JP6522885B2 - 溶解パルプの製造法 - Google Patents

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Description

本発明は溶解パルプの製造方法に関する。
溶解パルプは化学パルプのなかで,とくに精製度が高くαセルロース含有量が90%以上のパルプとして知られる。この溶解パルプの製造にあたって、αセルロースの超高純度を得る際には、蒸煮法であっても冷アルカリ抽出を必要とする。
特許文献1は、溶解パルプの形成に用いられるセルロース繊維の品質を高める方法を提供することを課題として、セルロース繊維を、約5%〜約30%(v:v)のアンモニア水と約0.5%〜3%(OD繊維に対して)の過酸化水素とを含む脱ガム液で、約50℃〜約200℃の温度において、約3:1〜約20:1の液と固形分の濃度(v/w)で処理する工程を含む、セルロース繊維を脱ガムする方法を開示した。
特表2010−528191
特許文献1のセルロース繊維を脱ガムする方法を適用する溶解パルプの製造方法にあっても未だ超高純度(αセルロース含有率 >97%)、高重合度(η> 700)、高白色度(ISO brightness > 90)の溶解パルプの製造法を確立したものではない。
本発明は以上の従来技術における問題に鑑み、超高純度(αセルロース含有率 >97%)、高重合度(η> 700)、高白色度(ISO brightness > 90)の溶解パルプの製造法を提供することを目的とする。
本発明の溶解パルプの製造方法は、漂白パルプを冷濃アルカリ中に浸漬することで、脱ヘミセルロースし、溶解パルプの純度すなわち溶解パルプにおけるαセルロースの含有率(以下本明細書において「αセルロース純度」と称する。)を高める溶解パルプの製造方法において、漂白パルプを冷濃アルカリ中に浸漬する工程が、7.0−7.5wt%の水酸化ナトリウム水溶液中に漂白パルプを15−100℃の範囲で30−120分、好ましくは30−90分間浸漬する処理であることを特徴とする。
また水酸化ナトリウム水溶液の温度を15−45℃の範囲に管理するのがよく、水酸化ナトリウム水溶液の温度を15−40℃の範囲に管理し、漂白パルプを45−90分間浸漬するのがさらに望ましい。
漂白パルプを冷濃アルカリ中に浸漬し、十分に水洗した後に、パルプに対する重量でメタケイ酸ナトリウムを0.2−0.5%の範囲で漂白液に添加しpHを11−11.5調整し、0.2%以下の過酸化水素漂白を行うのがよい。
漂白パルプとして竹素材由来の漂白クラフト蒸解パルプから100μm以下の粒子(柔細胞)を取り除いた繊維画分を用いることができる。
本発明の溶解パルプの製造法によれば、超高純度(αセルロース含有率 >97%)、高重合度(η> 700)、高白色度(ISO brightness > 90)の溶解パルプを得ることができる。
LBKP・アルカリ処理による溶解パルプ作成時のアルカリ濃度および反応温度が、溶解パルプのαセルロース純度および極限粘度数に与える影響を示す本発明の溶解パルプの製造方法の実施例の説明図である。 LBKP-アルカリ処理による処理時間および温度がαセルロース純度に与える影響を示す本発明の溶解パルプの製造方法の実施例の説明図である。 LBKP-アルカリ処理による反応温度がアルカリ処理後溶解パルプのαセルロース純度および粘度に与える影響を示す本発明の溶解パルプの製造方法の実施例の説明図である。 LBKP-アルカリ処理における温度変化の影響を示す本発明の溶解パルプの製造方法の実施例の説明図である。 各種漂白処理がLBKP 中セルロースおよび白色度に与える影響を示す本発明の溶解パルプの製造方法の実施例の説明図である。 溶解パルプの過酸化水素系による漂白における、漂白助剤添加の影響を示す本発明の溶解パルプの製造方法の実施例の説明図である。 アルカリ処理パルプの中和法が与えるαセルロース純度への影響を示す本発明の溶解パルプの製造方法の実施例の説明図である。 LBKP-アルカリ処理前後における過酸化水素漂白が溶解パルプの品質に与える影響を示す本発明の溶解パルプの製造方法の実施例の説明図である。 LBKP(A)、NBKP(B)、竹BKP(C)および竹繊維(D)竹柔細胞(E)の電子顕微鏡写真(500倍)である。
