JP6511616B2 - キレート剤 - Google Patents

キレート剤

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本発明は、ポリアミン化合物に関するものである。
キレート剤は、複数の配位座を有し、金属イオン配位することが可能な化合物を意味するものであり、水中で使用した場合には、金属イオンを捕捉してその弊害(変色、酸化等)を抑制することができる。このように、キレート剤としては従来、金属イオンが存在しうる水中で金属捕捉能(キレート能)を発揮することが求められており、一般に水溶性のものが用いられてきたが、近年、水中から遷移金属をはじめとする有価金属を油相中に選択的に抽出するための金属抽出剤として、或いは油脂類の酸化防止剤としての作用が注目され、疎水性媒体中にも溶解する油溶性を有し、かつ配位能を発揮できるキレート剤が求められている。
しかしながら、従来から使用されている油溶性キレート剤のうち、アセチルアセトンやベンゾトリアゾール等は、いずれも金属に対する配位能が低いといった欠点を有している。また、アミノカルボン酸のアミン塩やアミノカルボン酸のエステル等のキレート剤は、金属に対する配位能を有していても、油溶性が不十分となるか、構造安定性に問題がある場合があった。
例えば特許文献1では、エチレンジアミン四酢酸−N,N’−ジ(2−エチルヘキシル)が記載されているが、この化合物において、2−エチルヘキシル基はエステル結合上に存在しており、水の存在下ではこのエステル結合が加水分解されるため、化合物の油溶性が失われてしまう。このため、特許文献1に記載の化合物を前記金属抽出剤として使用することはできない。また特許文献2には、エチレンジアミン四酢酸二無水物に対し1級アミンを反応させることで合成されるエチレンジアミン−N,N’−二酢酸−N,N’−二酢酸アルキルアミドが記載されているが、このような一級アミンを使用した合成方法の場合、イミドを形成した後にこれを加水分解する必要があり合成経路が長くなるばかりでなく、イミドの加水分解時に選択的にエチレンジアミン−N,N’−二酢酸−N,N’−二酢酸アルキルアミドを合成することが困難であるため必然的に収率が悪くなるといった欠点があった。また、一級アミンより合成されたアミド体は油溶性に起因するアルキル基が一つしかないため、満足な油溶性能を得られない場合があった。
特開昭58−67652号公報 特開平4−49271号公報
本発明は上記の様な事情に着目してなされたものであり、その目的は、ヘキサンをはじめとする極性の低い溶媒にも可溶であって金属捕捉能(キレート能)に優れ、さらに構造安定性に優れたポリアミン化合物を提供することにある。また本発明は、このポリアミン化合物を容易に、低コスト且つ高収率で製造できる方法を提供することにある。
本発明者らは前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、エチレンジアミン骨格を有するポリアミン化合物において、末端の窒素原子を置換する基を調整することで、油溶性と金属捕捉能(キレート能)を両立でき、且つ構造安定性に優れた化合物が得られることを明らかにして、本発明を完成した。
すなわち本発明の化合物は、下記式(1)で表されるものであることを特徴とする。

[式(1)中、R1〜R4は、それぞれ独立に、C4-20のアルキル基若しくはC4-20のアルケニル基、又は、C6-15のアリール基を表す。nは、0〜3の整数を表す。]
前記式(1)中、R1〜R4は、それぞれ、2−エチルヘキシル基であることが好ましい。
また、本発明の化合物を含む油溶性キレート剤、本発明の化合物を含む金属抽出剤、油脂用酸化防止剤、及び油脂用金属安定化剤も本発明の技術的範囲に包含される。
本発明のポリアミン化合物は、へキサンをはじめとする極性の低い溶媒にも可溶であり、且つ、金属捕捉能に優れており、さらに加水分解反応等の分解反応を受けにくく構造安定性が良好である。このため水中からの有価金属の油層抽出による分離回収や、油脂類の酸化防止剤として、或いは油脂中に金属を導入する際の油脂用金属安定化剤として有用である。また本発明の製造方法によれば、このようなポリアミン化合物を容易に、低コスト且つ高収率で製造できる。
図1は、実施例で得たエチレンジアミン−N,N’−二酢酸−N,N’−二酢酸ジ(2−エチルヘキシル)アミドの赤外線吸収スペクトルである。 図2は、実施例で得たエチレンジアミン−N,N’−二酢酸−N,N’−二酢酸ジ(2−エチルヘキシル)アミドの1H−NMRスペクトルである。
1.化合物
本発明のポリアミン化合物(以下、単に「化合物」という場合がある。)は、下記式(1)で表されることを特徴とする。

[式(1)中、R1〜R4は、それぞれ独立に、C4-20のアルキル基若しくはC4-20アルケニル基、又は、C6-15アリール基を表す。nは、0〜3の整数を表す。]
本発明の化合物は、ポリアミン化合物の末端の窒素原子をカルボキシメチル基と置換カルバモイルメチル基で置換し、さらに、置換カルバモイルメチル基の窒素原子は、2つの置換基で置換され、この置換基がC4-20アルキル基若しくはC4-20アルケニル基、又は、C6-15のアリール基であるため、ポリアミン化合物の金属配位能(キレート能)を維持したまま、油溶性が向上したものとなる。
