以下に図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1は本実施形態の画像読取装置(以下「読取装置」という)100の外観を示す斜視図である。図1に示すように、読取装置100は、読取搬送部1(搬送ユニット)、圧板部40(開閉ユニット)、供給トレイ14、排出トレイ18、及び操作部800を備えている。読取装置100は、撮像素子(ラインセンサ)を固定してシート状の原稿を移動させるオートドキュメントフィードスキャナ(ADFスキャナ)として、又は原稿を固定して撮像素子を移動させるフラットべッドスキャナとして機能することができる。以降、前者の場合について説明する。ADFスキャナでは、供給トレイ14にシート状の原稿をセットし、読取搬送部1によって原稿を搬送しつつ原稿に記録されている画像等の情報を読み取り、原稿を排出トレイ18に排出する。
読取搬送部1のz方向上方の上面には操作部800が設けられている。操作部800には、表示パネル及び操作ボタンが設けられている。ユーザは、表示パネルに表示される画面を確認しながら操作ボタンを用いて読取装置100を操作する。圧板部40のz方向上方の上面には、上から順に供給トレイ14、排出トレイ18が設けられている。供給トレイ14と読取搬送部1とは隣接して配置されている。
図2(a)及び(b)は読取装置100の内部構成を示す断面図である。また、図3は読取装置100の内部構成を示す斜視図である。図2(a)及び(b)、図3に示すように、読取搬送部1は、搬送機構として、ピックアップローラ3、分離パッド4、分離ローラ5、ピックアップ圧板6、第1搬送ローラ7、第2搬送ローラ9、及び搬送路12等を内部に備えている。搬送路12は供給トレイ14から排出トレイ18へ搬送される原稿の搬送路であり、その一部は圧板部40の内部を通るようにに設けられている。搬送路12には、原稿ストッパ15、原稿有無検知センサ16、及び原稿エッジ検知センサ17が取り付けられている。原稿ストッパ15は、供給トレイ14に載置されているシート状の原稿Sの先端を所定の位置に規制する。原稿有無検知センサ16は、原稿ストッパ15よりも供給方向(図中に示す−y方向)の上流側に配置されており、供給トレイ14に載置されている原稿Sを検知する。
供給トレイ14に載置された原稿Sは、ピックアップローラ3とピックアップ圧板6との間の位置にて、回転しているピックアップローラ3に当接してピックアップされる。ピックアップローラ3及びピックアップ圧板6の位置よりも供給方向(図中に示す−y方向)の下流側には、分離ローラ5及び分離パッド4が配置されている。分離ローラ5と分離パッド4とは、互いに圧接している。複数のシートがピックアップされた場合等において、分離ローラ5と分離パッド4との間の位置にて、分離ローラ5によって1枚のシートは他のシートから分離される。分離されたシートは、搬送路12を供給方向下流側へ進行する。搬送路12は第1搬送ローラ7付近にてシートの進行方向を反転させるように構成されている。第1搬送ローラ7と互いに対向する位置には図7に示す第1従動ローラ101が配置されている。この位置まで到達したシートは、第1搬送ローラ7と第1従動ローラ101との間に挟持され、第1搬送ローラ7の回転及びこれに伴う第1従動ローラ101の回転によって、搬送方向(図中に示す矢印y方向)下流側に向かって搬送される。第1搬送ローラ7の位置よりも搬送方向下流側の位置には、原稿エッジ検知センサ17が配置されている。原稿エッジ検知センサ17は、シートSの先端及び後端を検知する。
また、読取搬送部1は、読取機構として、CIS30(密着型イメージセンサ)、読取白地板8、及びADFガラス23等を備えている。CIS30は、LED等の光源から原稿Sの情報面へ光を照射し、原稿Sから反射した光をロッドレンズアレイによって受光素子へ集光させ、結像して画像情報を読み取る。CIS30は、y方向上流側及び下流側へ移動可能に構成されている。シートフィードスキャン時において、CIS30は、読取白地板8と対向する位置(図8に示す読取位置200)に固定され、ADFガラス23を介して原稿Sに記録されている情報を読み取るようになっている。
図2(a)及び(b)に示すように、圧板部40(開閉ユニット)はその内部に排出ガイド部材19を有している。排出ガイド(案内部材)19は、読取搬送部1から搬送されたシートを案内し、排出トレイ18へ導く。圧板部40のz方向下方の位置には原稿読取部2(フラットベッドスキャナ部)が配置されている。原稿読取部2には読取ガラス22(原稿台)が配置されている。フラットヘッドスキャン時において、CIS30はy方向上流側から下流側へ走査し、読取ガラス22に載置されている原稿に記録されている情報を読み取るようになっている。
図4(a)及び(b)は読取装置100の搬送機構の駆動系を示す斜視図であり、図3に示す領域IVの構成を拡大して示している。ここでは、ギヤを介して各ローラに駆動モータMの駆動力を伝達することによって、搬送機構を駆動させる。図4(a)に示すように、駆動モータMと、ピックアップローラ3、分離ローラ5、第1搬送ローラ7、及び第2搬送ローラ9等と、の間には、複数のギヤによって構成されたギヤ列M4が配置されている。
