JP2005042210A - Ecf漂白パルプの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】二酸化塩素段の漂白効率を向上させ、薬品原単位を削減することのできるECF漂白パルプの製造方法を提供するものである。
【解決手段】二酸化塩素を用いるECF漂白パルプの製造方法において、二酸化塩素添加後のミキシングをパルプ濃度8〜13質量%の中濃度で行い、その後にパルプ濃度3〜6質量%の低濃度に希釈し、保持して漂白することを特徴とするECF漂白パルプの製造方法。
【選択図】 なし
【解決手段】二酸化塩素を用いるECF漂白パルプの製造方法において、二酸化塩素添加後のミキシングをパルプ濃度8〜13質量%の中濃度で行い、その後にパルプ濃度3〜6質量%の低濃度に希釈し、保持して漂白することを特徴とするECF漂白パルプの製造方法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、二酸化塩素段の漂白効率を向上させ、薬品原単位を削減することのできるECF漂白パルプの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の化学パルプ、特にクラフトパルプは一般に難漂白性であるため、その漂白工程では、塩素、アルカリ抽出、次亜塩素酸塩、二酸化塩素などで段階的に漂白処理する方法がとられてきた。また、漂白段での漂白原単位向上と排水負荷低減を目的に、酸素漂白を漂白工程前段に設けるシーケンスもある。
【0003】
この漂白方法の利点は、特定の原料樹種のパルプを選ばないこと、得られたパルプ強度が比較的に強いこと、薬品単価が安価であること、などが挙げられる。
【0004】
一方、塩素系漂白薬品を使用するこの漂白方法は、ダイオキシン類やクロロホルムなどの有機塩素化合物の生成および系外への排出は避けられず、これら環境への影響の観点から、有機塩素化合物に対し、現在では多くの規制への動きが現れている。
【0005】
従って、パルプ品質を低下させずに蒸解薬液および漂白薬品使用量を削減しつつ、漂白工程から排出される有機塩素化合物排出量を削減する方法の確立が望まれていたが、漂白効率および薬品コストの面から塩素系漂白薬品を完全に他の漂白薬品に代替することは難しかった。
【0006】
しかし、最近では、塩素ガスを使用しないECF漂白法や塩素系薬品を全く使用しないTCF漂白法が開発され、操業されるようになった。
【0007】
ECF漂白法の多くは、酸素段の後、二酸化塩素段を用いて、2段目にアルカリ抽出段を設ける多段漂白シーケンスであり、また、上記のシーケンスの酸素段の後にオゾン段を用いるケースもある。
【0008】
二酸化塩素を用いるECF漂白法は前述の利点はあるものの、一方では薬品単価が塩素より高いこと、未晒パルプの白色度の影響を受けやすく漂白効率が劣ること、などの問題もある。
【0009】
そこで、二酸化塩素の漂白効率を向上させる方法が幾つか提案されている。例えば、二酸化塩素段を高温で処理する方法(例えば、特許文献1参照。)や前述のオゾンを組み合わせる方法(例えば、特許文献2参照。)などがある。しかし、前者は反応温度が70〜110℃であり蒸気コストが増加する問題がある。また、後者はパルプ粘度が低下することやオゾン発生器の新設が必要になるという問題もある。
【0010】
【特許文献1】
特開平11−110574号公報
【特許文献2】
特開平4−263687号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、二酸化塩素段の漂白効率を向上させ、薬品原単位を削減することのできるECF漂白パルプの製造方法を提供するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の問題を解決すべく鋭意検討した結果、二酸化塩素段の反応効率がパルプ濃度と密接な関係があり、漂白薬品原単位に大きく影響を与えることを見出し、漂白薬品原単位を改善した発明を完成するに至った。
【0013】
即ち、本発明のECF漂白パルプの製造方法は、二酸化塩素添加後のミキシングをパルプ濃度8〜13質量%の中濃度で行い、その後にパルプ濃度3〜6質量%の低濃度に希釈し、保持して漂白することを特徴とするものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明のECF漂白パルプの製造方法は、漂白工程における漂白薬品原単位を削減できる効果を有する方法であり、漂白後のパルプ品質に影響を与えないものである。以下に本発明について詳細に説明する。
【0015】
