本発明の課題は、医療用器具、特に歯科用又は外科用器具に交互の振動回転運動を生じさせ、従来の駆動装置に比べて、以下の利点、即ち、構成がより簡略又は製造がより容易であること、構成要素がより少ないこと、より安価に製造可能であること、よりコンパクトであることの少なくとも1つを有する機械的駆動装置を提供することである。
この課題は、本発明に従えば、医療用器具、特に歯科用又は外科用器具を振動回転運動させるための(機械的)駆動装置により解決される。この振動回転運動では、器具を、第1回転方向に第1回転角だけ回転させると共に、前記第1回転方向とは実質的に異なる第2回転方向に第2回転角だけ交互に回転させ、第1回転角及び第2回転角を互いに異ならせて、器具を、第1及び第2回転方向に複数回、連続的に回転させれば、所望方向への累積的な回転運動が生じる構成とする。この場合に駆動装置は、第1回転軸線周りに回転すると共に、駆動運動、特に単方向回転運動を伝達するよう構成される駆動軸と、器具を振動回転運動させ、かつ第2軸線周りに回転可能な出力軸と、駆動軸を出力軸に結合する偏心ギヤユニットとを備える。この偏心ギヤユニットは、少なくとも1個の偏心ピンと、この偏心ピン用の少なくとも1個の収容又はキャリアユニットを含む。これら偏心ピン及び収容又はキャリアユニットは互いに協働させて、出力軸及びこの出力軸に結合可能な器具に振動回転運動を生じさせる。
このことは、以下に詳述するように、駆動軸からの駆動運動、特に単方向回転運動を振動回転運動に変換するのに1個のギヤユニット、特に1個の偏心ギヤユニットだけが必要なことを意味する。偏心ギヤユニットは、好適には、駆動軸からの駆動運動又は単方向回転運動を振動回転運動に変換し、特に他のギヤユニットを必要とせずに出力軸に伝達するよう構成される。本発明に係る偏心ギヤユニットの構成には、省スペース化及び安価に製造可能という点で従来の伝達ユニットに比べて大きな利点がある。なぜなら、従来の伝達ユニットでは、振動回転運動を生じるために、往復運動しか生じない偏心ギヤユニットに加えて第2ギヤユニットも必要とされるからである。
偏心ギヤユニットは、好適には、駆動軸上及び/又は出力軸上に設けられた軸受、とりわけローラ軸受又はボール軸受によって支持される。偏心ギヤユニットは、好適には、金属及び/又はプラスチックで構成される。偏心ギヤユニットには、好適には、駆動軸の第1回転軸線及び/又は出力軸の第2回転軸線が通過する。
偏心ピン用の収容ユニットは、好適には、第1回転軸線又は第2回転軸線を包囲するほぼ円筒状の表面上に設けられるか、又は第2回転軸線を包囲する円筒体の一部として構成される。収容ユニット又はキャリアユニットは、好適には、少なくとも1つの凹部又は溝を含む。特に好適には、偏心ピン用の収容ユニットは、第1回転軸線又は第2回転軸線周りに自己完結(無端)トラック若しくはガイドを含むか、又は収容ユニット自体によって第1回転軸線周り若しくは第2回転軸線周りにそのような自己完結(無端)トラック若しくはガイドが構成される。特に好適には、収容ユニット、とりわけトラック又はガイドは、第1回転軸線周り又は第2回転軸線周りに、第1回転軸線又は第2回転軸線を包囲するほぼ円筒状の表面上で波形状又は曲線状に延びる構成とする。収容ユニット又はキャリアユニットは、好適には、出力軸の第2回転軸線に対してほぼ軸線方向に延びる少なくとも1つのセクション又は溝を含む。収容ユニット、特に出力軸の第2回転軸線に対してほぼ軸線方向に延びる上記溝は、好適には、少なくとも1つのセクションにて、出力軸の第2回転軸線方向に傾斜させた底面を有する。これにより収容ユニット又は溝は、好適には、特に収容ユニット又は溝が設けられたほぼ円筒状の表面又は外面に対して、少なくとも1つのセクションにて深さが異なる。
一実施形態において、偏心ピン用の収容ユニット又はキャリアユニット又はトラックは、互いに角度付きで配置される複数のセクションを含む。この場合に収容ユニットは、好適には、ほぼY字状に形成されると共に、特にY字の側方アーム端で互いに結合される複数のセクションを含む。Y字におけるこれら側方アームは、好適には、互いに若干ずらせて及び/又はY字における垂直又は第3アームに対してずらせて配置される。
偏心ピン用のキャリアユニット又は収容ユニットは、好適には、出力軸を第1回転方向に回転させるよう形成される少なくとも1つのセクションと、出力軸を第2回転方向に回転させるよう形成される少なくとも1つのセクションとを含む。特に好適には、出力軸を第1回転方向に回転させるよう形成される第1セクションは、互いに角度付きで配置される複数のサブセクションを有する。好適には、第1セクション及び第2セクションは異なる長さを有する。特に、出力軸を所望方向に回転運動させるセクションは、出力軸を所望方向とは逆方向に回転させるセクションに比べてより長い。所望方向とは逆方向に出力軸の回転運動を生じさせるセクションは、好適には、収容ユニットに形成されるY字状セクションの側方アームにおける少なくとも1つの端部に配置される。
偏心ピン用の収容ユニット又はキャリアユニット、特に溝は、好適には、出力軸の第2回転軸線とほぼ平行に配置される少なくとも1つのセクションを含む。特にこのセクションは、収容ユニットに関して上述したY字状セクションにおける垂直方向アームに相当する。特にこのセクションを起点として、出力軸の第2回転軸線とほぼ平行に配置される第1アームが第1方向に延びると共に、第2アームが第1方向とは異なる第2方向に延びる。Y字におけるこれら2つのアーム又は側方アーム間の角度は、好適には90°よりも大きい。
特に好適には、第1アームは、第1エッジを含み、また第2アームは、第2エッジを含む。この場合にこれらエッジは、接点で合流する。この接点は、中心軸の第2回転軸線周りと平行に配置されるセクションの中心軸線から離間させるか、又は水平方向にずらせて配置されるか、又は上記セクションの外側に配置される。この接点の配置により、所望方向への偏心ピン又は偏心ギヤユニットの回転が規定されるか、又は特に所望方向とは逆方向への偏心ピン又は偏心ギヤユニットの回転が抑止されるか若しくは抑制される。各アームにおける2つのエッジにより、好適にはこれらアームが画定され、特にこれらエッジにより、アーム又は溝の上端部が画定される。特に2つのアームは、それぞれ、アーム又は溝の下端部を画定する更なるエッジを有する。各下端部は、好適には、出力軸の第2回転軸線とほぼ平行に配置されるセクションか、又は収容ユニットにおけるY字状セクションの垂直方向アームに移行する。
この実施形態において、偏心ギヤユニットは、偏心ピンが、収容ユニット又はキャリアユニットに形成される溝又はガイド又はトラック内を移動する。この場合、上述した溝又はガイド又はトラックの形状により、特に収容ユニットに直接又は一体的に結合される出力軸に振動回転運動を生じさせることができる。
代替的な実施形態において、偏心ギヤユニットは、第1収容ユニット又はキャリアユニットが割り当てられた第1偏心ピンと、第2収容ユニット又はキャリアユニットが割り当てられた第2偏心ピンを含む。この場合に偏心ギヤユニットは、好適には、偏心ピン及びこの偏心ピンに割り当てられた収容ユニットが出力軸を第1方向、例えば所望方向に回転させ、他方の偏心ピン及びこの偏心ピンに割り当てられた収容ユニットが出力軸を第1方向又は所望方向とは異なる第2方向に回転させる。偏心ギヤユニットは更に、好適には、2個の収容ユニットによる回転角が異なる値を有し、従って出力軸全体に振動回転運動を生じさせる。
第1偏心ピン及び第2偏心ピンは、好適には、駆動軸の第1回転軸線に対して距離を異ならせて配置される。駆動軸は、好適には、出力軸を指向する端面を有し、この端面の外縁部又は外縁部近傍に偏心ピンが配置される。これら2個の偏心ピンは、好適には、駆動軸の第1回転軸線に対してほぼ直交する共通線上に設けられる。
第1収容ユニット及び第2収容ユニットは、好適には互いに離間させ、特に出力軸の第2回転軸線に対して、互いに軸線方向に離間させる。この場合に第1及び第2収容ユニットは、好適には、凹部によって互いに離間させる。
好適には、第1収容ユニットは複数の第1溝を含み、第2収容ユニットは複数の第2溝を含む。これら第1及び/又は第2溝は、好適には、出力軸の第2回転軸線とほぼ平行に配置される。更に、第1及び第2溝は、好適には互いにずらせて配置されるため、第1溝及び第2溝が交互に設けられる。
第1収容ユニット及び第2収容ユニットは、好適には、出力軸の第2回転軸線をほぼ円形状に包囲する。特に好適には、第1収容ユニット及び/又は第2収容ユニットは、ディスク状又はプレート状の要素として構成され、出力軸がその中央部を通過する。特に好適には、第1収容ユニット及び/又は第2収容ユニットは、ディスク状又はプレート状の要素として構成され、第1及び第2溝がその外周面又は外面に配置される。特に好適には、少なくとも1個の収容ユニットは、出力軸と一体的に構成される。
第1収容ユニットの第1溝及び第2収容ユニットの第2溝は、好適には、円形状に配置により第2回転軸線及び/又は出力軸を包囲する。この場合、収容ユニットの各溝は、好適には、収容ユニットの外周周り及び/又は出力軸の第2回転軸線周りに均等に配置されるか、及び/又は互いに均等に離間させる。
偏心ギヤユニットは、好適には、第1偏心ピンが第1収容ユニット又はキャリアユニットに、また第2偏心ピンが第2収容ユニット又はキャリアユニットに交互に係合するよう構成される。代替的又は付加的には、偏心ギヤユニットは、一方の偏心ピンが、対応する収容ユニットに係合することにより出力軸を回転させる間、他方の偏心ピンは出力軸の回転を生じさせない箇所に位置するよう構成される。
他の実施形態において、偏心ギヤユニットは、複数個の偏心ピンを含み、これら偏心ピンの少なくとも2個は、駆動軸の第1回転軸線及び/又は出力軸の第2回転軸線に対して距離を異ならせて配置される。この場合に第1回転軸線及び/又は第2回転軸線は、好適には、複数個の偏心ピンの中央部に配置される。特に好適には、偏心ギヤユニットは、複数個の偏心ピンを含み、これら偏心ピンの少なくとも2個は、互いに離間させた軌道上を移動することができる。この場合に第1回転軸線又は第2回転軸線は、好適には、これら軌道の少なくとも1つにおける中心点、特に両方の軌道の中心点を形成する。
キャリアユニットは、好適にはタペットを含み、偏心ピンがタペットに交互に係合するか及び/又は交互に接触する。このタペットは、特に互いに分離した複数のセクションを有し、これらセクションにより偏心ピンが係合する。これらセクションは、例えば、駆動軸又は出力軸におけるセットバック、凹部、又はチャンバにより形成される。この場合にセットバック、凹部、又はチャンバは、特に壁によって互いに分離させる。
タペットの少なくとも一部、特に互いに分離させたセクションの少なくとも一部は、複数個の偏心ピンの少なくとも2個が移動する軌道上の間に配置される。特に好適には、タペットの回転軸線は、複数個の偏心ピンの少なくとも2個が移動する軌道上の間に配置される。代替的には、上記2つの軌道は、キャリアユニット又はタペットにおける特に互いに反対側に配置される領域又はセクションと交差させてもよい。
タペットに連続的に係合及び/又は接触する偏心ピンは、好適には、タペットの異なるセクション、特にタペットのセットバック又はチャンバに連続的に係合又は接触するよう配置される。
タペットに連続的に係合及び/又は接触する偏心ピンは、好適には、タペットを、互いに逆の回転方向及び/又は異なる回転角によって連続的に移動するよう配置される。
タペットのセクション数及び偏心ピンの個数は、それぞれ2〜12とするのが好適である。第1回転軸線及び/又は第2回転軸線に対して距離を異ならせて配置される偏心ピンは、同数とするのが好適である。例えば、2個又は4個の偏心ピンは第1回転軸線に対してより近傍に配置され、やはり2個又は4個は第1回転軸線に対してより離間して配置される。互いに分離させた軌道上を移動することができるか又は配置される偏心ピンの個数は、同数とするのが好適である。例えば、2個又は4個の偏心ピンは第1軌道上に配置され、やはり2個又は4個の偏心ピンは第2軌道上に配置される。タペットにおいて、互いに分離させたセクション数及び偏心ピンの個数は、好適には同数とする。
