以下に添付図面を参照して、実施形態にかかるエレベータのロープ診断装置および方法を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではない。
(実施形態)
図1は、実施形態のロープ診断装置100が設置されるエレベータシステム1の概略構成例を示す図である。本図では、機械室8を備えるエレベータシステム1を例示するが、本実施形態は、機械室8の有無にかかわらず適用可能である。
エレベータシステム1は、複数の階床を備える建物に設置される。エレベータシステム1は、昇降路2、複数の乗り場3、複数のドア4、かご5、ロープ6、およびつり合いおもり7を含む。本図は、1つの号機のかご5を有するエレベータシステム1を例示しているが、本実施形態は複数号機のかご5を有するエレベータシステム1にも適用可能である。
エレベータシステム1は、ロープ6の一端にはかご5が接続され、ロープ6の他端につり合いおもり7が接続された、いわゆるつるべ式のエレベータが採用されている。各乗り場3は、建物のそれぞれ異なる階床に設けられている。各乗り場3にはドア4が設けられている。エレベータシステム1は、かご5を昇降路2内を昇降せしめることで、利用者を任意の階床の乗り場3から任意の階床の乗り場3まで移動させる。利用者は、乗り場3にかご5が着床した際に、その乗り場3に設けられたドア4を介してかご5に乗降することが可能である。
エレベータシステム1は、機械室8、巻上機9、そらせシーブ10、マシンビーム11、マシンベッド12、およびエレベータ制御装置13をさらに含む。機械室8は、昇降路2の真上のスペースを含む屋上部に設けられている。機械室8内の昇降路2の真上のスペースの床部には、マシンビーム11が取り付けられている。マシンビーム11には、マシンベッド12が固定されており、マシンベッド12には、巻上機9およびそらせシーブ10が載置されている。
巻上機9は、巻上シーブ14と、巻上シーブ14を回転させるモータ15とを備える。ロープ6は、かご5側の端部が巻上シーブ14側に下垂するように、巻上シーブ14およびそらせシーブ10に掛けられている。モータ15が巻上シーブ14を回転駆動すると、巻上シーブ14は、巻上シーブ14とロープ6との間に生じる摩擦力によってロープ6を走行させる。
モータ15は、モータ15の回転に応じてパルス信号を発生するパルスジェネレータ16を備える。パルス信号は、エレベータ制御装置13に送られる。
エレベータ制御装置13は、パルスジェネレータ16、モータ15、かご5内に設けられた不図示のかご内操作盤、および、各乗り場3に設けられた不図示の乗り場操作盤、などと電気的に接続され、エレベータシステム1の動作を統括的に制御する。
例えば、エレベータ制御装置13は、かご内操作盤または乗り場操作盤への利用者からの操作入力に応じてかご5の停止予定階を決定する。そして、エレベータ制御装置13は、パルスジェネレータ16から受信するパルス信号に基づいてかご5の現在位置(以降、かご位置)を逐次演算し、演算されたかご位置をフィードバックしながらモータ15の駆動を制御することで、かご5を停止予定階まで移動させる。
エレベータ制御装置13は、例えば、演算装置、記憶装置、および通信インタフェース装置を備える。即ち、エレベータ制御装置13は、コンピュータと同様の構成を備えている。記憶装置は、データおよびプログラムを保持可能な装置である。記憶装置は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、またはこれらの組み合わせによって構成される。演算装置は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。演算装置は、記憶装置に予めインストールされた制御プログラムに基づいて、上述した制御を実現する。なお、エレベータ制御装置13の構成は、必ずしもコンピュータと同様の構成でなくてもよい。
ロープ6は、例えば、金属製の複数の素線を撚り合わせた構成を有する。ロープ6は、異常箇所がないか、所定のタイミングで診断される。ロープ6の診断時には、エレベータシステム1に、ロープ診断装置100と、ロープ6の画像を撮像する撮像装置200と、が設置される。
撮像装置200は、かご5の昇降時にかご5およびつり合いおもり7と干渉しないように、巻上シーブ14の近傍に設置される。図1の例では、撮像装置200は、マシンベッド12上に設置されている。マシンベッド12上では、撮像装置200は、マシンベッド12に固定されてもよいし、マシンベッド12に固定されなくてもよい。
撮像装置200は、第1の撮像部としての機能と、第2の撮像部としての機能を有する。第1の撮像部は、第2の撮像部よりも高速な撮像が可能であり、ロープ6が走行せしめられている最中にロープ6の画像を連続的に撮像する。第2の撮像部は、第1の撮像部によって撮像される画像よりも情報量が多い画像を撮像することが可能である。
情報量が多いとは、精度の高い診断に供することが可能であることをいう。例えば、情報量が多いとは、分解能が高いこと、画素の密度が高いこと、低ノイズであること、高感度であること、ダイナミックレンジが広いこと、または、表面の凹凸を示す3次元情報を有すること、などである。
撮像するとは、対象物の像を画像として記録することである。撮像装置200は、光学的な手段で対象物の像を形成して記録するものであってもよいし、音波、電波、磁気、触針など、非光学的な手段を用いて対象物の像を形成して記録するものであってもよい。
