JP6517732B2 - Dpp−4阻害剤、血糖値上昇抑制剤およびdpp−4阻害用食品 - Google Patents

Dpp−4阻害剤、血糖値上昇抑制剤およびdpp−4阻害用食品 Download PDF

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本発明は、所定のトリペプチドを有効成分として含有するDPP−4阻害剤および血糖値上昇抑制剤に関する。
糖尿病は、膵臓のβ細胞が何らかの理由によって破壊されて血糖値を調節するインスリンが枯渇する1型と、血中にインスリンは存在するがインスリンの働きが悪く、あるいは膵臓のβ細胞からのインスリン分泌量が減少し、結果として血糖値の調整不全となる2型とに大別される。2型糖尿病の血糖値を調整するホルモンに、グルカゴン様ペプチド−1(GLP−1:glucagon−like peptide−1)が知られている。一定濃度以上の血中糖濃度下でインスリン分泌を促進するため低血糖が起きる危険性が少なく安全性に優れ、GLP−1補充療法等に応用されている。
一方、GLP−1は、生体内に広範に存在するジペプチジルペプチダーゼ4(EC3.4.14.5、以下単にDPP−4と称す。)で急速に分解される。DPP−4は、N末端から2番目にProまたはAlaを持つペプチドに対して特異的に作用し、N末端からジペプチドを遊離させ、この作用によりGLP−1を不活化するという。このため、DPP−4の活性を阻害して内因性GLP−1の作用を持続増強させる薬剤が開発され、例えば、N末端から2番目にProが配列されたペプチドを有効成分とするDPP−4阻害剤がある(特許文献1)。これらはチーズの水溶性画分に含まれるアミノ酸数2〜12のペプチドである。特許文献1では、DPP−4阻害剤を構成するトリペプチドとして、Ile−Pro−Asnを記載する。
また、乳タンパク質加水分解物からなり、GLP−1の分泌を刺激し、およびDPP−4阻害作用を有するペプチドもある(特許文献2)。特許文献2では、DPP−4阻害作用を有するトリペプチドとして、LPL、IPIを記載する。
更に、Val−Pro−X(式中、XはL−プロリン残基を除くアミノ酸残基を示す)からなるペプチドを有効成分とするDPP−4阻害剤もある(特許文献3)。カゼインを特定の酵素で加水分解して得られたカゼイン加水分解物中に、DPP−4阻害作用を有する新規ペプチドが含まれることを見出したものであり、食品由来の成分であったため安全性が高いという。具体的なトリペプチドとして、Val−Pro−Ala、Val−Pro−Gln、Val−Pro−Met、Val−Pro−Asn、Val−Pro−Gly、Val−Pro−Val、Val−Pro−Tyr、Val−Pro−Ser、Val−Pro−Lysを記載する。
また、コラーゲンまたはゼラチン由来のペプチドであって、Gly−X−Y−(Gly−Z−W)n(式中、nは0〜4の整数、XはProまたはLeu、Y、ZおよびWはそれぞれ独立して同一または異なる任意のアミノ酸残基(ただし、Glyを除く)を示す。)で示すペプチドをDPP−4阻害剤とするものもある(特許文献4)。好ましいトリペプチドとして、Gly−Pro−Argを記載する。
更に、コラーゲンのアミノ酸一次構造に由来するDPP−4阻害剤もある(特許文献5)。好ましいトリペプチドとして、Leu−Pro−Gly、およびIle−Hyp−Glyを記載する。
加えて、Ace−Gly−Gln−Pro−COOR、Ace−Gln−Pro−Gly−COOR、Ace−Pro−Gly−Gln−COOR、Ace−Gly−Pro−Gln−COOR、またはAce−Gln−Gly−Pro−COORで表される(Rは水素、または炭素数1〜5のアルキル基を表し、Aceはアセチル基を表す。)トリペプチド化合物を含む、血糖値低減剤もある(特許文献6)。一般的にペプチドは、「+N−(R)CH−COO」で示すことができ、上記トリペプチド化合物のRが水素(H)の場合はそれぞれ、Ace−Gly−Gln−Pro、Ace−Gln−Pro−Gly、Ace−Pro−Gly−Gln、Ace−Gly−Pro−Gln、およびAce−Gln−Gly−Proと表記できる。実施例では、Ace−Pro−Gly−Glnを2型糖尿病モデルマウスに7週間経口投与すると、その長期投与時においても蒸留水を投与したネガティブコントロール群より血糖値を低減でき、その効果はDPP−4阻害薬であるリナグリプチン投与群とほぼ同等であったと記載する。
