JP6525353B2 - 車両の車体構造及び車体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、車両の車体構造及び車体の製造方法に関する。
特許文献1〜3は、自動車の前部についての車体構造を開示している。
これらの文献では、車体の前室と乗員室とを仕切るトーボードパネルとしてのダッシュパネルの幅方向両側に、一対のAピラーを接合する。トーボードパネルと一対のAピラーとを接合することにより、乗員室を画成することができる。
トーボードパネルの左右に一対のAピラーを接合することにより、トーボードパネルを有する車体のセンタストラクチャの側面にAピラーを有する車体のサイドストラクチャを重ねて接合することができ、車体の製造が容易となる。
特開2004−299633号公報 特開2012−096717号公報 特開2011−235688号公報
しかしながら、トーボードパネルとAピラーとを重ねて接合するためには、先ずトーボードパネルの幅方向端部に内フランジ部を設ける。更に、Aピラーのサイドパネル部に外フランジ部を設ける。次いで、内フランジ部と外フランジ部とを重ねてスポット溶接等により接合する必要がある。その結果、接合された内フランジ部と外フランジ部との接合部は、トーボードパネル及びAピラーによる面から前へ突出した状態になる。
ところで、現在の衝突安全基準ではテスト対象とされていないが、例えば自動車等の車両では高速走行する対向車と衝突する可能性がある。このような衝突では強い衝撃により車両の前輪が車体から脱落し、脱落した前輪がトーボードパネル及び乗車空間等に対して押し込まれる可能性がある。
脱落した前輪がトーボードパネル及び乗車空間等に対して前方から押し込まれることにより、トーボードパネルが変形し、前方へ突出している内フランジ部と外フランジ部との接合部に対して引き剥がす力が作用する可能性がある。
仮に外フランジ部が内フランジ部から引き剥がされると、トーボードパネルとAピラーとの接合状態が解除され、間隙が生じることになる。
このように、車両においては、トーボードパネル等の仕切りパネルとAピラー等のサイドパネル部とを接合してなる接合部等に対して引き剥がす力が作用し難くし、衝突安全性能の更なる向上が求められている。
よって、本発明が解決しようとする課題は、従来よりも更に良好な衝突安全性能を有する車両の車体構造及び車体の製造方法を提供することである。
課題を解決するための手段として、本発明に係る車両の車体構造は、車両の車輪を軸支可能な車体において幅方向に延在して車体の前室と乗員室とを仕切る仕切りパネルと、車体の側部において乗員室の前角となる位置で仕切りパネルと接合されるサイドパネル部と、を備え、サイドパネル部は、車体の上下方向に延在する外フランジ部を有し、仕切りパネルは、上下方向に延在する内フランジ部を有し、サイドパネル部は、幅方向において内側に張り出す張出部と、幅方向において内側に設けられる内側サイドパネルと、幅方向において外側に設けられる外側サイドパネルとを、有し、外フランジ部は、張出部の内側端部に形成され、内フランジ部と外フランジ部とが接合されて成る接合部を有し、幅方向において、接合部は、車輪の内側面よりも内側に位置し、内側サイドパネル及び外側サイドパネルの張出部近傍は、車両の前方に向かって相互に離れるように延在する。
本発明に係る車両の車体構造において、張出部は、サイドパネル部の前室側の一部を、幅方向において内側に折曲する又は湾曲させることにより形成されることが好ましい。
本発明に係る車両の車体構造において、張出部は、内側サイドパネル及び外側サイドパネルが幅方向において内側に折曲する又は湾曲させることにより形成されることが好ましい。
本発明に係る車両の車体構造において、張出部は、サイドパネル部を前方から見たときに、外側サイドパネルの前室側の一部が、内側サイドパネルに重なるように、外側サイドパネルを幅方向において内側に延在させることにより形成されることが好ましい。
本発明に係る車両の車体構造において、幅方向において、接合部は、内側サイドパネル及び車輪の内側面のいずれよりも内側に位置することが好ましい。
本発明に係る車両の車体構造において、上下方向において、接合部は、車輪の前後方向に位置することが好ましい。
本発明に係る車両の車体構造において、上下方向において、接合部は、少なくとも車輪の回転中心についての前後方向に位置することが好ましい。
本発明に係る車体の製造方法は、車両の車輪を軸支可能な車体の製造方法であって、車体の前室と乗員室とを仕切る仕切りパネルにおける、車体の幅方向の端部において前後方向へ突出するように形成される内フランジ部と、仕切りパネルと接合されることにより乗員室を画成するサイドパネル部における、乗員室の前角に対応する部位に形成される外フランジ部とを、外フランジ部の乗員室側の面より幅方向において内側で接合し、幅方向において、内フランジ部と外フランジ部との接合部は、車輪の内側面よりも内側に位置し、サイドパネル部は、幅方向において内側に張り出す張出部と、幅方向において内側に設けられる内側サイドパネルと、幅方向において外側に設けられる外側サイドパネルとを、有し、内側サイドパネル及び外側サイドパネルの張出部近傍は、車両の前方に向かって相互に離れるように延在する。
本発明によると、例えば脱落した車輪等が乗員室に向かって押し込まれた場合に、張出部によって接合部が車体の幅方向内側に設けられているので、車輪が接合部に対して接触し、応力を直接作用させることが無い又は作用させ難い。これにより、接合部が大きく変形及び破断することを防止し、接合部を起点として乗員室が大きく開放状態とならない又はなり難いので、従来よりも更に良好な衝突安全性能を有する車両の車体構造及び車体の製造方法を提供することができる。
図1は、本発明が適用された自動車の車体を示す斜視図である。 図2は、図1の車体の製造に用いられるセンタストラクチャの部分分解斜視図である。 図3は、車体の製造に用いられるサイドストラクチャの部分分解斜視図である。 図4は、図1の車体において、センタストラクチャとサイドストラクチャとを接合する製造工程を示す断面概略図である。 図5は、張出部を付設した接合部を有する、センタストラクチャとサイドストラクチャとの接合状態を示す部分拡大斜視図である。 図6は、トーボードパネル及び周辺部材を示す断面概略図である。 図7は、トーボードパネル及び周辺部材を示す正面概略図である。 図8は、車体の衝突形態の一例の説明図である。 図9は、比較例の車体での衝突状態を示す断面概略図である。 図10は、図1の車体での衝突状態を示す断面概略図である。 図11は、張出部の変形例を示す断面概略図である。
