次に、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
<第1の実施形態>
まず、本発明の第1の実施形態に係る電源制御装置50について説明する。図1は、第1の実施形態に係る電源制御装置50の構成を示すブロック図である。
図1を参照すると、本実施形態に係る電源制御装置50は、待機電流測定部53と、制御部55と、電流供給部57とを含む。
主電源部51(メイン電源部)は、例えば、電源制御装置50の外部から主電源出力線62を介して主回路58(負荷ユニット、第1の負荷ユニット)に電流を供給する。主電源部51は、主回路58にその主回路58の定格電流を越える過電流が流れたことを検知すると、供給する電流をその過電流から主回路58の定格電流になるまで低減する過電流垂下特性を有することとする。
待機電源部52(サブ電源部)は、例えば、電源制御装置50の外部から待機電源出力線63を介して待機電流測定部53に接続されている。待機電流測定部53は、待機電源部52が供給する電流を測定する。
待機電流測定部53は、待機電源出力線68を介して電流供給部57に接続されている。
電流供給部57は、主電源出力線62を介して主回路58に接続される。
電流供給部57は、待機電流測定部53が供給する電流を主回路58に供給する。
主回路58は、主電源出力線62を介して主電源部51に接続されており、主電源部51から電流の供給を受ける。
制御部55は、測定信号線64を介して待機電流測定部53に接続されており、待機電流測定部53から、待機電流測定部53が測定した待機電源部52の出力電流の大きさを表す電流値を常時受け取ることができる。
制御部55は、制御信号線66を介して電流供給部57に接続し、電流供給部57が
出力する電流の状態を制御する。
電流供給部57は、制御部55が制御信号線66に出力する制御信号を、例えばオン状態にすることにより(以下、「制御信号線66がオン状態」と略記する)、電流供給部57の入力側(つまり、待機電源出力線68)から電流供給部57の出力側(つまり、主電源出力線62)へ電流を供給可能である。
また、電流供給部57は、制御部55が制御信号線66に出力する制御信号を、例えばオフ状態にすることにより(以下、「制御信号線66がオフ状態」と略記する)、電流供給部57の入力側から電流供給部57の出力側に供給される電流を遮断する。
制御部55は、待機電源部52が供給可能な定格電流値を制御部55自身に記憶している。
本実施形態において、待機電源部52が供給可能な電流は、主電源部51が供給可能な電流よりも小さいこととする。また、主回路58に流れる定格電流と、主電源部51が供給する定格電流とは、同じまたは略同じ電流値であるとする。また、主電源部51と、待機電源部52とが出力する電圧は同じまたは略同じ電圧値であるとする。
また、待機電流測定部53は、例えばその内部に図1には図示していない所定の抵抗値を有する抵抗器が直列に挿入されている。このため、待機電流測定部53は、その抵抗器に電流が流れる際に、その抵抗器の両端に生ずる電圧に基づいて待機電流測定部53に流れる電流の大きさ(電流値)を求めることが可能である。待機電流測定部53における電流の測定方法は、上述した方法には限定されない。
「背景技術」欄において上述したように、主回路58を構成する電気部品等の素子は、主電源部51の電源が投入された時点以降、経年変化に伴って漏れ電流が徐々に増加(つまり、主電源部51に対する負荷が増加)し、あるとき、主回路58には、主回路58の定格電流を越える過電流が流れることとする。
次に、第1の実施形態における電源制御装置50の動作について図1を用いて説明する。
制御部55は、例えば主電源部51の電源がオンになると、制御信号線66をオン状態にする。
本実施形態において主回路58を構成する素子は、上述したように主電源部51の電源が投入された時点以降、経年変化に伴って漏れ電流が徐々に増加し、あるとき、主回路58には、主回路58の定格電流を越える過電流が流れる。このとき、主電源部51は、主電源部51が有する過電流垂下特性により、供給する電流を過電流から、例えば主回路58の定格電流になるまで低減する。
その結果、主回路58には、経年変化した主回路58が動作するために必要な過電流を流している状態における電流値から、主電源部51の定格電流の電流値を差し引いた電流値分の電流が不足することになる。
