JP6512222B2 - クラッチ - Google Patents

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JP6512222B2
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Description

本発明は、駆動力の伝達経路上に配され、伝達経路の接続又は切断を行うクラッチに関する。
小型バイク、チェーンソー、エンジン式ラジコンヘリ等の小型の駆動機器には、一般にクラッチ操作が不要な遠心クラッチが採用されている(例えば特許文献1、2参照)。
特許文献1には遠心クラッチが記載されており、この遠心クラッチは、出力軸に接続された円筒状のクラッチドラムと、該クラッチドラム内に収容してあり、入力軸に接続され、クラッチドラムの軸心回りに回転するハブ(回転支持部)と、円弧状をなし、クラッチドラムの軸心に平行な軸回りに回動可能にハブに支持された二つのクラッチシューと、該クラッチシューをクラッチドラムの軸心側に付勢するばねとを備える。
入力軸の回転によって、ハブが所定回転速度以上の回転速度で回転した場合、クラッチシューはばねの付勢力に抗して、クラッチドラムの内周面に接近し、係合する。クラッチドラムは回転し、出力軸が回転する。
特許文献2には、出力軸に接続してある円筒状のクラッチドラムと、入力軸に接続してあり、クラッチドラム内にてクラッチドラムの軸心回りに回転するボス(回転支持部)と、円弧状をなし、ボス及びクラッチドラムの間に配置された四つのクラッチシューと、該クラッチシューをクラッチドラムの軸心側に付勢するコイルばねとを備える遠心クラッチが記載されている。
この遠心クラッチにおいても、入力軸の回転によって、ボスが所定回転速度以上の回転速度で回転した場合、クラッチシューはコイルばねの付勢力に抗して、クラッチドラムの内周面に接近し、係合する。クラッチドラムは回転し、出力軸が回転する。
近年では、入力軸の回転速度に基づいて、クラッチを電磁的に接続するか又は切断することができる電磁クラッチも提案されている(例えば特許文献3参照)。
特開平7−190100号公報 特開平6−280901号公報 特許第3688973号公報
特許文献1及び2に記載の遠心クラッチは、ハブ又はボスの回転速度、換言すれば入力軸の回転速度が所定回転速度(例えば1000rpm)未満である場合、ばねの付勢力によってクラッチシューはクラッチドラムに係合しない。
しかし、要求される仕様によっては、所定回転速度未満の回転速度でクラッチシューをクラッチドラムに係合させる必要がある。要求に応じるために、例えばばねの付勢力を低く設定する、すなわち所定回転速度を低くすることが考えられる。
所定回転速度を低く設定した場合(例えば100rpmに設定した場合)、クラッチシューに作用する遠心力も小さくなる。そのためクラッチシューに作用する遠心力がクラッチシューの自重付近又は自重よりも小さくなった場合には、入力軸及び出力軸が切断されているべき回転速度(例えば100rpm未満)で回転していても、クラッチシューは自重によって、ばねの力に抗してクラッチドラムの内周面に接近して係合することがある。その結果、切断されているべき回転速度であるにも関わらず、入力軸と出力軸とが接続されるという問題が生じる。
電磁クラッチを使用することによって、上記問題を解決することができるとも考えられるが、電磁クラッチを使用する場合、電磁クラッチのみならず、電磁クラッチを制御するコントローラ、入力軸の回転速度を検出するセンサ及び電源等が必要である。そのため部品点数の増加を招来し、構造が複雑化する上、電磁クラッチ、コントローラ、センサ及び電源等を含む装置は大型にならざるを得ない。
本発明は係る事情に鑑みてなされたものであり、クラッチシューがクラッチドラムに係合を開始する回転速度をより低い回転速度に設定した場合であっても、入力軸及び出力軸が切断されているべき回転速度で入力軸が回転している場合に、クラッチシューがクラッチドラムに係合することを回避することができる簡素な構成のクラッチを提供することを目的とする。
本発明に係るクラッチは、複数のクラッチシューを収容する円筒状の収容室を有し、前記収容室の軸回りに回転するクラッチドラムと、前記収容室内にて、入力軸から伝達された動力によって前記収容室の軸回りに回転し、前記複数のクラッチシューそれぞれの端部を前記収容室の軸心に平行な軸回りに回動可能に支持する回転支持部と、前記クラッチシューを前記収容室の軸心側に付勢する付勢部材とを備え、前記クラッチシューを前記収容室の周面に沿って並設してあるクラッチであって、一の前記クラッチシューの自重を前記出力軸に対して非係合となる向きの力に変換して、他の前記クラッチシューに作用させる変換部を備えることを特徴とする。
本発明においては、例えば、一のクラッチシューの自重が出力軸に対して非係合となる向きの力に変換されて、他のクラッチシューに作用する。すなわち、一のクラッチシューの自重は、他のクラッチシューを出力軸に対して非係合となるための力に変換されているので、付勢部材の付勢力を小さくしても、他のクラッチシューは、その自重によって出力軸に係合しない。
本発明に係るクラッチは、前記クラッチドラムは前記出力軸に接続されており、前記変換部は、一の前記クラッチシューの自重を前記収容室の軸心側に向かう力に変換して、他の前記クラッチシューに作用させていることを特徴とする。
本発明においては、例えば、一のクラッチシューの自重が収容室の軸心側へ向かう力に変換されて、他のクラッチシューに作用する。すなわち、一のクラッチシューの自重は、他のクラッチシューをクラッチドラムの内周面から離反させるための力に変換されているので、付勢部材の付勢力を小さくしても、他のクラッチシューは、その自重によってクラッチドラムの内周面に係合しない。
本発明に係るクラッチは、隣合う二つの前記クラッチシューそれぞれの前記端部を前記収容室の周方向に対向させてあり、前記変換部は、前記二つのクラッチシューの端部それぞれを互いに係合させるように構成されていることを特徴とする。
本発明においては、二つのクラッチシューの端部それぞれを互いに係合させることによって、一のクラッチシューの自重を、他のクラッチシューをクラッチドラムの内周面から離反させるための力に変換する。
本発明に係るクラッチは、前記変換部は、前記一のクラッチシューの端部から前記他のクラッチシューの端部に向けて突出した突出部と、該突出部が係合し、前記他のクラッチシューの端部に形成された凹部とを有することを特徴とする。
本発明においては、一のクラッチシューの端部に他のクラッチシューの端部に向けて突出した突出部を設け、該突出部を他のクラッチシューの端部に形成された凹部に係合させることによって、クラッチシューの自重を、クラッチシューをクラッチドラムの内周面から離反させるための力に変換することを実現する。
本発明に係るクラッチは、前記変換部は、前記収容室内にて前記収容室の軸心周りに配してあり、軸回りに回転可能な回転部と、該回転部又はクラッチシューの一方に設けた係合部と、前記回転部又はクラッチシューの他方に設けてあり、前記係合部に係合する被係合部とを有することを特徴とする。