本発明に係る車両の車体構造の一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1には、本発明を採用し得る自動車の車体1を示した。図1は、車体1を示す斜視図である。
図1に示す自動車の車体1は、エンジン等が配置される前室2、乗員が乗車する乗員室3、及び、荷物等を積載する後室4を有する。つまり、自動車の車体1は、3ボックス構造を有する。
乗員室3の下方に敷設されるフロアパネル11の上下には、一対のフロアメンバ(図示せず)とフロアクロスメンバ12とが設けられる。一対のフロアメンバは車体1の前後方向に延在するフレーム状部材である。フロアクロスメンバ12は車体1の左右方向に延在するフレーム状部材である。一対のフロアメンバと複数のフロアクロスメンバ12とは、交差部分で互いに接合される。この接合により、複数の井の字形状を有する井桁構造が形成される。該井桁構造により、乗員室3のフロアパネル11が補剛される。
フロアパネル11の前縁には、トーボードパネル13が立設される。トーボードパネル13により、乗員室3と前室2とが仕切られる。
一対のフロアメンバの前端には、一対のフロントサイドメンバ14が接合される。一対のフロントサイドメンバ14は、前室2において前後方向に延在する。前室2において、一対のフロントサイドメンバ14の間には、左右方向に延在するフロントクロスメンバ(図示せず)が架け渡されるようにして固定される。フロントクロスメンバには、左右方向に延在する車軸(図示せず)が取付けられる。車軸は、両端に一対の前輪(図示せず)が装着される。一対の前輪は、トーボードパネル13の前側に配置される。また、複数のフロアクロスメンバ12の各左右両端部には、一対のサイドシル15が接合される。
トーボードパネル13の左右両端部、並びに、一対のサイドシル15及び後述の一対のAピラー17の前方下端部から、これらの部材の前方下側にかけてトルクボックス16が取付けられる。
サイドシル15の前端には、略上下方向に立設するAピラー17が接合される。トーボードパネル13における車体1の左右方向の両端部には、一対のAピラー17が接合される。Aピラー17は、サイドシル15との接合部近傍において略上下方向に延在し、上側途中から後方に傾斜するように屈曲して延在する。
Aピラー17における上下方向の略中央部には、フロントアッパメンバ18が接合される。フロントアッパメンバ18はAピラー17から前方向へ延在する。Aピラー17及びフロントアッパメンバ18の下方において、リインフォースメント用の補剛部材19が、Aピラー17及びフロントアッパメンバ18に接合される。Aピラー17の前端は、一対のフロントサイドメンバ14の前端と共に、ラジエータフレーム20に接合される。ラジエータフレーム20の全面には、フロントバンパビーム21が固定される。
サイドシル15における前後方向の略中央部には、略上下方向に立設するBピラー22が接合される。また、サイドシル15における前後方向の後方には、略上下方向に立設するCピラー23が接合される。Aピラー17の上端とCピラー23の上端との間には、前後方向に延在するルーフサイドレール24が接合される。Bピラー22の上端は、ルーフサイドレール24の略中央部に接合される。一対のルーフサイドレール24の間には、車体1の幅方向に延在するルーフクロスメンバ25が設けられる。
Aピラー17には、フロントドア(図示せず)が開閉可能に取付けられる。フロントドア内には、フロントドアビーム及びフロントドアクロスメンバ等が設けられる。Bピラー22には、リアドア(図示せず)が開閉可能に取付けられる。リアドア内には、リアドアビーム及びリアドアクロスメンバ等が設けられる。
なお、車両のドアの開閉形態がフロントドア及びリアドアにおいて逆方向に回動する形態である場合、つまりいわゆる観音開きである場合、リアドアはCピラー23に取付けられることになる。
フロアパネル11の後端には、リアバルクヘッドパネル26が立設される。リアバルクヘッドパネル26により、乗員室3と後室4とが仕切られる。リアバルクヘッドパネル26における車体1の幅方向の両端縁部には、左右一対のCピラー23が接合される。
一対のサイドシル15の後端には一対のリアサイドメンバ(図示せず)が接合される。一対のリアサイドメンバは、リアバルクヘッドパネル26から後方へ突出する。一対のリアサイドメンバの後端部に、リアバンパビーム(図示せず)が固定される。
図1の骨格構造を有する車体1は、例えばトーボードパネル13等を有するセンタストラクチャ6において車体1の幅方向両端部に、Aピラー17等を有するサイドストラクチャ7を左右からそれぞれ接合することにより、製造し得る。また、図1に示す骨格構造を有する車体1に対して、例えばボンネットフード板、左右のフェンダー板、トランクリッド板、及びルーフ板等外板を接合することにより、自動車の車体1が完成する。これにより、自動車の前室2、乗員室3及び後室4が画成される。
なお、センタストラクチャ6又はサイドストラクチャ7における複数の骨格部材は、スポット溶接又はレーザ溶接等による点付け溶接により接合することができる。例えば、トーボードパネル13とAピラー17との接合は、スポット溶接又はレーザ溶接等により達成される。
図2は、図1の車体の製造に用いられるセンタストラクチャ6の一部を示す分解斜視図である。
図2には、センタストラクチャ6を構成する部材として、トーボードパネル13及びダッシュパネル27が示されている。ダッシュパネル27は、トーボードパネル13の上縁に接合される。トーボードパネル13及びダッシュパネル27の接合体は、図1に示した車体1の前室2と乗員室3とを仕切る壁部材となる。なお、トーボードパネル13は、本発明における仕切りパネルの一例である。
センタストラクチャ6は、車体1の幅方向の略中央部に配置される。
また、トーボードパネル13は、例えば一枚の金属板をプレス成型等によって適宜の形状を有するようになった成型体である。トーボードパネル13は、車体1の左端部から右端まで延在する板材である。トーボードパネル13は、上下方向の略中央部において、内側に向かってトーボードパネル13の左右方向の幅が小さくなるように切欠部Cが設けられている。よって、図2に示すように、トーボードパネル13は、上方においては左右方向の幅が大きく、下方においては小さい。
トーボードパネル13の幅方向における両端、つまり上方及び下方の左右端部には、それぞれ内フランジ部31を有する。内フランジ部31は、トーボードパネル13の左右両端部において、それぞれ上下方向に延在する。内フランジ部31は、センタストラクチャ6において、トーボードパネル13の両端から前方に突出する。
