JP6524180B2 - 包装材料 - Google Patents

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本発明は、撥水性表面を有する樹脂成形品の製造方法に関する。
従来より多種多様の容器が知られているが、その内容物も多岐にわたる。例えば、ゼリー菓子、プリン、ヨーグルト、液体洗剤、練り歯磨き、カレールー、シロップ、ワセリン、洗顔クリーム、洗顔ムース等のように、食品、飲料品、医薬品、化粧品、化学品等がある。また、内容物の性状も固体、半固体、液体、粘性体、ゲル状物等のように様々なものがある。
これらの内容物を収容するための容器においては、保存性が要求されるほかに、内容物、収容形態、用途等に応じて熱接着性、遮光性、耐熱性、耐久性等が要求される。ところが、これらの特性を満たしている容器であっても、次のような問題がある。すなわち、内容物が容器に付着するという問題である。内容物が容器に付着すれば、内容物をすべて使い切ることが困難になり、それだけ無駄が生じることになる。また、内容物をすべて使い切るためには容器に付着した内容物を別途に回収しなければならず、手間がかかる。このため、容器では、上記のような保存性等のほか、内容物が容器に付着しにくい性質(非付着性)を備えていることが必要である。
これに対し、先に、本発明者らは非付着性容器を開発し、特許出願している(特許文献1)。この容器は、容器内壁に疎水性酸化物微粒子が付着してあり、内容物非付着性(主に撥水性)を付与している。この非付着性は疎水性酸化物微粒子が付着している限り持続し、付着させる容器内壁の表面粗度(粗さ)を所定の範囲に調整することにより、非付着性をさらに持続させることができる。
特開2010−254377
しかしながら、従来の非付着性容器においては、次のような事情より、耐摩耗性をさらに改良する必要がある。一般に、加工食品では、レトルト処理、ボイル処理等が行われるが、内容物の流動、対流又は内圧の上昇により、容器内壁には強いストレスがかかるため、上記の疎水性酸化物微粒子が剥離するおそれがある。また、容器外面側においてもハンドリング機器、勘合蓋又はスクリューキャップとの接触により強いストレスがかかり、やはり疎水性酸化物微粒子が剥離するおそれがある。この点において、特許文献1等に開示されている技術では疎水性酸化物微粒子の密着性の向上には限界がある。このため、レトルト処理又はボイル処理に対する実用的な耐久性、さらには勘合蓋、キャップ等との接触に耐えられる耐摩耗性を有する樹脂成形品の開発が切望されている。
従って、本発明の主な目的は、優れた撥水性とともに高い耐摩耗性(密着性)を兼ね備えた樹脂成形品の製造方法を提供することにある。
本発明者は、従来技術の問題点に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、特定の方法を採用することにより上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記の撥水性表面を有する樹脂成形品の製造方法に係る。
1. 撥水性表面を有する樹脂成形品を製造する方法であって、
(1)加熱下で軟化した樹脂の表面に疎水性酸化物微粒子を付与して当該樹脂に前記疎水性酸化物微粒子の凝集体の一部を樹脂に埋没させる工程、
(2)前記樹脂を冷却固化することによって前記疎水性酸化物微粒子を樹脂表面に固定する工程
を含み、かつ、
前記樹脂が押出成形で得られたフィルム状樹脂であり、樹脂成形品が押出樹脂成形品であって、
前記樹脂がポリプロピレンである、
ことを特徴とする樹脂成形品の製造方法。
2. 前記(1)の工程が、加熱下で軟化した樹脂の表面に対し、疎水性酸化物微粒子が溶媒に分散してなる分散液を塗工することにより、前記疎水性酸化物微粒子を前記樹脂の表面に付与する工程である、前記項1に記載の製造方法。
3. 疎水性酸化物微粒子の一次粒子平均径が3〜100nmである、前記項1に記載の製造方法。
4. 疎水性酸化物微粒子の付与量が0.1〜100g/m である、前記項1に記載の製造方法。
5. 加熱下で軟化した樹脂の表面に充填粒子をさらに付与する、前記項1に記載の製造方法。
6. 充填粒子の平均粒子径が0.5〜100μmである、前記項5に記載の製造方法。
