JP6522202B1 - エンジンのegr装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】付属装置から吸気通路への気体の流れ込みにより吸気圧力が増加しても、EGR弁の異常につき誤判定を防止すること。【解決手段】EGR装置は、エンジン1から排気通路5へ排出される排気の一部をEGRガスとして吸気通路3へ流すEGR通路17と、同通路17のEGR流量を調節するEGR弁18と、エンジン1の運転状態を検出する各種センサ23,51,52等と、検出される運転状態に基づきEGR弁18を制御しEGR弁18の異常を診断する電子制御装置(ECU)50とを備える。ECU50は、エンジン回転数及びエンジン負荷に対する基準吸気圧力の関係を定めた基準吸気圧力マップを参照することで算出される基準吸気圧力と、検出される吸気圧力とを比較することでEGR弁の異常の有無を判定する。また、ECU50は、付属装置61から吸気通路3へ気体が流れ込むときは、異常の有無の判定を修正する。【選択図】図1

Description

この明細書に開示される技術は、エンジンの排気の一部をEGRガスとして吸気通路へ流してエンジンへ還流させるEGR装置に係り、詳しくは、主としてEGR弁の開閉に係る異常を診断するように構成したエンジンのEGR装置に関する。
従来、この種の技術として、例えば、下記の特許文献1に記載される技術が知られている。この技術は、エンジンの排気還流装置(EGR装置)のための故障判定方法に関する。エンジンには、吸気通路、排気通路、燃料供給装置(インジェクタ)及びスロットル弁等が設けられる。EGR装置は、EGR通路とEGR弁とを含む。EGR弁は、弁座、弁体及びステップモータ等を含む。スロットル弁より下流の吸気通路には、吸気圧力を検出する吸気圧センサが設けられる。この技術は、EGR弁を開閉制御したときの吸気圧力を吸気圧センサにより実測すると共に、その開閉制御により実現されると予想される吸気圧力を推定し、吸気圧力の実測値と推定値との比較に基づきEGR装置の故障(異常)の有無及び故障(異常)の種別を判定するようになっている。ここで、異常の種別には、EGR弁を開閉制御しようとしても動かない固着、EGR弁がある開度から減少しない異物噛み込み、EGR通路の狭窄等が含まれる。
特開2011-252399号公報
ところが、特許文献1に記載の技術では、吸気圧力が増加する要因が、EGR装置の異常のみにあることを想定して異常を判定していた。そのため、EGR装置の異常以外の要因で吸気圧力が増加する場合は、異常を誤判定するおそれがある。例えば、車両やエンジンには、吸気通路の負圧を利用した蒸発燃料処理装置やブレーキブースタ等の付属装置が設けられる。この付属装置から吸気通路へ気体が流れ込むことで吸気圧力が増加することから、ブレーキブースタ等の動きを異常判定に考慮する必要がある。
例えば、図24に、エンジン負荷に対する吸気圧力の関係の一例をグラフにより示す。図24において、実線はEGR弁に異常がない正常な場合の特性を示し、破線はEGR弁に異物噛み込みがある異常な場合の特性を示す。例えば、EGR弁が正常な場合は、実線で示すように、エンジン負荷が所定値K1のときに吸気圧力が所定値P1になるところ、ブレーキブースタや蒸発燃料処理装置が作動して吸気通路に所定の気体が流れると、吸気圧力が所定値P2になってしまう。ここで、ブレーキブースタ等から吸気通路への気体の流れ込みを考慮しなければ、エンジン負荷が所定値K1のときに吸気圧力が所定値P2(P2>P1)になって異常な場合の特性に合致してしまい、EGR弁が正常であっても異常があると誤判定してしまう。
この開示技術は、上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、付属装置から吸気通路への気体の流れ込みにより吸気圧力が増加してもEGR弁の異常につき誤判定を防止することを可能としたエンジンのEGR装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の技術は、エンジンから排気通路へ排出される排気の一部をEGRガスとしてエンジンへ還流するためにEGRガスを排気通路から吸気通路へ流すEGR通路と、EGR通路におけるEGRガスの流量を調節するためのEGR弁と、EGR弁が、弁座と、弁座に着座可能に設けられた弁体と、弁体を駆動するためのアクチュエータとを含むことと、エンジンの運転状態を検出するための運転状態検出手段と、検出される運転状態に基づき、EGR弁を制御するためのEGR弁制御手段と、検出される運転状態に基づき、弁座と弁体との間における異物の噛み込みによる異常をEGR弁の異常として診断するためのEGR弁異常診断手段とを備えたエンジンのEGR装置において、運転状態検出手段は、EGR通路から吸気通路へEGRガスが流れ込む位置より下流の吸気通路における吸気圧力を検出するための吸気圧力検出手段と、エンジンの回転数を検出するための回転数検出手段と、エンジンの負荷を検出するための負荷検出手段とを含み、EGRガスが流れ込む位置より下流の吸気通路には、ブレーキ作動時にブレーキブースタから新気が流れ込むように構成され、EGR弁異常診断手段は、回転数及び負荷に対する吸気圧力の関係が予め設定された基準関数マップ又は基準関数式を備え、検出される回転数及び検出される負荷に基づいて基準関数マップ又は基準関数式を参照することにより算出される吸気圧力と、検出される吸気圧力とを比較することにより、EGR弁の異常の有無を判定し、吸気通路へブレーキブースタから新気が流れ込むときは、異常の有無の判定を修正する一方、ブレーキブースタから新気が流れ込む前のエンジンの減速中に異常が無いと判定した後は、当該判定を減速中は維持することを趣旨とする。
上記技術の構成によれば、エンジンの運転時に、検出される回転数及び検出される負荷に基づいて基準関数マップ又は基準関数式を参照することにより算出される吸気圧力と、検出される吸気圧力とを比較することにより、EGR弁の異常の有無が判定される。従って、基準関数マップ又は基準関数式を参照することで、エンジンの運転状態に応じた吸気圧力が算出されるので、EGR弁の異常の有無を判定するために、エンジンの運転状態をソニック等の特定の条件に制限する必要がなく、EGR弁の動作状態を特定の条件に制限する必要がない。また、ブレーキブースタから吸気通路への新気の流れ込みにより吸気圧力が増加する場合は、異常の有無の判定が修正される。
上記目的を達成するために、請求項2に記載の技術は、エンジンから排気通路へ排出される排気の一部をEGRガスとしてエンジンへ還流するためにEGRガスを排気通路から吸気通路へ流すEGR通路と、EGR通路におけるEGRガスの流量を調節するためのEGR弁と、EGR弁が、弁座と、弁座に着座可能に設けられた弁体と、弁体を駆動するためのアクチュエータとを含むことと、吸気通路に設けられるサージタンクと、エンジンの運転状態を検出するための運転状態検出手段と、検出される運転状態に基づき、EGR弁を制御するためのEGR弁制御手段と、検出される運転状態に基づき、弁座と弁体との間における異物の噛み込みによる異常をEGR弁の異常として診断するためのEGR弁異常診断手段とを備えたエンジンのEGR装置において、運転状態検出手段は、サージタンクに設けられて、サージタンクの中の吸気圧力を検出するための吸気圧力検出手段と、エンジンの回転数を検出するための回転数検出手段と、エンジンの負荷を検出するための負荷検出手段とを含み、EGRガスが流れ込む位置より下流の吸気通路には、ブレーキ作動時にブレーキブースタから新気が流れ込むように構成され、EGR弁異常診断手段は、回転数及び負荷に対する吸気圧力の関係が予め設定された基準関数マップ又は基準関数式を備え、検出される回転数及び検出される負荷に基づいて基準関数マップ又は基準関数式を参照することにより算出される吸気圧力と、検出される吸気圧力とを比較することにより、EGR弁の異常の有無を判定し、吸気通路へブレーキブースタから新気が流れ込むときは、異常の有無の判定を修正する一方、ブレーキブースタから新気が流れ込む前のエンジンの減速中に異常が無いと判定した後は、当該判定を減速中は維持することを趣旨とする。
上記目的を達成するために、請求項3に記載の技術は、請求項1又は2に記載の技術において、EGR弁異常診断手段は、吸気通路へブレーキブースタから新気が流れ込むときは、検出される吸気圧力を補正し、その補正された吸気圧力と、算出される吸気圧力とを比較することにより、異常の有無の判定を補正することを趣旨とする。
上記技術の構成によれば、請求項1又は2に記載の技術の作用に加え、ブレーキブースタから吸気通路への新気の流れ込みにより吸気圧力が増加する場合は、異常の有無の判定の修正として、検出される吸気圧力が補正されることにより、異常の有無の判定が補正される。
上記目的を達成するために、請求項4に記載の技術は、請求項1又は2に記載の技術において、EGR弁異常診断手段は、吸気通路へブレーキブースタから新気が流れ込むときは、異常の有無の判定を中止することを趣旨とする。
上記技術の構成によれば、請求項1又は2に記載の技術の作用に加え、ブレーキブースタから吸気通路への新気の流れ込みにより吸気圧力が増加する場合は、異常の有無の判定の修正として、異常の有無の判定が中止される。
上記目的を達成するために、請求項5に記載の技術は、請求項3に記載の技術において、EGR弁異常診断手段は、エンジンの減速初期から異常の有無の判定を継続的に補正すると共に、その判定結果を更新することを趣旨とする。
上記技術の構成によれば、請求項3に記載の技術の作用に加え、エンジンの減速初期には、異常の有無の判定が補正されることにより暫定的な判定結果が得られ、判定が継続的に補正されることにより判定結果が更新される。
上記目的を達成するために、請求項6に記載の技術は、請求項3に記載の技術において、EGR弁異常診断手段は、エンジンの減速時であって吸気通路へブレーキブースタから新気が流れ込まないときに異常の有無を判定した場合は、それ以降に吸気通路へブレーキブースタから新気が流れ込んだ直後は異常の有無の判定結果の更新を中止することを趣旨とする。
上記技術の構成によれば、請求項3に記載の技術の作用に加え、エンジンの減速時であって吸気通路へブレーキブースタから新気が流れ込まないときに異常の有無が判定された場合は、それ以降に吸気通路へブレーキブースタから新気が流れ込んだ直後は異常の有無の判定結果の更新が中止される。従って、異常の有無の判定精度が相対的に高くなる条件下で異常の有無の判定結果が得られるようになる。
上記目的を達成するために、請求項7に記載の技術は、請求項3又は5に記載の技術において、EGR弁異常診断手段は、検出される吸気圧力を、吸気通路へブレーキブースタから流れ込む新気の量に応じて補正することを趣旨とする。
上記技術の構成によれば、請求項3又は5に記載の技術の作用に加え、検出される吸気圧力が、吸気通路へブレーキブースタから流れ込む新気の量に応じて補正されるので、より正確に吸気圧力が補正される。
上記目的を達成するために、請求項8に記載の技術は、請求項1又は2に記載の技術において、EGR弁異常診断手段は、エンジンの減速中であってブレーキ非作動時に異常が有ると判定した場合でも、当該判定を減速中は維持することを趣旨とする。
請求項1に記載の技術によれば、ブレーキブースタから吸気通路への新気の流れ込みにより吸気圧力が増加しても、EGR弁の異常につき誤判定を防止することができる。
