JP6529286B2 - 発光材料および有機el素子 - Google Patents

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Description

本発明は、発光材料およびそれを用いた有機EL素子に関する。
フラットディスプレイパネルや照明装置に用いられる発光素子として、有機EL素子が注目されている。有機EL素子は、発光層を構成する材料を選択することにより、種々の波長の光を発光することができる。有機EL素子に用いられる青色発光材料として、ペリレン誘導体等が知られている。
有機EL素子の開発における最大の課題は、発光効率の向上である。例えば、蛍光材料は、固体状態では濃度消光を引き起こすため、発光材料が固体状の薄膜として用いられる有機EL素子では、発光量子効率が低下する傾向がある。そのため、固体状態で消光を生じる蛍光材料は、他の化合物(ホスト材料)中にドーパントとして添加して用いられる。青色蛍光の発光ドーパントとしては、ペリレンの他、4,4’‐ビス[2‐(9‐エチルカルバゾール‐2‐イル)ビニル]ビフェニル(BCzVBi)等のビフェニル誘導体が知られている(特許文献1)。
特開2006−172762号公報
上記のように、多種の発光材料が開発されているが、十分に高い発光効率を示す有機EL素子は得られておらず、より高い発光効率を示す材料の開発が求められている。
上記に鑑み本発明者らが検討の結果、所定の置換基を有するビフェニル誘導体が、青色発光材料として有用であることを見出し、本発明に至った。本発明の発光材料は、下記一般式(I)で表される化合物である。
Figure 0006529286
式中、Rは、ビフェニルの4’位の炭素原子に結合する窒素原子を有する電子供与性基である。Rは、ビフェニルの4位の炭素原子に結合する炭素原子を有する基、およびハロゲンからなる群から選択される電子求引性基である。Rは、ビフェニルの2位または3位の炭素原子に結合する窒素原子を有する基、ビフェニルの2位または3位の炭素原子に結合する炭素原子を有する基およびハロゲンからなる群から選択される基である。
ビフェニルの4’位の炭素原子に結合している電子供与性基Rとしては、ジアリールアミノ基、アリール(アルキル)アミノ基、ジアルキルアミノ基、電子供与性を有するヘテロアリール基等が挙げられる。電子供与性を有するヘテロアリール基としては、置換基を有してもよいカルバゾリル基、置換基を有してもよいフェノキサジニル基、置換基を有してもよいアクリダニル基等が挙げられる。
ビフェニルの4位の炭素原子に結合している電子求引性基Rとしては、シアノ基、ハロゲン置換アルキル基、ホルミル基、およびハロゲン等が挙げられる。
ビフェニルの2位または3位の炭素原子に結合している置換基Rは、電子供与性または電子求引性であることが好ましい。置換基Rは、ビフェニルの2位の炭素原子に結合していることが好ましい。
上記発光材料は、有機EL素子発光材料として好適に用いられる。本発明の有機EL素子は、陽極および陰極からなる一対の電極の間に少なくとも発光層を備え、発光層が、上記の発光材料を有する。
本発明の発光材料は、500nmよりも短波長の青色領域に発光極大波長を有する青色発光材料であり、高い発光効率を有する有機EL素子を作製可能である。
有機EL装置の層構成の一例を示す模式的断面図である。 図1の有機EL装置における有機EL素子の層構成の一例を示す模式的断面図である。
[発光材料]
本発明の発光材料は、下記一般式(I)で表されるビフェニル誘導体である。
Figure 0006529286
上記一般式(I)において、Rはビフェニルの4’位に結合している基であり、電子供与性基である。Rはビフェニルの4位に結合している基であり、電子求引性基である。Rはビフェニルの2位または3位に結合している基である。
<置換基R
はビフェニルの4’位の炭素原子に結合している基であり、電子供与性基である。電子供与性基は、Hammettの置換基定数σが0より小さい置換基であり、σは−0.1以下が好ましい。電子供与性基としては、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、置換基を有していてもよいアミノ基(含窒素ヘテロアリール基を含む)、窒素含有飽和複素環基、およびトリオルガノシリル基等が挙げられる。なお、Hammettの置換基定数は、Hansch, C. et. al., Chem. Rev., 91, 165-195. (1991)に詳しく記載されている。
は、ビフェニルの4’位の炭素原子に結合する窒素原子を有することが好ましい。その具体例としては、無置換のアミノ基(NH)、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、アリール(アルキル)アミノ基、ジアリールアミノ基、ヘテロアリール基等が挙げられる。中でも、2置換アミノ基または、ヘテロアリール基が好ましい。アミノ基が水素原子を有している場合(すなわち、無置換または1置換アミノ基の場合)、アミノ基が分子間水素結合を形成するため、濃度消光を生じ、発光効率が低下する傾向がある。これに対して、アミノ基が2置換アミノ基あるいはヘテロアリール環を形成する場合は、濃度消光が生じ難く、発光効率が向上する傾向がある。
2置換アミノ基としては、ジアルキルアミノ基、アリール(アルキル)アミノ基、およびジアリールアミノ基が挙げられる。電子供与性を有するヘテロアリール基としては、置換基を有してもよいカルバゾリル基、置換基を有してもよいフェノキサジニル基、置換基を有してもよいアクリダニル基等が挙げられる。これらの中でも、ジアリールアミノ基およびカルバゾリル基が好ましく、ジアリールアミノ基が特に好ましい。