ここでは駆動モータMとして、ブラシ付きのDCモータを用いる。駆動モータMの近傍にはロータリーエンコーダM3が配置されている。駆動モータMのモータ軸にはコードホイールフィルムM1が配設されている。コードホイールフィルムM1には、スリットパターンが記録されている。ロータリーエンコーダM3は、エンコーダセンサM2を用いてコードホイールフィルムM1のパターンを読み取ることによって、駆動モータMの回転量を検出する。ロータリーエンコーダM3からのパルス信号に基づくパルス幅変調(PMW)制御によって、駆動モータMの回転が制御される。
図1に示す状態において、読取装置100のx方向下流側の面を正面とし、x方向上流側の面を背面とすると、図3、図2(a)及び(b)に示すように、ギヤ列M4は読取装置100の背面側に配置されており、正面側に配置されない構成となっている。これに対して、操作部800は正面側に配置されている。
ユーザが操作部800を操作し、読取開始を指示すると、駆動モータMが回転する。駆動モータMの回転は、ギヤによってピックアップローラ3及び分離ローラ5に伝達される。これによって、ピックアップローラ3及び分離ローラ5が回転するとともにピックアップ圧板6がz方向上方に向かって上昇し、ピックアップ圧板6上の原稿Sはピックアップローラ3に対して押圧される。ピックアップローラ3の回転によって、原稿Sは、原稿ストッパ15による規制から解除され、搬送路12へ送り込まれる。
分離ローラ5は、第1搬送ローラ7及び第2搬送ローラ9の回転速度よりも遅い速度で回転するようになっており、駆動モータMを連続回転させると1枚目の原稿と2枚目の原稿との間に所定量の間隔が開くようになっている。
シートフィードスキャン時においては、原稿エッジ検知センサ17によって原稿Sの先端が検知されると、その位置から原稿Sが所定量搬送されたときにCIS30による原稿Sに記録されている情報の読み取りが開始される。すなわち、原稿エッジ検知センサ17にて原稿Sの先端が検知されてから、原稿エッジ検知センサ17から読取位置200までの距離に相当する量だけ原稿Sが搬送された際に、CIS30による原稿Sの読取が開始される。原稿エッジ検知センサ17によって原稿Sの後端が検知されると、原稿エッジ検知センサ17から読取位置200までの距離に相当する量だけ原稿Sが搬送されたときにCIS30による原稿Sの読み取りが終了する。原稿Sの搬送量は、ロータリーエンコーダM3の出力に基づいて求められる。後続の原稿がある場合は駆動モータMを回転させたまま次の原稿を読み取り、原稿有無検知センサ16が原稿を検知しなくなるまで原稿を搬送しつつ原稿の情報を読み取る。
図5は読取搬送部1及び圧板部40をともに開いた状態の読取装置100を示す斜視図である。読取搬送部1及び圧板部40は、読取装置100の筐体に対してヒンジ(不図示)によって開閉可能に取り付けられている。より詳細には、読取搬送部1は、そのy方向上流側の部分が筐体に対してヒンジによって回動可能に取り付けられており、圧板部40は、そのx方向上流側の部分が筐体に対してヒンジによって回動可能に取り付けられている。即ち、読取搬送部1及び圧板部40の回動軸の延在方向は夫々異なっており、その回動方向が異なるように読取搬送部1及び圧板部40は筐体に取り付けられている。これによって、読取装置100の配置スペースが限られている場合であっても、読取搬送部1及び圧板部40を開閉することができる。
図5に示すように、圧板部40には圧板部40を閉じた時に原稿読取部2に対する位置決めとなる凸部40a、40bが設けられている。また、原稿読取部2には、圧板部40を閉じた時に凸部40a、40bと夫々勘合する凹部2a、2bが設けられている。圧板部40を閉じた状態において、凸部40a、凹部2aは正面側に設けられており、凸部40b、凹部2bは背面側に設けられている。凸部40a、40b、凹部2a、2bは、y方向上流側即ち読取搬送部1に隣接する位置に設けられている。このように、凸部40a、40b、凹部2a、2bを配置することによって、圧板部40のサイズよりも大きいサイズの原稿をセットする場合であっても、凸部40a、40bと、凹部2a、2bとの間に原稿が挟まれ、原稿に跡が付くことを防ぐことができる。
図6は読取装置100の制御構成を示すブロック図である。図6に示すように、読取装置100は、主制御基板301、読取部310、ADF駆動部(搬送部)350、操作部800、プリント部315、及び電源供給部340を備えている。
主制御基板301は、主制御IC302、ROM304、RAM305、不揮発性メモリ333、無線LANモジュール334、外部I/F部331、通信接続部327、及び音声出力部325を備えている。主制御IC302は、MPU(制御部)306、読取画像処理部307、記録画像処理部308、及び画像符号化部309等を含んでおり、システムバス303を介して装置全体を制御する。ROM304には、MPU306の動作のためのプログラムコード、初期値データ、テーブルデータ等が格納されている。RAM305は、計算バッファ及び画像メモリ等に使用される。不揮発性メモリ333は、停電時等にワークデータや画像データが消去されないように記憶する。無線LANモジュール334は、装置外のアクセスポイントを介して画像入出力を行う。外部I/F部331は、パーソナルコンピュータ等の外部機器332と接続される外部インターフェース部である。通信接続部327は、通信網328及び電話機329と接続され、音声や符号化データの入出力を行う。音声出力部325は、音声データを信号に変換してスピーカ326からメッセージ音声を出力する。