図3は、車体1の製造に用いられるサイドストラクチャ7の部分斜視図である。図3には、サイドストラクチャ7を構成する部材として、Aピラー17、サイドシル15、フロントアッパメンバ18、及び、リインフォースメント用の補剛部材19が示されている。なお、Aピラー17及びサイドシル15は、本発明におけるサイドパネル部の一例である。
サイドシル15の前端に、略上下方向に立設するAピラー17が接合される。Aピラー17の高さ方向の略中央部には、フロントアッパメンバ18が前方に接合される。フロントアッパメンバ18とAピラー17との間に、リインフォースメント用の補剛部材19が接合される。
サイドストラクチャ7は、センタストラクチャ6の左右両端縁に沿って立設することにより、車体1の側面部を形成する。
Aピラー17は、張出部381及び外フランジ部32を有する。張出部381は、Aピラー17における前面の下方に設けられる。張出部381は、車体1の幅方向における内側に張り出す部位である。外フランジ部32は、張出部381における幅方向の内側端部から前方へ突出する。外フランジ部32は、略上下方向に延在する。
続いて図4を参照しつつ、図1に示す車体1において、センタストラクチャ6とサイドストラクチャ7とを接合する製造工程を説明する。図4は、内フランジ部31と外フランジ部32との接合部近傍で切断した場合の、トーボードパネル13及びAピラー17を示した断面概略図である。
なお、トーボードパネル13及びAピラー17との接合体において、構造及び形状等については図5を参照しつつ後述する。
図4のAピラー17は、内側サイドパネル331及び外側サイドパネル341を有する。Aピラー17は、図示しない後方において内側サイドパネル331と外側サイドパネル341とが接合されることにより、中空の角材となる。
内側サイドパネル331は、例えば一枚の金属板を成型した成型体である。内側サイドパネル331は折曲されて成る板状部材である。詳述すると、内側サイドパネル331は、前方の一部が車体1の幅方向における内側に折曲され、更に再度折曲されて前方に突出する部位を有する。内側サイドパネル331の前方に突出する部位が、第1外フランジ部35である。第1外フランジ部35は、上下方向に延在する内側サイドパネル331の前方縁辺部である。第1外フランジ部35は、内側サイドパネル331の一部であるので、上下方向に延在する。
外側サイドパネル341は、例えば一枚の金属板を成型した成型体である。外側サイドパネル341は折曲されて成る板状部材である。詳述すると、外側サイドパネル341は、前方の一部が車体1の幅方向における内側に折曲され、更に再度折曲されて前方に突出する部位を有する。外側サイドパネル341の前方に突出する部位が、第2外フランジ部36である。第2外フランジ部36は、上下方向に延在する外側サイドパネル341の前方縁辺部である。第2外フランジ部36は、外側サイドパネル341の一部であるので、上下方向に延在する。
図4に示すAピラー17においては、重ねられた第1外フランジ部35及び第2外フランジ部36により、Aピラー17の外フランジ部32が形成される。
なお、サイドストラクチャ7の剛性が低下しない限り、上記内側サイドパネル331と上記外側サイドパネル341とは一枚の鋼板であっても良い。具体的には、一枚の鋼板が図4に図示しない後方において折曲され、鋼板の一端縁辺部が第1外フランジ部と成り、他端縁辺部が第2外フランジ部と成り、上記Aピラー17の外フランジ部32と同様に、重ねられた第1外フランジ部及び第2外フランジ部により外フランジ部が形成されるようになっていても良い。
センタストラクチャ6とサイドストラクチャ7とを接合する場合、図4(A)に示すように、先ずセンタストラクチャ6のトーボードパネル13に近接させてサイドストラクチャ7のAピラー17を配置する。このとき、内フランジ部31と外フランジ部32とを重ね合わせる。
次に、図4(B)に示すように、トーボードパネル13の内フランジ部31とAピラー17の外フランジ部32とを重ねた状態で、スポット溶接等によって接合する。これにより、トーボードパネル13の内フランジ部31とAピラー17の外フランジ部とを接合した接合部37が形成される。
なお、スポット溶接等で内フランジ部31と外フランジ部32とを接合する場合、スポット溶接による複数の接合点は、一定の間隔を離散的に形成される。
図4(C)には、接合が完了したトーボードパネル13とAピラー17とが示されている。図4(C)に示すように、トーボードパネル13とAピラー17との接合体において、張出部381がAピラー17に形成されている。
なお、図4(C)においては、車体1の左側の接合部37及び張出部381を示している。もっとも、車体1の右側にも同様の接合部37及び張出部381を取付けることができる。つまり、本実施形態においては、接合部37及び張出部381は、車体1の左右両側に設けることのできる一対の部位である。
以上により、センタストラクチャ6とサイドストラクチャ7とが接合され、かつ張出部381を有して成る、従来よりも更に衝突安全性能が向上した車体1が製造される。
張出部381を有するAピラー17の材料としては、例えば衝突に係る応力がAピラー17の前面及び張出部381に作用しても容易には変形及び破断しない、又はし難い材料であるのが好ましく、高い剛性を有しているのが良い。Aピラー17の材料としては、図1に示した車体1の構成部品のうち、骨格部材と称される高剛性部材の材料と同様であるのが良い。
図5には、図4(C)に示したトーボードパネル13とAピラー17との接合体を示す断面概略図である。
図5に示すように、トーボードパネル13の内フランジ部31と、Aピラー17の外フランジ部32とが接合されることによって、接合部37が形成されている。
以下に、Aピラー17の形状及び構造等について詳述する。
上述したように、Aピラー17は内側サイドパネル331及び外側サイドパネル341を有している。
内側サイドパネル331は、第1延在部39と、第1折曲部40と、第1外フランジ部35と有する。第1延在部39は、前後方向に略平行に延在する部位である。第1延在部39は、Aピラー17の乗員室3に面する部位である。第1折曲部40は、第1延在部39の前方端縁部が車体1の幅方向における内側に折曲され、延在する部位である。第1外フランジ部35は、第1折曲部40の内側端縁部が前方に折曲され、延在する部位である。
外側サイドパネル341は、第2延在部41と、第2折曲部42と、第2外フランジ部36と有する。第2延在部41は、前後方向に略平行に延在する部位である。第2延在部42は、車体1の外側に面する部位である。第2折曲部42は、第2延在部41の前方端縁部が車体1の幅方向における内側に折曲され、延在する部位である。第2外フランジ部35は、第2折曲部42の内側端縁部が前方に折曲され、延在する部位である。
