JP6510473B2 - ポリフェニレンエーテルの製造方法 - Google Patents

ポリフェニレンエーテルの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6510473B2
JP6510473B2 JP2016180886A JP2016180886A JP6510473B2 JP 6510473 B2 JP6510473 B2 JP 6510473B2 JP 2016180886 A JP2016180886 A JP 2016180886A JP 2016180886 A JP2016180886 A JP 2016180886A JP 6510473 B2 JP6510473 B2 JP 6510473B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ppe
polyphenylene ether
mass
polymerization
solution
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016180886A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017214543A (ja
Inventor
由幸 新藤
由幸 新藤
山本 繁
繁 山本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Kasei Corp
Original Assignee
Asahi Kasei Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Kasei Corp filed Critical Asahi Kasei Corp
Priority to SG10201610310PA priority Critical patent/SG10201610310PA/en
Publication of JP2017214543A publication Critical patent/JP2017214543A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6510473B2 publication Critical patent/JP6510473B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08GMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED OTHERWISE THAN BY REACTIONS ONLY INVOLVING UNSATURATED CARBON-TO-CARBON BONDS
    • C08G65/00Macromolecular compounds obtained by reactions forming an ether link in the main chain of the macromolecule
    • C08G65/34Macromolecular compounds obtained by reactions forming an ether link in the main chain of the macromolecule from hydroxy compounds or their metallic derivatives
    • C08G65/38Macromolecular compounds obtained by reactions forming an ether link in the main chain of the macromolecule from hydroxy compounds or their metallic derivatives derived from phenols
    • C08G65/44Macromolecular compounds obtained by reactions forming an ether link in the main chain of the macromolecule from hydroxy compounds or their metallic derivatives derived from phenols by oxidation of phenols
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08GMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED OTHERWISE THAN BY REACTIONS ONLY INVOLVING UNSATURATED CARBON-TO-CARBON BONDS
    • C08G65/00Macromolecular compounds obtained by reactions forming an ether link in the main chain of the macromolecule
    • C08G65/34Macromolecular compounds obtained by reactions forming an ether link in the main chain of the macromolecule from hydroxy compounds or their metallic derivatives
    • C08G65/46Post-polymerisation treatment, e.g. recovery, purification, drying
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08GMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED OTHERWISE THAN BY REACTIONS ONLY INVOLVING UNSATURATED CARBON-TO-CARBON BONDS
    • C08G2650/00Macromolecular compounds obtained by reactions forming an ether link in the main chain of the macromolecule
    • C08G2650/28Macromolecular compounds obtained by reactions forming an ether link in the main chain of the macromolecule characterised by the polymer type
    • C08G2650/56Polyhydroxyethers, e.g. phenoxy resins

