本出願は、米国仮特許出願第61/925,185号(出願日:2014年1月8日、タイトル「Lever−Driven Wheel Chair」)への優先権を主張する。同文献は全体として、参照することにより本明細書に組み込まれる。
発明の背景
車椅子および類似の乗り物は、そのような乗り物無しでは歩行が不可能であるかまたは歩行がより困難な怪我または内科的疾患を負った個人の移動を可能にするための極めて重要な部分であり続けている。多くの標準的な車椅子設計は適切に為されているものの、ユーザにとっては多数の欠陥がある場合が多い。例えば、手から力を車椅子の車輪上にかけることは、ユーザにとって最も効率の良い力の使用法ではないことが多い。別の例において、小型の前車輪および固定されたフットレストに起因して、ユーザが段差のある場所(例えば、道路縁石)に乗り上げることが困難になる。最後の例において、多くの車椅子の場合、ユーザの上背部および頭部のサポートが全く無い。これらの局面のうちいくつかまたは全てにおいて、一般的に用いられる車椅子設計を改良できれば、ユーザの経験および喜びをますます向上させることができる。
発明の要旨
本発明は、多様なサブアセンブリの実施形態を組み合わせた乗り物の実施形態である、人間(すなわち、人間用移動用装置)を搬送するための乗り物に主に関する。これらの乗り物の実施形態は、多様な構成および多様なアタッチメントを備えた車椅子を含み、そこでは、車椅子を推進させるために車椅子の各側のレバーが前方および後方に手動で動かされる。一実施形態において、ユーザは、前進、逆転またはニュートラル、ブレーキにシフトし、機械効率(ギア比)を変更することができるが、これは全て、ユーザが駆動レバーから手を離さずに行うことが可能である。一実施形態において、レバーおよび駆動系は車椅子を推進するための唯一の機構であるため、「専用の」という用語は、「専用レバー駆動型車椅子」のように、レバー推進型の車椅子と共に用いられる。しかし、レバーおよび駆動系は、従来の車椅子推進機構(例えば、車輪に固定された円形手すり)と共に用いることも可能であることが理解されるべきである。
別の実施形態において、駆動車輪は、「チャリオットモード」において、車椅子の安定化および支持提供のため、車椅子の後部に配置されたキャスター上のより小型の車輪(単数または複数)と共に車椅子の前部へ取り付けられ得る。
別の実施形態は、車椅子の両側に変速装置を含む。この変速装置は、車椅子フレームの左側および右側へ取り付けてもよいし、あるいは、フレームそのものを含み得るかまたは部分的に含み得る。変速装置は、車椅子駆動車輪の推進のために前後に動かされる左手および右手用の駆動レバーを介して前進、ニュートラルおよび逆転ギアを可能にする。
別の実施形態は、フットレストを含む。これらのフットレストは、上下に移動させることが可能であり、多様な高さでロックすることができ、障害物に乗り上げることが可能なように折り畳み可能であり、車椅子型の乗り物の実施形態と共に用いられる際に有用である。
さらに別の実施形態は、折り畳み式のバックアンドヘッドレストと、可動アームレストと、アーム、レバーおよびフットレストを位置決めする能力とを含むため、ユーザが車椅子乗り物に乗り降りする際にほとんど障害がない。
車椅子を含む乗り物の実施形態は、車椅子の推進を支援するバッテリーおよび電動機を備えるように構成され得る。駆動レバー(単数または複数)または変速装置内のコンポーネントに直接取り付けられた感知器具は、電動機に必要な電力量を決定するコントローラへの入力を提供する。この電動機は、レバー(単数または複数)上へのユーザの手の力を強めるために、変速装置のハウジングを通って出力駆動車輪出力軸の延長部分へ乗り物の中間部分に向かって取り付けられ、又は、別の様態でドライブトレインへ入力され得る。
機能を高めるための車椅子のアタッチメントの実施形態は、ユーザの足部がレバーの押圧および/または牽引を強めることを可能にする本明細書中に記載のデバイスの実施形態を含むが、それに限定されない。この機能は、卒中リハビリテーションおよび(ユーザが自身の脚の力で腕の力を補強するかまたはユーザが自身の腕の力で脚の力を補強する必要がある)他の状態などの目的のために用いられ得る。
さらに、本発明のサブアセンブリの実施形態および特徴は、多様な他の発明およびデバイス(例えば、本明細書中に記載のもの以外の車椅子などの他の乗り物)に組み込まれ得る。このことは、折り畳み式のバックアンドヘッドレスト、可動フットレスト、およびサポートフットなどの本書に記述されるサブアセンブリの実施形態を含むが、それに限定されない。
一実施形態においては、専用のレバー駆動車椅子は、駆動車輪を推進させるために変速装置に取り付けられたレバーを前後に動かすことにより作動する。変速装置は、多様な実施形態において用いられ得る。1つの構成は、押圧または牽引オンリーモードと命名され得る。このモードでは、車椅子が前進ギアに入っている場合、レバーを前方に押圧すると車椅子が前方に推進されるが、レバーが後方に戻ると推進力が無くなる。レバーが逆転ギアへ動かされるときには、レバーが後方へ牽引された場合にのみ、逆転推進力が発生する。あるいは、所望であれば、変速装置は、レバーが逆転ギアにあるとき、レバーを前方へ押すことが駆動車輪を後方に回転させることとなるように構成され得る。さらに、レバーが動かされた場合も車椅子の動きが発生しないニュートラルギアが設けられ得る。とにかく、この押圧オンリーモードにおいては、前進またはバックのいずれに対しても、前進または反転ストロークのいずれかにおいて推進力が発生し、両方で発生することはない。
別の構成において、「プッシュプルモード」が設けられる。レバーが前進ギアにセットされるとき、前方および後方へのレバーの動きはともに、駆動車輪を前方に回転させる。「プッシュプルモード」構成は、変速装置内において反転ギアにセットされることもでき、この場合、レバーを押圧および牽引することはともに、駆動車輪を後方に回転させる。
車椅子としての乗り物の実施形態において、車椅子ユーザは、入れ子式のレバーを上げ下げすることにより、前進、反転またはニュートラル、ブレーキにシフトすることができ、機械効率を変更することができ、これらは全て、ユーザの手を駆動レバーから離さずに行うことが可能である。
一実施形態において、レバーの各ハンドル内にハンドブレーキが組み入れられる。各ブレーキハンドルは、フレキシブルシャフトによりディスクブレーキまたはバンドまたは類似の機構へ接続される。ブレーキは、車椅子フレーム外に配置してもよいし、変速装置ハウジング内に配置してもよいし、あるいは変速装置から車椅子内部へ延びる軸上に配置してもよい。例示目的のため、このセットアップは、自転車型のディスクブレーキ、すなわちバンドブレーキに向かう自転車型のフレキシブルシャフトを有する自転車型のハンドブレーキをレバーハンドル上に有することに類似することが想定され得る。
一実施形態において、ユーザが自身の手をレバーから離すことなく、レバー高さを「オンザフライ」で調節することが可能である。レバー全体は前方および後方に回転可能である一方、レバーの下部は上下には動かない。レバーの上部は、「畳み込む」かまたはレバー下部に対して上下にスライドすることができる。
レバー長さが変更されると、機械効率が変化するため、車椅子を推進するためにユーザが付加する必要のある力も変化する。その結果、変速装置内の「ギア比」によって決定される正確な範囲を、例えば機械効率を1:1未満から1:1を越える範囲に変更することができる。本質的には、その結果、レバーが上下にスライドされる際に、下限から上限まで「無限に調整可能なギア比」がユーザへ付与される。一実施形態において、上側レバー調整により、例えば「ローリー」、すなわちキャスター付きのスーツケースやブリーフケースなど、の入れ子式の持ち手のような入れ子式のデバイスで使用されるものと同様の戻り止めまたはロック機構を用いることにより、レバーを離散的なインクリメントで動かすことが可能となる。この場合、ユーザの親指または指によって作動されるレバーのハンドルの終端にあるボタンまたは他のデバイスにより、上側レバーが解放される。
一実施形態において、レバーは前に向かってカーブしている。その結果、ユーザに机やテーブルなどへの接近を許す間、レバーが直線状である場合に比べ、ユーザがレバーのハンドルを机、テーブルの水平面の上方に保持することを可能となる。
多数の種類の可動アタッチメントを、車椅子フレームへ固定することができる。これらのアタッチメントのうちいくつかについて、本明細書中において詳述する。詳述を控える他のアタッチメントを非限定的に挙げると、除雪器アタッチメント、掃引アタッチメント、多様な種類のバスケット、ワークテーブルアタッチメントなどがある。また、フレームは、フレーム後部上の曳航アタッチメントと共に構成され得る。より「従来の」種類のアタッチメントは、上方に折り曲げられるかまたは上下に動かされるアームレストを含む。
専用のレバー駆動車椅子の実施形態は、色々なユーザのために車椅子の有効サイズを変更するための能力であり、そのために、車椅子は子供が成長するにつれ「成長」することができ、また、色々なユーザのために変更されることが可能になる。その結果、色々なユーザのために、および/または、子供が成長するにつれて、新規の車椅子を購入/取得することの必要性が最小限になる。
この専用のレバー駆動車椅子の基本的設計(背もたれを除く)は、レバー、変速装置、駆動車輪およびキャスター車輪をそれぞれ含む左側および右側によって構成されるものとみなすことができる。それから各側は、剛性の矩形によって支持される。これは、折り畳み方法の実施形態により、車椅子のフレームの4つのサイドの間に設置され、かつ、それを剛性の矩形として固定する、完全なプレート又は単なるフレームである「シート下部プレート」のようなものであってよい。別の実施形態として、車椅子を剛性の矩形位置に保持するために単独で用いられ、あるいは、シート下部プレートまたはフレームと共に用いられ得る水平方向のリンク機構を、車椅子の前部および後部内に設けることとしてもよい。
乗り物を折り畳むための一実施形態において、車椅子の前部および後部双方に設けられたフレームのヒンジ型パネルを異なる幅のものに取り替えた後、車椅子フレームを剛性の矩形状態に保持する下部プレートまたはフレームを交換または調節することにより、車椅子の幅を変更することができる。
折り畳み方法の別の実施形態において、前方および後方のリンク機構を異なる幅のものに取り替え、構成に応じて、車椅子を剛性の矩形状態に維持することを支援するために用いられ得るシート下部のプレートおよび/またはフレームを取り替えるかまたは調節することにより、車椅子の幅を変更することができる。
「チャリオット(古代ローマで使われた二輪チャリオット)構成」の専用のレバー駆動車椅子の一実施形態において、フットレストはソリであり、リニア軸受により「軌道」へ取り付けられる。これは、縁石への乗り上げ時や、障害物に乗り上げるためのオフロード用途に用いられる。この構成において、ソリの前部は、縁石または障害物に接触し、その縁石または障害物に乗り上げて、ユーザの足部および脚をそれと共に持ち上げることができる。このチャリオットモードにおいては、前方駆動車輪はその後、縁石または障害物に接触し、その上を移動する。
「チャリオット」構成の車椅子の別の実施形態において、フットレストはまた、上方及び下方への動きを可能にするように、垂直軌道または他のデバイスへ取り付けられる。一実施形態において、これは、リニア軸受を経由する。フットレストは、機械的またはガス型のバネによってバネ付勢されるため、ユーザが手動で自身の脚を上げると、フットレストも上方に移動して、上昇位置にロックすることができる。その結果、フットレストおよびのユーザの足部が縁石または障害物を回避することができ、前方駆動車輪は縁石または障害物と接触して乗り上げることができる。1つの実施形態において、ラッチ機構は、始動装置を有する。この始動装置により、ユーザの脚および足部の重量によりフットレストを下降させて元々の位置へ移動させることが可能になる。このチャリオット車椅子構成におけるフットレストのこの種の実施形態の一局面として、縁石および他の障害物に乗り上げるためにユーザが「後輪走行」をする必要が無くなる。
実施形態において、駆動車輪およびキャスター車輪は、容易に除去および調節が可能である。調整の例として、重心調整などのユーザの要求に応じた前方および後方の調整がある。
「チャリオットモード」において、キャスター型車輪は、車椅子の後部において用いられる。キャスター型車輪は、安定性の増減またはユーザの重心位置の変更などの理由のために、内方または外方に調節することができる。キャスター型車輪は、車椅子フレーム内に留まるようにも、あるいは車椅子フレーム外に延びるようにも、調節することが可能である。
所望であれば、「チャリオット」構成における車椅子は、車椅子の幅の中間にシングルキャスター型車輪を有して構成され得る。このシングルキャスター型車輪も、前後および上下に調節可能である。
「従来の」構成または「チャリオット」構成のいずれにおいても、実施形態に応じて、駆動車輪の上部が車椅子からの出入りの障害とならないように(すなわち、車椅子の内と外の間を「移行すること」の障害とならないように)、駆動車輪の直径を十分に小さくすることができる。
駆動車輪の一実施形態において、可撓性継ぎ手または自在継ぎ手などのデバイスを用いるかまたは駆動変速装置全体を角度付けすることにより、駆動車輪を正面から見て傾いた状態とすることが可能になる。
物質(特に感染性物質)がユーザの手から別のユーザへ移動しないように、カスタム形状の使い捨て型スリーブをレバーハンドルおよびブレーキレバー上に配置することができる。換言すれば、各車椅子ユーザは、感染制御機構として、レバーハンドルおよびレバー上に配置された清潔なスリーブを得る。このスリーブは、プラスチックまたは細菌および他の感染性有機体を浸透させない他の物質によって構成され得る。このスリーブは、レバーハンドルおよびブレーキレバーを収容できるような形状にされ得る。保護スリーブを、乗り物の他の部分(例えば、バックレスト/ヘッドレスト、フットレスト、アームレストおよびサポートフットのハンドル)上に用いてもよい。
