JP6514515B2 - 起電力発生装置 - Google Patents

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Description

本発明は、交番磁界を磁性体に印加することにより、磁性体に大バルクハウゼン効果による磁性変化を起こさせ、磁性体の磁性変化を利用してコイルに起電力を発生させる起電力発生装置に関する。
従来から、大バルクハウゼン効果による磁性体の磁性変化(磁気特性の変化)を利用して、コイルに起電力(パルス信号)を発生させる起電力発生装置(パルス信号発生装置)は知られている。例えば、下記特許文献1には、磁性体の構造としてワイヤタイプを採用した起電力発生装置が示されている。この起電力発生装置においては、バイカロイ合金をワイヤ素材として用い、伸線処理及び熱処理を交互に行うことにより、長手方向に異方性をもちかつ外周部分と中心部分で保磁力が異なる2層構造である、すなわち異方性でありかつ2つの保磁力である磁気特性をもつワイヤベースをまず用意する。そして、このワイヤベースに、容易軸方向の一端から他端に向けてコイルを巻き回す。この場合、ワイヤベースは、外部から印加される磁界を変化させると、大バルクハウゼン効果により、磁区構造の転移及び磁化反転を誘発して磁性変化を起こす。したがって、コイルは、ワイヤベースの磁性変化により、すなわち外部から印加される磁界の変化により、パルス信号を出力する。したがって、この起電力発生装置は、交番磁界の変化を検出する検出装置として用いられる。この場合、交番磁界の磁気履歴を変化させると、磁気履歴に従って正負のパルス信号が出力される。
また、下記特許文献1に係る起電力発生装置においては、前記伸線処理及び熱処理後、前記ワイヤベースに、その一端を固定するとともにその他端を左右交互に所定回数ずつ回転させることにより、捩り加工を施して、前記磁気履歴に従った正負のパルス信号の出力波高値を、出力波高値の大きな方に揃えるようにしている。また、下記特許文献1には、検出コイルのトータル巻線数は3000回であり、前記揃えられたパルス信号の出力波高値が約7Vであることが記載されている。これから、この起電力発生装置においては、パルス信号の出力波高値は検出コイルの1ターン当たり2.5mVと推測される。
また、下記特許文献2,3には、磁性体の構造をワイヤタイプではなく、成膜タイプとした起電力発生装置が示されている。下記特許文献2に示された起電力発生装置は、組成が異なる2種類の材料を成膜することで、異方性でありかつ2つの保磁力である磁気特性をもつ磁性膜を用いている。そして、この起電力発生装置では、パルス信号の出力波高値は検出コイルのトータル巻線数が100回で30mVであることが記載されている。これから、この起電力発生装置においては、パルス信号の出力波高値は検出コイルの1ターン当たり0.3mVと推測される。また、下記特許文献3に示された起電力発生装置は、基板上に塗料を部分的に塗布した後、基板上の全面に磁性体である薄膜を堆積させて、すなわち成膜条件の違いによって磁気特性が変化することを利用して、同一組成の材料で異方性でありかつ2つの保磁力である磁気特性をもつ磁性膜を用いている。ただし、下記特許文献3には、パルス信号の出力波高値に関しては、何ら記載されていない。
ここで、下記特許文献1〜3に記載されたパルス信号の発生について簡単に説明しておく。前記ワイヤベース又は前記磁性膜である磁性体の磁気特性は、例えば図24に示すような「段差のある角形カーブ」である。すなわち、磁性体は、磁界強度±Hc1と磁界強度±Hc2の2つの保磁力である磁気特性をもつ。そして、このような磁気特性をもつ磁性体を用いた起電力発生装置においては、まず、印加磁界を磁界強度+Hc2より大きくする。その後、負に向かう磁界を印加していくと、印加磁界が磁界強度−Hc1になったとき、比較的小さな負のパルス信号が発生される。さらに、負の印加磁界を強めて磁界強度−Hc2に到達する前で止めて、印加磁界を正側に反転させる。この正に向かう印加磁界が磁界強度+Hc1になったとき、比較的大きな正のパルス信号が発生される。そして、正の印加磁界を強めて磁界強度+Hc2以上とし、印加磁界を負側に反転させる。その後、印加磁界が、磁界強度−Hc1より大きくかつ磁界強度−Hc2より小さな負方向の磁界強度と、磁界強度+Hc2以上の正方向の磁界強度との間で繰り返し変化させることにより、波高の異なる正負のパルス信号が交互に発生される。この関係において、特に、下記特許文献1では、+Hc2以上(−Hc2以下)の交番磁界を印加することで、±Hc1のとき、正負の同じ波高のパルス信号が交互に発生されるようにしている。
特開2006−114857号公報 特開昭64−80121号公報 特開平09−232142号公報
しかしながら、上記特許文献1に示されたワイヤタイプの磁性体を用いた起電力発生装置においては、伸長処理及び熱処理を施す工程を複数回行わなければならないと同時に、捩り加工も施す必要があり、製造に手間がかかり、製造コストが非常に高くなるという問題がある。また、このワイヤタイプの起電力発生装置においては、波高値がコイルの1ターン当たり3mV程度のパルス信号を出力するもので、センシング技術に応用する場合であっても、その適用範囲が限定される。また、パルス信号の面積(波高×半値幅)すなわち電力量が大きいことが必要不可欠であるエナジーハーベスティングに適用することは難しい。さらに、ワイヤ端部の残留磁区と反磁界の影響を軽減するために、ワイヤが30mmの構造をとるために、起電力発生装置自体が大きくなるという問題もある。
また、上記特許文献2,3に示された成膜タイプの磁性体を用いた起電力発生装置は、製造方法の点では効率的であるが、出力パルス信号の波高値が、前記ワイヤタイプの起電力発生装置と比べると、10分の1程度しかなく、センシング及びエナジーハーベスティングに用いることも難しいという問題がある。
本発明は前記問題に対処するためになされたもので、その目的は、大きな出力波高値を有するパルス信号を出力させることができる起電力発生装置を提供することにある。なお、下記本発明の各構成要件の記載においては、本発明の理解を容易にするために、実施形態の対応箇所の符号を括弧内に記載しているが、本発明の各構成要件は、実施形態の符号によって示された対応箇所の構成に限定解釈されるべきものではない。
上記目的を達成するために、本発明の構成上の特徴は、交番磁界の印加により大バルクハウゼン効果による磁性変化(磁気特性の変化)を起こす磁性体(11)と、磁性体の磁性変化によって生じる通過磁束の変化により起電力を発生するコイル(12)とを備えた起電力発生装置において、磁性体は、異方性でありかつ単一保磁力である磁気特性をもち、磁性体に対して交番磁界が印加される側に、磁性体の容易軸方向の両端部分を覆うように両端部分に対向し、かつ磁性体の容易軸方向の中央部分には対向しないように隙間をあけて、磁性体の保磁力よりも小さな保磁力である軟磁性シート(13,13−1,13−2,16−1,16−2)を配置したことにある。
この場合、磁性体は、容易軸方向に長尺状の長方形状であるとよい。また、磁性体は、例えば、半硬磁性特性を示す磁性体からなる。また、磁性体は、例えば、FeCoを含む半硬磁性特性を示す磁性体からなる。この半硬磁性特性を示す磁性体の保磁力は、5エルステッド以上かつ100エルステッド以下に設定されることが好ましい。さらに、前記保磁力は、5エルステッド以上かつ50エルステッド以下に設定されることがより好ましい。軟磁性シートが対向していない磁性体の中央部分は、例えば、磁性体の容易軸に直交する方向に延設された2辺を有する方形状である。そして、磁性体の中央部分の2辺間の長さは、磁性体の容易軸長の50%以下であるとよい。また、交番磁界は、例えば、永久磁石(23,24)を磁性体に対して相対移動(回転移動、直線移動など)させることにより、磁性体に印加される。
本発明によれば、後述する試験結果から明らかなように、磁性体の磁気特性は単一保磁力であること、及び軟磁性シートによる磁気シールド機能及び集磁機能により、磁性体の大バルクハウゼン効果によりコイルから出力されるパルス信号の波高値が大きくなるとともに、複数のパルス信号の波高値もほぼ等しくなる。その結果、本発明の起電力発生装置を、物体の回転移動、直線移動などのセンシングに適用した場合、出力されるパルス信号による検出が的確かつ良好に行われるようになるとともに、前記検出の適用範囲が広くなる。また、本発明にかかる起電力発生装置を、上記先行技術1の起電力発生装置に比べて小さく構成できる。さらには、パルス信号の面積(波高×半値幅)すなわち電力量が大きいので、本発明による起電力発生装置を、出力パルス信号を用いたエナジーハーベスティングにも適用することができる。
また、磁性体の保磁力を5エルステッド以上かつ50エルステッド以下に設定すると、交番磁界の大きさを小さく済ませることでき、交番磁界を永久磁石により発生させる場合には、磁力があまり大きくなく安価な永久磁石を利用できる。さらに、磁性体の保磁力を5エルステッド以上かつ50エルステッド以下に設定した場合には、軟磁性シートによる磁気シールド機能を高くする必要がなくなり、安価かつ薄い軟磁性シートの利用が可能となる。
また、本発明の他の特徴は、磁性体が絶縁基板(14)上に成膜された磁性膜であることにある。この場合、コイルは、例えば、絶縁基板と磁性膜の外周に巻き回されている。また、コイルは、絶縁基板上にて、磁性膜の容易軸方向と交差する方向に延びた複数の線状部分を有する導電性膜で構成されていてもよい。これによれば、先行技術1の場合のような複雑な工程を経ずに、簡単かつ安価に本発明の起電力発生装置を製造できる。
また、本発明の他の特徴は、交番磁界は、磁性体に対して、磁性体の容易軸方向の2つの方向に磁性体の飽和磁界以上の磁界をそれぞれ印加するようにしたことにある。これによれば、コイルから正負の2つのパルス信号が得られて、例えば整流などを利用して2つのパルス信号を用いれば、物体の回転移動、直線移動などのセンシングにおける精度が向上する。
また、本発明の他の特徴は、交番磁界は、磁性体に対して、磁性体の容易軸方向の2つの方向のうちの一方の方向に磁性体の飽和磁界以上の磁界を印加し、かつ他方の方向に磁性体の保磁力以上かつ飽和磁界以下の磁界を印加するようにしたことにある。これによれば、前述した正負2つのパルス信号の一方の波高値が無視できる程度に小さくなって、起電力発生装置からは、実質的に正又は負の1つのパルス信号が出力されることになる。その結果、2つのパルス信号を整流することなく、簡単な構成で、起電力発生装置を、物体の回転移動、直線移動などのセンシングに利用できるようになる。
