には上から2段目から8段目までの梯子基本部材101のすべての重量が一時的に掛かって圧力が印加されるが、内側膨出部111の外周には外締体190が取り付けられており、内側膨出部111の形状が潰れないように外周側からしっかりと挟持され、構造的強度が補強されている。
次に、上から2段目の梯子基本部材101の筒状体110が吊下支持状態となると、図2および図6(b)右側の図に示すように、第2の筒状体110−2となって、その1つ下にある下段(上から3段目)の梯子基本部材101の筒状体110が図2における第1の筒状体110−1として、下方に摺動してゆく。このような摺動によるスライドと摺動制限による停止が連動してゆき、次々と梯子基本部材101が上から展開されて伸長してゆく。
図6(b)は、伸縮梯子100を伸長してゆく途中段階の様子を示した図である。
各段の梯子基本部材101は重力に従って下方にスライドしてゆくが、その過程において、上段側にある梯子基本部材101の筒状体110から、内側膨出部111が外側膨出部112により徐々に係止されて摺動が制限されてゆく。
すべての梯子基本部材101が伸長すれば、伸縮梯子100伸長使用状態となる。
次に、作業個所における伸縮梯子100の使用が終了し、伸長使用状態にある伸縮梯子100を短縮収納状態にする手順を説明する。
図7は、伸長使用状態にある伸縮梯子100を回収して短縮収納状態に変化させる手順を説明する図である。
作業員等は、マンホールなどの作業個所で伸縮梯子100の使用が終了すれば、作業者全員が伸縮梯子100を上って吊下箇所に移動した後、本発明の伸縮梯子100を回収するべく、回収作業を始める。
作業員は、図7(a)の状態から下段の梯子基本部材から上方にスライドさせて短縮してゆく。
この例では最下段は固定横桟121であるので、その1つ上の段の梯子基本部材101から上昇させてゆく。その梯子基本部材101筒状体110は、図2の第1の筒状体110−1に相当し、1つ上段の筒状体が第2の筒状体110−2に対して吊下支持されている。その梯子基本部材101の筒状体110は上方に押し上げると、内側膨出部111と外側膨出部112の係止が外れ、そのまま上方にスライドして上昇する。
摺動が進んでゆくと、やがて横桟120が1つ上段(下から3段目)の横桟120に当接し、梯子基本部材101ごと押し上げることができる。
次に、下から3段目の梯子基本部材101の筒状体110が上方に摺動してスライドしてゆくと、当段の梯子基本部材101の筒状体110は第1の筒状体110−1となり上方に摺動してスライド移動してゆき、その1つ上段の梯子基本部材101の筒状体110は吊下支持されている第2の筒状体110−2となる。
このような摺動によるスライドと、上段の横桟120への当接が連動してゆき、次々と梯子基本部材101が下から短縮して収納されてゆく。
図7(b)は、伸縮梯子100を短縮してゆく途中段階の様子を示した図である。
すべての梯子基本部材101が短縮すれば、伸縮梯子の短縮収納状態となる。
上記したように、梯子基本部材101の筒状体110の摺動において、各段の筒状体110の内側膨出部111には、それより下段にあるすべての梯子基本部材101の重量が一時的に掛かって圧力が印加されるが、各段の内側膨出部111の外周には外締体190が取り付けられており、内側膨出部111の形状が潰れないように外周側からしっかりと挟持され、構造的強度が補強されている。
実施例3は、実施例1に示した筒状体摺動構造物を一部に組み込んだ伸縮梯子のうち、下に行くほど筒状体の径が小さくなるパターンの構造を持つ伸縮梯子について説明する。なお、実施例2と同様の部分についてはここでの説明は適宜省略する。
図8は、実施例3にかかる伸長使用状態の伸縮梯子100の背面図(作業個所の壁面側に向く面)を示している。
本発明の伸縮梯子100は、図8の右側に示すように、梯子基本部材101を基本単位とし、上下方向に複数個を連続的に組み合わせたものとなっている。横桟120は左右の筒状体110の下端付近同士を接続する形となっている。なお、梯子基本部材101同士は上下方向にスライド可能な構造となっており、伸縮梯子100全体として、伸縮式のものとなっている。
この構成例では、基本単位の梯子基本部材101は8段で構成され、横桟の数で言えば最下段のものも含めて10段設けられている例である。この構成例では筒状支柱体110の上部には把持部180が設けられている。
