以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。なお、本発明は、物品監視装置、搬送装置、熱処理装置、および、物品監視方法として広く適用することができる。
図1は、本発明の実施形態にかかる熱処理装置1の正面図である。図2は、熱処理装置1の断面図である。図3は、熱処理装置1の主要部について示す平面図であり、一部の要素は省略されている。なお、図2と図3では、後述するアーム部22の向きは異なっている。図1〜図3を参照して、熱処理装置1は、被処理物(物品)100に熱処理を施すために用いられる。より具体的には、熱処理装置1は、被処理物100に向けてガス(熱処理用ガス)および熱エネルギーを供給することで、被処理物100の表面に熱処理を施すことが可能に構成されている。本実施形態において、熱処理装置1は、縦型炉である。
本実施形態では、被処理物100は、半導体を製造するためのウェハであり、円板状に形成されている。なお、被処理物100は、ウェハに限らず、他の部材であってもよい。被処理物100は、キャリア80に収容された状態で、熱処理装置1に搬送され、熱処理装置1内においてキャリア80から取り出された後に熱処理が行われる。そして、被処理物100は、熱処理装置1によって熱処理が施された後、キャリア80に戻され、その後、キャリア80とともに熱処理装置1から取り出される。なお、キャリア80は、作業員または搬送ロボットなどによって、熱処理装置1に対して出し入れされる。
キャリア80は、被処理物100を熱処理装置1などの装置間で搬送するために設けられている。キャリア80は、全体として筒状に形成されている。被処理物100をキャリア80に対して水平な所定の方向に変位させることで、被処理物100をキャリア80に出し入れ可能である。
キャリア80は、複数のスロット80aを有している。スロット80aは、上下に略等間隔に形成されている。1つのスロット80aは、1つの被処理物100を保持することが可能である。より具体的には、各スロット80aは、被処理物100の外周縁部を受けることが可能な受け部を有しており、且つ、上記所定の方向(水平方向)に開放されている。スロット80aは、被処理物100を水平な姿勢で保持する。上記の構成を有するキャリア80は、1または複数(本実施形態では、キャリア81〜84の4つ)、熱処理装置1内に配置される。
熱処理装置1は、筐体2と、搬送装置3と、熱処理部4と、制御部5と、を有している。
筐体2は、中空の箱形形状に形成されており、本実施形態では、四角柱状の外形形状を有している。筐体2は、搬送装置3、熱処理部4、および、制御部5を収容している。筐体2の正面壁6には、一対の扉7,8が配置されている。扉7,8は、キャリア80を筐体2に出し入れするために設けられている。扉7,8は、たとえば、透明な部材を用いて矩形の板状に形成されており、正面壁6に形成された開口部6aに配置されている。扉7,8は、ヒンジ部材を用いて正面壁6に取り付けられており、開口部6aを開閉可能である。開口部6aは、ポート部9の一部として設けられている。
ポート部9は、筐体2のうちキャリア80が設置される部分として設けられており、複数のキャリア80(81〜84)を保持することが可能に構成されている。ポート部9は、筐体2の正面壁6の周囲に形成されている。
ポート部9は、台座10と、第1通路11と、第2通路12と、を有している。
台座10は、キャリア80が載せ置かれる板状の部分として設けられている。台座10は、正面壁6の開口部6aの近傍に設置された支柱13に固定されており、水平に配置されている。台座10は、たとえば、上下に離隔して2つ配置されている。これらの台座10は、筐体2の正面側において筐体2の上下方向および幅方向に複数のキャリア80(81〜84)が並ぶようにこれらキャリア80(81〜84)を保持可能である。開口部6aを通ったキャリア80は、第1通路11を通して台座10に載せ置かれる。
第1通路11は、ポート部9(熱処理装置1)へのキャリア80の出し入れの際にキャリア80が通過する部分として設けられている。第1通路11は、各台座10の上面と開口部6aとの間に形成された部分である。第2通路12は、後述する搬送部14を用いたキャリア80からの被処理物100の出し入れの際に被処理物100が通過する部分として設けられている。第2通路12は、第1通路11とは水平な位置において第1通路11に隣接して形成されている。キャリア80内の被処理物100は、搬送装置3によって、熱処理部4へ搬送される。搬送装置3は、被処理物100を、キャリア80と熱処理部4との間で搬送するために設けられている。