上述したように、制御部55は、主電源部51への電源がオンになると、制御信号線66をオン状態にしているので待機電源部52は、主回路58において不足する分の電流を、電流供給部57を介して主回路58へ供給する。
制御部55は、待機電流測定部53が測定した待機電流値を常時取得しており、その待機電流値と、制御部55が記憶する待機電源部52の定格電流値と比較する。
制御部55は、上述した待機電流値と、待機電源部52の定格電流値とを比較した結果、取得した待機電流値が徐々に増え、あるとき、待機電源部52が供給可能な定格電流値に達したと判断した場合、例えば制御信号線66に出力する制御信号をオフにする。
制御部55は、制御信号線66に出力する制御信号をオフにすることにより、電流供給部57が電流供給部57の入力側から電流供給部57の出力側に供給する電流を遮断する。その結果、電流供給部57は、待機電源部52からの主回路58への待機電源部52の定格電流以上の待機電流の供給を停止する。
一方で、制御部55は、上述した待機電流値と、待機電源部52の定格電流値とを比較した結果、取得した待機電流値が待機電源部52が供給可能な定格電流値に達していないと判断した場合、制御部55は、制御信号線66をオン状態にし続ける。
こうして、主回路58の負荷が増大するのに応じて主電源部51の垂下特性によって出力電流が減少してしまった場合でも、待機電源部52は、待機電源部52が供給する電流が、待機電源部52の定格電流に達するまでの範囲内であれば、主回路58に供給される電流の不足分を待機電源部52が供給する。その結果、主回路58は、係る垂下特性によって主電源部51の出力電流が急減した場合であっても直ちに動作を停止することを回避できる。すなわち、電源制御装置50は、待機電源部52が主回路58に電流を供給しない場合に比べ、主回路58が電源オフシーケンスを実行せずにその動作を停止する事態の発生を少なくすることができる。
また、待機電源部52は、待機電源部52が供給可能な待機電源部52の定格電流値を越える電流の主回路58への供給を停止するので、待機電源部52自身が停止することを防ぐことができる。
以上、本実施形態には、簡単な構成により、主回路において電源オフシーケンスが実行される機会をできるだけ担保することにより電源制御装置の信頼性を向上させる効果がある。
その理由は、主回路58に過電流が流れることにより、主電源部51が供給する電流を低減した場合に、主回路58がその動作を停止しないように、不足する分の電流を、待機電源部52が供給可能な範囲で供給することができるからである。
なお、主回路58は、主回路58がその動作を停止する際に、電源オフシーケンスを実行できた場合、以下の効果がある。
すなわち、主回路58におけるマイコン等は、当該主回路58を所定の内部状態に設定することができるので、例えば他の電源部からの電流や、他の回路からの信号による影響を受けず、主回路58が故障することを回避できる。
また、主回路58におけるマイコン等は、情報処理システムが起動された場合、主回路58が停止する前にマイコン等が、例えば電源制御装置50に退避した最新の各種の情報を、電源制御装置50から主回路58自身に読み込んで自主回路58に適用し、主回路58を動作させることができる。
次に上述した電源制御装置50の具体例について説明する。
図2は、本実施形態における電流供給部57の具体的な回路例を示すブロック図である。電流供給部57は、一例としてダイオード56と、FET(Feild_Effect_Transistor)59とから構成される。
FET59は、スイッチ素子である。ダイオード56は、整流素子である。
ダイオード56のA(Anode)端子は、待機電源出力線68を介して待機電流測定部53に接続されており、待機電流測定部53で測定された電流が入力される。
FET59のD(Drain)端子は、ダイオード56のK(Cathode)端子と接続される。ダイオード56は、主電源部51からの出力電圧が過電圧になった場合に、主電源部51からの電流が主電源出力線62側から待機電源出力線68側に流れ込まないようにするために設けられている。