近年の二酸化塩素漂白のミキシングは、パルプを高剪断力による繊維のネットワークの破壊により流動化する高効率の中濃度ミキサーが開発され一般に用いられている。しかし、二酸化塩素は水に対する溶解度が低いため、ミキシング後の保持時において、二酸化塩素の一部が気相部へ移行することによるパルプとの反応量の減少が起こる。
【0016】
そこで、保持におけるパルプ濃度を低濃度にして二酸化塩素の液相部への溶解量を増加させることにより、二酸化塩素段での漂白効率を向上させ、薬品原単位の削減を行うことができる。
【0017】
中濃度としては、8〜13質量%であり、好ましくは10〜12質量%であり、8質量%未満では液相中の二酸化塩素濃度が下がりパルプとの化学的反応速度が低下し、13質量%を超えるとパルプの流動化が不均一になるため反応にばらつきが生じる。また、低濃度としては3〜6質量%、好ましくは4〜5質量%であり、4質量%未満では反応塔の容積が大きくなり、6質量%を超えると二酸化塩素の液相部への溶解量が十分ではなく、漂白効率の向上は期待できない。
【0018】
本発明において、二酸化塩素段は主に多段漂白の初段に設けられるが、途中の段や最終段にも設けられ、漂白段の組み合わせには制限されない。
【0019】
また、本発明において、二酸化塩素段における処理条件は、pHは3〜7、好ましくは4〜6、温度は40〜70℃、好ましくは50〜60℃、保持時間は30〜120分、好ましくは50〜70分である。
【0020】
また、本発明において、パルプ原料として用いる該リグノセルロース物質は、各種木材およびバガス、ケナフなどの非木材も含まれる。
【0021】
また、本発明の該リグノセルロース物質の蒸解方法は、クラフト法を始め、ソーダ法、サルファイト法、などがあり、また、ポリサルファイド蒸解液の使用および脱リグニン助剤の添加、などの蒸解条件には制限されない。
【0022】
また、本発明において、リグノセルロース物質の蒸解後の洗浄機は、ドラム型洗浄機、ディフューザー型洗浄機、などが含まれ、洗浄方式や消泡剤の添加、などの洗浄条件には制限されない。
【0023】
また、本発明において、多段漂白の前段に酸素漂白段を設けるとき、酸素漂白の方式や脱リグニン助剤の添加、などの条件には制限されない。
【0024】
【実施例】
以下の実施例によって、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって制限されるものではない。
【0025】
実施例1〜6および比較例1〜4
実機KP蒸解後、酸素漂白を行った未晒広葉樹パルプを水洗脱水後、カッパー価と白色度を測定した。その結果、カッパー価は9.6、白色度は52.5%であった。尚、測定方法はカッパー価は、TAPPI T230om−82、白色度はJIS P8123ハンター白色度法に準拠した。
【0026】
次に、上記パルプを用い、以下のように二酸化塩素漂白を行った。この時の前処理は、パルプをポリエチレンの袋に入れ、純水で所定のパルプ濃度に調整し、さらに硫酸によりpH5に調整した後、温度55℃の恒温水槽で30分以上加温した。
【0027】
その後、中濃度ミキサーに該パルプを入れ、二酸化塩素を所定量添加し、1分間のミキシングを行った後、直ちにポリエチレン袋に移し、硫酸でpH5に調整した55℃の温水を加えて所定のパルプ濃度に調整し、55℃の恒温水槽で保持した。
【0028】
パルプ濃度の組み合わせは、ミキシング時に各々5、8、10、13、15質量%に調整し、希釈後の保持はともに4質量%で行った。条件の一覧を表1に示す。
【0029】
また、二酸化塩素添加率は対パルプ当たり0.5、0.7および0.9質量%、温度は55℃、時間は60分である。反応後のパルプは純水で完全に洗浄した後に白色度を測定した。その結果を表1に示す。
【0030】
さらに、上記パルプを後段の漂白に供した。漂白シーケンスは、2段目はアルカリ抽出段、3段目は過酸化水素段、4段目は二酸化塩素段の漂白を行い、最終二酸化塩素段の白色度を測定した。その結果を表1に示す。
【0031】
漂白条件として、アルカリ抽出の水酸化ナトリウム添加率は対パルプ当たり0.7質量%、温度は55℃、時間は60分、過酸化水素添加率は対パルプ当たり0.3質量%、pH調整用の水酸化ナトリウム添加率は対パルプ当たり0.3質量%、温度は75℃、時間は60分、4段目の二酸化塩素添加率は対パルプ当たり0.2質量%、温度は75℃、時間は120分で行った。尚、後段の漂白におけるパルプ濃度はすべて10質量%である。
【0032】
【表1】
【0033】
評価:
表1における実施例1〜6と比較例1〜4において、希釈後の保持パルプ濃度が同一条件(4質量%)でミキシングでのパルプ濃度の影響をみると、8〜13質量%に対して5、15質量%は明らかに白色度が低いことが判る。
【0034】
