JP6513540B2 - フッ素含有排水の処理方法およびその処理装置 - Google Patents

フッ素含有排水の処理方法およびその処理装置 Download PDF

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Description

本発明は、フッ素含有排水の処理方法およびその処理装置に関し、特に、フッ素含有排水にカルシウム塩を添加して凝集沈殿処理を行うフッ素含有排水の処理方法およびその処理装置に関する。
半導体を製造する工場や金属表面処理を行う施設では、フッ化水素(HF)やフッ化アンモニウム(NHF)を主成分とする薬剤が使用され、フッ素を含む排水(以下、フッ素含有排水)が排出される。また、産業廃棄物焼却施設においては、焼却対象物の組成にフッ素が含まれているとその施設からの排ガスにフッ化水素が含まれることとなる。この排ガス中のフッ化水素は排ガス浄化装置において洗浄液に吸収されてフッ化物イオンとなり排ガス中から除去されるものの、洗浄液はフッ素含有排水として処理する必要がある。
このようなフッ素含有排水は、高濃度の場合にはフッ素を排水から除去する個別処理が施された後に、他の排水に混合されて事業場の総合排水として処理される。フッ素を排水から除去する個別処理の方法としては、一般に、水酸化カルシウム(Ca(OH))等のカルシウム塩を添加してフッ化カルシウム(CaF )の不溶物を生成させ、凝集沈殿処理で固液分離する方法が挙げられる。
添加するカルシウム塩の量は、排水中に存在するフッ化物イオンの濃度を測定し、その濃度のフッ化物イオンと反応してフッ化カルシウムの不溶物を生成させるために必要な量のカルシウムイオン濃度となる量である。
しかしながら、フッ化物イオンの測定に際し、フッ素含有排水中にはフッ化物イオン以外に排水中に存在する陰イオンや金属イオン等の共存成分の影響により、イオン電極方式による測定器でフッ化物イオン濃度を測定する場合には実際のフッ化物イオンの濃度と測定濃度との間に差が生じるおそれがあった。実際のフッ化物イオンの濃度と測定濃度との間に差がある場合には、適切な量のカルシウム塩を添加することができなくなってしまう。
特許文献1には、この差を考慮に入れたフッ素含有排水の処理方法が開示されている。具体的には、特許文献1には、産業排水中の処理対象成分であるフッ化物イオンの測定濃度をこの測定結果に影響を与える共存イオン(カルシウムイオン、マグネシウムイオン等)の濃度に基づいて補正して真のフッ化物イオン濃度を求め、真の産業排水中のフッ化物イオン濃度に基づいて必要な処理薬剤であるカルシウム塩の添加量を算出し、産業排水中に添加する産業排水の処理方法を開示する。
この処理方法によれば、処理薬剤の使用量を必要最小限に抑えつつ産業排水中からフッ化物イオンを除去することができる。
なお、特許文献1によれば、共存成分の濃度は、産業排水を測定することで求めてもよく、配合データベースから取得してもよい。
特許第5532017号公報
しかしながら、特許文献1のフッ素含有排水の処理方法によれば、産業排水中の真のフッ化物イオン濃度を求めて、必要最小限の量で処理薬剤を添加することから、産業排水中のフッ化物イオンの適切な除去が行われないおそれがある。例えば、カルシウム塩(処理薬剤)がフッ化物イオン以外の共存イオンと不溶性塩を形成する可能性があり、この場合、フッ化物イオン濃度と反応させるべきカルシウム塩の量が不足する。また、カルシウムイオンがフッ化物イオンとの不溶性塩を形成する反応とその逆反応の平衡は、一般に逆反応側に大きく傾いているので、単純にカルシウムイオンがフッ化物イオンに対応する濃度となるようにカルシウム塩を添加したのでは十分に産業排水中のフッ化物イオンを除去することはできない。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、共存イオンが存在するフッ素含有産業排水中からより確実にフッ化物イオンを除去するフッ素含有産業排水の処理方法およびフッ素含有排水の処理装置を提供することにある。
上記目的を達成するための請求項1に記載の発明は、フッ素含有排水にカルシウム塩を添加して凝集沈殿処理を行うフッ素含有排水の処理方法において、フッ化物イオン濃度が異なる複数の前記フッ素含有排水のフッ化物イオン濃度を標準添加法に基づいてフッ化物イオン電極計を用いて決定し、該決定したフッ素含有排水のフッ化物イオン濃度と前記標準添加法における標準物質が未添加のときの前記フッ化物イオン電極計の指示値との関係から検量線を作成する検量線作成工程と、標準添加法を用いることなくフッ化物イオン電極計で測定して得られた任意の時点の前記フッ素含有排水の前記フッ化物イオン電極計の指示値を前記検量線に当てはめて該任意の時点のフッ素含有排水中のフッ化物イオン濃度を算出するフッ化物イオン濃度算出工程と、該フッ化物イオン濃度算出工程において算出されたフッ化物イオン濃度の値を下記式(I):
200≦C1−C2×Aw(Ca)/2Aw(F)≦1500
[但し、C1は前記カルシウム塩のカルシウム濃度[mg/L]を表し、C2は前記フッ化物イオン濃度算出工程において算出されたフッ化物イオン濃度の値[mg/L]を表し、Aw(Ca)はカルシウムの原子量を表し、Aw(F)はフッ素の原子量を表す]
に当てはめて添加すべき前記カルシウム塩のカルシウム濃度を算出するカルシウム濃度算出工程と、該カルシウム濃度算出工程において算出されたカルシウム濃度から添加すべきカルシウム塩注入量を決定するカルシウム塩注入量決定工程と、を有することを特徴とする。
この構成によれば、式(I)に基づき、フッ化物イオン濃度測定工程で測定されたフッ素含有排水中のフッ化物イオン濃度に対応するカルシウム濃度よりも200mg/L以上1500mg/L以下で過剰となるようにカルシウム塩がフッ素含有排水中に添加されるので、十分量のカルシウムをフッ素含有排水中に残存させることができる。
また、カルシウムを200mg/L以上1500mg/L以下の過剰量でフッ素含有排水中に存在させることで、カルシウムイオンがフッ化物イオンとの不溶性塩を形成する反応とその逆反応の平衡を不溶性塩を形成する方向に傾けることが可能となり、より確実にフッ素含有排水中のフッ化物イオンを凝集沈殿させて除去することが可能となる。
記特徴的な手法で検量線を作成し、市販のイオン電極計を用いて任意の時点のフッ素含有排水中のフッ素イオン濃度を測定することで、共存イオンが存在していたとしても正確なフッ素イオン濃度を算出することが可能となる。
た、フッ化物イオン濃度測定工程だけでなく、検量線を作成する際にも共存イオンを測定する必要がないから、フッ素含有排水を処理するにあたり共存イオンを測定する機器を全く用いることがなく、且つ、より簡易的により確実にフッ素含有排水中からフッ化物イオンを除去することが可能となる。
