[0006] 本発明の第1の態様によれば、投影システムに起因する収差を決定する方法が提供され、方法は、パターニングデバイスを放射によって照明することであって、パターニングデバイスは複数のパターン付き領域を含み、各パターン付き領域は測定ビームにパターンを付与する、照明すること、投影システムによって複数の検出器領域を含むセンサ装置上に測定ビームを投影すること、複数の検出器領域のうちの少なくとも幾つかが各々測定ビームを受け取る第1の相対的構成内にパターニングデバイス及びセンサ装置が位置決めされた時に、検出器領域で放射の第1の測定を行うこと、パターニングデバイスの相対的構成を第2の相対的構成に変更するように、パターニングデバイス及びセンサ装置のうちの少なくとも1つを第1の方向に移動させること、複数の検出器領域のうちの少なくとも幾つかが、第1の相対的構成内にパターニングデバイス及びセンサ装置が位置決めされた時にそれぞれの検出器領域で受け取った測定ビームとは異なる測定ビームを受け取る、第2の相対的構成内にパターニングデバイス及びセンサ装置が位置決めされた時に、検出器領域で放射の第2の測定を行うこと、並びに、第1の測定及び第2の測定から、投影システムに起因する収差を決定すること、を含む。
[0007] パターニングデバイス及びセンサ装置が第1及び第2の相対的構成内にある間に1つ以上の測定ビームを測定することで、複数の異なる検出器領域で所与の測定ビームを測定することができる。これにより、センサ装置及び/又はパターニングデバイスの構成、位置、及び配向などの、センサ装置及び/又はパターニングデバイスのプロパティに関する情報を提供することができる。異なる検出器領域で行われる測定ビームの異なる測定を組み合わせて、センサ装置及び/又はパターニングデバイスの未知のプロパティを補償しながら、投影システムに起因する収差を導出することができる。これにより、低次収差(例えば、4以下のNollインデックスを有するゼルニケ係数に関する)及び高次収差(例えば、5以上のNollインデックスを有するゼルニケ係数に関する)の両方を、同じ測定セットから決定することができる。投影システムは、単一の調節プロセスにおいて決定された収差に応答して調節することができる。これによって、有利には(例えば、異なる収差が決定され、調節が複数回行われる、反復較正プロセスと比較した場合)大幅に時間が節約される。
[0008] 第1及び/又は第2の相対的構成は、単一の固定位置にあるパターニングデバイス及びセンサ装置を備えることができるか、或いは、複数の異なる位置にあるパターニングデバイス及び/又はセンサ装置を備えることができる。パターニングデバイス及びセンサ装置は、パターニングデバイス及び/又はセンサ装置の移動中でさえも、それぞれの検出器領域で受け取られるそれぞれの測定ビームが同じままである間、第1又は第2の相対的構成内にとどまる。
[0009] 第1の測定及び/又は第2の測定は、単一の測定を含むか又は複数の測定を含むことができる。例えば、第1及び/又は第2の測定は、パターニングデバイス及びセンサ装置が同じ相対的構成内にある間、パターニングデバイス及び/又はセンサ装置の移動中に行われる複数の測定を含むことができる。第1の測定は、パターニングデバイス及びセンサ装置が第1の相対的構成内にある間に行われる任意の測定を含むことができる。第2の測定は、パターニングデバイス及びセンサ装置第2の相対的構成内にある間に行われる任意の測定を含むことができる。
[0010] 投影システムに起因する収差を決定することは、投影システムによって投影される波面の配置を決定することを含むことができる。例えば、投影システムに起因する収差を決定することは、第2、第3、及び/又は第4のゼルニケ係数に関する収差を決定することを含むことができる。投影システムに起因する収差を決定することは、より高次の収差を決定することを含むことができる。例えば、投影システムに起因する収差を決定することは、5以上のNollインデックスを有するゼルニケ係数に関する収差を決定することを含むことができる。
[0011] 測定ビームは、パターン付き領域によって形成することができる。例えば、パターニングデバイスの1つ以上の領域は放射によって照明することが可能であり、パターン付き領域によって透過又は反射される放射は測定ビームを形成することが可能である。代替として、測定ビームはパターニングデバイスを照明する前に形成することが可能であり、各測定ビームはパターン付き領域を照明するように誘導することが可能である。例えば照明システムは、放射ビームを複数の測定ビームに分割すること、及び、各測定ビームをパターニングデバイスのパターン付き領域上に入射するよう誘導することが可能である。
[0012] パターニングデバイス及びセンサ装置のうちの少なくとも1つを移動させることは、センサ装置を第1の方向に移動させることを含むことができる。
[0013] センサ装置の検出器領域のうちの少なくとも幾つかを、第1の方向に互いに間隔を置いて配置することができる。
[0014] センサ装置を第1の方向に移動させることは、検出器領域間の第1の方向の分離にほぼ等しい距離だけ、センサ装置を第1の方向にステップ移動させることを含むことができる。
[0015] 方法は、パターニングデバイスの相対的構成を第3の相対的構成に変更するように、パターニングデバイス及びセンサ装置のうちの少なくとも1つを移動させること、並びに、パターニングデバイス及びセンサ装置が第1の相対的構成内及び第2の相対的構成内に位置決めされた時にそれぞれの検出器領域で受け取った測定ビームとは異なる測定ビームを、複数の検出器領域のうちの少なくとも幾つかが受け取る第3の相対的構成内に、パターニングデバイス及びセンサ装置が位置決めされた時に、検出器領域で放射の第3の測定を行うことを、更に含むことができる。
[0016] パターニングデバイス及びセンサ装置の相対的構成を第3の構成に変更するように、パターニングデバイス及びセンサ装置のうちの少なくとも1つを移動させることは、パターニングデバイス及びセンサ装置のうちの少なくとも1つを第2の方向に移動させることを含むことが可能であり、第2の方向は第1の方向とは異なる。
[0017] パターニングデバイス及びセンサ装置のうちの少なくとも1つを第2の方向に移動させることは、センサ装置を第2の方向に移動させることを含むことができる。
[0018] センサ装置の検出器領域のうちの少なくとも幾つかを、第2の方向に互いに間隔を置いて配置することができる。
[0019] センサ装置を第2の方向に移動させることは、検出器領域間の第2の方向の分離にほぼ等しい距離だけ、センサ装置を第2の方向にステップ移動させることを含むことができる。
[0020] 第2の方向は、第1の方向に対して実質的に垂直とすることができる。
[0021] 方法は、パターニングデバイス及びセンサ装置が複数の相対的構成のうちの異なる1つ内に位置決めされた時にそれぞれの検出器領域で受け取られる測定ビームとは異なる測定ビームを、複数の検出器領域のうちの少なくとも幾つかが受け取る、複数の異なる相対的構成の間で、パターニングデバイス及びセンサ装置のうちの少なくとも1つを移動させることを含むことが可能であり、複数の相対的構成の各々において、複数の異なる相対的構成で行われる複数の測定を実行するように、検出器領域で放射の測定が行われ、投影システムに起因する収差を決定することは、複数の測定から収差を決定することを含む。
[0022] 複数の異なる相対的構成は、第1の方向に互いに間隔を置いて配置された相対的構成と、第1の方向とは異なる第2の方向に互いに間隔を置いて配置された相対的構成とを、含むことができる。
[0023] 第2の方向は、第1の方向に対して実質的に垂直とすることができる。
[0024] 複数の異なる相対的構成は、第2の方向に最大範囲を有することができ、複数の異なる相対的構成は、第1の方向の複数の位置で、第2の方向の最大範囲の極致に相対的構成を含むことができる。
[0025] 複数の異なる相対的構成は、実質的に矩形を形成するように配置可能である。
[0026] 複数の異なる相対的構成は、実質的に正方形を形成するように配置可能である。
[0027] パターニングデバイス及びセンサ装置のうちの少なくとも1つを移動させることは、パターニングデバイスを移動させることを含むことができる。
[0028] パターン付き領域のうちの少なくとも1つは、測定ビームを修正するように構成された回折格子を含むことができる。
[0029] 検出器領域のうちの少なくとも1つは回折格子及び放射センサを含むことが可能であり、回折格子は測定ビームを修正するように構成され、放射センサは修正された測定ビームを受け取って測定するように構成される。
[0030] 方法は、パターニングデバイス及びセンサ装置が第1及び/又は第2の相対的構成内にある間に、パターニングデバイス及びセンサ装置のうちの少なくとも1つを移動させることを更に含むことが可能であり、この移動では、検出器領域で受け取られる測定ビームが移動全体を通じて同じままである。
[0031] 放射の測定は、パターニングデバイス及び/又はセンサ装置の移動中、センサ装置によって行うことができる。測定は、単一の測定を形成するものと見なすことができる。例えば測定は、第1の測定を形成するか又は第2の測定を形成することができる。
[0032] 第1の測定及び/又は第2の測定は、パターニングデバイス及びセンサ装置のうちの少なくとも1つの移動中、検出器領域で放射の変動を測定することを含むことができる。
[0033] 投影システムに起因する収差を決定することは、パターン付き領域及び/又は検出器領域の配置を決定することを含むことができる。
[0034] パターン付き領域及び/又は検出器領域の配置を決定することは、4以下のNollインデックスを有するゼルニケ多項式係数を導出することを含む。
[0035] 方法は、5以上のNollインデックスを有するゼルニケ多項式係数を導出するために、第1及び第2の測定を使用することを更に含むことができる。
[0036] 投影システムに起因する収差を決定することは、センサ装置及び/又はパターニングデバイスに関する1つ以上の物理的仮定を立てることを含むことができる。
[0037] 投影システムに起因する収差を決定することは、1つ以上の収差の第1のセットを決定するために1つ以上の物理的仮定の第1のセットを立てること、及び、1つ以上の収差の第2のセットを決定するために1つ以上の物理的仮定の第2のセットを立てることを含むことができる。
[0038] 1つ以上の収差の第1のセットは、第1のNollインデックスを有する第1のゼルニケ係数を含むことが可能であり、収差の第2のセットは、第1のNollインデックスとは異なる第2のNollインデックスを有する第2のゼルニケ係数を含むことが可能である。
[0039] センサ装置及び/又はパターニングデバイスに関する1つ以上の物理的仮定は、各検出器領域が関連付けられたオフセットを有し、オフセットの合計がゼロに等しいものと仮定すること、各パターン付き領域が関連付けられたオフセットを有し、オフセットの合計がゼロに等しいものと仮定すること、センサ装置の拡大が所望の拡大に等しいものと仮定すること、並びに、パターニングデバイスの拡大が所望の拡大に等しいものと仮定することのうちの、少なくとも1つを含むことができる。
[0040] センサ装置及び/又はパターニングデバイスに関する1つ以上の物理的仮定は、各検出器領域が関連付けられたオフセットを有し、第1の方向のオフセットの合計と第1の方向に対して垂直な第2の方向のオフセットの合計とがゼロに等しいものと仮定すること、各パターン付き領域が関連付けられたオフセットを有し、第1の方向のオフセットの合計と第2の方向のオフセットの合計とがゼロに等しいものと仮定すること、センサ装置の拡大が第1及び第2の両方の方向において設計拡大に等しいものと仮定すること、センサ装置が第1の方向にも第2の方向にも傾斜していないものと仮定すること、並びに、パターニングデバイス及びセンサ装置のうちの少なくとも1つの移動が、第3の方向を中心とする回転の形のいずれのオフセットも含んでおらず、第3の方向は第1及び第2の両方の方向に対して垂直であるものと仮定することのうちの、少なくとも1つを含むことができる。
[0041] センサ装置及び/又はパターニングデバイスに関する1つ以上の物理的仮定は、各検出器領域が関連付けられたオフセットを有し、第3の方向のオフセットの合計がゼロに等しいものと仮定すること、各パターン付き領域が関連付けられたオフセットを有し、第3の方向のオフセットの合計がゼロに等しいものと仮定すること、第3の方向における各検出器領域の位置が第1及び第2の方向における位置の関数ではなく、第1、第2、及び第3の方向は各々、相互に垂直であるものと仮定すること、パターニングデバイス及びセンサ装置のうちの少なくとも1つの移動が、第1の方向を中心とする回転又は第2の方向を中心とする回転の形のいずれのオフセットも含んでいないものと仮定すること、並びに、パターニングデバイス及びセンサ装置のうちの少なくとも1つの移動が、第1の方向又は第2の方向におけるいずれの湾曲も含んでおらず、第1の方向における位置と第2の方向における位置との乗算の関数であるいずれのオフセットも含んでいないものと仮定することのうちの、少なくとも1つを含むことができる。
[0042] 本発明の第2の態様によれば、投影システムに起因する収差を決定するための測定システムが提供され、測定システムは、複数のパターン付き領域を含むパターニングデバイスであって、各パターン付き領域は放射によって照明された時に測定ビームにパターンを付与するように構成される、パターニングデバイスと、放射によってパターニングデバイスを照明するように配置された照明システムと、複数の検出器領域を含むセンサ装置であって、センサ装置は検出器領域で放射を測定するように構成される、センサ装置と、センサ装置上に測定ビームを投射するように構成された投影システムと、パターニングデバイス及びセンサ装置の相対的構成を第1の相対的構成と第2の相対的構成との間で変更するように、パターニングデバイス及びセンサ装置のうちの少なくとも1つを第1の方向に移動させるように構成された位置決め装置と、コントローラであって、複数の検出器領域のうちの少なくとも幾つかが各々測定ビームのうちの少なくとも1つを受け取る第1の相対的構成内にパターニングデバイス及びセンサ装置が位置決めされた時に、センサ装置の検出器領域で放射の第1の測定を受け取るように、複数の検出器領域のうちの少なくとも幾つかが、第1の相対的構成内にパターニングデバイス及びセンサ装置が位置決めされた時にそれぞれの検出器領域で受け取られる測定ビームとは異なる測定ビームを受け取る、第2の相対的構成内にパターニングデバイス及びセンサ装置が位置決めされた時に、センサ装置の検出器領域で放射の第2の測定を受け取るように、並びに、第1の測定及び第2の測定から投影システムに起因する収差を決定するように、構成されたコントローラと、を備える。
[0043] 位置決め装置は、センサ装置を第1の方向に移動させるように構成可能である。
[0044] センサ装置の検出器領域のうちの少なくとも幾つかを、第1の方向に互いに間隔を置いて配置することができる。
[0045] 位置決め装置は、検出器領域間の第1の方向の分離にほぼ等しい距離だけ、センサ装置を第1の方向にステップ移動させるように構成可能である。
[0046] 位置決め装置は、パターニングデバイス及びセンサ装置の相対的構成を第3の相対的構成に変更するように、パターニングデバイス及びセンサ装置のうちの少なくとも1つを移動させるように、更に構成可能であり、コントローラは、パターニングデバイス及びセンサ装置が第1の相対的構成内及び第2の相対的構成内に位置決めされた時にそれぞれの検出器領域で受け取った測定ビームとは異なる測定ビームを、複数の検出器領域のうちの少なくとも幾つかが受け取る第3の相対的構成内に、パターニングデバイス及びセンサ装置が位置決めされる時に、検出器領域で放射の第3の測定を受け取るように、更に構成可能である。
[0047] 位置決め装置は、パターニングデバイス及びセンサ装置の相対的構成を、第1の構成及び/又は第2の構成及び第3の構成の間で変更するように、パターニングデバイス及びセンサ装置のうちの少なくとも1つを第2の方向に移動させるように構成可能であり、第2の方向は第1の方向とは異なる。
[0048] 位置決め装置は、センサ装置を第2の方向に移動させるように構成可能である。
[0049] センサ装置の検出器領域のうちの少なくとも幾つかを、第2の方向に互いに間隔を置いて配置することができる。
[0050] 位置決め装置は、検出器領域間の第2の方向の分離にほぼ等しい距離だけ、センサ装置を第2の方向にステップ移動させるように構成可能である。
[0051] 第2の方向は、第1の方向に対して実質的に垂直とすることができる。
[0052] 位置決め装置は、パターニングデバイス及びセンサ装置が複数の相対的構成のうちの異なる1つ内に位置決めされた時にそれぞれの検出器領域で受け取られる測定ビームとは異なる測定ビームを、複数の検出器領域のうちの少なくとも幾つかが受け取る、複数の異なる相対的構成の間で、パターニングデバイス及びセンサ装置のうちの少なくとも1つを移動させるように構成可能であり、センサ装置は、複数の異なる相対的構成で行われる複数の測定を実行するように、複数の相対的構成の各々において検出器領域で放射を測定するように構成され、コントローラは、投影システムに起因する収差を複数の測定から決定するように構成される。
[0053] 複数の異なる相対的構成は、第1の方向に互いに間隔を置いて配置された相対的構成と、第1の方向とは異なる第2の方向に互いに間隔を置いて配置された相対的構成とを、含むことができる。
[0054] 第2の方向は、第1の方向に対して実質的に垂直とすることができる。
[0055] 複数の異なる相対的構成は、第2の方向に最大範囲を有することができ、複数の異なる相対的構成は、第1の方向の複数の位置で、第2の方向の最大範囲の極致に相対的構成を含むことができる。
[0056] 複数の異なる相対的構成は、実質的に矩形を形成するように配置可能である。