FET59のS(Source)端子は、主電源出力線62を介して主回路58に接続されており、待機電流測定部53で測定された待機電源部52からの電流を主回路58に供給する。
制御部55は、制御信号線66を介してFET59のG(Gate)端子に接続されており、電流供給部57を制御する。
FET59は、例えば制御信号線66がオン状態のときに、FET59のG端子が論理ローレベル(例えば、0V(ボルト))に駆動され、FET59はオン状態となる。これにより、FET59のD端子(つまり、待機電源出力線68)からS端子(つまり、主電源出力線62)間が導通するので、待機電源部52は、主回路58に電流を供給可能である。
反対に、FET59は、例えば制御信号線66がオフ状態のときに、FET59のG端子が論理ローレベルよりも高い電圧である論理ハイレベル(例えば、2.5V)に駆動され、FET59はオフ状態となる。これにより、FET59のD端子からS端子間は非導通となるので、待機電源部52は、主回路58に供給される電流を遮断する。
電流供給部57にFET59およびダイオード56を用いた場合の電源制御装置50の動作およびその効果は、上述した本実施形態における電源制御装置50の動作およびその効果と同じであるので、それらの説明は省略する。
なお、制御部55は、ハードウェアで実現してもよく、マイコン等のプロセッサを含むハードウェアにおいて、ソフトウェアを実行することによって実現してもよい。
<第2の実施形態>
次に、本発明の第1の実施形態を基本とする第2の実施形態について説明する。図3は、本実施形態に係る電源装置80の構成を示すブロック図である。
図3を参照すると、本実施形態に係る電源装置80の構成は、図1を用いて説明した第1の実施形態における構成に加えて、主電源部51と、待機電源部52と、供給電流測定部54と、主回路58と、待機回路部69(第2の負荷ユニット)とを自装置にさらに備える点が、第1の実施形態に係る電源制御装置50の構成と相違する。
したがって、本実施形態における説明では、上述した第1の実施形態における構成および動作と相違する点を中心に説明し、第1の実施形態における構成および動作と同じ構成および動作については、同一の参照番号を付すことにより、本実施形態における重複する説明は省略する。
図3を参照すると、本実施形態に係る電源装置80は、主電源部51と、待機電源部52と、待機電流測定部53と、供給電流測定部54と、制御部61と、電流供給部57と、主回路58と、待機回路69とを含む。
主電源部51は、主電源出力線62を介して主回路58と接続しており、主電源部51からの電流を主回路58に供給する。
主電源部51は、主回路58にその主回路58の定格電流を越える過電流が流れたことを検知すると、供給する電流をその過電流から主回路58の定格電流になるまで低減する過電流垂下特性を有する。
待機電源部52は、待機電源出力線63を介して、待機電流測定部53に接続されている。
供給電流測定部54は、待機電源出力線68を介して待機電流測定部53に接続されており、待機電源部52が供給し待機電流測定部53で測定された待機電流のうち、待機回路69に供給される電流を差し引いた残り分の電流を測定する。この残り分の電流は、主回路58に供給される。
制御部61は、第1の実施形態において用いた制御部55に代えて、本実施形態において用いられ、測定信号線65を介して供給電流測定部54に接続されており、供給電流測定部54が測定した電流の大きさを示す電流値を受け取る。
電流供給部57は、供給電流測定部54に接続されており、供給電流測定部54で測定された電流を受け取る。
制御部61は、負荷異常信号線67を介して、後述する負荷異常信号を外部に出力する。
待機回路部69は、待機電源出力線68を介して待機電流測定部53に接続されており、待機電流測定部53で測定された待機電源部52が出力する待機電流のうちの一部の電流が常時供給される回路である。
制御部61は、待機電源部52が供給可能な定格電流値を制御部61自身に記憶している。
本実施形態において、待機電源部52が供給可能な電流は、主電源部51が供給可能な電流よりも小さいこととする。また、主回路58に流れる定格電流と、主電源部51が供給する定格電流とは、同じまたは略同じ電流値であるとする。また、主電源部51と、待機電源部52とが出力する電圧は同じまたは略同じ電圧値であるとする。