撮像装置200は、ラインセンサカメラ201および3次元スキャナ202を備える。ラインセンサカメラ201は、第1の撮像部に相当する。3次元スキャナ202は、第2の撮像部に相当する。3次元スキャナ202としては、任意の方式の装置が採用可能である。例えば、レーザ光を対象物に照射し、照射したレーザ光と対象物から反射するレーザ光との位相差に基づいて対象物の表面までの距離を測定する方式の3次元スキャナが採用可能である。または、触針を対象物に接触させながら移動させることによって対象物の3次元情報を取得するタイプの3次元スキャナが採用可能である。または、ステレオカメラが3次元スキャナ202として採用可能である。
なお、3次元スキャナ202は、ロープ6を一方向からみた画像を撮像するものであってもよいし、ロープ6の軸周りの画像を撮像するものであってもよい。例えば、3次元スキャナ202は、複数台のカメラによって構成され、当該複数台のカメラがロープ6の軸周りに略等間隔に設置されることで、ロープ6の全周囲の画像を撮像する。別の例では、3次元スキャナ202は、ロープ6の走行に応じて自然に発生するロープ6の軸周りの回転を利用することによって、軸周りのできるだけ広い範囲の画像を撮像してもよい。
ロープ診断装置100は、エレベータ制御装置13、撮像装置200、および監視センタ300と、有線または無線の通信路で相互に接続される。通信路の規格は、特定の規格に限定されない。ロープ診断装置100は、任意の場所に設置され得る。例えば、ロープ診断装置100は、機械室8に設置されてもよいし、任意の階床の乗り場3に設置されてもよい。
ロープ診断装置100は、1次診断モードと、2次診断モードと、で動作する。また、ロープ診断装置100は、各診断モードにおいて、エレベータ制御装置13にかご5の移動、換言するとロープ6の走行、を指示することができる。1次診断モードでは、ロープ診断装置100は、ロープ6を走行させ、ラインセンサカメラ201によって、ロープ6の画像を連続的に撮像する。そして、ロープ診断装置100は、撮像によって得られた画像に基づいて異常箇所の検出を行う。2次診断モードでは、ロープ診断装置100は、1次診断モードで検出された異常箇所の画像を、3次元スキャナ202によって撮像する。
図2は、実施形態のロープ診断装置100の構成例を示す図である。ロープ診断装置100は、演算装置110、記憶装置120、表示装置130、入力装置140、および通信インタフェース装置150、を備える。即ち、ロープ診断装置100は、コンピュータと同様の構成を備える。演算装置110、記憶装置120、表示装置130、入力装置140、および通信インタフェース装置150は、ロープ診断装置100に内蔵されるバスに接続されている。
記憶装置120は、データおよびプログラムを保持可能な装置である。記憶装置120を構成するメモリの種類は、特定の種類に限定されない。例えば、記憶装置120は、ROM、RAM、フラッシュメモリ、HDD、SSD、またはこれらの組み合わせによって構成される。記憶装置120には、ロープ診断プログラム450が予めインストールされている。
演算装置110は、プログラムを実行可能な装置であり、例えばCPU(Central Processing Unit)である。演算装置110は、記憶装置120にインストールされたロープ診断プログラム450を実行することによって、第1撮像制御部111、診断部112、および第2撮像制御部113として機能する。第1撮像制御部111、診断部112、および第2撮像制御部113の機能については後述する。
表示装置130は、演算装置110から送られてきた各種情報を作業員が視認可能なように出力する装置であり、例えば、LCD(liquid crystal display)またはOELD(organic electroluminescent display)等である。
入力装置140は、作業員によってロープ診断装置100に入力される操作情報をを受け付ける装置であり、例えば、キーボード、ポインティングデバイス、タッチパネル等である。入力装置140に入力された操作情報は、演算装置110に送られる。
通信インタフェース装置150は、有線または無線の通信路が接続されるインタフェース装置である。ロープ診断装置100と、エレベータ制御装置13、撮像装置200、および監視センタ300とは、通信インタフェース装置150を介して接続される。
第1撮像制御部111は、1次診断モードにおいて、ロープ6を走行させ、ラインセンサカメラ201にロープ6の画像を連続的に撮像させる。
図3は、実施形態のロープ6の撮像方法の一例を説明するための図である。第1撮像制御部111は、ロープ6のうちのできるだけ長い軸方向の範囲を、所定長さの区間60毎に撮像する。第1撮像制御部111は、ロープ6を走行させながらラインセンサカメラ201を連続的に動作させ、区間60毎にラインセンサカメラ201に画像を出力させる。
なお、ここでは一例として、かご5が最下階の乗り場3に着床している場合における撮像装置200の撮像位置から、かご5が最上階の乗り場3に着床している場合における撮像装置200の撮像位置までの範囲が、撮像の範囲であり、第1撮像制御部111は、かご5を最上階から下降させながら撮像を行うこととする。よって、かご5が連結された端部からi番目の区間60を、区間60_iと表記すると、区間60_1、区間60_2、区間60_3、・・・、区間60_n−1、区間60_nの画像が、この順番で撮像される。ここで、nは、撮像の範囲に含まれる区間60の個数である。
各区間60の長さは、必ずしも等しくなくてもよい。例えば、区間60_nは、撮像の範囲から長さが等しいn−1個の区間60_1〜区間60_n−1を除いた余剰部分で構成され、区間60_nの長さは区間60_1〜区間60_n−1のそれぞれよりも短くてもよい。