本発明によれば、加熱下で軟化した樹脂表面に疎水性酸化物微粒子を付与した後に冷却固化させるので、疎水性酸化物微粒子を効果的に樹脂表面に固定できる結果、優れた撥水性とともに高い耐摩耗性(密着性)を兼ね備えた樹脂成形品を製造することが可能となる。特に、疎水性酸化物微粒子を付与する工程として、a)疎水性酸化物微粒子を金型内の表面に予め付与する工程(特に疎水性酸化物微粒子が溶媒に分散してなる分散液を金型内の表面に予め塗工する工程)及びb)加熱下で軟化した樹脂を前記金型内に充填する工程を採用する場合には、疎水性酸化物微粒子が軟化した樹脂に部分的に埋め込まれるので、より高い耐摩耗性を発揮することができる。
本発明の製造方法によって得られた樹脂成形品は、例えば飲料容器(ボトル)、容器用のキャップ、チューブ容器、食料品容器、食器類、化粧品容器、洗剤容器、薬品容器、塗料容器等に幅広く利用することができる。特に、少なくともキャップと接触する部分を撥水性表面とする飲料容器等の製造に好適である。
本発明の製造方法を模式的に示した概略図である。 本発明の製造方法を模式的に示した概略図である。 実施例5で得られたサンプルにおける表面観察結果を示す。
本発明の樹脂成形品の製造方法は、撥水性表面を有する樹脂成形品を製造する方法であって、
(1)加熱下で軟化した樹脂の表面に疎水性酸化物微粒子を付与する工程(以下「被覆工程」という。)、
(2)前記樹脂を冷却固化することによって前記疎水性酸化物微粒子を樹脂表面に固定する工程(以下「固定化工程」という。)
を含むことを特徴とする。
被覆工程
被覆工程では、加熱下で軟化した樹脂の表面に疎水性酸化物微粒子を付与する。軟化の程度は特に限定されず、例えば成形方法、樹脂の種類等に応じて溶融状態、半溶融状態等のものを適宜使用することができる。特に、a)結晶性樹脂の場合はその融点以上に加熱された樹脂及びb)非結晶性樹脂の場合はそのガラス転移点以上に加熱された樹脂であることが好ましい。
樹脂の種類は特に限定されず、公知の熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂を利用することができる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ABS樹脂、AS樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、エチレン−プロピレンコポリマー、AES樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリアセタール、ポリフェニレンエーテル、ポリメチルペンテン、ポリフェニレンスルフィド、ポリブタジエン、ポリエーテルサルホン、ポリスルホン等、又はこれら樹脂の共重合物、混合物、変性物等が挙げられる。これら樹脂は、1種又は2種以上を混合して用いることができる。
疎水性酸化物微粒子としては、疎水性を有するものであれば特に限定されず、表面処理により疎水化されたものであっても良い。例えば、親水性酸化物微粒子をシランカップリング剤等で表面処理を施し、表面状態を疎水性とした微粒子を用いることもできる。酸化物の種類も、疎水性を有するものであれば限定されない。例えばシリカ(二酸化ケイ素)、アルミナ、チタニア等の少なくとも1種を用いることができる。これらは公知又は市販のものを採用することができる。例えば、シリカとしては、製品名「AEROSIL R972」、「AEROSIL R972V」、「AEROSIL R972CF」、「AEROSIL R974」、「AEROSIL RX200」、「AEROSIL RX300」、「AEROSIL NX90G」、「AEROSIL RY200」(以上、日本アエロジル株式会社製)、「AEROSIL R202」、「AEROSIL R805」、「AEROSIL R812」、「AEROSIL R812S」、(以上、エボニック デグサ社製)、「サイロホービック−100」、「サイロホービック−200」、「サイロホービック−603」(以上、富士シリシア化学社製)等が挙げられる。チタニアとしては、製品名「AEROXIDE TiO T805」(エボニック デグサ社製)等が例示できる。アルミナとしては、製品名「AEROXIDE Alu C」(エボニック デグサ社製)等をシランカップリング剤で処理して粒子表面を疎水性とした微粒子が例示できる。