本発明の一実施形態に係る起電力発生装置を、回転検出装置に適用した例を示す概略斜視図である。 (A)は図1の起電力発生装置をコイルを省略して回転装置側から見た正面図であり、(B)は起電力発生装置の側面図である。 (A)はFeCo1μmの磁性膜の磁化曲線であり、(B)はFeCo3μmの磁性膜の磁化曲線である。 (A)は各種試験におけるオシロスコープを接続した起電力発生装置と、回転装置との組合わせを示す概略斜視図であり、(B)は(A)の起電力発生装置及び回転装置の概略平面図である。 (A)〜(C)は、試験1のケース1〜3における起電力発生装置からの出力信号波形をそれぞれ示す波形図である。 (A)〜(F)は、図5の1つの正のパルス信号の拡大波形と、負荷抵抗を接続した追加試験における1つの正のパルス信号の拡大波形とをそれぞれ示す波形図である。 (A)〜(C)は、試験2の異なる種類の軟磁性シートを用いた場合における起電力発生装置からの1つの出力波形をそれぞれ示す波形図である。 試験3の軟磁性シート間の隙間を異ならせて負荷抵抗値に対する出力パルス信号の出力面積の変化を示す図である。 (A)(B)は、試験4の軟磁性シートが無い場合におけるパルス信号の波形図である。 (A)は試験5における永久磁石、軟磁性シート及び観測面の位置関係を示す上面図であり、(B)はその側面図である。 (A)は試験5の軟磁性シートを設けない場合におけるシミュレーション結果を表す磁束密度の分布状態と磁界の方向を示す図であり、(B)は試験5の軟磁性シートを設けた場合におけるシミュレーション結果を表す磁束密度の分布状態と磁界の方向を示す図である。 (A)は試験6における軟磁性シートを磁性膜に密着させた状態を示す斜視図であり、(B)は(A)の側面図である。 試験7における楔形状の切欠きを設けた磁性膜の形状を示す正面図である。 第1変形例に係る起電力発生装置の概略側面図ある。 第2変形例に係る起電力発生装置の概略正面図ある。 (A)は第3変形例に係る起電力発生装置の絶縁基板、磁性膜及びコイルを示す概略正面図あり、(B)は第3変形例に係る起電力発生装置の絶縁基板、磁性膜及びコイルの他の例を示す概略正面図ある。 本発明の第1の適用変形例に係り、起電力発生装置を直動検出装置に適用した例を示す概略斜視図である。 本発明の第2の適用変形例に係り、起電力発生装置を直動検出装置に適用した他の例を示す概略斜視図である。 本発明の第3の適用変形例に係り、起電力発生装置を回転検出装置に適用した他の例を示す概略斜視図である。 (A)〜(C)は、前記第3の適用変形例における起電力発生装置からの出力信号波形をそれぞれ示す波形図である。 本発明の第4の適用変形例に係り、起電力発生装置を直動検出装置に適用した他の例を示す概略斜視図である。 本発明の第5の適用変形例に係り、起電力発生装置を直動検出装置に適用した他の例を示す概略斜視図である。 前記第5の適用変形例に係る磁性膜の磁界の変化を説明するために、永久磁石からの磁束線を描いたシミュレーション図である。 異方性でありかつ2つの保磁力である磁気特性をもつ磁性体の磁化曲線である。
以下、本発明の一実施形態を図面を用いて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る起電力発生装置(パルス信号発生装置)10を、回転装置20の回転検出に適用した例を示す概略斜視図である。図2(A)は、コイル12を省略して起電力発生装置10を回転装置20側から見た正面図である。図2(B)は、起電力発生装置10の側面図である。本明細書では、図示上下方向及び左右方向をそれぞれ起電力発生装置10及び回転装置20における上下方向及び左右方向として説明する。
まず、起電力発生装置10を物体の回転検出に適用した例について概略的に説明する。起電力発生装置10は、磁性膜11、コイル12及び軟磁性シート13−1,13−2を備えている。磁性膜11は、交番磁界の印加により磁化反転が誘発されて、この磁化反転による起電力、すなわち大バルクハウゼン効果によりコイル12に起電力を発生させる磁性体である。磁性膜11は、異方性(磁気異方性)でありかつ単一保磁力である磁気特性をもち、絶縁基板14上に設けられている。
コイル12は、磁性膜11の容易軸方向の一端から他端に向けて、磁性膜11及び絶縁基板14の外周に磁性膜11の容易軸方向(図示上下方向)に直交する方向に対して僅かに傾けて巻き回されて、その両端を磁性膜11の容易軸方向の両端部近傍に位置させている。そして、コイル12は、磁性膜11の磁化反転(大バルクハウゼン効果)によって生じるコイル12内を通過する磁束の変化により、起電力(パルス信号)をその両端から出力する。軟磁性シート13−1,13−2は、それぞれ長方形状に形成され、コイル12の右側に、磁性膜11の上部分及び下部分を覆うように上部分及び下部分にそれぞれ対向して配置され、磁性膜11の中央部分には隙間が設けられている。すなわち、軟磁性シート13−1,13−2は、磁性膜11に対して、永久磁石23,24による交番磁界が印加される側に位置する。そして、軟磁性シート13−1,13−2は、後述する永久磁石23,24による磁性膜11に対する磁界の印加に対して、磁気シールド機能及び集磁機能を発揮するものである。これらの磁性膜11、コイル12及び軟磁性シート13−1,13−2については詳しく後述する。
起電力発生装置10の右側には、回転装置20が設けられている。回転装置20は、回転物体である回転軸21に固定されて、図示矢印方向に回転軸21と一体回転する円盤状の回転板22を有する。回転板22の直径は、80mmである。回転板22の上面外周近傍部であって円周方向に180度の角度間隔を隔てた対角位置に、永久磁石23,24がそれぞれ固定されている。永久磁石23,24は、回転軸21の回転中心からそれぞれ等距離の位置に配置されている。
永久磁石23,24は、N極及びS極を互いに逆にして上下方向に磁化されており、回転板22の回転に伴い磁性膜11に対し相対移動して磁性膜11に交番磁界を印加する磁界印加媒体である。永久磁石23,24は、直方体であって、互いに平行な一対の側面を回転板22の径方向に直交させて、その下端面にて回転板22の上面に固定されている。永久磁石23,24の上下方向の長さはそれぞれ10mmであり、各一対の側面間の長さはそれぞれ3mmである。そして、永久磁石23,24が、回転により起電力発生装置10に近づいた状態では、磁性膜11に対して、平行及び反平行(上下方向逆の方向)の磁界を磁性膜11の上下方向(後述する容易軸方向)に略平行になるようにそれぞれ印加する。本実施形態の場合、永久磁石23,24が磁性膜11に最も近づいたときの磁性膜11との距離は5mmであり、このときには、永久磁石23,24により、平行及び反平行共に飽和磁界以上(後述する保磁力±Hcの5倍以上)の磁界が磁性膜11にそれぞれ印加される。
前記構成において、回転軸21を回転させると、回転板22が図示矢印方向に回転する。永久磁石23,24も、回転軸21及び回転板22と共に回転軸21周りに回転する。この永久磁石23,24の回転により、磁性膜11にはその容易軸方向の強度が時間経過に従って変化する外部磁界、すなわち交番磁界が印加される。そして、永久磁石23,24が磁性膜11に最も近づいた状態では、平行及び反平行の飽和磁界以上の磁界が磁性膜11に印加されるので、永久磁石23,24の回転に伴い、磁性膜11には磁化反転が誘発される。そして、回転板22の回転により、永久磁石23,24による磁界が磁性膜11の保磁力±Hcに変化した時点で、磁性膜11には大バルクハウゼン効果による磁性変化(磁気特性の変化)が起こり、この磁性膜11の磁性変化により、コイル12には起電力が発生し、コイル12の両端には正負のパルス信号が現れる。そして、詳しくは後述するように、この正負のパルス信号の波高値は大きくかつパルス信号の出力面積(波高値×半値幅)すなわち電力量も、上述した先行技術の場合に比べて大きくなる。その結果、前記正負のパルス信号を用いることにより、前記構成で回転軸21及び回転板22の回転が的確に検出されるとともに、後述するエナジーハーベスティングにも利用できるようなる。
このような波高値及び出力面積の大きなパルス信号を得るためには、詳しくは後述するが、磁性膜11にその飽和磁界以上の磁界を印加して、磁性膜11をセット状態及びリセット状態にする磁気履歴が必要である。そして、セット状態時及びリセット状態時の磁界方向と反平行である動作磁界(保磁力)以上の磁界を磁性膜11にそれぞれ印加して、その時点で磁性膜11に大バルクハウゼン効果による磁性変化を起こさせ、この磁性膜11の磁性変化により、コイル12に正負のパルス信号を発生させる。なお、この場合における反平行の磁界とは、セット状態時及びリセット状態時の磁界方向とはそれぞれ反対方向であって、前記磁界方向と平行な磁界であることを意味する。そして、以下の説明でも、反平行なる用語をこの意味で用いる。この飽和磁界について、本発明者は定量的に測定を行った。後述する実施例の磁性膜11(FeCo1μm,FeCo3μm)において、保磁力の約5倍以上の磁界強度があれば磁性膜11はセット状態及びリセット状態になることを実験的に確認した。なお、本明細書では、飽和磁界という言葉を使用しているが、この飽和磁界は後述する「単磁区構造の状態」を指す。そして、この飽和磁界を印加した「単磁区構造の状態」が、前記セット状態及びリセット状態を指す。
次に、起電力発生装置10を構成する磁性膜11、コイル12及び軟磁性シート13−1,13−2について詳しく説明しておく。磁性膜11は、容易軸方向に長尺状の長方形状である。この磁性膜11は、絶縁基板14上に磁性材料をDCマグネトロンスパッタ装置で成膜した後、磁場中でアニール処理を施すことにより面内に異方性を誘導して、結晶構造が容易軸方向に揃えられている。絶縁基板14は、長さ15mmかつ幅3.5mmにダイシングされた厚さ0.25mmの絶縁性のSi基板である。磁性膜11は絶縁基板14のダイシング前にパターニングされている。パターニング後の磁性膜11のパターン形状は、容易軸長L1が14mmであり、かつ困難軸幅W1が3mmであり、絶縁基板14の表面の縁部には成膜されていない。なお、容易軸とは、磁化され易い方向の軸であり、本実施形態では図2(A)の上下方向である。困難軸とは、磁化され難い方向の軸であり、本実施形態では図2(A)の左右方向である。そして、本実施形態では、容易軸方向の寸法を容易軸長、困難軸方向の寸法を困難軸幅とする。
磁性膜11としては、下記(1)(2)の2種類を用意して、起電力発生装置10を製作した。
(1)NiFe(82:18Atm%)からなる厚さ0.1μmの下地層としての膜上に連続して、FeCo(50:50Atm%)を厚さ1μmで成膜して磁性膜11(NiFe0.1μm\FeCo1μm)を構成した。
(2)前記(1)の磁性膜11と同様な磁性膜(NiFe0.1μm\FeCo1μm)の膜上に、非結晶質(酸化膜)すなわち中間層を介して前記(1)の磁性膜11と同様な磁性膜(NiFe0.1μm\FeCo1μm)を成膜し、さらにその上に前記中間層を介して前記(1)の磁性膜11と同様な磁性膜(NiFe0.1μm\FeCo1μm)を成膜して、FeCoのトータル膜厚を3μmとした磁性膜11を構成した。
なお、以下の説明では、前記(1)の磁性膜11を単にFeCo1μmの磁性膜11といい、前記(2)の磁性膜11を単にFeCo3μmの磁性膜11という。
FeCo(50:50Atm%)の磁束密度は、大きな磁化量を得ることができる約2.45テスラという高い値である。下地層であるNiFeは、FeCoの結晶の配向性を制御して(揃えて)、面内に異方性を付与する目的で用いた。また、中間層は、前記FeCo1μm間の密着性を向上させるとともに、前記FeCo3μmの成膜時における応力を緩和して前記FeCo3μmの変形を防止する目的で用いた。このようにFeCo1μm又はFeCo3μmの磁性膜11を用いることで、簡単かつ生産性に富んだ方法により磁性膜11を形成できる。