搬送装置3は、搬送部14と、昇降装置15と、を有している。搬送部14は、被処理物100を保持する部分として設けられている。搬送部14は、第1通路11および第2通路12の双方に隣接して配置されており、特に、第2通路12に隣接して配置されている。
搬送部14は、搬送部本体21と、アーム部22と、を有している。
搬送部本体21およびアーム部22は、筐体2内を上下方向に変位する部分として設けられている。搬送部本体21は、本実施形態では、上下に延びる略円柱状に形成されており、ボールねじ機構などを有する昇降装置15を用いて、上下方向に変位可能である。搬送部本体21の上部に、アーム部22が連結されている。
アーム部22は、搬送部本体21に支持されている。アーム部22は、搬送部本体21の中心軸線S1の回りを回転可能であり、且つ、水平方向に伸縮可能に構成された部分である。アーム部22は、電動モータなどの旋回用モータ23によって、上下方向に延びる中心軸線S1回りを回転可能である。また、アーム部22の先端は、搬送部本体21に対して、搬送部本体21の径方向に相対変位可能に構成されている。アーム部22は、電動モータなどを含む伸縮機構24によって変位される。すなわち、アーム部22は、上下方向と直交する水平方向に伸縮可能である。アーム部22の先端には、チャック部25が設けられている。
チャック部25は、被処理物100を吸引することによって被処理物100を保持することが可能に構成されている。また、チャック部25による吸引動作が解除されることで、チャック部25に保持された被処理物100は、チャック部25との結合を解除される。アーム部22には、チャックセンサ26が設けられている。チャックセンサ26は、チャック部25で被処理物100が保持されている場合と被処理物100が保持されていない場合とで異なる信号を出力するように構成されている。
上記の構成により、上下方向への搬送部本体21の変位により、搬送部14の全体が上下方向に変位する。さらに、アーム部22が中心軸線S1の回りを回転しつつ、アーム部22のチャック部25が中心軸線S1に対して近接または離隔するように変位する。これにより、搬送部14は、キャリア80に対する被処理物100の出し入れと、熱処理部4の後述するボート37に対する被処理物100の出し入れと、を行う。熱処理部4は、加熱された雰囲気下で被処理物100を熱処理するために設けられている。
熱処理部4は、ヒータ31と、チューブ32と、端部閉塞部33と、昇降装置34と、ヒートバリア35と、ガス供給部36と、ボート37と、を備えている。なお、図2では、端部閉塞部33およびヒートバリア35などは、チューブ32の下方に位置している状態を実線で示し、チューブ32に隣接している状態を2点鎖線で示している。
ヒータ31は、チューブ32内の雰囲気(気体)を加熱するために設けられている。ヒータ31は、筐体2内において、筐体2の上部に配置されている。ヒータ31は、筐体2の梁部38に固定されている。ヒータ31は、たとえば、電熱ヒータである。ヒータ31は、全体として中空の箱形形状に形成されており、チューブ32のうち当該チューブ32の上部側の一部を収納している。チューブ32の下端部は、ヒータ31の下方に突出している。
チューブ32は、ボート37に収容された被処理物100を収容し、当該被処理物100に熱処理を施すために設けられている。チューブ32は、本発明の「熱処理室」の一例であり、筐体2に収容されている。チューブ32は、たとえば、炭化珪素(SiC)などを用いて形成された、耐熱性の中空部材である。チューブ32は、縦長の円筒状に形成されており、上下方向(鉛直方向)に細長く延びている。チューブ32の上端部は、閉じられている。また、チューブ32の下端部は、下方に向けて開放されている。チューブ32は、梁部38に固定されている。チューブ32は、熱処理装置1における被処理物100の熱処理動作時において、ボート37およびチューブ32内においてボート37に保持された被処理物100を取り囲むように配置されている。チューブ32の下端部は、端部閉塞部33によって閉塞される。