なお、上下方向に組み合わせされている梯子基本部材101の筒状体110は、上段の梯子基本部材101との関係において、当段の梯子基本部材101の筒状体は図3における摺動する第1の筒状体110−1となり、上段の梯子基本部材101の筒状体は図3における支持された第2の筒状体110−2となる。また、下段の梯子基本部材101との関係において、当段の梯子基本部材101の筒状体は図3における支持された第2の筒状体110−2となり、上段の梯子基本部材101の筒状体は図3における摺動する第1の筒状体110−1となる。このように、同じ1つの梯子基本部材101の筒状体が、上段との関係では図3に示す摺動する第1の筒状体110−1となり、下段との関係では図3に示す支持された第2の筒状体110−2となる点を理解するように注意する必要がある。
梯子基本部材101は、図8の右側に示すように、一対の筒状支柱体110と、筒状体110の間に設けられた横桟120と、外締体190を備えた構造となっている。
この構成例では、筒状体110の上方付近に外側膨出部112が設けられ、下方付近に内側膨出部111が設けられ、さらに外締体190が内側膨出部111に対して取り付けられており、内側膨出部111の形状が潰れないように外周側からしっかりと挟持され、構造的強度が補強されている。
内側膨出部111、外側膨出部112は、図1および図2に示したものと同様である。
横桟120は筒状体110の下端付近同士を接続するように設けられている。
梯子基本部材101同士の摺動による伸縮梯子の伸長と短縮の仕組みについて説明する。
各々の梯子基本部材101は、最上段の梯子基本部材101から最下段の梯子基本部材101にかけてそれらの筒状支柱体110の筒部の径の大きさが順次小さくなるように設けられており、それらが入れ子式になっており筒状支柱体110の筒軸線方向に摺動可能に順次接続されたものとなっている。つまり、当段の梯子基本部材101の筒状支柱体110に対してその直下にある下段の梯子基本部材101の筒状支柱体110は筒部の大きさが一回り小さいものとなっており、入れ子式になっている。
当段の梯子基本部材101の筒状支柱体110の筒部は、上段の梯子基本部材101の筒状支柱体110の筒部に対して内挿する形で摺動して出し入れできるようになっており、下方に引き出すことにより伸長状態となり、上方に押し込むことにより短縮状態となる。各段の梯子基本部材101がすべて短縮状態となった場合、伸縮梯子100全体が短縮収納状態となり、各段の梯子基本部材101がすべて伸長状態となった場合、伸縮梯子100全体も伸長状態となる。
次に、本発明の伸縮梯子100の利用の手順について図9および図10を参照しつつ説明する。
図9は、短縮収納状態にある伸縮梯子100を吊下箇所に吊下して短縮収納状態から展開して伸長使用状態とする手順を説明する図である。
作業員等は、短縮収納状態にある本発明の伸縮梯子100を運搬して吊下箇所に搬入し、作業個所となるマンホールの縁など吊下箇所において掛止具170を介して実施例2にかかる伸縮梯子100を吊下する。
作業員は、図9(a)の状態に示すように、掛止具170を介して伸縮梯子100を吊下する。
各段の梯子基本部材101は、筒状体110同士が摺動し合い、重力により落下を開始して下方に伸長してゆく。
まず、最上段の梯子基本部材101の筒状体110は、掛止具170を介して吊下支持されており、図3における第1の筒状体110−1として機能する。1つ下にある下段(上から2段目)の梯子基本部材101の筒状体110が図2における第2の筒状体110−2として、下方に摺動してゆく。摺動が進んでゆくと、やがて図3(b)および図9の右図に示すように、外側膨出部112が内側膨出部111を通過できずに当接して係止され、摺動が制限され吊下支持状態となる。
ここで、最上段の梯子基本部材101の筒状体110の下方にある内側膨出部111には上から2段目から8段目までの梯子基本部材101のすべての重量が一時的に掛かって圧力が印加されるが、内側膨出部111の外周には外締体190が取り付けられており、内側膨出部111の形状が潰れないように外周側からしっかりと挟持され、構造的強度が補強されている。
次に、上から2段目の梯子基本部材101の筒状体110が吊下支持状態となると、図3および図9(b)右側の図に示すように、外側にある第1の筒状体110−1となって、その1つ下にある下段(上から3段目)の梯子基本部材101の筒状体110が図3における内側にある第2の筒状体110−2として、下方に摺動してゆく。このような摺動によるスライドと摺動制限による停止が連動してゆき、次々と梯子基本部材101が上から展開されて伸長してゆく。