この磁性膜11の磁気特性について、図3(A)(B)の磁化曲線を用いて説明しておく。図3(A)(B)は、FeCo1μmの磁性膜11及びFeCo3μmの磁性膜11の容易軸方向の磁化曲線をそれぞれ示す。これらの磁性膜11は共に、異方性でありかつ単一保磁力(±Hc)である磁気特性をもつことが、図3(A)(B)から理解できる。すなわち、これらの磁化曲線は、「段差のない角型カーブ」となる。なお、「段差のない角型カーブ」とは、図3(A)(B)における磁性体の飽和磁化をMsとし、かつ残留磁化をMrとすると、角形比(Mr/Ms)が高いことを意味する。そして、角形比(Mr/Ms)が高いことは、異方性が高いことを意味する。また、前記FeCo1μmの磁性膜11及びFeCo3μmの磁性膜11では、前述のように、外部磁界が保磁力±Hcの5倍程度であれば、飽和磁界Msに達する。なお、FeCo1μmの磁性膜11の保磁力±Hcは16エルステッド(Oe)であり、FeCo3μmの磁性膜11の保磁力±Hcは14エルステッドである。
このような「段差のない角型カーブ」の磁性体に対し、特許文献1〜3の先行技術で説明した磁性体は、異方性でありかつ2つの保磁力(±Hc1,±Hc2)である磁気特性をもつ磁性体であることが、前述した図24の磁化曲線からも理解できる。すなわち、先行技術で説明した磁性体の磁化曲線は、「段差のある角型カーブ」である。この点で、本発明に係る磁性膜11(磁性体)は、先行技術で説明した磁性体とは異なる。また、永久磁石23,24による交番磁界によってコイル12の両端から発生されるパルス信号の起電力は、交番磁界によって誘発される磁化変化量に比例する。したがって、本実施形態のような「段差のない角型カーブ」の磁性膜11(磁性体)を用いて起電力を発生させた方が、大きな起電力を発生させることができ、先行技術で説明した「段差のある角型カーブ」の磁性体を用いるよりも有利となる。
さらに、図3(A)(B)の説明を続けると、図3(B)の磁化は、図3(A)の磁化を「1」に規格化した単位で示しており、FeCo3μmの磁性膜11の磁化の大きさは、FeCo1μmの磁性膜11の磁化の大きさの3倍を表しており、この3倍は膜厚の差を表している。したがって、磁性膜11の膜厚を大きくすれば、大きな磁化変化量により、大きな起電力が得られることも理解できる。
また、前述のように、交番磁界によるコイル12の両端から発生されるパルス信号の起電力は、磁性膜11の磁化量に比例する。そして、材料そのものの磁束密度が高い方が好ましい。よって、本実施形態の磁性膜11のように2.45テスラという高い磁束密度を有する、Fe,Coを50%ずつ混合した合金FeCoを磁性膜11として用いることが好ましい。しかし、FeCoの混合率は、用途及び永久磁石23,24による交番磁界の違いにより、50%ずつ以外の混合率であってもよい。また、FeCo以外でも、強磁性金属であるFe,Ni,Coの組み合わせを異ならせて混合した合金であるFeNi,FeNiCO,NiCoを磁性膜11として用いることもできる。そして、これらのFeNi,FeNiCO,NiCoを磁性膜11として用いる場合も、スパッタ、EB蒸着、鍍金などにより成膜し、磁場中成膜及び/又は磁場中熱処理することにより磁性膜11を形成するようにする。これによっても、「段差のない角型カーブ」の磁性膜11(磁性体)を形成できる。なお、FeCo以外の合金を選択すると、材料費が安価になるという利点がある。
また、これらの合金FeCo,FeNi,FeNiCO,NiCoは、Fe,Ni,Coの混合率を変化させることにより、保磁力が異なる軟磁性体、半硬磁性体及び硬磁性体がそれぞれ形成される。なお、本明細書では、軟磁性体は5エルステッド未満の保磁力を有する磁性体であり、半硬磁性体は5エルステッド以上かつ500エルステッド以下の保磁力を有する磁性体であり、硬磁性体は500エルステッドより大きな保磁力を有する磁性体である。したがって、本実施形態のFeCo1μm及びFeCo3μmの磁性膜11は半硬磁性体である。また、Fe,Ni,Coの混合率の異なる合金FeCo,FeNi,FeNiCO,NiCoは、それぞれ異なる保磁力をもつ。
また、保磁力はパルス信号が発生される動作磁界となるため、交番磁界を発生させる媒体として永久磁石を用いる場合には、磁力が大きい高価な磁石でなく、磁力のあまり大きくない安価な磁石を用いることができるように、保磁力を100エルステッド以下に抑えるとよい。一方、環境による浮遊磁界及び温度に影響されないようにするためには、保磁力を5エルステッド以上にする必要がある。したがって、磁性膜11としては、保磁力が5エルステッド以上かつ100エルステッド以下に調整された半硬磁性特性を示す磁性膜が好ましい。
また、FeCo,FeNi,FeNiCO,NiCoに、Cr(クロム),V(バナジウム)等を数%含ませると、「段差のない角型カーブ」を維持させながら、保磁力を調整できる。なお、この場合におけるCr,Vの含有率を増加させると、保磁力は上昇する。したがって、用途及び永久磁石23,24による交番磁界の違いにより、適当な混合率で混合したFeCo,FeNi,FeNiCO,NiCoに、Cr(クロム),V(バナジウム)等を適当な含有率で含有させるとよい。
また、本実施形態では、異方性を付与するために、NiとFeを82%,18%の混合率で混合したNiFeをFeCoの下地層とした。しかし、「段差のない角型カーブ」が得られれば、NiとFeの混合率を82%,18%以外の混合率にしてもよい。また、Cu,Ag,Ru等の非磁性の遷移金属をFeCoの下地層として用いることもできる。これらのCu,Ag,Ru等の非磁性の遷移金属を用いても、FeCoの結晶の配向性が制御され、磁場中熱処理(誘導磁気異方性)により、FeCoの面内に異方性が付与されて、「段差のない角型カーブ」をもつ磁気特性が得られる。さらに、前述のように、FeCoに代えて、FeNi,FeNiCO,NiCoを用いたり、FeCo,FeNi,FeNiCO,NiCoにCr,Vの含有させて保磁力を調整したりする場合でも、Cu,Ag,Ru等の非磁性の遷移金属を用いると、前記合金の結晶の配向性が制御されて異方性が付与される。
ふたたび、図1及び図2の説明に戻ると、コイル12は、前述のように、磁性膜11及び絶縁基板14の外周上に磁性膜11の容易軸方向(図示上下方向)と直交する方向に対して僅かに傾けて巻き回されている。このコイル12は、直径0.05mmの巻線コイルであり、磁性膜11の容易軸長14mmに渡って巻き回されている。なお、コイル12の外表面が絶縁膜で覆われている場合には、コイル12を磁性膜11上に直接巻き回してよいが、コイル12の外表面が絶縁膜で覆われていない場合には、磁性膜11上に絶縁膜を塗布した後に、コイル12を絶縁膜上に巻き回すようにする。そして、今回は、FeCo1μmの磁性膜11を有する起電力発生装置10に対してトータル巻線数1500ターンの1種類を用意するとともに、FeCo3μmの磁性膜11を有する起電力発生装置10に対してトータル巻線数1500ターンとトータル巻線数3000ターンの2種類を用意した。
軟磁性シート13−1,13−2は、前述のように長方形状に形成され、それぞれ磁性膜11の上部表面及び下部表面の全体を覆うように磁性膜11に対向させて配置されている。軟磁性シート13−1,13−2は、絶縁基板14の幅と同じ3.5mmの横幅をそれぞれ有するとともに、上下方向の長さをそれぞれ5mmとしている。軟磁性シート13−1の上端の高さは絶縁基板14の上端の高さと同じであり、軟磁性シート13−2の下端の高さは絶縁基板14の下端の高さと同じであり、軟磁性シート13−1,13−2の幅方向両端は絶縁基板14の幅方向両端に対向している。そして、軟磁性シート13−1と軟磁性シート13−2との間には、5mmの隙間が設けられている。すなわち、軟磁性シート13−1は絶縁基板14の3分の1の上部分に対向して磁性膜11の上部分を覆い、軟磁性シート13−2は絶縁基板14の3分の1の下部分に対向して下部分を覆っている。
本実施形態では、軟磁性シート13−1,13−2間の距離5mmは、容易軸長L1(14mm)の約36%程度である。しかし、軟磁性シート13−1,13−2が後述する磁性膜11に対する磁気シールド機能及び集磁機能を発揮するならば、軟磁性シート13−1,13−2間の距離は容易軸長L1(14mm)の50%(7mm)以下、すなわち軟磁性シート13−1,13−2の寸法は磁性膜11の両端約25%(約3.5mm)以上を覆い隠す程度であればよい。また、軟磁性シート13−1,13−2間に隙間さえあれば、隙間の最小値は大きな問題ではなく、最小値としては例えば0.5mm(容易軸長L1の3.6%)程度までよい。
また、軟磁性シート13−1,13−2との間の隙間は、磁性膜11の容易軸方向と直交する方向であって平行な2辺をもつ長方形状であるとよい。言い換えれば、軟磁性シート13−1の下端の一辺と軟磁性シート13−2の上端の一辺とは、磁性膜11の容易軸方向と直交する方向であって互いに平行な2辺であるとよい。これは、詳しくは後述するように、飽和磁界と反平行の保磁力とほぼ釣り合う弱い磁界では、この磁性膜11の容易軸方向の中央部分以外には、軟磁性シート13−1,13−2の磁気シールド機能により、磁界が印加されない場合と同じ程度に磁界が弱まり、軟磁性シート13−1,13−2の集磁機能により中央部分のみに磁性膜11の容易軸方向と平行な平行磁界が印加されて、磁性膜11の単磁区に、長い線状の磁壁(核生成箇所)が一カ所に集中し、磁区構造の転移や磁化回転をすることなく、磁壁が磁性膜の両端に伝搬して一斉反転を起こすと考えられるからである。
また、軟磁性シート13−1,13−2は、本実施形態では、保磁力が小さく(磁性膜11の保磁力より小さく)、かつ透磁率が大きな軟磁性金属であるアモルファス磁性合金で構成したシートを用いている。具体的には、日立金属社製の商品名「ファイメット」を使用している。ただし、軟磁性シート13−1,13−2としては、保磁力が小さく、かつ透磁率が大きな軟磁性金属を用いたシートであれば、例えば、ケイ素鋼、パーマロイ、センダスト、パーメンジュール、ソフトフェライト、アモルファス磁性合金などのいずれかの軟磁性金属を用いたシートであれば、種々のシートを用いることができる。商品名で言うならば、磁気シールド材として販売されている日立金属社製の商品名「ファイメット」又はTDK社製の商品名「フレキシールド」を用いることができる。また、トランスのコア材として販売されている、新日鉄社製の商品名「ハイライトコア」を用いることもできる。なお、「ハイライトコア」は、ケイ素合金である。また、シートとは、前記「ハイライトコア」の0.35mmの薄板から、前記「ファイメット」の18μmの箔状までの状態をさし、軟磁性シート13−1,13−2として種々の厚さのものを利用できる。
また、軟磁性シート13−1,13−2は、前記実施形態では、永久磁石23,24と磁性膜11の間であって、磁性膜11までの距離を1〜2mmとする磁性膜11の近くに配置されている。しかし、軟磁性シート13−1,13−2が、永久磁石23,24又は磁性膜11のどちらか一方に密着して配置されていない限り、軟磁性シート13−1,13−2の磁気シールド機能及び集磁機能が発揮されるならば、前記配置位置は限定されない。なお、軟磁性シート13−1,13−2が永久磁石23,24又は磁性膜11のどちらか一方に密着していると、詳しくは後述するように、軟磁性シート13−1,13−2が、永久磁石23,24又は磁性膜11に磁気的結合して、軟磁性シート13−1,13−2の磁気シールド機能及び集磁機能が発揮されない。