請求項に記載の技術によれば、ブレーキブースタから吸気通路への新気の流れ込みにより吸気圧力が増加しても、EGR弁の異常につき誤判定を防止することができる。
請求項に記載の技術によれば、ブレーキブースタから吸気通路への新気の流れ込みにより吸気圧力が増加しても、EGR弁の異常につき誤判定を防止することができる。
請求項に記載の技術によれば、請求項に記載の技術の効果に加え、暫定的な判定結果によりEGR弁の異常を早期に検出することができ、その後の継続的な補正により判定結果の精度を向上させることができる。
請求項に記載の技術によれば、請求項に記載の技術の効果に加え、ブレーキブースタから吸気通路へ新気が流れ込んでも、EGR弁の異常の有無の判定精度を確保することができる。
請求項に記載の技術によれば、請求項又はに記載の技術の効果に加え、EGR弁の異常の有無の判定精度を向上させることができる。
第1実施形態に係り、車両に搭載され、エンジンのEGR装置を含むエンジンシステムの一例を示す概略構成図。 第1実施形態に係り、EGR弁の構成の一例を示す断面図。 第1実施形態に係り、図2のEGR弁の一部を示す拡大断面図。 第1実施形態に係り、異物噛み込み診断制御の処理内容の一例を示すフローチャート。 第1実施形態に係り、図4の処理内容の続きを示すフローチャート。 第1実施形態に係り、エンジン回転数とエンジン負荷に応じた第1の開弁基準吸気圧力を求めるために参照される第1の開弁基準吸気圧力マップ。 第1実施形態に係り、エンジン回転数とエンジン負荷に応じた第2の開弁基準吸気圧力を求めるために参照される第2の開弁基準吸気圧力マップ。 第1実施形態に係り、異物噛み込み診断制御による各種パラメータの挙動の一例を示すタイムチャート。 第2実施形態に係り、異物噛み込み診断制御の処理内容の一例を示すフローチャート。 第2実施形態に係り、吸気圧力補正値を算出する処理内容の一例を示すフローチャート。 第2実施形態に係り、車速変化量に応じたブースタ新気推定値を求めるために参照されるブースタ新気推定値マップ。 第2実施形態に係り、ブースタ新気推定値とエンジン回転数に応じた吸気圧力オン補正値を求めるために参照される吸気圧力オン補正値マップ。 第2実施形態に係り、ブースタ新気推定値とエンジン回転数に応じた吸気圧力オフ補正値を求めるために参照される吸気圧力オフ補正値マップ。 第2実施形態に係り、異物噛み込み診断制御による各種パラメータの挙動の一例を示すタイムチャート。 第3実施形態に係り、異物噛み込み診断制御の処理内容の一例を示すフローチャート。 第3実施形態に係り、正常判定完了フラグの設定に関する処理内容の一例を示すフローチャート。 第3実施形態に係り、異物噛み込み診断制御による各種パラメータの挙動の一例を示すタイムチャート。 第4実施形態に係り、異物噛み込み診断制御の処理内容の一例を示すフローチャート。 第4実施形態に係り、異物判定完了フラグの設定に関する処理内容の一例を示すフローチャート。 第4実施形態に係り、異物噛み込み診断制御による各種パラメータの挙動の一例を示すタイムチャート。 第5実施形態に係り、車両に搭載され、エンジンのEGR装置を含むエンジンシステムの一例を示す概略構成図。 第5実施形態に係り、吸気圧力補正値を算出する処理内容の一例を示すフローチャート。 第5実施形態に係り、パージ率に応じた吸気圧力オフ補正値を求めるために参照される吸気圧力オフ補正値マップ。 従来例に係り、エンジン負荷に対する吸気圧力の関係の一例を示すグラフ。
<第1実施形態>
以下、エンジンのEGR装置をガソリンエンジンシステムに具体化した第1実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
[ガソリンエンジンシステムの概要について]
図1に、この実施形態において、車両に搭載され、エンジンのEGR装置を含むガソリンエンジンシステム(以下、単に「エンジンシステム」という。)の一例を概略構成図により示す。車両は周知のブレーキ装置を備える。エンジンシステムは、レシプロタイプのエンジン1を備える。エンジン1の吸気ポート2には、吸気通路3が接続され、排気ポート4には、排気通路5が接続される。吸気通路3の入口には、エアクリーナ6が設けられる。
吸気通路3には、サージタンク3aが設けられ、サージタンク3aより上流の吸気通路3には、電子スロットル装置14が設けられる。この電子スロットル装置14は、スロットル弁21と、スロットル弁21を開閉駆動するためのステップモータ22と、スロットル弁21の開度(スロットル開度)TAを検出するためのスロットルセンサ23とを備える。電子スロットル装置14は、運転者によるアクセルペダル26の操作に応じてステップモータ22が駆動されることでスロットル弁21の開度が調節されるようになっている。スロットル開度TAはエンジン1の負荷を示すパラメータであることから、スロットルセンサ23は、エンジン1の負荷を検出するためのこの開示技術における負荷検出手段の一例に相当する。排気通路5には、排気を浄化するための触媒コンバータ15が設けられる。
エンジン1には、燃焼室16に燃料を噴射供給するためのインジェクタ25が設けられる。インジェクタ25には、燃料タンク(図示略)から燃料が供給されるようになっている。また、エンジン1には、燃焼室16にて形成された燃料と吸気との混合気を点火するための点火装置29が設けられる。
このエンジンシステムには、高圧ループ式のEGR装置が設けられる。EGR装置は、エンジン1の燃焼室16から排気通路5へ排出される排気の一部をEGRガスとして燃焼室16へ還流するためにEGRガスを排気通路5から吸気通路3へ流すEGR通路17と、EGR通路17におけるEGRガスの流量を調節するためにEGR通路17に設けられるEGR弁18とを備える。EGR通路17は、排気通路5と、吸気通路3のサージタンク3aとの間に設けられる。すなわち、EGR通路17の出口17aは、電子スロットル装置14より下流にてサージタンク3aに接続される。EGR通路17の入口17bは、排気通路5に接続される。EGR通路17には、同通路17を流れるEGRガスを冷却するためのEGRクーラ20が設けられる。EGR弁18は、EGRクーラ20より下流のEGR通路17に配置される。
[ブレーキブースタについて]
この実施形態の車両は、図1に示すように、ブレーキブースタ61を備える。ブレーキブースタ61は、車両のブレーキ装置を構成する要素の一つであり、運転手のブレーキ操作力を補助(低減)するようになっている。ブレーキブースタ61は、この開示技術における付属装置に相当し、ブレーキ作動時にブレーキブースタ61から吸気通路3(サージタンク3a)へ気体(新気)が流れ込むようになっている。図1に示すように、ブレーキブースタ61は、ブレーキペダル62を介して伝えられる運転手の制動力を、負圧によって補助することで、ブレーキを作動させるためのマスターシリンダ63に制動力を倍増して伝えるようになっている。このブレーキブースタ61は、吸気通路3における吸気圧力を使用するために、サージタンク3aに接続される吸気パイプ64を備える。ブレーキペダル62は、支軸65を中心に回動可能に設けられたレバー66の下端に設けられる。ブレーキブースタ61から伸びる操作ロッド67は、レバー66に連結される。この操作ロッド67は、ブレーキペダル62の操作に応じて往復運動(ストローク運動)し、ブレーキブースタ61を作動させる。ここで、ブレーキペダル62が踏み込まれる(ブレーキがオフからオンされる)ことで、ブレーキブースタ61から、低密度の新気が、吸気パイプ64を介してサージタンク3aへ流れる。一方、ブレーキペダル62が踏み戻される(ブレーキがオンからオフされる)ことで、ブレーキブースタ61から、高密度の新気が、吸気パイプ64を介してサージタンク3aへ流れる。従って、サージタンク3aにおける吸気圧力は、ブレーキがオンからオフされたときの方が上昇することになる。
[EGR弁の構成について]
図2に、EGR弁18の構成の一例を断面図により示す。図3に、図2のEGR弁18の一部を拡大断面図により示す。図2に示すように、EGR弁18は、ポペット式の電動弁により構成される。すなわち、EGR弁18は、ハウジング31と、ハウジング31の中に設けられる弁座32と、ハウジング31の中で弁座32に対して着座可能かつ移動可能に設けられる弁体33と、弁体33をストローク運動させるためのステップモータ34とを備える。ステップモータ34は、この開示技術におけるアクチュエータの一例に相当する。ハウジング31は、排気通路5の側(排気側)よりEGRガスが導入される導入口31aと、吸気通路3の側(吸気側)へEGRガスを導出する導出口31bと、導入口31aと導出口31bとを連通する連通路31cとを含む。弁座32は、連通路31cの中間に設けられる。
ステップモータ34は、直進的にストローク運動可能な出力軸35を備える。出力軸35の先端には、弁体33が固定される。出力軸35は、ハウジング31に設けられる軸受36を介してハウジング31に対しストローク運動可能に支持される。出力軸35の上端部には、雄ねじ部37が形成される。出力軸35の中間(雄ねじ部37の下端付近)には、スプリング受け38が形成される。スプリング受け38は、下面が圧縮スプリング39の受け面となっており、上面にはストッパ40が形成される。
弁体33は円錐形状をなし、その円錐面が弁座32に対して当接又は離間するようになっている。弁体33が弁座32に当接することで弁体33が全閉となり、弁体33が弁座32から離間することで弁体33が開弁する。スプリング受け38とハウジング31との間には、圧縮スプリング39が設けられる。弁体33は、この圧縮スプリング39により、ステップモータ34の側へ、すなわち弁座32に着座する閉弁方向へ、付勢されるようになっている。そして、全閉状態の弁体33が、ステップモータ34の出力軸35により、圧縮スプリング39の付勢力に抗してストローク運動することにより、弁体33が弁座32から離間(開弁)する。この開弁時には、弁体33は、EGR通路17の上流側(排気側)へ向けて移動する。このように、このEGR弁18は、弁体33が弁座32に着座した全閉状態から、エンジン1の排気圧力又は吸気圧力に抗してEGR通路17の上流側へ移動することで、弁体33が弁座32から離れて開弁する。一方、開弁状態の弁体33は、ステップモータ34の出力軸35により圧縮スプリング39の付勢方向へ移動させることで、弁座32に近付いて閉弁する。この閉弁時には、弁体33は、EGR通路17の下流側(吸気側)へ向けて移動する。
EGR弁18は、ステップモータ34の出力軸35がストローク運動することにより、弁座32に対する弁体33の開度が調節される。出力軸35は、弁体33が弁座32に着座する全閉状態から、弁体33が弁座32から最大限離間する全開状態までの間で、所定のストロークだけストローク運動可能に設けられる。
ステップモータ34は、コイル41、マグネットロータ42及び変換機構43を含む。ステップモータ34は、コイル41が通電により励磁されることで、マグネットロータ42が所定のモータステップ数だけ回転し、このマグネットロータ42の回転運動が変換機構43により出力軸35のストローク運動に変換される。この出力軸35のストローク運動に伴い、弁体33が弁座32に対してストローク運動する。