端部閉塞部33は、チューブ32の内部の空間を閉塞するために設けられている。端部閉塞部33は、チューブ32の内部の空間を閉塞した状態と、チューブ32の内部の空間を開放した状態とを切り替えることが可能である。端部閉塞部33は、チューブ32の下端部を閉塞することが可能な形状に形成されている。具体的には、本実施形態では、端部閉塞部33は、全体として円板状に形成されている。
端部閉塞部33は、昇降装置34の駆動によってボート37と上下方向に同行移動する。このように、端部閉塞部33がチューブ32に対して上下方向に変位することで、チューブ32の内部の空間が閉じられた状態と、チューブ32の内部の空間が下方に開放された状態とが、切り替えられる。端部閉塞部33は、柱部材39を保持している。
柱部材39は、端部閉塞部33から上方に延びる柱状に形成されており、ヒートバリア35を保持している。ヒートバリア35は、ボート37からの熱が端部閉塞部33に伝わることを抑制するために設けられている。ヒートバリア35は、たとえば、熱伝導率の比較的低い材料を用いて形成されている。ヒートバリア35は、円板状に形成されており、このヒートバリア35が複数、柱部材39に固定されている。各ヒートバリア35は、上下方向に離隔して配置されている。ヒートバリア35の上方に、ボート37が配置されている。
ボート37は、チューブ32内における被処理物100の熱処理時に被処理物100を保持するために設けられており、上下方向に沿って変位されることで、チューブ32に出し入れされる。ボート37は、受取位置と、熱処理位置との間を上下方向に変位可能である。受取位置は、チューブ32の下方において搬送部14から被処理物100を受け取るための位置である。熱処理位置は、受取位置の上方において被処理物100をチューブ32内に配置するための位置であり、ボート37がチューブ32内に配置される位置である。ポート部9、搬送部14、および、受取位置にあるときのボート37は、並んで配置されており、特に、平面視において、一直線上に並んで配置されている。図3によく示されているように、ポート部9は、筐体2の幅方向に延びているレイアウトが採用されつつ、平面視においては、ポート部9、搬送部14、および、受取位置にあるときのボート37が、並んで配置されている。これにより、多数のキャリア80をより省スペースで配置できる。
被処理物100をボート37に対して水平な所定の方向に変位させることで、被処理物100をボート37に出し入れ可能である。ボート37は、柱部材39に固定されており、柱部材39、ヒートバリア35、および、端部閉塞部33とは上下方向に一体的に移動可能である。ボート37は、受取位置(降下位置)に位置しているときにおいて、搬送部14に隣接して配置されている。ボート37は、本発明の「搬送先部材」の一例であり、搬送部14による、キャリア80からの被処理物100の搬送先である。
ボート37は、複数のスロット37aを有している。スロット37aは、上下に略等間隔に形成されている。1つのスロット37aによって、1つの被処理物100を保持することが可能である。より具体的には、スロット37aは、被処理物100の外周縁部を受けることが可能な受け部を有しており、且つ、上記所定の方向に開放されている。スロット37aは、被処理物100を水平な姿勢で保持する。被処理物100を保持したボート37がチューブ32内に配置され、且つ、端部閉塞部33がチューブ32の下端部を閉塞した状態で、ガス供給部36から熱処理用ガスがチューブ32内に供給される。
ガス供給部36は、チューブ32および端部閉塞部33で囲まれた空間に、熱処理用ガスを供給するために設けられている。ガス供給部36は、チューブ32の外部で生成された熱処理用ガスを、チューブ32内の被処理物100へ向けて供給するために設けられている。ガス供給部36は、チューブ32の下端部に接続されており、チューブ32内の空間に上記のガスを供給する。また、チューブ32の下端部には、排気管40が接続されており、チューブ32内における被処理物100への熱処理の完了後、ガスは、排気管40を通じてチューブ32の外部に排出される。
上記の搬送部14、昇降装置15、および、熱処理部4は、制御部5によって制御される。制御部5は、搬送装置3の一要素でもある。すなわち、本実施形態では、搬送装置3は、制御部5と、ポート部9と、搬送部14と、昇降装置15と、を有している。制御部5は、本発明の「物品監視装置」の一例である。