キャリアユニット又はタペットは、好適には、出力軸の一端に設けられる。出力軸は、好適には、複数部分で構成されると共に駆動運動を器具に伝達するための軸アセンブリの一部を構成する。特に好適には、キャリアユニット又はタペットとは反対側における出力軸の端部には、振動回転運動を器具に伝達するための歯車が設けられる。この歯車により、振動回転運動が器具用の器具保持装置に伝達される。
駆動軸の第1回転軸線及び出力軸の第2回転軸線は、好適には、互いに角度付きで配置される。この場合の角度は0°よりも大きく、好適には5°〜45°とする。代替的には、駆動軸の第1回転軸線及び出力軸の第2回転軸線は、互いにほぼ平行に配置し及び/又は2つの回転軸線間の角度は0°とする。
医療用器具、特に歯科用又は外科用治療装置、好適には歯内治療用として構成される医療用又は歯科用若しくは外科用ハンドグリップ要素は、好適には、駆動装置を備える。この駆動装置は、駆動軸からの駆動運動、特に単方向回転運動を振動回転運動に変換し、特に他のギヤユニットを必要とせずに出力軸に伝達する偏心ギヤユニットを備える。特に好適には、駆動装置は、駆動軸の第1回転軸線及び出力軸の第2回転軸線が互いに角度付きで配置されるよう治療装置内又はハンドグリップ要素内に設けられる。この場合の角度は0°よりも大きく、特に90°〜100°とする。
上記治療装置又はハンドグリップ要素は、好適には、器具用の器具保持装置を含むヘッド部を備える。一実施形態に従えば、この器具保持装置の少なくとも一部は、出力軸上に配置される。特に好適には、グリップ部がヘッド部に隣接して設けられる。この場合、偏心ギヤユニットの少なくとも一部は、ヘッド部内及び/又はグリップ部内及び/又はヘッド部をグリップ部に結合する領域内に配置される。
他の実施形態において、偏心ギヤユニットは、グリップ部、特にグリップ部における曲げ部又は角度付き領域に配置される。他の実施形態においては、医療用器具、特に歯科用又は外科用器具を振動回転運動させるための(機械的)駆動装置が設けられる。この振動回転運動では、器具を、第1回転方向に第1回転角だけ回転させると共に、第1回転方向とは実質的に異なる第2回転方向に第2回転角だけ交互に回転させ、第1回転角及び第2回転角を好適には互いに異ならせて、器具を、第1及び第2回転方向に複数回、連続的に回転させれば、所望方向への累積的な回転運動が生じる構成とする。この場合に上記駆動装置は、第1回転軸線周りに回転すると共に、駆動運動、特に単方向回転運動を伝達するよう構成される駆動軸アセンブリと、振動回転運動を生じるよう構成され、かつ第2軸線周りに回転可能な出力軸と、駆動軸アセンブリからの駆動運動を出力軸に伝達することにより、出力軸及びこの出力軸に結合可能な器具に振動回転運動を生じさせる伝達ユニットとを備える。この伝達ユニットは、少なくとも1個の駆動側伝達要素及び少なくとも1個の出力側伝達要素を含む。少なくとも1個の駆動側伝達要素は、駆動軸アセンブリにより、第1回転軸線周りに回転させることができる。少なくとも1個の駆動側伝達要素及び少なくとも1個の出力側伝達要素の間で駆動軸アセンブリからの駆動運動を出力軸に伝達するための作動結合は、少なくとも1個の駆動側伝達要素が駆動軸アセンブリの第1回転軸線周りに一回転するときに所定時間だけ生じる。ここに「一回転」とは、360°の回転を意味するものである。
伝達ユニットは、出力側第1伝達要素及び出力側第2伝達要素を含むと共に、少なくとも1個の駆動側伝達要素及び出力側第1伝達要素の間と、少なくとも1個の駆動側伝達要素及び出力側第2伝達要素の間とで、駆動軸アセンブリからの駆動運動を出力軸に伝達するための作動結合を交互に生じさせるよう構成される。
代案として、伝達ユニットは、好適には、駆動側第1伝達要素及び駆動側第2伝達要素を含むと共に、少なくとも1個の出力側伝達要素及び駆動側第1伝達要素の間と、少なくとも1個の出力側伝達要素及び駆動側第2伝達要素の間とで、駆動軸アセンブリからの駆動運動を出力軸に伝達するための作動結合を交互に生じさせるよう構成される。
代案として、伝達ユニットは、特に第2ギヤユニットを構成する駆動側第1伝達要素及び出力側第1伝達要素と、特に第1ギヤユニットを構成する出力側第2伝達要素及び駆動側第2伝達要素(以下に偏心ギヤユニットと称される)を含む。この場合、駆動側第1及び出力側第1伝達要素は出力軸を第1回転方向に回転させ、駆動側及び出力側第2伝達要素は出力軸を第2回転方向に回転させるよう構成される。これら駆動側伝達要素は、駆動軸アセンブリにより、第1回転軸線周りに回転させることができる。少なくとも駆動側及び出力側第1伝達要素、又は駆動側及び出力側第2伝達要素、又は第1ギヤユニット若しくは第2ギヤユニットにより、駆動側及び出力側第1伝達要素の間、又は駆動側及び出力側第2伝達要素の間で、駆動軸アセンブリからの駆動運動を出力軸に伝達するための作動結合が、駆動軸アセンブリの第1回転軸線周りに駆動側伝達要素が一回転するときに所定時間だけ生じる。
言うまでもなく、伝達ユニットは、駆動側及び出力側第1伝達要素の間と、駆動側及び出力側第2伝達要素の間とで、駆動軸アセンブリからの駆動運動を出力軸に伝達するための作動結合が、駆動軸アセンブリの第1回転軸線周りに駆動側伝達要素が一回転するときに所定時間だけ生じるよう構成することもできる。伝達ユニットは、好適には、(第2ギヤユニットの)駆動側及び出力側第1伝達要素と、(第1ギヤユニット又は偏心ギヤユニットの)駆動側及び出力側第2伝達要素との間で、駆動軸アセンブリからの駆動運動を出力軸に伝達するための作動結合を交互に又は時間をずらせて生じさせるよう構成される。
少なくとも1個の駆動側伝達要素又は少なくとも1個の出力側伝達要素は、好適には、対応する駆動側伝達要素又は出力側伝達要素に作動結合できることにより、駆動軸アセンブリからの駆動運動を出力軸に伝達可能な第1セクションと、駆動側伝達要素及び出力側伝達要素の間の作動結合が解除される第2セクションとを含み、この第2セクションにより、駆動軸アセンブリからの駆動運動が出力軸に伝達されることがない。駆動側及び出力側伝達要素、並びに第1及び第2セクションの好適な実施形態については、以下に記載する偏心ギヤユニット及び第2ギヤユニットを備える駆動装置に関する実施形態を参照されたい。
伝達ユニットは、好適には、複数個の駆動側伝達要素を含む。この場合、駆動軸アセンブリにより、これら複数個の駆動側伝達要素の幾つかが同時に駆動される。更に、駆動軸アセンブリにより、これら複数個の駆動側伝達要素の幾つかが同一回転方向に回転する。何れの構成も、構成が簡略であるだけでなく、特にモータ駆動部が1個のみ必要であるという利点を有する。
伝達ユニットは、好適には、少なくとも1個の駆動側伝達要素及び少なくとも1個の出力側伝達要素の間で作動結合が生じるよう構成され、これにより駆動軸アセンブリからの駆動運動が出力軸に伝達される。この場合の作動結合により、少なくとも1個の更なる出力側伝達要素、特に第2ギヤユニットの運動が生じる。特に伝達ユニットは、この運動により、更なる駆動側伝達要素(とりわけ第2ギヤユニット)及び更なる出力側伝達要素の間の作動結合が可能になるよう構成される。
伝達ユニットは、好適には、複数個の駆動側伝達要素を含む。この場合、駆動軸アセンブリは、複数個の駆動側伝達要素の幾つかが配置される1個の駆動軸を含む。このことにより、有利には、駆動装置を極めて簡略化して構成することが可能である。
代替的には、伝達ユニットは、複数個の駆動側伝達要素を含むことができる。この場合、駆動軸アセンブリは、好適には同軸状に配置される2個の駆動軸を含み、複数個の駆動側伝達要素の少なくとも1個は、第1駆動軸上に配置され、複数個の駆動側伝達要素の少なくとも1個は、第2駆動軸上に配置される。有利には、これにより、駆動軸アセンブリを介して異なる速度が伝達される。これら駆動軸の一方は、好適には中空軸として構成され、2個の駆動軸の他方がこの中空軸内に配置される。2個の駆動軸の間及び/又はこれら駆動軸上には、好適には、軸受要素及び/又は軸受箇所が設けられ、特に中空軸として構成される駆動軸内に設けられる。
伝達ユニットは、好適には、複数個の駆動側伝達要素を含む。この場合、これら複数個の駆動側伝達要素の少なくとも2個は、駆動軸アセンブリの第1回転軸線に対して距離を異ならせて配置されるか、又は駆動軸アセンブリにより、異なる半径を有する軌道上を移動することができる。この点は、特に1個又は共通の駆動軸との関連で、特にコンパクトな構成を可能にする。特にギヤユニットが含む1個の駆動側伝達要素は、好適には、他のギヤユニットが含む駆動側伝達要素によって包囲されるか、又は他の駆動側伝達要素の特に半径方向の範囲内に配置される。
伝達ユニットは、好適には、複数個の出力側伝達要素を含む。この場合、これら複数個の出力側伝達要素の幾つかは、第2軸線周りに同心円状に配置される。これら複数個の出力伝達要素は、好適には、特に第2軸線に対して互いに離間させて軸線方向に配置される。
駆動軸アセンブリ及び出力軸は、好適には、互いに角度付きで配置されることにより、駆動軸アセンブリの第1回転軸線は、上記少なくとも1個の出力側伝達要素の第1セクション及び上記少なくとも1個の出力側伝達要素の第2セクションの間、又は伝達ユニットの第1出力側伝達要素の少なくとも1つのセクション及び伝達ユニットの第2出力側伝達要素の少なくとも1つのセクションの間で延びる。特に好適には、第1回転軸線は、上記少なくとも1個の出力側伝達要素におけるセクションの間で延び、出力側伝達要素におけるこれらセクションにより、異なる回転方向に運動が生じるか、又は駆動運動の伝達が生じるか、又は駆動側伝達要素及び出力側伝達要素の間で作動結合が生じる。
第1ギヤユニットの駆動側伝達要素駆動側伝達要素及び出力側伝達要素、及び/又は、第2ギヤユニットの駆動側伝達要素及び出力側伝達要素は、好適には、駆動軸アセンブリからの駆動運動を出力軸に伝達する作動結合が、第1ギヤユニットの駆動側伝達要素駆動側伝達要素及び出力側伝達要素の間と、第2ギヤユニットの駆動側伝達要素駆動側伝達要素及び出力側伝達要素の間とにおいてのみ生じる。特に好適には、駆動側伝達要素は、駆動軸アセンブリにより、異なる半径を有する軌道上で移動することができ、出力側伝達要素は、それぞれ、第1又は第2ギヤユニットにおける、対応する駆動側伝達要素の軌道上に配置される。
伝達ユニット又は第1ギヤユニット及び/又は第2ギヤユニットは、好適には、形状係合的ギヤユニット、特に歯付きギヤユニット、偏心ギヤユニット、摩擦係合的ギヤユニット、又は磁気ギヤユニットとして構成される。伝達ユニット又は第1及び第2ギヤユニットは、特に異なるタイプ又は同一タイプのギヤユニットで構成することができる。例えば、第1ギヤユニット及び第2ギヤユニットは、それぞれ、歯付きギヤユニットで構成されるか、又は伝達ユニットは、歯付きギヤユニット及び偏心ギヤユニットで構成されるか、又は形状係合的ギヤユニット及び摩擦係合的ギヤユニットで構成される。基本的には、これらギヤユニットタイプは、同一ギヤユニットタイプ又は異なるギヤユニットタイプと組み合わせて、第1及び第2ギヤユニットを含む伝達ユニットを構成することができる。
医療用器具、特に歯科用又は外科用治療装置、好適には歯内治療用として構成される医療用又は歯科用若しくは外科用ハンドグリップ要素は、好適には、駆動装置を備える。この駆動装置は、駆動軸アセンブリからの駆動運動を出力軸に伝達することにより、出力軸及びこの出力軸に結合可能な器具に振動回転運動を生じさせる伝達ユニットを備え、伝達ユニットは、少なくとも1個の駆動側伝達要素及び少なくとも1個の出力側伝達要素を含む。少なくとも1個の駆動側伝達要素は、駆動軸アセンブリにより、第1回転軸線周りに回転させることができる。少なくとも1個の駆動側伝達要素及び少なくとも1個の出力側伝達要素の間で駆動軸アセンブリからの駆動運動を出力軸に伝達するための作動結合は、少なくとも1個の駆動側伝達要素が、駆動軸アセンブリの第1回転軸線周りに完全に回転するときに所定時間だけ生じる。
