JP6511941B2 - 樹脂光学成形体及びその製造方法 - Google Patents
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本発明の他の態様にかかる樹脂光学成形体の製造方法は、載置面とのなす角が鋭角である傾斜面を有する被インサート物に対し、液状化した熱可塑性樹脂を射出成形することによって前記被インサート物と前記熱可塑性樹脂とを接合一体化した樹脂光学成形体の製造方法であって、金型内に前記被インサート物を配置する工程と、前記被インサート物の傾斜面の先端から傾斜面を上るように前記金型内に前記液状化した熱可塑性樹脂を注入する工程と、を含み、前記被インサート物の傾斜面は、前記先端を有する下側傾斜面、および、前記下側傾斜面よりも傾斜角度が急角度である上側傾斜面の2種の傾斜面によって構成される。
本発明のさらに他の態様にかかる樹脂光学成形体は、載置面とのなす角が鋭角である傾斜面を有する被インサート物に対し、液状化した熱可塑性樹脂を射出成形することによって前記被インサート物と前記熱可塑性樹脂とを接合一体化した樹脂光学成形体であって、前記被インサート物の傾斜面の先端が前記熱可塑性樹脂に溶融して一体化されており、前記被インサート物の傾斜面は、前記先端を有する下側傾斜面、および、前記下側傾斜面よりも傾斜角度が急角度である上側傾斜面の2種の傾斜面によって構成される。
前記被インサート物の傾斜面を上に向けた状態で、前記樹脂光学成形体の上面は、所定の光束を通過又は反射させて機能させる光学機能面である。
前記被インサート物の傾斜面を上に向けた状態で、前記樹脂光学成形体の上面において、前記液状化した熱可塑性樹脂を注入する側と反対側の端部は、所定の光束を通過又は反射させて機能させる光学機能面の領域の外部分である。
本実施形態の樹脂光学成形体10は、自動車、航空機、船舶等の輸送機器の各種表示パネル、土木建築の透過性を有する構造部材・準構造部材、光学素子等に用いられる。図1は、実施形態1の製造方法で作製した樹脂光学成形体の構成を示す斜視図である。
図2は、金型3内に被インサート物1を配置した後の状態を示す模式図であり、図3(a)〜(d)は、金型3内に液状樹脂2を注入する過程を示す断面図である。図3の各図はいずれも、被インサート物1の傾斜面1aに対して直交する面で被インサート物1を切断した切断面である。図2及び図3において金型のキャビティを点線で示している。金型3は、固定金型と可動金型との2つの部位に分かれているが、これらの形状は特に限定されず、いずれも任意の形状が可能であるため図2及び図3においては固定金型と可動金型の界面は図示していない。
実施形態1の樹脂光学成形体10の製造方法は、まず、金型3(固定金型)内に被インサート物1を配置する。具体的には、被インサート物1の傾斜面1aの先端1bが液状樹脂2を供給する供給口に対向するように被インサート物1を金型3に配置する。
上記のように被インサート物1を配置した上で、可動金型を固定金型のパーティングライン面で合わせて型締めする。そして、金型3内の被インサート物1の傾斜面1aの先端に対向する注入口4から金型3のキャビティに液状樹脂2を注入する。図3(a)〜(d)は、金型3に液状樹脂2を注入する過程を順に示す模式的な断面図である。
上記のように液状樹脂2を注入した後、所定の温度まで金型の温度を下げることで、液状樹脂2を硬化させる。これにより金型のキャビティ内に樹脂光学成形体が形成される。そして、可動金型を固定金型に対して移動させて固定金型から樹脂光学成形体10を取り出すことにより樹脂光学成形体10を得ることができる。以上のようにして樹脂光学成形体10を作製することにより、被インサート物1と液状樹脂2との界面が識別しにくく、光学機能に優れた樹脂光学成形体10を作製することができる。
図5及び図6はそれぞれ、実施形態2の製造方法で作製された樹脂光学成形体の斜視図及び上面図である。図5に示す被インサート物1は、傾斜角度が異なる上側傾斜面1dと下側傾斜面1eの2斜面があり、かつ上側傾斜面1dの傾斜角度が下側傾斜面1eの傾斜角度よりも急角度になっている。このような形状の被インサート物1を用いることにより、下側傾斜面1eがより鋭利な鋭角となるため、液状樹脂2を供給した時に被インサート物1の先端が液状樹脂2に対して溶融しやすくなる。これにより被インサート物1と液状樹脂2との界面をさらに見えにくくすることができる。また、液状樹脂2が金型3内の空気を、液状樹脂2の注入口から見て金型3の奥側に押し込まれる。したがって、このような被インサート物1を用いることにより、図6に示すように金型3の奥側に気泡5が形成されるため、優れた光学機能を有する樹脂光学成形体を得ることができる。
図7及び図8はそれぞれ、実施形態3の製造方法で作製された樹脂光学成形体の斜視図及び上面図である。図7に示す被インサート物1は、金型のキャビティに接触する直方体部1kと、当該直方体部1kの幅よりも狭い幅で直方体部1kの側面から所定長さ延出するとともにその延出した側の端面が上側から下側に向けて次第に傾斜する傾斜面1iとなっている細幅部1lと、を有している。
図9及び図10はそれぞれ、実施形態4の製造方法で作製された樹脂光学成形体の斜視図及び上面図である。図9に示す被インサート物1は、金型3のキャビティよりも幅が狭く、かつ高さ寸法が金型のキャビティと同一である。
図11及び図12はそれぞれ、実施形態5の製造方法で作製された樹脂光学成形体の斜視図及び上面図である。図11に示す被インサート物1は、上面と所定の第1角度で交差する第1傾斜面と、下面と所定の第2角度で交差する第2傾斜面とによって内側に凹む側面が形成されている。第1傾斜面と第2傾斜面とは互いに交差している。その交差部分は例えばV字状であってもよいし、面取りされていてもよい。また図12に示すように、被インサート物1の上面及び下面は、端部の中央部分をその両端よりも突出させて湾曲させている。また被インサート物1の幅寸法は、金型のキャビティの幅寸法と同一であり、かつ被インサート物1の高さ寸法が金型3のキャビティの高さ寸法と同一である。
