JP2008184635A - 締結部材 - Google Patents

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哲也 清水
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Abstract

【課題】冷間加工性、強度と靱性とのバランスが良好であり、非磁性の締結部材を提供すること。
【解決手段】重量%で、Cr:30〜45%、Al:1.5〜5.0%を含有し、残部が実質的にNiおよび不可避的不純物からなる合金よりなり、処理温度T(℃)と保持時間t(h)との関係が下記式を満たす熱処理が施され、その中心部の硬さが600HV未満とされた締結部材とする。
(T+273)×(20+logt)/1000=20.5〜26.5
但し、650℃≦T≦α相の固溶化温度(℃)とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、締結部材に関するものである。
従来、締結部材としては、ねじ、ボルト、ナットなどが知られている。この種の締結部材の材料としては、強度が得られることから、SUS440CやSUJ2などのステンレス鋼が用いられてきた。また、非磁性が要求される場合には、チタン合金なども用いられてきた。
ところで、近年、産業の発展に伴い、例えば、超伝導コイルやMRIなどの磁場を発生させる装置が開発され、使用されるようになってきている。
この種の磁場発生装置は、今後、装置の大型化が進むと考えられることから、それに用いる締結部材には、高強度が要求される。また、発生する磁場に影響を及ぼさないようにするため、非磁性であることも要求される。
強度および非磁性を備えた材料としては、例えば、特許文献1には、例えば、重量%で、C:0.1%以下、Si:2.0%以下、Mn2.0%以下、Cr:30〜45%およびAl:1.5〜5%を含有し、残部が不可避的不純物およびNiからなる合金組成を有するNi基合金インゴットを、1200〜950℃の温度で鍛造、圧延した後、固溶化熱処理(1150℃×1時間−水冷)−時効熱処理(700℃×16時間−空冷)して得たNi基合金が開示されている。
特開2002−69557号公報
しかしながら、SUS440CやSUJ2などのステンレス鋼は、強度が得られるものの、強磁性である。そのため、この材料による締結部材は、磁場のかからない箇所にその使用が限定される。
また、チタン合金は、非磁性であるものの、やや強度が低い。そのため、この材料による締結部材は、やや強度面で不利である。さらに、チタン合金は、高価であることから、コスト面からも採用し難い。
また、従来のNi基合金は、非磁性であるものの、硬さが硬すぎる。そのため、締結部材の形状に加工(冷間加工)し難いといった問題があった。また、締結部材の材料として用いるには、強度と靱性とのバランスも十分ではなかった。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、本発明が解決しようとする課題は、冷間加工性、強度と靱性とのバランスが良好であり、非磁性の締結部材を提供することにある。
本発明に係る締結部材は、重量%で、Cr:30〜45%、Al:1.5〜5.0%を含有し、残部が実質的にNiおよび不可避的不純物からなる合金よりなり、処理温度T(℃)と保持時間t(h)との関係が下記式を満たす熱処理が施され、その中心部の硬さが600HV未満とされていることを要旨とする。
(T+273)×(20+logt)/1000=20.5〜26.5
但し、650℃≦T≦α相の固溶化温度(℃)
この際、上記合金は、さらに、重量%で、B、MgおよびCaから選択される1種または2種以上(2種以上の場合は合計で)を0.02〜0.20%含有していると良い。
また、本発明に係る締結部材は、重量%で、Cr:30〜45%、AlおよびMoを合計で:1.5〜5.0%を含有し、残部が実質的にNiおよび不可避的不純物からなる合金よりなり、処理温度T(℃)と保持時間t(h)との関係が下記式を満たす熱処理が施され、その中心部の硬さが600HV未満とされていることを要旨とする。
(T+273)×(20+logt)/1000=20.5〜26.5