このとき、例えば、白色度70%台が得られる二酸化塩素添加率をみると、実施例1、3、5は比較例1、3に対して約29%削減できることが判る。また、同様に白色度72%台が得られる二酸化塩素添加率をみると、実施例2、4、6は比較例2、4に対して約29%削減できることが判る。従って、希釈後のパルプ濃度が同一の時、ミキシング時のパルプ濃度が8〜13質量%であれば、8質量%以下および15質量%以上のパルプ濃度に対して二酸化塩素添加率が削減できることが判る。
【0035】
さらに、表1において、二酸化塩素段後の白色度の差が多段漂白後でも保持されており、本発明で得られた白色度の向上分は後段漂白後においても損なわれることがないことが判る。
【0036】
実施例7〜12および比較例5〜8
実施例1〜6および比較例1〜4において、初段の二酸化塩素段におけるミキシング時のパルプ濃度を10質量%に調整し、希釈後の保持では各々2、3、5、6、7質量%で行ったこと以外は、実施例1〜6と比較例1〜4と同じ条件で操作を行った。その結果を表2に示す。
【0037】
【表2】
【0038】
評価:
表2の実施例7〜12と比較例5〜8において、ミキシングでのパルプ濃度が同一条件(10質量%)での希釈後の保持パルプ濃度の影響をみると、3〜6質量%に対して2、7質量%は明らかに白色度が低いことが判る。
【0039】
このとき、例えば、白色度70%台が得られる二酸化塩素添加率をみると、実施例7、9,11は比較例5、7に対して約29%削減できることが判る。また、同様に白色度72%台が得られる二酸化塩素添加率をみると、実施例8、10、12は比較例6、8に対して約29%削減できることが判る。従って、ミキシング時のパルプ濃度が同一の時、希釈後のパルプ濃度が3〜6質量%であれば、2質量%以下および7質量%以上のパルプ濃度に対して二酸化塩素添加率が削減できることが判る。
【0040】
さらに、表2において、二酸化塩素段後の白色度の差が多段漂白後でも保持されており、本発明で得られた白色度の向上分は後段漂白後においても損なわれることがないことが判る。
【0041】
【発明の効果】
上記のとおり、本発明のECF漂白パルプの製造方法は、二酸化塩素段の漂白効率を向上させ、薬品原単位を削減することができる利点がある。
【発明の属する技術分野】
本発明は、二酸化塩素段の漂白効率を向上させ、薬品原単位を削減することのできるECF漂白パルプの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の化学パルプ、特にクラフトパルプは一般に難漂白性であるため、その漂白工程では、塩素、アルカリ抽出、次亜塩素酸塩、二酸化塩素などで段階的に漂白処理する方法がとられてきた。また、漂白段での漂白原単位向上と排水負荷低減を目的に、酸素漂白を漂白工程前段に設けるシーケンスもある。
【0003】
この漂白方法の利点は、特定の原料樹種のパルプを選ばないこと、得られたパルプ強度が比較的に強いこと、薬品単価が安価であること、などが挙げられる。
【0004】
一方、塩素系漂白薬品を使用するこの漂白方法は、ダイオキシン類やクロロホルムなどの有機塩素化合物の生成および系外への排出は避けられず、これら環境への影響の観点から、有機塩素化合物に対し、現在では多くの規制への動きが現れている。
【0005】
従って、パルプ品質を低下させずに蒸解薬液および漂白薬品使用量を削減しつつ、漂白工程から排出される有機塩素化合物排出量を削減する方法の確立が望まれていたが、漂白効率および薬品コストの面から塩素系漂白薬品を完全に他の漂白薬品に代替することは難しかった。
【0006】
しかし、最近では、塩素ガスを使用しないECF漂白法や塩素系薬品を全く使用しないTCF漂白法が開発され、操業されるようになった。
【0007】
ECF漂白法の多くは、酸素段の後、二酸化塩素段を用いて、2段目にアルカリ抽出段を設ける多段漂白シーケンスであり、また、上記のシーケンスの酸素段の後にオゾン段を用いるケースもある。
【0008】
二酸化塩素を用いるECF漂白法は前述の利点はあるものの、一方では薬品単価が塩素より高いこと、未晒パルプの白色度の影響を受けやすく漂白効率が劣ること、などの問題もある。
【0009】
そこで、二酸化塩素の漂白効率を向上させる方法が幾つか提案されている。例えば、二酸化塩素段を高温で処理する方法(例えば、特許文献1参照。)や前述のオゾンを組み合わせる方法(例えば、特許文献2参照。)などがある。しかし、前者は反応温度が70〜110℃であり蒸気コストが増加する問題がある。また、後者はパルプ粘度が低下することやオゾン発生器の新設が必要になるという問題もある。
【0010】
【特許文献1】
特開平11−110574号公報
【特許文献2】