電子供与性基としてのアルキル基、電子供与性基としてのアルコキシ基のアルキル部分、電子供与性基としてのアルキルチオ基のアルキル部分、ならびにアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基およびアリール(アルキル)アミノ基の置換基としてのアルキル基は、低級アルキル基であることが好ましい。低級アルキル基としては、炭素数1〜6、好ましくは炭素数1〜4の直鎖状または分岐を有するアルキル基が挙げられる。具体的には、メチル基、エチル基、n‐プロピル基、イソプロピル基、n‐ブチル基、イソブチル基、tert‐ブチル基、sec‐ブチル基、n‐ペンチル基、1‐エチルプロピル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n‐ヘキシル基、1,2,2‐トリメチルプロピル基、3,3‐ジメチルブチル基、2‐エチルブチル基、イソヘキシル基、3‐メチルペンチル基、等が挙げられる。
アリールアミノ基、ジアリールアミノ基、およびアリール(アルキル)アミノ基の置換基におけるアリール基としては、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいヘテロアリール等が挙げられる。これらの中でも、フェニル基が好ましい。アリール基の置換基としては、低級アルキル基、ハロゲン、ハロゲン化アルキル基等が挙げられる。
<置換基R
はビフェニルの4位の炭素原子に結合している基であり、電子求引性基である。電子求引性基は、Hammettの置換基定数σが0より大きい小さい置換基であり、σは0.1以上が好ましい。電子求引性基としては、ハロゲン、ハロゲン置換アルキル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、ホルミル基、置換基を有してもよいアミノカルボニル基、置換基を有していてもよいカルバモイル基、シアノ基等が挙げられる。
は、ハロゲンであるか、ビフェニルの4位の炭素原子に結合する炭素原子を有する基であることが好ましい。ビフェニルに結合する炭素原子を有する電子求引性の中でも、シアノ基、ハロゲン置換アルキル基、およびホルミル基が好ましい。
ハロゲンとしては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、およびヨウ素原子が挙げられる。これらのハロゲンの中でも、一重項から三重項への項間交差による蛍光消光を抑制する観点からは、フッ素原子または塩素原子が好ましい。
ハロゲン置換低級アルキル基としては、前記低級アルキル基の水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換されたものであり、好ましくは1〜5個、より好ましくは1〜3個の水素原子がハロゲン原子で置換されたものが挙げられる。具体的には、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、クロロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメチル基、ブロモメチル基、ジブロモメチル基、ジクロロフルオロメチル基、2,2‐ジフルオロエチル基、2,2,2‐トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、2‐フルオロエチル基、2‐クロロエチル基、3,3,3‐トリフルオロプロピル基、ヘプタフルオロプロピル基、2,2,3,3,3‐ペンタフルオロプロピル基、ヘプタフルオロイソプロピル基、3‐クロロプロピル基、2‐クロロプロピル基、3‐ブロモプロピル基、4,4,4‐トリフルオロブチル基、4,4,4,3,3‐ペンタフルオロブチル基、4‐クロロブチル基、4‐ブロモブチル基、2‐クロロブチル基、5,5,5‐トリフルオロペンチル基、5‐クロロペンチル基、6,6,6‐トリフルオロヘキシル基、6‐クロロヘキシル基、ペルフルオロヘキシル基、等が挙げられる。
<置換基R
はビフェニルの2位または3位の炭素原子に結合している任意の置換基である。ビフェニルの2位に置換基Rを有するビフェニル誘導体は、下記一般式(II)で表される。ビフェニルの3位に置換基Rを有するビフェニル誘導体は、下記一般式(III)で表される。
Figure 0006529286
は、ビフェニル骨格の炭素原子に結合する窒素原子または炭素原子を有する基であることが好ましい。ビフェニルの2位または3位に置換基Rを有することで、近接する分子との間に立体障害が生じ、ビフェニル同士のπ‐πスタッキング等の分子間相互作用が低減する傾向がある。そのため、蛍光の濃度消光が抑制されるとともに、発光波長が短波長側にシフトする傾向がある。
は電子供与性または電子求引性の置換基であることが好ましい。Rが電子供与性または電子求引性である場合、分子内での電荷移動遷移が生じやすく、高い発光量子収率を示す発光材料が得られる。
電子供与性基の例としては上記置換基Rに関して例示したものが挙げられ、中でも、ジアリールアミノ基、アリール(アルキル)アミノ基、ジアルキルアミノ基、および電子供与性を有するヘテロアリール基が好ましい。Rが電子供与性基である化合物は、下記一般式(IIa)または(IIIa)で表される。一般式(IIa)および(IIIa)において、Dは電子供与性基である。
Figure 0006529286
電子求引性基の例としては上記置換基Rに関して例示したものが挙げられ、中でも、シアノ基、ハロゲン、ハロゲン置換アルキル基、およびホルミル基が好ましい。Rが電子求引性基である化合物は、下記一般式(IIb)または(IIIb)で表される。一般式(IIb)および(IIIb)において、Aは電子求引性基である。
Figure 0006529286