以降、ラインセンサカメラ201によって撮像された区間60_iの画像を、第1撮像画像401_iと表記することがある。また、第1撮像画像401_1〜第1撮像画像401_nのそれぞれを、第1撮像画像401と総称することがある。
ロープ6の走行中には、第1撮像制御部111は、エレベータ制御装置13から、かご位置を示すかご位置情報を逐次取得する。かご位置情報は、かご位置とリニアに対応する限り、任意の量で表現され得る。第1撮像制御部111は、ラインセンサカメラ201から取得した第1撮像画像401を、その第1撮像画像401の撮像時のかご位置を示すかご位置情報500と対応付けて記憶装置120に保存する。
第1撮像制御部111は、それぞれかご位置情報500が対応づけられた全区間60の第1撮像画像401を記憶装置120に保存するとともに、監視センタ300に送信する。以降、それぞれかご位置情報500が対応づけられた全区間60の第1撮像画像401を、第1撮像画像群400と表記する。
診断部112は、第1撮像画像401と基準画像411とを比較することによって、異常箇所の検出を行う。
基準画像411は、理想的には、異常箇所がまったくない状態でラインセンサカメラ201によって撮影された画像である。ここでは一例として、対象物件のかご5に関してラインセンサカメラ201によって初回に撮像された第1撮像画像401を、基準画像411とみなす。第1撮像画像401の初回の撮像は、例えば、エレベータシステム1の設置時か、エレベータシステム1の設置後のできるだけ早いうちに実行される。診断部112は、それぞれかご位置情報500が対応づけられた全区間60の基準画像411を監視センタ300から記憶装置120に取得し、異常箇所の検出に使用する。以降、それぞれかご位置情報500が対応づけられた全区間60の基準画像411を、基準画像群410と表記する。また、区間60_iの基準画像411を、基準画像411_iと表記することがある。
図4は、実施形態の診断部112による比較方法の一例を示す図である。診断部112は、第1撮像画像401_iと、同一の区間60_iの基準画像411_iとを比較する。診断部112は、第1撮像画像401_iと基準画像411_iとで相違部分(例えば特徴1001、1002)を発見すると、当該相違部分を異常箇所として判断する。診断部112は、比較によって相違部分が発見されなかった場合、異常箇所はない、と判断する。
なお、異常箇所の判断方法は、上記に限定されない。例えば、診断部112は、発見した相違部分が、ロープ6の膨らみ、ロープ6の凹み、素線の断線、素線のほつれ、素線のひび、等のいずれに該当するかを判断し、相違部分がいずれかに分類された場合、その相違部分を異常箇所として判断し、相違部分が上記のいずれにも当てはまらない場合、その相違部分は異常箇所ではない、と判断してもよい。
診断部112は、全区間60にかかる診断の結果を1次診断結果421として記憶装置120に保存するとともに、1次診断結果421を監視センタ300に送信する。1次診断結果421は、一例では、区間60毎に異常箇所の有無を記述した情報である。1次診断結果421の内容はこれに限定されない。
診断部112は、異常箇所を検出した区間60がある場合、2次診断指令を第2撮像制御部113に発行する。2次診断指令は、異常箇所が検出された区間60の第1撮像画像401に対応付けられたかご位置情報500を含む。
第2撮像制御部113は、2次診断指令を受信すると、エレベータ制御装置13に指示して、かご5を、2次診断指令に含まれるかご位置情報500が示す位置に移動させる。換言すると、第2撮像制御部113は、異常箇所が映っている第1撮像画像401の撮像時のかご5の位置に、かご5を移動させる。移動後、第2撮像制御部113は、3次元スキャナ202に異常箇所が発見された区間60の画像を撮像させ、撮像された画像を取得する。なお、3次元スキャナ203による撮像範囲は、異常箇所が発見された区間60を含んでいればよく、異常箇所が発見された区間60よりも広くてもよい。3次元スキャナ202によって撮像された画像を、第2撮像画像431と表記する。
第2撮像制御部113は、第2撮像画像431をかご位置情報500と対応付けて記憶装置120に保存する。第2撮像制御部113は、かご位置情報500が対応づけられた第2撮像画像431を監視センタ300に送信する。
第2撮像制御部113は、取得した第2撮像画像431を表示装置130に表示する。作業員は、表示装置130に表示された第2撮像画像431を視認することによって、1次診断モードにおいて異常箇所として診断された箇所を2次診断することができる。
2次診断の内容は、特定の内容に限定されない。例えば、作業員は、1次診断によって検出された異常箇所は、ノイズなどによって誤検出されたものであるか否かを判断してもよい。または、作業員は、異常箇所として検出された箇所の損傷の程度を診断して、ロープ6の交換の要否または交換時期を判断してもよい。即ち、2次診断では、1次診断によって一定の基準にしたがって検出された異常箇所について、より精密な診断を実行する。
第2撮像制御部113は、作業員による2次診断の結果(2次診断結果441)を入力装置140を介して受け付けることができる。第2撮像制御部113は、2次診断結果441を記憶装置120に保存するとともに、2次診断結果441を監視センタ300に送信する。
なお、第1撮像制御部111、診断部112、および第2撮像制御部113のうちの一部または全部は、ハードウェア回路によって実現されてもよい。
監視センタ300は、実施形態のエレベータシステム1について種々の情報を蓄積記憶するサーバ装置である。監視センタ300は、異なる複数の建物に設けられた複数のエレベータシステム1の分の情報を蓄積記憶することができる。
