JP6527753B2 - 送気装置 - Google Patents

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Description

本発明は、トンネル工事においてトンネル内を換気するに当たり、送風機の送気ダクトもしくは集塵機の送気ダクトに接続されて粉塵の拡散を防止する送気装置に関するものである。
トンネル施工において、その地盤性状やトンネルの規模などに応じてその掘削方法は多岐に亘っており、都市部を中心に多用されているシールドマシンを使用したシールド工法の他に、例えば削岩機を使用した造成方法や発破による造成方法などが挙げられる。このように削岩機や発破を使用したトンネルの施工方法においては、削岩時や発破時、コンクリートの吹付時においてトンネル坑内に大量の粉塵が発生するほか、坑内の機器から排出される排ガスなども発生する。したがって、坑内環境の維持のためには、粉塵等の除塵と新鮮な外気の供給が常時おこなわれる必要がある。
このような坑内環境の維持に当たっては、図11で示すような換気方法が一般に適用されている。
まず、トンネルT内に配設された集塵機Cの集塵設備に連通する2本のダクトD1,D2のうち、一方のダクトD1の端部にある吸気口O1を切羽側に向け、他方のダクトD2の端部にある排気口O2を坑口側に向け、さらに、トンネルT外に配設された別途の送風機SのダクトD3の端部にある吐出口O3を切羽側に向ける。
切羽側で発生した粉塵混じり空気を吸気口O1で吸気し、集塵設備にて除塵された除塵後空気を排気口O2を介して坑口側へ排気する。
この集塵機Cの作動と並行して送風機Sも作動させ、坑口側からの新鮮な空気が切羽側へ提供される。
この際、送風機Sによって送気される新鮮な空気の送気量Q1よりも多い吸気量Q2の粉塵混じり空気を吸気口O1から吸気する制御が、高い粉塵除去性の観点から一般に適用されている。そのため、吸気量Q2から送気量Q1を差し引いた差分Q2-Q1によって坑口側から切羽側への空気流れ(図中のX方向)が生じる。この空気流れXにより、吸気されずに切羽側の領域で浮遊する粉塵が当該切羽側の領域に封じ込められることになる。
なお、吸気口O1からの吸気による空気の流れと、坑口側から流通してくる空気の流れがぶつかって生成される空気滞留面ACは、エアーカーテンなどと称される。
上記するエアーカーテンを形成して粉塵の拡散を防止する技術が特許文献1,2に開示されている。まず、特許文献1には、切羽から坑口側に離間した位置において、トンネルの径方向に新気を噴出させてトンネル坑内を塞ぐようにエアーカーテンを形成するとともに、切羽近傍の空気を吸引することにより、エアーカーテンを切羽へ向けて移動させつつ切羽近傍の空気を排出する方法が開示されている。
一方、特許文献2には、トンネル内の換気装置に関し、送気風管と、排気風管を備える集塵装置とを有し、送気風管には、切羽側に向けて空気を吹き出す主吹出口と、送気風管の側方に分流させた空気を吹き出す分岐吹出口が形成されていて、分岐吹出口がトンネルの壁面方向に向けて送気風管の全周に空気を吹き出す位置に形成されている換気装置が開示されている。
特許文献1,2のいずれの技術によっても、エアーカーテンにて粉塵の坑口側への漏えいを防止できるとしている。しかしながら、特許文献1,2に開示の技術では、エアーカーテンは形成されるものの、粉塵の坑口側への漏えい防止効果の高いエアーカーテンが実際に形成されるか否かは定かでない。
特開2002−349199号公報 特開2006−183403号公報
本発明は上記する問題に鑑みてなされたものであり、粉塵の漏えい防止効果の極めて高いエアーカーテンを形成することのできる送気装置を提供することを目的としている。