のうえ、標準添加法により決定したフッ化物イオン濃度とフッ化物イオン電極計の指示値のデータを逐次散布図に記載し、信頼できる検量線を作成し、この検量線をフッ化物イオン濃度の算出に利用することで、より信頼性の高いフッ化物イオン濃度を算出することが可能となる。
請求項に記載の発明は、請求項1に記載のフッ素含有排水の処理方法において、前記フッ素含有排水中に硫酸イオンが1000mg/L以上の濃度で存在する場合、
前記添加されるカルシウム塩のカルシウムのうち前記硫酸イオンと反応して凝集沈殿して失われるカルシウムを補うため、下記式(II):
C3=(C4−1000)×Aw(Ca)/Fw(SO 2−
[但し、C3は補填されるカルシウム塩のカルシウム濃度を表し、C4はフッ素含有排水中の硫酸イオンの濃度を表し、Aw(Ca)はカルシウムの原子量を表し、Fw(SO 2−)は硫酸イオンの式量を表す]
に当てはめて算出されるカルシウム濃度のカルシウム塩がさらに前記フッ素含有排水中に補填されることを特徴とする。
この構成によれば、フッ素含有排水中に硫酸イオンが1000mg/L以上の量で存在する場合には硫酸イオンがフッ化物イオンと競合して添加したカルシウム塩に由来するカルシウムイオンと不溶性塩を形成し、フッ化物イオンの除去率が低下してしまうところ、かかる場合にフッ素含有排水中の硫酸イオン濃度を考慮して式(II)に基づき算出されるカルシウムイオン濃度となる量のカルシウム塩をさらに補填することで、さらに確実にフッ素含有排水中のフッ化物イオンを除去することが可能となる。
請求項に記載のフッ素含有排水の処理装置は、フッ素含有排水とカルシウム塩とを混合するための混合手段と、フッ素含有排水中のフッ化物イオン濃度を、フッ化物イオン濃度が異なる複数の前記フッ素含有排水のフッ化物イオン濃度を標準添加法に基づいてフッ化物イオン電極計を用いて決定し、該決定したフッ素含有排水のフッ化物イオン濃度と前記標準添加法における標準物質が未添加のときの前記フッ化物イオン電極計の指示値との関係から検量線を作成し、標準添加法を用いることなくフッ化物イオン電極計で測定して得られた任意の時点の前記フッ素含有排水の前記フッ化物イオン電極計の指示値を前記検量線に当てはめて該任意の時点のフッ素含有排水中のフッ化物イオン濃度を算出し、算出されたフッ化物イオン濃度の値を下記式(III):
200≦C1−C2×Aw(Ca)/2Aw(F)≦1500
[但し、C1は前記カルシウム塩のカルシウム濃度[mg/L]を表し、C2は前記算出されたフッ化物イオン濃度の値[mg/L]を表し、Aw(Ca)はカルシウムの原子量を表し、Aw(F)はフッ素の原子量を表す]
に当てはめて前記混合されるカルシウム塩の量を演算可能な演算手段と、該演算手段により演算された量のカルシウム塩を前記混合手段に注入するための注入手段と、を備えたことを特徴とする。
この構成によれば、式(III)に基づき、フッ化物イオン濃度測定工程で測定されたフッ素含有排水中のフッ化物イオン濃度に対応するカルシウム濃度よりも200mg/L以上1500mg/L以下で過剰となるようにカルシウム塩が混合槽中のフッ素含有排水に注入手段によって注入可能となるので、十分量のカルシウムイオンをフッ素含有排水中に残存させることができる。
また、カルシウムイオンを200mg/L以上1500mg/L以下の過剰量でフッ素含有排水中に存在させることで、カルシウムイオンがフッ化物イオンとの不溶性塩を形成する反応とその逆反応の平衡を不溶性塩を形成する方向に傾けることが可能となり、より確実にフッ素含有排水中のフッ化物イオンを凝集沈殿させて除去することが可能となる。
本発明によれば、測定されたフッ素含有排水中のフッ化物イオン濃度に対応するカルシウム濃度よりも200mg/L以上1500mg/L以下の過剰量となるようにカルシウム塩が添加されるので、十分量のカルシウムをフッ素含有排水中に残存させることができる。
また、カルシウムイオンがフッ化物イオンとの不溶性塩を形成する反応とその逆反応の平衡を不溶性塩を形成する方向に傾けることが可能となり、より確実にフッ素含有排水中のフッ化物イオンを凝集沈殿させて除去することが可能となる。
さらに、標準添加法に基づいてフッ素含有排水中の真のフッ化物イオン濃度を測定あるいは算出することで、共存イオンが存在するフッ素含有排水中からより確実にフッ化物イオンを除去することが可能となる。
本発明の実施の形態にかかるフッ素含有排水の処理装置を示すブロック図である。 制御部45によるカルシウム塩の注入制御を説明するためのフローチャートである。 本実施の形態の制御部の変形例を示すブロック図である。 経時的にフッ化物イオンの濃度が3段階に変動したフッ素含有排水のフッ化物イオン濃度を決定するための、標準添加法による回帰直線を示す図である。 図4で決定したそれぞれのフッ素含有排水のフッ化物イオン濃度と図4の標準物質が未添加のときのフッ化物イオン電極計の指示値との関係から作製された検量線(回帰直線)を示す図である。 制御部50によるカルシウム塩の注入制御を説明するためのフローチャートである。 各原水A〜Dとそれぞれのフッ化物イオン標準物質の添加物のフッ化物イオン濃度計指示値(Y軸、単位:mg/L)およびフッ化物イオン標準物質の添加濃度(X軸、単位:mg/L)を示す図である。 図7で決定された各原水A〜Dのフッ化物イオン濃度をX軸の値とし、各原水A〜Dの回帰直線がY軸と交わる点のフッ化物イオン電極計の指示値をY軸の値として最小二乗法により作成した回帰直線(検量線)を示す図である。 フッ化物イオン標準原液が添加されたフッ素含有排水1のフッ化物イオン濃度計指示値(Y軸、単位mg/L)およびフッ化物イオン標準物質の添加濃度(X軸、単位mg/L)を示す図である。
次に、本発明の実施の形態について図に基づいて詳細に説明する。フッ素含有排水の処理方法およびその処理装置を、図1〜図2を参照して説明する。図1は、本発明の実施の形態にかかるフッ素含有排水の処理装置10を示すブロック図であり、図2は、制御部45によるカルシウム塩の注入制御を説明するためのフローチャートである。
図示のように、フッ素含有排水の処理装置10は、原水槽15と、計量槽20と、混合・反応槽25と、凝集槽30と、沈殿槽35と、演算手段47を含む制御部45と、カルシウム塩貯槽55と、から主に構成されている。
フッ素含有排水1は、フッ化物イオンを含有する排水であり、その濃度に制限はない。
原水槽15は、処理すべきフッ素含有排水1の流量調整機能を有する大型の槽である。更に原水槽15中のフッ素含有排水1を原水ポンプ16で計量槽20に送液する。尚、原水槽15には、図示してない調整槽を設けてフッ素含有排水1を受け入れる構成としてもよい。