図5は、実施形態の監視センタ300の構成例を示す図である。監視センタ300は、演算装置310、記憶装置320、および通信インタフェース装置330を備える。即ち、監視センタ300は、コンピュータと同様の構成を備える。演算装置310、記憶装置320、および通信インタフェース装置330は、監視センタ300に内蔵されるバスに接続されている。
記憶装置320は、データおよびプログラムを保持可能なメモリである。記憶装置320を構成するメモリの種類は、特定の種類に限定されない。例えば、記憶装置320は、ROM、RAM、フラッシュメモリ、HDD、SSD、またはこれらの組み合わせによって構成される。
演算装置310は、プログラムを実行可能な装置であり、例えばCPUである。
通信インタフェース装置330は、有線または無線の通信路が接続されるインタフェース装置である。監視センタ300とロープ診断装置100とは、通信インタフェース装置330を介して接続される。
演算装置310は、所定のプログラムに基づいて、データベース管理部311として機能する。データベース管理部311は、記憶装置320に物件データベース321を構築し、物件データベース321を管理する。なお、データベース管理部311は、ハードウェア回路によって実現されてもよい。
物件データベース321は、第1撮像画像群400、基準画像群410、1次診断結果421、第2撮像画像431、2次診断結果441、および物件情報322を記憶する。物件情報322は、個々の号機を特定するための情報であり、例えば、顧客の名称である。エレベータシステム1が複数の号機を含む場合には、物件情報322は、号機番号をさらに含む。即ち、物件データベース321は、号機毎に、第1撮像画像群400、基準画像群410、1次診断結果421、第2撮像画像431、および2次診断結果441を蓄積記憶することができる。
データベース管理部311は、ロープ診断装置100から送られてきた情報を、その情報が取得されたエレベータシステム1を識別する物件情報322と関連づけて物件データベース321に格納する。また、データベース管理部311は、ロープ診断装置100からの要求に応じて基準画像群410を出力する。
なお、ロープ診断装置100は、診断対象の号機(以降、対象物件という)を示す情報とともに、各種情報(第1撮像画像群400、1次診断結果421、第2撮像画像431、および2次診断結果441)を監視センタ300に送信する。また、ロープ診断装置100は、対象物件を示す情報とともに、基準画像群410を取得する要求を監視センタ300に送信する。対象物件を示す情報は、例えば対象物件を示す物件情報322であってもよいし、対象物件を示す物件情報322に変換可能な任意の情報であってもよい。
次に、実施形態のロープ診断装置100を用いた診断の動作を説明する。図6は、実施形態の第1撮像制御部111の動作例を説明するためのフローチャートであり、図7は、実施形態の診断部112の動作例を説明するためのフローチャートであり、図8は、実施形態の第2撮像制御部113の動作例を説明するためのフローチャートであり、図9は、実施形態の監視センタ300の動作例を説明するためのフローチャートである。
図6に例示されるように、第1撮像制御部111はまず、診断開始指示を受け付ける(S101)。診断開始指示は、例えば、作業員によって入力装置140を介してロープ診断装置100に入力され、第1撮像制御部111によって受け付けられる。
第1撮像制御部111は、診断開始指示を受け付けると、まず、かご5を最上階に移動させる(S102)。続いて、第1撮像制御部111は、かご5の下降を開始する(S103)。かご5は、S102の処理によって最上階に着床した後、S103の処理によって下降が開始せしめられる。
第1撮像制御部111は、かご5の下降を開始するとともに、ラインセンサカメラ201による撮像を開始する(S104)。
続いて、第1撮像制御部111は、S105〜S110に示されるループ処理(撮像ループ)を実行する。撮像ループは、かご5が最下階に至るまで繰り返し実行される。
撮像ループにおいては、第1撮像制御部111は、ロープ6の巻上量が1つの区間60分の長さに達すると(S106)、ラインセンサカメラ201から第1撮像画像401を取得する(S107)。第1撮像制御部111は、例えば、エレベータ制御装置13によって逐次演算されるかご位置情報を監視することによって、ロープ6の巻上量を演算することができる。診断開始指示の受信後の初回の撮像ループにおいて、ロープ6の巻上量とは、S103の処理によってかご5の下降が開始してからのロープ6の巻上量をいう。診断開始指示の受信後の2回目以降の撮像ループにおいて、ロープ6の巻上量とは、前回の撮像ループにおけるS106の処理の時点からのロープ6の巻上量をいう。
第1撮像制御部111は、第1撮像画像401を取得したタイミングでかご位置情報500を取得し(S108)、第1撮像画像401をかご位置情報500と対応付けて記憶装置120に保存する(S109)。S108によって取得されたかご位置情報500は、S107の処理によって取得された第1撮像画像401の撮像時のかご位置を示す。
第1撮像制御部111は、撮像ループを、かご5が最下階に至るまで繰り返し実行することによって、第1撮像画像401_1〜第1撮像画像401_nを取得することができる。かご5が最下階に至ると、第1撮像制御部111は、撮像ループを抜け、ラインセンサカメラ201による撮像を停止する(S111)。そして、第1撮像制御部111は、それぞれかご位置情報が対応付けられた全区間60の第1撮像画像401を、第1撮像画像群400として監視センタ300に送信し(S112)、動作を終了する。