本明細書中に記載の折り畳み乗り物のための多様な方法が存在する。実施形態を挙げると、車輪が取り付けられた状態または取り付けられていない状態でフレームを折り畳むことが可能な従来の乗り物および「チャリオット」型乗り物双方がある。
一実施形態において、フレームは、同一幅の部位によって前方および後方に分離された2つの側部(または変速装置そのもの)からなる。これらの前部位および後部位は、垂直ヒンジにより2つの「U字型」部位(または変速装置そのもの)へ取り付けられる。詳細には、2つのヒンジが前方に設けられ、2つのヒンジが後方に設けられる。
フレームは、一実施形態において、フレームの4つの部位の内側に設けられた剛性のシート下部プレートまたは矩形フレームによって、または、フレームを剛性の矩形に保持する類似の手段によって、矩形として厳格に保持される。フレームを剛性の矩形としてまたは他の所望の形状に保持するための他の実施形態が存在し得る。
下部プレートは、車椅子フレームとは別個のアイテムとすることができ、車椅子フレームへは取り付けられなくてよいが、シート下部プレートまたは矩形保持フレームは、車椅子フレームの片側に取り付けて上下に回転させることができる。すなわち、それが下方位置にある場合、それは車椅子フレームをロックし、シート下部プレートまたは矩形フレームのような他のデバイスが上方に回転した場合、車椅子フレームはロック解除され、折り畳み可能な状態になる。
いずれの図面においても図示しない別の実施形態において、シート下部プレートまたは矩形保持フレームは、車椅子フレームへ固定することが可能な2つ以上のセクションで構成される。これらのセクションのそれぞれが、それらの全てが接する位置まで下降した場合、車椅子フレームを剛性の矩形または他の所望の位置に保持する効果が得られる。
1つの折り畳み方法において、乗り物のフレームが「ロック解除」された場合、車椅子のフレームの片側を他方から前方にスイングさせることにより、車椅子が折り畳まれる。本質的には、車椅子フレームを折り畳んだ際のおおよその最小サイズは、駆動車輪が取り付けられたままである場合、2つの変速装置の幅に駆動車輪を付加したサイズである。しかし別の折り畳み実施形態においては、2つの変速装置の一方を他方の後部に収納することが可能になる。
別の折り畳み方法においては、駆動車輪を有する各側とともに、左手及び右手の変速装置ハウジングが本質的に存在し、かつ、車椅子のこれら2つの半部が、前後のリンク機構によって片側から片側(左および右)へ接続されている。このリンク機構により、車椅子の他方側上に車椅子の片側を上昇させることができる。概念的には、車椅子の片側は、最終的には車椅子の他方側上にスタックされる。この位置にある場合、サポートフットまたは自転車のキックスタンド型のサポートを下降させて、スタックされた車椅子が倒れないようにする。車椅子側部が下降位置に完全展開されると、リンク機構は、ピンまたは他のロックデバイスにより2つの半分部分を所定位置にロックする。
乗り物を推進させるには、駆動レバーは、変速装置へ取り付けられる。変速装置は、レバー(単数または複数)の前方または後方への動き(すなわち、レバー駆動軸の前方および後方への回転)を受け取り、これを駆動車輪へ取り付けられた駆動車輪駆動軸の回転移動へ変換する。よって、レバーを前後に動かすと、車椅子の駆動車輪が回転し、車椅子が推進される。ユーザの要求に応じて、変速装置のギア比(単数または複数)を、異なる直径の複数のスプロケットおよび/または滑車および/またはギアを用いて、カスタム設定することができる。乗り物に2本の駆動レバーが設けられる場合、2つの変速装置がそれらに取り付けられる。一方の側の1つの変速装置のギア比は、他方の側の変速装置のギア比と同じでなくてもよい。これは、例えば各腕の強さが異なるユーザに対応するために用いられる。
変速装置ハウジングによりフレームのU字型またはL字型の部位の剛性化を支援する実施形態が存在し、実施形態によっては、変速装置は、フレームそのものの一部として用いられ得る。
乗り物は、変速装置が車椅子の推進を支援するためのバッテリーおよび電動機と共に構成され得る実施形態を有する。駆動レバーまたは変速装置内のコンポーネントへ直接取り付けられた感知器具は、電動機に必要な電力量を決定するコントローラへの入力を提供する。電動機は、ユーザの手からレバーへ付加される力を増大させるように、駆動車輪駆動軸または他の位置へ取り付けられる。
変速装置は、入力駆動軸が左または右に(すなわち、変速装置の内または外に、詳細には「一方向クラッチ軸受」の内または外に)移動するときに、前進、ニュートラルおよび反転へシフトされる。
乗り物を推進させるレバーは、回転支点によって乗り物へ取り付けられる。この回転支点は、レバーがレバー駆動軸上で前後に回転することを可能にするだけでなく、レバー駆動軸が変速装置ハウジングおよびその内部に含まれる一方向クラッチ軸受内外において押し込まれ、かつ、押し出されることを可能とする。
実施形態によっては、レバーが外方に押圧されるとき、支点の下側のレバーの下部は内方に移動する。レバーが内方に移動すると、レバー駆動軸の下部は外方に牽引される。そのため、レバー駆動軸は、レバーを内外に移動させることにより内外に移動するときに、前進、ニュートラルおよび反転の間でのシフトを可能にする。回転支点がレバーへ他の角度で配置され、レバーの別の部分が回転支点へ取り付けられるように配置される他の実施形態があり得る。
変速装置は、多様な種類の機能のために構成され得る。例えば、変速装置は、ニュートラル有りまたは無しで前進および反転のための能力のみを有するように構成され得る。変速装置は、レバーが前方および後方のいずれに動かされるときでも(すなわち、「プッシュプルモード」において)、駆動車輪の推進力が存在するように構成され得る。
変速装置は、ユーザの所望通りにオンまたはオフに設定することが可能な「バック禁止」を有して構成され得る。この「バック禁止」は、車椅子が後方に回転しないように機能する。
変速装置設計の実施形態は、「動力取出装置」として用いられる変速装置からの軸を提供する。その結果、車椅子が動いているときに、オプションで選択できる回転デバイス(例えば、発電機、油圧ポンプまたは空気ポンプ/コンプレッサ)を回転させることが可能になる。
発電機は、例えば、車椅子上の安全照明およびまたはサーチライトと共に用いられ、かつまたは、発電機によって再充電されるバッテリーと共にユーザの電子ギアのために用いられ得る。
空気ポンプ/コンプレッサは、皮膚の乾燥保持および潰瘍回避の支援のために、ユーザのシート下部および/またはシートバックの下側および内部に空気をポンピングするための空気圧回路と共に用いられ得る。
車椅子の実施形態は、多様な製造業者からのシートバックをケーンに取り付けることを可能にし、シートバックを前後および上下に調節することを可能にするアダプタを用いることができる。
子供ユーザの成長と共に乗り物も「成長」できるように、または異なるユーザのために、異なるユーザに合わせて幅の有効サイズを変更することが可能な乗り物の実施形態が有用である。その結果、異なるユーザおよび/または子供の成長に合わせて新規の車椅子を購入/取得する要求が最小限になる。
カスタムシートバックアダプタにより、新規の車椅子を購入/取得する必要が無くなるよう、シート深さを異なるサイズのユーザに合わせて有効に変更し、かつ、車椅子を子供の成長と共に「成長」させることが可能になるように、シートバックを前後に顕著に調整することが可能になる。
シートバックのケーンまたは棒部材の実施形態においては、調整目的のために前後にチルトさせるように構成され得る。さらに、乗り物の実施形態によっては、ユーザが休養および/または睡眠目的のために乗り物を「リクライニングチェア」としてまたは「もたれ椅子」として用いることが可能となるように、シートケーンおよびよってシートバックを水平方向まで倒してチルトさせることができる。
これらの目的のためにシートバックをリクライニングできるようにするためには、頭部まで延びるシートバックまたは本明細書中に記載のように上方または後方に延ばすことが可能なバックレスト/ヘッドレストが必要になり得る。
本発明の実施形態が実施できるこれらのおよび他の局面、特徴および利点は、本発明の実施形態の以下に示す記載から明らかであり、かつ、説明される。添付図面が参照される。
図1Aおよび図1Bは、専用の前方車輪駆動装置、マニュアル、レバーによって推進される車椅子の一実施形態の斜視図である。
図2A、図2Bおよび図2Cは、図1Aの実施形態において車椅子を推進するレバーの前方および後方(真後ろ)への動きの斜視図である。
図3Aは、より大型の後方車輪を有するレバー推進型車椅子の実施形態の側面図である。
図3Bは、より大型の前方車輪を有するレバー推進型車椅子の実施形態の側面図である。
図4Aは、単一の入力駆動滑車および1つの出力駆動滑車のみを用いる、「バック禁止」能力およびディスク型ブレーキを備えた、前進、ニュートラルおよび反転変速装置の一実施形態の斜視図である。
図4Bは、所望の機械効率(ギア比)を得るために複数の滑車およびベルトが用いられる変速装置の一実施形態の斜視図である。
図5は、回転支点を得るために曲線状軌道上においてローラーを用いる駆動要素の実施形態の斜視図である。
図6A、図6Bおよび図6Cは、図5からの機構の正面図であり、前進、ニュートラルおよび反転の3つのギアを有する実施形態のためのレバーの配置を示す。
図6D、図6Eおよび図6Fは、図6A、図6Bおよび図6Cの要素の詳細を示す。
図7は、軸受の内輪に固定されたヨークを用いる回転支点の実施形態の斜視図である。
図8A、図8Bおよび図8Cは、ドライブトレインの片側の正面図であり、前進、ニュートラルおよび反転の3つのギアのためのこの実施形態のためのレバーの配置と、ヨークおよび軸受の関係の一定の詳細とを示す。
図9Aおよび図9Bは、図5〜図8Cに記載した2種類の回転支点を示すドライブトレインの正面図を示す。
図10A、図10Bおよび図10Cは、ユーザの腕によって機械効率を変更するために上下に動かされる駆動レバーの上部の側面図である。
図11A〜図16Bは、異なるモードおよび実施形態において変速装置が機能する様子を示す、変速装置「ギア論理」図である。
図17は、乗り物の後方への回転を回避するために用いられる変速装置内の「バック禁止」の実施形態を示す。
図18は、レバーが反転にストロークされてもなお乗り物を前進方向に推進させる前進ギアにおける「プッシュプル」型変速装置のための1つの変速装置の実施形態の「変速装置ギア論理」を示す。
図19Aは、人間がシートを乗り降りする際にほとんど障害/干渉のない「乗降モード」における図1に示す車椅子の斜視図である。
図19Bおよび図19Cは、乗り物の安定化を支援するために用いられ得る上昇可能な「フット」の実施形態の斜視図である。
図20A、図20Bおよび図20Cは、フレームの一方側を他方側の裏側に向かって横方向に移動させることで幅を低減させる、シートフレームの折り畳み機構および折り畳み順序の実施形態を示す。
図21A、図21B、図21C、図21Dは、フレームの一方側を上方向かつ他方側の上方に移動させることで幅を低減させる、シートフレームの折り畳み順序を示す車椅子の実施形態を示す。
図22A、図22B、図22C、図22Dおよび図22Eは、フレームの一方側を他方側の後ろ側に向かって横方向に移動させ、かつ、一方の変速装置を他方の後方に収納することで幅を低減させる、車椅子の一実施形態のシートフレームの折り畳み順序を示す。
図23A、図23Bおよび図23Cは、車椅子乗り物の乗降のための完全下降位置と、乗るための部分的に上昇されロックされた位置と、障害物を回避するための完全に上昇されロックされた位置とにおけるバネ付勢/バランス型フットレストの実施形態を示す。
図24A、図24Bおよび図24Cは、位置ロック機構を示す図23A、図23Bおよび図23Cにも示されるバネ付勢型/バランス型フットレストの実施形態を示す。
図25A、図25B、図25C、図25Dおよび図25Eは、フットレストが多様な障害物に乗り上げることを可能にする上を向いた「ソリ」のデザインで端部が形成された、上昇可能なフットレストの実施形態を示す。
図26A、図26Bおよび図26Cは、フル上昇位置およびフル下降位置における折り畳み式のバックレストおよびヘッドレストの一実施形態を示し、折り畳み式のコンポーネントを引き下ろすバネ、サポート機構およびリール機構を示す。
図27A、図27Bおよび図27Cは、折り畳み式のバックレストおよびヘッドレストを上昇させるためのバネシステムの実施形態を示す、
図27Dは、ガス式のバネの使用によって上昇させられるバックレストおよびヘッドレストの実施形態を含む。
図28A、図28Bおよび図28Cは、車輪付き乗り物のコンポーネントを覆って配置され得る保護スリーブの多様な実施形態を示す。
図29は、ユーザが足を用いてレバーを前方および/または真後ろに動かすことを可能にする、車輪付き乗り物の実施形態に対するアタッチメントの一実施形態を示す。
図30は、車椅子などのレバー駆動型の車輪付きの乗り物への電動機アシストの実施形態の模式図である。
図31は、シートの下部および/または後部中へ空気を吹き込むために用いることが可能な油圧ポンプを駆動する回転動力の取出の模式的実施形態を示す。
実施形態の説明
以下、本発明の特定の実施形態について添付図面を参照して説明する。しかし、本発明は、様々な形態で具現化可能であり、本明細書中に記載される実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が詳細かつ完全であり、本発明の範囲を当業者に詳細に伝達するように記載される。添付の図面に例示される実施形態の詳細な記載において用いられる用語は、本発明を限定するものではない。図面中、同一の符号は同一の要素を指す。
さらに、本発明の色々な実施形態および部分組立品の実施形態は、多様な他の発明、及び、本明細書中に記載されるもの以外の車椅子を含む他の乗り物のようなデバイスに組み込まれ得る。これを非限定的に挙げると、折り畳み式のバックアンドヘッドレスト、可動フットレストおよびサポートフットの部分組立品の実施形態がある。
