JP6510045B2 - 熱電変換素子および熱電変換モジュール - Google Patents

熱電変換素子および熱電変換モジュール Download PDF

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Description

本発明は、熱電変換素子、および、この熱電変換素子を用いる熱電変換モジュールに関する。
熱エネルギーと電気エネルギーとを相互に変換することができる熱電変換材料が、熱によって発電する発電素子やペルチェ素子のような熱電変換素子に用いられている。
熱電変換素子は、熱エネルギーを直接電力に変換することができ、可動部を必要としない等の利点を有する。そのため、複数の熱電変換素子を接続してなる熱電変換モジュール(発電装置)は、例えば、焼却炉や工場の各種の設備など、排熱される部位に設けることで、動作コストを掛ける必要なく、簡易に電力を得ることができる。
このような熱電変換素子としては、いわゆるπ型の熱電変換素子が知られている。
π型の熱電変換素子とは、互いに離間する一対の電極を設け、一方の電極の上にN型熱電変換材料を、他方の電極の上にP型熱電変換材料を、同じく互いに離間して設け、両熱電変換材料の上面を電極によって接続してなる構成を有する。
また、N型熱電変換材料とP型熱電変換材料とが交互に配置されるように、複数の熱電変換素子を配列して、熱電変換材料の下部の電極を直列に接続することで、熱電変換モジュールが形成される。
π型の熱電変換素子を含め、通常の熱電変換素子は、シート状の基板の上に電極を有し、電極の上に熱電変換層(発電層)を有し、熱電変換層の上にシート状の電極を有してなる構成を有する。
すなわち、通常の熱電変換素子は、電極で熱電変換層を厚さ方向に挟持し、熱電変換層の厚さ方向に温度差を生じさせて、熱エネルギーを電気エネルギーに変換させている。
これに対し、特許文献1や特許文献2には、高熱伝導部と低熱伝導部とを有する基板を用いて、熱電変換層の厚さ方向ではなく、熱電変換層の面方向に温度差を生じさせて熱エネルギーを電気エネルギーに変換する熱電変換素子が記載されている。
具体的には、特許文献1には、P型材料およびN型材料で形成された熱電変換層の両面に、熱伝導率が異なる2種類の材料で構成された柔軟性を有するフィルム基板を設け、かつ、フィルム基板を、熱伝導率が異なる材料を通電方向の逆位置に位置し、熱伝導率が高い材料が基板の外面の一部に位置した熱電変換素子が記載されている。
また、特許文献2には、水平方向に温度差を生じさせる第1温度差形成層と、第1温度差形成層上に形成された熱電素子と、熱電素子間を接続する配線と、を備え、第1温度差形成層は、熱電素子側の主面が他方の主面よりも面積が小さい第1高熱伝導体と、この隙間に充填された第1低熱伝導体とが、水平方向に交互に形成され、熱電素子は、第1高熱伝導体の少なくとも一部を覆うように形成され、かつ、第1高熱伝導体に隣接する第1低熱伝導体まで延在されるように形成されている熱電変換モジュール装置が記載されている。
特開2006−186255号公報 WO2013/121486A1
特許文献1や特許文献2に記載される構成の熱電変換素子は、基板に設けられる高熱伝導部によって熱電変換層の面方向に温度差を生じさせて、熱エネルギーを電気エネルギーに変換する。そのため、薄い熱電変換層でも、温度差が生じる距離を長くして、効率の良い発電ができる。さらに、熱電変換層をシート状にできるので、フレキシブル性にも優れ、曲面等への設置も容易な熱電変換素子や熱電変換モジュールが得られる。
しかしながら、特許文献1や特許文献2に記載される構成の熱電変換素子は、熱電変換層と電極(配線)との接触面積が小さいため、界面抵抗が大きくなり、十分な出力を得られず、また、密着性が不十分であり曲げ等によって剥離が生じてしまい、耐久性が悪いという問題があった。
本発明の目的は、このような従来技術の問題点を解決することにあり、熱電変換層と電極との間の界面抵抗を低減して十分な出力を得ることができ、また、熱電変換層と電極との剥離を抑制でき耐久性の高い熱電変換素子および熱電変換モジュールを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を達成すべく鋭意研究した結果、面方向の少なくとも一部に他の領域よりも熱伝導率が高い高熱伝導部を有する第1基板と、第1基板の上に形成される熱電変換層と、熱電変換層の上に形成される、面方向の少なくとも一部に他の領域よりも熱伝導率が高い高熱伝導部を有し、かつ、面方向において自身の高熱伝導部が第1基板の高熱伝導部と完全に重複しない第2基板と、面方向に熱電変換層を挟むように熱電変換層に接続される、一対の電極とを有し、電極はそれぞれ、熱電変換層の主面の一方の端部を厚さ方向に挟む2つの突出部を有することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の熱電変換素子および熱電変換モジュールを提供する。
(1) 面方向の少なくとも一部に他の領域よりも熱伝導率が高い高熱伝導部を有する第1基板と、第1基板の上に形成される熱電変換層と、熱電変換層の上に形成される、面方向の少なくとも一部に他の領域よりも熱伝導率が高い高熱伝導部を有し、かつ、面方向において自身の高熱伝導部が第1基板の高熱伝導部と完全に重複しない第2基板と、面方向に熱電変換層を挟むように熱電変換層に接続される、一対の電極とを有し、電極はそれぞれ、熱電変換層の一方の端部を厚さ方向に挟む2つの突出部を有する熱電変換素子。
(2) 電極はそれぞれ、2つの突出部の間に、熱電変換層側に突出する1以上の突起部を有する(1)に記載の熱電変換素子。
(3) 一対の電極の電極間距離が、熱電変換層の通電方向の幅に対して0.1〜0.9倍である(1)または(2)に記載の熱電変換素子。
(4) 熱電変換層の材料が、有機材料である(1)〜(3)のいずれかに記載の熱電変換素子。
(5) 熱電変換層は、厚さ方向よりも面方向の導電率が高い(1)〜(4)のいずれかに記載の熱電変換素子。
(6) 熱電変換層の材料が、カーボンナノチューブを含む(1)〜(5)のいずれかに記載の熱電変換素子。
(7) 熱電変換層の材料が、P型材料である(1)〜(6)のいずれかに記載の熱電変換素子。
(8) 熱電変換層の材料が、N型材料である(1)〜(6)のいずれかに記載の熱電変換素子。
(9) (1)〜(8)のいずれかに記載の熱電変換素子を、複数、直列に接続してなる熱電変換モジュール。
(10) 熱電変換層がP型材料からなるP型熱電変換素子と、熱電変換層がN型材料からなるN型熱電変換素子とを交互に接続してなる(9)に記載の熱電変換モジュール。
(11) 接続された前記P型熱電変換素子の電極と、N型熱電変換素子の電極との間に熱伝導性材料または導電性材料が充填されている(10)に記載の熱電変換モジュール。
このような本発明によれば、熱電変換層と電極との間の界面抵抗を低減して十分な出力を得ることができ、また、熱電変換層と電極との剥離を抑制でき耐久性の高い熱電変換素子および熱電変換モジュールを提供することができる。
本発明の熱電変換素子の一例を概念的に示す上面図である。 図1Aの正面図である。 図1Aの底面図である。 本発明の熱電変換素子の他の一例を概念的に示す図である。 本発明の熱電変換素子の他の一例を概念的に示す図である。 本発明の熱電変換素子の他の一例を概念的に示す図である。 本発明の熱電変換素子の他の一例を概念的に示す図である。 本発明の熱電変換素子の他の一例を概念的に示す図である。 本発明の熱電変換素子の他の一例を概念的に示す図である。 本発明の熱電変換素子を利用する本発明の熱電変換モジュールの一例を説明するための概念図である。 本発明の熱電変換素子を利用する本発明の熱電変換モジュールの一例を説明するための概念図である。 本発明の熱電変換素子を利用する本発明の熱電変換モジュールの一例を説明するための概念図である。 図5A〜図5Cに示す熱電変換モジュールの一部を拡大して示す概略断面図である。 本発明の熱電変換モジュールの他の一例を概念的に示す図である。 本発明の熱電変換モジュールの他の一例を概念的に示す図である。 本発明の熱電変換モジュールの他の一例を概念的に示す図である。 比較例の熱電変換素子を概念的に示す図である。 比較例の熱電変換素子を概念的に示す図である。
以下、本発明の熱電変換素子および熱電変換モジュールについて、添付の図面に示される好適実施例を基に詳細に説明する。
図1A〜図1Cに、本発明の熱電変換素子の一例を概念的に示す。なお、図1Aは上面図(図1Bを紙面上方から見た図)、図1Bは正面図(後述する基板等の面方向に見た図)、図1Cは底面図(図1Bを紙面下方から見た図)である。なお、図1Bは、図1Aを図中横方向に切断した断面を示しているが、図を簡略化するために、ハッチは省略している。
図1A〜図1Cに示す熱電変換素子10は、基本的に、第1基板12と、熱電変換層16と、粘着層18と、第2基板20と、電極26および電極28とを有して構成される。