上記例示の中でも、本発明の化合物は、ビフェニルの2位に置換基Rを有することが好ましい。ビフェニルの2位に電子供与性または電子求引性の置換基Rが存在する場合、すなわち上記一般式(II)の化合物では、Rの立体障害に起因して、ビフェニル骨格の1−1’炭素結合まわりのねじれが生じ、分子の平面性が低下する。そのため、立体障害による分子間π‐π相互作用の低下に加えて、ビフェニル骨格の2つのベンゼン環平面の間のねじれによりπ電子密度が調整され、発光波長が短波長側にシフトする。
3位に置換基Rが存在する場合、すなわち上記一般式(III)の化合物では、ビフェニル骨格のねじれは小さいが、分子間π‐π相互作用の低下により、発光波長が短波長側にシフトする傾向がある。特に、3位の置換基Rが電子求引性の場合(上記一般式(IIIb))に、青色発光材料が得られ易い。
<化合物の特性>
上記のように、本発明の発光材料は、ビフェニル骨格の4位および4’位に、電子供与性の置換基R、および電子求引性の置換基Rを有し、さらに2位または3位に電子供与性または電子求引性の置換基Rを有する。そのため、分子内の電子供与性基と電子求引性基との間で強い電荷移動遷移が生じて、高い発光量子収率を有する発光材料となり得る。また、R,R,Rの種類を選択することにより、材料の発光特性を変化させることができ、500nmよりも短波長に発光極大を有する青色発光材料とすることができる。
本発明の発光材料は、化合物の分子量が200〜2000、好ましくは400〜1200となるように、上記置換基R,R,Rの種類を選択することが好ましい。化合物の分子量300〜2000の範囲内であれば、昇華による精製が可能である。そのため、化合物の高純度化が可能となり、これを用いて得られる有機EL素子の性能を向上できる。また、蒸着法により発光層を形成できることからも、分子量は300〜2000が好ましい。
<合成方法>
上記ビフェニル誘導体の合成方法は特に限定されず、各種公知の反応を組み合わせて、目的の化合物を得ることができる。例えば、R=ジフェニルアミノ基、R=シアノ基、R=シアノ基である化合物(後述の化合物7)は、鈴木−宮浦カップリング反応により得られる。
また、ビフェニル母骨格を先に形成した後、種々の置換反応を用いることにより、目的化合物を得ることができる。例えば、R=ジフェニルアミノ基、R=シアノ基、R=ジフェニルアミノ基である化合物(後述の化合物3)は、カップリング反応によりR(2位または3位)がニトロ基である化合物を合成した後、還元反応によるアミノ化、続いてアミノ基のアリール化反応を行うことにより得られる。
[材料の使用例]
上記のビフェニル誘導体は、高い発光量子効率を有することから、有機EL素子や蛍光プローブ等の発光材料、色素レーザーや色素増感太陽電池の色素等として用いることができる。特に、上記のビフェニル誘導体は、短波長領域の発光量子効率が高く、特に500nm以下に発光極大波長を有する青色発光材料として好適に用いられる。
上記のビフェニル誘導体を有機EL素子の発光材料として用いる場合、単独で用いてもよく、発光ドーパント材料、あるいは発光ホスト材料として、他の発光ドーパント材料や、発光ホスト材料と共に発光材料として用いることもできる。特に、上記のビフェニル誘導体を発光ドーパント材料として用いることで、発光効率に優れる有機EL素子を形成できる。
[有機EL素子の構成例]
図1は、有機EL装置の層構成の一例である。図1に示される有機EL装置は、透明基板3側から光が取り出される、「ボトムエミッション型」と称される構成である。有機EL装置1は、透明基板3上に、有機EL素子2を有し、有機EL素子は、封止部7によって封止されている。有機EL素子2は、透明電極層(陽極)4および裏面電極層(陰極)6からなる一対の電極間に、少なくとも1つの発光層を有する機能層5を備える。
機能層5は、複数の有機化合物薄膜が積層されたものである。図2は、機能層5の層構成の一例である。図2に示される有機EL素子2において、機能層5は、正孔注入層10、正孔輸送層11、発光層12、電子輸送層15、および電子注入層16を有する。すなわち、有機EL素子2において、発光層12は、透明電極層4と裏面電極層6との間に位置している。
<透明基板>
ボトムエミッション型の有機EL装置において、透明基板3は、透光性を有する材料からなるものであれば特に限定はない。図1に示すボトムエミッション方式の実施形態では、透明基板3側から光が取り出されるため、透明基板3は可視光域における透過率が80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、95%以上であることがさらに好ましい。透明基板3としては、ガラス基板、フレキシブルな透明フィルム基板等を使用してもよい。なお、有機EL装置がトップエミッション方式を採用する場合、基板は不透明なものであってもよい。
<透明電極>
透明基板3上には、透明電極層(陽極)4が積層される。透明電極層4を構成する材料は特に限定されず、公知のものが使用できる。例えば、インジウム・スズ酸化物(ITO)、インジウム・亜鉛酸化物(IZO)、酸化錫(SnO2)、酸化亜鉛(ZnO)等の材料からなるものが挙げられる。中でも、発光層12からの光の取出し効率や、電極のパターニングの容易性の観点からは、ITOあるいはIZOが好ましく用いられる。
透明電極層4には、必要に応じて、アルミニウム、ガリウム、ケイ素、ホウ素、ニオブ等の1種以上のドーパントがドーピングされていてもよい。透明電極層4の透過率は、可視光域における透過率が70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。透明電極層4は、例えば、スパッタ法やCVD法等のドライプロセスによって透明基板3上に形成される。透明電極層4の膜厚は、光の透過性や電気伝導度を考慮して適宜選択すればよいが、例えば80〜300nmであり、好ましくは100〜150nm、より好ましくは130〜150nmである。
