JP6526807B2 - 神経伸長を促進するペプチドおよびそれらの適用 - Google Patents

神経伸長を促進するペプチドおよびそれらの適用 Download PDF

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Description

1.発明の背景
本発明は、神経伸長を促進するペプチド、特に、神経突起伸長を促進するペプチド、およびそれらの適用に関する。
2.従来技術の説明
学習および記憶は、ヒトおよび他の哺乳動物にとって不可欠な能力である。これらの生物は、環境を探索して知識および/または経験を獲得し、そしてそれを脳に蓄積および統合し、思考と行動を変化させることを通して変化する環境に適応する。記憶の喪失は主としてニューロンの持続的変性または死滅によるものであり、神経シグナル伝達の不全をもたらす。神経突起伸長、シナプス伝達、および記憶の形成などの成体のシナプスの可塑性は、学習および豊富な環境刺激によって強化される。脳神経の可塑性を増強する物質は、理論上、記憶形成も同様に増強する。
脳由来神経栄養因子(brain−derived neurotrophic factor)(BDNF)、グリア細胞由来神経栄養因子(glial cell−derived neurotrophic factor)(GDNF)、インスリン様成長因子(insulin−like growth factor)(IGF)をはじめとする多くの神経栄養因子は、神経の可塑性ならびに記憶の形成を増強することが示されている。しかしながら、このような大きなタンパク質は通常、構造的不安定性、より短い半減期に見舞われ、in vivoにおいて血液脳関門を通過できない。ペプチドは生理学的機能および生化学的機能において重要な役割を果たすので、ペプチド薬は今般、それらの潜在的治療用途に関して注目されている。小さな化学実体の薬物に比べ、ペプチド系薬物は、より高い効力、より高い選択性、およびより良い安全性を含む、特定の有利な特徴を有する。
本発明の第1の態様は、下記のアミノ酸配列:
(R−Asn−X−X−Pro−Gln−(R(配列番号3)
およびその保存的に修飾されたバリエーションを含む、神経伸長を促進できるペプチドを提供する。
上式において、Rは、1〜40個のアミノ酸を含むアミノ酸配列であり、ここで、各アミノ酸は、天然アミノ酸およびアミノ酸類似体からなる群から独立に選択される。Rと同様に、上式のRは、1〜40個のアミノ酸を含むアミノ酸配列であり、ここで、各アミノ酸は、天然アミノ酸およびアミノ酸類似体からなる群から独立に選択される。上式のXは、非極性アミノ酸からなる群から選択されるアミノ酸である。上式のXは、天然アミノ酸およびアミノ酸類似体からなる群から選択されるアミノ酸である。上式の指数「a」および「b」は独立に選択され、0または1であり得る。
本発明の第2の態様は、上記ペプチドのいずれかをコードするポリヌクレオチドを提供する。
本発明の第3の態様は、上記ペプチドのうち少なくとも1つおよび薬学上許容されるビヒクルを含む組成物を提供する。
本発明の第4の態様は、神経伸長を促進するための方法を提供する。その方法は、神経細胞を、神経伸長を促進するために十分な量の上記ペプチドのいずれかと接触させるステップを含む。
本発明の第5の態様は、対象において神経細胞の損傷または神経変性に関連する症状を改善するための薬剤の製造における上述のペプチドのうちいずれか1つの使用を提供する。
本発明のこれらおよびその他の態様は、下記の好ましい実施形態の説明を下記の図面とともに参照すれば明らかとなる。ただし、本開示の新規な概念の趣旨および範囲から逸脱することなくその中に変形および改変を行うことが可能である。
以上の概要、ならびに下記の発明の詳細な説明は、添付の図面とともに読めばより良く理解できる。本発明を例示するために、添付の図面では、全てではなく一部の選択的実施形態を挙げる。しかしながら、本発明は、示されている厳密な配置および手段に限定されないと理解されるべきである。本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を成すこれらの図面は、本発明の原理を説明する助けとなる。
初代海馬神経突起伸長に対するC5ペプチド(配列番号1)およびC6ペプチド(配列番号2)の効果を示す。in vitro3日目(DIV3)の初代海馬ニューロン培養物をリン酸緩衝生理食塩水(PBS、陰性対照として)で3日間処理した後、in vitro6日目(DIV6)に抗タウ抗体(軸策マーカー、緑)、抗MAP2抗体(樹状突起マーカー、赤)、および4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール(DAPI、核色素、青)で免疫染色を行った。スケールバー:50μm。 初代海馬神経突起伸長に対するC5ペプチド(配列番号1)およびC6ペプチド(配列番号2)の効果を示す。in vitro3日目(DIV3)の初代海馬ニューロン培養物をC5ペプチド(10−9M)で3日間処理した後、in vitro6日目(DIV6)に抗タウ抗体(軸策マーカー、緑)、抗MAP2抗体(樹状突起マーカー、赤)、および4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール(DAPI、核色素、青)で免疫染色を行った。スケールバー:50μm。 初代海馬神経突起伸長に対するC5ペプチド(配列番号1)およびC6ペプチド(配列番号2)の効果を示す。in vitro3日目(DIV3)の初代海馬ニューロン培養物をC5ペプチド(10−12M)で3日間処理した後、in vitro6日目(DIV6)に抗タウ抗体(軸策マーカー、緑)、抗MAP2抗体(樹状突起マーカー、赤)、および4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール(DAPI、核色素、青)で免疫染色を行った。スケールバー:50μm。 初代海馬神経突起伸長に対するC5ペプチド(配列番号1)およびC6ペプチド(配列番号2)の効果を示す。in vitro3日目(DIV3)の初代海馬ニューロン培養物をC5ペプチド(10−15M)で3日間処理した後、in vitro6日目(DIV6)に抗タウ抗体(軸策マーカー、緑)、抗MAP2抗体(樹状突起マーカー、赤)、および4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール(DAPI、核色素、青)で免疫染色を行った。スケールバー:50μm。 初代海馬神経突起伸長に対するC5ペプチド(配列番号1)およびC6ペプチド(配列番号2)の効果を示す。in vitro3日目(DIV3)の初代海馬ニューロン培養物をD型C5ペプチド(10−9M)で3日間処理した後、in vitro6日目(DIV6)に抗タウ抗体(軸策マーカー、緑)、抗MAP2抗体(樹状突起マーカー、赤)、および4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール(DAPI、核色素、青)で免疫染色を行った。スケールバー:50μm。 初代海馬神経突起伸長に対するC5ペプチド(配列番号1)およびC6ペプチド(配列番号2)の効果を示す。in vitro3日目(DIV3)の初代海馬ニューロン培養物をC6ペプチド(10−9M)で3日間処理した後、in vitro6日目(DIV6)に抗タウ抗体(軸策マーカー、緑)、抗MAP2抗体(樹状突起マーカー、赤)、および4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール(DAPI、核色素、青)で免疫染色を行った。スケールバー:50μm。 初代海馬神経突起伸長に対するC5ペプチド(配列番号1)およびC6ペプチド(配列番号2)の効果を示す。in vitro3日目(DIV3)の初代海馬ニューロン培養物をC6ペプチド(10−12M)で3日間処理した後、in vitro6日目(DIV6)に抗タウ抗体(軸策マーカー、緑)、抗MAP2抗体(樹状突起マーカー、赤)、および4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール(DAPI、核色素、青)で免疫染色を行った。スケールバー:50μm。 初代海馬神経突起伸長に対するC5ペプチド(配列番号1)およびC6ペプチド(配列番号2)の効果を示す。in vitro3日目(DIV3)の初代海馬ニューロン培養物をC6ペプチド(10−15M)で3日間処理した後、in vitro6日目(DIV6)に抗タウ抗体(軸策マーカー、緑)、抗MAP2抗体(樹状突起マーカー、赤)、および4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール(DAPI、核色素、青)で免疫染色を行った。スケールバー:50μm。 初代海馬神経突起伸長に対するC5ペプチド(配列番号1)およびC6ペプチド(配列番号2)の効果を示す。in vitro3日目(DIV3)の初代海馬ニューロン培養物をD型C6ペプチド(10−12M)で3日間処理した後、in vitro6日目(DIV6)に抗タウ抗体(軸策マーカー、緑)、抗MAP2抗体(樹状突起マーカー、赤)、および4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール(DAPI、核色素、青)で免疫染色を行った。スケールバー:50μm。 初代海馬神経突起伸長に対するP1ペプチド(配列番号4)、P2ペプチド(配列番号5)、P3ペプチド(配列番号6)、P4ペプチド(配列番号7)、P5ペプチド(配列番号8)、およびP6ペプチド(配列番号9)の効果を示す。in vitro3日目(DIV3)の初代海馬ニューロン培養物をPBS(陰性対照として)で3日間処理した後、in vitro6日目(DIV6)に抗タウ抗体(軸策マーカー、緑)、抗MAP2抗体(樹状突起マーカー、赤)、および4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール(DAPI、核色素、青)で免疫染色を行った。スケールバー:50μm。 初代海馬神経突起伸長に対するP1ペプチド(配列番号4)、P2ペプチド(配列番号5)、P3ペプチド(配列番号6)、P4ペプチド(配列番号7)、P5ペプチド(配列番号8)、およびP6ペプチド(配列番号9)の効果を示す。in vitro3日目(DIV3)の初代海馬ニューロン培養物をP1ペプチド(10−9M)で3日間処理した後、in vitro6日目(DIV6)に抗タウ抗体(軸策マーカー、緑)、抗MAP2抗体(樹状突起マーカー、赤)、および4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール(DAPI、核色素、青)で免疫染色を行った。スケールバー:50μm。 初代海馬神経突起伸長に対するP1ペプチド(配列番号4)、P2ペプチド(配列番号5)、P3ペプチド(配列番号6)、P4ペプチド(配列番号7)、P5ペプチド(配列番号8)、およびP6ペプチド(配列番号9)の効果を示す。in vitro3日目(DIV3)の初代海馬ニューロン培養物をP2ペプチド(10−9M)で3日間処理した後、in vitro6日目(DIV6)に抗タウ抗体(軸策マーカー、緑)、抗MAP2抗体(樹状突起マーカー、赤)、および4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール(DAPI、核色素、青)で免疫染色を行った。