JP6513430B2 - コンベヤベルト及びベルトコンベヤ - Google Patents
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Description
該ベルトコンベヤは、通常、帯状のベルト本体を有するコンベヤベルトを備え、前記ベルト本体を無端状にさせて周回させ、該ベルト本体上に搭載した搬送物を目的地まで搬送させるべく用いられている。
この種のベルトコンベヤは、搬送物の出発点から目的地までの間に高低差があり、例えば、搬送物の搬送方向に向けて急傾斜な上り勾配を有する場合、ベルト本体上を滑って搬送物が逆戻りしてしまうおそれがある。
そのためこの種の用途においては、従来、ベルト本体の搬送面に横桟を設けて搬送物の後戻りを防いだコンベヤベルトが利用されたりしている。
該横桟は、重力の作用によってベルト本体の長手方向(以下、「ベルト長手方向」ともいう)に沿って搬送物が後戻りしてベルトコンベヤの搬送能力が低下してしまうことを抑制すべく、通常、ベルト本体の幅方向(以下、「ベルト幅方向」ともいう)に沿って配され、搬送面よりも突出した部位をベルト幅方向に沿って形成させる形でベルト本体上に設けられている。
また、搬送経路に勾配が無くコンベヤベルトが傾斜角0度で用いられる場合でも、搬送物が転がって後戻りすることを抑制して搬送量を安定させる目的で横桟を設けたコンベヤベルトが利用されている。
また、コンベヤベルトは、食品や医薬品などのクリーンな環境で搬送されることが要求されるような物を搬送する場合には、外部より異物が混入することを防止する目的で筒状にして用いられている。
ここでベルト幅方向に沿って設けられる前記横桟は、ベルト本体を樋状や筒状に変形させようとした際にその曲げ剛性によって前記変形を阻止させる要因となり得る。
そして、横桟を、例えば、背の高い板状構造としてしまうとベルト本体を前記のように樋状や筒状に変形させることがより一層困難になるおそれがある。
この点について詳しく説明すると、ベルト本体を樋状や筒状に変形させようとした際には、横桟にはベルト本体に沿った形状に曲げようとする力を作用させることになるとともにベルト幅方向に圧縮しようとする力を作用させることになるが、当該横桟を背の高い板状構造としてしまうとこれらに抗する強度をコンベヤベルトに与える結果となってしまい、前記のような変形をベルト本体に生じさせることが困難になるおそれがある。
しかしながら、例えば、図9に示したようにベルト本体100xの搬送面に柔軟な板状の横桟120xを設けただけでは、ベルト本体100xを樋状や筒状に変形させようとした際に横桟120xがベルト幅方向中央部において折れ曲がるとともに搬送方向、又は、搬送方向とは逆方向に倒伏してしまうおそれがある。
横桟120xは、このように倒伏してしまうと搬送物の後戻りを防止するという機能が大きく損なわれる。
この場合、横桟がベルト幅方向において優れた伸縮性を発揮することから横桟の高さなどがベルト本体の変形性に与える影響は少ないと考えられる。
一方で、この蛇腹状の横桟は、ベルト本体の平面視においてベルト幅方向に山と谷とを繰り返す形状となっており、この谷部に搬送物が挟まり易い。
しかも、このような横桟を備えたコンベヤベルトで搬送物の搬送を行うと、谷部に搬送物が挟まった状態でベルト本体が平坦な帯状の状態から樋状や筒状に変形された際に搬送物が横桟に強く当接される結果となって該搬送物が横桟に食い込んでベルト本体の変形が解除された後でも搬送物を谷部から取出し難くなるおそれがある。
そうすると、例えば、搬送物が本来コンベヤベルトから落下しなければならない目的地において横桟に食い込んだ搬送物がそのままの状態になって落下せずに再び出発地点に向けて返送されてしまうおそれがある。
このように従来のベルトコンベヤにおいては、搬送物を目的地に確実に運搬するという点において改良の余地が残された状態になっている。
しかも、本発明のコンベヤベルトは、搬送物の移動促進に板状部が利用され得ることから、従来の蛇腹状の横桟を利用して搬送物の移動を促進させる場合に比べて横桟に搬送物が挟まれにくい。
従って、本発明のコンベヤベルトを用いることでベルトコンベヤの搬送性が改善され得る。
本発明のコンベヤベルトは、例えば、搬送経路が水平面に対して−90度(垂直下り)〜+90度(垂直上り)の角度となるような態様において用いられる。