以下、本発明の溶解パルプの製造法について詳細に説明する。
本発明の溶解パルプの製造法では、漂白パルプを冷濃アルカリ中に浸漬する工程が、7.0−7.5wt%の水酸化ナトリウム水溶液中に漂白パルプを浸漬する工程とする。
7.0wt%未満ではαセルロース純度が十分に上昇しない。7.5wt%を超えてもαセルロース純度の上昇は極わずかしか生じない。
その水酸化ナトリウム水溶液の温度は15−100℃の範囲とする。より高温になるとαセルロース純度は十分に上昇しない。70°C以上であると若干純度は上昇するが、αセルロースの分解も生じてしまう。
100℃を超えるとαセルロース純度が低下する。
さらに望ましくは水酸化ナトリウム水溶液の温度を15−45℃の範囲に管理する。これによって最も高いαセルロース純度の溶解パルプが得られる。45℃を超えるとαセルロース純度が十分に上昇しない。
水酸化ナトリウム水溶液中に漂白パルプを浸漬する時間は30−90分間とする。30分間未満ではαセルロース純度が十分に上昇しない。90分間を超えるとαセルロース純度が低下する。
最も望ましくは水酸化ナトリウム水溶液の温度を15−45℃の範囲に管理し、漂白パルプを45−90分間浸漬する。これによって最も高いαセルロース純度の溶解パルプが得られる。
水酸化ナトリウム水溶液の温度が45℃を超えるとαセルロース純度が十分に上昇しない。一方、15℃未満の場合には、冷却に要する費用に見合うだけの効果が得られない。 また浸漬する時間が90分間を超えるとαセルロース純度が低下する。一方、45分未満ではαセルロース純度が十分に上昇しない。

その際にメタケイ酸ナトリウムをパルプに対する重量で0.2−0.5%の範囲で漂白液に添加する必要がある。
これによって反応系内をアルカリ性にすることができ、緩衝作用をもつ。また、多価金属イオンと反応し、過酸化水素の不均解裂を押さえることができるという効果がある。
0.2%未満では十分にアルカリを保てず漂白効果が十分ではなく、0.5%を超えると漂白効果の向上はほとんどなく、効果的ではない。
漂白パルプとしては、広葉樹、針葉樹、竹由来のECF(Elemental Chlorine Free)及びTCF (Total Chlorine Free) 漂白パルプを用いることができる。
特に竹素材由来の漂白クラフト蒸解パルプから100μm以下の粒子を取り除いた繊維画分を用いることができる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。
実施例1
ポリプロピレン袋中で反応温度85℃、100℃中各種濃度の水酸化ナトリウム水溶液中で60分間LBKP(広葉樹を原料とするクラフトパルプ)を浸漬処理した。処理は乾燥庫あるいは水浴中で行い、反応開始を所定温度±3℃の時点とした。また、昇温時間は20分から30分程度であった。処理後、水で希釈・濾過を2−3回繰り返しpH中性とした。得られたアルカリ処理パルプは、強制循環式乾燥機で60℃、一晩乾燥した。乾燥後、室温で放置し乾燥溶解パルプサンプルを得た。得られた溶解パルプサンプルはカッターミルで粉砕し、含水率を測定した。
得られた乾燥溶解パルプサンプルは、αセルロース純度測定ならびに粘度の測定に供した。αセルロース純度は、絶乾150mg程度を0.1mgの精度で測り取り、水酸化ナトリウム17.5wt%となるように20%水酸化ナトリウム水溶液とmili−Q水(超純水)を加えた。これをスターラ―で30分撹拌した。その後mili−Q水を7.5mL加えさらに5分間撹拌した。撹拌後、あらかじめ絶乾重量を秤量しておいた直径47mmのガラス繊維濾紙(GF/C、Advantec社製)で吸引濾過した。アルカリ処理に用いた溶液は、7.0−7.5wt%の水酸化ナトリウム水溶液で2度共洗いし、洗液はガラス繊維濾紙で濾過した。得られたアルカリ抽出繊維は、mili−Q水で数回洗浄し、10%酢酸溶液を加え吸引濾過した。さらに水で洗浄した後に、再度10%酢酸を濾紙に添加し1分程度放置した。その後吸引し、水で6回洗浄した。得られた濾紙および残渣は105℃の乾燥機で一晩(あるいは4時間以上)乾燥し、真空デシケーターで室温まで放冷した後に重量を測定し、αセルロース回収量を求めた。