本発明においては、前記係合部及び被係合部を係合させて、クラッチシューの自重を、クラッチシューをクラッチドラムの内周面から離反させるための力に変換することを実現する。
本発明に係るクラッチは、前記係合部は凹部又は突出部の一方であり、前記被係合部は前記凹部又は突出部の他方であることを特徴とする。
本発明においては、前記凹部に前記突出部を係合させて、クラッチシューの自重を、クラッチシューをクラッチドラムの内周面から離反させるための力に変換することを実現する。
本発明に係るクラッチは、前記クラッチシューに前記収容室の周面に接触する摩擦材を設けてあることを特徴とする。
本発明においては、摩擦材をいずれか一方のクラッチシューに設けることによって、ワンウェイクラッチとして使用することができ、両クラッチシューに設けることによって、ツーウェイクラッチとして使用することができる。
本発明に係るクラッチは、前記摩擦材は、前記回転支持部の回転速度が所定範囲内にある場合に、前記収容室の周面上を摺動し、前記回転支持部の回転速度が前記所定範囲よりも大きい場合に、前記収容室の周面に滑り無く係合するように構成してあることを特徴とする。
本発明においては、回転速度の上昇に伴って、摩擦材が収容室の周面上を摺動しながら、徐々に収容室の周面に係合するので、大きな衝撃力を発生させることなく、入力軸及び出力軸を接続させることができる。
本発明に係るクラッチは前記摩擦材は、前記収容室の周面に滑り無く係合するように構成してあることを特徴とする。
本発明においては、摩擦材が収容室の周面に滑り無く係合するので、入力軸の回転速度が係合すべき回転速度に至った時点で、入力軸及び出力軸を迅速に接続させて、始動時における出力軸の回転速度を、予め定めた回転速度と略同じ回転速度にすることができる。
本発明に係るクラッチは、前記入力軸の少なくとも一部は前記収容室内に配置され、前記収容室に対して同軸的に接続されており、前記収容室内にて前記入力軸に回転可能に外嵌しており、前記出力軸に接続された接続部を備え、前記変換部は、一の前記クラッチシューの自重を前記収容室の周面側に向かう力に変換して、他の前記クラッチシューに作用させていることを特徴とする。
本発明においては、例えば、一のクラッチシューの自重が収容室の周面側へ向かう力に変換されて、他のクラッチシューに作用する。すなわち、一のクラッチシューの自重は、他のクラッチシューを接続部から離反させるための力に変換されているので、付勢部材の付勢力を小さくしても、他のクラッチシューは、その自重によって接続部に係合しない。
本発明に係るクラッチは、前記付勢部材は前記クラッチシューの自重以下の力によって前記クラッチシューを付勢していることを特徴とする。
本発明においては、前記付勢部材の付勢力をクラッチシューの自重以下の力に設定することによって、クラッチシューがクラッチドラムの内周面に接近を開始する回転速度を大幅に低くすることができる。
本発明に係るクラッチは、クラッチシューを収容する円筒状の収容室を有し、出力軸に接続され、前記収容室の軸回りに回転するクラッチドラムと、前記収容室内にて、入力軸から伝達された動力によって前記収容室の軸回りに回転し、前記クラッチシューの一端部を前記収容室の軸心に平行な軸回りに回動可能に支持する回転支持部と、前記クラッチシューを前記収容室の軸心側に付勢する付勢部材とを備え、前記クラッチシューを前記収容室の周面に沿って並設してあるクラッチであって、前記回転支持部は、前記クラッチシューの一端部を支持する枢軸を有し、前記クラッチシューの他端部及び前記収容室の周面の接触点と前記枢軸の回転中心点との間の第1線分と、前記接触点と前記入力軸の回転中心点との間の第2線分とがなす角がtanθ<μを満たすこと(ただし、μは摩擦係数)を特徴とする。
本発明にあっては、クラッチシューの他端部とクラッチドラムとの間で、いわゆるくさび作用が生じ、クラッチシューはクラッチドラムに係合する。また付勢部材の付勢力を調整することによって、必要な場合にのみ、クラッチシューはクラッチドラムに係合する。
本発明に係るクラッチは、前記クラッチシューの他端部に前記収容室の周面に接触する摩擦材を設けてあり、前記摩擦材は、前記収容室の周面に滑り無く係合するように構成してあることを特徴とする。
本発明にあっては、摩擦材とクラッチドラムとの間において、くさび作用を発生させ、ほとんど滑ること無く、クラッチシューをクラッチドラムに係合させる。
本発明に係るクラッチにあっては、例えば、一のクラッチシューの自重が収容室の軸心側へ向かう力に変換されて、他のクラッチシューに作用する。すなわち、一のクラッチシューの自重は、他のクラッチシューをクラッチドラムの内周面から離反させるための力に変換されているので、付勢部材の付勢力を小さくしても、他のクラッチシューは、その自重によってクラッチドラムの内周面に係合しない。従って、切断されているべき回転速度である場合における入力軸及び出力軸の接続を回避することができる。
実施の形態1に係るクラッチの内部構造を略示する部分断面正面図である。 クラッチの内部構造を略示する分解斜視図である。 摩擦材及びクラッチドラムの摩擦係数μとストラットアングルθとの関係を説明する説明図である。 静止している状態のクラッチを説明する説明図である。 入力軸が係合開始回転速度以上で正回転している状態のクラッチを説明する説明図である。 入力軸が係合開始回転速度以上であり、且つ出力軸から正回転方向のトルクが入力された状態のクラッチを説明する説明図である。 一の材料によって構成された摩擦材における面圧、摩擦係数及び入力軸の回転速度の関係を略示するグラフである。 他の材料によって構成された摩擦材における面圧、摩擦係数及び入力軸の回転速度の関係を略示するグラフである。 噛合機構を備えないクラッチにおけるクラッチシューの自重とばねの付勢力との関係を説明する説明図である。 クラッチシューを収容室から離反する方向に付勢する他の手段を示す図である。 クラッチシューを収容室から離反する方向に付勢する他の手段を示す図である。 実施の形態2に係るクラッチの内部構造を略示する正面図である。 クラッチを略示する分解斜視図である。 クラッチの構成の一部を変更した第1の変更例を略示する分解斜視図である。 クラッチの構成の一部を変更した第2の変更例を示す正面図である。 クラッチの構成の一部を変更した第3の変更例を略示する斜視図である。 クラッチの構成の一部を変更した第4の変更例を略示する分解斜視図である。 実施の形態3に係るクラッチを略示する正面図である。
(実施の形態1)
以下本発明を実施の形態1に係るクラッチを示す図面に基づいて詳述する。図1はクラッチの内部構造を略示する部分断面正面図、図2はクラッチの内部構造を略示する分解斜視図である。なお図2においてクラッチドラム1の記載を省略している。
クラッチは有底円筒状の扁平なクラッチドラム1を備える。クラッチドラム1の底部における径方向中央部分に、出力軸(図示略)が嵌合する出力軸嵌合孔2aが設けてある。クラッチドラム1の内側には、第1クラッチシュー10及び第2クラッチシュー20を収容する円筒状の収容室2が形成されている。