<裏面電極層>
透明電極層4上には、機能層5が形成され、その上に裏面電極層(陰極)6が形成される。裏面電極層に用いられる材料としては、好ましくは仕事関数の小さい(例えば4eV以下)金属、または、その合金や金属酸化物等が挙げられる。仕事関数の小さい金属としては、アルカリ金属ではLi等、アルカリ土類金属ではMg、Ca等が例示される。また、希土類金属等からなる金属単体、あるいは、これらの金属とAl、In、Ag等の合金等が用いられることもある。さらに、特開2001−102175号公報等に開示されているように、陰極に接する有機相として、アルカリ土類金属イオン、アルカリ金属イオンからなる群から選択される少なくとも1種を含む有機金属錯体化合物を用いることもできる。この場合、陰極として、当該錯体化合物中の金属イオンを真空中で金属に還元し得る金属、例えばAl、Zr、Ti、Si等もしくはこれらの金属を含有する合金を用いることが好ましい。
<機能層>
次に機能層5について説明する。機能層5は、少なくとも1層の発光層12を有する。機能層を構成する各層は、一般に、有機化合物、高分子化合物、遷移金属錯体等を含むアモルファス膜で構成される。機能層5は、一般に複数の層からなる積層構造を有している。図2では、機能層5は、正孔注入層10、正孔輸送層11、発光層12、電子輸送層15、および電子注入層16を有する。機能層5は、発光層12を有していればよく、正孔注入層10、正孔輸送層11、電子輸送層15、および電子注入層16は必要に応じて設けられる。
<発光層>
本発明の有機EL素子において、発光層12は、上記のビフェニル誘導体を含む。特に好ましい形態では、上記のビフェニル誘導体がドーパント材料として用いられ、発光層は、ホスト化合物にドーパント材料を含む。この場合、発光層12は、ホスト材料100重量部に対して、ドーパント材料としてのビフェニル誘導体を、0.1〜50重量部含むことが好ましい。ホスト材料100重量部に対するドーパントの含有量は、1〜40重量部がより好ましく、3〜30重量部がさらに好ましく、5〜10重量部が特に好ましい。
発光層に用いられるホスト化合物は特に限定されず、各種の化合物が用いられる。ホスト材料としては、良好な成膜性を示し、かつ、ドーパント材料の良好な分散性を確保可能な化合物が好ましく用いられる。ホスト化合物は、ドーパント化合物であるビフェニル誘導体よりも大きなバンドギャップを有するものが好適に選択される。上記のビフェニル誘導体が青色発光ドーパントとして用いられる場合、ホスト化合物としては、青色発光ホストとして使用可能な各種の化合物が特に好適に用いられる。特に、上記ビフェニル誘導体は蛍光ドーパントとして優れた特性を有することから、ホスト材料としては蛍光ホスト材料が好ましく用いられる。
ホスト材料の具体例としては、9,10‐ジ(2‐ナフチル)アントラセン(ADN)、2‐メチル‐9,10‐ビス(ナフタレン‐2‐イル)アントラセン(MADN)10,10’‐ジ(4‐トリル)‐9,9’‐ビアントラセニル(BABT)等のアントラセン誘導体;4,4’‐N,N’‐ジカルバゾール‐ビフェニル(CBP)等のカルバゾール誘導体;アリールシラン系化合物;酸化リン系化合物;オキサジアゾール系化合物;キノリノール系金属錯体等が挙げられる。ホスト材料は、種の材料を単独で用いてもよいし、2種以上の材料を組み合わせて用いてもよい。
発光層の形成方法は特に限定されず、真空蒸着法や転写法等のドライプロセスの他、コーティング法や印刷法等のウェットプロセスを採用することができる。上記ビフェニル誘導体は低分子であり、良好な製膜性を示すことから、本発明においては、真空蒸着法が好適に用いられる。真空蒸着法においては、ホスト材料とドーパント材料を共蒸着し、その際の蒸着速度を制御することにより、所望の蒸着比(ドープ濃度)を実現することができる。
<正孔注入層および正孔輸送層>
図2に示すように、機能層5は、発光層12と陽極4との間に、正孔注入層10や、正孔輸送層11を有していてもよい。また、図示されていないが、正孔輸送層11と発光層12との間に、さらに電子阻止層等を有していてもよい。
正孔注入性および正孔輸送性の材料は、ラジカルカチオン化し易い化合物が好ましく、例えば、アリールアミン系化合物、イミダゾール系化合物、オキサジアゾール系化合物、オキサゾール系化合物、トリアゾール系化合物、カルコン系化合物、スチリルアントラセン系化合物、スチルベン系化合物、テトラアリールエテン系化合物、トリアリールアミン系化合物、トリアリールエテン系化合物、トリアリールメタン系化合物、フタロシアニン系化合物、フルオレノン系化合物、ヒドラジン系化合物、カルバゾール系化合物、N‐ビニルカルバゾール系化合物、ピラゾリン系化合物、ピラゾロン系化合物、フェニルアントラセン系化合物、フェニレンジアミン系化合物、ポリアリールアルカン系化合物、ポリシラン系化合物、ポリフェニレンビニレン系化合物等が挙げられる。
特に、アリールアミン化合物は、ラジカルカチオン化し易いことに加えてホール移動度が高く、正孔注入層あるいは正孔輸送層の材料として適している。アリールアミン化合物を含有するホール輸送材料の中でも、4、4’‐ビス[N‐(2‐ナフチル)‐N‐フェニル‐アミノ]ビフェニル(α―NPD)等のトリアリールアミン誘導体が好ましい。
上記の他に、正孔注入層10を構成する材料としては、酸化モリブデン、酸化バナジウム、酸化ルテニウム、酸化マンガン等の金属酸化物や、2,3,6,7,10,11,‐ヘキサシアノ‐1,4,5,8,9,12‐ヘキサアザトリフェニレン(HAT(CN))、2,3,5,6‐テトラフルオロ‐7,7,8,8‐テトラシアノ‐キノジメタン(F4−TCNQ)等を用いてもよい。また、三酸化モリブデンとN,N‐ビス(ナフタレン‐1‐イル)‐N,N’‐ビス(フェニル)‐ベンジジン(略称:NPB)との混合層等、金属酸化物と有機化合物の混合物を正孔注入層10として採用してもよい。
