JP2016156097A - スパッタリングターゲット - Google Patents

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Abstract

【課題】ターゲットのスパッタリングの際にパーティクル、スプラッシュ、ダスト等の粗大クラスタの発生を防止し、スパッタリングによって形成される薄膜の膜厚の均一性を向上したスパッタリングターゲットの提供を目的とする。
【解決手段】純度が99.9質量%以上の銅を主成分としたスパッタリングターゲットであって、10ppm以下の硫黄(S)、及び、2ppm以下の鉛(Pb)を含有することを特徴とし、好ましくは、前記銅の純度が99.96質量%以上であることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

この発明は、例えば、液晶ディスプレイに代表されるフラットパネル表示素子を構成する金属薄膜、半導体素子製造用のマスクを構成する遮光膜、LSI等の半導体素子を構成する金属配線、及び、磁気記録媒体を構成する銅薄膜等を形成するための高純度銅から成るスパッタリングターゲットに関する。
上述したような銅薄膜等を被スパッタリング物に形成するための方法としてスパッタリング法が使用されている。
スパッタリング法は、上記のスパッタリングターゲット(以下、「ターゲット」ともいう。)を、基板などのスパッタリング対象物に対向する形でセットし、真空条件下にて、Ar等のガスを流し、ターゲットの被スパッタリング面とスパッタリング対象物との間に所定の電圧をかけることにより放電させ、イオン化したArをターゲットに衝突させることにより、ターゲットと同じ組成の薄膜をスパッタリング対象物上に形成する成膜方法である。
このようなスパッタリング法は、それぞれの目的に応じたプロセスを経て半導体素子、磁気記録媒体、半導体素子製造用のマスク、液晶ディスプレイ等の構成部など、様々な分野に適用されている。
ところが、本来、ターゲットからスパッタされた物質は、該スパッタリングターゲットと対向する例えば、基板などのスパッタリング対象物に付着するのであるが、必ずしも垂直にスパッタされるとは限らず、様々な方向に飛来する。
このような飛来物質は、パーティクルと称し、クラスタ化して基板上に直接付着する場合や、基板以外のスパッタ装置内の機器に付着したものが、ある時、剥落かつ浮遊し、それが基板に再付着する場合がある。
このような様々な現象がスパッタリング法において、パーティクル、スプラッシュ、ダスト等の粗大クラスタが発生する要因となり、膜厚の均一性が損なわれる課題となっている。
このような課題を解決するために、従来より、スパッタリングプロセスにおけるガス圧力、投入電力、ターゲット−基板間距離等のスパッタリング条件についてさらなる検討が重ねられ、様々な文献が提案されている。
粗大クラスタの発生などの異常成膜の問題は、スパッタリングプロセスにおけるスパッタリング条件の他に、ターゲット自体の配向性や表面粗さなどの表面状態に起因して生じると考えられている。
例えば、ターゲット表面に割れ(疵)が存在すると、割れ部分のエッジ(端部)に電荷が集中し、異常放電(アーキング)が発生することになる。そうすると、アーキングに起因してスプラッシュの発生が多くなり、成膜異常が発生し、配線パターンへの成膜が失敗することが多くなるため、歩留まりが低下するという課題が生じることになる。
このような背景からターゲット表面の割れの数や大きさを低減すべく、近年では、ターゲットの表面状態に着目された様々な提案がなされている。
例えば、特許文献1の「スパッターターゲットおよびその製造方法」もその1つである。
特許文献1には、スパッタリングターゲットとして用いるために、スパッタリングターゲットに対して例えば、機械加工、研磨加工、ケミカルエッチング等を施すことによって、ノジュールおよびパーティクルの発生を低減できる所定の表面粗さに調整したスパッタリングターゲット、及びその製造方法が開示されている。
