JP6531433B2 - Cu−Ga合金円筒型鋳塊 - Google Patents

Cu−Ga合金円筒型鋳塊 Download PDF

Info

Publication number
JP6531433B2
JP6531433B2 JP2015046227A JP2015046227A JP6531433B2 JP 6531433 B2 JP6531433 B2 JP 6531433B2 JP 2015046227 A JP2015046227 A JP 2015046227A JP 2015046227 A JP2015046227 A JP 2015046227A JP 6531433 B2 JP6531433 B2 JP 6531433B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
alloy cylindrical
less
alloy
grain size
ingot
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015046227A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016166390A (ja
Inventor
喬 園畠
喬 園畠
翔一郎 矢野
翔一郎 矢野
敏夫 坂本
敏夫 坂本
加藤 慎司
慎司 加藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Materials Corp
Original Assignee
Mitsubishi Materials Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Materials Corp filed Critical Mitsubishi Materials Corp
Priority to JP2015046227A priority Critical patent/JP6531433B2/ja
Publication of JP2016166390A publication Critical patent/JP2016166390A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6531433B2 publication Critical patent/JP6531433B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Physical Vapour Deposition (AREA)

Description

Cu−Ga合金の薄膜をスパッタによって成膜する際に使用されるCu−Ga合金円筒型スパッタリングターゲットを製造する際の素材として用いられるCu−Ga合金円筒型鋳塊に関するものである。
従来、化合物半導体からなる薄膜太陽電池として、Cu−In−Ga−Se四元系合金薄膜からなる光吸収層を備えたCIGS系太陽電池が広く提供されている。
ここで、Cu−In−Ga−Se四元系合金薄膜からなる光吸収層を形成する方法として、蒸着法により成膜する方法が知られている。蒸着法によって成膜された光吸収層を備えた太陽電池は、エネルギー交換効率が高いといった利点を有しているものの、成膜速度が遅く、生産効率が低いといった問題があった。
そこで、Cu−In−Ga−Se四元系合金薄膜からなる光吸収層を形成する方法として、In膜とCu−Ga膜との積層膜を形成し、この積層膜をSe雰囲気中で熱処理して、上述の積層膜をセレン化する方法が提供されている。ここで、In膜及びCu−Ga膜を形成する際には、Inスパッタリングターゲット及びCu−Ga合金スパッタリングターゲットを用いたスパッタ法が適用される。
Cu−Ga合金スパッタリングターゲットとしては、例えば特許文献1−3には、溶解法によって製造された平板型スパッタリングターゲット、及び、円筒型スパッタリングターゲットが提案されている。なお、特許文献2,3においては、連続鋳造法によって円筒型スパッタリングターゲットの素材となる円筒型鋳塊を製造している。
ここで、円筒型スパッタリングターゲットは、その外周面がスパッタ面とされており、ターゲットを回転しながらスパッタを実施することから、平板型スパッタリングターゲットを用いた場合に比べて連続成膜に適しており、かつ、スパッタリングターゲットの使用効率に優れるといった利点を有している。
特開2012−144787号公報 国際公開第2013/031381号 特開2013−076129号公報