<電子輸送層および電子注入層>
図2に示すように、機能層5は、発光層12と陰極6との間に、電子注入層16や電子輸送層15を有していてもよい。また、図示されていないが、電子輸送層15と発光層12との間に、さらに正孔阻止層等を有していてもよい。正孔阻止層を構成する材料としては、例えば、2,9‐ジメチル‐4,7‐ジフェニル‐1,10‐フェナントロリン(通称:バトクプロイン、BCP)等が挙げられる。
電子輸送性層の材料としては、ラジカルアニオン化し易い化合物が好ましく、例えば、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタンおよびアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体等、チアジアゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、キノリン誘導体、キノキサリン誘導体等が挙げられる。電子輸送材料の具体例としては、4,7‐ジフェニル‐1,10‐フェナントロリン(Bphen)、2,2’,2”‐(1,3,5‐ベンジントリイル)‐トリス(1‐フェニル‐1‐H‐ベンズイミダゾール)(TPBi)、3‐(4‐ビフェニル)‐4‐フェニル‐5‐tert‐ブチルフェニル‐1,2,4‐トリアゾール(TAZ)、トリス[(8‐ハイドロキシキノリナート)]アルミニウム錯体(Alq)、10‐ベンゾ[h]キノリノール‐ベリリウム錯体(BeBq)等が挙げられる。
電子注入層を構成する材料としては、Li等のアルカリ金属;Mg、Ca等のアルカリ土類金属;1種以上の前記金属を含む合金;前記金属の酸化物、ハロゲン化物、および炭酸化物;ならびにこれらの混合物が挙げられる。具体的には、8‐ヒドロキシキノリノラト(リチウム)(Liq)、フッ化リチウム(LiF)、等が挙げられる。
<有機EL素子の形成>
図2に示す有機EL素子2は、透明基板3上に形成された透明電極層4上に、機能層5(正孔注入層10、正孔輸送層11、発光層12、電子輸送層15、および電子注入層16)、ならびに裏面電極層6を順次積層することにより製造することができる。機能層5を構成する各層の成膜方法は特に制限されず、真空蒸着法やコーティング法、印刷法等の適宜の方法によって形成することができる。このようにして製造された有機EL素子2は、封止部7によって封止され、有機EL装置1となる。
なお、図2では、機能層5が5つの層からなる構成について説明したが、本発明は当該実施形態に限定されるものではない。例えば、正孔注入層10、正孔輸送層11、電子輸送層15、電子注入層16の一部または全部が省略された構成でもよい。また、前述のごとく、発光層12の前後に正孔阻止層や電子阻止層が設けられていてもよい。
図2では、機能層5が1つの発光層12を有する形態が図示されているが、本発明の有機EL素子は、2以上の発光層を有するスタック型でもよい。スタック型の有機EL素子では、少なくとも1つの発光層が上記のビフェニル誘導体を含むことが好ましい。本発明の有機EL素子は単色発光素子であってもよいし、異なる発光を示す複数の発光層を持つ多色発光素子であってもよく、白色発光素子であってもよい。
本発明の有機EL素子は、有機EL照明や有機EL表示装置等に好適に用いられる。有機EL照明は、住宅等の一般照明のみならず、液晶表示装置のバックライト、デジタルスチルカメラ等の電子機器や内視鏡用の光源、画像処理等の医療分野、露光装置や通信設備等の産業機器等の特殊照明としての応用も可能である。
以下に、ビフェニル誘導体の合成例および有機EL素子の作製例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
[合成例]ビフェニル誘導体の合成
本合成例では、カップリング反応により、下記のビフェニル誘導体(化合物1〜11)を合成した。化合物1,3,7,11の具体的な合成手順を、合成例1〜4に示す。なお、化合物2,4,5,6,8,9,10についても、下記合成例1〜4と同様の手順により合成を行った。
Figure 0006529286
[合成例1]化合物1の合成
本合成例では、下記の手順にしたがって、4‐シアノ‐2‐ジメチルアミノ‐4’‐カルバゾイルビフェニル(上記化合物1)を合成した。
80 mLシュレンク管に、下記化合物21 (1.7 g, 5.9 mmol)、および下記化合物22(1.2 g, 5.4 mmol)を加え、脱気、アルゴン置換を1回ずつ行った。そこに、Pd(PPh3)4 (0.30 g, 0.27 mmol)を加え、脱気、アルゴン置換を3回ずつ行った。アルゴンガスをフローしながら、トルエン(10 mL)、K2CO3 aq. (3.0 M, 7.8 mL, 22 mmol) を加え、100 °C で22 時間撹拌した。その後、反応溶液を室温に戻し、蒸留水 (100 mL)、ジクロロメタン (100 mL ×3) を用いて有機相を抽出し、無水硫酸マグネシウムで脱水した後、減圧留去を行った。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、下記化合物23 (1.3 g, 3.3 mmol, 61%) を黄色固体として得た。
Figure 0006529286