読取部310は、CIS30、読取画像補正部312、及び読取系駆動部313を備えている。読取部310においては、読取系駆動部313によってCIS30を移動させ、CIS30によって原稿に記録されている画像を光学的に読み取って、これを電気的な画像信号に変換する。この画像信号に基づいて、読取画像補正部312において読み取った画像のシェーディング補正等を行う。読取画像補正部312において補正処理が行われたデータは、主制御IC302の読取画像処理部307へ送られる。読取画像処理部307においては、読取画像補正部312から送られたデータに画像処理を施して高精細な画像データを生成し、これを出力する。
ADF駆動部350は、駆動モータM、ロータリーエンコーダM3、原稿有無検知センサ16、及び原稿エッジ検知センサ17を含んでいる。シートフィードスキャン時においては、駆動モータMによって搬送機構を駆動して原稿を搬送し、且つ読取部310によって原稿の画像情報を読み取る。
操作部800は、表示パネル等の表示部321、操作ボタン等の入力部322、及びI/F部323を備えている。操作部800は、I/F部を介して表示部321に画像を表示し、入力部322からユーザの操作入力を受け付ける。
プリント部315は、プリントヘッド316、記録信号出力部317、及び記録系駆動部318を備えている。記録信号出力部317は、主制御IC302の記録画像処理部308にて作成された記録データを受信し、これをプリントヘッド316に出力する。プリント部315においては、記録系駆動部318によってプリントヘッド316を所定の位置へ移動させ、記録信号出力部317から出力された記録データに基づいてプリントヘッド316を駆動することによって画像を記録する。図1等においては図示しないが、プリント部315は読取装置100の重力方向(z方向)下方に配置されている。
電源供給部340は、主制御基板301、読取部310、ADF駆動部350、操作部800、及びプリント部315の動作に必要な電力を供給する。
以下に、読取装置100におけるPCスキャン動作、コピー動作、ファクシミリ受信動作、及びプリンタ動作について説明する。
PCスキャン動作において、読取部310のCIS30によって読み取られた原稿の画像のデータには、読取画像補正部312にてシェーディング補正等の処理が施される。読取画像補正部312における処理が施された後のデータは、主制御IC302へ送られ、読取画像処理部307によってRAM305に展開された後、画像符号化部309によって例えばJPEG形式等の所定の形式に圧縮符号化される。符号化された画像データは外部I/F部331を介して外部機器332へ出力される。
コピー動作において符号化までの処理は、PCスキャン動作と同様に行われる。符号化されたデータはRAM305に一旦蓄積される。蓄積されたデータは、記録画像処理部308に順次送られ、記録画像処理部308においてプリントヘッド316に対応した記録データに変換される。記録データは記録信号出力部317を介してプリントヘッド316へ送られる。この記録データに基づいてプリントヘッド316を制御することによって、記録媒体に画像が記録される。
ファクシミリ送信動作において読取画像補正部312によるシェーディング補正等の処理は、PCスキャン動作と同様に行われる。読取画像補正部312における処理が施された後のデータは、主制御IC302へ送られる。このデータは読取画像処理部307によってRAM305に展開された後、画像符号化部309によって例えばMR(Modified READ)形式等の所定の形式に圧縮符号化される。符号化されたデータはRAM305に一旦蓄積される。蓄積されたデータは、通信接続部327にてファクシミリ通信の手順信号の送受信を行った後に送信先へ送信される。送信開始後も読取動作を継続して画像データを蓄積しながら送信を継続する。
ファクシミリ受信動作においては、通信網328からの着信があると、通信接続部327にてファクシミリ通信の手順信号の送受信を行った後、画像データの受信を開始する。画像データは、画像符号化部309によって復調され、RAM305に展開される。展開された画像データは、記録画像処理部308に順次送出され、記録画像処理部308にて記録データに変換される。記録データは、記録信号出力部317を介してプリントヘッド316へ送信される。受信した記録データに基づいて、プリントヘッド316を用いて記録媒体に画像が記録される。