Description

本発明はポリフェニレンエーテル(以下、単に「PPE」と略記する場合がある)の製造方法に関し、品質の優れたPPEパウダーを生産できる、生産効率に優れた製造方法に関する。
PPEを原料とする変性PPE樹脂は、溶融射出成形法や溶融押出成形法等の成形方法により所望の形状の製品・部品を生産でき、電気・電子分野、自動車分野、その他の各種工業材料分野の製品・部品用の材料として幅広く用いられているプラスチック材料である。
PPEの製造方法として、PPEの良溶媒中で銅化合物及びアミン類の存在下、フェノール系化合物を酸化重合する方法がある。この方法により得られたPPE溶液からPPEを析出する方法としては、PPEの良溶媒を含むPPE溶液に、水を含むメタノール等PPEの貧溶媒を添加してPPE粒子を析出させる方法が知られている。
PPE製造工程では、重合時間や析出条件等を変更して、分子量の異なる銘柄を生産することがある。銘柄変更時には過渡品(銘柄変更前後のどちらの製品でもない中間品)が発生する。更に銘柄変更中の析出状態は、析出槽内の組成が入れ替わるまでの間に、不安定な状態が発生する。
従来のPPE析出に関する報告をみると、平均粒径、微粉率等、粒径の改良技術が多く、効率よく銘柄変更を行い、銘柄変更後も継続して安定生産を提供できる技術は開示されていない。すなわち、銘柄変更中の過渡品を低減し、安定状態で銘柄変更を行える析出方法の開発が望まれているのが現状である。
特許文献1では、濃縮液を反溶剤と混合してポリ(アリーレンエーテル)を沈殿させる工程を含み、反溶剤との混合直前の濃縮液の温度を約(Tcloud−10℃)以上とすることにより、過度に微細な粒子の生成を抑制している。
特許文献2では、(a)ポリ(アリーレンエーテル)と溶媒とを含む第一の混合物と貧溶媒とを混合して、前記溶媒、前記貧溶媒及び前記ポリ(アリーレンエーテル)を含む第二の混合物を形成するステップであって、(b)インペラ先端速度を6m/s以下にし、(c)固形物含量が前記ポリ(アリーレンエーテル)樹脂に対して約10〜約50質量%であり、(d)前記第二の混合物の温度を、前記貧溶媒の沸点より少なくとも5℃低くし、(e)前記貧溶媒と前記第一の混合物との質量比を約0.5:1〜約4:1とし、(f)5質量%以下の水を含む前記貧溶媒を準備することにより、(i)粒径38μm未満の粒子が約50質量%以下であり、(ii)平均粒径が100μm以上である改善された粒径特性を持つポリ(アリーレンエーテル)を製造している。
特許文献3では、60℃ないしポリフェニレンオキサイド用有機溶剤の沸点までの温度を保ちながら、ポリフェニレンオキサイドの有機溶剤の溶液を作り、前記温度範囲を保ちながら、ポリフェニレンオキサイドが不溶の有機液体を該溶液に可及的迅速に添加してポリフェニレンオキサイドに沈殿させ、沈殿物を回収し、これを乾燥することにより、微細粒子の量を減少させている。
特許文献1、2で開示されている技術では、PPEとPPEの良溶媒からなるPPE溶液と、少量の水を含有させたメタノール等の貧溶媒とを混合し、PPEを析出させている。
特表2004−531626号公報 特表2014−508208号公報 特公昭45−587号公報
特許文献1、2に記載の方法では、メタノールに予め少量の水を含有させるために混合槽が必要となり、銘柄変更等の条件変更時には混合槽の組成が入れ替わるまで過渡品が発生していた。
従来のPPE析出法は、析出するPPEの粒径を制御する技術であり、高生産効率で安定的に高品質のPPEを生産するといった産業界の要求に十分応えられるものではなかった。
そこで、本発明は、銘柄変更を含めた析出槽の運転中に、微粉の増加や、析出槽内のスケール付着・成長・脱落・製品への混入等のトラブルなしに安定して運転することができ、銘柄変更時の過渡品の発生量を大幅に低減させ、効率よくPPEを得ることができるPPEの製造方法を提供することを目的とする。
そこで、上述した課題を鑑み本発明者らは、PPE生産時の銘柄変更等条件変更に対し、過渡品発生による生産効率の低下を抑え、安定状態で運転でき、更に銘柄変更も安定状態で析出が継続できる技術について検討した。
その結果、銘柄変更等の条件変更中に析出が不安定になり微粉が増加する、析出槽内にスケールが発生・成長しこれが脱落して製品に混入し品質が著しく低下する、等種々の問題が生じることが分かった。
そこで、本発明者らは、析出槽に貧溶媒と水を添加する際に、予め混合せずに別系統の異なる配管を用いて、貧溶媒と水を分けて添加することを試み、銘柄変更で発生する過渡品を低減させ、条件変更後に安定して高品質品を生産する条件を検討し、PPE溶液を析出槽に添加する際、析出槽内の組成を制御することにより、銘柄変更中も安定運転を継続できる条件を見出した。
すなわち、本発明は、以下の通りである。
[1]
ポリフェニレンエーテルの良溶媒と触媒とを含む重合溶液中で、フェノール系化合物を酸化重合させて、ポリフェニレンエーテル混合液を得る重合工程と、
前記ポリフェニレンエーテル混合液と、ポリフェニレンエーテルの貧溶媒と、水とを、撹拌機を有する析出槽に添加し混合することにより、ポリフェニレンエーテルを析出させてポリフェニレンエーテル粒状物を含むスラリー液を得る析出工程とを含み、
前記析出工程において、前記ポリフェニレンエーテルの貧溶媒と前記水とを異なる配管を通して前記析出槽に添加し、
前記析出工程において、前記水の添加量を、前記ポリフェニレンエーテルの貧溶媒100質量%に対して、0.05〜30質量%とすることを特徴とするポリフェニレンエーテルの製造方法。
〔2〕
前記析出工程において、添加する前記ポリフェニレンエーテル混合液に含まれる前記ポリフェニレンエーテルの良溶媒の質量に対する、添加する前記ポリフェニレンエーテルの貧溶媒の質量の割合(添加する前記ポリフェニレンエーテルの貧溶媒の質量/添加する前記ポリフェニレンエーテル混合液に含まれる前記ポリフェニレンエーテルの良溶媒の質量)が、0.3〜2.0である、〔1〕に記載のポリフェニレンエーテルの製造方法。
〔3〕
前記フェノール系化合物が2,6−ジメチルフェノールである、〔1〕又は〔2〕に記載のポリフェニレンエーテルの製造方法。
〔4〕
前記ポリフェニレンエーテル粒状物中の、粒径105μm以下のポリフェニレンエーテル粒子の含有率が11質量%以下である、〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のポリフェニレンエーテルの製造方法。
本発明のPPEの製造方法によれば、銘柄変更を含めた析出槽の運転中に、微粉の増加や、析出槽内のスケール付着・成長・脱落・製品への混入等のトラブルなしに安定して運転することができ、銘柄変更時の過渡品の発生量を大幅に低減させるPPEの製造方法を提供することができる。
図1は、本実施形態の製造方法で用いる析出槽の一例を示す概略図である。 図2は、本実施形態の製造方法で用いる析出槽内のドラフトチューブを析出槽の上面からみた概略図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
[ポリフェニレンエーテルの製造方法]
本実施形態のPPEの製造方法は、ポリフェニレンエーテルの良溶媒と触媒とを含む重合溶液中で、フェノール系化合物を酸化重合させて、ポリフェニレンエーテル混合液を得る重合工程と、
前記ポリフェニレンエーテル混合液と、ポリフェニレンエーテルの貧溶媒と、水とを、撹拌機を有する析出槽に添加し混合することにより、ポリフェニレンエーテルを析出させてポリフェニレンエーテル粒状物を含むスラリー液を得る析出工程とを含み、
前記析出工程において、前記ポリフェニレンエーテルの貧溶媒と前記水とを異なる配管を通して前記析出槽に添加し、
前記析出工程において、前記水の添加量を、前記ポリフェニレンエーテルの貧溶媒100質量%に対して、0.05〜30質量%とする。
本実施形態のPPEの製造方法は、連続式であることが好ましい。
以下、本実施形態のPPEの製造方法における各工程について詳述する。
(重合工程)
上記重合工程では、例えば、フェノール系化合物を、芳香族系溶媒等のPPEの良溶媒、金属触媒、ハロゲン化合物、アミン化合物等を含む重合溶液に、酸素含有ガスを通気して、フェノール系化合物を酸化重合してもよい。
−重合溶液−
−−フェノール系化合物−−
上記フェノール系化合物として、例えば、o−クレゾール、2,6−ジメチルフェノール、2−エチルフェノール、2−メチル−6−エチルフェノール、2,6−ジエチルフェノール、2−n−プロピルフェノール、2−エチル−6−n−プロピルフェノール、2−メチル−6−クロルフェノール、2−メチル−6−ブロモフェノール、2−メチル−6−イソプロピルフェノール、2−メチル−6−n−プロピルフェノール、2−エチル−6−ブロモフェノール、2−メチル−6−n−ブチルフェノール、2,6−ジ−n−プロピルフェノール、2−エチル−6−クロルフェノール、2−メチル−6−フェニルフェノール、2−フェニルフェノール、2,6−ジフェニルフェノール、2,6−ビス−(4−フルオロフェニル)フェノール、2−メチル−6−トリルフェノール、2,6−ジトリルフェノール、2,5−ジメチルフェノール、2,3,6−トリメチルフェノール、2,5−ジエチルフェノール、2−メチル−5−エチルフェノール、2−エチル−5−メチルフェノール、2−アリル−5−メチルフェノール、2,5−ジアリルフェノール、2,3−ジエチル−6−n―プロピルフェノール、2−メチル−5−クロルフェノール、2−メチル−5−ブロモフェノール、2−メチル−5−イソプロピルフェノール、2−メチル−5−n−プロピルフェノール、2−エチル−5−ブロモフェノール、2−メチル−5−n−ブチルフェノール、2,5−ジ−n−プロピルフェノール、2−エチル−5−クロルフェノール、2−メチル−5−フェニルフェノール、2,5−ジフェニルフェノール、2,5−ビス−(4−フルオロフェニル)フェノール、2−メチル−5−トリルフェノール、2,5−ジトリルフェノール、2,6−ジメチル−3−アリルフェノール、2,3,6−トリアリルフェノール、2,3,6−トリブチルフェノール、2,6−ジ−n−ブチル−3−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−3−メチルフェノール、2,6−ジメチル−3−n−ブチルフェノール、2,6−ジメチル−3−t−ブチルフェノール等が挙げられる。
特に、安価であり入手が容易であるため、2,6−ジメチルフェノール、2,6−ジエチルフェノール、2,6−ジフェニルフェノール、2,3,6−トリメチルフェノール、2,5−ジメチルフェノールが好ましく、2,6−ジメチルフェノール、2,3,6−トリメチルフェノールがより好ましく、2,6−ジメチルフェノールがさらに好ましい。
上記フェノール系化合物は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