マグネットロータ42は、樹脂製のロータ本体44と、円環状のプラスチックマグネット45とを含む。ロータ本体44の中心には、出力軸35の雄ねじ部37に螺合する雌ねじ部46が形成される。雌ねじ部46と雄ねじ部37が螺合した状態でロータ本体44が回転することで、その回転運動が出力軸35のストローク運動に変換される。上記した変換機構43は、雄ねじ部37と雌ねじ部46により構成される。ロータ本体44の下部には、スプリング受け38のストッパ40が当接する当接部44aが形成される。EGR弁18の全閉時には、ストッパ40の端面が、当接部44aの端面に面接触し、出力軸35の初期位置が規制される。
この実施形態では、ステップモータ34のモータステップ数を段階的に変えることで、EGR弁18の弁体33の開度を、全閉から全開までの間で段階的に微調節するようになっている。
[エンジンシステムの電気的構成について]
この実施形態では、エンジン1の運転状態に応じて燃料噴射制御、点火時期制御、吸気量制御及びEGR制御等をそれぞれ実行するための電子制御装置(ECU)50が設けられる。ECU50は、エンジン1の運転状態に応じて、インジェクタ25、点火装置29、電子スロットル装置14(ステップモータ22)及びEGR弁18(ステップモータ34)のそれぞれを制御するようになっている。ECU50は、中央処理装置(CPU)と、所定の制御プログラム等を予め記憶したり、CPUの演算結果等を一時的に記憶したりする各種メモリと、これら各部と接続される外部入力回路及び外部出力回路とを備える。ECU50は、この開示技術におけるEGR弁制御手段及びEGR弁異常診断手段の一例に相当する。外部出力回路には、インジェクタ25、点火装置29及び電子スロットル装置14(各ステップモータ22)及びEGR弁18(ステップモータ34)が接続される。外部入力回路には、スロットルセンサ23をはじめエンジン1の運転状態を検出するための各種センサ27,51〜57が接続される。各種センサ23,27,51〜57は、この開示技術における運転状態検出手段の一例に相当する。また、ECU50は、EGR弁18を制御するために、所定の指令信号をステップモータ34へ出力するようになっている。
ここで、各種センサとして、スロットルセンサ23の他に、アクセルセンサ27、吸気圧センサ51、回転数センサ52、水温センサ53、エアフローメータ54、空燃比センサ55、ブレーキセンサ56及び車速センサ57が設けられる。アクセルセンサ27は、アクセルペダル26の操作量であるアクセル開度ACCを検出し、その検出信号を出力する。アクセルペダル26は、エンジン1の出力を操作するための操作手段の一例に相当する。吸気圧センサ51は、電子スロットル装置14より下流のサージタンク3aにおける吸気圧力PMを検出し、その検出信号を出力する。吸気圧センサ51は、この開示技術における吸気圧力検出手段の一例に相当する。回転数センサ52は、エンジン1のクランクシャフト1aの回転角(クランク角)を検出するとともに、そのクランク角の変化をエンジン1の回転数(エンジン回転数)NEとして検出し、その検出信号を出力する。回転数センサ52は、この開示技術における回転数検出手段の一例に相当する。水温センサ53は、エンジン1の冷却水の温度(冷却水温度)THWを検出し、その検出信号を出力する。エアフローメータ54は、エアクリーナ6の直下流にて吸気通路3を流れる吸気量Gaを検出し、その検出信号を出力する。空燃比センサ55は、触媒コンバータ15の直上流の排気通路5にて、排気中の空燃比A/Fを検出し、その検出信号を出力する。ブレーキセンサ56は、レバー66の支軸65に設けられ、ブレーキペダル62の操作を検出し、その検出信号を出力する。車速センサ57は、この車両の速度(車速)SPDを検出し、その検出信号を出力する。
この実施形態で、ECU50は、エンジン1の全運転領域にて、エンジン1の運転状態に応じてEGRを制御するために、EGR弁18を制御するようになっている。一方、ECU50は、エンジン1の減速時であって、エンジン1への燃料供給が遮断されるとき(減速燃料カット時)には、EGRを遮断するために、EGR弁18を全閉に制御するようになっている。
この実施形態のEGR弁18では、図3に示すように、弁座32と弁体33との間でデポジット等の異物FBの噛み込みや付着が問題になることがある。そこで、この実施形態のEGR装置では、ECU50は、弁座32と弁体33との間における異物FBの噛み込みを含むEGR弁18の開閉に係る異常を診断するために「異物噛み込み診断制御」を実行するようになっている。
[異物噛み込み診断制御について]
図4、図5に、ECU50が実行する異物噛み込み診断制御の処理内容の一例をフローチャートにより示す。
処理がこのルーチンへ移行すると、ステップ100で、ECU50は、エンジン1の運転状態を示す各種信号を各種センサ等23,51,52,54から取り込む。すなわち、エンジン回転数NE、エンジン負荷KL、スロットル開度TA、吸気量Ga、吸気圧力PM、エンジン回転変化ΔNE、スロットル開度変化ΔTA及びステップモータ34のモータステップ数STegrをそれぞれ取り込む。ここで、ECU50は、エンジン回転数NEと吸気量Gaに基づきエンジン負荷KLを求めることができる。ECU50は、エンジン回転数NEの単位時間当たりの変化を、エンジン回転変化ΔNEとして求めることができる。ECU50は、スロットル開度TAの単位時間当たりの変化を、スロットル開度変化ΔTAとして求めることができる。モータステップ数STegrは、EGR弁18の開度(EGR開度)、すなわち弁座32に対する弁体33の開度に比例する関係を有する。
次に、ステップ110で、ECU50は、EGR弁18の開度に比例するモータステップ数STegrが「50ステップ」より小さいか否かを判断する。「50ステップ」は一例であり、EGR弁18のある開度を想定した値である。ECU50は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ120へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ370へ移行する。
ステップ120では、ECU50は、ブレーキがオンか否かを判断する。ECU50は、ブレーキセンサ56の検出信号に基づきこの判断を行うことができる。ECU50は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ130へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ200へ移行する。
ステップ130では、ECU50は、ブレーキオフ後時間TBKoffを「0」に設定する。このブレーキオフ後時間TBKoffは、ブレーキをオフにしてからの経過時間を意味する。ECU50は、ブレーキがオフされてからこの時間TBKoffの計時を開始するようになっている。
次に、ステップ140で、ECU50は、吸気圧力PMに対するブレーキ影響判定フラグXBKPMが「0」か否かを判断する。このフラグXBKPMは、ブレーキ作動時に吸気圧力PMへの影響に関する判定を示し、後述するように、吸気圧力PMへの影響が有る場合に「1」に、その影響が無い場合に「0」に設定されるようになっている。ECU50は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ150へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ100へ戻す。
ステップ150では、ECU50は、ブレーキオン後時間TBKonを取り込む。このブレーキオン後時間TBKonは、ブレーキをオンにしてからの経過時間を意味する。ECU50は、ブレーキがオンされてからこの時間TBKonの計時を開始するようになっている。
次に、ステップ160で、ECU50は、ブレーキオン後時間TBKonが所定値A1以上か否かを判断する。ECU50は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ170へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ190へ移行する。
ステップ170では、ECU50は、ブレーキオン後時間TBKonを所定値A1に設定する。
次に、ステップ180で、ECU50は、ブレーキ影響判定フラグXBKPMを「0」に設定した後、処理をステップ250へ移行する。ここで、ブレーキ影響判定フラグXBKPMを「0」に設定するのは、ブレーキをオンしたときは、ブレーキブースタ61からサージタンク3aへ流れる新気が低密度となり、吸気圧力PMへの影響が小さいからである。また、ステップ180から処理をステップ250へ移行するのは、ブレーキ作動後に、ブレーキブースタ61からの新気の吸気圧力PMへの影響が収まった後に、EGR弁18の異物噛み込み判定を行うためである。
一方、ステップ120から移行してステップ200では、ECU50は、ブレーキオン後時間TBKonを「0」に設定する。このブレーキオン後時間TBKonは、ブレーキをオンにしてからの経過時間を意味する。ECU50は、ブレーキがオンされてからこの時間TBKonの計時を開始するようになっている。
次に、ステップ210で、ECU50は、吸気圧力PMに対するブレーキ影響判定フラグXBKPMが「0」か否かを判断する。ECU50は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ220へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ100へ戻す。
ステップ220では、ECU50は、ブレーキオフ後時間TBKoffを取り込む。
次に、ステップ230で、ECU50は、ブレーキオフ後時間TBKoffが所定値B1(B1>A1)以上か否かを判断する。ECU50は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ240へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ190へ移行する。
ステップ240では、ECU50は、ブレーキオフ後時間TBKoffを所定値B1に設定し、処理をステップ180へ移行する。
一方、ステップ160又はステップ230から移行してステップ190では、ECU50は、ブレーキ影響判定フラグXBKPMを「1」に設定した後、処理をステップ100へ戻す。ここで、ブレーキ影響判定フラグXBKPMを「1」に設定するのは、ブレーキをオフしたときは、ブレーキブースタ61からサージタンク3aへ流れる新気が高密度となり、吸気圧力PMへの影響が大きいからである。また、ステップ190から処理をステップ100へ戻すのは、ブレーキ作動直後(吸気圧力PMが変動するとき)に、EGR弁18の異物噛み込み判定を中止するためである。
そして、ステップ180から移行してステップ250では、ECU50は、エンジン1の運転状態が異物噛み込み検出範囲内か否かを判断する。ECU50は、例えば、エンジン回転数NEとエンジン負荷KLとの関係から規定される範囲が、異物噛み込み検出に適した所定の範囲内か否かを判断することができる。この所定の範囲内として、エンジン1の減速運転又は定常運転が含まれる。ECU50は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ260へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ100へ戻す。