ところで、連続鋳造法によってCu−Ga合金円筒型スパッタリングターゲットの素材となるCu−Ga合金円筒型鋳塊を製造した場合、鋳型と鋳塊との接触が周期的に変化して局所的に冷却状態が変化することがある。鋳型と鋳塊との接触が強い箇所では冷却速度は速くなり、鋳型と鋳塊との接触が弱い箇所では冷却速度は遅くなるため、冷却速度が周方向で不均一となり、鋳塊に曲がりが生じることがある。ここで、Cu−Ga合金は、脆性材料であることから、鋳造後の熱間加工等によって鋳塊の曲がりを矯正することが難しい。曲がりが大きい円筒型鋳塊を用いてCu−Ga合金円筒型スパッタリングターゲットを製造した場合には、円筒型鋳塊の外周面の切削加工量が多くなり、歩留りが低下してしまうといった問題があった。一方、円筒型鋳塊の表層には表面変質層が形成されているため、曲がりが生じた円筒型鋳塊において切削加工量を削減すると、この表面変質層が残存してしまうおそれがあった。
また、冷却速度が局所的に異なる場合には、結晶粒径にばらつきが生じる。そして、スパッタ面となる円筒状鋳塊の外周面における結晶粒径にばらつきがあると、結晶毎のスパッタ速度の違いからスパッタ面において結晶粒界に段差が生じ、この段差に電荷が集中することによって異常放電が発生するおそれがあった。なお、異常放電とは、正常なスパッタリング時と比較して極端に高い電流が突然急激に流れて、異常に大きな放電が急激に発生してしまう現象であり、このような異常放電が発生すれば、パーティクルの発生原因となったり、配線膜の膜厚が不均一となったりしてしまうおそれがある。したがって、成膜時の異常放電はできるだけ回避することが望まれる。
ここで、鋳型の冷却能を低下することによって、鋳型と鋳塊との接触が強い箇所における冷却速度と接触が弱い箇所における冷却速度の差を小さくし、曲がりを低減するとともに結晶粒径のばらつきを抑制することも考えられる。しかしながら、このように鋳型の冷却能を低下させて冷却速度を遅くした場合には、円筒状鋳塊の結晶粒径が粗大化してしまう。スパッタ面となる円筒状鋳塊の外周面における結晶粒径が粗大であると、スパッタ面において結晶粒界に大きな段差が生じ、異常放電が発生しやすくなるといった問題があった。
この発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、スパッタ時における異常放電の発生が抑制された高品質なCu−Ga合金円筒型スパッタリングターゲットを歩留り良く製造することが可能なCu−Ga合金円筒型鋳塊を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明に係るCu−Ga合金円筒型鋳塊は、軸線に沿って延在する円筒状をなし、Cu−Ga合金円筒型スパッタリングターゲットの素材として用いられるCu−Ga合金円筒型鋳塊であって、Gaを15原子%以上35原子%以下の範囲内で含み、残部がCu及び不可避不純物からなり、外径が140mm以上200mm以下、内径が80mm以上170mm以下、径方向の肉厚が10mm以上40mm以下の範囲内とされており、軸線方向長さが500mm以上とされ、水平かつ平らな定盤の上に載置し、前記定盤との隙間の最大値を測定し、この隙間の測定を90°間隔で4箇所実施した平均値である最大曲がり量が3mm以下とされており、外周面から深さ4mm位置において測定された平均結晶粒径が100μm以上5mm以下の範囲内とされ、外周面から深さ4mm位置において測定された結晶粒径の標準偏差が前記平均結晶粒径値以下とされていることを特徴としている。
このような構成とされた本発明のCu−Ga合金円筒型鋳塊によれば、軸線方向長さが500mm以上とされるとともに最大曲がり量が3mm以下とされているので、Cu−Ga合金円筒型スパッタリングターゲットを製造する際の切削加工量を低減しても表面変質層を確実に除去することができ、歩留り良くCu−Ga合金円筒型スパッタリングターゲットを製造することが可能となる。
また、外周面から深さ4mm位置において測定された平均結晶粒径が100μm以上5mm以下の範囲内とされ、外周面から深さ4mm位置において測定された結晶粒径の標準偏差が前記平均結晶粒径値以下とされているので、スパッタ時における異常放電の発生を抑制可能なCu−Ga合金円筒型スパッタリングターゲットを製造することが可能となる。
ここで、本発明のCu−Ga合金円筒型鋳塊においては、前記軸線に対して直交する断面において45°間隔の8箇所で径方向の肉厚を測定した際の径方向の最大肉厚Tmaxと最小肉厚Tminとの差が3mm以下とされていることが好ましい。
前記軸線に対して直交する断面における径方向の最大肉厚Tmaxと最小肉厚Tminとの差が3mm以下とされているので、Cu−Ga合金円筒型スパッタリングターゲットを製造する際の切削加工量をさらに少なくすることができ、歩留り良くCu−Ga合金円筒型スパッタリングターゲットを製造することが可能となる。
