JP6524628B2 - 燃料電池電極 - Google Patents

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Description

本発明は、耐フラッディング性に優れた燃料電池電極に関する。
従来の固体高分子型燃料電池の電極触媒は、微粒子白金が主であった。しかし、近年、薄層白金、すなわち、「薄く広がった白金」を電極に用いる試みが注目されている。バルク白金表面の酸素還元反応(ORR)面積比活性は、微粒子白金のそれより数倍程度高いことが知られており、薄層白金のバルクライクな表面物性をうまく利用することで、従来の微粒子白金電極の限界を超えられる可能性がある。
このような薄層白金を利用した燃料電池電極として、3M社のDebeらによって報告されたナノ構造薄膜(NSTF)が広く知られている(特許文献1、非特許文献1参照)。NSTF電極は、有機物質のウィスカーを白金又は白金合金からなる薄層で被覆した構造をしている。
NSTF電極の構造は、微粒子白金担持カーボン(Pt/C)電極と、主に次の3点において大きく異なる。
(a)白金の表面積が小さい。
(b)担体が導電性を持たない。
(c)電極内にアイオノマを含まない。
このように従来の常識とは異なる電極構造でありながら、NSTF電極は、好適な作動条件下では高効率・高出力を実現している。すなわち、白金のバルクライクな表面物性を膜電極接合体(MEA)内で実現できている。
一方、NSTF電極は、過加湿下では電極内で生成した水によるフラッディングが生じ、性能が低下することが報告されている(非特許文献2参照)。NSTFとは別の方法で本願発明者らが独自に試作したPt/SiO2ナノファイバー電極でも同様の傾向が見られたことから、耐フラッディング性の低さは、薄層白金電極に共通する課題であると考えられる。薄層白金電極がフラッディングし易い理由は、従来のPt/C電極よりも電極内が親水的であるためと推測される。
特開2012−164661号公報
M. K. Debe, J. Electrochem. Soc., 2013, 160, F522 A. Kongkanad, et al., J. Electrochem. Soc., 2012, 159, F405
本発明が解決しようとする課題は、薄層貴金属を備えた燃料電池電極の耐フラッディング性を向上させることにある。
上記課題を解決するために、本発明に係る燃料電池電極は、
担体と、
前記担体の表面に担持された薄層貴金属と、
前記薄層貴金属表面に担持された疎水性分子と、
を備えていることを要旨とする。
前記疎水性分子は、水が滞留しやすい部分に優先的に担持されているのが好ましい。
従来のPt/C電極に対して疎水性分子を添加すると、耐フラッディング性は向上するが、その効果は相対的に小さい。これは、Pt/C電極に添加される触媒層アイオノマが撥水材としても機能しているため、及びカーボン担体が撥水的であるためと考えられる。
一方、薄層貴金属を備えた燃料電池電極は、電極内部がより親水的であるために、Pt/C電極に比べてフラッディングが起きやすい。
これに対し、薄層貴金属を備えた燃料電池電極に対して疎水性分子を添加すると、耐フラッディング性が大きく向上する。特に、水が滞留しやすい部分に疎水性分子を優先的に担持させると、電極の耐フラッディング性が著しく向上する。これは、水が滞留しやすい部分に疎水性分子を優先的に担持させることによって、薄層貴金属の電子伝導性を損なうことなく、電極反応により生成した水が電極外に容易に排出されるためと考えられる。