収容室2内には、入力軸(図示略)から伝達された動力によって収容室2の軸回りに回転し、第1クラッチシュー10及び第2クラッチシュー20それぞれの一端部を収容室2の軸心に平行な軸回りに回動可能に支持する回転支持部30が設けてある。回転支持部30は、楕円状をなし、入力軸に連結する連結板31と、該連結板31の長手方向一端部にて連結板31の一面側に突出した突出部32と、該突出部32の先端部分に設けてあり、連結板31の一面に対向する対向板33とを備える。なお連結板31の他面が収容室2の底面に対向するように、回転支持部30は収容室2内に収容されている。
連結板31の一面側中央部は漏斗状且つ段状に窪んでおり、窪みの底部に入力軸が嵌合する入力軸嵌合孔31bが設けてある。なお入力軸の回転中心点の位置と出力軸の回転中心点の位置とは略同じである。連結板31の一面から、窪んだ部分を囲繞するように、円環部31dが突出している。連結板31の長手方向他端部には、断面L形の溝部31cが形成してある。
連結板31の長手方向一端部、突出部32及び対向板33によって、第1クラッチシュー10及び第2クラッチシュー20が挿入される挿入凹部34が形成されている。挿入凹部34の底面(突出部32の側面)には、後述するばねを収納支持する二つの支持孔32a、32bが設けてある。支持孔32a、32bは有底円筒状をなし、支持孔32a、32bの軸心は挿入凹部34の底面に対して斜めに交差している。また図1に示すように、正面視において、二つの支持孔32a、32bの軸心それぞれの延長線は入力軸嵌合孔31b側において交差しない。
対向板33には後述する第1枢軸17及び第2枢軸27を挿通する二つの挿通孔33a、33aが、連結板31の長手方向に直交する方向に並設してある。また連結板31にも、前記挿通孔33a、33aそれぞれに対応する二つの挿通孔31a、31aが設けてある。対向板33に設けた二つの挿通孔33a、33aそれぞれと、連結板31に設けた二つの挿通孔31a、31aそれぞれとは同軸的に配置されている。
第1クラッチシュー10は、収容室2の周面に沿った半円弧状をなし、第1クラッチシュー10の一端部は挿入凹部34に挿入してある。第1クラッチシュー10の一端部には、第1枢軸17が挿入される枢軸孔13が設けてある。該枢軸孔13は、対向板33に設けられた一の挿通孔33a及び該一の挿通孔33aに対応する連結板31の挿通孔31aに対し、同軸的に配されている。二つの挿通孔31a、33a及び枢軸孔13に第1枢軸17が挿入されており、第1クラッチシュー10は第1枢軸17回りに回動する。
第1クラッチシュー10の一端部における前記支持孔32aに対応する部分に、ばね41が挿入されるばね孔14が設けてある。ばね孔14は有底円筒形をなす。コイル状のばね41の一端部側が支持孔32aに挿入してあり、他端部側がばね孔14に挿入してある。ばね41は、第1クラッチシュー10を収容室2から離反する方向に(図1における反時計回りに)付勢している。ばね41の付勢力は、第1クラッチシュー10の自重と略同じ大きさかまたは前記自重よりも小さい。
第1クラッチシュー10の他端部には、取付部11を介して摩擦材12が取り付けてある。第1クラッチシュー10の他端部の周面部分を、軸長方向において第1クラッチシュー10の他の部分よりも厚く形成することによって、取付部11が形成されている。摩擦材12は取付部11の外周面に一体的に設けられている。なお取付部11及び摩擦材12は回転支持部30側に突出しているが、前記溝部31cの位置に対応した位置に配してあるので、回転支持部30に干渉しない。なお連結板31における溝部31cを設けた部分は削除してもよい。
第2クラッチシュー20は収容室2の周面に沿った半円弧状をなし、第2クラッチシュー20の一端部は挿入凹部34に挿入してある。第2クラッチシュー20は収容室2内において、第1クラッチシュー10と共にC状をなすように、第1クラッチシュー10の反対側に位置している。第2クラッチシュー20の一端部には、第2枢軸27が挿入される枢軸孔23が設けてある。該枢軸孔23は、対向板33に設けられた他の挿通孔33a及び該他の挿通孔33aに対応する連結板31の挿通孔31aに対し、同軸的に配されている。二つの挿通孔31a、33a及び枢軸孔23に第2枢軸27が挿入されており、第2クラッチシュー20は第2枢軸27回りに回動する。
第2クラッチシュー20の一端部における前記支持孔32bに対応する部分に、ばね42が挿入されるばね孔24が設けてある。ばね孔24は有底円筒形をなす。コイル状のばね42の一端部側が支持孔32bに挿入してあり、他端部側がばね孔24に挿入してある。ばね42は、第2クラッチシュー20を収容室2から離反する方向に(図1における時計回りに)付勢している。ばね42の付勢力は、第2クラッチシュー20の自重と略同じ大きさかまたは前記自重よりも小さい。
なお二つの支持孔32a、32bの軸心それぞれの延長線が入力軸嵌合孔31b側において交差するように設計変更し、ばね孔14、15をこれに対応させて設計変更することもできる。
第2クラッチシュー20の他端部には、取付部21を介して摩擦材22が取り付けてある。第2クラッチシュー20の他端部周面部分を、軸長方向において第2クラッチシュー20の他の部分よりも厚く形成することによって、取付部21が形成されている。摩擦材22は取付部21の外周面に一体的に設けられている。なお取付部21及び摩擦材22は回転支持部30側に突出しているが、前記溝部31cの位置に対応した位置に配してあるので、回転支持部30に干渉しない。
第1クラッチシュー10及び第2クラッチシュー20それぞれの一端部は収容室2の周方向において対向しており、対向部分には噛合機構50が設けてある。噛合機構50は、枢軸孔13付近において、第1クラッチシュー10の一端部の先端面から第2クラッチシュー20に向けて突出した突出部15と、枢軸孔23付近において、第2クラッチシュー20の一端部の先端面に形成され、前記突出部15が噛合する凹部25とを備える。
突出部15の左右それぞれに窪み16、16が形成してあり、該窪み16、16に対応する二つの突起部26、26が凹部25の左右に形成してある。二つの窪み16、16によって、突出部15は凹部25に噛合するための長さを確保することができ、また凹部25は二つの突起部26、26によって突出部15を受けるための深さを確保することができる。突起部26及び窪み16は噛合せず、突起部26及び窪み16は離間している。
図3は摩擦材12及びクラッチドラム1の摩擦係数μとストラットアングルθとの関係を説明する説明図である。なお図3において、第2クラッチシュー20の記載を省略している。
図3に示すように、第1クラッチシュー10に取り付けた摩擦材12及びクラッチドラム1(収容室2の内周面)の接触点Aと第1枢軸17の回転中心点Bとの間の線分ABと、接触点Aと入力軸の回転中心点C(出力軸の回転中心点)との間の線分ACとがなす角(ストラットアングルθ)が、条件:tanθ<μを満たすように、摩擦材12と第1枢軸17の位置関係は設計されている。なおクラッチドラム1に対する摩擦材12の接触位置によって、ストラットアングルθは変更されるが、摩擦材12がいずれの位置でクラッチドラム1に接触しても、上記条件を満たすように摩擦材12と第1枢軸17の位置関係は設計されている。