スケールバー:50μm。 初代海馬神経突起伸長に対するP1ペプチド(配列番号4)、P2ペプチド(配列番号5)、P3ペプチド(配列番号6)、P4ペプチド(配列番号7)、P5ペプチド(配列番号8)、およびP6ペプチド(配列番号9)の効果を示す。in vitro3日目(DIV3)の初代海馬ニューロン培養物をP3ペプチド(10−9M)で3日間処理した後、in vitro6日目(DIV6)に抗タウ抗体(軸策マーカー、緑)、抗MAP2抗体(樹状突起マーカー、赤)、および4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール(DAPI、核色素、青)で免疫染色を行った。スケールバー:50μm。 初代海馬神経突起伸長に対するP1ペプチド(配列番号4)、P2ペプチド(配列番号5)、P3ペプチド(配列番号6)、P4ペプチド(配列番号7)、P5ペプチド(配列番号8)、およびP6ペプチド(配列番号9)の効果を示す。in vitro3日目(DIV3)の初代海馬ニューロン培養物をP4ペプチド(10−9M)で3日間処理した後、in vitro6日目(DIV6)に抗タウ抗体(軸策マーカー、緑)、抗MAP2抗体(樹状突起マーカー、赤)、および4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール(DAPI、核色素、青)で免疫染色を行った。スケールバー:50μm。 初代海馬神経突起伸長に対するP1ペプチド(配列番号4)、P2ペプチド(配列番号5)、P3ペプチド(配列番号6)、P4ペプチド(配列番号7)、P5ペプチド(配列番号8)、およびP6ペプチド(配列番号9)の効果を示す。in vitro3日目(DIV3)の初代海馬ニューロン培養物をP5ペプチド(10−9M)で3日間処理した後、in vitro6日目(DIV6)に抗タウ抗体(軸策マーカー、緑)、抗MAP2抗体(樹状突起マーカー、赤)、および4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール(DAPI、核色素、青)で免疫染色を行った。スケールバー:50μm。 初代海馬神経突起伸長に対するP1ペプチド(配列番号4)、P2ペプチド(配列番号5)、P3ペプチド(配列番号6)、P4ペプチド(配列番号7)、P5ペプチド(配列番号8)、およびP6ペプチド(配列番号9)の効果を示す。in vitro3日目(DIV3)の初代海馬ニューロン培養物をP6ペプチド(10−9M)で3日間処理した後、in vitro6日目(DIV6)に抗タウ抗体(軸策マーカー、緑)、抗MAP2抗体(樹状突起マーカー、赤)、および4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール(DAPI、核色素、青)で免疫染色を行った。スケールバー:50μm。 本発明のいくつかの例示ペプチドの処理後の初代海馬ニューロンの軸策分岐の数および長さの統計結果を示す。ニューロン分岐の図を図3Aに示す。in vitro3日目(DIV3)の初代海馬ニューロン培養物をC5ペプチド(10−12M)またはC6ペプチド(10−12M)で3日間処理した後、抗タウ抗体(緑)、抗MAP2抗体(赤)およびDAPI(青)で免疫染色を行い、次いで、軸策分岐の数(図3C)および長さ(図3B)を計測した。加えて、in vitro3日目(DIV3)の初代海馬ニューロン培養物をP1ペプチド(10−9M)、P2ペプチド(10−9M)、P3ペプチド(10−9M)、P4ペプチド(10−9M)、P5ペプチド(10−9M)、またはP6ペプチド(10−9M)で3日間処理した後、抗タウ抗体(緑)、抗MAP2抗体(赤)およびDAPI(青)で免疫染色を行い、次いで、軸策分岐の数(図3E)および長さ(図3D)を計測した。データをImage Jソフトウエアおよび一元配置ANOVA、次いで、ニューマン−コイルス検定で分析した。データは平均±SEMとして表す。対照群と比較した場合、**、p<0.01。 本発明のいくつかの例示ペプチドの処理後の初代海馬ニューロンの軸策分岐の数および長さの統計結果を示す。ニューロン分岐の図を図3Aに示す。in vitro3日目(DIV3)の初代海馬ニューロン培養物をC5ペプチド(10−12M)またはC6ペプチド(10−12M)で3日間処理した後、抗タウ抗体(緑)、抗MAP2抗体(赤)およびDAPI(青)で免疫染色を行い、次いで、軸策分岐の数(図3C)および長さ(図3B)を計測した。加えて、in vitro3日目(DIV3)の初代海馬ニューロン培養物をP1ペプチド(10−9M)、P2ペプチド(10−9M)、P3ペプチド(10−9M)、P4ペプチド(10−9M)、P5ペプチド(10−9M)、またはP6ペプチド(10−9M)で3日間処理した後、抗タウ抗体(緑)、抗MAP2抗体(赤)およびDAPI(青)で免疫染色を行い、次いで、軸策分岐の数(図3E)および長さ(図3D)を計測した。データをImage Jソフトウエアおよび一元配置ANOVA、次いで、ニューマン−コイルス検定で分析した。データは平均±SEMとして表す。対照群と比較した場合、**、p<0.01。 本発明のいくつかの例示ペプチドの処理後の初代海馬ニューロンの軸策分岐の数および長さの統計結果を示す。ニューロン分岐の図を図3Aに示す。in vitro3日目(DIV3)の初代海馬ニューロン培養物をC5ペプチド(10−12M)またはC6ペプチド(10−12M)で3日間処理した後、抗タウ抗体(緑)、抗MAP2抗体(赤)およびDAPI(青)で免疫染色を行い、次いで、軸策分岐の数(図3C)および長さ(図3B)を計測した。加えて、in vitro3日目(DIV3)の初代海馬ニューロン培養物をP1ペプチド(10−9M)、P2ペプチド(10−9M)、P3ペプチド(10−9M)、P4ペプチド(10−9M)、P5ペプチド(10−9M)、またはP6ペプチド(10−9M)で3日間処理した後、抗タウ抗体(緑)、抗MAP2抗体(赤)およびDAPI(青)で免疫染色を行い、次いで、軸策分岐の数(図3E)および長さ(図3D)を計測した。データをImage Jソフトウエアおよび一元配置ANOVA、次いで、ニューマン−コイルス検定で分析した。データは平均±SEMとして表す。対照群と比較した場合、**、p<0.01。 本発明のいくつかの例示ペプチドの処理後の初代海馬ニューロンの軸策分岐の数および長さの統計結果を示す。ニューロン分岐の図を図3Aに示す。in vitro3日目(DIV3)の初代海馬ニューロン培養物をC5ペプチド(10−12M)またはC6ペプチド(10−12M)で3日間処理した後、抗タウ抗体(緑)、抗MAP2抗体(赤)およびDAPI(青)で免疫染色を行い、次いで、軸策分岐の数(図3C)および長さ(図3B)を計測した。加えて、in vitro3日目(DIV3)の初代海馬ニューロン培養物をP1ペプチド(10−9M)、P2ペプチド(10−9M)、P3ペプチド(10−9M)、P4ペプチド(10−9M)、P5ペプチド(10−9M)、またはP6ペプチド(10−9M)で3日間処理した後、抗タウ抗体(緑)、抗MAP2抗体(赤)およびDAPI(青)で免疫染色を行い、次いで、軸策分岐の数(図3E)および長さ(図3D)を計測した。データをImage Jソフトウエアおよび一元配置ANOVA、次いで、ニューマン−コイルス検定で分析した。データは平均±SEMとして表す。対照群と比較した場合、**、p<0.01。 本発明のいくつかの例示ペプチドの処理後の初代海馬ニューロンの軸策分岐の数および長さの統計結果を示す。ニューロン分岐の図を図3Aに示す。in vitro3日目(DIV3)の初代海馬ニューロン培養物をC5ペプチド(10−12M)またはC6ペプチド(10−12M)で3日間処理した後、抗タウ抗体(緑)、抗MAP2抗体(赤)およびDAPI(青)で免疫染色を行い、次いで、軸策分岐の数(図3C)および長さ(図3B)を計測した。加えて、in vitro3日目(DIV3)の初代海馬ニューロン培養物をP1ペプチド(10−9M)、P2ペプチド(10−9M)、P3ペプチド(10−9M)、P4ペプチド(10−9M)、P5ペプチド(10−9M)、またはP6ペプチド(10−9M)で3日間処理した後、抗タウ抗体(緑)、抗MAP2抗体(赤)およびDAPI(青)で免疫染色を行い、次いで、軸策分岐の数(図3E)および長さ(図3D)を計測した。データをImage Jソフトウエアおよび一元配置ANOVA、次いで、ニューマン−コイルス検定で分析した。データは平均±SEMとして表す。対照群と比較した場合、**、p<0.01。 MTTアッセイによる初代海馬ニューロンの生存率に対する種々の濃度のC5ペプチド(10−12M、10−9M、10−6M、10−3M)およびC6ペプチド(10−12M、10−9M、10−6M、10−3M)の効果を示す。データは、3サンプルの平均±SEMとして表す。 初代海馬ニューロンの再生に対するC5ペプチドおよびC6ペプチドの効果を示す。in vitro5日目(DIV5)に、胎児海馬初代ニューロンに機械的掻爬傷害を施した。次に、掻爬した胎児海馬初代ニューロンをPBSで96時間処理した後、抗タウ抗体(緑、軸策マーカー)およびDAPI(青、核色素)で免疫染色を行った。スケールバー:100μm。 初代海馬ニューロンの再生に対するC5ペプチドおよびC6ペプチドの効果を示す。in vitro5日目(DIV5)に、胎児海馬初代ニューロンに機械的掻爬傷害を施した。次に、掻爬した胎児海馬初代ニューロンをC5ペプチド(10−9M)で96時間処理した後、抗タウ抗体(緑、軸策マーカー)およびDAPI(青、核色素)で免疫染色を行った。スケールバー:100μm。 初代海馬ニューロンの再生に対するC5ペプチドおよびC6ペプチドの効果を示す。in vitro5日目(DIV5)に、胎児海馬初代ニューロンに機械的掻爬傷害を施した。次に、掻爬した胎児海馬初代ニューロンをC6ペプチド(10−9M)で96時間処理した後、抗タウ抗体(緑、軸策マーカー)およびDAPI(青、核色素)で免疫染色を行った。スケールバー:100μm。 水迷路課題による空間学習および記憶に対するC5ペプチドおよびC6ペプチドの効果の検討を示す。スプラーグ−ドーリー(Spraque−Dawley)(SD)ラットを対照、C5低用量群(54μg/kg)、C5高用量群(270μg/kg)、C6低用量群(5.4μg/kg)、およびC6高用量群(27μg/kg)に無作為に分けた。各水迷路学習日の逃避潜時(秒)を記録した。データは二元配置ANOVA、次いで、ニューマン−コイルス多重比較事後検定で分析した。データは平均±SEMとして表す。対照群と比較した場合、**、P<0.01。 ラットでの水迷路記憶形成におけるスコポラミン誘導性記憶障害に対するC5ペプチドおよびC6ペプチドの効果を示す。ラットを陰性対照、スコポラミン注射群(Sco)、C5ペプチドとスコポラミン注射群(C5+Sco)、およびC6ペプチドとスコポラミン注射群(C6+Sco)に無作為に分け、水迷路訓練を行った。各水迷路学習日の逃避潜時(秒)を記録した。データは二元配置ANOVA、次いで、ニューマン−コイルス多重比較事後検定で分析した。データは平均±SEMとして表す。対照群と比較した場合、、p<0.05;**、p<0.01。 