テフロン(登録商標)AFを添加したPt/SiO2ナノファイバー(NF)電極の断面SEM像である。 テフロン(登録商標)AFを添加したPt/SiO2NF電極、及び未添加のPt/SiO2NF電極の分極曲線(80℃、100%RH、H2/Air、140kPa、20mV/s)である。 テフロン(登録商標)AFを添加したPt/SiO2NF電極、及び未添加のPt/SiO2NF電極の分極曲線(40℃、100%RH、H2/Air、140kPa、20mV/s)である。 Pt/SiO2NF電極へのテフロン(登録商標)AF添加量と、40℃、100%RHでの限界電流密度、及び80℃、70%RHでの酸素移動抵抗との関係を示す図である。
PTFE微粒子を担持したPt/SiO2NF電極の断面SEM像である。 PTFE微粒子を担持したPt/SiO2NF電極、及び未添加のPt/SiO2NF電極の分極曲線(40℃、100%RH、H2/Air、140kPa、20mV/s)である。 PtFe/C電極と、PtFe/Cにフッ素系高分子溶液を混入して作製した電極の過加湿下における分極曲線である。 Pt/PBIナノファイバー電極、及びテフロン(登録商標)AFを添加したPt/PBIナノファイバー電極の分極曲線(40℃、100%RH、H2/Air、140kPa、20mV/s)である。
以下、本発明の一実施の形態について詳細に説明する。
[1. 燃料電池電極]
本発明に係る燃料電池電極は、
担体と、
前記担体の表面に担持された薄層貴金属と、
前記薄層貴金属表面に担持された疎水性分子と、
を備えている。
[1.1. 担体]
[1.1.1. 担体の材料]
燃料電池電極には、通常、高い電子伝導性が求められる。そのため、従来の燃料電池電極では、担体として、電子伝導体であるカーボンを用いることが多い。
これに対し、本発明において、担体の表面に担持された薄層貴金属は、電極触媒としてだけではなく、電子伝導体としても機能する。そのため、担体の材料は、特に限定されるものではなく、あらゆる材料を用いることができる。すなわち、担体は、必ずしも電子伝導体である必要はなく、半導体あるいは絶縁体であっても良い。
担体の材料としては、例えば、
(1)SiO2、TiO2、YSZ、Al23、SnO2などの無機絶縁体、
(2)ポリベンゾイミダゾール(PBI)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリイミド(PI)などの有機絶縁体、
(3)SiCなどの半導体、
(4)カーボン、TiC、WC、TiB2、VB2、CrB2、NbB2、TaB2、TiN、TiO2-x(酸素欠損チタニア)などの電子伝導体
などがある。
これらの中でも、担体の材料は、SiO2が好適である。これは、安価で、耐熱性及び耐酸性を有し、かつ後述の担体として好ましい形状のものが得られるためである。
[1.1.2. 担体の形状]
担体の形状は、特に限定されるものではなく、目的に応じて種々の形状を選択することができる。担体の形状としては、例えば、繊維(不織布、織布などの繊維の集合体を含む)、粒子、多孔体などがある。この場合、繊維や粒子の直径、開気孔の直径等は、特に限定されない。
担体は、特にナノスケールの構造体が好ましい。ナノスケールの構造体は高い比表面積を持つため、これを担体として用いると活性の高い燃料電池電極が得られる。
また、ナノスケールの構造体の中でも、担体は、SiO2ナノファイバーが好ましい。これは、安価で、耐熱性及び耐酸性を有するためである。
ここで、「ナノスケールの構造体」とは、構造体を構成する要素であって、薄層貴金属を担持する部分の大きさ(繊維の直径、粒子の直径、開気孔の直径など)がナノメートルサイズである構造体をいう。
ナノスケールの構造体は本質的に高い比表面積を持つが、比表面積の大きさは構造体を構成する要素の形状や大きさにより異なる。活性の高い燃料電池電極を得るためには、ナノスケールの構造体の比表面積は、1m2/g以上が好ましい。ナノスケールの構造体の比表面積は、さらに好ましくは、10m2/g以上、さらに好ましくは、50m2/g以上である。
[1.2. 薄層貴金属]
[1.2.1. 薄層貴金属の定義]