[0057] 位置決め装置は、パターニングデバイスを移動させるように構成可能である。
[0058] パターン付き領域のうちの少なくとも1つは、測定ビームを修正するように構成された回折格子を含むことができる。
[0059] 検出器領域のうちの少なくとも1つは回折格子及び放射センサを含むことが可能であり、回折格子は測定ビームを修正するように構成され、放射センサは修正された測定ビームを受け取って測定するように構成される。
[0060] コントローラは、投影システムに起因する収差を決定するために、パターン付き領域及び/又は検出器領域の配置を決定するために第1及び第2の測定を使用するように構成可能である。
[0061] パターン付き領域及び/又は検出器領域の配置を決定することは、4以下のNollインデックスを有するゼルニケ多項式係数を導出することを含むことができる。
[0062] コントローラは、5以上のNollインデックスを有するゼルニケ多項式係数を決定するために、第1及び第2の測定を使用するように更に構成可能である。
[0063] 本発明の第3の態様によれば、第2の態様に従った測定システムを備えるリソグラフィ装置が提供される。
[0064] 本発明の第4の態様によれば、投影システムに起因する収差を決定する方法が提供され、方法は、パターニングデバイスを放射によって照明することであって、パターニングデバイスは測定ビームを形成するパターン付き領域を含む、照明すること、投影システムによって第1の検出器領域及び第2の検出器領域を含むセンサ装置上に測定ビームを投影すること、第1の検出器領域が測定ビームを受け取る第1の相対的構成内にパターニングデバイス及びセンサ装置が位置決めされた時に、第1の検出器領域で放射の第1の測定を行うこと、第2の検出器領域が測定ビームを受け取る第2の相対的構成内にパターニングデバイス及びセンサ装置が位置決めされるように、センサ装置を移動させること、第2の相対的構成内にパターニングデバイス及びセンサ装置が位置決めされた時に、第2の検出器領域で放射の第2の測定を行うこと、並びに、第1の測定及び第2の測定から投影システムに起因する収差を決定すること、を含む。
[0065] 本発明の第5の態様によれば、投影システムに起因する収差を決定する方法が提供され、方法は、パターニングデバイスを放射によって照明することであって、パターニングデバイスは、第1の測定ビームを形成する第1のパターン付き領域及び第2の測定ビームを形成する第2のパターン付き領域を含む、照明すること、投影システムによって検出器領域を含むセンサ装置上に測定ビームを投影すること、検出器領域が第1の測定ビームを受け取る第1の相対的構成内にパターニングデバイス及びセンサ装置が位置決めされた時に、検出器領域で放射の第1の測定を行うこと、検出器領域が第2の測定ビームを受け取る第2の相対的構成内にパターニングデバイス及びセンサ装置が位置決めされるように、パターニングデバイスを移動させること、第2の相対的構成内にパターニングデバイス及びセンサ装置が位置決めされた時に、検出器領域で放射の第2の測定を行うこと、並びに、第1の測定及び第2の測定から投影システムに起因する収差を決定すること、を含む。
[0066] 当業者であれば容易に明らかとなるように、上記又は下記で述べる本発明の様々な態様及び特徴は、本発明の様々な他の態様及び特徴と組み合わせることができる。
[0067] 対応する参照符号が対応する部分を示す添付の概略図を参照しながら以下に本発明の実施形態について説明するが、これは単に例示としてのものに過ぎない。
[0068] 本文ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用に特に言及しているが、本明細書で説明するリソグラフィ装置には他の用途もあることを理解されたい。例えば、これは、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用誘導及び検出パターン、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどの製造である。こうした代替的な用途に照らして、本明細書で「ウェーハ」又は「ダイ」という用語を使用している場合、それぞれ、「基板」又は「ターゲット部分」という、より一般的な用語と同義と見なしてよいことが、当業者には認識される。本明細書に述べている基板は、露光前又は露光後に、例えばトラック(通常はレジストの層を基板に塗布し、露光したレジストを現像するツール)、計測ツール、又は検査ツールで処理することができる。適宜、本明細書の開示は、以上及びその他の基板処理ツールに適用することができる。さらに基板は、例えば多層ICを生成するために、複数回処理することができ、したがって本明細書で使用する基板という用語は、既に複数の処理済み層を含む基板も指すことができる。
[0069] 本明細書で使用する「放射」及び「ビーム」という用語は、イオンビーム又は電子ビームなどの粒子ビームのみならず、紫外線(UV)放射(例えば、365nm、248nm、193nm、157nm、又は126nmの波長を有する)及び極端紫外線光(EUV)放射(例えば、4nm〜20nmの範囲の波長を有する)を含むあらゆるタイプの電磁放射を網羅する。
[0070] 本明細書で使用する「パターニングデバイス」という用語は、放射ビームの断面にパターンを付与するために使用可能なデバイスを指すものと、広義に解釈されるべきである。例えば、基板のターゲット部分にパターンを作成するために、放射ビームの断面にパターンを付与することができる。追加又は代替として、パターン付与された放射ビームによってセンサ装置を照明するために、放射ビームの断面にパターンを付与することができる。基板のターゲット部分にパターンが作成された時、放射ビームに付与されるパターンは、基板のターゲット部分における所望のパターンに正確に対応しない場合があることに留意されたい。一般に、放射ビームに付与されるパターンは、集積回路などの、ターゲット部分に作成されるデバイス内の特定の機能層に対応することになる。
[0071] パターニングデバイスは透過性又は反射性でよい。パターニングデバイスの例には、マスク、プログラマブルミラーアレイ、及びプログラマブルLCDパネルがある。マスクはリソグラフィにおいて周知のものであり、これには、バイナリマスク、レベンソン型(alternating)位相シフトマスク、ハーフトーン型(attenuated)位相シフトマスクのようなマスクタイプ、さらには様々なハイブリッドマスクタイプも含まれる。プログラマブルミラーアレイの一例は、小型ミラーの行列構成を使用し、ミラーの各々は、入射する放射ビームを様々な方向に反射するように個別に傾けることができる。このようにして、反射ビームがパターニングされる。
[0072] 支持構造はパターニングデバイスを保持する。支持構造は、パターニングデバイスの方向、リソグラフィ装置の設計等の条件、例えばパターニングデバイスが真空環境で保持されているか否かに応じた方法で、パターニングデバイスを保持する。この支持構造は、機械式クランプ、真空、又は他のクランプ技術、例えば真空条件下での静電クランプを使用することができる。支持構造は、例えばフレーム又はテーブルでよく、必要に応じて固定式又は可動式でよい。支持構造は、パターニングデバイスが例えば投影システムなどに対して確実に所望の位置にくるようにできる。本明細書において「レチクル」又は「マスク」という用語を使用した場合、その用語は、より一般的な用語である「パターニングデバイス」と同義と見なすことができる。
[0073] 本明細書で使用する「投影システム」という用語は、適宜、例えば露光放射の使用、或いは浸漬液の使用又は真空の使用などの他の要因に対する、屈折光学システム、反射光学システム、及び反射屈折システムを含む、様々なタイプの投影システムを包含するものとして広義に解釈されるべきである。本明細書において「投影レンズ」という用語を使用した場合、これはさらに一般的な「投影システム」という用語と同義と見なすことができる。
[0074] また、照明システムは、放射ビームを誘導し、整形し、又は制御する屈折、反射、及び反射屈折光学コンポーネントを含む様々なタイプの光学コンポーネントを含んでよく、そのようなコンポーネントも以下においては集合的に又は単独で「レンズ」とも呼ばれることがある。
[0075] リソグラフィ装置は、2つ(デュアルステージ)又はそれ以上の基板テーブル(及び/又は2つ以上の支持構造)を有するタイプでよい。このような「マルチステージ」機械においては、追加のテーブルを並行して使用するか、1つ以上の他のテーブルを露光に使用している間に1つ以上のテーブルで予備工程を実行することができる。
[0076] リソグラフィ装置は、投影システムの最終要素と基板との間の空間を充填するように、基板が比較的高い屈折率を有する液体、例えば水などに液浸されるタイプであってもよい。液浸技術は、投影システムの開口数を増加させるために当技術分野で周知である。
[0077] 図1は、本発明の特定の実施形態に従ったリソグラフィ装置を概略的に示す。装置は以下を備える。
−放射(例えばUV放射又はDUV放射)のビームPBを調節するための照明システム(イルミネータ)IL、
−パターニングデバイス(例えばマスク)MAを支持するための、アイテムPLに関してパターニングデバイスを正確に位置決めするために第1の位置決めデバイスPMに接続された、支持構造MT、
−基板(例えばレジスト被覆ウェーハ)Wを保持するための、アイテムPLに関して基板を正確に位置決めするための第2の位置決めデバイスPWに接続された、基板テーブル(例えばウェーハテーブル)WT、及び、
−パターニングデバイスMAによって放射ビームPBに付与されたパターンを基板Wのターゲット部分C(例えば1つ以上のダイを含む)上に結像するように構成された、投影システム(例えば屈折投影レンズ)PL。
[0078] 図1には、図面全体を通じて一貫して使用されるデカルト座標も示されている。
[0079] 本明細書で示すように、本装置は透過タイプである(例えば透過マスクを使用する)。或いは、装置は反射タイプでもよい(例えば上記で言及したようなタイプのプログラマブルミラーアレイを使用する)。
[0080] イルミネータILは放射源SOから放射ビームを受ける。放射源及びリソグラフィ装置は、例えば放射源がエキシマレーザーの場合、別個の要素であってもよい。このような場合、放射源はリソグラフィ装置の一部を形成するものとは見なされず、放射ビームは、例えば好適な誘導ミラー及び/又はビームエクスパンダを備えるビームデリバリシステムBDを用いて放射源SOからイルミネータILへと渡される。その他の場合、例えば放射源が水銀ランプの場合、放射源は装置の一体部分であってよい。放射源SO及びイルミネータILは、必要であればビームデリバリシステムBDと共に放射システムと呼んでもよい。
[0081] イルミネータILは、ビームの強度分布を変更することができる。イルミネータは放射ビームの放射範囲を制限するように配置可能であるため、強度分布はイルミネータILの瞳面での環状領域内で非ゼロである。追加又は代替として、イルミネータILは瞳面内でのビームの分散を制限するように動作可能であり得るため、強度分布は瞳面での間隔が等しい複数のセクタ内で非ゼロである。イルミネータILの瞳面での放射ビームの強度分布は照明モードと呼ぶことができる。
[0082] イルミネータILは、ビームの強度分布を調整するように構成されたアジャスタAMを備えることができる。一般に、イルミネータの瞳面での強度分布の少なくとも外側及び/又は内側の放射範囲(通常、それぞれσ−inner及びσ−outerと呼ばれる)は調整可能である。イルミネータILは、ビームの角度分布を変化させるように動作可能であり得る。例えばイルミネータは、強度分布が非ゼロの、瞳面でのセクタの数及び角度範囲を変更するように動作可能であり得る。イルミネータの瞳面でのビームの強度分布を調整することによって、異なる照明モードを達成することができる。例えばイルミネータILの瞳面での強度分布の放射及び角度範囲を制限することによって、強度分布は、例えば双極、四極、六極分布などの、複数極分布を有することができる。望ましい照明モードは、例えばその照明モードを提供する光学をイルミネータIL内に挿入すること、又は空間光変調器を使用することによって得ることができる。
[0083] また、イルミネータILは、一般に、インテグレータIN及びコンデンサCOなどの他の様々なコンポーネントを備えていてもよい。イルミネータを用いて放射ビームPBを調節し、その断面にわたって所望の均一性と強度分布とが得られるようにしてもよい。
[0084] 放射ビームPBはパターニングデバイス(例えばマスク)MA上で入射し、支持構造MT上で保持される。パターニングデバイスMAを横断した後、ビームPBは投影システムPLを通過し、これが基板Wのターゲット部分C上にビームを合焦させる。第2の位置決めデバイスPW及び位置センサIF(例えば干渉計デバイス)の助けにより、例えば異なるターゲット部分CをビームPBの経路内で位置決めできるように、基板テーブルWTを正確に移動させることが可能である。同様に、第1の位置決めデバイスPM及び別の位置センサ(図1には明示されていない)を用いて、例えばマスクライブラリからの機械的な取り出し後、又はスキャン中に、ビームPBの経路に対してパターニングデバイスMAを正確に位置決めすることが可能である。一般に、オブジェクトテーブルMT及びWTの移動は、位置決めデバイスPM及びPWの一部を形成するロングストロークモジュール(粗動位置決め)及びショートストロークモジュール(微動位置決め)の助けにより理解される。しかしながら、(スキャナとは対照的に)ステッパの場合、支持構造MTはショートストロークアクチュエータのみに接続され得るか、又は固定され得る。パターニングデバイスMA及び基板Wは、パターニングデバイスアライメントマークM1、M2及び基板アライメントマークP1、P2を使用して位置合わせされ得る。
[0085] 図示のリソグラフィ装置は、以下の好ましいモードのうち少なくとも1つにて使用可能である。
1.ステップモードでは、支持構造MT及び基板テーブルWTは、基本的に静止状態に維持される一方、ビームPBに付与されたパターン全体が1回でターゲット部分Cに投影される(すなわち単一静的露光)。次に、別のターゲット部分Cを露光できるように、基板テーブルWTがX方向及び/又はY方向に移動される。ステップモードでは、露光フィールドの最大サイズによって、単一静的露光で像が形成されるターゲット部分Cのサイズが制限される。
2.スキャンモードでは、支持構造MT及び基板テーブルWTは同期的にスキャンされる一方、ビームPBに付与されるパターンがターゲット部分Cに投影される(すなわち単一動的露光)。支持構造MTに対する基板テーブルWTの速度及び方向は、投影システムPLの拡大(縮小)及び像反転特性によって求めることができる。スキャンモードでは、露光フィールドの最大サイズによって、単一動的露光におけるターゲット部分の(非スキャン方向における)幅が制限され、スキャン動作の長さによってターゲット部分の(スキャン方向における)高さが決まる。
3.別のモードでは、支持構造MTはプログラマブルパターニングデバイスを保持して基本的に静止状態に維持され、基板テーブルWTを移動又はスキャンさせながら、ビームPBに与えられたパターンをターゲット部分Cに投影する。このモードでは、一般にパルス状放射源を使用して、基板テーブルWTを移動させる毎に、又はスキャン中に連続する放射パルスの間で、プログラマブルパターニングデバイスを必要に応じて更新する。この動作モードは、以上で言及したようなタイプのプログラマブルミラーアレイなどのプログラマブルパターニングデバイスを使用するマスクレスリソグラフィに容易に利用できる。
[0086] 上述した使用モードの組み合わせ及び/又は変形、又は全く異なる使用モードも利用できる。
[0087] 投影システムPLは、非均一であり得、基板W上に結像されるパターンに影響を与える可能性のある、光学的伝達関数を有する。非偏光放射の場合、こうした影響は、その瞳面での位置の関数として投影システムPLを出る放射の伝達(アポディゼーション)及び相対位相(収差)を記述する、2つのスカラマップによって非常に良く記述され得る。スカラマップは伝達マップ及び相対位相マップと呼ぶことができ、基本機能の完全セットの線形組み合わせとして表すことができる。特に便利なセットは、単位円上に定義された直交多項式のセットを形成するゼルニケ多項式である。各スカラマップの決定は、こうした展開において係数を決定することに関与し得る。ゼルニケ多項式は単位円上で直交するため、ゼルニケ係数は、各ゼルニケ多項式を順番に用いて測定されたスカラマップの内積を計算すること、及びこれをそのゼルニケ多項式のノルムの2乗で割ることによって決定され得る。
[0088] 伝達マップ及び相対位相マップはフィールド及びシステムに依存する。すなわち一般に、各投影システムPLは各フィールド地点について(すなわち、その像面内の各空間位置について)異なるゼルニケ展開を有することになる。
[0089] 以下でさらに詳細に説明するように、その瞳面での投影システムPLの相対位相は、例えば投影システムPLの対物面(すなわちパターニングデバイスMAの面)内の点状ソースから投影システムPLを介して放射を投影すること、及び波面(すなわち同じ位相での地点の軌跡)を測定するためにシャーリング干渉計を使用することによって決定され得る。シャーリング干渉計とは一般的な経路干渉計であるため、有利なことに、波面を測定するために2次基準ビームは必要ない。シャーリング干渉計は、投影システムの像面(すなわち基板テーブルWT)内の回析格子、例えば2次元グリッドと、投影システムPLの瞳面と共役な面内の干渉パターンを検出するように配置された検出器とを備え得る。干渉パターンは、シャーリング方向の瞳面の座標に関して放射の位相の導関数に関連している。検出器は、例えば電荷結合デバイス(CCD)などの感知要素の配列を備えることができる。