特開平4−263687号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、二酸化塩素段の漂白効率を向上させ、薬品原単位を削減することのできるECF漂白パルプの製造方法を提供するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の問題を解決すべく鋭意検討した結果、二酸化塩素段の反応効率がパルプ濃度と密接な関係があり、漂白薬品原単位に大きく影響を与えることを見出し、漂白薬品原単位を改善した発明を完成するに至った。
【0013】
即ち、本発明のECF漂白パルプの製造方法は、二酸化塩素添加後のミキシングをパルプ濃度8〜13質量%の中濃度で行い、その後にパルプ濃度3〜6質量%の低濃度に希釈し、保持して漂白することを特徴とするものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明のECF漂白パルプの製造方法は、漂白工程における漂白薬品原単位を削減できる効果を有する方法であり、漂白後のパルプ品質に影響を与えないものである。以下に本発明について詳細に説明する。
【0015】
近年の二酸化塩素漂白のミキシングは、パルプを高剪断力による繊維のネットワークの破壊により流動化する高効率の中濃度ミキサーが開発され一般に用いられている。しかし、二酸化塩素は水に対する溶解度が低いため、ミキシング後の保持時において、二酸化塩素の一部が気相部へ移行することによるパルプとの反応量の減少が起こる。
【0016】
そこで、保持におけるパルプ濃度を低濃度にして二酸化塩素の液相部への溶解量を増加させることにより、二酸化塩素段での漂白効率を向上させ、薬品原単位の削減を行うことができる。
【0017】
中濃度としては、8〜13質量%であり、好ましくは10〜12質量%であり、8質量%未満では液相中の二酸化塩素濃度が下がりパルプとの化学的反応速度が低下し、13質量%を超えるとパルプの流動化が不均一になるため反応にばらつきが生じる。また、低濃度としては3〜6質量%、好ましくは4〜5質量%であり、4質量%未満では反応塔の容積が大きくなり、6質量%を超えると二酸化塩素の液相部への溶解量が十分ではなく、漂白効率の向上は期待できない。
【0018】
本発明において、二酸化塩素段は主に多段漂白の初段に設けられるが、途中の段や最終段にも設けられ、漂白段の組み合わせには制限されない。
【0019】
また、本発明において、二酸化塩素段における処理条件は、pHは3〜7、好ましくは4〜6、温度は40〜70℃、好ましくは50〜60℃、保持時間は30〜120分、好ましくは50〜70分である。
【0020】
また、本発明において、パルプ原料として用いる該リグノセルロース物質は、各種木材およびバガス、ケナフなどの非木材も含まれる。
【0021】
また、本発明の該リグノセルロース物質の蒸解方法は、クラフト法を始め、ソーダ法、サルファイト法、などがあり、また、ポリサルファイド蒸解液の使用および脱リグニン助剤の添加、などの蒸解条件には制限されない。
【0022】
また、本発明において、リグノセルロース物質の蒸解後の洗浄機は、ドラム型洗浄機、ディフューザー型洗浄機、などが含まれ、洗浄方式や消泡剤の添加、などの洗浄条件には制限されない。
【0023】
また、本発明において、多段漂白の前段に酸素漂白段を設けるとき、酸素漂白の方式や脱リグニン助剤の添加、などの条件には制限されない。
【0024】
【実施例】
以下の実施例によって、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって制限されるものではない。
【0025】
実施例1〜6および比較例1〜4
実機KP蒸解後、酸素漂白を行った未晒広葉樹パルプを水洗脱水後、カッパー価と白色度を測定した。その結果、カッパー価は9.6、白色度は52.5%であった。尚、測定方法はカッパー価は、TAPPI T230om−82、白色度はJIS P8123ハンター白色度法に準拠した。
【0026】
次に、上記パルプを用い、以下のように二酸化塩素漂白を行った。この時の前処理は、パルプをポリエチレンの袋に入れ、純水で所定のパルプ濃度に調整し、さらに硫酸によりpH5に調整した後、温度55℃の恒温水槽で30分以上加温した。
【0027】
その後、中濃度ミキサーに該パルプを入れ、二酸化塩素を所定量添加し、1分間のミキシングを行った後、直ちにポリエチレン袋に移し、硫酸でpH5に調整した55℃の温水を加えて所定のパルプ濃度に調整し、55℃の恒温水槽で保持した。
【0028】
パルプ濃度の組み合わせは、ミキシング時に各々5、8、10、13、15質量%に調整し、希釈後の保持はともに4質量%で行った。条件の一覧を表1に示す。
【0029】
