JP6532252B2 - キャビネット - Google Patents
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Description
抽斗がキャビネット本体に完全に退入しても、抽斗とキャビネット本体との間には隙間(以下、キャビネットの隙間という)が生じ得る。故に、キャビネットの隙間を閉塞するパッキンがキャビネット本体に配されている。この結果、害虫がキャビネットの隙間を通ってキャビネット内部へ侵入することが抑制される(特許文献1参照)。
下側の抽斗は蹴込付き抽斗であり、上部前板と、蹴込を構成する下部前板とを有する。上部前板の下端部は下向きに突出している。使用者は、蹴込の手前側の空間(以下、蹴込空間という)に手を入れて、上部前板の後面下端部に手を掛け、蹴込付き抽斗を引き出す。
上側の抽斗が取っ手を備えていない場合、前板の下端部を底板よりも下側へ突出させ、且つ、前板の後面下端部とキャビネット本体との間に、使用者の手が進入可能な空間(以下、進入空間という)を設けておくことが考えられる。使用者は進入空間に手を入れて、前板の後面下端部に手を掛け、抽斗を引き出す。
前板の下端部とキャビネット本体との隙間は、パッキンで閉鎖する必要がある。しかしながら、特許文献1には、下側の抽斗が蹴込付き抽斗ではない場合、及び、上側の抽斗が取っ手を備えていない場合におけるパッキンは記載されていない。
また、蹴込空間又は進入空間の上方には抽斗の底板がある。底板には、抽斗を進退させるためのレールのような金属部材が配されている場合がある。この場合、使用者の手と底板若しくは金属部材との接触を防止するために、蹴込空間又は進入空間の上部を閉鎖する閉鎖部材を抽斗に追加する必要がある。
一方、キャビネットの部品点数を抑えるために、被覆部材、閉鎖部材、又はパッキンを省けば、使用者の安全性又はキャビネットの防虫性が損なわれる。
キャビネット本体から抽斗を引き出す際の手掛け部として、前板の後面下端部を用いた場合、前板の後面下端部に直接的に手が触れることはない。何故ならば、前板の後面下端部は薄板状の被覆部に覆われているからである。
つまり、被覆部及び支持部は、抽斗及び抽斗に取り付けられている部材から、使用者の手を保護する。
舌片状の接触部は、抽斗の退入に伴い、接触部の最下端から上端側に向けてキャビネット本体に接触していく。つまり、接触部は、弾性を有する上に、キャビネット本体に一気に接触せず徐々に接触する。故に、接触部とキャビネット本体との接触の衝撃が和らぐ。
保形性が高い支持部は、パッキンに外力が加えらえた場合であっても無用に変形することがないので、進入空間の上部を閉鎖する機能が損なわれることはない。
また、保形性が高い被覆部及び支持部に囲繞されている進入空間は、パッキンに外力が加えらえた場合であっても無用に変形することがないので、使用者の手が進入空間に挿入不可能になることはない。
従って、本発明のキャビネットは、キャビネットの隙間を閉塞するためだけのパッキン(即ち従来のパッキン)と、前板の後面下端部を被覆する被覆部材と、進入空間の上部を閉鎖する閉鎖部材とを、個別に備えている必要がない。
つまり、本発明のキャビネットが備えるパッキンは、キャビネットの部品点数の増加を招くことなく、防虫性及び安全性を向上させることができる。
図2及び図3は、キャビネット1が備えるパッキン4の構成を略示する側面図及び斜視図である。
図4及び図5は、キャビネット1が備える最上段及び最下段の抽斗31,33がキャビネット本体2に退入した場合のパッキン4,4の形状を示す断面図である。
図6及び図7は、抽斗31,33がキャビネット本体2から進出している場合のパッキン4,4の形状を示す断面図である。
キャビネット1は、キャビネット本体2の他に、上下3段の抽斗31〜33と2個のパッキン4,4と6本のスライドレール11,11,…及びパッキン12とを備えている。
キャビネット本体2は、前部が開放されている中空の直方体状をなし、天壁21、底壁22、後壁23、側壁24,24、蹴込板25、及び空間形成部材26を有する。