このように磁性膜11、コイル12及び軟磁性シート13−1,13−2を用いて構成した起電力発生装置10においては、後述する試験結果から明らかなように、磁性膜11の磁気特性は異方性でありかつ単一保磁力であること、及び軟磁性シート13−1,13−2による磁気シールド機能及び集磁機能により、コイル12から出力される磁性膜11の大バルクハウゼン効果によるパルス信号の波高値が大きくなるとともに、複数のパルス信号の波高値もほぼ等しくなる。その結果、前記実施形態によれば、正負のパルス信号により回転軸21及び回転板22の回転検出が的確かつ良好に行われる。なお、前記回転検出においては、正負のパルス信号を整流して用いることが一般的である。また、磁性膜11は絶縁基板14上に成膜され、コイル12は絶縁基板14と磁性膜11の外周上に巻き回されているので、複雑な工程を経ずに、簡単に起電力発生装置10を製造できる。
なお、前記実施形態の説明においては、磁性膜11及び絶縁基板14と、コイル12と、軟磁性シート13−1,13−2との位置関係を明確にするために、これらの配置関係のみについて説明した。しかし、本実施形態に係る起電力発生装置10を機械装置のセンシング又は後述するエナジーハーベスティングに適用して実際に用いる場合には、これらの絶縁基板14(磁性膜11)、コイル12及び軟磁性シート13−1,13−2を前述したように配置するために、固定する必要がある。特殊な機械装置のセンシング又はエナジーハーベスティングに利用する場合には、例えば、種々の支持部材又は固定部材を用いて、絶縁基板14(磁性膜11)、コイル12及び軟磁性シート13−1,13−2を機械装置に固定するようにすればよい。
しかし、種々の装置のセンシング又はエナジーハーベスティング用の部品として使用する場合には、絶縁基板14(磁性膜11)、コイル12及び軟磁性シート13−1,13−2を一体的にパッケージングするとよい。この場合、例えば、磁性膜11及び絶縁基板14に巻き回したコイル12上に、軟磁性シート13−1,13−2を接着材などを用いて固着する。そして、絶縁基板14(磁性膜11)、コイル12及び軟磁性シート13−1,13−2を、絶縁性の合成樹脂でパッケージングするとよい。なお、これらの絶縁基板14(磁性膜11)、コイル12及び軟磁性シート13−1,13−2の固定又はパッケージングに関しては、後述する種々の変形例及び適用例についても同様である。
a.試験
次に、前述した起電力発生装置10に関して行った試験及び検証について説明する。
a1.試験1
次の(1)〜(3)の3種類の起電力発生装置10によるパルス信号の発生について試験した。
ケース1:FeCo1μmの磁性膜11かつコイル12のトータル巻線数1500ターンの起電力発生装置
ケース2:FeCo3μmの磁性膜11かつコイル12のトータル巻線数1500ターンの起電力発生装置
ケース3:FeCo3μmの磁性膜11かつコイル12のトータル巻線数3000ターンの起電力発生装置
他の構成は前記実施形態で説明した起電力発生装置10と同じであり、回転装置20も前記実施形態で説明したものと同じである。
この試験1では、図4(A)の概略斜視図に示すように、コイル12の両端をプローブ41を介してオシロスコープ40に接続した。なお、この試験1のケース1〜3では、図4において起電力発生装置10とオシロスコープ40との間にてコイル12の両端に接続されている負荷抵抗31は無しである。また、オシロスコープ40(×10)の入力インピーダンスは10MΩである。そして、ケース1〜3において、回転板22を、図4(A)の斜視図及び図4(B)の平面図に示すように、矢印方向にそれぞれ回転させた。回転板22のA位置が磁性膜11に最も近づいたとき(すなわち永久磁石23が磁性膜11に最も近づいて磁性膜11に対向したとき)、磁性膜11にその飽和磁界が印加される(以下、この状態をセット状態という)。回転板22のB位置が磁性膜11に最も近づいたとき、セット状態とは反平行の保磁力(−Hc)相当の磁界(動作磁界)が磁性膜11に印加される。このとき、第1のパルス信号が出力される。
回転板22のC位置が磁性膜11に最も近づいたとき(すなわち永久磁石24が磁性膜11に最も近づいて磁性膜11に対向したとき)、A位置の場合とは逆方向(B位置の場合と同じ方向)の飽和磁界が磁性膜11に印加される(以下、この状態をリセット状態という)。回転板22のD位置が磁性膜11に最も近づいたとき、リセット状態とは反平行の磁性膜11の保磁力(+Hc)相当の磁界(動作磁界)が磁性膜11に印加される。このときに、第2のパルス信号が出力される。第1及び第2のパルス信号は、正負の関係の出力となる。このようにして、回転板22の1周で、正負2つのパルス信号が出力される。
この試験により得られた出力波形を図5に示す。図5(A)〜(C)は、それぞれケース1〜3の3種類の試験において、負荷抵抗31無し(内部抵抗10MΩのみ)の状態で、回転板を6回転半回転させた出力特性である。ケース1〜3の全ての試験において、正負共に15V以上の出力電圧がばらつきなく得られた。コイル12の1ターン当たりの正負の出力の平均値は、次のとおりである。ケース1(FeCo1μm、1500ターン)の場合には、11.9mVである。ケース2(FeCo3μm、1500ターン)の場合には、16.8mVである。ケース3(FeCo3μm、3000ターン)の場合には、12.2mVである。これらの試験結果により、いずれのケースでも、先行技術で説明した従来の装置におけるコイルの1ターン当たりの2.5mV,0.3mVよりも格段に高い10mV/1ターン以上が得られた。
次に、10KΩの負荷抵抗31(図4参照)を接続して、前記試験と同じ追加試験を行った。図6は、前記試験と今回の追加試験の1つの正のパルス信号の拡大波形図である。図6(A)はケース1(FeCo1μm、1500ターン)の前回の試験(負荷抵抗31無し)の場合のパルス信号の拡大波形図であり、図6(B)はケース1(FeCo1μm、1500ターン)の今回の追加試験(負荷抵抗31有り)の場合のパルス信号の拡大波形図である。図6(C)はケース2(FeCo3μm、1500ターン)の前回の試験(負荷抵抗31無し)の場合のパルス信号の拡大波形図であり、図6(D)はケース2(FeCo3μm、1500ターン)の今回の追加試験(負荷抵抗31有り)の場合のパルス信号の拡大波形図である。図6(D)はケース3(FeCo3μm、3000ターン)の前回の試験(負荷抵抗31無し)の場合のパルス信号の拡大波形図であり、図6(E)はケース3(FeCo3μm、3000ターン)の今回の追加試験(負荷抵抗31有り)の場合のパルス信号の拡大波形図である。
これによれば、ケース1,2では、コイル12の特性の影響はなく、共振が発生されない。しかし、ケース3では、コイル12の特性の影響により共振が発生するが、負荷抵抗31により、共振は抑制されている。したがって、起電力発生装置10を回転検出に用いる場合には、検出回路側に小さな抵抗値の負荷抵抗を接続することにより、共振によるパルス信号を抑制できることが分かる。
さらに、負荷抵抗31の値を5kΩ、2kΩ、1kΩにして、前記試験と同じ追加の試験を行った。そして、負荷抵抗31の抵抗値の大きさの違いによるパルス信号の波高値(V)を下記表1に示す。また、半値幅を1/2の波高値時の時間(μs)として、波高値×半値幅で算出したパルス信号の出力面積(μV・s)を表2に示す。
Figure 0006514515
Figure 0006514515
この表2より、コイル12のターン数と膜厚(面積×磁束密度が同じであるため、ここでは膜厚とした)が増加するに従って、出力面積が増加するが分かる。また、出力面積と、ターン数×膜厚との間には、一定の関係式(α×出力面積≒ターン数×膜厚)が成立することも分かる。これにより、センシング及び後述するエナジーハーベスティングに必要な、波高及び/又は出力面積の特性選定が容易になし得る。
a2.試験2
次に、軟磁性シート13−1,13−2の選択に関する試験を行った。前記実施形態においては、軟磁性シート13−1,13−2として、日立金属社製の商品名「ファイメット」を使用した。図4に示した測定環境で資料(FeCo3μmの磁性膜11、かつコイル12のトータル巻線数1500ターン)でパルス信号の波高値を測定した。なお、この場合も、前述したように、負荷抵抗31無しの状態で行った。軟磁性シート13−1,13−2としては、トランスのコア材として新日鉄社製の商品名「ハイライトコア」及びTDK社製の商品名「フレキシールド」の確認を行った。商品名「ファイメット」、商品名「ハイライトコア」及び商品名「フレキシールド」を用いた場合の1つのパルス信号の出力波形図を図7(A)〜(C)にそれぞれ示す。また、パルス信号の波高値と、前記試験の出力面積の結果を下記表3に示す。
Figure 0006514515
この試験2の結果、軟磁性シート13−1,13−2の透磁率の違いにより、波高値は異なるが、出力面積は同じになる。したがって、保磁力が小さく(磁性膜の保磁力より小さい)、かつ透磁率が大きいものであれば、商品名「ファイメット」に限らず、種々のシートを軟磁性シート13−1,13−2として利用できることが分かる。
a3.試験3
次に、軟磁性シート13−1,13−2間の距離(隙間)についての試験を行った。前記実施形態では、軟磁性シート13−1,13−2間の距離を5mmとした。図4に示した測定環境で資料(FeCo3μmの磁性膜11、かつコイル12のトータル巻線数3000ターン)でパルス信号の波高値を測定した。なお、この場合も、負荷抵抗31は無しの状態で行った。軟磁性シート13−1,13−2としては、日立金属社製の商品名「ファイメット」を使用し、軟磁性シート13−1,13−2間の距離を、間隔2mm(容易軸長L1の14%)、5mm(容易軸長L1の36%)、7mm(容易軸長L1の50%)で、負荷抵抗31の抵抗値を変えたときの出力面積(μV・s)を測定した。測定結果を、図8に示す。これによれば、軟磁性シート13−1,13−2間の距離を変えても、出力面積は同じとなる。したがって、前述のように、軟磁性シート13−1,13−2間の距離は容易軸長L1(14mm)の約50%(約7mm)以下、すなわち磁性膜11の容易軸方向の両端約25%(約3.5mm)を覆い隠す寸法であればよい。また、軟磁性シート13−1,13−2間に隙間さえあれば問題はなく、例えば軟磁性シート13−1,13−2間の距離の最小値は0.5mm(容易軸長L1の3.6%)程度までよい。
a4.試験4
次に、軟磁性シートが無い場合のパルス信号の出力について試験4を行った。この試験においては、図4に示した測定環境で資料(FeCo1μmの磁性膜11、かつコイル12のトータル巻線数1500ターン)であって軟磁性シート13−1,13−2を設けず、かつ負荷抵抗31を接続しない状態で、パルス信号の波高値を測定した。図9(A)は、回転板22を4回転半回転させた出力(V)を示す。図9(B)は、図9(A)の平均的なパルス信号を200μsの分割で測定(狭域測定)した特性を示している。
この試験結果によれば、軟磁性シートを設けない場合でも、異方性でありかつ単一保磁力である磁気特性をもつ磁性膜11を用いれば、パルス信号が出力されることが確認された。しかし、その平均波高値は、軟磁性シートを設けた場合における15V(図5(B)参照)に対してその1/10以下であり、大きなバラツキを有し、かつ出力信号には多くのノイズが存在する。また、狭域測定結果から、波高値の異なる複数のパルス信号(起電力)が発生していることも分かる。したがって、軟磁性シートを設けないと、適切なパルス信号を得ることができず、センシング及び後述するエナジーハーベスティングに利用できないことが理解できる。言い換えれば、起電力発生装置10においては、軟磁性シート13−1,13−2は不可欠である。
a5.試験5