また、二酸化塩素添加率は対パルプ当たり0.5、0.7および0.9質量%、温度は55℃、時間は60分である。反応後のパルプは純水で完全に洗浄した後に白色度を測定した。その結果を表1に示す。
【0030】
さらに、上記パルプを後段の漂白に供した。漂白シーケンスは、2段目はアルカリ抽出段、3段目は過酸化水素段、4段目は二酸化塩素段の漂白を行い、最終二酸化塩素段の白色度を測定した。その結果を表1に示す。
【0031】
漂白条件として、アルカリ抽出の水酸化ナトリウム添加率は対パルプ当たり0.7質量%、温度は55℃、時間は60分、過酸化水素添加率は対パルプ当たり0.3質量%、pH調整用の水酸化ナトリウム添加率は対パルプ当たり0.3質量%、温度は75℃、時間は60分、4段目の二酸化塩素添加率は対パルプ当たり0.2質量%、温度は75℃、時間は120分で行った。尚、後段の漂白におけるパルプ濃度はすべて10質量%である。
【0032】
【表1】
【0033】
評価:
表1における実施例1〜6と比較例1〜4において、希釈後の保持パルプ濃度が同一条件(4質量%)でミキシングでのパルプ濃度の影響をみると、8〜13質量%に対して5、15質量%は明らかに白色度が低いことが判る。
【0034】
このとき、例えば、白色度70%台が得られる二酸化塩素添加率をみると、実施例1、3、5は比較例1、3に対して約29%削減できることが判る。また、同様に白色度72%台が得られる二酸化塩素添加率をみると、実施例2、4、6は比較例2、4に対して約29%削減できることが判る。従って、希釈後のパルプ濃度が同一の時、ミキシング時のパルプ濃度が8〜13質量%であれば、8質量%以下および15質量%以上のパルプ濃度に対して二酸化塩素添加率が削減できることが判る。
【0035】
さらに、表1において、二酸化塩素段後の白色度の差が多段漂白後でも保持されており、本発明で得られた白色度の向上分は後段漂白後においても損なわれることがないことが判る。
【0036】
実施例7〜12および比較例5〜8
実施例1〜6および比較例1〜4において、初段の二酸化塩素段におけるミキシング時のパルプ濃度を10質量%に調整し、希釈後の保持では各々2、3、5、6、7質量%で行ったこと以外は、実施例1〜6と比較例1〜4と同じ条件で操作を行った。その結果を表2に示す。
【0037】
【表2】
【0038】
評価:
表2の実施例7〜12と比較例5〜8において、ミキシングでのパルプ濃度が同一条件(10質量%)での希釈後の保持パルプ濃度の影響をみると、3〜6質量%に対して2、7質量%は明らかに白色度が低いことが判る。
【0039】
このとき、例えば、白色度70%台が得られる二酸化塩素添加率をみると、実施例7、9,11は比較例5、7に対して約29%削減できることが判る。また、同様に白色度72%台が得られる二酸化塩素添加率をみると、実施例8、10、12は比較例6、8に対して約29%削減できることが判る。従って、ミキシング時のパルプ濃度が同一の時、希釈後のパルプ濃度が3〜6質量%であれば、2質量%以下および7質量%以上のパルプ濃度に対して二酸化塩素添加率が削減できることが判る。
【0040】
さらに、表2において、二酸化塩素段後の白色度の差が多段漂白後でも保持されており、本発明で得られた白色度の向上分は後段漂白後においても損なわれることがないことが判る。
【0041】
【発明の効果】
上記のとおり、本発明のECF漂白パルプの製造方法は、二酸化塩素段の漂白効率を向上させ、薬品原単位を削減することができる利点がある。
Claims (1)
- 二酸化塩素を用いるECF漂白パルプの製造方法において、二酸化塩素添加後のミキシングをパルプ濃度8〜13質量%の中濃度で行い、その後にパルプ濃度3〜6質量%の低濃度に希釈し、保持して漂白することを特徴とするECF漂白パルプの製造方法。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN114277599A (zh) * | 2021-12-17 | 2022-04-05 | 广西大学 | 一种低温中性二氧化氯漂白方法 |
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2003
- 2003-07-22 JP JP2003199736A patent/JP2005042210A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN114277599A (zh) * | 2021-12-17 | 2022-04-05 | 广西大学 | 一种低温中性二氧化氯漂白方法 |
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