前記目的を達成すべく、本発明による送気装置は、坑口と切羽を備えたトンネル内の換気に当たり、送風機の送気ダクトもしくは集塵機の送気ダクトに接続される送気装置であって、送気装置は、送気ダクトに接続される一端が開放し、切羽側の他端が閉塞しているダクト本体からなり、ダクト本体の側面には、複数の送気孔を備えた二以上の送気部が該ダクト本体の長手方向に直列状に形成されており、それぞれの送気部はダクト本体の周方向の一部の範囲に亘って形成されており、坑口に最も近い送気部の開口率が他の送気部の開口率に比して高くなっているものである。
本発明の送気装置は、一端が閉塞し、他端が開放したダクト本体から構成されている。このダクト本体は、新鮮な空気を坑口側から取り込んで切羽側へ送気する送風機の送気ダクトの端部に取り付けられてもよいし、集塵機の送気ダクトの端部に取り付けられてもよい。後者の場合、集塵機が切羽側の粉塵を吸気する吸気ダクトと、取り込んだ粉塵を除塵した後の除塵後空気(新鮮な空気に相当)を切羽側に送気する送気ダクトを備えている集塵機を適用する場合に、この送気ダクトの端部に取り付けられるものである。また、この形態の集塵機と送風機がトンネル内に配設されている場合に、送風機と集塵機の双方の送気ダクトの端部に本発明の送気装置が取り付けられてもよい。
送気装置を構成するダクト本体は、切羽側の端部が閉塞しており、したがって、ダクト本体が切羽側に向かって配設されていても、切羽に向かって直接新鮮な空気が提供されることはない。
ダクト本体には、その側面において、複数の送気孔を備えた二以上の送気部がダクト本体の長手方向に直列状に形成されている。
各送気部は、複数の送気孔を具備するとともに、ダクト本体の全周には形成されておらず、ダクト本体の周方向の一部の範囲にのみ形成されている。たとえば、ダクト本体の側面が筒状の場合に、全周が360度であるのに対して、100〜120度程度の範囲の弧状範囲が送気部の範囲として規定できる。なお、たとえば筒状のダクト本体の側面に複数の送気孔が形成され、各送気孔から複数の送気部が形成される形態(ダクト本体の全体が筒状の形状形態)のほかにも、ダクト本体の側面から送気部が側方に突出して形成された形態(筒状のダクト本体に対して側方に突出した送気部を備えた形状形態)などであってもよい。
このように、ダクト本体の周方向の一部の範囲を送気部とし、この送気部をトンネルの内空側に向けてダクト本体を配設することにより、トンネル内にエアーカーテンを効果的に形成することができる。
さらに、ダクト本体の長手方向に直列状に形成されている送気部はそれぞれに固有の開口率を有しており、坑口に最も近い送気部の開口率が他の送気部の開口率に比して高くなっている。ここで、「開口率」とは、送気部の面積に対する開口部分(たとえば全送気孔の面積)の比率のことを意味している。
たとえば送風機に送気装置が取り付けられ、送気装置のダクト本体の側面に四つの送気部が直列状に形成されていて、ダクト本体がその閉塞された端面を切羽側に向けた姿勢でトンネル内に配設されている場合に、送風機を介して新鮮な空気がダクト本体に提供され、ダクト本体の切羽側の閉塞端部で気流の方向が概ね直角方向に変わった空気が送気部を介してトンネル内に提供される。ここで、切羽側の送気部の開口率が高いと坑口側の送気部から提供される空気量が低減し、ダクト本体の切羽側の送気部から切羽方向に向かって大量の空気が流れてしまい、エアーカーテンが形成されない可能性がある。
そこで、坑口に最も近い送気部の開口率が他の送気部の開口率に比して高くなっていることにより、送気部の圧力損失を低減することができる。そして、切羽側の送気部からの空気のトンネル内への提供が可及的に抑制され、トンネル内へ提供される空気量を確保することができる。その結果、全ての送気部から可及的に同量の空気をトンネル内へ提供することができる。
このように、複数の直列状の送気部から可及的に同量の新鮮な空気がトンネル内に提供されることで、全ての送気部の長さに相当する厚みのエアーカーテンをトンネル内に形成することができ、切羽側の粉塵の坑口側への漏えい防止効果が極めて高くなる。