上記治療装置又はハンドグリップ要素は、器具用の器具保持装置を含むヘッド部を備える。この器具保持装置の少なくとも一部は、出力軸上に配置される。治療装置又はハンドグリップ要素は、器具用の器具保持装置を含むヘッド部と、このヘッド部に隣接するグリップ部とを備える。駆動装置は、グリップ部内に配置される。
伝達ユニット、特に第1ギヤユニット及び第2ギヤユニットを備える駆動装置の好適な実施形態において、少なくとも1個の駆動側伝達要素及び少なくとも1個の出力側伝達要素の間で駆動軸アセンブリからの駆動運動を出力軸に伝達するための作動結合は、少なくとも1個の駆動側伝達要素が駆動軸アセンブリの第1回転軸線周りに完全に回転するときに所定時間だけ生じる。このように、本実施形態との関連で上述した特徴は、以下に記載する実施形態にも適用可能かつ組み合わせ可能である。
この実施形態に従えば、医療用器具、特に歯科用又は外科用器具を振動回転運動させるための(機械的)駆動装置が設けられる。この振動回転運動では、器具を、第1回転方向に第1回転角だけ回転させると共に、第1回転方向とは実質的に異なる第2回転方向に第2回転角だけ交互に回転させ、第1回転角及び第2回転角を好適には互いに異ならせて、器具を、第1及び第2回転方向に複数回、連続的に回転させれば、所望方向への累積的な回転運動が生じる構成とする。この場合に上記駆動装置は、第1回転軸線周りに回転すると共に、駆動運動、特に単方向回転運動を伝達するよう構成される駆動軸と、振動回転運動を生じるよう構成され、かつ第2軸線周りに回転可能な出力軸と、駆動軸を出力軸に結合すると共に、出力軸及びこの出力軸に結合可能な器具に振動回転運動を生じさせる伝達ユニットとを備える。この伝達ユニットは、偏心ピンを有する偏心ギヤユニットと、偏心ピン用の収容ユニットと、第2ギヤユニットを含む。駆動軸上には、偏心ピン又は偏心ピン用の収容ユニット及び第2ギヤユニットの駆動側要素が設けられ、この第2ギヤユニットの駆動側要素は、駆動軸の第1回転軸線と同心円状に配置される。
このように駆動装置は、有利には、駆動軸のみ、特に1個又は共通の駆動軸を備え、この駆動軸上に偏心ギヤユニットの(駆動側)伝達要素及び第2ギヤユニットの駆動側要素が固定される。従って、偏心ギヤユニットの(駆動側)伝達要素及び第2ギヤユニットの駆動側要素は、好適には、駆動軸により回転させることができる。
偏心ギヤユニットの偏心ピンは、好適には、駆動軸上に設けられ、特に好適には、駆動軸の自由端又は端部に設けられる。特に好適には、偏心ピンは、駆動軸と一体的に形成される。この偏心ピンは、好適には、駆動軸により、第1軌道上に沿って回転させることができる。これら好適な実施形態は、上述した偏心ピンの実施形態にも適用可能である。
偏心ピン用の収容ユニットは、好適には、出力軸上に設けられ、特に好適には、出力軸の第2回転軸線周りに同心円状に配置される。
偏心ギヤユニットの収容ユニットは、好適には、互いに分離した複数個の収容要素を含み、偏心ピンがこれら収容要素に順次に係合する。特に好適には、各収容要素は、出力軸又は第2回転軸線から特に半径方向に突出した突起を有する。特に好適には、各収容要素、特に各突起は、偏心ピンが係合することのできる少なくとも1つのガイド又は溝を有する。特に好適には、各収容要素、特に各ガイド又は溝により、これらガイド又は溝の少なくとも1つに偏心ピンが係合したときに、出力軸及びこの出力軸に結合した任意の器具が第1又は第2回転方向に回転を生じる。
特に好適には、各収容要素は、突出したこれら収容要素の間に形成される切欠き又は凹部によって互いに分離させる。特に好適には、切欠き又は凹部は、偏心ピンがこれら切欠き又は凹部を通過し、収容要素に順次に係合できるよう配置される。
各収容要素における上記少なくとも1つの溝又はガイドは、好適には、互いに角度付きで配置・結合される複数の溝セクションを有する。特に好適には、上記少なくとも1つの溝又はガイドは、少なくとも1つのセクション、特に出力軸の第2回転軸線とほぼ平行に配置される少なくとも1つのセクションを有し、このセクションを起点として、第1アームが第1方向に延び、第2アームが第2方向に延び、更には特に第3アームが第3方向に延びる。この場合、これら第1,第2及び第3方向は、それぞれ異なる方向である。
各収容要素、特に各収容要素における上記少なくとも1つの溝又はガイドは、偏心ピンが進入する入口開口と、偏心ピンが脱出する出口開口とを有する。特に好適には、入口開口及び出口開口は互いに離間させ、特に互いに収容要素の反対側に配置される。特に好適には、第1収容要素の入口開口は、第2収容要素の出口開口のほぼ反対側に配置され、特にこれら2つの収容要素の間の切欠き又は凹部によって分離させる。
第2ギヤユニットは、好適には、出力軸に設けられ、かつ第2回転軸線周りに同心円状に配置される出力側要素を含む。この場合、第2ギヤユニットの駆動側要素及び出力側要素を作動振動回転運動ことにより、駆動軸からの駆動運動を出力軸に伝達することができる。特に好適には、第2ギヤユニットの出力側要素は、偏心ギヤユニットの出力側要素、特に偏心ピン用の収容ユニットから(第2回転軸線に対して)軸線方向に離間させる。
第2ギヤユニットの駆動側要素と、駆動側要素、特に偏心ギヤユニットの偏心ピンは、好適には、互いに離間して配置されることにより、第2ギヤユニットの駆動側要素は、第2ギヤユニットの出力側要素にだけ結合し、また偏心ギヤユニットの駆動側要素は、偏心ギヤユニットの出力側要素にだけ結合し、駆動運動を伝達する作動結合が生じる。第2ギヤユニットの出力側要素と、出力側要素、特に偏心ギヤユニットが含む偏心ピン用の収容ユニットは、好適には、互いに離間して配置されることにより、第2ギヤユニットの駆動側要素だけが出力軸に結合し、また偏心ギヤユニットの駆動側要素は、偏心ギヤユニットの出力側要素にだけ結合し、駆動運動を伝達する作動結合が生じる。
第2ギヤユニットの駆動側要素及び/又は出力側要素は、好適には、駆動側要素及び出力側要素の間で、駆動軸からの駆動運動を出力軸に伝達するための作動結合が、第1回転軸線周りに駆動側要素が一回転するときに所定時間だけ生じるよう構成される。特に好適には、同様のことが偏心ギヤユニットにも当てはまる。即ち、駆動側要素、特に偏心ピン及び/又は偏心ギヤユニットの出力側要素、特に偏心ピン用の収容ユニット又は収容要素は、駆動側要素及び出力側要素の間で、駆動軸からの駆動運動を出力軸に伝達するための作動結合が、第1回転軸線周りに駆動側要素が一回転するときに所定時間だけ生じるよう構成される。
駆動側又は出力側要素は、好適には、出力側要素又は駆動側要素に作動結合できることにより、駆動軸からの駆動運動を出力軸に伝達可能な第1セクションと、駆動側伝達要素及び出力側要素の間の作動結合が解除される第2セクションとを含み、この第2セクションにより、駆動軸からの駆動運動が出力軸に伝達されることがない。このような構成は、例えば第2ギヤユニットの駆動側又は出力側要素に適用される。この場合、特に好適には、出力側要素は歯車又はピニオンとして構成され、駆動側要素の第1セクションには歯、特に円弧状部に歯が形成され、また駆動側要素の第2セクションには歯が形成されず、平坦面として形成される。歯が設けられる第1セクションは、歯が設けられない第2セクション上で、出力側歯車方向に突出している。代替的には、駆動側要素を歯車又はピニオンとして構成し、出力側要素が第1及び第2セクションを有するものとしてもよい。
第2ギヤユニットの駆動側要素は、好適には、駆動軸上に設けられ、やはり駆動軸上又は偏心ピン用の収容ユニットに配置される偏心ピンを包囲する。特に駆動側要素は、駆動軸の第1回転軸線よりも、偏心ピン又は収容ユニット近傍に配置される。これにより、有利には、特にコンパクトな構成とすることが可能である。
第2ギヤユニットは、好適には、形状係合的ユニット、特に歯付きギヤユニット、摩擦係合的ギヤユニット、又は磁気ギヤユニットとして構成される。
摩擦係合的ギヤユニットとして構成される第2ギヤユニットは、好適には、駆動側及び出力側要素を含む。この場合、何れの要素も、互いに接触させることのできる摩擦係合面を有する。特に駆動側又は出力側要素は、出力側要素又は駆動側要素に作動結合できることにより、駆動軸からの駆動運動を出力軸に伝達可能な第1セクションと、駆動側伝達要素及び出力側要素の間の作動結合が解除される第2セクションとを含み、この第2セクションにより、駆動軸からの駆動運動が出力軸に伝達されることがない。特に好適には、第1セクションは、例えば平坦面として構成される第2セクション上で突出する、少なくとも1つの摩擦係合面を有するため、第1セクションの摩擦係合面だけが他方の要素の摩擦係合面に接触可能である。
磁気ギヤユニットとして構成される第2ギヤユニットは、好適には、駆動側及び出力側要素を含む。この場合、何れの要素も、磁気領域又は磁気要素、特に永久磁石を有する。特に駆動側又は出力側要素は、出力側要素又は駆動側要素に作動結合できることにより、駆動軸からの駆動運動を出力軸に伝達可能な第1セクションと、駆動側伝達要素及び出力側要素の間の作動結合が解除される第2セクションとを含み、この第2セクションにより、駆動軸からの駆動運動が出力軸に伝達されることがない。特に好適には、第1セクションは、少なくとも1つの磁気領域又は磁気要素を有し、第2セクションは、特に少なくとも1つの非磁気領域又は(第1セクションの磁気領域に比べて)磁力がより小さい領域若しくは磁気要素が設けられない領域を有する。特に好適には、第1セクションは、第2セクション上で、第2要素の磁気領域方向に突出している。
第2ギヤユニットは、好適には、器具を実質的に第1回転方向に回転させるよう構成され、偏心ギヤユニットは、器具を実質的に第2回転方向に回転させるよう構成される。
伝達ユニットは、好適には、第2ギヤユニット又は偏心ギヤユニットが、駆動軸からの駆動運動を出力軸に交互に伝達するよう構成される。
医療用器具、特に歯科用又は外科用治療装置、好適には歯内治療用として構成された医療用又は歯科用若しくは外科用ハンドグリップ要素は、駆動装置を備える。この駆動装置は、治療装置の駆動軸を出力軸に結合すると共に、出力軸及びこの出力軸に結合可能な器具に振動回転運動を生じさせる伝達ユニットを備える。この伝達ユニットは、偏心ピンを有する偏心ギヤユニットと、偏心ピン用の収容ユニットと、第2ギヤユニットを含む。駆動軸上には、偏心ピン又は偏心ピン用の収容ユニット及び第2ギヤユニットの駆動側要素が設けられ、この第2ギヤユニットの駆動側要素は、駆動軸の第1回転軸線と同心円状に配置される。
特に好適には、上記治療装置、好適にはハンドグリップ要素は、器具用の器具保持装置を含むヘッド部を備える。一実施形態に従えば、この器具保持装置の少なくとも一部は、出力軸内に配置される。
他の実施形態において提供される医療用又は歯科用若しくは外科用治療装置、好適には歯内治療用として構成された医療用器具、特に歯科用又は外科用ハンドグリップ要素は、医療用又は歯科用若しくは外科用の(機械的)駆動装置を備える。この駆動装置により、器具に振動回転運動が生じる。駆動装置は、第1回転軸線周りに回転すると共に、単方向回転運動を伝達するよう構成される駆動軸と、器具を振動回転運動させ、かつ第2軸線周りに回転可能な出力軸と、駆動軸を出力軸に結合するギヤユニットとを備える。このギヤユニットは、相互に係合する複数個の歯車と、これら歯車に作動結合される偏心ピンを含む。偏心ピンは、駆動軸の第1回転軸線に対して偏心状に駆動軸)に結合されることにより回転可能である。駆動装置は更に、互いに角度付きで配置される第1キャリアユニット及び第2キャリアユニットを備える。これら第1及び第2キャリアユニットは、互いに移動可能として、2個のキャリアユニットが形成する角度を可変とする。