計量槽20は、フッ化物イオン濃度測定手段21及び硫酸イオン濃度測定手段22を有し、計量槽20中の液体のフッ化物イオン濃度および硫酸イオン濃度が測定可能である。測定されたフッ化物イオン濃度および硫酸イオン濃度の測定値は、前記制御部45へと伝達される。計量槽20はフッ素含有排水1の処理水量を所定の流量にする働きを担う。
なお、フッ化物イオン濃度および硫酸イオン濃度の測定場所は計量槽20に限られるものではなく、フッ素含有排水1とカルシウム塩とが混合される場となる混合・反応槽25よりも上流側であればよい。例えば、原水槽15からポンプ移送した先に設けた測定槽、原水槽15において測定してもよく、混合・反応槽25よりも上流側においてフッ素含有排水1をサンプリングし、フッ化物イオン濃度および硫酸イオン濃度を測定することとしてもよい。
フッ化物イオン濃度測定手段21は、フッ化物イオン電極法を採用した市販のフッ化物イオン濃度計を用いることができ、硫酸イオン濃度測定手段22についても同様に、硫酸イオン電極法による市販の硫酸イオン濃度計を用いることができる。なお、硫酸イオン濃度測定手段22は、硫酸イオン電極法に限らず、公定分析方法のいずれを用いるものであってもよい。さらには、使用薬品量や排ガスのSOx濃度から硫酸イオン濃度を推定する手段であってもよい。
本発明のフッ化物イオン濃度計の校正頻度は、1週間に1回から1か月に1回程度であればよいが、流入するフッ素含有排水の共存物質の性状の変化や製造生産工程の変化などがあれば実施する。
フッ化物イオン濃度および硫酸イオン濃度の測定は、連続的に、あるいは短いインターバルで行うことができる。
混合・反応槽25(混合手段)は、槽内の液体を撹拌混合する攪拌機とカルシウム塩の注入部を備える。カルシウム塩は、カルシウム塩貯槽55に液体の状態で貯留されている。カルシウム塩は、経路57を介して混合・反応槽25へと注入される。経路57にはポンプ59が設けられており、後述する制御部45によりカルシウム塩のカルシウム塩貯槽55からの混合・反応槽25への注入量が制御される。
カルシウム塩は、水溶性カルシウム化合物であれば良く、本実施の形態においては液体のものを用いているが、粉末品であってもよい。カルシウム塩が粉末品である場合、カルシウム塩貯槽としては、下部に開閉弁を設けたホッパー等を採用することができる。かかる場合、制御部45が開閉弁を開閉制御することで混合・反応槽25に注入されるカルシウム塩の量が制御される。
カルシウム塩は、石灰乳、水酸化カルシウム(Ca(OH))、塩化カルシウム(CaCl)、粉末炭酸カルシウム(CaCO)、粉末ドロマイト(Ca・Mg(CO)が挙げられる。
また、混合・反応槽25では、フッ化物イオンとカルシウムイオンの反応により生成されるフッ化カルシウムの不溶性塩が生成されるために好適なpHとなるように、図示しないpH計を連動させて、アルカリ又は鉱酸が添加される。
上記フッ化カルシウムの不溶性塩が生成されるために好適なpHは6〜10の範囲であり、より好ましくはpH6〜8の範囲である。pH8以上では重炭酸イオンの影響でカルシウムが消費されることから、pHは8以下であることが好ましく、pH5以上でフッ化カルシウムの生成が開始することから、反応pHとしてはpH6以上であることが好適である。
凝集槽30は、槽内の液体を撹拌する攪拌機と、高分子凝集剤が注入される注入部を備える。凝集槽30では、混合・反応槽25において形成されたフッ化カルシウム等の不溶物やフッ素含有排水1中の懸濁物質(以下、SSという)などが高分子凝集剤によって凝集される。なお、懸濁物質(SS)とは、水の濁りを示す指標の1つであり、水に含まれる粒子を孔径1μmのガラス繊維ろ紙またはMF膜ろ紙でろ過し、その粒子の乾物重量(mg/L)で表すものである。
凝集槽30に添加される高分子凝集剤としては、排水中のSSの凝集させるために慣用されるものを用いることができる。例えば、カチオン系高分子凝集剤、アニオン系高分子凝集剤および両性高分子凝集剤のいずれを用いても良く、主に粉末品が用いられる。
沈殿槽35においては、凝集槽30で凝集した凝集物が下部に沈殿し、液体と分離する。沈殿槽35の上部から下流に流出する液体は処理水37として排出され、沈殿槽35の下部に沈殿した凝集物は沈殿物38として沈殿槽35から除去される。
前記フッ化物イオン濃度測定手段21及び硫酸イオン濃度測定手段22により計量槽20内の排水1中のフッ化物イオン濃度および硫酸イオン濃度が測定され、前記制御部45は、その測定結果に基づいて注入すべきカルシウム塩の量を演算手段47で算出し、算出された量のカルシウム塩をカルシウム塩貯槽55から注入可能な時間だけポンプ59を作動させ、混合・反応槽25へ供給する処理を行う。
尚、前記制御部45は、ポンプの流量を制御することにより処理する様にしても良い。
ここで、演算手段47により算出される添加すべきカルシウム塩の量は、以下のように説明される。
フッ素含有排水1中のフッ化物イオンとカルシウムイオンの反応は式(IV):
Figure 0006513540
のとおりである。しかし、式(IV)の平衡は両者がイオンの状態で存在する側(すなわち、左側)に傾いているため、フッ素含有排水1中にはカルシウムを過剰量に添加し、式(IV)の平衡をCaF(不溶性塩)が生成される側(すなわち、右側)にシフトさせることが重要となる。
この考え方に基づき、本発明のフッ素含有排水1のフッ化物イオン濃度測定値から添加すべきカルシウム塩の量のカルシウム濃度は以下の式(V):
200≦C1−C2×Aw(Ca)/2Aw(F)≦1500
[但し、C1はフッ素含有排水に添加すべきカルシウム塩のカルシウム濃度[mg/L]を表し、C2は後述するフッ化物イオン濃度測定工程により測定されたフッ化物イオン濃度[mg/L]を表し、Aw(Ca)はカルシウムの原子量を表し、Aw(F)はフッ素の原子量を表す]
に当てはめて算出される。
式(V)の「C2×Aw(Ca)/2Aw(F)」の部分は、式(IV)の左辺のフッ化物イオンとカルシウムイオンが理論量(すなわち、両者が物質量比で2:1の割合で存在する量)で混合・反応槽25に存在するときのカルシウム塩のカルシウム濃度(以下、理論値ともいう)を表しており、かかるカルシウム濃度をAとすると、式(V)は、「A+200≦C(Ca2+)」および「C(Ca2+)≦A+1500」の二つの式に分けて表すことができる。
すなわち、フッ素含有排水1中に添加すべきカルシウム塩のカルシウム濃度[mg/L]は、カルシウムがフッ化物イオンに対して理論量で存在することとなる濃度(理論値)を200mg/L〜1500mg/Lの範囲で過剰となる濃度となる。