乗り物および車輪付きの輸送手段という用語は、本明細書中において用いられ、個人を輸送または搬送するための個人用車輪付き機構を主に指す。本明細書および図面は、多様な車椅子の実施形態の点から乗り物を記述するが、他の類似のデバイスも、本明細書中に記載される多様なコンポーネントおよび組立品と共に用いられるものとして期待される。1つの例は、米国公開第2013/0307234号に記載のような移動性スクーターである。同文献の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
一般的に、図示した車輪付き輸送手段の左側の構成及びコンポーネントは、両側に設けられる。そのため、場合によっては一方側のみが図示されるが、これは、他方側上のコンポーネントも「鏡像」として同様に定義される。
本テキストを通して、「滑車」という用語は、スプロケットまたはギアと同義に用いられる。また、「ベルト」という用語も、チェーンまたは類似のデバイスと同義に用いられる。なぜならば、変速装置の実施形態においては、用いられるものが滑車およびベルトまたはスプロケットおよびチェーンまたはギアであろうが、機能は同じであるからである。
変速装置を含むドライブトレインの本明細書に示される実施形態において、慣例においては、駆動レバーが内方に移動すると(回転入力駆動軸を外方に押圧またはシフトさせると)、これは前進ギアを表す。駆動レバーが外方に移動すると(回転入力駆動軸を内方に押圧またはシフトさせると)、これは反転ギアを表す。駆動レバーが中心へ移動すると(回転入力駆動軸を中心位置へ移動またはシフトさせると)、これはニュートラルギアを表す。しかし、これは、シフティングの多数の実施形態の1つに過ぎない。変速装置内の「駆動論理」によっては、他の機械効率(ギア比)が変速装置が可能となるように前進、反転およびニュートラルギア以外を有することを含む他の実施形態が可能である。別の例では、前進ギアおよび反転ギアの位置を、上記のものから逆転させることができる。
「変速装置駆動論理」の図は、軸受が図示されている一方で、その中に配置され(押し入れられ)、一実施形態においては接着物質によって固く固定される滑車、スプロケットおよび/またはギアが図示されていない点において、簡略化されている。ただし、回転運動を1つの軸から別の軸へ移動させるベルトは図示されている。これはしかし、簡潔さのため、用いられるであろう実際の滑車、スプロケットおよび/またはギアではなく、軸受の外輪の周りを進むものとして図示されている。
本明細書中全体において用いられるような「一方向クラッチ軸受」という用語は、クラッチ軸受の多様な可能な実施形態(例えば、ニードルクラッチ軸受、ローラークラッチ軸受、輪止め型クラッチ軸受、および類似の特性を備えた軸受)を記述するために用いられる。
変速装置のいくつかの構成において、もし乗り物の駆動車輪への出力駆動軸が変速装置の横を通って内側に延びたとすると、この延長部分を回転動力取出装置として使用し、このようなデバイスへの回転を発電機、空気コンプレッサまたはポンプまたは油圧ポンプなどとして提供することが可能になる。さらに、この延長部分を電動機アシストのための入力軸として用いることができる。電動機アシストに入力するため、または、他の位置および/または他の軸におけるものを含む回転運動を変速装置から取り出すための設計の他の実施形態もある。
本テキストでは、入力軸の「凹(ground down)」部という用語、及び、用語「凹(ground down)」を参照する類似の専門用語が用いられる。この用語は、議論される軸の直径が、本明細書で記述される一方向クラッチ軸受がどちらの方向に回されたとしても、その一方向クラッチ軸受が軸をグリップできない程度まで低減された外径を有し、逆に、その位置における一方向クラッチ軸受内の軸は、一方向クラッチ軸受をグリップないしいずれの方向にも回転させることができないことを指す。直径を低減させるには、軸を研磨することが1つの方法であるが、他の技術も可能である。
図1Aおよび図1Bは、専用の前方車輪駆動装置、マニュアル、レバーによって推進される車椅子200の一実施形態を示す。一般的に、この車椅子200は、高さ調節可能なレバー41、制動システム104、変速装置44、折り畳み式のバックアンドヘッドレスト47、後方チルト型バックレスト151、フェンダー109、シートバック調節装置116、上昇可能なフットレスト43、サポート足部45、および、折り畳み可能かつ畝付きでさらに調節可能なフレーム42を含む。
一般的に、この車椅子200は、「専用の」レバーによって推進される駆動装置を有する。ここで、推進システムのデザインは、車椅子フレームの元々のデザインに組み込まれており、既存の従来型の車椅子フレームに追加されるものではない。しかし、この変速装置44およびレバー41は、車椅子モデルに取り付けられるように適合可能であることが企図される。
図2A、図2Bおよび図2Cは、駆動レバー41の前方および後方への基本的な動きを示す。これらの図はまた、総合的な「人間工学的」設計としてのレバー41の最適な長さ(高さ)とともに、レバー41が胸部のかなり前方に配置されていることによって手及び腕の動きが如何に直線的となっているか、ということも示している。
さらに、図1Aおよび図1B中のものを含む図示のレバー41の実施形態は、曲線状であるものとして実施形態を示している(すなわち、レバー41は、車椅子200の後部へ向かってカーブしている)が、これらは直線状であってもよい。曲線状レバー設計にすることにより、ハンドグリップ102が机またはテーブルにまたはその上方にくるとしても、レバー上部とともに机またはテーブルへより接近することが可能になる。さらに、ハンドグリップ102の高さを脚まで下げることが可能であるため、ハンドグリップを机またはテーブルの下側に配置して、ユーザの胴部を机またはテーブルまで近接させることができるというさらなる有利点が得られる。
図3Aは、「従来」型の車椅子車輪の位置の実施形態を示す。ここでは、より大型の駆動車輪は後方にあり、より小型のキャスター車輪は前方にある。図3Bは、より大型の駆動車輪が前方にありかつより小型のキャスター車輪が後方にある場合の「チャリオット」型の駆動車輪位置(前方車輪駆動)を示す。これらの実施形態それぞれにおいて、駆動車輪およびキャスター車輪を前後および上下に移動させて、ユーザのサイズ、ユーザ快適性などを調節し、車椅子上のユーザのバランス/重心を調節することができる。
図3Aおよび図3Bはまた、入れ子式のレバー41において上部103を31のような低い位置からより高い位置71へ、意のままに上昇および下降またはその逆を行うことが可能であることを示す。図10A、図10Bおよび図10Cもまた、入れ子式のレバー103の上部が低い位置31、中間位置51およびより高い位置71にある様子を同様に示す。ただし、入れ子式のレバー41の上部103は、乗り物を停止するかまたはレバー41の前後移動を中断させる必要無く、実質的に任意の位置まで移動させることが可能である。
変速装置44の位置の一実施形態も示される。より大型の駆動車輪48が後方に配置される例えば図3Aに示すような車椅子の実施形態においては、変速装置は、レバー41に取り付けられた入力軸から駆動車輪48に取り付けられる出力軸へ力を送ることを可能にすべく、延長され得る。
図4Aは、「バック禁止」100(図17の変速装置論理を参照)およびディスク型ブレーキ204を有する、「プッシュまたはプル」、前進、ニュートラルおよび反転変速装置のハードウェアの一実施形態を示す。これは、前進ギアのために一対の滑車/スプロケット230および260を用い、反転ギアのために一対の滑車/スプロケット220および270を用いる。アイテム97は、シフトハンドルの一実施形態であり、軸98を内外に押圧することにより、バック禁止100を係合および係合解除することができる。
アイテム201およびアイテム87は、サポート軸受として機能し、車椅子42のフレームおよび変速装置中の一方向クラッチ軸受内外において入力軸302または2を自由に移動可能とするように受容されたボアを有する。アイテム202は、用いられる変速装置の実施形態の詳細によっては、レバー105の下部(図1B、図5および図7)を入力軸302または2(図5、図7、図12および図13〜図18)へ接続する、入力軸202(図5および図7)の端部における中子である。
アイテム261は、入力および出力滑車と係合する前進駆動ベルト/チェーンを表し、バック禁止モード100および271は反転駆動ベルトを表す。「変速装置論理」は、図12のそれである。ただし、それらの「変速装置論理」の図中には図示されていないバック禁止モードおよびブレーキを除く。
図4Bは変速装置の一実施形態を示し、ここでは、所望の機械効率(ギア比)を提供するために複数の滑車およびベルトが用いられる。ほとんどの場合において、変速装置は図4Aのものと同じであるが、前進滑車/スプロケット230および260および反転スプロケット/滑車220および270が交換された位置にある、すなわち、図示のように一方側から左および右の他方へ移動していることは除く。また、変速装置ハウジングへ割り当てられた空間中で所望のギア比を提供するために、2本の追加の軸および追加の滑車/スプロケットがある。
本明細書中、図5および図7の中で「回転支点」73と言及されているものは、図6A〜図6Fおよび図8および図9中に言及されているように、車椅子を推進させるために入力軸を前後に移動させることを可能にする。この回転支点73により、前進からニュートラルを通じて反転へのシフトが可能となるように、変速装置内外において、レバー41を介して駆動軸をプッシュ及びプルすることが可能になる。シフトは、いずれかの箇所でより十分に説明するように、この入力駆動軸が変速装置内の一方向クラッチ軸受内外においてスライドされたときに発生する。
駆動レバー41の前方または後方への前進または反転スイングの間、ユーザは、入力軸を前進、ニュートラルまたは反転のための適切な位置に移動させるために、駆動レバー41を内外(すなわち、図6A〜図6F中の矢印55、56および57に示すように乗り物の前面に向かって見て左または右)に移動させられなければならない。そのため、レバー駆動軸の上方に設けられた旋回軸/支点は、常に、レバーと共に前方および後方双方に回転可能であるべきである。図5中の記載のキャリッジおよびローラーおよび半円形の軌道は、この要求に対応するための一実施形態または回転支点である。
例示目的のため、図12A〜図12Eおよび図13〜図18および図4Aの変速装置論理の実施形態について、レバーの前進ギア位置が図6Cおよび図6Fによって示される。すなわち、内方に向かってニュートラルギアのレバー位置に移動したレバーが図6Bおよび図6Eによって示される。すなわち、中間位置およびバックギアレバー位置におけるレバー、すなわち外方に移動したレバーが図6Aおよび図6Dによって示される。図5について、軌道は、入力軸と同心の乗り物のフレームの各側へ固定される。継ぎ手77は、キャリッジ75およびローラー76から外方に延びる。ローラーは、キャリッジが軌道周囲において軌道から外れることなく放射方向に移動可能であるように、自身の上方および下方にV形状の軌道74を獲得するように、その外周周囲においてV形状を有する。キャリッジ75へ取り付けられた継ぎ手77は、取り外し可能な支点ピン78の周囲を回転する。このピンは、レバー105の下部にある中子68をキャリッジ75上の継ぎ手77へ接続させる。入力軸2または302は、キャリッジおよびローラーおよび支点ピンの下側に放射状に配置される。しかし、異なる実施形態において、入力軸はキャリッジおよびローラーの上方に配置され得る。入力軸の端部にも、中子202が設けられる。中子の両側に広がるレバー駆動軸の端部では、ピン84が中子202を通過している。その結果、レバーの前後の動きを入力軸2または302へ伝えることが可能になる。スロット86が内部に切り込まれたレバーの下端には「継ぎ手」85が設けられる。これは、入力軸の端部において、中子上にあるピン84の上をスライドする。このことは、レバーが、回転支点上で旋回しつつ、矢印88の内外に入力軸を押し引きし、かつ、このレバーの内外の動きに起因して発生する、レバー端部のピンに対する小さな上下の動きに適応することを可能とする。入力軸を支持しかつ入力軸の回転を可能にするラジアル軸受87が存在する。入力軸を受容する軸受の内輪中のボアも、入力軸が変速装置ハウジング内外において自由に動くことを可能にする碍管として装備され、これにより、前進、ニュートラルおよび反転へのシフトが可能になる。支点ピン78は、取り外し可能である。この支点ピンが除去され、レバーが十分に真後ろに動かされると、レバーが外方に移動して、ユーザが車椅子シートへより円滑にアクセスすることが可能になる。また、支点ピン78を取り外し、ピン84を取り外した場合、収納および/または輸送手段などの目的のために、レバーを取り外すことが可能である。
図7のアイテム303は、「回転支点」のさらなる実施形態であり、その使用および機能方法について、上記に述べた。この実施形態では、軸受387により、入力軸2または302の自由な回転およびフレームおよび変速装置矢印88内外における動きがどちらも可能になる。加えて、延長された軸受388の内輪は、この延長された軸受の内輪へクランプされた「ヨーク」304を支持する。この「ヨーク」は、レバーが中子202および継ぎ手85を介して前方および後方の回転を入力軸2または302へ伝えるので、レバーが前方および後方に移動するにつれて前後に回転することができる。「ヨーク」304の上部はその中に、屈曲部、すなわち、レバー105下部のスロット386を通じて突出する領域383を有する。支店は、ピン384が「ヨーク」の上部をレバー下部へ接続する位置に存在する。そのため、レバー41が側方に移動すると(すなわち、乗り物を前方から見た場合に左右に移動すると)、レバーは、ピン384上において支点として旋回し、入力軸に対してフレーム42および変速装置内外において力を付与して、いずれかの箇所において上記したような前進、ニュートラルおよび反転ギアが可能になる。この機能を、図8A、図8Bおよび図8C中にも示す。図9Aは、アイテム73において具現化されるような回転支点を用いた乗り物のドライブトレイン要素の実施形態の正面図である。図9Bは、アイテム303において具現化されるような回転支点を用いた乗り物のドライブトレイン要素の実施形態の正面図である。