以下においては、搬送物の搬送経路に傾斜角30度以上の区間が設けられている急傾斜ベルトコンベヤにおいて粒状物などの搬送に利用されるコンベヤベルトを例に本発明の実施形態について説明する。
また、以下においては、コンベヤベルトが搬送物の搬送区間において筒状とされる急傾斜ベルトコンベヤ(以下「急傾斜パイプコンベヤ」ともいう)を例に本発明の実施形態について説明する。
さらに、図3は、図2と同じく概略斜視図で横桟の設けられている部分を拡大して示したものである。
なお、この図1〜3におけるブロック矢印Dが急傾斜パイプコンベヤによって搬送物を搬送する際の搬送方向を示すものでコンベヤベルトの移動方向を示すものである。
以下においては、この移動方向における前方側を単に「前方」と称し、該前方に向いた面について「前面」或いは「前面側」と称する場合がある。
また、以下においては、この移動方向における後方側を単に「後方」と称し、該後方に向いた面について「背面」或いは「背面側」と称する場合がある。
そして、以下においてはベルト長手方向を「縦」或いは「縦方向」と称し、ベルト幅方向を「横」或いは「横方向」と称することがある。
即ち、急傾斜パイプコンベヤ1は、コンベヤベルト10を周回させることで当該コンベヤベルト10に搭載した搬送物Aを出発点から目的地へと搬送し得るように構成されている。
また、本実施形態の急傾斜パイプコンベヤ1は、搬送物の搬送経路に高い傾斜角(例えば、仰角30度以上90度以下)の区間が設けられている。
なお、本実施形態のコンベヤベルト10は、往路終端においてプーリー20に巻き掛けられ折り返し走行となり搬送面11sを下向きにした状態で荷積み地点Sに戻るように急傾斜パイプコンベヤ1に備えられている。
そして、本実施形態の急傾斜パイプコンベヤ1は、このプーリー20によってコンベヤベルト10の走行方向が180度転回される地点において搬送物Aを自然落下させ、該搬送物Aを使用して製品を作製するための設備ZのホッパーZ1に前記搬送物Aを供給し得るように構成されている。
前記コンベヤベルト10は、前記横桟12を複数備え、ベルト長手方向に略等間隔となるように複数の横桟12を備えている。
前記横桟は、前記板状部12aがベルト幅方向に横長となった直板状となっており、前記基板部12bがベルト幅方向における長さを板状部12aと共通させた横長な直板状となっている。
なお、前記板状部12aが板面を搬送方向Dに向けてベルト本体の搬送面11sに対して垂直となって配されているのに対して前記基板部12bはその板面を前記搬送面11sに平行させており、該搬送面11sと面接触する形でベルト本体に固定されている。
なお、本実施形態のコンベヤベルト10は、前記板状部12a及び前記基板部12bが、ベルト本体11の全幅にわたって形成されてはおらず、前記板状部12a及び前記基板部12bの形成されていない部分がベルト本体11の両側縁部に設けられている。
このコンベヤベルト10の幅方向両端部においてベルト本体11だけの平板状になっている部分は、当該コンベヤベルト10を筒状に変形させる際に重ね合わせられる部分として備えられているものである。
即ち、前記板状部12aには、搬送方向に向けて凸となるように長手方向途中で屈曲させた際に示される曲げ弾性率が低い部分と高い部分とがベルト本体の幅方向に交互に備えられている。
そして、本実施形態の前記板状部12aには前記搬送方向前面側から凹入されてなる凹入部(以下「前面凹入部」ともいう)と、前記搬送方向背面側から凹入されてなる凹入部(以下「背面凹入部」ともいう)とが備えられており、前記前面凹入部12a1と前記背面凹入部12a2とがそれぞれ複数備えられている。
また、本実施形態の前記板状部12aは、前面凹入部12a1と背面凹入部12a2とがベルト本体の幅方向に交互に備えられている
本実施形態の前記板状部12aは、ベルト幅方向において隣り合う前面凹入部a1と背面凹入部12a2とが間隔を設けて備えられており、これらの凹入部の間において該凹入部よりも厚肉となった部位が前記高弾性部12hとなっている。
言い換えれば、本実施形態の板状部12aは、この高弾性部12hよりも厚みの薄い前記凹入部12a1,12a2が前記低弾性部となっている。
ここで本実施形態の横桟12は、曲げ弾性率が相対的に低い低弾性部12sを有することから、この圧縮応力Fに対して前記低弾性部12sに座屈を生じさせて該低弾性部12sを前方や後方に屈曲させた状態とすることができる。