プリンタ動作において、外部機器332から送信され外部I/F部331にて受信されたコマンド及び受信パラメータはMPU306にて処理され、画像符号化部309によって画像データとしてRAM305に展開される。展開された画像データは、記録画像処理部308に順次送出され、記録データに変換される。記録データは、記録信号出力部317を介してプリントヘッド316へ送信される。受信した記録データに基づいて、プリントヘッド316を用いて記録媒体に画像が記録される。
図7は読取搬送部1の搬送カバー部50及び搬送駆動部60を開いた状態の読取装置100の内部構成を示す断面図である。図7に示すように、読取搬送部1は、搬送カバー部50、搬送駆動部60、及び搬送固定部70を含んでいる。搬送カバー部50は、その内部に、ピックアップローラ3及び分離ローラ5を備えている。搬送カバー部50の内部は、搬送路12の一部を形成している。搬送駆動部60は、その内部に、分離パッド4、ピックアップ圧板6、第1搬送ローラ7、及び第2搬送ローラ9を有している。また、搬送駆動部60は、図2(b)等を参照して上述した原稿ストッパ15、原稿有無検知センサ16、及び原稿エッジ検知センサ17を有している。また、搬送駆動部60の内部は、搬送路12の一部を構成している。搬送固定部70は、原稿読取部2と一体化されており、第1従動ローラ101及び第2従動ローラ102を有している。
図7に示すように、搬送カバー部50及び搬送駆動部60は、図面正面視から時計回り及び反時計回り方向へ回動可能に搬送固定部70に取り付けられている。搬送カバー部50の回動軸と搬送駆動部60の回動軸とは、互いに平行となっている。搬送カバー部50及び搬送駆動部60が開かれた状態においては、ピックアップローラ3、分離ローラ5、第1搬送ローラ7、及び第2搬送ローラ9の圧接力は解除され、搬送路12にある原稿を比較的容易に取り出すことができる。また、搬送駆動部60を反時計回りに回動させ開くことによって、搬送駆動部60とADFガラス23との間隔が広くなるため、ADFガラス23に付着した汚れ、紙粉、異物等を取り除くことができる。
図5を参照して上述したように、読取搬送部1及び圧板部40は異なる方向へ回動可能に構成されている。また、読取搬送部1の回動軸は原稿搬送方向に対して直交する方向であり、圧板部40の回動軸は原稿搬送方向に対して平行な方向である。このように回転方向が異なるため、読取搬送部1及び圧板部40は夫々の開閉動作の影響を受けずに独立して開閉されることができる。この構成においては、フラットヘッドスキャン時に原稿読取部2に原稿をセットする際、圧板部40のみを開閉すればよいため、読取搬送部1及び圧板部40を一体として回動させる構成よりも軽い力によって圧板部40を開閉し、原稿をセットすることができる。
図8は、搬送路12に含まれる第1搬送路(第1湾曲路)103及び第2搬送路(第2湾曲路)104を説明するための断面図である。図8に示すように、搬送路12は原稿を湾曲させながら搬送するように形成されており、ここでは原稿を2箇所にて異なる向きに湾曲させるようになっている。2つの湾曲部分のうち読取搬送部1の内部に設けられている湾曲部分を含む領域が第1湾曲路103であり、読取搬送部1の内部と圧板部40の内部とに跨って設けられている湾曲部分を含む領域を第2湾曲路104である。
第1湾曲路103と第2湾曲路104は、原稿Sを基準にして見たとき、互いに反対の向きに湾曲している。つまり搬送路12は、第1湾曲路103と、第1湾曲路の下流側であって第1湾曲路とは反対の向きにシートを湾曲させる第2湾曲路104とを含む搬送路となっている。
第1湾曲路103の湾曲部分の頂点部分は、第1搬送ローラ7及び第1従動ローラ101が配置されている部分に設けられている。第2湾曲路104の湾曲部分の頂点部分は、第2搬送ローラ9及び第2従動ローラ102が配置されている位置よりも搬送方向下流側に設けられており且つ読取搬送部1と圧板部40との境界部分の近傍(境界近傍)に設けられている。本実施形態では、2箇所にて原稿を湾曲させるように搬送路を形成しているが、原稿を湾曲させる箇所の数はこれに限定されるものではなく、3カ所以上あってもよい。
読取装置100内を搬送される原稿Sは、第1湾曲路103を通過した後に第2湾曲路104を通過する。第1湾曲路103は略U字型の形状(Uターンパス)であるため、第1湾曲路103を通過した原稿Sには第1湾曲路103のUターンパスの方向と同じ方向(第1の方向)にカールが発生することがある。カールの発生量(カール量)は、第1湾曲路103を通過する際の速度、Uターンパスの半径、ローラ径、ローラ荷重、原稿の種類、原稿の坪量、原稿サイズ、温度、及び湿度等の要因によって変化し得る。一般的には、第1湾曲路103を通過する際の速度が比較的遅く、Uターンパスの半径が比較的小さく、原稿の坪量が比較的大きく、高温多湿の状況において、原稿に比較的強いカールが付く傾向がある。これらの種々のパラメータによりカール量を予想することができる。