本実施形態においても、主回路58を構成する電気部品等の素子は、主電源部51の電源が投入された時点以降、経年変化に伴って漏れ電流が徐々に増加(つまり、主電源部51に対する負荷が増加)し、あるとき、主回路58には、主回路58の定格電流を越える過電流が流れることとする。
次に、第2の実施形態における電源装置80の動作について説明する。図4は、本実施形態における制御部61の処理の流れを示すフローチャート図である。
制御部61は、例えば主電源部51への電源が投入されると、制御信号線66をオン状態にし、電流供給部57の入力側から電流供給部57の出力側へ、電流を供給可能にする。(ステップS71)。
制御部61は、待機電流測定部53が測定した待機電流値を測定信号線64を介して常時取得しており、取得したその待機電流値が、制御部61自身が記憶する待機電源部52が供給可能な定格電流値に達したか否かを確認する(ステップS72)。
制御部61は、ステップS72において、制御部61が取得した待機電流値と、待機電源部52が供給可能な定格電流値とを比較した結果、待機電流値が待機電源部52が供給可能な定格電流値に達していないと判断した場合(ステップS72においてNO)、制御部61は、ステップS74の処理を実行する。
制御部61は、測定信号線65を介して供給電流測定部54から、待機電源部52が供給する電流のうち待機回路69に供給される電流を差し引いた残り分の、主回路58に供給される電流が観測されたか否かを確認する(ステップS74)。
上述したように、主回路58を構成する素子は、本実施形態においても主電源部51の電源が投入された時点以降、経年変化に伴って漏れ電流が徐々に増加し、あるとき、主回路58には、主回路58の定格電流を越える過電流が流れる。このとき、
主電源部51は、主電源部51が有する過電流垂下特性により、供給する電流を過電流から、例えば主回路58の定格電流になるまで低減する。その結果、主回路58には、経年変化した主回路58が動作するために必要な過電流を流している状態における電流値から、主電源部51の定格電流の電流値を差し引いた電流値分の電流が不足することになる。
上述したように、制御部61は、主電源部51への電源が投入されると、制御信号線66をオン状態にしているので待機電源部52は、主回路58において不足する分の電流を、電流供給部57を介して主回路58へ供給する。
制御部61は、ステップS74において、供給電流測定部54から、主回路58に供給される電流が観測された場合(ステップS74においてYES)、制御部61は、負荷異常信号線67に出力する信号をオン状態にする(ステップS75)。
これにより、制御部61は、電源装置80における主回路58を構成する素子の経年変化等により、主回路58に供給される電流が増加し、その結果、待機電源部52からの主回路58への電流の供給が必要になったことを、例えば情報処理システムの管理者等に報知することができる。
ステップS71、ステップS73(後述)、またはステップS75の実行後、制御部61は、上述したステップS72の処理を実行する。
制御部61は、ステップS72において、制御部61が取得した待機電流値と、待機電源部52が供給可能な定格電流値とを比較した結果、待機電流値が待機電源部52が供給可能な定格電流値に達したと判断した場合(ステップS72においてYES)、制御部61は、制御信号線66をオフ状態にする(ステップS73)。
制御部61は、制御信号線66をオフ状態にすると、電流供給部57が電流供給部57の入力側(つまり、待機電源出力線68および供給電流測定部54)から電流供給部57の出力側(つまり、主電源出力線62)に供給する電流を遮断する。その結果、電流供給部57は、待機電源部52からの主回路58への待機電源部52の定格電流以上の待機電流の供給を停止する。
制御部61は、ステップS74において、供給電流測定部54から、主回路58に供給される電流を観測しなかった場合(ステップS74においてNO)、制御部61は、供給電流測定部54から主回路58に供給される電流が観測されるまでステップS74の処理を繰り返し実行する。
制御部61は、ステップS72において、取得した待機電流値が、待機電源部52の定格電流値に達していないと判断した場合(ステップS72においてNO)、制御部61は、制御信号線66のオン状態を維持する。