なお、新鮮な空気は、送風機の送気ダクトを通過して送気装置に導入されることより、各送気部の送気孔からトンネル内に吹出されることが特定されている。したがって、直列状の各送気部から可及的に同量の空気をトンネル内に供給するべく、切羽側に近い送気部の開口率を相対的に低くし、空気抵抗を増加させるのがよいことが分かる。
たとえば、坑口に最も近い送気部の開口率を100%に設定することにより、送気ダクトのトータルの圧力損失を最大限低減することが可能になる。なお、送気部の開口率が100%とは、送気部の全部が開口であることを意味している。
たとえば四つの送気部が直列状に配設されている形態においては、切羽側の送気部から順に各送気部の開口率が徐々に高くなり、坑口に最も近い送気部の開口率が100%となっている形態が挙げられる。また、その他の形態として、切羽側の三つの送気部の開口率が34〜38%程度の同程度であり、坑口に最も近い送気部の開口率が100%となっている形態などが挙げられる。
また、本発明による送気装置の好ましい実施の形態は、送気部において、ダクト本体の周方向に間隔をおいて該ダクト本体の長手方向に延びる複数の区画板が備えてあるものである。
各送気部において、ダクト本体の周方向に間隔をおいて該ダクト本体の長手方向に延びる複数の区画板が設けてあることで、区画板にて空気のトンネル側への吹き出し方向が規定され、トンネル内に効果的に空気を提供することができる。
たとえば、筒状のダクト本体に対して120度の弧状範囲の送気部が形成されている場合に、9基の区画板にて15度間隔で送気部が8つの区画に分割され、各区画板にてトンネルへの流れ方向が方向付けされた空気が各区画の送気孔を介してトンネル内に提供される形態などを挙げることができる。
以上の説明から理解できるように、本発明の送気装置によれば、トンネル内に厚みのあるエアーカーテンを形成することができ、切羽側の粉塵の坑口側への漏えいを効果的に防止することができる。
本発明の送気装置の実施の形態の側面図である。 送気装置の閉塞端部側から見た斜視図である。 送気装置の開放端部側から見た斜視図である。 (a)は送気装置を適用したトンネル換気システムの平面図であり、(b)は図4aのb−b矢視図である。 トンネル内における施工状況を説明した図である。 粉塵濃度を検証した解析モデルを説明した図である。 解析結果のうち、粉塵濃度分布を示した図である。 解析結果のうち、切羽からの距離と平均粉塵濃度(高さ1.5m)に関する結果を示した図である。 送気装置の4つの送気部において、各区画からの空気の吹出し量を検証する解析結果を示した図である。 送気装置の実機の写真図である。 従来のトンネル換気方法の実施の形態の平面図である。
以下、図面を参照して、本発明の送気装置と、この送気装置を適用したトンネル換気システムの実施の形態を説明する。なお、図示する送気装置は、筒状のダクト本体の側方から突出した送気部を備えた形態であるが、筒状のダクト本体の側面に突出していない送気部を備えた形態であってもよいことは勿論のことである。また、図示する送気装置は4つの送気部を備えた形態であるが、送気部の基数は図示例に何ら限定されるものではない。
(送気装置の実施の形態)
図1は本発明の送気装置の実施の形態の側面図であり、図2は送気装置の閉塞端部側から見た斜視図であり、図3は送気装置の開放端部側から見た斜視図である。
図示する送気装置10は、鋼製で筒状のダクト本体1から構成されており、ダクト本体1の側面には、該側面から突出するとともにダクト本体1の長手方向に直列状に配設された4つの送気部1A,1B,1C,1Dが設けられている。