なお第2クラッチシュー20に取り付けた摩擦材22及びクラッチドラム1の接触点と第2枢軸27の回転中心点との間の線分と、前記接触点と入力軸の回転中心点(出力軸の回転中心点)との間の線分とがなす角(ストラットアングルθ)も、同様に上述した条件を満たす。
この条件を満たす場合、摩擦材12、22はつっかえ棒にように働き、摩擦材12、22とクラッチドラム1との間で、いわゆるくさび作用が生じ、摩擦材12、22がクラッチドラム1に接触するときに、摩擦材12、22はほとんど滑ること無くクラッチドラム1に係合する。換言すれば、摩擦係数μに応じて、上記条件を満たすように摩擦材12、22を配置している。
ただし、後述するように摩擦材12、22によっては面圧や温度などの条件によって、摩擦係数μが大きく変化する場合がある。このような摩擦係数μが大きく変化する摩擦材12、22を使用した場合には、上述した条件を常に満たすとは限らない。クラッチの状況によって摩擦係数が減少し、上述した条件を満たさなくなった場合、くさび作用は発現しない。
図4は静止している状態のクラッチを説明する説明図、図5は入力軸が係合開始回転速度以上で正回転している状態のクラッチを説明する説明図、図6は入力軸が係合開始回転速度以上であり、且つ出力軸から正回転方向のトルクが入力された状態のクラッチを説明する説明図である。なお第1クラッチシュー10を上側に配し、第2クラッチシュー20を下側に配しているものとする。
図4に示すように、静止している場合、第2クラッチシュー20には下向きの自重F2が作用しており、第2クラッチシュー20はクラッチドラム1に接近しようとする。一方、第1クラッチシュー10にも下向きの自重F1が作用している。なお第1クラッチシュー10及び第2クラッチシュー20それぞれの自重は略等しい。
自重F1は、第1枢軸17を介して、第1枢軸17回りの回転力F3(図4における反時計回りの力)に変換される。回転力F3は、噛合機構50に伝達され、凹部25に噛合した突出部15は反時計回りに回転し、第2クラッチシュー20は第2枢軸27回りに、時計回りに回転する。すなわち、噛合機構50によって、回転力F3は第2枢軸27回りの回転力F4(図4における時計回りの力)に変換される。
回転力F4は、第2枢軸27を介して、上向き(自重F2の反対向き)の力F5に変換される。第1クラッチシュー10及び第2クラッチシュー20それぞれの自重は略等しいので、自重F2と力F5とは略等しく、従って、自重F2及び力F5は力の釣り合いを保つ。そのため下側に配された第2クラッチシュー20は自重によってクラッチドラム1に接触しない。
第1クラッチシュー10及び第2クラッチシュー20それぞれに、ばね41、42の付勢力F6が作用している。第1クラッチシュー10に作用する付勢力F6は、第1枢軸17を介して反時計回りの力に変換され、第1クラッチシュー10をクラッチドラム1から離反させる力として作用する。第2クラッチシュー20に作用する付勢力F6は、第2枢軸27を介して時計回りの力に変換され、第2クラッチシュー20をクラッチドラム1から離反させる力として作用する。
第1クラッチシュー10及び第2クラッチシュー20は付勢力F6によって収容室2の周面から離反し、第1クラッチシュー10及び第2クラッチシュー20それぞれに設けた摩擦材12、22と収容室2の周面との間には隙間が存在する。そのためクラッチドラム1は自由に回転することができる。
上述したように、静止状態において、第2クラッチシュー20の自重F2及び力F5(第1クラッチシュー10の自重を変換した力)は力の釣り合いを保つ。換言すれば、第1クラッチシュー10及び第2クラッチシュー20それぞれの自重が相殺される。そのため、第2クラッチシュー20に設けたばね42の付勢力F6が、第2クラッチシュー20の自重F2と略同じか又は自重F2よりも小さくても、第2クラッチシュー20が自重によってクラッチドラム1に接触することは無い。
第2クラッチシュー20に設けたばね42の付勢力F6は、第2クラッチシュー20の自重F2によって打ち消される事無く、クラッチドラム1から離反させる力として第2クラッチシュー20に作用する。
なお第1クラッチシュー10を下側に配し、第2クラッチシュー20を上側に配した場合には、力の作用する向きが逆になるが、上述した第2クラッチシュー20と同様に、下側に配した第1クラッチシュー10が自重によってクラッチドラム1に接触することは無い。
第1クラッチシュー10及び第2クラッチシュー20に、振動等による外力が作用したとしても、上述した作用と同様な作用が生じる。そのため、例えばクラッチを平置きにした場合に、外力がクラッチに作用しても、外力によって第1クラッチシュー10又は第2クラッチシュー20がクラッチドラム1に接触することは無い。
図5に示すように、入力軸が正回転した場合(図5の白抜き矢印参照)、第1クラッチシュー10及び第2クラッチシュー20に遠心力が働き、該遠心力がばね41の付勢力よりも大きくなったとき(例えば入力軸の回転速度が100rpm以上になったとき)、第1クラッチシュー10及び第2クラッチシュー20はクラッチドラム1に接近する。第1クラッチシュー10に設けた摩擦材12及び第2クラッチシュー20に設けた摩擦材22は収容室2の周面に接触し、第1クラッチシュー10はくさび作用を発生させて係合する。クラッチドラム1は回転し、入力軸から出力軸にトルクが伝達される(図5のハッチングを付した矢印参照)。このとき第2クラッチシュー20はクラッチドラム1とくさび作用による係合はしない。
このとき、ばね41の付勢力F6を第1クラッチシュー10の自重以下の力に設定することによって、第1クラッチシュー10がクラッチドラム1の内周面に係合を開始する回転速度を大幅に低くすることができる。
図6に示すように、第2クラッチシュー20に設けた摩擦材22とクラッチドラム1とが接触している場合(例えば入力軸の回転速度が100rpm以上である場合)であって、出力軸から正回転方向のトルクが入力されたとき(図6の白抜き矢符参照)には、第2クラッチシュー20に設けた摩擦材22とクラッチドラム1とがくさび作用を発生させて係合する。出力軸からのトルクは入力軸に伝達される(図6のハッチングを付した矢印参照)。
この場合、例えばエンジンを搭載した車両の動力伝達用クラッチに、実施の形態1に係るクラッチを使用すれば、いわゆるエンジンブレーキを発現させることができる。実施の形態1に係るクラッチはツーウェイクラッチとして使用することができる。
なお第2クラッチシュー20から摩擦材22を取り外した場合、出力軸からのトルクは入力軸に伝達されず、クラッチはワンウェイクラッチとして使用される。出力軸から入力軸へのトルク伝達の有無は、要求される仕様に応じて変更することができ、ユーザはワンウェイクラッチ又はツーウェイクラッチを選択することができる。
摩擦材12、22は要求される仕様に応じて選択される。一般に摩擦材12、22の摩擦係数は、面圧によって変化するが、摩擦材12、22に使用される材料によって、面圧によって大きく変化する摩擦材12、22と、それほど変化しない摩擦材12、22とがある。
上述したように、摩擦材12、22及びクラッチドラム1の摩擦係数μとストラットアングルθとの関係において、摩擦材12、22とクラッチドラム1とを滑り無く係合させる条件はtanθ<μである(図3参照)。反対に言えば、摩擦材12、22とクラッチドラム1と間に滑りを発生させるための条件は、tanθ>μである。