ラットでの受動的一元配置抑制性回避学習におけるスコポラミン誘導性記憶障害に対するC5ペプチドおよびC6ペプチドの効果を示す。ラットを対照、スコポラミン注射群(Sco)、C5ペプチドとスコポラミン注射群(C5+Sco)、およびC6ペプチドとスコポラミン注射群(C6+Sco)に無作為に分け、受動的一元配置抑制性回避学習を行った。フットショック前の照明区画での保持時間は差異を示さなかった。フットショック1日後および7日後の照明区画での保持時間を記録した。データを一元配置ANOVA、次いで、ニューマン−コイルス多重比較事後検定で分析した。データは平均±SEMとして表す。対照群と比較した場合、、p<0.05;**、p<0.01。 ラットでのステップダウン受動回避記憶課題におけるスコポラミン誘導性記憶障害に対するC5ペプチドおよびC6ペプチドの効果を示す。ラットを対照、スコポラミン注射群(Sco)、C5ペプチドとスコポラミン注射群(C5+Sco)、およびC6ペプチドとスコポラミン注射群(C6+Sco)に無作為に分け、ステップダウン受動回避記憶課題を行った。図9Aは、フットショック前に、各群のラットのステージ上での保持時間の有意な差は無かったことを示す。データを一元配置ANOVA、次いで、ニューマン−コイルス多重比較事後検定で分析した。データは平均±SEMとして表す。対照群と比較した場合、** p<0.01。 ラットでのステップダウン受動回避記憶課題におけるスコポラミン誘導性記憶障害に対するC5ペプチドおよびC6ペプチドの効果を示す。ラットを対照、スコポラミン注射群(Sco)、C5ペプチドとスコポラミン注射群(C5+Sco)、およびC6ペプチドとスコポラミン注射群(C6+Sco)に無作為に分け、ステップダウン受動回避記憶課題を行った。図9Bは、フットショック1日後のステージ上での保持時間を示す。データを一元配置ANOVA、次いで、ニューマン−コイルス多重比較事後検定で分析した。データは平均±SEMとして表す。対照群と比較した場合、** p<0.01。 ラットでのステップダウン受動回避記憶課題におけるスコポラミン誘導性記憶障害に対するC5ペプチドおよびC6ペプチドの効果を示す。ラットを対照、スコポラミン注射群(Sco)、C5ペプチドとスコポラミン注射群(C5+Sco)、およびC6ペプチドとスコポラミン注射群(C6+Sco)に無作為に分け、ステップダウン受動回避記憶課題を行った。図9Cは、フットショック1日後の飛び跳ねエラー数を示す。データを一元配置ANOVA、次いで、ニューマン−コイルス多重比較事後検定で分析した。データは平均±SEMとして表す。対照群と比較した場合、** p<0.01。 ラットでの新奇物体認識試験におけるスコポラミン誘導性記憶障害に対するC5ペプチドおよびC6ペプチドの効果を示す。ラットを対照、スコポラミン注射群(Sco)、C5ペプチドとスコポラミン注射群(C5+Sco)、およびC6ペプチドとスコポラミン注射群(C6+Sco)に無作為に分け、新奇物体認識試験を行った。右の物体が新奇物体に置き換えられる前と、置き換えられた3時間後、8時間後、および24時間後の左の物体(LO)、右の物体(RO)、および新奇物体(NO)の探索に費やした保持時間(秒)を記録した。データを二元配置ANOVA、次いで、ニューマン−コイルス多重比較事後検定で分析した。データは平均±SEMとして表す。対照群と比較した場合、、p<0.05;**、p<0.01。 ラットでの水迷路記憶形成における加齢誘導性記憶障害に対するC5ペプチドおよびC6ペプチドの効果を示す。加齢ラットを対照、C5ペプチド注射群、およびC6ペプチド注射群に無作為に分け、水迷路訓練を行った。図11Aは、薬物投与前の各学習日の平均逃避潜時(秒)を示す。データを二元配置ANOVA、次いで、ニューマン−コイルス多重比較事後検定で分析した。データは平均±SEMとして表す。対照群と比較した場合、、p<0.05;**、p<0.01。 ラットでの水迷路記憶形成における加齢誘導性記憶障害に対するC5ペプチドおよびC6ペプチドの効果を示す。加齢ラットを対照、C5ペプチド注射群、およびC6ペプチド注射群に無作為に分け、水迷路訓練を行った。図11Bは、薬物投与後6か月の各学習日の平均逃避潜時を示す。データを二元配置ANOVA、次いで、ニューマン−コイルス多重比較事後検定で分析した。データは平均±SEMとして表す。対照群と比較した場合、、p<0.05;**、p<0.01。 加齢ラットの生存監視に対するC5ペプチドおよびC6ペプチドの効果を示す。各群(対照、C5群、およびC6群)は、本試験の開始時に6個体のラット(12か月齢)を含んでいた。各群のラット数を本試験の開始時と隔月(それぞれ12、14、16、18、20、および22か月齢)に記録した。データは、各群の生存監視数を示す。 1−メチル−4−フェニル−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン(MPTP)−マウスパーキンソン病モデルに対するC6ペプチドの効果を示す。 ラットでの水迷路記憶形成におけるD−ガラクトース誘導性加齢に対するC5ペプチドおよびC6ペプチドの効果を示す。ラットを対照、D−ガラクトース注射群、C5ペプチドとD−ガラクトース注射群、およびC6ペプチドとD−ガラクトース注射群に無作為に分け、水迷路訓練を行った。各水迷路学習日の逃避潜時(秒)を記録した。データを二元配置ANOVA、次いで、ニューマン−コイルス多重比較事後検定で分析した。データは平均±SEMとして表す。対照群と比較した場合、**、p<0.01。
以上の概要説明と下記の詳細な説明の両方は例示および説明であり、特許請求される本発明を制限するものではないと理解されるべきである。本発明の1以上の実施形態の特定の詳細は下記の説明に示される。本発明の他の特徴または利点は、以下に続く代表例の非網羅的リストから、また、添付の特許請求の範囲から明らかとなる。
本発明は、下記の配列:
(R−Asn−X−X−Pro−Gln−(R(配列番号3)
およびその保存的に修飾されたバリエーションを含む、神経伸長を促進するペプチドを提供し、配列中、Rは、1〜40個のアミノ酸を含むアミノ酸配列であり、ここで、各アミノ酸は、天然アミノ酸およびアミノ酸類似体からなる群から独立に選択され、Rは、1〜40個のアミノ酸を含むアミノ酸配列であり、ここで、各アミノ酸は、天然アミノ酸およびアミノ酸類似体からなる群から独立に選択され、Xは、非極性アミノ酸からなる群から選択されるアミノ酸であり、Xは、天然アミノ酸およびアミノ酸類似体からなる群から選択されるアミノ酸であり、かつ、aおよびbは独立に選択され、0および1に等しい。
一実施形態では、aおよびbは両方とも0である。一実施形態では、ペプチドは、NAIPQ(配列番号1)の配列を有する。一実施形態では、ペプチドは、NPSPQ(配列番号2)の配列を有する。一実施形態では、ペプチドは、NFEPQ(配列番号4)の配列を有する。一実施形態では、ペプチドは、NMYPQ(配列番号5)の配列を有する。一実施形態では、ペプチドは、NIKPQ(配列番号6)の配列を有する。一実施形態では、ペプチドは、NLMPQ(配列番号7)の配列を有する。一実施形態では、ペプチドは、NVAPQ(配列番号8)の配列を有する。一実施形態では、ペプチドは、NWLPQ(配列番号9)の配列を有する。
上記に挙げた配列は例示であり、本発明の神経伸長を促進するペプチドは、配列番号1、2、4〜9の配列に限定されない。例えば、限定されるものではないが、Xがアラニン(Ala、A)である場合、Xは、アラニン、システイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、フェニルアラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、リシン、ロイシン、メチオニン、アスパラギン、プロリン、グルタミン、アルギニン、セリン、トレオニン、バリン、トリプトファン、チロシンのうちいずれか1つであり得る。
本発明の神経伸長を促進するペプチドは、限定されるものではないが、ペプチド合成装置または分子クローニングにより生産できる。一実施形態では、本ペプチドは、ペプチド合成装置により合成され、D型またはL型に限定されない。本発明で提供されるペプチドのアミノ酸残基は、全Lもしくは全D、またはそれらの組合せの当技術分野で公知の天然アミノ酸または非天然アミノ酸から構成される可能性がある。
別の実施形態では、本ペプチドはまた、分子クローニングによっても生産できる。分子クローニングにより得られるペプチドは、限定されるものではないが、本ペプチドの1つをコードするポリヌクレオチド配列を発現ベクターに挿入して、本ペプチドの1つをコードするポリヌクレオチド配列を含むプラスミドを形成し、該プラスミドを宿主細胞に形質転換し、該宿主細胞内でタンパク質発現を誘導して神経伸長を促進するペプチドを得ることによって生産できる。
従って、本発明はまた、上記ペプチドのいずれかをコードするポリヌクレオチド、および/または上記ペプチドのいずれかをコードするポリヌクレオチドを含む組換え核酸発現ベクター、および/または上記ペプチドのいずれかをコードするポリヌクレオチドを有する組換え核酸発現ベクターを含む宿主細胞を提供する。
本発明のペプチドをコードするポリヌクレオチド配列は、各アミノ酸を遺伝暗号表に挙げられている全縮重コドンを含む3ヌクレオチドコドンで置換することにより、神経伸長を促進するペプチドのアミノ酸配列から誘導される。例えば、本ペプチドのアミノ酸配列の各プロリンは、コドンCCA、CCC、CCG、またはCCTにより独立にコードされ得る。
本発明はさらに、上記ペプチドのうち少なくとも1つおよび薬学上許容されるビヒクルを含む組成物を提供する。いくつかの実施形態では、本組成物は、上記ペプチドのうち少なくとも1つ、例えば、限定されるものではないが、NAIPQ(配列番号1)、NPSPQ(配列番号2)、NFEPQ(配列番号4)、NMYPQ(配列番号5)、NIKPQ(配列番号6)、NLMPQ(配列番号7)、NVAPQ(配列番号8)、およびNWLPQ(配列番号9)のうち1つ、またはそれらの組合せを有する。いくつかの実施形態では、本組成物は、必ずしもそうではないが、薬学上有効な量の上記ペプチドを有する。
いくつかの実施形態では、本発明のペプチドは、神経伸長を促進し、特に、軸策分岐の数および軸策の長さを増す。新たなシナプスは脳の活動(例えば、学習、記憶、修復、および再生)の際に形成される。シナプス形成のプロセスはシナプス前ニューロンにおける軸策終末ボタンの形成で始まり、これは次にシナプス後ニューロンにおける樹状突起の形成を誘発する。
シナプスは、ニューロン間のクロストークが存在するような軸策終末ボタンと樹状突起の接触、新たな接続の形成、ならびに活動を遂行するための脳の発達およびリモデリングにより形成される。従って、学習および記憶などの活動を遂行するためには、樹状分岐のための軸策伸長とシナプス形成を刺激することが必要である。脳由来神経栄養因子(BDNF)は、軸策神経突起の伸長と続いての樹状分岐を刺激することによって神経伸長を促進する。BDNF受容体の阻害剤は、軸策伸長を阻害し、記憶喪失を引き起こす。いくつかの実施形態では、本発明のペプチドは、軸策成長を有意に増強する。本ペプチドの役割はBDNFと同様であり、両方とも軸策成長を増強することにより神経伸長を促進する。
