JP6532012B2 - 地震待避構造 - Google Patents
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Description
また、特開2014−39664号の耐震テーブルでは、化粧天板を除いた部材を金属材で形成し、部材をボルト締めして組み立てる耐震テーブルであって、化粧天板を支持する台枠と四隅の脚を連結して支持台を形成し、台枠の表面に金属板を貼設し、さらにその表面に化粧天板を貼設し、底枠の四隅に支柱を立設した底枠体を、建物ベタ基礎のコンクリート底盤に固定して1階床下空間に設け、1階床板1を貫通して床下空間に突出させた脚を、支柱に連結して設置して構成されている。
しかし、上記従来の構成では、落下物に対し変形、破壊しない強固な空間を得る目的で設計されている為、重量物を使用する必要があり、以下の不具合があった。
(1)この種の構造の多くは、設置に際して相当の床強度を必要とし、建築基準法に示す床強度1,800N/m2では不足するため、設置場所が1階を対象としており、地震により崩壊されることの少ない2階以上の上層階に対応するものが少なかった。
(2)重量物であるため、搬入、設置の際に大型トラック、重機等を必要とする場合が多く、また、屋外設置式のものや、新築時に設置または家屋の一部を改造する必要があり、設置に費用がかかり、平常時の日常生活で邪魔になるなどの不具合があった。
建造物に既設の左右に対峙する第1構造躯体と第2構造躯体の間の上方に山形状の保護フレームを掛け渡して一時避難用の空間を形成する地震待避構造であって、
保護フレームの一端が第1構造躯体に枢着され、該第1構造躯体と天井に沿う折畳姿勢と、保護フレームの他端が第2構造躯体に設けた受部に掛け止められて、第1構造躯体と第2構造躯体の間に山形状に掛け渡される展開姿勢とに枢動変位する保護フレームと、
前記第1構造躯体に基端が枢着され、天井に沿って伸びる待機姿勢と、枢動により先端が展開姿勢の保護フレームの山形の一方の辺の上面に衝合する作動姿勢とに変位する第1ステーと、
前記第1ステーと対峙して第2構造躯体に基端が枢着され、天井に沿って伸びる待機姿勢と、枢動により先端が展開姿勢の保護フレームの山形の他方の辺の上面に衝合する作動姿勢とに変位すると共に、長手方向の中途位置で前記折畳姿勢の保護フレームの自由端を掛止める掛止部を備えた第2ステーと、
天井に沿って伸びる待機姿勢の第1ステーの先端および第2ステーの先端を支持して係合し、地震発生時に前記係合を解除する係合解除装置とを有することを特徴とする。
請求項2の発明では、
前記第1ステーと第2ステーの中途位置に形成された枢軸に掛け渡されて両端側が枢着され、第1ステーと第2ステーの待機姿勢と作動姿勢の変位に対応して上下方向に平行移動可能な長孔を有しており、前記第1ステーと第2ステーの作動姿勢を拘束する戻り防止具を備えていることを特徴とする。
請求項3の発明では、
前記係合解除装置の解除時に、第1ステーを作動方向に付勢する第1付勢手段と、第2ステーを作動方向に付勢する第2付勢手段とを有することを特徴とする。
この地震待避構造は、地震による崩壊が少ない2階以上の上層階、例えば、2階建てや3階建て住宅などで、主に1階を除く上層階に設置して使用するもので、落下物に対して多少の変形は容認しつつも、地震発生中ないし直後から避難、救助されるまでの一時的に有効な待避空間を提供することができる。
また、この地震待避構造では、前後に離間して平行に並べた2個所以上の地震待避構造の保護フレーム間を一連に覆う保護カバーを連結すれば、上方からの落下物を幅広く避ける事が出来る。
更に、展開姿勢の保護フレームは両端が左右の構造躯体により支持されるので、上方からの負荷を左右の構造躯体に分散することができ、床の許容重量を考慮する必要がなく、また、展開姿勢の保護フレームは第1ステーと第2ステーによって筋交い状に支持され補強されるので、使用時における剛性を向上させることができる。
また、構成部品が小型・軽量のものを使用することができるので廉価であり、また設置場所への搬入や移動に大型機械を用いることなく、簡便に行うことができる。
地震待避構造1は、建造物の上層階で、その建造物に既設の構造躯体として、左右に対向して配置された柱や梁、耐力壁などが配置されている個所で、廊下や踊り場、階段その他の横幅方向が比較的狭い空間に設置される。
本実施例では構造躯体として柱を適用したもので、第1柱部材2と向き合う第2柱部材3が配置された建造物について説明する。
