JP6523389B2 - 粉体急結剤、セメント組成物、吹付コンクリート組成物、鉱山トンネル構造体 - Google Patents

粉体急結剤、セメント組成物、吹付コンクリート組成物、鉱山トンネル構造体 Download PDF

Info

Publication number
JP6523389B2
JP6523389B2 JP2017168993A JP2017168993A JP6523389B2 JP 6523389 B2 JP6523389 B2 JP 6523389B2 JP 2017168993 A JP2017168993 A JP 2017168993A JP 2017168993 A JP2017168993 A JP 2017168993A JP 6523389 B2 JP6523389 B2 JP 6523389B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
powder
mass
cement
quick
composition
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017168993A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2019043812A (ja
Inventor
岩崎 昌浩
昌浩 岩崎
貴光 室川
貴光 室川
三島 俊一
俊一 三島
宮口 克一
克一 宮口
盛岡 実
実 盛岡
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Denka Co Ltd
Original Assignee
Denka Co Ltd
Denki Kagaku Kogyo KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Denka Co Ltd, Denki Kagaku Kogyo KK filed Critical Denka Co Ltd
Priority to JP2017168993A priority Critical patent/JP6523389B2/ja
Publication of JP2019043812A publication Critical patent/JP2019043812A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6523389B2 publication Critical patent/JP6523389B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Lining And Supports For Tunnels (AREA)
  • Curing Cements, Concrete, And Artificial Stone (AREA)