[0090] 投影システムPLは複数のレンズ要素を備えることができ、収差(フィールド全体を通じた瞳面にわたる任意のタイプの位相変動)を補正するようにレンズ要素を調節するための調節手段PAを更に備えることができる。これを達成するために、調節手段PAは、1つ以上の異なる手法で投影システムPL内のレンズ要素を操作するように動作可能であり得る。投影システムは、その光軸がz方向に延在する座標システムを有し得る。調節手段PAは、1つ以上のレンズ要素の変位、1つ以上のレンズ要素の傾斜、及び/又は1つ以上のレンズ要素の変形の、いずれの組み合わせも実行するように動作可能であり得る。レンズ要素の変位は、任意の方向(x、y、z、又はそれらの組み合わせ)であってよい。レンズ要素の傾斜は、典型的には、x又はy方向の軸を中心とする回転によって光軸に対して垂直な面を外れるが、z軸を中心とする回転は回転非対称の非球面レンズ要素に使用可能である。レンズ要素の変形は、低周波形状(例えば、非点収差)及び高周波形状(例えば、自由形状非球面)の両方を含むことができる。レンズ要素の変形は、レンズ要素の両面に力を及ぼすようにアクチュエータを使用すること、及び/又は、レンズ要素の選択領域を加熱するために加熱要素を使用することによって、実行することができる。一般に、アポディゼーション(瞳面にわたる伝達変動)を補正するように、投影システムPLを調節できない場合がある。投影システムPLの伝達マップは、リソグラフィ装置LA用のマスクMAを設計する際に使用できる。
[0091] リソグラフィ装置の一部を形成する投影システムPLは、定期的に較正プロセスを受けることができる。例えば、リソグラフィ装置が工場で製造される時、投影システムPLを形成する光学要素(例えば、レンズ)は、初期較正プロセスを実行することによってセットアップされ得る。リソグラフィ装置が使用されることになる場所にリソグラフィ装置を設置した後、投影システムPLをもう一度較正することができる。投影システムPLの更なる較正は、一定の間隔で実行することができる。例えば通常の使用では、投影システムPLは数か月ごと(例えば、3か月ごと)に較正することができる。
[0092] 投影システムPLの較正は、投影システムPLに放射を通過させること、及び結果として生じる投影放射を測定することを含み得る。投影放射の測定を使用して、投影システムPLに起因する投影放射における収差を決定することができる。投影システムPLに起因する収差は、測定システムを使用して決定され得る。決定された収差に応答して、投影システムPLに起因する収差を補正するように投影システムPLを形成する光学要素を調節することができる。
[0093] 図2は、投影システムPLに起因する収差を決定するために使用可能な測定システム10の概略図である。測定システム10は、照明システムIL、測定パターニングデバイスMA’、センサ装置21、及びコントローラCNを備える。測定システム10はリソグラフィ装置の一部を形成する場合がある。例えば、図2に示される照明システムIL及び投影システムPLは、図1に示されるリソグラフィ装置の照明システムIL及び投影システムPLであってよい。説明しやすいように、図2にはリソグラフィ装置の追加のコンポーネント(例えば、放射源SO)は示されていない。
[0094] 測定パターニングデバイスMA’は、照明システムILから放射を受け取るように配置される。センサ装置21は、投影システムPLから放射を受け取るように配置される。リソグラフィ装置の通常使用中、図2に示される測定パターニングデバイスMA’及びセンサ装置21は、図2に示される位置に位置していない場合がある。例えば、リソグラフィ装置の通常使用中、基板Wに転写されることになるパターンを形成するように構成されるパターニングデバイスMAは、照明システムILから放射を受け取るように位置決めされ得、基板Wは投影システムPLから放射を受け取るように(例えば、図1に示されるように)位置決めされ得る。測定パターニングデバイスMA’及びセンサ装置21は、投影システムPLに起因する収差を決定するために、図2に示される位置に移動することができる。測定パターニングデバイスMA’は、図1に示される支持構造などの支持構造MTによって支持され得る。センサ装置21は、図1に示される基板テーブルWTなどの基板テーブルによって支持され得る。代替として、センサ装置21は、センサテーブルWTとは分離され得る測定テーブル(図示せず)によって支持され得る。
[0095] 測定パターニングデバイスMA’及びセンサ装置21は、図3A及び図3Bにより詳細に示されている。デカルト座標は、図2、図3A、及び図3Bにおいて一貫して使用される。図3Aはx−y面における測定パターニングデバイスMA’の概略図であり、図3Bはx−y面におけるセンサ装置21の概略図である。
[0096] 測定パターニングデバイスMA’は、複数のパターン付き領域15a〜15cを含む。図2及び図3Aに示される実施形態において、測定パターニングデバイスMA’は透過パターニングデバイスMA’である。パターン付き領域15a〜15cは、各々、内部に透過回折格子が配設された測定パターニングデバイスMA’における開口を含む。測定パターニングデバイスMA’のパターン付き領域15a〜15c上に入射する放射は少なくとも部分的に透過され、測定パターニングデバイスMA’の残りの部分上に入射する放射は透過されない。
[0097] 照明システムILは放射によって測定パターニングデバイスMA’を照明する。図2には示されていないが、照明システムILは放射源SOから放射を受け取り、測定パターニングデバイスMA’を照明するように放射を条件付ける。例えば照明システムILは、所望の空間及び角度分布を有する放射を提供するように放射を条件付けることができる。図2に示された実施形態において、照明システムILは別々の測定ビーム17a〜17cを形成するように構成される。各測定ビーム17a〜17cは、測定パターニングデバイスMA’のそれぞれのパターン付き領域15a〜15cを照明する。
[0098] 投影システムPLに起因する収差の決定を実行するために、別々の測定ビーム17a〜17cによって測定パターニングデバイスMA’を照明するように照明システムILのモードを変更することができる。例えば、リソグラフィ装置の通常使用中、照明システムILは、放射のスリットを用いてパターニングデバイスMAを照明するように構成可能である。しかしながら、投影システムPLに起因する収差の決定を実行するために照明システムILが別々の測定ビーム17a〜17cを形成するように構成されるように、照明システムILのモードを変更することができる。幾つかの実施形態において、異なるパターン付き領域15a〜15cを異なる時点で照明することができる。例えば、パターン付き領域15a〜15cの第1のサブセットは測定ビーム17a〜17cの第1のサブセットを形成するように1回目で照明可能であり、パターン付き領域15a〜15cの第2のサブセットは測定ビーム17a〜17cの第2のサブセットを形成するように2回目で照明可能である。
[0099] 他の実施形態において、投影システムPLに起因する収差の決定を実行するために、照明システムILのモードが使用されない場合がある。例えば、照明システムILは、(例えば、基板の露光中に使用される照明エリアと実質的に対応する)放射のスリットを用いて、測定パターニングデバイスMA’を照明するように構成可能である。パターン付き領域15a〜15cのみが放射を透過させるため、次いで、別々の測定ビーム17a〜17cは測定パターニングデバイスMA’によって形成され得る。
[00100] 図面において、デカルト座標システムは投影システムPLを介して保存されているように示されている。しかしながら、幾つかの実施形態において、投影システムPLの特性は座標システムの変換につながる可能性がある。例えば投影システムPLは、測定パターニングデバイスMA’に関して拡大、回転、及び/又はミラーリングされる、測定パターニングデバイスMA’のイメージを形成することができる。幾つかの実施形態において、投影システムPLは、測定パターニングデバイスMA’のイメージを、z軸を中心におよそ180°だけ回転させることができる。こうした実施形態において、図2に示される第1の測定ビーム17a及び第3の測定ビーム17cの相対的位置をスワップすることができる。他の例において、イメージは、x−y面内に存在し得る軸を中心にミラーリングされ得る。例えばイメージは、x軸を中心に又はy軸を中心にミラーリングされ得る。
[00101] 投影システムPLが、測定パターニングデバイスMA’のイメージ及び/又は投影システムPLによってミラーリングされたイメージを回転させる実施形態において、投影システムは座標システムを変換するものと見なされる。すなわち、本明細書で言及される座標システムは、投影システムPLによって投影されるイメージに対して定義され、イメージの任意の回転及び/又はミラーリングは、座標システムの対応する回転及び/又はミラーリングを生じさせる。説明しやすいように、座標システムは図面内では投影システムPLによって保存されているように示される。しかしながら、座標システムは投影システムPLによって変換され得る。
[00102] パターン付き領域15a〜15cは、測定ビーム17a〜17cを修正する。特に、パターン付き領域15a〜15cは測定ビーム17a〜17cの空間変調を生じさせ、測定ビーム17a〜17c内に回折を生じさせる。図3Bに示される実施形態において、パターン付き領域15a〜15cは各々、2つの別個の部分を含む。例えば、第1のパターン付き領域15aは第1の部分15a’及び第2の部分15a”を含む。第1の部分15a’はu方向に平行に位置合わせされた回折格子を含み、第2の部分15a”はv方向に平行に位置合わせされた回折格子を含む。u及びvの方向は図3Aに示されている。u及びvの方向はどちらも、x及びyの両方の方向に対しておよそ45°で位置合わせされ、互いに垂直に位置合わせされる。図3Aに示される第2のパターン付き領域15b及び第3のパターン付き領域15cは、第1のパターン付き領域15aと同一であり、各々、その回折格子が互いに垂直に位置合わせされる第1及び第2の部分を含む。
[00103] パターン付き領域15a〜15cの第1及び第2の部分は、異なる時点で測定ビーム17a〜17cによって照明され得る。例えば、パターン付き領域15a〜15cの各々の第1の部分は、1回目に測定ビーム17a〜17cによって照明され得る。2回目に、パターン付き領域15a〜15cの各々の第2の部分は測定ビーム17a〜17cによって照明され得る。前述のように、幾つかの実施形態において、異なるパターン付き領域15a〜15cは異なる時点で照明され得る。例えば、パターン付き領域15a〜15cの第1のサブセットの第1の部分は1回目に照明され得、パターン付き領域15a〜15cの第2のサブセットの第1の部分は2回目に照明され得る。パターン付き領域の第1及び第2のサブセットの第2の部分は、同時又は異なる時点で照明され得る。一般に、パターン付き領域15a〜15cの異なる部分を照明する任意のスケジュールを使用することができる。
[00104] 修正された測定ビーム17a〜17cは、投影システムPLに入力される。投影システムPLは、センサ装置21上に投影される修正された測定ビーム17a〜17cのイメージを形成する。センサ装置21は、複数の回折格子19a〜19c及び放射検出器23を備える。回折格子19a〜19cは、各々の回折格子19a〜19cが、投影システムPLから出力されるそれぞれの修正された測定ビーム17a〜17cを受け取るように配置される。回折格子19a〜19c上に入射する修正された測定ビーム17a〜17cは、回折格子19a〜19cによって更に修正される。回折格子19a〜19cで透過される修正された測定ビームは、放射検出器23上に入射する。
[00105] 放射検出器23は、放射検出器23上に入射する放射の空間強度プロファイルを検出するように構成される。放射検出器23は、例えば個別検出器要素のアレイを備えることができる。例えば、放射検出器23はCCDアレイを備えることができる。回折格子19a〜19cと、修正された測定ビーム17a〜17cが受け取られる放射センサ23の部分は、検出器領域25a〜25cを形成する。例えば、第1の回折格子19a及び第1の測定ビーム17aが受け取られる放射センサ23は共に、第1の検出器領域25aを形成する。所与の測定ビーム17a〜17cの測定は、(図に示されるように)それぞれの検出器領域25a〜25cで行うことができる。前述のように、幾つかの実施形態において、修正された測定ビーム17a〜17c及び座標システムの相対的位置決めは、投影システムPLによって変換され得る。
[00106] パターン付き領域15a〜15c及び検出器領域25a〜25cの回折格子19a〜19cで発生する測定ビーム17a〜17cの修正は、結果として放射検出器23上に干渉パターンを形成させる。干渉パターンは、測定ビームの位相の派生物に関し、投影システムを介して伝搬された波面内に存在する収差に依存する。したがって、干渉パターンは、投影システムPLに起因する収差を決定するために使用することができる。以下で更に詳細に説明するように、干渉パターンは、パターン付き領域15a〜15c及び検出器領域17a〜17cの構成及び相対的位置決めにも依存し得る。
[00107] 図3Bに示される実施形態において、検出器領域25a〜25cは各々、チェッカーボードの形で構成される回折格子19a〜19cを含む。前述のように、パターン付き領域15a〜15cの第1及び第2の部分は異なる時点で照明され得る。パターン付き領域15a〜15cの第1の部分の照明は第1の方向の収差に関する情報を提供し得、パターン付き領域15a〜15cの第2の部分の照明は第2の方向の収差に関する情報を提供し得る。
[00108] 幾つかの実施形態において、測定パターニングデバイスMA’及び/又はセンサ装置21は、2つの垂直の方向に順次スキャン及び/又はステップ移動される。例えば、測定パターニングデバイスMA’及び/又はセンサ装置21は、u及びvの方向に互いに関連してステップ移動され得る。パターン付き領域15a〜15cの第2の部分15a”〜15c”が照明される間、測定パターニングデバイスMA’及び/又はセンサ装置21はu方向にステップ移動され得、パターン付き領域15a〜15cの第1の部分15a’〜15c’が照明される間、測定パターニングデバイスMA’及び/又はセンサ装置21はv方向にステップ移動され得る。すなわち、測定パターニングデバイスMA’及び/又はセンサ装置21は、照明されている回折格子のアライメントに垂直な方向にステップ移動され得る。
[00109] 測定パターニングデバイスMA’及び/又はセンサ装置21は、回折格子の格子周期の一部分に対応する距離だけステップ移動され得る。ステップ移動方向の波面に関する情報を導出するために、異なるステップ移動位置で行われる測定を分析することができる。例えば、測定された信号の第1の調波の位相は、ステップ移動方向の波面の派生物に関する情報を含むことができる。したがって、測定パターニングデバイスMA’及び/又はセンサ装置21のu及びvの両方の方向(互いに垂直である)でのステップ移動によって、波面に関する情報を2つの垂直方向で導出することが可能であり、それによって全波面を再構成することが可能である。
[00110] (前述のように)照明されている回折格子のアライメントに垂直な方向での測定パターニングデバイスMA’及び/又はセンサ装置21のステップ移動に加えて、測定パターニングデバイスMA’及び/又はセンサ装置21は互いに関連してスキャンすることもできる。測定パターニングデバイスMA’及び/又はセンサ装置21のスキャンは、照明されている回折格子のアライメントに平行な方向で実行することができる。例えば、パターン付き領域15a〜15cの第1の部分15a’〜15c’が照明される間、測定パターニングデバイスMA’及び/又はセンサ装置21はu方向にスキャンされ得、パターン付き領域15a〜15cの第2の部分15a”〜15c”が照明される間、測定パターニングデバイスMA’及び/又はセンサ装置21はv方向にスキャンされ得る。照明されている回折格子のアライメントに平行な方向での測定パターニングデバイスMA’及び/又はセンサ装置21のスキャンによって、測定を回折格子全体にわたって平均化することが可能であり、それによってスキャン方向の回折格子におけるいずれの変動も補償することができる。測定パターニングデバイスMA’及び/又はセンサ装置21のスキャンは、前述の測定パターニングデバイスMA’及び/又はセンサ装置21のステップ移動とは異なる時点で実行することができる。
[00111] 前述のように、図3Bに示される実施形態における検出器領域25a〜25cは、各々、チェッカーボードの形で構成される回折格子を含む。これにより、u方向及びv方向の両方での波面位相変動の決定中に、検出器領域25a〜25cを使用することが可能となる。他の実施形態において、検出器領域25a〜25cは各々、第1の部分及び第2の部分を含むことができる。検出器領域の第1の部分は各々、第1の構成で配置された回折格子を含み得、検出器領域の第2の部分は各々、第2の構成で配置された回折格子を含み得る。センサ装置21は、検出器領域25a〜25cの第1の部分が、第1の方向(例えば、u方向)での位相変動の決定中に修正された測定ビーム17a〜17cを受け取るように、及び、検出器領域25a〜25cの第2の部分が、第2の方向(例えば、v方向)での位相変動の決定中に修正された測定ビーム17a〜17cを受け取るように、配置することができる。
[00112] 図2、図3A、及び図3Bに示された実施形態において、パターン付き領域15a〜15c及び検出器領域25a〜25cを形成する回折格子の配置構成は、単なる例示の実施形態として提示されている。パターン付き領域15a〜15c及び検出器領域25a〜25cの様々な異なる配置構成が、投影システムPLに起因する収差を決定するために使用できることを理解されよう。パターン付き領域15a〜15c及び/又は検出器領域25a〜25cは、回折格子を含むことができる。パターン付き領域15a〜15cを形成する回折格子は、各々、回折格子の各々のピッチが同じであるように共通格子を共有することができる。同様に、検出器領域25a〜25cを形成する回折格子は、各々、回折格子の各々のピッチが同じであるように、共通格子を共有することができる。幾つかの実施形態において、パターン付き領域15a〜15c及び検出器領域25a〜25cは共通格子を共有する。すなわち、パターン付き領域15a〜15c間の間隔は、検出器領域25a〜25c間の間隔に対応し得る。