加えて、成体哺乳動物の脳では新生される新たなニューロンはほとんど形成されず、ニューロンの変性、死滅、および欠損が持続するために、成体および高齢個体はニューロン間のクロストークを維持または改善するために神経突起の分岐に頼る必要がある。いくつかの実施形態では、本発明のペプチドは軸策成長を増強することにより神経伸長を促進し、従って、加齢または他の因子により引き起こされる神経損傷または神経変性を軽減し、対象における神経損傷または神経変性に関連する症状を改善する。
従って、本発明は、神経細胞を、神経伸長を促進するために十分な量の上記ペプチドのうち少なくとも1つと接触させることを含む、神経伸長を促進するための方法を提供する。いくつかの実施形態では、神経細胞は、正常機能を有する神経細胞である。いくつかの実施形態では、神経細胞は、変性した神経細胞である。いくつかの実施形態では、神経細胞は、損傷した神経細胞である。
神経細胞の損傷または変性の原因には、限定されるものではないが、物理的損傷(例えば、機械的損傷、挫傷、または切傷)、化学的損傷(例えば、アルコール、塩酸スコポラミン、1−メチル−4−フェニル−6−テトラヒドロピリジン(MPTP)、またはアンフェタミンにより引き起こされる損傷)、生物学的損傷(例えば、脳低酸素症によりにより引き起こされる損傷)、加齢またはそれらの組合せが含まれる。
加えて、本発明は、対象において記憶障害を改善するための方法を提供する。本発明はまた、対象において認知症を改善するための方法も提供する。いくつかの実施形態では、対象における記憶障害または認知症は、加齢により誘発される。いくつかの実施形態では、対象における記憶障害または認知症は、機械的傷害により誘発される。いくつかの実施形態では、対象における記憶障害または認知症は、化学試薬により誘発される。いくつかの実施形態では、対象における記憶障害または認知症は、塩酸スコポラミンにより誘発される。塩酸スコポラミン(Sco)は、動物およびヒトにおけるムスカリン性受容体拮抗剤であり、学習および記憶に障害を引き起こす。いくつかの実施形態では、本発明は、認知症に対する本発明に開示されるペプチドの効果を検討するためにSco誘導性健忘症の動物モデルを使用する。
いくつかの実施形態では、対象における記憶障害または認知症は、1−メチル−4−フェニル−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン(MPTP)により誘発される。MPTPは、1−メチル−4−フェニルピリジニウムの神経毒前駆体(MPP+)であり、脳の黒質でドーパミンニューロンを破壊することによりパーキンソン病の恒久的症状を引き起こす。いくつかの実施形態では、本発明は、本疾患に対する本発明に開示されるペプチドの効果を検討するためにMPTP誘導性パーキンソン病の動物モデルを使用する。
いくつかの実施形態では、対象における記憶障害または認知症は、自然加齢またはD−(+)−ガラクトース(D−ガラクトース)により誘発される。D−ガラクトースは、通常の状況では栄養素である。しかしながら、D−ガラクトースの過剰な取り込みは非酵素的グリコシル化(糖化)を引き起こすことがあり、糖分子が酵素の作用を制御せずにタンパク質または脂質分子と結合する。一連の反応での糖とタンパク質の重合は不可逆的な物質を産生し、これが他のタンパク質と結合し、終末糖化産物(advanced glycation end product)(AGE)を形成する。
細胞における終末糖化産物の蓄積は、反応性酸素種(reactive oxygen species)(ROS)の生成をもたらし、酸化ストレス、神経炎症、記憶形成およびシナプス伝達の妨害、神経変性、最終的には記憶の欠損に至る。この非酵素的グリコシル化は、酸化傷害および加齢性疾患に寄与する。生理学的分析または病理学的分析のいずれかから、D−ガラクトースで処置したラットの加齢は、16〜24か月齢のラットに等しい。いくつかの実施形態では、本発明は、認知症に対する本発明に開示されるペプチドの効果を検討するために自然加齢の動物モデルを使用する。いくつかの実施形態では、本発明は、認知症に対する本発明に開示されるペプチドの効果を検討するためにD−ガラクトース誘導性加齢の動物モデルを使用する。
本発明はさらに、対象において神経損傷または神経変性に関連する症状を改善するための薬剤の製造における上記ペプチドのいずれかの使用を提供する。いくつかの実施形態では、該症状には、限定されるものではないが、記憶障害、精神的退化、協調障害、生存率の低下、中枢神経系病変、パーキンソン病、アルツハイマー病、感覚ニューロンに作用する疾患、大脳辺縁系皮質調節不全、発育遅滞および学習障害に関連する障害、ダウン症、酸化ストレス誘導性神経細胞死、加齢関連疾患、アルコールに関する慢性疾患および病態、薬物乱用に関連する障害、創傷組織における病変、ならびに治療薬および処置の負の副作用によって引き起こされる病態が含まれる。いくつかの実施形態では、該症状は、記憶障害、精神的退化、協調障害、生存率の低下、パーキンソン病、および/またはアルツハイマー病である。いくつかの実施形態では、陰性対照に比べて、これらの症状は対象に一定の期間、本発明のペプチドを投与した後に有意に改善される。
別段に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者により共通に理解されているものと同じ意味を有する。
本明細書で使用する場合、冠詞「1つの(a)」、「1つの(an)」および「いずれかの(any)」は、1または複数(すなわち、少なくとも1つ)のその冠詞の文法的目的語を指す。例えば、「1つの要素」は、1つの要素または複数の要素を意味する。
本明細書で使用する場合、用語「ヌクレオチド」は、1以上のリン酸基に連結されたリボースまたは2’−デオキシリボースなどの糖を含む糖リン酸に連結された窒素塩基を含むモノマーを指す。「ポリヌクレオチド」および「核酸」は、複数のヌクレオチドモノマーを含み、該モノマーは多くの場合、糖−リン酸骨格の糖−リン酸結合によって連結されているポリマーを指す。ポリヌクレオチドは、1タイプのみのヌクレオチドモノマーを含む必要はない。例えば、あるポリヌクレオチドを含むヌクレオチドは、リボヌクレオチドのみであってもよいし、2’−デオキシリボヌクレオチドのみであってもよいし、またはリボヌクレオチドと2’−デオキシリボヌクレオチドの両方の組合せであってもよい。
ポリヌクレオチドには、デオキシリボ核酸(「DNA」)およびリボ核酸(「RNA」)などの天然核酸、ならびに1以上の非天然モノマーを含む核酸類似体が含まれる。ポリヌクレオチドは、例えば、自動DNA合成装置を用いて合成できる。用語「核酸」は一般に、大きなポリヌクレオチドを指す。ヌクレオチド配列がDNA配列(すなわち、A、T、G、C)により表される場合、これには「U」が「T」に取って代わったRNA配列(すなわち、A、U、G、C)も含むと理解される。用語「cDNA」は、一本鎖形態または二本鎖形態いずれかの、「T」が「U」に取って代わったこと以外はmRNAと相補的なまたは同一のDNAを指す。用語「組換え核酸」は、自然状態で一緒にはない配列を有するポリヌクレオチドまたは核酸を指す。組換え核酸はベクターの形態で存在してもよい。
本明細書で使用する場合、用語「アミノ酸」は、天然および合成アミノ酸、ならびに天然アミノ酸と同様に機能するアミノ酸類似体およびアミノ酸模倣体を指す。天然アミノ酸は、遺伝コードによりコードされるもの、ならびに後に修飾されたアミノ酸、例えば、ヒドロキシプロリン、γ−カルボキシグルタミン酸、およびO−ホスホセリンである。
本出願の目的では、用語「アミノ酸類似体」は、天然アミノ酸と同じ基本化学構造、すなわち、水素、カルボキシル基、アミノ基、およびR基に結合された炭素を有する化合物、例えば、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウムを指す。このような類似体は、修飾されたR基(例えば、ノルロイシン)または修飾されたペプチド骨格を有するが、天然アミノ酸と同じ基本化学構造を保持する。本出願の目的では、用語「アミノ酸模倣体」は、アミノ酸の一般化学構造とは異なる構造を有するが、天然アミノ酸と同様に機能する化学化合物を指す。
本明細書で使用する場合、用語「非極性アミノ酸」は、α−炭素に結合された官能基(すなわち、RCH(NH)COOHのR)が疎水性を有するα−アミノ酸を指す。本発明の非極性アミノ酸には、天然および合成非極性アミノ酸、ならびに天然非極性アミノ酸と同様に機能する非極性アミノ酸類似体および非極性アミノ酸模倣体、例えば、限定されるものではないが、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン、およびα−アミノ酪酸が含まれる。
本明細書で使用する場合、用語「ペプチド」は、アミノ酸残基のポリマーを意味する。この用語は、1以上のアミノ酸残基が対応する天然アミノ酸の類似体または模倣体であるアミノ酸ポリマー、ならびに天然アミノ酸ポリマーに当てはまる。
本明細書で使用する場合、用語「保存的に修飾された変異体」は、アミノ酸配列と核酸配列の両方に当てはまる。特定の核酸配列に関して、保存的に修飾された変異体は、同一のまたは本質的に同一のアミノ酸配列をコードする核酸、または核酸がアミノ酸配列をコードしない場合には、本質的に同一の配列を指す。具体的には、縮重コドン置換は、1以上の選択された(または全ての)コドンの3番目の位置が混合塩基および/またはデオキシイノシン残基で置換された配列を生成することにより達成され得る。
遺伝コードの縮重のために、多数の機能的に同一の核酸がある任意のタンパク質をコードする。例えば、コドンGCA、GCC、GCGおよびGCUは全てアミノ酸アラニンをコードする。従って、コドンによりアラニンが指定されるどの位置でも、そのコドンは、コードされるポリペプチドを変更することなく記載の対応するコドンのいずれか変更することもできる。このような核酸バリエーションは、保存的に修飾されたバリエーションの一種としての「サイレントバリエーション」である。ペプチドをコードする本明細書の全ての核酸配列は、その核酸の存在し得る全てのサイレントバリエーションも表す。当業者であれば、核酸の各コドン(通常メチオニンの唯一のコドンであるAUG、および通常トリプトファンの唯一のコドンであるTGG以外)は、機能的に同一の分子を生じるように修飾可能であることを認識するであろう。よって、ペプチドをコードする核酸の各サイレントバリエーションは、記載される各配列に暗に示される。
本明細書で使用する場合、用語「ベクター」は、宿主細胞を形質転換して核酸の発現を促すように核酸が宿主細胞に導入できる手段を指す。ベクターは、対象とするあるヌクレオチド配列および調節配列を含み得る。ベクターは、そのあるヌクレオチド配列を発現するため、またはそのあるヌクレオチド配列を、それを複製する、それを操作する、それを変更する、それを末端切断する、それを拡大培養する、および/もしくはそれを異なる場所間(例えば、異なる生物間もしくは宿主細胞間もしくはその組合せ間)で移動させるために維持するために使用できる。
本明細書で使用する場合、用語「宿主細胞」は、限定されるものではないが、放線菌、古細菌、細菌、および酵母を含む、単細胞原核または真核生物を指す。宿主細胞はまた、限定されるものではないが、哺乳動物などの脊椎動物および昆虫などの無脊椎動物を含む、植物および動物などの高等生物由来の単細胞(限定されるものではないが、培養細胞を含む)であってもよい。