Description

本発明は、粉体急結剤、セメント組成物、吹付コンクリート組成物、鉱山トンネル構造体に関する。
鉱山トンネル用の急結剤としては、従来、使いやすさの観点から液体系急結剤が用いられてきた(例えば、特許文献1〜3参照)。
特許文献1に記載の液体系急結剤は、亜硝酸カルシウム及び硝酸カルシウム等を含有しており、特許文献2に記載の液体系急結剤は、急結性アルカリ金属無機塩を含有しており、特許文献3に記載の液体系急結剤は、特定量の冷水可溶分を有するデキストリン等を含有している。
特開昭50−080315号公報 特公平07−012963号公報 特公昭57−000261号公報
しかしながら、液体系急結剤は、鉱山に含まれる金属、例えば、銅、鉄、亜鉛、ニッケル、モリブデン、タングステンの溶解を助長し、吹付コンクリートと地山の界面の付着強度の発現性を阻害するという課題があった。これは、前述の金属がセメントの水和遅延成分として作用し、セメントや急結剤の水和反応を遅延し、その結果、強度発現性が阻害されるものと考えられる。吹付コンクリートと地山の界面の付着強度の発現性が阻害されると、吹き付けたコンクリートが崩落して、人的な災害につながる。そのため、当該付着強度の発現性は、鉱山労働者の安全確保の観点から、また、鉱物掘削業務の効率化の観点から極めて重要である。さらに、液体系急結剤は急結性が十分でなく、要求性能を満たすためには、単位セメント量を増やさなければならず、それに付随して単位水量も増え、その結果、吹付コンクリートの収縮が大きくなるという課題もあった。吹付コンクリートの収縮が大きくなると、それは、ひび割れとなって現れ、シングルシェル構造で形成される鉱山トンネル構造体としての安全性や信頼性を損なう。加えて、液体系急結剤は酸性であるため、鉱山に含まれる硫化物を酸化し、酸性鉱山廃液を発生させ、この廃液量の増大を招く懸念があった。
以上から、本発明は、鉱山トンネルの吹付け材として使用した際に高い付着強度を示し、付着後は収縮が小さく剥落しにくいセメント組成物や吹付コンクリート組成物とすることができる粉体急結剤を提供することを目的とする。
本発明者等は上記課題を解決すべく検討を行ったところ、下記本発明により当該課題が解決できることを見出した。すなわち、本発明は下記のとおりである。
[1] カルシウムアルミネート系粉体と、硫酸カルシウム系粉体と、酸性の硫酸アルミニウム系粉体とを含有してなる粉体急結剤であって、
前記粉体急結剤100質量部に水100質量部を添加してスラリーとした際のpHが、11.0以上である粉体急結剤。
[2] 前記酸性の硫酸アルミニウム系粉体の平均粒径が75〜600μmである[1]に記載の粉体急結剤。
[3] 前記酸性の硫酸アルミニウム系粉体の含有量が5〜30質量%である[1]又は[2]に記載の粉体急結剤。
[4] 前記カルシウムアルミニウムネート系粉体中にバナジウムを100〜15000ppm含有する[1]〜[3]のいずれかに記載の粉体急結剤。
[5] さらに、酸性の付着助剤を含有する[1]〜[4]のいずれかに記載の粉体急結剤。
[6] 鉱山トンネルの覆工用である[1]〜[5]のいずれかに記載の粉体急結剤。
[7] 前記鉱山トンネルの鉱山が、銅、鉄、ニッケル、亜鉛、モリブデン、及びタングステンのいずれかを含む鉱物資源を含む[6]に記載の粉体急結剤。
[8] セメントと、[1]〜[7]のいずれかに記載の粉体急結剤とを含有するセメント組成物。
[9] 単位セメント量が300〜550kg/m、単位水量が160〜240kg/mの範囲にあり、[1]〜[7]のいずれかに記載の粉体急結剤を添加してなる吹付コンクリート組成物。
[10] [9]に記載の吹付コンクリート組成物によって造成され、シングルシェル構造によって形成された鉱山トンネル構造体。
本発明によれば、鉱山トンネルの吹付け材として使用した際に高い付着強度を示し、付着後は収縮が小さく剥落しにくいセメント組成物や吹付コンクリート組成物とすることができる粉体急結剤を提供することができる。
また、本発明の粉体急結剤によれば、地山との付着性能に優れ、特に、鉱山トンネル等に優れた効果を奏するため、当該鉱山トンネルで好適に用いられる。
以下、本発明の実施形態(本実施形態)を詳細に説明する。なお、本明細書における部や%は、特に規定しない限り質量基準とする。
[1.粉体急結剤]
本実施形態の粉体系急結剤は、所定の粉体を含み、当該急結剤100質量部に水100質量部を添加してスラリーとした際のpHが、11.0以上であることを特徴とする。ここで、pHの測定は、20℃±2℃の環境で、スラリー調製後、10分後の上澄み液のpHを測定するものとする。
スラリーとした際のpHが、11.0以上ということは、粉体急結剤は全体としてはアルカリ性を呈している。しかし、構成する粉体には酸性を示すものもある。すなわち、全体としてアルカリ性を示す中に酸性成分が存在するという特殊な状態により、鉱山トンネルの吹付け材として使用した際に高い付着強度を示し、付着後は収縮が小さく剥落しにくいセメント組成物や吹付コンクリート組成物とすることができると考えられる。当該pHは、11〜14であることが好ましい。
スラリーとした際のpHを11.0以上とするには、各種粉体の配合割合や平均粒径を調整すればよい。また、本発明の効果を阻害しない範囲で、公知のpH調整剤をさらに添加してもよい。
上記所定の粉体としては、カルシウムアルミネート系粉体と、硫酸カルシウム系粉体と、酸性の硫酸アルミニウム系粉体が挙げられる。また、付着助剤が含有されることもある。以下、これらについて説明する。