本発明によれば、スパッタ時における異常放電の発生が抑制された高品質なCu−Ga合金円筒型スパッタリングターゲットを歩留り良く製造することが可能なCu−Ga合金円筒型鋳塊を提供することができる。
本発明の一実施形態に係るCu−Ga合金円筒型鋳塊の概略説明図である。(a)が軸線方向に直交する断面図、(b)が側面図である。 Cu−Ga合金円筒型鋳塊の最大曲がり量を測定する方法を示す説明図である。 Cu−Ga合金円筒型鋳塊の径方向の肉厚差を測定する方法を示す説明図である。 本発明の一実施形態であるCu−Ga合金円筒型鋳塊を製造する際に用いられる連続鋳造装置の一例を示す説明図である。 本発明の一実施形態であるCu−Ga合金の連続鋳造方法における間欠引き抜きパターンを示す説明図である。 実施例における結晶粒径の測定方法を示す説明図である。
以下に、本発明の実施形態に係るCu−Ga合金円筒型鋳塊10について、添付した図を参照して説明する。
本実施形態であるCu−Ga合金円筒型鋳塊10は、例えば太陽電池においてCu−In−Ga−Se四元系合金薄膜からなる光吸収層を形成するために、Cu−Ga合金薄膜をスパッタによって成膜する際に使用されるCu−Ga合金円筒型スパッタリングターゲットの素材となるものである。
本実施形態であるCu−Ga合金円筒型鋳塊10は、Gaの含有量が15原子%以上35原子%以下の範囲内とされ、残部がCu及び不可避不純物からなるCu−Ga合金で構成されている。本実施形態では、上述のように、Gaの含有量が15原子%以上35原子%以下と比較的多くなっているので、熱間加工性が悪い。このため、Cu−Ga合金円筒型鋳塊10に対して熱間加工等によって形状修正を行うことができず、Cu−Ga合金円筒型鋳塊10に対して切削加工することにより、Cu−Ga合金円筒型スパッタリングターゲットが製造されることになる。
このCu−Ga合金円筒型鋳塊10は、図1に示すように、軸線Oに沿って延在する円筒形状をなしており、例えば外径Dが140mm≦D≦200mmの範囲内、内径dが80mm≦d≦170mmの範囲内、径方向の肉厚Tが10mm≦D≦40mmの範囲内、軸線O方向長さLが500mm≦L≦5000mmの範囲内とされている。なお、この軸線Oは、後述する鋳造方向Fに沿った方向となる。
ここで、Cu−Ga合金円筒型鋳塊10の外周面が、Cu−Ga合金円筒型スパッタリングターゲットにおけるスパッタ面に該当することになる。
そして、本実施形態であるCu−Ga合金円筒型鋳塊10においては、最大曲がり量が3mm以下とされている。
この最大曲がり量は、以下のように測定される。図2に示すように、水平かつ平らな定盤20の上にCu−Ga合金円筒型鋳塊10を載置し、定盤20との隙間Sの最大値を測定する。この隙間Sの測定を90°間隔で4箇所実施した平均値を「最大曲がり量」とする。
また、本実施形態であるCu−Ga合金円筒型鋳塊10においては、軸線Oに対して直交する断面における径方向の最大肉厚Tmaxと最小肉厚Tminとの差が3mm以下とされている。
本実施形態では、図3に示すように、Cu−Ga合金円筒型鋳塊10を軸線Oに対して直交するように切断し、その断面において45°間隔の8箇所で、径方向の肉厚Tをノギスで測定して最大肉厚Tmaxと最小肉厚Tminとの差を算出した。
さらに、本実施形態であるCu−Ga合金円筒型鋳塊10においては、外周面における平均結晶粒径が100μm以上5mm以下の範囲内とされ、結晶粒径の標準偏差が平均結晶粒径値以下とされている。
本実施形態では、軸線O方向の4箇所の位置で、周方向に90°間隔の4箇所で結晶粒径を測定し、平均結晶粒径及び標準偏差を求めた。
ここで、外周面における平均結晶粒径が100μm未満では、鋳造時の急冷を必要とするので、エネルギーコストがかかり、また、安定した鋳造がされにくいという問題がある。さらに平均結晶粒径が5mm超えでは、スパッタ時の異常放電という問題がある。上記の観点から、本実施形態では、外周面における平均結晶粒径を100μm以上5mm以下の範囲内に設定している。なお、上記の観点から、外周面における平均結晶粒径は、下限を500μm以上、上限を4mm以下とすることがより望ましい。
また、結晶粒径の標準偏差(σ)が平均結晶粒径値を超えると、スパッタ時の異常放電という問題がある。このため、本実施形態では、外周面における結晶粒径の標準偏差を、平均結晶粒径値以下に規定している。
次に、上述した構成のCu−Ga合金円筒型鋳塊10の製造方法の一実施形態について説明する。
本実施形態であるCu−Ga合金円筒型鋳塊10は、縦型連続鋳造装置や横型連続鋳造装置等の各種連続鋳造装置を用いて連続的に製出され、所定長さに切断されることによって製造される。
