JP6521419B2 - Ni基合金及びそれを用いた燃料噴射部品、Ni基合金の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、Ni基合金及びそれを用いた燃料噴射部品、Ni基合金の製造方法に関するものである。
従来、高硬度と高耐食性が要求される燃料噴射部品、軸受部品や成形用金型には、高炭素マルテンサイト系ステンレス鋼が用いられていた。この材料はFeを主成分としているため、腐食環境下では耐食性が不足して使用できなかった。耐食性をさらに高め、高硬度が得られる合金として、Ni基の析出硬化型合金が提案されている。例えば、特許文献1〜3では、時効処理を行うことにより、Ni(Al、Ti、Nb)のガンマプライム相(以下、γ’相)とCrを主成分とするα相を複合析出させることで高硬度が得られる。さらにこの合金は非磁性であり、外部磁場と干渉しないということも特徴の一つとなっている。
特開2002−69557号公報 特開2005−82885号公報 特開2001−62594号公報
上述したNi基の析出硬化型合金は、非磁性材料の中では、最も硬度が高く、耐食性が優れているものの、マルテンサイト系ステンレス鋼などと比べると、耐摩耗性が不十分であるといった課題があった。そのため、摺動相手材が高硬度であったり、硬質粒子を含有する場合に、摩耗の進行が速いため低寿命となり、部品や金型を実用化する上で大きな問題となっていた。また、時効処理温度として通常700℃前後で長時間処理が行われるため、熱処理変形や製造工数がかかるといった課題もあった。さらに、熱間加工性が悪く、加工歩留りも低い。
本発明の目的は、Ni基合金の特徴である耐食性や非磁性といった優れた特性を損なわず、耐摩耗性を既存の高炭素マルテンサイト系ステンレス鋼と同等以上とするNi基合金と、前記Ni基合金を用いた燃料噴射部品と、前記Ni基合金を効率的に製造することが可能なNi基合金の製造方法を提供することである。
本発明者は、従来のNi基析出硬化型合金では耐摩耗性が不足する問題を検討し、合金中に硬度の高い粒子を分散させることが可能な化学組成に調整して耐摩耗性を大きく改善できることを見いだし本発明に到達した。
すなわち本発明は、質量%で、Cr:30〜45%、Al:2〜5%、B:0.10%を超え1%以下、残部はNi及び不純物でなるNi基合金である。
好ましくは、前記Ni基合金はCr硼化物を含む。
更に好ましくは、200000μmの視野における前記Cr硼化物の視野面積率が5〜30%である。
更に好ましくは、前記Ni基合金の硬さが700HV以上である。
また、本発明は、前記Ni基合金を用いた燃料噴射部品である。
また、本発明は、質量%で、Cr:30〜45%、Al:2〜5%、B:0.10%を超え1%以下、残部はNi及び不純物でなるNi基合金を、1100〜1250℃で固溶化処理を行う固溶化処理工程と、前記固溶化処理工程の後に、500〜650℃で時効処理を行う時効処理工程と、を含むNi基合金の製造方法である。
好ましくは、前記時効処理の時間が2〜5時間である。
本発明では、また、前記時効処理工程の後に、800〜1000℃で熱間加工する熱間加工工程を更に含むことが好ましい。
本発明のNi基合金は、耐摩耗性を既存の高炭素マルテンサイト系ステンレス鋼と同等以上まで改善しているため、これを用いてなる燃料噴射部品、軸受部品や成形用金型は腐食環境下でも、優れた耐食性、耐摩耗性を発揮し寿命向上に効果を奏するものである。また、本発明のNi基合金は、磁場の影響も受けないため、部品や金型が磁化することによるトラブルを防止できる。さらに時効処理や熱間加工方法について、より効率的な製造方法を提供しているために、生産コスト低減に効果もある。
本発明合金の実施例1の顕微鏡写真である。
上述したように、本発明の重要な特徴は耐摩耗性を改善するために、合金中に硬質粒子を分散させることが可能な化学組成にある。前述の特許文献に記載された発明によると、時効処理により650HV程度の高硬度が得られるが、これはγ’相とCrを主体としたα相の複合析出によるものである。いずれの析出物も微細で、α相自体の硬さも800〜900HV程度で、摺動相手材の硬さが硬い場合や、硬質粒子を含む場合には、摺動相手材によるアブレッシブ摩耗により摩耗が進行する。
本発明ではこの摩耗を抑制するために、α相より硬質で数μm程度の大きさを持つ粒子を分散させることが可能な化学組成に調整する。硬質粒子としては例えば硼化物が考えられる。なかでもCr硼化物は1200〜2000HVの硬さが得られるので、耐摩耗性を飛躍的に高める効果がある。