第1搬送ローラ7の位置を通過した原稿Sは、読取位置200にてCIS30によってそれにプリントされている情報を読み取られ、ADFガラス23の原稿接触面よりもz方向に上方に配置されている第2搬送ローラ9に向けて搬送される。第2搬送ローラ9の位置に到達した原稿Sは、第2搬送ローラ9及び第2従動ローラ102によって挟持され、これらの回転によって排出ガイド部材19に向けて排出される。圧板部40の内部において、第2搬送ローラ9によって搬送される原稿Sの入口となる開口から、原稿Sと排出ガイド部材19とが接触する位置までの空間には、原稿Sに接触する部材が配置されないようになっている。これによって、第2搬送ローラ9によって搬送される原稿Sは、圧板部40内を所定量進行してから排出ガイド部材19と接触する。
読取搬送部1と圧板部40との境界部分の近傍に第2湾曲路104の湾曲の頂点が位置し、ここを境にして下流側の圧板部40が上側に開くようになっている。つまり第2湾曲路104は、読取搬送部1の通る上流側経路と、圧板部40を通る下流側経路とに分かれている。下流側経路は、圧板部40において供給トレイと排出トレイの間に設けられている。そして、上流経路では原稿Sのシート上面とシート下面を上下から案内するガイド構成になっているのに対して、下流側経路では上ガイドとして排出ガイド部材19があるが、原稿のシート下面を案内する下ガイドが存在しない。この構成により、圧板部40と原稿読取部2との間に厚手の原稿(ブック原稿など)がセットされたまま圧板部40が完全に閉じられていない状態でも、原稿の詰まり(搬送ジャム)の発生を防止することができる。すなわち、圧板部40が僅かに開いた状態でも、下流側に下ガイドが存在しないので境界部分において経路が塞がれることが無く、原稿Sは遮られることなくデカールされながら排出される。この場合、上ガイドである排出ガイド部材19が本来の位置よりも持ち上がるが、搬送される原稿Sを遮るものではなく搬送ジャムを引き起こすことはない。
排出ガイド部材19は、z方向上方から下方に向かって原稿Sを付勢し、排出トレイ18の原稿積載面に向けて原稿Sをガイドする。また、排出ガイド部材19は、原稿Sの全ての領域が圧板部40の内部に搬送された際に、z方向上方から下方に向かって原稿Sを押圧し、排出トレイ18から離れる方向への原稿Sの浮き上がりを防止するように構成されている。これによって、排出トレイ18から原稿Sが浮き上がっている状態において、次に搬送されてきた原稿が排出トレイ18に積載されている原稿Sを押し出すことを防止している。特に原稿Sの後端側の領域のカールが強いと、原稿Sの後端側の領域と次に搬送されてくる原稿の先端部とが接触して原稿Sが押し出されてしまうことがある。そのため、ここでは、排出ガイド部材19は原稿Sの後端側の領域を押さえるように構成されている。これによって、排出トレイ18に複数の原稿を載置する場合等において、排出トレイ18に原稿を揃えて積み重ねることができるようになっている。なお、排出ガイド部材19が押圧する領域は原稿Sの後側の領域に限定されるものではなく、他の領域を押圧するようにしてもよい。
排出ガイド部材19は、圧板部40の内部に回動中心部105を中心として回動可能に取り付けられており、排出トレイ18から離れる方向への回動は回動規制部106によって規制される。排出ガイド部材19に原稿Sの先端が接触すると、排出ガイド部材19は排出トレイ18から離れる方向へ回動するようになっている。排出ガイド部材19は、原稿Sの全ての領域が圧板部40の内部に搬送されるまで排出トレイ18から離れた位置に位置するようになっている。また、圧板部40の内部に搬送されてから排出ガイド部材19と接触するまでに原稿Sの先端は何れの部材とも接触しないようになっている。これによって、原稿Sに対する搬送抵抗を抑え、原稿Sをスムーズに排出させることができる。排出ガイド部材19の排出トレイ18へ近づく方向への回動は、回動規制部(不図示)によって規制されており、排出ガイド部材19は排出トレイ18と接触しないように構成されている。第2搬送ローラ9と第2従動ローラ102とに原稿Sが挟持されている間、排出トレイ18から離れた位置に排出ガイド部材19は位置するようになっている。第2搬送ローラ9と第2従動ローラ102とによる挟持から原稿Sが解放されると、原稿Sは重力によってz方向下方へ落下し、排出トレイ18に近い位置に排出ガイド部材19は位置するようになっている。原稿は、読取搬送部1から搬送されてきた順に排出トレイ18に積載されるようになっている。
第2従動ローラ102の原稿接触面(z方向上方の面)と、排出トレイ18の原稿積載面(z方向上方の面)との間の高低差である排出高さHは、原稿の積載可能高さである。排出高さHを高くするほど積載可能な原稿の枚数を増やすことができるが、装置全体の高さも高くなる。そのため、排出高さHは、積載可能とする原稿の枚数と装置の小型化との両方を考慮して設定される。
ここでは、第2湾曲路104の湾曲部はz方向上方へ向けて凸となる形状となっており、湾曲部の頂点部分は、読取搬送部1と圧板部40との境界部分の近傍に設けられている。読取搬送部1において第2従動ローラ102は、圧板部40との境界部分に隣接した位置に設けられている。これによって、図8に示すように、第2従動ローラ102はz方向上方側に配置されるため、排出高さHは比較的高くなり、比較的多くの原稿を積載することができる。