即ち、本実施形態の横桟12は、ベルト本体11を筒状に変形させるのに際して前面凹入部12a1を後方に屈曲させ且つ背面凹入部12a2を前方に屈曲させて蛇腹状へと変形させることができる。
例えば、図4に示したようにベルト本体11を樋状にした場合、横桟12は、その頂部がベルト本体を横断する直線状から波線状へと変化し、さらにベルト本体11を筒状にした場合には前記波線の振幅が大きくなるような形へと変形する。
一方で、本実施形態の横桟12は、ベルト本体11が平坦な場合は直板状であるので、仮に、ベルト本体11が筒状になって当該横桟12が前記の蛇腹状となっている際に搬送物が挟まれたとしてもベルト本体11が平坦な状態に戻された際にそれまで挟まれていた搬送物を素早く開放することができる。
即ち、本実施形態のコンベヤベルト10は、搬送物Aを目的地において確実に荷下ろしすることができる。
しかしながら、凹入部12a1,12a2の数が多くなるとそれだけ蛇腹状に変形させた際の振幅幅が小さくなり、各凹入部での曲げ半径が小さくなる結果として蛇腹状に変形させる際に高い圧縮応力Fを作用させる必要を生じさせるおそれがある。
また、前記凹入部12a1,12a2は、より小さな圧縮応力Fで蛇腹状に変形させる点からは横桟12に占める割合が高い方が有利である。
さらに、前記凹入部12a1,12a2は、より小さな圧縮応力Fで蛇腹状に変形させる点からは厚みが薄い方(曲げ弾性率が低い方)が有利である。
しかしながら、横桟12に占める凹入部12a1,12a2の割合を過度に高くしたり、凹入部12a1,12a2の機械的強度を過度に低くすると横桟自体の強度が低くなってしまうおそれがある。
そして、横桟12の強度が低いと、ベルト本体11が上り傾斜となって横桟12の前方に搭載された搬送物Aの重みが当該横桟12に加えられた場合などにおいて横桟が後方に倒れてしまって搬送物Aを後戻りさせてしまうおそれがある。
凹入部12a1,12a2は、横桟12の長手方向(ベルト幅方向)に50mm〜200m毎に1個の割合で設けられることが好ましい。
ベルト幅方向において隣り合う前面凹入部12a1と背面凹入部12a2との間の距離、即ち、高弾性部12hの形成幅は、1mm以上100mm以下であることが好ましく、2mm以上50mm以下であることがより好ましい。
また、横桟12の長手方向における凹入部12a1,12a2の形成幅(L1)は、20mm〜150mmであることが好ましい。
さらに凹入部12a1,12a2の厚みは、凹入部の形成されていない高弾性部12hにおける板状部12aの厚みに対し、1/3〜2/3であることが好ましい。
より具体的には、前記高弾性部12hの厚みは、1mm〜12mmであることが好ましく、凹入部12a1,12a2の厚みは、0.5mm〜8mmであることが好ましい。
また、コンベヤベルトの全体的な大きさにもよるが、搬送面11sから前記板状部12aの上端までの高さHは、20mm〜250mmであることが好ましい。
ベルト幅方向における横桟自体の形成幅Lは、50mm以上ベルト本体幅W以下であることが好ましい。
なお、板状部12aの各部厚みや高さなどについては、当該板状部全体において均一化されている必要はなく、厚みや高さは、平均値として上記のような数値範囲内となっていることが好ましいものである。
また、前記樹脂組成物は、タルク、クレー、シリカ、カーボンブラック、マイカ、バーミキュライト、モンリロナイト、鉱物繊維、ガラス繊維、などの補強材が配合されていてもよい。
また、前記ゴム組成物についてもタルク、クレー、シリカ、カーボンブラック、マイカ、バーミキュライト、モンリロナイト、鉱物繊維、ガラス繊維、などの補強材が配合されていてもよい。
該ゴムシートSは、横長矩形状で、横寸法が形成させる横桟12のベルト幅方向寸法Lに相当し、縦寸法が横桟12の高さHの2倍強となっている。
該ゴムシートSは、当該ゴムシートSを横方向に横断する3本の仮想線L1,L2,L3に沿って折り曲げ加工されて横桟12の形成に用いられるものである。
前記仮想線の内の第1仮想線L1は、ゴムシートSの縦方向における中間点を通ってゴムシートSを横断しており、ゴムシートSを半折した際の折目にあたるものである。
一方で、残りの第2仮想線L2及び第3仮想線L3は、前記第1仮想線L1に平行し、且つ、該第1仮想線を挟んで対称となる位置に設けられている。