200 mLナスフラスコに、上記で得られた化合物23 (1.3 g, 3.3 mmol)、鉄粉 (1.8 g, 33 mmol) および エタノール (100 mL) を加えた。そこに、HCl aq. (6.0 M, 5.5 mL, 33 mmol) を加え、90 °C で18時間還流した。ジムロートを外し、加熱温度を 110 °C まで上げ、エタノールを蒸発させた。そこへ、sat. NaHCO3 aq. を加えて塩基性にしてから CHCl3 (100 mL) を加えた。不溶物を濾過で除き、CHCl3 (100 mL ×2) を用いて濾液から有機相を抽出した。有機相を無水硫酸マグネシウムで脱水し、減圧留去した後、真空乾燥して、下記化合物24 (1.1 g, 3.1 mmol, 94%) を無色固体として得た。
Figure 0006529286
フレームドライした80 mLシュレンク管に、上記化合物24 (1.0 g, 2.8 mmol)、および NaH (0.33 g, 8.3 mmol) を加え、脱気、アルゴン置換を3回ずつ行った。アルゴンガスをフローしながら無水 DMF (10 mL)、およびヨードメタン (0.35 mL, 5.7 mmol) を加え、室温で17 時間撹拌した。メタノールを加えて反応を停止し、蒸留水とジクロロメタン (100 mL×3) を用いて有機相を抽出した。有機相を飽和食塩水 (50 mL) と無水硫酸マグネシウムで脱水した後、減圧留去して粗生成物を黄色固体として得た。この粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー、GPC、再結晶 (CHCl3 : Hex) により精製し、目的の化合物1 (0.62 g, 1.6 mmol, 58%) を無色固体として得た。
Figure 0006529286
化合物1のCDCl3溶液の1H-NMRを測定したところ、次の結果が得られた。
1H-NMR (CDCl3, 400 MHz): δ = 2.67 (s, 6H), 7.29 - 7.34 (m, 4H), 7.38 - 7.49 (m, 5H), 7.64 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 7.79 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 8.17 (d, J = 8.4 Hz, 2H).
[合成例2]化合物3の合成
本合成例では、下記の手順にしたがって、4‐シアノ‐2‐ジフェニルアミノ‐4’‐ジフェニルアミノビフェニル(上記化合物3)を合成した。
80 mLシュレンク管に、下記化合物25 (1.9 g, 6.6 mmol)、および下記化合物22(1.4 g, 6.3 mmol) を加え、脱気、アルゴン置換を1回ずつ行った。そこに、Pd(PPh3)4 (0.36 g, 0. 21 mmol) を加え、脱気、アルゴン置換を3回ずつ行った。アルゴンガスをフローしながら、トルエン (10 mL)、K2CO3 aq. (3.0 M, 6.3 mL, 19 mmol) を加え、100 °Cで14 時間撹拌した。その後、反応溶液を室温に戻し、蒸留水 (100 mL)、CHCl3 (100 mL ×3) を用いて有機相を抽出し、無水硫酸マグネシウムで脱水した後、減圧留去を行った。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、下記化合物26 (1.8 g, 4.6 mmol, 76%) を赤色固体として得た。
Figure 0006529286
200 mLナスフラスコに、上記で得られた化合物26 (1.8 g, 4.6 mmol)、鉄粉 (0.26 g, 46 mmol) およびエタノール (100 mL) を加えた。そこに、HCl aq. (6.0 M, 7.6 mL, 46 mmol) を加え、90 °C で4.5時間還流した。ジムロートを外し、加熱温度を 110 °C まで上げ、エタノールを蒸発させた。そこへ、sat. NaHCO3 aq. を加えて塩基性にしてから、CHCl3 (100 mL) を加えた。不溶物を濾過で除き、CHCl3 (100 mL ×2) を用いて有機相を抽出した。有機相を無水硫酸マグネシウムで脱水し、減圧留去した後、真空乾燥して下記化合物27 (1.5 g, 4.0 mmol, 88%) を無色固体として得た。
Figure 0006529286
フレームドライした80 mLシュレンク管に、上記化合物27 (1.5 g, 4.0 mmol)、K2CO3 (2.2g, 16 mmol)、および銅粉 (76 mg, 1.2 mmol) を加え、脱気、アルゴン置換を3回ずつ行った。その後、ヨードベンゼン (15 mL) を加え、200 °C で48 時間撹拌した。反応液を室温に冷却し、CHCl3 (50 mL) を加えて、不溶物を濾過により除去した。濾液を減圧留去し、(過剰のヨードベンゼンを含む)粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (Hex : EtOAc = 100 : 0 to 1 : 1) で精製し、目的の化合物3(1.6 g, 3.1 mmol, 70%) を無色固体として得た。
Figure 0006529286
化合物3のCDCl3溶液の1H-NMRを測定したところ、次の結果が得られた。
1H-NMR (CDCl3, 300 MHz): δ = 6.81 - 6.87 (m, 6H), 6.91 - 7.02 (m, 9H), 7.07 - 7.22 (m, 7H), 7.41 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 7.48 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.53 (s, 1H).