ここで、本実施形態であるCu−Ga合金円筒型鋳塊10を製造する際に用いられる連続鋳造装置30の一例について図4を参照して説明する。
この連続鋳造装置30は、鋳造炉31と、鋳造炉31に連結された連続鋳造用鋳型40と、連続鋳造用鋳型40から製出されたCu−Ga合金円筒型鋳塊10を引き抜くピンチロール38と、を備えている。
鋳造炉31は、溶解原料を加熱溶解して所定の組成の銅溶湯を製出して保持するものであり、溶解原料及び銅溶湯が保持される坩堝32と、この坩堝32を加熱する加熱手段(図示なし)と、を備えている。
ピンチロール38は、連続鋳造用鋳型40から製出されるCu−Ga合金円筒型鋳塊10を挟み込み、引き抜き方向Fへ引き抜くものである。本実施形態では、Cu−Ga合金円筒型鋳塊10を間欠的に引き抜く構成とされている。
連続鋳造用鋳型40は、供給された銅溶湯が注入される筒状のモールド41と、このモールド41内に挿入されるマンドレル45と、モールド41を冷却する冷却部48と、を備えている。ここで、本実施形態では、図4に示すように、連続鋳造用鋳型40の一方側(図4において左側)に鋳造炉31が配置されている。
冷却部48は、図4に示すように、モールド41の外周側に配設された水冷ジャケットとされており、冷却水を循環させることでモールド41を冷却する構成とされている。
モールド41は、概略筒状をなしており、本実施形態では、図4に示すように、一方側(図4において左側)が大径部42とされ、他方側(図4において右側)が小径部43とされた2段筒状をなしている。なお、小径部43は、他方側に向かうにしたがい漸次径が小さくなるようにテーパ形状とされている。本実施形態では、図4に示すように、モールド41の小径部43の外周側に、上述の冷却部48が配設されている。
モールド41には、一方側から他方側に向けて貫通する貫通孔が設けられており、この貫通孔の一方側からマンドレル45が挿入されている。すると、マンドレル45は、モールド41の貫通孔の内壁から間隔をあけて配置され、モールド41内には、断面円環状をなすキャビティが画成されることになる。
ここで、本実施形態では、ピンチロール38によってCu−Ga合金円筒型鋳塊10が間欠的に引き抜かれており、間欠引き抜き条件は以下のように設定されている。
モールド41に対する瞬間移動速度V1(mm/sec)、モールド41に対する1周期当たりの移動距離M(mm)、停止時間T1(sec)とした場合に、X=(V1×M)/T1が、10≦X≦500の範囲内とされている。なお、上述のX=(V1×M)/T1は、100≦X≦250の範囲内とすることがより望ましい。
以上のような構成とされた本実施形態であるCu−Ga合金円筒型鋳塊10によれば、軸線O方向長さが500mm以上とされ、最大曲がり量が3mm以下とされているので、Cu−Ga合金円筒型スパッタリングターゲットを製造する際の切削加工量を低減しても表面変質層を確実に除去することができ、歩留り良くCu−Ga合金円筒型スパッタリングターゲットを製造することが可能となる。
また、Cu−Ga合金円筒型鋳塊10の外周面における平均結晶粒径が100μm以上5mm以下の範囲内とされ、結晶粒径の標準偏差が平均結晶粒径値以下とされているので、このCu−Ga合金円筒型鋳塊10を用いてCu−Ga合金円筒型スパッタリングターゲットを製造した際に、スパッタ面の結晶粒径が微細で均一化されることになり、スパッタ時における異常放電の発生を抑制することができる。
さらに、本実施形態のCu−Ga合金円筒型鋳塊10においては、軸線Oに対して直交する断面における径方向の最大肉厚Tmaxと最小肉厚Tminとの差が3mm以下とされているので、Cu−Ga合金円筒型スパッタリングターゲットを製造する際の切削加工量をさらに少なくすることができ、歩留り良くCu−Ga合金円筒型スパッタリングターゲットを製造することが可能となる。
また、本実施形態においては、モールド41に対する瞬間移動速度V1(mm/sec)、モールド41に対する1周期当たりの移動距離M(mm)、停止時間T1(sec)とした場合に、X=(V1×M)/T1が、10≦X≦500の範囲内とされているので、モールド41とCu−Ga合金円筒型鋳塊10との接触が安定し、Cu−Ga合金円筒型鋳塊10の最大曲がり量、径方向の肉厚差、結晶粒径のばらつきを、上述の範囲内とされたCu−Ga合金円筒型鋳塊10を得ることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、本実施形態では、太陽電池においてCu−In−Ga−Se四元系合金薄膜からなる光吸収層を形成するために、Cu−Ga合金薄膜をスパッタによって成膜する際に使用されるCu−Ga合金円筒型スパッタリングターゲットの素材として用いられるCu−Ga合金円筒型鋳塊として説明したが、これに限定されることなく、他の用途に使用されるCu−Ga合金円筒型スパッタリングターゲットの素材として用いてもよい。