第1撮像制御部111が第1撮像画像群400を取得した後、診断部112は、動作を開始することができる。
図7に例示されるように、診断部112は、全区間60の基準画像411(基準画像群410)を監視センタ300から記憶装置120に取得する(S201)。具体的には、診断部112は、基準画像群410を取得する要求を監視センタ300に送信し、監視センタ300から送られてきた基準画像群410を記憶装置120に保存する。
続いて、診断部112は、S202〜S207に示されるループ処理(診断ループ)を実行する。診断ループは、第1撮像画像群400に含まれる全ての第1撮像画像401が選択済みとなるまで、繰り返し実行される。
診断ループでは、第1撮像画像群400から、未選択の第1撮像画像401を1つ、選択する(S203)。そして、診断部112は、基準画像群410から、S203の処理によって選択された第1撮像画像401と同一の区間60の基準画像411を選択する(S204)。診断部112は、各第1撮像画像401に対応付けられたかご位置情報500と、各基準画像411に対応付けられたかご位置情報500とに基づいて、S203の処理によって選択された第1撮像画像401と同一の区間60の基準画像411を特定することができる。
診断部112は、選択した第1撮像画像401および基準画像411を相互に比較することによって、対応する区間60の診断を実行する(S205)。そして、診断部112は、診断の結果を1次診断結果421として記憶装置120に保存する(S206)。
第1撮像画像群400に含まれる全ての第1撮像画像401が選択済みとなると、診断部112は、診断ループを抜けて、1次診断結果421を監視センタ300に送信する(S208)。また、診断部112は、1次診断結果421を表示装置130に表示する(S209)。
続いて、診断部112は、何れかの区間60で異常箇所が検出されたか否かを判定する(S210)。異常箇所が検出された場合(S210、Yes)、診断部112は、第2撮像制御部113に対し、2次診断指示を発行する(S211)。2次診断指示は、異常箇所が検出された区間60の第1撮像画像401に対応付けられているかご位置情報500を含む。複数の区間60で異常箇所が検出された場合には、診断部112は、2次診断指示に複数のかご位置情報500を含めてもよい。診断部112は、2次診断指示を送信後、動作を終了する。
何れの区間60でも異常箇所が検出されなかった場合(S210、No)、診断部112は、S211の処理をスキップして、動作を終了する。
図8に例示されるように、第2撮像制御部113は、2次診断指示を受け付けると(S301)、エレベータ制御装置13に指示して、かご5を、2次診断指示に含まれていたかご位置情報500が示す位置に移動させる(S302)。この処理によって、異常が検出された区間60が、撮像装置200による撮像が可能な位置まで移動する。
続いて、第2撮像制御部113は、3次元スキャナ202による撮像を実行する(S303)。この処理によって、異常が検出された区間60を映した第2撮像画像431が撮像される。第2撮像制御部113は、3次元スキャナ202から、撮像された第2撮像画像431を取得する(S304)。そして、第2撮像制御部113は、第2撮像画像431を、2次診断指示に含まれていたかご位置情報500と対応づけて、記憶装置120に保存する(S305)。
なお、S304の処理では、3次元スキャナ202は、異常が検出された区間60を映した第1撮像画像401の撮像範囲を含む第2撮像画像431を撮像する。第2撮像制御部113は、ロープ6をゆっくり走行させながら第2撮像画像431を撮像してもよい。
続いて、第2撮像制御部113は、かご位置情報500と対応付けられた第2撮像画像431を監視センタ300に送信する(S306)。
また、第2撮像制御部113は、第2撮像画像431を表示装置130に表示する(S307)。作業員は、表示装置130に表示された第2撮像画像431を確認することによって、ロープ6を直接に視認したり触診したりせずとも、詳細な診断(2次診断)を実行することができる。
作業員は、入力装置140を操作することによって、2次診断の結果(2次診断結果441)をロープ診断装置100に入力することができる。2次診断結果441の内容は特定の内容に限定されない。2次診断結果441は、例えば、かご位置情報500と対応づけて診断結果を記録した情報である。
第2撮像制御部113は、2次診断結果441の入力を受け付けると(S308)、入力された2次診断結果441を記憶装置120に保存する(S309)。そして、第2撮像制御部113は、2次診断結果441を監視センタ300に送信し(S310)、動作を終了する。
なお、2次診断指示に複数のかご位置情報500が含まれている場合には、第2撮像制御部113は、S302〜S310の処理を2次診断指示に含まれたかご位置情報500毎に実行する。第2撮像制御部113は、S302〜S310の処理のうちの一部の処理を2次診断指示に含まれた全てのかご位置情報500について実行した後に、S302〜S310の処理のうちの残りの処理を2次診断指示に含まれた全てのかご位置情報500について実行してもよい。また、第2撮像制御部113は、S302〜S310の処理の一部の処理を、2次診断指示に含まれた全てのかご位置情報500について一括して実行してもよい。