次に、軟磁性シート13−1,13−2の機能を確認するための試験5を行った。この試験においては、図10(A)の上面図及び図10(B)の側面図に示すように、永久磁石23(24)を観測面11A(磁性膜11に対応)に対してその膜延設方向(図示左右方向)に移動させ、(a)非常に弱い磁界、(b)保磁力と同じ弱い磁界、(c)飽和磁界(保磁力の5倍程度)が磁性膜11に印加されるようにして、軟磁性シート13−1,13−2を設けない場合と、軟磁性シート13−1,13−2を設けた場合とで、観測面11Aにおける磁力分布のシミュレーションを行った。また、永久磁石23(24)としては、前述した各種試験と同様に、上下長さ10mm、前後左右幅3mm,3mmの直方体の永久磁石を用いた。この場合、軟磁性シート13−1,13−2は、パーマロイで方形状に形成され、前述した各種試験と同様に、上下方向の長さをそれぞれ5mmとするとともに、左右方向の長さを3.5mmとし、かつそれらの間隔を5mmとした。そして、軟磁性シート13−1,13−2を永久磁石23(24)の上端部及び下端部にそれぞれ対向させて、上端部及び下端部を覆った。観測面11Aは、上下長さ15mmかつ左右長さ4mmである。観測面11Aと永久磁石23との距離は4mmであり、永久磁石23と軟磁性シート13−1,13−2との距離は2mmである。
図11(A)は、軟磁性シート13−1,13−2を設けない場合における前記条件(a),(b),(c)での磁束密度の分布状態と磁界の方向を表す。図11(B)は、軟磁性シート13−1,13−2を設けた場合における前記条件(a)(b)(c)での磁束密度の分布状態と磁界の方向を表す。なお、図11(B)においては、軟磁性シート13−1,13−2の存在を明確化するために、軟磁性シート13−1,13−2の横幅を実際よりも広げて示している。また、図11(A)(B)は、本来的には、図示右側に示す0.0mT(ミリテスラ)から35.0mTまでの磁束密度(磁界強度)の大きさを、紫色、青色、緑色、黄色、赤色の順に変化させながら色彩を施して示している。しかし、図面上で色彩を用いることができないので、観測面11Aの左側に矢印位置における磁束密度の大きさを数字表示している。
この試験5の結果、軟磁性シート13−1,13−2を設けた場合には、軟磁性シート13−1,13−2を設けない場合に比べて、観測面11Aにおける軟磁性シート13−1,13−2に対向する位置における磁束密度(磁界強度)は小さくなることが分かった。
また、軟磁性シート13−1,13−2を設けた場合、前記条件(a)(b)の弱い磁界の条件下では、軟磁性シート13−1,13−2の磁気シールド機能により、軟磁性シート13−2,13−2に対向している観測面11Aにおける磁束密度が、軟磁性シート13−2,13−2の間の軟磁性シート13−2,13−2に対向していない観測面11Aにおける磁束密度に比べて低下していることが分かった。そして、この軟磁性シート13−1,13−2の間の軟磁性シート13−2,13−2に対向していない観測面11Aには、軟磁性シート13−1,13−2の集磁機能により、均一な磁束密度で平行な磁界が発生していることが分かった。一方、前記条件(c)の強い磁界の条件下では、軟磁性シート13−1,13−2そのものが飽和してしまい、観測面11Aの全体に渡ってほぼ同じ強度の磁界が印加されていることが分かった。
また、前記条件(b)の弱い磁界は、前述のようにほぼ保磁力と均等となる磁界であって、軟磁性シート13−1,13−2が飽和しない領域にある。軟磁性シート13−1,13−2を厚くした場合、当然、軟磁性シート13−1,13−2の磁化量が増す。この磁化量の増加に伴い、磁気シールド機能が高まって、例えば5エルステッドのシールド効果が100エルステッドまで機能するように前記飽和しない領域が高磁界側に広がる。したがって、保磁力の大きな磁性膜11でも利用可能となる。しかし、この場合には、磁力の大きい高価な永久磁石が必要となる。前記磁性膜11の説明では、安価な永久磁石の使用、環境による浮遊磁界及び温度の影響を理由に、保磁力が5エルステッド以上かつ100エルステッドの以下に調整された磁性膜11が好ましいとした。しかし、磁性膜11の保磁力を下げることにより、薄い軟磁性シート13−1,13−2、すなわち安価な軟磁性シート13−1,13−2を用いることができる。したがって、安価な永久磁石の使用、環境による浮遊磁界及び温度の影響と同時に、軟磁性シート13−1,13−2のコストを考慮すると、保磁力の上限を下げて、保磁力が5エルステッド以上かつ50エルステッド以下に調整された反硬磁性特性を有する磁性膜を磁性膜11として用いることがより好ましい。
a6.試験6
次に、軟磁性シート13−1,13−2の位置に関する試験6を行った。この試験6においては、図12(A)の斜視図及び図12(B)の側面図に示すように、軟磁性シート13−1,13−2を磁性膜11に密着させ、負荷抵抗31無しの状態で、出力信号を測定した。それ以外の点については、前記試験1の環境下における起電力発生装置10と回転装置20とを用いた。ただし、この場合、FeCo3μmの磁性膜11を用い、かつコイル12のトータル巻線数は3000ターンである。
この試験では、1V以上のパルス信号は出力されなかった。これは、磁性膜11と軟磁性シート13−1,13−2とが磁気的結合して、軟磁性シート13−1,13−2の磁気シールド機能及び集磁機能が発揮されないためである。したがって、軟磁性シート13−1,13−2は磁性膜11に密着させてはならず、磁性膜11との間に隙間を設けて、軟磁性シート13−1,13−2を磁性膜11に対向させる必要があることが分かる。なお、軟磁性シート13−1,13−2を、永久磁石23,24に密着させないようにすることも、前記磁気的結合の点から当然である。
a7.試験7
次に、磁性膜11の形状に関する試験7を行った。この試験7においては、長方形状の磁性膜11を用いるのではなく、図13に示すように、容易軸方向における中央部の左右両側に楔形状の切欠き11Xa,11Xaを設けた磁性膜11Xを用いた。そして、負荷抵抗31無しの状態で、出力信号を測定した。それ以外の点については、前記試験1の環境下における起電力発生装置10と回転装置20とを用いた。ただし、この場合も、FeCo3μmの磁性膜11を用い、かつコイル12のトータル巻線数は3000ターンである。
この試験でも、1V以上のパルス信号は出力されなかった。これは、磁性膜11Xにその飽和磁界が印加されても、切欠き11Xa,11Xaの部分に容易軸方向の端部と同様な細かな磁区が形成されて、磁性膜11Xの容易軸方向の中央部分に単磁区構造が形成されないからであると考えられる。これにより、磁性膜11としては、容易軸方向に長尺状の長方形の磁性膜を用いるとよいことが分かる。
a7.試験結果からの推論
上記試験1〜7、特に試験4〜7により、以下の推論が成り立つ。成膜された磁性膜11の容易軸方向に飽和磁界以上の磁界を印加すると、軟磁性シート13−1,13−2が飽和し、磁性膜11全体に磁界が印加される。飽和磁界が印加されたことで、磁性膜11の容易軸方向の端部では細かな磁区が形成されるが、中央部分は単磁区構造となる。次に、磁性膜11に、飽和磁界と反平行の保磁力とほぼ釣り合う弱い磁界が印加されると、前記中央部分以外には軟磁性シート13−1,13−2の磁気シールド機能により磁界が印加されずに、軟磁性シート13−1,13−2の集磁機能により磁性膜11の中央部分のみに容易軸方向と平行な平行磁界が印加される。よって、磁性膜11の単磁区に、長い線状の磁壁(核生成箇所)が一カ所に集中し、磁区構造の転移や磁化回転をすることなく、磁壁が磁性膜11の両端に伝搬し一斉反転を起こす。換言すれば、動作磁界(磁性膜11の保磁力)で大出力のパルス信号を発生させるためには、その前に、磁性膜11をセット状態及びリセット状態とする飽和磁界以上の磁気履歴により、磁性膜11の中央部分を単磁区構造としておく必要がある。
中央に楔形状がある磁性膜11Xでは、磁性膜11Xに飽和磁界が印加されても、楔部分に端部分と同じように細かな磁区が形成され、中央部の単磁区構造が形成されない。よって、磁区構造の転移及び磁化回転が先に起こり、一斉反転が生じない。軟磁性シート13−1,13−2が無い状態では、単一磁区をなす部分の比較的大きな領域に保磁力と均等な平行磁界が印加されることがないために、磁性膜11に核生成箇所が多く存在して、コイル12からは多列で小さなパルス信号が出力されることになる。また、軟磁性シート13−1,13−2が磁性膜11に密着していると、磁性膜11と軟磁性シート13−1,13−2とが磁気的結合し、軟磁性シート13−1,13−2の磁気シールド機能と集磁機能が発揮されないために一斉反転が生じない。
b.変形例及び適用変形例
次に、上記実施形態の変形例及び適用変形例について説明する。
b1.第1変形例
上記実施形態においては、絶縁基板14における軟磁性シート13−1,13−2が対向する側の表面(図2(B)の右側面)に磁性膜11を成膜するようにした。しかし、これに代えて、図14に示すように、磁性膜11から軟磁性シート13−1,13−2までの距離が適当であれば、すなわち軟磁性シート13−1,13−2の磁気シールド機能及び集磁機能が発揮されるならば、絶縁基板14における軟磁性シート13−1,13−2と対向する側とは反対側の表面(すなわち、図示左側面)に磁性膜11を成膜するようにしてもよい。他の構成に関しては、上記実施形態と同じである。これによっても、上記実施形態と同様な効果が期待される。なお、この第1変形例は、後述する種々の適用変形例にも採用され得る。
b2.第2変形例
上記実施形態においては、2枚の軟磁性シート13−1,13−2を用いたが、これに代えて、1枚の軟磁性シート13を用いてもよい。この場合、図15の正面図に示すように、磁性膜11の全体を覆うように1枚の軟磁性シート13(例えば、長方形の軟磁性シート13)を磁性膜11に対向させる。そして、軟磁性シート13の中央部に窓(貫通孔)13aを設ける。なお、この図15においても、上記実施形態の説明で用いた図2(A)と同様に、コイル12を省略して磁性膜11、軟磁性シート13及び絶縁基板14のみを示している。
窓13aは、軟磁性シート13を貫通した方形状である。窓13aの図示左右方向幅は磁性膜11の困難軸幅W1の2倍程度以上であればよく、窓13aの図示上下方向の長さは、上記実施形態で説明した軟磁性シート13−1,13−2間の距離(隙間)と同様の長さであればよい。また、この場合も、上記実施形態と同様な機能が得られるように、窓13aの上下の2辺は磁性膜11の容易軸方向に直交しかつ互いに平行であるとよい。これによっても、上記実施形態と同様な効果が期待される。なお、この第2変形例においても、上記第1変形例と同様に、絶縁基板14における軟磁性シート13と対向する側とは反対側の表面に磁性膜11を成膜するようにしてもよい。また、この第2変形例も、後述する種々の適用変形例にも採用され得る。
b3.第3変形例
上記実施形態においては、磁性膜11と絶縁基板14の外周上に巻き回された巻線コイルで、コイル12を構成した。しかし、この巻線コイルに代えて、スパッタリング、EB蒸着により形成した成膜型のコイル12を用いてもよい。図16(A)は、後述する第1乃至第3絶縁層を省略して、絶縁基板14上の磁性膜11及びコイル12を概略的に示す正面図である。