但し、650℃≦T≦α相の固溶化温度(℃)
この際、上記合金は、さらに、重量%で、B、MgおよびCaから選択される1種または2種以上(2種以上の場合は合計で)を0.02〜0.20%含有していると良い。
本発明に係る締結部材は、上記化学組成を有する合金よりなり、処理温度T(℃)と保持時間t(h)との関係が上記式を満たす熱処理が施されている。
つまり、上記化学組成を有する合金に対して、過時効と固溶化との間で特定の熱処理を施すことで、α相(αCr)の球状化およびγ’相の粗大化によって、硬さが低下する。そのため、冷間加工性により締結部材の加工がしやすい。また、上記熱処理により、強度と靱性とのバランスにも優れる。
この際、用いる合金組成中に、特定割合のMoを含む場合には、締結部材の強度、耐食性の向上に寄与する。また、合金組成中に、特定割合のB、Mg、Caを含む場合には、合金製造時における熱間加工性に寄与する。
以下、本発明の一実施形態に係る締結部材(以下、「本締結部材」ということがある。)について詳細に説明する。
本締結部材は、特定の化学組成を有する合金よりなり、特定の条件で熱処理が施され、その中心部の硬さが特定の値とされている。以下、各条件を限定した理由などについて説明する。
本締結部材に適用される合金(第1の合金、第2の合金)は、以下のような元素を含有し、残部が実質的にNiおよび不可避的不純物よりなる。なお、以下にいう成分割合の単位は、重量%である。
(第1の合金)
Cr:30〜45%
Crは、α相(αCr)を形成する主要な元素であり、α相がγ’相と複合析出することで高強度が得られる。また、Crは、合金の耐食性の向上にも寄与する。その効果を得るため、Cr含有量の下限を30%以上とする。Cr含有量の下限は、好ましくは、31%以上、より好ましくは、32%以上である。
一方、Cr含有量が過剰になると、熱間加工性が低下する傾向が見られる。よって、Cr含有量の上限を45%以下とする。Cr含有量の上限は、好ましくは、44%以下、より好ましくは、43%以下である。
Al:1.5〜5.0%
Alは、γ’相を形成する重要な元素である。また、Alは、耐高温腐食性の向上にも寄与する。その効果を得るため、Alの含有量の下限を1.5%以上とする。Al含有量の下限は、好ましくは、1.7%以上、より好ましくは、2.0%以上である。
一方、Al含有量が過剰になると、熱間加工性が低下する傾向が見られる。よって、Al含有量の上限を5.0%以下とする。Al含有量の上限は、好ましくは、4.7%以下、より好ましくは、4.5%以下である。
上記第1の合金は、上述した元素に加えて、さらに、必要に応じて、下記元素を含有していても良い。
B、MgおよびCaから選択される1種または2種以上(2種以上の場合は合計で):0.02〜0.20%
Bは、熱間加工性の改善に寄与するととともに、高温強度および靱性の低下を防止するのに役立つ。また、Bは、さらに、高温クリープ強度を高めるのにも有効である。但し、過剰の添加は、熱間加工性を低下させる。
また、MgおよびCaは、脱酸、脱硫作用を有する元素であり、合金の清浄度を高めるのに寄与する。また、MgおよびCaは、粒界に偏析して強度を高めるのに寄与する。但し、過剰の添加は、熱間加工性を低下させる。
よって、これらの観点から、上記元素の含有量(2種以上の場合は合計で)の下限を0.02%以上とする。上記元素の含有量(2種以上の場合は合計で)の下限は、好ましくは、0.025%以上、より好ましくは、0.030%以上である。
一方、上記元素の含有量(2種以上の場合は合計で)の上限を0.20%以下とする。上記元素の含有量(2種以上の場合は合計で)の上限は、好ましくは、0.17%以下、より好ましくは、0.15%以下である
(第2の合金)
第2の合金は、上記第1の合金が、Al:1.5〜5.0%と規定されていたのに対し、AlおよびMo:1.5〜5.0%と規定される点だけで異なる。そのため、その他の点は、第1の合金と同様であるため割愛し、異なる点を主に説明する。
AlおよびMo:1.5〜5.0%
Alは、γ’相を形成する重要な元素である。また、Alは、耐高温腐食性の向上にも寄与する。但し、Al含有量が過剰になると、熱間加工性が低下する傾向が見られる。