2種以上の組み合わせとしては、例えば、2,6−ジメチルフェノールと2,6−ジエチルフェノールとの組み合わせ、2,6−ジメチルフェノールと2,6−ジフェニルフェノールとの組み合わせ、2,3,6−トリメチルフェノールと2,5−ジメチルフェノールとの組み合わせ、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの組み合わせ等が挙げられる。組み合わせるフェノール系化合物の混合比率は任意に選択できる。
また、上記フェノール系化合物には、製造の際の副生成物である、少量のm−クレゾール、p−クレゾール、2,4−ジメチルフェノール、2,4,6−トリメチルフェノール等が含まれていてもよい。
−−ポリフェニレンエーテルの良溶媒−−
上記ポリフェニレンエーテルの良溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、スチレン等の芳香族系溶媒が挙げられる。中でも、残存溶媒除去のしやすさの観点から、トルエンが好ましい。
上記ポリフェニレンエーテルの良溶媒は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
−−触媒−−
上記触媒としては、一般的にPPEの重合に用いられる触媒を使用することができる。
上記触媒としては、金属触媒、ハロゲン化合物、アミン化合物、及びこれらの混合物を含む触媒が挙げられ、例えば、酸化還元能を有する金属触媒としての遷移金属イオンと、該遷移金属イオンと錯形成可能なアミン化合物とからなる混合物等が挙げられ、具体的には、銅化合物とアミン化合物とからなる混合物、マンガン化合物とアミン化合物とからなる混合物、コバルト化合物とアミン化合物とからなる混合物等が挙げられる。中でも、銅化合物とアミン化合物からなる混合物が好ましい。
−−−金属触媒−−−
上記触媒における上記金属触媒としては、銅化合物が好ましい。
上記銅化合物としては、第一銅化合物、第二銅化合物又はこれらの混合物を使用できる。第一銅化合物としては、例えば、塩化第一銅、臭化第一銅、硫酸第一銅、硝酸第一銅等が挙げられる。第二銅化合物としては、例えば、酸化第二銅、塩化第二銅、臭化第二銅、硫酸第二銅、硝酸第二銅等が挙げられる。中でも、酸化第二銅、塩化第一銅、塩化第二銅、臭化第一銅、臭化第二銅が好ましい。
これらの銅塩は、酸化銅(例えば、酸化第一銅)、炭酸銅炭酸塩、水酸化銅等と、これらに対応するハロゲン又は酸とから(例えば、酸化第一銅とハロゲン化水素(又はハロゲン化水素の溶液)とから)、使用時に合成してもよい。
これらの金属触媒は、単独で用いても、2種類以上組み合わせて用いてもよい。
−−−ハロゲン化合物−−−
上記ハロゲン化合物としては、特に限定されないが、具体的には、塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、塩化カリウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム、塩化テトラメチルアンモニウム、臭化テトラメチルアンモニウム、ヨウ化テトラメチルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム、臭化テトラエチルアンモニウム、ヨウ化テトラエチルアンモニウム等が挙げられる。また、これらのハロゲン化合物は、水溶液や適当な溶媒を用いた溶液の状態として使用してもよい。中でも、塩化水素の水溶液、臭化水素の水溶液が好ましい。
これらのハロゲン化合物は、単独で用いても、2種類以上組み合わせて用いてもよい。
−−−アミン化合物−−−
上記アミン化合物としては、例えば、ジアミン化合物、2級モノアミン化合物、3級モノアミン化合物等が挙げられる。中でも、ジアミン化合物を含むことが好ましく、ジアミン化合物、2級モノアミン化合物、3級モノアミン化合物を含むことがより好ましい。
上記アミン化合物は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記ジアミン化合物としては、下記一般式(1)で表されるジアミン化合物が好ましい。
上記触媒としては、例えば、銅化合物、ハロゲン化合物及び下記一般式(1)で表されるジアミン化合物を含む触媒を用いてもよい。このような触媒を用いることにより、重合速度をより速め、重合時間をより短縮できる傾向にある。また、触媒量、酸素吹込み量、重合時間等を調整することにより、重合後の分子量がより調整しやすくなる傾向にある。
Figure 0006510473
(式(1)中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基であり、全てが同時に水素原子ではない。R5は、炭素数2〜5の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基を示す。)
上記一般式(1)で表されるジアミン化合物としては、特に限定されないが、具体的には、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’−トリメチルエチレンジアミン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N−メチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラエチルエチレンジアミン、N,N,N’−トリエチルエチレンジアミン、N,N’−ジエチルエチレンジアミン、N,N−ジエチルエチレンジアミン、N−エチルエチレンジアミン、N,N−ジメチル−N’−エチルエチレンジアミン、N,N’−ジメチル−N−エチルエチレンジアミン、N−n−プロピルエチレンジアミン、N,N’−ジ−n−プロピルエチレンジアミン、N−i−プロピルエチレンジアミン、N,N’−ジ−i−プロピルエチレンジアミン、N−n−ブチルエチレンジアミン、N,N’−ジ−n−ブチルエチレンジアミン、N−i−ブチルエチレンジアミン、N,N’−ジ−i−ブチルエチレンジアミン、N−t−ブチルエチレンジアミン、N,N’−ジ−t−ブチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N,N’−トリメチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N’−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン、N−メチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ジアミノ−1−メチルプロパン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ジアミノ−2−メチルプロパン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,4−ジアミノブタン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,5−ジアミノペンタン等が挙げられる。中でも、式(1)中、R5が炭素数2又は3のアルキレン基であるジアミン化合物が好ましい。
上記ジアミン化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記ジアミン化合物の使用量は、特に限定されないが、上記フェノール系化合物100モルに対し、0.01〜10モルであることが好ましい。
上記3級モノアミン化合物としては、特に限定されないが、具体的には、脂環式3級アミンを含む脂肪族3級アミン等が挙げられる。このような3級モノアミン化合物としては、特に限定されないが、具体的には、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリイソブチルアミン、ジメチルエチルアミン、ジメチルプロピルアミン、アリルジエチルアミン、N−ブチルジメチルアミン、ジエチルイソプロピルアミン、N−メチルシクロヘキシルアミン等が挙げられる。
上記3級モノアミン化合物は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記3級モノアミン化合物の使用量は、特に限定されないが、上記フェノール系化合物100モルに対して、15モル以下であることが好ましい。
上記3級モノアミン化合物は、重合前に全量を添加してもよいし、重合前に一部を添加し、重合中にさらに逐次添加をしてもよい。また、上記第3級モノアミンは、上記フェノール系化合物と混合した後に、重合の開始と同時に重合溶液に添加してもよい。
上記2級モノアミン化合物としては、特に限定されないが、具体的には、第2級脂肪族アミン等が挙げられる。第2級脂肪族アミンとしては、特に限定されないが、具体的には、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−i−プロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジ−i−ブチルアミン、ジ−t−ブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジオクチルアミン、ジデシルアミン、ジベンジルアミン、メチルエチルアミン、メチルプロピルアミン、メチルブチルアミン、シクロヘキシルアミン等が挙げられる。
また、上記2級モノアミン化合物としては、芳香族を含む2級モノアミン化合物を用いてもよい。芳香族を含む2級モノアミン化合物としては、特に限定されないが、具体的には、N−フェニルメタノールアミン、N−フェニルエタノールアミン、N−フェニルプロパノールアミン、N−(m−メチルフェニル)エタノールアミン、N−(p−メチルフェニル)エタノールアミン、N−(2’,6’−ジメチルフェニル)エタノールアミン、N−(p−クロロフェニル)エタノールアミン等のN−(置換又は非置換フェニル)アルカノールアミン;、N−エチルアニリン、N−ブチルアニリン、N−メチル−2−メチルアニリン、N−メチル−2,6−ジメチルアニリン、ジフェニルアミン等のN−炭化水素置換アニリン;等が挙げられる。
上記2級モノアミン化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記2級モノアミン化合物の使用量は、特に限定されないが、上記フェノール系化合物100モルに対して、15モル以下であることが好ましい。
また、従来から重合活性に向上効果を有することが知られている界面活性剤を重合溶液中に添加してもよい。
上記界面活性剤としては、例えば、Aliquat336(ヘンケル社製)やCapRiquat(株式会社同仁化学研究所製)の商品名で知られるトリオクチルメチルアンモニウムクロライドが挙げられる。
上記界面活性剤の使用量は、上記重合溶液の全量に対して、0.1質量%を超えない範囲であることが好ましい。
−−酸素含有ガスの通気−−
上記重合工程では、酸素含有ガスを通気させながら、上記フェノール系化合物を重合させてもよい。酸素含有ガスの通気の開始時期は、特に限定されないが、重合溶液の調整において、フェノール系化合物、芳香族系溶媒、触媒のいずれかを反応器へ導入した後に、酸素含有ガスの通気を開始することが好ましい。