第1延在部39と第2延在部41とは略平行である。
また、第1折曲部40は、第2折曲部42よりも後方に形成される。
Aピラー17は、張出部381を有する。張出部381は、内側サイドパネル331の第1折曲部39と、外側サイドパネル341の第2折曲部40とを有する。内側サイドパネル331及び外側サイドパネル341が第1折曲部39及び第2折曲部40を形成するために、幅方向の内側に折曲される。これにより、張出部381も形成される。なお、予め折曲されて第1折曲部39及び第2折曲部40が形成されて成る内側サイドパネル331及び外側サイドパネル341を用いる場合は、接合部37の形成等によって、Aピラー17としてその全体形状が完成したときに、張出部381も形成されたとみなしても良い。
本実施形態において、第1延在部39と第1外フランジ部35とを接続する第1折曲部40、及び、第2延在部41と第2外フランジ部36とを接続する第2折曲部42は、折曲により形成されている。本発明においては、部材の折曲に代えて湾曲させても良い。
張出部381は、車体1を前方から見たときに、第2折曲部42が内側サイドパネル331に重なるように延在させることによって、形成される。以下において、車体1を前方から見たときに、張出部381において第2折曲部42の内側サイドパネル331に重なる部位を重複部431と称する。
重複部431の大きさDに応じて、接合部37が形成される位置が決定される。例えば、第1折曲部40及び第2折曲部42を左右方向に大きく形成することによって、重複部431の大きさDを大きくすると、接合部37は車体1の内側に形成されることになる。
本実施形態において、例えば前輪FTを車両直進時の姿勢にしたときに、前輪FTにおける内側面の輪郭線を後方に投影した場合、接合部37は前輪FTの内側面よりも内側に位置する。図5には、前輪FTにおける内側面の輪郭線を二点鎖線で示した。前輪FTにおける内側面よりも内側に接合部37が形成されるように、重複部431の大きさDが設定される。本発明においては、本発明を適用する車種によって車輪の大きさ、及び取付位置等が若干異なるので、車種毎に車輪の内側面よりも内側に接合部を配置すれば良い。
なお、重複部431の大きさDは、例えば10mm以上であるのが好ましい。重複部431の大きさDとして特に好ましくは、例えば10mmから接合部37がフロントサイドメンバ14の左右方向の外側に接する位置までの間で設定される態様を挙げることができる。
本実施形態においては、第1折曲部40と第2折曲部42との間に間隔Gを設けている。仮に、間隔Gを大きくした場合、乗員室3側に向かってAピラー17の一部が拡大することになるが、Aピラー17自体の剛性を向上させることができるので、車両の耐衝突性能がより向上する。
もっとも、本発明においては、上記間隔Gを0にしても良い。間隔Gが0である場合、Aピラー等のサイドパネルの設置領域、構成材料の削減を図ることができ、車両重量の低減にも寄与することができる。また、従来のサイドパネルにおけるAピラーは、間隔Gが0であることが多い。よって、本発明において上記間隔Gを0にした場合であっても、形成されるAピラー等のサイドパネル部は、従来のサイドパネル部と同様の強度を有するので問題無い。
続いて示す図6は、図4(C)に示した実施形態の部分拡大斜視図である。
図6に示すように、トーボードパネル13とAピラー17との接合部37は、リインフォースメント用の補剛部材19よりも下側でかつ幅方向において内側の部分で、前方に突出している。補剛部材19の下側においては、Aピラー17の張出部381が前方に臨んで形成されている。
なお、張出部381はリインフォースメント用の補剛部材19に干渉しない位置に設けられるので、補剛部材19とAピラー17との接合状態に対して、張出部381が影響を与えることがない。つまり、本発明においては、補剛部材19によるフロントアッパメンバ18の補剛性能を劣化させることなく、接合部37を車体1の幅方向における内側にずらして形成することができる。
次に、トーボードパネル13及びその周辺部材を正面から見た場合の概略図を図7に示す。なお、図7において前輪FTを破線で示している。
図7(A)は、トーボードパネル13、及びその周辺に配置される部材の正面概略図である。図7(A)に示すように、Aピラー17は左右に1つずつ立設され、一対のAピラー17の間にトーボードパネル13が配置される。トーボードパネル13における上下方向の略中央部には、図1にも示した一対のフロントサイドメンバ14が配置される。Aピラー17の下方には、内側に張り出した張出部381が各フロントサイドメンバ14よりは外側に形成される。トーボードパネル13とAピラー17とが接合されて、接合部37がフロントサイドメンバ14寄りに形成される。
図7(B)は、図7(A)に示す実施形態の変形例である。具体的には、トーボードパネル13の上下方向の大きさと、張出部38の上下方向の大きさとを略同一に設定している。張出部38を張出部381より上下方向に拡大することによって、前室(図7には図示せず)内における上端部から下端部まで張出部38が取付けられた状態となる。張出部38はAピラー17の一部であるので、高い剛性を有する。よって、前室の上端部から下端部までの耐衝突性能を向上せしめることができる。
次に、図1に示した車体1を有する自動車の衝突安全性能について、図8〜図10を参照しつつ説明する。
先ず、図8は、車体1の衝突形態の一例の説明図である。
図8には、図1に示した車体1を有する第1自動車51と共に、第2自動車52が示されている。図8において第1自動車51の外形は破線で示されている。
第2自動車52は、例えば停車中の第1自動車51に対して、時速90kmで前方から衝突する。第2自動車52は、第1自動車51の一対のフロントサイドメンバ14より外側、図8に示した衝突例においては左方フロントサイドメンバ14より左側に衝突する。このような衝突では、第2自動車52により、第1自動車51の前輪FTが車軸から脱落する可能性がある。前輪FTが脱落すると、脱落時に前輪FTに作用した応力が後方に向かう慣性力となる。更に、第2自動車52の車体、並びに、第2自動車52から脱落した部品及び前輪等が、第1自動車51の前輪FTを後方に押し続ける慣性力を有することもある。第1自動車51の脱落した前輪FTは、接合部37を押し潰す可能性がある。