ストラットアングルθは、第1枢軸17又は第2枢軸27と、摩擦材12又は22と、入力軸又は出力軸との位置関係によって決定されるため、位置関係が決定された場合、tanθは一定の値αとなる。μ>αであれば、滑り無く係合し(以下「滑りの無い係合」を、「連結」とも称する)、μ<αであれば、滑りながら係合する。
図7は一の材料によって構成された摩擦材12、22における面圧、摩擦係数及び入力軸の回転速度の関係を略示するグラフ、図8は他の材料によって構成された摩擦材12、22における面圧、摩擦係数及び入力軸の回転速度の関係を略示するグラフである。なお面圧は第1クラッチシュー10又は第2クラッチシュー20に作用する遠心力によって発生するので、面圧の大小は回転速度の高低に対応する。
図7に示すように、一の材料を使用した摩擦材12、22は、面圧の大小に拘わらず、摩擦係数μはαよりも大きい。一の材料を使用した摩擦材12を第1クラッチシュー10に取り付けた場合、入力軸の回転速度が、係合を開始する回転速度(係合開始回転速度)以上であれば、摩擦材12はクラッチドラム1に連結し、入力軸のトルクが直接的に出力軸に伝達される(図5参照)。
一方、一の材料を使用した摩擦材22を第2クラッチシュー20に取り付けた場合、出力軸の回転速度が係合開始回転速度以上であれば、摩擦材22はクラッチドラム1に連結し、出力軸のトルクが直接的に入力軸に伝達される(図6参照)。
換言すれば、係合開始回転速度は、摩擦材12、22及びクラッチドラム1が連結する最小の回転速度(連結回転速度)に略等しい。
図8に示すように、他の材料を使用した摩擦材12、22は、面圧の大小に応じて、摩擦係数μは大小となる。他の材料を使用した摩擦材12、22においては、連結回転速度は係合開始回転速度よりも大きい。
他の材料を使用した摩擦材12を第1クラッチシュー10に取り付けた場合、入力軸の回転速度が係合開始回転速度及び連結回転速度の間の値であれば、摩擦係数μはαよりも小さく、摩擦材12は滑りながらクラッチドラム1に係合して動力を出力軸に伝達する。一方入力軸の回転速度が連結回転速度よりも大きい場合、摩擦係数μはαよりも大きく、摩擦材12はクラッチドラム1に連結する(図5参照)。
他の材料を使用した摩擦材22を第2クラッチシュー20に取り付けた場合、入力軸の回転速度が係合開始回転速度及び連結回転速度の間の値であれば、摩擦係数μはαよりも小さく、クラッチドラム1及び摩擦材22は滑りながら動力を入力軸に伝達する。一方出力軸の回転速度が連結回転速度よりも大きい場合、摩擦係数μはαよりも大きく、摩擦材22はクラッチドラム1に連結する(図6参照)。
なお入力軸の回転速度が係合開始回転速度よりも小さい場合には、第1クラッチシュー10及び第2クラッチシュー20はクラッチドラム1から離反し、摩擦材12、22はクラッチドラム1に接触せず、係合しない。
それぞれ材料の異なる複数の摩擦材から仕様に応じた摩擦材12、22を選択することによって、滑り無く摩擦材12、22がクラッチドラム1に係合するようにクラッチを設計するか又は滑りながら摩擦材12、22がクラッチドラム1に係合するようにクラッチを設計することができる。
滑り無く摩擦材12、22がクラッチドラム1に係合する場合、摩擦材12、22がクラッチドラム1に係合した時点で、始動時における出力軸の回転速度は、直ちに入力軸の回転速度と略同じ回転速度になり、迅速な連結を実現することができる。
滑りながら摩擦材12、22がクラッチドラム1に係合する場合、入力軸の回転速度の上昇に伴って、摩擦材12、22が収容室2の周面上を摺動しながら、徐々に収容室2の周面との面圧を大きくするので、大きな衝撃力を発生させることなく、入力軸及び出力軸を連結させることができる。
なお第1クラッチシュー10の摩擦材12と、第2クラッチシュー20の摩擦材22とをそれぞれ異なる材料にすることによって、入力軸から正転方向にトルクが入力された場合と、出力軸から正転方向にトルクが入力された場合とで、連結回転速度を異なるものにすることができる。例えば摩擦材12又は22の一方が滑り無くクラッチドラム1に係合し、他方が滑りながらクラッチドラム1に係合する。
実施の形態1に係るクラッチは、噛合機構50によって、第1クラッチシュー10の自重が収容室2の軸心側へ向かう力に変換されて、第2クラッチシュー20に作用する。すなわち、第1クラッチシュー10の自重は、第2クラッチシュー20をクラッチドラム1の内周面から離反させるための力に変換されているので、ばね42の付勢力を自重よりも小さくしても、第2クラッチシュー20は、その自重によってクラッチドラム1の内周面に係合しない。従って、切断されているべき回転速度である場合における入力軸及び出力軸の接続を回避することができ、大型化を回避し且つ低速回転でも入力軸から出力軸にトルクを伝達させることができる。
噛合機構50を備えない場合、小型のまま低速回転で入力軸から出力軸にトルクを伝達させることはできない。それは以下の理由による。
図9は噛合機構50を備えないクラッチにおけるクラッチシューの自重とばねの付勢力との関係を説明する説明図である。
クラッチシューに作用する遠心力Fc はFc =mrω2 で表される。
m:クラッチシューの質量(kg)、r:枢軸の回転中心から重心までの距離(m)、ω:角速度(rad/s )
クラッチシューがクラッチドラム1に押し付けられる力は、遠心力Fc とばねの付勢力Fs との差である。このため、クラッチの伝達トルクTは、以下の式によってあらわされる。
T=μ(Fc −Fs )R=μR(mrω2 −Fs
μ:摩擦係数、R:クラッチドラム1の内径
上式によって、回転速度が低い状況で伝達トルクを増加させるためには、ばねの付勢力をより小さくするか、クラッチシューをより重くするか又はクラッチドラム1の内径を長くすること等が必要と認識される。
クラッチシューを重くするか又はクラッチドラム1の内径を長くした場合、クラッチの重量増加及びクラッチの大型化を招来し、好ましくない。従って、重量化及び大型化を回避するためには、ばねの付勢力を小さくすることが考えられる。
しかしばねの付勢力を小さくし過ぎると、入力軸の回転速度が、入力軸及び出力軸が切断されているべき回転速度であっても、クラッチシューは自重mgによってクラッチドラム1の周面に接近し、摩擦材がクラッチドラム1に接触して係合し、無用な動力が出力軸に伝達される(図9参照)。このため、ばねの付勢力Fs はクラッチシューの自重を支えることができる大きさに設定する必要がある。
すなわち、Fs >mgとなる必要がある。ばねの付勢力Fs をクラッチシューの自重mgを支えることができる最小限の力に設定した場合、伝達トルクTは、
T=μR(mrω2 −mg)=μmR(rω2 −g)となる。
伝達トルクが正の値となる条件は、
T>0
μmR(rω2 −g)>0
(rω2 −g)>0
r>g/ω2
となる。
低回転の場合(ωを小さい値に設定した場合)でも、伝達トルクを発生させるためには、クラッチシューの重心位置と回転中心との位置をより長くする(rをより大きくする)しかなく、結果、クラッチは大型化する。すなわち、噛合機構50を備えずに、小型を維持したままクラッチが低速回転で伝達トルクを発生させることは不可能となる。