この中でも、疎水性シリカ微粒子を好適に用いることができる。とりわけ、より優れた撥水性が得られるという点において、表面にトリメチルシリル基を有する疎水性シリカ微粒子が好ましい。これに対応する市販品としては、例えば前記「AEROSIL RX200」、「AEROSIL RX300」、「AEROSIL NX90G」(以上、日本アエロジル株式会社製)、「AEROSIL R812」、「AEROSIL R812S」、「AEROSIL R8200」(以上、エボニック デグサ社製)等が挙げられる。
疎水性酸化物微粒子の粒度は限定的ではないが、一次粒子平均径が3nm〜10μmであることが好ましく、より好ましくは3〜100nmであり、最も好ましくは5〜50nmである。一次粒子平均径を上記範囲とすることにより、その凝集体中にある空隙に空気等の気体を保持することができる結果、優れた撥水性を得ることができる。この凝集状態は、樹脂成形品表面に付着した後も維持されるので、優れた撥水性を発揮することができる。特に、一次粒子平均径が3〜100nmの疎水性酸化物微粒子を用いることにより、三次元網目状構造の撥水性表面を有する樹脂成形品を得ることができる。樹脂成形品の表面に形成される疎水性酸化物微粒子層は、三次元網目状構造を有する多孔質状であるのが好ましく、その厚みは0.1〜500μm程度が好ましく、3〜20μm程度がさらに好ましい。このようなポーラスな状態で形成することにより、当該層に空気を多く含むことができ、より優れた撥水性を発揮することができる。
なお、本発明において、一次粒子平均径の測定は、走査型電子顕微鏡(FE−SEM)で実施することができ、走査型電子顕微鏡の分解能が低い場合には透過型電子顕微鏡等の他の電子顕微鏡を併用して実施しても良い。具体的には、粒子形状が球状の場合はその直径、非球状の場合はその最長径と最短径との平均値を直径とみなし、走査型電子顕微鏡等による観察により任意に選んだ20個分の粒子の直径の平均を一次粒子平均径とする。
疎水性酸化物微粒子の比表面積(BET法)は特に制限されないが、通常50〜300m/gが好ましく、100〜300m/gがさらに好ましい。
疎水性酸化物微粒子を付与する方法は特に制限されない。従って、例えば1)直接付与又は転写付与、2)乾式方法又は湿式方法、3)付与する順序等についての限定はない。
前記1)については、例えば印刷方法(インクジェット印刷等)、滴下法等の直接付与する方法のほか、例えばニップロール、テンションロール、冷却ロール、タッチロール等を利用する転写方法のいずれも採用することができる。
前記2)については、疎水性酸化物微粒子をそのまま付与しても良いし(乾式方法)、あるいは疎水性酸化物微粒子を溶媒に分散してなる分散液を樹脂表面に塗工することにより付与しても良い(湿式方法)。本発明では、工業的に均一な塗膜(疎水性酸化物微粒子層)が得られやすく、しかも三次元網目状構造が得られやすいという見地より、後者の湿式方法が好ましい。
前記の分散液を用いる場合、分散液に用いる溶媒は、例えばアルコール(エタノール)、シクロヘキサン、トルエン、アセトン、IPA、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ブチルジグリコール、ペンタメチレングリコール、ノルマルペンタン、ノルマルヘキサン、ヘキシルアルコール等の有機溶剤を適宜選択することができる。この際、微量の分散剤、着色剤、沈降防止剤、粘度調整剤等を併用することもできる。溶媒に対する疎水性酸化物微粒子の分散量は通常10〜300g/L(リットル)程度、好ましくは30〜100g/L程度とすれば良い。
また、分散液を塗工する方法も制限されず、例えばスプレー、刷毛、ローラー、浸漬等による塗布方法のほか、印刷方法(インクジェット印刷、スクリーン印刷)、滴下法等も採用することができる。
疎水性酸化物微粒子を樹脂表面に付与する場合の付与量は、通常は所望の撥水性等に応じて適宜設定することができるが、固形分基準で例えば0.1〜100g/ 程度、好ましくは1.0〜20.0g/ 程度とすれば良い。上記範囲内に設定することによって、より優れた撥水性が長期にわたって得ることができる上、疎水性酸化物微粒子の脱落抑制、コスト等の点でもいっそう有利となる。
前記3)の疎水性酸化物微粒子を付与する順序としては、A)成形工程の後、B)成形工程と同時又はC)成形工程の前のいずれであっても良い。特に、本発明では、A)成形工程の後又はB)成形工程と同時であることが好ましい。