この成膜型のコイル12の形成においては、まず、絶縁基板14上に、絶縁基板14の下端よりも若干上方位置から上端よりも若干下方位置までに渡って、磁性膜11の容易軸方向(上下方向)と直交する方向(左右方向)に対して僅かに傾斜させ、かつ導電性材料を上下方向に等間隔で細い線状にパターニングして複数の線状導電層12aを形成する。この場合、複数の線状導電層12aの左右端は、絶縁基板14の左右端よりも若干内側にそれぞれ位置する。次に、絶縁基板14及び複数の線状導電層12a上に、複数の線状導電層12aの下端部から上端部に渡って、絶縁性材料を長方形状にパターニングして、絶縁基板14及び複数の線状導電層12a上に第1絶縁層を形成する。この場合、第1絶縁層の左右端は、複数の線状導電層12aの左右端よりも若干内側にそれぞれ位置する。
次に、前記パターニングした第1絶縁層上に、複数の線状導電層12aの下端部から上端部に渡って、磁性膜材料を長方形状にパターニングして、第1絶縁層上に磁性膜11をパターニングする。この場合、磁性膜11の上下端は第1絶縁層の上下端よりも内側にそれぞれ位置し、かつ磁性膜11の左右端は第1絶縁層の左右端よりも内側にそれぞれ位置する。次に、磁性膜11上に、磁性膜11を覆うように、絶縁性材料を成膜して第2絶縁層をパターニングする。この場合における第2絶縁層の上下端は、磁性膜11の上下端よりも若干外側にそれぞれ位置し、かつ複数の線状導電層12aの上下端よりも若干内側にそれぞれ位置する。また、第2絶縁層の左右端は磁性膜11の左右端よりも若干外側で、複数の線状導電層12aの左右端よりも若干内側に位置する。
次に、前記パターニングした第2絶縁層上に、導電性材料を上下方向に等間隔で細い線状にパターニングして、左右両端が複数の線状導電層12aの左右両端にそれぞれ接続されるように複数の線状導電層12bを形成する。すなわち、複数の線状導電層12bを、磁性膜11の容易軸方向(上下方向)と直交する方向(左右方向)に対して、複数の線状導電層12aと反対側に僅かに傾斜させる。これにより、複数の線状導電層12a,12bからなる成膜型のコイル12が磁性膜11の外周面を巻き回すように絶縁基板14上に形成される。次に、コイル12の両端部分を除いて、磁性膜11及び成膜型のコイル12の全体を覆うように、絶縁基板14上に第3絶縁性材料をパターニングする。そして、コイル12の両端部分に金線(導線)15−1,15−2を導電性接着剤を用いてそれぞれ電気接続する。これにより、磁性膜11の外周面を巻き回した複数の線状導電層12a,12bからなる成膜型のコイル12であって、コイル12の両端に電圧を取り出す金線15−1,15−2が接続された成膜型のコイル12が絶縁基板14上に形成される。
さらに、この場合には、第3絶縁層の表面に、上述した軟磁性シート13−1,13−2を、磁性膜11と磁気的結合しないようにスペーサを介して磁性膜11から離間させた状態で、接着材を用いて上述した位置に張り付けるとよい。また、軟磁性シート13−1,13−2を、絶縁基板14の裏面すなわちコイル12とは反対側の面に、接着材を用いて上述した位置に張り付けてもよい。なお、この場合も、絶縁基板14が薄くて、軟磁性シート13−1,13−2が磁性膜11と磁気的結合する場合には、前記のように、絶縁基板14の裏面と軟磁性シート13−1,13−2の間にスペーサを設けるとよい。その結果、成膜型のコイル12を有する起電力発生装置10が完成する。また、軟磁性シート13−1,13−2を覆うように、起電力発生装置10の全体を合成樹脂によりパッケージングしてもよい。
そして、このように構成した起電力発生装置10を移動検出装置として用いる場合には、軟磁性シート13−1,13−2を第3絶縁層の表面側に張り付けた場合でも、軟磁性シート13−1,13−2を絶縁基板14の裏面側に張り付けた場合でも、永久磁石23,24を、軟磁性シート13−1,13−2が永久磁石23,24と磁性膜11との間に挟まれて位置するように、軟磁性シート13−1,13−2及び磁性膜11に対向させて配置する。言い換えれば、軟磁性シート13−1,13−2は、磁性膜11に対して、永久磁石23,24による交番磁界が印加される側に位置する。これにより、永久磁石23,24によって磁性膜11に交番磁界を印加すれば、この第3変形例に係る起電力発生装置10においても、磁性膜11の磁性変化によって生じるコイル12内を通過する磁束の変化により、コイル12は上記実施形態の場合と同様にパルス信号を出力する。
次に、成膜型のコイル12の他の例について、図16(B)を用いて説明する。図16(B)も、後述する絶縁層を省略して、絶縁基板14上の磁性膜11及びコイル12を概略的に示す正面図である。
この成膜型のコイル12の形成においては、まず、方形状の絶縁基板14上であって、図示左右方向の中央位置かつ上下方向の中心よりも下方位置に、磁性膜材料を長方形状にパターニングして、絶縁基板14上に磁性膜11を形成する。なお、磁性膜11の容易軸方向は上下方向である。次に、絶縁基板14及び磁性膜11上に、絶縁性材料を成膜して絶縁層を形成する。次に、絶縁層上に、導電性材料をパターニングして線状導電層12cからなるコイル12を形成する。この線状導電層12cは、絶縁基板12cの左右辺及び上下辺にそれぞれ平行に連続して延設されるとともに、外側の線状導電層12cとの間に隙間を設けて絶縁基板14の中心に向かって延設されている。そして、線状導電層12c(コイル12)の両端には、電極12d,12eがパターニングされている。さらに、この場合、コイル12上に、上述した軟磁性シート13−1,13−2を、磁性膜11と磁気的結合しないようにスペーサを介して磁性膜12から離間させた状態で、接着材を用いて上述した位置に張り付けるとよい。その結果、成膜型のコイル12を有する起電力発生装置10が完成する。また、この場合も、軟磁性シート13−1,13−2を覆うように、起電力発生装置10の全体を合成樹脂によりパッケージングしてもよい。
そして、このように構成した起電力発生装置10を移動検出装置として用いる場合にも、永久磁石23,24を、軟磁性シート13−1,13−2が永久磁石23,24と磁性膜11との間に挟まれて位置するように、軟磁性シート13−1,13−2及び磁性膜11に対向させて配置する。言い換えれば、軟磁性シート13−1,13−2は、磁性膜11に対して、永久磁石23,24による交番磁界が印加される側に位置する。このように構成された起電力発生装置10においても、磁性膜11の容易軸方向に出入りする磁束はコイル12内を通過する。そして、コイル12内を通過する磁束は、磁性膜11の磁性変化によって変化する。したがって、磁性膜11の磁性変化によって生じるコイル12内を通過する磁束の変化により、前記第3変形例の場合のように、コイル12にパルス信号を発生させることがきる。
なお、この場合、線状導電層12c(コイル12)を方形状に延設させたが、円形、長円形、楕円形などの渦巻き状に延設させてもよい。また、絶縁基板14の表面上における磁性膜11と線状導電層12c(コイル12)との成膜の順を逆にしてもよい。すなわち、絶縁基板14の表面上に線状導電層12c(コイル12)をパターニングし、線状導電層12c(コイル12)上に絶縁層を成膜して、その上に磁性膜11をパターニングしてもよい。この場合には、軟磁性シート13−1,13−2は絶縁基板14の裏面側に、接着剤を用いて張り付ける。なお、この場合も、絶縁基板14が薄くて、軟磁性シート13−1,13−2が磁性膜11と磁気的結合する場合には、前記のように、絶縁基板14の裏面と軟磁性シート13−1,13−2の間にスペーサを設けるとよい。
そして、このように構成した起電力発生装置10を移動検出装置として用いる場合には、永久磁石23,24を、絶縁基板14の裏面側にて軟磁性シート13−1,13−2に対向させるように配置する。言い換えれば、軟磁性シート13−1,13−2は、磁性膜11に対して、永久磁石23,24による交番磁界が印加される側に位置する。この場合も、磁性膜11の容易軸方向に出入りする磁束はコイル12内を通過する。そして、コイル12内を通過する磁束は、磁性膜11の磁性変化によって変化する。したがって、磁性膜11の磁性変化によって生じるコイル12内を通過する磁束の変化により、前記第3変形例の場合のように、コイル12にパルス信号を発生させることがきる。
このように、成膜型のコイル12は、前記線状導電層12b,12cのように磁性膜11を巻き回すようにしてもよいが、磁性膜11に対向させるように構成してもよい。要は、成膜型のコイル12は、絶縁基板14上にて、磁性膜11の容易軸方向と交差する方向に延びた複数の線状部分を有するように導電性膜で構成されていればよい。そして、このような成膜型のコイル12を用いれば、起電力発生装置10を小型化できるとともに、簡単かつ安価に製造できる。
このように構成した第3変形例に係る起電力発生装置10においても、上記実施形態と同様に動作するので、上記実施形態の場合と同様な効果が期待される。なお、この第3変形例においても、上記第2変形例に係る窓13aを有して一枚のシートからな軟磁性シート13を用いるようにしてもよい。また、この第3変形例も、後述する種々の適用変形例にも採用され得る。
b4.第1の適用変形例
上記実施形態及び各種変形例においては、物体の回転検出装置に本発明に係る起電力発生装置10を適用した例について説明した。しかし、本発明に係る起電力発生装置10は、物体の直線移動(以下、直動という)の検出にも適用され得る。この第1の適用変形例においては、上記実施形態の回転装置20に代えて、永久磁石23,24を直動するための直動装置50が用いられる。
直動装置50は、図17に示すように、起電力発生装置10に対して、コイル12とは反対側にて、軟磁性シート13−1,13−2に対向するように設けられた直動板51を備えている。直動板51は、長方形状かつ平板状に形成され、その板面を磁性膜11(図示省略)及び軟磁性シート13−1,13−2に対して平行に対向させている。この直動板51は、図示しない駆動装置により、図示矢印方向(板面と平行な水平方向)に駆動される。永久磁石23,24は、直動板51の長手方向の端部に、それらの側面を接着剤により固定させて、N極とS極を互いに上下逆にして垂直(図示省略された磁性膜11の容易軸方向)に設けられている。これにより、上記実施形態の場合と同様に、磁性膜11にその容易軸方向に磁界が印加されるようになっている。起電力発生装置10としては、上記実施形態で説明したFeCo3μmの磁性膜11かつコイル12のトータル巻線数3000ターンである1つの起電力発生装置10を用いた。また、軟磁性シート13−1,13−2及びそれらの隙間、並びに永久磁石23,24も上記実施形態と同じであり、永久磁石23,24と起電力発生装置10との間の距離も上記実施形態と同じである。ただし、この場合における永久磁石23,24間の距離は、30mmである。なお、図示省略されたに磁性膜11は、図17において、絶縁基板14の左側面に設けられている。
このように構成した第1の適用変形例においては、直動板51を図17の矢印方向に往復動させる。直動板51のA位置が磁性膜11(起電力発生装置10)に最も近づいたとき、すなわち永久磁石23が磁性膜11に最も近づいて磁性膜11に対向したとき、磁性膜11にその飽和磁界が印加される。これにより、磁性膜11はセット状態となる。直動板51の図示左下方向の移動により、直動板51のB位置が磁性膜11に最も近づいたとき、磁性膜11に、セット状態とは反平行の保磁力(−Hc)相当の磁界(動作磁界)が印加される。このとき、第1のパルス信号が出力される。