上記駆動装置は、遊星歯車及び偏心ギヤユニットを備える既知の駆動装置に比べて、構成要素がより少ないために簡略化されており、所要スペースがより小さい。
第1キャリアユニット及び第2キャリアユニットは、好適には、例えば軸によって互いに移動可能に結合される。これら第1キャリアユニット及び第2キャリアユニットにより、特に好適には、継手又は継手結合部が形成される。2個のキャリアユニット又は継手結合部は、特にギヤユニット又は駆動装置の作動時に、所定の軌道上を移動するか又は所定の軌道上で移動可能に構成される。
1個のキャリアユニット、特に1個のキャリアユニットの端部は、好適には、偏心ピン上に直接に設けられるか及び/又は偏心ピン上に移動可能若しくは回転可能に結合される。従って、特に好適には、2個のキャリアユニット又は継手結合部が移動する上記軌道及び/又は2個のキャリアユニットの相対運動は、偏心ピンの運動又は軌道によって規定される。
第1キャリアユニット及び第2キャリアユニットは、好適には、軸によって(機械的に)結合される。この場合、特に好適には、複数個の歯車の少なくとも1個は、この軸上に配置される。これにより、有利には、ギヤユニットをよりコンパクトに構成することができる。特に好適には、上記軸上に配置される歯車は、少なくとも2個の他の歯車に係合させる。特に好適には、上記軸上に配置される歯車及び2個のキャリアユニットの少なくとも1個は互いに移動可能に構成されるか、及び/又は、上記軸上の歯車は2個のキャリアユニットの少なくとも1個に対して回転可能に構成される。好適には、第1キャリアユニット及び第2キャリアユニットは、これらユニットの一方の端部にて互いに結合される。
2個のキャリアユニットの少なくとも1個は、好適には、細長及び/又はロッド状及び/又はプレート状の形状を有する。少なくとも1個のキャリアユニットは、好適には、例えば偏心ピン、2個のキャリアユニット用の結合軸、又は複数個の歯車の1個が配置される軸を保持する、少なくとも1つの孔又はレセプタクルを有する。
2個のキャリアユニットは、好適には、(駆動軸の第1回転軸線又は出力軸の第2回転軸線に対して)軸線方向に互いにずらせるか又は重ねて配置される。これら2個のキャリアユニットは、好適には、互いにほぼ平行な1つ又は2つの平面内に配置される。これら平面は、第1回転軸線及び/又は第2回転軸線に対してほぼ直交する。上記2個のキャリアユニットは、好適には、装置の作動時に、互いにほぼ平行な1つ又は2つの平面内を移動する。これら平面は、第1回転軸線及び/又は第2回転軸線に対してほぼ直交する。
少なくとも1個のキャリアユニットは、好適には、出力軸上に配置される歯車に直接に結合される。
ギヤユニットは、好適には、互いに係合する3個又は4個の歯車を含む。このギヤユニットにより、好適には回転数、特に好適には駆動軸によって伝達される回転数を変化、とりわけ減少させることもできる。複数個の歯車の1個は、好適には、平歯車として構成され、特に好適には、歯車の幾つかは、ほぼ平行な中心又は回転軸線を有し、及び/又は、平歯車ギヤユニットを構成する。各歯車は、好適には他と分離した軸を有し、これら軸上に回転可能に固定及び/又は支持される。複数個の歯車の少なくとも1個は、好適には、第1回転軸線又は第2回転軸線に対して変位可能であるため、上記少なくとも1個の歯車及び第1回転軸線又は第2回転軸線の間の距離を可変とする。
複数個の歯車のうち第1歯車は、好適には、偏心ピンに回転不能に結合される。特に好適には、この第1歯車は、偏心ピンの軌道に沿って移動するよう配置される。特に好適には、第1歯車は、特に自らの中心軸線周りに回転することなく、駆動軸の第1回転軸線周りに回転するよう構成又は配置される。特に好適には、偏心ピンに回転不能に結合される第1歯車は、以下の要素、即ち出力軸、出力軸の第2回転軸線、出力軸上に配置及び/又は固定される歯車、少なくとも1個のキャリアユニット、第1回転軸線及び第2回転軸線に対して距離が一定である少なくとも1個の歯車に対して変位可能として、第1歯車及びこれら要素の間の距離を可変とする。
好適には、偏心ピンに回転不能に結合される第1歯車に係合する第2歯車が設けられる。この第2歯車は、好適には、キャリア要素の少なくとも1個に設けられる軸上に配置されるか、又は2個のキャリア要素を(機械的に)結合する軸上に配置される。第2歯車は、好適には、配置される軸上又はその回転軸線上で回転できるか、及び/又は、2個のキャリア要素の少なくとも1個に対して回転できる。特に好適には、第2歯車は、駆動軸及び/又は駆動軸の第1回転軸線に対して変位できるため、第2歯車及び駆動軸及び/又は第1回転軸線の間の距離は可変である。第2歯車及び第1歯車の間の距離、及び/又は、第2歯車及び第2歯車に係合する他の歯車の間の距離、及び/又は、第2歯車及び第1回転軸線並びに第2回転軸線に対して間隔が一定である歯車の間の距離、及び/又は、第2歯車の中心又は回転軸線及び上述した他の歯車の中心又は回転軸線の間の距離は、好適には一定である。
第2歯車は、好適には、ほぼ円弧状の軌道に沿って前後に移動できるよう配置される。この軌道は、好適には、駆動軸及び出力軸の間に配置されると共に、駆動軸及び/又は出力軸に対してほぼ直交する平面内に配置される。
好適には、第1回転軸線及び第2回転軸線に対して距離が一定である少なくとも第3歯車が設けられる。この歯車は、好適には、第2歯車に係合する。第2歯車又はその回転軸線に対する第3歯車又はその回転軸線の距離は、好適には一定である。第1歯車又はその回転軸線に対する第3歯車又はその回転軸線の距離は、好適には可変である。第3歯車は、好適には、出力軸上に回転不能に配置及び/又は固定される。代替的には、第3歯車は、出力軸上に回転不能に固定される第4歯車に結合させるか又は係合させる。第3歯車は、好適には、2個のキャリア要素の少なくとも1個に設けられ、特に回転可能である。
少なくとも1個の歯車は、好適には、他の歯車に対して変位可能であるため、これら2個の歯車の間の距離は可変である。特に好適には、互いに距離を異ならせることのできる2個の歯車とは、第1歯車及び第3歯車である。特に好適には、互いに距離を異ならせることのできる2個の歯車は、(第1及び/又は第2回転軸線に対して)軸線方向に互いにずらせて配置されるため、これら2個の歯車は、駆動装置の作動時に、軸線方向において部分的にオーバーラップする位置に少なくとも一時的に移動可能である。これにより、ギヤによって生じる振動回転運動に際して、一方の回転方向(特に所望方向又は作業方向)に関して有利な回転角、例えば100°を超える回転角、好適には120°を超える回転角、特に約150°の回転角を得ることが可能である。
互いに距離を異ならせることのできる2個の歯車は、好適には、互いにほぼ平行な平面内に配置される。この場合、これら平面は、第1回転軸線及び/又は第2回転軸線に対して角度付き、特にほぼ直交する。これら2つの平面は、好適には、(第1回転軸線又は第2回転軸線に対して)軸線方向に互いにずらせてある。複数個の歯車のうち、互いに距離を異ならせることのできる少なくとも1個の歯車、例えば第1歯車は、好適には、ギヤユニットの作動時に、上記平面内の1つにて、互いに距離を異ならせることのできる他の歯車、例えば第3歯車に対して移動可能である。
互いに距離を異ならせることのできる2個の歯車の一方、特に第3歯車は、好適には、キャリア要素の一方に回転可能に結合される。この場合、歯車及びキャリア要素は互いに離間させるため、2個の歯車の他方(第1歯車)及び/又は(偏心ピンに設けられる)他方のキャリア要素は、駆動装置の作動時に、歯車及び歯車に結合されるキャリア要素の間で少なくとも一時的に回転可能に移動可能である。特に好適には、互いに距離を異ならせることのできる2個の歯車の一方、特に第3歯車及びキャリア要素の一方の間にはスペースが設けられるため、互いに距離を異ならせることのできる歯車の他方、特に第1歯車及び/又はキャリア要素の他方は、駆動装置の作動時に、上記スペース内に少なくとも部分的かつ一時的に移動可能である。
第1歯車及び第2歯車は、好適には、第1キャリア要素に設けられる。特に好適には、第1歯車及び第2歯車の距離は一定である。第3歯車は、好適には、第2キャリア要素に設けられる。特に好適には、第2歯車及び第3歯車の距離は一定である。
キャリア要素及び歯車の少なくとも幾つかによって形成されるキャリア要素又は継手結合部により、好適には、継手結合部の運動により歯車が変位するユニットが形成されるため、特に上述したように、歯車は、軌道に沿って又は平面内で変位させることができ及び/又は歯車の互いの距離を異ならせることができる。継手結合部又はユニットは、好適には、特に出力軸の第2回転軸線に配置されるか又は第2回転軸線と同一のピボット点若しくは回転軸線を有する。キャリア要素又は継手結合部は、特にその運動、とりわけ偏心ピンによって生じる運動により、器具又は器具保持装置を振動回転運動に際して第2回転方向(特に戻り方向)に回転させるよう構成される。
ギヤユニットは、好適には、駆動軸上及び/又は出力軸上に設けられた軸受、とりわけローラ軸受又はボール軸受によって支持される。このギヤユニットは、好適には、金属及び/又はプラスチックで構成される。
一実施形態において、治療装置又はハンドグリップ要素は、器具用の器具保持装置を含むヘッド部と、このヘッド部に隣接するグリップ部とを備える。この場合、駆動装置は、グリップ部、特にグリップ部の曲げ部領域に設けられる。器具保持装置及びギヤユニットは、好適には、例えば出力軸によって互いに機械的に結合することにより、ギヤユニットが生じる振動回転運動を器具保持装置に伝達可能とする。
以下、本発明を好適な実施形態及び添付図面に基づいて説明する。
図1〜図7及び図9〜図16に示す医療用、特に歯科用又は外科用駆動装置100; 200; 300; 500; 600; 700; 800は、器具が振動回転運動するよう構成されている。ここに「振動回転運動」とは、器具を、第1回転方向に第1回転角だけ回転させると共に、第1回転方向とは実質的に異なる第2回転方向に第2回転角だけ交互に回転させる運動を指す。第1及び第2回転角を互いに異ならせて、器具を、第1及び第2回転方向に複数回、連続的に回転させれば、所望方向への累積的な回転運動が生じる構成とする。駆動装置100; 200; 300; 500; 600; 700; 800に結合可能な器具は、好適にはファイルなどの歯内用器具、特に根管治療用器具である。
駆動装置100; 200; 300; 500; 600; 700; 800は、第1回転軸線1周りに回転すると共に、駆動運動、特に単方向回転運動を伝達する駆動軸アセンブリ501,601,701及び/又は駆動軸101; 201; 301; 501A; 601A; 701A; 801と、振動回転運動を生じ、かつ第2軸線2周りに回転可能な出力軸102; 202; 302; 502; 602; 702; 802と、駆動軸又は駆動軸アセンブリ501; 601; 701; 101; 201; 301; 501A; 601A; 701A; 801を出力軸102; 202; 302; 502; 602; 702; 802に(機械的に)結合する偏心ギヤユニット103; 203; 303; 503; 603; 703; 803とを備える。駆動軸又は駆動軸アセンブリ501; 601; 701; 101; 201; 301; 501A; 601A; 701A; 801は、特に電気モータなどの駆動ユニットに接続されている。駆動軸又は駆動軸アセンブリ501; 601; 701; 101; 201; 301; 501A; 601A; 701A; 801は、軸受115により、好適には、特に治療装置150; 250; 350; 550内で又はハンドグリップ要素150A; 250A; 350A; 550A内で支持されている。