一例では、第2撮像制御部113は、S302〜S305の処理を2次診断指示に含まれたかご位置情報500毎に繰り返し実行することによって、まず、異常箇所が検出された全ての区間60について第2撮像画像431を取得する。そして、第2撮像制御部113は、取得した全ての第2撮像画像431をS307の処理において一括して監視センタ300に送信する。そして、第2撮像制御部113は、S307〜S309の処理を2次診断指示に含まれたかご位置情報500毎に繰り返し実行することによって、異常箇所が検出された全ての区間60について2次診断結果441を取得する。そして、第2撮像制御部113は、取得した全ての2次診断結果441をS310の処理において一括して監視センタ300に送信する。
図9に例示されるように、監視センタ300では、データベース管理部311が、S112の処理において第1撮像制御部111によって送信された第1撮像画像群400を受信すると(S401)、データベース管理部311は、同一物件の第1撮像画像群400を過去に受信したことがあるか否かを判定する(S402)。
同一物件の第1撮像画像群400を過去に受信したことがあると判定された場合(S402、Yes)、データベース管理部311は、S401の処理によって受信した第1撮像画像群400を、対象物件の物件情報322と関連付けて、基準画像群410として物件データベース321に追加する(S403)。
同一物件の第1撮像画像群400を過去に受信したことがないと判定された場合(S402、No)、データベース管理部311は、S401の処理によって受信した第1撮像画像群400を対象物件の物件情報322と関連付けて物件データベース321に追加する(S404)。
また、データベース管理部311は、S201の処理において診断部112によって送信された、基準画像群410を取得する要求を受信すると(S405)、対象物件の物件情報322に関連付けられた基準画像群410を読み出して、ロープ診断装置100に送信する(S406)。
また、データベース管理部311は、S208の処理において診断部112によって送信された1次診断結果421を受信すると(S407)、その1次診断結果421を対象物件の物件情報322と関連づけて物件データベース321に追加する(S408)。
また、データベース管理部311は、S306の処理において第2撮像制御部113によって送信された第2撮像画像431を受信すると(S409)、その第2撮像画像431を対象物件の物件情報322と関連付けて物件データベース321に追加する(S410)。
また、データベース管理部311は、S310の処理において第2撮像制御部113によって送信された2次診断結果441を受信すると(S411)、その2次診断結果441を対象物件の物件情報322と関連付けて物件データベース321に追加する(S412)。
なお、図9の例では、監視センタ300では、第1撮像画像群400の受信にかかる処理(S401〜S404)と、基準画像群410を取得する要求に応答する処理(S405〜S406)と、1次診断結果421の受信にかかる処理(S407〜S408)と、第2撮像画像431の受信にかかる処理(S409〜S410)と、2次診断結果441の受信にかかる処理(S411〜S412)と、がこの順番で実行されるとしているが、処理の順番はこれに限定されない。データベース管理部311は、任意の情報(第1撮像画像401、1次診断結果421、第2撮像画像431、または2次診断結果441)を任意のタイミングでロープ診断装置100から受信して、受信した情報を物件データベース321に追加することができる。さらに、データベース管理部311は、任意の情報(第1撮像画像401、1次診断結果421、第2撮像画像431、または2次診断結果441)を取得する要求を任意のタイミングでロープ診断装置100から受信して、要求された情報を物件データベース321から読み出してロープ診断装置100に送信することができる。
なお、以上の説明では、エレベータシステム1は機械室8を備える、として説明した。実施形態のロープ診断装置100は、機械室8を備えないエレベータシステム1に対しても適用可能である。機械室8を備えないエレベータシステム1では、例えば、巻上機9は、昇降路2の天井付近に設けられる。撮像装置200は、昇降路2内でかご5を昇降自在に支持する不図示のガイドレールの上端であって、巻上シーブ14の近傍に固定され得る。
また、以上の説明では、撮像装置200は例えばラインセンサカメラ201である第1の撮像部と例えば3次元スキャナ202である第2の撮像部とを備える、として説明した。撮像装置200は、1つの筐体に第1および第2の撮像部が収容された構成を備えていてもよいし、第1の撮像部が収容された一の筐体と第2の撮像部が収容された他の筐体とを備える複数の筐体によって構成されてもよい。
また、撮像装置200は、1台のカメラによって第1および第2の撮像部としての機能を実現してもよい。例えば、撮像装置200は、画素の密度が低いが高速な撮像が可能な第1撮像モードと、画素の密度が高いが撮像速度が低速である第2撮像モードと、のいずれのモードでも動作が可能な1台のカメラである。撮像装置200は、第1撮像モードで動作することによって第1の撮像部として機能し、走行中のロープ6を連続撮影する。また、撮像装置200は、第2撮像モードで動作することによって第2の撮像部として機能し、第1撮像モードによって撮像される画像よりも情報量が多い画像を撮像する。
また、撮像装置200は、撮像位置を照らすための光源を備えていてもよいし、光源を備えていなくてもよい。
また、以上の説明では、第1撮像制御部111は、例えばラインセンサカメラ201である第1の撮像部から区間60毎に第1撮像画像401を取得する、として説明した。第1撮像制御部111は、第1の撮像部に、全区間60の第1撮像画像401を含む1つの動画として撮像させ、動画を構成する対応する第1撮像画像401にかご位置情報500を対応付けてもよい。