[合成例3]化合物7の合成
本合成例では、下記の手順にしたがって、2,4‐ジシアノ‐4’‐ジフェニルアミノビフェニル(上記化合物7)を合成した。
200 mLナスフラスコにアニリン (0.91 mL, 10 mmol) および CHCl3 (100 mL) を加え、アイスバスで 0 °C に冷却した。そこへ N-ブロモスクシンイミド (NBS, 3.7 g, 21 mmol) を加え、アイスバスにつけたまま、12時間撹拌した。反応液にsat. Na2S2O3 aq.を加えて反応を停止し、有機相を蒸留水 (100 mL ×2) で洗浄した。有機相を減圧留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーでスクシンイミドを取り除き、下記化合物28を無色の粗生成物として得た。
粗生成物28の入った200 mLナスフラスコに、6 M HCl aq. (6 mL) および蒸留水 (100 mL) を加え、アイスバスで0 °Cに冷却した。ここへ、蒸留水 (5 mL) に溶解したNaNO2 (0.83 g, 12 mmol) をゆっくり滴下し、2 時間撹拌した。その後、CuCl (1.2 g, 12 mmol) を加え、アイスバスを外し 60 °C で 16 時間撹拌した。得られた反応溶液にジクロロメタン (100 mL) を加え、28%アンモニア水 (100 mL ×2) を用いて有機相を洗浄した。有機相を減圧留去した後、真空乾燥して、下記化合物29を赤色固体の粗生成物として得た。
粗生成物29の入ったナスフラスコに、 DMF (75 mL) および CuCN (1.9 g, 21 mmol) を加え、150 °C で18 時間撹拌した。反応液を室温に戻した後、減圧蒸留でDMF を除き、CHCl3 (100 mL) を加え、28%アンモニア水 (100 mL ×3) で有機相を洗浄した。有機相を飽和食塩水 (100 mL) と無水硫酸マグネシウムで脱水し、減圧留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、下記化合物30 (0.27 g, 1.7 mmol) を無色固体として得た。これら3工程の収率は17%であった。
Figure 0006529286
80 mLシュレンク管に、上記化合物30 (0.60 g, 3.7 mmol)、下記化合物31(1.2 g, 4.1 mmol)、 Pd(OAc)2 (42 mg, 0.19 mmol)、SPhos (0.15 g, 0.37 mmol)、およびK3PO4 (1.6 g, 7.8 mmol) を加え、脱気、アルゴン置換を3回ずつ行った。ここへ THF (20 mL) を加え、20時間加熱還流した。反応終了後、蒸留水を加え、CHCl3 (100 mL ×3) で有機相を抽出した。有機相を飽和食塩水 (100 mL) と無水硫酸マグネシウムで脱水し、減圧留去した。得た黄色固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーとGPCで精製し、目的の化合物7 (0.88 g, 2.4 mmol, 65%) を黄色固体として得た。
Figure 0006529286
化合物7のCDCl3溶液の1H-NMRを測定したところ、次の結果が得られた。
1H-NMR (CDCl3, 400 MHz): δ = 7.10 - 7.19 (m, 7H), 7.30 - 7.34 (m, 4H), 7.43 - 7.45 (m, 2H), 7.64 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.86 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 8.01 (s, 1H).
[合成例4]化合物11の合成
本合成例では、下記の手順にしたがって、4‐シアノ‐3‐トリフルオロメチル‐4’‐ジフェニルアミノビフェニル(上記化合物11)を合成した。
80 mLシュレンク管に、下記化合物25 (1.0 g, 3.5 mmol)、および下記化合物33(0.76 g, 3.2 mmol) を加え、脱気、アルゴン置換を1回ずつ行った。そこに、Pd(PPh3)4 (0.11 g, 9.6 μmol) を加え、脱気、アルゴン置換を3回ずつ行った。アルゴンガスをフローしながら、トルエン (10 mL)、K2CO3 aq. (3.0 M, 3.2 mL, 9.6 mmol) を加え、100 °C で14 時間撹拌した。その後、反応溶液を室温に戻し、蒸留水(100 mL)、酢酸エチル (100 mL ×3) を用いて有機相を抽出し、無水硫酸マグネシウムで脱水した後、減圧留去を行った。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、下記化合物11 (0.97 g, 2.3 mmol, 73%) を黄色固体として得た。
Figure 0006529286
化合物11のCDCl3溶液の1H-NMRを測定したところ、次の結果が得られた。
1H-NMR (CDCl3, 400 MHz): δ = 7.09 - 7.16 (m, 8H), 7.29 - 7.33 (m, 4H), 7.47 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 7.81 - 7.87 (m, 2H), 7.95 (s, 1H).