そして、前記第1柱部材2の中途位置には保護フレーム5の一端5a側を枢着する枢着部6が設けられ、第2柱部材3には、前記枢着部6と対向する位置に保護フレーム5の他端5b側を掛止めて支持する受部7が形成されている。
保護フレーム5は、略中央が最も突出するコーナー部50となり、左右の辺51,52が直線または曲線で下降傾斜する山形状またはアーチ状に形成された鋼材のフレームからなっている。
この保護フレーム5は、前述のようにその一端5aが第1柱部材2の枢着部6に枢着されており、保護フレーム5が枢着側の第1柱部材2と建造物の天井面30に沿った折畳姿勢(図1参照)から、図2に示すように、円弧状に落下し、他端5bが第2柱部材3の受部7に支持されて保護フレーム5の中央のコーナー部50が上を向く山形状とした展開姿勢(図4参照)に枢動変位することができ、展開姿勢で山形状で囲まれた避難空間Sを形成する。
また、第2柱部材3には、前記枢着部6に対峙する位置に保護フレーム5の先端5bを掛止めて支持する受部7が固定されている。
本実施例では、保護フレーム5のコーナー部50に沿ってその内側に配置され両端部がそれぞれ保護フレーム5の中途位置に固着されたコーナー補強部材8が固定されて、保護フレーム5を補強している。
前記受部7は、保護フレーム5が図4に示す展開姿勢になる際に、その他端(自由端)5bが、下方に居る人に接触したりぶつかって衝撃を与えないように、落下時の衝撃を和らげるため、ショックアブソーバ7aを取り付けることで、受部本体7bに接する手前から落下速度を減速させて支持されるようになっている(図3参照)。
前記第1柱部材2の延長上の第1枢着部13に、第1ステー11の基端11aが枢着される。
第1枢着部13は、第1柱部材2に設けられることが好ましいが、第1柱部材2の上部にある壁面その他の構造躯体であってもよい。
同様に前記第2柱部材3の延長上に第2枢着部14が設けられて、第2ステー12の基端12aが枢着される。
また、第2ステー12には、その長手方向の中途位置に、前記折畳姿勢の保護フレーム5の他端5bを掛止める掛止部15が一体に形成されている。
該掛止部15は、図示例では略L状の突片からなっており、前記保護フレーム5の他端5bを下から掛止めるようになっている。
前記第2ステー12は待機姿勢において、掛止部15に、折畳姿勢の保護フレーム5の他端5bが掛け止められているので、保護フレーム5を折畳姿勢で保持するようになっている(図1参照)。
これにより第1ステー11と第2ステー12とは、作動姿勢において、保護フレーム5の上面に衝合し斜交い状になる。
そこで、地震に際して構造躯体の変形等によって保護フレーム5が迫り上がろうとすると、上から保護フレーム5を押さえて迫り上がりを防止し、位置を固定して展開姿勢を維持することができ、山形状の待避用空間を確保することができる。
前記待機姿勢における第1ステー11と第2ステー12とは、天井面30に沿って略水平に配置されるが、それぞれの先端11b、12bは、係合解除装置20によって係合されて待機姿勢に保持される。
そして、センター等の検知手段が所定の震度を超える振動を検知すると、機械的または電気的に前記ロックを解除して、前記先端11b、12bの係合を解除する。
上記係合解除装置20による係合が解除されると、前記第1ステー11と第2ステー12は、それぞれ自重によって先端11b、12b側が落下して作動姿勢に枢動変位する。
電気的に行う場合は、第1ステー11、第2ステー12を電磁式フックで掛止め、震動を感知するとD7Gシリーズ感震装置(商品名 オムロン株式会社製)などの地震センサーで通電時に、リレー出力への電気供給が行われる接点を利用して、自動で前記電磁式フックを外して係合を解除する方法などが考えられる。
電力会社の発電所、配電用変電所と本発明の防災アーチフレームの地震待避構造の設置場所とが離れている場合、この設置場所で地震の揺れを感知する前に、電力会社からの電力供給が遮断される場合も想定される。
この場合、前記D7G−Fシリーズ等の感震装置では、地震センサへの電気供給も遮断されるが、電気供給が遮断すると同時に地震センサが作動する構造となっているため問題はない。
この際に第1ステー11および第2ステー12に、落下方向に付勢される第1付勢手段16、第2付勢手段17が設けられる。
図示例では、第2付勢手段17の他端は第2ステー12の掛止部15に連結され、第1付勢手段16の他端は第1ステー11の突片18に連結されている。