「薄層貴金属」とは、
(a)貴金属元素を主成分とし、
(b)それ自身で又は担体の表面に担持された状態で、電極反応を進行させるのに十分な電子伝導性を示し、かつ、
(c)貴金属微粒子よりも高い酸素還元反応(ORR)面積比活性を示すように、担体の表面に貴金属元素が面状に担持されている
薄層をいう。
「貴金属元素を主成分とする」とは、薄層貴金属に含まれる全元素に対する貴金属元素の割合が30at%以上であることをいう。
薄層貴金属は、1種又は2種以上の貴金属元素のみを含むものでも良く、あるいは、貴金属元素以外の元素(合金元素)をさらに含むものでも良い。薄層貴金属が合金元素を含む場合、合金元素の含有量は、その種類に応じて最適な含有量を選択する。合金元素の含有量は、合金元素の種類にもよるが、通常、25〜70at%である。
「電極反応を進行させるのに十分な電子伝導性」とは、燃料電池電極を用いてMEAを作製した時に、MEAから電流を取り出すことが可能な程度の電子伝導性をいう。具体的には、燃料電池電極の電気伝導度は、1S/m以上が好ましい。燃料電池電極の電気伝導度は、さらに好ましくは、10S/m以上、さらに好ましくは、100S/m以上である。
目的とする電気伝導度が得られる限りにおいて、薄層貴金属は、必ずしも担体の表面(多孔体の場合は、開気孔の内表面を含む)の全面を被覆している必要はない。例えば、担体が電子伝導体からなる場合、薄層貴金属は、担体の表面の一部を被覆するものでも良い。一方、担体が絶縁体又は半導体からなる場合、薄層貴金属は、担体の表面のほぼ全面を被覆するものが好ましい。
「面状に担持されている」とは、担体の表面の全部又は一部が薄層貴金属で2次元的に被覆されていることをいう。薄層貴金属が微視的に見れば貴金属微粒子の集合体からなる場合であっても、貴金属微粒子が互いに繋がって薄層を形成しているときには、薄層はバルクライクな表面物性を示し、孤立した貴金属微粒子よりも高いORR面積比活性を示す。
貴金属微粒子よりも高いORR面積比活性が得られ、かつ、十分な電子伝導性が得られる限りにおいて、薄層貴金属は、必ずしも担体の表面の全面を被覆している必要はない。一般に、担体表面を被覆する薄層貴金属の面積が大きくなるほど、高い活性が得られる。
[1.2.2. 薄層貴金属の材料]
薄層貴金属の材料は、特に限定されるものではなく、目的とする活性が得られる材料であれば良い。薄層貴金属の材料としては、
(a)白金、
(b)パラジウム、ニッケル、コバルト、ロジウム、イリジウム、鉄、マンガン、及びジルコニウムからなる群から選ばれるいずれか1以上の合金元素を含む白金合金、
などがある。
これらは、いずれも、高い酸素還元反応活性を示す。
[1.2.3. 薄層貴金属の厚さ]
薄層貴金属の厚さが厚くなるほど、その表面物性はバルクに近づく。しかしながら、薄層貴金属の厚さを必要以上に厚くしても、比表面積(重量当たりの表面積)が低下するため、実益がない。従って、薄層貴金属の厚さは、10nm以下が好ましい。
後述する方法を用いると、厚さが3〜4nm程度であり、かつ、バルクライクな表面物性を示す薄層貴金属を形成することができる。
[1.3. 疎水性分子]
[1.3.1. 疎水性分子の材料]
本発明において、疎水性分子の材料は、特に限定されるものではなく、目的に応じて種々の材料を用いることができる。疎水性分子としては、
(a)溶媒に可溶なフッ素樹脂(非晶性フッ素樹脂)、
(b)溶媒に不溶なフッ素樹脂、
などがある。
非晶性フッ素樹脂としては、例えば、テフロン(登録商標)AF(ポリ[4,5−ジフルオロ2,2−ビス(トリフルオロメチル)−1,3−ジオキソール−コ−テトラフルオロエチレン])、サイトップ(登録商標)などがある。
溶媒に不溶なフッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)などがある。