具体的には、第1基板12の上に熱電変換層16、電極26および電極28を有し、熱電変換層16、電極26および電極28を覆って粘着層18を有し、粘着層18の上に第2基板20を有する。また、電極26および電極28すなわち電極対は、第1基板12の基板面の方向に熱電変換層16を挟むように設けられる。以下、第1基板12の基板面の方向を、以下、単に『面方向』とも言う。
図1A〜図1Cに示すように、第1基板12は、低熱伝導部12aおよび高熱伝導部12bを有する。同様に、第2基板20も、低熱伝導部20aおよび高熱伝導部20bを有する。図示例において、両基板は、互いの高熱伝導部が、電極26と電極28との離間方向すなわち通電方向に異なる位置となるように配置される。
熱電変換素子10は、高熱伝導部および低熱伝導部を有する基板を2枚用い、両基板の高熱伝導部を面方向に異なる位置として、この2枚の基板で熱電変換層を挟持してなる構成を有することにより、より好適に熱電変換層16の面方向に大きな温度差を生じさせて、熱エネルギーを電気エネルギーに変換することができ、高い発電量が得られる。
なお、両基板は、配置位置、および、表裏や面方向の向きが異なるのみで、構成は同じであるので、第1基板12と第2基板20とを区別する必要が有る場合を除いて、説明は第1基板12を代表例として行う。
図示例の熱電変換素子10において、第1基板12(第2基板20)は、板状の低熱伝導部12a(低熱伝導部20a)の一方の半面を覆って高熱伝導部12b(高熱伝導部20b)を積層してなる構成を有する。以下、高熱伝導部12bの熱電変換層16とは逆側の表面を、単に『表面』とも言う。
従って、第1基板12は、一方の面は、面方向の半分の領域が低熱伝導部12aのみで、残りの半分の領域は低熱伝導部12aに、高熱伝導部12bが積層された構成になる。また、第1基板12の他方の面は、全面が低熱伝導部12aのみとなる。
低熱伝導部12aは、ガラス板、セラミックス板、プラスチックフィルム、樹脂からなる層など、後述する高熱伝導部12bよりも熱伝導率が低く、熱電変換層16や電極26等の形成等に対する十分な耐熱性を有するものであれば、各種の材料からなる物が利用可能である。
好ましくは、低熱伝導部12aには、プラスチックフィルム等の樹脂(高分子材料)からなるシート状物(板状物)や樹脂からなる層が利用される。低熱伝導部12aを樹脂で形成することにより、軽量化やコストの低下を計ると共に、可撓性(フレキシブル性)を有する熱電変換素子10が形成可能となり、好ましい。
低熱伝導部12aに利用可能な樹脂としては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)、ポリエチレン−2,6−フタレンジカルボキシレート等のポリエステル樹脂、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエーテルスルホン、シクロオレフィンポリマー、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、トリアセチルセルロース(TAC)等の樹脂、ガラスエポキシ、液晶性ポリエステル等からなるシート状物(フィルム/板状物)が例示される。
中でも、熱伝導率、耐熱性、耐溶剤性、入手の容易性や経済性等の点で、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等は、好適に利用される。
高熱伝導部12bは、低熱伝導部12aよりも熱伝導率が高いものであれば、各種の材料からなるフィルムや金属箔が例示される。
具体的には、熱伝導率等の点で、金、銀、銅、アルミニウム等の各種の金属が例示される。中でも、熱伝導率、経済性等の点で、銅およびアルミニウムは好適に利用される。
なお、本発明において、第1基板12の厚さ、低熱伝導部12aの厚さ、高熱伝導部12bの厚さ等は、高熱伝導部12bおよび低熱伝導部12aの形成材料、熱電変換素子10の大きさ等に応じて、適宜、設定すればよい。なお、第1基板12の厚さとは、高熱伝導部12bが無い領域の低熱伝導部12aの厚さである。本発明者らの検討によれば、第1基板12の厚さは、2〜50μmが好ましく、2〜25μmがより好ましい。
また、第1基板12の面方向(基板面と直交する方向から見た際)の大きさ、第1基板12における高熱伝導部12bの面方向の面積率等も、低熱伝導部12aおよび高熱伝導部12bの形成材料、熱電変換素子10の大きさ等に応じて、適宜、設定すればよい。
さらに、第1基板12における高熱伝導部12bの面方向の位置も、図示例に限定されず、各種の位置が利用可能である。
例えば、第1基板12において、高熱伝導部12bは、面方向において低熱伝導部12aに内包されてもよい。あるいは、高熱伝導部12bは、面方向において、一部を第1基板12の端部に位置し、それ以外の領域を低熱伝導部12aに内包されてもよい。
さらに、第1基板12は、面方向に複数の高熱伝導部12bを有してもよい。
また、本発明の熱電変換素子において、第1基板12(第2基板20)は、低熱伝導部の表面に高熱伝導部を積層してなる構成以外にも、各種の構成が利用可能である。例えば、第1基板は、低熱伝導部12aとなる板状物の、一方の面の半分の領域に凹部を形成して、この凹部に、表面が均一となるように高熱伝導部12bを組み込んでなる構成でもよい。
また、第1基板と第2基板とで、高熱伝導部の形成方法が異なってもよい。
また、図1Bに示す熱電変換素子10は、第1基板12と第2基板20との間での温度差を生じ易い好ましい態様として、第1基板12および第2基板20は、共に、高熱伝導部12bおよび高熱伝導部20bを積層方向の外側に位置している。
しかしながら、本発明は、これ以外にも、第1基板12および第2基板20が、共に、高熱伝導部12bおよび高熱伝導部20bを積層方向の内側に位置する構成でもよい。あるいは、高熱伝導部12bおよび高熱伝導部20bがそれぞれ、厚さ方向において、低熱伝導部に内包される構成でもよい。
また、第1基板と第2基板とで、高熱伝導部の形成方法が異なってもよく、例えば、第1基板12が高熱伝導部12bを積層方向の外側に位置し、第2基板20が高熱伝導部20bを積層方向の内側に位置するような構成でもよい。
なお、高熱伝導部が金属等の導電性を有する材料で形成され、かつ、高熱伝導部が積層方向の内側に配置される構成において、高熱伝導部と、電極26、電極28および熱電変換層16の少なくとも1つとが電気的に接続されてしまう場合には、高熱伝導部と、電極26、電極28および熱電変換層16の少なくとも1つとの絶縁性を確保するために、間に絶縁層を設けてもよい。
熱電変換素子10において、第1基板12の高熱伝導部12bを形成されていない側の表面には、熱電変換層16、ならびに、電極26および電極28が設けられる。
すなわち、第1基板12の低熱伝導部12aは、熱電変換層16、ならびに、電極26および電極28の少なくとも1つの形成基板としても作用する。熱電変換層16と高熱伝導部12bとの間に、このような熱電変換層16等の形成基板となる低熱伝導部12a、すなわち、高熱伝導部12bよりも熱伝導率が低い領域を有することにより、熱電変換素子10の製造を容易に行える、熱電変換素子10の生産性を向上することができる等の点で好ましい。
本発明の熱電変換素子10において、熱電変換層16は、公知の熱電変換材料を用いる各種の構成が、全て、利用可能である。従って、熱電変換層16は、有機系の熱電変換材料を用いる物であっても、無機系の熱電変換材料を用いるものであってもよい。さらに、熱電変換層16は、P型材料からなるものでも、N型材料からなるものでも、P型材料およびN型材料の両方からなるものでもよい。
熱電変換層16に用いられる熱電変換材料としては、例えば、導電性高分子や導電性ナノ炭素材料等の有機材料が好適に例示される。
導電性高分子としては、共役系の分子構造を有する高分子化合物(共役系高分子)が例示される。具体的には、ポリアニリン、ポリフェニレンビニレン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリフルオレン、アセチレン、ポリフェニレン、ポリジオキシチオフェン、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン):ポリ(4-スチレンスルホン酸塩)などの公知のπ共役高分子等が例示される。特に、ポリジオキシチオフェン、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン):ポリ(4-スチレンスルホン酸塩)は、好適に使用できる。
導電性ナノ炭素材料としては、具体的には、カーボンナノチューブ(以下、CNTとも言う)、カーボンナノファイバー、カーボンナノホーン、カーボンナノバット、グラファイト、グラフェン、カーボンナノ粒子等が例示される。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
中でも、熱電特性がより良好となる理由から、CNTが好ましく利用される。
CNTには、1枚の炭素膜(グラフェン・シート)が円筒状に巻かれた単層CNT、2枚のグラフェン・シートが同心円状に巻かれた2層CNT、及び複数のグラフェン・シートが同心円状に巻かれた多層CNTがある。本発明においては、単層CNT、2層CNT、多層CNTを各々単独で用いてもよく、2種以上を併せて用いてもよい。特に、導電性及び半導体特性において優れた性質を持つ単層CNTおよび2層CNTを用いることが好ましく、単層CNTを用いることがより好ましい。