酸素含有ガスとしては、特に限定されないが、具体的には、酸素と任意の不活性ガスを混合したもの、空気、空気と任意の不活性ガスとを混合したものを用いることができる。不活性ガスとしては、特に限定されないが、具体的には、重合反応に対する影響が大きくない限り、任意のものが使用できる。代表的な不活性ガスは、窒素である。
上記重合工程における、上記酸素含有ガスの通気量としては、重合が一層効率よく行える観点から、重合反応に供するフェノール系化合物1kgに対して、3〜14NL/分が好ましく、より好ましくは6〜13NL/分である。
本実施形態の製造方法において、PPEの重合方法は特に限定されない。上記PPEの重合方法の例としては、米国特許第3306874号明細書記載の第一銅塩とアミンのコンプレックスを触媒として用い、2,6−キシレノールを酸化重合する方法、米国特許第3306875号明細書、同第3257357号明細書、同第3257358号明細書、特公昭52−17880号公報、特開昭50−51197号公報、同63−152628号公報の各公報等に記載された方法等が挙げられる。
本実施形態のPPEの重合方法としては、例えば、沈殿析出重合法、溶液重合法等が挙げられる。本実施形態の製造方法は、溶液重合法で得られたPPEを析出させる製造方法であることが好ましい。溶液重合法とは、PPEの良溶媒中で重合が行われ、重合中に沈殿物が析出しない重合方法である。溶液重合法では、全PPE分子が溶解した状態にあり、分子量分布は広くなる傾向にある。
上記重合工程後に、PPE混合液にキレート剤溶液を添加して、金属触媒をキレート剤溶液側に抽出し、芳香族系溶媒の相とキレート剤溶液の相とに液々分離をしてPPE混合液中の金属触媒を除去する触媒抽出工程を設けてもよい。上記触媒抽出工程において、更に、キレート剤溶液を添加して液々分離をした後のPPE混合液に水を添加して、液々分離を繰り返して、触媒をさらに抽出することもできる。なお、本明細書において、触媒抽出工程で触媒を抽出した後のPPE混合液も、「ポリフェニレンエーテル混合液」「PPE混合液」と称する場合がある。
上記触媒抽出工程では、重合工程後のPPE混合液にキレート剤溶液を添加して撹拌することにより、上記触媒として用いた金属触媒をキレート剤溶液側に抽出して、ポリフェニレンーテル混合液とキレート剤溶液とを液々分離し、PPE混合液中の金属触媒を除去することができる。
上記キレート剤溶液に用いるキレート剤としては、例えば、塩酸や酢酸等の酸;エチレンジアミン4酢酸(EDTA)及びその塩;ニトリロトリ酢酸及びその塩;等が挙げられる。上記キレート剤は、キレート剤を単体で添加してもよいが、PPEの溶解能が低く、PPEの良溶媒である芳香族系溶媒と相分離する、水等の溶媒に溶解させて、キレート剤水溶液等として添加することが好ましい。キレート水溶液を用いた場合、キレート剤と結合して失活した金属触媒は、水相に抽出されるため、有機相に含まれるPPEと金属触媒とを分離することができる。
上記触媒抽出工程において、キレート剤溶液を添加して液々分離をした後のPPE混合液に、さらに水を添加して液々分離をする工程を繰り返して、金属触媒をさらに抽出してもよい。
触媒抽出工程、及び後述の洗浄工程における2相分離は、静置分離で分離してもよいし、液々分離機を用いてもよい。
上記重合工程後又は上記触媒抽出工程後に、良溶媒の一部を蒸発させることにより、重合工程後のPPE混合液中の、PPEの濃度を調整する濃縮工程を設けてもよい。なお、本明細書において、濃縮工程でPPEを濃縮した後のPPE混合液も、「ポリフェニレンエーテル混合液」「PPE混合液」と称する場合がある。上記触媒抽出工程、上記濃縮工程は、一方を設けてもよいし、両方を設けてもよい。
濃縮後のPPE混合液中のPPE濃度は30質量%超であることが好ましく、50質量%以下であることが好ましい。PPE混合液中のPPE濃度としては、48質量%以下がより好ましく、45質量%以下が更に好ましい。
PPE混合液中のPPE濃度が30質量%以下であると、析出槽内でPPE混合液の分散性が高くなりすぎ、微粉が増えるため好ましくない。PPE混合液中のPPE濃度が50質量%を超えると、析出槽内でのPPE混合液の分散性が低下し、分散不良のPPE混合液が壁面、撹拌軸バッフル等に付着し、スケールとなる。更に、液粘性が高くなりポンプ等の周辺機器の設備費が多大になり好ましくない。
(析出工程)
本実施形態の製造方法では、重合工程後、触媒抽出工程後又は濃縮工程後のPPE混合液を、メタノール等のPPEに対する貧溶媒及び水と混合することにより固形化し、PPE粒状物を含むスラリー液を得る析出工程を有する。上記析出工程としては、例えば、必要に応じて濃縮等を行った後、PPE混合液に、炭素数1〜10のケトン類、炭素数1〜10のアルコール類等のPPEの貧溶媒、及び水を添加し、混合して、PPEを析出させ、PPE粒状物を含むスラリー液を得る工程が挙げられる。
本実施形態の製造方法によれば、PPEの貧溶媒と水とを異なる配管を通して添加するため、製造後のスケールの発生、成長を抑制することができる。さらに、銘柄変更をした後に、過渡品が発生する時間が短縮することで過渡品の発生が抑えられ、微粒子のPPEの発生が抑えられ、且つスケールの発生が抑えられる。
(PPEの貧溶媒)
上記PPEの貧溶媒としては、炭素数1〜10のケトン類、炭素数1〜10のアルコール類等の極性溶媒が挙げられる。上記極性溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、エチレングリコール、アセトン、メチルエチルケトン等が挙げられる。中でも、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、アセトン、メチルエチルケトンが好ましい。また、上記極性溶媒としては、炭素数1〜10のアルコールも好ましい。
上記極性溶媒は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記析出工程において、水の添加量は、銘柄変更時の過渡品の発生が一層抑えられ、微粒子のPPEの発生が一層抑えられるという観点から、PPEの貧溶媒100質量%に対して、0.05〜30質量%であり、1〜25質量%が好ましく、3〜20質量%がより好ましい。
水の添加量が30質量%以下であることにより、得られるPPEの粒径が肥大化しにくい。
以下、析出工程において用いられる析出槽について説明する。
上記析出工程では撹拌機を有する析出槽を用いる。ここで撹拌機としては、析出槽内部に傾斜パドル翼、スクリュー翼、及びリボン翼から選ばれる少なくとも一段の撹拌翼を備えたものが好ましい。また、混合性を高める観点から、少なくとも一枚のバッフルを備え、撹拌翼は下方吐出であることが好ましい。
図1、図2に、本実施形態の製造方法で用いられる析出槽の一例を示す。
析出槽1は、例えば、ドラフトチューブ2内に、傾斜パドル翼、スクリュー翼及びリボン翼から選ばれる少なくとも一段の撹拌翼3、及びドラフトチューブ2の外側に1枚以上のバッフル4(図1、図2では4枚)を設置してなるドラフトチューブ2を有している。
ドラフトチューブ2とは、析出槽1内に設置される隔壁であり、その形状は、例えば、略円柱、略多角形柱等が挙げられる。ドラフトチューブ2は、析出槽1と同心に設置されることが好ましい。
撹拌翼3が傾斜パドル翼である場合、通常のパドル翼を回転方向に対して、5〜85度傾斜させた撹拌翼であることが好ましく、35〜55度傾斜させた撹拌翼であることがより好ましい。撹拌翼3がスクリュー翼である場合、船舶等で用いるスクリューと同様の形状の撹拌翼であることが好ましい。撹拌翼3がリボン翼である場合、シングル翼型又はダブル翼型の螺旋型撹拌翼であることが好ましい。
バッフル4は、流動を制御するためにドラフトチューブ2に固定された邪魔板である。析出槽では、撹拌翼3の回転に伴い、PPE混合液、PPEの貧溶媒、及び水の混合液が、ドラフトチューブ2内を旋回しながら槽底又は液面8に向かって流れ、次いでドラフトチューブ2と析出槽1の壁間をほぼ垂直に液面8又は槽底に向かって流れ、ドラフトチューブ2の内外を循環流動する。混合液の循環流動の方向は、撹拌翼3の回転方向、撹拌翼3の形状等により決まる。本実施形態の製造方法では、ドラフトチューブ2内を旋回しながら槽底に向かって流れ、ドラフトチューブ2と析出槽1の壁との間をほぼ垂直に液面8に向かって流れる循環流動が好ましい。本実施形態の製造方法では、例えば、ドラフトチューブ2内に槽底に向かう流れを作る下方吐出翼を備え、ドラフトチューブ外に液面8に向かう流れを作る上方吐出のリボン翼を備えていてもよい。
本実施形態の製造方法において、PPEの貧溶媒と水とは異なる配管を通して析出槽に添加される。中でも、PPE混合液、PPEの貧溶媒、及び水が、何れも異なる配管を通して析出槽に添加されることが好ましい。
PPE混合液はPPE混合液供給口5より、析出槽1内に添加される。PPE混合液供給口5は、液面8の上方に設置され、析出槽1内に滴下されることが好ましい。PPE混合液は、スケールの発生が一層抑えられる観点から、循環流動の際に槽底に向かって流れる箇所に滴下されることが好ましい。
PPEの貧溶媒は、貧溶媒供給口6より、析出槽1内に添加される。貧溶媒供給口6は、液面8より上方の、析出槽壁に直接設置するか、又はドラフトチューブ2と析出槽壁との間の液面8の上方に設置することが好ましい。
水は、水供給口7より、析出槽1内に添加される。水とPPEの貧溶媒とは、析出槽に添加されるまで混合されないため、銘柄変更時の過渡品の発生が一層抑えられ、微粒子のPPEの発生が一層抑えられ、かつスケールの発生が一層抑えられる。水供給口7は、液面8より上方の析出槽壁に直接設置するか、又は、ドラフトチューブ2と析出槽壁との間の液面8の上方に設置することが好ましい。
循環流動の際、例えば、PPEの貧溶媒、水、PPE混合液の順に添加されるように、貧溶媒供給口6、水供給口7、PPE混合液供給口5を設置することが好ましい。例えば、循環流動の上流から下流に向かって、貧溶媒供給口6、水供給口7、PPE混合液供給口5の順に設置されていることが好ましく、ドラフトチューブ内を旋回しながら槽底に向かって流れ、ドラフトチューブと析出槽の壁間をほぼ垂直に液面に向かって流れる循環流動の場合は、析出槽の壁から析出槽の中心に向かって、液面8の上方に、貧溶媒供給口6、水供給口7、PPE混合液供給口5の順に設置することが好ましい。
スラリー溶液は、排出口9から排出され回収できる。
析出槽の滞留時間は、銘柄変更時間が低減するという観点から、0.2〜2分が好ましく、より好ましくは0.5〜1.7分である。
析出工程において、上記ポリフェニレンエーテルの貧溶媒の添加量は、銘柄変更時の過渡品の発生が一層抑えられ、微粒子のPPEの発生が一層抑えられ、かつスケールの発生が一層抑えられるという観点から、添加する上記ポリフェニレンエーテル混合液に含まれる上記ポリフェニレンエーテルの良溶媒の質量に対する、添加する上記ポリフェニレンエーテルの貧溶媒の質量の割合(添加する上記ポリフェニレンエーテルの貧溶媒の質量/添加する上記ポリフェニレンエーテル混合液に含まれる上記ポリフェニレンエーテルの良溶媒の質量)は、0.3〜2.0であることが好ましく、0.5〜2.0であることがより好ましい。