また、以上の説明では、ロープ診断装置100は、まず、1次診断モードで動作し、全区間60の1次診断が完了した後、2次診断モードでの動作を開始する、として説明した。1次診断モードと2次診断モードとの切り替え方法は、これに限定されない。
一例では、ロープ診断装置100は、或る区間60(区間60_iとする)について第1撮像画像401_iの撮像、基準画像411_iの取得、および第1撮像画像401_iと基準画像411_iとの比較に基づいた1次診断を実行する。1次診断によって区間60_iに異常箇所が発見されなかった場合に、ロープ診断装置100は、次の区間(区間60_i+1とする)について、第1撮像画像401_i+1の撮像、基準画像411_i+1の取得、および第1撮像画像401_i+1と基準画像411_i+1との比較に基づいた1次診断を実行する。1次診断によって区間60_iに異常箇所が発見された場合、ロープ診断装置100は、区間60_iの第2撮像画像431を撮像し、その後、第1撮像画像401_i+1の撮像、基準画像411_i+1の取得、および第1撮像画像401_i+1と基準画像411_i+1との比較に基づいた1次診断を実行する。
また、以上の説明では、ロープ診断装置100および撮像装置200は、ロープ6の診断の際に設置される、として説明した。ロープ診断装置100および撮像装置200のうちの一方または両方は、エレベータシステム1に常設されてもよい。
また、以上の説明では、ロープ診断装置100は、例えば診断開始指示(S101)の入力および2次診断結果441の入力(S308)など、作業員による操作入力を受け付けて、受け付けた操作入力に応じて動作する、として説明した。必要とされる作業員による操作入力は、これだけに限定されない。ロープ診断装置100は、任意の処理が完了した後、動作を停止して作業員からの操作入力を待ち受けて、当該操作入力を受け付けた場合に次の処理に進んでもよい。
また、ロープ診断装置100は、ロープ診断装置100から離れた場所に設置された他のコンピュータ(例えば監視センタ300)から診断開始指示などの各種指示を受け付けて、受け付けた指示に応じて動作することで、作業員によるロープ診断装置100への操作入力を不要としてもよい。
また、作業員は、監視センタ300の物件データベース321に記憶された第2撮像画像431を任意のコンピュータに取得して、取得した第2撮像画像431をそのコンピュータの表示装置に表示させることによって2次診断を実行してもよい。また、作業員は、2次診断結果441を、そのコンピュータに入力し、監視センタ300に送信してもよい。
例えば、ロープ診断装置100および撮像装置200がエレベータシステム1に常設され、ロープ診断装置100は、ロープ診断装置100から離れた場所に設置された他のコンピュータ(監視センタ300または任意のコンピュータ)からの指示に応じて動作するように構成されることで、作業員は、エレベータシステム1の設置場所に赴くことなくロープ6の診断を実行することが可能となる。
また、以上の説明では、作業員が第2撮像画像431を視認して2次診断を実行する、として説明した。2次診断は、1次診断の場合と同様に、作業員ではなくロープ診断装置100によって実行されてもよい。例えば、2次診断用の基準画像群が3次元スキャナ202によって予め撮像されて監視センタ300の物件データベース321に記憶される。2次診断用の基準画像群は、それぞれかご位置情報500と対応付けられた全区間60の第2撮像画像431であり、例えば、エレベータシステム1において全区間60の第1撮像画像401が最初に撮像される際などに一括して撮像される。ロープ診断装置100は、1次診断において異常箇所が検出された場合、異常箇所が検出された区間60の2次診断用の基準画像を監視センタ300から取得する。そして、ロープ診断装置100は、取得した2次診断用の基準画像とS304の処理によって取得した第2撮像画像431とを比較することによって、2次診断を実行する。2次診断のアルゴリズムは、特定のアルゴリズムに限定されない。
以上述べたように、本発明の実施形態によれば、第1撮像制御部111は、ロープ6を走行させ撮像装置200にロープ6のそれぞれ異なる部分を映した複数の第1撮像画像401を撮像させ、複数の第1撮像画像401のそれぞれに撮像時のかご位置を対応付ける。診断部112は、かご位置が対応付けられた複数の第1撮像画像401に基づいて異常箇所の検出を行う。第2撮像制御部113は、診断部112によって異常箇所が検出された場合に、異常箇所が映っている第1撮像画像401の撮像時のかご位置にかご5を移動させ、撮像装置200に、異常箇所の第2撮像画像431を撮像させる。第2撮像画像431は、各第1撮像画像401よりも情報量が多い画像である。
この構成により、作業員は、第2撮像画像431を確認することで詳細な診断を行うことが可能である。よって、作業員は、昇降路2または機械室8の狭隘なスペースにおいてロープ6を直接視認したり直接触診したりすること無くロープ6の詳細な診断を行うことが可能となるので、ロープ診断装置100は利便性が高い。また、作業員がロープ6を直接視認したり直接触診したりしてロープ6を診断する場合に比べて、診断にかかる時間が短縮される。
また、本発明の実施形態によれば、第2撮像制御部113は、診断部112によって検出された異常箇所が映っている第1撮像画像401の撮像範囲を含む第2撮像画像431を撮像装置200に撮像させる。この構成により、第2撮像制御部113は、1次診断によって発見された異常箇所を確実に映した第2撮像画像431を取得することが可能である。