実施の形態1に係るクラッチは、噛合機構50を設けることによって、大型化を回避し且つ低速回転でも入力軸から出力軸にトルクを伝達させることができるのである。
なお実施の形態1に係るクラッチは、噛合機構50を設けているが、噛合機構50に代えて、第1クラッチシュー10の自重を収容室2の軸心側へ向かう力に変換し、第2クラッチシュー20に作用させる他の機構を設けてもよい。例えば、第1クラッチシュー10及び第2クラッチシュー20それぞれの一端部に、摩擦係数の高い素材からなる部材(例えばゴムからなる部材)を取り付けて互いを接触させて、第1クラッチシュー10の自重を収容室2の軸心側へ向かう力に変換し、第2クラッチシュー20に作用させてもよい。また第1クラッチシュー10及び第2クラッチシュー20それぞれの一端部にギヤを設けて噛み合わせてもよい。又は第1クラッチシュー10及び第2クラッチシュー20それぞれの一端部にスプロケット若しくはプーリを設けて、8の字状にチェーン又はベルトを掛架させてもよい。
またクラッチシューの数は二つに限定されず、例えば四つであってもよい。クラッチシューの数を増やすことによって、クラッチシュー又は摩擦材12、22に作用する負荷を分散させることができ、耐久性を向上させることができる。またクラッチシューの形状は円弧状に限定されず、直線状に形成されていてもよい。
上述した実施の形態において、ばね及びばね孔は、クラッチシューを収容室2から離反する方向に付勢する手段の例示であり、他の手段を用いてもよい。図10及び図11はクラッチシューを収容室2から離反する方向に付勢する他の手段を示す図である。
図10に示すように、第1クラッチシュー10及び第2クラッチシュー20をばね43で連結してもよい。また図11に示すように、第1クラッチシュー10及び回転支持部30をばね44で連結し、第2クラッチシュー20及び回転支持部30をばね44で連結してもよい。ばね43、44は第1クラッチシュー10及び第2クラッチシュー20を収容室2から離反する方向に付勢する。
またクラッチシューと枢軸をばねでつなぐか又は環状のばねをクラッチ正面に配置し、クラッチシュー同士をつないでもよい。
(実施の形態2)
以下本発明を実施の形態2に係るクラッチを示す図面に基づいて説明する。図12はクラッチの内部構造を略示する正面図、図13はクラッチを略示する分解斜視図である。なお図13においてクラッチドラム1の記載を省略している。
回転支持部30は、連結板31と、二つの突出部32、32と、突出部32それぞれの先端部分に設けてあり、連結板31の一面に対向する対向板33とを備える。連結板31には、挿通孔31aが左右それぞれに設けてある。対向板33には、挿通孔31aと同軸的に挿通孔33aが設けてある。連結板31の一面中央部から、後述する支持ギヤ38を支持する支持環38aが軸長方向に突出している。支持環38aは入力軸嵌合孔31bに周設してある。
支持環38aに、支持ギヤ38(回転部)が回転可能に外嵌している。支持ギヤ38は、入力軸に周設された円環部37を備える。円環部37の外周面の一部及び該一部の略180度反対側に位置する他部それぞれに、凹部35が設けてあり、該凹部35の両隣に二つの突起部36、36が設けてある。
クラッチドラム1の内側に、二つのクラッチシュー60、60が設けてある。クラッチシュー60は、収容室2の周面に沿った半円弧状をなす。クラッチシュー60の一端部には、枢軸67が挿入される枢軸孔63が設けてある。該枢軸孔63は、挿通孔31a及び挿通孔33aに同軸的に配されている。挿通孔31a、挿通孔33a及び枢軸孔63に枢軸67が挿入されており、クラッチシュー60は枢軸67回りに回動する。
クラッチシュー60の一端部には、前記凹部35に挿入される突出部65と、該突出部65の両隣に形成してあり、前記突起部36、36を挿入する二つの窪み66、66とが設けてある。二つの窪み66、66によって、突出部65は凹部35に噛合するための長さを確保することができ、また凹部35は二つの突起部36、36によって突出部65を受けるための深さを確保することができる。突起部36及び窪み66は噛合せず、突起部36及び窪み66は離間している。
クラッチシュー60は、実施の形態1に係る第1クラッチシュー10及び第2クラッチシュー20と同様に、ばね孔64を有し、該ばね孔64にばね45が挿入してある。ばね45は、クラッチシュー60を収容室2から離反する方向に付勢している。ばね45の付勢力は、クラッチシュー60の自重と略同じ大きさかまたは前記自重よりも小さい。
クラッチシュー60の他端部には、取付部61を介して摩擦材62が取り付けてある。クラッチシュー60の他端部の周面部分を、軸長方向においてクラッチシュー60の他の部分よりも厚く形成することによって、取付部61が形成されている。摩擦材62は取付部61の外周面に一体的に設けられている。なお摩擦材62は、実施の形態1に記載の摩擦材12、22と同じ特性を有する。
実施の形態2に係るクラッチにあっては、実施の形態1と同様に、一方のクラッチシュー60(図12における下側のクラッチシュー60)及び他方のクラッチシュー60(図12における上側のクラッチシュー60)それぞれの自重が相殺される。そのため、一方のクラッチシュー60に設けたばねの付勢力が、一方のクラッチシュー60の自重と略同じか又は自重よりも小さくても、一方のクラッチシュー60が自重によってクラッチドラム1に接触することは無い。なお実施の形態2に係るクラッチはいわゆるワンウェイクラッチである。
図14は実施の形態2に係るクラッチの構成の一部を変更した第1の変更例を略示する分解斜視図である。図14に示すように、支持環38aを設けない構成であってもよい。この場合、支持ギヤ38は入力軸に外嵌する。
図15は実施の形態2に係るクラッチの構成の一部を変更した第2の変更例を略示する正面図である。クラッチシュー60の数は二つに限定されず、三つ以上でもよい。例えば図15に示すように、クラッチシュー60を、クラッチドラム1内に三つ配置し、円環部37の外周面の三つの箇所それぞれに、凹部35及び二つの突起部36、36を設け、クラッチシュー60の突出部65を凹部35に噛合させてもよい。この場合、凹部35及び二つの突起部36、36の周方向の位置、クラッチシュー60の周方向の長さ等の位置・寸法は、静止状態において、クラッチシュー60の力の釣り合いが保たれるように適宜決定される。
また回転支持部30の構成は、クラッチシュー60の個数、寸法等に応じて、適宜変更される。また実施の形態2では、円環部37に凹部35を設け、クラッチシュー60に突出部65を設けているが、円環部37に突出部を設け、クラッチシュー60に凹部を設けてもよい。この場合、クラッチシュー60の凹部に、円環部37の突出部が挿入される。
支持ギヤ38の凹部35及び突出部65は、一のクラッチシューの重力によって発生する枢軸を中心とするトルクを他のクラッチシューに伝達する手段の例示である。他の手段としては例えばクラッチシューの一端部及び円環部37に摩擦係数の高い素材からなる部材を取り付けて互いを接触させて、クラッチシューの自重を収容室の軸心側へ向かう力に変換し、他のクラッチシューに作用させてもよい。もしくは、支持ギヤ38を設けずに、クラッチシューそれぞれの一端部にスプロケットもしくはプーリを取り付け、チェーンもしくはベルトでトルクを伝達してもよい。