図9(b)は、伸縮梯子100を伸長してゆく途中段階の様子を示した図である。
各段の梯子基本部材101は重力に従って下方にスライドしてゆくが、その過程において、上段側にある梯子基本部材101の筒状体110から下段側にある梯子基本部材101の筒状体110が伸長してゆき、内部において外側膨出部112が内側膨出部111により係止されて各段の摺動が制限されてゆく。
すべての梯子基本部材101が伸長すれば、伸縮梯子の伸長使用状態となる。
次に、作業個所における伸縮梯子100の使用が終了し、伸長使用状態にある伸縮梯子100を短縮収納状態にする手順を説明する。
図10は、伸長使用状態にある伸縮梯子100を回収して短縮収納状態に変化させる手順を説明する図である。
作業員等は、マンホールなどの作業個所で伸縮梯子100の使用が終了すれば、作業者全員が伸縮梯子100を上って吊下箇所に移動した後、本発明の伸縮梯子100を回収するべく、回収作業を始める。
作業員は、図10(a)の状態から下段の梯子基本部材から上方にスライドさせて短縮してゆく。
この例では最下段は固定横桟121であるので、その1つ上の段の梯子基本部材101から上昇させてゆく。その梯子基本部材101筒状体110は、図3の第2の筒状体110−2に相当し、1つ上段の筒状体が第1の筒状体110−1に対して吊下支持されている。下から2段目の梯子基本部材101の筒状体110は上方に押し上げると、図3の逆の流れになり、内側膨出部111と外側膨出部112の係止が外れ、そのまま上方にスライドして上昇する。
摺動が進んでゆくと、やがて横桟120が1つ上段(下から3段目)の横桟120に当接し、梯子基本部材101ごと押し上げることができる。
次に、下から3段目の梯子基本部材101の筒状体110は第2の筒状体110−2となり上方に摺動してスライド移動してゆき、その1つ上段(下から4段目)の梯子基本部材101の筒状体110は吊下支持されている第1の筒状体110−1となる。
このような摺動によるスライドと、上段の横桟120への当接が連動してゆき、次々と梯子基本部材101が下から短縮して収納されてゆく。
図10(b)は、伸縮梯子100を短縮してゆく途中段階の様子を示した図である。
すべての梯子基本部材101が短縮すれば、伸縮梯子の短縮収納状態となる。
上記したように、梯子基本部材101の筒状体110の摺動において、各段の筒状体110の内側膨出部111には、それより下段にあるすべての梯子基本部材101の重量が一時的に掛かって圧力が印加されるが、各段の内側膨出部111の外周には外締体190が取り付けられており、内側膨出部111の形状が潰れないように外周側からしっかりと挟持され、構造的強度が補強されている。
実施例4として、筒状体摺動構造物を一部に組み込んだ伸縮梯子に対して伸長使用状態にある場合に、筒状体の摺動を一時的に固定するロック機構とロック解除機構を設けた構造について説明する。
梯子本体については、実施例2、実施例3で説明したものと同様で良く、ここでの説明は省略する。
ロック機構130は、各段の梯子基本部材101同士の連結部において、伸長使用状態となったことを契機として梯子基本部材101同士の摺動を一時的にロックするロック機構である。
ロック解除機構140は、外部からの操作を契機としてロック機構130のロック状態を解除し、梯子基本部材同士を摺動可能にする機構である。
図11は、伸縮梯子100の展開時における、梯子基本部材101の接合部分のロック機構130によりロックが掛かる仕組みを簡単に示す図である。
図12は、伸縮梯子100の回収時における、梯子基本部材101の接合部分のロック解除機構140によりロック機構130のロックを解除する仕組みを簡単に示す図である。
なお、図11と図12は、横桟120の左端部と対向する筒状支柱体110の一部が示されており、内部の構造が分かりやすいように一部が断面図で示されている。筒状支柱体110の筒部の径の大きさは下に行くほど大きくなっており、1つ上段の筒状支柱体110が当段の筒状支柱体110の中に入れ子式で入り込むものとなっている。
なお、図示していないが、横桟120の右端部にも図10〜図11とは左右対称の同様の構造が設けられている。
図11に示すように、横桟120の左端部の内部には、突出可能に付勢された嵌入ピン131と付勢バネ132が設けられており、筒状支柱体110の一部には、嵌入孔111が形成されている。このように、嵌入ピン131は左側に付勢が付けられており、嵌入孔111の位置にくると突出して挿通可能に形成されている。