上記式(1)において、R1〜R4のアルキル基としては、炭素数4〜20(好ましくは炭素数6〜20)の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が挙げられ、具体的には、ブチル基等のC4アルキル基;ペンチル基等のC5アルキル基;ヘキシル基等のC6アルキル基;ヘプチル基等のC7アルキル基;オクチル基、ブチルブチル基、プロピルペンチル基、エチルヘキシル基、メチルヘプチル基、トリメチルペンチル基、ジメチルヘキシル基等のC8アルキル基;ノニル基、プロピルヘキシル基、エチルヘプチル基、メチルオクチル基、テトラメチルペンチル基、トリメチルヘキシル基等のC9アルキル基;デシル基、ペンチルペンチル基、ブチルヘキシル基、プロピルヘプチル基、エチルオクチル基、メチルノニル基、ジメチルオクチル基等のC10アルキル基;ウンデシル基、ブチルヘプチル基、プロピルオクチル基、エチルノニル基等のC11アルキル基;ドデシル基、ペンチルヘプチル基、ブチルオクチル基、プロピルノニル基等のC12アルキル基;トリデシル基、ペンチルオクチル基、ブチルノニル基、トリメチルデシル基等のC13アルキル基;テトラデシル基、ヘプチルヘプチル基、ヘキシルオクチル基、ペンチルノニル基等のC14アルキル基;ペンタデシル基、ヘプチルオクチル基、ヘキシルノニル基等のC15アルキル基;ヘキサデシル基、オクチルオクチル基、ヘプチルノニル基等のC16アルキル基;ヘプタデシル基、オクチルノニル基等のC17アルキル基;オクタデシル基、ノニルノニル基等のC18アルキル基;ノナデシル基等のC19アルキル基;エイコシル基等のC20アルキル基;等が挙げられる。
また、R1〜R4のアルケニル基としては、炭素数4〜20(好ましくは炭素数6〜20)の直鎖状又は分岐鎖状のアルケニル基が挙げられ、具体的には、ブテニル基等のC4アルケニル基;ペンテニル基等のC5アルケニル基;ヘキセニル基等のC6アルケニル基;ヘプテニル基等のC7アルケニル基;オクテニル基、ブチルブテニル基、ブテニルブチル基、プロピルペンテニル基、プロペニルペンチル基、エチルヘキセニル基、ビニルヘキセニル基、メチルヘプテニル基、トリメチルペンテニル基、ジメチルヘキセニル基等のC8アルケニル基;ノネニル基、プロピルヘキセニル基、エチルヘプテニル基、メチルオクテニル基、テトラメチルペンテニル基、トリメチルヘキセニル基等のC9アルケニル基;デセニル基、ペンチルペンテニル基、トリメチルヘキセニル基、メチルノネニル基、ジメチルオクテニル基等のC10アルケニル基;ウンデセニル基、ブチルヘプテニル基、ブテニルヘプチル基、プロピルオクテニル基、プロペニルオクチル基等のC11アルケニル基;ドデセニル基、ペンチルヘプテニル基、ペンテニルヘプチル基、ブチルオクテニル基、ブテニルオクチル基、プロピルノニル基、プロペニルノニル基等のC12のアルケニル基;トリデセニル基、ペンチルオクテニル基、ペンテニルオクチル基、ブチルノネニル基、ブテニルノニル基、トリメチルデセニル基等のC13のアルケニル基;テトラデセニル基、ヘプチルヘプテニル基、ヘプテニルヘプチル基、ヘキシルオクテニル基、ヘキセニルオクチル基、ペンチルノネニル基、ペンテニルノニル基等のC14アルケニル基;ペンタデセニル基、ヘプチルオクテニル基、ヘプテニルオクチル基、ヘプチルノネニル基、ヘプテニルノニル基等のC15アルケニル基;ヘキサデセニル基、オクチルオクテニル基、オクテニルオクチル基、ヘプチルノネニル基、ヘプテニルノニル基等のC16アルケニル基;ヘプタデセニル基、オクチルノネニル基、オクテニルノニル基等のC17アルケニル基;オクタデセニル基、ノニルノネニル基、ノネニルノニル基等のC18のアルケニル基;ノナデセニル基等C19アルケニル基;エイコセニル基等のC20アルケニル基;等が挙げられる。
1〜R4のC6-15アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、フルオレニル基、ペリレニル基、テトラセニル基、ペンタセニル基等が挙げられる。
中でも、R1〜R4は、C4-15アルキル基又はC4-15アルケニル基であることが好ましく、より好ましくはC6-15アルキル基又はC6-15アルケニル基、さらに好ましくはC8-15アルキル基又はC8-15アルケニル基、よりいっそう好ましくはC8-10アルキル基又はC8-10アルケニル基、特に好ましくはC8-10アルキル基である。炭素数が小さいほど、金属配位能(キレート能)を維持することができ、炭素数が大きいほど、油溶性を向上できる。特に本発明のポリアミン化合物は、炭素数が前記範囲にあるため、油溶性と金属配位能(キレート能)を両立することが可能となる。また、R1〜R4は、分岐を有する基であることが好ましい。R1〜R4が分岐を有する基であると、得られる金属錯体が疎水性になりやすく、油溶性が向上しやすくなる。R1〜R4は、互いに同一でも異なっていてもよいが、R1とR2、R3とR4がそれぞれ同一であることが好ましく、R1〜R4の全てが同一であることが好ましい。また、R1とR4が同一であることが好ましく、R2とR3が同一であることが好ましい。