ステップ260では、ECU50は、第1の開弁基準吸気圧力マップを参照することで、第1のEGR開度(20ステップ)のときの第1の開弁基準吸気圧力PMegr20を取り込む。「20ステップ」は一例であり、EGR弁18のある開度(50ステップに対応する開度より小さい)を想定した値である。ECU50は、例えば、図6に示すように予め設定された第1の開弁基準吸気圧力マップを参照することにより、エンジン回転数NEとエンジン負荷KLに応じた第1の開弁基準吸気圧力PMegr20を求めることができる。図6に示す第1の開弁基準吸気圧力マップは、EGR弁18の弁座32に対する弁体33の開度(20ステップに対応する第1のEGR開度)、エンジン回転数NE及びエンジン負荷KLに対する第1の開弁基準吸気圧力PMegr20の関係が予め設定されたものであり、この開示技術における基準関数マップの一例に相当する。
次に、ステップ270で、ECU50は、第2の開弁基準吸気圧力マップを参照することで、第2のEGR開度(30ステップ)のときの第2の開弁基準吸気圧力PMegr30を取り込む。「30ステップ」は一例であり、EGR弁18のある開度(20ステップに対応する開度より大きい)を想定した値である。ECU50は、例えば、図7に示すように予め設定された第2の開弁基準吸気圧力マップを参照することにより、エンジン回転数NEとエンジン負荷KLに応じた第2の開弁基準吸気圧力PMegr30を求めることができる。図7に示す第2の開弁基準吸気圧力マップは、EGR弁18の弁座32に対する弁体33の開度(30ステップに対応する第2のEGR開度)、エンジン回転数NE及びエンジン負荷KLに対する第2の開弁基準吸気圧力PMegr30の関係が予め設定されたものであり、この開示技術における基準関数マップの一例に相当する。
次に、ステップ280で、ECU50は、現在の制御開度であるEGR開度に相当するステップモータ34のモータステップ数STegrを取り込む。
次に、ステップ290で、ECU50は、取り込まれたモータステップ数STegrが20ステップより小さいか否かを判断する。ECU50は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ300へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ350へ移行する。
ステップ300では、ECU50は、取り込まれた吸気圧力PMが第1の開弁基準吸気圧力PMegr20より大きいか否かを判断する。ECU50は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ310へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ350へ移行する。
ステップ310では、ECU50は、取り込まれた吸気圧力PMが第2の開弁基準吸気圧力PMegr30より大きいか否かを判断する。ECU50は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ320へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ340へ移行する。
ステップ320では、ECU50は、モータステップ数STegrが20ステップより小さいにもかかわらず、噛み込み異物径KΦXOPがEGR開度に相当する「30ステップ」以上であることから、EGR弁18が異物噛み込み異常であると判定する。ECU50は、この判定結果をメモリに記憶したり、この判定結果を受けて所定の異常報知制御を実行したりすることができる。
次に、ステップ330で、ECU50は、最小スロットル開度制御を実行する。すなわち、ECU50は、噛み込み異物径KΦXOPに応じた全閉スロットル開度TAcを求め、電子スロットル装置14の最小スロットル開度TAminを全閉スロットル開度TAcに制御する。この制御は、異物噛み込みによってEGR弁18からサージタンク3aへ漏れ流れるEGRガスを吸気増量によって適度に希釈するために、電子スロットル装置14(スロットル弁21)の開度を増大させる制御である。その後、ECU50は、処理をステップ100へ戻す。
一方、ステップ310から移行してステップ340では、ECU50は、噛み込み異物径KΦXOPが「20〜30ステップ」となることから、EGR弁18が異物噛み込み異常であると判定した後、処理をステップ330へ移行する。ECU50は、この判定結果をメモリに記憶したり、この判定結果を受けて所定の異常報知制御を実行したりすることができる。
ここで、ECU50は、「20〜30ステップ」の間の噛み込み異物径KΦXOPについては、以下の(式1)により補間計算して求めることができる。
KΦXOP=[(PMegr30−PM)/(PMegr30−PMegr20)]
*(30−20)+20 ・・・(式1)
一方、ステップ290又はステップ300から移行してステップ350では、ECU50は、EGR弁18の異物噛み込み判定を保留する。
次に、ステップ360で、ECU50は、最小スロットル開度制御を解除する、すなわち、通常のスロットル制御へ戻す。その後、ECU50は、処理をステップ100へ戻す。
一方、ステップ110から移行してステップ370では、モータステップ数STegrが50より大きいことから、ECU50は、第3の開弁基準吸気圧力マップ(図示略)を参照することで、第3のEGR開度(60ステップ)のときの第3の開弁基準吸気圧力PMegr60を取り込む。「60ステップ」は一例であり、EGR弁18のある開度(50ステップに対応する開度より大きい)を想定した値である。第3の開弁基準吸気圧力マップも、弁座32に対する弁体33の開度(60ステップに対応する第3のEGR開度)、エンジン回転数NE及びエンジン負荷KLに対する第3の開弁基準吸気圧力PMegr60の関係が予め設定されたものであり、この開示技術における基準関数マップの一例に相当する。
次に、ステップ380で、ECU50は、取り込まれた吸気圧力PMが、第3の開弁基準吸気圧力PMegr60から圧力上昇代αを減算した結果より小さいか否かを判断する。ECU50は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ390へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ100へ戻す。
そして、ステップ390では、ECU50は、EGR弁18が、60ステップに対応する第3のEGR開度であるにもかかわらず吸気圧力PMが第3の開弁基準吸気圧力PMegr60前後より低いことから、EGR流量が低下した異常(EGR流量低下異常)と判定し、処理をステップ100へ戻す。ここでは、EGR弁18の開度が比較的大きくなるときにEGR流量が低下することから、EGR通路17の配管詰まり等の異常を想定することができる。
上記した異物噛み込み診断制御によれば、ECU50は、制御されているEGR弁18の弁座32に対する弁体33の制御開度、エンジン回転数NE及びエンジン負荷KLに対する第1、第2及び第3の開弁基準吸気圧力PMegr20,PMegr30,PMegr60(吸気圧力)の関係が予め設定された第1、第2及び第3の開弁基準吸気圧力マップ(基準関数マップ)を備える。そして、ECU50は、制御開度、検出されるエンジン回転数NE及び検出されるエンジン負荷KLに基づいてこれらマップを参照することにより、第1、第2及び第3の開弁基準吸気圧力PMegr20,PMegr30,PMegr60を算出する。そして、ECU50は、算出される各開弁基準吸気圧力PMegr20,PMegr30,PMegr60と、検出される吸気圧力PMとを比較することにより、EGR弁18の異常(EGR弁18の異物噛み込み異常、EGR流量低下異常)の有無を判定するようになっている。
加えて、上記した異物噛み込み診断制御によれば、ECU50は、ブレーキ作動時に、サージタンク3a(吸気通路3)へブレーキブースタ61(付属装置)からエアフローメータ54を通過しない新気が流れ込むときは、EGR弁18の異常の有無の判定を修正するようになっている。詳しくは、異常の有無の判定の修正として、ECU50は、ブレーキ作動時に、サージタンク3aへブレーキブースタ61から気体が流れ込むときは、EGR弁18の異常の有無の判定を中止するようになっている。
ここで、図8に、上記した異物噛み込み診断制御による各種パラメータの挙動の一例をタイムチャートにより示す。図8において、(a)はアクセル開度ACC(破線)と、スロットル開度TA(実線)の変化を示す。(b)はブレーキ作動の変化を示す。(c)はブレーキオン後時間TBKon(実線)と、ブレーキオフ後時間TBKoff(破線)の変化を示す。(d)はブレーキ影響判定フラグXBKPMの変化を示す。(e)はEGR開度の変化を示す。ここで、実線ea1は、EGR弁18が正常な場合を示し、破線ea2は、EGR弁18に異物噛み込み異常がある場合を示す。(f)は噛み込み異物径KΦXOPの変化を示す。ここで、実線p1は、EGR弁18が正常な場合を示し、破線p2は、EGR弁18に異物噛み込み異常がある場合を示す。(g)は吸気圧力PMの増加を示す。ここで、実線pm1は、正常な場合を示し、破線pm2は、噛み込み異物径KΦXOPが「0」の場合を示し、破線pm3は、噛み込み異物径KΦXOPが「10」の場合を示し、破線pm4,pm5は、噛み込み異物径KΦXOPが「20」の場合を示し(破線pm4は、異物噛み込み異常がある場合を示す。)、破線pm6は、噛み込み異物径KΦXOPが「30」の場合を示し、破線pm7は、噛み込み異物径KΦXOPが「40」の場合を示す。また、2点鎖線pm8は、正常な場合にブレーキブースタ61からサージタンク3aへ新気が流れ込んだ場合を示し、2点鎖線pm9は、異物噛み込み異常がある場合にブレーキブースタ61からサージタンク3aへ新気が流れ込んだ場合を示す。
図8において、時刻t1で(a)のアクセル開度ACCが減少し始めると、少し遅れた時刻t2で(a)のスロットル開度TAと(e)のEGR開度がそれぞれ減少し始める。すなわち、電子スロットル装置14とEGR弁18がそれぞれ閉弁し始める。その後、時刻t3で(a)のスロットル開度TAが所定の減速開度DOに達すると、(e)に実線ea1で示すようにEGR開度が全閉となる。また、時刻t3の直前で、(g)に示すように吸気圧力PMが減少し始める。しかし、時刻t3の直前でEGR弁18に異物噛み込み(KΦXOP=20)がある場合は、(e)に破線ea2で示すように、EGR開度は全閉にはならず、ある開度で開弁したままとなる。また、時刻t3で(b)に示すようにブレーキが「オフ」から「オン」に作動すると、(c)に実線で示すようにブレーキオン後時間TBKonが増加し始め、(d)に示すようにブレーキ影響判定フラグXBKPMが「0」から「1」に立ち上がる。
その後、時刻t6で(c)に実線で示すようにブレーキオン後時間TBKonが所定値A1に達すると、(d)に示すように、ブレーキ影響判定フラグXBKPMが「1」から「0」に戻る。ここで、時刻t3から時刻t6までの間で、ブレーキブースタ61からサージタンク3aへ新気が流れ込むので、(g)に2点鎖線pm8,pm9で示すように吸気圧力PMが一旦増加し、正確な吸気圧力PMを得ることができない。そこで、この実施形態では、時刻t3から時刻t6の間で、異物噛み込み異常の有無の判定を行わず、(f)に実線p1及び破線p2で示すように、噛み込み異物径KΦXOPの判定を中止する。異物噛み込み異常がある場合、噛み込み異物径KΦXOPの判定は、時刻t6以降で再開することになる。
