JP6531433B2 - Cu−Ga合金円筒型鋳塊 - Google Patents
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Description
ここで、Cu−In−Ga−Se四元系合金薄膜からなる光吸収層を形成する方法として、蒸着法により成膜する方法が知られている。蒸着法によって成膜された光吸収層を備えた太陽電池は、エネルギー交換効率が高いといった利点を有しているものの、成膜速度が遅く、生産効率が低いといった問題があった。
ここで、円筒型スパッタリングターゲットは、その外周面がスパッタ面とされており、ターゲットを回転しながらスパッタを実施することから、平板型スパッタリングターゲットを用いた場合に比べて連続成膜に適しており、かつ、スパッタリングターゲットの使用効率に優れるといった利点を有している。
また、外周面から深さ4mm位置において測定された平均結晶粒径が100μm以上5mm以下の範囲内とされ、外周面から深さ4mm位置において測定された結晶粒径の標準偏差が前記平均結晶粒径値以下とされているので、スパッタ時における異常放電の発生を抑制可能なCu−Ga合金円筒型スパッタリングターゲットを製造することが可能となる。
前記軸線に対して直交する断面における径方向の最大肉厚Tmaxと最小肉厚Tminとの差が3mm以下とされているので、Cu−Ga合金円筒型スパッタリングターゲットを製造する際の切削加工量をさらに少なくすることができ、歩留り良くCu−Ga合金円筒型スパッタリングターゲットを製造することが可能となる。
本実施形態であるCu−Ga合金円筒型鋳塊10は、例えば太陽電池においてCu−In−Ga−Se四元系合金薄膜からなる光吸収層を形成するために、Cu−Ga合金薄膜をスパッタによって成膜する際に使用されるCu−Ga合金円筒型スパッタリングターゲットの素材となるものである。
ここで、Cu−Ga合金円筒型鋳塊10の外周面が、Cu−Ga合金円筒型スパッタリングターゲットにおけるスパッタ面に該当することになる。
この最大曲がり量は、以下のように測定される。図2に示すように、水平かつ平らな定盤20の上にCu−Ga合金円筒型鋳塊10を載置し、定盤20との隙間Sの最大値を測定する。この隙間Sの測定を90°間隔で4箇所実施した平均値を「最大曲がり量」とする。
本実施形態では、図3に示すように、Cu−Ga合金円筒型鋳塊10を軸線Oに対して直交するように切断し、その断面において45°間隔の8箇所で、径方向の肉厚Tをノギスで測定して最大肉厚Tmaxと最小肉厚Tminとの差を算出した。
本実施形態では、軸線O方向の4箇所の位置で、周方向に90°間隔の4箇所で結晶粒径を測定し、平均結晶粒径及び標準偏差を求めた。
また、結晶粒径の標準偏差(σ)が平均結晶粒径値を超えると、スパッタ時の異常放電という問題がある。このため、本実施形態では、外周面における結晶粒径の標準偏差を、平均結晶粒径値以下に規定している。
本実施形態であるCu−Ga合金円筒型鋳塊10は、縦型連続鋳造装置や横型連続鋳造装置等の各種連続鋳造装置を用いて連続的に製出され、所定長さに切断されることによって製造される。
この連続鋳造装置30は、鋳造炉31と、鋳造炉31に連結された連続鋳造用鋳型40と、連続鋳造用鋳型40から製出されたCu−Ga合金円筒型鋳塊10を引き抜くピンチロール38と、を備えている。
ピンチロール38は、連続鋳造用鋳型40から製出されるCu−Ga合金円筒型鋳塊10を挟み込み、引き抜き方向Fへ引き抜くものである。本実施形態では、Cu−Ga合金円筒型鋳塊10を間欠的に引き抜く構成とされている。
冷却部48は、図4に示すように、モールド41の外周側に配設された水冷ジャケットとされており、冷却水を循環させることでモールド41を冷却する構成とされている。
モールド41に対する瞬間移動速度V1(mm/sec)、モールド41に対する1周期当たりの移動距離M(mm)、停止時間T1(sec)とした場合に、X=(V1×M)/T1が、10≦X≦500の範囲内とされている。なお、上述のX=(V1×M)/T1は、100≦X≦250の範囲内とすることがより望ましい。
例えば、本実施形態では、太陽電池においてCu−In−Ga−Se四元系合金薄膜からなる光吸収層を形成するために、Cu−Ga合金薄膜をスパッタによって成膜する際に使用されるCu−Ga合金円筒型スパッタリングターゲットの素材として用いられるCu−Ga合金円筒型鋳塊として説明したが、これに限定されることなく、他の用途に使用されるCu−Ga合金円筒型スパッタリングターゲットの素材として用いてもよい。