(カルシウムアルミネート系粉体)
カルシウムアルミネート系粉体とは、CaO成分とAl成分とを主体とする化合物を総称するものであれば、特に、限定されるものではない。
例えば、CaOをC、AlをA、アルカリ金属元素をRと表記すると、CA(CaO・2Al)、CA(CaO・Al)、C12(12CaO・7Al)、C11・CaF(11CaO・7Al・CaF)、CA(3CaO・Al)、3CaO・3Al・CaSO等の結晶性の化合物、CR(8CaO・3Al・RO)、C14R(14CaO・5Al・RO)、C(3CaO・5Al・2RO)等のRO成分を含む結晶性のCaO−Al−RO系化合物や、CaOとAlを主成分とする非晶質の化合物等が挙げられ、本発明では、これらのうちの1種または2種以上を使用することができる。中でも、非晶質のカルシウムアルミネート系粉体を用いることが好ましい。
カルシウムアルミネート系粉体の粉末度は、特に限定されるものではないが、通常、ブレーン比表面積で3,000cm/g〜9,000cm/gが好ましく、4,000cm/g〜8,000cm/gがより好ましい。
カルシウムアルミニウムネート系粉体中には、バナジウムが100〜15000ppm含有されてなることが好ましく、500〜10000ppm含有されてなることがより好ましい。バナジウムが100〜15000ppm含有されてなることで、吹付けコンクリートと岩盤との付着性の向上が期待できる。なお、バナジウムの含有量は、例えば、電子線マイクロアナライザー(EPMA)により測定して求めることができる。
カルシウムアルミニウムネート系粉体の平均粒径は1〜50μmであることが好ましく、5〜20μmであることがより好ましい。
なお、平均粒径は、レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置などにより求めることができる(後述の硫酸カルシウム系粉体、酸性の硫酸アルミニウム系粉体、アルミン酸アルカリ系粉体も同様)。
また、本実施形態の粉体急結剤におけるカルシウムアルミネート系粉体の含有割合は、20〜70%が好ましく、30〜60%がより好ましい。
(硫酸カルシウム系粉体)
硫酸カルシウム系粉体とは、硫酸カルシウムであれば特に限定されるものではないが、無水、半水、二水の硫酸カルシウムが挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を使用することができる。中でも、無水の硫酸カルシウム粉体を用いることが、付着強度の発現性の観点から好ましい。
硫酸カルシウム系粉体の粉末度は、特に限定されるものではないが、通常、ブレーン比表面積で3,000cm/g〜9,000cm/gが好ましく、4,000cm/g〜8,000cm/gがより好ましい。
硫酸カルシウム系粉体の平均粒径は、1〜50μmであることが好ましく、5〜30μmであることがより好ましい。
また、本実施形態の粉体急結剤における硫酸カルシウム系粉体の含有割合は、10〜60%が好ましく、15〜50%がより好ましい。
(酸性の硫酸アルミニウム系粉体)
酸性の硫酸アルミニウム系粉体は、無水物及び水和物のいずれも使用することができる。水和数が異なるものを2種以上用いてもよい。これらの中では、混合時の分散性が優れる点で、水和物が好ましく、6〜18水和物がより好ましく、10〜16水和物がさらに好ましい。
また、酸性の硫酸アルミニウム系粉体のpHは、7未満であり、2〜5が好ましい。当該pHは、pHメーターを用いて20℃±2℃で100mlの水に、硫酸アルミニウム系粉体10gをよく混合して測定することができる。
酸性の硫酸アルミニウム系粉体の平均粒径は75〜600μmであることが好ましく、150〜500μmであることがより好ましい。
また、本実施形態の粉体急結剤における酸性の硫酸アルミニウム系粉体の含有割合は、5〜30%が好ましく、7〜20%がより好ましい。
(酸性の付着助剤)
酸性の付着助剤とは、地山と吹付コンクリートとの付着性や、吹き付けたコンクリートにさらに重ね吹きをした際の吹付コンクリート同士の付着強度を高める効果を付与するもので、例えば、クエン酸、グルコン酸、酒石酸、これらの無水塩、含水塩、ナトリウム塩、カリウム塩等が挙げられる。中でも、クエン酸、特に、無水クエン酸を選定することが好ましい。当該無水クエン酸は高温(30℃以上)となる鉱山内においてリバウンドを抑制するには非常に有効な成分である。ここで、「リバウンド」とは、吹付けコンクリートを吹き付けた際の跳ね返りをいう。また、酸性の付着助剤のpHは、7未満であり、2〜5が好ましい。当該pHは、pHメーターを用いて20℃±2℃で100mlの水に、酸性の付着助剤10gをよく混合して測定することができる。
付着助剤の「付着強度を高める効果」とは、具体的には、実施例に記載の「付着強度の評価」により、付着強度が、酸性の付着助剤なしの場合よりも大きくなる効果をいう。
酸性の付着助剤の平均粒径は1〜600μmであることが好ましく、75〜500μmであることがより好ましい。当該平均粒径はレーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置などにより測定することができる。
また、本実施形態の粉体急結剤における酸性の付着助剤の含有割合は、0.01〜3.0%が好ましく、0.05〜1.5%がより好ましい。
本実施形態に係る粉体急結剤は、上記粉体の他に、本発明の効果を阻害しない程度で、種々の添加剤を含有させることができる。例えば、アルミン酸アルカリ系粉体、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸塩粉体等を含有させることが可能である。