また、嵌入ピン131の一部には、ロック解除機構140が回動接合部143を介して回動可能に接続されている。嵌入ピン131の動作は左右水平方向にスライドする動作であるが、図11に示すように、ロック解除機構140は回動接合部143および回動軸142を介して垂直面内での回転動作に変換され、レバー構造体141が反時計回りに回転することにより下方に突出したり、時計回りに回転することにより上方に収納されたりする動作となる。
まず、ロック機構130によりロックが掛かる仕組みを詳しく説明する。
図11(a)に示すように、梯子基本部材101が重力により下方に落下して行く中、嵌入ピン131の先端が嵌入孔111に至ると、図11(b)に示すように、付勢バネ132の付勢力により嵌入ピン131が突出し、嵌入孔111に嵌入するようになっている。そのため、図11(b)に示すように、嵌入孔111がある位置に嵌入ピン131が来れば、付勢バネ132の付勢により嵌入ピン131が突出し、図11(c)に示すように、嵌入ピン131の先端が嵌入孔111内に嵌入し、梯子基本部材101が伸長使用状態において摺動不能に固定されることとなる。
この一連の動きの中で、ロック解除機構140は回動接合部143を介して嵌入ピン131と連動しており、回動軸142を支点として垂直方向に回転し、レバー構造体141が下方に突出する動作を行うようになっている。
図11は、横桟1段分の動きのみを示しているが、伸縮梯子100が重力により各段の梯子基本部材101が落下してゆく中、各段の横桟120において図11に示したロック機構130によるロックが次々と掛かって伸長使用状態となる。
次に、伸縮梯子100の回収時の各段におけるロック解除機構140による横桟のロックを外す仕組みについて説明する。
伸縮梯子100の使用の終了時点では、図12(a)に示すように、付勢バネ132により嵌入ピン131が左側の筒状支柱体110の嵌入孔111に押し込まれた状態が維持され、ロックが掛かっている。
ここで、図12(b)に示すように、外部からレバー構造体141が上方に押し上げられる操作を契機として、ロック解除機構140が時計回りに回動軸142を中心として回転し、嵌入ピン131と連動している回動接合部143が梃子の作用点として中心側に移動し、嵌入ピン131が連動して中心側にスライド移動し、その結果、ロック機構130のロック状態が解除される。
ここで、図12(b)には図示されていないが、後述するように、下方から下段の横桟120が上昇してレバー構造体141に対して衝突すれば、上記した操作レバー構造体141が上方に押し上げられる操作となる。
ロック解除機構140によりロック機構130のロックが解除されると、図12(c)に示すように、当段の横桟120は筒状支柱体110に対して摺動可能となる。ここでは、下方から下段の横桟120が上昇してレバー構造体141に対して衝突し、下方から上に引き上げる力が働いているので、そのまま当段の梯子基本部材101が上昇してゆく。
図11、図12に示した上記の動作が各段で実行され、伸縮梯子全体が伸長使用状態となったり、短縮収納状態となったりする。
以上、本発明の好ましい実施例を図示して説明してきたが、本発明の技術的範囲を逸脱することなく種々の変更が可能であることは理解されるであろう。従って本発明の技術的範囲は添付された特許請求の範囲の記載によってのみ限定されるものである。
本発明の伸縮梯子は、マンホールなどの作業個所で使用する作業用の伸縮梯子として、また、列車の車両の異常事態における車両から脱出する避難用の伸縮梯子や、マンションやホテルなどのベランダから異常時に避難する避難用の伸縮梯子として広く適用することができる。
100 伸縮梯子
110 筒状支柱体
111 内側膨出部
112 外側膨出部
120 横桟
130 ロック機構
140 ロック解除機構
170 掛止具
180 把持部
190 外締体

Claims (10)

  1. 第1の筒状体と、
    前記第1の筒状体の内径よりわずかに小さな外径を持ち、前記第1の筒状体に内挿され得る第2の筒状体と、
    前記第1の筒状体の一部に設けられた絞り部分であり、内壁面の内側に膨出するように設けられた内側膨出部と、
    前記第2の筒状体の一部に設けられた膨出部分であり、外壁面の外側に膨出するように設けられた外側膨出部と、
    前記第1の筒状体の前記絞り部分の前記内側膨出部に対して外周から取り付けられ、前記内側膨出部の外壁面側の絞り形状に嵌り込む絞り部分充填部を支持し、前記絞り形状に嵌合しつつ外部から締め付けて前記内側膨出部の構造的強度を向上する外締体を備えたことを特徴とする筒状体摺動構造物。