ダクト本体1の一端は閉塞端部1bであり、他端は開放端部1cとなっている。送気装置10が集塵機や送風機の送気ダクトに取り付けられた際に、ダクト本体1の開放端部1cがこれら送気ダクトに接続され、閉塞端部1bが切羽側に向けられて送気装置10の固定が図られるようになっている。
各送気部1A〜1Dには多数の送気孔1aが設けてあるが、送気部1A〜1Dごとに固有の開口率を有している。具体的には、送気装置10がトンネル内に適用された際に坑口に最も近い送気部1Dの開口率が他の送気部1A〜1Cの開口率に比して高くなっている。
たとえば、送気部1Dの開口率が100%、他の送気部1A〜1Cの開口率が50%以下の開口率に設定されている。
また、図2で示すように、各送気部1A〜1Dは、ダクト本体1の全周360度に対して角度θの弧状範囲に形成されている。この角度θは、たとえば100〜120度程度の範囲に設定することができる。
実際に送気装置10がトンネル内に適用された際には、トンネルの天井近傍において、角度θ範囲にある送気部1A〜1Dがトンネルの内側を向くように送気装置10が設置される。
このように、坑口に最も近い送気部1Dの開口率が他の送気部1A〜1Cの開口率に比して高くなっていることにより、全ての送気部1A〜1Dから可及的に同量の空気をトンネル内へ提供することが可能になる。
そして、複数の直列状の送気部1A〜1Dから可及的に同量の新鮮な空気がトンネル内に提供されることで、全ての送気部1A〜1Dの長さに相当する厚みのエアーカーテンをトンネル内に形成することができ、切羽側の粉塵の坑口側への漏えいを効果的に防止することが可能になる。
また、図3で示すように、送気装置10においては、ダクト本体1の周方向に間隔をおいて、ダクト本体1の長手方向に延びる複数の区画板1dが備えてある。
各送気部1A〜1Dにおいて、ダクト本体1の周方向に間隔をおいてダクト本体1の長手方向に延びる複数の区画板1dが設けてあることで、区画板1dにて空気のトンネル側への吹き出し方向が規定され、トンネル内に効果的に空気を提供することができる。
(トンネル換気システムの実施の形態)
図4(a)は送気装置を適用したトンネル換気システムの平面図であり、図4(b)は図4(a)のb−b矢視図であり、図5はトンネル内における施工状況(主として吹付作業)を説明した図である。
図4で示すように、トンネルTの施工に際し、トンネルT内の換気に供される集塵機20は、平ボディートラック21の荷台の上に、2段式の下段に多数のフィルターとバキュームポンプ(いずれも不図示)などから構成される集塵設備30(図5参照)、上段に排気設備30Aをそれぞれ搭載し、集塵設備30には吸気ダクト40が流体連通し、排気設備30Aには送気ダクト50が流体連通してその全体が大略構成された自走式の集塵機である。なお、各機器が搬送台車上に載置されて全体が構成され、牽引車や人力で牽引される非自走式の集塵機であってもよい。
排気設備30Aは、切羽側から順に、サイレンサ31、吸気ファン32、換気ファン33が直列に繋がれて構成されている。なお、集塵設備30と排気設備30Aは流体連通していることから、集塵設備30に対し、吸気ダクト40は直接接続されており、送気ダクト50は間接的に接続された構成となっている。
吸気ダクト40と送気ダクト50はともに蛇腹状の伸縮ダクトから構成されており、かつ、双方のダクトがいずれも切羽側に向けられた姿勢で設置されている。なお、図示する吸気ダクト40と送気ダクト50はいずれも、その全長に亘って蛇腹状の伸縮ダクトから構成されているが、伸縮ダクトと直鋼管が組み合わされたダクト形態であってもよい。
さらに、送気ダクト50の端部には送気装置10が接続されており、各送気部1A〜1DがトンネルTの内側に向いた姿勢で固定されている。
また、トンネルT内には、坑口近傍に配設された不図示の送風機から延びる送気ダクト60が配設されており、この送気ダクト60の端部にも送気装置10が接続され、各送気部1A〜1DがトンネルTの内側に向いた姿勢で固定されている。