図9は排出ガイド部材19の配置を説明するための読取装置100の上面図であり、供給トレイ14を取り外した状態を示している。図9に示すように、ここでは、x方向の両端部及び中央部の3箇所に排出ガイド部材19が配置されている。排出ガイド部材19による原稿のガイド効果及び原稿に対する押圧効果は、排出ガイド部材19の質量、個数、配置等によって異なる。排出ガイド部材19を比較的重くしたり、個数を比較的多くしたりすると、ガイド効果及び押圧効果を高くすることができるが、搬送抵抗も大きくなってしまう。そのため、排出ガイド部材19の質量、個数、配置等は、Uターンパスの半径、ローラ径、ローラ荷重、原稿の種類、原稿の坪量、原稿サイズ、及び使用環境として想定される温度や湿度等を考慮して、読取装置100に適したものに設定される。
図8を参照して上述したように、第2湾曲路104は、第1湾曲路103による第1の方向とは反対の向きである第2の方向へ原稿Sを湾曲させるように構成されている。読取装置100内を搬送される原稿は、第1湾曲路103により第1の方向へ曲げられてカールが生じても、第2湾曲路104によって逆向きの第2の方向へ曲げられてカールが矯正(デカール)される。
また、原稿Sの全ての領域が排出トレイ18に載置された際には、原稿Sの後端側の領域が排出ガイド部材19によって押圧されるようになっている。この構成において、原稿のカール量を考慮せずに、第2湾曲路104を通過させてから排出ガイド部材19によって原稿を押圧する場合、カール量によってはカールを低減させることができない場合がある。そこで、原稿のカール量に応じて、第2湾曲路104における搬送動作を制御することによってカールを低減させる。上述のように、第1湾曲路103を通過する際の搬送速度によって原稿に生じるカール量は異なることがある。そのため、以下においては、第1湾曲路103を通過する際の搬送速度即ち読取速度に応じて、第2湾曲路104における搬送速度を制御する方法について説明する。
図10は本実施形態のADF読取動作における搬送動作の流れを示すフローチャートである。図12(a)〜(d)は原稿の搬送状態を説明するための断面図である。図12(a)は供給トレイ14に複数の原稿がセットされている状態を示しており、図12(b)は原稿Sの先端が読取位置200に到達している状態を示しており、図12(c)は原稿Sに対する読取動作が終了した状態を示している。図12(d)は、次の原稿の先端が読取位置200に到達していない状態において、カール低減終了位置500まで原稿Sの後端が到達している状態を示している。図12(e)は、原稿Sの全ての領域が排出トレイ18に載置されている状態において、次の原稿の先端が読取位置200に到達している状態を示している。
図12(a)に示すようにユーザによって複数の原稿が供給トレイ14にセットされ、ユーザの操作によって図10に示すように読取装置100を用いたADF読取動作が開始されと、搬送動作が開始される(S1)。そうすると、MPU306は所定の供給速度となるように駆動モータMを制御し、原稿の給送を開始させる(S2)。MPU306は、セットされた複数の原稿のうち1枚目の原稿Sの先端が読取位置200に到達したか否かを判定し(S3)、到達していない場合(S3にてNO)は到達するまで供給する(S2)。図12(b)に示すように原稿Sの先端が読取位置200に到達している場合(S3にてYES)、MPU306は読取部310による読取動作を開始させる。読取動作中の搬送速度は、供給速度、排出速度、シート間搬送速度よりも遅い速度であるが、原稿Sに記録されている画像の情報量や設定されている読取モード等に応じてその速度は異なる。そのため、MPU306は、それらに対応した読取搬送速度となるように駆動モータMを制御する(S4)。MPU306は、原稿Sに記録されている情報の読取が終了したか否かを判定し(S5)、終了していない場合(S5にてNO)は終了するまで読取動作を継続させる(S4)。図12(c)に示すように原稿Sの全ての領域が読取位置200を通過し、読取動作が終了した場合(S5にてYES)、MPU306は、原稿有無検知センサ16からの信号に基づいて、次の原稿があるか否かを判定する(S6)。
次の原稿がない場合(S6にてNO)、MPU306は、所定の排出速度となるように駆動モータMを制御し(S15)、所定量搬送したか否かを判定する(S16)。この所定量とは、第2搬送ローラ9から原稿Sの後端が排出される搬送量であり、原稿Sの全ての領域が排出トレイ18へ向けて送り出される量に設定される。所定量搬送していない場合(S16にてNO)、所定量搬送するまで搬送する(S15)。所定量搬送している場合(S16にてYES)、搬送動作を終了し、ADF読取動作を終了する(S17)。