図16は実施の形態2に係るクラッチの構成の一部を変更した第3の変更例を略示する斜視図、図17はクラッチの構成の一部を変更した第4の変更例を略示する分解斜視図である。
実施の形態2に係るクラッチは、ツーウェイクラッチであってもよい。図16及び図17に示すように、支持環38aには二つの支持ギヤ38、38が外嵌しており、軸長方向に並んでいる。支持ギヤ38それぞれに、二つのクラッチシュー60、60が噛合している。連結板31と対向板33の間には、枢軸孔63、63、挿通孔31a及び挿通孔33aが同軸的に位置するように、二つのクラッチシュー60、60が配されている。挿通孔31a、挿通孔33a及び二つの枢軸孔63、63に枢軸67が挿入されており、クラッチシュー60、60は枢軸67回りに回動する。
入力軸が正回転した場合、クラッチシュー60に遠心力が働き、該遠心力がばね45の付勢力よりも大きくなったとき、クラッチシュー60はクラッチドラム1に接近する。クラッチシュー60に設けた摩擦材62は収容室2の周面に接触し、一方の支持ギヤ38に噛合したクラッチシュー60、60(図16、図17において示された、軸長方向における回転支持部30の反対側に位置するクラッチシュー)はくさび作用を発生させて係合する。クラッチドラム1は回転し、入力軸から出力軸にトルクが伝達される。なおこのとき他方の支持ギヤ38に噛合したクラッチシュー60、60(図16、図17において示された、軸長方向における回転支持部30側に位置するクラッチシュー)に設けた摩擦材62は、クラッチドラム1に接触するが、くさび作用による係合はしない。
クラッチシュー60に設けた摩擦材62とクラッチドラム1とが接触している場合であって、出力軸から正回転方向のトルクが入力されたときには、他方の支持ギヤ38に噛合したクラッチシュー60、60に設けた摩擦材62とクラッチドラム1とがくさび作用を発生させて係合する。出力軸からのトルクは入力軸に伝達される。すなわち、クラッチはツーウェイクラッチとして機能する。
実施の形態2に係る構成の内、実施の形態1と同様な構成については、同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
なお実施の形態1及び2において、一及び他のクラッチシューの自重を相殺する構成が設けられているが、付勢部材の付勢力を大きくして(例えばクラッチの自重よりも大きくして)、一及び他のクラッチシューの自重を相殺する構成を削除してもよい。この場合、静止状態であるか又は入力軸と出力軸が切断されているべき回転速度でクラッチシューが回転している場合において、クラッチシューは、付勢部材の付勢力によってクラッチドラムに接触しない。
また単一のクラッチシューを設け、tanθ<μを満たすように、即ち滑り無く、クラッチシューがクラッチドラム1に係合する構成であってもよい。この場合、クラッチシューの自重を相殺する構成は設けない。
(実施の形態3)
以下本発明を実施の形態3に係るクラッチを示す図面に基づいて説明する。図18は実施の形態3に係るクラッチを略示する正面図である。クラッチドラム1には入力軸100が同軸的に設けられている。入力軸100の少なくとも一部は収容室2内に配置されている。
収容室2の内周面には収容凹部2bが複数設けられている。収容凹部2bそれぞれに、付勢部材、例えば、ばね46が収容されている。収容室2内には、前記入力軸100に平行な複数の枢軸(回転支持部)71が設けられている。
収容室2の軸回りに回転可能な円環部75が収容室2の内周面に沿って設けられている。円環部75の内周面には、複数の凹部75a(変換部)が設けられている。前記枢軸71夫々に円弧形をなすクラッチシュー70の一端部が回転可能に設けられている。クラッチシュー70の一端部には、凹部75aに嵌合した凸部70a(変換部)が設けられている。
収容凹部2bに収容されたばね46は、クラッチシュー70が収容室2の軸心側に向かうように、円環部75の外周面を押圧している。すなわち、図18において、ばね46は円環部75を時計回りに押圧し、円環部75は、枢軸71回りにおいて、凸部70aを時計回りに押圧し、クラッチシュー70は収容室2の軸心側に付勢されている。なおばね46はクラッチシュー70の自重以下の力によってクラッチシュー70を付勢している。
収容室2内において、出力軸(図示略)に接続する円環状の接続部80が入力軸100に回転可能に外嵌している。接続部80の外周面には、径方向外向きに斜めに突出した複数の突出歯81が周方向に並設されている。突出歯81及びクラッチシュー70によってラチェット機構が構成されている。
次にクラッチシュー70と接続部80との係合について説明する。クラッチが静止している場合、クラッチシュー70は、ばね46により軸中心方向に付勢されているため、接続部80の突出歯81に係合している。駆動源(図示略)から動力が伝達されることによって、入力軸100は時計回りに回転を開始し、接続部80及び出力軸が回転する。入力軸100の回転速度が所定回転速度(例えば900rpm)以上になった場合、クラッチシュー70の他端部は、遠心力によって収容室2の周面側に向けて回転し、接続部80の突出歯81から離脱し、接続部80は回転しない。
ばね46はクラッチシュー70の自重以下の力によって、即ち比較的小さい力によって、クラッチシュー70を付勢しているので、低速乃至中速(例えば900rpm未満)で入力軸100が回転している場合にクラッチシュー70は突出歯81に係合し、遠心力が大きくなることによって、クラッチシュー70は突出歯81から離脱する。
入力軸100の回転速度が所定回転速度未満になった場合、ばね46の付勢力によって、クラッチシュー70及び接続部80は再び係合する。
図18に示すように、クラッチが縦置きされ、所定回転速度以上で回転している場合に、上側に位置するクラッチシュー70には、自重によって、入力軸100側(収容室2の軸心側)に向かう力が作用する。例えば図18において、上側に位置するクラッチシュー70に、入力軸100側に向かう力が作用する。
一方、下側に位置するクラッチシュー70には、自重によって、収容室2の周面側に向かう力F7が作用する。力F7は、下側に位置するクラッチシュー70の凸部70a及び該凸部70aに嵌合する凹部75aによって、円環部75を反時計回りに回転させる力F8に変換される。力F8は、上側に位置するクラッチシュー70の凸部70a及び該凸部70aに嵌合する凹部75aによって、収容室2の周面側に向かう力F9に変換される。
そのため、クラッチが縦置きされ、所定回転速度以上で回転している場合に、クラッチシュー70が自重によって、収容室2の軸心側に移動し、突出歯81に係合することを防止することができる。
今回開示した実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。各実施例にて記載されている技術的特徴は互いに組み合わせることができ、本発明の範囲は、請求の範囲内での全ての変更及び請求の範囲と均等の範囲が含まれることが意図される。