式(1)中、nは、0以上、3以下であり、好ましくは0以上、2以下、より好ましくは0以上、1以下、特に好ましくは0である。具体的には、本発明の化合物は、下記式(1−1)〜式(1−4)のいずれかで表され、式(1−1)〜式(1−3)のいずれかで表されることが好ましく、式(1−1)又は式(1−2)で表されることがより好ましく、式(1−1)で表されることが特に好ましい。
本発明のポリアミン化合物として好ましい化合物の一例を挙げると、下記の通りである。
本発明の化合物は、通常、分子量700〜2000であり、より好ましくは700〜1500、さらに好ましくは700〜1000である。分子量がこの範囲にあることで、各種溶媒への溶解性が良好となる。分子量は、元素分析、赤外線吸収スペクトル及び1H−NMRから化学式を決定し、得られた化学式に基づいて求めることができる。
本発明の化合物は、ポリアミン化合物の末端の窒素原子が上記所定の基により置換されたものであるため、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン等の飽和脂肪族炭化水素系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;酢酸エチル等のエステル系溶媒;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等の環状エーテル系溶媒;ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルジグリコール)、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ポリプロピレングリコール、ジアセトンアルコール等のエーテルアルコール系溶媒;メタノール、エタノール、2−プロパノール、ブタノール、1−ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、1−オクタノール、2−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、1−ノナノール、3,5,5−トリメチル−1−ヘキサノール、1−デカノール、1−ウンデカノール、1−ドデカノール、アリルアルコール、プロパルギルアルコール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール、1−メチルシクロヘキサノール、2−メチルシクロヘキサノール、3−メチルシクロヘキサノール、4−メチルシクロヘキサノール、α−テルピネオール、アビエチノール等のアルコール系溶媒;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、テトラクロロエチレン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;等の溶媒に対する溶解性が良好である。
具体的には、室温(25℃)、大気圧(1013hPa)下において、脂肪族炭化水素系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒、エステル系溶媒、環状エーテル系溶媒、エーテルアルコール系溶媒、アルコール系溶媒、ハロゲン化炭化水素系溶媒への溶解度が、1質量%以上であることが好ましく、より好ましくは2質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上である。特に、本発明の化合物は、脂肪族炭化水素系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒、エステル系溶媒、環状エーテル系溶媒、エーテルアルコール系溶媒、炭素数6以上の高級アルコール系溶媒等の疎水性の溶媒中でも溶解度が10質量%以上となることが好ましい。
また、本発明の化合物は、化学的に安定であり、大気中(25℃)、湿度30〜70%で、30日間保存したときでも、分解等が生じることはない。分解の有無は、例えば、赤外吸収スペクトル分析によるC=O結合の伸縮振動由来のピークのシフトにより確認することができる。
2.化合物の製造方法
本発明の製造方法は、下記式(2)

[式(2)中、nは、上記と同義である。]
で表される化合物と、下記式(3)

[式(3)中、R5、R6は、それぞれ独立に、R1と同様の基を表す。]
で表される2級アミンとを接触させることで製造できる。接触の方法としては、例えば、式(2)で表される化合物と、式(3)で表される化合物とを混合する方法が挙げられる。
前記式(2)中、nは、0以上、3以下であり、好ましくは0以上、2以下、より好ましくは0以上、1以下、特に好ましくは0である。具体的には、式(2)で表される化合物は、下記式(2−1)〜式(2−4)のいずれかで表され、式(2−1)〜式(2−3)のいずれかで表されることが好ましく、式(2−1)又は式(2−2)で表されることがより好ましく、式(2−1)で表されることが特に好ましい。