単層CNTは、半導体性のものであっても、金属性のものであってもよく、両者を併せて用いてもよい。半導体性CNTと金属性CNTとを両方を用いる場合、組成物中の両者の含有比率は、組成物の用途に応じて適宜調整することができる。また、CNTには金属などが内包されていてもよく、フラーレン等の分子が内包されたものを用いてもよい。
CNTは、修飾あるいは処理されたものであってもよい。さらに、熱電変換層16にCNTを利用する場合には、ドーパント(アクセプタ、ドナー)を含んでいてもよい。
熱電変換層16を構成する熱電変換材料としては、ニッケルあるいはニッケル合金も好適に例示される。
ニッケル合金は、温度差を生じることで発電するニッケル合金が、各種、利用可能である。具体的には、バナジウム、クロム、シリコン、アルミニウム、チタン、モリブデン、マンガン、亜鉛、錫、銅、コバルト、鉄、マグネシウム、ジルコニウムなどの1成分、もしくは、2成分以上と混合したニッケル合金等が例示される。
熱電変換層16にニッケルあるいはニッケル合金を用いる場合には、熱電変換層16は、ニッケルの含有量が90原子%以上であるのが好ましく、ニッケルの含有量が95原子%以上であるのがより好ましく、ニッケルからなるのが特に好ましい。ニッケルからなる熱電変換層16とは、不可避的不純物を有するものも含む。
また、熱電変換層16としてニッケルあるいはニッケル合金を用いる場合であって、電極としてもニッケルあるいはニッケル合金を用いる場合には、熱電変換層16と電極とを一体的に形成してもよい。
本発明の熱電変換素子10において、熱電変換層16の厚さ、面方向の大きさ、基板に対する面方向の面積率等は、熱電変換層16の形成材料、熱電変換素子10の大きさ等に応じて、適宜、設定すればよい。
なお、図示例の熱電変換素子10において、熱電変換層16は、電極26と電極28との離間方向の中心を、第1基板12の高熱伝導部12bと低熱伝導部12aとの境目に一致して形成される。
また、熱電変換層16は、厚さ方向よりも面方向の導電率が高いことが好ましい。
熱電変換層16の面方向の導電率が、厚さ方向の導電率よりも高いことで、発電した電力を、電極26と電極28との離間方向すなわち通電方向に効率よく通電することができる。
このような熱電変換層16には、面方向に挟持するように、電極26および電極28が接続される。
ここで、本発明においては、電極26および電極28はそれぞれ、熱電変換層16の、接続される側の端部を厚さ方向に挟む2つの突出部を有する。
なお、電極26および電極28は、配置位置、および、面方向の向きが異なるのみで、構成は同じであるので、電極26と電極28とを区別する必要が有る場合を除いて、説明は電極26を代表例として行う。
図1Bに示すように、電極26は、熱電変換層16に接触する側の端部において、略C形状に形成されており、第1基板12と熱電変換層16との間に位置する下部突出部26aと、熱電変換層16の、第1基板12とは反対側の面(以下、「上面」ともいう)上に位置する上部突出部26bとを有し、下部突出部26aおよび上部突出部26bによって、熱電変換層16の端部を厚さ方向に挟んでいる。
この電極26は、第1基板12上に略均一な厚さで層状に形成され、端部が第1基板12と熱電変換層16との間に位置する部位と、熱電変換層16の端面および上面の一部を覆う略L字状の部位とを有するということもできる。
前述のとおり、高熱伝導部および低熱伝導部を有する基板を2枚用い、両基板の高熱伝導部を面方向に異なる位置として、この2枚の基板で熱電変換層を挟持してなる構成を有する熱電変換素子は、熱電変換層の面方向に大きな温度差を生じさせることができるので、熱電変換層を薄くしても、効率よく熱エネルギーを電気エネルギーに変換することができる。
しかしながら、このような構成の熱電変換素子では、熱電変換層と電極とは基本的に側面で接触するため、熱電変換層を薄くするほど、接触面積が小さくなってしまう。そのため、界面抵抗が大きくなり、十分な出力を得られないという問題があった。また、熱電変換層と電極との密着性が不十分であるため、曲げ等によって剥離が生じてしまい、耐久性が悪いという問題があった。
これに対して、本発明の熱電変換素子は、電極が、熱電変換層の一方の端部を厚さ方向に挟む2つの突出部を有する構成である。2つの突出部の幅の分だけ熱電変換層に接触する面積が増えるため、電極と熱電変換層との接触面積を大きくでき、界面抵抗を低減できる。これにより、熱電変換層で熱エネルギーを電気エネルギーに変換して得られた電力を効率よく取り出すことができ、熱電変換素子として十分な出力を得ることができる。また、熱電変換層を電極の突出部で挟む構成とすることで、曲げ等の力が加わった場合でも、熱電変換層と電極とが剥離することを抑制でき、耐久性を向上できる。
ここで、下部突出部26aおよび上部突出部26b(下部突出部28aおよび上部突出部28b)の、通電方向における幅、すなわち、熱電変換層と積層される領域の幅は、電極と熱電変換層の界面抵抗を十分に低減でき、曲げ等の力が加わった場合の剥離を抑制できれば、特に限定はないが、熱電変換層16の通電方向における幅に対し、0.05〜0.45倍であるのが好ましく、0.1〜0.45倍であるのがより好ましい。
なお、下部突出部26aの幅と、上部突出部26bの幅とは、同じであっても異なっていてもよい。また、電極26の突出部(下部突出部26aおよび上部突出部26b)の幅と、電極28の突出部(下部突出部28aおよび上部突出部28b)の幅とは同じであっても異なっていてもよい。
また、電極26と電極28との間の距離は、熱電変換層16の面方向に好適に温度差を生じさせ、変換効率を高くできる、熱電変換層16と電極との接触面積を増やして界面抵抗を低下させる等の観点から、熱電変換層16の通電方向の幅に対して、0.1〜0.9倍であるのが好ましく、0.2〜0.9倍であるのがより好ましい。
なお、電極26と電極28との間の距離とは、電極26の突出部の先端から、電極28の突出部の先端までの距離である。また、図4Bに示すように、突出部および突起部の幅が互いに異なる場合には、電極26と電極28との間の距離とは、他方の電極の側に最も突出した突出部(突起部)の先端から他方の突出部の先端までの距離である。
電極26および電極28の厚さや大きさ等は、熱電変換層16の厚さや大きさ、形状、熱電変換素子10の大きさ等に応じて、適宜、設定すればよい。
また、電極26および電極28の下部突出部および上部突出部の厚さも、熱電変換層16の厚さや大きさ、形状、熱電変換素子10の大きさ等に応じて、適宜、設定すればよい。
電極26および電極28は、必要な導電率を有するものであれば、各種の材料で形成可能である。
具体的には、銅、銀、金、白金、ニッケル、アルミニウム、コンスタンタン、クロム、インジウム、鉄、銅合金などの金属材料、酸化インジウムスズ(ITO)や酸化亜鉛(ZnO)等の各種のデバイスで透明電極として利用されている材料等が例示される。中でも、銅、金、銀、白金、ニッケル、銅合金、アルミニウム、コンスタンタン等は好ましく例示され、銅、金、銀、白金、ニッケルは、より好ましく例示される。
電極26および電極28は、例えば、クロム層の上に銅層を形成してなる構成等、積層電極であってもよい。
また、電極26と電極28とが異なる材料で形成されていてもよい。
また、電極26および電極28は、2種以上の材料で形成されていてもよい。
例えば、図2に示す熱電変換素子10bの電極26(電極28)ように、第1基板12上に略均一な厚さで層状に形成される第1電極層30(第1電極層34)と、第1電極層30(第1電極層34)から熱電変換層16の端面に沿って立ち上がり、熱電変換層16の上面の端部近傍を覆う略L字状の第2電極層32(第2電極層36)とを有し、第1電極層30(第1電極層34)の材料と第2電極層32(第2電極層36)の材料とが異なる構成としてもよい。
なお、図2においては、説明のため、第1基板12、粘着層18、第2基板20の高熱伝導部20bの図示は省略している。以下に説明する、図3B、図4A〜図4Cも同様である。
また、本発明において、電極は、2つの突出部の間に、熱電変換層側に突出する1以上の突起部を有してもよい。
例えば、図3Aに示す熱電変換素子10cにおいては、電極26は、下部突出部26aと上部突出部26bとの間に、熱電変換層16側に突出する1つの突起部26cを有する。
また、図3Bに示す熱電変換素子10dにおいては、電極26は、下部突出部26aと上部突出部26bとの間に、熱電変換層16側に突出する3つの突起部26cを有する。
このように、2つの突出部の間に1以上の突起部を設けることにより、電極と熱電変換層との接触面積をより大きくでき、界面抵抗をより低減できるので、出力より向上でき好ましい。また、熱電変換層と電極との剥離をより好適に抑制でき、耐久性をより向上できる。
なお、突起部26cの、通電方向の幅は、下部突出部26aおよび上部突出部26bの幅と同じであっても異なっていてもよく、熱電変換層16の通電方向における幅に対し、0.05〜0.45倍であるのが好ましく、0.1〜0.45倍であるのがより好ましい。