制御部5は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、および、RAM(Random Access Memory)などを有するコンピュータである。制御部5は、筐体2の上部に収容されており、種々の演算処理を行うように構成されている。なお、制御部5は、PLC(Programmable Logic Controller)などであってもよい。
制御部5は、制御パネル41に接続されている。制御パネル41は、作業員が制御部5へ指令を出力するために設けられている。また、制御パネル41は、熱処理装置1における処理状態などを表示するために設けられている。制御パネル41は、たとえば、タッチパネル式のディスプレイを有しており、所定の操作ボタンなどが表示されるように構成されている。
図4は、熱処理装置1の主要部の電気的な構成を説明するためのブロック図である。図1〜図4を参照して、前述したように、制御部5は、制御パネル41に接続されており、作業員が制御パネル41の操作ボタンを操作することによって制御パネル41で生成された指令信号を受信する。また、制御部5は、制御部5の制御状態などを示す表示用信号などを制御パネル41に出力する。
また、制御部5は、搬送部14および昇降装置15に接続されている。より具体的には、制御部5は、搬送装置3の昇降装置15、搬送部14の旋回用モータ23、アーム部22の伸縮機構24、および、チャックセンサ26に接続されている。制御部5は、チャックセンサ26からの信号を受信するように構成されている。また、制御部5は、昇降装置15、旋回用モータ23、および、伸縮機構24の動作を制御する。
また、制御部5は、熱処理部4に接続されている。より具体的には、制御部5は、熱処理部4のヒータ31、昇降装置34、および、ガス供給部36に接続されている。制御部5は、ヒータ31、昇降装置34、および、ガス供給部36の動作を制御する。
制御部5は、収容数記憶部51と、搬送数計測部52と、判定部53と、を有している。
収容数記憶部51は、複数の被処理物100が収容された各キャリア80における被処理物100の収容数を記憶するために設けられている。すなわち、収容数記憶部51は、キャリア80(81〜84)のそれぞれにおける被処理物100の収容数A(A1〜A4)を記憶する。本実施形態では、作業員が制御パネル41を操作することで、収容数Aを特定するデータが制御パネル41から収容数記憶部51へ出力され、この収容数Aが収容数記憶部51で記憶される。
なお、収容数Aを特定するデータは、図示しない上位装置から収容数記憶部51に出力されてもよいし、キャリア80のスロット80aのそれぞれに対応して設けられる複数のセンサからの出力に基づいて収容数記憶部51で記憶されてもよい。
搬送数計測部52は、搬送部14によってキャリア80(81〜84)からボート37へ搬送された被処理物100の数としての搬送数B(B1〜B4)を計測するために設けられている。搬送数計測部52は、キャリア80毎に、搬送数Bを計測する。本実施形態では、搬送数計測部52は、所定の条件が満たされることで搬送数Bを加算する。この所定の条件は、搬送部14がスロット80a内の1つの被処理物100を搬送のために保持した後、搬送部14において所定の搬送動作が完了した後に、搬送部14のアーム部22に被処理物100が無いことである。搬送数計測部52による被処理物100の計測のより詳細な説明は、後述する。
判定部53は、収容数Aと搬送数Bとを比較し、比較結果に基づく判定結果を生成するように構成されている。より具体的には、各キャリア80について、スロット80aの数と同じ回数だけ搬送部14が被処理物100をキャリア80からボート37に搬送するための動作をした後、収容数Aと搬送数Bとが一致するか否かを、判定部53が判定する。
すなわち、判定部53は、複数のキャリア80のそれぞれに対して個別に、収容数Aと搬送数Bとを比較する。そして、判定部53は、各キャリア80において収容数Aと搬送数Bとが一致しない場合に、所定の警報信号を生成する。判定部53での判定処理のより詳細な説明は、後述する。
次に、熱処理装置1における被処理物100の搬送動作の一例を説明する。図5および図6は、熱処理装置1における被処理物100の搬送動作の一例を説明するためのフローチャートである。なお、以下では、フローチャートを参照して説明する場合、フローチャート以外の図も適宜参照しながら説明する。