これらの中でも、疎水性分子は、非晶性フッ素樹脂が好ましい。非晶性フッ素樹脂は溶媒に可溶であるため、後述する方法を用いると、水が滞留しやすい部分に優先的に担持させることができる。
また、疎水性分子は、非晶性フッ素樹素の中でも、特に、テフロン(登録商標)AFが好ましい。これは、市販されており、容易に入手できるためである。
[1.3.2. 疎水性分子の導入箇所]
本発明において、疎水性分子の導入箇所は、特に限定されない。例えば、疎水性分子からなる微粒子を薄層貴金属の表面にランダムに分散させても良い。しかしながら、高い耐フラッディング性を得るためには、疎水性分子は、水が滞留しやすい部分に優先的に担持されているのが好ましい。
ここで、「水が滞留しやすい部分」とは、担体の表面が近接しているために、水の表面張力によって水が集積しやすい部分をいう。例えば、2つの粒子間の接点近傍、2本の繊維間の接点近傍などがこれに該当する。後述する方法を用いると、水が滞留しやすい部分に疎水性分子を優先的に導入することができる。
[1.3.3. 疎水性分子の添加量]
「疎水性分子の添加量」とは、担体、薄層貴金属、及び疎水性分子の重量の総和に対する疎水性分子の重量の割合をいう。
疎水性分子の添加量は、燃料電池電極の特性に影響を与える。一般に、疎水性分子の添加量が多くなるほど、耐フラッディング性が向上する。このような効果を得るためには、疎水性分子の添加量は、2wt%以上が好ましい。疎水性分子の添加量は、さらに好ましくは、4wt%以上、さらに好ましくは、6wt%以上、さらに好ましくは、8wt%以上である。
一方、疎水性分子の添加量が過剰になると、電極内の酸素移動抵抗が増大する。また、薄層貴金属の表面が疎水性分子で過度に被覆されると、燃料電池電極の電気伝導度が著しく低下する。従って、疎水性分子の添加量は、20wt%以下が好ましい。疎水性分子の添加量は、さらに好ましくは、18wt%以下、さらに好ましくは、16wt%以下、さらに好ましくは、14wt%以下である。
[1.4. 耐フラッディング性]
本発明において、「過加湿下における限界電流密度(以下、単に「限界電流密度」ともいう)」とは、40℃、100%RH、20%O2、140kPa、20mV/sの条件下で分極曲線を測定した時の、0.2Vにおける電流密度をいう。
燃料電池電極の耐フラッディング性は、評価対象である電極を空気極に用いたMEAの限界電流密度で評価することができる。疎水性分子の担持量、導入箇所等を最適化すると、限界電流密度は、0.5Acm-2以上、0.7Acm-2以上、あるいは、0.8Acm-2以上となる。
[1.5. 他の成分]
本発明に係る燃料電池電極は、薄層貴金属が担持された担体と、疎水性分子のみからなるものでも良く、あるいは、これらに加えて他の成分が含まれていても良い。
例えば、本発明に係る燃料電池電極は、触媒層アイオノマをさらに備えていても良い。薄層貴金属を触媒に用いた電極の利点は、触媒層アイオノマ(プロトン伝導体)を用いなくても電極反応が進行する点にある。しかしながら、必要に応じて、電極に触媒層アイオノマを添加しても良い。
[2. 燃料電池電極の製造方法]
本発明に係る燃料電池電極は、
(a)担体の表面に薄層貴金属を担持し、
(b)薄層貴金属の表面に疎水性分子を担持する
ことにより製造することができる。
[2.1. 薄層貴金属担持工程]
まず、担体の表面に薄層貴金属を担持する(薄層貴金属担持工程)。薄層貴金属の担持方法は、特に限定されるものではなく、種々の方法を用いることができる。
薄層貴金属の担持方法としては、例えば、原子層堆積(ALD)法、化学気相蒸着(CVD)法、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、パルスレーザ堆積(PLD)法などがある。これらの中でも、担持方法は、ALD法が好ましい。ALD法を用いると、均一な厚さを有する薄層を担体表面の全面に均一に形成することができる。