過剰となるカルシウムの濃度が200mg/Lを下回ると、カルシウム塩の添加不足となり、式(IV)で示す反応が左辺側に傾くことから、フッ素含有排水1中のフッ化物イオンの確実な除去が困難となる。また、過剰となるカルシウムの濃度が1500mg/Lを超えると、フッ素含有排水1中のカルシウムの濃度が大過剰となるためカルシウム塩のコストが増大し、さらには下流の配管、凝集槽30、沈殿槽35でのカルシウム塩の残留によるスケール障害を誘発する原因にもなるために好ましくない。
過剰となるカルシウム濃度は、好ましくは300mg/L〜1000mg/Lの範囲であり、さらに好ましくは400mg/L〜800mg/Lの範囲であり、特に好ましくは500mg/Lである。
また、フッ素含有排水1の性状や経験則を考慮し、式(V)に係数を設定して補正し、最適なカルシウム塩の添加量を決定することも可能である。
添加すべきカルシウム塩のカルシウムの濃度が決定されると、カルシウム塩の添加濃度(mg/L)も決定される。なお、カルシウム塩の添加濃度(mg/L)とは、混合・反応槽25に添加された後の、混合・反応槽25におけるフッ素含有排水1中でのカルシウム塩濃度のことをいう。
例えば、カルシウム塩が水酸化カルシウム(Ca(OH))である場合、カルシウム塩の添加濃度は式(VI):
C5=C6×Mw(Ca(OH))/Aw(Ca)
[但し、C5は水酸化カルシウムの添加濃度を表し、C6は添加すべきカルシウム塩のカルシウム濃度[mg/L]を表し、Mw(Ca(OH))は水酸化カルシウムの分子量を表し、Aw(Ca)はカルシウムの原子量を表す。]
により決定される。
式(VI)で決定された水酸化カルシウム(カルシウム塩)の添加濃度およびカルシウム塩貯槽55中のカルシウム塩の濃度に基づき、カルシウム塩貯槽55から混合・反応槽25に注入されるカルシウム塩の送液速度および送液量が決定される。
さらに、上記式(V)〜(VI)により決定されるカルシウム塩の添加量に加えて、さらにカルシウム塩が補填される場合について説明する。
液温20℃〜25℃におけるフッ素含有排水1中の硫酸イオン濃度が1000mg/Lを超える場合には、上記式(V)により決定されるカルシウムイオン濃度に対応する量のカルシウム塩を添加するのでは、硫酸イオンがフッ化物イオンと競合して添加されたカルシウム塩に由来するカルシウムイオンと不溶性塩を形成し、フッ化物イオンの除去率が低下してしまうことが経験的にわかっている。
そこで、フッ素含有排水1中の硫酸イオン濃度が1000mg/Lを超える場合には、式(VI)に基づき算出されるカルシウム塩の添加濃度に加えて、下記式(VII)に基づき算出されるカルシウム塩の添加濃度に対応する量のカルシウム塩が補填される。
式(VII):
C3=(C4−1000)×Aw(Ca)/Fw(SO 2−
[但し、C3は補填されるカルシウム塩のカルシウム濃度を表し、C4はフッ素含有排水中の硫酸イオンの濃度を表し、Aw(Ca)はカルシウムの原子量を表し、Fw(SO 2−)は硫酸イオンの式量を表す]
次に、以上の構成を有する本実施の形態に係るフッ素含有排水の処理装置10を用いたフッ素含有排水の処理方法について、図1の構成と対比しながら図2のフローチャートを用いて説明する。
[フッ化物イオン濃度、又は、フッ化物イオン濃度及び硫酸イオン濃度の測定工程]
図2に示すように、ステップS101では、計量槽20において、フッ素含有排水1中のフッ化物イオン濃度、又は、フッ化物イオン濃度および硫酸イオン濃度が、フッ化物イオン濃度測定手段21及び硫酸イオン濃度測定手段22により測定される。
尚、フッ化物イオン濃度のみが測定される場合は、事前に硫酸イオンが測定されているか、あるいは使用薬品量や排ガスのSOx濃度から硫酸イオン濃度が事前に推定されている場合である。
また、硫酸イオン濃度については事前に推定または測定されていた場合も含む。
[カルシウム濃度算出工程]
次に、制御部45により、測定されたフッ素含有排水1中のフッ化物イオン濃度及び硫酸イオン濃度の測定値を演算手段47で演算処理する制御を行う。
ステップS102では、計量槽20のフッ素含有排水1中のフッ化物イオン濃度および硫酸イオン濃度の情報が制御部45に伝達されると、制御部45は硫酸イオン濃度が1000mg/L以上であるか否かを判定する。硫酸イオン濃度が1000mg/L以上である場合(YES判定)、ステップS103に移行する。硫酸イオン濃度が1000mg/L未満である場合(NO判定)、ステップS104に移行する。
ステップS103では、上記式(V)にS101で測定されたフッ化物イオンの測定値を代入して算出されるカルシウム濃度に、上記式(VII)にS101で測定された硫酸イオンの測定値を代入して算出されるカルシウム濃度を加算し、加算後のカルシウム濃度に対応する添加すべきカルシウム塩の濃度(補填されたカルシウム塩の濃度を含む)を算出する。その後、カルシウム塩注入のステップS105に移行する。
一方、前述した1000mg/L未満NO判定のステップS104では、上記式(V)にS101で測定されたフッ化物イオン濃度の測定値を代入して算出されるカルシウム濃度のみを算出する。その後、カルシウム塩注入のステップS105に移行する。
[カルシウム塩の注入工程]
ステップS105では、混合・反応槽25のフッ素含有排水1中で、ステップS103又はステップS104で算出された濃度となるようにカルシウム塩貯槽55から混合・反応槽25へとカルシウム塩を注入する。カルシウム塩の注入は、制御部45により駆動されるポンプ59により行われ、注入速度及び注入量の調整も制御部45により行われる。
ステップS105の終了後、図2のフローはスタートにリターンし、ステップS101からの制御が連続的に、あるいは短いインターバルで繰り返される。
その後、混合・反応槽25中の液体は一定の流速、流量および水量で凝集槽30において凝集処理に付され、沈殿槽35において沈澱処理に付され、フッ素が除去された処理水37が沈殿槽35から流出する。
したがって、式(V)に基づき、フッ化物イオン濃度および硫酸イオン濃度測定工程(S101)で測定されたフッ素含有排水1中のフッ化物イオン濃度に対応するカルシウム濃度、即ち、カルシウムがフッ化物イオンに対して理論量で存在することとなるカルシウム濃度よりも200mg/L以上1500mg/L以下で過剰となるようにカルシウム塩が混合・反応槽25においてフッ素含有排水1中に添加される。
そして、添加されたカルシウム塩がフッ化物イオン以外の共存イオンと多少反応した場合であっても十分量のカルシウムイオンをフッ素含有排水1中に残存させることができる。
また、カルシウムを200mg/L以上1500mg/L以下の過剰量でフッ素含有排水1中に存在させることで、カルシウムイオンがフッ化物イオンとの不溶性塩を形成する反応と、その逆反応の平衡(式(IV)参照)を不溶性塩を形成する方向に傾けることが可能となり、より確実にフッ素含有排水1中のフッ化物イオンを凝集沈殿させて除去することが可能となる。