図1において、キャビネット本体2は右側の側壁24が省略された状態が示されている。また、図1には、キャビネット本体2に抽斗31〜33が退入した状態が示されている。
前側底壁221は床Fに近い位置に配され、後側底壁222は床Fから遠い位置に配されている。閉塞壁223は前側底壁221の後辺部(後端部)と後側底壁222の前辺部(前端部)とは上下方向に適長離隔して対向配置されている。閉塞壁223は、前側底壁221の後辺部と後側底壁222の前辺部との間を閉塞している。後側底壁222と床Fとの間には、図示しない上下水道管及びガス管等が配されている。
下側壁241は、縦姿勢の矩形平板状である。ただし、下側壁241には、矩形平板の前上隅部が切り欠かれたような切り欠き状部243が設けられている(図4参照)。切り欠き状部243はL字状の周縁部を有し、周縁部の後下隅部は弧状をなしている。
上側壁242は、下側壁241の上側に接触配置された縦姿勢の矩形平板状である。上側壁242の前後方向の長さは下側壁241の前後方向の長さと同程度である。従って、下側壁241と上側壁242との境界部分の前端部には、コ字状の周縁部を有する空間が形成されている。上側壁242の上下方向の長さは下側壁241の上下方向の長さの約3倍である。
空間形成部材26は、左右両側の側壁24,24の切り欠き状部243,243に亘って配されている。このとき、縦板部261及び横板部262の左端部は、左側の切り欠き状部243に沿って配されている。同様に、縦板部261及び横板部262の右端部は、右側の切り欠き状部243に沿って配されている。
各スライドレール11は、側壁24に固定されている前後方向の固定レールと、固定レールに沿って摺動する摺動レールとを備えている。
抽斗31〜33は、何れも取っ手を備えていない。
前板3aの下辺部(下端部)は、底板3bよりも下方へ突出している。
抽斗31の前板3aの下辺部の高さ(床Fからの上下方向の距離)は、空間形成部材26の最上端の高さと同程度である。
抽斗33の前板3aの下辺部の高さは、蹴込板25の上端面の高さより下側である。ただし、抽斗33の前板3aの下辺部は床Fから離隔している。
抽斗31(及び抽斗33)の端板3d,3dには、最上段(及び最下段)の左右両側のスライドレール11,11の摺動レールが取り付けられている。
抽斗31,33のパッキン4,4は、同様の構成である。各パッキン4は下向きのチャンネル状であり、チャンネルの長さ方向が左右方向である。パッキン4は、下向きのチャンネルの前壁部、上壁部、及び後壁部に相当する被覆部41、支持部42、及び接触部43を有する。また、パッキン4は、係止部44〜46を有する。
パッキン4の接触部43以外は、例えば合成樹脂を用いて成形された一体物の部材であり、接触部43よりも剛性が高い。
被覆部41は、両面テープ、タッカー、釘、ビス、及び接着剤等の内の1又は複数を用いて、前板3aに固定してある。即ち、被覆部41は、前板3aに取り付けられている取付部としての機能も有する。
支持部42は、被覆部41の上辺部(上端部)に後ろ向きに突設してあり、支持部42の前辺部と被覆部41の上辺部とは一体である。また、支持部42は、底板3bに対面する。
支持部42は、接触部43を支持する。
接触部43は湾曲舌片状であり、床F及びキャビネット本体2の後壁23夫々に対する投影形状が矩形状である。接触部43の長辺方向は左右方向である。接触部43の左右方向の長さは、支持部42の左右方向の長さと同程度である。接触部43は長辺方向に直線状であり、短辺方向に弧状に湾曲している。接触部43の短辺方向の一辺部(及び他辺部)は上辺部(及び下辺部)である。
接触部43は、凸面側が前下側に(凹面側が後上側に)向いている。
パッキン4の防虫性を向上させるために、接触部43には、例えば虫忌避剤を用いた表面処理加工が施されている。