前記A)の方法としては、例えば成形後の軟化状態にある樹脂の表面に疎水性酸化物微粒子を付与すれば良い。例えば、図1に示すように、成形直後の軟化状態にある樹脂11を成形装置より取り出し(1a)、その樹脂11の表面に疎水性酸化物微粒子12を付与すれば良い(1b)。この場合、より高い耐摩耗性を付与すべく、疎水性酸化物微粒子を部分的に樹脂に埋め込むことを目的として、樹脂表面を加圧する工程(表面加圧工程)を行っても良い。その後、冷却固化された樹脂13の表面に疎水性酸化物微粒子12が固定された樹脂成形品10を得ることができる(1c)。
前記B)の方法としては、例えばa)疎水性酸化物微粒子を金型内の表面に予め付与する工程及びb)加熱下で軟化した樹脂を前記金型内に充填することにより、前記疎水性酸化物微粒子を前記樹脂の表面に付与する工程を採用することができる。例えば、図2に示すように、成型金型21を用意し(2a)、成型金型の内面の一部又は全部に疎水性酸化物微粒子12を付与した(2b)後、加熱により軟化した樹脂11を充填することにより樹脂11の表面に疎水性酸化物微粒子12を接触させる(2c)。その後、冷却固化された樹脂13の表面に疎水性酸化物微粒子12が固定された樹脂成形品10を得ることができる(2d)。すなわち、図2の方法では、成形時において金型表面の疎水性酸化物微粒子が樹脂表面に転写されることによって撥水性表面を有する樹脂成形品10を製造することができる。特に、前記B)の方法では、金型内における軟化した樹脂の圧力により疎水性酸化物微粒子が樹脂成形品の表面に部分的に埋まる状態になる結果、前記A)のような表面加圧工程を実施しなくても、より高い耐摩耗性を発揮することができる。
金型に疎水性酸化物微粒子を付与するに際しても、前記のような分散液及び塗工方法を採用することができる。この場合、塗工後の乾燥は必ずしも必須ではないが、80〜110℃前後で乾燥するのが好ましい。もっとも、金型の温度がある程度高温である場合は塗布後に直ぐ乾燥するので、必ずしも乾燥工程を実施する必要はない。乾燥後の付着量は0.1〜100g/m程度、好ましくは1.0〜20.0g/m程度とすれば良い。上記範囲内に設定することによって、より優れた撥水性が長期にわたって得ることができる上、疎水性酸化物微粒子の脱落抑制、コスト等の点でもいっそう有利となる。
前記A)〜C)の樹脂を成形する方法自体は限定されず、公知の成形方法をいずれも採用することができる。例えば、射出成型法、押出成形法、ブロー成形法、カレンダー成形法、インフレーション成形法、トランスファー成型法、真空成形法、圧空成形法、真空圧空成形法、圧縮成型法、Tダイ押出成形法等が適用できる。この中でも、射出成型法、ブロー成形法、圧縮成型法、圧空成形法、トランスファー成型法等のように主に金型内で形状を付与させる方法においては、前記B)の方法を好適に採用することができる。
特に、ブロー成形において、加熱により軟化した樹脂をパリソン(パイプ状物)とし、内面に疎水性酸化物微粒子を付与した金型内にパリソンを導入し、パリソンをブロー工程に供することによって、撥水性表面を有する中空成形品(容器等)を好適に製造することができる。このような中空成形品においては、必要に応じて中空内部の表面(内面)に対しても、必要に応じて疎水性酸化物微粒子を付与することもできる。この場合も、前記のような乾式方法又は湿式方法のいずれも採用することができる。
また、必要に応じて、本発明では、加熱下で軟化した樹脂表面に充填粒子を付与することもできる。樹脂成形品の表面に充填粒子を付与することにより、より優れた耐摩耗性等を樹脂成形品に付与することができる。充填粒子としては、有機成分及び無機成分の少なくとも1種を含む充填粒子を採用することができる。無機成分としては、例えば1)アルミニウム、銅、鉄、チタン、銀等の金属又はこれらを含む合金、2)酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化鉄等の酸化物、3)ガラス、4)窒化アルミニウム、窒化硼素、炭化珪素、窒化珪素等のセラミック等を好適に用いることができる。
有機成分としては、例えばアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、ポリアクリロニトリル、ポリアミド等の有機高分子成分(又は樹脂成分)を好適に用いることができる。
本発明の充填粒子は、無機成分からなる粒子あるいは有機成分からなる粒子のほか、無機成分及び有機成分の両者を含む粒子を用いることができる。この中でも特に、アクリル系樹脂からなる粒子、シリカ粒子、リン酸カルシウム粒子、炭粉、焼成カルシウム粒子、未焼成カルシウム粒子、ステアリン酸カルシウム粒子等を用いることがより好ましい。