次の原稿がある場合(S6にてYES)、MPU306は、現在の読取搬送速度と閾値とを比較する(S7)。この閾値とは、この閾値未満の速度で原稿が搬送された場合、第1湾曲路103を通過することによって原稿に比較的強いカールが生じていると予想される速度である。読取速度が比較的遅い場合、第1湾曲路103に原稿Sが位置する時間も比較的長くなるため、原稿Sに第1湾曲路103に沿ったカールが発生し易く又そのカールも比較的強くなる傾向がある。そのため、読取速度が所定の閾値未満の速度である場合、原稿Sが第2湾曲路104を搬送される際の搬送速度を比較的遅くして、第2湾曲路104に位置する時間を比較的長くする。原稿の種類や環境条件等によって比較的強いカールが生じると予想される搬送速度は異なるため、ここでは、原稿の種類や環境条件等に応じた閾値が求められており、これらの対応関係を示すテーブルはROM304に予め格納されている。MPU306は、ユーザの入力又は検知手段(不図示)から原稿の種類等に関する情報を取得し、ROM304を参照して対応する閾値を求め、この閾値と現在の読み取り搬送速度とを比較する。
読取速度が閾値未満である場合、即ち閾値よりも読取搬送速度の方が遅い場合(S7にてYES)、MPU306は、第2湾曲路104におけるカール低減搬送を開始するカール低減開始位置400に原稿Sの後端が到達したか否かを判定する(S8)。MPU306は、ロータリーエンコーダM3からの出力に基づいて、原稿エッジ検知センサ17が原稿Sの後端を検知してから、原稿エッジ検知センサ17からカール低減開始位置400までの間の距離に相当する量だけ原稿Sを搬送したか否かを判定する。これによって、カール低減開始位置400に原稿Sの後端が到達したか否かを判定する。到達していない場合(S8にてNO)、到達するまで、MPU306は所定のページ間搬送速度となるように駆動モータMを制御し、原稿S及び次の原稿を搬送する(S9)。到達している場合(S8にてYES)、MPU306は、カール低減速度にて原稿Sが搬送されるように、駆動モータMを制御する(S10)。このカール低減速度とは、第1湾曲路103を通過することによって原稿にカールが生じた場合であっても、その速度にて第2湾曲路104を通過させることによって、カールを低減させることができる搬送速度である。カール低減速度は、原稿読み取りを行う読取速度(ページ間速度)よりも遅く設定されている。原稿の種類や環境条件等によって効果的にカールを低減させることができる搬送速度は異なる。原稿の種類や環境条件等に応じて、これらパラメータに適したカール低減速度を予め求めておき、その対応関係を示すデータテーブルがROM304に予め格納されている。MPU306は、ユーザの入力又は検知手段(不図示)から原稿の種類等に関する情報を取得し、ROM304を参照して対応するカール低減速度を求め、このカール低減速度となるように駆動モータMを制御する。
シート後端が第1湾曲路103を通過した後の原稿を、第1湾曲路103と反対の方向へ湾曲している第2湾曲路104へ搬送する。第2湾曲路104において、第1湾曲路103を通過することによって生じたカールを伸ばしてデカールする方向へ原稿Sを変形させながら、所定のカール低減速度によって原稿Sを搬送する。これによって、原稿Sに第1湾曲路103の形状に沿うカールが生じた場合であっても、とくにシート後端のカールを効果的に低減させることができる。
MPU306は次の原稿の先端が読取位置200に到達したか否かを判定する(S11)。到達している場合(S11にてYES)、MPU306は、カール低減速度から読取搬送速度へ搬送速度を切り替え、S4以下の処理を再び実行する。到達していない場合(S11にてNO)、カール低減搬送を終了するカール低減終了位置500まで原稿Sの後端が到達しているか否かを判定する(S12)。MPU306は、ロータリーエンコーダM3からの出力に基づいて、原稿エッジ検知センサ17が原稿Sの後端を検知してから、原稿エッジ検知センサ17からカール低減終了位置500までの間の距離に相当する量だけ原稿Sを搬送したか否かを判定する。これによって、カール低減終了位置500に原稿Sの後端が到達したか否かを判定する。到達していない場合(S12にてNO)、到達するまで、カール低減速度のまま搬送を続ける(S10)。図12(d)に示すようにカール低減終了位置500まで原稿Sの後端が到達している場合(S12にてYES)、MPU306は所定のページ間搬送速度となるように駆動モータMを制御し、原稿S及び次の原稿を搬送する(S13)。第2搬送ローラ9から原稿Sの後端が排出される際の速度が比較的遅い場合、原稿Sの後端が第2従動ローラ102やその付近に止まり、排出されない場合がある。そのため、カール低減終了位置500は、原稿Sの後端が第2搬送ローラ9に到達する前の位置に設定されており、ページ間搬送速度は第2従動ローラ102から原稿Sの後端が排出される速度に設定されている。MPU306は、次の原稿の先端が読取位置200に到達したか否かを判定し(S14)、到達していない場合(S14にてNO)、到達するまで搬送する(S14)。図12(e)に示すように次の原稿の先端が読取位置200に到達した場合(S14にてYES)、S4以下の処理を実行する。読取速度が閾値未満でない場合、即ち閾値よりも読取搬送速度の方が速い場合(S7にてNO)、上述のS13、S14の処理が実行される。
読取搬送速度が比較的速い場合、原稿Sにはカールが付かないか付いたとしても比較的弱いカールとなる。そのため、排出トレイ18への原稿の積載時に、次の原稿によって原稿Sが押し出されるような事態は生じ難くなる。したがって、ここでは、比較的強いカールが生じていると予想される場合であって原稿のカールによる影響が比較的大きいと予想される場合、カール低減速度にて原稿を搬送するように制御する。なお、S10において、カール低減速度での搬送中に搬送動作を一時的に停止させてもよい。これによって、カール低減効果をより大きくすることもできる。