一方、Moは、固溶強化により合金の強度を高めるだけでなく、耐食性を向上させる働きもある。但し、Mo含有量が過剰になると、熱間加工性が低下する傾向が見られる。
これらの観点から、AlおよびMoの含有量(Al含有量とMo含有量との合計で)の下限を1.5%以上とする。AlおよびMoの含有量の下限は、好ましくは、1.7%以上、より好ましくは、2.0%以上である。
一方、AlおよびMoの含有量の上限を5.0%以下とする。AlおよびMoの含有量の上限は、好ましくは、4.7%以下、より好ましくは、4.5%以下である。
溶解炉から混入すると思われるFe、Si、Cなどは、特に限定されるものではない。
なお、上記第1の合金、第2の合金は、例えば、電気炉、高周波誘導炉などの溶解炉にて、上述した化学組成の合金を溶製し、合金インゴットに鋳造するなどして準備すれば良い。
ここで、本締結部材は、上記のような化学組成の合金よりなり、処理温度T(℃)と保持時間t(h)との関係が下記式を満たす熱処理が施されている。
(T+273)×(20+logt)/1000=20.5〜26.5
但し、上記処理温度T(℃)の下限は、650℃以上である。上記処理温度の下限が650℃を下回ると、その中心部の硬さを600HV未満にし難くなり、靱性が低下するからである。
上記処理温度T(℃)の下限は、好ましくは、680℃以上、より好ましくは、690℃以上、さらに好ましくは、700℃以上である。
一方、上記処理温度T(℃)の上限は、α相の固溶温度以下の温度である。上記処理温度の上限がα相の固溶温度を上回ると、α相およびγ’相が固溶するからである。
上記処理温度T(℃)の上限は、好ましくは、α相の固溶温度未満の温度である。具体的には、上記処理温度T(℃)の上限は、好ましくは、1200℃未満、より好ましくは、1150℃以下、さらにより好ましくは、1100℃以下である。
上記熱処理では、上記処理温度T(℃)が決定すれば、上記式より、熱処理時の保持時間t(h)の範囲を求めることができる。なお、上記log関数の底は10である。
上記熱処理方法は、上記条件を満たす処理温度かつ保持時間で熱処理を施すことができれば、特に限定されるものではない。熱処理方法としては、具体的には、例えば、上記化学組成の合金を、上記処理温度の範囲の下限値を下回る温度から、加熱炉、通電、誘導加熱などの加熱手段を用いて、上記処理温度の範囲内の温度まで昇温し、当該熱処理を施す方法を例示することができる。
他にも、例えば、上記化学組成の合金を、上記処理温度の範囲の下限値を下回る温度から、加熱炉、通電、誘導加熱などの加熱手段を用いて、一旦、上記処理温度の範囲の上限値を上回る温度まで昇温した後、あるいは、昇温、保持した後、自然放熱、または、水冷、油冷、ガス冷却などの適当な冷却方法を用い、上記処理温度の範囲まで温度を下げて当該熱処理を施す方法などを例示することができる。他にも、固溶化処理を施した後、当該熱処理を施す方法、冷間加工あるいは温間加工などの塑性加工後に、当該熱処理を施す方法などがある。
好ましくは、エネルギー効率が良く、コスト低減にも寄与するなどの観点から、前者の熱処理方法によると良い。
本締結部材は、上記合金に対して、ねじ、ボルト、ナットなどに代表される具体的な形状が付与される。前あるいは後に上記熱処理を施すことができ、特に限定されることはない。
なお、上記冷間加工の種類は、付与する形状によって、適宜変更することができる。上記冷間加工としては、具体的には、例えば、研削、研磨、冷間鍛造、冷間圧延、引抜加工、スウェージング加工、押出加工などを例示することができる。これらは1種または2種以上併用することができる。さらに、ショットピーニング、DLC処理などの各種表面処理を1種または2種以上併用しても良い。
ここで、本締結部材は、その中心部の硬さが600HV未満である。本締結部材の硬さを、その中心部の硬さにて規定しているは、締結部材の表面付近は、冷間加工による加工硬化や各種表面処理の影響を受けやすく、硬さが変化しやすいからである。そのため、本締結部材を構成するNi基合金素材そのものの硬さを規定するため、中心部の硬さを採用している。なお、上記硬さは、JIS Z 2244に準拠して測定されるビッカース硬さのことである。
上記硬さの上限としては、強度と靱性とのバランスなどの観点から、好ましくは、595HV以下、より好ましくは、590HV以下、さらにより好ましくは、585HV以下であると良い。