上記第1付勢手段16、第2付勢手段17はコイルスプリングに限定されず、バネ材その他の作動方向に付勢される公知の付勢部材を用いてもよい。
戻り防止具25は、前記第1ステー11と第2ステー12のいずれか一方、本実施例では、第1ステー11の掛止部15が形成される個所に形成された枢軸26に一端が枢着されており、他端が第2ステー12の中途位置に設けられた突片18に設けられた枢軸27に嵌合する長孔28を有する長尺部材からなっている。
また、戻り防止具25は、保護フレーム5に損傷が無い場合には、手動操作によって元の待機姿勢に復帰させることができる。
即ち、図6に示すように、前記実施例1の地震待避構造1を前後一対(直列に並べれば2つ以上でもよい)に配置し、その一対の保護フレーム5間の上部には、図5で例示するような鉄板、鉄丸棒、鉄パイプ、鉄網等の保護カバー30を取り付けることで、離間した一対の保護フレーム5間の上方を覆って、広い範囲での避難空間Sを確保することができる。
また、地震待避構造1の係合解除装置20は、それぞれが独立して作動するものでもよいが、いずれか一方の作動に連動して作動するようにしてもよい。
即ち、この発明の各構成部品は、設置後の外観を向上させる為、装飾をおこなっても良い。
例えば、汚し塗装を行えば、古民家、旅館、文化財等にも設置可能である。
また、構成部品の断面係数、板厚等を適宜変更することで、強度の向上を図れば、最上階に限らず中間階でも使用することができる。
また、構成部品は、鉄材部品を木等で覆って装飾してもよいし、部品は管材を用いてもよく、鉄の他にステンレス材などを適宜用いても良い。
また、保護カバーは、鉄板、鉄丸棒、鉄パイプ、鉄網等に限らず、ポリカネート板でも良い。
更に、保護フレームの受部の緩衝手段としてショックアブソーバを用いる場合には、油圧式、空気圧式、スプリング式などの公知の構造を用いることができる。
その他、要するにこの発明の要旨を変更しない範囲で種々設計変更しうること勿論である。
2 第1柱部材
3 第2柱部材
5 保護フレーム
5a 一端
5b 他端
6 枢着部
6a 枢軸
7 受部
7a ショックアブソーバ
7b 受部本体
8 コーナー補強部材
11 第1ステー
11a 基端
11b 先端
12 第2ステー
12a 基端
12b 先端
13 第1枢着部
14 第2枢着部
15 掛止部
16 第1付勢手段
17 第2付勢手段
18 突片
20 係合解除装置
25 戻り防止具
26 枢軸
27 枢軸
28 長孔
30 天井面
35 保護カバー
40 連結部材
50 コーナー部
51、52傾斜辺
Claims (3)
- 建造物に既設の左右に対峙する第1構造躯体と第2構造躯体の間の上方に山形状の保護フレームを掛け渡して避難用の空間を形成する地震待避構造であって、
保護フレームの一端が第1構造躯体に枢着され、該第1構造躯体と天井に沿う折畳姿勢と、保護フレームの他端が第2構造躯体に設けた受部に掛け止められて、第1構造躯体と第2構造躯体の間に山形状に掛け渡される展開姿勢とに枢動変位する保護フレームと、
前記第1構造躯体に基端が枢着され、天井に沿って伸びる待機姿勢と、枢動により先端が展開姿勢の保護フレームの山形の一方の辺の上面に衝合する作動姿勢とに変位する第1ステーと、
前記第1ステーと対峙して第2構造躯体に基端が枢着され、天井に沿って伸びる待機姿勢と、枢動により先端が展開姿勢の保護フレームの山形の他方の辺の上面に衝合する作動姿勢とに変位すると共に、長手方向の中途位置で前記折畳姿勢の保護フレームの自由端を掛止める掛止部を備えた第2ステーと、
天井に沿って伸びる待機姿勢の第1ステーの先端および第2ステーの先端を支持して係合し、地震発生時に前記係合を解除する係合解除装置とを有することを特徴とする地震待避構造。 - 第1ステーと第2ステーの中途位置に形成された枢軸に掛け渡されて両端側が枢着され、第1ステーと第2ステーの待機姿勢と作動姿勢の変位に対応して上下方向に平行移動可能な長孔を有しており、前記第1ステーと第2ステーの作動姿勢を拘束する戻り防止具を備えていることを特徴とする請求項1に記載の地震待避構造。
- 係合解除装置の解除時に、第1ステーを作動方向に付勢する第1付勢手段と、第2ステーを作動方向に付勢する第2付勢手段とを有することを特徴とする請求項1または2に記載の地震待避構造。
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