ここで、アルミン酸アルカリとは、RO成分(R:アルカリ金属元素)と、Al成分とを主体とする化合物を総称するものであり、これらを主体とする限り特に限定されるものではない。
例えば、nNaO・Al・mHO、nKO・Al・mHO、nLiO・Al・mHO等が挙げられる。ここで、nの値は、0.75〜1.75の範囲にあり、mの値は、0〜8の範囲にある。また、アルミン酸アルカリは、結晶質のものや非晶質のものが存在するが、いずれも使用可能である。
アルミン酸アルカリ系粉体の水に対する溶解速度は、50〜500g/100g−HO/分の範囲が好ましく、100〜300g/100g−HO/分の範囲がより好ましい。アルミン酸アルカリ系粉体の溶解速度が、50〜500g/100g−HO/分の範囲であると、付着強度が十分となり、またリバウンド量を抑制できる傾向にある。
上記のアルミン酸アルカリ系粉体の溶解速度とは、純水100mlにアルミン酸アルカリ系粉体10gを添加し、20℃±2℃の条件で1分間撹拌し、その溶解量から求めた溶解速度を意味する。
また、本実施形態の粉体急結剤におけるアルミン酸アルカリ系粉体の含有割合は、1.5〜10%が好ましく、2〜5%がより好ましい。含有割合が1.5〜10%であると、十分な付着強度が得られ、リバウンド量を減少させることができる。
アルミン酸アルカリ系粉体の平均粒径は1〜50μmであることが好ましく、5〜30μmであることがより好ましい。
また、pH調整剤、分散剤、安定化剤、防凍剤、水溶性促進剤、AE剤、減水剤、AE減水剤、凝結遅延剤、増粘剤、繊維、及び微粉等の添加剤を本発明の目的を実質的に阻害しない範囲で併用することが可能である。
本実施形態に係る粉体急結剤は、鉱山トンネルの覆工用であることが好ましい。特に、当該鉱山トンネルの鉱山が、銅、鉄、ニッケル、亜鉛、モリブデン、及びタングステンのいずれかを含む鉱物資源を含むものであることが好ましい。
液体急結剤は、鉱山に含まれる金属、例えば、銅、鉄、亜鉛、ニッケル、モリブデン、タングステンの溶解を助長し、吹付コンクリートと地山の界面の付着強度の発現性を阻害する。一方で、本実施形態に係る粉体急結剤は、上記金属を含む地山に吹き付けた際にも、地山との付着性能に優れ、厚吹きしても崩落がなく、安心・安全に、しかも、スピーディな掘削が可能で、ひび割れの発生もなく、信頼性の高いシングルシェル構造体を実現できる。
[2.セメント組成物]
本実施形態に係るセメント組成物は、セメントと、本発明の粉体急結剤とを含有する。
粉体急結剤の使用量は、特に、限定されるものではないが、通常、吹付コンクリートに配合されるセメント100質量部に対して、3〜15質量部の範囲で使用され、5〜12質量部が好ましい。
本実施形態で使用するセメントとしては、普通、早強、超早強、低熱、及び中庸熱等の各種ポルトランドセメント、これらポルトランドセメントに、高炉スラグ、フライアッシュ、又はシリカを混合した各種混合セメント、また、石灰石粉末等や高炉徐冷スラグ微粉末を混合したフィラーセメント、各種の産業廃棄物を主原料として製造される環境調和型セメント、いわゆるエコセメント等が挙げられ、これらのうちの一種又は二種以上が併用可能である。
[3.吹付コンクリート組成物]
本実施形態に係る吹付コンクリート組成物は、吹付コンクリート組成物1mに対する単位量で表現して、単位セメント量が300〜550kg/m、単位水量が160〜240kg/mの範囲にあり、本発明の粉体急結剤を添加してなる。本発明の粉体急結剤は、セメント100質量部に対して、3〜15質量部の範囲で使用され、5〜12質量部が好ましい。
単位セメント量が300kg/m未満では、強度発現性が十分でなく、また、コンクリートの圧送性が悪くなる場合がある。逆に、550kg/mを超えると、吹付コンクリートの収縮が大きくなる場合がある。
本実施形態に係る吹付コンクリート組成物では、アルカリ刺激剤、潜在水硬性物質、ポゾラン物質等を含有させてもよい。またこれらの他に、各種骨材、石灰石微粉末、高炉徐冷スラグ微粉末等の混和材料、膨張材、急硬材、消泡剤、増粘剤、防錆剤、防凍剤、収縮低減剤、ポリマー、ベントナイト等の粘土鉱物、並びに、ハイドロタルサイト等のアニオン交換体等のうちの一種又は二種以上を、本発明の目的を実質的に阻害しない範囲で使用することが可能である。
本発明において、本実施形態の粉体急結剤を除く各材料の混合方法は特に限定されるものではなく、それぞれの材料を施工時に混合してもよいし、予め一部を、あるいは全部を混合しておいても差し支えない。
混合装置としては、既存の如何なる装置も使用可能であり、例えば、傾胴ミキサ、オムニミキサ、ヘンシェルミキサ、V型ミキサ、及びナウタミキサなどの使用が可能である。
本実施形態に係る吹付コンクリート組成物は、粉体急結剤を除く吹付コンクリート構成成分(本実施形態に係るセメント組成物、骨材、及び水等の混合物)を、コンクリートポンプで圧送し、途中に設けた合流管で、他方から圧送した粉体急結剤と混合し、本実施形態に係る吹付コンクリート組成物として地山面に所定の厚みになるまで吹付ける。
吹付け工法においては、通常、吹付け圧力は0.2〜0.5MPaが好ましく、吹付け速度は4〜20m/hが好ましい。
圧送する圧送空気の圧力は、セメントコンクリートが粉体急結剤の圧送管内に混入した時に圧送管内が閉塞しないように、セメントコンクリートの圧送圧力より0.01〜0.3MPa大きいことが好ましい。