2級アミンは、式(2)で表される化合物1モルに対して、2〜4モルであることが好ましく、2〜3モルであることがより好ましく、2〜2.5モルであることがさらに好ましく、2モルであることが最も好ましい。2級アミンの量がこの範囲にあると、(ポリ)エチレンジアミンの末端の窒素原子がカルボキシメチル基と置換カルバモイルメチル基の両方で置換されやすくなる。
また、式(2)で表される化合物と2級アミンとは溶媒中で接触させることが好ましい。ここで用いる溶媒としては、式(2)で表される化合物と反応しない溶媒であればよく、具体的には、ヘキサン等の飽和脂肪族炭化水素系溶媒;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒;酢酸エチル等のエステル系溶媒;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等の環状エーテル系溶媒;等が挙げられる。中でも、得られたポリアミン化合物との分離が容易であることや、コストの観点から、環状エーテル系溶媒が好ましく、テトラヒドロフランが特に好ましい。
また、前記溶媒中、水;メタノール等のアルコール系溶媒;等の式(2)で表される化合物と反応しうる溶媒は、極力除去しておくことが好ましく、その含有量は、全溶媒100体積%中、1体積%以下であることが好ましい。
溶媒は、式(2)で表される化合物と、2級アミンの合計1質量部に対して、2〜20質量部であることが好ましく、より好ましくは5〜15質量部であり、反応液中、固形分(式(2)で表される化合物と2級アミン)濃度が、好ましくは5〜30質量%、より好ましくは7〜17質量%となるようにすればよい。
式(2)で表される化合物と、2級アミンとを接触させる温度は、0℃以上であることが好ましく、より好ましくは50℃以上であり、上限は溶媒の沸点以下であればよく、具体的には、110℃以下であることが好ましい。また、式(2)で表される化合物と、2級アミンとを接触させる時間は、通常、30分〜8時間の範囲であることが好ましい。
得られた反応液を減圧下に濃縮することで、反応溶媒と本発明の化合物とを分離できる。この場合、圧力は10〜150mmHgであることが好ましく、温度は70〜100℃の範囲であることが好ましい。
3.金属抽出剤、油脂用酸化防止剤、油脂用金属安定化剤
この様にして得られる本発明の化合物は、大気雰囲気中はもとより溶液中でも変質することがなく、安定に保存できる。このため、油溶性キレート剤として作用することができ、油溶性キレート剤のうち、例えば廃水中からの有価金属の抽出剤として、油脂類の酸化防止剤として、或いは油脂中に金属を導入する際の油脂用金属安定化剤として有効に活用できる。
本発明において、油溶性キレート剤は、水中のみならず、飽和脂肪族炭化水素系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒、エステル系溶媒、環状エーテル系溶媒、アルコール系溶媒、ポリオール系溶媒等の各種の溶媒中でも金属と錯形成可能なキレート剤を意味するものとする。本発明の化合物と錯形成可能な金属としては、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等のアルカリ土類金属;スカンジウム、イットリウム等の第3族元素;チタン、ジルコニウム、ハフニウム等の第4族元素;バナジウム、ニオブ等の第5族元素;クロム、モリブデン等の第6族元素;マンガン等の第7族元素;鉄等の第8族元素;コバルト等の第9族元素;ニッケル、パラジウム等の第10族元素;銅、銀等の第11族元素;亜鉛、カドミウム、水銀等の第12族元素;アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム等の第13族元素;スズ、鉛等の第14族元素;アンチモン、ビスマス等の第15族元素;ランタン、セリウム、ネオジウム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム等のランタノイド;トリウム、プロトアクチニウム、ウラン、プルトニウム、アメリシウム、キュリウム、カリホルニウム等のアクチノイド;等が挙げられる。錯形成の有無は、錯形成に由来する吸光度の変化を測定することにより確認することができる。この場合、吸光度を測定する波長は、本発明のポリアミン化合物の−NR12基、−NR34基が水酸基に置き換わった化合物と、対象となる金属とが形成する錯体の最大吸収波長の付近で適宜選択することができる。
また、前記金属抽出剤は、親水性相(水相)中に存在する金属を疎水性相(油相)中に抽出する液−液抽出法に用いることができ、具体的には、前記金属抽出剤を疎水性相(油相)に溶解させ、疎水性相(油相)と親水性相(水相)の界面において、親水性相(水相)中の金属と接触させることで、金属を抽出することができる。本発明の化合物は、R1〜R4が上記の所定の基であるため、置換カルバモイルメチル鎖が疎水性相(油相)に存在しつつ、カルボキシメチル鎖が親水性相(水相)中の金属を引き抜くことができる。このため、本発明の化合物は、金属抽出剤として優れたものとなる。