充填粒子の平均粒子径(レーザー回折式粒度分布計による)は0.5〜100μm程度が好ましく、1〜50μmがさらに好ましく、5〜30μmがなおさらに好ましい。0.5μm未満では取扱い性、耐摩耗性改善の点で不向きである。他方、100μmを超える場合は、充填粒子の脱落、分散性等の点で不向きである。
充填粒子の形状は限定的でなく、例えば球状、回転楕円体状、不定形状、涙滴状、扁平状、中空状、多孔質状等のいずれであっても良い。
充填粒子を付与する場合、その付与量は、用いる充填粒子の種類、所望の特性等に応じて適宜設定することができるが、通常は0.5〜200g/mとし、好ましくは1.0〜30g/mとすれば良い。
充填粒子を付与する順序は限定的でなく、例えば加熱下で軟化した樹脂に疎水性酸化物微粒子を付与する際に同時に充填粒子を前記樹脂に付与する方法のほか、疎水性酸化物微粒子を前記樹脂に付与する前及び/又は付与する後のいずれの段階であっても良い。本発明では、疎水性酸化物微粒子と同時に付与することが生産効率上好ましい。同時に付与する場合は、前記の分散液に充填粒子も分散させれば良い。この場合の分散液中における充填粒子の含有量は、固形分重量基準で1〜80重量%程度が好ましく、3〜50重量%程度がより好ましい。
固定化工程
固定化工程では、前記樹脂を冷却固化することによって前記疎水性酸化物微粒子を樹脂表面に固定する。軟化した状態の樹脂の表面に疎水性酸化物微粒子が付着しているが、樹脂が冷却固化することによって疎水性酸化物微粒子が樹脂表面に固定される。この場合の冷却方法は特に限定されず、自然冷却又は強制冷却のいずれであっても良い。このようにして、撥水性表面を有する樹脂成形品を得ることができる。
なお、本発明では、必要に応じて、固定化工程に先立って、疎水性酸化物微粒子を部分的に樹脂に埋め込むために表面加圧工程を実施することもできる。これによって、疎水性酸化物微粒子の脱落等をより効果的に抑制することができる。すなわち、より高い耐摩耗性を付与することができる。
以下に実施例及び比較例を示し、本発明の特徴をより具体的に説明する。ただし、本発明の範囲は、実施例に限定されない。
実施例1〜6及び比較例1〜6
表1〜3に示すように、疎水性酸化物微粒子を付着させた樹脂成形品のサンプルをそれぞれ作製した。具体的には下記のようにして各サンプルを作製した。
(1)疎水性酸化物微粒子の分散液の作製
疎水性酸化物微粒子(製品名「AEROSIL R812S」エボニック デグザ社製、BET比表面積:220m/g、一次粒子平均径:7nm)5gをエタノール100mLに分散させてコート液を調製した。
(2)撥水性表面を有する樹脂成形品の製造
・射出成型タイプ
日清樹脂工業(株)社製(FE80S12AES)射出成型機を用いて、ポリプロピレン(PP)樹脂(製品名「プライムポリプロJ105G」(株)、プライムポリマー社製)及びポリエチレン(PE)樹脂(製品名「EVOLUE(C6−LLDPE)SP−2540」、(株)プライムポリマー社製)の射出成型品をそれぞれ製造し、それぞれ「比較例1」及び「比較例2」とした。射出成型の条件としては、射出温度:180〜210℃、金型:平板成型(縦80mm×横50mm×奥行き(厚さ)3mm)、金型温度:50〜70℃として製造した。この場合、前記金型に対し、前記(1)で調製したコート液を予め塗工し、前記と同様にして射出成型品を作製した。塗工方法としては、液滴散布法及び刷毛による直接塗工方法を採用した。作製したサンプルは、それぞれ「実施例1」及び「実施例2」とした。
・ブロー成型タイプ
市販のブロー成型機を用いて、ポリプロピレン(PP)樹脂(製品名「PM921M」、サンアロマー社製)のブロー成型品(容器状)を製造した。ブロー成型の条件としては、射出温度: ポリプロピレン樹脂(180〜210℃)、金型:容器成型(縦110mm×横52mm×奥行き(厚さ)1.5mm)、金型温度: 20〜25℃として製造した。この場合、前記金型に対し、前記(1)で調製したコート液を予め塗工した。塗工方法としては、液滴散布法及び刷毛による直接塗工方法を採用した。作製したサンプルを「実施例3」とした。この製造工程において、金型にコート液を付与しない状態のほかは、前記と同様の条件で得られたサンプルを「比較例3」とした。