特開2007−39424号公報 特表2009−517464号公報 国際公開第2013/133031号 国際公開第2008/066070号 国際公開第2013/065832号 特開2016−34930号公報
橋本昭彦等、「ショウガ根茎のプロテイナーゼおよびコラゲナーゼ活性」、日本栄養・食糧学会誌、1991、vol.44、No.2、pp.127−132 The 2.1 A structure of a cysteine protease with proline specificity from ginger rhizome, Zingiber officinale、Biochemistry、1999年、vol.38、11624-11633
上記特許文献1〜5に記載するDPP−4阻害剤は、いずれもチーズや乳タンパク質、コラーゲン、その他の天然物を原料とするため安全性に優れる。ペプチドの中でも、アミノ酸数が少ないペプチドは血中移行率に優れると予測され、上記特許文献にはいずれもDPP−4阻害活性を有するトリペプチドが記載されている。これらには、N末端から2番目のアミノ酸がプロリンであるトリペプチドも含まれるが、原料に含まれるペプチド配列に由来するため、記載されたアミノ酸配列以外のペプチドのDPP−4阻害活性は不明である。したがって、トリペプチドを有効成分とする、新たなDPP−4阻害剤の開発が望まれる。
また、特許文献6では、2型糖尿病モデルマウスにAce−Pro−Gly−Glnを7週間経口投与して血糖値低減効果を評価しており、その長期投与時においても血糖値低減作用を奏することを示している(図7)。さらに、マウス膵β細胞に添加してインスリン分泌量を評価すると、100μMの添加で高濃度グルコース添加時と同等のインスリンの分泌活性が観察され(図1)、これをラットGLP−1産生細胞に投与すると、グルコース投与群よりもGLP−1分泌量が上昇している(図4)。これらの結果より、Ace−Pro−Gly−GlnはGLP−1濃度を上昇させることでインスリン濃度を上昇させ、血糖値を低減させていると推定されるが、GLP−1濃度の上昇が、GLP−1の生成亢進によるものか、DPP−4阻害剤の存在によるかは不明である。
更に、特許文献6は、化学合成して得たトリペプチドアセチル化合物を使用するものである。化学合成されたペプチドには、予期せぬ不純物が含まれる場合がある。したがって、天然物を分解して製造されるトリペプチドを用いた、安全性が高いDPP−4阻害剤の開発が望まれる。
このような状況下、本発明は、安全性が高いトリペプチドを有効成分とするDPP−4阻害剤および血糖値上昇抑制剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、グルテンをショウガ根茎由来酵素で分解してなるトリペプチドについてDPP−4阻害活性を評価したところ、N末端から2番目がプロリンであり、N末端またはC末端がグルタミンであるトリペプチドに、DPP−4阻害活性が存在することを見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は、Gln−Pro−Gln、Leu−Pro−Gln、Ser−Pro−Gln、Gln−Pro−GlyおよびGln−Pro−Pheからなる群から選択されるいずれか1種以上のトリペプチドを有効成分とするDPP−4阻害剤を提供するものである。
また、本発明は、Gln−Pro−Gln、Leu−Pro−Gln、Ser−Pro−Gln、Gln−Pro−GlyおよびGln−Pro−Pheからなる群から選択されるいずれか1種以上のトリペプチドを有効成分として含有する血糖値上昇抑制剤を提供するものである。
また本発明は、前記DPP−4阻害剤を含む、DPP−4阻害用食品(黄酒を除く)を提供するものである。
本発明によれば、トリペプチドを有効成分とするDPP−4阻害剤を提供することができる。