また、下部突出部26a、上部突出部26bおよび1以上の突起部26cの、厚さ方向の配置間隔は、均等であっても、不均等であってもよい。
また、電極26、電極28の形状は、上述した形状に限定はされず、熱電変換層16を挟む2つの突出部を有する構成であれば、各種形状が利用可能である。
図4A〜図4Cに、本発明の熱電変換素子の他の一例の概念図をそれぞれ示す。
図4Aに示す熱電変換素子10eは、熱電変換層16の面方向の幅が第1基板12から離間するにしたがって小さくなる形状、すなわち、熱電変換層16が略台形状である例である。すなわち、熱電変換層16の端面が傾斜して設けられており、電極26および電極28の、熱電変換層16の端面に接触する部位が傾斜した構成を有する。また、電極26の下部突出部26a、上部突出部26bおよび突起部26cは、面方向における先端位置を一致して設けられている。
なお、電極26と電極28との間の距離を確保できる範囲内であれば、下部突出部26a、上部突出部26bおよび突起部26cのそれぞれの先端位置は一致していなくてもよい。電極28も同様である。
図4Bに示す熱電変換素子10fは、電極26の下部突出部26aおよび上部突出部26bの間に突起部26cを有する構成において、電極26が、第1基板12上に略均一な厚さで層状に形成され、端部が第1基板12と熱電変換層16との間に位置して下部突出部26aとなる部位と、下部突出部26aから熱電変換層16の端面に沿って立ち上がり、熱電変換層16側へ突出する突起部26cを含む略L字状の部位と、突起部26cから熱電変換層16の端面に沿って立ち上がり、熱電変換層16の上面の端部近傍を覆う上部突出部26bを含む略L字状の部位とを有する構成である。言い換えると、電極26の、熱電変換層16に接する端部は、階段状に形成されている。
図4Cに示す熱電変換素子10gは、電極26の下部突出部26aおよび上部突出部26bの間に突起部26cを有する構成において、電極26が、第1基板12上に略均一な厚さで層状に形成され、端部が第1基板12と熱電変換層16との間に位置して下部突出部26aとなる部位と、下部突出部26aから熱電変換層16の端面に沿って立ち上がり、熱電変換層16の上面の端部近傍を覆う上部突出部26bを含む略L字状の部位と、下部突出部26aの、上部突出部26bを含む略L字状の部位の立ち上がり位置よりも、先端側から熱電変換層16の厚さ方向に立ち上がり、電極28側へ突出する突起部26cを含む略L字状の部位と、を有する構成である。
熱電変換素子10は、好ましい態様として、熱電変換層16、電極26および電極28の上には、粘着層18を有する。このような粘着層18を有することにより第1基板12と第2基板20との密着性を良好にして、耐屈曲性など、機械的強度が良好な熱電変換素子(熱電変換モジュール)が得られる。また、粘着層18は、第2基板20と、熱電変換層16、電極26および電極28とを絶縁する、絶縁層としても作用する。
粘着層18の形成材料は、第1基板12の低熱伝導部12a、熱電変換層16、電極26および電極28、ならびに、第2基板20の低熱伝導部20aの形成材料等に応じて、第1基板12、熱電変換層16、電極26および電極28と、第2基板20とを貼着可能なものが、各種、利用可能である。
具体的には、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ゴム、EVA、α-オレフィンポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、デンプン等が例示される。また、粘着層18は、市販の接着剤、粘着剤、両面テープや粘着フィルム等を利用して形成してもよい。
粘着層18の厚さは、粘着層18の形成材料、熱電変換層16に起因する段差の大きさ等に応じて、熱電変換層16等と第2基板20とを十分な密着力で貼着でき、かつ、絶縁できる厚さを、適宜、設定すればよい。なお、粘着層18は、基本的に、薄い方が、熱電変換性能を高くできる。
具体的には、3〜100μmが好ましく、3〜50μmがより好ましく、3〜25μmが特に好ましい
粘着層18の厚さを3μm以上とすることにより、熱電変換層16に起因する段差を十分に埋めることができる、良好な密着性が得られ、十分な絶縁性が得られる等の点で好ましい。
粘着層18の厚さを100μm以下、特に25μm以下とすることにより、熱電変換素子10(熱電変換モジュール)の薄膜化を計れる、可撓性の良好な熱電変換素子10を得ることができる、粘着層18の熱抵抗を小さくでき、より良好な熱電変換性能が得られる等の点で好ましい。
なお、必要に応じて、密着性を向上するために、熱電変換層16、電極26および電極28と粘着層18との界面、粘着層18と第2基板20との界面の1以上において、界面を形成する表面の少なくとも1面に、プラズマ処理、UVオゾン処理、電子線照射処理等の公知の表面処理を施して、表面の改質や清浄化を行ってもよい。
粘着層18の上には、第2基板20が貼着されて、熱電変換素子10が構成される。
以上のように構成される熱電変換素子10においては、例えば、第1基板12側に熱源を設け、第1基板12の高熱伝導部12bと、第2基板20の高熱伝導部20bとの間に温度差を生じさせることにより、発電する。また、電極26および電極28に配線を接続することにより、加熱等によって発生した電力(電気エネルギー)が取り出される。
前述のように、熱電変換素子10において、第1基板12および第2基板20は、高熱伝導部12bと高熱伝導部20bとが、電極26と電極28との離間方向すなわち通電方向に異なる位置となるように配置される。そのため、熱電変換素子10においては、熱電変換層16の面方向に温度差を生じさせて、熱エネルギーを電気エネルギーに変換することができ、すなわち、熱電変換層16の面方向の長い距離の温度差によって、効率の良い発電が可能である。
図示例の熱電変換素子10は、電極26と電極28との離間方向に対面して当接するように、第1基板12の高熱伝導部12bと、第2基板20の高熱伝導部20bとが、電極間方向で、面方向の異なる位置に配置される。
本発明の熱電変換素子は、これ以外にも、第1基板の高熱伝導部と、第2基板の高熱伝導部とが、面方向において完全に重複しなければ、各種の構成が利用可能である。言い換えれば、本発明の熱電変換素子は、第1基板の高熱伝導部と第2基板の高熱伝導部とが、面方向と直交する方向から見た際に完全に重複しなければ、各種の構成が利用可能である。
例えば、図1Bに示す例において、第1基板12の高熱伝導部12bを図中右側に移動し、第2基板20の高熱伝導部20bを図中左側に移動して、面方向において、両高熱伝導部を、電極間方向に離間させてもよい。具体的には、第1基板12の高熱伝導部12bと第2基板20の高熱伝導部20bとは、面方向において、電極26と電極28との離間方向における熱電変換層16の大きさに対して、電極間方向に10〜90%離間させるのが好ましく、10〜50%離間させるのがより好ましい。
あるいは、この両高熱伝導部が離間する構成において、高熱伝導部12bおよび/または高熱伝導部20bに、他方に向かう凸部を設け、面方向において、両基板の高熱伝導部が一部重複するようにしてもよい。
逆に、図1Bに示す例において、第1基板12の高熱伝導部12bを図中左側に移動し、第2基板20の高熱伝導部20bを図中右側に移動することによって、両基板の高熱伝導部の一部を、面方向で重複させてもよい。
また、本発明においては、これ以外にも、第1基板の高熱伝導部と、第2基板の高熱伝導部とが、面方向において完全に重複しなければ、各種の構成が利用可能である。
例えば、第1基板に円形の高熱伝導部を形成し、第2基板に同サイズ(直径と一辺の長さとが一致)の正方形の高熱伝導部を形成して、両高熱伝導部の中心を面方向で一致させるように、両基板を配置してもよい。この構成でも、距離は短いが、両高熱伝導部は、端部(周辺)位置が面方向で異なるので、熱電変換層には面方向の温度差が生じ、厚さ方向に温度差を生じさせる熱電変換素子に比して、効率の良い発電が可能である。
次に、上述した本発明の熱電変換素子を、複数、直列に接続してなる本発明の熱電変換モジュールについて説明する。
図5A〜図5C、および、図6に、このような本発明の熱電変換素子10を、複数、直列に接続してなる本発明の熱電変換モジュールの一例を示す。なお、図5A〜図5Cは上面図、図6は正面図(断面図)である。
本例において、第1基板12Aおよび第2基板20Aは、矩形板状の低熱伝導材料の表面に、一方向に延在する四角柱状の高熱伝導部を、四角柱の低熱伝導部に接触する一辺の長さと等間隔で、四角柱の延在方向と直交する方向に配列してなる構成を有する。
すなわち、第1基板12Aおよび第2基板20Aは、一方の面は、全面が低熱伝導部のみであり、他方の面は、低熱伝導部のみの領域と、低熱伝導部に、一方向に長尺な低熱伝導部と高熱伝導部とが積層された領域とが、長手方向と直交する方向に等間隔で交互に形成された構成を有する(図5A、図5Cおよび図6参照)。