一方、上記硬さの下限としては、冷間加工性、強度と靱性とのバランスなどの観点から、好ましくは、300HV以上、より好ましくは、305HV以上、さらにより好ましくは、310HV以上であると良い。
また、本締結部材を構成するNi基合金の結晶粒径(上記熱処理後)は、上記硬さなどにより異なる。
上記結晶粒径の上限としては、加工性や強度などの観点から、好ましくは、1000μm以下、より好ましくは、700μm以下、さらにより好ましくは、500μm以下であると良い。
一方、上記結晶粒径の下限としては、600HV未満の硬さを得やすいなどの観点から、好ましくは、0.01μm以上、より好ましくは、0.05μm以上、さらにより好ましくは、0.1μm以上であると良い。
なお、上記結晶粒径は、組織観察用試料を作製し、画像解析装置により測定される値である。
本締結部材を構成するNi基合金の強度(上記熱処理後)の上限としては、靱性および延性の確保などの観点から、好ましくは、2100MPa以下、より好ましくは、2050MPa以下、さらにより好ましくは、2000MPa以下であると良い。
一方、本締結部材を構成するNi基合金の強度(上記熱処理後)の下限としては、強度確保などの観点から、好ましくは、900MPa以上、より好ましくは、950MPa以上、さらにより好ましくは、1000MPa以上であると良い。なお、上記強度は、JIS Z 2241に準拠して測定される引張強さを指す。
本締結部材を構成するNi基合金の靱性(上記熱処理後)の下限としては、靱性および延性確保などの観点から、好ましくは、40J/cm以上、より好ましくは、45J/cm以上、さらにより好ましくは、50J/cm以上であると良い。なお、上記靱性は、JIS Z 2242に準拠して測定されるシャルピー衝撃値を指す。
本締結部材の透磁率μとしては、発生する磁場に影響を与え難いなどの観点から、好ましくは、1.05以下、より好ましくは、1.01以下、さらにより好ましくは、1.005以下であると良い。
なお、上記透磁率は、VSM(Vibrating Sample Magnetometer:振動試料型磁力計)を用い、外部磁場100 Oe、室温の条件下にて測定した値である。
本締結部材の適用例は、特に限定されるものではない。具体的には、例えば、ねじ、ボルト、ナット、ワッシャ、ピン、リベットなどを例示することができる。
以下、本発明を実施例を用いてより具体的に説明する。
初めに、高周波真空誘導炉を用いて、表1に示す化学成分の合金(α相の固溶化温度は1185℃)を溶製し、各150kgの合金インゴットを鋳造した。
次いで、得られた各合金インゴットを1200℃で熱間鍛造することにより、直径16mmの丸棒材をそれぞれ製造した。
次いで、得られた各丸棒材を、加熱炉を用いて、室温から表2に記載の各処理温度にまで昇温した後、その各処理温度で、表2に記載の各保持時間だけ保持する熱処理を行った。
これにより、上記所定の熱処理を経た各丸棒材を準備した。
次に、上記所定の熱処理を経た各丸棒材を用い、以下のようにして、硬さ、引張強さ、シャルピー衝撃特性、透磁率を測定した。また、実施例2および実施例15と比較例4については、遅れ破壊試験を行った。
<硬さ>
上記所定の熱処理を経た各丸棒材を、その軸方向と垂直な方向に切断し、切断面の中心部の硬さを、ビッカース硬度計を用い、JIS Z 2244に準拠して5点測定した。なお、測定した5点の硬さの平均値を、熱処理を経た各合金の硬さとした。
<引張強さ>
JIS Z 2241に準拠し、上記所定の熱処理を経た各丸棒材から採取した引張試験片を用いて、引張強さを測定した。なお、各丸棒材につき測定した3点の引張強さの平均値を、熱処理を経た各合金の引張強さとした。
<シャルピー衝撃値>
JIS Z 2242に準拠し、上記所定の熱処理を経た各丸棒から採取した10mmRノッチ試験片(10mm角棒)を用いて、シャルピー衝撃値を測定した。なお、各丸棒材につき測定した3点のシャルピー衝撃値の平均値を、熱処理を経た各合金のシャルピー衝撃値とした。
<透磁率>