図5および図6を参照して、まず、作業員が、被処理物100を収容したキャリア80を、ポート部9の台座10に載せる(ステップS1)。次に、作業員が、制御パネル41を操作する。これにより、各キャリア80(81〜84)のスロット数80aの数Sn(Sn1〜Sn4)を特定するデータと、各キャリア80に収容されている被処理物100の数(収容数A(A1〜A4))を特定するデータとが、制御パネル41から制御部5の収容数記憶部51に入力される(ステップS2)。これにより、収容数記憶部51は、収容数Aを記憶する。なお、このステップS2は、本発明の「収容数記憶ステップ」の一例である。
次に、制御部5は、N番目のキャリア80(熱処理部4での熱処理が行われていない未処理の被処理物100を収容しているキャリア80)を1つ選択する(ステップS3)。なお、Nは、所定の自然数であり、初期値はN=1である。
次に、搬送部14は、N番目のキャリア80におけるn番目のスロット80aから、被処理物100を取り出す動作を行う(ステップS4)。より具体的には、搬送部14のアーム部22のチャック部25が、N番目のキャリア80におけるn番目のスロット80aに収容されている被処理物100を保持する動作を行う。なお、nは、所定の自然数であり、初期値はn=1である。
次に、制御部5は、アーム部22が被処理物100を保持しているか否かを判定する(ステップS5)。具体的には、被処理物100がアーム部22のチャック部25に保持された場合、被処理物100を検出したチャックセンサ26が、被処理物100を検出した旨の信号を制御部5へ出力する。この場合、制御部5は、アーム部22によって被処理物100が保持されていることを検出する(ステップS5でYES)。
この場合(ステップS5でYES)、制御部5は、被処理物100をボート37に搬送する動作を搬送部14に行わせる(ステップS6)。これにより、搬送部本体21の旋回動作、および、アーム部22の伸縮動作などが行われる。その結果、アーム部22に保持されていた被処理物100は、ボート37の1つのスロット80aに搬送される。
次に、制御部5の判定部53は、搬送装置3が所定のプログラム通りに変位しているか否かを判定する(ステップS7)。具体的には、判定部53は、搬送装置3の昇降装置15、搬送部14の旋回用モータ23、および、伸縮機構24の動作に伴って搬送装置3から出力される信号などを基に、予めプログラム通りに搬送装置3が変位しているか否かを判定する。なお、このプログラムは、制御部5のROMに記憶されている。
判定部53は、搬送装置3の搬送部14および昇降装置15が所定のプログラム通りに変位している場合(ステップS7でYES)、ステップS8の処理を行う。一方、搬送装置3の搬送部14および昇降装置15の少なくとも一方について所定のプログラム通りに動作していないと判定部53が判定した場合(ステップS7でNO)、制御部5は、搬送異常停止処理を行う(ステップS9)。具体的には、制御部5は、搬送装置3の動作を停止させるとともに、搬送異常を生じていることを示す信号を制御パネル41へ出力する。これにより、作業員は、搬送装置3に異常が生じていることを認識できる。この場合、搬送装置3の修理などが行われることとなる。
一方、搬送装置3の搬送部14および昇降装置15が所定のプログラム通りに動作している場合(ステップS7でYES)、判定部53は、アーム部22からボート37へ被処理物100を移し終えているか否かを判定する(ステップS8)。被処理物100がアーム部22に留まったままである場合、チャックセンサ26は、被処理物100を検出したままである。この場合、判定部53は、被処理物100がボート37に移されていないと判定する(ステップS8でNO)。この場合、制御部5は、搬送異常停止処理を行う(ステップS9)。
一方、被処理物100がアーム部22からボート37に移されている場合、チャックセンサ26は、被処理物100を検出しない。この場合、判定部53は、被処理物100がボート37に移されたと判定する(ステップS8でYES)。この場合、判定部53は、被処理物100をn番目のスロット80aからボート37のスロット37aに搬送する動作が成功したと判定する。これにより、搬送数計測部52は、搬送数Bをインクリメントする(ステップS10)。なお、このステップS10は、本発明の「搬送数計測ステップ」の一例である。