図5Bおよび図5Cに概念的に示すように、熱電変換層16は矩形の面形状を有し、第1基板12Aの全面が低熱伝導部12aである側の表面に、低熱伝導部12aと高熱伝導部12bとの境界と中心とを面方向で一致させて形成される。図示例においては、熱電変換層16の図5Bにおける横方向(以下、単に『横方向』とも言う)の大きさは、高熱伝導部12bの幅と同じである。なお、言い換えれば、横方向とは、低熱伝導部12aと高熱伝導部12bとの交互の配列方向である。
熱電変換層16は、横方向に、低熱伝導部12aと高熱伝導部12bとの境界に対して、1境界置きに等間隔で形成される。すなわち、熱電変換層16は、横方向に、高熱伝導部12bの幅(すなわち熱電変換層16の大きさ)と同じ間隔で等間隔に形成される。
また、熱電変換層16は、横方向に等間隔に配列された熱電変換層16の列が、図5Bにおける上下方向(以下、単に『上下方向』とも言う)に等間隔で配列されるように、二次元的に形成される。なお、言い換えれば、上下方向とは、低熱伝導部12a、および、高熱伝導部12bの延在方向である。
さらに、図5Bに示すように、熱電変換層16の横方向の配列は、上下方向に隣接する列では、高熱伝導部12bの幅の分だけ、横方向にズレて形成される。すなわち、上下方向に隣接する列では、熱電変換層16は、高熱伝導部12bの幅の分だけ、互い違いに形成される。
各熱電変換層16は、電極26(電極28)によって直列に接続される。なお、構成を明確にするため、電極26には網かけをしてある。具体的には、図5Bに示すように、図中横方向の熱電変換層16の配列において、電極26が、各熱電変換層16を横方向に挟むように設けられる。これにより、横方向に配列された熱電変換層16が、電極26によって直列に接続される。
さらに、熱電変換層16の横方向の端部では、上下方向に隣接する列の熱電変換層16が、電極26によって接続される。この横方向の列の端部での電極26による上下方向の熱電変換層16の接続は、一方の端部の熱電変換層16は上側の列の同側端部の熱電変換層16と接続され、他方の端部の熱電変換層16は下側の列の同側端部の熱電変換層16と接続される。
これにより、全ての熱電変換層16が、横方向に、複数回、折り返した1本の線のように直列で接続される。
さらに、図5Aに概念的に示すように、熱電変換層16および電極26の上に、第2基板20Aの全面が低熱伝導部20aである側を下方にして、かつ、低熱伝導部12aと高熱伝導部12bとの境界を第1基板12Aと一致させて、第2基板20Aが積層される。この積層は、第1基板12Aの高熱伝導部12bと、第2基板20Aの高熱伝導部20bとが、互い違いになるように行われる。
なお、図示はされないが、第2基板20Aの積層に先立ち、第1基板12Aを全面的に覆うように、熱電変換層16および電極26(電極28)の上に粘着層18が形成される。
従って、第1基板12Aの低熱伝導部12aのみの領域と、第2基板20Aの高熱伝導部20bを有する領域とが面方向に一致して対面し、第1基板12Aの高熱伝導部12bを有する領域と、第2基板20Aの低熱伝導部20aのみの領域とが面方向に一致して対面する。
これにより、図6に示すように、互いに隣接する熱電変換素子10は、一方の熱電変換素子10の電極26と他方の熱電変換素子10の電極28とが接続した構成となり、複数の熱電変換素子が直列に接続される。
このようにして、本発明の熱電変換素子10を、多数、直列に接続してなる、本発明の熱電変換モジュールが構成される。
ここで、前述のように、熱電変換層16の横方向の配列は、上下方向に隣接する列では、高熱伝導部12bの幅の分だけ、横方向にズレて形成される。すなわち、上下方向に隣接する列では、熱電変換層16は、高熱伝導部12bの幅の分だけ、互い違いに形成される。
そのため、折り返した1本の線のように直列に接続された熱電変換層16は、接続方向の一方向の流れにおいて、全ての熱電変換層16が、一方の半分が第1基板12Aの高熱伝導部12bと第2基板20Aの低熱伝導部20aのみの領域とに対面し、他方の半分が第1基板12Aの低熱伝導部12aのみの領域と第2基板20Aの高熱伝導部20bとに対面する。
例えば、図5Bの上から下への直列の接続方向で見た場合には、図5A〜図5Cに示すように、全ての熱電変換層16が、上流側半分が第1基板12Aの高熱伝導部12bおよび第2基板20Aの低熱伝導部20aのみの領域に対面し、下流側の半分が第1基板12Aの低熱伝導部12aのみの領域および第2基板20Aの高熱伝導部20bに対面する。
従って、第1基板12A側もしくは第2基板20A側に熱源を配置した際に、直列に接続された全ての熱電変換層16で、接続方向に対する熱の流れ方向すなわち発電した電気の流れ方向が一致し、熱電変換モジュールが適正に発電を行うことができる。
また、図6に示す例では、全ての熱電変換素子10は、変換した電気エネルギーの通電方向が同じである構成としたが、これに限定はされず、通電方向が異なる熱電変換素子を用いる構成としてもよい。
すなわち、熱電変換層16として、キャリアがホールであるP型材料を用いた熱電変換素子(以下、P型熱電変換素子、という)と、キャリアが電子であるN型材料を用いた熱電変換素子(以下、N型熱電変換素子、という)とを交互に接続して熱電変換モジュールを構成してもよい。
図7に、本発明の熱電変換モジュールの他の一例を示す。
図7に示す熱電変換モジュール51は、熱電変換層16がP型材料からなるP型熱電変換素子10Pと、熱電変換層16がN型材料からなるN型熱電変換素子10Nとを交互に接続したものである。
図7に示すように、例えば、あるP型熱電変換素子10Pは、図中左に隣接するN型熱電変換素子10Nとは、電極26同士を接続し、図中右に隣接するN型熱電変換素子10Nとは、電極28同士を接続している。
また、P型熱電変換素子10Pにおける第1基板12の高熱伝導部12bは、図中右に隣接するN型熱電変換素子10Nの第1基板12の高熱伝導部12bと一体化されており、P型熱電変換素子10Pにおける第2基板20の高熱伝導部20bは、図中左に隣接するN型熱電変換素子10Nの第2基板20の高熱伝導部20bと一体化されている。
すなわち、図7に示す熱電変換モジュール50は、P型熱電変換素子10PとN型熱電変換素子10Nとで、高熱伝導部の配置位置を左右反転させて、P型熱電変換素子10PとN型熱電変換素子10Nとを交互に接続した構成を有する。
熱電変換層16の材料としてP型材料を用いた場合には、ホールがキャリアとなり、熱電変換層16内を高温側から低温側に流れる。一方、熱電変換層16の材料としてN型材料を用いた場合には、電子がキャリアとなり、熱電変換層16内を高温側から低温側に流れる。
すなわち、P型熱電変換素子10Pにおいては、熱エネルギーから変換されて発生した電流は、高温側から低温側に流れる。一方、N型熱電変換素子10Nにおいては、電流は低温側から高温側に流れる。したがって、P型熱電変換素子10PとN型熱電変換素子10Nとを、高熱伝導部の配置位置を左右反転させて、交互に接続することで、発電した電気の流れ方向が一致し、熱電変換モジュールが適正に発電を行うことができる。
また、本発明の熱電変換モジュールは、図6および図7に示す構成に限定はされない。
例えば、図8Aに示す熱電変換モジュール52のように、隣接する熱電変換素子10同士で接続される電極間の窪み(電極の段差部分)に熱伝導性が高い材料(熱伝導性材料)53を充填した構成としてもよい。
これにより、熱電変換素子10の電極間の温度差をより大きくでき、より高い発電量を得ることができる。
熱伝導性材料53としては、特に限定はないが、例えば、上述した電極と同様の材料、カーボンナノチューブ、グラファイト、ダイヤモンド、シリコン等が挙げられる。
また、図8Bに示す熱電変換モジュール54のように、隣接する熱電変換素子10同士で接続される電極間(電極の段差部分)に導電性材料を充填した構成としてもよい。
言い換えると、電極の形状を、熱電変換層16よりも厚くして、端部の形状を略C形状とした形状としてもよい。これにより、電気抵抗を低減し、熱電変換モジュールの発電効率をより向上できる。
導電性材料としては特に限定はないが、上述した電極と同様の材料が利用可能である。
以下、図1A〜図1Cに示す熱電変換素子10の製造方法の一例を説明する。なお、図5A〜図5Cに示す熱電変換モジュールも、基本的に、同様に製造することができる。
低熱伝導部12aおよび高熱伝導部12bを有する第1基板12(12A)、ならびに、低熱伝導部20aおよび高熱伝導部20bを有する第2基板20(20A)を用意する。
第1基板12および第2基板20は、フォトリソグラフィー、エッチング、成膜技術等を利用して、公知の方法で作製すればよい。
先と同様、第1基板12を代表として説明すると、一例として、低熱伝導部12aとなるシート状物に、シート状もしくは帯状の高熱伝導部12bを貼着することで、低熱伝導部12aに高熱伝導部12bを積層してなる第1基板12を作製すればよい。あるいは、低熱伝導部12aとなるシート状物の全面に高熱伝導部12bとなる層を形成してなるシート状物を用意し、この高熱伝導部12bとなる層をエッチングして不要な部分を除去することで、低熱伝導部12aに、高熱伝導部12bを積層してなる第1基板12を作製してもよい。