析出槽に添加する直前のPPE混合液の温度としては、60℃以上100℃以下であることが好ましい。PPE混合液の温度は、90℃以下であることがより好ましく、80℃以下であることが更に好ましい。また、65℃以上であることがより好ましい。
PPE混合液の温度の60℃未満であると、析出槽内でのPPE混合液の分散性が低下し、分散不良のPPE混合液が壁面、撹拌軸、バッフル等に付着し、スケールとなりやすい。また、液粘性が高くなりポンプ等の周辺機器の設備費が多大になり好ましくない。PPE混合液の温度が100℃を超えると、析出槽内でPPE混合液の分散性が高くなりすぎ、微粉が増えるため好ましくない。
析出槽の撹拌速度は、500〜3000rpmであることが好ましい。
また、単位時間当たりに析出槽に添加する溶液量は、単位時間当たりに析出槽から排出される溶液量と同じであることが好ましい。
また、析出槽は、滞留する液の容量が、500mL〜3kLであってもよく、本実施形態の製造方法は、幅広い規模のPPE製造に適用することができる。
スラリー液に含まれるポリフェニレンエーテル粒状物中の、粒径105μm以下のポリフェニレンエーテル粒子の含有率(微粉率)は、製造されるPPEの品質の観点から、11質量%以下であることが好ましく、より好ましくは10.5質量%以下、更に好ましくは10.0質量%以下である。
微粉率は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
本実施形態の製造方法では、銘柄変更時に過渡品の発生量が大幅に減り、かつ短時間で銘柄変更後のPPEを安定して製造できる。具体的には、例えば、銘柄変更後8〜11置換で、微粉率11質量%以下のPPEを製造することができる。
なお、本明細書において、銘柄変更後1置換とは、銘柄変更をした後に、析出槽内に滞留できる液の容量分の溶液を添加して析出槽内の内容物を入れ替えることをいう。具体的には、滞留時間が1.9分である場合、銘柄変更後1置換に要する時間は1.9分であり、銘柄変更後2置換に要する時間は3.8分である。
上記析出工程後の、PPE粒状物を含むスラリー液は、PPE粒状物が良溶媒である芳香族系溶媒と貧溶媒である極性溶媒とを含む混合液中に存在するスラリー液(懸濁液)状態である。本実施形態の製造方法では、例えば、上記析出工程後に、固液分離工程を設けて、析出後のスラリー液を固液分離することにより、上記スラリー溶液から湿潤PPE粒子を得てもよい。
固液分離の際に使用する装置としては、特に限定されるものではないが、遠心分離機(振動型、スクリュー型、デカンタ型、バスケット型等)、真空濾過機(ドラム型フィルター、ベルトフィルター、ロータリーバキュームフィルター、ヤングフィルター、ヌッチェ等)、フィルタープレス、ロールプレス等を用いることが可能である。
上記固液分離工程で分離された湿潤PPE粒子は、芳香族系溶媒等の良溶媒成分を多量に含浸する。本実施形態の製造方法では、例えば、上記固液分離工程後に、洗浄工程を設けて、上記芳香族系溶媒を少なくとも含む良溶媒と、上記極性溶媒を少なくとも含む貧溶媒と、を含む洗浄液で湿潤PPE粒子を洗浄し、固液分離する工程を繰り返して、PPE粒子を得てもよい。湿潤PPE粒子を、芳香族系溶媒と極性溶媒とを含む洗浄液にて洗浄することで、湿潤PPE粒子に含まれる良溶媒成分の含有量を下げることができる。
上記洗浄工程後に、スラリー液は固液分離工程により、溶剤と湿潤PPE粒子に分離してもよい。その際、湿潤PPE粒子を貧溶媒で洗浄し固液分離するといった工程を繰り返すことも可能である。
得られた湿潤PPE粒子は、粉砕機により粉砕し、微粉率を調整することができる。上記粉砕機としては、例えば、ジョークラッシャー、コーンクラッシャー、ハンマーミル、フェザーミル、ボールミル、高速回転ミル、ジェットミル等を使用することが可能である。
本実施形態の製造方法では、例えば、洗浄工程又は固液分離工程後に乾燥工程を設けて、PPE粒子を乾燥してもよい。
上記乾燥工程は、粉砕後に設けてもよいし、粉砕せずに設けてもよい。
乾燥温度は、60℃以上が好ましく、80℃以上がより好ましく、120℃以上がさらに好ましく、140℃以上がさらに好ましく、150℃以上が特に好ましい。乾燥温度が60℃未満であると、PPE中の芳香族炭化水素等のPPEの良溶媒の含有量を効率よく1.5質量%未満に抑制できない場合がある。
乾燥工程後のPPEの収率を上げるためには、乾燥温度を高くする方法、乾燥中に窒素等の不活性ガスを通気する方法、乾燥時の真空度を上昇させる方法、乾燥中に撹拌を行う方法等が好ましい。
乾燥工程は、混合機能を備えた乾燥機を使用することが好ましい。混合機能としては、撹拌式、転動式の乾燥機等が挙げられる。これにより処理量を多くでき、生産性を高く維持できる。
以下、本実施形態の製造方法で得られるPPEについて詳述する。
[ポリフェニレンエーテル]
本実施形態の製造方法で得られるPPEは、下記一般式(2)で表される繰返し単位構造を含むホモ重合体及び/又は共重合体である。
なお、本明細書において、本実施形態の製造方法で得られるPPEを、本実施形態のPPEと称する場合がある。
Figure 0006510473
式(2)中、R1、R2、R3、及びR4は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜7のアルキル基、フェニル基、ハロアルキル基、アミノアルキル基、炭化水素オキシ基、及び少なくとも2個の炭素原子がハロゲン原子と酸素原子とを隔てているハロ炭化水素オキシ基からなる群より選ばれるいずれかである。
上記PPEの単独重合体としては、特に限定されないが、具体的には、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−n−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジ−n−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−n−ブチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−イソプロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−ヒドロキシエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−クロロエチル−1,4−フェニレン)エーテル等が挙げられる。この中でも、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルが、原料が安価であり、入手が容易であるという観点から、好ましい。
上記PPEの共重合体とは、特に限定されないが、具体的には、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体、2,6−ジメチルフェノールとo−クレゾールとの共重合体、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとo−クレゾールとの共重合体等が挙げられる。この中でも、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体が、原料が安価であり、入手が容易であるという観点から、好ましい。
本実施形態のPPEの、0.5g/dLのクロロホルム溶液を用いて30℃で測定する還元粘度は、0.25〜0.70dL/gであることが好ましく、より好ましくは0.25〜0.60dL/gである。
上記還元粘度が0.25dL/gより小さい場合、析出槽内でPPE良溶媒溶液の分散性が高くなりすぎるため、微細な粒子が増えるため好ましくない。更に充分な機械的物性が発現できなくなる。また、上記還元粘度が0.70dL/gより大きくなると、析出槽内でのPPE良溶媒溶液の分散性が低下し、分散不良のPPE良溶媒溶液が壁面、撹拌軸バッフル等に付着し、スケールとなる。また、重合時の溶液粘度が高くなり、重合槽の周辺機器の能力を過度に上げることが必要となる場合があり、重合の効率が低下する。更に、溶融粘度が高くなり、後処理や加工性が低下する。
なお、上記還元粘度は、PPEの0.5g/dLのクロロホルム溶液を調製し、そのクロロホルム溶液を試料として、ウベローデ粘度管を用いて30℃における還元粘度ηsp/c(dL/g)を求めることができる。
本実施形態の製造方法により得られるスラリー液中のポリフェニレンエーテル粒状物中の、粒径105μm以下のポリフェニレンエーテル粒子の含有率(微粉率)は35質量%以下であることが好ましく、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは11質量%以下、更に好ましくは10.5質量%以下、特に好ましくは10質量%以下である。
微粉率は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
本実施形態のPPEの平均粒径は、250μm以上であることが好ましく、より好ましくは280μm以上である。
なお、PPEの平均粒径は、レーザー回析散乱法の粒度分布計である、島津製作所製レーザー回析散乱式粒度分布測定装置を使用して、湿式法(メタノール溶媒)により、体積平均粒子径として測定することができる。
体積平均粒子径の粒径分布の累積曲線から、中央累積値にあたる粒子の径(メジアン径)を平均粒径(μm)とすることができる。同様に、微粉率は、体積平均粒子径の粒径分布の累積曲線から得られる粒径105μm以下の粒子の粉体における含有率(質量%)として算出できる。
以下、本実施の形態について、実施例及び比較例を挙げて具体的に説明するが、本実施の形態の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
先ず、実施例及び比較例に適用した、物性及び特性等の測定方法を下記に示す。
(1)PPE混合液中のPPE濃度
溶液重合後、又は濃縮工程後のPPE混合液をアルミ皿に計量分取し、60分間室温にて乾燥させた。表面が乾いた状態のサンプルをアルミ皿ごと真空乾燥器に入れ、真空乾燥機の温度を180℃に設定し、10torrまで減圧した状態で120分間真空乾燥を行った。乾燥前後のサンプル量からPPE混合液中のPPE濃度(質量%)を計算した。
(2)還元粘度
0.5g/dLのクロロホルム溶液をウベローデ粘度管にて30℃における還元粘度(ηsp/c)[dL/g]を求めた。
(3)スケール付着状態
スラリー液の製造中に、銘柄変更約20分後のスケールを目視観察し、以下の基準で評価した。
○:運転に支障のない程度のスケール付着状態で、スケールが成長しない。
△:スケールが付着し成長するが、運転は継続できる状態。
×:撹拌軸にPPEが巻付き、撹拌軸に大きな塊ができる。運転中に塊が脱落し、撹拌で砕かれ、製品に混入する。
(4)微粉率
得られたスラリー液を用い、レーザー回析式粒度分布測定装置(島津製作所社製、SALD−3100型)を使用し、スラリー溶液中に含まれるPPE粒子中の、体積平均粒子径の粒径分布の累積曲線から得られる粒径105μm以下の粒子の含有率を微粉率(質量%)として算出した。