一方、ステップS5において、n番目のスロット80aに関して被処理物100を保持する動作が行われたにもかかわらず、アーム部22に被処理物100が存在していないと判定部53で判定された場合(ステップS5でNO)、判定部53は、n番目のスロット80aに被処理物100が存在していないと判定する(ステップS11)。
ステップS10で搬送数Bがインクリメントされるか、または、ステップS11でn番目のスロット80aに被処理物100が存在していないと判定された後、判定部53は、選択されているキャリア80について、複数のスロット80aのうちの最後のスロット80aについて、被処理物100の搬送動作が行われたか否かを判定する(ステップS12)。
キャリア80の最後のスロット80aに関する被処理物100の搬送動作が未だ行われていない場合(ステップS12でNO)、制御部5は、変数nをインクリメントし(ステップS13)、ステップS4以降の処理を再び行う。
一方、キャリア80の最後のスロット80aに関する被処理物100の搬送動作が行われた場合(ステップS12でYES)、制御部5の判定部53は、N番目のキャリア80について、被処理物100の収容数Aと搬送数Bとを比較し、収容数Aと搬送数Bとが一致するか否かを判定し(ステップS14)、比較結果に基づく判定結果を生成する。なお、このステップS14は、本発明の「判定ステップ」の一例である。
N番目のキャリア80について、搬送数Bと収容数Aとが一致している場合(ステップS14でYES)、判定部53は、N番目のキャリア80について、全ての被処理物100をボート37に適切に搬送できたと判定する。この場合、判定部53は、全てのキャリア80(81〜84)について、被処理物100の搬送処理が行われたか否かを判定する(ステップS15)。制御部5は、全て(本実施形態では、N=1〜4番目)のキャリア80について、収容数Aと搬送数Bとの比較が済んでいない場合(ステップS15でNO)、変数Nをインクリメントし、ステップS3以降の処理を再び行う。
一方、制御部5は、全て(本実施形態では、N=1〜4番目)のキャリア80について、収容数Aと搬送数Bとの比較が済んだ場合(ステップS15でYES)、各キャリア80からボート37への被処理物100の搬送処理を終了する。
一方、N番目のキャリア80について、収容数Aと搬送数Bとが一致していない場合(ステップS14でNO)、判定部53は、収容数Aと搬送数Bとが一致していないことを示すアラーム信号を制御パネル41に出力する(ステップS17)。これにより、収容数Aと搬送数Bとが一致していない旨の警報表示が、制御パネル41の画面に表示される。
この場合、作業員は、N番目のキャリア80に未搬送の被処理物100が残っていることを知ることができる。そして、作業員は、N番目のキャリア80に残っている被処理物100を手作業などで熱処理部4のボート37に載せる。
そして、たとえば、作業員が制御パネル41を操作することにより、収容数Aと搬送数Bとが一致していない旨の上記のアラーム信号をリセットする信号が制御部5に与えられた場合(ステップS18でYES)、判定部53は、ステップS15の処理を行う。
一方、収容数Aと搬送数Bとが一致していない旨の警報の発令からたとえば所定時間経過したにもかかわらず、上記のリセット動作が行われない場合(ステップS18でNO)、制御部5は、搬送異常処理を行う(ステップS9)。
以上説明したように、本実施形態によると、収容数記憶部51は、予め、キャリア80から被処理物100が搬送(搬出)される前の状態における当該キャリア80内の被処理物100の数を収容数Aとして記憶する。そして、判定部53は、搬送部14によって実際に搬送された被処理物100の数としての搬送数Bと、上記収容数Aとを比較する。これにより、制御部5は、キャリア80に収容されていた被処理物100の数と、キャリア80から実際に搬送された被処理物100の数とを把握できる。したがって、制御部5は、たとえば、搬送エラーなどによってキャリア80から搬送されなかった被処理物100の有無を検出できる。このように、制御部5は、被処理物100の搬送エラーの有無などをより正確に検出できる。その結果、被処理物100を検出するセンサの数が少ない場合であっても、被処理物100のより正確な搬送を実現できる。
さらに、チャックセンサ26の誤検出または故障に起因して、被処理物100(搬送数B)が正確に計数されない場合でも、未処理の被処理物100が発生することをより確実に抑制できる。また、熱処理に際して、事前にキャリア80内の被処理物100の枚数を計数するためのスキャン装置を熱処理装置1に設けなくてもよく、熱処理装置1の製造コストをより低減できる。