図10A、図10Bおよび図10Cは、駆動レバー103の上部がどのように「入れ子式」レバーを上下に駆動し、そしてそれにより、入力軸へ付加される機械効率を「無限に」調節可能とし、「無限の」ギア比範囲を得るのか、ということを示している。これを行うためには、乗り物を停止させる必要も無いし、レバーの前後の動きを止める必要も無い。ユーザが動いてほしくない場合にレバーが上下に動くことが無いようにするために、レバーの上部は、「自動ロック」であることとしてもよいし、あるいは、例えばキャリーバック上の入れ子式ハンドルとともに用いられるものと類似の機構によって解放およびロックされ得ることとしてもよい。この場合、レバーの上部は、例えばユーザの親指近傍にあるレバーのハンドル端部上の「解放ボタン」101(図1B)により、動くために解放されることができる。
以下に続く図を理解するために、多様なコンポーネントに用いられる慣例を理解すると有用である。図11Aのアイテム1は、これらの「論理図」全体において用いられる図示であり、軸の「凹」またはより小さな直径領域を示し、図1Aのレバー41へ取り付けられた入力駆動軸または入力2を主に示す。軸の「凹」部位1は、明確さのために大げさに図示されている。軸1の「凹」部位1の位置が、全体として例えば図11Cのアイテム3’に示すような一方向クラッチ軸受の制約内にあるときに、軸の回転方向に関係無く、一方向クラッチ軸受3’が位置1において軸を把持/係合することのないよう、軸の直径には十分な変化が設けられる。したがって、軸は、一方向クラッチ軸受内においていずれかの方向に自由に回転し、逆に、一方向クラッチ軸受は、軸に沿うその位置において、軸の周囲でいずれかの方向にも自由回転する。
図11Bのアイテム5および図11Cのアイテム3、3’および4は、内部を貫通する軸を有する一方向クラッチ軸受をその上に押圧/固定させる滑車、スプロケット、またはギアの機械的要素を表す。しかし、滑車またはスプロケットまたはギアの機械的要素は、「変速装置ギア論理」図の簡潔さおよび理解可能性の目的のために図示していない。しかし、これらの図面のうちいくつかにおいて、ベルトのようなものは、スプロケットまたは滑車の周囲のベルトまたはチェーンを表す。
一方向クラッチ軸受は、2方向で軸上に配置することができる点に留意されたい。一方向クラッチ軸受を軸上に配置する様態により、軸を回転させる際に内部に配置される軸の把持方向が決定され、また、一方向クラッチ軸受内における軸を回転させる際に軸が自由にスピン/スリップする方向が決定される。図11Cにおいて、一方向クラッチ軸受3は、軸13の直径が低減されていない部分に配置されると、外輪上のより大型でしかしより淡色の矢印9によって示すように、軸の周囲に後向き(逆時計回り)に自由に回転/スリップする一方向クラッチ軸受を示し、また、軸上のより小型のより淡色の矢印7によって示すように、一方向クラッチ軸受内の軸13が一方向クラッチ軸受内において前向き(時計回り)に自由に回転することを示す。さらに、逆にかつ類推によって、一方向クラッチ軸受3は、一方向クラッチ軸受3が前向き(時計回り)に回転した場合、一方向クラッチ軸受の外輪上のより大型のより濃色の矢印8によって示すように一方向クラッチ軸受3が軸13を把持する状態を示す。これはまた、軸が後向き(逆時計回り)に回転した場合、軸13上のより短いより濃色の矢印6によって示すように軸が一方向クラッチ軸受を把持することを示す。
図11Cにおいて、一方向クラッチ軸受4が一方向クラッチ軸受3と対向して13のような軸上に配置されると、図示のように、類推によって、機械的システムは、軸受の外輪上または軸上の同じ矢印規則(すなわち、矢印方向、サイズおよび位置)によって図示および規定されるように、一方向クラッチ軸受3およびその内部の軸によって示される状態と正反対に機能する。図11Bは、一方向クラッチ軸受4と同じ軸上の一方向クラッチ軸受の図示に過ぎないが、切り欠き/断面図ではない。図11Cの矢印12は、軸13が一方向クラッチ軸受内外においても自由にスライドし、これにより、軸1の「凹」部位の位置にある場合に軸および一方向クラッチ軸受が自由に双方向に回転できる点が組み合わされたとき、軸13が図1Aのレバー41および図5〜図9Bの回転支点を用いて内外に軸をスライドさせることによって「変速装置論理」およびギアをシフトする能力の基盤を構成することを示す。
以下の文書および添付の図12A〜図12Eは、変速装置のプッシュまたはプルの実施形態について、ギアを前進、ニュートラルまたは反転にシフトさせる方法を説明する。これは、駆動レバー41の動きが前進または後方であるかに関係無く、乗り物がシフトされた方向に移動するプッシュプル実施形態ではない点に留意されたい。
図12Aは、プッシュまたはプル構成/実施形態における、ニュートラルギアでの変速装置の実施形態を示す。特に、ニュートラルギアは、車椅子からの乗降のため、かつ、車椅子または他の乗り物を後ろ側から妨害無しに押圧、牽引および回転可能とするために、駆動レバー41を邪魔にならないところに配置することが可能になる、という点で有用性を有する。この構成/実施形態において、ニュートラルギアにおいては、駆動レバー41は中心位置へ移動する。この中心位置にあるとき、レバーは、例えば図5A、図5B、図6A、図6B、図6C、図6D、図6E、図6F、図7、図8および図9A、図9Bおよび図9Cに示すような「回転支点」に起因して、入力軸を中間位置90’および位置90’へと移動させる。
図12Aから分かるように、入力軸1の2つの「凹」部位1はそれぞれ、2つの一方向クラッチ軸受220、230、260および270の内部に設けられる。そのため、入力軸302は、これらの2つの一方向クラッチ軸受それぞれの内部において自由にスピンし、それゆえ、駆動レバー41の動きおよびその結果発生する入力軸302の前方または後方への動き(矢印17’)は、滑車/スプロケットのいずれに対しても効果を持たず、入力軸322へ取り付けられた駆動レバー41は、いかなる障害も無しに前方または後方に自由に移動することができる。
駆動車輪への出力軸322は、駆動車輪が前方または後方に回転すると、すなわち、例えば押圧、牽引または回転されることのように(矢印37’)車椅子または他の乗り物が後ろ側から操作されると、一方向クラッチ軸受およびその取り付けられた滑車/スプロケットおよびこれらの取り付けられたベルト/チェーンのうちいくつかを回転させる点に留意されたい。その後、これは、駆動車輪およびそれゆえ出力軸322が前方または後方に回転しているか否かによって、一方向クラッチ軸受220および230のうちいくつかを回転させる。しかし、これらの一方向クラッチ軸受はそれぞれ、入力軸1の「凹」部位をこれらの内部に有する。そのため、駆動車輪および出力軸322がいずれかの方向において前方または後方に回転しても、入力軸302または取り付けられた駆動レバー41への影響は無く、したがって入力駆動軸302は、いずれかの方向矢印17’において自由に移動することができ、取り付けられた駆動レバーも、いかなる障害も無しに前方または後方に移動することができる。
出力駆動車輪軸322上の位置32’は、駆動車輪と反対側の軸の端部である。この軸端部が、発電機、コンプレッサまたは油圧または油圧ポンプおよび他の回転デバイスのような回転デバイスへ給電するため、動力取出装置として用いられる乗り物の内側/中間に向かって、変速装置ハウジングを通って延長され得る実施形態がある。さらに、この軸の同じ延長部分を電動機の使用のための入力軸として用いることが可能な実施形態があり、あるいは、乗り物を推進するために乗り物のユーザを強化/支援する駆動ユニットの他の実施形態がある。
図12Bは、駆動レバー41が前方に押圧されている前進ギアを示す。レバーは、前進するために前方に押圧され、かつ、次の前進ストロークを開始するために妨害無しに後方に移動することについて自由である。これは、前進ギアの一実施形態の状況のための「駆動論理」であり、ここでは、ユーザがレバーを押圧したときにのみ、前進ギアで、前進方向への推進が所望される。レバーが後方に移動/後方に牽引された場合、この前進ギアでは、前方または後方のいずれにも推進力は無い。すなわち、これは、「プッシュプルモード」ではない。
図12Bは、位置91’における入力軸を示す。この実施形態において、前進ギアは、入力軸302がレバーによって外方に牽引されたときである。その後、ユーザは、レバーを前方に押し、入力軸302を前方に回転させる。軸は、入力軸302の「凹」セクション1のみが一方向クラッチ軸受220内に入る位置まで移動する。そのため、軸は、この一方向クラッチ軸受内において自由にスピンするだけであり、クラッチ軸受に取り付けられたギアまたは滑車またはスプロケットをいずれの方向にも移動させることはない。入力軸302は前方に回転し、一方向クラッチ軸受230は、軸がそれを軸と同じ方向、すなわち前進方向に駆動し、滑車またはスプロケットがこれと共に回転するように配置される。滑車またはスプロケットが前方に回転すると、これと共にベルトまたはチェーン261が前進方向に牽引される。ベルトまたはチェーン261が前進方向に牽引されると、それと共に後方滑車またはスプロケットが前進方向に駆動される。一方向クラッチ軸受260は滑車またはスプロケット中に押圧/固定され、この動きが出力軸322を把持して前方に回転させるように構成される。
軸の一端は、駆動車輪へ取り付けられる。したがって、駆動レバー41の前進移動(押圧)は、駆動車輪を前方に回転させ、車椅子駆動車輪48(図1を参照)をその横側で前方に推進する。出力軸は、一方向クラッチ軸受270も通過する。一方向クラッチ軸受270は、出力軸322が、それと、取り付けられた滑車またはスプロケットとを前進方向に駆動するように構成される。その後、一方向クラッチ軸受270および滑車またはスプロケットは、同様に、取り付けられたベルトまたはチェーンをそれと共に駆動する。ベルトまたはチェーン271はその後、滑車またはスプロケット220を前進方向に駆動する。しかし、当該滑車またはスプロケットへ取り付けられた一方向クラッチ軸受220内の入力軸302は入力軸の「凹」セクション1を内部に有するため、ほぼスピンし、入力軸302の動きに影響しない。位置32’を用いる実施形態は、電動機アシストのための回転動力取出装置または入力として用いるための1つの位置である。
図12Cは前進ギアを示し、ここでは、駆動レバー41が後方に牽引されて新規の前進ストロークを開始させる。図12Cは、乗り物を惰性で前進させることも示す。この構成において、前進ギアは、入力軸302が駆動レバー41によって、位置91’まで外側に牽引されるときである。ユーザはその後、レバーを後方へ移動させ(プルバックさせる)、入力軸302を後方に回転させる。軸は、入力軸302の「凹」部位1のみが一方向クラッチ軸受220内にある位置まで移動されている。そのため、軸は、この一方向クラッチ軸受の内側において自由にスピンするのみであり、クラッチ軸受へ取り付けられたギアまたは滑車またはスプロケットをいずれの方向にも移動させない。入力軸302は、後方に回転している。一方向クラッチ軸受230は、軸がこの一方向内においてクラッチ軸受に対してスリップし、したがって、これに取り付けられた滑車またはスプロケットあるいはスプロケットへ取り付けられた滑車またはチェーンへ取り付けられたベルトを回転させることができないように配置される。そのため、この構成において、前進ギアにおいて、変速装置は「プッシュプルモード」ではないため、駆動レバー41のこのリターンストローク(後方ストローク)上において、駆動車輪48(図1)は前方に滑走するだけである。しかし、駆動車輪へ接続する出力軸322は、2つの一方向クラッチ軸受260および270内においてスピン/滑走する。一方向クラッチ軸受番号260内の出力軸322はこれに影響しない。なぜならば、この一方向クラッチ軸受の構成は、出力軸322が内部において前進方向に進むと、一方向クラッチ軸受260内においてスリップするだけである構成であるからである。
しかし、駆動車輪48へ接続する出力軸もまた、一方向クラッチ軸受番号270内において前方にスピンし、それと、その取り付けられた滑車またはスプロケットとを前進方向に駆動する。その後、ベルトまたはチェーン271は、これと共に動き、内部の滑車またはスプロケットおよび一方向クラッチ軸受220を同様に前方に回転させる。しかし、一方向クラッチ軸受220内の入力軸には内部に入力軸1の凹」部位があるため、軸の動きに影響は出ず、そのため、軸へ取り付けられた駆動レバーが後方に動かされる/後方に牽引される事態も無い。そのため、駆動レバー41は前進推進のために前方に押圧されることができ、次の前進ストロークを開始するために妨害無しに後方に移動することについて自由であり、駆動車輪48は妨害無しに滑走する。位置32’を用いる実施形態は、電動機アシストのための回転動力取出装置または入力としての利用のための1つの位置である。
図12Dおよび図12Eは変速装置の実施形態を示しており、ここでは、図1の駆動レバー41は、後方推進のために後方に牽引されることができ、かつ、駆動車輪48が後方に滑走している間に次の後方ストロークを開始するために妨害無しに前方に移動することについて自由である。これは、前進ニュートラルおよび反転ギアのみが用いられている状況のための「駆動論理」であり、反転方向への推進、すなわち反転ギアが所望されるのは、ユーザがレバーを牽引した場合のみである。レバーが前方に動かされている/前方に押圧されているときは、この反転ギアにおける前進または後方いずれへの推進力も無い。すなわち、これは、「プッシュプルモード」の実施形態ではない。この実施形態において、反転ギアは、軸が駆動レバー41によって内方に押圧されて位置92’へ移動したときである。その後、ユーザが駆動レバー41を後方に牽引すると、入力軸302が後方に回転する。入力軸302軸は後方に回転し、一方向クラッチ軸受220は、入力軸がこれを入力軸と同一方向(すなわち、後方向)に駆動し、滑車またはスプロケットがこれと共に回転するように配置される。滑車またはスプロケットが後方に回転すると、滑車またはスプロケットはベルトまたはチェーン271を自身と共に移動させる。