本明細書で使用する場合、用語「神経損傷または変性に関連する病態」は、例えば、下記の、
大脳基底核を侵す変性病態(例えば、ハンチントン病、ウィルソン病、線条体黒質変性症、大脳皮質神経節変性症)、トゥーレット症候群、パーキンソン病、進行性核上麻痺、進行性球麻痺、遺伝性痙性対麻痺、脊髄性筋萎縮症、筋萎縮性側索硬化症、およびその変異形、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症、オリーブ橋小脳萎縮症、傍腫瘍性小脳変性症、およびドーパミン毒性を含む中枢神経系疾患、
フリードライヒ運動失調症、糖尿病、末梢神経障害、網膜神経変性などの感覚ニューロンに作用する疾患、
脳アミロイドアンギオパチー、ピック萎縮、レット症候群などの大脳辺縁系の疾患、
アルツハイマー病、AIDS関連認知症、リー病、びまん性レビー小体病、癲癇、多系統萎縮症、ギラン−バレー症候群、リポフスチン沈着症などのリソソーム蓄積障害、ダウン症候群の後期変性期、アルパーズ病、CNS変性の結果としての目眩を含む神経系および/または脳幹を含む神経変性病態、
発達遅滞および学習障害に関連する病態、ダウン症候群、および酸化ストレス誘導性神経細胞死、
例えば、アルコール依存症を伴う青斑核、小脳、コリン作動性前脳基底部におけるニューロンの変性、認知および運動障害に至る小脳ニューロンおよび大脳ニューロンの加齢変性を伴うもの、運動障害に至る大脳基底核ニューロンの慢性アンフェタミン乱用変性を伴うもの含む、加齢および慢性アルコールまたは薬物乱用に伴って起こる病態、
脳卒中、局所的虚血、血管不全、低酸素性虚血性脳症、高血糖症、低血糖症、閉鎖性頭部外傷、または直接的外傷などの局所的外傷から起こる病態変化、ならびに、
治療薬および処置の負の副作用として起こる病態(例えば、抗痙攣用量のNMDA(N−メチル−D−アスパラギン酸)種グルタミン酸受容体の拮抗剤に応答した帯状回および嗅内皮質ニューロンの変性)、
を含む、神経細胞死および/または亜致死神経病態に至る病態(疾患および傷害)を指す。
本明細書で使用する場合、用語「医薬組成物」は、本発明の融合タンパク質またはウイルス様粒子またはそれらの組合せが、調剤され、貯蔵され、保存され、変更され、投与され、またはそれらの組合せがなされ得るいずれの製剤も指す。以下に記載するように、本製剤は、任意の薬学上許容される希釈剤、アジュバント、バッファー、賦形剤、担体、またはそれらの組合せを含み得る。一般に、本製剤の成分は、投与様式および経路、ならびに標準的な製薬実務に基づいて選択される。本明細書で使用する場合、用語「医薬担体」は、本発明の医薬組成物を得るために本発明の融合タンパク質またはウイルス様粒子が物理的もしくは化学的に混合され、溶解され、懸濁され、またはそうでなければ組み合わせられるいずれの物質またはそれらの組合せも指す。
本明細書で使用する場合、用語「薬学上有効な量」は、限定されるものではないが、疾患、障害、またはそれらの組合せの治療、軽減、除去、実質的な予防を含む、所望の生理学的結果を維持もしくは生成可能な、または維持もしくは生成に十分な量を指す。薬学上有効な量は、逐次にまたは同時に投与される1以上の用量を含んでもよい。当業者ならば、限定されるものではないが、徐放性製剤を含む種々のタイプの製剤を考慮するために本発明の用量を調整することを知っている。
本明細書で使用する場合、用語「予防的」とは、疾患、障害、またはそれらの組合せの任意の側面を実質的に防止または予防し得る組成物を指す。本明細書で使用する場合、用語「治療的」とは、疾患、障害、またはそれらの組合せの任意の側面を治療する、軽減する、進行を停止させる、進行を緩徐化する、除去する、またはそれらの組合せをなし得る組成物を指す。
本明細書で使用する場合、用語「対象」は、本発明の投与が指示される任意の個体を指す。対象は例えば哺乳動物であり得る。対象は、性、齢、またはそれらの組合せに関わらず、胎児を含むヒトまたは獣医学的動物であり得る。対象は、所望により、特定の疾患、障害、またはそれらの組合せに罹患しているか、そのリスクがあるか、またはそれらの組合せであり得る。
本発明の投与に好適な製剤は、おそらく当業者に周知のものの中でも、水溶液および非水溶液、酸化防止剤、静菌剤、バッファー、等張性に影響を与える溶質、保存剤、可溶化剤、安定剤、沈殿防止剤、増粘剤、またはそれらの組合せを含み得る。
加えてまたは代わりに、本発明の投与に好適な製剤は、おそらく当業者に周知のものの中でも、ゲル、PEG 400などのPEG、プロピレングリコール、生理食塩水、サシェ、水、当技術分野で公知の他の適当な液体、またはそれらの組合せを含み得る。
また、加えてまたは代わりに、本発明の投与に好適な製剤は、おそらく当業者に周知のものの中でも、結合剤、緩衝剤、リン酸カルシウム、セルロース、コロイド状二酸化ケイ素などのコロイド、着色剤、希釈剤、崩壊剤、色素、増量剤、香味剤、ゼラチン、ラクトース、ステアリン酸マグネシウム、マンニトール、微晶質ゼラチン、湿潤剤、パラフィン炭化水素、香錠、ポリエチレングリコール、保存剤、ソルビトール、コーンスターチ、ジャガイモデンプンもしくはそれらの組合せなどのデンプン、ステアリン酸、スクロース、タルク、トリグリセリド、またはそれらの組合せを含み得る。
また、加えてまたは代わりに、本発明の投与に好適な製剤は、おそらく当業者に周知のものの中でも、ベンジルアルコールもしくはエタノールなどのアルコール、塩化ベンザルコニウム、リン酸バッファー、酢酸バッファー、クエン酸バッファー、もしくはそれらの組合せなどのバッファー、カルボキシメチルセルロースまたは微晶質セルロース、コレステロール、デキストロース、グレープフルーツ果汁などの果汁、ミルク、レシチンなどのリン脂質、植物油、魚油もしくは鉱油もしくはそれらの組合せなどの油、当該技術分野で公知の他の薬学上適合する担体、またはそれらの組合せを含み得る。
また、加えてまたは代わりに、本発明の投与に好適な製剤は、おそらく当業者に周知のものの中でも、ポリ−乳酸−グリコール酸(PLGA)コポリマーなどの生分解性物質、その分解産物が生体系から速やかに排除され得る他の実体、またはそれらの組合せを含み得る。
本発明の製剤は、単位用量形、多用量形、またはそれらの組合せで投与可能である。本製剤は、単位用量容器、多用量容器、またはそれらの組合せに封入可能である。本発明は、アンプル、カシェ剤、カプセル剤、顆粒、トローチ剤、散剤、錠剤、バイアル、限定されるものではないがアラビアガムエマルションを含むエマルション、懸濁液、またはそれらの組合せで存在してよい。
本発明を下記の実施例によりさらに説明するが、これらの実施例は限定ではなく説明のために示される。当業者であれば、本開示を鑑みて、開示されている特定の実施形態に多くの変更をなすことができ、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなくなお同様または類似の結果を取得できることを認識するはずである。
実施例1
神経伸長に対するC5ペプチド、C6ペプチド、P1ペプチド、P2ペプチド、P3ペプチド、P4ペプチド、P5ペプチド、およびP6ペプチドの効果
1.ペプチドの調製
D型およびL型両方のC5、C6、P1、P2、P3、P4、P5、およびP6ペプチドをペプチド合成装置(Neogene Biomedicals Corp.、台北、台湾)により合成した。合成されたC5ペプチド(配列番号1)、C6ペプチド(配列番号2)、P1ペプチド(配列番号4)、P2ペプチド(配列番号5)、P3ペプチド(配列番号6)、P4ペプチド(配列番号7)、P5ペプチド(配列番号8)、およびP6ペプチド(配列番号9)をそれぞれDMSOおよびPBSに溶かした。
2.細胞培養
胎児海馬初代ニューロンを培養するために、妊娠スプラーグ−ドーリーラットを台湾国立研究センター(台北、台湾)から購入した。スプラーグ−ドーリーラットの胎児(19日胎児、E19)から海馬組織を酵素で解離させ、ポリ−L−リシンコーティングカバーガラス上に、5%ウシ血清、5%ウマ血清、および50ng/mLインスリン−トランスフェリン−亜セレン(Sigma−Aldrich、セントルイス、MO、USA)を含有する最小必須培地とともに播種した。播種後、培地を、0.5mMグルタミンおよび12.5mMグルタミン酸を含有する2%B27ニューロベーサルメディウム(Invitrogen、カールズバッド、CA、USA)に置き換えた。胎児海馬初代ニューロンをさらなる試験処理のために37℃、5%COでインキュベートした。
3.神経伸長アッセイ
in vitro3日目(DIV3)の初代海馬ニューロン培養物をそれぞれ10−9M、10−12M、10−15MのC5ペプチド(L型)、10−9M、10−12M、10−15MのC6ペプチド(L型)、10−9MのP1ペプチド(L型)、10−9MのP2ペプチド(L型)、10−9MのP3ペプチド(L型)、10−9MのP4ペプチド(L型)、10−9MのP5ペプチド(L型)、10−9MのP6ペプチド(L型)、10−9MのC5ペプチド(D型)、および10−12のC6ペプチド(D型)で3日間処理した後、免疫細胞化学法を行った。陰性対照の胎児海馬初代ニューロンはPBSで処理した。各処理条件は3反復で行った。
4.免疫細胞化学
培養した海馬ニューロンを4%パラホルムアルデヒドで固定し、室温(RT)にて0.1%トリトンX−100で透過処理を施した。次に、培養物をウサギ抗タウ一次抗体(軸策の選択マーカー、Millipore、MA、USA)およびマウス抗MAP2一次抗体(樹状突起の選択マーカーである微小管結合タンパク質−2、Millipore)中、RTで1時間インキュベートした。洗浄後、細胞をAlexa Fluor(登録商標)488ヤギ抗ウサギ二次抗体(緑色蛍光、Abcam Plc.、UK)およびAlexa Fluor594ヤギ抗マウス二次抗体(赤色蛍光、Abcam Plc.)とともにRTで1時間インキュベートした。次に、4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール(DAPI、青色蛍光、Vector Laboratories、USA)で核を染色した。その後、これらの細胞にカバーガラスを載せ、Axio Observer D1顕微鏡(Zeiss、イェーナ、ドイツ)を用いて画像を取得し、ImageJソフトウエア(Image Processing and Analysis in Java、国立衛生研究所、USA)により解析した。10μmより長いニューロンの突起を神経突起と定義する。
5.統計分析
生化学的データを一元配置分散分析(一元配置ANOVA)、次いで、ニューマン−コイルス多重比較事後検定で分析した。
6.結果
C5ペプチド、C6ペプチド、P1ペプチド、P2ペプチド、P3ペプチド、P4ペプチド、P5ペプチド、およびP6ペプチドは全て、神経伸長および分岐形成を促進する。免疫細胞化学の結果を図1および図2に示す。
図1A〜1Iに示されるように、陰性対照群(図1A)と比較して、3DIVにおけるC5ペプチド(10−9M、10−12M、10−15M)(それぞれ図1B、1C、および1Dに示される通り)またはC6ペプチド(10−9M、10−12M、10−15M)の3日間の処理(それぞれ図1F、1G、および1Hに示される通り)は、軸策伸長を促進した。天然L型C5およびC6ペプチドに加え、合成D型C5ペプチド(10−9M)およびD型C6ペプチド(10−12M)もそれぞれ神経突起伸長に同様の効果を示した(図1Eおよび1Iに示される通り)。さらに、図2A〜2Gに示されるように、陰性対照群(図2A)と比較して、3DIVにおける10−9MのP1ペプチド、P2ペプチド、P3ペプチド、P4ペプチド、P5ペプチド、またはP6ペプチドの3日間の処理(それぞれ図2B、2C、2D、2E、2F、および2Gに示される通り)は、軸策伸長を促進した。