さらに、フッ素含有排水1中に硫酸イオンが1000mg/L以上の量で存在する場合には硫酸イオンがフッ化物イオンと競合して添加したカルシウム塩に由来するカルシウムイオンと不溶性塩を形成し、フッ化物イオンの除去率が低下してしまうところ、かかる場合には式(VII)に基づき、フッ素含有排水1中の硫酸イオン濃度を考慮してさらなるカルシウム塩が混合・反応槽25中に補填されることで、確実にフッ素含有排水1中のフッ化物イオンを除去することが可能となる。
なお、本実施の形態におけるフッ化物イオン濃度測定手段21では、フッ素含有排水1中のフッ化物イオン濃度の測定値として、フッ素含有排水1を、フッ化物イオン電極法を採用した市販のフッ化物イオン濃度計で測定した値をそのまま用いているが、これに限られるものではない。例えば、フッ化物イオン濃度を測定すべきフッ素含有排水1に対してフッ化物イオン濃度が既知のフッ化物イオン標準物質を添加する標準添加法により、共存イオンを含むフッ素含有排水1の真のフッ化物イオン濃度を測定することとしてもよい。
これによると、測定すべきフッ素含有排水1中にフッ化物イオン以外の共存オンが存在している場合であっても、その共存イオンの影響が排除されてフッ素含有排水1中の真のフッ化物イオンの濃度を求めることが可能となる。したがって、共存イオンが存在するフッ素含有産業排水中からより確実にフッ化物イオンを除去することが可能となる。
次に、以下、制御部45の変形例を、図3〜図6を参照して説明する。
図3は変形例に係る制御部50を示すブロック図であり、図4は経時的にフッ化物イオンの濃度が3段階に変動したフッ素含有排水のフッ化物イオン濃度を決定するための、標準添加法による回帰直線を示す図であり、図5は図4で決定したそれぞれのフッ素含有排水のフッ化物イオン濃度と図4の標準物質が未添加のときのフッ化物イオン電極計の指示値との関係から作製された検量線(回帰直線)を示す図であり、図6は制御部50によるカルシウム塩の注入制御を説明するためのフローチャートである。
図3に示すように、制御部50は、検量線作成手段52と、フッ化物イオン濃度算出手段54と、演算手段56と、を有する。
本変形例において特徴的なことは、検量線作成手段52は、標準添加法に基づきフッ化物イオン電極計を用いて決定された、フッ化物イオン濃度が経時的に少なくとも3段階に変動したフッ素含有排水1のそれぞれのフッ化物イオン濃度と、これらフッ化物イオン濃度が決定されたフッ素含有排水1の上記標準添加法における標準物質が未添加のときのフッ化物イオン電極計の指示値との関係から原点を通る検量線を作製する点にある。
標準添加法とは、共存物質の影響を受ける系などの場合に、未知試料に一定量の既知濃度の標準物質を添加して検量線の系列を作成し、この関係線から未知試料の濃度を定量するものである。
本変形例においては、フッ化物イオンの濃度が未知であり、且つ他のイオンが共存するフッ素含有排水1に対して、フッ化物イオン標準原液を、添加したフッ化物イオンの濃度が例えば、100mg/L、200mg/Lおよび300mg/Lとなるように添加した溶液を作製する。図9は、フッ化物イオン標準原液が添加されたフッ素含有排水1のフッ化物イオン濃度計指示値(Y軸、単位mg/L)およびフッ化物イオン標準物質の添加濃度(X軸、単位mg/L)を示す図である。
尚、本変形例においてはフッ化物イオン濃度(mg/L)を適用したが、これに限らず、その指示値が電位(mV)でもよい。
図9に示ように、フッ化物イオン標準原液がそれぞれ添加された溶液による3つのプロットを結ぶ1本の直線を引くことができ、この直線がX軸と交わる点zにより、フッ素含有排水1中のフッ化物イオン濃度が示されることとなる。
次に、図4、図5を用いて標準添加法による回帰直線の求め方を説明する。
具体的には、図4に示すように、経時的にフッ化物イオン濃度が3段階に変動したフッ素含有排水1をそれぞれ、1A、1B、1Cで示し、標準添加法によりフッ化物イオン濃度a、b、cをそれぞれ決定する。
かかる決定したフッ素含有排水1A〜1C中のフッ化物イオン濃度a〜cをX軸の値とし、フッ素含有排水1A〜1CがY軸と交わる点イ〜ハのフッ化物イオン電極計の指示値、即ち、標準物質が未添加のときのフッ化物イオン電極計の指示値をY軸の値として3つの点をプロットし、図5に示すように、これらの点を結びつつ原点を通る1本の直線を引くと、この直線が上述の検量線となる。
例えば、この直線は原点を通りつつ最小二乗法を用いて作成した回帰直線として得ることができる。なお、図5のa〜cの値は、図4のa〜cの値の絶対値である。
フッ化物イオン濃度算出手段54は、フッ化物イオン濃度測定手段21が測定し、制御部50に伝達されたフッ化物イオン濃度(測定値)を上記検量線(回帰直線の回帰式)に当てはめて任意の時点のフッ素含有排水1中のフッ化物イオン濃度を算出するプログラムである。
演算手段56は、フッ化物イオン濃度算出手段54により算出された任意の時点のフッ素含有排水1中のフッ化物イオンの濃度を上記式(V)のC2の値として当てはめて添加すべきカルシウム塩のカルシウム濃度を算出する。
次に、フッ素含有排水の処理装置10を用い前述した標準添加法及び検量線を適用したフッ素含有排水の処理方法について図6のフローチャートを参照して説明する。
[検量線作成工程]
本変形例においては、フッ素含有排水の処理装置10を用いてフッ素含有排水の処理を行うに先立ち、標準添加法によるフッ化物イオン濃度測定および検量線の作製を行う。
<標準添加法によるフッ化物イオン濃度測定>
図1に示すように、フッ化物イオン濃度測定手段21によりフッ素含有排水1のフッ化物イオン濃度が測定され、次に、フッ化物イオン濃度が測定された計量槽20中のフッ素含有排水1に対してフッ化物イオンの標準物質が例えば、フッ化物イオン標準物質の添加濃度が100mg/L、200mg/L、300mg/L...となるように段階的に添加され、そのときのフッ化物イオンの濃度が測定される。即ち、フッ素含有排水1について、標準添加法によりフッ化物イオン濃度を決定するための測定データが収集される。
図6に示す様に、標準添加法によるフッ化物イオン濃度の測定(S301)では、かかるフッ素含有排水1の標準添加法によるフッ化物イオン濃度の測定は、経時的に濃度が少なくとも3段階に変動したフッ化物イオン濃度について実施される。
<検量線作成>
検量線作成工程(S302)では、制御部50は、前記測定値に基づき、フッ素含有排水1について経時的に少なくとも3段階に変動したフッ化物イオン濃度をそれぞれ決定し、決定したフッ化物イオン濃度をX軸の値とし、図4に示すように、各直線がY軸と交わる点のフッ化物イオン電極計の指示値、即ち、標準物質が未添加のときのフッ化物イオン電極計の指示値をY軸の値とし、図5に示すように、最小二乗法による回帰直線、つまり、原点を通る検量線を作成する。