[4.鉱山トンネル構造体]
本実施形態に係る鉱山トンネル構造体は、本実施形態の吹付コンクリート組成物によって造成され、シングルシェル構造によって形成されてなる。
本実施形態の吹付コンクリート組成物が、鉱山トンネルの内面である地山掘削面に沿って一次覆工として、所定厚で吹き付けられてなるため、シングルシェル構造であっても、付着強度の発現性を阻害する金属の溶解を助長せず、吹付コンクリートと地山の界面との優れた付着強度が発現され、ひび割れも抑制される。その結果、吹き付けたコンクリートの崩落の危険性も従来に比べて低く、鉱山労働者の安全確保及び鉱物掘削業務の効率化といった効果が得られる。また、鉱山に含まれる硫化物が酸化されて酸性鉱山廃液を大量に発生させるような危険性も従来に比べて低い。
以下、実験例に基づいて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実験例1
カルシウムアルミネート系粉体A、硫酸カルシウム系粉体a、及び酸性の硫酸アルミニウム系粉体を表1に示すように配合し、粉体急結剤を調製した。この粉体急結剤をセメント100質量部に対して、7質量部使用し、単位セメント量450kg/m、単位水量200kg/m、細骨材率60%で吹付コンクリート組成物を調製した。
銅山トンネルを模擬して、銅を含有する銅スラグを細骨材として用いたコンクリートで模擬トンネルを造成し、この模擬トンネルに向かって吹付試験を実施した。
粉体急結剤のpHを測定するとともに、吹付コンクリートと地山との付着強度、収縮および剥落の有無を確認した。結果を表1に併記する。
<使用材料>
・セメント:普通ポルトランドセメント市販品
・細骨材:新潟県糸魚川市産、表乾密度2.61g/cm
・粗骨材:新潟県糸魚川市産、表乾密度2.65g/cm、最大寸法15mm
・カルシウムアルミネート系粉体A:非晶質のカルシウムアルミネート(CaO/Alモル比=2.3)、平均粒径:10μm、ブレーン比表面積:6000cm/g、バナジウム含有量:3000ppm
・硫酸カルシウム系粉体a:無水セッコウ、市販品、平均粒径:13μm
・酸性の硫酸アルミニウム系粉体:硫酸アルミニウム(Al(SO・13HO)、平均粒径:300μm、pH2
・酸性の付着助剤1:無水クエン酸、市販品、平均粒径:300μm、pH3
<測定及び評価方法>
・pH:粉体急結剤100質量部に水100質量部を添加してスラリーとし、20℃±2℃の環境で、スラリーを調製後、10分後の上澄み液のpHを測定した。
・付着強度(N/mm):岩塊上に厚み10cm以上になるよう吹付けを行った後、吹付けコンクリート側からコアリングを行い、岩と吹付けコンクリートが一体となった試験体を作製し、両端から引っ張り付着強度を測定した。
なお、岩塊には、2000ppmの銅が含有されていた。
・収縮率(×10−6):JIS A 1129−3 モルタル及びコンクリートの長さ変化測定方法−第3部:ダイヤルゲージ方法により測定した。
・剥落の有無:付着強度の評価と同じ岩塊上に厚さ10cmに吹き付けた後、10分以内に岩塊から剥落した場合は×、剥落しなかった場合は○とした。
表1より、本発明に係る粉体急結剤を使用すると、地山と吹付コンクリートの付着強度が高く、収縮が小さく、剥落がないことがわかる。
「実験例2」
カルシウムアルミネート系粉体A45質量部、硫酸カルシウム系粉体a40質量部、酸性の硫酸アルミニウム系粉体15質量部とし、カルシウムアルミネート系粉体Aの種類を表2−1に示すように変化したこと以外は実験例1と同様にして粉体急結剤を調製し、各種測定及び評価を実験例1と同様に行った。結果を表2−2に示す。
「実験例3」
カルシウムアルミネート系粉体A45質量部、硫酸カルシウム系粉体a40質量部、酸性の硫酸アルミニウム系粉体15質量部とし、硫酸カルシウム系粉体aの種類を表3に示すように変化したこと以外は実験例1と同様にして粉体急結剤を調製し、各種測定及び評価を実験例1と同様に行った。結果を表3に示す。
「実験例4」
カルシウムアルミネート系粉体A45質量部、硫酸カルシウム系粉体a40質量部、酸性の硫酸アルミニウム系粉体15質量部とし、酸性の硫酸アルミニウム系粉体の種類を表4−1に示すように変化したこと以外は実験例1と同様にして粉体急結剤を調製し、各種測定及び評価を実験例1と同様に行った。結果を表4−2に示す。
「実験例5」
カルシウムアルミネート系粉体A45質量部、硫酸カルシウム系粉体a40質量部、酸性の硫酸アルミニウム系粉体15質量部とし、さらに酸性の付着助剤1質量部を混合し、当該酸性の付着助剤の種類を表5に示すように変化したこと以外は実験例1と同様にして粉体急結剤を調製し、各種測定及び評価を実験例1と同様に行った。結果を表5に示す。
「実験例6」
カルシウムアルミネート系粉体A45質量部、硫酸カルシウム系粉体a40質量部、酸性の硫酸アルミニウム系粉体15質量部からなる粉体急結剤を調製し、セメント100質量部に対して、粉体急結剤の添加量を表6に示すように変化したこと以外は実験例1と同様にして、各種測定及び評価を行った。結果を表6に示す。
「実験例7」
カルシウムアルミネート系粉体A45質量部、硫酸カルシウム系粉体a40質量部、酸性の硫酸アルミニウム系粉体15質量部からなる粉体急結剤を調製し、単位セメント量と単位水量を表7に示すように変化したこと以外は実験例1と同様にして、各種測定及び評価を行った。結果を表7に示す。
本発明の粉体急結剤は、鉱山トンネルの吹付け材として特に好適に用いることができる。