加えて、軸策分岐の数および長さも計測し、それらの統計結果を図3B〜3Eに示す。ニューロンの細胞体から伸びる軸策を一次軸策分岐と定義し、一次軸策分岐から伸びる軸策を二次軸策分岐と定義し、二次軸策分岐から伸びる軸策を三次軸策分岐と定義するなどである(図3A)。10μmより長い軸策のみを計数する。
図3Bは、C5ペプチドまたはC6ペプチド処理後の軸策分岐の長さを示す。C5ペプチドまたはC6ペプチド処理無し(陰性対照)の海馬ニューロンの一次軸策分岐と比較して、C5ペプチド(10−9M)またはC6ペプチド(10−9M)で処理した海馬ニューロンの一次軸策分岐は長い。この結果は、C5ペプチドおよびC6ペプチドが海馬ニューロンの一次軸策分岐の長さを有意に増すことを示す(p<0.01)。
さらに、図3Cは、C5ペプチドまたはC6ペプチド処理後の軸策分岐の数を示す。C5ペプチドまたはC6ペプチド処理無し(陰性対照)の海馬ニューロンの三次軸策分岐の平均数は0.7であるのに対し、C5ペプチド(10−9M)またはC6ペプチド(10−9M)で処理した海馬ニューロンの三次軸策分岐の平均数はそれぞれ3および4.9である。加えて、C5ペプチドまたはC6ペプチド処理無し(陰性対照)の海馬ニューロンの二次軸策分岐の平均数は4.3であるのに対し、C6ペプチド(10−9M)で処理した海馬ニューロンの二次軸策分岐の平均数は6.5である。これらの結果は、C5ペプチドおよびC6ペプチドの両方が海馬ニューロンの軸策分岐の数を有意に増すことを示す(p<0.01)。
図3Dは、P1ペプチド、P2ペプチド、P3ペプチド、P4ペプチド、P5ペプチド、またはP6ペプチド処理後の軸策分岐の長さを示す。陰性対照の海馬ニューロンの一次および二次軸策分岐と比較して、P1ペプチド、P2ペプチド、P3ペプチド、P4ペプチド、P5ペプチド、またはP6ペプチド(10−9M)で処理した海馬ニューロンの一次および二次軸策分岐は長い。この結果は、P1ペプチド、P2ペプチド、P3ペプチド、P4ペプチド、P5ペプチド、およびP6ペプチドは全て、海馬ニューロンの一次および二次軸策分岐の長さを有意に増すことを示す(p<0.01またはp<0.05)。加えて、陰性対照の海馬ニューロンの三次軸策分岐と比較して、P6ペプチド(10−9M)で処理した海馬ニューロンの三次軸策分岐は有意により長い(p<0.05)。
さらに、図3Eは、P1〜P6ペプチド処理後の軸策分岐の数を示す。陰性対照の海馬ニューロンの二次軸策分岐の平均数は2.5であるのに対し、P6ペプチド(10−9M)で処理した海馬ニューロンの二次軸策分岐の平均数は4.2である。この結果は、P6ペプチドは有意に海馬ニューロンの軸策分岐の数を増すことを示す(p<0.01)。
実施例2
初代ニューロン培養物に対するC5ペプチドおよびC6ペプチドの神経毒性の分析
1.材料
C5ペプチド、C6ペプチド、および胎児海馬初代ニューロンは、実施例1に記載の方法により調製した。
2.細胞処理
in vitro1日目(1DIV)に、胎児海馬初代ニューロンをそれぞれ10−3M、10−6M、10−9M、10−12MのC5ペプチドまたはC6ペプチドで24時間処理した後、細胞生存率アッセイを行った。
3.細胞生存率アッセイ
細胞生存率は、MTT(3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド)アッセイにより評価した。細胞をMTT試薬(0.5mg/mL、Sigma−Aldrich(登録商標)、USA)とともに37℃で1時間インキュベートした。MTT溶液を除去し、DMSOをウェルに加え、室温で1時間振盪した。MTTホルマザン産物の量を、ELISAプレートリーダー(SpectraMaxM2マイクロプレートリーダー、Molecular Devices、サニーヴェール、CA、USA)を用いて570および630nmでその吸光度を測定することにより定量した。
4.統計分析
生化学的データを、一元配置分散分析(一元配置ANOVA)、次いで、ニューマン−コイルス多重比較事後検査で分析した。
5.結果
C5ペプチドもC6ペプチドも初代ニューロン培養物に対して神経毒性を示さない。MTTアッセイの結果を図4に示す。胎児海馬初代ニューロンをそれぞれ10−3M、10−6M、10−9M、10−12MのC5ペプチドまたはC6ペプチドで24時間処理した。C5ペプチドおよびC6ペプチドは、胎児海馬初代ニューロンに対して有意な神経毒性作用を示さなかった(p>0.05)。
実施例3
初代海馬ニューロンの再生に対するC5ペプチドおよびC6ペプチドの効果
1.材料
C5ペプチド、C6ペプチド、および胎児海馬初代ニューロンは、実施例1に記載の方法により調製した。
2.掻爬試験
ニューロン再生におけるC5ペプチドおよびC6ペプチドの効果を評価するために掻爬試験を使用した。胎児海馬初代ニューロンを5日(DIV5)までin vitroで培養した。掻爬試験を行った。チップを用いてプレートのウェルに十字の印をつけた。そのプレートに10−9MのC5ペプチドまたは10−9MのC6ペプチドを含有する培養培地を加えた。ニューロンを72時間インキュベートした後に免疫蛍光染色を行った。
3.免疫細胞化学
免疫細胞化学の方法は、実施例1に記載されている。培養海馬ニューロンをウサギ抗タウ一次抗体(軸策の選択マーカー、Millipore)中でインキュベートした後、Alexa Fluor488ヤギ抗ウサギ二次抗体(緑色蛍光、Abcam Plc.、UK)とともにインキュベートした。その後、DAPI(青色蛍光、Vector Laboratories)で核を染色した。細胞の画像をAxio Observer D1顕微鏡(Zeiss、イェーナ、ドイツ)を用いて取得し、ImageJソフトウエア(Image Processing and Analysis in Java、国立衛生研究所、USA)により分析した。
4.統計分析
生化学的データを一元配置分散分析(一元配置ANOVA)、次いで、ニューマン−コイルス多重比較事後検定で分析した。
5.結果
C5ペプチドおよびC6ペプチドは両方とも軸策再生を促進する。掻爬アッセイの結果を図5に示す。PBSで処理した掻爬胎児海馬初代ニューロン(陰性対照)には掻爬境界をわたって成長する軸策がほとんどなかった(図5A)のに対し、C5ペプチドまたはC6ペプチドで処理した掻爬胎児海馬初代ニューロンは、掻爬境界をわたって成長するより多くの、より長い軸策を有していた(図5Bおよび図5C)。これらの結果は、C5ペプチドおよびC6ペプチドが掻爬傷害後の神経突起の再生を改善することを示す。
実施例4
空間学習および記憶に対するC5ペプチドおよびC6ペプチドの効果−水迷路課題
1.動物
成体雄スプラーグ−ドーリーラット(300〜400g)を台湾国立研究センターから購入した。ラットは宜蘭大学(台湾)の動物施設の温度(22〜24℃)および湿度(50%〜60%)制御室で飼育した(1ケージ当たり2個体)。動物は12時間/12時間 明/暗周期で維持した室内で、食物および水を自由に摂らせて飼育した。動物は試験手順を行う前に1週間、室内に馴化させた。試験手順は全て、国立衛生研究所による実験動物の管理と使用に関するガイドライン(NIH刊行物第8023号、1978年改定)により承認されたものであり、台湾国立研究センターにより適当な訓練を受けた者によって実施された。試験は全て、宜蘭大学の動物実験倫理委員会によっても承認された。
2.材料
C5ペプチドおよびC6ペプチドは、実施例1に記載の方法により調製した。
3.薬物処置
25個体の成体雄ナイーブスプラーグ−ドーリーラットを各5個体の5群に無作為に分けた。これらの5群のラットにそれぞれ低用量のC5ペプチド(54μg/kg)、高用量のC5ペプチド(270μg/kg)、低用量のC6ペプチド(5.4μg/kg)、高用量のC6ペプチド(27μg/kg)、および0.5%(v/v)DMSO/PBS(陰性対照)を腹膜内注射した。注射容量は1μL/g体重とし、注射プログラムは行動試験の14日前に開始し、試験中も継続した。
4.水迷路学習
183cm径のプラスチック円形プールに水(25±2℃)を満たした。円形のプラットフォームをプールの端から特定の位置に配置し、水面下に沈めた。無毒な色素を添加することで水を濁らせた。壁面に明瞭な視覚的マークを付けた。空間学習のため、動物に朝早く1回、正午に1回、午後遅くにもう1回の3回の試験を行った。この訓練手順を4日継続し、合計12回の試験を行った。
ラットをプール外周の等間隔の異なる開始点に無作為な順序で置いた。このプールでラットを60秒泳がせた。ラットがプラットフォームを見つけることができなければ、プラットフォームに導き、そこに20秒間留まらせた。各ラットがプラットフォームに到達するのにかかった時間を逃避潜時として記録した。5日目にラットの記憶保持を試験するために60秒の探索試験を行った。プラットフォームを除去したプールにラットを入れ、ラットが各四分円(四分円、2、3、および4)で費やした時間を記録した。ラットが目的四分円(四分円4)に長く留まっているほど、そのラットは良好な記憶を有していた。
この試験の終了時に、ラットに可視プラットフォーム学習を受けさせた。可視プラットフォーム学習のため、プラットフォームにフラッグを付け、プラットフォームを水面の上に上昇させた。ラットがプラットフォームを見つける時間を記録した。加えて、ラットが水からプラットフォームの位置を見ることができるようにプールに色素を加えなかった。
5.統計分析
データを二元配置ANOVA、次いで、ニューマン−コイルス多重比較事後検定で分析した。
6.結果
C5ペプチドおよびC6ペプチドは両方とも、ラットの空間学習および記憶を増強する。図6は、各水迷路学習日の各ラット群の平均逃避潜時(秒)を示す。0.5%(v/v)DMSO/PBSを受けたラット(陰性対照)と比較して、C5ペプチド(54μg/kg、270μg/kg)およびC6ペプチド(5.4μg/kg、27μg/kg)を受けたラットは、隠れたプラットフォームを見つけるのにかかる時間が有意に短い[F(4,20)=15.168、p<0.01]。これらの結果は、C5ペプチドおよびC6ペプチドはラットの空間学習および記憶を増強することを示す。
実施例5
スコポラミン誘導性空間学習および記憶障害に対するC5ペプチドおよびC6ペプチドの効果−水迷路課題
1.動物
ラットは実施例4に記載のように入手し、世話をした。
2.材料
C5ペプチドおよびC6ペプチドは実施例1に記載の方法により調製した。塩酸スコポラミン(Sco)はSigma−Aldrich Co.(セントルイス、MO、USA)から購入した。Scoは、さらなる使用のために終濃度1.5mg/mLとなるように生理食塩水に溶かした。
3.薬物処置