本発明の化合物を金属抽出剤として使用する場合、本発明の化合物を抽出に用いる疎水性溶媒100体積部に対し、0.01質量部以上、20質量部以下、好ましくは1質量部以上、より好ましくは5質量部以上、さらに好ましくは10質量部以上混合(好ましくは溶解)させて使用する。本発明の化合物の量が多いほど、抽出効率が良好である。前記疎水性相(油相)に用いる溶媒としては、特に限定はされないが、親水性相(水相)と混和しない溶媒が好ましく、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン等の飽和脂肪族炭化水素系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル等のエステル系溶媒;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等の環状エーテル系溶媒;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジ−n−アミルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキシアニソール等のエーテル系溶媒;ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルジグリコール)、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ポリプロピレングリコール、ジアセトンアルコール等のエーテルアルコール系溶媒;1−ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、1−オクタノール、2−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、1−ノナノール、3,5,5−トリメチル−1−ヘキサノール、1−デカノール、1−ウンデカノール、1−ドデカノール、アリルアルコール、プロパルギルアルコール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール、1−メチルシクロヘキサノール、2−メチルシクロヘキサノール、3−メチルシクロヘキサノール、4−メチルシクロヘキサノール、α−テルピネオール、アビエチノール等の炭素数6以上の高級アルコール系溶媒;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、塩化メチレン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、テトラクロロエチレン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;鉱油;灯油;等が挙げられる。中でも、脂肪族炭化水素系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒、ハロゲン化炭化水素系溶媒、高級アルコール系溶媒、エーテルアルコール系溶媒、鉱油、灯油が好ましく、鉱油、灯油、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、四塩化炭素、オクタノール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルジグリコール)がより好ましい。
また、前記親水性相(水相)としては、水道水、工業用水等の水が好ましい。親水性相(水相)には、水に溶解しうる炭素数5以下の低級アルコール等が含まれていてもよいが、その割合は、例えば5%以下であることが好ましく、より好ましくは1%以下である。
また、親水性相(水相)は、予めpH1.5〜4、より好ましくはpH2〜3に調整しておくことが好ましい。pH調整には、ジ−n−ブチルアミン等のアミン類;オルトリン酸等のリン酸類;を用いることができる。
抽出の際は、疎水性相(油相)と親水性相(水相)の界面積を大きくするため、公知の方法で撹拌するのが良い。また、抽出時の液体(疎水性相、親水性相)の温度も特に限定されず、例えば、5℃以上、50℃以下が好ましく、10℃以上、40℃以下が好ましい。抽出時間は、通常、10分以上、20時間以下であることが好ましく、より好ましくは30分以上、10時間以下である。
このようにして抽出操作を行った後、疎水性相(油相)の吸光度変化を測定することにより、金属が抽出されたことを確認できる。
金属抽出剤中、本発明の化合物の割合は、90質量%以上であることが好ましく、より好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは98質量%以上であり、100質量%以下である。
また、本発明の化合物は、油脂用酸化防止剤としても使用できる。油脂用酸化防止剤は、対象となる油脂と混合して使用することで、油脂の酸化を防止できる。油脂は、クロム、マンガン、鉄、ニッケル、銅等の遷移金属元素の触媒作用により酸化されるが、油脂用酸化防止剤として本発明の化合物を用いると、油脂中でも前記遷移金属元素と錯体(キレート)形成できるため、これらの触媒作用を抑制することができる。