[2.2. 疎水性分子担持工程]
次に、薄層貴金属の表面に疎水性分子を担持する(疎水性分子担持工程)。疎水性分子の担持方法は、特に限定されるものではなく、種々の方法を用いることができる。
疎水性分子の担持方法としては、例えば、
(a)薄層貴金属が担持された担体と、疎水性分子を溶媒に溶解させた溶液とを接触させ、溶媒を揮発させる方法(以下、「溶液法」ともいう)、
(b)薄層貴金属が担持された担体と、不溶性の疎水性分子を溶媒に分散させた分散液とを接触させ、溶媒を揮発させる方法(以下、「分散液法」ともいう)、
(c)担体が孤立した粒子又は繊維である場合において、薄層貴金属が担持された担体と疎水性分子とを混練し、シート状に成型する方法(以下、「混練法」ともいう)、
などがある。
これらの中でも、担持方法は、溶液法が好ましい。浸漬、散布、塗布等の方法を用いて、薄層貴金属が担持された担体と溶液とを接触させると、溶液の表面張力により、溶液は、担体の表面(すなわち、薄層貴金属の表面)が近接している部分に集まる。担体表面が近接している部分は、水の表面張力により水が滞留しやすい部分でもある。そのため、両者を接触させた後に溶媒を揮発させると、水が滞留しやすい部分に疎水性分子が優先的に析出する。
[3. 作用]
従来のPt/C電極を燃料電池に用いる場合、電極反応を進行させるためには、Pt表面にプロトンを輸送するための触媒層アイオノマを用いる必要がある。触媒層アイオノマは分子内に疎水部を持ち、かつ、カーボン担体は撥水的であるので、これらを用いた電極は本質的に高い撥水性を示す。また、このような従来型の電極においても過加湿下ではフラッディングを生じることがある。この場合、電極にさらに撥水材を添加することで、耐フラッディング性を改善することはできる。しかし、Pt/C電極は本質的に撥水性が高いので、その効果は相対的に小さい。
一方、薄層貴金属を備えた燃料電池電極は、触媒層アイオノマを用いなくても電極反応が進行するという利点がある。しかしながら、薄層貴金属を備えた燃料電池電極は、電極内部がより親水的であるために、触媒層アイオノマを含む従来のPt/C電極に比べてフラッディングが起きやすい。
これに対し、薄層貴金属を備えた燃料電池電極に対して疎水性分子を添加すると、耐フラッディング性が大きく向上する。特に、水が滞留しやすい部分に疎水性分子を優先的に担持させると、電極の耐フラッディング性が著しく向上する。これは、水が滞留しやすい部分に疎水性分子を優先的に担持させることによって、薄層貴金属の電子伝導性を損なうことなく、電極反応により生成した水が電極外に容易に排出されるためと考えられる。
(実施例1)
[1. 試料の作製]
[1.1. 薄層白金電極の作製]
エレクトロスピニング法(特開2010−185164号公報参照)により、SiO2ナノファイバー(NF)不織布を作製した。SiO2NFの平均繊維径は200nm、不織布の厚さは6μmであった。この不織布のファイバー表面に、原子層堆積(ALD)法により薄層白金を形成し、Pt/SiO2NF電極を得た。
ALDの条件は、以下の通りである。すなわち、白金前駆体としてトリメチルメチルシクロペンタジエニル白金(以下、「白金錯体」という)、キャリアガスとしてアルゴンを用いて、SiO2NF不織布を入れたガラス管を150℃に保持し、次の(a)〜(d)の工程を30回繰り返した。
(a)白金錯体蒸気を含むアルゴンガスをガラス管内に導入(50ccm、15分)
(b)ガラス管内をアルゴンガスでパージ(200ccm、3分)
(c)水素ガスをガラス管内に導入(100ccm、5分)
(d)ガラス管内をアルゴンガスでパージ(200ccm、5分)
[1.2. テフロン(登録商標)AFの添加]