こうして、主回路58の負荷が増大するのに応じて主電源部51の垂下特性によって主電源部51の出力電流が減少してしまった場合でも、待機電源部52は、待機電源部52が供給する電流が、待機電源部52の定格電流に達するまでの範囲内であれば、主回路58に供給される電流の不足分を待機電源部52が供給する。その結果、主回路58は、係る垂下特性によって主電源部51の出力電流が急減した場合であっても直ちに動作を停止することを回避できる。すなわち、電源装置80は、待機電源部52が主回路58に電流を供給しない場合に比べ、主回路58が電源オフシーケンスを実行せずにその動作を停止する事態の発生を少なくすることができる。
また、待機電源部52は、待機電源部52が供給可能な待機電源部52の定格電流値を越える電流の主回路58への供給を停止するので、待機電源部52自身が停止することを防ぐことができる。
主回路58は、ステップS73以降において、待機電源部52からの待機電流による補助がないので、主回路58は動作を停止する可能性がある。
しかし、制御部61は、ステップS75において負荷異常信号線67に出力する信号をオン状態にして、例えば情報処理システムの管理者等に主回路58に故障の予兆があることを示す負荷異常情報を報知している。そのために、待機電源部52が供給する待機電流が待機電源部52の定格電流に達する前に管理者等が、主回路58において故障する予兆がある部位を正常な部位に交換した場合、主電源部51は、主回路58における過電流を検知しないので、出力電流を低減しない。主電源部51は、出力電流を低減しないので、主回路58は、主回路58に供給される電流が不足しないため、その動作を停止しない。
管理者等が、主回路58において故障する予兆がある部位を正常な部位に交換する際には、電源を投入したまま対象の部位を交換するホットスワップ等の既知の技術を用いることができる。
こうして、管理者等が主回路58において故障する予兆がある部位を正常な部位に交換した場合、主回路58は、電源オフシーケンスを実行せずにその動作を停止する事態の発生をさらに少なくすることができる。
本実施形態の変形例として、例えば、ステップS74において、待機電源部52によって主回路58に供給される電流が供給電流測定部54によって観測されるのに応じて、制御部61が主回路58に通知し、これに応じて主回路58が電源オフシーケンスを実行する構成が想定される。このようにすれば、主回路58が不完全な状態で停止することを確実に防止することができる。
以上、本実施形態には、第1の実施形態における効果と同様に、簡単な構成により、主回路において電源オフシーケンスが実行される機会をできるだけ担保することにより電源制御装置の信頼性を向上させる効果がある。
その理由は、主回路58に過電流が流れることにより、主電源部51が供給する電流を低減した場合に、主回路58がその動作を停止しないように、不足する分の電流を、待機電源部52が供給可能な範囲で供給することができるからである。
主回路58は、主回路58がその動作を停止する際に、電源オフシーケンスを実行した場合の効果は、第1の実施形態で説明済みであるので、その説明は省略する。
なお、第1の実施形態における具体例で説明したように、電流供給部57は、一例としてダイオード56と、FET59とを用いて構成してもよい。
また、制御部61は、ハードウェアで実現してもよく、マイコン等のプロセッサを含むハードウェアにおいて、ソフトウェアを実行することによって実現してもよい。
<第3の実施形態>
次に、第1の実施形態および第2の実施形態を基本とする第3の実施形態について説明する。図5は、本実施形態に係る電源装置90の構成を示すブロック図である。
図5を参照すると、本実施形態に係る電源装置90の構成は、図3を用いて説明した第2の実施形態における構成に加えて、主電源電流測定部100を自装置にさらに備え、第2の実施形態における構成から供給電流測定部54を自装置から削除した点が、第2の実施形態に係る電源装置80の構成と相違する。
したがって、本実施形態における説明では、上述した第2の実施形態における構成および動作と相違する点を中心に説明し、第2の実施形態における構成および動作と同じ構成および動作については、同一の参照番号を付すことにより、本実施形態における重複する説明は省略する。