これらの硼化物を凝固過程で晶出させることにより、ある程度の大きさをもった硼化物を分布させることが可能となる。好ましくは粗大な硼化物の晶出を防ぐために、硼化物とオーステナイトの共晶組成付近で合金量を調整する。
本発明のNi基合金において、含有する各元素とその含有量を規定した理由は以下の通りである。なお、特に記載のない限り質量%として記す。
<Cr:30〜45%>
Crは本発明を構成する重要な元素である。Crは硼化物形成元素でもあり、また基地(マトリックス)中に固溶し、時効処理によりCrを主体としたα相を析出し、マトリックス硬さを高めることができる元素である。Crを30〜45%としたのは、適切な硼化物量と時効硬さに調整するためである。Crが30%未満であるとマトリックスに固溶するCr量が少なく時効硬さが低くなる。一方、Crが45%を超えるとα相が安定で、1200℃前後の温度でもα相、γ相及びCr系硼化物の3相組織となり、熱間加工時にα相、γ相界面で割れが発生しやすくなる。高温でα相を固溶させるためにCrの上限を45%とする。なお、Cr含有量の好ましい下限は33%であり、より好ましくは36%である。また、Cr含有量の好ましい上限は43%であり、より好ましくは41%である。
<Al:2〜5%>
Alは時効処理によりNiAlを基本型とする金属間化合物γ’相として析出する。γ’相はマトリックスのオーステナイトから整合析出する。Alが多いほどγ’相の析出量は増えるため高硬度を得ることができる。Alが2%未満であるとγ’相の析出が少なく硬さが低いので、Alは2%以上とする。一方、Alが多すぎるとα相が安定となり、高温でもα相が完全に固溶しなくなって熱間加工性が悪くなる。そのため、Alの上限は5%とする。なお、Al含有量の好ましい下限は3.2%であり、より好ましくは3.5%である。また、Al含有量の好ましい上限は4.2%であり、より好ましくは4.0%である。
<B:0.10%を超え1%以下>
Bは本発明を構成する重要な元素の一つである。BはCr硼化物を形成する。Bは硼化物を生成させるために0.10%を超えることが必要である。B量が多くなるにつれてCr硼化物が増え、耐摩耗性は向上する。一方、Bが多すぎると、凝固中に初晶として粗大なCr硼化物を晶出し、早期破損等の起点となる。また、マトリックス中に固溶するCr量が少なくなり、時効処理後のα相析出量が少なくなり硬さが低下する。そのため、Bの上限を1%とする。なお、B含有量の好ましい下限は0.15%であり、より好ましくは0.20%である。また、B含有量の好ましい上限は0.80%であり、より好ましくは0.65%である。
<残部:Ni及び不純物>
残部は実質的にNiであるが、製造上不可避的に混入する不純物は含まれる。不純物含有量は少ない方が好ましいが、以下の範囲であれば差し支えない。
C≦0.1%、Mn≦2%、Si≦1%、P≦0.05%、S≦0.05%、N≦0.05%、Mg≦0.01%
<Cr硼化物>
硬質の硼化物の存在により、摺動相手材によるアブレッシブ摩耗を効果的に防止し、耐摩耗性を向上させる。この効果を確実に得るには、200000μmの視野におけるCr硼化物の視野面積率(以下、単に面積率とも言う)が5〜30%であることが好ましい。Cr硼化物の視野面積率が5%未満であるとアブレッシブ摩耗の防止効果が低くなる。一方、Cr硼化物は多いほど耐摩耗性向上には効果があるが、Cr硼化物が多すぎると、加工性が低下し、破損しやすくなるためにCr硼化物の視野面積率の上限を30%とする。なお、Cr硼化物の視野面積率の好ましい下限は8%であり、より好ましくは10%である。また、Cr硼化物の視野面積率の好ましい上限は25%であり、より好ましくは22%である。
硼化物がCrを含むCr硼化物であるかどうかは、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)/エネルギー分散型エックス線分析(EDX)と光学顕微鏡写真とを照らし合わせることで、光学顕微鏡写真でCr硼化物を同定し面積率を算出することができる。
前記のCr硼化物の視野面積率の測定は、例えば、500倍で観察した光学顕微鏡の視野データを画像処理することで測定できる。電子顕微鏡による観察でもCr硼化物の測定は可能であるが、例えば、アブレッシブ摩耗を効果的に防止する効果が低い、最大径で0.5μm未満の大きさのCr硼化物も測定の対象となる場合がある。そのため、500倍で観察して確認できるCr硼化物を効率よく確認することが可能な光学顕微鏡での観察が好ましい。