直動板51の図示左下方向のさらなる移動により、直動板51のC位置が磁性膜11に最も近づいたとき、すなわち永久磁石24が磁性膜11に最も近づいて磁性膜11に対向したとき、磁性膜11に、A位置の場合とは逆方向(B位置の場合と同じ方向)の飽和磁界が印加されて、磁性膜11はリセット状態となる。その後、直動板51が前記とは逆方向の図示右上方向に移動して、直動板51のD位置が磁性膜11に最も近づいたとき、磁性膜11には、リセット状態とは反平行の保磁力(+Hc)相当の磁界(動作磁界)が印加される。このときに、第2のパルス信号が出力される。この場合も、第1及び第2のパルス信号は、正負の関係の出力となる。このようにして、直動板51の1往復で、正負2つのパルス信号が出力される。
そして、上記実施形態の場合と同様に、負荷抵抗31無しの状態でオシロスコープ40で起電力発生装置10からの出力を測定した結果、起電力発生装置10からは、図5(C)に示した出力パルス信号と同様な出力パルス信号が得られた。したがって、この第1適用変形例によれば、物体の直動が起電力発生装置10及び永久磁石23,24により、上記実施形態の回転の場合と同様に精度よく検出される。
b5.第2の適用変形例
次に、上記第1の適用変形例の一部を変更して、物体の直動を検出する検出装置の小型化を図った第2の適用変形例について説明する。
この第2の適用変形例においては、図18に示すように、直動装置50を構成する直動板52は、起電力発生装置10の磁性膜11(図17と同様に図示省略)及び絶縁基板14と直交する水平方向に延設されている。直動板52の構成は、上記直動板51の構成と同じである。起電力発生装置10は、図17の起電力発生装置10の構成に、軟磁性シート16−1,16−2をさらに加えたものである。軟磁性シート16−1,16−2は、軟磁性シート13−1,13−2と同様に構成されており、磁性膜11及び絶縁基板14を中心として、軟磁性シート13−1,13−2とほぼ対称位置に配置されている。
永久磁石23,24も、上記第1の適用変形例の場合と同様に構成されている。ただし、永久磁石23,24は、直動板52の長手方向の端部の上面に、それらの下面を接着剤により固定させて、N極とS極を互いに上下逆にして垂直(図示省略された磁性膜11の容易軸方向)に設けられている。なお、この場合も、永久磁石23,24間の距離は、例えば30mmである。
このように構成した第2の適用変形例においても、直動板51を図18の矢印方向(図示左右方向)に往復動させる。直動板52のA位置が磁性膜11(起電力発生装置10)に最も近づいたとき、すなわち永久磁石23が磁性膜11に最も近づいて磁性膜11に対向したとき、磁性膜11にその飽和磁界が印加される。これにより、磁性膜11はセット状態となる。直動板51の図示左方向の移動により、直動板52のB位置が磁性膜11に最も近づいたとき、磁性膜11に、セット状態とは反平行の保磁力(−Hc)相当の磁界(動作磁界)が印加される。このとき、第1のパルス信号が出力される。
直動板52の図示左方向のさらなる移動により、直動板51のC位置が磁性膜11に最も近づいたとき、すなわち永久磁石24が磁性膜11に最も近づいて磁性膜11に対向したとき、磁性膜11に、A位置の場合とは逆方向(B位置の場合と同じ方向)の飽和磁界が印加されて、磁性膜11はリセット状態となる。その後、直動板52が前記とは逆方向の図示右方向に移動して、直動板51のD位置が磁性膜11に最も近づいたとき、磁性膜11に、リセット状態とは反平行の保磁力(+Hc)相当の磁界(動作磁界)が印加される。このときに、第2のパルス信号が出力される。この場合も、第1及び第2のパルス信号は、正負の関係の出力となる。このようにして、直動板51の1往復で、正負2つのパルス信号が出力される。
そして、上記実施形態の場合と同様に、負荷抵抗31無しの状態でオシロスコープ40で起電力発生装置10からの出力を測定した結果、起電力発生装置10からは、前記第1の適用変形例と同様な出力パルス信号(図5(C)参照)が得られた。したがって、この第2の適用変形例においても、物体の直動が、起電力発生装置10及び永久磁石23,24により、上記第1の適用変形例の場合と同様に精度よく検出される。また、この第2の適用変形例においては、軟磁性シート16−1,16−2を必要とするが、直動板52の移動範囲を小さくでき、上記第1の適用変形例の場合に比べて装置全体を小型化できる。
b6.第3の適用変形例
上記実施形態及び各種変形例の物体の回転検出においては、回転板22の1回転当たり正負2つのパルス信号を発生させるようにした。これに代えて、第3の適用変形例においては、回転板22の1回転当たり1つパルス信号を発生させるようにした。
この第3の適用変形例では、図19に示すように、図1及び図4に示す上記実施形態における永久磁石24を回転板22の中心方向内側に3mmだけ移動させた。この永久磁石24の位置は、回転板22のC位置が磁性膜11に最も近づいたとき、すなわち永久磁石24が磁性膜11に最も近づいて磁性膜11に対向したとき、磁性膜11に動作磁界以上かつ飽和磁界以下の磁界が印加される位置である。これにより、磁性膜11には、不均衡な交番磁界が印加される。他の構成は、上記実施形態と同じである。
このように構成した第3の適用変形例においては、回転板22のA位置が磁性膜11に最も近づいたとき、すなわち永久磁石23が磁性膜11に最も近づいて磁性膜11に対向したとき、上記実施形態の場合と同様に、セット状態となる。そして、回転板22が図示矢印方向に回転されて、回転板22のC位置が磁性膜11に最も近づいたとき、磁性膜11に、セット状態とは反平行の保磁力(−Hc)相当の磁界(動作磁界)が印加される。このとき、第1のパルス信号が出力される。しかし、この場合、磁性膜11には、前記永久磁石23による飽和磁界と反平行な飽和磁界が印加されないので、上記実施形態のようなリセット状態はない。そして、回転板22のD位置が磁性膜11に最も近づいたとき、磁性膜11には、セット状態と同一方向かつ平行な保磁力(+Hc)相当の磁界(動作磁界)が印加される。しかし、この位置での出力パルス信号は小さく、実質的に、回転板22の1回転当たり1つのパルス信号しか発生されない。
このような第3の適用変形例の測定結果について説明する。この場合、FeCo3μmかつコイル12のトータル巻線数を3000ターンとした起電力発生装置10を用いて、上記実施形態の場合と同様に、10kΩの負荷抵抗31を接続して起電力発生装置10からの出力信号をオシロスコープ40で測定した(上記試験1のケース3に対応)。
図20(A)は起電力発生装置10から出力信号の波形図であり、図20(B)は図20(A)における正側パルスの拡大波形図であり、図20(C)は図20(A)における負側パルスの拡大波形図である。正側パルスの波高値は15V程度であって、かなり大きい。しかし、負側パルスの波高値は300mV以下で極めて小さい。この負側パルスの波高値が極めて小さくなる現象は、次の理由によるものと推定される。この場合、磁性膜11はリセット状態となる飽和磁界以上の磁気履歴をとらないために、磁性膜11が単磁区構造とならない。そして、磁性膜11における長い線状の磁壁が一箇所に集中して形成されないので、負側パルスの波高値が極めて小さくなる。したがって、この第3の適用変形例においては、負側パルスを無視できて、実質的に回転板22の1回転当たり1つの正側パルス信号のみを起電力発生装置10から出力させることができる。その結果、上記実施形態及び各種変形例のように2つのパルス信号を整流することなく、物体の回転などのセンシングに利用できるようになる。
b7.第4の適用変形例
上記第1の適用変形例に係る物体の直動検出においては、直動板51の1往復当たり正負2つのパルス信号を発生させるようにした。これに代えて、第4の適用変形例においては、直動板51の1往復当たり1つパルス信号を発生させるようにした。
この第4の適用変形例においては、図21に示すように、直動板51のA位置(永久磁石23)が磁性膜11(起電力発生装置10)に対向する位置と、直動板51のX位置が磁性膜11(起電力発生装置10)に対向する位置との間で、直動板51を矢印で示すように往復動させる。前記X位置は、上記第1の適用変形例におけるB位置とC位置の間の位置であって、永久磁石24によって磁性膜11に印加される磁界が、動作磁界以上かつ飽和磁界以下である位置である。これによっても、磁性膜11には、不均衡な交番磁界が印加される。他の構成は、上記第1の適用変形例と同じである。
このように構成した第4の適用変形例においては、直動板51のA位置が磁性膜11に最も近づいたとき、すなわち永久磁石23が磁性膜11に最も近づいて磁性膜11に対向したとき、上記第1の適用変形例の場合と同様に、セット状態となる。そして、直動板51が前記状態から図示左下方向に移動して、直動板51のB位置が磁性膜11に最も近づいたとき、磁性膜11に、セット状態とは反平行の保磁力(−Hc)相当の磁界(動作磁界)が印加される。このとき、第1のパルス信号が出力される。そして、直動板51が図示左下方向にさらに移動して、直動板51のX位置が磁性膜11に最も近づいた状態から、直動板51は図示右上方向に移動し始める。前述のように、前記X位置は磁性膜11に動作磁界以上かつ飽和磁界以下の磁界が印加される位置であり、磁性膜11には前記永久磁石23による飽和磁界と反平行な飽和磁界が印加されない。したがって、上記第1の適用変形例のようなリセット状態はない。そして、直動板51のD位置が磁性膜11に最も近づいたとき、磁性膜11には、セット状態と平行な保磁力(+Hc)相当の磁界(動作磁界)が印加される。しかし、この位置での出力パルス信号は小さく、実質的に、回転板22の1回転当たり1つのパルス信号しか発生されない。これは、前記第3の適用変形例で説明した理由によるものと推測される。
したがって、上記第3の適用変形例の場合と同様に、負側パルスを無視できて、実質的に直動板51の1往復当たり1つの正側パルス信号のみを起電力発生装置10から出力させることができる(図20参照)。その結果、この第4の適用変形例の場合も、2つのパルス信号を整流することなく、物体の直動などのセンシングに利用できるようになる。
さらに、上記第2の適用変形例(図18参照)においても、直動板51の1往復当たり1つパルス信号を発生させるようにすることもできる。この場合には、直動板51が図18の右方向(又は左方向)に移動して、直動板52のA位置(又はC位置)が磁性膜11(起電力発生装置10)に最も近づいたとき、すなわち永久磁石23(又は永久磁石24)が磁性膜11に最も近づいて磁性膜11に対向したとき、磁性膜11にその飽和磁界が印加されるようにする。そして、直動板51が図18の左方向(又は右方向)に移動して、直動板52のC位置(又はA位置)が磁性膜11(起電力発生装置10)に最も近づいたとき、すなわち永久磁石24(又は永久磁石23)が磁性膜11に最も近づいて磁性膜11に対向したとき、磁性膜11にその保磁力以上かつ飽和磁界以下の磁界が印加されるようにする。このように、直動板51の移動範囲を小さくすることにより、前記第4の適用変形例と同様に、直動板51の1往復当たり1つのパルス信号を発生させることができるようになる。
b8.第5の適用変形例