図5を参照すると、本実施形態に係る電源装置90は、主電源部51と、待機電源部52と、待機電流測定部53と、制御部95と、電流供給部57と、主電源電流測定部100と、主回路58と、待機回路69とを含む。
主電源部51は、主電源出力線62を介して主電源電流測定部100と接続されており、主電源部51からの電流を主電源電流測定部100に供給する。
主電源部51は、主回路58にその主回路58の定格電流を越える過電流が流れたことを検知すると、供給する電流をその過電流から主回路58の定格電流になるまで低減する過電流垂下特性を有する。
主電源電流測定部100は、主電源出力線60を介して主回路58と接続されており、主回路58に供給される電流を測定する。
制御部95は、第2の実施形態において用いた制御部61に代えて、本実施形態において用いられ、測定信号線108を介して主電源電流測定部100に接続しており、主電源電流測定部100が測定した電流の大きさを示す電流値を受け取る。
制御部95は、負荷異常信号線67を介して、後述する負荷異常信号を外部に出力する。
制御部95は、待機電源部52が供給可能な定格電流値を制御部95自身に記憶している。
本実施形態においても、待機電源部52が供給可能な電流は、主電源部51が供給可能な電流よりも小さいこととする。また、主回路58に流れる定格電流と、主電源部51が供給する定格電流とは、同じまたは略同じ電流値であるとする。また、主電源部51と、待機電源部52とが出力する電圧は同じまたは略同じ電圧値であるとする。
また、主回路58を構成する電気部品等の素子は、主電源部51の電源が投入された時点以降、経年変化に伴って漏れ電流が徐々に増加(つまり、主電源部51に対する負荷が増加)し、あるとき、主回路58には、主回路58の定格電流を越える過電流が流れることとする。
次に、第3の実施形態における電源装置90の動作について説明する。
図6は、本実施形態における制御部95の処理の流れを示すフローチャート図である。
制御部95は、例えば主電源部51への電源が投入されると、制御信号線66をオン状態にし、電流供給部57の入力側(つまり、待機電源出力線68)から電流供給部57の出力側(つまり、主電源出力線62)へ、電流を供給可能にする(ステップS111)。
制御部95は、主電源電流測定部100が測定した主回路58に供給される電流の電流値を測定信号線108を介して取得する(ステップS112)。
制御部95は、待機電流測定部53が測定した待機電流値を測定信号線64を介して常時取得しており、取得したその待機電流値が、制御部95自身が記憶する待機電源部52が供給可能な定格電流値に達したか否かを確認する(ステップS113)。
制御部95は、ステップS113において、制御部95が取得した待機電流値と、待機電源部52が供給可能な定格電流値とを比較した結果、待機電流値が待機電源部52が供給可能な定格電流値に達していないと判断した場合(ステップS113においてNO)、制御部95は、ステップS114の処理を実行する。
制御部95は、制御部95自身が記憶する待機電源部52の定格電流値が、待機電流測定部53から取得した待機電流値の所定の倍率(例えば、2倍)以上の電流値であるか(つまり、待機電源部52が供給可能な電流に余裕があるか)否かを確認する(ステップS114)。
制御部95は、ステップS114において、待機電源部52の定格電流値が、待機電流測定部53から取得した待機電流値の所定の倍率以上の電流値であると判断した場合(ステップS114においてYES)、制御部95は、ステップS115の処理を実行する。
制御部95は、主電源電流測定部100から、主回路58に供給される電流の電流値を測定信号線108を介して取得する(ステップS115)。
制御部95は、主電源電流測定部100から取得した電流値の増加率が、所定の増加率(例えば、一日当たり0.1A)未満か(つまり、主回路58へ供給される電流の増加率が緩やかか)否かを確認する(ステップS116)。
制御部95は、ステップS116において、主電源電流測定部100から取得した電流値の増加率が、所定の増加率未満であると判断した場合(ステップS116においてYES)、負荷異常信号線67に出力する信号をオン状態にする(ステップS117)。