また、Cr硼化物の測定を行うための視野面積を200000μmとしたのは、過度に視野面積が狭いとCr硼化物の視野面積率にばらつきが多くなる可能性があり、200000μmを超える視野面積率を測定しても測定結果は殆ど変らないためである。
<硬さ>
本発明のNi基合金の硬さは高い方が耐摩耗性は高い。この耐摩耗性をより確実に向上させるには700HV以上であることが望ましい。本合金では、適切な熱処理条件を適用することにより700HV以上の高硬度が得られる。その条件は後述する。なお、硬さについては、730HV以上が好ましく、より好ましくは750以上である。硬さの上限は特に限定しないが、適切な合金組成と熱処理条件の組合せにより、おおよそ800HVまでの硬さを得ることができる。
<燃料噴射部品>
燃料噴射部品は電磁弁制御のため、できるだけ磁場に干渉しない非磁性材が望ましい。本発明のNi合金は非磁性であり、さらに燃料噴射圧の高圧化対応や、粗悪燃料対応等で高耐食高耐摩耗が必要とされている。そのため、これらの要求を満足する本発明のNi基合金の適用は最適である。
<製造条件>
本発明のNi基合金は、溶解−鋳造したインゴットに熱間塑性加工を行って、所定の形状としたNi基合金とする。このとき、熱間塑性加工を行う前に、その被熱間塑性加工材を一旦α相を固溶させる領域に加熱して熱間加工性を改善することを行ってもよい。一旦α相を固溶させる領域に加熱する場合はおおよそ1150〜1250℃で十分である。こうして、熱処理に適用する形状とした後、所定の熱処理を行う。
本発明の熱処理は、1100〜1250℃で固溶化処理を行う固溶化処理工程と、前記固溶化処理工程の後に、500〜650℃で時効処理を行う時効処理工程を実施する。
本発明で固溶化処理工程の温度を1100〜1250℃としたのは、一旦α相をγ相に固溶させて、時効処理後にα相を微細析出させることで高硬度を得るためである。固溶化処理温度が1100℃未満となると、固溶化処理でも粒状のα相が未固溶のまま残存し、時効で析出するα相が少なく、硬さが低下する。一方、固溶化処理温度が1250℃を超えると結晶粒が粗大となり、粒界が少なくなるため、時効で析出相の分布ムラが大きくなり、硬さが低下する。また熱処理変形も大きくなる。固溶化処理の好ましい温度の下限は1120℃であり、より好ましくは1140℃である。好ましい温度の上限は1200℃であり、より好ましくは1180℃である。なお、固溶化処理の時間は0.5〜1.5時間で十分である。
γ’析出硬化型合金は、通常、時効温度を600℃前後で処理をすると数十時間の長時間処理が必要とされているため、700℃前後の温度で処理される。これに対し、本発明のNi基合金に対する時効処理工程においては、500〜650℃の時効温度で短時間で高硬度化できる。しかも、その処理時間は2〜5時間という短時間で十分である。
時効処理温度が500℃未満となると析出反応がほとんど起こらず硬さが上昇しない。一方、時効処理温度が650℃を超えると析出物が粗大化し硬さが低下し始める。時効処理の好ましい温度の下限は550℃であり、より好ましくは570℃である。また、好ましい温度の上限は630℃であり、より好ましくは600℃である。
また、本発明においては、時効処理時間が2時間未満となると析出反応が十分に進まず高硬度が得られない場合がある。一方、時効処理時間が5時間を超えると、ほぼ析出反応は完了しており、それ以上の長時間処理を行ってもほとんど硬さは変化しない。
本発明においては、前記時効処理工程の後に、800〜1000℃で熱間加工する熱間加工工程を行うことで、熱間加工性がさらに改善される。これは、微細なα相とγ相の2相組織が形成されることで、粒界すべりが起こりやすく塑性変形しやすくなるためである。熱間加工工程の温度を800〜1000℃としたのは800℃未満では強度が高く軟化せず、1000℃を超えるとα相が少なくなり、微細2相組織が維持できずに2相界面が少なくなり、延性が低下するためである。好ましい熱間加工工程の温度の下限は850℃であり、より好ましくは880℃である。また、好ましい温度の上限は980℃であり、より好ましくは950℃である。また、熱間加工としては、熱間圧延、熱間押出などの適用が代表的である。
以下の実施例で本発明を更に詳しく説明する。
真空溶解で10kg鋼塊を作製し、1150〜1180℃に加熱を行い、厚さ20mm、幅50mmに鍛造して鍛造材とした。化学組成を表1に示す。前記の鍛造材から各種試験用のサンプルを切り出した。各サンプルに対して行った熱処理条件を表2に示す。
Figure 0006521419