上述の特許文献1のように、ターゲット自体の表面状態を改善するために、ターゲット自体の表面粗さや組織の配向性に着目したものは提案されている。しかし、ターゲット自体を組成する元素の種類や、その含有量に起因していることは殆ど知られておらず、膜厚の均一性を向上するために、スパッタリングターゲットの元素の組成について着目した文献は略皆無である。
具体的には、従来は、ターゲットの元素の組成に着目した技術に関しては、MOS特性の不安定な特性を解消するために、ターゲット自体に不純物として含有するナトリウムやカリウムなどのアルカリ金属の含有量を低減する技術や、酸化を防ぐために鉄、ニッケルなどの重金属の含有量を低減する技術が提案されているにすぎず、現状の対策では、ターゲット表面の割れに伴い発生する成膜異常を十分に防ぐことができなかった。
特開平11−1766号公報
そこでこの発明は、ターゲットのスパッタリングの際にスプラッシュの発生を防止し、スパッタリングによって形成される薄膜の膜厚の均一性を向上したスパッタリングターゲットの提供を目的とする。
本発明は、純度が99.9質量%以上の銅を主成分としたスパッタリングターゲットであって、10ppm以下の硫黄(S)、及び、2ppm以下の鉛(Pb)を含有することを特徴とする。ここで、ppmとは、質量ppmの意味である。
この発明の態様として、前記銅の純度を99.96質量%以上であることを特徴とする。
上述した構成により、ターゲット表面、及び内部に所定サイズ以上の幅の割れ(疵)を大幅に低減したターゲットを構成することができるため、スパッタリング処理の際の異常放電(アーキング)の発生を防ぐことができる。
これにより、ターゲットのスパッタリングの際にスプラッシュの発生を防止し、スパッタリングによって形成される薄膜の膜厚の均一性を向上したスパッタリングターゲットを提供することができる。
本実施形態におけるスパッタリングターゲットは、銅の純度が99.96質量%以上であることが望ましく、さらに、99.99質量%以上であることがより望ましいが、99.9質量%以上であれば特に限定しない。
すなわち、本発明のスパッタリングターゲットの主成分となる銅には、無酸素銅(99.96%以上の高純度銅)のみならずタフピッチも含むものとする。
スパッタリングターゲットは、少なくともスパッタ面の平均結晶粒径が例えば、200μm以下であることが望ましいが、スパッタ面の平均結晶粒径は特に、限定しない。
本発明のスパッタリングターゲットは、例えば、円筒形状、板形状、条形状など、その形状について限定しない。
本発明のターゲットは、その製造方法についても特に限定しない。すなわち、硫黄(S)の含有量を10ppm以下とし、且つ、鉛(Pb)の含有量を2ppm以下とする調節方法は特に限定しない。
例えば、銅精錬時に硫黄(S)や鉛(Pb)を可能な限り除去しておき、そのうえで、インゴットを鋳造する際に、あえて硫黄(S)と鉛(Pb)を添加して、硫黄(S)と鉛(Pb)との含有量をそれぞれの所定の重量%濃度以下を満たす範囲となるように調節することができる。
ここで、銅精錬時に硫黄(S)や鉛(Pb)を除去する方法(銅精錬方法)についても限定しないが、例えば、硫黄(S)は、例えば、酸素を吹き込み、脱硫し、その後、脱酸して無酸素銅を製造する際に、除去することができる。
鉛(Pb)は、例えば、電気精錬によって除去することができるが、より銅の高純度化を望む場合には、ゾーンメルティング法(帯溶融法)などを用いることによって除去することができる。
この発明によれば、ターゲットのスパッタリングの際にスプラッシュの発生を防止し、スパッタリングによって形成される薄膜の膜厚の均一性を向上したスパッタリングターゲットを提供することができる。