また、本実施形態では、図4に示すように、鋳塊を水平方向に引き抜く連続鋳造装置によってCu−Ga合金円筒型鋳塊を製造するものとして説明したが、これに限定されることはなく、鋳塊を下方へ引き抜く連続鋳造装置や鋳塊を上方へ引き抜く連続鋳造装置を用いて、Cu−Ga合金円筒型鋳塊を製造してもよい。
以下に、本発明の有効性を確認するために行った確認実験の結果について説明する。
図4に示す連続鋳造装置により、外径D:160mm、内径d:130mm、径方向の肉厚T:15mm、軸線方向長さL:1000mmのCu−Ga合金円筒型鋳塊を製造した。
溶湯温度は、凝固開始温度(液相線開始温度)の50〜200℃上の温度範囲で変量した。また、引抜条件は、停止時間T1を15秒、引抜時間を20秒に固定し、瞬間引抜速度V1(停止中を除く、引き抜いている間の平均的な速度)を4〜60mm/secの範囲で変量した。製造条件を表1に示す。なお、モールドを冷却する冷却水の通水量は、引抜条件に応じてモールドが過熱されないように都度調整した。
得られたCu−Ga合金円筒型鋳塊について、最大曲がり量、平均結晶粒径、結晶粒径の標準偏差、径方向の肉厚差を、以下のように測定した。
また、Cu−Ga合金円筒型鋳塊の切削加工後の変質層の有無、Cu−Ga合金円筒型鋳塊から作製されたCu−Ga円筒型スパッタリングターゲットによるスパッタ時の異常放電の回数を、以下のように評価した。
<最大曲がり量>
上述の実施形態及び図2に示した方法により、最大曲がり量を測定した。評価結果を表2に示す。
<結晶粒径>
上述の実施形態に示した方法により、平均結晶粒径と結晶粒径の標準偏差を算出した。評価結果を表2に示す。
なお、本実施例では、Cu−Ga合金円筒型鋳塊の鋳造時における上側部分、下側部分、水平位置部分からそれぞれ軸線方向長さ25mmの観察試料を採取し、この観察試料の縦断面(軸線方向に沿った断面)を観察面として、耐水研磨紙で機械研磨を行った後、ダイヤモンドペーストを用いて仕上げ研磨を行い、その後に硝酸でエッチングを行い、光学顕微鏡を用いて観察した。そして、図6に示すように、鋳塊の外周面から深さ4mm位置で、軸線に平行な直線を描き、この直線と結晶粒界との交点をカウントし、直線長さ(25mm)をカウント数−1で除した値を平均結晶粒径とした。
また、各交点間の距離を測定し、これを各結晶の結晶粒径とした。結晶粒径のデータは、カウント数をnとすると、n−1個の値が得られるので、このデータを用いて、標準偏差を算出した。
<径方向の肉厚差>
上述の実施形態及び図3に示した方法により、径方向の最大肉厚Tmaxと最小肉厚Tminとの差を測定した。評価結果を表2に示す。
なお、本実施形態では、上側部分、下側部分、水平位置部分を測定対象とし、周方向に45°間隔で肉厚を測定した。
<切削加工後の変質層の有無>
得られたCu−Ga合金鋳塊の外周面を3mmの深さで切削加工を行い、切削加工後の外周面を観察し、表面変質層の有無を評価した。評価結果を表2に示す。なお、表面変質層とは、鋳塊の表面から深さ5mm以内の範囲で観察される、鋳塊内部と異なる組織を持つ領域であり、結晶粒度が細かく、また、Gaの濃度が平均濃度よりも0.2〜8at%程度高濃度となっている領域を称する。
<異常放電>
上述のCu−Ga合金円筒型鋳塊から作製されたスパッタリングターゲットを用いて、以下の条件でスパッタ試験を実施し、スパッタ装置に付属されたアーキングカウンターを用いて、異常放電回数をカウントした。なお、雰囲気ガスとして、配線膜を形成する際に使用される「Arガス」を用いてスパッタ試験を実施した。評価結果を表2に示す。
電源:直流方式
スパッタ出力:5000W
スパッタ圧:0.5Pa
スパッタ時間:1時間
到達真空度:5×10−5Pa
雰囲気ガス組成:Arガス
最大曲がり量が4.1mmとされた比較例1では、切削加工後に表面変質層が残存しており、異常放電の発生回数が多かった。
外周面の平均結晶粒径が10mmとされた比較例2では、異常放電の発生回数が多かった。
外周面の平均結晶粒径が0.05mm(50μm)とされた比較例3では、切削加工後に表面変質層が残存しており、異常放電の発生回数が多かった。
外周面の結晶粒径の標準偏差が平均結晶粒径値を超えた比較例4では、異常放電の発生回数が多かった。
これに対して、最大曲がり量、外周面の平均結晶粒径、及び結晶粒径の標準偏差が本発明の範囲内とされた本発明例によれば、表面変質層の残存はなく、異常放電の発生回数も少なく、安定してスパッタできることが確認された。
10 Cu−Ga合金円筒型鋳塊