・Tダイ押出成形タイプ
MODERN MACHINERY YOKOHAMA社製(AUXILIARY EQUIPMENT TYPE L−300)Tダイ押出成型機を用いて、ポリプロピレン(PP)樹脂(製品名「ノーブレンFL6412」住友化学社製)及びポリエチレン(PE)樹脂(製品名「スミカセン」住友化学社製)の押出成型品(フィルム状)を製造し、それぞれ「比較例4」及び「比較例5」とした。なお、押出成型の条件としては、押出温度:ポリプロピレン樹脂・ポリエチレン樹脂(280〜290℃)として製造した。この場合において、前記(1)で調製したコート液を押出された直後のフィルムに塗工した。塗工方法としては、液滴散布法をそれぞれ採用した。作製したサンプルをそれぞれ「実施例4」及び「実施例5」とした。
(3)疎水性酸化物微粒子の観察
実施例の成形品において、表面における疎水性酸化物微粒子の観察を、走査型電子顕微鏡により観察した。その一例として、実施例4における表面観察結果を図3に示す。これより、前記(1)で作製したコート剤(疎水性酸化物微粒子)が、樹脂表面に比較的均一に分散している様子が確認された。成型直後の半溶融状態に塗工を実施することによって、疎水性酸化物微粒子の凝集体の一部が樹脂に埋没する形態となり、強固な撥水皮膜を実現していると考えられる。
試験例1(撥水性)
各実施例及び比較例で得られたサンプルについて酸化物微粒子付着面を試験面とし、純水及びグリセリンを滴下して、撥水性を調べた。その結果を表1〜表3に示す。この場合の撥水性の評価基準は、以下のように設定した。
◎:玉になって弾く。
○:完全な玉にはならないが、弾く。
△:一部弾く。
×:全く弾かない。
試験例2(接触角)
各実施例及び比較例で得られた各サンプルの酸化物微粒子付着面を試験面とし、接触角測定装置(固液界面解析装置「Drop Master300」協和界面科学株式会社製)を用いて純水(約2μl)の接触角を測定した。その結果を表1〜表3に示す。実施例については全て140°以上(表中の表記は○)を示した。比較例については全て50°以下(表中の表記は×)を示した。
試験例3(耐摩耗性)
各実施例及び比較例で得られた各サンプルの酸化物微粒子付着箇所を試験面とし、合成紙(製品名「キムワイプ」日本製紙クレシア社製)を用いて手指により表面を5回強く摩耗した。その後、表面の撥水状態を純水及びグリセリンを滴下して、撥水性を調べた。撥水性を維持したサンプルを「○」、撥水性が低下したサンプルを「×」とした。その結果を表1〜表3に示す。
これらの結果からも明らかなように、予め金型に疎水性酸化物微粒子を分散させた分散液を塗工することにより、成形品の表面に疎水性酸化物微粒子を転写することによって成形後の樹脂に優れた撥水性及び耐摩耗性を付与できることがわかる。また、閉鎖金型を使用しない押出成形においても、半溶融状態の樹脂に分散液を塗布することにより、撥水性及び耐摩耗性を付与できることがわかる。

Claims (6)

  1. 撥水性表面を有する樹脂成形品を製造する方法であって、
    (1)加熱下で軟化した樹脂の表面に疎水性酸化物微粒子を付与して当該樹脂に前記疎水性酸化物微粒子の凝集体の一部を樹脂に埋没させる工程、
    (2)前記樹脂を冷却固化することによって前記疎水性酸化物微粒子を樹脂表面に固定する工程
    を含み、かつ、
    前記樹脂が押出成形で得られたフィルム状樹脂であり、樹脂成形品が押出樹脂成形品であって、
    前記樹脂がポリプロピレンである、
    ことを特徴とする樹脂成形品の製造方法。
  2. 前記(1)の工程が、加熱下で軟化した樹脂の表面に対し、疎水性酸化物微粒子が溶媒に分散してなる分散液を塗工することにより、前記疎水性酸化物微粒子を前記樹脂の表面に付与する工程である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 疎水性酸化物微粒子の一次粒子平均径が3〜100nmである、請求項1に記載の製造方法。
  4. 疎水性酸化物微粒子の付与量が0.1〜100g/m である、請求項1に記載の製造方法。
  5. 加熱下で軟化した樹脂の表面に充填粒子をさらに付与する、請求項1に記載の製造方法。
  6. 充填粒子の平均粒子径が0.5〜100μmである、請求項5に記載の製造方法。
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