粘度の測定は、絶乾50mg程度の溶解パルプサンプルを0.1mgの精度で測り取り、これにmili−Q水を水分量7.5mLとなるように加え、パルプが十分分散するまでスターラ―で撹拌した(〜30分)後に、1mol/L 銅エチレンジアミン溶液(関東化学)を7.5mL加えさらに15−20分間スターラ―で撹拌し溶解させた。溶解後の0.5mol/Lの銅エチレンジアミン溶液の粘度を、キャノンフェンスケ動粘度管に取り25℃で5分間保温した後に、流下時間を測定する事で粘度の測定を行った。測定結果から、JIS8215:極限粘度数測定法に従って極限粘度数を算出した。
結果を図1に示す。αセルロース純度は、処理温度85℃、100℃いずれの場合であっても水酸化ナトリウム溶液の濃度が7.0wt%程度までは上昇した。7.0wt%以上の濃度では、αセルロース純度は飽和状態にあり、水酸化ナトリウム溶液濃度を7.0%以上にすることによるαセルロース純度の改善効果は小さかった。一方飽和前のアルカリ濃度では、100℃の処理条件のほうが、若干αセルロース純度が高い傾向が観察された。
一方で、粘度はアルカリ濃度が高いほど低下する傾向が見られた。しかしながら処理温度による影響はほとんど見られなかった。しかしながら、最も粘度が低い処理条件であっても極限粘度定数は700程度であり、充分に高い粘度を保持していると判断した。以上より、LBKPのアルカリ処理では、水酸化ナトリウム濃度 7wt%前後の水溶液中にパルプ濃度が10%程度になるように浸漬し、60分程度の処理を行う事で充分進行する事が明らかとなった。
実施例2
実施例1と同様にアルカリ処理を行った。ただし、処理温度を15℃から100℃まで変化させた。また、処理時間を0分から120分まで変化させた。85℃の反応系は、処理開始後25分までに温度が室温から85℃まで上昇した。
αセルロースの測定法などは、実施例1と同様にして行った。
処理温度85℃および25℃の場合の結果を図2に示す。処理時間0分は、原料となるLBKPのαセルロース純度をあらわしている。処理時間25分になり処理系の温度が85℃に達するまでにαセルロース純度が96%に達していた。また、処理時間60分の時点で最大純度96.4%が得られ、その後徐々にαセルロース純度が低下する傾向が観察された。
処理系温度が85℃に達するまでに十分に高いαセルロース純度が得られたことから、パルプからのヘミセルロースの除去はより低温でも十分に進行することが予想された。そこで室温(25℃)でアルカリ処理を行った。その結果、25℃処理45分間でLBKPのαセルロース純度は10%程度向上し、97.8%に達していた。処理時間を90分まで延長した場合、97.7%と45分処理とほぼ変わらない、あるいは若干低下する事が明らかとなった。
処理温度25℃の場合で、極めて高いαセルロース純度が得られたため、処理系温度についてより詳細な検討を行った結果を図3に示す。処理温度15℃が最も高い純度(> 98%)を示し、温度が上昇するにつれ徐々に純度は低下していく事が解った。さらに処理温度60℃付近から急激に純度は低下し、60−80℃付近に極小値が存在していた。その後さらに温度を上げると純度は緩やかに上昇し、96%以上にまで回復していた。粘度を見ると、αセルロース純度の場合と異なり低温〜中温領域(〜70℃)ではほとんど影響を受けていないことが解る。それ以上の高温域になると著しい粘度の低下が生じることがある。