次に、1つの永久磁石23(又は24)を起電力発生装置10の磁性膜11の容易軸方向と平行に往復運動させて、磁性膜11(図示省略)に交番磁界を印加する第5の適用変形例について説明する。この第5の適用変形例においては、図22に示すように、起電力発生装置10に対して、コイル12と反対側にて軟磁性シート13−1,13−2と対向させて永久磁石23を設ける。この場合、永久磁石23のN極とS極が磁性膜11の容易軸方向(すなわち上下方向)となるようにする。そして、永久磁石23を上下方向(図示矢印方向)に往復動させる。この第5の適用変形例においても、上記実施形態及び各種適用変形例と同様な起電力発生装置10及び永久磁石23を用いる。永久磁石23と絶縁基板14(磁性膜11)との間の距離は、永久磁石23が磁性膜11(起電力発生装置10)に対向したとき(図示A位置)にあるとき、磁性膜11(図示省略)にその飽和磁界以上の磁界が印加される距離である。そして、永久磁石23が図示B,B’位置にあるとき、磁性膜11に保磁力以上かつ飽和磁界以下の磁界が印加される。なお、この場合も、図示省略された磁性膜11は、絶縁基板14における軟磁性シート13−1,13−2と対向する側の面上(絶縁基板14の図示左側)に設けられている。
このように構成した第5の適用変形例においては、永久磁石23が磁性膜11(起電力発生装置10)に最も近づいてA位置にあるとき、磁性膜11にはその飽和磁界が印加される。この状態で、磁性膜11はセット状態となる。そして、永久磁石23が上方に移動して、図示B位置に来ると、詳しくは後述するように、セット状態と反平行の保磁力(−Hc)相当の磁界(動作磁界)が磁性膜11に印加される。このとき、第1のパルス信号が出力される。この状態から、永久磁石23を下方に移動して、永久磁石23が前記と同様なA位置に来ると、磁性膜11には前記と同一方向の飽和磁界がふたたび印加される。したがって、この状態でも、磁性膜11は前記と同様なセット状態となり、この第5の適用変形例では磁性膜11がリセット状態になることはない。
そして、永久磁石23がさらに下方に移動して、図示B’位置に来ると、詳しくは後述するように、セット状態と反平行の保磁力(−Hc)相当の磁界(動作磁界)が磁性膜11に印加される。したがって、この状態で、第1のパルス信号と同じ第2のパルス信号が出力される。なお、A位置及びB位置間の距離と、A位置及びB’位置間の距離とは同じである。その後、永久磁石23を上方に移動させ、永久磁石23をB,B’位置間で往復動させると、永久磁石23がB位置及びB’位置に来るごとに、第1及び第2のパルス信号が繰り返し出力される。
ここで、第1及び第2のパルス信号が同じになる理由について説明する。図23は、永久磁石23からの磁束線を描いたシミュレーション図である。図23のA位置は図22において永久磁石23がA位置にある状態、すなわち永久磁石23が磁性膜11(絶縁基板14)に対向している状態に対応する。図23のB位置は図22において永久磁石23がB位置にある状態、すなわち永久磁石23が磁性膜11の上方にある状態に対応する。図23のB’位置は図22において永久磁石23がB’位置にある状態、すなわち永久磁石23が磁性膜11の下方にある状態に対応する。
このシミュレーションによれば、永久磁石23が図22のA位置にある状態では、磁性膜11に下方向に向いた大きな磁界(飽和磁界以上の磁界)が印加されていることが分かる。永久磁石23が図22のB位置にある状態では、磁性膜11に上方向に向いた小さな磁界(保磁力程度の磁界)が印加されていることが分かる。また、永久磁石23が図22のB’位置にある状態でも、磁性膜11に上方向に向いた小さな磁界(保磁力程度の磁界)が印加されていることが分かる。したがって、永久磁石23が図22のA位置にある状態では磁性膜11はセット状態とされ、永久磁石23が図22のB,B’位置に来ると、大バルクハウゼン効果による磁性膜11の磁性変化により、コイル12からは正(又は負)の同じ大きさのパルス信号が出力されることになる。
なお、永久磁石23を図22のB位置よりも上方まで移動させたり、図22のB’位置よりも下方まで移動させたりしても、図23のシミュレーション図から分かるように、磁性膜11に印加される磁界は図22のB,B’位置の磁界強度よりも小さくなるので、磁性膜11はリセット状態になることはない。したがって、永久磁石23の移動範囲を図22のB位置よりも上方又は図22のB’位置よりも下方に移動させてもよい。
その結果、この第5の適用変形例によれば、永久磁石23の1往復で2つの同じ方向(正又は負)のパルス信号が出力されることになり、2つのパルス信号を整流することなく、物体の直動などのセンシングに利用できるようになる。また、2つの永久磁石23,24を用いることなく、1つの永久磁石23のみを用いればよくなる。
b9.他の変形例及び適用変形例
さらに、他の変形例及び他の適用変形例について説明する。上記実施形態及び各種適用変形例においては、起電力発生装置10を固定し、永久磁石23,24を移動させて、磁性膜11に交番磁界を印加するようにした。しかし、これに代えて、永久磁石23,24を固定し、起電力発生装置10を移動させて、磁性膜11に交番磁界を印加するようにしてもよい。要は、永久磁石23,24を起電力発生装置10に対して相対的に移動させて、磁性膜11に交番磁界を印加するようにすれば、永久磁石23,24を移動させてもよいし、起電力発生装置10を移動させてもよい。
また、上記実施形態及び各種適用変形例においては、起電力発生装置10(磁性膜11)に交番磁界を印加する手段として永久磁石23,24を用いた。しかし、永久磁石23,24に代えて、電磁石を用いて、起電力発生装置10(磁性膜11)に交番磁界を印加するようにしてもよい。この場合には、電磁石を起電力発生装置10に対して相対的に移動させることになる。
また、上記実施形態及び各種適用変形例においては、物体の回転及び直動の検出に起電力発生装置10を用いるようにした。しかし、本発明による起電力発生装置10は、出力面積(波高×半値幅)が大きなパルス信号、すなわち大きな電力のパルス信号を出力するので、このパルス信号の電力を蓄電して、蓄電された電力をエナジーハーベスティングとして利用することもできる。
具体的には、例えば、建物のドア部、窓部などに起電力発生装置10及び永久磁石23,24を配置し、ドア、窓などの開閉時に、ドア、窓などの回転、直動などの移動により、永久磁石23,24を起電力発生装置10に対して相対移動させて、起電力発生装置10の磁性膜11に交番磁界を印加する。そして、起電力発生装置10から出力されるパルス信号を蓄電池に蓄電する。また、このパルス信号の蓄電と同時に、起電力発生装置10から出力されるパルス信号を用いてドア、窓などの開閉を検出するようにする。さらに、ドア、窓などの開閉状態を表示する電気回路で構成した表示装置を設けたり、ドア、窓などの開閉状態を他の場所に送信する電気回路で構成した通信装置を設けたりする。そして、前記蓄電した電力で表示装置及び通信装置を作動させれば、電池が不要となったり、電池を設けた場合でも電池の消費電力を抑えることができる。特に、ドア、窓などの開閉状態を建物内に表示又は送信して建物内に居る人間、又は建物とは別の場所に居るに人間に知らせれば、本発明に係る起電力発生装置10を防犯のために利用できる。
この防犯の場合には、通常時には、例えば、ドア、窓などの回転、直動などの移動により、起電力発生装置10から出力されるパルス信号を蓄電池に蓄電することのみを行うようにする。そして、セキュリティ時には、起電力発生装置10から出力されるパルス信号を用いてドア、窓などの開閉を検出して、ドア、窓などの開閉状態を建物内に表示又は送信して建物内に居る人間、又は建物とは別の場所に居る人間に知らせるとよい。これにより、パルス信号により蓄電池に蓄電された電力が有効に使われる。
また、本発明に係る起電力発生装置10は、機械装置のある部位の移動を検出して、機械装置の正常動作及び異常動作の検出にも利用可能である。この場合も、前記ある部位の正常状態及び異常状態を作業者に知らせるための表示装置及び通信装置を、起電力発生装置10から出力されるパルス信号により蓄電池に蓄電された電力を用いて行うとよい。
また、本発明に係る起電力発生装置10及び永久磁石23,24を、屋外に設けた小型の風車により回転する回転装置に適用して、屋外に設けたランプの点灯、表示装置による表示などにも利用できる。この場合も、屋外に設けられて自然の風による風車の回転時に、起電力発生装置10から出力されるパルス信号により蓄電池に蓄電して、蓄電された電力でランプの点灯、表示装置による表示などを制御すれば、電池が不要となったり、電池を設けた場合でも電池の消費電力を抑えることができる。
10…起電力発生装置、11A…観測面、11…磁性膜、12…コイル、12a,12b,12c…線状導電層、13,13−1,13−2,16−1,16−2…軟磁性シート、13a…窓、14…絶縁基板、15…金線、20 …回転装置、21…回転軸、22…回転板、23,24…永久磁石、31…負荷抵抗、40…オシロスコープ、41…プローブ、50…直動装置、51,52…直動板

Claims (12)

  1. 交番磁界の印加により大バルクハウゼン効果による磁性変化を起こす磁性体と、前記磁性体の磁性変化によって生じる通過磁束の変化により起電力を発生するコイルとを備えた起電力発生装置において、
    前記磁性体は、異方性でありかつ単一保磁力である磁気特性をもち、
    前記磁性体に対して交番磁界が印加される側に、前記磁性体の容易軸方向の両端部分を覆うように前記両端部分に対向し、かつ前記磁性体の容易軸方向の中央部分には対向しないように隙間をあけて、前記磁性体の保磁力よりも小さな保磁力である軟磁性シートを配置したことを特徴とする起電力発生装置。
  2. 前記磁性体は、容易軸方向に長尺状の長方形状である請求項1に記載した起電力発生装置。
  3. 前記磁性体は、半硬磁性特性を示す磁性体からなる請求項1又は2に記載した起電力発生装置。
  4. 前記磁性体は、FeCoを含む半硬磁性特性を示す磁性体からなる請求項3に記載した起電力発生装置。
  5. 前記軟磁性シートが対向していない前記磁性体の中央部分は、前記磁性体の容易軸に直交する方向に延設された2辺を有する方形状である請求項1乃至4のうちのいずれか一つに記載した起電力発生装置。
  6. 前記磁性体の中央部分の2辺間の長さは、前記磁性体の容易軸長の50%以下である請求項5に記載した起電力発生装置。
  7. 前記交番磁界は、永久磁石を前記磁性体に対して相対移動させることにより、前記磁性体に印加される請求項1乃至6のうちのいずれか一つに記載した起電力発生装置。
  8. 前記磁性体は、絶縁基板上に成膜された磁性膜である請求項1乃至7のうちのいずれか一つに記載した起電力発生装置。
  9. 前記コイルは、前記絶縁基板と前記磁性膜の外周に巻き回されている請求項8に記載した起電力発生装置。
  10. 前記コイルは、前記絶縁基板上にて、前記磁性膜の容易軸方向と交差する方向に延びた複数の線状部分を有する導電性膜で構成されているようにした請求項8に記載した起電力発生装置。
  11. 前記交番磁界は、前記磁性体に対して、前記磁性体の容易軸方向の2つの方向に前記磁性体の飽和磁界以上の磁界をそれぞれ印加するようにした請求項1乃至10のうちのいずれか一つに記載した起電力発生装置。
  12. 前記交番磁界は、前記磁性体に対して、前記磁性体の容易軸方向の2つの方向のうちの一方の方向に前記磁性体の飽和磁界以上の磁界を印加し、かつ他方の方向に前記磁性体の保磁力以上かつ飽和磁界以下の磁界を印加するようにした請求項1乃至11のうちのいずれか一つに記載した起電力発生装置。
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