Claims (2)

  1. 軸線に沿って延在する円筒状をなし、Cu−Ga合金円筒型スパッタリングターゲットの素材として用いられるCu−Ga合金円筒型鋳塊であって、
    Gaを15原子%以上35原子%以下の範囲内で含み、残部がCu及び不可避不純物からなり、
    外径が140mm以上200mm以下、内径が80mm以上170mm以下、径方向の肉厚が10mm以上40mm以下の範囲内とされており、
    軸線方向長さが500mm以上とされ、
    水平かつ平らな定盤の上に載置し、前記定盤との隙間の最大値を測定し、この隙間の測定を90°間隔で4箇所実施した平均値である最大曲がり量が3mm以下とされており、
    外周面から深さ4mm位置において測定された平均結晶粒径が100μm以上5mm以下の範囲内とされ、外周面から深さ4mm位置において測定された結晶粒径の標準偏差が前記平均結晶粒径値以下とされていることを特徴とするCu−Ga合金円筒型鋳塊。
  2. 前記軸線に対して直交する断面において45°間隔の8箇所で径方向の肉厚を測定した際の径方向の最大肉厚Tmaxと最小肉厚Tminとの差が3mm以下とされていることを特徴とする請求項1に記載のCu−Ga合金円筒型鋳塊。
JP2015046227A 2015-03-09 2015-03-09 Cu−Ga合金円筒型鋳塊 Active JP6531433B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015046227A JP6531433B2 (ja) 2015-03-09 2015-03-09 Cu−Ga合金円筒型鋳塊