<製造例1>
重合槽底部に酸素含有ガス導入のためのスパージャー、撹拌タービン翼及びバッフルを備え、重合槽上部のベントガスラインに還流冷却器を備えた40リットルのジャケット付き重合槽に、0.5L/分の流量で窒素ガスを吹き込みながら、4.57gの酸化第二銅、24.18gの47質量%臭化水素水溶液、11.00gのジ−t−ブチルエチレンジアミン、62.72gのジ−n−ブチルアミン、149.92gのブチルジメチルアミン、20.65kgのトルエン、及び3.12kgの2,6−ジメチルフェノールを入れ、均一溶液となり、かつ重合槽の内温が25℃になるまで撹拌した。
次に、重合槽へ32.8L/分の速度で乾燥空気をスパージャーより導入を始め、重合を開始した。乾燥空気を140分間通気し、重合混合物を得た。なお、重合中は内温が40℃になるようコントロールした。重合終結時の重合液は均一な溶液状態であった。
乾燥空気の通気を停止し、重合後のPPE混合液に、エチレンジアミン四酢酸4ナトリウム塩(同仁化学研究所製)の2.5質量%水溶液を10kg添加した。70℃で150分間、PPE混合液を撹拌し、その後20分静置し、液−液分離により有機相と水相とを分離し、有機相を回収した。得られたPPE重合液中のPPE濃度は、13.1質量%であった。得られたPPE重合液をPPE重合液(1)とした。
得られたPPE重合液(1)の一部を用いて、室温にした後、過剰のメタノールと少量の水を加えてPPEが析出したスラリーを作製した。その後、前記スラリーを、バスケットセントル(タナベウィルテック製0−15型)を用い濾過した。濾過後、過剰のメタノールと少量の水をバスケットセントル内に加え、再度濾過し、湿潤PPE粒子を得た。
ついで、湿潤PPE粒子を真空乾燥機に入れ、150℃、1mmHgで1.5時間保持し、乾燥状態のポリフェニレンエーテル粒子を得た。得られたPPE粒子の還元粘度は0.502dL/gであった。
<製造例2>
乾燥空気の通気時間を90分とした以外は製造例1と同様にしてPPE重合液を製造した。得られたPPE重合液中のPPE濃度は13.1質量%であった。得られたPPE重合液をPPE重合液(2)とした。
得られたPPE重合液(2)の一部から、製造例1と同様にして得られた乾燥状態のポリフェニレンエーテル粒子の還元粘度は、0.323dL/gであった。
<製造例3>
乾燥空気の通気時間を110分とした以外は製造例1と同様にしてPPE重合液を製造した。得られたPPE重合液中のPPE濃度は13.1質量%であった。得られたPPE重合液をPPE重合液(3)とした。
得られたPPE重合液(3)の一部から、製造例1と同様にして得られた乾燥状態のポリフェニレンエーテル粒子の還元粘度は、0.404dL/gであった。
<製造例4>
乾燥空気の通気時間を180分とした以外は製造例1と同様にしてPPE重合液を製造した。得られたPPE重合液中のPPE濃度は13.1質量%であった。得られたPPE重合液をPPE重合液(4)とした。
得られたPPE重合液(4)の一部から、製造例1と同様にして得られた乾燥状態のポリフェニレンエーテル粒子の還元粘度は、0.609dL/gであった。
[実施例1]
製造例1で得られたPPE重合液(1)をジャケット付きの撹拌槽1に入れ、ジャケットに120℃の熱媒を流して加温した。発生するトルエンを主成分とする蒸気をコンデンサーにより冷却して凝縮したトルエンを系外に抜出し、撹拌槽内のポリマー濃度が35質量%になるまで濃縮した。この操作を繰返し、ポリマー濃度が35質量%のPPE混合液(1)を10Kg作製した。同様に、製造例2で得られたPPE重合液(2)をジャケット付きの撹拌槽2に入れ、ポリマー濃度が35質量%のPPE混合液(2)を10Kg作製した。
次に、析出工程には、図1、図2に示す、ドラフトチューブ外部にバッフル4枚を備えたドラフトチューブ、4枚傾斜パドル翼を備えたジャケット付き析出槽を用いた。この析出槽に滞留する液の容量は1232mLであった。該析出槽にトルエン500gとメタノール500gを仕込み、1700rpmで撹拌した。該撹拌槽にはオーバーフローラインを設け、内液量が1232mLを超えると内液はオーバーフローして槽外に排出される仕組みとした。循環流動は、ドラフトチューブ内を旋回しながら槽底に向かって流れ、ドラフトチューブと析出槽の壁間をほぼ垂直に液面に向かって流れる流動とした。フィードラインの位置は、PPE混合液供給口は、循環流動の際に槽底に向かって流れる箇所に添加されるように、液面上方の、ドラフトチューブの内部に設置し、貧溶媒供給口及び水供給口は、ドラフトチューブと析出槽壁の間の液面の上方に設置した。また、PPEの貧溶媒が滴下された後に水が滴下されるように、水供給口は貧溶媒供給口より内側に設けた(図1)。液面上部に3ヶ所の液添ノズルを設置し、第一のノズル(PPE混合液供給口)よりPPE混合液(1):445g/分、第二のノズル(貧溶媒供給口)よりメタノール:188g/分、第三のノズル(水供給口)より水:15g/分を槽内に添加した。PPE混合液(1)の添加直前の温度は65℃であった。撹拌機は、1700rpmで回し続けた。スラリー液は648g/分で排出されるが、析出槽よりオーバーフローして排出されるスラリー液を洗浄槽(1)に受けた。約20分間連続で運転した後に、撹拌槽1から撹拌槽2に切り替え、析出槽よりオーバーフローして排出されるスラリー液を洗浄槽(2)に切り替え、上記第一のノズルよりPPE混合液(2):386g/分、上記第二のノズルよりメタノール:239g/分、上記第三のノズルより水:15g/分を析出槽内に添加し銘柄変更を行った。PPE混合液(2)の添加直前の温度は65℃であった。撹拌機は、1700rpmで回し続けた。スラリー液は640g/分で排出される(滞留時間約1.9分)が、析出槽よりオーバーフローして排出されるスラリー液を銘柄変更1置換後、銘柄変更2置換後、銘柄変更3置換後、銘柄変更約20分後にサンプリングし、得られたスラリー液について上述した方法により各測定を行った。結果を表1に示す。
なお、銘柄変更1置換後、2置換後、3置換後、約20分後にスラリー液を採取し、各スラリー液の一部を、バスケットセントル(タナベウィルテック製0−15型)を用い濾過した。濾過後、過剰のメタノールと少量の水をバスケットセントル内に加え、再度濾過し、湿潤PPE粒子を得た。ついで、湿潤PPE粒子を真空乾燥機に入れ、150℃、1mmHgで1.5時間保持し、得られた乾燥状態のポリフェニレンエーテル粒子の還元粘度を測定したところ、各スラリー液において、ほぼ同等の測定値が得られ、銘柄変更後も安定してポリフェニレンエーテルが生産できていた。また、最初から、第一のノズルよりPPE混合液(2):386g/分、第二のノズルよりメタノール:239g/分、第三のノズルより水:15g/分を析出槽内に添加し、得られたスラリー液について上記と同様にして乾燥状態のポリフェニレンエーテル粒子の還元粘度を測定したところ、銘柄変更後の乾燥状態のポリフェニレンエーテル粒子の還元粘度とほぼ同等であることを確認した。
[比較例1]
液面上方に2ヶ所の液添ノズルを設置し、第一のノズルよりPPE混合液(1):445g/分、第二のノズルよりメタノールと水の混合溶液:203g/分を槽内に添加し、約20分間連続で運転した後に、第一のノズルよりPPE混合液(2):386g/分、第二のノズルよりメタノールと水の混合液:254g/分を槽内に添加し銘柄変更を行った以外は実施例1と同様に実施した。得られたスラリー液について上述した方法により各測定を行った。結果を表1に示す。
また、実施例1と同様に、銘柄変更1置換後、2置換後、3置換後、約20分後にスラリー液を回収し、乾燥状態のポリフェニレンエーテル粒子の還元粘度を測定したところ、ほぼ同等の測定値が得られた。また、最初から、第一のノズルよりPPE混合液(2):386g/分、第二のノズルよりメタノールと水の混合液:254g/分を添加して得られたスラリー液の乾燥状態のポリフェニレンエーテル粒子の還元粘度とほぼ同等であることを確認した。
[実施例2]
製造例3で得られたPPE重合液(3)をジャケット付きの撹拌槽1に入れ、ジャケットに120℃の熱媒を流して加温した。発生するトルエンを主成分とする蒸気をコンデンサーにより冷却して凝縮したトルエンを系外に抜出し、撹拌槽内のポリマー濃度が40質量%になるまで濃縮した。この操作を繰返し、ポリマー濃度が40質量%のPPE混合液(3)を10Kg作製した。同様に、製造例4で得られたPPE重合液(4)をジャケット付きの撹拌槽2に入れ、ポリマー濃度が40質量%のPPE混合液(4)を10Kg作製した。
第一のノズルよりPPE混合液(3):541g/分、第二のノズルよりメタノール:535g/分、第三のノズルより水:27g/分を槽内に添加し、PPE混合液(3)の添加直前の温度は75℃であった。約20分間連続で運転した後に、撹拌槽1から撹拌槽2に切り替え、第一のノズルよりPPE混合液(4):595g/分、第二のノズルよりメタノール:482g/分、第三のノズルより水:26g/分を槽内に添加し銘柄変更を行った。PPE混合液(4)の添加直前の温度は75℃であった。これ以外は実施例1と同様に実施した。得られたスラリー液について上述した方法により各測定を行った。結果を表1に示す。
また、実施例1と同様に、銘柄変更1置換後、2置換後、3置換後、約20分後にスラリー液を回収し、乾燥状態のポリフェニレンエーテル粒子の還元粘度を測定したところ、ほぼ同等の測定値が得られた。また、最初から、第一のノズルよりPPE混合液(4):595g/分、第二のノズルよりメタノール:482g/分、第三のノズルより水:26g/分を添加して得られたスラリー液の乾燥状態のポリフェニレンエーテル粒子の還元粘度とほぼ同等であることを確認した。
[比較例2]
液面上方に2ヶ所の液添ノズルを設置し、第一のノズルよりPPE混合液(3):541g/分、第二のノズルよりメタノールと水の混合溶液:562g/分を槽内に添加し、約20分間連続で運転した後に、第一のノズルよりPPE混合液(4):595g/分、第二のノズルよりメタノールと水の混合液:508g/分を槽内に添加し銘柄変更を行った以外は実施例2と同様に実施した。得られたスラリー液について上述した方法により各測定を行った。結果を表1に示す。
また、実施例1と同様に、銘柄変更1置換後、2置換後、3置換後、約20分後にスラリー液を回収し、乾燥状態のポリフェニレンエーテル粒子の還元粘度を測定したところ、ほぼ同等の測定値が得られた。また、最初から、第一のノズルよりPPE混合液(4):595g/分、第二のノズルよりメタノールと水の混合液:508g/分を添加して得られたスラリー液の乾燥状態のポリフェニレンエーテル粒子の還元粘度とほぼ同等であることを確認した。
Figure 0006510473
本発明の製造方法で得られるポリフェニレンエーテルは、自動車用部品、耐熱部品、電子機器用部品、工業用部品、被覆剤、絶縁性被膜等の材料としての産業上の利用可能性を有している。
1 析出槽
2 ドラフトチューブ
3 撹拌翼
4 バッフル
5 PPE混合液供給口
6 貧溶媒供給口
7 水供給口
8 液面
9 排出口