係止部44は、前板3aの下端面に係止している。被覆部41と係止部44との境界部分(即ち被覆部41の下辺部且つ係止部44の後辺部)は、前板3aの後面と下端面との角部を覆っている。
係止部45は、前板3aの左端面に係止している。
係止部46は、係止部45と略同様の構成である。係止部45,46の差異は、係止部46が、被覆部41の右辺部(右端部)から前側に突出しており、前板3aの右端面に係止している点である。
被覆部41、支持部42、及び係止部44〜46夫々の厚みは同程度である。
抽斗32がキャビネット本体2に退入した場合、底板32bは、底壁22の前側底壁221及び蹴込板25の上方に配される。
抽斗32,33がキャビネット本体2に退入した場合、抽斗32の前板32aの下辺部と抽斗33の前板3aの上辺部とは接近配置される。
前板32aの後面上辺部は、使用者がキャビネット本体2から抽斗32を引き出す際の手掛け部として機能する。
抽斗32がキャビネット本体2に退入している場合、キャビネット1の使用者は、前板32aの上方から進入空間S1に手を入れて、前板32aの後面下辺部に手を掛け、抽斗32を引き出す。
抽斗31,33がキャビネット本体2から進出している場合(図6及び図7参照)、各パッキン4は上述したような形状を有しているが(図2及び図3参照)、抽斗31,33がキャビネット本体2に没入している場合(図4及び図5参照)、各パッキン4は後述するように弾性変形している。
前述したように、第1の隙間は、キャビネット本体2に退入した状態の抽斗31の前板3aの下辺部と空間形成部材26との隙間である。
抽斗31の前板3aに取り付けられているパッキン4は、抽斗31の進退に伴ってキャビネット本体2に接離する。このとき、パッキン4の接触部43の下辺部が、キャビネット本体2の空間形成部材26の縦板部261の上端部に接離する。
抽斗31に後ろ向きの外力が加えられると、抽斗31がキャビネット本体2への退入を開始する。このとき、接触部43の下辺部は、前側から空間形成部材26に接近する。
接触部43と空間形成部材26との接触により、パッキン4は第1の隙間を閉塞する。
抽斗31に取り付けられたパッキン4に囲繞されている空間は、使用者が抽斗31をキャビネット本体2から引き出すための進入空間S2として機能する。進入空間S2と抽斗31の底板3bとの間には、パッキン4の支持部42がある。つまり、進入空間S2の上部は、パッキン4によって閉鎖されている。従って、進入空間S2に進入した使用者の手が、抽斗31の底板3b(又は底板3bに取り付けられている不図示の部材)に触れることはない。
抽斗33の前板3aに取り付けられているパッキン4は、抽斗33の進退に伴ってキャビネット本体2に接離する。このとき、パッキン4の接触部43の上辺部以外(即ち下辺部から上下方向中央部に亘る部分)が、キャビネット本体2の蹴込板25の上端部に接離する。
抽斗33に後ろ向きの外力が加えられると、抽斗33がキャビネット本体2への退入を開始する。このとき、接触部43は、前側から蹴込板25に接近する。
接触部43と蹴込板25との接触により、パッキン4は第2の隙間を閉塞する。
抽斗33に取り付けられたパッキン4に囲繞されている空間は、使用者が抽斗33をキャビネット本体2から引き出すための進入空間S3として機能する。進入空間S3と抽斗33の底板3bとの間には、パッキン4の支持部42がある。つまり、進入空間S3の上部は、パッキン4によって閉鎖されている。従って、進入空間S3に進入した使用者の手が、底板3bに触れることはない。
なお、各パッキン4は、防虫性及び安全性を損なわない範囲であれば、パンチングボード状、網状、又は多孔質部材状等の被覆部41〜接触部43を有している構成でもよい。また、被覆部41の後面に、使用者が手を掛けたときの滑り止めとなる滑り止め部が設けられていもよい。
キャビネット1の製造者は、被覆部41を前側且つ支持部42より下側に向け、接触部43を後側且つ支持部42より下側に向けて、パッキン4を持つ。次に、製造者は、係止部44〜46を前板3aの下端面及び左右両端面に係止させつつ、前板3aの後面下辺部に被覆部41を後側から接触させる。この結果、パッキン4は容易に位置決めされる。最後に、製造者は、被覆部41を前板3aに固定する。