[00113] 幾つかの実施形態において、パターン付き領域15a〜15c及び/又は検出器領域25a〜25cは、回折格子以外のコンポーネントを含むことができる。例えば、幾つかの実施形態において、パターン付き領域15a〜15c及び/又は検出器領域は、それを介して測定ビーム17a〜17cの少なくとも一部が伝搬可能な単一スリット又はピンホール開口を含むことができる。一般に、パターン付き領域及び/又は検出器領域は、測定ビームを修正する働きをする任意の配置構成を含むことができる。
[00114] 図2、図3A、及び図3Bに示される実施形態において、測定パターニングデバイスMA’は3つのパターン付き領域15a〜15cを含み、センサ装置21は3つの検出器領域25a〜25cを含むが、他の実施形態では、測定パターニングデバイスMA’は3つより多いか又は少ないパターン付き領域15a〜15cを含み得、センサ装置21は3つより多いか又は少ない検出器領域25a〜25cを含み得る。通常、放射センサ23で行われた測定が投影システムに起因する収差に関する情報を提供するように、測定ビーム17a〜17cを修正する、任意の数及び構成のパターン付き領域15a〜15c及び検出器領域25a〜25cを使用することができる。
[00115] コントローラCNは、センサ装置21で行われた測定を受け取り、測定から、投影システムPLに起因する収差を決定する。コントローラは、測定システム10の1つ以上のコンポーネントを制御するように構成可能である。例えば、コントローラCNは、センサ装置21及び/又は測定パターニングデバイスMA’を互いに関連して移動させるように動作可能な、位置決め装置PWを制御することができる。コントローラは、投影システムPLのコンポーネントを調節するための調節手段PAを制御することができる。例えば調節手段PAは、投影システムPLに起因し、コントローラCNによって決定される、収差を補正するように、投影システムPLのレンズ要素を調節することができる。
[00116] 投影システムPLに起因する収差を決定することは、ゼルニケ係数を取得するために、センサ装置21によって行われた測定をゼルニケ多項式に当てはめることを含み得る。異なるゼルニケ係数は、投影システムPLに起因する異なる形式の収差に関する情報を提供することができる。ゼルニケ係数は、x及び/又はyの方向の異なる位置で別個に決定することができる。例えば、図2、図3A、及び図3Bに示される実施形態において、ゼルニケ係数は各測定ビーム17a〜17cについて決定することができる。
[00117] 幾つかの実施形態において、測定パターニングデバイスMA’は3つよりも多くのパターン付き領域を含み得、センサ装置21は3つよりも多くの検出器領域を含み得、3つよりも多くの測定ビームが形成され得る。これによって、より多くの位置でゼルニケ係数を決定することが可能になり得る。幾つかの実施形態において、パターン付き領域及び検出器領域は、x及びyの両方の方向の異なる位置で分散可能である。これによって、x及びyの両方の方向に分けられた位置で、ゼルニケ係数を決定することが可能になり得る。
[00118] 前述のように、異なるゼルニケ係数は、投影システムPLに起因する異なる形の収差に関する情報を提供することができる。典型的には、ゼルニケ多項式は複数の次数を含むものとみなされ、各次数は関連付けられたゼルニケ係数を有する。次数及び係数は、一般にNollインデックスと呼ばれるインデックスで標示され得る。1のNollインデックスを有するゼルニケ係数は第1のゼルニケ係数と呼ばれ、2のNollインデックスを有するゼルニケ係数は第2のゼルニケ係数と呼ばれる、という具合である。
[00119] 第1のゼルニケ係数は、測定される波面の平均値(ピストンと呼ばれ得る)に関係する。第1のゼルニケ係数は投影システムPLの性能に関連しない可能性があるため、本明細書で説明する方法を使用して決定されない可能性がある。第2のゼルニケ係数はx方向の測定される波面の傾斜に関係する。x方向の波面の傾斜はx方向の配置と等価である。第3のゼルニケ係数はy方向の測定される波面の傾斜に関係する。y方向の波面の傾斜はy方向の配置と等価である。第4のゼルニケ係数は測定される波面のデフォーカスに関係する。第4のゼルニケ係数はz方向の配置と等価である。より高次のゼルニケ係数は、投影システムに起因する他の形の収差(例えば、非点収差、コマ収差、球面収差、及び他の効果)に関係する。
[00120] 本説明全体を通じて、「収差」という用語は完全な球状波面からのすべての形の波面の偏差を含むものと意図されるべきである。すなわち、「収差」という用語は、イメージの配置(例えば、第2、第3、及び第4のゼルニケ係数)及び/又は、5以上のNollインデックスを有するゼルニケ係数に関係するような、より高次の収差に関係し得る。
[00121] 投影システムPLに起因する収差の決定に関する更なる情報は、例えば、Mark A.van deKerkhof、Wim de Boeji、Haico Kok、Marianna Silova、Jan Baselmans、Marcel Hemerikによる、文献「Full optical column characterization of DUV lithographic projection tools」、Proc. SPIE 5377、Optical Microlithography XVII、1960(2004年5月28日)、doi:10.1117/12.536331に見ることができ、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
[00122] 放射センサ23で測定される干渉パターンは、投影システムPLに起因する収差と、測定パターニングデバイスMA’及びセンサ装置21の構成及び相対的位置決めとの、両方に依存する。したがって、パターン付き領域15a〜15c及び検出器領域17a〜17cの相対的位置決めにおける変更は、放射センサ23で行われる測定に影響を与えることになり、測定から決定されるゼルニケ係数に影響を与えることになる。前述のように、決定された収差に従って投影システムPLを調節できるように、投影システムPLに起因する収差を決定することが望ましい。測定パターニングデバイスMA’及びセンサ装置21の相対的位置決めにエラーが存在する場合、これが投影システムPLに起因する収差の決定にエラーをもたらすことになる。これは特に、4以下のNollインデックスを有するゼルニケ係数などの、より低次のゼルニケ係数の決定に当てはまる。前述のように、第2、第3、及び第4のゼルニケ係数は、それぞれx、y、及びzの方向の配置に関係する。したがって、特に測定パターニングデバイスMA’及び/又はセンサ装置21の配置におけるエラーは、第2、第3、及び第4のゼルニケ係数の決定にエラーをもたらす可能性がある。
[00123] 例えば、放射センサ23によって行われる測定が、センサ装置21で受け取られる波面におけるx又はy方向の配置エラー(第2及び/又は第3のゼルニケ係数に影響を与える可能性がある)を示す場合、これは、投影システムPLによってもたらされる配置エラーによるものであり得るか、或いは、センサ装置21及び/又は測定パターニングデバイスMA’の配置エラーによるものであり得る。測定パターニングデバイスMA’及びセンサ装置21が完璧に位置決めされた場合、配置エラーの測定は完全に投影システムPLに寄与するものであり得る。しかしながら、測定パターニングデバイスMA’及び/又はセンサ装置の配置に何らかの不確実性があれば、投影システムPLによってもたらされる配置エラーの決定における不確実性に変わることになる。
[00124] 同様に、放射センサ23によって行われる測定が、センサ装置21で受け取られる波面におけるz方向の配置エラー(第4のゼルニケ係数に影響を与える可能性がある)を示す場合、これは、投影システムPLによるものであり得るか、或いは、測定パターニングデバイスMA’及び/又はセンサ装置21のz方向での相対的位置決めによるものであり得る。したがって、測定パターニングデバイスMA’及び/又はセンサ装置21のz方向での位置決めにおける不確実性が、投影システムPLのフォーカスの決定における不確実性に変わることになる。
[00125] 典型的には、測定パターニングデバイスMA’及び/又はセンサ装置21の相対的位置決めに対するx、y、及びx方向の配置収差(例えば、第2、第3、及び第4のゼルニケ係数)の依存性は、投影システムPLに起因し配置に関係する収差が、前述の測定を使用して所望の精度で決定できないことを意味する。この欠陥を克服するために、配置に関係する収差(例えば、より低次のゼルニケ係数)は、典型的には、前述の測定と同時には実行できない代替の収差決定プロセスを使用して決定される。したがって、投影システムPLに起因する異なる収差を決定するために、複数の収差決定プロセスが実行され得る。
[00126] 例えば、5以上のNollインデックスを有するゼルニケ係数などの、より高次のゼルニケ係数に関係する収差を決定するために、前述の収差決定プロセスが実行され得る。これは、第1の決定プロセスと呼ぶことができる。次いで、第1の決定プロセスによって決定された収差を補正するように、(例えば、調節手段PAを使用して)投影システムPLを調節することができる。続いて、x及びy方向の(例えば、第2及び第3のゼルニケ係数に関係する)配置収差を決定するために、(第1の決定プロセスとは異なる)第2の決定プロセスを実行することができる。次いで、第2の決定プロセスによって決定された収差を補正するように、(例えば、調節手段PAを使用して)投影システムPLを調節することができる。続いて、z方向の(例えば、第4のゼルニケ係数に関係する)配置収差を決定するために、(第1の決定プロセスとは異なる)第3の決定プロセスを実行することができる。次いで、第3の決定プロセスによって決定された収差を補正するように、(例えば、調節手段PAを使用して)投影システムPLを調節することができる。
[00127] このプロセスを使用して、x、y、及びz方向の配置収差、並びにおよそ50次(又はそれ以上)までのゼルニケ係数に関係する収差について、投影システムPLを調節することができる。しかしながら、決定プロセスのうちの1つに応答して行われる投影システムPLの調節は、他の決定プロセスのうちの1つの間に行われる測定に影響する可能性がある。例えば、第2及び第3の決定プロセスで行われる測定に応答して行われる投影システムPLの調節は、第1の決定プロセス中に測定され、第1の決定プロセスに応答して事前に調節された収差を導入する可能性がある。したがって、事前の調節によって投影システムPLに導入された収差を決定するために、第1の決定プロセスを再度実行しなければならない可能性がある。投影システムPLを所望の精度まで完全に調節するために、反復較正プロセスの一部として各決定プロセスを複数回実行することができる。
[00128] 複数の決定プロセスが複数回実行される間の反復較正プロセスは、較正プロセスが相対的に長時間かかることを意味し得る。例えば、前述のような反復較正プロセスは、実行するためにおよそ2日かかる場合がある。この間、投影システムPL及びリソグラフィ装置を使用して、(例えば、集積回路を製造するために)基板にパターンを付与することはできない。リソグラフィ装置がオフラインであり、基板にパターンを付与するために使用できない期間を減少させるように、較正プロセスを実行するためにかかる時間を減少させることが望ましい。特に、時間のかかる反復較正プロセスを実行する必要性を回避するように、配置(例えば、2から4までの範囲のNollインデックスを有するゼルニケ係数)及びより高次の(例えば、5から約50までの範囲のNollインデックスを有する)ゼルニケ係数に関係する収差を、単一の決定プロセスで決定することが望ましい可能性がある。
[00129] 本発明の実施形態によれば、配置及びより高次のゼルニケ係数の両方に関係する収差の決定を、単一の決定プロセスで実行可能にするように、前述の第1の決定プロセスを適応することができる。前述の決定プロセスにおいて、各検出器領域25a〜25cは単一の測定ビーム17a〜17cを受け取り、各測定ビーム25a〜25cは単一のパターン付き領域15a〜15cで透過される。本発明の実施形態によれば、検出器領域25a〜25cで受け取られる測定ビーム17a〜17cを変更するように、測定システム10の構成を変更することができる。これにより、配置(例えば、より低次のゼルニケ係数)及びより高次のゼルニケ係数の両方に関係する収差を単一の決定プロセスで決定できるようにするために、十分な情報を提供し得る。
[00130] 図4A〜図4Cは、本発明の実施形態に従った、投影システムPLに起因する収差を決定する方法のステージの表現である。図4A〜図4Cに表される実施形態において、測定パターニングデバイスMA’は7つのパターン付き領域15a〜15gを含む。図3Aを参照しながら上記で説明したように、パターン付き領域15a〜15gの各々は、u及びvの方向に位置合わせされた回折格子を含む、第1及び第2の部分を含む。説明しやすいように、パターン付き領域15a〜15gの第1及び第2の部分は、図4A〜図4Cにおいて別々に標示されていない。7つの測定ビーム17a〜17gが形成され、センサ装置21は7つの検出器領域25a〜25gを含む。図4Aは、投影システムPLに起因する収差を決定する方法の第1ステージ中の、パターン付き領域15a〜15g、測定ビーム17a〜17g、及び検出器領域25a〜25gの間の対応関係の概略表現である。図4Bは、方法の第2ステージ中の、パターン付き領域15a〜15g、測定ビーム17a〜17g、及び検出器領域25a〜25gの間の対応関係の概略表現である。図4Cは、方法の第3ステージ中の、パターン付き領域15a〜15g、測定ビーム17a〜17g、及び検出器領域25a〜25gの間の対応関係の概略表現である。
[00131] 図4A〜図4Cに示される例示において、測定パターニングデバイスMA’及びセンサ装置21は、同じ座標システムに関して表示される。前述のように、幾つかの実施形態において、座標システムは投影システムPLによって変換され得る。
[00132] 図4A〜図4Cに表される方法の第1、第2、及び第3のステージ中、各測定ビーム17a〜17gは対応するパターン付き領域15a〜15gで修正される。(図4Aに示される)方法の第1のステージ中、測定パターニングデバイスMA’及びセンサ装置21は、各修正された測定ビーム17a〜17gが対応する検出器領域25a〜25gで受け取られる第1の相対的構成内にある。
[00133] 測定パターニングデバイスMA’及びセンサ装置21が第1の相対的構成内にある間、センサ装置21によって第1の測定が行われる。第1の測定は単一の測定を含み得るか、又は複数の測定を含み得る。例えば、図2、図3A、及び図3Bを参照しながら上記で説明したように、センサ装置21の一部を形成する放射センサ23によって測定が行われる間、パターン付き領域15a〜15g及び/又は検出器領域25a〜25gは、1つ以上の方向(例えば、2つの垂直な方向)で、互いに関連してスキャンされ得る。たとえパターン付き領域15a〜15g及び/又は検出器領域25a〜25gのスキャン中であっても、パターン付き領域15a〜15g、測定ビーム17a〜17g、及び検出器領域25a〜25gの間の対応関係が図4Aに示されるように維持されている限り、測定パターニングデバイスMA’及びセンサ装置21は依然として第1の相対的構成内にあるものと見なされ得る。測定パターニングデバイスMA’及びセンサ装置21が第1の相対的構成内にある間、パターン付き領域15a〜15g及び/又は検出器領域25a〜25gのスキャン中に実行される一連の測定は、第1の測定を形成するものと見なされ得る。
[00134] (図4Bに示される)方法の第2のステージ中、測定パターニングデバイスMA’及びセンサ装置21は、第2の相対的構成内にある。第2の相対的構成において、検出器領域25a〜25gのうちの幾つかは、測定パターニングデバイスMA’及びセンサ装置21が第1の相対的構成内に位置決めされた時にそれぞれの検出器領域25a〜25gで受け取った測定ビームとは異なる測定ビーム17a〜17gを受け取る。例えば、(図4Aに示される)第1の相対的構成内では、第2の検出器領域25bは第2の測定ビーム17bを受け取るが、(図4Bに示される)第2の相対的構成内では、第2の検出器領域25bは(第1の相対的構成内で第1の検出器領域25aによって受け取られた)第1の測定ビーム17aを受け取る。
[00135] 測定パターニングデバイスMA’及びセンサ装置21が第2の相対的構成内にある間、センサ装置21によって第2の測定が行われる。第1の測定と同様に、第2の測定は単一の測定を含み得るか、又は複数の測定を含み得る。例えば第2の測定は、パターン付き領域15a〜15g及び/又は検出器領域25a〜25gが互いに関連して1つ以上の方向(例えば、2つの垂直方向)でスキャンされる間に行われる、一連の測定を含むことができる。
[00136] (図4Cに示される)方法の第3のステージ中、測定パターニングデバイスMA’及びセンサ装置21は、第3の相対的構成内にある。第3の相対的構成において、検出器領域25a〜25gのうちの幾つかは、測定パターニングデバイスMA’及びセンサ装置21が第1の相対的構成内及び第2の相対的構成内に位置決めされた時に、それぞれの検出器領域25a〜25gで受け取った測定ビームとは異なる測定ビーム17a〜17gを受け取る。