Claims (4)

  1. ポリフェニレンエーテルの良溶媒と触媒とを含む重合溶液中で、フェノール系化合物を酸化重合させて、ポリフェニレンエーテル混合液を得る重合工程と、
    前記ポリフェニレンエーテル混合液中のポリフェニレンエーテル濃度を、30質量%超50質量%以下に調整する濃縮工程と、
    前記ポリフェニレンエーテル混合液と、ポリフェニレンエーテルの貧溶媒と、水とを、撹拌機を有する析出槽に添加し混合することにより、ポリフェニレンエーテルを析出させてポリフェニレンエーテル粒状物を含むスラリー液を得る析出工程とを含み、
    前記析出工程において、前記ポリフェニレンエーテルの貧溶媒と前記水とを異なる供給口を通して前記析出槽に添加し、
    前記析出工程において、前記水の添加量を、前記ポリフェニレンエーテルの貧溶媒100質量%に対して、0.05〜30質量%とする
    ことを特徴とするポリフェニレンエーテルの製造方法。
  2. 前記析出工程において、添加する前記ポリフェニレンエーテル混合液に含まれる前記ポリフェニレンエーテルの良溶媒の質量に対する、添加する前記ポリフェニレンエーテルの貧溶媒の質量の割合(添加する前記ポリフェニレンエーテルの貧溶媒の質量/添加する前記ポリフェニレンエーテル混合液に含まれる前記ポリフェニレンエーテルの良溶媒の質量)が、0.3〜2.0である、請求項1に記載のポリフェニレンエーテルの製造方法。
  3. 前記フェノール系化合物が2,6−ジメチルフェノールである、請求項1又は2に記載のポリフェニレンエーテルの製造方法。
  4. 前記ポリフェニレンエーテル粒状物中の、粒径105μm以下のポリフェニレンエーテル粒子の含有率が11質量%以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリフェニレンエーテルの製造方法。
JP2016180886A 2016-05-31 2016-09-15 ポリフェニレンエーテルの製造方法 Active JP6510473B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
SG10201610310PA SG10201610310PA (en) 2016-05-31 2016-12-08 Method of producing polyphenylene ether