次いで、第1基板12の全面が低熱伝導部12aである面の熱電変換層16に対応する位置に、熱電変換層16を面方向で挟むように、電極26のうち、略均一な厚さで層状の部位(図2における第1電極層30に対応)、および、電極28のうち、略均一な厚さで層状の部位(図2における第1電極層34に対応)を形成する。
第1電極層30および第1電極層34の形成は、メタルマスクを用いる真空蒸着法、スクリーン印刷、メタルマスク印刷、インクジェット印刷など、第1電極層30および第1電極層34の形成材料等に応じて、公知の方法で行えばよい。
次いで、第1基板12の全面が低熱伝導部12aである面の目的とする位置に、熱電変換層16を形成する。なお、図示例の熱電変換素子10においては、熱電変換層16が、第1電極層30および第1電極層34の端部を覆うように形成する。
熱電変換層16は、用いる熱電変換材料に応じて、公知の方法で形成すればよい。
例えば、熱電変換材料とバインダとを有する塗布組成物を調製して、この塗布組成物をスクリーン印刷やインクジェット等の公知の方法でパターンニングして塗布して、乾燥し、バインダを硬化することにより、バインダに熱電変換材料を分散してなる熱電変換層を形成する方法が例示される。
また、熱電変換材料としてCNTを用いる場合には、分散剤を用いてCNTを水、有機溶媒、またはそれらの混合物に分散してなる塗布組成物を調製して、この塗布組成物を同様に公知の方法でパターンニングして塗布して、乾燥することにより、主にCNTと分散剤とから熱電変換層を形成する方法が例示される。この際においては、塗布組成物を乾燥した後、分散剤を溶解する洗浄剤で熱電変換層を洗浄することで分散剤を除去し、その後、洗浄剤を乾燥することにより、熱電変換層中の分散剤量が低減された熱電変換層、または実質的にCNTのみからなる熱電変換層とするのが好ましい。洗浄は、熱電変換層を洗浄剤に浸漬する方法や、熱電変換層を洗浄剤で濯ぐ方法等で行えばよい。また、熱電変換層は、P型、N型の極性や熱電変換性能(導電率、ゼーベック係数、熱伝導率)を制御するドーパントや添加剤などを含んでいてもよい。
また、熱電変換材料としてニッケルあるいはニッケル合金を用いる場合には、真空蒸着やスパッタリング等の気相成膜法によって、メタルマスク等を用いる公知の方法で、ニッケルあるいはニッケル合金からなる熱電変換層をパターン形成する方法が例示される。
あるいは、第1基板12の全面に熱電変換層を形成して、エッチング、サンドブラスト、レーザー彫刻等によって、熱電変換層16をパターン形成してもよい。
次に、形成した熱電変換層16の両端部に、電極26のうち、熱電変換層16の端面および上面の一部を覆う略L字状の部位(図2における第2電極層32に対応)、および、電極28のうち、熱電変換層16の端面および上面の一部を覆う略L字状の部位(図2における第2電極層36に対応)を形成する。
第2電極層32および第2電極層36の形成は、メタルマスクを用いる真空蒸着法、スクリーン印刷、メタルマスク印刷、インクジェット印刷など、第2電極層32および第2電極層36の形成材料等に応じて、公知の方法で行えばよい。
また、前述のとおり、電極26を構成する第1電極層30と第2電極層32とは、形成材料が同じであっても異なっていてもよい。同様に、電極28を構成する第1電極層34と第2電極層36とは、形成材料が同じであっても異なっていてもよい。
さらに、作製した第2基板20の全面が低熱伝導部20aである面に粘着層18を形成して、粘着層18を熱電変換層16に向けて、かつ、第1基板12の高熱伝導部12bと第2基板20の高熱伝導部20bとが、電極26および電極28の離間方向に反対に位置するように積層して貼着し、熱電変換素子10を作製する。
なお、図3A等に示すように、電極が、2つの突出部の間に突起部を有する形状の場合には、熱電変換層の端面および上面の一部を覆う略L字状の部位を形成した後に、この熱電変換層上に、さらに、熱電変換層を形成し、新たに形成した熱電変換層の端面および上面の一部を覆う略L字状の部位を形成することで、2つの突出部および突起部を有する電極を形成することができる。
また、図1A〜図1Cに示す熱電変換素子等は、いずれも第1基板と第2基板とが同じ構成を有するものであるが、本発明の熱電変換素子においては、第1基板と第2基板とが、異なる構成であってもよい。
このような本発明の熱電変換素子および熱電変換モジュールは、各種の用途に利用可能である。
一例として、温泉熱発電機、太陽熱発電機、廃熱発電機などの発電機や、腕時計用電源、半導体駆動電源、小型センサ用電源などの各種装置(デバイス)の電源等、様々な発電用途が例示される。また、本発明の熱電変換素子の用途としては、発電用途以外にも、感熱センサや熱電対などのセンサー素子用途も例示される。
以上、本発明の熱電変換素子および熱電変換モジュールについて詳細に説明したが、本発明は上述の例に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行ってもよいのは、もちろんである。
以下、本発明の具体的実施例を挙げて、本発明の熱電変換素子および熱電変換モジュールについて、より詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
実施例1として、図1A〜図1Cに示すような熱電変換素子10、ならびに、この熱電変換素子を有する熱電変換モジュールを作製した。
(分散液Aの調製)
デオキシコール酸ナトリウム1200mg(東京化成工業株式会社製)、カルボキシメチルセルロース ナトリウム塩100mg(アルドリッチ社製、高粘度品)を水16mLに溶解させ、単層CNT400mg(株式会社名城ナノカーボン製EC)を加えた。この組成物を、メカニカルホモジナイザー(株式会社エスエムテー製、HIGH-FLEX HOMOGENIZER HF93)を用いて、7分間混合して、予備混合物を得た。得られた予備混合物を、薄膜旋回型高速ミキサー「フィルミックス40−40型」(プライミクス株式会社製)を用いて、10℃の恒温層中、周速10m/secで2分間、次いで周速40m/secで5分間、高速旋回薄膜分散法で分散処理した。得られた分散組成物を自転・公転ミキサー(株式会社シンキー製、あわとり錬太郎)にて、2000rpmで30秒間混合、2200rpmで30秒間脱泡して、CNT分散液Aを調製した。
なお、このCNT分散液Aは、P型材料である。
(熱電変換素子の作製)
第1基板として、厚さ25μm、30×66mmのポリイミドフィルムの片面に、厚さ70μm、30×10mmの銅箔が貼着されている銅ポリイミドフィルムを用意した。銅ポリイミドフィルムは、ポリイミドフィルムの長手方向の中線を基線(一点鎖線)とし、一方の長辺を基線に一致して、銅箔が貼着されている。
さらに、第1基板の銅箔が貼着されていない面に、銀を蒸着することにより、幅6mm、長さ30mm、厚さ200nmの電極26の第1電極層30、および、電極28の第1電極層34を形成した。第1電極層30および第1電極層34は、幅方向の中心を第1基板の短手方向の中心と一致して、第1基板の中央に6×6mmの間隙を挟んで、第1基板の長手方向に対称になるように配置した。なお、第1基板12上の電極形成部には、予め、下地層として厚さ50nmのクロム層を形成しておいた。
さらに、第2基板20として、厚さ25μm、30×50mmのポリイミドフィルムの片面に、厚さ70μm、30×10mmの銅箔が貼着されている銅ポリイミドフィルムを用意した。この銅ポリイミドフィルムも、ポリイミドフィルムの長手方向の中線を基線(一点鎖線)とし、一方の長辺を基線に一致して、銅箔が貼着されている。このような第1基板12および第2基板20(銅ポリイミドフィルム)では、銅箔が高熱伝導部、銅箔が貼着されていないポリイミドフィルムのみの領域が低熱伝導部になる。
先に作製したCNT分散液Aを用い、メタルマスク印刷にて、10mm×10mmのパターンを形成し、50℃で30分、120℃で30分乾燥させた。エタノールに1時間浸漬後、50℃で30分、120℃で2.5時間乾燥させた。なお、印刷パターンは、前述の電極26の第1電極層30および電極26の第1電極層34によって挟まれる第1基板12の6×30mmの領域の中心と10mm×10mmの印刷パターンの中心が一致するように印刷した。従って、熱電変換層16は、第1基板12の長手方向の両端部2mmが、共に、第1電極層30および第1電極層34の上に載置された状態となる。熱電変換層16の膜厚は5μmであった。
次いで、第1電極層30および第1電極層34と同じサイズの銀電極(厚さ200nm)、すなわち、電極26の第2電極層32および電極28の第2電極層36を、第1電極層30および第1電極層34の上に重ねるように、熱電変換層16と第1電極層30および第1電極層34の上にメタルマスク蒸着によって形成した。これにより、電極26(電極28)が、熱電変換層16と第1基板12との間に形成された下部突出部26a(下部突出部28a)と、熱電変換層16の上面に形成された上部突出部26b(上部突出部28b)を有し、熱電変換層16を厚さ方向に挟持する構成とした。