ベルトまたはチェーン271の動きはその後、それとともに後方滑車またはスプロケットを後方へ駆動する。この滑車またはスプロケットへ押圧/固定された一方向クラッチ軸受270は、この動きが出力軸322上を把持し、出力軸322を後方へ回転させるように構成される。出力軸322の一端は駆動車輪48へ取り付けられているため、駆動レバー41の後方への動き(牽引)により駆動車輪が後方に回転し、その横で車椅子が後方へ推進される。さらに、入力軸302は、位置92’へ移動されている。位置92’において、「凹」部位1のみがこの一方向クラッチ軸受230内にある。そのため、入力軸は、この一方向クラッチ軸受の内側で自由にスピンするだけであり、一方向クラッチ軸受230に取り付けられたギアまたは滑車またはスプロケットをいずれの方向へも移動させない。しかし、出力軸322も、一方向クラッチ軸受番号260内にある。
一方向クラッチ軸受260の構成により、一方向クラッチ軸受260および取り付けられた滑車またはスプロケットが後方に駆動される。その後、一方向クラッチ軸受および滑車またはスプロケットは、それとともに、取り付けられたベルトまたはチェーン261を移動させる。ベルトまたはチェーン261はその後、一方向クラッチ軸受230へ取り付けられた滑車またはスプロケットを後方へ駆動する。しかし、入力軸302の一方向クラッチ軸受内の部分は入力軸302の「凹」セクション1であるため、スピンするだけであり、駆動軸の動きに影響しない。そのため、駆動レバー41は駆動車輪48をバックに駆動するために牽引されることができ、さらに、以下に述べるような次のストロークを開始するために妨害無しに前方に移動することについて、自由である。
図12Eは、新規の前進ストロークを開始するために駆動レバー41が前方に押圧される反転を示し、乗り物が後方に滑走する様子も示す。この構成において、入力軸が駆動レバー41によって内方に押圧されて位置92’へ移動するときが反転ギアである。ユーザがその後駆動レバー41を前方に動かす(前方に押圧する)と、入力軸302が前方に回転する。入力軸302は前方に回転し、一方向クラッチ軸受220は、入力軸が一方向内においてクラッチ軸受220へスリップし、したがって、それに取り付けられた滑車またはスプロケット、または、スプロケットへ取り付けられた滑車またはチェーンへ取り付けられたベルトを回転させることができないように配置される。そのため、この構成において、後方(反転)ギアであって「プッシュプルモード」でないときに、駆動レバーのこのリターンストローク(前進ストローク)において、駆動車輪は単に後方に滑走する。入力軸302は、「凹」セクション1のみが一方向クラッチ軸受230内にある位置まで移動されている。そのため、軸この一方向クラッチ軸受内で単に自由にスピンし、クラッチ軸受へ取り付けられたギアまたは滑車またはスプロケットをいずれの方向にも移動させない。
しかし、駆動車輪48へ接続する出力軸322は、2つの一方向クラッチ軸受番号270および260内において後方にスピン/滑走する。一方向クラッチ軸受番号270内の出力軸は、一方向クラッチ軸受へ影響しない。なぜならば、一方向クラッチ軸受の構成は、軸が一方向クラッチ軸受の中で後方に走っているときは単にスリップするようなものであるからである。
しかし、駆動車輪48へ接続する出力軸322は、一方向クラッチ軸受260内において後方にスピンしている。一方向クラッチ軸受番号260内の出力軸は、それと、その取り付けられた滑車またはスプロケットとを後方へ駆動する。その後、ベルトまたはチェーン261がそれと共に動き、滑車またはスプロケットおよびその内部の一方向クラッチ軸受230を同様に後方に回転させる。しかし、一方向クラッチ軸受番号230内の入力軸302は入力軸1の「凹」部位を内部に有するため、入力軸の動きへは影響せず、そのため、駆動レバー41および取り付けられた入力軸302が前方に移動すること、すなわち妨害無しに前方に押圧されることを妨げない。そのため、駆動レバーは後方推進のために後方に牽引されることができ、次の後方ストロークを開始するために妨害無しに前方に移動することについて、自由である。
図13を参照して、プッシュプル「駆動論理」構成/実施形態における変速装置の動作について説明する。図13は、レバーを前方および後方のいずれに動かしたときにも車椅子などの乗り物を前方に推進させることができ、かつ、レバーを前方および後方のいずれに動かしたときにも、乗り物を後方に推進させることができる「駆動論理」構成/実施形態があることを示す。これは、いわゆる「プッシュプルモード」または「プッシュプル構成」または「プッシュプル実施形態」であり、ここでは、車椅子は、レバーが押されても引かれても同一方向に推進される。図面中では滑車/スプロケット全てが本質的に同一直径であるとして図示されているが、これは、実際の状態と異なる可能性が高い。例えば、前進駆動のギア比(すなわち、機械効率)は、反転のためのギア比と異なり得る。さらに、さらなる滑車、スプロケットおよび/またはギアおよびベルトおよびチェーンを、変速装置論理の他の実施形態において、レバー2からの入力軸と出力駆動車輪軸22との間において用いることができる。
出力駆動車輪軸22上の位置32は、駆動車輪と反対側の軸の端部である。軸端部を変速装置ハウジングを通じて乗り物の内側/中間へ伸長させて、回転デバイス(例えば、発電機、コンプレッサまたは油圧または油圧ポンプおよび他の回転デバイス)へ給電するための動力取出装置として用いる実施形態がある。さらに、軸のこの同じ延長部分を電動機のために用いられる入力軸として用いることができる実施形態があり、あるいは、乗り物を推進するために乗り物を強化/乗り物のユーザをアシストする駆動ユニットの他の実施形態もある。図13に示す「プッシュプル」レバー駆動軸および一方向クラッチ軸受構成/実施形態は、本明細書中のプッシュプル図全てへ適用される。
図13は、「プッシュプル」モードのために構成された、変速装置内の主要駆動コンポーネントの縮小図である。本例において、レバー駆動軸は、前進ギアまで移動している。図13は、4つの「凹」セクション1を有するレバー駆動軸を示し、レバー駆動軸に沿ったそれらの相対的位置を示す。また、滑車/スプロケット、一方向クラッチ軸受10、20、30、40、50、60、70および80ならびにベルト/チェーン81、72、63および54の相対的位置も図示される。図13はまた、レバー入力駆動軸がどのようにして前進駆動位置91のために位置し、ニュートラルのために中間位置90まで動かされ、反転のために位置92までプッシュされるかを示している。いずれかの箇所で述べたように、最終的要求によっては、この順序は変更され得る。レバー入力駆動軸2の配置は、図5A、図5B、図6A、図6B、図6C、図6D、図6E、図6F、図7、図8および図9A、図9B、図9Cなどに示すようなレバー回転支点の多様な実施形態のうちの1つを介して達成される。
図14Aは、レバーが前方に押圧されたとき、すなわち前進レバーストロークのときの、プッシュプル構成における前進ギアにおける変速装置を示す。その結果、駆動車輪は前方に回転する。プッシュプル構成においては、レバーが前方に押圧されても後方に牽引されても、駆動車輪は同一方向に回転する。換言すれば、特定の駆動車輪のためのレバーが前進ギアにある場合、駆動車輪は、レバーが前方に押圧されても後方に牽引されても前方に移動し、逆に、反転ギアでは、レバーが後方に牽引されても前方に押圧されても、駆動車輪は後方に移動する。この構成では、前進ギアにおいては、レバー駆動軸は位置91まで移動し、すなわち、レバーは内方に移動し、これは、図5A、図5B、図6A、図6B、図6C、図6D、図6E、図6F、図7、図8および図9A、図9Bおよび図9Cに示すような「回転支点」に起因して軸を外方に牽引する。
レバーが前方に押圧されると、入力軸2が矢印18に前進する。一方向クラッチ軸受10は、駆動されないように、内部に軸の「凹」部位を有する。入力軸は一方向クラッチ軸受20を前方に駆動し、したがって、滑車/スプロケットを前方に回転させてそれとともにベルト/チェーン72を牽引し、一方向クラッチ軸受70を前方に回転させる。一方向クラッチ軸受70は、出力軸22を前方、矢印38に駆動する。この出力軸は、駆動車輪へ取り付けられている。そのため、出力軸および駆動車輪は、前方、矢印38に回転される。出力軸22はまた、一方向クラッチ軸受80を同様に前方に駆動し、その結果、滑車/スプロケットを前方に駆動し、それとともにベルト/チェーン81が移動する。しかしこれは、ベルト/チェーンの図8に起因して、一方向クラッチ軸受10を後方に駆動する。しかし、入力軸1の「凹」部位が一方向クラッチ軸受10内にあるため、軸に影響は無く、一方向クラッチ軸受10は自由にスピンするだけである。出力軸22は、長さ全体に沿って前方に走っている。出力軸は、長さ全体に沿って前方に走っているため、一方向クラッチ軸受60を同様に前方に駆動しており、その結果、ベルト/チェーン63がそれと共に移動する。したがって、ベルト/チェーン63は、一方向クラッチ軸受30をそれとともに前方に回転させる。しかし、軸1の「凹」部位が一方向クラッチ軸受30を通って走っているため、軸に影響は無い。同様に、出力軸22は長さ全体に沿って前方に走り、一方向クラッチ軸受50に入る。しかし、一方向クラッチ軸受50の構成に起因して、出力軸は、その内部において自由にスピンするだけであり、取り付けられた滑車/スプロケットは影響されず、回転させられることもない。入力軸2もまた、全体長さに沿って回転し、一方向クラッチ軸受40を通って延伸する点に留意されたい。しかし、これは、その内部においてスリップするだけであり、回転はしない。入力軸2もまた、一方向クラッチ軸受30を通って延びる。軸の「凹」部位はこの一方向クラッチ軸受内にあるため、内部の軸回転による影響は無い。
図14Bは、レバーが後方に牽引されたとき、すなわち後方レバーストロークのときの、プッシュプル構成における前進ギアにおける変速装置を示す。その結果、駆動車輪は前方に回転する。プッシュプル構成/実施形態において、レバーが前方に押圧されても後方に引かれても、駆動車輪は同じ方向に回転する。換言すれば、特定の駆動車輪のためのレバーが前進ギアにあるとき、レバーが前方に押圧されても後方に引かれても、駆動車輪は前方に移動し、逆に、反転ギアにあるとき、レバーが後方に引かれても前方に押圧されても、駆動車輪は後方に移動する。この構成/実施形態では、前進ギアにおいては、レバー駆動軸は位置91まで移動する、すなわち、レバーは内方に移動する。その結果、図5A、図5B、図6A、図6B、図6C、図6D、図6E、図6F、図7、図8および図9A、図9Bおよび図9Cに示すような「回転支点」に起因して、軸が外方に牽引される。入力駆動軸2は、レバー上のプルストロークにより、後方、矢印19に回転される。しかし、変速装置がプッシュプル構成にあり、変速装置が前進ギアにあるため、駆動車輪は前方に回転する結果となる。入力駆動軸2は先ず、その内部に軸1の「凹」部位を有する一方向クラッチ軸受10に入る。そのため、軸は、一方向クラッチ軸受10内において自由にスピンし、影響を与えない。入力駆動軸2もまた、一方向クラッチ軸受20を通って延びる。その構成は、軸が内部においてスリップするような構成であり、よって、滑車/スプロケットは回転しない。
入力駆動軸2はまた、その内部に軸1の「凹」部位を有する一方向クラッチ軸受30を通って延びる。そのため、軸は、一方向クラッチ軸受30内において自由にスピンし、影響を与えない。入力駆動軸2はまた、一方向クラッチ軸受40を通って延びる。この一方向クラッチ軸受40は、入力駆動軸2が後方に回転すると、取り付けられた滑車/スプロケットを後方に駆動するように構成され、取り付けられたベルト/チェーン54はそれと共に動く。しかし、ベルト/チェーン54が図8に示すように構成されているため、一方向クラッチ軸受50を後方に駆動する代わりに、一方向クラッチ軸受50が前方に駆動される。
一方向クラッチ軸受50は、その内部に出力軸22を有するように構成され、それとともにこの軸22を前方に駆動する。駆動車輪22に対する出力軸は、前方に回転し、それと共に駆動車輪を前方に回転させる。そのため、入力駆動軸2の後方回転は、出力軸22および取り付けられた駆動車輪の前方回転に繋がる。出力軸22は長さ全体に沿って前方に回転し、したがって一方向クラッチ軸受60を通過する。その結果、一方向クラッチ軸受60は軸22と共に前方駆動される。ベルト/チェーン63はそれと共に動き、一方向クラッチ軸受30を前方に回転させる。しかし、入力軸1の「凹」部位が一方向クラッチ軸受30内にあるため、これは自由にスピンするだけであり、軸2の回転には影響しない。
出力軸22はまた、一方向クラッチ軸受70を通って延びる。この一方向クラッチ軸受70は、軸22が内部においてスリップするだけであり、これに取り付けられた滑車/スプロケットが回転しないように構成される。出力軸22はまた、一方向クラッチ軸受80を通って延びる。この一方向クラッチ軸受80は、前方に回転している出力軸22が、それ80と、それに取り付けられた滑車/スプロケットとを同様に前方に駆動するように構成される。ベルト/チェーン81は、これに沿って移動する。図8の構成に起因して、これは、一方向クラッチ軸受10を前方に駆動する。しかし、一方向クラッチ軸受10内には入力軸1の「凹」部位が存在するため、一方向クラッチ軸受10は自由にスピンするだけであり、軸2の回転には影響しない。