続いて示す図9は、比較例として示す車体の衝突時の断面概略図である。図9には、図4(C)において示した張出部381を設けていない。張出部381を設けていないので、Aピラーの形状が図4(C)及び図5に示した実施形態とは異なる。上記内側サイドパネル331に代えて折曲しない内側サイドパネル33を用い、上記外側サイドパネル341に代えて左右方向の幅が小さい外側サイドパネル34を用い、内側サイドパネル33及び外側サイドパネル34を有するAピラー171を用いている。張出部381を設けなかったこと以外は、図4(C)に示す実施形態と同一の部材を用いているので、同一の参照符号を付すこととし、共通部材の詳細な説明は省略する。図9に示す衝突形態は、図8に示した形態で従来の車両が衝突する場合の一例である。
先ず、図9(A)に示すように、脱落した前輪FTが白抜きの矢印方向、つまり後方に移動する。該脱落した前輪FTは、内フランジ部31と外フランジ部32との接合部37に向かって移動している。接合部37は前方に向かって突出し、別部材を付設していないので接合部37に対して干渉物が干渉する場合、該干渉物からの応力が接合部37に直接作用することになる。
次いで、図9(B)に示すように、脱落した前輪FTは、接合部37を破断させる。接合部37が破断すると、内フランジ部31と外フランジ部32との接合状態が解除される。具体的には、一般的に車両の製造に用いられているスポット溶接は、スポット溶接により接合された部材に引き剥がす力を加えると、接合が破断する。更に、一の接合箇所が引き剥がされて破断した場合、隣接する他の接合箇所も連鎖的に引き剥がされて破断することが多い。脱落した前輪FTは、接合部37に対して後方向に応力を作用させることによって、接合部37を押し潰す。接合部37が押し潰されると、内フランジ部31と外フランジ部32とを引き剥がす応力が接合部37に作用する。これにより、接合部37が破断する。
外フランジ部32が形成されて成る内側サイドパネル33及び外側サイドパネル34を有するAピラー171は、車体1の骨格部材の一つであるので高い剛性を有する部材である。よって、外フランジ部32が前輪FTの干渉により変形及び破断したとしても、Aピラー171全体の変形及び破断等は生じ難い又は生じない。例えばAピラー171は、図9(B)に示すように、外側サイドパネル34の前面が後方に若干押し込まれる程度の変形で留まることがある。
接合部37が変形及び破断し、更にAピラー171が変形しても、脱落した前輪FTの後方に押し込まれる力が維持されている場合、前輪FTの移動方向が逸れてトーボードパネル13に前輪FTが押し込まれる可能性がある。具体的には、図9(B)に示すように、脱落した前輪FTは、トーボードパネル13を乗員室3内に向かって押し込まれるように移動する。前輪FTが内フランジ部31を変形又は破断させつつ後方に移動し、トーボードパネル13を後方へ押し込むようにして変形させる。脱落した前輪FTの後方へ向かう力が大きい場合、図9(B)に示すように、乗員室3内に前輪FTの一部が侵入することもある。
以上により、例えば図8に示したような衝突形態の場合は、従来であれば脱落した前輪FTが、接合部37を破断させ、トーボードパネル13を乗員室3内に向かって変形させ、更に乗員室3内に侵入することがあった。
接合部37が破断すると、乗員室3は密閉された箱形状に維持され難くなる。接合部37が破断し、更にトーボードパネル13が変形すると、乗員室3と前室2とが連通することになり、乗員室3は密閉された箱形状に維持されなくなる。
ここで、図10を参照しつつ、本発明に係る車両の車体構造の一実施形態である、図1の車体1が衝突した場合について説明する。図10に示す衝突形態は、図8に示した形態で本発明に係る車両が衝突する場合の一例である。図10は、図1に示した車体1の衝突時におけるトーボードパネル13及び左側のAピラー17の接合部37を示した断面概略図である。
図10(A)は、脱落した前輪FTが車体に押し込まれる場合の断面概略図である。
脱落した前輪FTがその慣性力、衝突物の押圧力等によって白抜きの矢印の方向へ移動する場合、前輪FTは、図10(A)に示すようにAピラー17に対して押し込まれる可能性がある。
図4(C)にも示したように、本実施形態においては、接合部37を車体1の外フランジ部32の内側面よりも幅方向における内側に接合部37を形成している。具体的には、張出部381を設けることによって、接合部37の位置を従来よりも車体1の幅方向における内側にずらしている。
図10(B)は、脱落した前輪FTが、Aピラー17に対して接触し始めた場合の断面概略図である。
図10(B)に示すように、接合部37は従来よりも車体幅方向の内側に設けられているので、前輪FTが接合部37に対して直接接触しない又はし難い。よって、接合部37は、前輪FTから応力を直接受けない又は受け難い。特に、本実施形態においては、図5に示したように、前輪FTを後方に投影したときに前輪FTの内側面の輪郭線よりも内側に接合部37を形成している。これにより、前輪FTが大きな応力を以って押し込まれたとしても、接合部37は前輪FTから直接応力を受けない又は受け難いので、接合部37が後方に圧縮されて押し潰される可能性は無い又は低い。
本発明に係る車両の車体構造は、従来に対して接合部の位置を変えるので、車輪等の干渉物が接合部に対して直接干渉することが無い又はし難い。
更に言うと、押し込まれる前輪FTは、高い剛性を有するAピラー17に接触する。これにより、Aピラー17が大きく変形又は破断することが無い又はし難い。よって、Aピラー17が大きく変形又は破断したときに、接合部37に引き剥がす応力が作用し、接合部37が破断するという状態にはならない又はなり難い。
また、張出部381を設けると、従来に比べてAピラー17の面積が大きくなっている。したがって、Aピラー17は従来よりも広い範囲において脱落した前輪FT等から応力を受けることになる。張出部381を含むAピラー17が受ける応力は、Aピラー17全体及びAピラー17が接合されるトーボードパネル13、サイドシル15等の種々の部材に分散可能である。
トーボードパネル13及び接合部37の大きな変形又は破断は、接合部37を起点として乗員室3が開放状態となる大きな原因の一つである。本実施形態においては、トーボードパネル13の大きな変形又は破断を張出部381によって防止することができる。結果として、乗員室3は、密閉された箱形状に維持され易い。
このように本実施形態の車体構造では、特にトーボードパネル13の変形及び破断を効果的に抑え、車両の衝突安全性能を更に高めることができる。
また、本実施形態では、張出部381の形成作業、及び、接合部37の溶接作業は、特殊で大型の専用装置が不要であり、通常の車両製造工程中に用いられる板金作業用装置、溶接装置等を採用することができる。よって、本実施形態は、既存の車体製造ラインをそのまま利用可能である。また、製造工程の変更を最小限に抑えることができる。