油脂用酸化防止剤の使用量は、酸化抑制の観点から、油脂中の金属1モルに対して、1モル以上であることが好ましく、より好ましくは1.5モル以上であり、さらに好ましくは2モル以上である。また、油脂用酸化防止剤の使用量は、金属1モルに対して、10モル以下であることが好ましい。
さらに、油脂用酸化防止剤の使用量は、油脂(油脂中の金属も含む)100質量部に対して、0.001質量部以上であることが好ましく、より好ましくは0.005質量部以上であり、10質量部以下であることが好ましく、より好ましくは1質量部以下であり、さらに好ましくは0.1質量部以下である。油脂用酸化防止剤の使用量がこの範囲であると、油脂の性状を損なうことなく、酸化を防止できる。
本発明の油脂用酸化防止剤を混合する際は、直接油脂と混合してもよく、油脂用酸化防止剤を溶媒と混合(好ましくは溶解)して油脂用酸化防止剤混合液を調製し、この混合液と油脂とを混合してもよい。この際、用いられる溶媒としては、油脂との親和性が高い溶媒が好ましく、上記金属抽出剤を溶解する疎水性相(油相)の溶媒として挙げたものと同様のものを用いることができる。
これらの溶媒と油脂用酸化防止剤とを含む油脂用酸化防止剤混合液100質量%中、油脂用酸化防止剤は、0.1質量%以上であることが好ましく、より好ましくは5質量%以上であり、さらに好ましくは10質量%以上である。油脂用酸化防止剤が多いほど、溶媒の添加量を抑制できるため、油脂の性状を維持することができる。また、油脂用酸化防止剤は、油脂用酸化防止剤混合液100質量%中、例えば、40質量%以下であることが好ましく、より好ましくは20質量%以下である。
油脂用酸化防止剤混合液の使用量は、油脂100質量部に対して、0.005質量部以上であることが好ましく、より好ましくは0.01質量部以上であり、20質量部以下であることが好ましく、より好ましくは10質量部以下である。
また、本発明の油脂用酸化防止剤を用いることのできる油脂は、工業用油脂であり、例えば、潤滑油、植物油、グリース、エンジンオイル、切削油等が挙げられる。
油脂用酸化防止剤中、本発明の化合物の割合は、90質量%以上であることが好ましく、より好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは98質量%以上であり、100質量%以下である。
さらに、本発明の化合物は、油脂用金属安定化剤としても用いることができる。油脂用金属安定化剤は、油脂と混合して使用することで、油脂中に清浄分散剤、消泡剤、固体潤滑剤等の添加剤として、金属化合物を導入した場合に金属を安定化することができる。本発明の化合物を油脂用金属安定化剤として用いることで、金属を安定的に導入することができるため、これら添加剤の作用を効果的に発揮させることができるとともに、添加剤中の金属の作用による油脂の酸化を防止することができる。
油脂用金属安定化剤の使用量は、油脂中の金属1モルに対して、1モル以上であることが好ましく、より好ましくは1.5モル以上であり、さらに好ましくは2モル以上である。また、油脂用金属安定化剤の使用量は、金属1モルに対して、10モル以下であることが好ましい。
さらに、油脂用金属安定化剤の使用量は、油脂(油脂中の金属も含む)100質量部に対して、0.001質量部以上であることが好ましく、より好ましくは0.005質量部以上であり、10質量部以下であることが好ましく、より好ましくは1質量部以下であり、さらに好ましくは0.1質量部以下である。油脂用金属安定化剤の使用量がこの範囲であると、油脂の性状を損なうことなく、酸化を防止できる。
油脂用金属安定化剤は、上記油脂用酸化防止剤と同様の方法で使用でき、具体的には、直接油脂と混合してもよく、油脂用金属安定化剤を溶媒と混合して油脂用金属安定化剤混合液を調製し、これと油脂とを混合してもよい。油脂用金属安定化剤混合液に用いられる溶媒や、その割合は、油脂用酸化防止剤混合液と同様のものを採用することができる。
油脂用金属安定化剤中、本発明の化合物の割合は、90質量%以上であることが好ましく、より好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは98質量%以上であり、100質量%以下である。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらは何れも本発明の技術的範囲に包含される。
NMR測定
得られた化合物について、1H−NMR測定を行った。装置としてJEOL RESONANCE社製「JNM−ECA400」を用いて測定した。溶媒は重水素化クロロホルムを用い、サンプルの濃度は16.6mg/mLとした。
FT−IRスペクトル測定
得られた化合物について、透過法にてFT−IR測定を行った。装置として日本分光社製「FT/IR−410」を用いた。
元素分析
全自動元素分析装置(エレメンタール社製「Vario EL3」)を用い、純酸素中、1800℃で試料を完全燃焼させ、水素を水、炭素を二酸化炭素へと変換し、水、二酸化炭素、窒素の量を定量することで、試料中の水素、炭素、窒素の含量を測定した。