偏心ギヤユニット103; 203; 303; 503; 603; 703; 803は、少なくとも1個の偏心ピン104; 204, 205; 304, 305; 505; 605; 705; 805と、この偏心ピン104; 204, 205; 304, 305; 505; 605; 705; 805用の少なくとも1個の収容ユニット又はキャリアユニット106; 206, 207; 306; 507; 607; 707; 806とを含む。これら、偏心ピン104; 204, 205; 304, 305; 505; 605; 705; 805及び収容又はキャリアユニット106; 206, 207; 306; 507; 607; 707; 806は互いに協働することにより、出力軸102; 202; 302; 502; 602; 702; 802及びこの出力軸102; 202; 302; 502; 602; 702; 802に結合可能な器具に振動回転運動を生じさせることができる。異なる実施形態に応じて、偏心ギヤユニット103; 203; 303; 803は単独で、又は偏心ギヤユニット503; 603; 703は第2ギヤユニット531; 631; 731と共に、出力軸102; 202; 302; 502; 602; 702; 802及びこの出力軸102; 202; 302; 502; 602; 702; 802に結合可能な器具に振動回転運動を生じさせることができる。
上記偏心ピン104; 204, 205; 304, 305; 505; 605; 705; 805は、駆動軸又は駆動軸アセンブリ501; 601; 701; 101; 201; 301; 501A; 601A; 701A; 801の端面116; 216; 316; 516; 816上に設けられている。この場合に端面116; 216; 316; 516; 816は、特に出力軸102; 202; 302; 502; 602; 702; 802を指向している。上記少なくとも1個の偏心ピン104; 204, 205; 304, 305; 505, 605; 705; 805又は複数個の偏心ピン204, 205; 304, 305の少なくとも1個は、好適には、端面116; 216; 316; 516; 816の外縁部又は外縁部近傍に配置されている。端面116; 216; 316; 516; 816は、駆動軸又は駆動軸アセンブリ501; 601; 701; 101; 201; 301; 501A; 601A; 701A; 801に比べて、外径をより大きくするのが好適である。
偏心ピン104; 204, 205; 304, 305; 505, 605; 705; 805用の収容ユニット又はキャリアユニット106; 206, 207; 306; 507; 607; 707; 806は、好適には、出力軸102; 202; 302; 502; 602; 702; 802上に設けられ、特に出力軸102; 202; 302; 502; 602; 702; 802と一体的に形成されている。収容ユニット又はキャリアユニット106; 206, 207; 306; 507; 607; 707; 806、及び/又は、この収容ユニット又はキャリアユニット106; 206, 207; 306; 507; 607; 707; 806上に設けられた少なくとも1つのトラック108; 808又は少なくとも1つの溝209, 210; 508は、出力軸102; 202; 302; 502; 602; 702; 802を円形状又は円弧状に包囲し、又は第2回転軸線2に対して略同心円状に配置されている。
出力軸102; 202; 502; 602; 702; 802は、好適には中空軸として構成され、その内部には、器具の少なくとも一部及び/又は器具保持装置152, 252, 552の少なくとも一部が保持可能である。出力軸102; 202; 502; 602; 702; 802及びこの出力軸102; 202; 502; 602; 702; 802に回転不能に結合された要素、例えば収容ユニット若しくはキャリアユニット106; 206, 207; 507; 607; 707; 806又は器具保持装置152; 252; 552は、治療装置150; 250; 550又はハンドグリップ要素150A; 250A; 550Aのヘッド部151; 251; 551に配置された少なくとも1個の軸受によって移動可能又は回転可能である。
図8は、駆動装置100; 200; 300; 500; 600; 700; 800又は伝達ユニット530; 630; 730又は偏心ギヤユニット103; 203; 303; 803によって生じ、出力軸102; 202; 302; 502; 602; 702; 802、及び/又は、出力軸102; 202; 302; 502; 602; 702; 802に結合された器具に伝達される振動回転運動を示す。この場合、出力軸102; 202; 302; 502; 602; 702; 802又は器具は、第1回転方向3(例えば器具が根管物質、好適には組織を除去する所望方向又は作業方向)に第1回転角だけ回転すると共に、第1回転方向3とは実質的に異なる第2回転方向4(所望方向又は作業方向とは逆方向、例えば戻り方向と称され、特に除去された物質が器具によって搬送される方向)に第2回転角だけ回転する。この場合、第1回転角及び第2回転角は異なる値を有する。図示の実施形態において、第1回転方向3への回転角は約150°であり、第2回転方向への回転角は約30°である。この値は、回転角が例えば45°及び20°、180°及び90°、270°及び90°などであれば他の任意のものであってもよい。また、図示の回転方向は例示にすぎず、第1および第2の回転方向3,4を逆にすることもできる。この場合、第1回転方向3は反時計回りになり、第2回転方向4は時計回りになる。言うまでもなくこれら回転方向3,4における回転角を互いに同一の値、例えば約90°、180°又は360°とすることもできる。
駆動軸102; 202; 302; 502; 602; 702; 802の振動回転運動は、例えば振動数が約3〜50 Hzの範囲内、好適には約5〜20 Hz、特に約10 Hzの範囲内にある。
図4、図7、図10及び図12は、医療用、特に歯科用又は外科用治療装置150, 250, 350, 550、及び/又は、ハンドグリップ要素150A, 250A, 350A, 550Aが備える駆動装置100; 200; 300; 500又は偏心ギヤユニット103; 203; 303; 503又は伝達ユニット530を示す。治療装置150, 250, 350, 550及び/又はハンドグリップ要素150A; 250A; 350A; 550Aは、好適には、ヘッド部151; 251; 551を含む角度付きハンドピースと、このハンドピースに隣接するグリップ部153; 253; 353; 553とを備える。ヘッド部151; 251; 551には、例えば、器具保持装置152; 252; 552の少なくとも一部が配置された出力軸102; 202; 502と、偏心ギヤユニット103; 203; 303; 503の少なくとも一部、特に収容ユニット若しくはキャリアユニット106; 206; 306; 507又は伝達ユニットの一部530が配置されている。ヘッド部151; 251; 551の側部には器具保持開口154; 254; 554が設けられている。出力軸102; 202; 502及び/又は収容ユニット又はキャリアユニット106; 206; 507は、第2回転軸線2が第1回転軸線1に対して角度付きで配向されるようヘッド部151; 251; 551に保持されている。特に図10に示すように、駆動装置100; 200; 300; 500は、完全にグリップ部 353; 553内に配置するか、及び/又は、ヘッド部151; 251; 551又は器具保持装置152; 252; 552から離間させて配置することもできる。
図14及び図15に示す駆動装置600; 700又は伝達ユニット630; 730又は偏心ギヤユニット603; 703は、特に図12に示す駆動装置500又は伝達ユニット530と同様に治療装置150; 250; 350; 550及び/又はハンドグリップ要素150A; 250A; 350A; 550Aに組み込むことができる。図16に示す駆動装置800又は偏心ギヤユニット803は、特に図4に示す駆動装置100と同様に治療装置150; 250; 350; 550及び/又はハンドグリップ要素150A, 250A, 350A, 550Aに組み込むことができる。
以下、駆動装置100の更なる特徴について記載する(図1〜図4参照)。図1及び図2に示すように、駆動装置100又は偏心ギヤユニット103は、1個の偏心ピン104を備える。
収容ユニット又はキャリアユニット106は、偏心ピン104用に、特に自己完結トラック又はガイド108が設けられた円筒体106Aによって形成されている。この自己完結トラック又はガイド108は、特に円筒体106Aの外面又はシース面に設けられている。円筒体106Aにおいては、出力軸102が中央部又は長手方向軸線2を貫通している。
トラック又はガイド108は、波形状又は(第2回転軸線2に対して)軸線方向の上下に軌道が形成されるよう自己完結しており、このトラック又はガイド108の中央部に第2回転軸線2及び/又は出力軸102が配置されている。
図3は、例示的な溝状経路又はトラック108を示す。この場合、理解をより容易にするために、溝状経路若しくはトラック108又は円筒体106Aの他の表面は、二次元的に表している。収容ユニット106又はトラック108は、互いに角度付きに配置された複数のセクション109〜112を有する。これらセクション109〜112は、好適には、ほぼY字状パターンとして形成され、従って図3では、各アーム端で互いに結合されたY字状パターンが3つ確認できる。
偏心ピン104用の収容ユニット106又はトラック108は、好適には、少なくとも1つの第1セクション109,110,111を有する。これらセクション109〜111は、出力軸102が第1回転方向、特に所望方向又は作業方向に回転するよう形成される。収容ユニット106又はトラック108は更に、少なくとも1つの第2セクション112を有する。この第2セクションは、出力軸102が第2回転方向、特に所望方向とは実質的に逆方向又は戻り方向に回転するよう形成される。
第2セクション112は、好適には、第1セクション109〜111の少なくとも1つに隣接、特にこれら第1セクション109〜111の少なくとも一端に隣接するか、又は第2セクション112が2つの第1セクション109〜111を結合している。第2セクション112は、好適には、頂点領域又は(第2回転軸線2に対して)トラック108の垂直方向・軸線方向の外端領域に設けられている。第2セクション112は、好適には、少なくとも1つのサブセクション112Aを有し、出力軸112の第2回転軸線2とほぼ平行に配置されている。
偏心ピン104用の収容ユニット若しくはキャリアユニット106又はトラック108は、好適には、出力軸112の第2回転軸線2とほぼ平行に配置された少なくとも1つのセクション110を有し、特にこのセクション110を起点として、第1セクション又はアーム109が第1方向に延びると共に、第2セクション又はアーム111が第1方向とは異なる第2方向に延びている。セクション110は、その自由端又はセクション109〜111とは反対側の端部にて閉鎖する構成とするか(図3参照)、又は開放する構成とし、及び/又は、開口を有する構成とすることができる(図1及び図2参照)。セクション110は、好適には、トラック108の頂点領域又は下側領域に配置されるため、特にセクション110,112は、(第2回転軸線2に対して)互いにトラック108の垂直方向又は軸線方向の端部領域に位置している。
第1アーム109は、第1エッジ109Aを含み、また第2アーム111は、第2エッジ111Aを含むのが好適である。この場合にこれらエッジ109A,111Aは、接点113で合流している。この接点113は、中心軸102の第2軸線周り2と平行に配置されたセクション110の中心軸線114から離間している。接点113は、特に中心軸線114の側方に配置されるか、又は中心軸線に見て、セクション109,111方向にずらせて配置されている。接点113のこの配置により、偏心ピン104又は偏心ギヤユニット103における好適な運動方向が規定される。