スプラーグ−ドーリーラットを、陰性対照群、スコポラミン注射群(Sco)、C5ペプチドとスコポラミン注射群(C5+Sco)、およびC6ペプチドとスコポラミン注射群(C6+Sco)に無作為に分け、これら4群のラットにそれぞれビヒクル(陰性対照群およびスコポラミン単独群)、C5ペプチド(54μg/kg/日、C5+Sco群)、およびC6ペプチド(5.4μg/kg/日、C6+Sco群)を連続14日間腹膜内注射した。その後、4群のラットにそれぞれビヒクル(陰性対照群)、ビヒクルとスコポラミン(1.5mg/kg/日)(スコポラミン単独群)、C5ペプチド(54μg/kg/日)とスコポラミン(1.5mg/kg/日)(C5+Sco群)、およびC6ペプチド(5.4μg/kg/日)とスコポラミン(1.5mg/kg/日)(C6+Sco群)を連続7日間腹膜内注射した。次に、行動試験を行い、試験中もスコポラミンの注射プログラムを継続した。注射容量は1μL/g体重とした。スコポラミン注射は、毎朝、行動試験の30分前に行い、C5ペプチドまたはC6ペプチド注射は、1日前のPM5:00に1日1回行った。
4.水迷路学習
水迷路学習の方法は実施例4に記載されている。
5.統計分析
データを二元配置ANOVA、次いで、ニューマン−コイルス多重比較事後検定で分析した。
6.結果
C5ペプチドおよびC6ペプチドは両方とも、スコポラミン誘導性空間学習および記憶障害を改善する。本実施例では、加齢および認知症に対するC5ペプチドおよびC6ペプチドの効果を検討するためにSco誘導性健忘症動物モデルを使用する。
図7は、各水迷路学習日における各群のラットの平均逃避潜時(秒)を示す。Sco注射を受けたラットは、隠れたプラットフォームを見つけるのにより長い逃避潜時を示した(F3,20=10.36、P<0.01)。Sco注射を受けたラットと比較して、(C5+Sco)および(C6+Sco)処置群(q=6.58および6.77、両方ともP<0.01)で逃避潜時における有意な改善が3日目から見られた。加えて、3日目から、(C5+Sco)および(C6+Sco)処置群のラットは、隠れたプラットフォームを陰性対照群のラットよりも早く見つけた。これらの結果は、C5ペプチドおよびC6ペプチドは空間学習におけるスコポラミン誘導性記憶障害を改善することを示す。
実施例6
スコポラミン誘導性記憶障害に対するC5ペプチドおよびC6ペプチドの効果−抑制性回避記憶試験
1.動物
ラットは実施例4に記載のように入手し、世話をした。
2.材料
C5ペプチドおよびC6ペプチドは、実施例1に記載の方法により調製した。塩酸スコポラミン(Sco)は、実施例5に記載の方法により調製した。
3.薬物処置
ラットに、実施例5に記載のように、それぞれSco、C5ペプチドおよびSco(C5+Sco群)、C6ペプチドとSco(C6+Sco群)、およびDMSO/PBS(陰性対照群)を腹膜内注射した。
4.抑制性回避学習課題
装置は、照明された安全な区画と暗区画を仕切るスライドドアにより分かれた溝型小路からなった。電流を生じるショック発生装置は暗区画の床に接続した(UGO Basile、コメリオ VA、イタリア)。行動課題は、訓練および試験手順を含め、AM8:00〜PM6:00の間に記録した。試験前、ラットが環境に適合できるように薄暗い部屋で1時間馴化させた。訓練段階では、照明区画の、ドアとは反対側の遠位端に置いた。
ラットが判定した際にドアを閉め、1mA/秒のフットショックを2回与えた。その後、ラットをこの小路から取り出し、ケージに戻した。訓練後の種々の時点で(1日後および7日後)、保持試験を行った。1日後と7日後に、ショックを受けないこと以外は訓練と同様にラットを試験した。ラットが暗室に入るかまたは入らずに600秒の後に試験を終了した。暗室に入らずに600秒の最高限度スコアに達したラットを小路から取り出し、良好な記憶を有するラットとした。暗室に居てフットショック(1mA/秒、2秒間)を受けたラットをそのままフットショック単独対照群とした。
5.統計分析
データを一元配置ANOVA、次いで、ニューマン−コイルス多重比較事後検定で分析した。
6.結果
C5ペプチドおよびC6ペプチドは両方とも、スコポラミン誘導性記憶障害を改善する。ラットを陰性対照群、スコポラミン単独群、(C5+Sco)群および(C6+Sco)群に無作為に分け、これらの4群のラットにそれぞれビヒクル(陰性対照群およびスコポラミン単独群)、C5ペプチド(54μg/kg/日)(C5+Sco群)、およびC6ペプチド(5.4μg/kg/日)(C6+Sco群)を連続14日間腹膜内注射した。その後、4群のラットにそれぞれビヒクル(陰性対照群)、ビヒクルとスコポラミン(1.5mg/kg/日)(スコポラミン単独群)、C5ペプチド(54μg/kg/日)とスコポラミン(1.5mg/kg/日)(C5+Sco群)、およびC6ペプチド(5.4μg/kg/日)とスコポラミン(1.5mg/kg/日)(C6+Sco群)を連続7日間腹膜内注射した。次に、行動試験を行い、試験中もスコポラミンの注射プログラムを継続した。注射容量は1μL/g体重とした。スコポラミン注射は毎朝、行動試験の30分前に行い、C5ペプチドまたはC6ペプチド注射は、1日前のPM5:00に1日1回行った。
図8に示されるように、フットショックを受ける前は、全てのラット群が照明室から暗室に入るのにおよそ同じ時間を要した(P>0.05)。Sco処置ラットは、フットショック7日後に照明室でより短い保持時間を示した(q=4.14、P<0.05)(7日目における対照とSco処置群の比較)。(C5+Sco)処置ラットは、フットショック7日後に照明室でより長い保持時間を示した(q=4.84、P<0.05)(7日目におけるScoと(C5+Sco)処置群の比較)。(C6+Sco)処置ラットもそうであった(q=4.84、P<0.05)(7日目におけるScoと(C6+Sco)処置群の比較)。これらの結果は、C5ペプチドおよびC6ペプチドは受動的一元配置回避課題におけるスコポラミン誘導性記憶障害を改善することを示す。
実施例7
スコポラミン誘導性記憶障害に対するC5ペプチドおよびC6ペプチドの効果−ステップダウン受動回避試験
1.動物
ラットは実施例4に記載のように入手し、世話をした。
2.材料
C5ペプチドおよびC6ペプチドは、実施例1に記載の方法により調製した。塩酸スコポラミン(Sco)は、実施例5に記載の方法により調製した。
3.薬物処置
ラットに、実施例6に記載のように、それぞれSco、C5ペプチドとSco(C5+Sco群)、C6ペプチドとSco(C6+Sco群)、およびDMSO/PBS(陰性対照群)を腹膜内注射した。
4.ステップダウン受動回避試験
ラットを訓練24時間前に器具に馴化させた。翌日、ラットを、受動回避試験ボックスの床の中央に配置した高架プラットフォームに載せ、ステップダウンまでの潜時を記録した。試験3日目に、ステップダウン直後に格子床からラットに軽い電気ショック(3V、3秒間、D.C.)をかけ、その後、ホームケージに戻した。翌日(24時間保持間隔として)、ラットを再びプラットフォームに載せたが、ラットに電気ショックは行わなかった。ステップダウンまでの潜時を記録した。ラットがプラットフォームに5分間留まれば、300秒の最大スコアとした。
5.統計分析
データを一元配置ANOVA、次いで、ニューマン−コイルス多重比較事後検定で分析した。
6.結果
C5ペプチドおよびC6ペプチドは両方とも、スコポラミン誘導性記憶障害を改善する。ラットを陰性対照群、スコポラミン単独群、(C5+Sco)群および(C6+Sco)群に無作為に分け、これら4群のラットにそれぞれビヒクル(陰性対照群およびスコポラミン単独群)、C5ペプチド(54μg/kg/日、C5+Sco群)、およびC6ペプチド(5.4μg/kg/日、C6+Sco群)を連続14日間注射した。その後、4群のラットにそれぞれビヒクル(陰性対照群)、ビヒクルとスコポラミン(1.5mg/kg/日)(スコポラミン単独群)、C5ペプチド(54μg/kg/日)とスコポラミン(1.5mg/kg/日)(C5+Sco群)、およびC6ペプチド(5.4μg/kg/日)とスコポラミン(1.5mg/kg/日)(C6+Sco群)を連続7日間腹膜内注射した。次に、行動試験を行い、試験中もスコポラミンの注射プログラムを継続した。注射容量は1μL/g体重とした。スコポラミン注射は毎朝、行動試験の30分前に行い、C5ペプチドまたはC6ペプチド注射は、1日前のPM5:00に1日1回行った。
図9Aに示されるように、フットショックを受ける前には、全てのラット群はステージを跳ね降りるのにおよそ同じ時間を要した(P>0.05)。図9Bおよび図9Cに示されるように、フットショック後、Sco処置ラットは、フットショック1日後にステージ上でのより短い保持時間 およびより多いステップダウンを示した(q=4.4、P<0.05)(1日目における対照とSco処置群の比較)。(C5+Sco)処置ラットは、フットショック1日後にステージ上でのより長い保持時間およびより少ないステップダウンを示した(q=4.4、P<0.05)(1日目における対Scoと(C5+Sco)処置群の比較)。(C6+Sco)処置ラットは、フットショック1日後にステージ上でのより長い保持時間およびより少ないステップダウンを示した(q=4.4、P<0.05)(7日目におけるScoと(C6+Sco)処置群の比較)。これらの結果は、C5ペプチドおよびC6ペプチドは、ステップダウン受動回避課題においてスコポラミン誘導性記憶障害を改善することを示す。
実施例8
物体認識におけるスコポラミン誘導性記憶障害に対するC5ペプチドおよびC6ペプチドの効果−新奇物体認識学習試験
1.動物
ラットは実施例4に記載のように入手し、世話をした。
2.材料
C5ペプチドおよびC6ペプチドは、実施例1に記載の方法により調製した。塩酸スコポラミン(Sco)は、実施例5に記載の方法により調製した。
3.薬物処置
ラットに、実施例5に記載のように、それぞれSco、C5ペプチドとSco(C5+Sco群)、C6ペプチドとSco(C6+Sco群)、およびDMSO/PBS(陰性対照群)を腹膜内注射した。
4.新奇物体認識学習
馴化中、オープンフィールドボックス(90×70×60cm)内でラットに2つの同一の物体を5分間探索させた。探索に関して使用した判定基準は、ラットと物体の間の距離が1.5cm未満または物体との直接接触であった。3時間後および24時間後に行った保持試験では、既知物体のうちの1つほぼ同じサイズの新奇物体に置き換えたこと以外は同じボックスにラットを戻した。5分間のうちに各ラットが2つの物体を探索するのに対訳した時間を記録した。物体の無いオープンフィールドボックスに5分間入れたラットを非訓練群とした。
5.統計分析
データを二元配置ANOVA、次いで、ニューマン−コイルス多重比較事後検定で分析した。
6.結果
C5ペプチドおよびC6ペプチドは両方とも、スコポラミン誘導性記憶障害を改善する。新奇物体認識課題では、ラットを陰性対照群、スコポラミン単独群、(C5+Sco)群および(C6+Sco)群に無作為に分け、これら4群のラットにそれぞれビヒクル(陰性対照群およびスコポラミン単独群)、C5ペプチド(54μg/kg/日、C5+Sco群)、およびC6ペプチド(5.4μg/kg/日、C6+Sco群)を連続14日間注射した。その後、4群のラットにそれぞれビヒクル(陰性対照群)、ビヒクルとスコポラミン(1.5mg/kg/日)(スコポラミン単独群)、C5ペプチド(54μg/kg/日)とスコポラミン(1.5mg/kg/日)(C5+Sco群)、およびC6ペプチド(5.4μg/kg/日)とスコポラミン(1.5mg/kg/日)(C6+Sco群)を連続7日間腹膜内注射した。次に、行動試験を行い、試験中もスコポラミンの注射プログラムを継続した。注射容量は1μL/g体重とした。スコポラミン注射は毎朝、行動試験の30分前に行い、C5ペプチドまたはC6ペプチド注射は、1日前のPM5:00に1日1回行った。