一方、第2基板20の全面がポリイミドフィルムである面に、粘着層18として厚さ5μmの両面テープ(両面テープNo5600、日東電工株式会社製)を貼着した。第1基板12と第2基板20とを基線を一致させて、かつ、第1基板12と第2基板20とで、高熱伝導部と低熱伝導部とが互い違いになるように、粘着層18を第1基板12側に向けて積層し、貼着した。これにより、図1A〜図1Cに示すような、P型熱電変換素子を作製した。
(熱電変換モジュールの作製)
図6に示すような熱電変換モジュール50を作製した。
厚さ25μm、8×11cmのポリイミドフィルムの一面に、幅0.5mm、厚さ70μmの銅ストライプを0.5mm間隔で形成してなる第1基板12Aおよび第2基板20Aを用意した。
この第1基板12Aの全面が低熱伝導部12aである面の6×6cmの領域に、メタルマスク蒸着により、0.7mm×1.2mmのサイズのニッケル電極(厚さ1μm)を1786個形成した。なお、電極のパターンは、高熱伝導部と低熱伝導部との境界(銅ストライプの境界)と、電極の0.7mm辺の中心とが一致するように形成した。すなわち、ニッケル電極は第1電極層である。また、ニッケル電極はN型熱電変換素子としても機能する。
次いで、CNT分散液Aを用い、メタルマスク印刷によって0.5×1mmのパターンをニッケル電極の間に1785個形成した。なお、CNT分散液Aを印刷するパターンは、高熱伝導部と低熱伝導部との境界(銅ストライプの境界)と、0.5×1mmのパターンの中心とが一致するように形成した。
CNT分散液Aのパターンを形成した第1基板12Aを、ホットプレート上で50℃で30分、120℃で30分加熱した。エタノールに1時間浸漬後、さらに、50℃で30分、130℃で2.5時間加熱することにより、CNT分散液Aにより形成された印刷パターン(膜厚4μm)を得た。これにより、熱電変換層とニッケル電極が直列に接続された。
次いで、0.2×1.2mmの銀電極(膜厚200nm)を、熱電変換層16とニッケル電極の境界線と銀電極の0.2mmの辺の中心とを一致させるようにメタルマスク蒸着によって形成した。すなわち、銀電極が第2電極層である。これにより、ニッケル電極が熱電変換層の下部に潜り込み、銀電極が熱電変換層の端部および上部を覆った形状の電極、すなわち、熱電変換層の端部を挟持する2つの突出部を有する電極を形成した。
一方、第2基板20Aの全面が低熱伝導部20aである面に、粘着層18として厚さ5μmの両面テープ(両面テープNo5600、日東電工株式会社製)を貼着した。この両面テープが貼着された第2基板20Aを、熱電変換層16および電極を覆うように貼着して、熱電変換モジュールを作製した。ここでは、CNT層がP型、ニッケル電極がN型の熱電変換層として機能する。なお、第2基板20Aは、熱電変換層16の中心と銅ストライプの境界とが一致し、かつ、銅ストライプの延在方向が第1基板12Aと一致し、さらに、面方向において、第1基板12Aと銅ストライプが重ならないように貼着した。
[実施例2]
実施例2として図3に示すような熱電変換素子10b、ならびに、この熱電変換素子を有する熱電変換モジュールを作製した。
(熱電変換素子の作製)
実施例1と同様にして、第1電極層、熱電変換層、ならびに、第2電極層を形成した後、さらに、熱電変換層および第2電極層上に、CNT分散液Aを用いてメタルマスク印刷により、10mm×10mmの熱電変換層(第2熱電変換層とする)を形成し、50℃で30分、120℃で30分乾燥させた。エタノールに1時間浸漬後、50℃で30分、120℃で2.5時間乾燥させた。なお、第2熱電変換層の印刷パターン(膜厚5μm)は、先に形成した熱電変換層と重なるように形成した。
次いで、第2電極層と同じサイズ、膜厚の銀電極を、第2熱電変換層および第2電極層の上に重ねるようにメタルマスク蒸着によって形成した。これにより、電極が、熱電変換層と第1基板との間に形成された下部突出部と、熱電変換層の上面に形成された上部突出部と、2つの突出部の間で、熱電変換層内部に突出する突起部とを有し、2つの突出部が熱電変換層16を厚さ方向に挟持する構成とした。
(熱電変換モジュールの作製)
実施例1の熱電変換モジュールの作製において、熱電変換層および電極の形成方法を実施例2の熱電変換層素子の形成方法と同様の方法にて、サイズを0.5×1mmに変えて行い、熱電変換モジュールを作製した。
[比較例1]
比較例1として、図9Aに示すような熱電変換素子110、ならびに、この熱電変換素子を有する熱電変換モジュールを作製した。
(熱電変換素子の作製)
第2電極層を形成しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、熱電変換素子110を作製した。
すなわち、比較例1の熱電変換素子110は、下部突出部を有し、上部突出部を有さない電極を備えるものである。
(熱電変換モジュールの作製)
第2電極層を形成しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、熱電変換モジュールを作製した。
[比較例2]
比較例2として、図9Bに示すような熱電変換素子210、ならびに、この熱電変換素子を有する熱電変換モジュールを作製した。
(熱電変換素子の作製)
第1電極層を形成しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、熱電変換素子210を作製した。
すなわち、比較例2の熱電変換素子110は、上部突出部を有し、下部突出部を有さない電極を備えるものである。
(熱電変換モジュールの作製)
第1電極層を形成しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、熱電変換モジュールを作製した。
[実施例3]
実施例3として、図7に示すような熱電変換モジュール51を作製した。
(分散液Bの調製)
デオキシコール酸ナトリウム1200mg(東京化成工業株式会社製)、エマルゲン350(花王株式会社製)800mgを水16mLに溶解させ、単層CNT400mg(株式会社名城ナノカーボン製EC)を加えた。この組成物を、メカニカルホモジナイザー(株式会社エスエムテー社製、HIGH-FLEX HOMOGENIZER HF93)を用いて、7分間混合して、予備混合物を得た。得られた予備混合物を、薄膜旋回型高速ミキサー「フィルミックス40−40型」(プライミクス株式会社製)を用いて、10℃の恒温層中、周速10m/secで2分間、次いで周速40m/secで5分間、高速旋回薄膜分散法で分散処理した。得られた分散組成物を自転・公転ミキサー(株式会社シンキー社製、あわとり錬太郎)にて、2000rpmで30秒間混合、2200rpmで30秒間脱泡して、CNT分散液Bを調製した。
なお、このCNT分散液Bは、N型材料である。
(熱電変換モジュールの作製)
厚さ25μm、8×11cmのポリイミドフィルムの一面に、幅0.5mm、厚さ70μmの銅ストライプを0.5mm間隔で形成してなる第1基板12Aおよび第2基板20Aを用意した。
この第1基板12Aの全面が低熱伝導部12aである面の6×6cmの領域に、メタルマスク蒸着により、0.2mm×1.2mmのサイズの銀電極(厚さ200nm)を3570個形成した。3570個の電極うち1785個は、高熱伝導部の中心(銅ストライプの中心)と、電極の0.2mm辺の中心とが一致するように形成した。残りの1785個の電極は、隣接する二つの高熱伝導部(銅ストライプ)間の中心と、電極の0.2mm辺の中心とが一致するように形成した。この銀電極が第1電極層である。
この第1基板12Aの全面が低熱伝導部12aである面の6×6cmの領域に、メタルマスク印刷によって0.4×1mmのCNT分散液Aのパターンを1785個形成した。なお、CNT分散液Aのパターンは、高熱伝導部と低熱伝導部との境界(銅ストライプの境界)と、0.4×1mmのパターンにおける0.4mm辺の中心とが一致するように、この境界に一つおきに形成した。ホットプレート上で50℃で30分、120℃で30分加熱した。エタノールに1時間浸漬後、さらに、50℃で30分、130℃で2.5時間加熱することにより、CNT分散液Aにより形成された印刷パターン(膜厚4μm)を得た。CNT分散液Aにより形成された熱電変換層はP型の熱電変換層として機能する。
次いで、メタルマスク印刷によって分散液Aのパターンの間に0.4×1mmのCNT分散液Bのパターンを1785個形成した。なお、CNT分散液Bのパターンは、CNT分散液Aのパターンが形成されていない高熱伝導部と低熱伝導部との境界(銅ストライプの境界)と、0.4×1mmのパターンにおける0.4mm辺中心とが一致するように形成した。CNT分散液Bのパターンを形成した第1基板12Aを、ホットプレート上で50℃で30分、120℃で30分加熱した。エタノールに0.5時間浸漬後、さらに、50℃で30分、130℃で2.5時間加熱することにより、CNT分散液Bにより形成された印刷パターン(膜厚4μm)を得た。CNT分散液Bにより形成された熱電変換層はN型熱電変換層として機能する。これにより、P型の熱電変換層とN型の熱電変換層が交互に配置され、銀電極により直列に接続された。