[00137] 測定パターニングデバイスMA’及びセンサ装置21が第3の相対的構成内にある間、センサ装置21によって第3の測定が行われる。第1の測定及び第2の測定と同様に、第3の測定は単一の測定を含み得るか、又は複数の測定を含み得る。例えば第3の測定は、パターン付き領域15a〜15g及び/又は検出器領域25a〜25gが互いに関連して1つ以上の方向(例えば、2つの垂直方向)でスキャンされる間に行われる、一連の測定を含むことができる。
[00138] 例えば、第1の相対的構成、第2の相対的構成、及び第3の相対的構成の間で、測定パターニングデバイスMA’及び測定ビーム17a〜17gに関連してセンサ装置21を移動させることによって、測定パターニングデバイスMA’及びセンサ装置21を遷移させることができる。例えばセンサ装置21は、パターン付き領域15a〜15g及び測定ビーム17a〜17gに関連して正及び/又は負のx方向に移動させることができる。センサ装置は、図2に概略的に示された位置決め装置PWによって移動させることができる。
[00139] 図4A〜図4Cに示される実施形態において、パターン付き領域15a〜15gはx方向に均一な間隔を置いて配置される。すなわち、隣接するパターン付き領域15a〜15gの間の(x方向の)分離は、パターン付き領域15a〜15gの各々について同じである。同様に、検出器領域25a〜25gはx方向に均一な間隔を置いて配置される。測定パターニングデバイスMA’及びセンサ装置21を第1の相対的構成から第2の相対的構成へと遷移させるために、センサ装置は、隣接する検出器領域25a〜25gの間の分離にほぼ等しい距離だけ、負のx方向にシフトされる。測定パターニングデバイスMA’及びセンサ装置21を第1の相対的構成から第2の相対的構成へと遷移させるために、センサ装置は、隣接する検出器領域25a〜25gの間の分離にほぼ等しい距離だけ、正のx方向にシフトされる。したがって、第1の相対的構成と第2の相対的構成との間でのシフトは、−1のxシフトと呼ぶことができる。第1の相対的構成と第2の相対的構成との間でのシフトは、+1のxシフトと呼ぶことができる。
[00140] 図4B及び図4Cに見られるように、測定パターニングデバイスMA’に関連するセンサ装置21の移動によって、結果として、検出器領域25a〜25gのうちの少なくとも1つが測定ビーム17a〜17gを受け取らないこと、及び、測定ビーム17a〜17gのうちの少なくとも1つが検出器領域25a〜25gで受け取られないことになる。例えば、(図4Bに示される)第2の相対的構成において、第1の検出器領域25aは測定ビーム17a〜17gを受け取らず、第7の測定ビーム17gは検出器領域25a〜25gで受け取られない。(図4Cに示される)第3の相対的構成において、第7の検出器領域25gは測定ビーム17a〜17gを受け取らず、第1の測定ビーム17aは検出器領域25a〜25gで受け取られない。
[00141] 第1、第2、及び第3の測定の各々は、一連のサブ測定を含むものと見なされ得、各サブ測定は、所与の検出器領域25a〜25gでの所与の測定ビーム17a〜17gの少なくとも1つの測定を含む。例えば第1の測定は、7つの検出器領域25a〜25gの各々が対応する測定ビーム17a〜17gを受け取った時に、第1の相対的構成において行われる。したがって第1の測定は、各サブ測定が所与の検出器領域25a〜25gでの所与の測定ビーム17a〜17gの1つ以上の測定を含む、7つのサブ測定を含む。第2及び第3の測定は、第2及び第3の相対的構成において行われる。第2及び第3の相対的構成の各々において、7つの測定ビーム17a〜17gのうちの6つは検出器領域25a〜25gのうちの1つで受け取られる。したがって、第2及び第3の測定は各々、サブ測定が所与の検出器領域25a〜25gでの所与の測定ビーム17a〜17gの1つ以上の測定を含む、6つのサブ測定を含む。
[00142] 測定パターニングデバイスMA’及びセンサ装置21が第1、第2、及び第3の相対的構成内にある間に、第1、第2、及び第3の測定を行うことで、結果として、測定ビーム17a〜17gのうちの少なくとも幾つかが複数の検出器領域25a〜25gで受け取られ、測定される。例えば、第2の測定ビーム17bは、第1の相対的構成内の第2の検出器領域25b、第2の相対的構成内の第3の検出器領域25c、及び第3の相対的構成内の第1の検出器領域25aで、受け取られる。
[00143] 測定ビームを複数の検出器領域で複数回測定することで、(単一の検出器領域25a〜25gで受け取られる測定ビームのみを測定することに比べて)測定ビームに関するより多くの情報を提供することができる。特に、測定ビームを複数の検出器領域で複数回測定することは、センサ装置21の位置決め、配向、及び構成にあまり依存しない測定ビームに関する情報を提供することができる。以下でより詳細に説明するように、測定ビームを複数回測定すること、及び複数の検出器領域で受け取られることは、投影システムPLに起因する収差を、センサ装置21の位置決め及び/又は構成におけるエラーの結果である収差から分離させることができる。これによって、有利には、投影システムPLに起因し、(より高次のゼルニケ係数に関係する収差に加えて)より低次のゼルニケ係数に関係するする収差を、図4A〜図4Cに示された方法から決定することができる。
[00144] 幾つかの実施形態において、測定パターニングデバイスMA’及びセンサ装置21は、3つよりも多くの相対的構成内に配置することができる。例えばセンサ装置21は、測定パターニングデバイスMA’及びセンサ装置21が他の相対的構成内に配置されるように、x方向に更にシフトされ得る。センサ装置21は、隣接する検出器領域間のx分離よりも大きい距離だけ、第1の相対的構成からシフトされ得る。例えばセンサ装置21は、隣接する検出器領域間のx分離の2倍にほぼ等しい距離だけ、第1の相対的構成からシフトされ得る。こうしたシフトは、シフトが正のx方向である場合は+2xシフトと呼ばれ、シフトが負のx方向である場合は−2xシフトと呼ばれる。一般に、隣接する検出器領域間の分離のプラス又はマイナスn倍にほぼ等しい距離の、第1の相対的構成からの相対的シフトは、プラス又はマイナスnシフトと呼ばれる。
[00145] 実施形態において、センサ装置21は、−4xシフトから+4xシフトの間(その間のすべてのシフト位置を含む)で移動させることができる。各位置において、センサ装置21によって測定が行われ、各測定は少なくとも1つのサブ測定を含む。各シフト位置で行われるサブ測定の数は、検出器領域25a〜25gのうちのいくつが各シフト位置において測定ビーム17a〜17gを受け取るかに依存する。
[00146] 図5Aは、前述の測定によって取得される情報の概略表現である。図5Aに示される表現は設計マトリックスと呼ばれる。設計マトリックスの各行はサブ測定を表し、設計マトリックスの各列は測定システムの未知の変数に関する情報を表す。
[00147] 測定システムの未知の変数は、センサ装置21、測定パターニングデバイスMA’、及び投影システムPLの特性に関係する。以下で説明するように、図5Aの設計マトリックスに表されているサブ測定は、センサ装置に関係する未知の変数を、測定パターニングデバイスMA’及び投影システムPLに関係する未知の変数から分離することができる。したがって図5Aでは、未知の変数は14の列で表されており、各列が未知数に関係する。図5Aで第1の7列は各々、センサ装置21の7つの検出器領域25a〜25gのうちの1つに関連付けられた未知数に関係する。図5Aで第2の7列は各々、7つの測定ビーム17a〜17gのうちの1つに関連付けられた未知数に関係する。測定ビーム17a〜17gに関連付けられた未知数は、測定パターニングデバイスMA’の未知の変数及び/又は投影システムPLの未知の変数に関係し得る。
[00148] 図5Aに示されるように、設計マトリックスの第1の3行は、センサ装置21が+4xシフト位置にある時に行われるサブ測定に関係する。+4xシフト位置では、測定ビーム17a〜17gのうちの3つが検出器領域25a〜25gのうちの3つで受け取られる。したがって、3つのサブ測定はセンサ装置21が+4xシフト位置にある時に行われるため、設計マトリックスの第1の3行は+4xシフト位置におけるセンサ装置21に関係する。
[00149] 図5Aからわかるように、設計マトリックスの次の4行は、センサ装置21が+3xシフト位置にある時に行われる4つのサブ測定に関係し、次の5行はセンサ装置21が+2xシフト位置にある時に行われる5つのサブ測定に関係するという具合である。センサ装置が0xシフト位置にある場合、7つの測定ビーム17a〜17gはすべて、それぞれの検出器領域25a〜25gで受け取られる。したがって7つのサブ測定は、センサ装置21が0xシフト位置にある時に行われ、それにより、設計マトリックスの7行は0xシフト位置に関係する。
[00150] 各サブ測定(及びしたがって設計マトリックスの各行)は、単一の検出器領域での単一の測定ビーム17a〜17gの測定に関係する。したがって、設計マトリックスの各行は、単一の検出器領域25a〜25gに関連付けられた未知数に関係する情報、及び単一の測定ビーム17a〜17gに関連付けられた未知数に関係する情報を含む。したがって、設計マトリックスの各行は2つの非ゼロ値を含む。検出器領域25a〜25gに関連付けられた非ゼロ値は、図5Aでは白色の影付き領域で表される。測定ビーム17a〜17gに関連付けられた非ゼロ値は、図5Aでは黒色の影付き領域で表される。ゼロ値は図5Aでは灰色の影付き領域で表される。灰色の影付き領域は、所与のサブ測定がそれに関するいずれの情報も提供していない未知数を示す。
[00151] 図5Aに示される設計マトリックスは、同等に、設計マトリックスの各行が単一の数式に関係する、一連の数式と考えられる。数式は、センサ装置21及び測定ビームに関係する未知数を見つけるように、同時に解くことができる。未知数を見つけることで、投影システムPLに起因する収差を決定することが可能になり得る。センサ装置21に関連付けられた未知数を別々に見つけることによって、投影システムに起因する収差の決定に及ぼすセンサ装置21に関連付けられた不確実性の影響を有利に低減させることができる。
[00152] 図5Aに示される例において、未知数が存在するよりも多くの数式が存在する。これにより、数式から未知数を見つけることが可能になり得る。しかしながら数式は制約を受ける可能性があるため、未知数を解決するために、設計マトリックスに特別な制約を追加する必要があり得る。これは、図5Aでは、設計マトリックスの最下部に特別な行で表される。特別な制約は、測定システムに関して行われる物理的仮定に関係し得る。例えば、一実施形態において、検出器領域25a〜25gのそれらの推定位置からのオフセットの合計はゼロに等しい。この仮定は、以下の数式を追加することによって設計マトリックスに追加することが可能であり、
Σkdk=0 (1)
上式で、kは検出器領域25a〜25gを示す指数であり、dkはk番目の検出器領域のオフセットである。この仮定は、センサ装置の未知数に関係する要素が非ゼロ値を有する図5Aに示される設計マトリックスの最下行に示される。
[00153] 検出器領域25a〜25gのそれらの推定位置からの平均オフセットがゼロに等しい旨の特別な制約を追加することで数式を解くこと、及び投影システムPLに起因する収差を決定することが可能になり得る。実施形態において、数式を解き、投影システムPLに起因する収差を決定するために、異なる物理的仮定及び/又は追加の物理的仮定を設計マトリックスに追加することができる。
[00154] 図5Aに表される設計マトリックスでは、含まれる未知数のみがセンサ装置21及び測定ビーム17a〜17gに関係する。これらの未知数は、センサ装置21及び測定パターニングデバイスMA’の各相対的構成中、同じであると推定される。すなわち、センサ装置21の各シフト位置及び設計マトリックスの各行で、未知数は同じであると仮定される。こうした設計マトリックスの定式化は、事実上、シフト位置間でのセンサ装置21のシフトにおいてエラーが生じないこと、及び、センサ装置21に関連付けられたいずれの不確実性も各シフト位置で一定及び等しいことを、仮定する。以下で説明するように、これは、投影システムPLに起因する幾つかの収差を決定するためであるが、投影システムPLに起因する他の収差は決定しない、妥当な仮定であり得る。
[00155] より高次の(例えば、5から約50までの範囲内のNollインデックスを有する)ゼルニケ係数に関係する収差は、投影システムを形成する光学要素に起因する可能性が高く、測定パターニングデバイスMA’及び/又はセンサ装置21に起因する可能性は高くない、収差の形に関係する。例えば、より高次のゼルニケ係数は、非点収差、コマ収差、及び/又は球面収差などの効果に関係し得る。特に、センサ装置21のシフトにおける不確実性が、非点収差、コマ収差、及び/又は球面収差などの収差を、センサ装置21によって行われる測定に導入する可能性は低い。したがって、センサ装置21のシフトにおける不確実性は、より高次のゼルニケ係数の決定に影響を与えない可能性がある。したがって、シフトの不確実性を補償することが、より高次のゼルニケ係数の決定に影響を与えない可能性があるため、シフト位置間でのセンサ装置21のシフトにエラーが生じないという仮定は、より高次のゼルニケ係数を決定する時に行う妥当な仮定であり得る。したがって図5Aに示される設計マトリックスは、より高次の(例えば、5から約50までの範囲内のNollインデックスを有する)ゼルニケ係数に関係する収差を決定するために好適であり得る。
[00156] より低次の(例えば、約5未満のNollインデックスを有する)ゼルニケ係数の決定は、センサ装置21のシフトにおける不確実性によって影響される可能性がある。上記で説明したように、より低次のゼルニケ係数は、配置及びフォーカスなどの収差に関係する。シフト位置間のセンサ装置21のシフトにおけるエラーは、配置及びフォーカスの収差をセンサ装置21によって行われる測定に導入する可能性があるため、センサ装置21のシフトにおける不確実性がより低次のゼルニケ係数の決定に影響を与える可能性がある。したがって、より低次のゼルニケ係数を決定する目的で、異なるシフト位置間でのセンサ装置21のシフトにおいてエラーが生じないと仮定することは妥当でない可能性がある。
[00157] シフト位置間でのセンサ装置21のシフトにおけるエラーは、設計マトリックスに更なる未知数を導入することによって補償され得る。図5Bは、更なる未知数が含まれた設計マトリックスの概略表現である。図5Bにおいて、更なる未知数は、設計マトリックスの右側に追加された特別な列として示される。図5Bに示される実施形態において、更なる未知数は、異なるシフト位置間のセンサ装置21のシフトにおけるオフセットに関係する。センサ装置21の各シフト位置は、そのシフト位置でのセンサ装置21のシフトオフセットに関係する、関連付けられた未知数を有する。したがって、各シフト位置について、特別な未知の列が設計マトリックスに追加される。
[00158] センサ装置21の各シフト位置で、そのシフト位置で行われるサブ測定は、そのシフト位置でのセンサ装置21のシフトオフセットに関係する情報を含む。例えば、+4xシフト位置で行われる3つのサブ測定は、各々、+4シフト位置でのセンサ装置21のシフトオフセットに関係する情報を含む。これは図5Bにおいて、設計マトリックスの第1のシフトオフセット列(+4シフト位置でのセンサ装置21のシフトオフセットに関係する)が、+4シフト位置で行われるサブ測定に関係する上部3行に非ゼロ値を含むことからわかる。
[00159] 図5Bに示される設計マトリックスは、(図5Aに示された設計マトリックスと比較した場合)特別な未知数を含むため、すべての未知数を解決するために設計マトリックスに更なる特別な制約を追加する必要があり得る。これは図5Bにおいて、図5Aに示される設計マトリックスと比較した場合、設計マトリックスの下部に追加された特別な2行で示されている。特別な2行は、測定システムに関して行われる更なる物理的仮定に関係する。図5Bの設計マトリックスは、検出器領域25a〜25gのそれらの推定位置からのオフセットの合計がゼロに等しいこと(特別な制約の1行目)、パターン付き領域15a〜15gのそれらの推定位置からのオフセットの合計がゼロに等しいこと(特別な制約の2行目)、及び、センサ装置21は、x方向にセンサ装置21をシフトすることによって拡大が導入されないこと(特別な制約の3行目)、という仮定を含む。
[00160] 検出器領域25a〜25gのそれらの推定位置からのオフセットの合計がゼロに等しいという仮定は、数式(1)の形で設計マトリックスに追加することができる。パターン付き領域15a〜15gのそれらの推定位置からのオフセットの合計がゼロに等しいという仮定は、以下の式を追加することによって設計マトリックスに追加可能であり、
Σlpl=0 (2)
上式で、lはパターン付き領域15a〜15gを示す指数であり、plはl番目のパターン付き領域のオフセットである。x方向にセンサ装置21をシフトすることによって拡大が導入されないという仮定は、以下の式を追加することによって設計マトリックスに追加可能であり、
Σkxdk=0 (3)
上式で、xは検出器領域25a〜25gのx軸上の位置である。この仮定が第2のゼルニケ係数の計算に適用される時、センサ装置21の拡大が所望の(又は設計)拡大に等しいという仮定と等価である。
[00161] 式(1)、(2)、及び(3)を設計マトリックスに追加することで、シフト位置間でのセンサ装置21のシフトにおけるオフセットに関係する不確実性を補償しながら、投影システムPLに起因する収差の決定が可能となり得る。図5Bに示される設計マトリックスを使用して、例えば、(例えば、4以下のNollインデックスを有する)1つ以上のより低次のゼルニケ係数を決定することができる。図5Bに示される設計マトリックスを使用して、例えば、各測定ビーム17a〜17gについて第2のゼルニケ係数を決定することができる。