[化合物の発光特性の評価]
上記実施例および比較例で得られたそれぞれの化合物の微結晶を試料として、絶対PL量子収率測定装置(浜松ホトニクス社製 型番:C9920−02)を用いて、室温(25℃)での微結晶の発光量子収率および発光極大波長を測定した。また、各化合物をPMMA中に分散したフィルムでの発光量子収率および発光極大波長を測定した。結果を表1に示す。
Figure 0006529286
表1に示すように、本発明のビフェニル誘導体は、高い発光量子収率を示した。また、導入する置換基の種類により、発光極大波長を調整し得ることがわかる。さらに、本発明のビフェニル誘導体は、PMMAフィルムに分散させた状態でより高い発光量子収率を示し、かつ波長500nm以下の青色発光領域に発光極大を示すことから、ホストに分散させて用いる有機EL用の青色蛍光発光ドーパント材料として、特に有用であることがわかる。
[実施例1]化合物1を用いた有機EL素子の作製
パターニングされたITO電極(膜厚80nm)を有するガラス基板上に、以下の手順で、2mm×2mmの発光領域を有するボトムエミッション型評価素子を作製した。
ITO電極(陽極)上に、2,3,6,7,10,11‐ヘキサシアノ‐1,4,5,8,9,12‐ヘキサアザトリフェニレン(HAT(CN))を真空蒸着により製膜し、膜厚10nmの正孔注入層を形成した。その上に、N,N‐ビス(ナフタレン‐1‐イル)‐N,N’‐ビス(フェニル)‐ベンジジン(α‐NPD)を真空蒸着により製膜し、膜厚50nmの正孔輸送層を形成した。
次に、正孔輸送層の上に、2‐メチル‐9,10‐ビス(ナフタレン‐2‐イル)アントラセンと上記化合物1とを、94:6の重量比で共蒸着して、膜厚20nmの発光層を形成した。
発光層上に、10‐ベンゾ[h]キノリノール‐ベリリウム錯体(BeBq)を、真空蒸着により製膜し、膜厚40nmの電子輸送層を形成した。その上に、電子注入層としてLiFを真空蒸着法により1nmの膜厚で製膜し、その上に陰極としてアルミニウムを100nmの膜厚で形成した。
陰極を形成後、不活性ガス下のグローブボックスに有機EL素子を移動させ、内側に水分ゲッター剤を貼り付けたガラスキャップに硬化性樹脂を塗布し、基板とガラスキャップを貼り合わせた後、樹脂を硬化させて、有機EL素子の封止を行った。封止が完了した有機EL素子を大気圧下に取り出し、電流を通電して、電流―電圧−輝度(I−V−L)特性および発光スペクトルを測定した。
[実施例2〜4]化合物3,7,11を用いた有機EL素子の作製
上記実施例1の発光層の形成において、発光ドーパントとして、化合物1に代えて、それぞれ化合物3,7,11を用いた。それ以外は実施例1と同様にして、有機EL素子を作製し、評価を行った。
[比較例1]ペリレン誘導体を用いた有機EL素子の作製
上記実施例1の発光層の形成において、発光ドーパントとして、化合物1に代えて、2,5,8,11−テトラ−tert−ブチルペリレン(TBPe)を用いた。それ以外は実施例1と同様にして、有機EL素子を作製し、評価を行った。
Figure 0006529286
[有機EL素子の評価結果]
上記実施例および比較例で作製した有機EL素子の、発光輝度1000cd/m時における、外部発光量子効率、および発光極大波長を表2に示す。
Figure 0006529286
表2の結果から、本発明のビフェニル誘導体を発光ドーパントとして用いた実施例1〜4の有機EL素子は、青色発光を示し、比較例よりも高い発光効率を有することが示された。以上のように、本発明のビフェニル誘導体は発光材料として有用であり、特に、ビフェニル誘導体を有機ELの蛍光発光ドーパントとして用いることにより、高い発光効率を示す有機EL素子が実現可能であることが分かる。
2 有機EL素子
4 透明電極層(陽極)
5 機能層
6 裏面電極層(陰極)
12 発光層

Claims (5)

  1. 下記一般式(I)で表される化合物からなる発光材料:
    Figure 0006529286
    式中、Rは、置換基を有してもよいジアリールアミノ基、置換基を有してもよくビフェニルの4’位の炭素原子に9位の窒素原子が結合しているカルバゾリル基、およびジアルキルアミノ基からなる群から選択される基であり:Rは、シアノ基およびホルミル基からなる群から選択される基であり;Rは、ビフェニルの2位または3位に結合しており、置換基を有していてもよいジアリールアミノ基、ジアルキルアミノ基、シアノ基およびハロゲン置換アルキル基からなる群から選択される基である。
  2. 前記一般式(I)において、前記Rがビフェニルの2位に結合している、請求項1に記載の発光材料。
  3. 下記一般式(II)で表される化合物からなる発光材料:
    Figure 0006529286
    式中、Rは、ジフェニルアミノ基であり:R およびR は、ハロゲン置換アルキル基である。
  4. 陽極および陰極からなる一対の電極の間に少なくとも発光層を備え、
    前記発光層が、請求項1〜のいずれか1項に記載の発光材料を有する有機EL素子。
  5. 陽極および陰極からなる一対の電極の間に少なくとも発光層を備え、
    前記発光層が、ホスト材料およびドーパント材料を含有し、
    前記発光層中の前記ドーパント材料の含有量が、前記ホスト材料100重量部に対して、0.1〜50重量部であり、
    前記ドーパント材料が、請求項1〜のいずれか1項に記載の発光材料である、有機EL素子。
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