ターゲットの硫黄と鉛の含有率に応じた割れ個数の関係を示すグラフ。 ターゲットの硫黄と鉛の含有率に応じた割れ個数の関係を示すグラフ。 割れ個数とアーキング回数の関係を示すグラフ。 ターゲット表面の割れの定義に含まれる割れ部分を示す写真。 ターゲット表面の割れの定義には含まれない微小な疵を示す写真。
この発明の一実施形態を、以下図面を用いて説明する。
本実施形態におけるスパッタリングターゲットは、純度が99.9(3N)質量%以上の銅を主成分とし、10ppm以下の硫黄(S)、及び、2ppm以下の鉛(Pb)を含有している。
その他、例えば、ビスマス(Bi)、セレン(Se)、テルル(Te)などの化学成分を適宜の質量%濃度で含有している。
また、スパッタリングターゲットは、少なくともスパッタ面の平均結晶粒径が200μm以下であり、例えば、外径が150mm以上、肉厚が20mm以上の円筒形で構成している。
上述したスパッタリングターゲットの製造方法について以下に説明する。
銅の原料としての黄銅鉱にコークスなどを加えて溶錬炉で溶融することで、主に鉄分を除いた銅マットを、銅精製の中間製品として得る。続いて銅マットを転炉に入れて、酸素を吹き込んで硫黄などの不純物を酸化除去し、粗銅(銅含有率は約98%)を精錬する。このとき2000°Cを越える高温とすることで、粗銅を還元することができる。
その後、粗銅は硝酸浴中あるいは硫酸浴中で電解精錬することによって、99.99%以上の純銅に精製することができる。
これにより、硫黄(S)、鉛(Pb)は勿論、ビスマス(Bi)、セレン(Se)、テルル(Te)等のその他の不純物の含有量を極力低減させた銅を真空誘導溶解する。さらに、硫黄(S)の含有量が10ppm以下であり、且つ、鉛(Pb)の含有量が2ppm以下を満たす範囲で、硫黄(S)と鉛(Pb)を添加して含有量をコントロールすることにより、純度が99.9(3N)質量%以上の銅を主成分とし、10ppm以下の硫黄(S)、及び、2ppm以下の鉛(Pb)を含有したインゴットを得ることができる。
続いて、インゴットを所定の寸法に切断し、熱間加工用のビレットを作製する。
特に、大型のターゲットを製造するためには、例えば、直径が300mm、質量が300kg〜400kgのビレットを作製する。
なお、熱間加工用の材料としてのビレットは、円柱状に板状などその後の加工作業に好適なその他の形状にするすることができるが、円柱状のスパッタリングターゲットを得るため、ビレットを円筒状に形成している。
スパッタリングターゲットは、上述した熱間押出用のビレットを用いて、熱間加工工程、冷間加工、及び、歪除去焼鈍工程をこの順を経て作成する。
詳しくは、熱間加工では、高純度銅からなるビレットに対して例えば、熱間押出加工、熱間プレス加工、熱間鍛造、或いは、熱間圧延等の適宜の加工を行う工程であり、該熱間加工によってビレットに対して歪を付与するよう所定の加工量で熱間加工が施される。
なお、前記加工量は、厚さの減少(圧下量)と初期厚さとの比に100%を乗算した比率、或いは、せん断歪の量として適宜される。
特に、熱間加工として熱間押出工程を行う場合には、熱間加工用のビレットを予め500℃を超える温度にして熱間加工をするための準備をしておき、600〜900℃の下で熱間押出する。
その後の冷間加工は、熱間加工済材料に対して例えば、冷間圧延、冷間鍛造、冷間押し出の適宜の加工を行う工程であり、例えば、冷間圧延の場合、熱間加工済材料を80〜120℃/秒の冷却速度で室温程度まで冷却し、大気条件の下で少なくとも1回あたりの冷間圧延で所定の縮径率で縮径し、所望の最終厚さのターゲット材に加工する。
なお、前記縮径率は、厚さの減少量(圧下量)と初期厚さとの比に100%を乗算した比率、或いは、せん断歪の量として適宜される。
続いて行う歪除去焼鈍工程では、銅の再結晶化として冷間加工後の冷間圧延済材料に対して例えば、300〜600℃の温度範囲で焼鈍を施す。
より好ましくは、300〜500℃の温度範囲で約1時間保持する焼鈍を施すことでターゲットの残留応力(歪)を除去することができる。