図4で示すように、トンネルTの切羽側でトンネルの延伸施工をおこなうに当たり、集塵設備30および排気設備30Aを作動させ、かつ不図示の送風機を作動させると、吸気ダクト40の吸気口から粉塵混じり空気を切羽側から吸気し(Y1方向)、集塵設備30にて除塵された除塵後空気(新鮮な空気に相当)を排気設備30Aを介し、送気ダクト50を介して送気装置10に送り、送気装置10の各送気部1A〜1Dを介してトンネルT内へ送気する(Y2方向)。さらに、坑口側から取り込んだ新鮮な空気を送気ダクト60を介して送気装置10に送り、送気装置10の各送気部1A〜1Dを介してトンネルT内へ送気する(Y2方向)。
このように、トンネルTの断面の左右の天井位置にある2つの送気装置10がトンネルTの中心軸に対して概ね左右対称で、かつそれら送気装置10からの空気の吹出方向も概ね左右対称であってトンネルTの長手方向に直交する方向に新鮮な空気を送ることで、トンネルT内に効果的にエアーカーテンACが形成される。
ここで、新鮮な空気は送気装置10に直列状に形成された複数の送気部1A〜1Dから吹出されることから、形成されるエアーカーテンACの厚みは厚く、切羽側で発生した粉塵の坑口側への漏えい防止効果が極めて高くなる。
なお、実際のトンネル施工(図示例は主として吹付作業)においては、図5で示すように、トンネル内においてエレクター搭載吹付け機71とトラックミキサー72が稼働もしくは待機している。したがって、集塵機20が切羽側に近接できない状況下にある。
そこで、集塵機20が搭載する吸気ダクト40や送気ダクト50を切羽側まで伸長させた状態(送気ダクト50の送気口よりも吸気ダクト40の吸気口を切羽側に配置)でトンネルの頂部に吊り下げておき、トンネルの延伸に応じて吸気ダクト40や送気ダクト50を所望に伸長させる(たとえば5m程度)。なお、吸気ダクト40や送気ダクト50を伸長のみならず、トンネルの施工に応じて集塵機20を切羽側へ移動させるようにしてもよい。
(送気装置の効果を検証した解析とその結果)
本発明者等は、本発明の送気装置の効果を検証するべく流体解析をおこなった。図6に比較例と実施例1〜3の解析モデルと解析条件を示す。また、図7は、解析結果のうち、粉塵濃度分布を示した図であり、図8は、解析結果のうち、切羽からの距離と平均粉塵濃度(高さ1.5m)に関する結果を示した図である。
まず、比較例は、送気装置を具備しない送風機に通じる送気ダクトから切羽側に新鮮な空気を提供し、その後、集塵機で粉塵を除去し、坑口側へ排気するとともに切羽側へ封じ込めするモデルである。一方、実施例1〜3はいずれも送風機に通じる送気ダクトと集塵機に通じる送気ダクトの双方に送気装置を取り付け、各送気装置から新鮮な空気を提供してエアーカーテンを形成するモデルである。この実施例1〜3においては、各送気装置の送気部の形成範囲を105度〜120度とし、実施例1,2では形成範囲120度の2つの送気装置の取り付け位置を変化させている。なお、実施例1,2では、送気装置に4つの送気部を設け、各送気部に15度間隔で区画板を取り付けて8つの区画に区分けし、各区画から空気の吹出しをおこなっており、実施例3では、各送気部に15度間隔で区画板を取り付けて7つの区画に区分けし、各区画から空気の吹出しをおこなっている。また、4つの送気部に関し、坑口側の送気部の開口率は100%、その他の送気部の開口率は34〜38%程度とした。
図7,8で示す解析結果より、比較例は粉塵が広範囲に拡散していることが分かり、切羽から60mを超える領域においても比較例高い粉塵濃度となっている。
それに対し、実施例1〜3では粉塵の拡散が抑制されており、実施例1,3では粉塵の拡散抑制効果が極めて高い結果となっている。具体的には、実施例2においては、切羽から30m程度で粉塵濃度が大幅に低減する結果となっており、実施例1,3においては、切羽から15m程度で粉塵濃度が大幅に低減する結果となっている。