Figure 0006521419
表2に示す熱処理後に、硼化物定量測定、硬さ測定、塩水噴霧試験、耐硫酸腐食試験及び土砂摩耗試験を行った。試験条件は以下の通りであり、評価結果を表3に示す。
<硼化物定量測定>
500倍の光学顕微鏡で観察した測定視野面積200000μm中の最大径が0.5μm以上の大きさを有する硼化物の面積率を画像解析装置で測定した。図1にNo.2合金の熱処理後のミクロ組織を示す。腐食液は王水に塩化第二銅を混合したものを使用した。白色の粒子がCr硼化物である。Cr硼化物の同定は、SEM/EDX分析にて行った。
<硬さ測定>
ビッカース硬度計を使用し、測定荷重30kgfで測定した。
<塩水噴霧試験>
試験片は10mm角のブロックを用いた。35℃の5%塩水噴霧試験を行い、5時間後の発錆状況を評価した。
<耐硫酸腐食試験>
試験片の大きさは直径10mm、長さ20mmの円柱試験片で、30℃のpH3の硫酸中で96時間の浸漬試験を行った前後での腐食減量を測定した。
<土砂摩耗試験>
試験片の大きさは、厚さ8mm、幅25mm、長さ76mmで、摩擦面は#600で研磨した。ASTMG65に準拠して、砥粒は硅砂6号を使用し、流量350g/分、荷重133Nで摩擦試験を行った。試験前後での摩耗減量を測定した。
Figure 0006521419
No.1〜5は本発明例である。本発明例の合金の熱処理後の硬さは700HV以上が得られている。土砂摩耗試験では、いずれも350mm以下の範囲となっている。本発明例の合金は、従来例よりも摩耗量が少なくなっており、耐摩耗性に優れていることが分かる。
硼化物面積率が大きくなるにつれてさらに耐摩耗性は向上し、硬さも高いNo.5
は最も摩耗量が少ない。耐食性の評価では、No.22(従来例)のFe基のマルテンサイト系ステンレス鋼と比べると、格段に優れており、塩水噴霧、硫酸浸漬でも腐食は認められなかった。また、本発明例の合金はVSMの測定で実質的な磁化は現れず、全て非磁性であることが確認された。これらの結果から、本発明例の合金は、優れた硬さ、耐摩耗性及び耐食性を有し、それらのバランスが良く、且つ非磁性であることが分かる。これらの特性を有する合金は、燃料噴射装置などの燃料噴射部品に好適である。
次に本発明例No.2の合金を用いて、高温引張試験を行った。平行部直径が6.35mmの引張試験片を作成し、所定の温度に加熱をした後に、歪速度0.0008S−1で引張試験を行った。表4に試験片の熱処理条件と高温引張試験結果を示す。
表4のNo.A及びBに示すように、時効処理後に引張試験を行うと、延性が著しく向上し、120%以上の伸びと80%以上の絞りが得られた。これは、時効処理をすることでフェライト相が微細に析出し、オーステナイトとフェライトの微細な2相組織とすることによって超塑性現象により粒界すべりにより変形が起きやすくなったためと考えられる。この現象を利用しての熱間加工性の改善が可能である。
Figure 0006521419
本発明は非磁性で耐食性と耐摩耗性の特性に優れているため、磁化することを避けたい環境や、腐食環境下で、耐摩耗性が不可欠な用途に適用できる。例えば、燃料噴射部品の他、軸受部品、成形用金型、ゴミ発電所部材への適用が好適である。

Claims (5)

  1. 質量%で、Cr:30〜45%、Al:2〜5%、B:0.10%を超え1%以下、残部はNi及び不純物でなるNi基合金であって、前記Ni基合金はCr硼化物を含み、200000μm の視野における最大径が0.5μm以上のCr硼化物の視野面積率が5〜30%であることを特徴とするNi基合金。
  2. 前記Ni基合金の硬さが700HV以上である請求項1に記載のNi基合金。
  3. 請求項1または2に記載のNi基合金を用いた燃料噴射部品。
  4. 質量%で、Cr:30〜45%、Al:2〜5%、B:0.10%を超え1%以下、残部はNi及び不純物でなるNi基合金を、1100〜1250℃で固溶化処理を行う固溶化処理工程と、
    前記固溶化処理工程の後に、500〜650℃で、2〜5時間の時効処理を行う時効処理工程と、
    を含み、
    200000μm の視野における最大径が0.5μm以上のCr硼化物の視野面積率が5〜30%であるNi基合金を得ることを特徴とするNi基合金の製造方法。
  5. 前記時効処理工程の後に、800〜1000℃で熱間加工する熱間加工工程を更に含む請求項に記載のNi基合金の製造方法。
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