溶解度測定
合成した化合物を、ヘキサン、ベンゼン、酢酸エチル、1,4−ジオキサン、1−オクタノール、ブチルジグリコール、メタノールに溶解し、室温(25℃)、大気圧(1013hPa)下でその溶解度を測定した。下記の基準で溶解度を評価した。
◎:溶解度10質量%以上
〇:溶解度1質量%以上、10質量%未満
△:溶解度0.5質量%以上、1質量%未満
×:溶解度0.5質量%未満
キレート試験
硫酸銅7水和物(CuSO4・7H2O)の9g/L水溶液を調製し、ジ−n−ブチルアミン、及びリン酸を用いてpH2.5に調製して、親水性相とした。また油溶性キレート剤をヘキサン、ベンゼン、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、1−オクタノールに50g/Lの濃度となるように溶解し、疎水性相とした。前記親水性相10mLに疎水性相10mLを添加し、10回程度振とうした後、静置した。親水性相が無色透明となり、疎水性相が青色に着色したものをキレート能有り(○)とし、親水性相が青色のままであったものをキレート能無し(×)として評価した。キレート剤が溶解しなかった場合は(−)とした。
実施例1
エチレンジアミン四酢酸91g、無水酢酸130g、ピリジン150gを反応器にとり、65℃で16時間撹拌した。反応後、20℃まで冷却し、析出した結晶を濾過した。濾過した結晶を無水酢酸、続いてジエチルエーテルにて洗浄することにより、白色結晶を得、さらに、減圧乾燥することにより、エチレンジアミン四酢酸二無水物を得た。
300mlの三つ口フラスコに、ジ(2−エチルヘキシル)アミン18.8g(0.078モル)と溶媒としてのヘキサンを150g加えて撹拌しながら、エチレンジアミン四酢酸二無水物10.0g(0.039モル)を加えた。その後、反応温度69℃で、6時間反応を行なって、本発明の化合物を得た。さらに、100mmHgの減圧下で濃縮して溶媒を蒸発させて、黄色液体を得た。得られた液体の元素分析結果を表1に示す。
表1に示す通り、液体の元素分析結果は、エチレンジアミン−N,N’−二酢酸−N,N’−二酢酸ジ(2−エチルヘキシル)アミドの理論値と一致していた。また、分子量は、738であった。さらに、図1に示すように、赤外線吸収スペクトルには1654、1714cm-1にC=O結合の伸縮振動に由来する吸収ピークが観察された。さらに、図2に示すように、1H−NMRスペクトルからジアステレオマーの存在が確認できた。これは、化合物内に2−エチルヘキシル基由来の不斉中心が少なくとも2個導入されたことを示している。また、δ=3.527(S)のCH2−COOHのメチレンおよびδ=3.811(S)のCH2−CON(R)2のメチレン由来のピークの積分値が共に4H相当分あることから、ジ(2−エチルヘキシル)アミンが2分子導入されたアミド体であることが確認できた。これらの結果に基づいて、生成した化合物は目的とするエチレンジアミン−N,N’−二酢酸−N,N’−二酢酸ジ(2−エチルヘキシル)アミドであると同定できる。
1H NMR(CDCl3, 400MHz) δ0.865(t, 6H), 0.889(t, 6H), 0.902(t, 12H), 1.284(m, 32H), 1.580(m, 2H), 1.661(m, 2H), 3.034(d, 4H), 3.043(d, 4H), 3.288(m, 4H), 3.527(s, 4H), 3.811(s, 4H)
さらに、得られた化合物の溶解度測定結果は表3に示す通りであり、キレート試験結果は表4に示す通りであった。
実施例2〜4
実施例1において、溶媒としてのヘキサンを表2に示す通りの溶媒とし、反応温度を表2に示す通りの反応温度、反応時間を表2に示す通りの反応時間としたこと以外は実施例1と同様の操作を行って本発明の化合物を黄色液体として得た。
実施例5
ジ(2−エチルヘキシル)アミン18.8g(0.078モル)の代わりにジブチルアミン10.1g(0.078モル)を用いること以外は実施例3と同様にして、エチレンジアミン−N,N’−二酢酸−N,N’−二酢酸ジブチルアミド体を得た。さらに、100mmHgの減圧下で濃縮して溶媒を蒸発させて、淡黄色粉末を得た。また、得られた化合物の溶解度測定結果を表3に、キレート試験結果を表4に示す。
実施例2〜4では、目的とするエチレンジアミン−N,N’−二酢酸−N,N’−二酢酸ジ(2−エチルヘキシル)アミドが定量的に得られた。実施例1では収率が比較的低いが、得られた物質の赤外吸収チャートが実施例2〜4とほぼ一致していることから、エチレンジアミン−N,N’−二酢酸−N,N’−二酢酸ジ(2−エチルヘキシル)アミドが主成分と判断できる。また、得られた化合物の溶解度測定結果を表3に、キレート試験結果を表4に示す。
比較例1
実施例4において、ジ(2−エチルヘキシル)アミン18.8g(0.078モル)の代わりに、2−エチルヘキシルアミン10.1g(0.078モル)を用いたこと以外は実施例4と同様にして、下記式で表される比較例1の化合物(エチレンジアミン−N,N’−二酢酸−N,N’−二酢酸(2−エチルヘキシル)アミド)を合成した。得られた化合物の溶解度測定結果を表3に、キレート試験結果を表4に示す。