[フッ化物イオン濃度測定工程]
ステップS201では、計量槽20において、フッ素含有排水1中のフッ化物イオン濃度がフッ化物イオン濃度測定手段21により測定される。
[フッ化物イオン濃度算出工程]
ステップS202では、制御部50の演算手段47はフッ化物イオン濃度の測定値を検量線作成工程で作成された検量線に当てはめてフッ素含有排水1中のフッ化物イオン濃度を算出する。
[カルシウム濃度算出工程]
ステップS203では、制御部50の演算手段47により、上記式(V)に、ステップS202で算出されたフッ化物イオン濃度値を代入し、混合・反応槽25中に添加すべきカルシウム塩の添加濃度に対応するカルシウムイオン濃度を算出する。
[カルシウム塩の注入工程]
ステップS204では、混合・反応槽25のフッ素含有排水1中で、ステップS203で算出された濃度となるようにカルシウム塩貯槽55から混合・反応槽25へとカルシウム塩を注入する。カルシウム塩の注入は、制御部50により、前述した実施の形態と同様に行われる。
ステップS204の終了後、図6のフローはスタートにリターンし、ステップS201〜S204までの制御が連続的に、あるいは短いインターバルで繰り返される。
その後、混合・反応槽25中の液体は凝集槽30での凝集処理および沈殿槽35での沈殿処理に付され、フッ素が除去された処理水37が沈殿槽35から流出する。
以上のことから、本変形例にかかるフッ素含有排水の処理装置10およびフッ素含有排水の処理方法によれば、フッ化物イオン濃度が経時的に変動するフッ素含有排水1であっても、予めフッ化物イオン濃度が少なくとも3段階に経時的に変動したフッ素含有排水1のそれぞれのフッ化物イオン濃度を標準添加法により決定し、決定したフッ化物イオン濃度とフッ化物イオン電極計の指示値との関係から検量線を作成し、この検量線にフッ化物イオン濃度測定工程(S201)で測定された任意の時点のフッ素含有排水のフッ化物イオン濃度の測定値を当てはめてフッ化物イオン濃度算出工程(S202)でフッ化物イオン濃度を算出し、かかるフッ化物イオン濃度を式(I)に当てはめて添加すべきカルシウム塩の濃度をカルシウム濃度算出工程(S203)で算出することができる。
したがって、上記特徴的な手法で検量線を作成し、従来どおりのイオン電極計を用いて任意の時点のフッ素含有排水1中のフッ素イオン濃度を測定することで、共存イオンが存在していたとしてもほぼ正確なフッ素イオン濃度を測定することが可能となる。
また、フッ化物イオン濃度測定工程(S202)だけでなく、検量線を作成する際にも共存イオンを測定する必要がないから、フッ素含有排水1を処理するにあたり共存イオンを測定する機器を全く用いることがなく、且つ、より簡易的により確実にフッ素含有排水中からフッ化物イオンを除去することが可能となる。
前述した実施の形態においては、カルシウム塩を、カルシウムがフッ化物イオンに対して理論量で存在することとなる濃度よりも所定量、例えば200mg/L〜1500mg/L過剰となる濃度となるように混合槽に添加することでフッ素含有排水1中の共存イオン(塩化物イオン、硫酸イオン、硝酸イオンなどの陰イオンや鉄イオン、アルミニウムイオン等の陽イオン)の影響を抑制していたが、イオン電極法によりフッ化物イオンを測定することから、フッ化物含有排水1中のフッ化物イオンの測定値と実際のフッ化物含有排水1中のフッ化物イオンの濃度との間に共存イオンの存在に起因する誤差が生じることの懸念が残っていた。
また、他の共存イオンの濃度を測定するためにフッ素含有排水の処理装置10に対して別途測定機器を設けるとなると装置構成が複雑化し、且つ、フッ素含有排水1中のフッ化物イオン濃度は経時的に変動するものであるから、フッ化物イオン濃度と、他の共存イオンの濃度をその都度すべて測定するのでは測定の手間も増えることとなる。
したがって、本実施例の前述した変形例に係るフッ素含有排水の処理装置10およびその処理方法では、共存イオンが存在するフッ素含有産業排水中からより簡易的且つより確実にフッ化物イオンを除去することが可能となる。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されることはなく、例えば、上記実施の形態の変形例においては検量線の作製にあたり、経時的に濃度が3段階に変動したフッ素含有排水を用いたが、これに限られるものではない。実際のフッ素含有排水の代わりに模擬フッ素含有排水をフッ素含有排水として用いることができ、具体的には、処理対象となるフッ素含有排水に含まれる陰イオンや陽イオン濃度が同程度の濃度となるように試薬や化学薬品を水道水や脱塩水に溶解し、濃度調整したフッ化物イオンを含まない模擬フッ素含有排水を、実際のフッ素含有排水の代わりに検量線の作製のために使用してもよい。
あらかじめフッ素含有排水の塩化物イオン、硫酸イオン、硝酸イオンなどの陰イオンや鉄イオン、アルミニウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンなどの陽イオンの濃度を測定し、それに見合った塩化ナトリウム、塩化カリウムや硫酸ナトリム、硫酸カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、塩化鉄、硫酸鉄、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウムなどの試薬を水道水や脱塩水に溶解し、濃度調整したフッ化物イオンを含まない模擬フッ素含有排水を調製する。
その模擬フッ素含有排水にフッ化物イオン標準原液を添加して少なくとも3以上の複数段階のフッ化物イオン濃度を有するフッ素含有排水を作製し、標準添加法を用いて図4および図5のやり方で検量線を作製することもできる。
また、上記変形例においては、上記実施の形態の変形例においては検量線の作製にあたり、経時的に濃度が3段階に変動したフッ素含有排水を用いたが、これに限られるものではなく、例えば、フッ化物イオン濃度が経時的に変動するフッ素含有排水のうち、ある1段階のフッ素含有排水のフッ化物イオン濃度を標準添加法に基づいて図4のように決定し、そのうえで図5のやり方で原点を通る検量線を作成することも可能である。
これは、図5に示す検量線は必ず原点を通ることになるから、原点とある1段階の標準添加法を用いて決定したフッ素含有排水のフッ化物イオン濃度の値およびフッ化物イオン電極計の指示値とがわかれば、理論的に検量線を作成可能である。
さらに、フッ化物イオンに限らず、共存イオンが存在し、且つ、経時的に濃度が変動する陰イオンあるいは陽イオンが上記変形例のように一つである液体系に対して、上記検量線および検量線の作製方法は適用可能である。