上述の実施形態は、センタストラクチャ6のトーボードパネル13に対して、本発明を適用した例である。
この他にも例えば、センタストラクチャ6のリアバルクヘッドパネル26に対して、本発明を適用しても良い。接合部を従来よりも車体の幅方向における内側に設けることにより、車体1の後方からの衝突の際に、リアバルクヘッドパネル26とCピラー23との接合部が後輪又は衝突物等が押し込まれることになっても、乗員室3が開放状態となり難くなる。
なお、本発明に係る車両の車体構造において、接合部の乗員室側、例えば図5に示した実施形態においては接合部37の後方側に、補強部材を固定的に装着しても良い。該補強部材は、接合部を跨いで仕切りパネルとサイドパネル部とに装着されるのが好ましい。補強部材としては、接合部に作用する応力によって容易に大きな変形及び破断を生じない限り特に制限されず、例えば材料が車体の骨格部材に用いられる高剛性材料を用い、単純な棒状部材、フレーム状部材、クロス状部材、格子状部材等を採用することができる。
[張出部の変形例]
上述した実施形態においては、張出部381が外フランジ部32の乗員室3側の面、つまり図5に示したように第1延在部39よりも車体1の幅方向において内側に張り出して形成されていた。これにより、張出部381の内側端縁部から前方に突出する外フランジ部32と、トーボードパネル13の内フランジ部31とを接合することによって形成される接合部37は、外フランジ部32の乗員室3側の面よりも車体1の幅方向において内側に位置する。本発明に係る車両の車体構造において、張出部は、外フランジ部の乗員室側の面より車体の幅方向において内側に張り出す限り、様々な形状及び大きさを採ることができる。図11(A)〜(C)には、本発明に係る車両の車体構造における張出部の変形例を示した。
図11(A)〜(C)に示した各実施形態と、図4(C)及び図5に示した実施形態との相違点は、張出部の形状、接合部の位置、及びAピラーの形状である。該相違点以外は図4(C)及び図5に示した実施形態と同一部材を用いているので、同一の参照符号を付し、詳細な説明を省略する。
図11(A)には、張出部382を設けて成る実施形態を示す。
具体的には、図11(A)に示す張出部382と、図4(C)及び図5に示した張出部381との相違点は、内側サイドパネルの形状である。張出部381が内側サイドパネル331における第1延在部39の一部を折曲して第1折曲部40を形成していたのに対して、張出部382は内側サイドパネル332を湾曲させている。
張出部382は、湾曲して成る内側サイドパネル332を作製することが必要となる。該内側サイドパネル332を作製するには、先ず上記張出部381における第1延在部39を、車体1の幅方向における内側に適宜の位置まで湾曲させる。これにより、湾曲面を有する湾曲部44が形成される。次いで、湾曲部44の前端部から前方に突出する第1外フランジ部35を形成するように折曲される。よって、内側サイドパネル332において、湾曲部44は上記第1折曲部40に代えて形成される部位である。
また、張出部382には、重複部432が形成される。重複部432は、車体1を前方から見たときに、外側サイドパネル341の第2折曲部42が、内側サイドパネル332に重なる部位である。
上記張出部381においては、内側サイドパネル331の第1延在部39と外側サイドパネル341の第2延在部41とが略平行であった。これに対して、張出部382において、内側サイドパネル332の湾曲部44と外側サイドパネル341の第2延在部41とは平行ではない。また、第2延在部41が前後方向に対して略平行に配置されているのに対して、湾曲部44は車体1の幅方向における内側に向かって延在している。よって、図11(A)に示す実施形態において、内側サイドパネル332及び外側サイドパネル341は、車体1の前方に向かって相互に離れるように延在する。
図11(A)に示す実施形態は、図4(C)及び図5に示した実施形態と同様に、前輪(図11(A)には図示せず)を後方に投影した場合に、車体1の幅方向において前輪の内側面よりも内側に接合部37が位置している。
図11(A)に示す実施形態は、張出部382が設けられているので、接合部37の位置が車体1の幅方向において従来よりも内側である。これにより、例えば脱落した前輪が後方に向かって押し込まれる場合であっても、接合部37に対して前輪が直接押し込まれることが無い又は押し込まれ難い。つまり、前輪が接合部37に対して応力を直接作用させることが無い又は作用させ難い。したがって、接合部37が大きく変形及び破断せず又はし難いので、接合部37を起点とした乗員室3の大きな開放状態が生じない又は生じ難い。
更に、図11(A)に示す実施形態は、内側サイドパネル332及び外側サイドパネル341は、車体1の前方に向かって相互に離れるように延在するので、図4(C)及び図5に示した実施形態に比べて、Aピラー17として応力を受けることのできる範囲が大きい。
具体的には、Aピラー17として応力を受けることのできる部位は、内部にある程度の容積を有していることが必要となる。図4(C)及び図5に示した実施形態において、Aピラー17として応力を受けることのできる範囲は、第1延在部39と第2延在部40と重複部431を含まない第2折曲部41とに囲まれて成る領域である。内部空間が小さい重複部431近傍の領域は、応力を受けた場合、Aピラー17及び張出部381、更に接合部37を介してトーボードパネル13等の周辺部材に応力を分散する機能を発揮する。
これに対して、図11(A)に示す実施形態において、Aピラー17として応力を受けることのできる範囲は、湾曲部44と第2延在部41と重複部432を含む第2折曲部41とに囲まれて成る領域である。湾曲部44が設けられることによって、重複部432における内側サイドパネル332と外側サイドパネル341との距離が、図4(C)及び図5に示した実施形態に比べて大きくなっている。よって、図11(A)に示す実施形態は、接合部37近傍、特に重複部432において、例えば脱落した前輪が押し込まれたとしても、高い剛性を有するAピラー17全体で応力を受けることができる。
また、脱落した前輪骨格部材を大きく変形させる程の大きな応力を以って押し込まれる場合、図11(A)に示す実施形態によると、外側サイドパネル341のみが変形する程度で留まる可能性もあるので、好ましい。つまり、本実施形態は、図4(C)及び図5に示した実施形態に比べて、前方においては内側サイドパネル332と外側サイドパネル341との間隔が大きく形成されている。これにより、押し込まれる前輪が外側サイドパネル341には接触し、更に外側サイドパネル341が変形しつつ押し込まれて内側サイドパネル332に対しても押し込まれるという衝突形態が、図4(C)及び図5に示した実施形態に比べて生じ難い。よって、Aピラー17の外側のみが変形する程度で留まり、乗員室3の密閉された箱形状が維持され易いので好ましい。