  2. 前記絞り部分充填部が前記外締体の内壁面の膨出部分として一体化されたものであることを特徴とする請求項1に記載の筒状体摺動構造物。
  3. 前記絞り部分充填部が、前記外締体の内壁面と、前記第1の筒状体の前記絞り部分の前記内側膨出部との間に注入された接着剤が硬化することにより形成された樹脂成型体であることを特徴とする請求項1に記載の筒状体摺動構造物。
  4. 前記絞り部分充填部が設けられる前記外締体の内壁面が、溝または凹凸が設けられた粗面となっていることを特徴とする請求項3に記載の筒状体摺動構造物。
  5. 前記内側膨出部の内径より前記外側膨出部の外径の方が大きく、
    前記第1の筒状体の前記内側膨出部が設けられた箇所を、前記第2の筒状体の前記外側膨出部が通過できない関係として両者を係止することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の筒状体摺動構造物。
  6. 前記第2の筒状体が支持された状態にあり、
    前記第1の筒状体が前記第2の筒状体に対して上側から外挿され、前記外締体が取り付けられた前記第1の筒状体の前記内側膨出部が、前記第2の筒状体の前記外側膨出部を通過できず、前記内側膨出部と前記外側膨出部の係止によって前記第1の筒状体が前記第2の筒状体に対して係止され得ることを特徴とする請求項5に記載の筒状体摺動構造物。
  7. 前記第1の筒状体が支持された状態にあり、
    前記第2の筒状体が前記第1の筒状体に対して上側から内挿され、前記外締体が取り付けられた前記第1の筒状体の前記内側膨出部を、前記第2の筒状体の前記外側膨出部が通過できず、前記内側膨出部と前記外側膨出部の係止によって前記第2の筒状体が前記第1の筒状体に対して係止され得ることを特徴とする請求項5に記載の筒状体摺動構造物。
  8. 請求項6に記載の筒状体摺動構造物を一部に適用した伸縮可能な梯子であって、
    所定の間隔を隔てて互いに平行に配置された一対の筒状体と前記筒状体の間に設けられた横桟を備えた梯子基本部材を基本単位とし、前記梯子基本部材同士が前記筒状体の筒軸線方向に入れ子状態で摺動可能に順次接続したものであり、前記梯子基本部材が摺動収納された短縮収納状態と、前記梯子基本部材が摺動伸長した伸長使用状態を持ち、各段の前記梯子基本部材同士が摺動して下方に伸長して前記伸長使用状態となり、前記伸長使用状態から前記短縮収納状態に変化し得る伸縮可能な梯子において、
    当段の前記梯子基本部材の前記筒状体の上部付近に前記絞り部分を設けて前記内側膨出部と前記外締体を設け、上段側にある前記梯子基本部材の前記筒状体の下部付近に前記外側膨出部を設け、前記第1の筒状体と前記第2の筒状体の関係とし、
    上段側にある前記梯子基本部材に対して当段の前記梯子基本部材を上下に摺動可能とし、前記内側膨出部と前記外側膨出部が係止し合うまで伸長可能としたことを特徴とする伸縮梯子。
  9. 請求項7に記載の筒状体摺動構造物を一部に適用した伸縮可能な梯子であって、
    所定の間隔を隔てて互いに平行に配置された一対の筒状体と前記筒状体の間に設けられた横桟を備えた梯子基本部材を基本単位とし、前記梯子基本部材同士が前記筒状体の筒軸線方向に入れ子状態で摺動可能に順次接続したものであり、前記梯子基本部材が摺動収納された短縮収納状態と、前記梯子基本部材が摺動伸長した伸長使用状態を持ち、各段の前記梯子基本部材同士が摺動して下方に伸長して前記伸長使用状態となり、前記伸長使用状態から前記短縮収納状態に変化し得る伸縮可能な伸縮梯子において、
    当段の前記梯子基本部材の前記筒状体の下部付近に前記絞り部分を設けて前記内側膨出部と前記外締体を設け、上段側にある前記梯子基本部材の前記筒状体の上部付近に前記外側膨出部を設け、前記第1の筒状体と前記第2の筒状体の関係とし、
    上段側にある前記梯子基本部材に対して当段の前記梯子基本部材を上下に摺動可能とし、前記内側膨出部と前記外側膨出部が係止し合うまで伸長可能としたことを特徴とする伸縮梯子。
  10. 前記内側膨出部と前記外側膨出部が係止し合う状態において、前記梯子基本部材同士を一時的に摺動不能に固定するロック機構と、
    外部からの操作を契機として前記ロック機構のロック状態を解除し、当段と下段の前記梯子基本部材同士を摺動可能にするロック解除機構を備えたことを特徴とする請求項8または9に記載の伸縮梯子。
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