なお、歪除去焼鈍工程では、大気条件下で焼鈍を行うか、またはターゲットの酸化を最小現に抑えるために保護雰囲気中でターゲットに対して焼鈍を行っている。
スパッタリングターゲットに内在する歪は、ターゲット物質の飛び出しに影響を及ぼすため、歪除去焼鈍工程は、歪の要因となる内部応力を除去することができる点で有効である。但し、焼鈍温度が低すぎると、再結晶化せず、焼鈍温度が高すぎると粒の過大な成長が生じることなるため、これらを考慮して250℃以上の適切な焼鈍温度に設定する必要がある。
上述した工程により、純度が99.9質量%以上の銅を主成分とし、10ppm以下の硫黄(S)、及び、2ppm以下の鉛(Pb)を含有するスパッタリングターゲットを製造することができる。
このような硫黄(S)、及び、鉛(Pb)の含有量が、それぞれ10ppm以下、2ppm以下となるようにスパッタリングターゲットを製造することで、スパッタリングターゲットの表面(被スパッタ面)、及び内部に有する所定サイズ以上の疵の低減を図ることができる。
詳しくは、上述したビレットに対して熱間加工工程を行う際の熱により、ビレットの結晶粒径が大きくなり、割れ等の肌荒れが生じるが、従来より、硫黄(S)を添加することでこのような現象を防ぐという効果を得ることができることが知られている。その一方で、硫黄(S)を例えば、18ppm以上となるまで添加しすぎると組織に微妙な割れが発生するという弊害が生じることも知られている。
このため、硫黄(S)の含有量を所定の質量%濃度以下に設定することが重要であるが、本実施形態のターゲットでは、硫黄(S)の含有量のみに留まらず、硫黄(S)の含有量を10ppm以下とし、且つ、鉛(Pb)の含有量を2ppm以下に設定することで、ターゲット表面、及び内部の疵を低減できることを見出したものである。
これにより、スパッタリング処理の際に、ターゲットから発生するアーキングの発生回数を低減し、スプラッシュ等の粗大クラスタの発生を防止し、スパッタリングによって形成される薄膜の膜厚の均一性を向上することができる。
特に、近年では、大型テレビ用の液晶ディスプレイなどに用いるため、例えば、2mを超える基板サイズとなる等、基板サイズの大型化が進行し、それに伴い、配線を作成するスパッタリング工程においても大型の基板やウェハーに成膜する必要が生じている。
このため、使用するスパッタリングターゲット自体も大型化し、スパッタリングターゲット材の部位毎に銅の組織が不均一になり易く、膜厚精度および粗大クラスタの発生に及ぼす影響が大きくなるという課題を有していた。
さらに、大型の基板やウェハーに成膜するために、大型のスパッタリングターゲットに対してスパッタリング処理を行う場合には、スパッタリング処理の際に付与する印加電圧も高くする必要が生じる。このため、その分、ターゲットの表面に所定サイズ以上の疵(割れ)がある場合には、アーキングの発生回数が多くなるという課題も有していた。
そうすると、大型の被スパッタ対象を扱う場合には、アーキングに起因してスプラッシュの発生が多くなり、成膜異常が発生し、配線パターンへの成膜が失敗することが多くなるなどして歩留まりが低下するという課題がより顕著に生じることになる。
これに対して、本実施形態のスパッタリングターゲットは、硫黄(S)の含有量を10ppm以下とし、且つ、鉛(Pb)の含有量を2ppm以下に設定することで、ターゲット表面、及び内部の疵を低減し、スパッタリング処理の際に、ターゲットから発生するアーキングの発生回数を低減できるため、特に、基板やウェハーが大型化するに伴って顕著になるアーキングの発生回数が多くなるという問題を防ぐことができ、大型の基板やウェハーに対しても成膜精度を向上することができる。
(効果確認実験)
本効果確認実験では、インゴットに含有する不可避不純物としての硫黄(S)、及び、鉛(Pb)の含有率の違いに応じて従来例のターゲットと本実施例のターゲットとを製造し、それぞれ製造したターゲットごとに行ったスパッタリング処理により発生したターゲットの表面の割れの個数とアーキングの発生回数を検証した。