その後、時刻t8で(b)に示すようにブレーキが「オン」から「オフ」に作動すると、(c)に実線で示すようにブレーキオン後時間TBKonが「0」へ戻り、破線で示すようにブレーキオフ後時間TBKoffが増加し始め、(d)に示すようにブレーキ影響判定フラグXBKPMが再び「0」から「1」に立ち上がる。そして、時刻t10で、(c)に破線で示すようにブレーキオフ後時間TBKoffが所定値B1に達すると、(d)に示すように、ブレーキ影響判定フラグXBKPMが「1」から「0」に戻る。ここでは、時刻t8から時刻t10までの間で、ブレーキブースタ61からサージタンク3aへ新気が流れ込むので、(g)に2点鎖線pm8,pm9で示すように吸気圧力PMが一旦増加し、正確な吸気圧力PMを得ることができない。そこで、この実施形態では、時刻t8から時刻t10の間で、異物噛み込み異常の有無の判定を中止し、(f)に実線p1及び破線p2で示すように、噛み込み異物径KΦXOPの判定を中止する。異物噛み込み異常がある場合、噛み込み異物径KΦXOPの判定は、時刻t10以降で再開することになる。
以上説明したこの実施形態におけるエンジンのEGR装置の構成によれば、ECU50は、エンジン1の運転時に、検出されるエンジン回転数NE及び検出されるエンジン負荷KLに基づいて第1、第2及び第3の開弁基準吸気圧力マップ(基準関数マップ)を参照することにより第1、第2及び第3の開弁基準吸気圧力PMegr20,PMegr30,PMegr60(吸気圧力)を算出する。また、ECU50は、算出される第1、第2及び第3の開弁基準吸気圧力PMegr20,PMegr30,PMegr60と、検出される吸気圧力PMとを比較することにより、EGR弁18の異常(EGR弁18の異物噛み込み異常、EGR流量低下異常)の有無を判定する。従って、第1〜第3の開弁基準吸気圧力マップを参照することで、エンジン1の運転状態に応じた第1〜第3の開弁基準吸気圧力PMegr20,PMegr30,PMegr60が算出されるので、EGR弁18の異常の有無を判定するために、エンジン1の運転状態をソニック等の特定の条件に制限する必要がなく、EGR弁18の動作状態を特定の条件に制限する必要がない。この実施形態では、特に、エンジン1の減速時において、EGR弁18の異常の有無の判定について説明したが、減速時に限られるものではなく、エンジン1の定常時にも、EGR弁18の異常の有無を判定することが可能である。このため、エンジン1の運転状態やEGR弁18の動作状態に関する条件を特定の条件に制限することなく、EGR弁18の異常を早期に診断することができる。
また、この実施形態では、サージタンク3a(吸気通路3)へブレーキブースタ61(付属装置)から新気(気体)が流れ込むときは、ECU50は、EGR弁18の異常の有無の判定を修正する。従って、ブレーキブースタ61からサージタンク3aへの新気の流れ込みにより吸気圧力PMが増加する場合は、EGR弁18の異常の有無の判定が修正される。特に、この実施形態では、ブレーキブースタ61からサージタンク3aへの新気の流れ込みにより吸気圧力PMが増加する場合は、EGR弁18の異常の有無の判定の修正として、EGR弁18の異常の有無の判定が中止される。このため、ブレーキブースタ61からサージタンク3aへの新気の流れ込みにより吸気圧力PMが増加してもEGR弁18の異常につき誤判定を防止することができる。
なお、この実施形態では、EGR弁18の異常として、異物FBの噛み込みによる全閉異常を想定したが、異物FBの噛み込みに限らず、弁体33が固着等により全閉にならない異常を想定することもできる。
<第2実施形態>
次に、エンジンのEGR装置をガソリンエンジンに具体化した第2実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下の説明において、第1実施形態と同等の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略し、以下には異なった点を中心に説明する。
この実施形態では、異物噛み込み診断制御の処理内容の点で第1実施形態と構成が異なる。図9に、その処理内容の一例をフローチャートにより示す。図10に、図9に示す制御に関連した吸気圧力補正値βを算出する処理内容の一例をフローチャートにより示す。図9のフローチャートは、図4、図5のステップ120〜ステップ240の処理を省略し、ステップ300とステップ310の処理をそれぞれステップ305とステップ315の処理に変更した点で図4、図5のフローチャートの内容と異なる。
[異物噛み込み診断制御について]
処理がこのルーチンへ移行すると、ECU50は、ステップ100、ステップ110、ステップ250〜ステップ290の処理を実行し、ステップ290の判断結果が肯定となる場合、ステップ305へ移行する。そして、ステップ305では、ECU50は、取り込まれた吸気圧力PMから吸気圧力補正値βを減算した値が第1の開弁基準吸気圧力PMegr20より大きいか否かを判断する。ECU50は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ315へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ350へ移行する。
ステップ315では、ECU50は、取り込まれた吸気圧力PMから吸気圧力補正値βを減算した値が第2の開弁基準吸気圧力PMegr30より大きいか否かを判断する。ECU50は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ320へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ340へ移行する。
すなわち、ECU50は、ステップ305及びステップ315で、取り込まれた吸気圧力PMを吸気圧力補正値βにより補正し、その補正後の吸気圧力(PM−β)を各開弁基準圧力PMegr20,PMegr30と比較するのである。このフローチャートにおけるその他の処理内容は、図4に示すフローチャートのそれと同じである。
ここで、吸気圧力補正値βは、ブレーキの作動状況に応じて算出される値であり、その算出の処理内容の一例を図10のフローチャートにしたがって以下に説明する。
[吸気圧力補正値の算出について]
処理がこのルーチンへ移行すると、ステップ400で、ECU50は、各種センサ23,51,52,54,57からの検出信号に基づき吸気圧力PM、エンジン回転数NE、吸気量Ga、エンジン負荷KL及び車速変化量ΔSPDを取り込む。ECU50は、車速SPDの単位時間当たりの変化量を車速変化量ΔSPDとして求めることができる。
次に、ステップ410で、ECU50は、エンジン1の運転が減速又はアイドルか否かを判断する。ECU50は、この判断を、例えば、エンジン回転数NEの変化に基づき行うことができる。ECU50は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ420へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ400へ戻す。
ステップ420で、ECU50は、ブレーキがオン(踏み込み)か否かを判断する。ECU50は、ブレーキセンサ56の検出信号に基づきこの判断を行うことができる。ECU50は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ430へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ510へ移行する。
ステップ430では、ECU50は、ブレーキオン後時間TBKonを取り込む。次に、ステップ440で、ECU50は、ブレーキオフ後時間TBKoffを「0」に設定する。次に、ステップ450で、ECU50は、ブレーキがオンとなったことから、ブレーキフラグXBKを「1」に設定する。
その後、ステップ460で、ECU50は、ブレーキオン後時間TBKonが所定値A1より小さいか否かを判断する。ECU50は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ470へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ500へ移行する。
ステップ470では、ECU50は、車速変化量ΔSPDに応じたブースタ新気推定値BSgaを算出する。ECU50は、例えば、図11に示すようなブースタ新気推定値マップを参照することにより、車速変化量ΔSPDに応じたブースタ新気推定値BSgaを求めることができる。このマップでは、車速変化量ΔSPDが、マイナスの高値から「0」へ近づくに連れて最大値から「0」へ向けて小さくなるように設定される。ここで、車速変化量ΔSPDは、車速SPDの減衰度合い、延いてはブレーキ強度を示す。従って、ECU50は、ブレーキ強度に応じてブースタ新気推定値BSgaを算出することになる。
次に、ステップ480で、ECU50は、ブースタ新気推定値BSgaとエンジン回転数NEより吸気圧力オン補正値β1を算出する。ECU50は、例えば、図12に示すような吸気圧力オン補正値マップを参照することにより、ブースタ新気推定値BSgaとエンジン回転数NEに応じた吸気圧力オン補正値β1を求めることができる。このマップでは、ブースタ新気推定値BSgaが大きくなるに連れ、また、エンジン回転数NEが小さくなるほど、吸気圧力オン補正値β1が大きくなるように設定される。
次に、ステップ490で、ECU50は、吸気圧力オン補正値β1を、吸気圧力補正値βとして設定した後、処理をステップ400へ戻す。
一方、ステップ460から移行してステップ500では、ECU50は、吸気圧力補正値βを「0」に設定した後、処理をステップ400へ戻す。
一方、ステップ420から移行してステップ510では、ECU50は、ブレーキフラグXBKが「1」か否かを判断する。ECU50は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ520へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ590へ移行する。
ステップ520では、ECU50は、ブレーキオフ後時間TBKoffを取り込む。次に、ステップ530で、ECU50は、ブレーキオン後時間TBKonを「0」に設定する。
次に、ステップ540で、ECU50は、ブレーキオフ後時間TBKoffが所定値B1(B1>A1)より小さいか否かを判断する。ECU50は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ550へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ580へ移行する。
ステップ550では、ECU50は、車速変化量ΔSPDに応じたブースタ新気推定値BSgaを算出する。ECU50は、例えば、図11に示すようなブースタ新気推定値マップを参照することにより、車速変化量ΔSPDに応じたブースタ新気推定値BSgaを求めることができる。