1 クラッチドラム
2 収容室
10 第1クラッチシュー
12、22 摩擦材
15 突出部
20 第2クラッチシュー
25 凹部
30 回転支持部
35、75a 凹部(変換部)
36 突起部(変換部)
37 円環部
38 支持ギヤ(回転部)
41、42、46 ばね(付勢部材)
50 噛合機構(変換部)
65 突出部(変換部)
66 窪み(変換部)
70a 凸部(変換部)
75 円環部
71 枢軸(回転支持部)

Claims (8)

  1. 複数のクラッチシューを収容する円筒状の収容室を有し、出力軸に接続され、前記収容室の軸回りに回転するクラッチドラムと、前記収容室内にて、入力軸から伝達された動力によって前記収容室の軸回りに回転し、前記複数のクラッチシューそれぞれの端部を前記収容室の軸心に平行な軸回りに回動可能に支持する回転支持部と、前記クラッチシューを前記収容室の軸心側に付勢する付勢部材とを備え、前記クラッチシューを前記収容室の周面に沿って並設してあるクラッチであって、
    隣合う一及び他の前記クラッチシューそれぞれの前記端部を前記収容室の周方向に対向させてあり、
    前記一のクラッチシューの端部から前記他のクラッチシューの端部に向けて突出した突出部と、
    該突出部が係合し、前記他のクラッチシューの端部に形成された凹部と
    を備え、
    前記付勢部材は前記クラッチシューの自重以下の力によって前記クラッチシューを付勢しており、
    前記付勢部材以外に、前記クラッチシューを前記収容室の軸心側に付勢する手段を設けておらず、
    前記クラッチシューを前記収容室の軸心の反対側に付勢する他の付勢部材を設けておらず、
    静止状態において、前記一のクラッチシュー及び他のクラッチシューの自重が相殺されること
    を特徴とするクラッチ。
  2. 複数のクラッチシューを収容する円筒状の収容室を有し、出力軸に接続され、前記収容室の軸回りに回転するクラッチドラムと、前記収容室内にて、入力軸から伝達された動力によって前記収容室の軸回りに回転し、前記複数のクラッチシューそれぞれの端部を前記収容室の軸心に平行な軸回りに回動可能に支持する回転支持部と、前記クラッチシューを前記収容室の軸心側に付勢する付勢部材とを備え、前記クラッチシューを前記収容室の周面に沿って並設してあるクラッチであって、
    前記収容室内にて前記収容室の軸心周りに配してあり、軸回りに回転可能な回転部と、
    該回転部又はクラッチシューの一方に設けた突出部と、
    該突出部が係合し、前記回転部又はクラッチシューの他方に設けた凹部と
    を備え
    前記付勢部材は前記クラッチシューの自重以下の力によって前記クラッチシューを付勢していること
    を特徴とするクラッチ。
  3. 複数のクラッチシューを収容する円筒状の収容室を有し、出力軸に接続され、前記収容室の軸回りに回転するクラッチドラムと、前記収容室内にて、入力軸から伝達された動力によって前記収容室の軸回りに回転し、前記複数のクラッチシューそれぞれの端部を前記収容室の軸心に平行な軸回りに回動可能に支持する回転支持部と、前記クラッチシューを前記収容室の軸心側に付勢する付勢部材とを備え、前記クラッチシューを前記収容室の周面に沿って並設してあるクラッチであって、
    前記入力軸の少なくとも一部は前記収容室内に配置され、前記収容室に対して同軸的に接続されており、
    前記収容室内にて前記入力軸に回転可能に外嵌しており、前記出力軸に接続された環状の接続部を備え、
    前記接続部の外周面に突出歯が形成されており、
    前記突出歯及びクラッチシューによってラチェット機構が構成されており、
    前記付勢部材は前記クラッチシューの自重以下の力によって前記クラッチシューを付勢していること
    を特徴とするクラッチ。
  4. 前記クラッチシューに前記収容室の周面に接触する摩擦材を設けてあることを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載のクラッチ。
  5. 前記摩擦材は、
    前記回転支持部の回転速度が所定範囲内にある場合に、前記収容室の周面上を摺動し、
    前記回転支持部の回転速度が前記所定範囲よりも大きい場合に、前記収容室の周面に滑り無く係合するように構成してあること
    を特徴とする請求項4に記載のクラッチ。
  6. 前記摩擦材は、前記収容室の周面に滑り無く係合するように構成してあることを特徴とする請求項4に記載のクラッチ。
  7. クラッチシューを収容する円筒状の収容室を有し、出力軸に接続され、前記収容室の軸回りに回転するクラッチドラムと、前記収容室内にて、入力軸から伝達された動力によって前記収容室の軸回りに回転し、前記クラッチシューの一端部を前記収容室の軸心に平行な軸回りに回動可能に支持する回転支持部と、前記クラッチシューを前記収容室の軸心側に付勢する付勢部材とを備え、前記クラッチシューを前記収容室の周面に沿って並設してあるクラッチであって、
    前記回転支持部は、前記クラッチシューの一端部を支持する枢軸を有し、
    前記クラッチシューの他端部に摩擦材を設けてあり、
    前記クラッチシューにおける前記摩擦材を設けた部分のみが前記収容室の周面に接触し、
    前記クラッチシューの他端部及び前記収容室の周面の接触点と前記枢軸の回転中心点との間の第1線分と、前記接触点と前記入力軸の回転中心点との間の第2線分とがなす角θ、前記摩擦材の面圧の大小に拘わらず、tanθ<μを満たすこと(ただし、μは摩擦係数)
    を特徴とするクラッチ。
  8. クラッチシューを収容する円筒状の収容室を有し、出力軸に接続され、前記収容室の軸回りに回転するクラッチドラムと、前記収容室内にて、入力軸から伝達された動力によって前記収容室の軸回りに回転し、前記クラッチシューの一端部を前記収容室の軸心に平行な軸回りに回動可能に支持する回転支持部と、前記クラッチシューを前記収容室の軸心側に付勢する付勢部材とを備え、前記クラッチシューを前記収容室の周面に沿って並設してあるクラッチであって、
    前記回転支持部は、前記クラッチシューの一端部を支持する枢軸を有し、
    前記クラッチシューの他端部に摩擦材を設けてあり、
    前記クラッチシューにおける前記摩擦材を設けた部分のみが前記収容室の周面に接触し、
    前記摩擦材の面圧の大小に応じて、前記摩擦材の摩擦係数μは大小となり、
    前記入力軸の回転速度が、前記摩擦材及びクラッチドラムが係合を開始する係合開始速度と、前記摩擦材及びクラッチドラムが滑り無く係合する最小の回転速度であって、前記係合開始速度よりも大きな連結回転速度との間の値である場合に、前記クラッチシューの他端部及び前記収容室の周面の接触点と前記枢軸の回転中心点との間の第1線分と、前記接触点と前記入力軸の回転中心点との間の第2線分とがなす角θがtanθ>μを満たし、
    前記入力軸の回転速度が前記連結回転速度よりも大きい場合に、前記角θがtanθ<μを満たすこと
    を特徴とするクラッチ。
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