2つのエッジ109A,111A及び更なるエッジ又は下側エッジ109B,111Bにより、セクション又はアーム109,111が画定される。この場合、特にエッジ109A,111Aは上側エッジであるか、又はエッジ109B,111Bに比べてセクション110から離れたエッジである。
上記セクション間のそれぞれの角度は、90°よりも大きいのが好適である。即ち、セクション110及びセクション109又は111の間の角度は、特に125°よりも大きく、セクション109及びセクション111の間の角度は、特に95°〜110°である。
以下、駆動装置200の更なる特徴について記載する(図5〜図7参照)。図示の実施形態において、駆動装置200又は偏心ギヤユニット203は、複数個、例えば2個の偏心ピン204,205を備える。第1偏心ピン204は、好適には、第1収容ユニット又はキャリアユニット206に割り当てられ、第2偏心ピン205は、第2収容ユニット又はキャリアユニット207に割り当てられている。第1偏心ピン204は、第1収容ユニット206に係合するか又は協働するよう構成され、第2偏心ピン205は、第2収容ユニット207に係合するか又は協働するよう構成されている。
第1偏心ピン204及び第2偏心ピン205は、駆動軸201の第1回転軸線1に対して距離を異ならせて配置されている。これら偏心ピン204,205は、好適には、第1回転軸線1に直交する共通の直線上に配置されている。
収容ユニット又はキャリアユニット206,207は、円形プレート又はディスクを含み、これらプレート又はディスクの外面又は外周面には、複数の溝209,210が設けられている。収容ユニット206,207は、出力軸202を特に円形状に包囲し、及び/又は、第2回転軸線2と同心円状に配置されている。この場合に第1収容ユニット206及び第2収容ユニット207は、好適には、凹部211によって互いに分離されている。
第1溝209及び第2溝210は、好適には、互いにずらせてあるため、第1溝209及び第2溝210が交互に設けられている。これら溝209,210は、好適には、第2回転軸線2に沿って延び、及び/又は、第2回転軸線2とほぼ平行に設けられている。少なくとも幾つかの溝209,210の底部は、好適には、第2回転軸線2方向に傾けてある。第1溝209及び第2溝210は、好適には、第2回転軸線2を円形状に包囲するよう配置されている。
偏心ギヤユニット203は、作動時に、第1偏心ピン204が第1収容ユニット206に、また第2偏心ピン205が第2収容ユニット207に交互に係合するよう構成されている。代替的又は付加的には、作動時における偏心ギヤユニット203は、一方の偏心ピン204,205が、対応する収容ユニット206,207に係合することにより出力軸202を回転させる間、他方の偏心ピン204,205が出力軸202の回転を生じさせない箇所に位置するよう構成されている。
以下、駆動装置300の更なる特徴について記載する(図9〜図11参照)。駆動装置300又は偏心ギヤユニット303は、複数個、例えば4個、6個又は8個の偏心ピン304,305を備える。特に図9に示すように、これら複数個の偏心ピン304,305の少なくとも2個は、駆動軸301の第1回転軸線1及び/又は出力軸302の第2回転軸線2に対して(半径方向に)距離を異ならせて配置されている。特に、2個の偏心ピン304は、実質的に端面316の外側エッジ又は外周に設けられるのに対して、他の2個の偏心ピン305は、端面の中央部方向にずらせて配置されているか、又は第1回転軸線1方向に配置されている。回転軸線1,2に対して距離を異ならせて配置された偏心ピン304,305は、特に好適には、互いにずらせて又は角度付きで配置されており、特に、偏心ピン304から回転軸線1又は2に延びる直線と、偏心ピン305から回転軸線1又は2に延びる直線とが0°よりも大きな角度を含むよう配置されている。
特に図11に示すように、これら複数個の偏心ピン304,305の少なくとも2個は、互いに離間させた軌道320,321上で移動することができる。これら2つの軌道320,321は特に共通の中心点を有する。この中心点は、好適には、出力軸301の断面において第1回転軸線1によって規定されるか、又は上記断面を通るよう延びる第1回転軸線1によって規定される。これら2つの軌道320,321は、中心点又は第1回転軸線1に対して特に異なる半径を有する。
キャリアユニット306は、1個のタペット306Aを含み、このタペット306Aには特に全ての偏心ピン304,305が割り当てられている。偏心ピン304,305は、特にタペット306Aに交互に係合し及び/又は交互に接触する。タペット306Aは、特に互いに分離された複数のセクション307を有し、これらセクション307に偏心ピン304,305が係合する。各セクション307は、チャンバ又は出力軸302の表面から第2回転軸線2方向に延びる凹部として形成され、壁又は突起309によって互いに分離されている。キャリアユニット306又はタペット306Aは、特に出力軸302の一部として形成されているか、又は出力軸302と一体的に形成されている。キャリアユニット306又はタペット306Aの少なくとも壁又は突起309領域における外径は、特に出力軸302の外径とほぼ等しい。
特に図11に示すように、複数個の偏心ピン304,305の少なくとも2個が移動する軌道320,321上の間に、タペット306Aの少なくとも一部、特に分離されたセクション307の一部及び/又は壁又は突起309が配置されている。代替的又は付加的には、例えば第2回転軸線2と同一であるタペット306Aの回転軸線2が軌道320,321上の間に配置されている。
駆動装置300の機能については以下に記載する。駆動軸301が回転すると、第1回転軸線1から第1距離だけ離間させた偏心ピン305の少なくとも1個が軌道320上を移動すると共に、第1回転軸線1から第2距離だけ離間させた偏心ピン304の少なくとも1個が軌道321上を移動する。この場合の回転により、偏心ピン304,305がタペット306Aに係合し及び/又は接触する。これにより、タペット306Aが偏心ピン304,305によって回転する。上述したように、特に偏心ピン304の少なくとも1個及び偏心ピン305の少なくとも1個は互いにずらせて又は角度付きで配置されるため、これら偏心ピン304,305は、時間をずらせて又は異なる時点でタペット306Aに接触し、タペット306Aを動かす。上述したように、特にタペット306Aの少なくとも一部は軌道320,321の間に配置されるため、一方の偏心ピン304,305は、タペット306Aを一方の回転方向に回転させ、他方の偏心ピン304,305は、タペット306Aを逆の回転方向に回転させる。特に、回転軸線1,2に対して偏心ピン304,305が距離を異ならせて配置されるため、タペット306Aを一方の回転方向に移動する回転角と、逆の回転方向に移動する回転角とは異なる。従って、タペット306A及びタペット306Aに結合された出力軸302は、振動回転運動させることができる。この振動回転運動において、偏心ピン304は、タペット306Aを第1回転角で第1回転方向に回転させ、偏心ピン305は、タペット306Aを(第1回転角よりも小さな)第2回転角で(第1回転方向とは逆の)第2回転方向に回転させる。
図10は、治療装置350又はハンドグリップ要素350Aのグリップ部353を示す。この場合、駆動装置300又は偏心ギヤユニット303は、角度付きハンドピースとして構成されたハンドグリップ要素350Aにおけるグリップ部353の特に曲げ部又は角度付き部に収容されている。図10に示すように、キャリアユニット306又はタペット306Aが設けられた出力軸302は、駆動軸301に対して角度付きで配置するか、又は駆動軸301と平行に配置することができる。駆動軸301と平行に配置する場合、出力軸302は、好適には、駆動軸301及びこの駆動軸301に対して角度付きで配置された更なる軸の間における一種の中間駆動部として構成され、特にこれら2個の軸を作動的又は運動伝達的に結合する。
以下、駆動装置500; 600; 700の更なる特徴について記載する(図12〜図15参照)。
駆動装置500; 600; 700は、上述した偏心ギヤユニット503; 603; 703に加えて、第2ギヤユニット531; 631; 731を備え、これら2個のギヤは、好適には、駆動軸アセンブリ501; 601; 701又は駆動軸501A; 601A; 701Aからの駆動運動を出力軸502; 602; 702に伝達するための伝達ユニット530; 630; 730を構成している。この伝達ユニット530; 630; 730又は2個のギヤユニット503, 531; 603, 631; 703; 731により、出力軸502; 602; 702及び出力軸502; 602; 702に結合可能な器具が、異なる回転角又は等しい回転角で振動回転運動させるよう構成されている。
駆動装置500; 600; 700又は伝達ユニット530; 630; 730は、駆動側第1伝達要素504; 604; 704及び出力側第1伝達要素506; 606; 706を備える。この場合、駆動側第1伝達要素504; 604; 704は、駆動軸(ユニット)501; 601; 701; 501A; 601A; 701Aによって第1回転軸線1周りに回転させることができる。駆動側第1伝達要素504; 604; 704は、駆動軸501A; 601A; 701Aの第1回転軸線1と同心円状に配置されている。更に、駆動側第1伝達要素504; 604; 704及び出力側第1伝達要素506; 606; 706は、好適には、第2ギヤユニット531の少なくとも一部を構成している。
駆動装置500; 600; 700又は伝達ユニット530; 630; 730は更に、駆動側第2伝達要素505; 605; 705及び出力側第2伝達要素507; 607; 707を備える。駆動側第2伝達要素505; 605; 705及び出力側第2伝達要素507; 607; 707は、好適には、偏心ギヤユニットの少なくとも一部、特に偏心ギヤユニット503; 603; 703の少なくとも一部を構成している。ただし偏心ギヤユニットは、他の構成、例えば図5〜図7に示す偏心ギヤユニット204,206若しくは偏心ギヤユニット205,207として、又は他の任意の偏心ギヤユニットとして構成することができる。
偏心ギヤユニット503; 603; 703は、偏心要素又は偏心ピン505; 605; 705と、偏心要素又は偏心ピン503; 603; 703用の収容ユニット507; 607; 707を含む。偏心ピン505; 605; 705は、好適には、駆動軸501A; 601A; 701A上における駆動側第2伝達要素として構成され、収容ユニット507; 607; 707は、好適には、出力軸502; 602; 702上における出力側第2伝達要素として構成されている。偏心ギヤユニット503; 603; 703の構成は同一であるため、以下の偏心ギヤユニット503に関するより詳細な記載は、偏心ギヤユニット603; 703にも当てはまる。
偏心ギヤユニット503; 603; 703の収容ユニット507; 607; 707は、互いに分離された複数の収容要素507A,507B,507C; 607A, B; 707A, Bを含み、これらに偏心ピン505; 605; 705が順次に係合する。収容ユニット507; 607; 706は、好適には、2個〜5個、特に3個の収容要素507A〜C; 607A, B; 707A, Bを含む。