Ser−Pro−GlnのDPP−4阻害曲線を示す図である。
本発明は、X−Pro−Gln(式中、Xは、Gly、ValおよびPro以外のアミノ酸残基を示す。)、またはGln−Pro−Y(式中、Yは、Pro以外のアミノ酸残基を示す。)で示されるトリペプチドを有効成分とするDPP−4阻害剤である。以下、本発明を詳細に説明する。
(1)DPP−4阻害剤
本発明のDPP−4阻害剤は、X−Pro−Gln(式中、Xは、Gly、ValおよびPro以外のアミノ酸残基を示す。)、またはGln−Pro−Y(式中、Yは、Pro以外のアミノ酸残基を示す。)で示されるトリペプチドを有効成分とする。Xは、ロイシン、イソロイシン、アラニン、フェニルアラニンなどの疎水性アミノ酸や、アスパラギン、グルタミン、セリンなどの中性アミノ酸であることが好ましい。これらの中でも、ロイシン、イソロイシン、グルタミン、セリンなどが好ましい。一方、Yはグリシンなどの中性アミノ酸や、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニンなどの疎水性アミノ酸であることが好ましい。本発明で使用するトリペプチドとしては、Leu−Pro−Gln、Ile−Pro−Gln、Ala−Pro−Gln、Phe−Pro−Gln、Asn−Pro−Gln、Gln−Pro−Gln、Ser−Pro−Gln、Gln−Pro−Gly、Gln−Pro−Leu、Gln−Pro−Ile、Gln−Pro−Pheが好ましく、より好ましくはGln−Pro−Gln、Leu−Pro−Gln、Ser−Pro−Gln、Gln−Pro−Gly、Gln−Pro−Pheである。これらは1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
本発明のDPP−4阻害剤で使用する上記トリペプチドは、医学的に許容可能な塩を構成するものであってもよい。なお、医学的に許容可能な塩とは、薬理学的に許容可能であり、かつ投与された被験者に対して略無毒の本発明の化合物である塩形態をいう。上記トリペプチドの医薬的に許容可能な塩として、ナトリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩などの無機塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、グリコール酸塩、乳酸塩、ヒドロキシブチル酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、琥珀酸塩、アジピン酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、グルタル酸塩などの有機酸塩、塩酸塩、リン酸塩、塩化水素酸塩、硫酸塩、カルボン酸塩、ホスホン酸塩、スルホン酸塩などの付加塩がある。ただし、N末端アミノ酸にアセチル基が導入されたアセチル化トリペプチドは含まない。後記する実施例に示すように、DPP−4阻害活性が極めて低値だからである。なお、本発明のDPP−4阻害剤は、トリペプチドを構成するアミノ酸の、第1級アミン、第2級アミンにアシル基が結合するN−アシル化合物を含まない。
本発明のDPP−4阻害剤は、経口的に投与して、生体においてDPP−4を阻害することにより血糖値を低下させることができ、糖尿病の予防薬、治療薬として使用することができる。経口投与する場合、本発明のDPP−4阻害剤の剤型としては、トリペプチドをそのまま使用する他、他のふ形剤を配合して錠剤、細粒剤、丸剤、トローチなどに調製してもよく、カプセルに収納してカプセル剤としてもよく、更には液剤などに調製することができる。経口投与の場合は、治療や予防の目的、症状、体重、年齢などの条件を考慮して、適宜選択することができる。また、サプリメントとして摂取することもできる。
本発明のDPP−4阻害剤の投与量は、投与形態、投与目的、被験者の年齢その他に応じて適宜、選択することができる。一般には、経口投与の場合、成人一日当り0.001〜100mg/kg、好ましくは0.01〜50mg/kg、より好ましくは0.1〜20mg/kgである。注射剤の場合は、例えば0.0001〜50mg/kg、好ましくは0.001〜20mg/kg、特に好ましくは0.01〜10mg/kgである。