次に、ステップ560で、ECU50は、ブースタ新気推定値BSgaとエンジン回転数NEより吸気圧力オフ補正値β2を算出する。ECU50は、例えば、図13に示すような吸気圧力オフ補正値マップを参照することにより、ブースタ新気推定値BSgaとエンジン回転数NEに応じた吸気圧力オフ補正値β2を求めることができる。このマップでは、ブースタ新気推定値BSgaが大きくなるに連れ、また、エンジン回転数NEが小さくなるほど、吸気圧力オフ補正値β2が大きくなるように設定される。図12と図13の比較からわかるように、吸気圧力オフ補正値β2は吸気圧力オン補正値β1よりも相対的に大きくなっている。
次に、ステップ570で、ECU50は、吸気圧力オフ補正値β2を、吸気圧力補正値βとして設定した後、処理をステップ400へ戻す。
一方、ステップ540から移行してステップ580では、ECU50は、ブレーキがオフであることから、ブレーキフラグXBKを「0」に設定する。
また、ステップ510又はステップ580から移行してステップ590では、ECU50は、吸気圧力補正値βを「0」に設定した後、処理をステップ400へ戻す。
上記した異物噛み込み診断制御によれば、異常の有無の判定の修正として、第1実施形態と異なり、ECU50は、ブレーキ作動時に、サージタンク3a(吸気通路3)へブレーキブースタ61(付属装置)からエアフローメータ54を通過しない新気(気体)が流れ込むときは、検出される吸気圧力PMを補正するようになっている。そして、ECU50は、その補正される吸気圧力と、算出される各開弁基準吸気圧力PMegr20,PMegr30,PMegr60とを比較することにより、EGR弁18の異常の有無の判定を補正するようになっている。
ここで、ECU50は、検出される吸気圧力PMを、サージタンク3a(吸気通路3)へブレーキブースタ61から流れ込む新気の量に応じて補正するようになっている。具体的には、ECU50は、ブレーキ強さに相当する車速変化量ΔSPDに応じてブースタ新気推定値BSgaを算出し、その算出結果に基づき吸気圧力補正値βを算出し、その吸気圧力補正値βを検出される吸気圧力PMから減算することにより、その吸気圧力PMを補正するようになっている。
また、上記した異物噛み込み診断制御によれば、ECU50は、エンジン1の減速初期から、EGR弁18の異常の有無の判定を継続的に補正すると共に、その判定結果を更新するようになっている。
ここで、図14に、上記した異物噛み込み診断制御による各種パラメータの挙動の一例をタイムチャートにより示す。図14において、(a)及び(c)のパラメータ及びその説明は図8のそれと同じであり、(b)はブレーキフラグXBKの挙動を示す。また、図14において、(d)〜(f)のパラメータ及びその説明は、図8の(e)〜(g)のそれと同じである。なお、図14の(e)において、実線p3と破線p4は、それぞれブレーキブースタ61からサージタンク3aへ新気が流れ込んだ場合を示す。図14(a)〜(f)の各パラメータの挙動は、図8の対応する(a)〜(c),(e)〜(g)のそれと基本的に同じである。
図14においても、時刻t3で(b)に示すようにブレーキフラグXBKが「0」から「1」へ変化すると、(c)に実線で示すようにブレーキオン後時間TBKonが増加し始める。その後、時刻t6で(c)に実線で示すようにブレーキオン後時間TBKonが所定値A1に達する。ここでも、時刻t3から時刻t6までの間で、ブレーキブースタ61からサージタンク3aへ新気が流れ込み、(f)に2点鎖線pm8,pm9で示すように吸気圧力PMが一旦増加してしまう。そこで、この実施形態では、時刻t3から時刻t6の間で、吸気圧力PMの増加分を減算し吸気圧力PMを補正することで、異物噛み込み異常の有無の判定を補正している。異物噛み込み異常がある場合、噛み込み異物径KΦXOPの判定は、時刻t4以降で行われることになる。
その後、時刻t8で(b)に示すようにブレーキフラグXBKが「1」から「0」へ変化すると、(c)に実線で示すようにブレーキオン後時間TBKonが「0」へ戻り、破線で示すようにブレーキオフ後時間TBKoffが増加し始める。その後、時刻t10で、(c)に破線で示すようにブレーキオフ後時間TBKoffが所定値B1に達する。ここでも、時刻t8から時刻t10までの間で、ブレーキブースタ61からサージタンク3aへ新気が流れ込み、(f)に2点鎖線pm8,pm9で示すように吸気圧力PMが一旦増加してしまう。そこで、この実施形態では、時刻t8から時刻t10の間で、吸気圧力PMの増加分を減算して吸気圧力PMを補正することで、異物噛み込み異常の有無の判定を補正している。
以上説明したこの実施形態におけるエンジンのEGR装置の構成によれば、第1実施形態と同等の作用及び効果が得られるが、異なる構成による作用及び効果は以下の通りである。すなわち、ブレーキブースタ61からサージタンク3aへの新気の流れ込みにより吸気圧力PMが増加する場合は、EGR弁18の異常の有無の判定の修正として、検出される吸気圧力PMが補正されることにより、EGR弁18の異常の有無の判定が補正される。このため、ブレーキブースタ61からサージタンク3aへの新気の流れ込みにより吸気圧力PMが増加してもEGR弁18の異常につき誤判定を防止することができる。
また、この実施形態の構成によれば、検出される吸気圧力PMが、サージタンク3aへブレーキブースタ61から流れ込む新気の量に応じて補正されるので、より正確に吸気圧力PMが補正される。このため、EGR弁18の異常の有無の判定精度を向上させることができる。
更に、この実施形態の構成によれば、エンジン1の減速初期には、EGR弁18の異常の有無の判定が補正されることにより暫定的な判定結果が得られ、判定が継続的に補正されることにより判定結果が更新される。このため、暫定的な判定結果により、EGR弁18の異常を早期に検出することができ、その後の継続的な補正により判定結果の精度を向上させることができる。
<第3実施形態>
次に、エンジンのEGR装置をガソリンエンジンに具体化した第3実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
この実施形態では、異物噛み込み診断制御の内容の点で前記各実施形態と構成が異なる。図15に、異物噛み込み診断制御の処理内容の一例をフローチャートにより示す。図15のフローチャートは、図4、図5におけるステップ120〜ステップ240の処理を省略し、ステップ110とステップ250との間にステップ600の処理を設けた点で図4、図5のフローチャートの内容と異なる。
[異物噛み込み診断制御について]
処理がこのルーチンへ移行すると、ECU50は、ステップ100とステップ110の処理を実行し、ステップ110の判断結果が肯定となる場合は、処理をステップ600へ移行する。
ステップ600では、ECU50は、EGR弁18に関する正常判定完了フラグXNJDが「0」か否かを判断する。このフラグXNJDは、後述するように、エンジン1の減速時であって、ブレーキ非作動(オン又はオフしていない)時に、EGR弁18が正常であるという判定(正常判定)が完了した場合に「1」に、その正常判定が未完了の場合に「0」に設定されるようになっている。ECU50は、このステップ600の判断結果が肯定となる場合は、ブレーキ非作動時にEGR弁18の正常判定が完了していないことから、異物噛み込み判定を実施するために処理をステップ250へ移行し、ステップ250以降の処理を実行する。一方、ECU50は、このステップ600の判断結果が否定となる場合は、ブレーキ非作動時にEGR弁18の正常判定が完了していることから、異物噛み込み判定を行わず、更新しないために処理をステップ100へ戻す。
図16に、正常判定完了フラグXNJDの設定に関する処理内容の一例をフローチャートにより示す。処理がこのルーチンへ移行すると、ステップ700で、ECU50は、エンジン1の運転状態がEGR弁18に関する異物噛み込み検出範囲内か否かを判断する。すなわち、ECU50は、エンジン1が所定の運転状態にあるか否かを判断する。ECU50は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ710へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ770へ移行する。
ステップ710では、ECU50は、定常判定域であるか否かを判断する。そして、ECU50は、この判断結果が肯定となる(エンジン1の運転が定常判定域である)場合は処理をステップ720へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ700へ戻す。
次に、ステップ720で、ECU50は、正常判定完了フラグXNJDが「0」か否かを判断する。ECU50は、この判断結果が肯定となる場合は、正常判定未完了であることから処理をステップ730へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ700へ戻す。
次に、ステップ730で、ECU50は、ブレーキがオン又はオフへ変化していないか否かを判断する。ECU50は、この判断結果が肯定となる場合は、ブレーキがオン又はオフへ変化しておらず吸気圧力PMへの影響がないことから、処理をステップ740へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ700へ戻す。
次に、ステップ740で、ECU50は、異物噛み込み判定を実施したか否かを判断する。ECU50は、この判断結果が肯定となる場合は、異物噛み込み判定を実施したことから処理をステップ750へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ700へ戻す。
次に、ステップ750で、ECU50は、EGR弁18の異物噛み込みについて正常判定をしたか否かを判断する。ECU50は、この判断結果が肯定となる場合は、正常判定したことから処理をステップ760へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ700へ戻す。
そして、ステップ760では、ECU50は、正常判定完了フラグXNJDを「1」に設定した後、処理をステップ700へ戻す。
一方、ステップ700から移行してステップ770では、ECU50は、正常判定完了フラグXNJDを「0」に設定した後、処理をステップ700へ戻す。
上記した異物噛み込み診断制御によれば、前記各実施形態と異なり、ECU50は、エンジン1の減速時であってブレーキ非作動時に、サージタンク3a(吸気通路3)へブレーキブースタ61(付属装置)から新気(気体)が流れ込まないときに、EGR弁18の異常の有無を判定した場合は、それ以降にサージタンク3aへブレーキブースタ61から新気が流れ込んだ直後は、EGR弁18の異常の有無の判定結果の更新を中止するようになっている。上記制御では、ECU50は、特に、EGR弁18につき正常判定が完了した場合は、それ以降で異常の有無の判定結果の更新を中止するようになっている。
ここで、図17に、上記した異物噛み込み診断制御による各種パラメータの挙動の一例をタイムチャートにより示す。図17において、(a),(d),(e),(g)のパラメータ及びその説明は、図14の(a),(d),(e),(f)と同じである。また、図14において、(b)はブレーキ作動、すなわちブレーキのオン又はオフへの変化を示し、(c)は定常判定域であるか否かを示し、(f)は正常判定完了フラグXNJDの変化を示す。また、(g)における実線、破線又は2点鎖線pm1〜pm8は、図14のそれと同じである。