図13及び図14はそれぞれ、実施形態6の製造方法で作製された樹脂光学成形体の斜視図及び上面図である。図13に示す被インサート物は、側面を内側に向けてU字型に湾曲した湾曲面としていることが異なる他は実施形態5と同一である。このような被インサート物1の傾斜面に対して液状樹脂2を注入すると、図14に示す上面視のように、液状樹脂2によって金型3内の空気がU字型の湾曲面の両側端部に押し込まれるため、優れた光学機能を有する樹脂光学成形体を作製することができる。
実施例1においては、図2に示される被インサート物1及び金型3を用いて樹脂光学成形体10を作製した。被インサート物1は、高さ3cm、奥行き4cm、幅3cmの大きさであり、ガラス転移温度150℃のポリカーボネート(PC)を用いた。被インサート物1の傾斜面は被インサート物1の底面に対して30°の角度で傾斜していた。この被インサート物1を金型3に配置した。金型3のキャビティは高さ4cm、奥行き6cm、幅3cmであった。そして、金型3の注入口4から被インサート物1の傾斜面の先端に向けて260℃の液状樹脂2を射出圧縮成形で金型3に注入した。この液状樹脂2が被インサート物に達した時点での液状樹脂2の温度は210℃であった。液状樹脂2としては、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)を用いた。その後、金型3を80℃まで冷却することにより液状樹脂2を凝固させて樹脂光学成形体10を作製した。
実施例2〜6は、実施例1に対して被インサート物を構成する熱可塑性樹脂及び液状樹脂に用いる熱可塑性樹脂並びに液状樹脂の流入温度が下記の表1に示すように異なる他は、実施例1と同様にして樹脂光学成形体10を作製した。
◎:界面を注視してもなお界面を特定できない。
○:界面を注視すると界面を特定できる。
△:界面を注視しなくても界面を特定できる。
10 樹脂光学組成物
12 液状樹脂
13 金型
15 気泡
1a,1i 傾斜面
1b 先端
2 液状樹脂
3 金型
4 流入口
5 気泡
Claims (7)
- 載置面とのなす角が鋭角である傾斜面を有する被インサート物に対し、液状化した熱可塑性樹脂を射出成形することによって前記被インサート物と前記熱可塑性樹脂とを接合一体化した樹脂光学成形体の製造方法であって、
金型内に前記被インサート物を配置する工程と、
前記被インサート物の傾斜面の先端から傾斜面を上るように前記金型内に前記液状化した熱可塑性樹脂を注入する工程と、を含み、
前記被インサート物の傾斜面は、前記先端を有する下側傾斜面、および、前記下側傾斜面よりも傾斜角度が急角度である上側傾斜面の2種の傾斜面によって構成される、樹脂光学成形体の製造方法。 - 前記被インサート物の傾斜面が湾曲している湾曲面である請求項1記載の樹脂光学成形体の製造方法。
- 前記液状化した熱可塑性樹脂は、前記被インサート物を構成する熱可塑性樹脂のガラス転移温度よりも30℃以上高い温度で流入されることを特徴とする請求項1又は2に記載の樹脂光学成形体の製造方法。
- 前記被インサート物を構成する熱可塑性樹脂及び前記液状化した熱可塑性樹脂は、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ABS樹脂、ポリイソブチレン、エチレンプロピレン重合体、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリロニトリル、ポリシアノアクリレート、ポリビニルエーテル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルイミダゾール、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ブタジエン−スチレンゴム、ブタジエン−アクリロニトリルゴム、ポリクロロプレン、ポリアセタール、エチレンプロピレンジエンゴム、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリスルホン、ポリカーボネート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン及びポリエチリデンノルボルネンからなる群より選択される1種以上を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の樹脂光学成形体の製造方法。
- 載置面とのなす角が鋭角である傾斜面を有する被インサート物に対し、液状化した熱可塑性樹脂を射出成形することによって前記被インサート物と前記熱可塑性樹脂とを接合一体化した樹脂光学成形体であって、
前記被インサート物の傾斜面の先端が前記熱可塑性樹脂に溶融して一体化されており、
前記被インサート物の傾斜面は、前記先端を有する下側傾斜面、および、前記下側傾斜面よりも傾斜角度が急角度である上側傾斜面の2種の傾斜面によって構成される、樹脂光学成形体。 - 前記被インサート物の傾斜面を上に向けた状態で、前記樹脂光学成形体の上面は、所定の光束を通過又は反射させて機能させる光学機能面である、請求項5に記載の樹脂光学成形体。
- 前記被インサート物の傾斜面を上に向けた状態で、前記樹脂光学成形体の上面において、前記液状化した熱可塑性樹脂を注入する側と反対側の端部は、所定の光束を通過又は反射させて機能させる光学機能面の領域の外部分である、請求項5又は6に記載の樹脂光学成形体。
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