Claims (9)

  1. カルシウムアルミネート系粉体と、硫酸カルシウム系粉体と、酸性の硫酸アルミニウム系粉体とを含有してなる粉体急結剤であって、
    前記カルシウムアルミネート系粉体の含有量が20〜75質量部であり、
    前記カルシウムアルミネート系粉体中にバナジウムを100〜15000ppm含有し、
    前記粉体急結剤100質量部に水100質量部を添加してスラリーとした際のpHが、11.0以上である粉体急結剤。
  2. 前記酸性の硫酸アルミニウム系粉体の平均粒径が75〜600μmである請求項1に記載の粉体急結剤。
  3. 前記酸性の硫酸アルミニウム系粉体の含有量が5〜30質量%である請求項1又は2に記載の粉体急結剤。
  4. さらに、酸性の付着助剤を含有する請求項1〜のいずれか1項に記載の粉体急結剤。
  5. 鉱山トンネルの覆工用である請求項1〜のいずれか1項に記載の粉体急結剤。
  6. 前記鉱山トンネルの鉱山が、銅、鉄、ニッケル、亜鉛、モリブデン、及びタングステンのいずれかを含む鉱物資源を含む請求項に記載の粉体急結剤。
  7. セメントと、請求項1〜のいずれか1項に記載の粉体急結剤とを含有するセメント組成物。
  8. 単位セメント量が300〜550kg/m、単位水量が160〜240kg/mの範囲にあり、請求項1〜のいずれか1項に記載の粉体急結剤を添加してなる吹付コンクリート組成物。
  9. 請求項に記載の吹付コンクリート組成物によって造成され、シングルシェル構造によって形成された鉱山トンネル構造体。
JP2017168993A 2017-09-01 2017-09-01 粉体急結剤、セメント組成物、吹付コンクリート組成物、鉱山トンネル構造体 Active JP6523389B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017168993A JP6523389B2 (ja) 2017-09-01 2017-09-01 粉体急結剤、セメント組成物、吹付コンクリート組成物、鉱山トンネル構造体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017168993A JP6523389B2 (ja) 2017-09-01 2017-09-01 粉体急結剤、セメント組成物、吹付コンクリート組成物、鉱山トンネル構造体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019043812A JP2019043812A (ja) 2019-03-22
JP6523389B2 true JP6523389B2 (ja) 2019-05-29