経時的に濃度が変動する陰イオンあるいは陽イオンとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、シアン化物イオン、鉛イオン、カドミウムイオン、銅イオン、水銀イオンなど2価陽イオン、硝酸イオン、塩素酸イオン、カルシウムイオン、アンモニウムイオンが挙げられる。
フッ素処理以外で、処理対象物質濃度が本発明のイオン電極法で簡便にモニターでき、その結果により適正な薬品を添加することで、処理性能が向上する。シアン化物イオンは、塩素酸化処理の塩素注入量の決定に、鉛イオン、カドミウムイオン、銅イオン、水銀イオンなど2価陽イオンは、配位結合を有する薬剤(以下、液体キレート)による重金属処理において、液体キレートの注入率の決定に、硝酸イオンは、生物学的脱窒素処理での水素供与体であるアルコール類などの注入率や触媒還元処理時のヒドラジンのような還元剤の注入率の決定に、塩素酸イオンは、還元処理における亜硫酸塩などの還元剤の注入率の決定に、アンモニウムイオンは塩素酸化における塩素注入率の決定に適用できる。
かかる検量線および検量線の作製方法によれば、共存イオンが存在し、且つ、経時的に濃度が変動する陰イオンあるいは陽イオンが上記変形例のように一つである液体系において、簡易的且つより確実に経時的に変動する陰イオンあるいは陽イオンの濃度が決定可能となる。
以下、本発明をさらに実施例により詳細に説明する。
[1.検量線の作製]
複数段階にフッ化物イオン濃度が変動した半導体部品工場排水(フッ素含有排水1に相当する。以下、原水という)について標準添加法を行った。
表1に、標準添加法に用いた、4段階にフッ化物イオン濃度が変動した原水(原水A、原水B、原水Cおよび原水D)の性質を示す。
Figure 0006513540
原水A〜Dに対して、フッ化物イオン標準物質の添加濃度がそれぞれ0mg/L,300mg/L,600mg/L,1000mg/Lとなるようにフッ化物イオン標準物質、フッ化ナトリウム(和光純薬工業(株)製 試薬1級)を添加し、各原水とそれぞれのフッ化物イオン標準物質の添加物についてフッ化物イオン電極計(電極の型式:HW−30R、東亜ディーケーケー株式会社製)を用いてフッ化物イオン濃度を測定した。
図7は、各原水とそれぞれのフッ化物イオン標準物質の添加物のフッ化物イオン濃度計指示値(Y軸、単位mg/L)およびフッ化物イオン標準物質の添加濃度(X軸、単位mg/L)を示す図である。
なお、図7中の直線は上記フッ化物イオン濃度の測定データから最小二乗法により作成した回帰直線である。
図示のように、各原水A〜Dの回帰直線は、X軸との交点において、約−60mg/L、約−200mg/L、約−400mg/Lおよび約−600mg/LのX軸の値をそれぞれ示しており、この値の絶対値は事前に測定していた各原水のフッ化物イオン濃度の値にほぼ対応していた。
したがって、標準添加法により決定される原水中のフッ化物イオン濃度の値に信頼性が高いことが示された。
次に、図7で決定された各原水A〜Dのフッ化物イオン濃度をX軸の値とし、各原水A〜Dの回帰直線がY軸と交わる点のフッ化物イオン電極計の指示値(すなわち、標準物質が未添加のときのフッ化物イオン電極計の指示値)をY軸の値として最小二乗法により回帰直線を作製した。この回帰直線、すなわち、検量線を図8に示す。
[2.検量線の精度の確認]
表2は、検量線の精度の確認に用いる原水Eの性質を示す表である。
Figure 0006513540
原水Eについて、フッ化物イオン電極計(電極の型式:HW−30R、東亜ディーケーケー株式会社製)を用いてフッ化物イオン濃度を測定し、測定値(フッ化物イオン電極計の指示値)を検量線に当てはめてフッ化物イオン濃度を決定した。結果を図8に示す。
同図に示すように、原水Eのフッ化物イオン濃度は140mg/Lと決定された。この値は、表2のJIS K0102(2013)34.1ランタン-アリザリンコンプレキソン吸光光度法による測定値の130mg/Lと近い値であり、作成した検量線が簡易的なフッ化物イオン濃度の決定方法として活用可能であることが示された。
[3.原水Eの処理]
上記実施の形態の変形例に対応するフッ素含有排水の処理装置を用いて原水Eの処理を行い、処理水37を得た。
上述のとおり、原水Eのフッ化物イオン濃度の決定値を140mg/Lとし、カルシウム塩として10wt/wt%の消石灰液(比重1.06)を、カルシウムがフッ化物イオンに対して理論値+100mg/L(試験例1)、理論値+200mg/L(試験例2)、理論値+300mg/L(試験例3)、理論値+500mg/L(試験例4)、理論値+700mg/L(試験例5)、理論値+1000mg/L(試験例6)および理論値+1500mg/L(試験例7)となるように混合・反応槽25に添加した。
すなわち、原水Eのフッ化物イオン濃度140mg/Lに対して、計算上の過剰のカルシウムイオン濃度を100〜1500mg/Lに設定した。
表3にフッ素含有排水の処理装置の処理条件を示す。
Figure 0006513540
なお、上記試験例1〜7においては、硫酸イオン濃度の測定は行わず、原水中のフッ化物イオン濃度を変動させないため、消石灰添加率も経時的な変動はなかった。
試験の結果を表4に示す。
Figure 0006513540
表4中、処理水のフッ化物イオン濃度は、表2同様、孔径1μmのMFでろ過したろ過水についてJIS K0102(2013)34.1に準拠した方法により測定した。
表4に示すように、カルシウム塩を、混合・反応槽25のカルシウム濃度がフッ化物イオンに対して理論値+200mg/Lとなるように添加した場合、処理水のフッ化物イオン濃度を16mg以下となるまで低下させることができた。また、理論値+300mg/Lとなるようにカルシウム塩を添加すると、さらに処理水のフッ化物イオン濃度を低下させることができた。
[4.検量線に基づくフッ化物イオン濃度の決定手法と従来法との比較]
原水E(試験例11)および原水Eを水道水で任意に希釈した原水希釈液(試験例8〜10)について、フッ化物イオン電極計(電極の型式:HW−30R、東亜ディーケーケー株式会社製)を用い、上記[1.検量線の作製]で作製した検量線を用いて算出したフッ化物イオン濃度と、従来法によるフッ化物イオン濃度の決定結果とを比較した。
従来法は、標準添加法を用いない、一般的な手法に基づく検量線に当てはめてフッ化物イオン濃度を測定する方法である。すなわち、市販のフッ化物イオン標準原液を少なくとも3以上の濃度(例えば、10mg/L、50mg/L、100mg/L…)となるように、JIS K0102(2013)34.2の緩衝液および脱塩水を添加しつつそれぞれ希釈し、複数のフッ化物イオン濃度を有する希釈液を作製した。