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016109422 2016-05-31
JP2016109422 2016-05-31

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017214543A JP2017214543A (ja) 2017-12-07
JP6510473B2 true JP6510473B2 (ja) 2019-05-08

Family

ID=60485346

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016180886A Active JP6510473B2 (ja) 2016-05-31 2016-09-15 ポリフェニレンエーテルの製造方法

Country Status (3)

Country Link
JP (1) JP6510473B2 (ja)
CN (1) CN107446125B (ja)
SG (1) SG10201610310PA (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN113493565B (zh) * 2020-04-02 2024-01-26 上海孛柯博科技有限公司 一种聚苯醚及其制备方法和用于生产聚苯醚的装置

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US3923738A (en) * 1974-07-23 1975-12-02 Gen Electric Process for the formation of polyphenylene ethers of controlled particle size
JPS54146896A (en) * 1978-05-10 1979-11-16 Mitsubishi Gas Chem Co Inc Recovery of polyphenylene oxide
US6627727B1 (en) * 2000-04-28 2003-09-30 Mitsubishi Gas Chemical Co Method of precipitating polyphenylene ether
DE60318389T2 (de) * 2002-02-01 2009-01-02 Asahi Kasei Chemicals Corporation Verfahren zum ausfällen von polyphenylenether
US6787633B2 (en) * 2002-09-13 2004-09-07 General Electric Company Method and apparatus for preparing a poly(arylene ether)
JP2013256646A (ja) * 2012-05-17 2013-12-26 Asahi Kasei Chemicals Corp ポリフェニレンエーテル粉体の製造方法
JP2013256647A (ja) * 2012-05-17 2013-12-26 Asahi Kasei Chemicals Corp ポリフェニレンエーテル粉体の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
SG10201610310PA (en) 2017-12-28
CN107446125A (zh) 2017-12-08
CN107446125B (zh) 2020-07-14
JP2017214543A (ja) 2017-12-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2016148039A (ja) 微粒子含量が少ないポリ(アリーレンエーテル)の製造方法
WO2012050138A1 (ja) ポリフェニレンエーテル粉体及びポリフェニレンエーテル樹脂組成物
JP4145243B2 (ja) ポリフェニレンエーテルの析出方法
JP2013256648A (ja) ポリフェニレンエーテル粉体の製造方法
US10266661B2 (en) Polyphenylene ether powder and production method
JP6510473B2 (ja) ポリフェニレンエーテルの製造方法
JP6789009B2 (ja) ポリフェニレンエーテル粉体の製造方法
US10059802B2 (en) Method for producing polyphenylene ether
EP1966277B1 (en) Method for the preparation of a poly(arylene ether)
JP2013256647A (ja) ポリフェニレンエーテル粉体の製造方法
JP2006249134A (ja) ポリフェニレンエーテルの製造方法
JP2017160399A (ja) 微少空隙を有するポリフェニレンエーテル紛体と製造方法
JP2013256646A (ja) ポリフェニレンエーテル粉体の製造方法
JP2013256644A (ja) ポリフェニレンエーテル粉体の製造方法
JP2010270248A (ja) ポリフェニレンエーテルの製造方法
JP2013256645A (ja) ポリフェニレンエーテル粉体の製造方法
JP5349135B2 (ja) ポリフェニレンエーテルの製造方法
US7205377B2 (en) Method for the preparation of a poly(arylene ether), and related compositions
JP7021023B2 (ja) ポリフェニレンエーテル樹脂の製造方法
JP2019006964A (ja) ポリフェニレンエーテル粉体の製造方法
JP2016074791A (ja) ポリフェニレンエーテルの製造における溶媒回収方法
CN110078912B (zh) 一种聚苯醚连续加压过滤洗涤方法
US9777114B1 (en) Method for producing polyphenylene ether
JP3909838B2 (ja) ポリフェニレンエーテルの製造法
JP6037764B2 (ja) メチルフェノール組成物及びポリフェニレンエーテルの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180903

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20180911

A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20190116

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190117

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190122

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190222

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190402

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190404

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6510473

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150