[00162] 前述のように、図5Bに示される設計マトリックスは、シフト位置間でのセンサ装置21のシフトにおけるオフセットに関係する特別な未知数を含むため、シフトオフセットにおける不確実性が補償される。この手法は、センサ装置21のシフトに関連付けられた不確実性のみがシフトにおけるオフセットに関係するものと仮定する。したがって、図5Bの設計マトリックスは、シフトにおいてセンサ装置21の回転は発生しないという仮定を含む。例えば、図5Bの設計マトリックスは、y軸又はz軸を中心とするセンサ装置21の回転は発生しないものと仮定する。y軸及び/又はz軸を中心とするセンサ装置21の回転は、第2のゼルニケ係数の決定に影響を与える可能性が低いため、この仮定は、各測定ビーム17a〜17gに関係する第2のゼルニケ係数を決定する時に行う妥当な仮定であり得る。第2のゼルニケ係数は、x方向で測定される波面の配置に関係する。y軸及び/又はz軸を中心とするセンサ装置21の回転が、センサ装置21によって行われる測定に対して拡大を導入する可能性は低い。したがって、センサ装置21におけるこうした回転を補償しないことは、第2のゼルニケ係数を決定する時に行う妥当な仮定であり得る。
[00163] 前述のように、第3のゼルニケ係数はy方向で測定される波面の配置に関係し、第4のゼルニケ係数は、測定される波面のフォーカスに、又は測定される波面のz方向の配置に、同等に関係する。センサ装置21のシフト中に発生するセンサ装置21の回転は、y方向の配置エラーをもたらす可能性、及び/又は、センサ装置21によって測定される放射のフォーカスを変更する可能性がある。したがって、センサ装置21の回転は、第3及び/又は第4のゼルニケ係数の決定に影響を与える可能性がある。したがって、投影システムPLに起因し、第3及び第4のゼルニケ係数に関係する収差を決定するために、センサ装置21のシフト中に発生するセンサ装置の傾斜における不確実性を、特別な未知数として設計マトリックス内に含めることができる。
[00164] 図5Cは、第3及び/又は第4のゼルニケ係数を決定するために使用可能な設計マトリックスの概略表現である。図5Cに示される設計マトリックスは、センサ装置21のシフト中に発生するセンサ装置の傾斜に関連付けられた未知数に関係する、特別な列(図5Bの設計マトリックスと比較した場合)を含む。センサ装置21の各シフト位置は、そのシフト位置でのセンサ装置21の傾斜に関係する関連付けられた未知数を有する。したがって、各シフト位置について、特別な未知数列が設計マトリックスに追加される。
[00165] センサ装置21の各シフト位置で、そのシフト位置で行われるサブ測定は、そのシフト位置でのセンサ装置21の傾斜に関係する情報を含む。例えば、+4xシフト位置で行われる3つのサブ測定は、各々、+4シフト位置でのセンサ装置21の傾斜に関係する情報を含む。これは図5Cにおいて、設計マトリックスの第1のシフト傾斜列(+4シフト位置でのセンサ装置21の傾斜に関係する)が、+4シフト位置で行われるサブ測定に関係する行に非ゼロ値を含むことからわかる。各シフト位置で行われるサブ測定は、各々、そのシフト位置におけるセンサ装置21の傾斜に関する異なる情報を提供する。これは図5Cにおいて、所与のシフト位置の各シフト傾斜列に現れる異なる値によってわかる。
[00166] 図5Cに示される設計マトリックスは、(図5Bに示される設計マトリックスと比較した場合)特別な未知数を含むことから、すべての未知数を解決するために、設計マトリックスに更なる特別な制約を追加する必要があり得る。これは、図5Cでは、図5Bに示される設計マトリックスと比較した場合、設計マトリックスの下部に追加された2つの特別な行によって示される。2つの特別な行は、測定システムに関して行われる更なる物理的仮定に関係する。図5Cの設計マトリックスは、検出器領域25a〜25gのそれらの推定位置からのオフセットの合計がゼロに等しいこと(特別な制約の1行目)、パターン付き領域15a〜15gのそれらの推定位置からのオフセットの合計がゼロに等しいこと(特別な制約の2行目)、センサ装置21をx方向にシフトすることによって拡大が導入されないこと(特別な制約の3行目)、測定パターニングデバイスMA’がx方向に傾斜されないこと(特別な制約の4行目)、及びセンサ装置21がいずれの湾曲も含まないこと(特別な制約の5行目)、という仮定を含む。
[00167] 第1の3つの制約(図5Bに示される設計マトリックスにも含まれる)は、前述のように式(1)、(2)、及び(3)の形で設計マトリックスに追加することができる。測定パターニングデバイスがx方向に傾斜されないという仮定は、以下の式を追加することによって設計マトリックスに追加することが可能であり、
Σlxpl=0 (4)
上式で、lはパターン付き領域15a〜15gを示す指数であり、plはl番目のパターン付き領域のオフセットであり、xはパターン付き領域15a〜15gのx軸上の位置である。センサ装置21がいずれの湾曲も含まないという仮定は、以下の式を追加することによって設計マトリックスに追加することが可能であり、
Σkx2dk=0 (5)
上式(5)における変数は、式(3)を参照しながら上記で説明した変数と同じである。
[00168] 特別な制約を設計マトリックスに追加することによって、シフト位置間でのセンサ装置21のシフトにおけるオフセットに関係する不確実性、及び、シフト位置間でのセンサ装置21のシフト中に発生するセンサ装置21の傾斜に関係する不確実性を補償しながら、投影システムPLに起因する収差の決定が可能になり得る。図5Cに示される設計マトリックスを使用して、例えば1つ以上のより低次の(例えば、4以下のNollインデックスを有する)ゼルニケ係数を決定することができる。図5Cに示される設計マトリックスを使用して、例えば各測定ビーム17a〜17gについて第3及び/又は第4のゼルニケ係数を決定することができる。
[00169] 特別な制約を図5Cの設計マトリックスに追加するために行われる物理的仮定の幾つか又はすべては、妥当な仮定である。例えば、x方向でのセンサ装置の位置及び/又は傾斜は緊密に制御及び較正され得るため、式(1)〜(4)の仮定は妥当な精度で真であることを保持し得る。しかしながら幾つかの実施形態において、センサ装置21がいずれの湾曲も含まないという仮定(式(5))を含まないことが望ましい場合がある。幾つかの実施形態において、センサ装置21は何らかの湾曲を含むことができる。例えば、センサ装置21の領域は局所的に加熱することが可能であり、これによりセンサ装置21に湾曲を導入し得る。センサ装置21が湾曲を含まないものと仮定される場合、投影システムPLに起因する収差の決定は、センサ装置21の湾曲によって影響される可能性があり、それによって収差の決定に不確実性が導入される。したがって、幾つかの実施形態において、センサ装置21の任意の収差を補償しながら、投影システムPLに起因する収差を決定することが望ましい場合がある。特に、同時に投影システムPLに起因する収差を決定しながら、センサ装置21の湾曲を決定可能にする方法を提供することが望ましい場合がある。
[00170] 上記では、測定パターニングデバイスMA’のパターン付き領域15a〜15gがx方向に間隔を置いて配置され、センサ装置21の検出器領域25a〜25gがx方向に間隔を置いて配置され、また、センサ装置21が測定パターニングデバイスMA’に関連してx方向にシフトされる、実施形態を説明してきた。幾つかの実施形態において、測定パターニングデバイスMA’は、y方向にも間隔を置いて配置されるパターン付き領域を含むことができる。センサ装置は、追加又は代替としてy方向に間隔を置いて配置される検出器領域を含み得、センサ装置21は、測定パターニングデバイスMA’に関連してx及びyの両方の方向にシフトされ得る。検出器領域間のy方向の間隔は、検出器領域間のx方向の間隔と同じであり得るか、又は、検出器領域間のx方向の間隔とは異なり得る。
[00171] 図6Aは、x及びyの両方の方向に間隔を置いて配置される複数のパターン付き領域15を含む、測定パターニングデバイスMA’の概略図である。図6Bは、x及びyの両方の方向に間隔を置いて配置される複数の検出器領域25を含む、センサ装置21の概略図である。図6Cは、図6Aの測定パターニングデバイスMA’に関連する図6Bのセンサ装置21の複数のシフト位置の概略図である。
[00172] 図6Aに示される実施形態において、測定パターニングデバイスMA’は35のパターン付き領域15を含む。パターン付き領域15の各々は、35の測定ビームが投影システムPLを介して伝搬するように同時に照明され得る。投影システムPLは、センサ装置21で測定ビームのイメージを形成する。図6Bに示されるセンサ装置21は、21の検出器領域25を含む。存在する検出器領域25が測定ビームよりも少ないため、測定パターニングデバイスMA’及びセンサ装置21の所与の相対的構成内の検出器領域25では、幾つかの測定ビームのみが受け取られる。
[00173] 図6Cは、測定パターニングデバイスMA’に関連する異なる位置のセンサ装置21を示す。各位置には(x,y)の形で相対的位置が標示されており、xは中央位置に関連するセンサ装置21のxシフトを示し、yは中央位置に関連するセンサ装置21のyシフトを示す。中央位置は相対的位置(0,0)で標示される。測定パターニングデバイスMA’に関連するセンサ装置21の中央位置は、測定パターニングデバイスMA’の一番外側のパターン付き領域15から発せられる測定ビームが検出器領域25で受け取られる、測定パターニングデバイスMA’及びセンサ装置21の相対的構成を表す。一番外側のパターン付き領域15は、図6Aでは31と標示された破線ボックスで示される。
[00174] 図6Cに示されるように、センサ装置21は、中央位置(0,0)に関連して正及び負のx方向にシフトされる。センサ装置21は、中央位置(0,0)に関連して正及び負のy方向に更にシフトされる。センサ装置21の各相対的位置において、検出器領域25の幾つかが測定ビームを受け取り、測定ビームの少なくとも1つの測定がセンサ装置によって行われる。少なくとも1つの測定は、各サブ測定が、所与の検出器領域25上に入射する所与の測定ビームの少なくとも1つの測定を含む、複数のサブ測定を含む。
[00175] センサ装置21を図6Cに示される異なるシフト位置へシフトさせることによって、各測定ビームは、センサ装置21上の複数のx位置及びセンサ装置21上の複数のy位置で測定される。センサ装置21上の複数の異なるx位置及び複数の異なるy位置で各測定ビームを測定することによって、(図5A〜図5Cを参照しながら上記で説明したように)単に複数の異なるx位置で測定ビームを測定するよりも多くの情報を提供することができる。特に、センサ装置21上の複数の異なるx位置及び複数の異なるy位置で各測定ビームを測定することによって、センサ装置21のいずれの湾曲も補償可能になり得る。
[00176] センサ装置21は、x及び/又はyの方向にシフトされる時に変形しない剛体であると見なされる。しかしながら、センサ装置21は、センサ装置21がx及び/又はyの方向にシフトされる時に回転する場合がある。センサ装置がx及び/又はyの方向にシフトされる時、z軸を中心とするセンサ装置21が回転すれば、異なるxシフト位置及び異なるyシフト位置の両方で行われる測定に影響を及ぼすことになる。したがって、z軸を中心とするセンサ装置21の回転に関する情報は、異なるxシフト位置で行われる測定及び異なるyシフト位置で行われる測定において反復される。したがって、単一の設計マトリックスにおいて異なるxシフト及び異なるyシフトの位置で行われる測定を組み合わせることによって、回転を未知数として追加せずに、z軸を中心とするセンサ装置21の回転を補償することができる。したがって、異なるxシフト位置及び異なるyシフト位置で行われる測定を組み合わせることによって、設計マトリックスに追加される未知数を少なくすることができる。結果として、未知数を解決するために設計マトリックスに追加される特別な制約を少なくすることができる。特に、一次方程式の(及び二次方程式ではない)形の特別な制約のみを設計マトリックスに追加することができる。例えば、センサ装置21の湾曲に関連する式(5)は設計マトリックスに追加しなくてもよい。したがって有利には、x及びyの両方の方向にセンサ装置21をシフトすることによって、センサ装置21の湾曲があれば補償しながら、投影システムPLに起因する収差を導出することができる。
[00177] 図6Cに示される異なるシフト位置でセンサ装置21によって行われる測定は、図5A〜図5Cを参照しながら上記で説明した類似の様式で、設計マトリックスに組み合わせることができる。例えば、測定ビームの各々について投影システムPLに起因する収差を決定するために、特別な未知数及び特別な制約を設計マトリックスに追加することができる。収差を決定するために追加される未知数及び制約は、異なるゼルニケ係数の決定について異なってよい。例えば、より高次のゼルニケ係数(例えば、5以上のNollインデックスを有するゼルニケ係数)の場合、特別な未知数を設計マトリックスに追加しなくてよく、検出器領域25のオフセットの合計に関連する制約のみを設計マトリックスに追加することができる。より低次のゼルニケ係数(例えば、第2、第3、及び第4のゼルニケ係数)の場合、1つ以上の更なる未知数及び更なる制約を設計マトリックスに追加することができる。前述のように、センサ装置21上の複数の異なるx及びy位置で測定ビームを測定することによって、センサ装置21の湾曲を決定することができ、センサ装置21が湾曲を有さないものと仮定せずに、より低次のゼルニケ係数を有利に決定することができる。
[00178] 上記で、特定の未知数及び特別な制約が設計マトリックスに追加される設計マトリックスの特定の実施形態を説明してきたが、幾つかの実施形態において、異なる未知数及び/又は制約を設計マトリックスに追加することができる。一般に、任意の特別な制約を設計マトリックスに追加することが可能であり、これによって未知数の所望のセットを決定することができる。所与の未知数のセットについて、設計マトリックスに追加することが可能であり、数学的に未知数を決定することが可能な、複数の異なる特別な制約又は特別な制約の組み合わせが存在し得る。設計マトリックスに追加される特別な制約は、各特別な制約が関係する物理的仮定に基づいて選択可能である。
[00179] 一般に、設計マトリックスに追加される特別な制約は、センサ装置21の特性、測定パターニングデバイスMA’ 及び/又は投影システムPLの特性、或いは、パターニングデバイスMA’に関連するセンサ装置の移動の特性に、関係し得る。前述のように、設計マトリックスに追加される特別な制約は、パターン付き領域及び/又は検出器領域のオフセット及び/又は傾斜に関係すること、パターニングデバイスMA’に関連するセンサ装置21をシフトさせることによって導入されるオフセット、傾斜、及び/又は拡大に関係すること、或いは、パターニングデバイスMA’及び/又はセンサ装置21の湾曲に関係することが、可能である。設計マトリックスに追加される特別な制約の数及び性質は、決定されることになる未知数の数及び性質に依存し得る。
[00180] 図7A〜図7Cは、測定パターニングデバイスMA’、センサ装置21、及びセンサ装置21の複数のシフト位置の代替実施形態を示す。図7Aは、x及びyの両方の方向に間隔を置いて配置された複数のパターン付き領域15を含む、測定パターニングデバイスMA’の概略図である。図7Bは、x及びyの両方の方向に間隔を置いて配置された複数の検出器領域25を含む、センサ装置21の概略図である。図7Cは、図7Aの測定パターニングデバイスMA’に関連する図7Bのセンサ装置21の複数のシフト位置の概略図である。
[00181] 図7Aに示される測定パターニングデバイスMA’は、パターン付き領域15の13掛ける13のグリッドを含む。測定パターニングデバイスMA’は、合計169のパターン付き領域15を含む。パターン付き領域15の各々は、169の測定ビームが投影システムPLを介して伝搬されるように、同時に照明され得る。図7Bに示されるセンサ装置21は、18の検出器領域25を含む。検出器領域25が測定ビームよりも少ないため、センサ装置21及び測定パターン付き領域MA’の所与の相対的構成中、測定ビームのうちの幾つかのみが検出器領域25によって受け取られる。
[00182] 図7Cは、測定パターニングデバイスMA’に関連するセンサ装置21の一連のシフト位置33を示す。図7Cに示される実施形態において、センサ装置21は、合計49の異なるシフト位置にシフトされる。センサ装置は、中央位置33’に関連して正及び負のx方向並びに正及び負のy方向にシフトされる。前述のように、センサ装置をx及びyの両方の方向にシフトさせることによって、センサ装置21上の異なるx及びyの位置で測定ビームを測定することが可能になる。
[00183] 幾つかの実施形態において、センサ装置21は図7Bに示されるよりも多くの検出器領域25を含むことができる。しかしながら、幾つかの実施形態において、センサ装置21上の空間は検出器領域25のために使用可能である。例えば、センサ装置21は、他の目的(例えば、センサ装置21の位置合わせのため)に使用可能な他のコンポーネント(図示せず)を含むことができる。したがってセンサ装置21は、検出器領域25の配置に使用可能な被制限空間のみを含むことができる。したがってこれにより、センサ装置21上に含まれる検出器領域25の合計数を制限することができる。
[00184] さらに、検出器領域は、測定ビームが別々に測定できることを保証するように、最小の間隔を置いて配置することができる。図2に示されるように、センサ装置21は、放射センサ(例えば、CCDアレイ)の近傍に配置された複数の透過性検出器領域を含むことができる。測定ビームは、検出器領域で修正及び伝達され、修正された測定ビームは放射センサで測定される。検出器領域25が適切な間隔を置いて配置されない場合、2つ以上の修正された測定ビームが放射センサ23の同じ領域上に入射する可能性がある。こうした場合、異なる修正された測定ビームを、放射センサ23で互いに独立して測定することができない。したがって、各修正された測定ビームが独立して測定できることを保証するために、検出器領域25を最小の間隔を置いて配置することができる。検出器領域25が最小の間隔を置いて配置されることを保証することで、センサ装置21上に含まれる検出器領域25の数を制限することができる。