この希釈液をフッ化物イオン電極計(電極の型式:HW−30R、東亜ディーケーケー株式会社製)を用いてフッ化物イオン濃度を測定して得られた指示値をY軸の値とし、それぞれの希釈液の上記フッ化物イオンの濃度(10mg/L、50mg/L、100mg/L…)をX軸の値として検量線を作製した。
次に、フッ化物イオン電極計(電極の型式:HW−30R、東亜ディーケーケー株式会社製)を用いて原水E(試験例4)および原水Eを水道水で任意に希釈した原水希釈液(試験例1〜3)のフッ化物イオン濃度を測定し、測定した指示値を、上記[1.検量線の作製]で作製した検量線および上記従来法で作製した検量線にそれぞれ当てはめ、フッ化物イオン濃度を算出した。
結果を表5に示す。
Figure 0006513540
表5に示すように、[1.検量線の作製]で作製した検量線に当てはめて算出されたフッ化物イオン濃度は、公定法(すなわち、JIS K0102(2013)34.1に準拠した方法)により測定されたフッ化物イオンの濃度に非常に近い値となっていた。一方、従来法により作成した検量線で得られた測定値は、フッ化物イオン濃度が100mg/L以下(公定法による)の部分で測定の精度が低いものとなっていた。
従来法において測定の精度が低いこととなった原因としては、原水E中の共存物質の影響が考えられる。
[5.模擬原水について、公知の標準添加法に基づくフッ化物イオン濃度の算出]
脱塩水に原水Eの陰イオン濃度や陽イオン濃度(表2参照)となるようにフッ化物イオン標準原液、塩化ナトリウム、硝酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸鉄および塩化アルミニウムを添加した模擬原水(試験例12)を作製した。したがって、模擬原水中の公定法(JIS K0102(2013)34.1に準拠した方法による)フッ化物イオン濃度は130mg/Lである。
この模擬原水にさらにフッ化物イオン標準原液を添加し、フッ化物イオン濃度がそれぞれ異なる標準添加模擬原水(10mg/L、50mg/L、100mg/L…)を作製した。
これらの標準添加模擬原水のフッ化物イオン濃度をフッ化物イオン電極計(電極の型式:HW−30R、東亜ディーケーケー株式会社製)を用いて測定し、図9に示すような公知の標準添加法による検量線を作製し、この検量線とX軸との交点から模擬原水中のフッ化物イオン濃度を算出した。
結果を表6に示す。
Figure 0006513540
表6に示すように、公知の標準添加法を用いた場合ではあるものの、フッ化物イオン濃度の算出値は公定法(JIS K0102(2013)34.1に準拠した方法)によるフッ化物イオン濃度の測定値と近い値を示した。
このことは、模擬原水を原水(処理対象のフッ素含有排水)の代わりに用いて上記変形例の図5に示す検量線を作製することができることを示している。
1 フッ素含有排水
10 フッ素含有排水の処理装置
21 フッ化物濃度測定手段(フッ化物イオン電極計)
25 混合・反応槽(混合手段)
47、56 演算手段
59 ポンプ(注入手段)

Claims (3)

  1. フッ素含有排水にカルシウム塩を添加して凝集沈殿処理を行うフッ素含有排水の処理方法において、
    フッ化物イオン濃度が異なる複数の前記フッ素含有排水のフッ化物イオン濃度を標準添加法に基づいてフッ化物イオン電極計を用いて決定し、該決定したフッ素含有排水のフッ化物イオン濃度と前記標準添加法における標準物質が未添加のときの前記フッ化物イオン電極計の指示値との関係から検量線を作成する検量線作成工程と、
    標準添加法を用いることなくフッ化物イオン電極計で測定して得られた任意の時点の前記フッ素含有排水の前記フッ化物イオン電極計の指示値を前記検量線に当てはめて該任意の時点のフッ素含有排水中のフッ化物イオン濃度を算出するフッ化物イオン濃度算出工程と、
    該フッ化物イオン濃度算出工程において算出されたフッ化物イオン濃度の値を下記式(I):
    200≦C1−C2×Aw(Ca)/2Aw(F)≦1500
    [但し、C1は前記カルシウム塩のカルシウム濃度[mg/L]を表し、C2は前記フッ化物イオン濃度算出工程において算出されたフッ化物イオン濃度の値[mg/L]を表し、Aw(Ca)はカルシウムの原子量を表し、Aw(F)はフッ素の原子量を表す]
    に当てはめて添加すべき前記カルシウム塩のカルシウム濃度を算出するカルシウム濃度算出工程と、
    該カルシウム濃度算出工程において算出されたカルシウム濃度から添加すべきカルシウム塩注入量を決定するカルシウム塩注入量決定工程と、
    を有することを特徴とするフッ素含有排水の処理方法。
  2. 前記フッ素含有排水中に硫酸イオンが1000mg/L以上の濃度で存在する場合、
    前記添加されるカルシウム塩のカルシウムのうち前記硫酸イオンと反応して凝集沈殿して失われるカルシウムを補うため、下記式(II):
    C3=(C4−1000)×Aw(Ca)/Fw(SO 2−
    [但し、C3は補填されるカルシウム塩のカルシウム濃度を表し、C4はフッ素含有排水中の硫酸イオンの濃度を表し、Aw(Ca)はカルシウムの原子量を表し、Fw(SO 2−)は硫酸イオンの式量を表す]
    に当てはめて算出されるカルシウム濃度のカルシウム塩がさらに前記フッ素含有排水中に補填されることを特徴とする請求項1に記載のフッ素含有排水の処理方法。
  3. フッ素含有排水とカルシウム塩とを混合するための混合手段と、
    フッ素含有排水中のフッ化物イオン濃度を、フッ化物イオン濃度が異なる複数の前記フッ素含有排水のフッ化物イオン濃度を標準添加法に基づいてフッ化物イオン電極計を用いて決定し、該決定したフッ素含有排水のフッ化物イオン濃度と前記標準添加法における標準物質が未添加のときの前記フッ化物イオン電極計の指示値との関係から検量線を作成し、標準添加法を用いることなくフッ化物イオン電極計で測定して得られた任意の時点の前記フッ素含有排水の前記フッ化物イオン電極計の指示値を前記検量線に当てはめて該任意の時点のフッ素含有排水中のフッ化物イオン濃度を算出し、算出されたフッ化物イオン濃度の値を下記式(III):
    200≦C1−C2×Aw(Ca)/2Aw(F)≦1500
    [但し、C1は前記カルシウム塩のカルシウム濃度[mg/L]を表し、C2は前記算出されたフッ化物イオン濃度の値[mg/L]を表し、Aw(Ca)はカルシウムの原子量を表し、Aw(F)はフッ素の原子量を表す]
    に当てはめて前記混合されるカルシウム塩の量を演算可能な演算手段と、
    該演算手段により演算された量のカルシウム塩を前記混合手段に注入するための注入手段と、
    を備えたことを特徴とするフッ素含有排水の処理装置。
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