比較例2
エチレンジアミン四酢酸二無水物20g、オレイルアミン45.9gを反応器にとり、ジオキサン200mLにて懸濁した。70℃まで徐々に昇温し、溶解後20分加熱した。反応後、減圧にて濃縮し、その残渣をエタノールにて結晶化させ、濾別、乾燥することにより、下記式で表される化合物を得た。また、得られた化合物の溶解度測定結果を表3に、キレート試験結果を表4に示す。
実施例1〜4で得られた本発明の化合物は、ヘキサン、ベンゼン、酢酸エチル、1,4−ジオキサン、1−オクタノール、ブチルジグリコール、メタノールのいずれに対しても溶解度が良好であり、油溶性キレート剤として有用であることが明らかになった。また、実施例5で得られた本発明の化合物は、1,4−ジオキサン、1−オクタノール、ブチルジグリコール、メタノールに対して溶解度が良好であり、油溶性キレート剤として有用であることが明らかになった。これに対して、式(1)中、R1〜R4のいずれかが水素原子である場合には、メタノールに対して僅かに溶解性を示したのみであり、これより疎水性の溶媒には十分に溶解しなかった。
実施例1〜4で得られた本発明の化合物は、疎水性溶媒への溶解性が良好であるとともに、キレート能にも優れており、疎水性相(油相)中に存在しながら、親水性相(水相)中の銅イオン(Cu2+)を取り込み、疎水性相(油相)中に抽出できることが明らかになった。また、実施例5で得られた本発明の化合物は、疎水性の高い高級アルコール系溶媒に溶解が可能であり、実施例1〜4で得られた本発明の化合物と同様に親水性相(水相)中の銅イオン(Cu2+)を取り込み、疎水性相(油相)中に抽出できることが明らかになった。
実施例6
ジエチレントリアミン五酢酸141g、無水酢酸194g、ピリジン216gを反応器にとり、65℃で16時間撹拌した。反応後、20℃まで冷却し、析出した結晶を濾過した。濾過した結晶をジエチルエーテルにて洗浄することにより、黄褐色結晶を得、さらに、減圧乾燥することにより、ジエチレントリアミン五酢酸二無水物を得た。
次いで300mlの三つ口フラスコに、ジ(2−エチルヘキシル)アミン13.5g(0.056モル)と1,4−ジオキサンを150g加えて撹拌しながら、ジエチレントリアミン五酢酸二無水物10g(0.028モル)を加えた。その後、反応温度101℃で、3時間反応を行なって、ジエチレントリアミン−N,N’,N’’−三酢酸−N,N’−二酢酸ジ(2−エチルヘキシル)アミド体を得た。
実施例7〜8
実施例6において、溶媒としての1,4−ジオキサンを表5に示す通りの溶媒とし、反応温度を表5に示す通りの反応温度、反応時間を表5に示す通りの反応時間としたこと以外は実施例6と同様の操作を行って本発明の化合物を黄褐色固体として得た。また、得られた化合物の溶解度測定結果を表6に、キレート試験結果を表7に示す。
実施例9
実施例6において、ジ(2−エチルヘキシル)アミン13.5g(0.056モル)の代わりに、ジブチルアミン7.3g(0.056モル)を用いたこと以外は実施例6と同様にして、実施例9の化合物(ジエチレントリアミン−N,N’,N’’−三酢酸−N,N’−二酢酸ジブチルアミド)を合成した。得られた化合物の溶解度測定結果を表6に、キレート試験結果を表7に示す。
実施例6,7で得られた本発明の化合物は、ヘキサン、ベンゼン、酢酸エチル、1,4−ジオキサン、1−オクタノール、ブチルジグリコール、メタノールのいずれに対しても溶解度が良好であり、油溶性キレート剤として有用であることが明らかになった。また、実施例9で得られた本発明の化合物は、1,4−ジオキサン、1−オクタノール、ブチルジグリコール、メタノールに対して溶解度が良好であり、油溶性キレート剤として有用であることが明らかになった。
実施例6,7で得られた本発明の化合物は、疎水性溶媒への溶解性が良好であるとともに、キレート能にも優れており、疎水性相(油相)中に存在しながら、親水性相(水相)中の銅イオン(Cu2+)を取り込み、疎水性相(油相)中に抽出できることが明らかになった。また、実施例9で得られた本発明の化合物は、疎水性の高い高級アルコール系溶媒に溶解が可能であり、実施例6,7で得られた本発明の化合物と同様に親水性相(水相)中の銅イオン(Cu2+)を取り込み、疎水性相(油相)中に抽出できることが明らかになった。

Claims (5)

  1. 下記式(1)で表されるポリアミン化合物。

    [式(1)中、R1〜R42−エチルヘキシル基を表す。nは、0〜3の整数を表す。]
  2. 請求項1に記載の化合物を含み、室温(25℃)で且つ大気圧(1013hPa)下で、ヘキサン、ベンゼン、酢酸エチル、1,4−ジオキサン、1−オクタノール、ブチルジグリコールおよびメタノールに対する溶解度が10質量%以上である油溶性キレート剤。
  3. 請求項1に記載の化合物を含む金属抽出剤。
  4. 請求項1に記載の化合物を含む油脂用酸化防止剤。
  5. 請求項1に記載の化合物を含む油脂用金属安定化剤。
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