これにより、制御部95は、電源装置90における主回路58を構成する素子の経年変化等により、主回路58に供給される電流が増加し、その結果、待機電源部52からの主回路58への電流の供給が必要になったことを、例えば情報処理システムの管理者等に報知することができる。
本実施形態においても、前述した第2の実施形態の変形例と同様に、制御部95は、ステップS116においてYESとなった時点で、主回路58が電源オフシーケンスを実行するよう指示することにより、主回路58が不完全な状態で停止することを確実に防止するようにしてもよい。
ステップS112、ステップS114においてNO、ステップS116においてNO、ステップS117、またはステップS118(後述)の実行後、制御部95は、上述したステップS113の処理を実行する。
制御部95は、ステップS113において、制御部95が取得した待機電流値と、待機電源部52が供給可能な定格電流値とを比較した結果、待機電流値が待機電源部52が供給可能な定格電流値に達したと判断した場合(ステップS113においてYES)、制御部95は、制御信号線66をオフ状態にする(ステップS118)。
これにより、制御部95は、電流供給部57の入力側(つまり、待機電源出力線68)から電流供給部57の出力側(つまり、主電源出力線62)へ供給される電流を遮断する。その結果、待機電源部52から主回路58への待機電源部52の定格電流値以上の電流は、供給されなくなる。
一方、制御部95は、ステップS114において、待機電源部52の定格電流値が、待機電流測定部53から取得した待機電流値の所定の倍率未満の電流値であると判断した場合(ステップS114においてNO)、ステップS113の処理を実行する。
制御部95は、ステップS116において、主電源電流測定部100から取得した電流値の増加率が、所定の増加率以上であると判断した場合(ステップS116においてNO)、ステップS113の処理を実行する。
こうして、主回路58の負荷が増大するのに応じて主電源部51の垂下特性によって主電源部51の出力電流が減少してしまった場合でも、待機電源部52は、待機電源部52が供給する電流が、待機電源部52の定格電流に達するまでの範囲内であれば、主回路58に供給される電流の不足分を待機電源部52が供給する。その結果、主回路58は、係る垂下特性によって主電源部51の出力電流が急減した場合であっても直ちに動作を停止することを回避できる。すなわち、電源装置90は、待機電源部52が主回路58に電流を供給しない場合に比べ、主回路58が電源オフシーケンスを実行せずにその動作を停止する事態の発生を少なくすることができる。
また、待機電源部52は、待機電源部52が供給可能な待機電源部52の定格電流値を越える電流の主回路58への供給を停止するので、待機電源部52自身が停止することを防ぐことができる。
主回路58は、ステップS118以降において、待機電源部52からの待機電流による補助がないので、主回路58は動作を停止する可能性がある。
しかし、制御部95は、ステップS117において負荷異常信号線67に出力する信号をオン状態にして、例えば情報処理システムの管理者等に主回路58に故障の予兆があることを示す負荷異常情報を報知している。そのために、待機電源部52が、待機電源部52が供給する待機電流が待機電源部52の定格電流に達する前に管理者等が主回路58において故障する予兆がある部位を正常な部位に交換した場合、主電源部51は、主回路58における過電流を検知しないので、出力電流を低減しない。主電源部51は、出力電流を低減しないので、主回路58は、主回路58に供給される電流が不足しないため、その動作を停止しない。
管理者等が、主回路58において故障する予兆がある部位を正常な部位に交換する際には、電源を投入したまま対象の部位を交換するホットスワップ等の既知の技術を用いることができる。
こうして、管理者等が主回路58において故障する予兆がある部位を正常な部位に交換した場合、主回路58は、電源オフシーケンスを実行せずにその動作を停止する事態の発生をさらに少なくすることができる。
制御部95は、待機電源部52の定格電流値が、待機電流値よりも十分に大きく(例えば、5倍以上)、且つ、主電源電流測定部100において測定される電流値の増加率が、十分に緩やか(例えば、一日当たり0.05A未満)であると判断した場合、ステップS117において、第2の実施形態とは異なる負荷異常情報を報知してもよい。