また、本発明の実施形態によれば、第1撮像制御部111は、撮像装置200に第1撮像画像401を撮像させる際に、ロープ6を走行させる。ロープ6の走行速度は、特定の速度に限定されない。ロープ6の走行速度の上限は、例えばラインセンサカメラ201である第1の撮像部が撮像可能な速度に依存する。十分に高速な撮像が可能な第1の撮像部が採用される場合には、第1撮像制御部111は、通常運行時のロープ6の速度と同じ速度でロープ6を走行させてもよい。通常運行とは、一般の利用者をかご5内に乗せて走行することである。
なお、作業員は、作業員がかご5の上に乗って各種作業を行うことがある。かご上作業時には、かご5の上に乗った作業員の安全を確保するために、エレベータ制御装置13は、通常運行時の走行速度よりも遅い速度でロープ6を走行させる。第1撮像制御部111は、かご上作業時の走行速度より速く、通常運行時の走行速度以下の速度で、ロープ6を走行させてもよい。この構成により、第1撮像制御部111は、全区間60の第1撮像画像401を高速に取得することが可能であるので、診断の効率が向上する。
また、本発明の実施形態によれば、第1撮像制御部111は、診断開始指示を受信すると、かご5を最上階に移動させ、かご5が最上階に着床した後、着床したかご5の位置からかご5の下降、即ちロープ6の走行、と第1撮像画像401の撮像とを開始する。第1撮像画像401の撮像開始時のかご位置およびかご5の移動方向は、これに限定されない。
一例では、第1撮像制御部111は、診断開始指示を受信すると、最上階ではなく、最下階にかご5を移動させ、かご5が最下階に着床した後、かご5が上昇する方向にロープ6の走行を開始するとともに第1撮像画像401の撮像を開始してもよい。
別の例では、第1撮像制御部111は、診断開始指示を受信すると、診断開始指示を受信した際のかご5の位置からロープ6の走行を開始するとともに第1撮像画像401の撮像を開始してもよい。例えば、第1撮像制御部111は、診断開始指示を受信した際のかご5の位置では撮像装置200の光軸が区間60_m(mは1<m<nを満たす自然数)に位置する場合に、第1撮像制御部111は、まず、かご5を診断開始指示を受信した際の位置から下降させるとともに撮像装置200を動作させることで、区間60_m〜区間60_nを撮像する。かご5が最下階に着床すると、第1撮像制御部111は、かご5を最上階に移動させる。かご5が最上階に着床すると、かご5を最上階から下降させるとともに撮像装置200を動作させることで、区間60_1〜区間60_mを撮像する。
なお、第1撮像制御部111は、まず、かご5を診断開始指示を受信した際の位置から上昇させるとともに撮像装置200を動作させることで、区間60_1〜区間60_mを撮像し、その次に、かご5を最下階から上昇させるとともに撮像装置200を動作させることで、区間60_m〜区間60_nを撮像してもよい。
また、本発明の実施形態によれば、撮像装置200は、巻上シーブ14の近傍に設置される。この構成により、撮像装置200は、昇降路2内を昇降するかご5およびつり合いおもり7と干渉しない位置でロープ6を撮像することが可能である。
なお、以上の説明においては、撮像装置200は、機械室8内においてマシンベッド12の上に設置される、として説明した。撮像装置200の設置位置はこれに限定されない。例えば、撮像装置200は、昇降路2内でかご5を昇降自在に支持する不図示のガイドレールの上端に固定されてもよい。
また、本発明の実施形態によれば、ロープ診断装置100は、監視センタ300に接続される。ロープ診断装置100は、第1撮像画像401、1次診断結果421、第2撮像画像431、および2次診断結果441を監視センタ300に送信する。監視センタ300では、受信した各情報を蓄積記憶する。ロープ診断装置100は、監視センタ300に送信した情報を任意のタイミングで取得することができる。この構成により、ロープ診断装置100は、ロープ6の診断を複数回実行した場合であっても、各診断によって得られた情報を監視センタ300に保存し、任意のタイミングで取得することができるので、ロープ診断装置100に内蔵される記憶装置120の記憶領域を節約することが可能である。
なお、ロープ診断装置100は、第1撮像画像401、1次診断結果421、第2撮像画像431、および2次診断結果441の全てを必ずしも監視センタ300に送信しなくてもよい。例えば、ロープ診断装置100は、第1撮像画像401、1次診断結果421、または第2撮像画像431を監視センタ300に送信する。
また、本発明の実施形態によれば、ロープ診断装置100は、全区間60の第1撮像画像401を取得した後かつ第2撮像画像431を取得する前に全区間60の第1撮像画像401を一括して監視センタ300に送信する。第1撮像画像401および第2撮像画像431の送信方法はこれに限定されない。
一例では、ロープ診断装置100は、全区間60の第1撮像画像401と、第2撮像画像431と、を取得した後、全区間60の第1撮像画像401および第2撮像画像431を一括して監視センタ300に送信する。
別の例では、ロープ診断装置100は、所定数の階床をかご5が通過する毎に新たに取得された複数の第1撮像画像401を一括して監視センタ300に送信する。ロープ診断装置100は、第2撮像画像431を取得した後に、第2撮像画像431を監視センタ300に送信する。
さらに別の例では、ロープ診断装置100は、各第1撮像画像401を取得する毎に、取得された第1撮像画像401を監視センタ300に送信する。ロープ診断装置100は、第2撮像画像431を取得した後に、第2撮像画像431を監視センタ300に送信する。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。