図15は、プッシュプル構成/実施形態におけるニュートラルギアでの変速装置を示す。特に、ニュートラルギアは、車椅子からの乗降のための経路の外にレバーを配置することができ(移行)、かつ、車椅子または他の乗り物を後ろ側から妨害無しに押圧、牽引および回転可能とするような有用性を有する。この構成/実施形態においては、駆動レバーは、ニュートラルギアのために中心位置に移動させられる。レバーがこの中心位置にあるとき、例えば図5A、図5B、図6A、図6B、図6C、図6D、図6E、図6F、図7、図8および図9A、図9Bおよび図9Cに示すような「回転支点」に起因して、それは、入力軸を同様に中間位置90へと移動させる。図15から分かるように、入力軸1の4つの「凹」部位1はそれぞれ、4つの一方向クラッチ軸受10、20、30および40の内部に設けられる。そのため、入力軸2は、これらの4つの一方向クラッチ軸受それぞれの内部において自由にスピンし、したがって、駆動レバーの動きおよびその結果発生する入力軸2の前方または後方の動き(矢印17)は、滑車/スプロケットのいずれに対しても効果を持たず、入力軸2へ取り付けられた駆動レバーは、何の障害無しに前方または後方に自由に移動することができる。
駆動車輪への出力軸22は、例えば、押圧、牽引または回転される(矢印37)というように車椅子または他の乗り物が後側から操作されるとき、もし駆動車輪が前方または後方に回転すると、一方向クラッチ軸受およびその取り付けられた滑車/スプロケットおよびこれらに取り付けられたベルト/チェーンのうちいくつかを回転させる点に留意されたい。その後、これは、駆動車輪およびよって出力軸22が前方または後方に回転しているかによって、一方向クラッチ軸受10、20、30および/または40のうちのいくつかを回転させる。しかし、これらの一方向クラッチ軸受はそれぞれ、入力軸1の「凹」部位をこれらの内部に有する。したがって、駆動車輪および出力軸22がいずれかの方向、すなわち前方または後方に回転しても、入力軸2または取り付けられた駆動レバーへ影響は無いため、入力駆動軸2は、いずれかの方向矢印17において自由に移動することができ、取り付けられた駆動レバーも、何の障害無しに前方または後方に動くことができる。
図16Aは、レバーが後方に牽引されたとき、すなわち後方レバーストロークのときの、プッシュプル構成/実施形態における反転ギアにおける変速装置を示す。その結果、駆動車輪は、後方に回転する、すなわち反転状態で動く。プッシュプル構成/実施形態では、駆動車輪は、レバーが前方に押圧されても後方に引かれても同一方向に回転する。換言すれば、特定の駆動車輪のためのレバーが前進ギアにある場合、前進レバーが前方に押圧されても後方に引かれても、駆動車輪は前方に移動する。逆に、反転ギアにある場合、レバーが後方に引かれてもまたは前進に押圧されても、駆動車輪は後方に移動する。この構成/実施形態では、入力駆動軸2は、反転ギアのために位置92まで移動している。すなわち、レバーは外方に動かされ、図5A、図5B、図6A、図6B、図6C、図6D、図6E、図6F、図7、図8および図9A、図9Bおよび図9Cに示すような「回転支点」に起因して、軸を内方に押圧している。レバーが後方に動かされるとき、それは、入力軸2を後方に回転させる。入力軸2は、一方向クラッチ軸受10を通って走る。この構成/実施形態では、軸2は、一方向クラッチ軸受10内においてスリップするため、取り付けられた滑車/スプロケットを回転させない。入力軸1の「凹」部位は、一方向クラッチ軸受20を通って走る。これは「凹」であるため、軸は、一方向クラッチ軸受20内において自由にスピンし、それに対する影響を持たない。入力軸2は、長さ全体に沿って後方に回転しており、一方向クラッチ軸受30を通じて走る。入力軸2は、軸2が後方に回転するとき、それとともに、取り付けられた滑車/スプロケットを後方に駆動するよう構成される。滑車/スプロケットへ取り付けられたベルト/チェーン72は、これと共に移動し、一方向クラッチ軸受60を後方に駆動する。一方向クラッチ軸受60は、それが後方に回転するとき、それとともに駆動車輪22への出力軸を後方に駆動するようら構成される。駆動車輪への出力軸22は、それとともに駆動車輪を駆動しつつ、後方に回転する。出力軸22は、それがまた一方向クラッチ軸受70を通過するように、長さ全体に沿って後方に回転する。この一方向クラッチ軸受70は、出力軸22が一方向クラッチ軸受70内において後方に回転するとき、同様に後方に回転するように構成されている。その結果、ベルト/チェーン72はそれと共に後方に動く。ベルト/チェーン72の動きに起因して、一方向クラッチ軸受20が後方に駆動される。しかし、入力軸1の「凹」部位が一方向クラッチ軸受番号20の中にあるため、この一方向クラッチ軸受番号は自由にスピンし、入力軸2に影響しない。長さ全体に沿って後方回転している駆動車輪への出力軸22もまた、一方向クラッチ軸受80を通って延びる。しかし、一方向クラッチ軸受80の構成は、駆動車輪22への出力軸がその内部において自由にスリップ/回転するため、これに取り付けられた滑車/スプロケットを回転させないような構成である。
図16Bは、レバーが前方に押圧されたとき、すなわち前進ストロークのときのプッシュプル構成/実施形態における反転ギアにおける変速装置を示す。その結果、駆動車輪は、後方に回転する、すなわち反転状態で動く。プッシュプル構成においては、レバーが前方に押圧されても後方に引かれても、駆動車輪は同一方向に回転する。換言すれば、特定の駆動車輪のためのレバーが前進ギアにある場合、前進レバーが前方に押圧されても後方に引かれても、駆動車輪は前方に移動する。逆に、バックギアにある場合、レバーが後方に引かれても前方に押圧されても、駆動車輪は後方に移動する。
この構成/実施形態では、入力軸2は、バックギアのためにはるばる動かされ、すなわちレバーが外方に動かされ、その結果、図5A、図5B、図6A、図6B、図6C、図6D、図6E、図6F、図7、図8および図9A、図9Bおよび図9Cに示すような「回転支点」に起因して、軸を内方に押圧する。レバーが前方に押圧されると、入力軸2は前方に回転する。軸2は、一方向クラッチ軸受10を通って走る。一方向クラッチ軸受10は、駆動軸2がその内部において前進するとき、一方向クラッチ軸受10が軸と共に前方に回転し、その結果、取り付けられた滑車前進が同様に回転することとなるように構成されている。ベルト/チェーン81が図8中に構成されているため、それは、後方滑車/スプロケットおよび取り付けられた一方向クラッチ軸受80を前方に駆動する代わりに、一方向クラッチ軸受80を反転/後方に駆動する。
一方向クラッチ軸受80の構成は、それが後方に回転されるとき、駆動車輪への出力軸をそれとともに後方に駆動するような構成である。一方向クラッチ軸受80は、駆動車輪22への出力軸をそれと共に後方に駆動し、したがって、駆動車輪を後方に/反転の状態で駆動する。駆動車輪22への出力軸は、長さ全体に沿って後方に回転し、また一方向クラッチ軸受70を通って延びる。一方向クラッチ軸受70の構成は、駆動車輪22への出力軸が一方向クラッチ軸受70を、およびそれに沿って、取り付けられた滑車/スプロケットを後方に駆動するような構成である。一方向クラッチ軸受70へ取り付けられた滑車/スプロケットの後方への回転は、それとともにベルト/チェーン72を動かし、一方向クラッチ軸受20を同様に後方に回転させる。
しかし、一方向クラッチ軸受番号20は入力軸1の「凹」部位を内部に有するため、一方向クラッチ軸受20は、軸上において自由にスピンし、その回転には影響を与えない。長さ全体に沿って後方に回転している駆動車輪22への出力軸もまた、一方向クラッチ軸受60を通って走る。しかし、この一方向クラッチ軸受60は、駆動車輪22への出力軸がその内部において自由にスリップ/スピンし、したがって、一方向クラッチ軸受60が回転しないように構成される。長さ全体に沿って後方に回転している駆動車輪22への出力軸もまた、一方向クラッチ軸受50を通って走る。この一方向クラッチ軸受は、駆動車輪22への出力軸が一方向クラッチ軸受50内において後方に回転するとき、それとともにベルト/チェーン54を動かしつつ、取り付けられた滑車/スプロケットをそれと共に後方に駆動するよう構成される。ベルト/チェーン54の動きは、ベルト/チェーンの図8の構成に起因して、一方向クラッチ軸受40を前方に回転させる。しかし、一方向クラッチ軸受40内にはレバー駆動軸/入力軸1の「凹」部位があるため、一方向クラッチ軸受40は軸上で自由にスピンするだけであり、その動きに影響しない。入力軸2は長さ全体に沿って前方に回転しており、一方向クラッチ軸受30を通って延びる。しかし、一方向クラッチ軸受30の構成は、入力軸が一方向クラッチ軸受30内において自由にスリップ/スピンするだけであるため、一方向クラッチ軸受30またはこれに取り付けられた滑車/スプロケットは回転させないような構成である。
図17を参照すると、特定の種類の回転デバイスが所望の方向のみに回転しかつ所望ではない方向へ回転させる外力を受けないことを確実にするために、当該デバイスとともに「バック禁止」モードが用いられる。「専用のレバー駆動車椅子」を含む乗り物の文脈において、「バック禁止」は、乗り物ユーザの等級が上がり、ユーザがレバーストロークの間を含めて乗り物を後転させたくないときに主に用いられる。「バック禁止」はオフ/解除状態にできるようにすることが有用であり、そうすることで、後ろから押されるときのような乗り物の他の操作とそれとが干渉しなくなる。
図17において、一方向クラッチ軸受番号10、20、30、40、50、60、70および80の構成は、変速装置のプッシュプル構成を示す上記の図13〜図16中のものと同じである。図17は、「バック禁止」を示す例示的な実施形態である。これは、車椅子の前進のための入力軸位置、すなわち位置91と共に任意に図示されている。「バック禁止」は、乗り物ドライブトレインおよび/または変速装置の多数の実施形態において用いられ得る。「バック禁止」デバイスの一実施形態は、アイテム97、98、99、および100と、「凹」部位1を備える軸とからなる。この軸は、例えばハンドル97のようなデバイスによって一方向クラッチ軸受内外においてスライドすることが可能とされるが、99のような制約に起因して回転はできない。このような回転不可能性は、軸99の一端または両端上のスプライン、または、軸端における矩形スロット内の矩形タブのような機械的デバイスによって達成される。よって、「バック禁止」軸98は回転することはできないが、軸は、軸1の「凹」部位が一方向クラッチ軸受内となるように配置されることができ、この場合、一方向クラッチ軸受への影響は無い。
あるいは、図17中の構成に示すように、軸は、その完全な直径を有する軸が一方向クラッチ軸受の内部に位置するようにスライドさせられることができ、この場合、これは、一方向クラッチ軸受100を後方に移動することから「ロック」する。図17は、一方向クラッチ軸受の内部に、その完全な直径を有する軸を示す。この位置においては、一方向クラッチ軸受が係合するため、それは後方に回転できず、したがって「バック禁止」が保証される。「バック禁止」を解除するには、例えばハンドル97または他の機械的手段を介して付加される力によって、軸を図中の矢印96によって示すように押圧する。「バック禁止」を再度有効化するには、軸の完全な直径を一方向クラッチ軸受内に動かすように、力を付与する。「バック禁止」は、スライド軸98および一方向クラッチ軸受100のみではなく、一方向クラッチ軸受へ取り付けられた滑車/スプロケットからなる。
「バック禁止」は、一方向クラッチ軸受20と一方向クラッチ軸受70との間に配置された一方向クラッチ軸受100および滑車/スプロケット(または恐らくはギア)からなる。駆動車輪22への出力軸は、一方向クラッチ軸受70を通って走る。この軸22は、前方に回転しているときは一方向クラッチ軸受内において自由にスピンするが、乗り物が後方に回転しようとする状況のように出力軸22が後方に回転しようとするときには、一方向クラッチ軸受70およびその取り付けられた滑車/スプロケットを後方に駆動する。一方向クラッチ軸受70へ取り付けられた滑車/スプロケットのこの後方への動きの試行は、それとともにベルト/チェーン72を後方に牽引する。しかし、この同じベルト/チェーンは、一方向クラッチ軸受100へ取り付けられた滑車/スプロケットとも係合する。上記したように、「バック禁止」が保証されているとき、この一方向クラッチ軸受100は後方に回転することはできない。そのため、駆動車輪への出力軸は、後方回転が制限される。その結果、「バック禁止」が保証されているとき、関連付けられた乗り物の駆動車輪は、後方に回転することができないかまたは後方に動くことができなくなる。
変速装置および「変速装置論理」の多様な実施形態は、滑車および/またはスプロケットおよび/またはギアの色々な組み合わせを用いることによってもたらされる。図18は、そのような実施形態の1つである。これは、図13〜図17に示すようなベルトまたはチェーンの図8の構成を用いるのではなく、プッシュプル構成のために一対のギアがいかにして用いられ得るかを示す。
この図18の構成については、入力軸2は前進ギア位置91のために配置されているが、駆動レバー(牽引)の矢印19の後方への動きを実行しており、駆動車輪への出力軸の所望の動きは、前進回転の矢印38である(すなわち、変速装置は「プッシュプル」モードにある)。換言すれば、レバーは後方に動かされ/牽引されているが、駆動車輪は前方に移動している。簡潔さのため、活性状態の駆動経路のみについて説明する。入力は、レバー入力軸の後方への動きであり、矢印19は、その軸を後方に回転させる。それは、一方向クラッチ軸受40およびその取り付けられた滑車/スプロケットを後方へ駆動する。その後、係合したベルト/チェーン24は、従来の(すなわち、一方向クラッチ軸受ではない)軸受/滑車/スプロケットアセンブリおよび取り付けられたギア52を同様に後方に回転させる。この軸受/滑車/スプロケットアセンブリにはまた、一方向クラッチ軸受を内部に有する別のギア53と係合するギア52が取り付けられている。
軸受/滑車/スプロケットおよび取り付けられたギアアセンブリ52は後方に回転するが、一方向クラッチ軸受53へ取り付けられた噛合ギアは前方に回転する。その結果、ギア内の一方向クラッチ軸受は前方に回転し、かつ、駆動車輪22への出力軸をそれに沿って前方に駆動する。よって、駆動車輪も前方に回転する。この「変速装置論理」の実施形態は、図14Bと同様に有効に機能する。「バック禁止」は図18中に示していないが、「バック禁止」は、これらの種類のコンポーネントを用いて(すなわち、それらが滑車、スプロケットまたはギアおよび関連付けられたデバイスであるか否かに関係無く)変速装置へ挿入することができる。