図17において、時刻t3で、(a)に示すようにスロットル開度TAが所定の減速開度DOとなり、(d)に示すようにEGR開度が全閉になった後、時刻t6で、(c)に示すように定常判定域となり、(f)に示すように正常判定完了フラグXNJDが「0」から「1」になると、それ以降において噛み込み異物径KΦXOPの正常判定(KΦXOP=0)に変化がなくなる。すなわち、その後、(b)に示すように、時刻t7でブレーキが「オフ」から「オン」へ変化し、時刻t10でブレーキが「オン」から「オフ」へ変化し、それによって、(g)に2点鎖線pm8で示すように、時刻t7から時刻t8、時刻t10から時刻t11で吸気圧力PMが増加しても、時刻t6以降で、異常の有無の判定結果の更新を中止することから、正常の判定結果が時刻t6以降で保たれる。
以上説明したこの実施形態におけるエンジンのEGR装置の構成によれば、第1実施形態と同等の作用及び効果が得られるが、異なる構成による作用及び効果は以下の通りである。すなわち、エンジン1の減速時であってサージタンク3aへブレーキブースタ61から新気が流れ込まないときに、EGR弁18の異常の有無が判定(正常判定)された場合は、それ以降にサージタンク3aへブレーキブースタ61から新気が流れ込んだ直後は、その異常の有無の判定結果の更新が中止される。従って、EGR弁18の異常の有無の判定精度が相対的に高くなる条件下で異常の有無の判定結果が得られるようになる。このため、ブレーキブースタ61からサージタンク3aへ新気が流れ込んでも、EGR弁18の異常の有無の判定精度を確保することができる。
<第4実施形態>
次に、エンジンのEGR装置をガソリンエンジンに具体化した第4実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
この実施形態では、異物噛み込み診断制御の内容の点で前記各実施形態と構成が異なる。図18に、異物噛み込み診断制御の処理内容の一例をフローチャートにより示す。図18のフローチャートは、図15のステップ600の代わりにステップ650の処理が設けられる点で図15のフローチャートの内容と異なる。
[異物噛み込み診断制御について]
処理がこのルーチンへ移行すると、ECU50は、ステップ100とステップ110の処理を実行し、ステップ110の判断結果が肯定となる場合は処理をステップ650へ移行する。
ステップ650では、ECU50は、EGR弁18に関する異物判定完了フラグXFJDが「0」か否かを判断する。このフラグXFJDは、後述するように、エンジン1の減速時であって、ブレーキ非作動(オン又はオフしていない)時に、EGR弁18の異物噛み込み判定を完了した場合に「1」に、その判定を完了していない場合に「0」に設定されるようになっている。ECU50は、このステップ650の判断結果が肯定となる場合は、異物噛み込み判定が完了していないことから、異物噛み込み判定を実施するために処理をステップ250へ移行し、ステップ250以降の処理を実行する。一方、ECU50は、このステップ650の判断結果が否定となる場合は、異物噛み込み判定が完了していることから、異物噛み込み判定を更新しないために処理をステップ100へ戻す。
図19に、異物判定完了フラグXFJDの設定に関する処理内容の一例をフローチャートにより示す。図19のフローチャートは、図16のステップ720、ステップ760及びステップ770の代わりにステップ725、ステップ765及びステップ775の処理を設け、加えてステップ780の処理を設けた点で図16のフローチャートと内容が異なる。
処理がこのルーチンへ移行すると、ECU50は、ステップ700とステップ710の処理を実行し、ステップ710の判断結果が肯定となる場合はステップ725へ移行する。ステップ725では、ECU50は、異物判定完了フラグXFJDが「0」か否かを判断する。ECU50は、この判断結果が肯定となる場合は、異物判定未完了であることから処理をステップ730へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ700へ戻す。
その後、ECU50は、ステップ730〜ステップ750の処理を実行し、ステップ750の判断結果が肯定となる場合は処理をステップ765へ移行し、その判断結果が否定となる場合は処理をステップ780へ移行する。
そして、ステップ765では、ECU50は、異物判定完了フラグXFJDを「1」に設定した後、処理をステップ700へ戻す。
一方、ステップ780では、ECU50は、EGR弁18に異物噛み込みが有るか否かを判断する。ECU50は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ765へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ700へ戻す。
一方、ステップ700から移行してステップ775では、ECU50は、異物判定完了フラグXFJDを「0」に設定した後、処理をステップ700へ戻す。
上記した異物噛み込み診断制御によれば、前記第3実施形態と異なり、ECU50は、エンジン1の減速時であってブレーキ非作動時に、サージタンク3a(吸気通路3)へブレーキブースタ61(付属装置)から新気(気体)が流れ込まないときに、EGR弁18の異常の有無を判定した場合は、それ以降にサージタンク3aへブレーキブースタ61から新気が流れ込んだ直後は、EGR弁18の異常の有無の判定結果の更新を中止するようになっている。上記制御では、特に、ECU50は、EGR弁18につき、異常の有無の判定が完了した場合は、それ以降は、異常の有無の判定結果の更新を中止するようになっている。
ここで、図20に、上記した異物噛み込み診断制御による各種パラメータの挙動の一例をタイムチャートにより示す。図20において、(a)〜(g)の各種パラメータ及びその説明は、図17のそれと同じである。また、図20において、(d)と(e)の実線ea1と実線p1は、EGR弁18が正常な場合を、破線ea2と破線p2はEGR弁18が異常(異物噛み込み異常)な場合を示す。
図20において、時刻t3で、(a)に示すようにスロットル開度TAが所定の減速開度DOとなり、(d)に示すようにEGR開度が全閉になった後、時刻t6で、(c)に示すように定常判定域が「0」から「1」となり、(f)に示すように異物判定完了フラグXFJDが「0」から「1」になると、それ以降において噛み込み異物径KΦXOPの正常判定(KΦXOP=0)又は異常判定(KΦXOP=20)に変化がなくなる。すなわち、その後、(b)に示すように、時刻t7でブレーキが「オフ」から「オン」へ変化し、時刻t10でブレーキが「オン」から「オフ」へ変化し、それによって、(g)に2点鎖線pm8又はpm9で示すように、時刻t7から時刻t8、時刻t10から時刻t11で吸気圧力PMが増加しても、時刻t6以降で、異常の有無を判定結果の更新を中止することから、正常判定結果又は異常判定結果が時刻t6以降で保たれる。
以上説明したこの実施形態におけるエンジンのEGR装置の構成によれば、第1実施形態と同等の作用及び効果が得られるが、異なる構成による作用及び効果は以下の通りである。すなわち、エンジン1の減速時であってサージタンク3aへブレーキブースタ61から新気が流れ込まないときに、EGR弁18の異常の有無が判定された場合は、それ以降にサージタンク3aへブレーキブースタ61から新気が流れ込んだ直後は、その異常の有無の判定結果の更新が中止される。従って、EGR弁18の異常の有無の判定精度が相対的に高くなる条件下で異常の有無の判定結果が得られる。このため、ブレーキブースタ61からサージタンク3aへ新気が流れ込んでも、EGR弁18の異常の有無の判定精度を確保することができる。
<第5実施形態>
次に、エンジンのEGR装置をガソリンエンジンに具体化した第5実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
この実施形態では、エンジンシステムの構成と異物噛み込み診断制御の内容の点で前記各実施形態と構成が異なる。図21に、この実施形態において、車両に搭載され、エンジンのEGR装置を含むエンジンシステムの一例を概略構成図により示す。図21に示すように、この実施形態のエンジンシステムは、蒸発燃料処理装置71を備える。
[蒸発燃料処理装置の構成について]
図21に示すように、蒸発燃料処理装置71は、燃料タンク72で発生する蒸発燃料(ベーパ)を大気へ放出させることなく捕集して処理するための装置である。この装置71は、キャニスタ73、パージ通路74、パージポンプ75及びパージ弁76を含む。キャニスタ73は、燃料タンク72で発生するベーパを、ベーパ通路77を通じて一旦捕集するようになっている。キャニスタ73は、ベーパを吸着する吸着剤(図示略)を内蔵する。パージ通路74は、キャニスタ73から延び、その出口がサージタンク3aに接続される。パージポンプ75とパージ弁76は、それぞれ電動式であり、パージ通路74に設けられる。パージポンプ75は、キャニスタ73からベーパを吸引してパージ通路74へ吐出するようになっている。パージ弁76は、パージ通路74におけるベーパのパージ流量を調節するようになっている。キャニスタ73に設けられた大気口73aは、ベーパがキャニスタ73からパージされるときに、キャニスタ73へ大気を導入するようになっている。ECU50は、電子スロットル装置14、EGR弁18、インジェクタ25及び点火装置29の他に、パージポンプ75とパージ弁76を制御するようになっている。蒸発燃料処理装置71は、この開示技術における付属装置に相当し、エンジン1の運転時にはこの装置71から吸気通路3(サージタンク3a)へ気体としてのベーパを含むガスが流れ込むようになっている。
この蒸発燃料処理装置71において、ECU50は、エンジン1の運転時に、吸気通路3で発生する負圧がパージ通路74等を通じてキャニスタ73に作用するとき、パージポンプ75を作動させると共に、パージ弁76を所要の開度に制御する。これにより、キャニスタ73に捕集されたベーパを含むガスがパージ通路74を通じて吸気通路3へ流れ、パージされる。吸気通路3へパージされたベーパは、エンジン1に吸入されて燃焼に供され、処理される。
[異物噛み込み診断制御について]
次に、異物噛み込み診断制御について説明する。この実施形態では、図9に示す制御に関連した吸気圧力補正値βを算出する処理内容の点で第2実施形態と構成が異なる。図22に、その処理内容の一例をフローチャートにより示す。
処理がこのルーチンへ移行すると、ステップ800で、ECU50は、蒸発燃料処理装置71において、ベーパのパージ実行中であるか否かを判断する。ECU50は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ810へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ850へ移行する。
ステップ810では、ECU50は、パージ率Epg%を取り込む。ECU50は、パージ実行中に、パージ弁76の制御開度等からこのパージ率Epg%を別途算出することができる。
次に、ステップ820で、ECU50は、回転数センサ52の検出値に基づきエンジン回転数NEを取り込む。