収容要素507A〜C; 607A, B; 707A, Bは、凹部522によって互いに分離されている。これら凹部522は、特に偏心ピン505; 605; 705が凹部522内で保持されるか、又は凹部522を通過するよう形成されている。凹部522の配置又は構成に関しては、偏心ピン505; 605; 705が凹部522内に保持される間は、偏心ギヤユニット503; 603; 703による結合が解除され、従って駆動軸アセンブリ501; 601; 701からの駆動運動が出力軸502; 602; 702に伝達されないのが好適である。特に好適には、偏心ピン505; 605; 705が凹部522内に保持される間は、第2ギヤユニット531; 631; 731が結合されることにより、駆動軸アセンブリ501; 601; 701からの駆動運動が出力軸502; 602; 702に伝達される。
各収容要素507A〜C; 607A, B; 707A, Bは、特に互いに角度付きで結合された複数の溝セクション509,510,511を有する、少なくとも1つの溝又はガイド部508を含む。このガイド部508は、偏心要素又は偏心ピン505; 605; 705を収容するよう構成されている。偏心ピン505; 605; 705が、溝508の少なくとも一部又は溝セクション509〜511の少なくとも一部と協働することにより、出力軸502; 602; 702が一方の回転方向3,4に回転する。
上記少なくとも1つの溝508は、好適には、少なくとも1つの溝セクション510を含む。この溝セクション510を起点として、第1アーム509が第1方向に延び、第2アームが(第1方向とは異なる)第2方向に延びている。これら溝セクション509〜511は、好適には、偏心ピン505; 605; 705の幾つか又は全てが係合するよう配置されている。
各収容要素507A〜C; 607A, B; 707A, B、又は各収容要素507A〜C; 607A, B; 707A, Bにおける少なくとも1つの溝508は、偏心ピン505; 605; 705が進入する入口開口520と、偏心ピン505; 605; 705が脱出する出口開口521とを有する。これら入口開口520及び出口開口521は、好適には互いに離間させ、特に互いに収容要素507A〜C; 607A, B; 707A, Bにおいて反対側に配置されている。
駆動軸アセンブリ501; 601; 701からの駆動運動を出力軸502; 602; 702に伝達するための作動結合は、駆動側第1伝達要素504; 604; 704と出力側第1伝達要素506; 606; 706、及び/又は、駆動側第2伝達要素(偏心ピン505; 605; 705)と出力側第2伝達要素(収容ユニット507; 607; 707)との間で、駆動軸アセンブリ501; 601; 701の第1回転軸線周り1に駆動側伝達要素504, 505; 604, 605; 704, 705が一回転するときに所定時間だけ生じる。伝達ユニット530は、好適には、第2ギヤユニット531; 631; 731の駆動側及び出力側第1伝達要素504, 506; 604, 606; 704, 706と、偏心ギヤユニット503; 603; 703の駆動側及び出力側第2伝達要素505, 507; 605, 607; 705, 707との間で、駆動軸アセンブリ501; 601; 701からの駆動運動を出力軸502; 602; 702に伝達するための作動結合を交互に又は時間をずらせて生じさせるよう構成されている。
偏心ギヤユニット503; 603; 703の駆動側及び出力側第2伝達要素505, 507; 605, 607; 705, 707の間の上記作動結合が、駆動側伝達要素504, 505; 604, 605; 704, 705が一回転するときに所定時間だけ生じるのは、上述したように、駆動側伝達要素(偏心ピン505; 605; 705)が凹部522内と、出力側第2伝達要素(収容ユニット507; 607; 707)内に交互に収容されるからである。
(531; 631; 731の)駆動側及び出力側第1伝達要素504, 506; 604, 606; 704, 706の間の上記作動結合が、駆動側伝達要素504, 505; 604, 605; 704, 705が一回転するときに所定時間だけ生じるのは、以下の特徴によるものである。即ち、駆動側第1伝達要素504; 604; 704の少なくとも1個又は出力側第1伝達要素506; 606; 706の少なくとも1個は、駆動軸アセンブリ501; 601; 701からの駆動運動を出力軸502; 602; 702に伝達可能な第1セクション504A; 606A; 704Aを有し、駆動側における対応の伝達要素604又は出力側伝達要素506; 706に作動結合することができる。更に、駆動側第1伝達要素504; 604; 704の少なくとも1個又は出力側第1伝達要素506; 606; 706の少なくとも1個は、駆動側伝達要素504; 604; 704及び出力側伝達要素506; 606; 706の間の上記作動結合が解除される第2セクション504B; 606B; 704Bを有し、これにより駆動軸アセンブリ501; 601; 701からの駆動運動が出力軸502; 602; 702に伝達されることがない。この場合に第1セクション504A; 606A; 704Aは、好適には、第2セクション504B; 606B; 704B上にて駆動側又は出力側伝達要素504, 506; 604, 606; 704, 706方向に突出し、第1セクション504A; 606A; 704Aがこれら伝達要素504, 506; 604, 606; 704, 706と共に作動結合を生じる。
図13〜図15に示すように、第2ギヤユニット531; 631; 731は、実施形態に応じて、異なる形式のギヤとして構成されている。例えば、図13に示す実施形態の第2ギヤユニット531は、形状係合的ギヤユニット、特に歯車によるギヤユニットとして構成されている。この歯車によるギヤユニットは、例えば出力側第1伝達要素506を形成する歯車と、円弧又は外周の一部に沿って歯が設けられ、例えば駆動側第1伝達要素504を形成する部分とを含む。従って、第1セクション504Aには、駆動側要素504の歯付き部分が配置され、第2セクション504Bには歯付き部分が配置されず、特に駆動側第1要素504の平坦部分として形成されている。
図14に示す第2ギヤユニット631は、摩擦係合的なギヤユニットとして構成されている。この摩擦係合的なギヤユニットは、例えば駆動側第1伝達要素604を形成し、かつ摩擦係合面623を有する第1摩擦要素と、例えば出力側第1伝達要素606を形成する第2摩擦要素とを含む。第1セクション606Aは、少なくとも1つの摩擦係合面624を有し、第2セクション606Bは、出力側第1伝達要素606上に例えば平坦面625を有する。第1セクション606Aの摩擦係合面624は、第2セクション606B上で、特に駆動側第1伝達要素604方向に突出しているため、駆動側第1伝達要素604の摩擦係合面623と接触させることができる。この摩擦係合面623は、好適には、駆動側第1伝達要素604の端面上又は摩擦係合面624を指向する側面に配置されている。摩擦係合面624は、好適には、出力側第1伝達要素606の外周面又は摩擦係合面623を指向する側面に配置されている。
図15に示す第2ギヤユニット731は、磁気ギヤユニットとして構成されている。この磁気ギヤユニットは、例えば1個以上の磁気要素によって構成された少なくとも1つの第1磁気領域を有する駆動側第1伝達要素704と、例えば1個以上の磁気要素によって構成された少なくとも第2磁気領域を有する出力側第1伝達要素706とを含む。第1セクション704は、駆動側第1伝達要素704における少なくとも1個の磁気領域を有する。第2セクション704Bは、例えば非磁気領域を有するか又は(磁気領域704に比べて)磁力がより小さい領域を有する。第1セクション704Aの磁気領域は、第2セクション704B上で、特に出力側第1伝達要素706方向に突出している。磁気領域704Aは、好適には、出力側第1伝達要素706が有する第2磁気領域を指向する駆動側第1伝達要素704に配置されている。出力側第1伝達要素706が有する第2磁気領域は、好適には、磁気領域704Aを指向する出力側第1伝達要素706の外周面又は側面に配置されている。
図16に示す駆動装置800は、図1〜図4に示す駆動装置100の変形である。従って駆動装置800は、以下の要素、即ち、第1回転軸線1周りに回転すると共に、駆動運動、特に単方向回転運動を伝達するよう構成された駆動軸801と、振動回転運動を生じるよう構成され、かつ第2回転軸線2周りに回転可能な出力軸802と、駆動軸801を出力軸802に結合する偏心ギヤユニット803とを備える。偏心ギヤユニット803は、少なくとも1個の偏心ピン805と、この偏心ピン用の少なくとも1個の収容又はキャリアユニット806を含む。これら偏心ピン805及び収容又はキャリアユニット806は互いに協働することにより、出力軸802及びこの出力軸802に結合可能な器具に振動回転運動を生じさせることができる。
このように駆動装置800は、1個のギヤユニット、特に1個の偏心ギヤユニット803だけを備える。この1個の偏心ギヤユニット803により、駆動軸801からの駆動運動、特に単方向回転運動が振動回転運動に変換される。
駆動装置800の他の好適な特徴については、駆動軸からの単方向回転運動を振動回転運動に変換するための1個のギヤユニット、特に1個の偏心ギヤユニットを備える上述した駆動装置、特に駆動装置100及び/又は図1〜図4に関する記載を参照されたい。駆動装置100及び/又は図1〜図4に関する特徴は、駆動装置800にも同様に適用可能であると共に、組み合わせ可能である。
駆動装置100及び駆動装置800の本質的な違いは、偏心ピン805用の収容ユニット806又はトラック若しくは溝808の構成や形状にある。偏心ピン805用の収容ユニット806は、好適には、第1回転軸線1又は第2回転軸線2を包囲するほぼ円筒状の表面806に設けられるか、又は第2回転軸線2を包囲する円筒体806Aの一部として構成されている。偏心ピン805用の保持又はキャリアユニット806は、好適には、第1回転軸線1又は第2回転軸線2を包囲する自己完結型(又は無端の)トラック又はガイド808を含む。特に好適には、収容ユニット806、とりわけトラック又はガイド808は、第1回転軸線1周り又は第2回転軸線2周りに、第1回転軸線1又は第2回転軸線2を包囲するほぼ円筒状の表面806A上で波形状又は曲線状に延びている。
偏心ピン805用の収容ユニット806又はトラック808は、互いに角度付きで配置・結合された複数のセクション809,810を含む。これらセクション809,810は、好適には、円筒体806Aの円筒状の表面をV字状又はジグザグ状に延びている。特にこの場合、セクション809が器具保持開口154; 254; 554方向に降下した後に、セクション809に隣接するセクション810が器具保持開口154; 254; 554から離れるように上昇しており、上下に交互に延びている。
偏心ピン805用の収容又はキャリアユニット806又は溝808は、好適には、出力軸2を第1回転方向に回転させる少なくとも1つの第1領域と、出力軸2を第2回転方向に回転させる第2領域とを含む。第1領域及び/又は第2領域は、任意で、互いに角度付きで配置された各セクション809,810と実質的に同一とすることができ、又はセクション809,810の一部だけを含むことができ、又は各セクション809,810の少なくとも一部を含むことができる。第1領域及び第2領域の長さは、異ならせることができる。特に、出力軸802を所望方向に回転運動させる領域は、出力軸802を所望方向とは逆方向に回転させる領域に比べてより長い。
図17及び図22に示す医療用器具、特に歯科用又は外科用器具のための駆動装置400; 400'は、器具が振動回転運動するよう構成されている。この振動回転運動とは、第1回転方向に第1回転角だけ回転させると共に、第1回転方向とは実質的に異なる第2回転方向に第2回転角だけ回転させる交互の回転運動を指す。第1及び第2回転角を互いに異ならせて、器具を、第1及び第2回転方向に複数回、連続的に回転させれば、所望方向への累積的な回転運動が生じる構成とする。駆動装置400; 400'に結合可能な器具は、好適にはファイルなどの歯内用器具、特に根管治療用器具である。