[00185] 前述のように、パターン付き領域15は、同時に照明され得るか又は異なる時点で照明され得る。例えば、測定パターニングデバイスMA’の各相対的構成における各測定は、異なる時点で測定ビームの複数のサブセットを生成するために、パターン付き領域15の複数のサブセットを照明することを含むことができる。
[00186] 図8は、センサ装置21のセンサ領域25の複数のサブセットの照明を示す概略図である。図8に示されるセンサ装置21は、検出器領域25を形成する複数の回折格子19を含む。測定ビームによって照明される時、回折格子19は測定ビームを修正し、回折格子19の下に位置決めされる放射センサ23の領域を照明するように、修正された測定ビームを伝達する。測定ビームによって照明され、回折格子19で伝達される放射センサ23の領域は、図8においてパターン付き円によって示される。回折格子19及びそれらの放射センサ23のそれぞれの領域は、共に検出器領域25を形成する。修正された測定ビームによって照明される放射センサ23の異なる部分が互いに重複しないように、回折格子19の間の間隔は十分に大きい。
[00187] 図8に示される実施形態において、検出器領域25は検出器領域の複数のサブセット25a〜25gを含む。検出器領域の各サブセット25a〜25gは、測定ビームによって同時に照明される1つ以上の検出器領域を表す。回折格子19及び検出器領域25は、図8に示されるように13×13のグリッド上に編成される。実施形態において、グリッド上の異なるy位置にロケートする検出器領域25は、異なる時点で照明され得る。グリッド上の偶数のx位置にロケートする検出器領域25は、グリッド上の奇数のx位置にロケートする検出器領域25とは異なる時点で照明され得る。
[00188] 図8に示される実施形態において、検出器領域の第1のサブセット25a及び検出器領域の第2のサブセットは、どちらも、グリッド上のy=1位置にロケートする。検出器領域の第1のサブセット25aは、どちらもグリッド上の偶数のx位置(x=2及びx=12)にロケートする2つの検出器領域25aを含む。検出器領域の第2のサブセット25bは、どちらもグリッド上の奇数のx位置(x=7及びx=9)にロケートする2つの検出器領域25bを含む。検出器領域の第1のサブセット25aは、検出器領域の第2のサブセット25bとは異なる時点で照明される。図8に示されるように、センサ装置21は更なる検出器領域のサブセット25c〜25gを更に含む。検出器領域の各サブセット25a〜25gは、同時に照明される1つ以上の検出器領域を表す。
[00189] 図8を参照しながら上記で説明した検出器領域のサブセット25a〜25gの照明は、測定パターニングデバイスMA’及びセンサ装置21が単一の相対的構成又はシフト位置内に位置決めされた時に発生する、検出器領域のサブセット25a〜25gの照明を表す。検出器領域のサブセット25a〜25gの更なる照明は、測定パターニングデバイスMA’及びセンサ装置21が他の相対的構成又はシフト位置内に位置決めされた時に発生可能である。
[00190] 図8に示される実施形態は、単なる例として提示されている。他の実施形態において、検出器領域は、図8に示される検出器領域25とは異なるように配置可能であり、図8に示されるサブセットとは異なるサブセットを形成可能である。
[00191] 図9は、測定パターニングデバイスMA’、センサ装置21、及びセンサ装置21の複数のシフト位置の代替実施形態の概略図である。図9Aは、x及びyの両方の方向に間隔を置いて配置された複数のパターン付き領域15を含む、測定パターニングデバイスMA’の概略図である。図9Bは、x及びyの両方の方向に間隔を置いて配置された複数の検出器領域25を含む、センサ装置21の概略図である。図9Cは、図9Aの測定パターニングデバイスMA’に関連した図9Bのセンサ装置21の複数のシフト位置の概略図である。
[00192] 図9Aに示される測定パターニングデバイスMA’は、パターン付き領域15の13掛ける13のグリッドを含む。測定パターニングデバイスMA’は、合計169のパターン付き領域15を含む。パターン付き領域15の各々は、169の測定ビームが投影システムPLを介して伝搬されるように、同時に照明され得る。代替として、異なるパターン付き領域15は、異なる測定ビームが異なる時点で投影システムPLを介して伝搬するように、異なる時点で照明され得る。図9Bに示されるセンサ装置21は、18の検出器領域25を含む。検出器領域25が測定ビームよりも少ないため、センサ装置21及び測定パターン付き領域MA’の所与の相対的構成中、測定ビームのうちの幾つかのみが検出器領域25によって受け取られる。
[00193] 図9Bにはグリッドライン51も示されている。グリッドライン51は、その上に検出器領域25が配置される13×13のグリッドを示す。検出器領域25の各々が、グリッドライン51の交差を中心とする。グリッドライン51には、x及びyの両方の方向に1から13までの番号が付けられている。図9Bを見るとわかるように、検出器領域25の幾つかはx方向の奇数位置(すなわち、奇数番号が付けられたグリッドライン上)に配置され、検出器領域25の幾つかはx方向の偶数位置(すなわち、偶数番号が付けられたグリッドライン上)に配置される。同様に、検出器領域の幾つかはy方向の奇数位置に配置され、検出器領域の幾つかはy方向の偶数位置に配置される。
[00194] 図9Aを見るとわかるように、パターン付き領域15も13×13のグリッド上に配置される(図9Aにはグリッドラインが示されていない)。図9Bに示されるグリッド51はパターン付き領域15がその上に配置されるグリッドと等価である。測定パターニングデバイスMA’及びセンサ装置21の中央シフト位置において、所与のパターン付き領域15で形成される測定ビームが、所与のパターン付き領域15と同等のグリッド位置に配置された検出器領域25上に入射し得る。
[00195] 図9Cは、測定パターニングデバイスMA’に関連するセンサ装置21の一連のシフト位置33を示す。図9Cに示される実施形態において、センサ装置21は合計62の異なるシフト位置にシフトされる。センサ装置は、中央位置に関連して、正及び負のx方向並びに正及び負のy方向にシフトされる。前述のように、x及びyの両方の方向でのセンサ装置のシフトにより、センサ装置21上の異なるx及びy位置で測定ビームを測定することが可能になる。
[00196] 図9A〜図9Cに示される実施形態は、図9Cに示されるシフト位置33が、図7A〜図7Cに示されるシフト位置33に関連してシフト位置の特別な列を含むことを除いて、図7A〜図7Cに示される実施形態と同様である。シフト位置の特別な列は、図9Cでは52と標示された破線ボックスでマークされている。シフト位置の特別な列52は、y方向のシフト位置の全範囲が、図7Cに示された1つのx位置のみとは対照的に、2つの異なるx位置で生じることを意味する。以下で更に詳細に説明するように、これによって、異なるシフト位置での測定の結果として生じる、決定された収差に関連付けられた不確実性を低減させることができる。
[00197] 図9Bを見るとわかるように、検出器領域25はy軸上の相対的に少ない数の位置に位置決めされ、y方向には検出器領域25が位置決めされていないギャップが存在する。これに対して、幾つかの異なるx位置に位置決めされた検出器領域25が存在し、x方向には検出器領域25が位置決めされていない大きなギャップは存在しない。したがって、検出器領域25のレイアウトは、y方向よりもx方向に高密度のサンプリングを提供する。前述のように、センサ装置上の検出器領域25のレイアウトは、他の目的でセンサ装置21上に提供される他のフィーチャ(図示せず)によって制限される可能性がある。したがって、幾つかの実施形態において、より高密度のサンプリングをy方向に提供するように検出器領域25を位置決めすることは不可能な可能性がある。
[00198] y方向ではなくx方向に(検出器領域25の配置によって)より高密度のサンプリングが提供された結果として、y方向の異なるシフト位置で取得される情報は、特に有用な情報コンテンツを提供することができる。図7Cのシフト位置のレイアウトで前述したように、y方向のシフト位置の全範囲は、単一のx位置のみで発生する。その結果、y方向の一番外側のシフト位置で取得される情報は、単一のx位置のみで取得される。
[00199] 検出器領域25のサンプリングは相対的にx方向で高密度であるが、図9Bからわかるように、多数の検出器領域はx方向の奇数位置に位置決めされている。したがって、y方向の一番外側のシフト位置では、ほとんどが検出器領域25によってサンプリングされたx方向の奇数位置に位置決めされたパターン付き領域15から発せられる測定ビームである。したがって、x方向の偶数位置に位置決めされたパターン付き領域15から発せられる測定ビームに関係するy方向の一番外側のシフト位置で取得される情報が、相対的に不足している。
[00200] 図9Cに示されるシフト位置のレイアウトでは、シフト位置ロケーションの2つの中央列(すなわち図9Cでは、特別な列52及び特別な列52の左隣りの列)が、x方向の隣接するパターン付き領域から発せられる測定ビームのサンプリングを提供する。その結果、中央列のうちの一方におけるシフト位置は、(多数の検出器領域がセンサ装置21上の奇数に位置決めされる結果として)ほとんどがx方向の奇数位置に位置決めされたパターン付き領域15から発せられる測定ビームのサンプリングにつながることになる。中央列のうちの他方におけるシフト位置は、ほとんどがx方向の偶数位置に位置決めされたパターン付き領域から発せられる測定ビームのサンプリングにつながることになる。したがって、図9Cにおけるシフト位置の特別な列52は、偶数及び奇数の両方のx位置でパターン付き領域から発せられる測定ビームが、y方向の一番外側のシフト位置(すなわち、y方向の相対的構成の最大範囲の極致での相対的構成)で等しくサンプリングされることを保証する。これにより、図7Cに示されるシフト位置のレイアウトと比較した場合、有用な特別な情報コンテンツを提供することができる。
[00201] 図10は、測定パターニングデバイスMA’、センサ装置21、及びセンサ装置21の複数のシフト位置の代替実施形態の概略図である。図10Aは、x及びyの両方の方向に間隔を置いて配置された複数のパターン付き領域15を含む、測定パターニングデバイスMA’の概略図である。図10Bは、x及びyの両方の方向に間隔を置いて配置された複数の検出器領域25を含む、センサ装置21の概略図である。図10Cは、図10Aの測定パターニングデバイスMA’に関連した図10Bのセンサ装置21の複数のシフト位置の概略図である。
[00202] 図10Aに示される測定パターニングデバイスMA’は、図9Aに示される測定パターニングデバイスMA’と同じであるため、ここではこれ以上詳細に説明しない。図10Bに示されるセンサ装置21は図9Bに示される測定パターニングデバイスMA’と同じであるため、ここではこれ以上詳細に説明しない。
[00203] 図10Cは、測定パターニングデバイスMA’に関連するセンサ装置21の一連のシフト位置33を示す。図10Cに示される実施形態において、センサ装置21は合計81の異なるシフト位置にシフトされる。センサ装置は、中央位置33’に関連して、正及び負のx方向並びに正及び負のy方向にシフトされる。前述のように、x及びyの両方の方向でのセンサ装置のシフトにより、センサ装置21上の異なるx及びy位置で測定ビームを測定することが可能になる。
[00204] 図10A〜図10Cに示される実施形態は、図10Cに示されるシフト位置33のレイアウトが図9Cに示されるレイアウトと異なることを除いて、図9A〜図9Cに示される実施形態と同様である。図10Cに示される実施形態において、シフト位置33は正方形を形成するように配置される。その結果、y方向のシフト位置の全範囲は、あらゆるx位置でサンプリングされる。図9Cを参照しながら上記で説明したように、複数の異なるx位置でy方向のシフト位置の全範囲をサンプリングすることにより、結果として生じる収差決定に関連付けられる不確実性を低減させる、有益な情報コンテンツを提供することができる。
[00205] 図11A〜図11Iは、x及びyの方向の異なるフィールドポイント(すなわち、投影システムのイメージ面における異なる空間ロケーション)での収差の決定に関係する不確実性の概略表現である。不確実性は、例えば、測定のセットを異なるシフト位置で複数回実行すること、及び、各測定のセットから結果として生じる収差決定を比較することによって取得され得る。
[00206] 図11A〜図11Cは、図7Cに示されるシフト位置レイアウトを使用する測定から取得される収差の決定における不確実性を示す。図11D〜図11Fは、図9Cに示されるシフト位置レイアウトを使用する測定から取得される収差の決定における不確実性を示す。図11G〜図11Iは、図10Cに示されるシフト位置のレイアウトを使用する不確実性を示す。図11A、図11D、及び図11Gはx方向の収差に関係する(例えば、第2のゼルニケ係数の決定に関係する)不確実性を示し、図11B、図11E、及び図11Hはy方向の収差に関係する(例えば、第3のゼルニケ係数の決定に関係する)不確実性を示し、図11G、図11H、及び図11Iはz方向の収差に関係する(例えば、第4のゼルニケ係数の決定に関係する)不確実性を示す。
[00207] 図11A〜図11Cと図11D〜図11Fとの比較から、図9Cのシフト位置のレイアウトを使用することで、図7Cのシフト位置のレイアウトを使用する場合と比べて、不確実性の大きさを実質的に減少させることがわかる。したがって、図9Cのシフト位置のレイアウトにおける特別な列52は、有利には、異なるシフト位置での測定から取得される収差決定に関連付けられた測定の不確実性を減少させる。
[00208] 図11A〜図11Iから、図7C及び図9Cのシフト位置パターンを使用する場合と比べて、図10Cのシフト位置パターンを使用することによって、不確実性の大きさが更に低減されることがわかる。さらに、図10Cのシフト位置パターンを使用することによって、不確実性の空間的均一性が向上する。例えば図11C及び図11Fにおいて、不確実性は、それぞれ図7C及び図9Cのシフト位置パターンの形状に対応する空間的パターンを示す。これに対して図11Iでは、不確実性は、図10Cのシフト位置の正方形パターンを反映して、相対的に空間的に均一である。
[00209] 前述の各実施形態において、測定パターニングデバイス及び/又はセンサ装置は、複数の異なる相対的構成間を移動される。各異なる相対的構成において、検出器領域での放射の測定が行われ、これらの測定を使用して投影システムに起因する収差が決定される。
[00210] 図6A〜図6C、図7A〜図7C、図9A〜図9C、及び図10A〜図10Cに示される実施形態において、複数の異なる相対的構成は、x方向に互いに分離された構成を含み、y方向に互いに分離された構成を含む。
[00211] 複数の異なる相対的構成は、y方向に最大範囲を有する。例えば図7C及び図9Cの実施形態において、y方向の構成の最大範囲は、図7Cにおける中央列の範囲及び図9Cにおける2つの中央列(特別な列52を含む)に対応する。図10Cでは、y方向の構成の最大範囲は、図10Cに示されるシフト位置によって形成される正方形のy方向の範囲に対応する。
[00212] 図9C及び図10Cの実施形態において、複数の異なる相対的構成は、x方向の複数の位置でy方向の最大範囲の極致での相対的構成を含む。例えば図9Cの実施形態において、y方向の最大範囲の極致は、異なるx位置に位置決めされた両方の中央列(特別な列52を含む)に達する。図10Cの実施形態において、y方向の最大範囲の極致は、シフト位置のパターンにおける各x位置に達する。
[00213] 幾つかの実施形態において、複数の異なる相対的構成は、図10Cに示されるように実質的に矩形を形成するように配置可能である。図10Cに示されるような幾つかの実施形態において、矩形は正方形であってよい。
[00214] 前述のように、一般に、異なるシフト位置で行われる測定は設計マトリックスに追加され、設計マトリックスは投影システムに起因する収差を導出するために解決される。典型的には、設計マトリックスを解決するために、幾つかの制約が特別な式の形で設計マトリックスに追加される(又は同等に、特別な行がマトリックスに追加される)。制約により、ソリューションを見つけることを可能にするために設計マトリックスから特異点を除去することができる。
[00215] 制約は、測定パターニングデバイスMA’、センサ装置21、並びに、測定パターニングデバイスMA’及びセンサ装置21の相対的な移動に関係する、物理的仮定に基づく。制約はフィーチャのオフセットに関係し得る。例えば制約は、パターン付き領域25のオフセット、検出器領域25、及び/又は、測定パターニングデバイスMA’及びセンサ装置21の相対的移動におけるオフセットに関係し得る。幾つかの制約は、コンポーネントの傾斜又は拡大に関係し得る。例えば制約は、測定パターニングデバイスMA’の傾斜、センサ装置21、及び/又は、測定パターニングデバイスMA’及びセンサ装置21の移動における傾斜に関係し得る。幾つかの実施形態において、2次項を含む制約、例えばコンポーネントの湾曲に関係する制約を使用することができる。
[00216] 幾つかの実施形態において、異なるゼルニケ係数を決定するために、異なる制約を使用することができる。例えば、第2及び第3のゼルニケ係数を決定するために使用される制約とは異なる、第4のゼルニケ係数を決定するための制約を使用することができる。特に、第2及び第3のゼルニケ係数を決定するために、コンポーネントの湾曲に関係する制約(例えば、2次項を含む制約)を使用しないことが望ましい場合がある。しかしながら、コンポーネントの湾曲に関係する制約は、第4のゼルニケ係数(及び/又は他のゼルニケ係数)を決定するために使用することができる。