図19Aは、車椅子への進入および車椅子からの退出(移行)を促進するために車椅子が置かれ得る1つの構成を示す。この「専用のレバー駆動車椅子」は、シートの高さを超えて延びることが無いように、十分に小さな直径の車輪48を用いる。このことは、車椅子への移行または車椅子からの移行時に車輪がユーザを妨害することはない、ということを意味する。車椅子は18インチの駆動車輪を有するように示されているが、より小型の駆動車輪も用いられ得る。所望であればより大型の車輪を用いてもよい。フェンダー109は、フレーム42へ取り付けられ、車輪のタイヤ上の破片および移動時において車輪から振り落とされる物質(例えば、水または泥)からユーザを保護する。レバー41は、車椅子上への移行または車椅子からの移行を妨害しないように、後方に回転させられることができる。
さらなる選択肢として、レバーを回転させてさらに後方移動させることができる(図5〜図9Bを参照)ようにレバーを回転旋回軸/支点から解放することがある。オプションで選択できるアームレスト119は後方チルトすることができ、これにより、ユーザは、乗り物への移行および乗り物からの移行の能力を妨害無しにさらに得ることができる。この「専用のレバー駆動車椅子」設計は、車椅子の反対側のレバー41が十分に頑健となり、かつ、自分でレバー41を把持して牽引するかまたは自分で押圧することが可能となるようにレバー41を配置することが可能になるという点で、ユーザに対し、移行(特に、車椅子上への移行)時におけるさらなる支援を提供する。
さらに、車椅子フレームは、図19Aおよび図19Bに示すような車椅子への移行および車椅子からの移行のために車椅子の安定化を支援するための「サポートフット」45(図19Aおよび図19B)を備えることができ、また、変速装置の内部に取り付けられたものとして図示されている図21A〜図21Dに示すものに類似する。車椅子を動かすには、サポートフットを退避/上昇させ、車椅子フレームの下側に沿って方向付ける(図1A、図1Bおよび図19C)。「サポートフット」を展開するには、この実施形態において、ハンドル211を若干上昇させて、サポートフック206を保存穴207から解放する。その後、ハンドルを後方に90度回転させ、サポートフックをスロット208を通じて下方にスライドさせ、サポートフット209を所望の位置まで下降させる。その後、ハンドル211を前方に回転させ、ラッチ機構210の下にロックさせる。この種のサポートフットは、駆動車輪が後部に設けられた「従来の」車輪配置においても、駆動車輪が前方にある「チャリオット」型構成(図3Aおよび図3Bを参照)においても用いることが可能である。成長途中の子供または色々な人間などに対して、有効な座席を前後に調節することができる。これは、シートバックアダプタ116を用いてシートバックを前後に調節することにより、達成される。これらのシートバックアダプタ116は、シートバック機構46の「ケーン」115へ取り付けられる。シートバック機構46は、多様な実施形態の機構を用いてリクライニングするように適合させることもできる。
車椅子などの乗り物の実施形態のシートの幅は、ユーザが新規のものを取得する必要無しに変更することができる。シートバックを除いたこの「専用のレバー駆動車椅子」の基本的設計は、それぞれレバー、変速装置、駆動車輪およびキャスター車輪を含む左側および右側を含むものとしてみなされ得る。その後、各側は、剛性の矩形の形態で保持されるが、折り畳むことも可能である。折り畳み方法によっては、実施形態は、フレーム全体の前側および後側ならびに左右を被覆することができる一定の種類の「シート下部プレート」または「プレート」(図20、214)であってもよいし、あるいは、車椅子のフレーム42の4つの側部間に設けられてこれを剛性の矩形として固定する一定の種類の剛性のデバイスであってもよい
別の実施形態として、車椅子の前方および後方において水平方向リンク機構が設けられる。この水平方向リンク機構は、車椅子フレーム42を剛性の矩形位置に保持するために単独で使用されてもよいし、あるいは、シート下部プレートまたはフレームと共に用いられてもよい。あるいは、折り畳みフレーム42を剛性の矩形に保持するために用いられる他の実施形態も用いられ得る。上記の図20A、図20Bおよび図20Cおよび図22A〜図22Eを参照されたい。上記の実施形態全てにより、以下に述べるようにユーザが新規の車椅子全体を購入/取得する必要無く、車椅子の幅を変更することが可能になる。図20A〜図20Cおよび図22A〜図22Eに示す折り畳み方法の実施形態の場合、車椅子の前方および後方双方に設けられかつ異なるパネル幅で垂直ヒンジ212とヒンジ付けされたフレーム111のヒンジ型パネルを交換し、その後、シート下部プレート214または車椅子フレーム42を剛性の矩形状態に保持する中空フレームなどの他の実施形態を交換または調節することにより、車椅子フレーム42の幅を変更することができる。図21A〜図21Dに示す折り畳み方法の実施形態においては、リンクのための全部又は後部のリンク機構215を異なる幅のものと交換することによって、そして、特定の実施形態によれば、同様に車椅子を剛性の矩形状態に保持することを支援するために用いられ得るシート下部プレートおよび/またはフレームを交換するかまたは調節することにより、車椅子の幅を変更することができる。
図20A〜図20Cを参照すると、本明細書中に記載の乗り物の実施形態は、車椅子のそれを含む。図20〜図20Cに示す車椅子の実施形態において、フレーム42は、前方および後方において同一幅の中間パネル111によって分離された2つの「U字型」側部からなる。これらの前部および後部は、4つの垂直ヒンジ212により、フレーム111の2つの「U字型」部位へ取り付けられる。すなわち、2つのヒンジが前方にあり、2つのヒンジが後方にある。「U字型」フレームの代わりに、変速装置そのものが、図21A〜図21Eに示す乗り物のフレームの実施形態に類似する様態でフレームの一部又は全部として構成され得ることは、図20A〜図20Cには図示していない。フレームは、フレームの4つの部位内に設けられた剛性のシート下部プレート214によって矩形として剛性保持される。
シート下部プレート214は、別個のアイテムであっても、フレームへ取り付けられていなくてもよいが、実際的な問題として、シート下部プレートは、フレームの片側へ取り付けられ、上下に回転させられ得る。すなわち、シート下部プレートが下部位置にある場合、シート下部プレートはフレームをロックし、シート下部プレートが上方に回転された場合、フレームはロック解除され、折り畳みができない状態になる。これは、フレーム42を剛性保持するための一実施形態である。他にも多数の実施形態がある。シート下部プレート214は、跳ね上げを可能にするヒンジと、レシーバー中へスライドするタブによって前方に回転することを可能にするリンク機構25(図20B)とへ取り付けられる。シート下部プレート214は、折り畳まれたフレームとともに、輸送のために容易に取り外すことが可能である。
いずれの図にも図示していない別の実施形態は、それぞれが車椅子フレームへ固定され得る2つ以上のセクションによって構成されたシート下部プレートを有することが期待される。これらのセクションそれぞれが水平方向位置において全て出合う位置まで下げられ、相互に押しつけられるとき、車椅子フレームを剛性の矩形位置に保持する効果が発生する。この乗り物の折り畳みの実施形態においては、フレーム片側が他方の前方に回転することを可能にするシート下部プレート214を上昇させる(図20C)ことによってフレーム42を解放することにより、車椅子が折り畳まれる。本質的には、車椅子フレームを最小に折り畳むと、2つの変速装置の幅に駆動車輪を加えた位の大きさになる(ただし、駆動車輪が取り付けられたままである場合)。この実施形態において、フットレスト112の下部(図1Bを参照)は折り畳み可能である。車椅子を展開するには、この折り畳み順序を逆にたどる。この折り畳み方法論は本質的には、「専用のレバー駆動車椅子」が従来の駆動車輪構成(図3A)を有する場合も、「チャリオット」駆動車輪構成(図3B)を有する場合も同じである。
車椅子のような乗り物の折り畳み方法の実施形態を示す図21A〜図21Cを参照する。図21Aは、車椅子が展開/下降およびロック位置にある様子を示す。リンク機構バーによって分離された各側上に、車輪とともに変速装置がある点に留意されたい。明確さのため、1つのどちらかと言えば細いバーのみを図示しているが、最終設計では、例えば色々な断面形状を備えるより大きなリンク機構バー、および/または、より幅広のバー、および/または、複数のリンク機構バーが用いられる可能性が高い。リンク機構バーは、車椅子が展開位置にあるときにリンク機構バーを強固に所定位置にロックするために、ロックピン217(図21の前方および後方)または同じ目的を果たすハードウェアを有する。リンク機構は、他のピン/ヒンジ218上を旋回する。さらに、要望される安定のレベルによっては、図示していないが、例えば2つの変速装置および/または図示していない車椅子フレーム間の十字である交差形の突っ張りである。サポートフット45’は、上方位置において収納される点に留意されたい。
このサポートフットの一実施形態は、図19A〜図19Cの通りである。図21Bは、ロックピンまたは他のロック機構が除去/解放されており、車椅子の片側を上昇させ始めた状態を示す。図21Cおよび図21Dは、車椅子が完全に折り畳まれた位置を示し、この状態において、サポートフット(または他の種類のサポート(恐らくは「キックスタンド」型デバイス))は展開され(図19A〜図19Cを参照)、下方に地面まで移動されて、このスタック構成を倒れないように支持する。さらに、要望される安定のレベルによっては、図示していないが、例えば2つの変速装置および/または図面中では図示していない車椅子フレームの間の十字である交差形の突っ張りである。この構成において、車椅子は、変速装置の幅に駆動車輪を加えた大きさよりも若干大きな大きさに折り畳むことが可能である点に留意されたい。収納および/または輸送のため、駆動車輪をクイックリリースを用いて取り外すことができ、これにより幅全体をさらにより小さくすることができる。
この折り畳み方法論は本質的には、「専用のレバー駆動車椅子」が従来の駆動車輪構成(図3A)を有する場合も、「チャリオット」駆動車輪構成(図3B)を有する場合も同じである。
図22A〜図22Eは、乗り物(この場合、車椅子)のための折り畳み方法の一実施形態を示す。図示の折り畳み方法は、駆動車輪を前方に備えた(図3Bを参照)「チャリオット」型車椅子を示す。しかし、折り畳み方法のこの同じ実施形態を、「従来の」種類の車椅子(図3Aを参照)にも用いることが可能である。この折り畳み方法は、上記したような図20A〜図20C中に示すもの(例えば、シート下部プレートを含むもの)に類似し、あるいは、他のデバイスをフレームを隆線付きの矩形に固定するために用いてもよい。さらにコンパクトにするために、フットレスト112’の下部を折り畳むことができる。さらに、前方から後方底部までの有効シート寸法がいかにして変更され得るかということについての記述は、上記したような図19A、図20A〜図20Cおよび図21A〜図21Cについての設計のこの実施形態へ適用され得る。また、図19Aおよび図20A〜図20Cについても述べられた乗り物の幅を変更する方法は、図22A〜図22Eに記載のものに類似する。主な相違点としては、各変速装置44(図1A、図4A、図4B、図6F、図9A)を一方が他方の後側となるように収納するためには、フレームの各側を剛性の「L字」形状にする必要があり、また、前方および後方の垂直ヒンジ型パネル111’を図22A〜図22Eに示すようにオフセットさせる必要もある。この実施形態により、前方および後方パネル111’の幅を変更することにより乗り物の幅を変更することが可能になり、シートバックアダプタ116(図1B)の使用を通じてシートの前方から後方への有効なサイズを調節することが可能になる。
図23A〜図23C、図24A〜図24Cおよび図25A〜図25Eを参照すると、地面に引っかかることが無くまた障害物上に乗り上げることが可能な車椅子などの乗り物上にフットレストを設けると有用である。図23A〜図23C、図24A〜図24Cならびに図1A、図2Aおよび図19Aは、これを達成するフットレストの実施形態を示す。図1A、図2Aおよび図19Aでは、この上昇可能な種類のフットレストを「専用のレバー駆動車椅子」(図3B)の「チャリオット」型構成と共に図示しているが、このフットレストは、キャスター車輪が前方に設けられ、より大型の駆動車輪が後方に設けられた従来の型車椅子(図3A)の構成上においても用いることが可能である点に留意されたい。
記載の上昇可能なフットレストは、フラットなフットプレートであってもよいし、あるいは、フットレストの前端が上方に曲線状になっており、折り畳み可能な下部または剛性の下部を持ち得る、図25A〜図25Eに示すような「ソリ」型フットレストと共に用いられるものに類似するフットプレートであってもよい。車椅子上のフットレストは、しばしば地面に非常に近づく。そのため、ユーザが縁石または障害物に乗り上げようとする際に問題が発生する。図23A〜図23Cおよび図24A〜図24C中の上昇可能なフットレストの実施形態により、ユーザは自身の脚を手動で上昇させることができ、バネ付勢型フットレストを脚とともに移動させて所定位置にロックすることができる。その後、ユーザのフットレストおよび足部による妨害を受けることなく、従来の車輪配置構成「チャリオット」型の「専用のレバー駆動車椅子」上の前方駆動車輪または従来の車輪配置構成のための前方キャスター車輪を縁石または障害物と接触させることができる。