なお、図11(A)においては、車体1の左側の張出部382のみを示しているが、右側にも同様の張出部382を取付けることができる。つまり、張出部382は、左右両側に設けられる一対の部位である。
図11(B)には、張出部383を設けて成る実施形態を示す。
具体的には、図11(B)に示す張出部383と、図4(C)及び図5に示した張出部381との相違点は、接合部37の位置である。
張出部383は、上記張出部381の重複部431を車体1の幅方向内側に拡大して成る。張出部383を拡大するには、内側サイドパネル333の第1延在部403と外側サイドパネル343の第2延在部423とを車体1の幅方向内側に延長すれば良い。重複部433の大きさが、従来のAピラー17からフロントサイドメンバ14までの左右方向の距離と同等になるまで重複部433を拡大して、張出部383を延長すると、接合部37をフロントサイドメンバ14近傍に形成されることになる。これにより、従来はフロントサイドメンバ14からAピラー17に亘ってトーボードパネル13が設けられていた領域に、張出部383が配置されることになる。重複部433は、車体1を前方から見たときに、外側サイドパネル343の第2折曲部423が、内側サイドパネル333に重なる部位である。
図11(B)に示す実施形態は、図4(C)及び図5に示した実施形態と同様に、前輪(図11(B)には図示せず)を後方に投影した場合に、車体1の幅方向において前輪の内側面よりも内側に接合部37が位置している。
図11(B)に示す実施形態は、張出部383が設けられているので、接合部37の位置が車体1の幅方向において従来よりも内側である。これにより、例えば脱落した前輪が後方に向かって押し込まれる場合であっても、接合部37に対して前輪が直接押し込まれることが無い又は押し込まれ難い。つまり、前輪が接合部37に対して応力を直接作用させることが無い又は作用させ難い。したがって、接合部37が大きく変形及び破断せず又はし難いので、接合部37を起点とした乗員室3の大きな開放状態が生じない又は生じ難い。
更に、図11(B)に示す実施形態は、図4(C)及び図5に示した実施形態に比べて、接合部37が車体1の幅方向において大幅に内側に配置されている。これにより、例えば脱落した前輪が図10に示した衝突形態よりも更に内側に向かって押し込まれたとしても、前輪が接合部37に対して直接接触することが無い、又は接触し難いので好ましい。よって、乗員室3の密閉された箱形状が維持され易い。
なお、図11(B)においては、車体1の左側の張出部383のみを示しているが、右側にも同様の張出部383を取付けることができる。つまり、張出部383は、左右両側に設けられる一対の部位である。
図11(C)には、張出部384を設けて成る実施形態を示す。
具体的には、図11(C)に示す張出部384と、図4(C)及び図5に示した張出部381との相違点は、Aピラー、つまりサイドパネル部の形状である。
上記Aピラー17は、内側サイドパネル331と外側サイドパネル341とを外フランジ部32において接合することによって、略上下方向に延在する中空の角材として形成されていた。これに対して、図11(C)に示す実施形態は、Aピラー174が一枚の鋼板によって形成されている。また、Aピラー174は、その前方において、上記内側サイドパネル331と上記外側サイドパネル341との接合箇所等が無い。
Aピラー174は、車体1の幅方向に略平行な前端面が前方に向かって突出することにより、該前端面全体が外フランジ部324として形成されている。外フランジ部324の突出距離としては、上記Aピラー17の外フランジ部32の前方への突出距離、及びトーボードパネル13の内フランジ部31の前方への突出距離と同等であるのが良い。
更に、車体1の幅方向において、Aピラー174は内側にも突出している。Aピラー174の前端部である外フランジ部324が幅方向内側に向かって突出することにより、張出部384が形成される。
このような形状を有するAピラー174は、例えば車両構成部品の製造過程で板金に対して多用されるプレス加工等によって成形することができる。
本実施形態においては、Aピラー174における張出部384に対して、トーボードパネル13の内フランジ部31が接合されることによって、接合部374が形成される。なお、内フランジ部31は、Aピラー174の幅方向の内側面に対して、溶接等により接合される。
Aピラー174は、車体1の幅方向内側に向かって張り出す張出部384を有している。よって、車体1の幅方向において、Aピラー174は、内側面ISと外側面OSとが、車体1の前方に向かって相互に離れるように延在する。
図11(C)に示す実施形態は、図4(C)及び図5に示した実施形態と同様に、前輪(図11(C)には図示せず)を後方に投影した場合に、車体1の幅方向において前輪の内側面よりも内側に接合部374が位置している。
図11(C)に示す実施形態は、張出部384が設けられているので、接合部374の位置が車体1の幅方向において従来よりも内側である。これにより、例えば脱落した前輪が後方に向かって押し込まれる場合であっても、接合部374に対して前輪が直接押し込まれることが無い又は押し込まれ難い。つまり、前輪が接合部374に対して応力を直接作用させることが無い又は作用させ難い。したがって、接合部374が大きく変形及び破断せず又はし難いので、接合部374を起点とした乗員室3の大きな開放状態が生じない又は生じ難い。
更に、図11(C)に示す実施形態は、内側面IS及び外側面OSは、車体1の前方に向かって相互に離れるように延在するので、図4(C)及び図5に示した実施形態に比べて、Aピラー174として応力を受けることのできる範囲が大きい。
具体的には、Aピラー174として応力を受けることのできる部位は、内部にある程度の容積を有していることが必要となる。図11(C)に示す実施形態において、Aピラー174として応力を受けることのできる範囲は、前端部である外フランジ部324と内側面ISと外側面OSとに囲まれて成る領域である。つまり、Aピラー174として応力を受けることのできる範囲は、Aピラー174全体である。よって、図11(C)に示す実施形態は、接合部374近傍において、例えば脱落した前輪が押し込まれたとしても、高い剛性を有するAピラー174全体で応力を受けることができる。