また、実施例1,2の結果の相違については、実施例1が、トンネル断面を左右に分割する鉛直方向の中心線に対して線対称の左右位置(左右の同じ位置)に2つの送気装置を設けたのに対して、実施例2はトンネル内の中心線に対して2つの送気装置は線対称の位置に設けられていないことが解析結果に影響している。実施例3も実施例1と同様にトンネル内の中心線に対して線対称の左右位置に2つの送気装置が設けられていることと合わせて考察すると、トンネルの横断面形状にもよるが、送風機の送気ダクトに繋がる送気装置と集塵機の送気ダクトに繋がる送気装置はともに、トンネルの天井近傍であって、かつトンネル内の中心線に対して線対称の位置に設けられているのがよいことが分かる。
(送気装置の各送気部の各区画からの空気吹出し量を検証した解析とその結果)
本発明者等は、送気装置の各送気部の各区画からの空気吹出し量を検証する解析をおこなった。この解析では、送気装置に長手方向に直列状に4つの送気部を設け、各送気部は区画板にて7つの区画に区分けされたモデルを作成し、流体解析をおこなった。ここで、送気部1,2,3の開口率は34〜38%程度であり、送気部4の開口率は100%であり、各送気部ともに筒状の送気装置に対して105度の範囲に形成されており、送気部4側から空気を提供した。図9は解析結果を示した図である。
図9より、4つの送気部1,2,3,4のいずれも、各区画から同程度の量の空気が吹出されることが実証されている。
この解析結果より、空気が提供される坑口側の送気部の開口率が他の送気部の開口率に比して高く設定されていることで、全ての送気部から同程度の量の空気が吹出されることが分かった。本発明者等によれば、特に坑口側の送気部の開口率を100%とすることにより、送気ダクトのトータルの圧力損失を最大限低減することが可能になることが分かっている。
(送気装置の実機の製作)
本発明者等はさらに、送気装置の実機を製作した。この実機の写真図を図10に示す。図示する送気装置を実際のトンネル工事に適用し、その実際の効果検証をおこなう予定である。
以上、本発明の実施の形態を図面を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
1…ダクト本体、1A…送気部1、1B…送気部2、1C…送気部3、1D…送気部4、1a…送気孔、1b…閉塞端部、1c…開放端部、1d…区画板、10…送気装置、20…集塵機、21…平ボディートラック、30…集塵設備、30A…排気設備、31…サイレンサ、32…吸気ファン、33…換気ファン、40…吸気ダクト、50…送気ダクト、60…送気ダクト(送風機からの送気ダクト)、T…トンネル、AC…エアーカーテン

Claims (2)

  1. 坑口と切羽を備えたトンネル内の換気に当たり、送風機の送気ダクトもしくは集塵機の送気ダクトに接続される送気装置であって、
    送気装置は、送気ダクトに接続される一端が開放し、切羽側の他端が閉塞しているダクト本体からなり、
    ダクト本体の側面には、複数の送気孔を備えた二以上の送気部が該ダクト本体の長手方向に直列状に形成されており、
    それぞれの送気部はダクト本体の周方向の一部の範囲に亘って形成されており、
    坑口に最も近い送気部の開口率が他の送気部の開口率に比して高くなっており、
    送気部において、ダクト本体の周方向に間隔をおいて該ダクト本体の長手方向に延び、ダクト本体の内側面からダクト本体の内側へ突出して、空気のトンネル側への吹き出し方向を規定する複数の区画板が備えてある送気装置。
  2. 坑口に最も近い送気部の開口率が100%である請求項1に記載の送気装置。
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