本発明のDPP−4阻害剤は、これを食品に配合して経口摂取することができる。このような本発明のDPP−4阻害剤が配合された食品としては、野菜やフルーツ、乳酸菌などを含むジュースその他の飲料、ゼリー、ヨーグルト、プリン、アイスクリームなどの半流動性食品の他、他の食材に混練して固形食品に調製することができる。
また、DPP−4阻害剤は、Tリンパ球の増殖効果を有し、また自己免疫性脊椎炎、多発性硬化症、関節炎、リューマチなどの自己免疫疾患を緩和することが指摘されている。したがって、本発明のDPP−4阻害剤も上記疾患に使用しうる可能性がある。この際の用途は、内服に限定されず炎症部位に注入するなどの外科的処方であってもよい。
(2)製造方法
本発明で使用するトリペプチドの製造方法は、特に限定はない。したがって、従来公知の方法で化学合成したものを使用することができる。一方、豆類、魚類、肉類その他のタンパク質含有食品を酵素分解し、分解物の中から上記トリペプチドを分取して使用することもできる。このようなタンパク質含有食品として、グルテンを原料とすることが好適である。グルテンは、グリアジンとグルテニンからなるタンパク質複合体であり、グルタミン残基とプロリン残基の含有量が多いからである。更に、脂肪や糖分の含有量が少なく、分解物からトリペプチドを分取することも容易である。
グルテン分解酵素としては、従来公知のプロテアーゼを使用することができる。例えば、パパイヤ、キウイ、パイナップル、イチジク、ショウガなどに含まれるプロテアーゼがある。本発明では、ショウガ根茎由来酵素を使用することが好ましい。上記トリペプチドの生成率に優れるからである。
(3)ショウガ根茎由来酵素
ショウガ根茎由来酵素が、プロテアーゼ活性を有することは公知である(非特許文献1)。ショウガ根茎由来酵素であるジンジベインは、プロリン特異的システインプロテアーゼであり、N末端側から読んだときに、ProのC末端側に隣接するアミノ酸残基とその次のアミノ酸残基との間のペプチド結合を切断する(非特許文献2)。グルテンにこのショウガ根茎由来酵素を作用させると、X−Pro−Gln(式中、Xは、Gly、ValおよびPro以外のアミノ酸残基を示す。)、およびGln−Pro−Y(式中、Yは、Pro以外のアミノ酸残基を示す。)で示されるトリペプチドを含むペプチド組成物を生成することができる。なお、ショウガ根茎は、プロテアーゼ活性を有するものであれば特に制限はなく、市販のショウガ根茎を広く使用することができる。
ショウガ根茎由来酵素は、グルテンを分解して上記トリペプチドを生成できることを条件に、生ショウガ根茎から抽出した酵素であってもよく、乾燥ショウガ根茎から得た酵素であってもよい。なお、ショウガ根茎には多量の繊維が含まれているが、繊維を含んだまま粉砕した粉砕物であってもよい。粉砕は、乳鉢、スタンプミル、ボールミル、ホモジナイザー、カッティングミルなどで行うことができる。ショウガ粉砕物、乾燥ショウガ粉砕物を直接グルテンに添加することで、酵素抽出、酵素精製の工程を経ることなく、簡便に分解反応を行うことができる。
(4)プロテアーゼ反応
本発明において、グルテンに添加するショウガ根茎由来酵素の量は、使用するショウガ根茎由来酵素の形状その他によって適宜選択することができ、例えばショウガ根茎の乾燥粉砕物の場合、グルテンの1〜30質量%、より好ましくは2〜20質量%、特に好ましくは5〜10質量%である。
反応は、pH3.0〜7.0で行うことが好ましい。この範囲で、X−Pro−Gln(式中、Xは、Gly、ValおよびPro以外のアミノ酸残基を示す。)、およびGln−Pro−Y(式中、Yは、Pro以外のアミノ酸残基を示す。)で示されるトリペプチドの生成率に優れるからである。より好ましくは、pH3.6〜5.6、特に好ましくはpH4.0〜5.2である。また、反応温度は、室温〜80℃、より好ましくは40〜60℃である。この範囲でプロテアーゼ活性に優れるからである。なお、反応時間は、3〜24時間、より好ましくは8〜16時間である。上記したトリペプチドが生成しているか否かは、反応液の一部を採取してペプチドの定量分析を行うことで簡便に確認することができる。上記プロテアーゼ反応により、X−Pro−Gln(式中、Xは、Gly、ValおよびPro以外のアミノ酸残基を示す。)、およびGln−Pro−Y(式中、Yは、Pro以外のアミノ酸残基を示す。)で示されるトリペプチドが生成される。