一般に、アルカリ処理温度が低温側ではアルカリによる繊維の膨潤が良く、ヘミセルロースのアルカリ溶液への抽出が効率よく行われ、高温側ではヘミセルロースの分解が起き、パルプ中のαセルロース純度が向上すると言われており、今回の結果と同様にαセルロース純度の極小値が中温域に存在する事が知られている。これらの事から、低温アルカリ処理による膨潤・ヘミセルロースの抽出と高温アルカリ処理によるヘミセルロースの分解を組み合わせた場合に、αセルロース純度がどのような影響を受けるかについての検討を行った。
一段目の処理を低温(4、15、22.5℃)で45分行い、その後85℃まで25分間で上昇させたのち45分処理した系と、室温から85℃まで上昇させ45分保持した後に、低温(15、30℃)にし45分処理した系でアルカリ処理を行った。その結果、図4に示すように、温度変化させた場合は、85℃で90分間処理した場合に比してαセルロース純度は高くなっているものの、15℃で90分間処理した場合よりもかなりαセルロース純度は低かった。以上の事から、LBKPのアルカリ処理による溶解パルプの製造には、4−45℃の低温域、望ましくは15−40℃程度の処理温度で、7.0−7.5wt%の水酸化ナトリウム水溶液中で45−90分程度行う事が最も高いαセルロース純度の溶解パルプが得られる事が明らかとなった。
実施例3
ポリプロピレン袋内でLBKPあるいはアルカリ処理後LBKP(DP)をパルプ濃度10%で水に懸濁し、漂白剤ないし助剤を添加した後に、水酸化ナトリウムあるいは硫酸水溶液を用いて所定のpHに調整した。パルプと漂白試薬は良く馴染ませたのち、所定の60℃水浴に120分間浸漬させた。漂白終了後、パルプは水でさらに希釈した後に濾過洗浄を行った。洗浄後60℃で一晩風乾させ、この試料をαセルロース純度、粘度、ISO白色度の測定サンプルとした。
溶解パルプの品質において、白色度はリグニン量を示す値として重要である。概ね白色度90以上、望ましくは、91以上を目指す必要がある。まず予備検討として、LBKPの漂白処理を行った。漂白系は、次亜塩素酸(pH10.5)、オキソン(過硫酸塩、pH3.0)、チオ尿素(pH6.5 or 10.5)および過酸化水素との混合系を用意した。また、過酸化水素(pH10.6−12.4)単独、ないし過酸化水素にメタケイ酸ナトリウムを添加した系を用意した。その結果を図5に示した。各種漂白処理中、ISO白色度の向上が見られたのは、過酸化水素単独および過酸化水素+メタケイ酸の漂白系のみであった。次亜塩素酸漂白系は、αセルロース純度の大幅な低下を招き、過硫酸塩漂白系は、粘度の低下が観察された。チオ尿素漂白系ではパルプに影響を与えていない様であった。過酸化水素漂白では、白色度の向上は観察されたものの、粘度の低下とセルロースの低分子化に伴うαセルロース純度の若干の低下が観察された。一方で、セルロースの保護剤としても知られるメタケイ酸ナトリウムを過酸化水素と共に添加した場合では、白色度の上昇のみが観察され、粘度およびαセルロース純度の低下は見られなかった。
LBKPの過酸化水素+メタケイ酸ナトリウム漂白系で処理することにより、粘度、αセルロース純度を維持したまま高い白色度を得ることができたため、85℃、7.0wt%の水酸化ナトリウム溶液処理をした溶解パルプの漂白を行った。メタケイ酸ナトリウムに加え、過酸化水素漂白系のセルロース保護剤として知られる硫酸マグネシウムも併せて検討した。図6にみられるように、メタケイ酸ナトリウムの添加系では、白色度は無添加系とほぼ同等の高い白色度(ISO brightness >91.5%)を示した。一方で硫酸マグネシウム添加系では、白色度の上昇が抑えられるという結果となった。これは、一般に硫酸マグネシウムの方がメタケイ酸より低濃度で保護効果を示し、より多くの金属をキレートして副反応を抑えるなどの特徴を有することから、硫酸マグネシウムの方がより強力に多糖に配位する事で、パルプ中で褐変化した糖残基も保護した結果ではないかと考えられる。
実施例4