図4に示す連続鋳造装置により、外径D:160mm、内径d:130mm、径方向の肉厚T:15mm、軸線方向長さL:1000mmのCu−Ga合金円筒型鋳塊を製造した。
溶湯温度は、凝固開始温度(液相線開始温度)の50〜200℃上の温度範囲で変量した。また、引抜条件は、停止時間T1を15秒、引抜時間を20秒に固定し、瞬間引抜速度V1(停止中を除く、引き抜いている間の平均的な速度)を4〜60mm/secの範囲で変量した。製造条件を表1に示す。なお、モールドを冷却する冷却水の通水量は、引抜条件に応じてモールドが過熱されないように都度調整した。
また、Cu−Ga合金円筒型鋳塊の切削加工後の変質層の有無、Cu−Ga合金円筒型鋳塊から作製されたCu−Ga円筒型スパッタリングターゲットによるスパッタ時の異常放電の回数を、以下のように評価した。
上述の実施形態及び図2に示した方法により、最大曲がり量を測定した。評価結果を表2に示す。
上述の実施形態に示した方法により、平均結晶粒径と結晶粒径の標準偏差を算出した。評価結果を表2に示す。
なお、本実施例では、Cu−Ga合金円筒型鋳塊の鋳造時における上側部分、下側部分、水平位置部分からそれぞれ軸線方向長さ25mmの観察試料を採取し、この観察試料の縦断面(軸線方向に沿った断面)を観察面として、耐水研磨紙で機械研磨を行った後、ダイヤモンドペーストを用いて仕上げ研磨を行い、その後に硝酸でエッチングを行い、光学顕微鏡を用いて観察した。そして、図6に示すように、鋳塊の外周面から深さ4mm位置で、軸線に平行な直線を描き、この直線と結晶粒界との交点をカウントし、直線長さ(25mm)をカウント数−1で除した値を平均結晶粒径とした。
また、各交点間の距離を測定し、これを各結晶の結晶粒径とした。結晶粒径のデータは、カウント数をnとすると、n−1個の値が得られるので、このデータを用いて、標準偏差を算出した。
上述の実施形態及び図3に示した方法により、径方向の最大肉厚Tmaxと最小肉厚Tminとの差を測定した。評価結果を表2に示す。
なお、本実施形態では、上側部分、下側部分、水平位置部分を測定対象とし、周方向に45°間隔で肉厚を測定した。
得られたCu−Ga合金鋳塊の外周面を3mmの深さで切削加工を行い、切削加工後の外周面を観察し、表面変質層の有無を評価した。評価結果を表2に示す。なお、表面変質層とは、鋳塊の表面から深さ5mm以内の範囲で観察される、鋳塊内部と異なる組織を持つ領域であり、結晶粒度が細かく、また、Gaの濃度が平均濃度よりも0.2〜8at%程度高濃度となっている領域を称する。
上述のCu−Ga合金円筒型鋳塊から作製されたスパッタリングターゲットを用いて、以下の条件でスパッタ試験を実施し、スパッタ装置に付属されたアーキングカウンターを用いて、異常放電回数をカウントした。なお、雰囲気ガスとして、配線膜を形成する際に使用される「Arガス」を用いてスパッタ試験を実施した。評価結果を表2に示す。
電源:直流方式
スパッタ出力:5000W
スパッタ圧:0.5Pa
スパッタ時間:1時間
到達真空度:5×10−5Pa
雰囲気ガス組成:Arガス
外周面の平均結晶粒径が10mmとされた比較例2では、異常放電の発生回数が多かった。
外周面の平均結晶粒径が0.05mm(50μm)とされた比較例3では、切削加工後に表面変質層が残存しており、異常放電の発生回数が多かった。
外周面の結晶粒径の標準偏差が平均結晶粒径値を超えた比較例4では、異常放電の発生回数が多かった。
Claims (2)
- 軸線に沿って延在する円筒状をなし、Cu−Ga合金円筒型スパッタリングターゲットの素材として用いられるCu−Ga合金円筒型鋳塊であって、
Gaを15原子%以上35原子%以下の範囲内で含み、残部がCu及び不可避不純物からなり、
外径が140mm以上200mm以下、内径が80mm以上170mm以下、径方向の肉厚が10mm以上40mm以下の範囲内とされており、
軸線方向長さが500mm以上とされ、
水平かつ平らな定盤の上に載置し、前記定盤との隙間の最大値を測定し、この隙間の測定を90°間隔で4箇所実施した平均値である最大曲がり量が3mm以下とされており、
外周面から深さ4mm位置において測定された平均結晶粒径が100μm以上5mm以下の範囲内とされ、外周面から深さ4mm位置において測定された結晶粒径の標準偏差が前記平均結晶粒径値以下とされていることを特徴とするCu−Ga合金円筒型鋳塊。 - 前記軸線に対して直交する断面において45°間隔の8箇所で径方向の肉厚を測定した際の径方向の最大肉厚Tmaxと最小肉厚Tminとの差が3mm以下とされていることを特徴とする請求項1に記載のCu−Ga合金円筒型鋳塊。
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