また、脱落した前輪骨格部材を大きく変形させる程の大きな応力を以って押し込まれる場合、図11(C)に示す実施形態によると、外側面OSのみが変形する程度で留まる可能性もあるので、好ましい。つまり、本実施形態は、図4(C)及び図5に示した実施形態に比べて、前方においては内側面ISと外側面OSとの間隔が大きく形成されている。これにより、押し込まれる前輪が外側面OSには接触し、更に外側面OSが変形しつつ押し込まれて内側面ISに対しても押し込まれるという衝突形態が、図4(C)及び図5に示した実施形態に比べて生じ難い。よって、Aピラー174の外側のみが変形する程度で留まり、乗員室3の密閉された箱形状が維持され易いので好ましい。
接合部374は、内フランジ部31と、車体1の幅方向においてAピラー174の内側面ISの一部とが接合されて成る。上記実施形態において接合部37は、前方に突出し、かつ突出する各部材の縁辺部が接合されて成る。これに対して、本実施形態において接合部374は、接合箇所が前方に露出していない。したがって、Aピラー174の前面が変形したとしても接合部374に影響が生じ難い。
なお、図11(C)においては、車体1の左側の張出部384のみを示しているが、右側にも同様の張出部384を取付けることができる。つまり、張出部384は、左右両側に設けられる一対の部位である。
上述した各実施形態は、3ボックス構造の自動車の車体1に、本発明を適用した例である。
この他にも例えば、1ボックス構造の自動車、2ボックス構造の自動車、トラック、バス、電車、航空機、などの車両において、本発明を適用することができる。特に、車体1のセンタストラクチャ6の幅方向両側に一対のサイドストラクチャ7を接合することにより製造される車両においては、本発明を好適に適用できる。
以上、本発明者によってなされた発明を適用した実施形態について説明したが、この実施形態による本発明の開示の一部をなす論述及び図面により、本発明は限定されることはない。すなわち、この実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論であることを付け加えておく。
1:車体、2:前室、3:乗員室、4:後室、6:センタストラクチャ、7:サイドストラクチャ、11:フロアパネル、12:フロアクロスメンバ、13:トーボードパネル(仕切りパネル)、14:フロントサイドメンバ、15:サイドシル(サイドパネル部)、16:トルクボックス、17、171、174:Aピラー(サイドパネル部)、18:フロントアッパメンバ、19:補剛部材、20:ラジエータフレーム、21:フロントバンパビーム、22:Bピラー、23:Cピラー、24:ルーフサイドレール、25:ルーフクロスメンバ、26:リアバルクヘッドパネル、27:ダッシュパネル、31:内フランジ部、32、324:外フランジ部、331、332、333:内側サイドパネル、341、343:外側サイドパネル、35:第1外フランジ部、36:第2外フランジ部、37、374:接合部、38、381、382、383、384:張出部、51:第1自動車、52:第2自動車、E1、E2:電極、FT:前輪、C:切欠部、IS:内側面、OS:外側面

Claims (8)

  1. 車両の車輪を軸支可能な車体において幅方向に延在して前記車体の前室と乗員室とを仕切る仕切りパネルと、
    前記車体の側部において前記乗員室の前角となる位置で前記仕切りパネルと接合されるサイドパネル部と、を備え、
    前記サイドパネル部は、前記車体の上下方向に延在する外フランジ部を有し、
    前記仕切りパネルは、前記上下方向に延在する内フランジ部を有し、
    前記サイドパネル部は、前記幅方向において内側に張り出す張出部と、前記幅方向において内側に設けられる内側サイドパネルと、前記幅方向において外側に設けられる外側サイドパネルとを、有し、
    前記外フランジ部は、前記張出部の内側端部に形成され、
    前記内フランジ部と前記外フランジ部とが接合されて成る接合部を有し、
    前記幅方向において、前記接合部は、前記車輪の内側面よりも内側に位置し、
    前記内側サイドパネル及び前記外側サイドパネルの前記張出部近傍は、前記車両の前方に向かって相互に離れるように延在する、
    車両の車体構造。
  2. 前記張出部は、前記サイドパネル部の前記前室側の一部を、前記幅方向において内側に折曲する又は湾曲させることにより形成される、
    請求項1に記載の車両の車体構造。
  3. 前記張出部は、前記内側サイドパネル及び前記外側サイドパネルが前記幅方向において内側に折曲する又は湾曲させることにより形成される、
    請求項1又は2に記載の車両の車体構造。
  4. 前記張出部は、前記サイドパネル部を前方から見たときに、前記外側サイドパネルの前記前室側の一部が、前記内側サイドパネルに重なるように、前記外側サイドパネルを幅方向において内側に延在させることにより形成される、
    請求項1又は2に記載の車両の車体構造。
  5. 前記幅方向において、前記接合部は、前記内側サイドパネル及び前記車輪の内側面のいずれよりも内側に位置する、
    請求項1又は2に記載の車両の車体構造。
  6. 前記上下方向において、
    前記接合部は、前記車輪の前後方向に位置する、
    請求項1〜5のいずれか一項に記載の車両の車体構造。
  7. 前記上下方向において、
    前記接合部は、少なくとも前記車輪の回転中心についての前後方向に位置する、
    請求項1〜5のいずれか一項に記載の車両の車体構造。
  8. 車両の車輪を軸支可能な車体の製造方法であって、
    前記車体の前室と乗員室とを仕切る仕切りパネルにおける、前記車体の幅方向の端部において前後方向へ突出するように形成される内フランジ部と、
    前記仕切りパネルと接合されることにより前記乗員室を画成するサイドパネル部における、前記乗員室の前角に対応する部位に形成される外フランジ部とを、
    前記外フランジ部の乗員室側の面より前記幅方向において内側で接合し、
    前記幅方向において、前記内フランジ部と前記外フランジ部との接合部は、前記車輪の内側面よりも内側に位置し、
    前記サイドパネル部は、前記幅方向において内側に張り出す張出部と、前記幅方向において内側に設けられる内側サイドパネルと、前記幅方向において外側に設けられる外側サイドパネルとを、有し、
    前記内側サイドパネル及び前記外側サイドパネルの前記張出部近傍は、前記車両の前方に向かって相互に離れるように延在する、
    車体の製造方法。
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