[00217] 1つ以上のゼルニケ係数を決定するために選択される制約は、制約の基礎となる物理的仮定、及び決定されることになる1つ以上のゼルニケ係数に与える物理的仮定の影響に基づいて行うことができる。一般に、測定を実行するためにパターニングデバイス及びセンサ装置のうちの少なくとも1つが互いに関係して2つの異なる方向(例えば、x及びyの方向)に移動され、収差が3次元で決定される、実施形態において、各フィールドポイントで各ゼルニケ係数を決定するために、合計9つの異なる制約を設計マトリックスに追加することができる。
[00218] 幾つかの実施形態において、第2及び第3のゼルニケ係数を決定するために制約の同じセットを使用することが可能であり、第4のゼルニケ係数を決定するために制約の異なるセットを使用することができる。
[00219] 幾つかの実施形態において、第2及び/又は第3のゼルニケ制約を決定するために使用される制約は、パターン付き領域15のオフセットの合計がx及びyの両方の方向でゼロに等しいことを仮定する形の制約を含むことができる(すなわちこの仮定は、1つはx方向、もう1つはy方向の、2つの別々の制約を形成する)。こうした制約は、式(2)を参照しながら前述した制約と同様の形を有することができる。制約は、検出器領域25のオフセットの合計がx及びyの両方の方向でゼロに等しいことを仮定する形の制約を、更に含むことができる(すなわちこの仮定は、1つはx方向、もう1つはy方向の、2つの別々の制約を形成する)。こうした制約は、式(1)を参照しながら上記で説明した制約と同様の制約を更に含むことができる。
[00220] 制約は、測定パターニングデバイスMA’の傾斜又は拡大に関係する、x及びyの線形項の形の制約を更に含むことができる。例えば制約は、センサ装置の拡大がx及びyの両方の方向で設計の拡大に実質的に等しいものと仮定する形の制約を含むことができる(すなわちこの仮定は、1つはx方向、もう1つはy方向の、2つの別々の制約を形成する)。こうした制約は、式(4)を参照しながら上記で説明した制約と同様の形を有することができる。制約は、センサ装置21の測定がx方向又はy方向に傾斜していないものと仮定する形の制約を更に含むことができる(すなわちこの仮定は、1つはx方向、もう1つはy方向の、2つの別々の制約を形成する)。
[00221] 制約は、測定パターニングデバイスMA’及びセンサ装置21の相対的移動が、z軸を中止とする回転の形のいずれのオフセットも含まないものと仮定する形の制約を更に含むことができる。
[00222] 幾つかの実施形態において、前述の制約は、第2及び第3のゼルニケ係数を決定するために使用される設計マトリックスに追加される9つの制約を形成することができる。
[00223] 第4のゼルニケ係数を決定するために使用される制約のセットは、前述の制約とは異なってよい。幾つかの実施形態において、第4のゼルニケ係数を決定するために使用される制約は、z方向のパターン付き領域15のオフセットの合計がゼロに等しいという仮定の形の制約を含むことができる。制約は、z方向の検出器領域25のオフセットの合計がゼロに等しいという仮定の形の制約を更に含むことができる。
[00224] 制約は、x及びyにおける位置の関数としてのz方向における位置の変化に関係する、x及びyの線形項の形の制約を更に含むことができる。例えば制約は、z方向の検出器領域25の位置がx又はyの関数として変化しないという仮定の形の制約を含むことができる(即ちこの仮定は、1つはx方向、もう1つはy方向の、2つの別々の制約を形成する)。
[00225] 制約は、測定パターニングデバイスMA’及びセンサ装置21の相対的移動が、x軸を中心とする回転又はy軸を中心とする回転の形の、いずれのオフセットも含まないことを仮定する形の制約を更に含むことができる(すなわちこれらの仮定は、1つはx軸を中心とする回転に関係し、1つはy軸を中心とする回転に関係する、2つの別々の制約を形成する)。
[00226] 制約は、2次項の形の制約を更に含むことができる。例えば制約は、測定パターニングデバイスMA’及びセンサ装置21の相対的移動がx方向又はy方向のいずれの湾曲も含まないこと、並びに、x掛けるyの関数としてのオフセットを含まないことを仮定する形の制約を含むことができる(すなわちこの仮定は、3つの別々の制約を形成する)。
[00227] 幾つかの実施形態において、前述の制約は、第2及び第3のゼルニケ係数を決定するために使用される設計マトリックスに追加される9つの制約を形成することができる。
[00228] 他の実施形態において、上記で説明した以外の制約を使用してもよい。しかしながら前述の制約は、第2、第3、及び第4のゼルニケ係数を導出する際に(前述のように)使用することが特に有利であることがわかっている。
[00229] 幾つかの実施形態において、物理的仮定の形の制約を使用することの代替として、1つ以上の制約を、別のセンサによって行われた測定から導出された情報に置き換えることができる。例えば、1つ以上のアライメントセンサをリソグラフィ装置内で使用することが可能であり、1つ以上のアライメントセンサによって行われた測定の結果を物理的仮定に基づく制約の代わりに設計マトリックスに追加することができる。幾つかの実施形態において、別々のアライメントセンサを使用して、センサ装置21及び検出器領域25に関連付けられたオフセット及び/又は拡大を測定することができる。これらの測定は、センサ装置21及び検出器領域25のオフセット及び/又は拡大に関与する仮定に関係する制約の代わりに、設計マトリックスに追加することができる。仮定に基づくのではなく測定から導出された情報を使用することは、有利には、決定された収差の精度の向上につながり得る。
[00230] 以上、投影システムPLに起因する収差を決定するために好適な方法及び装置を説明してきた。特に、複数のパターン付き領域を含む測定パターニングデバイスは放射によって照明され、それによって複数の測定ビームを形成する。測定ビームは、複数の検出器領域を含むセンサ装置上に、投影システムによって投影される。測定パターニングデバイス及びセンサ装置は、少なくとも2つの異なる相対的構成内に位置決めされる。少なくとも1つの相対的構成において、センサ装置の検出器領域のうちの少なくとも1つが、他の相対的構成のうちの少なくとも1つにおけるそれぞれの検出器領域で受け取る測定ビームとは異なる測定ビームを受け取る。これにより、複数の異なる検出器領域で測定ビームを測定することが可能になる。
[00231] 複数の異なる検出器領域で測定ビームを測定することにより、センサ装置の構成、位置、及び配向などの、センサ装置の特性に関する情報が提供される。異なる検出器領域で行われる測定ビームの異なる測定を組み合わせて、センサ装置の未知の特性を補償しながら、投影システムに起因する収差を導出することができる。これにより、より低次及びより高次の両方のゼルニケ係数に関係する収差を、測定のセットから同時に決定できることになる。次いで、投影システムPLは、単一の調節プロセスにおいて決定された収差に応答して調節することができる。これにより、有利には、異なる収差が決定され、調節が複数回行われる、反復較正プロセスと比較した場合、大幅な時間の節約が提供される。例えば、投影システムに起因する収差を決定すること、及び、決定された収差を補正するために反復較正プロセスとして投影システムを調節することは、完了するまでにおよそ46時間を要する場合がある。
[00232] 反復較正プロセスとは対照的に、本明細書で開示する方法及び装置は、完了するまでにおよそ23時間を要する較正プロセスで、投影システムに起因する収差を決定及び補正することができる。したがって、本明細書で開示する方法及び装置は、有利には、投影システムの較正を完了するために必要な時間を、およそ2分の1又はそれ以上削減することができる。投影システムの較正を完了するために必要な時間を削減することは、有利には、較正プロセスを実行するためにリソグラフィ装置がオフラインとなる時間を削減する。
[00233] 前述の実施形態において、所与の測定ビームが受け取られるセンサ装置21の検出器領域25を変更するために、測定パターニングデバイスMA’に関連してセンサ装置21が移動される。幾つかの実施形態において、追加又は代替として、センサ装置21の特定の検出器領域25で受け取られる測定ビームを変更するために、センサ装置21に関連して測定パターニングデバイスMA’を移動させることができる。
[00234] 本明細書との関連において、測定ビームは、測定ビームが修正される測定パターニングデバイスMA’のパターン付き領域15によって識別される。例えば、測定パターニングデバイスMA’及びセンサ装置21は、第1のパターン付き領域で修正される第1の測定ビームが第1の検出器領域で受け取られる、第1の相対的構成内に配置することができる。次いで、測定パターニングデバイスMA’は、第1のパターニングデバイスで修正される第1の測定ビームが第1の検出器領域とは異なる第2の検出器領域で受け取られるように、センサ装置21に関連して移動させることができる。測定パターニングデバイスMA’の移動の結果として、第2のパターン付き領域で修正された第2の測定ビームが、第2の相対的構成内の第1の検出器領域で受け取られることも可能になる。したがって、測定デバイスMA’の移動は、所与の検出器領域で受け取られる測定ビームを変更すること、及び、所与の測定ビームを複数の検出器領域で測定できるようにすることを可能にし得る。前述のように、複数の検出器領域での所与の測定ビームの測定は、有利には、投影システムに起因する収差を決定することが可能な情報を提供する。
[00235] センサ装置21の移動とは反対に、測定パターニングデバイスMA’の移動は、測定パターニングデバイスMA’の特性に関するより多くの情報を提供することができる。前述のように、センサ装置21の移動により、センサ装置21の未知の特性及びセンサ装置21の移動を補償しながら、投影システムPLに起因する収差を決定することができる。これにより、投影システムPLに起因する収差と、センサ装置21の特性における不確実性に起因する収差とを区別することができる。測定パターニングデバイスMA’の移動により、測定パターニングデバイスMA’の未知の特性及び測定パターニングデバイスMA’の移動を補償しながら、投影システムPLに起因する収差を決定することができる。これにより、投影システムPLに起因する収差と、測定パターニングデバイスMA’の特性における不確実性に起因する収差とを区別することができる。
[00236] 幾つかの実施形態において、測定パターニングデバイスMA’を、センサ装置21に関連してy方向にシフトさせることができる。図1及び図2を参照しながら上記で説明したように、測定パターニングデバイスMA’は、リソグラフィ装置の支持構造MTによって支持され得る。リソグラフィ装置の支持構造MTは、y方向に移動するように構成され得る。例えばリソグラフィ装置の通常使用中、基板Wに関連してパターニングデバイスMAをスキャンするために、支持構造がパターニングデバイスMAをy方向にスキャンすることができる。したがって、支持構造MTを改変せずに、測定パターニングデバイスMA’のy方向の移動が達成され得る。幾つかの実施形態において、追加又は代替として、測定パターニングデバイスMA’をx方向に移動させることができる。
[00237] 幾つかの実施形態において、センサ装置21を移動させる代わりに、測定パターニングデバイスMA’を移動させることができる。他の実施形態において、測定パターニングデバイスMA’及びセンサ装置21の両方を移動させることができる。例えば、測定パターニングデバイスMA’及びセンサ装置21のうちの1つを(例えば、x及び/又はyの方向に)移動させることができ、複数の異なる相対的構成内で第1の複数の測定を行うことができる。続いて、測定パターニングデバイスMA’及びセンサ装置21のうちの他方を(例えば、x及び/又はyの方向に)移動させることができ、複数の異なる相対的構成内で第2の複数の測定を行うことができる。投影システムPLに起因する収差を決定するために、第1の複数の測定を第2の複数の測定と組み合わせることができる。
[00238] 測定パターニングデバイスMA’及び/又はセンサ装置21が互いに関連してx及び/又はyの方向に移動される方法を上記で説明してきたが、幾つかの実施形態において、測定パターニングデバイスMA’及び/又はセンサ装置21の移動は、互いに関連して他の方向に移動される。例えば、測定パターニングデバイスMA’及び/又はセンサ装置21は、互いに関連して第1の方向及び第2の方向に移動され得る。幾つかの実施形態において、第1の方向は第2の方向に対して垂直であってよい(例えば、x及びyの方向)。しかしながら他の実施形態において、第1の方向は第2の方向に対して垂直でなくてよい。例えば幾つかの実施形態において、第1の方向は第2の方向とおよそ60°以下の角度を形成することができる。
[00239] これまで、投影システムPLに起因する収差を決定するためにシャーリング干渉法が使用される実施形態を説明してきた。前述のように、シャーリング干渉法測定によって、より低次及びより高次の両方の収差を測定から決定することができる。例えば波面の配置収差(例えば、第2、第3、及び第4のゼルニケ係数)が決定され得、より高次の収差(例えば、5以上のNollインデックスを有するゼルニケ係数)が決定され得る。
[00240] しかしながら、幾つかの実施形態において、シャーリング干渉法以外の方法が使用可能である。こうした実施形態において、測定は、波面の配置収差(例えば、第2、第3、及び第4のゼルニケ係数)を決定するためにのみ使用され、より高次の収差を決定するためには使用されない場合がある。例えば、投影システムPLによって形成されるイメージの位置合わせを決定するために好適であり、透過イメージセンサ又は空間イメージセンサと呼ばれることのある測定システムが、本発明に従って使用可能である。
[00241] 透過イメージセンサは、複数のパターン付き領域(アライメントマークと呼ばれることがある)を含むパターニングデバイスと、複数の検出器領域を含むセンサ装置とを含む。パターン付き領域は、例えば、各々一連の平行な透過スリットを含むことができる。パターン付き領域によって透過される放射は、測定ビームを形成する。センサ装置は、測定ビームを受け取るように配置された複数の検出器領域を含む。各検出器領域は、例えば、パターン付き領域(例えば、一連の平行な透過スリット)、及びパターン付き領域によって透過される測定ビームを受け取るように配置された放射検出器を含むことができる。放射検出器は、センサ装置のパターン付き領域で透過される測定ビームの強度を測定するように構成される。
[00242] 測定システムの他の実施形態に関連して上記で説明したように、パターニングデバイス及び/又はセンサ装置は、互いに関連して複数の相対的構成間で移動することができる。例えば、パターニングデバイス及び/又はセンサ装置は、検出器領域のうちの少なくとも幾つかが各々測定ビームを受け取る少なくとも第1の相対的構成と、パターニングデバイス及びセンサ装置が第1の相対的構成内に位置決めされた時に、検出器領域のうちの少なくとも幾つかがそれぞれの検出器領域で受け取られた測定ビームとは異なる測定ビームを受け取る第2の相対的構成との間で、移動することができる。
[00243] 各相対的構成において、センサ装置によって1つ以上の測定を行うことができる。例えば、各放射検出器上に入射する放射の強度を、各相対的構成内で測定することができる。幾つかの実施形態において、センサ装置及び/又はパターニングデバイスが所与の相対的構成(例えば、第1又は第2の相対的構成)内にとどまっている間に、センサ装置及び/又はパターニングデバイスは互いに関連して移動することができる。例えばセンサ装置は、各検出器領域で受け取られる測定ビームが同じである間に、x、y、及び/又はzの方向に移動することができる。各放射検出器上に入射する放射の強度における変動が測定可能であり、投影システムによって投影されるイメージの配置に関する情報を提供することができる。
[00244] 第1の相対的構成内で行われる測定をまとめて第1の測定と呼び、第2の相対的構成内で行われる測定をまとめて第2の測定と呼ぶことができる。前述の実施形態と同様に、第1及び第2の測定は、投影システムに起因する収差を決定するために使用することができる。決定される収差は、例えば、センサ装置上に入射する波面の配置に対応することができ、4以下のNollインデックスを有する1つ以上のゼルニケ係数を決定することによって決定することができる。
[00245] パターニングデバイス及びセンサ装置が複数の異なる相対的構成内にある間に測定ビームを測定することにより、結果として、少なくとも1つの測定ビームが複数の検出器領域で測定されることになる。他の実施形態を参照しながら上記で説明したように、これは有利には、センサ装置に関する情報を提供することができる。したがって、センサ装置の未知の特性を補償しながら、投影システムに起因する収差を決定することができる。
[00246] より低次の配置収差を決定するために透過イメージ型センサが使用される実施形態において、より高次の収差を決定することが可能な追加の測定を使用することができる。例えば、追加として前述のタイプのシャーリング干渉法測定を行うことが可能であり、より高次(例えば、5以上のNollインデックスを有するゼルニケ係数)を決定することが可能である。
[00247] これまで、測定システムが透過型である実施形態を説明してきたが、他の実施形態では反射型測定システムが使用可能である。例えば、パターニングデバイスは反射性パターン付き領域を含むことが可能であり、投影システムは1つ以上の反射光学系を含むことが可能であり、並びに/或いは、検出器領域は反射光学系を含むことが可能である。
[00248] 以上、本発明の特定の実施形態を説明してきたが、本発明は記載された以外の方法で実施されてもよいことが理解されよう。この説明は、本発明を限定することを意図していない。