次いで、第2電極層として、メタルマスク蒸着により、0.2×1.2mmの銀電極(膜厚200nm)を、先に形成した銀電極(第1電極層)と同じ位置に、熱電変換層の上からメタルマスク蒸着により形成した。これにより、第1電極層が熱電変換層の下部に潜り込み、第2電極層が熱電変換層の端部および上部を覆った形状の電極、すなわち、熱電変換層の端部を挟持する2つの突出部を有する電極を形成した。
さらに、実施例1と同様にして、粘着層および第2基板を貼着し、熱電変換モジュールを作製した。
[実施例4]
実施例4として、図8Bに示すような熱電変換モジュール54を作製した。
(熱電変換モジュールの作製)
実施例3において、P型熱電変換層とN型熱電変換層とを接続する銀電極の窪みに、銀ペースト(ドータイトFA-333、藤倉化成株式会社製)を用い、スクリーン印刷により、この窪みを埋めるように印刷を行い、110℃で30分間乾燥した。以降は実施例3と同様にして、熱電変換モジュールを作製した。
[評価]
作製した実施例1〜4、ならびに、比較例1および2の熱電変換素子および熱電変換モジュールについて、以下の評価を行った。
〔熱電変換素子の評価〕
<導電率の評価>
各実施例および比較例で作製した熱電変換素子の熱電変換層の導電率は、第2基板20を貼着する前の形態で測定した。測定は、低抵抗率計(株式会社三菱化学アナリテック製、ロレスタGP)を用い、表面抵抗率(単位:Ω/□)を測定し、熱電変換層の平均厚さ(単位:cm)を用いて、下記式より導電率(S/cm)を算出した。
(導電率)=1/((表面抵抗率)×(平均厚さ))
比較例1との導電率の比(各例/比較例1)を算出し、その比に対し、下記のように評価した。
A: 比較例1との比が1.5以上
B: 比較例1との比が1.3以上1.5未満
C: 比較例1との比が1.1以上1.3未満
D: 比較例1との比が1.1未満
Aが最も導電性に優れ、B、C、Dの順に性能に劣る。
<ゼーベック係数の測定>
ゼーベック係数Sは、物質に付与する温度差ΔTと、温度差を付与した時に発生する電圧Vと、下記式のように関連付けられる。
S=V/ΔT
各実施例および比較例にて作製した熱電変換素子を、第1基板12側を下にしてホットプレートに載置し、かつ、第2基板20の上に温度制御用のペルチェ素子を設置した。ホットプレートの温度を100℃で一定に保って、ペルチェ素子の温度を低下することにより、熱電変換素子の第1基板12と第2基板20との間に、5℃、10℃の温度差ΔTを付与し、各温度差付与時の電圧Vを計測し、各温度差と電圧の比例係数を算出することで、ゼーベック係数S(単位:μV/K)を見積もった。
比較例1とのゼーベック係数の比(各例/比較例1)を算出した。その比に対し、下記のように評価した。
A: 比較例1との比が1.1超
B: 比較例1との比が1超、1.1以下
C: 比較例1との比が1以下
Aが最も熱起電力として優れ、B、Cの順に性能に劣る。
〔熱電変換モジュールの評価〕
<抵抗の評価>
各実施例および比較例で作製した熱電変換モジュールの抵抗をテスターにより測定した。
比較例1との抵抗の比(各例/比較例1)を算出し、その比に対し、下記のように評価した。
A: 比較例1との比が0.5未満
B: 比較例1との比が0.5以上0.7未満
C: 比較例1との比が0.7以上0.9未満
D: 比較例1との比が0.9以上
Aが最も優れ、B、C、Dの順に性能に劣る。
<発電量の評価>
各熱電変換モジュールについて、第1基板12側を下にしてホットプレートに載置し、かつ、第2基板20の上に温度制御用のペルチェ素子を設置した。
ホットプレートの温度を100℃で一定に保って、ペルチェ素子の温度を低下することにより、熱電変換モジュールの第1基板12と第2基板20との間に、10℃の温度差をつけた。
この状態でソースメーター(ケースレーインストルメンツ社製)を用いて電流−電圧特性を測定し、短絡電流および開放電圧を測定した。測定結果から、『出力=短絡電流×開放電圧/4』によって出力を算出した。
比較例1との発電量の比(各例/比較例1)を算出し、その比に対し、下記のように評価した。
A: 比較例1との比が1.5以上
B: 比較例1との比が1.3以上1.5未満
C: 比較例1との比が1.1以上1.3未満
D: 比較例1との比が1.1未満
Aが最も優れ、B、C、Dの順に性能に劣る。
<曲げ耐久性の評価>
マンドレル屈曲試験機を用い、直径32mmのマンドレルにてモジュールを10回屈曲させた。屈曲前後の抵抗値を測定し、抵抗変動率=(屈曲試験後の抵抗)/(屈曲試験前の抵抗)を算出した。比較例1との抵抗変動率の比(各例の抵抗変動率/比較例1の抵抗変動率)を算出し下記のように評価した。
A: 比較例1との抵抗変動率の比が0.5未満
B: 比較例1との抵抗変動率の比が0.5以上0.75未満
C: 比較例1との抵抗変動率の比が0.75以上1未満
D: 比較例1との抵抗変動率の比が1以上
Aが最も優れ、B、C、Dの順に性能に劣る。
結果を表1に示す。
表1に示す結果から、本発明の熱電変換素子である実施例1および2は、比較例1および2に対して、導電率、およびゼーベック係数の評価が良好であり、高い出力を得られることがわかる。また、本発明の熱電変換モジュールである実施例1〜4は、比較例1および2に対して、抵抗、発電量および曲げ試験の評価が良好であり、高い出力を得られることができ、また、熱電変換層と電極との剥離を抑制でき耐久性が高いことがわかる。
また、実施例1と実施例2との対比から、熱電変換層を挟持する下部突出部と上部突出部との間に、突起部を設けることで、抵抗、発電量および曲げ試験の評価がより向上することがわかる。これは、突起部を設けることで、電極と熱電変換層との接触面積が増えることで界面抵抗をより低減でき、また、熱電変換層と電極との剥離を抑制できるためである。
また、実施例3と実施例4との対比から、熱電変換素子同士を接続する電極の窪みに、熱伝導性材料あるいは導電性材料を充填することで、抵抗および発電量の評価がより向上し好ましいことがわかる。
以上の結果より、本発明の効果は明らかである。
10、10b〜10g、110、210 熱電変換素子
10P P型熱電変換素子
10N N型熱電変換素子
12、112、212 第1基板
12a、20a、112a、120a、212a、220a 低熱伝導部
12b、20b、112b、120b、212b、220b 高熱伝導部
16、116、216 熱電変換層
18、118、218 粘着層
20、120、220 第2基板
26、28、126、128、226、228 電極
26a、28a 下部突出部
26b、28b 上部突出部
26c、28c 突起部
30、34 第1電極層
32、36 第2電極層
50、51、52、54 熱電変換モジュール
53 熱伝導性材料

Claims (11)

  1. 面方向の少なくとも一部に他の領域よりも熱伝導率が高い高熱伝導部を有する第1基板と、
    前記第1基板の上に形成される熱電変換層と、
    前記熱電変換層の上に形成される、面方向の少なくとも一部に他の領域よりも熱伝導率が高い高熱伝導部を有し、かつ、面方向において自身の前記高熱伝導部が前記第1基板の前記高熱伝導部と完全に重複しない第2基板と、
    面方向に前記熱電変換層を挟むように前記熱電変換層に接続される、一対の電極とを有し、
    前記電極はそれぞれ、前記熱電変換層の一方の端部を厚さ方向に挟む2つの突出部を有し
    前記電極が、前記基板上に均一な厚さで層状に形成される第1電極層と、前記第1電極層から前記熱電変換層の端面に沿って立ち上がり、前記熱電変換層の上面の端部を覆うL字状の第2電極層とを有し、
    前記第1電極層の材料と前記第2電極層の材料とが異なることを特徴とする熱電変換素子。
  2. 前記電極はそれぞれ、前記2つの突出部の間に、前記熱電変換層側に突出する1以上の突起部を有する請求項1に記載の熱電変換素子。
  3. 前記一対の電極の電極間距離が、熱電変換層の通電方向の幅に対して0.1〜0.9倍である請求項1または2に記載の熱電変換素子。
  4. 前記熱電変換層の材料が、有機材料である請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱電変換素子。
  5. 前記熱電変換層は、厚さ方向よりも面方向の導電率が高い請求項1〜のいずれか一項に記載の熱電変換素子。
  6. 前記熱電変換層の材料が、カーボンナノチューブを含む請求項1〜のいずれか一項に記載の熱電変換素子。
  7. 前記熱電変換層の材料が、P型材料である請求項1〜のいずれか一項に記載の熱電変換素子。
  8. 前記熱電変換層の材料が、N型材料である請求項1〜のいずれか一項に記載の熱電変換素子。
  9. 請求項1〜のいずれか一項に記載の熱電変換素子を、複数、直列に接続してなる熱電変換モジュール。
  10. 前記熱電変換層がP型材料からなるP型熱電変換素子と、前記熱電変換層がN型材料からなるN型熱電変換素子とを交互に接続してなる請求項に記載の熱電変換モジュール。
  11. 接続された前記P型熱電変換素子の前記電極と、前記N型熱電変換素子の前記電極との間に熱伝導性材料または導電性材料が充填されている請求項10に記載の熱電変換モジュール。
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