図10に示されるように、ラットは認識訓練中に左の物体(LO)にもまたは右の物体(RO)にも選好性を示さなかった(全てP>0.05)。3時間、8時間および24時間後に、新奇物体(NO)がROに取って代わった。対照、(C5+Sco)および(C6+Sco)処置ラットは、NOに選好性を示した(q=3.87、P<0.05;q=3.57、P<0.05)。Sco注射を受けたラットは、LOの探索に費やす時間に対してNOに関する探索選好性を全く示さなかった(P>0.05)(各N=6)。これらの結果は、C5ペプチドおよびC6ペプチドは、新奇物体認識学習試験においてスコポラミン誘導性記憶障害を改善することを示す。
実施例9
加齢ラットにおける空間学習および記憶に対するC5ペプチドおよびC6ペプチドの効果−水迷路課題
1.動物
ラットは実施例4に記載のように入手し、世話をした。
2.材料
C5ペプチドおよびC6ペプチドは、実施例1に記載の方法により調製した。
3.薬物処置
薬物投与前に、12か月齢のラットを4群に無作為に分け、水迷路訓練を行った。次に、ラットにそれぞれPBS(陰性対照)、C5ペプチド(54μg/kg/日)、およびC6ペプチド(5.4μg/kg/日)を、行動試験前に6か月間注射し、試験中も継続的に注射した(各群N=6)。注射容量は1μL/g体重とした。注射は1日1回行った。
4.水迷路学習
水迷路学習の方法は実施例4に記載されている。
5.統計分析
データを二元配置ANOVA、次いで、ニューマン−コイルス多重比較事後検定で分析した。
6.結果
C5ペプチドおよびC6ペプチドは両方とも、加齢誘導性記憶障害を改善する。薬物投与前に、12か月齢のラットを4群に無作為に分け、水迷路訓練を行った。訓練の結果を図11Aに示し、各群の平均逃避潜時(秒)は同等であり、4日の訓練期間で短縮された。6か月の薬物投与後、18か月齢のラットに水迷路試験を行った結果を図11Bに示す。
陰性対照のラットと比較して、C5ペプチド(54μg/kg)またはC6ペプチド(5.4μg/kg)注射を受けたラットは、隠れたプラットフォームを見つけるのにより短い逃避潜時を示し、C5およびC6処置群では1日目から逃避潜時に顕著な改善が見られた(p<0.01)。これらの結果は、C5ペプチドおよびC6ペプチドは空間学習において加齢誘導性記憶障害を改善することを示す。
加えて、各群の生存監視を本試験の開始時と隔月(それぞれ12、14、16、18、20、および22か月齢)に記録した。図12は、加齢ラットの生存監視を示す。陰性対照のラットと比較して、C5ペプチド注射を受けたラットはより高い生存率を示し、C6ペプチド注射を受けたラットは22か月齢で100%の生存監視を示した。これらの結果は、C5ペプチドおよびC6ペプチドはラットの平均余命を延長することを示す。
実施例10
1−メチル−4−フェニル−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン(MPTP)マウスパーキンソン病モデルに対するC6ペプチドの効果
1.動物
ラットは実施例4に記載のように入手し、世話をした。
2.材料
C6ペプチドは、実施例1に記載の方法により調製した。1−メチル−4−フェニル−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン(MPTP)はSigma−Aldrich Co.(セントルイス、MO、USA)から購入し、さらなる使用のためにDMSOに溶かした。
3.薬物処置
5週齢のC57BL/6雄マウスを3群に無作為に分け、それぞれPBS(陰性対照)、MPTP(30mg/kg)(MPTP群)、およびC6ペプチド(10.7μg/kg)とMPTP(30mg/kg)(C6+MPTP群)を腹膜内注射した。注射容量は毎日、各マウスの体重に基づいて計算した。C6+MPTP群のマウスにC6ペプチドを3週間注射した後、C6ペプチドとMPTPを1週間注射し、次いで、ロータロッド性能試験を行った。
4.ロータロッド性能試験
マウスの協調性を評価するためにロータロッド性能試験を行った。マウスをロッド上に載せ、ロッドに適応させるために2rpmの定速で2分間稼働させた。その後、ロッドの20rpmへの加速化を開始し(5分以内)、15分間保持した。各マウスがロッドから落下する時間(潜時)を記録した。
5.統計分析
データを一元配置ANOVA、次いで、ニューマン−コイルス多重比較事後検定で分析した。
6.結果
C6ペプチドは、MPTPパーキンソン病マウスモデルにおいて協調性を改善する。本実施形態では、マウスにおいてパーキンソン病を誘発するためにMPTPを使用し、パーキンソン病に対するC6ペプチドの効果を試験するためにこのマウスモデルを使用した。
図13は、ロッド上の各群のマウスの平均落下潜時(秒)を示す。マウスがロッド上に長く留まっているほど、それらの協調性は良好である。PBSを注射したマウス(陰性対照)の平均落下潜時は778.5秒であり、MPTPマウスパーキンソン病モデル(MPTP群)の平均落下潜時は159.8秒であり、(MPTP+C6)群の平均落下潜時は261秒であった。陰性対照と比較してMPTP群および(MPTP+C6)群の両方で落下潜時に有意な短縮が見られた(q=24.12、23.42、20.18、p<0.01)。(MPTP+C6)群のマウスは、MPTPマウスパーキンソン病モデル(MPTP群)よりも有意に長い落下潜時を示した(q=4.19、3.45、p<0.05)。これらの結果は、C6ペプチドはMPTPマウスパーキンソン病モデルにおける協調性を改善することを示す。
実施例11
D−ガラクトース誘導性加齢モデルラットにおける空間学習および記憶に対するC5ペプチドおよびC6ペプチドの効果−水迷路課題
1.動物
ラットは実施例4に記載のように入手し、世話をした。
2.材料
C5ペプチドおよびC6ペプチドは、実施例1に記載の方法により調製した。D−ガラクトースは、Sigma−Aldrich Co.(セントルイス、MO、USA)から購入し、さらなる使用のために0.9%NaCl溶液に溶かした。
3.薬物処置
7週齢のスプラーグ−ドーリーラットを陰性対照群(0.9%NaCl)、D−ガラクトース注射群(D−ガラクトース)、C5ペプチドとD−ガラクトース注射群(C5+D−ガラクトース)、およびC6ペプチドとD−ガラクトース注射群(C6+D−ガラクトース) に無作為に分けた。これら4群のラットにそれぞれ0.9%NaCl(陰性対照群およびD−ガラクトース群)、C5ペプチド(54μg/kg/日、C5+D−ガラクトース群)、およびC6ペプチド(5.4μg/kg/日、C6+D−ガラクトース群)を連続7日間腹膜内注射した。その後、4群のラットにそれぞれ0.9%NaCl(陰性対照群)、0.9%NaClとD−ガラクトース(150mg/kg/日)(D−ガラクトース群)、C5ペプチド(54μg/kg/日)とD−ガラクトース150mg/kg/日)(C5+D−ガラクトース群)、およびC6ペプチド(5.4μg/kg/日)とD−ガラクトース(150mg/kg/日)(C6+D−ガラクトース群)を連続9週間腹膜内注射し、次いで、水迷路課題を行った。注射容量は1μL/g体重とした。
4.水迷路学習
水迷路学習の方法は実施例4に記載されている。
5.統計分析
データを二元配置ANOVA、次いで、ニューマン−コイルス多重比較事後検定で分析した。
6.結果
C5ペプチドおよびC6ペプチドは両方ともD−ガラクトース誘導性加齢モデルラットにおいて空間学習および記憶を増強する。
図14は、各水迷路学習日における各群のラットの平均逃避潜時(秒)を示す。D−ガラクトース注射を受けたラットは、隠れたプラットフォームを見つけるのにより長い逃避潜時を示した(平均潜時は53.06秒であった)。D−ガラクトース注射を受けたラットと比較して、C5+D−ガラクトースおよびC6+D−ガラクトース群では2日目から逃避潜時に有意な改善が見られたが(q=5.34、4.37、p<0.01)、陰性対照、C5+D−ガラクトース、およびC6+D−ガラクトース群の間には有意な差は見られなかった(p>0.05)。これらの結果は、C5ペプチドおよびC6ペプチドはD−ガラクトース誘導性加齢モデルラットにおいて空間学習および記憶を増強することを示す。
本発明の上記の実施形態には、当然のことながら、その範囲から逸脱することなく多くの変更および改変を行うことができる。よって、科学および有用な技術における進展を促進するために、本発明が開示され、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるものとする。

Claims (9)

  1. 神経伸長を促進するペプチドであって、下記の配列のみからなり、
    sn−X−X−Pro−Gl (配列番号3)
    配列中
    は、非極性アミノ酸からなる群から選択されるアミノ酸であり、
    は、アラニン、システイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、フェニルアラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、リシン、ロイシン、メチオニン、アスパラギン、プロリン、グルタミン、アルギニン、セリン、トレオニン、バリン、トリプトファン、及びチロシンからなる群から選択されるアミノ酸であり
    前記ペプチドが神経伸長を促進することを特徴とする、
    神経伸長を促進するペプチド。
  2. 前記配列は、NAIPQ(配列番号1)、NPSPQ(配列番号2)、NFEPQ(配列番号4)、NMYPQ(配列番号5)、NIKPQ(配列番号6)、NLMPQ(配列番号7)、NVAPQ(配列番号8)、およびNWLPQ(配列番号9)からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載のペプチド。
  3. 請求項1に記載のペプチドをコードする、ポリヌクレオチド。
  4. 請求項1に記載のペプチドおよび薬学上許容されるビヒクルを含む、組成物。
  5. 神経細胞伸長を促進するための薬剤の製造における、請求項1に記載のペプチドの使用
  6. 前記神経細胞は正常型、損傷型、または変性型であることを特徴とする、請求項に記載の使用
  7. 対象において神経損傷または神経変性に関連する症状を改善するための薬剤の製造における、請求項1に記載のペプチドの使用。
  8. 前記症状は記憶障害、精神的退化、協調障害、生存率の低下、中枢神経系病変、パーキンソン病、アルツハイマー病、感覚ニューロンに作用する疾患、大脳辺縁系皮質調節不全、発育遅滞および学習障害に関連する障害、ダウン症、酸化ストレス誘導性神経細胞死、加齢関連疾患、アルコールに関する慢性疾患および病態、薬物乱用に関連する障害、創傷組織における病変、ならびに治療薬および処置の負の副作用によって引き起こされる病態からなる群から選択されることを特徴とする、請求項に記載の使用。
  9. 健康な対象において記憶または学習能を増強するための組成物の製造における、請求項1に記載のペプチドの使用。
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