上記所定の熱処理を経た各丸棒材を、5mm角に切り出し、VSM(Vibrating Sample Magnetometer:振動試料型磁力計)を用い、外部磁場100 Oe、室温の条件下にて透磁率を測定した。これを熱処理を経た各合金の透磁率とした。
<遅れ破壊試験>
遅れ破壊試験として、上記所定の熱処理を経た各丸棒材から、直径φ6mm、長さ40mm、切り欠き部の直径φ4mmである遅れ破壊試験片を採取し、この試験片のノッチ(切り欠き部)に0.1N HClを滴下する片持梁式定荷重型曲げ試験試験を行い、100時間後の強度比(荷重/静曲げ荷重)を求めた。
表1に、各合金組成の一覧を示す。表2に、各熱処理条件、硬さ、引張強さ、シャルピー衝撃値、透磁率の測定結果をまとめて示す。表3に、遅れ破壊試験結果を示す。
Figure 2008184635
Figure 2008184635
Figure 2008184635
表1〜表2を相対評価すると、次のことが分かる。
すなわち、比較例4および比較例5は、硬さが700HV以上と硬い。そのため、冷間加工性に劣ることが分かる。また、引張強度は高い値を示すものの、シャルピー衝撃値の値が低く、強度と靱性とのバランスに劣る。また、強磁性を示す。
比較例1〜比較例3は、実施例1〜実施例3と合金の化学組成が同じである。しかしながら、特定の熱処理が施されていないので、合金素地の硬さが600HV以上と硬い。そのため、冷間加工性に劣ると言える。また、非磁性であるものの、強度と靱性とのバランスに劣る。
これらに対し、実施例については、次の通りである。
図1に、(T+273)×(20+logt)/1000の値と、ビッカース硬さ(HV)との関係を示す。図1によれば、特定の熱処理条件と硬さとの間に高い相関があることが分かる。
そのため、特定の熱処理を施すことにより、合金の中心部の硬さ、つまり、合金素地の硬さを600HV未満に軟化させることが可能であると言える。このことから、特定の熱処理を経たNi基合金を用いれば、冷間加工をしやすくなると言える。
また、実施例は、非磁性である上、締結部材として好適な強度と靱性が得られており、両者のバランスも良好である。
さらに、遅れ破壊試験の結果から、特定の熱処理を経たNi基合金は、遅れ破壊し難く、そのような特性が望まれる締結部材に好適な材料であると言える。
したがって、以上のことから、上記化学組成を有する合金に対して特定の熱処理を施せば、冷間加工により任意の締結部材形状を付与しやすく、さらに、強度と靱性とのバランスが良好であり、しかも、非磁性の締結部材を得ることが可能であると言える。
以上、本発明に係る締結部材について説明したが、本発明は、上記実施形態、実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。
(T+273)×(20+logt)/1000の値と、ビッカース硬さ(HV)との関係を示した図である。

Claims (4)

  1. 重量%で、Cr:30〜45%、Al:1.5〜5.0%を含有し、残部が実質的にNiおよび不可避的不純物からなる合金よりなり、処理温度T(℃)と保持時間t(h)との関係が下記式を満たす熱処理が施され、その中心部の硬さが600HV未満とされている締結部材。
    (T+273)×(20+logt)/1000=20.5〜26.5
    但し、650℃≦T≦α相の固溶化温度(℃)
  2. 前記合金は、さらに、重量%で、B、MgおよびCaから選択される1種または2種以上(2種以上の場合は合計で)を0.02〜0.20%含有する請求項1に記載の締結部材。
  3. 重量%で、Cr:30〜45%、AlおよびMoを合計で:1.5〜5.0%を含有し、残部が実質的にNiおよび不可避的不純物からなる合金よりなり、処理温度T(℃)と保持時間t(h)との関係が下記式を満たす熱処理が施され、その中心部の硬さが600HV未満とされている締結部材。
    (T+273)×(20+logt)/1000=20.5〜26.5
    但し、650℃≦T≦α相の固溶化温度(℃)
  4. 前記合金は、さらに、重量%で、B、MgおよびCaから選択される1種または2種以上(2種以上の場合は合計で)を0.02〜0.20%含有する請求項3に記載の締結部材。
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