すなわち、制御部95は、負荷異常信号線67を介して、例えば情報処理システムの管理者等に主回路58に故障の予兆がある場合、第2の実施形態における負荷異常情報よりも緊急度が低いことを示す情報を含む負荷異常情報を報知することが可能である。
以上、本実施形態には、第1の実施形態および第2の実施形態における効果と同様に、簡単な構成により、主回路において電源オフシーケンスが実行される機会をできるだけ担保することにより電源制御装置の信頼性を向上させる効果がある。
その理由は、主回路58に過電流が流れることにより、主電源部51が供給する電流を低減した場合に、主回路58がその動作を停止しないように、不足する分の電流を待機電源部52が供給可能な範囲で供給することができるからである。
なお、主回路58がその動作を停止する際に、電源オフシーケンスを実行できた場合の効果は、第2の実施形態に記載した説明と同じであるので、本実施形態でのその説明は省略する。
また、第1および第2の実施形態において説明したように、電流供給部57は、一例としてダイオード56と、FET59とを用いて構成してもよい。
なお、制御部95は、ハードウェアで実現してもよく、マイコン等のプロセッサを含むハードウェアにおいて、ソフトウェアを実行することによって実現してもよい。
<第4の実施形態>
次に、第1乃至第3の実施形態の基本となる第4の実施形態について説明する。
図7は、本発明の第4の実施形態に係る電源制御装置10の構成を示すブロック図である。図7を参照すると、本実施形態に係る電源制御装置10は、電流測定部13と、制御部15と、電流供給部17とを含む。
メイン電源部11は、例えば電源制御装置10の外部から負荷ユニット18に接続されている電源ラインを介して電流を供給する。メイン電源11は、負荷ユニット18にその負荷ユニット18の定格電流を越える過電流が流れたことを検知すると、供給する電流をその過電流から負荷ユニット18の定格電流になるまで低減する過電流垂下特性を有する。
サブ電源部12は、例えば電源制御装置10の外部から電流測定部13に接続される。電流測定部13は、サブ電源部12が供給する電流を測定する。サブ電源部12の定格出力は、メイン電源部11の定格出力よりも小さいものとする。
電流供給部17は、メイン電源部11が負荷ユニット18に電流を供給するラインに接続されており、負荷ユニット18に供給可能な電流を供給する。
電流測定部13は、電流供給部17を介して負荷ユニット18に供給する電流を測定する。
制御部15は、メイン電源部11によって負荷ユニット18に供給される電流が、メイン電源部11が有する垂下特性によって減少するのに応じて、その減少に応じた電流が負荷ユニット18に供給されるよう電流供給部17を制御する。
それと共に、制御部15は、電流測定部13による電流の測定結果が、サブ電源部12の定格出力以上になるのに応じて、電流供給部17による電流供給が遮断されるよう電流供給部17を制御する。
制御部15は、メイン電源部11によって負荷ユニット18に供給される電流が電流測定部13により観測されるのに応じて、負荷ユニット18の異常を示す信号(図7には図示せず)を出力するようにしてもよい。
以上、本実施形態には、簡単な構成により、負荷ユニット18の電流供給が遮断された際に、負荷ユニット18において電源フシーケンスが実行される機会をできるだけ担保することにより電源制御装置10の信頼性を向上させる効果がある。
その理由は、メイン電源部11の出力電流が減少した場合であっても、電流測定部13における電流の測定結果がサブ電源部12の定格出力以上になるまでの間であれば、サブ電源部12が電流供給部17を介して負荷ユニット18に電流を供給することができるからである。
なお、制御部15は、ハードウェアで実現してもよく、マイコン等のプロセッサを含むハードウェアにおいて、ソフトウェアを実行することによって実現してもよい。
以上、上記実施形態等を参照して本願発明を説明したが、本願発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明の範囲内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。