テフロン(登録商標)AF(AF2400、三井・デュポンフロロケミカル、poly[4,5-difluoro-2,2-bis(trifluoromethyl)-1,3-dioxole-co-tetrafluoroethylene])をフッ素系溶媒で0.05〜0.2wt%に希釈した。この希釈溶液にPt/SiO2NF電極を浸漬後、引き上げて100℃で3時間乾燥した。
図1に、テフロン(登録商標)AF(以下、単に「疎水性分子」ともいう)添加後のPt/SiO2NF電極のSEM像を示す。重量変化から求めた疎水性分子の添加量は、6〜19wt%であった。また、溶液中の疎水性分子の濃度が高くなるほど、添加量が多くなった。
[2. 試験方法]
疎水性分子を添加したPt/SiO2NF電極を空気極に、Pt/C電極を燃料極に用いた膜電極接合体(MEA)を作製した。電極面積は、1cm2とした。この小型セルを用いて、限界電流密度及び酸素移動抵抗の評価を行った。
[3. 結果]
図2に、80℃、100%RHにおける分極曲線を示す。この条件下ではフラッディングの影響は見られず、疎水性分子添加の有無にかかわらず発電性能はほぼ同等であった。
図3に、40℃、100%RHにおける分極曲線を示す。この条件下では、疎水性分子未添加品では電極内フラッディングの影響で電流が引けていない。他方、疎水性分子添加品ではフラッディングが抑制され、限界電流密度が大きくなっている。
図4に、Pt/SiO2NF電極へのテフロン(登録商標)AF添加量と、40℃、100%RHにおける分極曲線の限界電流密度、及び80℃、70%RHにおける酸素移動抵抗との関係を示す。限界電流密度は、疎水性分子の添加量が多いほど、大きい。
他方、酸素移動抵抗については、疎水性分子の添加量が13wt%以下では未添加品と同等である。しかし、添加量が19wt%のものは、酸素移動抵抗が未添加品より1.5倍程度大きい。
以上より、Pt/SiO2NF電極への疎水性分子の添加量は、13wt%程度が望ましいと考えられる。
図1より、電極表面全体が疎水性分子で被覆されているわけではないように見える。ファイバー同士の接点のような、生成水が溜まりやすいところに疎水性分子が存在することで、電極の撥水性が高まり、耐フラッディング性が向上したものと推測される。
(実施例2)
[1. 試料の作製]
PTFE微粒子(microdisperse-200、Polysciences製、粒径:200〜300nm)0.4gに、エタノール7.6g、及び分散剤として5wt%ナフィオン(登録商標)溶液(Sigma-Aldrich製)0.4を加え、超音波バスで30分超音波を照射し、分散液を調製した。この分散液にPt/SiO2NF不織布を浸漬し、引き上げた後、100℃で2時間乾燥させた。
[2. 試験方法及び結果]
図5に、PTFE微粒子を担持したPt/SiO2NF電極の断面SEM像を示す。図5に示すように、不織布表面だけでなく、内部でもPTFE微粒子がファイバー表面に担持されていることが確認された。
このPTFE微粒子を担持したPt/SiO2NF電極について、実施例1と同様にしてセル評価を行った。図6に、40℃、100%RHにおける分極曲線を示す。限界電流密度は未添加品より増大し、耐フラッディング性に多少の改善がみられた。しかし、テフロン(登録商標)AF添加品(実施例1)と比べると、その効果は小さい。
(比較例1)
[1. 試料の作製]
カーボン担体に微粒子触媒を担持した従来型の電極触媒について、フッ素系高分子を添加した例を以下に示す。
PtFe/C(Pt:39.2wt%、Fe:2.1wt%、カーボン材:Printex XE2B)、及びナフィオン(登録商標)からなる触媒層、並びに、これに溶液型フッ素樹脂(INT スクリーン製、INT-304S-FA)を1〜3wt%添加した触媒層を作製した。これを空気極として用いてMEAを作製した。
[2. 試験方法及び結果]