フットレストを上昇させるバネ120、120’および120”の実施形態は、図示のような従来のコイルバネまたはガススプリングであり得る点に留意されたい。バネの力は、人間の脚が上昇する際に追随できるだけの十分な力であり、かつ、人間が自身の脚を図23Aおよび図24Aのような下部位置または「中間」位置(図23Bおよび図24B)まで戻すことができなくなるような大きな力ではない。フットレストをその上方位置内に/その上方位置からロックおよびロック解除するために用いることが可能な多様な種類のラッチ機構の実施形態がある。図23A〜図23Cおよび図24A〜図2Cに、ユーザが手動で自身の脚を上昇させる際における、リニア軸受122上のタブ121(フットレストを上側位置にロックするために、ラッチ108の下側に固定されるもの)の使用を示す。障害物を回避する際には、ユーザは、ラッチを解放し、自身の脚の重量によりフットレストを押圧して、図23Bおよび図24Bの乗車位置へ再度移動させる。ここで、フットレストを所定位置に保持するためのラッチには多様な実施形態があり、この場合には、その上にノブを有するピン126(図24A〜24C)を介して保持される。バネは、ユーザの足及び脚の重量が重力によってフットレストを押し下げるために十分となるよう、十分に小さなバネ定数を持たなければならないことに注意が必要である。ただし、ユーザは、腕の力をいくらか用いることもできるし、彼/彼女の脚を押し下げることもできる。
フットレストをロックするための位置は多数あり得る。ここで図示のように、フットレストによって乗降が妨害されないように、図23Aおよび24Aの下部位置および他のロックダウン位置が乗り物(ここでは車椅子)の乗降のために用いられ得る。この種類のフットレストは、通常の日常的使用において良好に機能し、フットレストを低位置に留まらせ続けた場合に引っかかりまたは下落に繋がり易い起伏の多い土地におけるオフロード用途に特に有用である。
図25A〜図25Eは、「ソリ」型の上昇可能なフットレストの実施形態を示す。この「ソリ」型のフットレストを「チャリオット」型の「専用のレバー駆動車椅子」と共に示しているが、この「ソリ」型のフットレストは、キャスター車輪が前方に設けられ、より大型の駆動車輪が後方に設けられた従来の型車椅子の構成上においても用いることが可能である。この「チャリオット」型の車椅子および従来の車椅子構成において、ユーザが縁石または障害物に乗り上げようとする際に、フットレストが通行の邪魔になる場合があり、妨害となり得る。しかし、この「ソリ」フットレスト131の折り返された前部が障害物132に接触した場合、この前部は、車椅子前方に配置されたリニア軸受122’を用いて軌道123’上を上方にスライドし、ユーザの足部および脚を前部と共に上昇させる。その結果、「チャリオット」型車椅子構成48の駆動車輪または従来の型車椅子構成49上のキャスター車輪(図1)がフットレストによる妨害無しに縁石または障害物を乗り上げることが可能になる。縁石または障害物を回避した後、「ソリ」は、ユーザの足部および脚の重量によって再度下降する。
図26A〜図26C、図27A〜図27Dおよび図1Aは、オプションで選択できる格納可能なバックレスト/ヘッドレスト47の実施形態を示す。このバックレスト/ヘッドレスト47は、多様な実施形態のアタッチメント143を用いて、使用されているシートバック151またはバックレスト115を支持しているケーン部へ付加され得る。アタッチメント手段は、垂直可動サポート144を上下にスライドさせ、それによって人間の背中および/または頭部を支持するバックレスト/ヘッドレストの構成要素を上下させることを可能にするガイドも提供する。図示の実施形態においては、支持を提供するピースが3つ存在している。しかし、アコーディオン状の構造の使用など、多数の異なる実施形態が存在する。図示のラチェット型の糸巻き107のようなデバイスであるコード型の拘束装置145を緩めた後、それらがそれら自身によって持ち上がる/上昇するように、そのセクションをバネ付勢するために利用できる多様な実施形態が存在する。
コードを繰り込んで保持するために利用され得る様々な実施形態、又は、バックレスト/ヘッドレストを折り畳む他の拘束装置がある。上昇位置にある場合、一実施形態は、その下にあるシートバックと同一平面上にある上背部および頭部を支持する最前部分を有する(図1A、図1Bおよび図26A〜図26C)。換言すれば、下側シートバックおよび上側シートバックおよびヘッドレストからなる面に不調和は無い。一実施形態において、水平方向サポートセクションは、成形発泡プラスチックによって構成され得る。バックレスト/ヘッドレストを展開させるために用いることが可能なバネの多様な実施形態が存在する。これらのうちのいくつかを、図1A、図1B、図26A、図26Bおよび図27A〜図27Dに示す。これらは、コイルバネ143、リンク機構141上のねじ巻き時計型のバネ(図27A)、リーフ型のバネ140(図27B)および空気型のバネ152(図27)を含む。図27Cは、バックレスト/ヘッドレストが完全に折り畳まれ得るよう、バネを入れ子にするための一実施形態を示す。最上部の水平方向サポートピースの上部には、「コード」145をその上部サポート上で引き下げることによりピースを折り畳むことができるよう、「コード」145が拘束されている(149)。ガススプリングが使用される場合、上要素がガススプリング(空気バネ)によって上昇するときに他の要素を同様に引き上げることとなるよう(図27D)、図27のリンク機構148またはコード型物質147は各水平方向要素に取り付けられる必要がある。
バックレスト/ヘッドレストを折り畳むために、ラチェット型の糸巻きまたは他のデバイス107を回転させる(図26A〜図26Cおよび図1Aおよび図1B)。図中においては糸巻きがシートの下側にあるが、糸巻きの配置についての別の実施形態、および、バックレスト/ヘッドレストを折り畳むための別の実施形態が存在する。成形またはパッド付き水平方向部材の別の例として、「織物製」の「スリング」の使用がある。この「スリング」は、アコーディオン状またはロール上に折り畳むことが可能であり、コイルバネまたはガス型バネ(単数または複数)によって展開される。
図28A〜図28Cは、乗り物(例えば、レバー駆動型車椅子200)の多様な部品上に配置され得る保護カバーの実施形態を示す。一実施形態は、感染性物質を含む物質がユーザの手から別のユーザ160へ移動しないよう、レバーハンドルおよびブレーキレバー上に配置され得るカスタム形状の使い捨て型スリーブである。換言すれば、各車椅子は、例えば感染制御機構としてレバーハンドルおよびレバー上に配置された清潔なスリーブを得ることができる。スリーブの一実施形態において、スリーブは、プラスチック、または、バクテリアおよび他の感染性有機体に対して不浸透性である他の物質によって構成され得る。一実施形態において、スリーブは、レバーハンドルおよびブレーキレバーを別々に収容する複数の「ポケット」を有して形成されることができ(160’、図28B)、あるいは、別々のポケット無しに形成され得る(160”、図28C)。保護スリーブは、車椅子などの乗り物の他の部分(例えば、フットレスト164、サポートフット162、アームレスト161および/またはバックレスト/ヘッドレスト)上に取り付けてもよい。
図29(170)は、ユーザが片足または両足を用いて片方または両方のレバーの動きを強化することを可能にする、「専用のレバー駆動車椅子」のアタッチメントの一実施形態である。いくつかの例において、逆の状況、すなわち、ユーザの腕が脚に比べて弱く、レバー上のユーザの腕による補助を受けながらも、実質的には脚が推進を行う、という状況があり得る。いずれの例においても、フットプレートの上方および下方への動きによってレバーを動かすことができるよう、フットプレート177上でフットストラップ177が使用され得る。換言すれば、ある人がフットプレートを押圧すると、レバー41が前方に移動するが、フットストラップを上方に引くと、レバー41は後方に移動する。
フットレストは、プッシュロッドへ取り付けられる。このプッシュロッドは、プッシュロッド174を支持するブッシュドロッドエンド型のデバイス173を通って延び、レバーが前後に動く(矢印176)につれて内外へ動く(矢印176’)。「レバーと脚の組み合わせによる駆動」は、車椅子の隆線付きのフレーム42へ取り付けられたサポートおよびアジャストメント176を介して、上下、前後および内外(左および右)に調節可能である。さらに、フットプレート175には角度を付けることができる。また、レバー105の下部に取り付けられた軌道171上において旋回軸172を上または下にスライドさせることにより、プッシュロッド174を角度付けすることができる。アタッチメントは、片足または両足に用いることができる。
本明細書中図示したアイテムに加えて、「専用のレバー駆動車椅子」に対してオプションで選択できるアタッチメントを非限定的に挙げると、ともに折り畳み可能であり、フレームへ取り付けられて上下に動く2つのアームレスト、車椅子の後方から誰かによって押されることが可能なように車椅子の後方に設けられたハンドル(単数または複数)、折り畳み可能な/取り外し可能なテーブル、除雪器、買い物などの目的のためのバスケット、小型のトレーラー/ワゴンを曳航できるようにするための曳航アタッチメント、掃除およびリーフブロワーのアタッチメント、スノーブロワーへのアタッチメントがある。
乗り物の実施形態および「専用のレバー駆動車椅子」としての実施形態は、手動のみで用いることができる。しかし、電動機アシストと共に構成することも可能である。フローチャート/模式図30は、電動機アシストの主要要素を示す。これらは、ユーザがレバーへ付加している力の大きさおよび付加されている力の方向(すなわち、前方または後方)を決定するトルク/力センサー(単数または複数)を含む。
ユーザによって設定されたゲイン調整により、ユーザが車椅子を推進するのを支援するために電力制御装置から電動機へ送るべき電力の大きさが、レバーへ付加されている力の大きさに対応して決定される。このシステムは、バッテリー電力も必要とする。選択されたモータのタイプによっては、電動機から高速回転を取り出し、より低速の回転速度に変換するためのギアボックスが必要になり得る。車椅子が前進のために「押圧」およびバックのために「牽引」の構成を用いるか否か、又は、車椅子が、レバーの押圧および牽引の両方において同一方向に車椅子が推進される「プッシュプル」構成であるか否か、によって若干異なる種類のコントローラが必要になることは明らかである。また、コントローラは、異なるゲインが各レバーのために付加されるようにも構成され得る。すなわち、各レバーへ同量の力を付加するために、異なるアシストが各レバーへ付加され得る。このようにすることにより、ユーザの各腕が異なる強度を有する場合、またはユーザの腕の動き/力を強化するための足用アタッチメントと共に用いられる場合、ユーザの脚の強度が異なる場合、またはユーザの腕の動きを強化するために片足だけを用いる場合などに、有用性が得られる。
理解されるように、電力制御装置がシステムの心臓である。電力制御装置は、ユーザがレバーへ付加している力の大きさおよび付加されている力の方向(すなわち、前方または後方)を決定するトルク/力センサー(単数または複数)からデータを入手し、この情報をユーザが選択したゲインおよびもしかすると速度情報と統合して、モータへ送られるべき電力量および前進か反転かを決定する。モータの種類によっては、これは、駆動車輪を直接的にまたはステップダウンギアボックスを通じて駆動する。
駆動車輪への出力軸の実施形態において、この出力軸は、駆動車輪へ延びない方の出力軸の端部(例えば、図13A〜図18、位置32を参照)が変速装置のハウジングを通って乗り物の内部へ延設され、例えば発電機または空気ポンプ/コンプレッサ、油圧ポンプまたは他の回転デバイスのような回転デバイスを駆動するための動力取出装置として用いられ得るような態様で構成され得る。デバイスによっては、回転デバイス中の動力取出装置間にギアボックスが用いられ得る。発電機の用途として、例えば、安全目的などのための夜間作動用照明の提供、バッテリーの充電および/または多様な電子デバイスの充電/給電がある。車椅子に座っている人間についての1つの医学的問題として、臀部および背中の皮膚を乾燥状態に保持することがある。動力取出装置を用いて空気ポンプ/空気コンプレッサを動作させて、カスタムシート下部および/またはカスタムシートバックを通じて空気を強制排気することができる。回転動力取出装置を提供することが可能な他の実施形態がある。
図31中の模式図は、カスタムシート下部および/またはカスタムシートバックへ空気を提供するための方法の2つの可能なかつ完全に包括的ではない実施形態を示す。1つのシステムは、点線のボックス内に図示されている高圧排気回路を用いる。空気ポンプ/空気コンプレッサからの加圧空気は、逆止弁を通じて移動して、空気圧タンクまたはバネ付勢型蓄圧器中へ移動する。圧力が所定レベルに達すると、圧力除去型弁が完全に開口し、空気が内部を吹き抜けてユーザの身体へ到達するように設計されたカスタムシート下部および/またはカスタムシートバックへ加圧空気を排気する。この弁は、圧力が弁がパチンと閉じる所定の圧力を下回るまで、開口状態のままである。高圧排気回路の代替例として、高圧排気回路を迂回する垂直点線によって示すように、カスタムシート下部および/またはカスタムシートバックへ連続的に空気をポンピングするだけの例がある。明確さのため、この技術は、高圧排気回路が完全に除去される(すなわち、この構成中に存在しない)場合に用いられる可能性が高い。
この「専用のレバー駆動車椅子」上の駆動車輪48は、駆動車輪駆動軸から離れた可撓性継ぎ手の方法により、または、変速装置全体を角度付けすることにより、正面から見て傾いた状態とされ得る。
本発明について特定の実施形態および用途について述べてきたが、当業者であれば、本開示を鑑みれば、特許請求の範囲に記載の本発明の範囲から逸脱することまたはそのような範囲を越えること無く、さらなる実施形態および改変例を生成することができる。よって、本明細書中の図面および記載は、本発明の理解を深めるための例示であり、その範囲を制限するものとして解釈されるべきではないことが理解されるべきである。