なお、スパッタリング処理は、DCマグネトロンスパッタ装置を用い、スパッタリング条件として、到達真空度を4×10−5Paとし、アルゴン圧力を0.3Paとし、酸素分圧を1×10−3Paとし、投入電力量を2W/cmとする設定の下で行った。
また、本効果確認実験では、板厚が30mmの板状のスパッタリングターゲットを用いている。
従来例のターゲットは、該ターゲットに含有する化学成分、及び、その含有量がJIS H3100−C1020の規格を満たす電子管用無酸素銅である。
詳しくは、従来例のターゲットは、硫黄(S)が18ppm以下、鉛(Pb)が10ppm以下、ビスマス(Bi)が3ppm以下、及び、テルル(Te)が5ppm以下のものであるが、銅の純度が99.9質量%以上の銅を主成分としている。
但し、従来のターゲットは、硫黄(S)の含有量が10ppm以下であるが、鉛(Pb)の含有量が2ppmよりも大きいもの、鉛(Pb)の含有量が2ppm以下であるが、硫黄(S)の含有量が10ppmよりも大きいもの、或いは、硫黄(S)の含有量が10ppmより大きく、且つ、鉛(Pb)の含有量が2ppmよりも大きいものである。
具体的には、従来例のターゲットとして、従来例1〜5、及び、比較例の合計6種類のサンプルを作製し、表1に示すように、硫黄(S)と鉛(Pb)の含有率について、それぞれ従来例1が15ppm、5ppmであり、従来例2が15ppm、2ppmであり、従来例3が15ppm、1ppmであり、従来例4が10ppm、5ppmであり、従来例5が5ppm、5ppmであり、比較例が8ppm、5ppmである。
なお、比較例のターゲットは、「特許第3975414号」に開示の実施例に係る銅インゴットと同じ化学組成のものを用いている。
これに対して、実施例のターゲットは、純度が99.9質量%以上の銅を主成分とし、10ppm以下の硫黄(S)、及び、2ppm以下の鉛(Pb)を含有するものである。
具体的には、表1に示すように、本実施例のターゲットとして、実施例1〜4の4種類のサンプルを作製し、硫黄(S)と鉛(Pb)の含有率について、それぞれ実施例1が10ppm、2ppmであり、実施例2が10ppm、1ppmであり、実施例3が5ppm、2ppmであり、実施例4が5ppm、1ppmである。
なお、表1は、従来例、比較例、及び、実施例ごとの硫黄(S)と鉛(Pb)の含有量を示しているとともに、後述する実験結果として、従来例、及び、実施例ごとのターゲット表面に有する割れ個数と、スパッタリング処理の際に発生するアーキング回数を示している。
実験結果として、従来例1〜5、比較例、及び、実施例1〜4のターゲット表面の割れ個数[個/100mm]、スパッタリング処理中のアーキング発生回数は、表1、図1、図2、及び、図3に示すとおりである。
なお、比較例のターゲット表面の割れ個数[個/100mm]、スパッタリング処理中のアーキング発生回数は、表1中においてのみ示している。
ここで割れ個数[個/100mm]は、スパッタリングターゲットの表面(若しくは断面)の検査面積100mm内の割れの数を示し、アーキング回数は、30mmの厚みを有する板状のターゲット材の厚みが20mmとなるまで、すなわち、厚み方向(深さ方向)について10mm使用するまでスパッタリング処理したときに発生したアーキングの発生回数を示す。
また、スパッタリング処理中に発生したアーキング回数は、アーキングカウンタを用いて計測した。アーキングカウンタとしては、LANDMARK TECHNOLOGY社製のデータコレクタを用いた。なお、アーキング回数の目安として、アーキング回数が30回を超える場合には、対向基板上の電極等に対する異常成膜箇所の増加による製品ロス率の増大が目立つレベルを示すものと考えられる。