即ち、ゴムシートSは、縦方向において、一端縁から第3仮想線L3までの第1領域A1、第3仮想線L3から第1仮想線L1までの第2領域A2、第1仮想線L1から第2仮想線L2までの第3領域A3、及び、第2仮想線L2から他端縁までの第4領域A4といった4つの領域に区分けされた形になっている。
そして、ゴムシートSは、第1仮想線L1と第2仮想線L2との間の第3領域A1に前記前面凹入部12a1に対応するD字形状の貫通孔12a1xが備えられている。
また、ゴムシートSは、第1仮想線L1と第3仮想線L3との間の第2領域A2に前記背面凹入部12a2に対応するD字形状の貫通孔12a2xが備えられている。
該D字形状の貫通孔12a1x,12a2xは、それぞれD字の直線部分が前記第1仮想線L1に沿うようにゴムシートSに穿設されている。
そして、該ゴムシートSは、前記第1仮想線L1に沿って山折又は谷折にされて第2領域A2と第3領域A3とが接着され、この第1仮想線L1とは逆向きに第2仮想線L2と第3仮想線L3とが約90度の角度で折り曲げられることで前記横桟12とされる。
即ち、ゴムシートSは、このような折り曲げ及び接着が行われて前記貫通孔12a1x,12a2xが凹入部12a1,12a2となり、前記第1領域A1及び前記第4領域が前記基板部12bとなるものである。
また、横桟12は、丸形の貫通孔、或いは、1箇所に複数の丸形の貫通孔を設けたゴムシートを用いれば、図7(a)、(b)に示すように、凹入部の形状を変更することができる。
さらに、貫通孔を設けるのに替えて、補強用ゴムシート12c1,12c2を貼ったゴムシートを用いれば、図8に示したような横桟12を作製することができる。
なお、前記のような折り曲げ可能なゴムシートは、横桟12が簡便に形成可能となる上において有用なものではあるが、本実施形態の横桟12はこのような形ではなく種々の態様にて作製可能である。
なお、本実施形態の急傾斜パイプコンベヤは、例えば、食品、薬品など異物混入を防止することが強く求められている搬送物の搬送に適したものである。
また、本実施形態の急傾斜パイプコンベヤは、鉱石やセメントなどの搬送時における粉塵の排出を防ぐことが強く求められている搬送物の搬送にも適している。
また、本発明のコンベヤベルトは、前面凹入部及び背面凹入部の内の何れか一方のみを板状部に複数形成させるようにしてもよい。
さらに、本実施形態においては、板状部全体の材質を共通させて横桟を製造容易なものとし得る点において凹入部の形成によって板状部に低弾性部と高弾性部とを形成させる態様を例示しているが、本発明においては、必ずしも凹入部を備えた板状部を横桟に設ける必要はなく、例えば、硬質ゴムと軟質ゴムとで長板を作製し、しかも、軟質ゴムで形成させた部位と硬質ゴムで形成させた部位とが長手方向に交互に配された長板を作製してこれを横桟の板状部として備えさせても良い。
以上のように本発明は上記例示に何等限定されるものではない。
10 コンベヤベルト
11 ベルト本体
12 横桟
12h 高弾性部
12s 低弾性部
Claims (4)
- 搬送物が搭載される搬送面を備えた帯状のベルト本体と、該ベルト本体の前記搬送面に設けられた横桟とを備え、
前記搬送物の搬送に際し、前記ベルト本体の幅方向の両側縁部が互いに引き寄せられて該ベルト本体が前記搬送面を内側にして樋状又は筒状にされて用いられ、
該横桟がベルト本体の幅方向に沿って立設された板状部を有し、
該板状部は、前記樋状又は前記筒状にされた際にベルト幅方向に生じる圧縮応力によって曲げ変形が生じて座屈した状態となる低弾性部と該低弾性部にくらべて曲げ変形が生じ難い高弾性部とを備え、前記低弾性部と前記高弾性部とを前記ベルト本体の幅方向に交互に備えているコンベヤベルト。 - 前記板状部には前記搬送方向前面側又は背面側から凹入されてなる凹入部が備えられ、該凹入部がベルト本体の幅方向に間隔を設けて複数備えられており、
前記幅方向において隣り合う凹入部の間において該凹入部よりも厚みの厚い部位が前記高弾性部で該高弾性部よりも厚みの薄い前記凹入部が前記低弾性部となっている請求項1記載のコンベヤベルト。 - 前記板状部には、搬送方向前面側から凹入されてなる前面凹入部と、搬送方向背面側から凹入されてなる背面凹入部とが前記凹入部として備えられており、前面凹入部と背面凹入部とがベルト本体の幅方向に交互に備えられている請求項2記載のコンベヤベルト。
- 請求項1乃至3の何れか1項に記載のコンベヤベルトを備えたベルトコンベヤ。
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