反応には還元剤を添加してもよい。グルテン溶液にシステイン、ジチオスレイトール、グルタチオン、グルタチオン含有酵母エキスなどのSH基含有還元剤を添加すると、X−Pro−Gln(式中、Xは、Gly、ValおよびPro以外のアミノ酸残基を示す。)、およびGln−Pro−Y(式中、Yは、Pro以外のアミノ酸残基を示す。)で示されるトリペプチドの生成率に優れる。例えばジチオスレイトールの場合、0.1mM以上で添加の効果が発揮され、好ましい添加量は0.5〜50mMである。特に、還元剤濃度が1〜5mMの場合には、X−Pro−Gln(式中、Xは、Gly、ValおよびPro以外のアミノ酸残基を示す。)、およびGln−Pro−Y(式中、Yは、Pro以外のアミノ酸残基を示す。)で示されるトリペプチドの生成量が大きく向上する。SH基含有還元剤はSH基の保護作用を有するため、ショウガ根茎由来酵素に含まれる酵素のSH基に作用し、反応率を向上させると推定される。なお、反応の終了は、上記トリペプチドの生成量によって決定することができる。
得られた分解組成物には、上記X−Pro−Gln(式中、Xは、Gly、ValおよびPro以外のアミノ酸残基を示す。)、およびGln−Pro−Y(式中、Yは、Pro以外のアミノ酸残基を示す。)で示されるトリペプチドが含まれている。本発明は、上記トリペプチドを含有する分解組成物を、そのままDPP−4阻害剤として使用することができる。また、従来公知の方法で特定のトリペプチドを分取および精製してもよい。
次に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらの実施例は何ら本発明を制限するものではない。
(1)DPP−4阻害率の測定方法
50mMのトリス−塩酸バッファー(pH7.5)に試料を溶解したサンプル液35μlと、50mMのトリス−塩酸バッファー(pH7.5)に溶解したDPP−4(シグマ社製、豚腎臓由来;8.6mU/ml)15μlとをマイクロプレートウェル(NUNC社製、商品名「237015」)中で混合し37℃、10分間インキュベートした。
これに、予め37℃に保温しておいた基質溶液(グリシルプロリン−4−メチルクマリン−7−アミド(Gly−Pro−MCA)を10μMとなるよう50mMトリス−塩酸バッファー(pH7.5)に溶解したもの)50μlを添加および混合し、37℃で20分間反応させた。
DPP−4によって遊離される7−アミノ−4−メチルクマリン(AMC)の蛍光強度をマイクロプレートリーダー型蛍光検出器(コロナ電気社製、商品名「SH−9000」)で経時的に測定した。なお、測定波長は励起波長380nm、測定波長460nmで行った。なお、サンプルに代えて50mMのトリス−塩酸バッファー(pH7.5)を同量使用したものを対照として蛍光強度を測定した。
DPP−4の活性は、反応時間中における蛍光強度変化量の平均勾配で表し、DPP−4阻害率は、対照を100%とし、サンプルの活性を前記対照から差し引いた分を阻害率(%)として算出した。
(2)IC50値の測定方法
上記したDPP−4阻害率の測定方法に準じて、サンプル濃度を変化させて得た阻害率から、反応系1ml換算におけるDPP−4活性の50%阻害濃度(IC50値)を算出した。
(製造例1)
ショウガ根茎を、皮を剥いてから細切して−30℃で凍結した後、凍結ショウガに対して5倍量(容量/重量)の冷アセトンを添加し、ポリトロンホモジナイザーで十分粉砕してスラリーを得た。前記スラリーをろ過してアセトンを除去し、更にこの残渣を5倍量(容量/重量)の冷アセトンで洗浄、ろ過してから風乾し、ショウガ粉末を得た。
(実施例1)
pH4.4の0.1M酢酸ナトリウムバッファーで小麦グルテン(東京化成工業製)2質量%懸濁溶液を調製した。この溶液に、製造例1で調製したショウガ粉末を、グルテンに対して質量換算で1/10倍量加え、ジチオスレイトール(和光純薬工業製)を2mMとなるように添加し、50℃で振盪、攪拌しながら16h反応させた。反応終了後0.80μmフィルターを通してペプチド溶液を得た。