図7に、セル温度:80℃、空気極のバブラー温度:85℃の過加湿下条件における分極曲線を示す。電極にフッ素系樹脂を1wt%又は3wt%添加したセルは、未添加のものと比べて性能の違いはほとんど見られない。他方、電極にフッ素系樹脂を2wt%添加したセルは、高電流密度域において未添加品よりセル電圧が上昇しており、電極内フラッディングの抑制に一定の効果が認められる。しかし、フラッディング抑制による発電性能改善の度合いは、薄層白金電極の場合のそれより小さい。
(実施例3)
[1. 試料の作製]
PBI(ポリベンゾイミダゾール)ナノファイバー(NF)を担体として用いた例を以下に示す。
エレクトロスピニング法により、PBIナノファイバー不織布を作製した。PBIナノファイバーの平均繊維径は250nm、不織布の厚さは3μmであった。この不織布のファイバー表面に、ALD法により薄層白金を形成し、Pt/PBINF電極を得た。
以下、実施例1と同様にして、電極にテフロン(登録商標)AFを添加した。さらに、得られた電極を用いてセルを作製した。
[2. 試験方法及び結果]
図8に、40℃、100%RHにおけるPt/PBINF電極の分極曲線を示す。疎水性分子未添加の電極では、Pt/SiO2NF電極と同様に、顕著な電極内フラッディングが生じた。限界電流密度は、0.13A/cm-2であった。
他方、疎水性分子を添加した電極では、限界電流密度が0.55A/cm-2と未添加品より大きくなり、電極内フラッディングが抑制された。
以上より、PBIナノファイバーを担体として用いた場合も、疎水性分子を導入することによりフラッディング抑制効果があることが確認された。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。
本発明に係る燃料電池電極は、固体高分子形燃料電池の電極(特に、空気極)に用いることができる。

Claims (9)

  1. 以下の構成を備えた燃料電池電極。
    (1)前記燃料電池電極は、
    担体と、
    前記担体の表面に担持された薄層貴金属と、
    前記薄層貴金属表面に担持された疎水性分子と、
    を備えている。
    (2)前記担体は、無機絶縁体ナノファイバーからなる。
  2. 前記疎水性分子は、水が滞留しやすい部分に優先的に担持されている請求項1に記載の燃料電池電極。
  3. 前記薄層貴金属が担持された前記担体と、前記疎水性分子を溶媒に溶解させた溶液とを接触させ、前記溶媒を揮発させることにより得られる請求項1又は2に記載の燃料電池電極。
  4. 前記担体は、SiO2ナノファイバーである請求項1から3までのいずれか1項に記載の燃料電池電極。
  5. 前記薄層貴金属は、
    (a)白金、又は、
    (b)パラジウム、ニッケル、コバルト、ロジウム、イリジウム、鉄、マンガン、及びジルコニウムからなる群から選ばれるいずれか1以上の合金元素を含む白金合金
    からなる請求項1から4までのいずれか1項に記載の燃料電池電極
  6. 前記薄層貴金属の厚さは、10nm以下である請求項1から5までのいずれか1項に記載の燃料電池電極。
  7. 前記疎水性分子は、非晶性フッ素樹脂である請求項1から6までのいずれか1項に記載の燃料電池電極。
  8. 前記疎水性分子は、テフロン(登録商標)AF(ポリ[4,5−ジフルオロ2,2−ビス(トリフルオロメチル)−1,3−ジオキソール−コ−テトラフルオロエチレン])である請求項1から7までのいずれか1項に記載の燃料電池電極。
  9. 40℃、100%RH、20%O2、140kPa、20mV/sの条件下で分極曲線を測定した時の、0.2Vにおける電流密度が0.5Acm-2以上である請求項1から8までのいずれか1項に記載の燃料電池電極。
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