なお、図1は、硫黄(S)の含有率[ppm]を横軸にプロットした場合における実施例1〜4、従来例1〜5ごとの硫黄(S)及び鉛(Pb)の成分濃度と割れ個数[個/100mm]との関係を示すグラフである。図2は、鉛(Pb)の含有率[ppm]を横軸にプロットした場合における実施例1〜4、従来例1〜5ごとの硫黄(S)と鉛(Pb)との成分濃度と割れ個数[個/100mm]との関係を示すグラフである。図3は、実施例1〜4、従来例1〜5ごとの割れ個数とアーキング発生回数との関係を示すグラフである。
また、疵の開きが大きいと疵のエッジの部分に電荷が集中し、スパッタリング中にアーキングが発生することから、本効果確認実験では、アーキングの発生に影響を及ぼす範囲である割れのサイズとして、図4(a),(b)に示すように、疵の幅(疵の開き)が0.003mm以上のサイズのものを割れとして定義して、カウントしている。
ここで、図4(a)に示す疵は、最大0.3mmの幅を有する疵であり、図4(b)は、最大0.004mmの幅を有する疵であり、いずれも幅方向について0.003mm以上であるため、これら疵は、本実施形態における割れの定義に含むものとする。
なお、図4(a)の疵は、長手方向の長さが3.34mmであり、図4(b)の疵は、長手方向の長さが0.031mmである。
一方、図5に示す疵は、0.003mmより幅小であるとともに、結晶粒界と同等の大きさの幅であるため、割れの定義に含めないものとする。
すなわち、疵の幅が上述した0.003mmよりも小さい場合には、疵の長手方向の長さが、たとえ、図5に示すように、例えば、4mmを超すような長尺であってもアーキングの発生に影響を及ぼさないため、図5に示すような疵は、本実施形態における割れの定義には含めないものとする。
表1、図1、図2、及び、図3に示すように、スパッタリングターゲット表面(被スパッタリング表面)の割れ個数については、従来例1〜5、比較例の場合には、いずれも50[個/100mm]よりも多くなった。これに対して、実施例1〜4の場合には、いずれも50[個/100mm]以下とすることを確認できた。
それとともに、従来例1〜5、及び比較例の場合には、アーキングの発生回数が30回より多かったのに対して、実施例1〜4の場合には、30回より少なくなることも確認できた。
このことから表1、及び、図3に示すように、割れ個数を50[個/100mm]以下にするとアーキング発生回数が30回以下に抑制することができることを確認できた。
以上により、スパッタリングターゲットを、実施例1〜4に示すように、純度が99.9質量%以上の銅を主成分とし、硫黄(S)を10ppm以下の含有量とし、且つ、鉛(Pb)を2ppm以下の含有量とすることにより、アーキングの発生回数を30回よりも抑えることができ、硫黄(S)と鉛(Pb)との含有量のそれぞれがこのような条件を満たしていない従来例1〜5のターゲットと比較して、格段に抑制できることを確認できた。
そして、従来例1〜5、比較例、及び実施例1〜4のそれぞれについて、実際に、ターゲットのスパッタリング処理を行った基板を確認したところ、従来例1〜5、及び比較例のスパッタリングターゲットを用いた場合には、基板に対してスプラッシュ等の粗大クラスタが発生したのに対して、実施例1〜4のスパッタリングターゲットを用いた場合には、スプラッシュなどの粗大クラスタが発生することがなく、基板に均一な膜厚の薄膜を形成することができた。
なお、この発明は、上述した実施形態に限らず、その他にも様々な実施形態で形成することができる。

Claims (2)

  1. 純度が99.9質量%以上の銅を主成分としたスパッタリングターゲットであって、
    10ppm以下の硫黄(S)、及び、2ppm以下の鉛(Pb)を含有することを特徴とする
    スパッタリングターゲット。
  2. 前記銅の純度が99.96質量%以上であることを特徴とする
    請求項1に記載のスパッタリングターゲット。
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