Family

ID=65813770

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017168993A Active JP6523389B2 (ja) 2017-09-01 2017-09-01 粉体急結剤、セメント組成物、吹付コンクリート組成物、鉱山トンネル構造体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6523389B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN110950573A (zh) * 2019-12-13 2020-04-03 成都轨道建设管理有限公司 一种地铁施工用混凝土速凝剂

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10259047A (ja) * 1997-03-17 1998-09-29 Denki Kagaku Kogyo Kk 急結剤、セメント組成物、吹付材料、及びそれを用いた吹付工法
JP4335396B2 (ja) * 1999-09-29 2009-09-30 電気化学工業株式会社 注入用セメント混和材及び注入材
GB0416791D0 (en) * 2004-07-28 2004-09-01 Constr Res & Tech Gmbh Setting accelerator for sprayed concrete
KR101333447B1 (ko) * 2006-11-09 2013-11-26 덴끼 가가꾸 고교 가부시키가이샤 급결제 및 그것을 이용한 분사 공법
JP5484798B2 (ja) * 2009-06-22 2014-05-07 電気化学工業株式会社 吹付け工法
JP5687869B2 (ja) * 2010-08-27 2015-03-25 電気化学工業株式会社 注入材及び注入工法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN110950573A (zh) * 2019-12-13 2020-04-03 成都轨道建设管理有限公司 一种地铁施工用混凝土速凝剂
CN110950573B (zh) * 2019-12-13 2021-11-16 成都轨道建设管理有限公司 一种地铁施工用混凝土速凝剂

Also Published As

Publication number Publication date
JP2019043812A (ja) 2019-03-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4906346B2 (ja) 液体急結剤、吹付け材料、及びそれを用いた吹付け工法
CN111433169B (zh) 粉末状速凝剂、速凝材料、速凝材料固化物和喷射施工方法
JP5364497B2 (ja) 急結性吹付けセメントコンクリートの吹付け工法
JP4677824B2 (ja) 耐酸性グラウト組成物
JPWO2008056716A1 (ja) 急結剤、及びそれを用いた吹付け工法
JP5430478B2 (ja) 急結剤、吹付け材料及びそれを用いた吹付け工法
JP6523389B2 (ja) 粉体急結剤、セメント組成物、吹付コンクリート組成物、鉱山トンネル構造体
JP5620170B2 (ja) 発泡状急結剤、吹付け材料及びそれを用いた吹付け工法
JP6386902B2 (ja) 吹付コンクリート及びその製造方法
WO2019044484A1 (ja) モルタル又はコンクリート組成物及びその製造方法
JP3986480B2 (ja) 吹付け工法
JP5192106B2 (ja) 吹付け工法
JP2019043813A (ja) 粉体急結剤、セメント組成物、吹付コンクリート組成物、鉱山トンネル構造体
JP5783702B2 (ja) 吹付け材料およびそれを用いた吹付け工法
JP6770658B1 (ja) 吹付け用急結剤
WO2022059372A1 (ja) 低粉じん吹付けコンクリート、及びそれを用いた低粉じん吹付け工法
JP5888847B2 (ja) 吹付け材料およびそれを用いた吹付け工法
JP7503011B2 (ja) 急結剤用カルシウムアルミネート、および発泡型急結剤
JP2002037656A (ja) 湿式吹付けコンクリート
JP3390082B2 (ja) グラウト用のセメント混和材及びセメント組成物
JP5484798B2 (ja) 吹付け工法
JP7550091B2 (ja) 発泡型急結剤
JP5701546B2 (ja) 吹付け材料およびそれを用いた吹付け工法
JP2004323356A (ja) 吹付材料及びそれを用いた吹付施工方法
JP2020093940A (ja) セメント混和材及びそれを用いたコンクリート

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190108

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190228

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190416

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190425

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6523389

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250