アルカリ処理温度21℃と85℃のパルプを作成した。水洗の場合は、アルカリ処理パルプは水で希釈・濾過を3度繰り返し中性pHとした。酸による中和の場合、吸引濾過によりパルプ濃度を10%から30%程度まで濃縮し、5wt%の希硫酸を加えpHを中性に近い8−9まで低下させ、その後水で2回洗浄を行った。αセルロース純度の測定は実施例1〜実施例3と同様とした。
これまでの検討で、高濃度のアルカリでパルプを処理した後に、pH11前後で過酸化水素漂白処理を行う事が高い白色度を得る為に必要であることが分かった。アルカリ処理後、ある程度はアルカリを脱水回収する事が出来るが、パルプに残存するアルカリは洗浄するか、中和せねばならない。そこで、中性付近のpHまで水洗がよいか、酸による中和が良いかを調査した。何れの処理温度で作成した溶解パルプにおいても、水による洗浄でpHを中性付近まで下げた場合の方がαセルロース純度は1%ほど高い値を示した(図7)。これは、アルカリ処理により抽出あるいは部分的に分解され溶出したヘミセルロース分が、中和により再析出しセルロースに再吸着したことによると予想した。従って、高純度の溶解パルプの作成には酸による中和ではなく、水による洗浄が適していると思われる。
実施例5
アルカリ処理は7.3wt%水酸化ナトリウム水溶液をLBKPが乾燥重量で10wt%となるように加え良く撹拌し、後漂白処理の場合は18℃、前漂白の場合は45℃で45分間処理を行った。パルプの洗浄は前述の通り行った。
アルカリ処理前過酸化水素漂白は、所定濃度の過酸化水素および1.0wt%(対パルプ)のメタケイ酸ナトリウムを加え、系内のpHが11−11.5となるように調整した。パルプ濃度は10wt%とした。後漂白の場合は、過酸化水素濃度0.1−0.375%、前漂白は0.5−1.5%とした(いずれも対パルプ重量%濃度)。漂白は60℃、120分間行った。得られた溶解パルプサンプルは洗浄後、60℃で風乾した後に、αセルロース純度、極限粘度定数、ISO白色度を測定した。
前漂白を行った場合に比べ、後漂白を行った場合の方が、αセルロース純度、粘度、白色度すべてにおいて良好な値を示していた(図8)。過酸化水素0.5%以下ではαセルロース純度、粘度は充分上昇しなかった。粘度は前漂白の場合、過酸化水素濃度に限らず800前後の極限粘度数を示したのに対し、後漂白の場合では過酸化水素濃度に応じて低下する傾向が観察された。しかしながら、ほとんどの場合で前漂白よりも後漂白の方が高い数値を示した。αセルロース純度は後漂白で0.1あるいは0.2%(対パルプ)の過酸化水素を用いた場合に最も高い値を示し、漂白しないもの(図8の0%)より高い値を示したが、それ以外の場合では漂白しない場合より若干純度が低下する傾向にあった。白色度では、0.2%wt(対パルプ)の過酸化水素を用いた場合が最も高い値を示した。以上の事から溶解パルプの漂白は、アルカリ処理後に0.2%の過酸化水素にセルロース保護剤としてメタケイ酸ナトリウムを併用し、pH11.5、60℃で120分漂白する事が最適であると判断した。
また、対パルプ濃度0.2%の過酸化水素で漂白する際に、メタケイ酸ナトリウムの添加量を0.2−1.0%に変動させて漂白を行ったが、αセルロース純度、極限粘度定数共にほとんど変化がなかった。したがって、メタケイ酸ナトリウム水溶液はアルカリ性であるため、この濃度の範囲でpHが11−11.5になるようにメタケイ酸ナトリウムを添加すれば良い。
実施例6
竹BKPは、8Lの水を張ったタライの中に目開き100μmの篩(直径30−cm、深さ8−cm)を浸漬させ、篩に絶乾100g相当のBKPを入れた。パルプはラボスターラ―(Yamato製)で4時間、50rpmで撹拌し洗浄した。篩を通った微細粒子は、目開き50μmのナイロンメッシュで吸引濾過した。これを柔細胞とした。篩上に残ったパルプは、上記洗浄を計5回繰り返し、微細粒子を極力排除した。この画分を竹繊維とした。