また、原稿の厚さ、種類、及びサイズ等に応じて、カール低減速度による搬送が必要か否かを判定してもよい。原稿が比較的厚く剛性が高い場合、第1湾曲路103を通過することによって生じる原稿のカールは比較的強くなることがあるため、この場合はカール低減速度にて原稿を搬送するようにしてもよい。原稿が比較的薄く剛性が低い場合は、カール低減速度とせずに原稿を搬送するようにしてもよい。MPU306は、原稿の厚さ、種類、及びサイズ等の情報を、ユーザからの入力によって取得してもよいし、これらの情報を検知可能な検知手段(不図示)から取得してもよい。
第2湾曲路104における原稿の搬送速度を、第1湾曲路104を通過することによって原稿に生じると予測されるカールの程度(カール量)に応じて、適宜変更することによって、カール低減効果を高めることができる。また、カール低減速度にて搬送する際においても、第2搬送ローラ9に到達する前にカール低減速度よりも速いシート間搬送速度へ搬送速度を切り替えることによって、読取搬送部1から原稿の後端が排出されない事態を防止することができる。
なお、ここでは、次の原稿がない場合はカール低減速度によって原稿を搬送するカール低減動作を実行させない場合について説明したが、次の原稿がない場合であってもカール低減動作を実行させてもよい。また、ここでは、第1湾曲路103を通過することによって生じたカールを低減させる方法について説明したが、カールを有する原稿を搬送する場合であっても本構成を適用することができる。この場合であっても、カールの湾曲方向と反対の方向に湾曲している搬送路を通過させる際の搬送速度を制御することによって、本実施形態と同様の効果を奏することができる。
(第2実施形態)
本実施形態においては、第2湾曲路104において原稿Sを往復移動させながらカールを伸ばすことによって、カールを低減させる。ここでは、ADF読取動作における搬送動作の制御が第1実施形態と異なる。その他の構成は第1実施形態と同様であるのでその説明を省略する。
図11は本実施形態のADF読取動作における搬送動作の流れを示すフローチャートである。図11に示す処理において図10を参照して説明した処理と同様な処理については図10と同じ符号を付してその説明を省略する。
図11に示すように、読取搬送速度が閾値未満である場合(S7にてYES)、MPU306は、ページ間搬送速度となるように駆動モータMを制御し、原稿S及び次の原稿を搬送する(S18)。MPU306は次の原稿の先端が読取位置200に到達したか否かを判定する(S19)。到達している場合(S19にてYES)、MPU306は、ページ間搬送速度から読取搬送速度へ搬送速度を切り替え、S4以下の処理を実行する。到達していない場合(S19にてNO)、カール低減終了位置500まで原稿Sの後端が到達しているか否かを判定する(S20)。到達していない場合(S20にてNO)、到達するまで、ページ間搬送速度のまま搬送を続ける(S18)。図12(d)に示すようにカール低減終了位置500まで原稿Sの後端が到達している場合(S20にてYES)、MPU306はページ間搬送速度にて逆回転するように駆動モータMを制御する。これによって、原稿S及び次の原稿を搬送方向とは反対の方向へ搬送する(S21)。MPU306は、原稿Sの後端がカール低減開始位置400まで戻ったか否かを判定する(S22)。戻っていない場合(S22にてNO)、戻るまで搬送する(S21)。戻っている場合(S22にてYES)、MPU306はページ間搬送速度にて正回転するように駆動モータMを制御し、原稿S及び次の原稿を搬送方向へ搬送する(S23)。そして、MPU306は、原稿Sの後端がカール低減終了位置500に再び到達したか否かを判定する(S24)。到達していない場合(S24にてNO)、到達するまで搬送する(S23)。到達している場合(S24にてYES)、図10を参照して上述したS13の処理へ進む。
このように、読取搬送速度が比較的長く原稿Sに比較的強いカールが生じていると予想される場合、第2湾曲路104においてy方向へ往復移動させるように原稿Sを搬送する方向を制御する。
なお、第2湾曲路104において原稿をy方向へ1回往復移動させる方法について説明したが、往復移動は1回に限定されるものではなく、2回以上の往復移動を行ってもよい。また、第2湾曲路104において原稿Sを往復移動させる際の搬送速度をページ間速度とする場合について説明したが、第1実施形態にて説明したカール低減速度によって原稿Sを往復移動させてもよい。
以上、読取装置における原稿の搬送動作について説明したが、原稿読み取り以外の処理(プリント、あるいはその他の処理)を行うシート処理装置にも本発明を適用することができる。この場合であっても、シートの湾曲方向と反対の方向へ湾曲している搬送路において、シートの搬送動作を制御することによって、シートのカールを低減させることができる。