また、キャビネット1は、キャビネット1の隙間を閉塞するためだけのパッキン(即ち従来のパッキン)と、前板3aの後面下辺部を被覆する被覆部材と、進入空間の上部を閉鎖する閉鎖部材とを、個別に備えている必要がない。つまり、パッキン4は、キャビネット1の部品点数の増加を招くことなく、防虫性及び安全性を向上させることができる。
特に、本実施の形態においては、第1及び第2の隙間を閉塞するためのパッキン4,4が共通化されているので、これらが異なる場合に比べて、部品点数が更に減少している。
従って、パッキン4の前板3aへの取り付けは容易である。また、十分な容積の進入空間S2,S3が確保される。更に、進入空間S2,S3の上部が確実に閉鎖される。
仮に、パッキン4が無用に変形すると、パッキン4を前板3aに取り付けることが困難になる。又は、進入空間S2,S3が収縮して使用者の手が進入し難くなる。或いは、進入空間S2,S3の上部を閉鎖することができず、使用者の手が底板3bに接触する虞がある。
パッキン4の接触部43は舌片状に限定されない。例えば、左右方向に長い棒状の接触部43が支持部42の後端部に取り付けられていてもよい。
舌片状の接触部43支持部42の後端部から真下に突出していてもよい。この場合の接触部43は、パッキン4の支持部42とキャビネット本体2との接触を防止すべく、抽斗31(又は抽斗33)がキャビネット本体2に退入した場合に支持部42とキャビネット本体2との間に介在することが望ましい。
接触部43は支持部42から下側に向けて突出しているが、これに限定されない。接触部43は支持部42から上側に向けて突出していてもよい。
また、本発明の効果がある限りにおいて、キャビネット1に、実施の形態に開示されていない構成要素が含まれていてもよい。
2 キャビネット本体
31,33 抽斗
3a 前板
3b 底板
4 パッキン
41 被覆部
42 支持部
43 接触部
44〜46 係止部
Claims (3)
- キャビネット本体、
該キャビネット本体に対して前後方向に進退し、前板の下端部が底板よりも下側へ突出している抽斗、及び、
前記キャビネット本体に退入した状態の抽斗の前板の後面下端部と前記キャビネット本体との隙間を閉塞するパッキン
を備えるキャビネットにおいて、
前記パッキンは前記抽斗に取り付けられており、
前記前板よりも薄い板状をなし、前記後面下端部を覆う被覆部と、
前記抽斗が前記キャビネット本体に退入した場合に前記キャビネット本体に接触する接触部と、
前記前板よりも薄い板状をなし、前記被覆部の下端部以外に前記被覆部に交差する向きに突設され、前記接触部を支持する支持部と
を有し、
前記パッキンは、前記前板に係止する3つの係止部を更に有し、
該3つの係止部は、前記被覆部の下端部及び左右両端部から前側に突出した突片状をなし、前記前板の下端面及び左右両端面に係止し、
前記被覆部と前記3つの係止部の内の前記被覆部の下端部に設けられている係止部との境界部分が前記前板の後面と下端面との角部を覆っていることを特徴とするキャビネット。 - 前記パッキンは下向きのチャンネル状をなし、
前記支持部は、前記被覆部の上端部に後ろ向きに突設されており、
前記接触部は弾性を有する舌片状をなし、
前記接触部の上端部が、前記支持部の後端部に支持されており、
前記接触部の少なくとも下端部が、前側から前記キャビネット本体に接触し、
前記接触部は、
前記キャビネット本体に接触していない場合、下端側が上端側よりも後側に位置しており、
前記キャビネット本体に接触している場合、少なくとも前記下端部が前側に弾性変形していることを特徴とする請求項1に記載のキャビネット。 - 前記被覆部及び支持部は前記接触部よりも剛性が高いことを特徴とする請求項1又は2に記載のキャビネット。
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