NBKP(針葉樹を原料とするクラフトパルプ)は、7.0wt%水酸化ナトリウム水溶液中にパルプが10wt%となるように加え、85℃、60分間アルカリ処理した後に、脱水機でアルカリを除去し、パルプ濃度が10%となるように希釈し、硫酸でpHを11.5に調整した。これに過酸化水素を0.25%(対パルプ)となるように加え、60℃で60分間漂白を行った。漂白後水で洗浄し、風乾後、αセルロース純度、粘度を測定した。
LBKP、NBKP(針葉樹を原料とするクラフトパルプ)、TCF−LBKP、竹BKP、竹繊維および柔細胞は、7.3wt%の水酸化ナトリウム水溶液中パルプ濃度10%となるようにパルプを加え、25℃で50分間保持した。処理後、パルプはpHが中性付近になるまで水で洗浄した。洗浄したアルカリ処理パルプは、パルプ濃度10%とし、過酸化水素 0.2%、メタケイ酸ナトリウム0.5wt%(いずれも対パルプ濃度)となるように加えた。この時反応系のpHは11.3−11.4であった。これを良く撹拌した後に60℃の水浴中で120分間静置した。漂白処理後、パルプは再度水で洗浄し、60℃で風乾後、αセルロース純度、粘度、白色度などを測定した。
本実施例で溶解パルプ製造に用いたパルプおよびアルカリ処理後の溶解パルプ品質はTable 1に示した様に、LBKPとNBKPのαセルロース純度は殆ど変らない事が解る。一方で、竹BKPは純度85%と特に低い。これはαセルロース純度の高い繊維(92.6%)と低い柔細胞(78.4%)が60−50:40−50程度の割合で混在しているからである。一方, 溶解パルプ製造に用いたパルプに関しては粘度はLBKPが高く、NBKPと竹BKPではほぼ同等であった。また、竹繊維と柔細胞間で大きな差異は見られなかった。
Table1を見ると、アルカリ処理で作成した溶解パルプの結果では、NBKPと竹柔細胞に関しては92%程度までしかαセルロース純度は向上していない事が解る。一方でLBKPと竹繊維に関しては、97%を上回る純度が得られ、特に竹繊維では98%を超える純度を示しており、純セルロースと呼べる品質となっていた。アルカリ処理後の竹BKPのαセルロース純度は未処理竹BKPと同様に繊維と柔細胞の重量比から予想される値と同程度であった。粘度は漂白時にメタケイ酸ナトリウムを添加していないNBKP以外では、原料パルプよりも高い粘度を示した。また、竹繊維およびLBKPから作成した溶解パルプは、極限粘度数が700mL/gを超えておりαセルロース純度と併せて、高級グレードの溶解パルプである。またこれらの溶解パルプの白色度はそれぞれ92.2、91.3であり充分な白色度を示した。以上より、竹繊維は最高級グレードの溶解パルプの製造に最も適しており、次いでLBKPが向いていることが分かった。
各BKPおよび繊維、柔細胞のSEM写真を図9に示した。竹繊維およびLBKPは繊維径が平均して8−12μm程度であるのに対し、NBKPは20μm−30μmの繊維径があり、竹柔細胞は繊維ではなく径20μm−100μmの粒子である事が解る。このように繊維形状が大幅に異なることがNBKPおよび竹柔細胞のαセルロース純度が向上しなかった一因である可能性がある。




Claims (1)

  1. 漂白パルプを冷濃アルカリ中に浸漬することで、脱ヘミセルロースし、αセルロース純度を高める溶解パルプの製造方法において、
    漂白パルプを冷濃アルカリ中に浸漬する工程が、7.0−7.5wt%の水酸化ナトリウム水溶液中に、漂白パルプを加え、15−45℃の範囲において、45−90分間含浸する処理をし、
    次いで、パルプを水を用いてpHが中性になるまで洗浄し、
    次いで、洗浄後のパルプを、パルプ濃度10%とし、対パルプ濃度として、過酸化水素 0.1−0.375%、メタケイ酸ナトリウム0.2−0.5%となるように加え、pHを11.0−11.5とし、漂白処理を行うことを特徴とする溶解パルプの製造方法。
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