また、本実施形態によると、搬送数計測部52は、所定の条件が満たされることで搬送数Bを1つ加算する。この場合の所定の条件とは、搬送部14が被処理物100を搬送のために保持した後、搬送部14において所定の搬送動作が完了した後に、搬送部14に被処理物100が無いことである。この構成によると、搬送数計測部52は、単に搬送部14が被処理物100を保持したか否か、に基づいて搬送数Bをカウントする構成ではない。すなわち、搬送数計測部52は、搬送部14の動作の全体を通じて、被処理物100の搬送の有無を判定する。これにより、搬送数計測部52は、搬送部14による被処理物100の搬送数を、より正確に計測できる。
また、本実施形態によると、判定部53は、収容数Aと搬送数Bとを比較する際(ステップS14)において、収容数Aと搬送数Bとが一致しない場合に、所定の警報信号を生成する。この構成によると、判定部53は、収容数Aと搬送数Bとが一致しないことを作業員などに通知することができる。
また、本実施形態によると、判定部53は、複数のキャリア80のそれぞれに対して個別に、収容数Aと搬送数Bとを比較可能である。この構成によると、熱処理装置1に設置された複数のキャリア80(81〜84)のそれぞれについて、被処理物100のより正確な搬送を実現できる。
また、本実施形態によると、筐体2における第1通路11と、第2通路12と、搬送装置3の搬送部14は、隣接して配置されている。この構成によると、被処理物100を検出するセンサの数を少なくできる結果、搬送装置3をよりコンパクトにすることができる。その上、第1通路11と、第2通路12と、搬送部14は、隣接して配置されている。これにより、搬送装置3を、より一層コンパクトにできる。
また、本実施形態によると、搬送部14は、被処理物100の搬送先であるボート37に隣接して配置されている。この構成によると、搬送装置3を、より一層コンパクトにできる。
また、本実施形態によると、ボート37は、被処理物100の熱処理が行われる際に当該被処理物100を保持するように構成されている。また、熱処理装置1において、被処理物100を検出するセンサ(チャックセンサ26)の数が少ない場合であっても、被処理物100のより正確な搬送を実現できる。これにより、キャリア80によって搬送された複数の被処理物100のなかで、熱処理されない被処理物100が生じること(未処理ロットが生じること)をより確実に抑制できる。
また、本実施形態によると、ポート部9は、筐体2の正面側において筐体2の上下方向および幅方向に複数のキャリア80が並ぶように複数のキャリア80を保持可能に構成されている。また、搬送部14の搬送部本体21は、昇降機構15によって上下方向に変位可能である。また、アーム部22は、上下方向に延びる軸線S1回りを旋回可能に、且つ、水平方向に伸縮可能で、被処理物100を保持可能である。そして、ボート37は、チューブ32の下方において搬送部14からの被処理物100を受け取るための受取位置と、この受取位置の上方において被処理物100をチューブ32内に配置するための熱処理位置と、の間を上下方向に変位可能に構成されている。そして、ポート部9、搬送部14、および、受取位置にあるときのボート37は、並んで配置されている。
この構成によると、被処理物100の搬送および計数に必要なスペースを小さくできる。より具体的には、ポート部9、搬送部14、および、受取位置にあるときのボート37は、並んで配置されている。そして、搬送部14においては、搬送部本体21が上下方向に変位するとともに、アーム部22が回転および伸縮動作する。これにより、アーム部22の先端は、上下方向および幅方向(水平方向)に変位し、被処理物100を、搬送部14に近い位置のキャリア80から、搬送部14に近い位置のボート37に搬送できる。この構成によると、アーム部22の動作範囲は小さくて済み、ポート部9上のキャリア80とボート37との距離を短くできる(搬送を省スペースで行える)。さらに、ボート37の真上にチューブ32が配置される結果、ポート部9とチューブ32との間の被処理物100の搬送経路を短くできる。よって、筐体2に収容される搬送装置3の占める空間について、省スペース化できる。以上より、被処理物100の搬送動作と、計数動作とを、省スペースで行うことができる。