駆動装置400; 400'は、第1回転軸線1周りに回転し、かつ一方向回転運動を伝達するよう構成された駆動軸401と、振動回転運動を生じるよう構成され、かつ第2回転軸線2周りに回転可能な出力軸402と、駆動軸401を出力軸402に結合するギヤユニット403, 403'とを備える。駆動軸401は、電気モータなどの駆動ユニットに接続されている。駆動軸401は、好適には、軸受により、特に治療装置450内で又はハンドグリップ要素450A内で回転可能に支持されている。駆動装置400, 400'の少なくとも一部は、軸受スリーブ416内で保持又は支持されている。
ギヤユニット403, 403'は、駆動軸401に結合されるよう駆動軸401の端面上又はフランジ417上に設けられた偏心ピン404を含む。端面417は、特に出力軸402を指向している。偏心ピン404は、駆動軸401の第1回転軸線1に対して偏心状に配置され、駆動軸401によって回転可能である。少なくとも1個の偏心ピン404は、好適には、端面417の外縁部又は外縁部近傍に配置されている。端面417は、駆動軸401に比べて、外径を大きくするのが好適である。
ギヤユニット403, 403'は更に、互いに係合する複数個(少なくとも3個)の歯車407, 408, 409と、図17に示す実施形態では、付加的な第4歯車410を含む。これら歯車407〜410は、偏心ピン404に作動結合されているため、駆動軸401の回転運動は、歯車407〜410に伝達することができ、特にこれら歯車407〜410から出力軸402に伝達することができる。
駆動装置400, 400'又はギヤユニット403, 403'は更に、角度W1(図19参照)を形成する第1キャリア要素411及び第2キャリア要素412を備える。これら第1キャリア要素411及び第2キャリア要素412は互いに移動できるため、2個のキャリア要素411,412が形成する角度W1は可変とされている。キャリア要素411,412は、互いに回転できるよう軸413によって結合されている。キャリア要素411は、偏心ピン404に移動可能に結合され又は偏心ピン404に移動可能、特に回転可能に固定されている。
第1歯車407は、偏心ピン404に対して回転不能に結合又は固定されている。第2歯車408は、第1歯車407と係合すると共に、2個のキャリア要素411,412を結合する軸413に設けられている。第1歯車407及び第2歯車408は、第1キャリア要素411に割り当てられるか又は結合され、特に第1キャリア要素411に対して回転可能である。第3歯車409は、第2歯車408と係合している。この第3歯車409は、第2キャリア要素412に割り当てられるか又は結合され、第2キャリア要素412に対して回転可能である。
第3歯車409は、図18に示すように、出力軸402に対して回転不能に結合されている。代替的には、図17に示すように、第3歯車409と係合すると共に、出力軸402に対して回転不能に結合された第4歯車410を設けることができる。この第4歯車410及び/又は第4歯車410に結合された出力軸402は、ギヤユニット403又は駆動軸401又は第1回転軸線1に対して角度付きで配置されているため、ギヤユニット403は、特に医療用、歯科用又は外科用治療装置450、好適には医療用、特に歯科用又は外科用ハンドグリップ要素450Aのとりわけ曲げ部に組み込み可能である。
2個のキャリア要素411,412により、軸413上で移動可能な継手又は継手結合部418が形成され、ピボット又は回転軸線上で回転可能に支持されている。図18に従えば、ピボット又は回転軸線は、出力軸402の第2回転軸線2に配置されるか、又はこの第2回転軸線2と同一である。図17に従えば、第3歯車409は、軸419により、第2キャリア要素412と結合されている。この場合、継手418のピボットは、軸419の回転軸線に位置しているか、又は継手418の回転軸線は軸419の回転軸線と同一である。
継手418は、ギヤユニット403, 403'の作動中に移動可能であるため、第1歯車407及び第2歯車408は、駆動軸401及び/又は出力軸402に対してほぼ直交する平面内、及び/又は、端面417に対してほぼ平行な平面内で変位させることができる。特に、偏心ピン404に回転不能に結合された第1歯車407は、出力軸402の第2回転軸線2に対して変位させることができるため、第1歯車407及び第2回転軸線2の間の距離は異ならせることが可能である。特に、第2歯車408は、駆動軸401の第1回転軸線1に対して変位させることができるため、第2歯車408及び第1回転軸線1の間の距離は異ならせることが可能である。第1歯車407は更に、継手418により、第3歯車409に対して変位させることもできるため、これら歯車407,409の間の距離はやはり異ならせることが可能である。
これに対して、第1回転軸線1及び第2回転軸線2に対する第3歯車409及び(実施形態によっては)第4歯車410の距離は、一定である。特に、第3歯車409は、継手418の回転軸線と同心円状に配置されている。
特に図18に示すように、互いに距離を異ならせることのできる2個の歯車407,409は、(第1及び/又は第2回転軸線1,2に対して)軸線方向に互いにずらせて配置されているため、これら歯車407,409は、駆動装置400, 400'の作動時に、(第1及び/又は第2回転軸線1,2に対して)軸線方向に部分的にオーバーラップする位置に少なくとも一時的に移動可能である。即ち、第3歯車409及びキャリア要素412の間にスペース415が設けられているため、駆動装置400, 400'の作動時に少なくとも一時的に第1歯車407及び/又は第1歯車407が配置されたキャリア要素411が少なくとも部分的にスペース415内に移動可能である。図17に示すスペース415を設けるには、軸419は十分な長さを有する構成とすることにより、第3歯車409をキャリア要素112から十分に離間させ、これにより第1歯車407及び/又はキャリア要素411が第3歯車409及びキャリア要素412の間に収容される。図18に従えば、キャリア要素412には、突起又は角度付き要素412Aが設けられ、第3歯車409が結合されている。この突起412Aにより、第3歯車409をキャリア要素412から分離され、従ってスペース415が設けられている。
図23は、駆動装置400; 400'又はギヤユニット403によって生じさせ、出力軸402及び/又は出力軸402に結合可能な器具に伝達する振動回転運動を示す。この場合、出力軸又は器具は、第1回転方向3(例えば器具が根管物質、好適には組織を除去する所望方向又は作業方向)に第1回転角だけ回転すると共に、第1回転方向3とは実質的に異なる第2回転方向4(所望方向又は作業方向とは逆方向、例えば戻り方向と称され、特に除去された物質が器具によって搬送される方向)に第2回転角に亘って回転する。この場合、第1回転角及び第2回転角は異なる値を有する。図示の実施形態において、第1回転方向3への回転角は約150°であり、第2回転方向への回転角は約30°である。言うまでもなく、この値は、回転角が例えば45°及び20°、180°及び90°、270°及び90°などであれば他の任意のものであってもよい。また、図示の回転方向は例示的なものにすぎず、2つの回転方向3,4を逆にすることもできる。この場合、回転方向3は反時計回りになり、回転方向4は時計回りになる。
駆動軸の振動回転運動の振動数は、例えば約3〜50 Hzの範囲内、好適には約5〜20 Hz、特に約10 Hzの範囲内にある。
駆動装置400(及び対応する駆動装置400')の機能については、図19〜図21に基づいて説明する。偏心ピン404は、第1回転軸線1周りにトラック上を円形状に移動する。この場合に第1回転軸線1は、端面417上の偏心ピン404の位置によって規定されている。同様に、偏心ピン404上に回転不能に固定された第1歯車407は、(偏心ピン404に対して相対運動することなく)第1回転軸線1周りに軌道上を移動する。キャリア要素411の一端411Aも、偏心ピン404に設けられ又は回転可能に固定されているため、キャリア要素411、特にその一端441Aは、偏心要素の移動に追従し、自己完結トラック上を移動する。
駆動軸401によって伝達された(単方向の)回転運動は、互いに係合した歯車407〜409(実施形態によっては410も)を介して出力軸402に伝達される。駆動軸401が回転し、キャリア要素411の端部411Aが偏心ピン404に結合され、更にキャリア要素412がピボット又は回転軸線2に固定されることにより、2個のキャリア要素411,412は互いに対して移動することにより、特にこれらキャリア要素411,412によって形成された角度W1が変化する。キャリア要素411,412は、駆動軸401及び/又は出力軸402に対してほぼ直交する平面内で移動するよう規定されている。
キャリア要素411,412に設けられた歯車407,408は、キャリア要素411,412の移動に追従する。特に、第2歯車408は、上記平面内で移動するため、駆動軸401及び/又は駆動軸401の第1回転軸線1に対して移動可能である。これにより、第2歯車408と、駆動軸401及び/又は第1回転軸線1との間の距離が可変である。特に、第2歯車408は、継手418と同様に、好適には円弧状の軌道に沿って前後に移動可能に配置されている。図21は、この円弧状の軌道414の概略を示す。同図に明らかなように、円弧状の軌道414は、第3歯車409周りに配置されているか又は第3歯車409を円弧状に包囲しているため、第2歯車408及び継手418は、第3歯車409に対して平面内で前後に移動する。従って、第2歯車408及び継手418は、第3歯車409に対して一時的かつ反復的に移動し、これにより第2回転方向4(戻り方向)に運動が生じる。
図22は、医療用、特に歯科用若しくは外科用治療装置450内及び/又は医療用、特に歯科用若しくは外科用ハンドグリップ要素450A内に配置された駆動装置400'又はギヤユニット403'を示す。駆動装置400又はギヤユニット403は、治療装置450内又はハンドグリップ要素450A内に同様に配置することができる。治療装置450又はハンドグリップ要素450Aは、ヘッド部451及び隣接するグリップ部453を備える。ヘッド部451には、器具保持装置452が配置されている。ヘッド部451の側部には器具保持開口454が設けられている。駆動装置400', 400又はギヤユニット403', 403は、グリップ部453、特に角度付きハンドピースとして構成されたハンドグリップ要素450Aにおけるグリップ部453の曲げ部又は角度付き部に保持されている。図22に示すように、出力軸402は、駆動軸401に対して角度付きで配置するか、又は駆動軸401と平行に配置することができる。駆動軸401と平行に配置する場合、出力軸402は、好適には、駆動軸401及びこの駆動軸301に対して角度付きで配置された更なる軸の間における中間駆動部として構成され、特にこれら2個の軸を作動的又は運動伝達的に結合する。
本発明は、本明細書に記載した実施形態に限定されるものではなく、本発明の機能原理を適用するか又は含む全ての実施形態を包含するものである。特に、上述した全ての駆動装置は、ハンドグリップ要素に適用できるだけでなく、モータ、とりわけ空圧式駆動モータ、結合ユニット又はアダプタに適用することもできる。モータ、結合ユニット又はアダプタは、好適には、ハンドグリップ要素に着脱可能に結合することができる。これにより、振動回転運動を、ハンドグリップ要素、モータ、結合ユニット又はアダプタ、及びハンドグリップ内における少なくとも1個の駆動軸の間のインターフェースを介して、ハンドグリップ要素に保持された器具に伝達可能である。更に、各実施形態に関して記載・図示したそれぞれの特徴は、互いに組み合わせ可能である。