得られたペプチド溶液を下記LC/MS測定条件で分離し、トリペプチドの一部の含有量を定量した。結果を表1に示す。グルテンをショウガ根茎由来酵素で分解することで、分解物からGln−Pro−Gln、Leu−Pro−Gln、Ser−Pro−Gln、Gln−Pro−GlyおよびGln−Pro−Pheを製造することができた。
(1)LC/MS測定条件
高速液体クロマトグラフ:1200Series(Agilent Technologies)、
質量分析装置:3200QTRAP(AB Sciex)、
分析カラム:Ascentis Express F5 5μm, 4.6mmi.d.×250mm(SUPELCO)、
カラム温度:40℃
移動相:A液;0.1%ギ酸、B液;100%アセトニトリル、
グラジエント条件:
0〜2.5分:A液100%、
2.5〜15分:A液100〜5%;B液0〜95%、
15〜17.5分:A液5%;B液95%、
17.5〜20分:A液100%、
流速:0.6mL/min、
(2)質量分析条件:
イオン化:ESI、ポジティブ、
分析モード:Multiple Reaction Monitoring(MRM)モード、
イオンスプレー電圧:3kV、
イオンソース温度:700℃
(実施例2)
実施例1で、ショウガ粉末によるグルテンの分解により生成が確認されたGln−Pro−Gln、Leu−Pro−Gln、Ser−Pro−Gln、Gln−Pro−GlyおよびGln−Pro−Pheについて、Anygen社のカスタム合成サービスによりこれらトリペプチドを化学合成し、上記測定法にてそのDPP−4阻害率とIC50値とを測定した。測定したIC50値およびペプチド濃度0.1mg/ml時の阻害率を表2に示す。また、Ser−Pro−GlnのDPP−4阻害曲線を図1に示す。
(比較例1)
Anygen社のカスタム合成サービスにより、N末端にアセチル基を導入したAc−Gln−Pro−Gly、Ac−Gly−Pro−Gln、およびAc−Pro−Gly−Glnを化学合成した。これらアセチル化トリペプチドについて、実施例2と同様に操作して、DPP−4阻害率とIC50値とを測定した。なお、DPP−4阻害作用が弱くIC50値を算出できなかったため、ペプチド濃度0.1mg/ml時の阻害率を記載した。結果を表2に示す。
(結果)
表2に示すように、X−Pro−Gln(式中、Xは、Gly、ValおよびPro以外のアミノ酸残基を示す。)、またはGln−Pro−Y(式中、Yは、Pro以外のアミノ酸残基を示す。)で示されるGln−Pro−Gln、Leu−Pro−Gln、Ser−Pro−Gln、Gln−Pro−GlyおよびGln−Pro−Pheは、IC50値が低く、DPP−4阻害活性に優れた。
また、Gln−Pro−Glyにおける0.1mg/ml時の阻害率は、85.3%であるが、N末端をアセチル化したAc−Gln−Pro−Glyの同阻害率は5.1%と極めて低値であった。本発明で使用するトリペプチドは、アセチル基を導入したトリペプチドと比較し、ペプチド濃度0.1mg/ml時で約17倍もDPP−4阻害活性に優れた。なお、表2に示すように、N末端にアセチル基を導入したトリペプチドは、いずれもDPP−4阻害活性が低い結果となった。

Claims (3)

  1. Gln−Pro−Gln、Leu−Pro−Gln、Ser−Pro−Gln、Gln−Pro−GlyおよびGln−Pro−Pheからなる群から選択されるいずれか1種以上のトリペプチドを有効成分とするDPP−4阻害剤。
  2. Gln−Pro−Gln、Leu−Pro−Gln、Ser−Pro−Gln、Gln−Pro−GlyおよびGln−Pro−Pheからなる群から選択されるいずれか1種以上のトリペプチドを有効成分として含有する血糖値上昇抑制剤。
  3. 請求項1記載のDPP−4阻害剤を含む、DPP−4阻害用食品(黄酒を除く)
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