以上、本発明の実施形態について説明したけれども、本発明は上述の実施の形態に限られない。本発明は、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能である。
(1)上述の実施形態では、熱処理装置1において、被処理物100の有無を検出するためのセンサがチャックセンサ26のみである形態を例に説明した。しかしながら、この通りでなくてもよい。たとえば、キャリア80内のスロット80aの1つ毎について被処理物100の有無を検出できるセンサ(たとえば、光学式のマッピングセンサ)が用いられてもよい。この場合、当該センサの検出結果が、収容数Aとして収容数記憶部51で記憶されてもよい。
(2)また、上述の実施形態では、ポート部9において、筐体2の幅方向に沿って2つのキャリア80が配置される形態を例に説明した。しかしながら、この通りでなくてもよい。たとえば、ポート部9において、筐体2の幅方向に沿って3つ以上のキャリア80が配置されてもよい。このように、幅方向にポート部9が伸ばされる場合、たとえば、搬送装置3を幅方向に移動させることで、ポート部9のキャリア80と搬送装置3、搬送装置3とボート37(搬送先部材)をそれぞれ真向かいに面することができる。これにより、平面視で、ポート部9、搬送装置3、およびボート37を最短距離で配置することができる。
キャリア80が3つ以上配置される場合の3つの例が、図7、図8、および、図9に示されている。図7では、ポート部9は、キャリア80を平面視でたとえば時計回り方向CWに変位させることが可能に構成されている。そして、ポート部9には、3つ以上(図7では、3つ)のキャリア80が載せられる。この構成では、ポート部9は、キャリア80を筐体2の開口部6a側からアーム部22側に変位させる。そして、搬送装置3は、アーム部22側を向くキャリア80の被処理物100を、搬送する。この場合、アーム部22の旋回、伸縮、および、チャック部25の伸縮により、被処理物100の搬送時にポート部9とキャリア80と搬送部14、および、搬送部14とボート37とが直線状に並ぶ。このため、被処理物100の計数動作と、最短距離での搬送が可能となり、熱処理装置1の省スペース化を実現できる。
また、図8に示すように、平面視において、搬送部14を取り囲むように複数(図8では4つ)のキャリア80が配置されてもよい。この場合、中心軸線S1の同心円上に、全体として円弧状となるようにポート部9および複数のキャリア80が配置される。この場合、被処理物100の搬送時に、アーム部22の旋回、伸縮、および、チャック部25の伸縮により、ポート部9とキャリア80と搬送部14、および、搬送部14とボート37とが真向かいに対向する。これにより、被処理物100の計数動作と、最短距離での搬送が可能となり、熱処理装置1の省スペース化を実現できる。
また、図9に示すように、筐体2の幅方向に沿って直線状に3つ以上の多数のキャリア80が並ぶようにポート部9が形成されてもよい。この場合、ポート部9は、筐体2の幅方向に延びる形状に形成される。この構成においても、被処理物100の搬送時に、アーム部22の旋回、伸縮、および、チャック部25の伸縮により、ポート部9とキャリア80と搬送部14、および、搬送部14とボート37とがそれぞれ真向かいに対向する。これにより、被処理物100の計数動作と、最短距離での搬送が可能となり、熱処理装置1の省スペース化を実現できる。
このように、上記の実施形態、および、図7〜図9にそれぞれ示す変形例の何れにおいても、被処理物100の搬送時、必要に応じて、搬送部14を筐体2の幅方向に移動させた上で、アーム部22の旋回、伸縮、および、チャック部25の伸縮により、ポート部9とキャリア80と搬送部14、および、搬送部14とボート37とが真向かいに対向する。これにより、被処理物100の計数動作と、最短距離での搬送が可能となり、熱処理装置1の省スペース化を実現できる。
(3)また、上述の実施形態では、被処理物100が半導体ウェハである形態を例に説明した。しかしながら、この通りでなくてもよい。たとえば、被処理物100は、たとえば、太陽電池などの製造に用いられるガラス基板などであってもよい。
(4)また、上述の実施形態では、熱処理装置1が縦型炉である形態を例に説明した。しかしながら、この通りでなくてもよい。たとえば、横型炉に本発明が適用されてもよい。また、熱処理装置以外の装置に本発明が適用されてもよい。