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015046227A JP6531433B2 (ja) 2015-03-09 2015-03-09 Cu−Ga合金円筒型鋳塊

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016166390A JP2016166390A (ja) 2016-09-15
JP6531433B2 true JP6531433B2 (ja) 2019-06-19

Family

ID=56898117

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015046227A Active JP6531433B2 (ja) 2015-03-09 2015-03-09 Cu−Ga合金円筒型鋳塊

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6531433B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6557696B2 (ja) * 2017-03-31 2019-08-07 Jx金属株式会社 円筒型スパッタリングターゲット及びその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016166390A (ja) 2016-09-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5472353B2 (ja) 銀系円筒ターゲット及びその製造方法
JP5140169B2 (ja) インジウムターゲット及びその製造方法
CN103502505B (zh) Cu-Ga合金溅射靶及其制造方法
JP5855319B2 (ja) スパッタリングターゲット及び、それの製造方法
JP4948633B2 (ja) インジウムターゲット及びその製造方法
JP5086452B2 (ja) インジウムターゲット及びその製造方法
CN105209658A (zh) 圆筒型溅射靶用原材料
WO2018066410A1 (ja) 円筒型スパッタリングターゲット用熱間押出素材、及び、円筒型スパッタリングターゲットの製造方法
JP5281186B1 (ja) インジウムターゲット及びその製造方法
JP6531433B2 (ja) Cu−Ga合金円筒型鋳塊
JP6390432B2 (ja) Cu−Ga合金円筒型スパッタリングターゲット、Cu−Ga合金円筒型鋳塊、Cu−Ga合金円筒型スパッタリングターゲットの製造方法及びCu−Ga合金円筒型鋳塊の製造方法
JP5113413B2 (ja) アルミニウム鋳塊の鋳造方法
JP2011132557A (ja) 純銅板の製造方法及び純銅板
JP6583019B2 (ja) Cu−Ga合金スパッタリングターゲット、及び、Cu−Ga合金スパッタリングターゲットの製造方法
JP6678528B2 (ja) インジウムターゲット部材及びその製造方法
JP6387847B2 (ja) Cu−Ga合金スパッタリングターゲット、及び、Cu−Ga合金鋳塊
JP6147788B2 (ja) Cu−Ga合金スパッタリングターゲット
JP2018145518A (ja) Cu−Ni合金スパッタリングターゲット
JP2013185238A (ja) スパッタリングターゲット
JP6896966B1 (ja) 金の蒸着材料
JP6016849B2 (ja) Cu−Ga合金スパッタリングターゲット
JP2016156097A (ja) スパッタリングターゲット
WO2016013514A1 (ja) Cu-Ga合金円筒型スパッタリングターゲット及びCu-Ga合金円筒型鋳塊
KR20230150945A (ko) 열연 구리 합금판 및 스퍼터링 타깃
JP2023097762A (ja) 銅合金異形条材、電子・電気機器用部品、端子、バスバー、リードフレーム、放熱基板

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170926

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180928

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20181012

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20181016

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20181205

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190423

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190506

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6531433

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150