次に、ステップ830で、ECU50は、エンジン回転数NEとパージ率Epg%に応じた吸気圧力オフ補正値β4を算出する。ECU50は、例えば、図23に示すような吸気圧力オフ補正値マップを参照することにより、エンジン回転数NEとパージ率Epg%に応じた吸気圧力オフ補正値β4を求めることができる。このマップでは、パージ率Epg%が大きくなるに連れて、エンジン回転数NEが低くなるほど、吸気圧力オフ補正値β4が大きくなるように設定される。
次に、ステップ840で、ECU50は、求められた吸気圧力オフ補正値β4を、吸気圧力補正値βとして設定した後、処理をステップ800へ戻す。
一方、ステップ800から移行してステップ850では、ECU50は、吸気圧力補正値βを「0」に設定した後、処理をステップ800へ戻す。
上記した異物噛み込み診断制御によれば、異常の有無の判定の修正として、第2実施形態と異なり、ECU50は、蒸発燃料処理装置71によるパージ実行時に、サージタンク3a(吸気通路3)へ同装置71(付属装置)からエアフローメータ54を通過しないガス(気体)が流れ込むときは、検出される吸気圧力PMを補正するようになっている。そして、ECU50は、その補正される吸気圧力と、算出される各開弁基準吸気圧力PMegr20,PMegr30,PMegr60とを比較することにより、EGR弁18の異常の有無の判定を補正するようになっている。
ここで、ECU50は、検出される吸気圧力PMを、サージタンク3aへ蒸発燃料処理装置71から流れ込むベーパを含むガスの量に応じて補正するようになっている。具体的には、ECU50は、エンジン回転数NEとパージ率Epg%に応じた吸気圧力補正値βを算出し、その吸気圧力補正値βを検出される吸気圧力PMから減算することにより、その吸気圧力PMを補正するようになっている。
また、上記した異物噛み込み診断制御によれば、ECU50は、エンジン1の減速初期から、EGR弁18の異常の有無の判定を継続的に補正すると共に、その判定結果を更新するようになっている。
以上説明したこの実施形態におけるエンジンのEGR装置の構成によれば、第2実施形態と同等の作用及び効果が得られるが、異なる構成による作用及び効果は以下の通りである。すなわち、蒸発燃料処理装置71からサージタンク3aへのベーパを含むガスの流れ込みにより吸気圧力PMが増加する場合は、EGR弁18の異常の有無の判定の修正として、検出される吸気圧力PMが補正されることにより、EGR弁18の異常の有無の判定が補正される。このため、蒸発燃料処理装置71からサージタンク3aへのガスの流れ込みにより吸気圧力PMが増加しても、EGR弁18の異常につき誤判定を防止することができる。
また、この実施形態の構成によれば、検出される吸気圧力PMが、蒸発燃料処理装置71からサージタンク3aへ流れ込むガスの量(パージ率Epg%)に応じて補正されるので、より正確に吸気圧力PMが補正される。このため、EGR弁18の異常の有無の判定精度を向上させることができる。
なお、この開示技術は前記各実施形態に限定されるものではなく、開示技術の趣旨を逸脱することのない範囲で構成の一部を適宜変更して実施することもできる。
(1)前記各実施形態では、基準関数マップとしての減速基準吸気圧力マップを参照することにより、検出されるエンジン回転数NE及び検出されるエンジン負荷KLに応じた開弁基準吸気圧力PMegr20,PMegr30,PMegr60を求め、求められた開弁基準吸気圧力PMegr20,PMegr30,PMegr60と、検出される吸気圧力PMとを比較することにより、EGR弁18の異常の有無を判定するように構成した。これに対し、所定の基準関数式を参照することにより、検出されるエンジン回転数及び検出されるエンジン負荷に応じた開弁基準吸気圧力を求め、求められた開弁基準吸気圧力と、検出される吸気圧力とを比較することにより、EGR弁の異常の有無を判定するように構成することもできる。
(2)前記各実施形態では、EGR装置を、過給機を備えないガソリンエンジンシステムに具体化したが、このEGR装置を、過給機を備えたガソリンエンジンシステムに具体化することもできる。
(3)前記各実施形態では、この開示技術におけるエンジンのEGR装置をガソリンエンジンシステムに適用したが、このEGR装置をディーゼルエンジンシステムに適用することもできる。
(4)前記第1〜第4の実施形態では、エンジンのEGR装置における付属装置としてブレーキブースタ61を適用して具体化したが、その付属装置として蒸発燃料処理装置を適用して具体化することもできる。
この開示技術は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンに設けられるエンジンのEGR装置に適用できる。
1 エンジン
3 吸気通路
5 排気通路
17 EGR通路
18 EGR弁
23 スロットルセンサ(運転状態検出手段、負荷検出手段)
32 弁座
33 弁体
34 ステップモータ(アクチュエータ)
50 ECU(EGR弁制御手段、EGR弁異常診断手段)
51 吸気圧センサ(運転状態検出手段、吸気圧力検出手段)
52 回転数センサ(運転状態検出手段、回転数検出手段)
61 ブレーキブースタ(付属装置)
71 蒸発燃料処理装置(付属装置)

Claims (8)

  1. エンジンから排気通路へ排出される排気の一部をEGRガスとして前記エンジンへ還流するために前記EGRガスを前記排気通路から吸気通路へ流すEGR通路と、
    前記EGR通路における前記EGRガスの流量を調節するためのEGR弁と、
    前記EGR弁が、弁座と、前記弁座に着座可能に設けられた弁体と、前記弁体を駆動するためのアクチュエータとを含むことと、
    前記エンジンの運転状態を検出するための運転状態検出手段と、
    検出される前記運転状態に基づき、前記EGR弁を制御するためのEGR弁制御手段と、
    検出される前記運転状態に基づき、前記弁座と前記弁体との間における異物の噛み込みによる異常を前記EGR弁の異常として診断するためのEGR弁異常診断手段と
    を備えたエンジンのEGR装置において、
    前記運転状態検出手段は、前記EGR通路から前記吸気通路へ前記EGRガスが流れ込む位置より下流の前記吸気通路における吸気圧力を検出するための吸気圧力検出手段と、前記エンジンの回転数を検出するための回転数検出手段と、前記エンジンの負荷を検出するための負荷検出手段とを含み、
    前記EGRガスが流れ込む位置より下流の前記吸気通路には、ブレーキ作動時にブレーキブースタから新気が流れ込むように構成され、
    前記EGR弁異常診断手段は、前記回転数及び前記負荷に対する前記吸気圧力の関係が予め設定された基準関数マップ又は基準関数式を備え、検出される前記回転数及び検出される前記負荷に基づいて前記基準関数マップ又は前記基準関数式を参照することにより算出される前記吸気圧力と、検出される前記吸気圧力とを比較することにより、前記EGR弁の前記異常の有無を判定し、前記吸気通路へ前記ブレーキブースタから前記新気が流れ込むときは、前記異常の有無の判定を修正する一方、前記ブレーキブースタから前記新気が流れ込む前の前記エンジンの減速中に前記異常が無いと判定した後は、当該判定を前記減速中は維持する
    ことを特徴とするエンジンのEGR装置。
  2. エンジンから排気通路へ排出される排気の一部をEGRガスとして前記エンジンへ還流するために前記EGRガスを前記排気通路から吸気通路へ流すEGR通路と、
    前記EGR通路における前記EGRガスの流量を調節するためのEGR弁と、
    前記EGR弁が、弁座と、前記弁座に着座可能に設けられた弁体と、前記弁体を駆動するためのアクチュエータとを含むことと、
    前記吸気通路に設けられるサージタンクと、
    前記エンジンの運転状態を検出するための運転状態検出手段と、
    検出される前記運転状態に基づき、前記EGR弁を制御するためのEGR弁制御手段と、
    検出される前記運転状態に基づき、前記弁座と前記弁体との間における異物の噛み込みによる異常を前記EGR弁の異常として診断するためのEGR弁異常診断手段と
    を備えたエンジンのEGR装置において、
    前記運転状態検出手段は、前記サージタンクに設けられて、前記サージタンクの中の吸気圧力を検出するための吸気圧力検出手段と、前記エンジンの回転数を検出するための回転数検出手段と、前記エンジンの負荷を検出するための負荷検出手段とを含み、
    前記EGRガスが流れ込む位置より下流の前記吸気通路には、ブレーキ作動時にブレーキブースタから新気が流れ込むように構成され、
    前記EGR弁異常診断手段は、前記回転数及び前記負荷に対する前記吸気圧力の関係が予め設定された基準関数マップ又は基準関数式を備え、検出される前記回転数及び検出される前記負荷に基づいて前記基準関数マップ又は前記基準関数式を参照することにより算出される前記吸気圧力と、検出される前記吸気圧力とを比較することにより、前記EGR弁の前記異常の有無を判定し、前記吸気通路へ前記ブレーキブースタから前記新気が流れ込むときは、前記異常の有無の判定を修正する一方、前記ブレーキブースタから前記新気が流れ込む前の前記エンジンの減速中に前記異常が無いと判定した後は、当該判定を前記減速中は維持する
    ことを特徴とするエンジンのEGR装置。
  3. 請求項1又は2に記載のエンジンのEGR装置において、
    前記EGR弁異常診断手段は、前記吸気通路へ前記ブレーキブースタから前記新気が流れ込むときは、検出される前記吸気圧力を補正し、その補正された前記吸気圧力と、算出される前記吸気圧力とを比較することにより、前記異常の有無の判定を補正する
    ことを特徴とするエンジンのEGR装置。
  4. 請求項1又は2に記載のエンジンのEGR装置において、
    前記EGR弁異常診断手段は、前記吸気通路へ前記ブレーキブースタから前記新気が流れ込むときは、前記異常の有無の判定を中止する
    ことを特徴とするエンジンのEGR装置。
  5. 請求項に記載のエンジンのEGR装置において、
    前記EGR弁異常診断手段は、前記エンジンの減速初期から前記異常の有無の判定を継続的に補正すると共に、その判定結果を更新する
    ことを特徴とするエンジンのEGR装置。
  6. 請求項に記載のエンジンのEGR装置において、
    前記EGR弁異常診断手段は、前記エンジンの減速時であって前記吸気通路へ前記ブレーキブースタから前記新気が流れ込まないときに前記異常の有無を判定した場合は、それ以降に前記吸気通路へ前記ブレーキブースタから前記新気が流れ込んだ直後は前記異常の有無の判定結果の更新を中止する
    ことを特徴とするエンジンのEGR装置。
  7. 請求項又はに記載のエンジンのEGR装置において、
    前記EGR弁異常診断手段は、検出される前記吸気圧力を、前記吸気通路へ前記ブレーキブースタから流れ込む前記新気の量に応じて補正する
    ことを特徴とするエンジンのEGR装置。
  8. 請求項1又は2に記載のエンジンのEGR装置において、
    前記EGR弁異常診断手段は、前記エンジンの減速中であってブレーキ非作動時に前記異常が有ると判定した場合でも、当該判定を前記減速中は維持する
    ことを特徴とするエンジンのEGR装置。
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