JP6564045B2 - 熱電変換モジュール - Google Patents
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Description
熱電変換素子としては、例えば、Bi−Te系の無機半導体を熱電変換材料として用いる熱電変換素子では、π型の熱電変換素子が知られている。π型の熱電変換素子は、熱電変換材料をブロック状に加工し、セラミックス等の絶縁性基板上に並べて、ブロック同士を電気的に接続させて作製される。
一方で、インク状の熱電変換材料を塗布工程または印刷工程で絶縁性基板上に成膜した熱電変換素子が報告されている。この熱電変換素子は、製造が容易であり、π型熱電変換素子よりも製造コストを安くすることができる。この構造の熱電変換素子では、絶縁性基板の二次元平面上に温度差を生じさせることで、熱電変換材料に十分な温度差を与えて発電することが可能である。この点については、例えば、特許文献1に記載されている。
熱電変換素子は、1つ当たりの起電圧が非常に小さいため、熱電変換モジュールは、数百以上の熱電変換素子を直列に接続して、電圧及び発電量を増加させる。
例えば、第1の部と第2の部は平面状であり、絶縁性基板は側面視三角波状である。また、例えば、第1の部と第2の部は曲面状であり、絶縁性基板は側面視正弦波状である。
貫通電極は、第1の部と第2の部の連結部よりもP型の熱電変換層またはN型の熱電変換層側に設けられていることが好ましい。
1対の接続電極のうち、第1の部と第2の部の連結部で、第1の部と第2の部で挟まれる側の接続電極は、他の接続電極よりも、絶縁性基板の延在方向の長さが長いことが好ましい。
P型の熱電変換層およびN型の熱電変換層は、カーボンナノチューブを含有することが好ましい。
例えば、絶縁性基板は、プラスチック基板である。
また、例えば、絶縁性基板はポリイミド基板であり、接続電極は銅、銀および半田のうち少なくとも1つで構成され、貫通電極は銅または半田で構成される。
なお、以下において数値範囲を示す「〜」とは両側に記載された数値を含む。例えば、εが数値α〜数値βとは、εの範囲は数値αと数値βを含む範囲であり、数学記号で示せばα≦ε≦βである。
角度については、特に記載がなければ、厳密な角度との差異が5°未満の範囲内であることを意味する。厳密な角度との差異は、4°未満であることが好ましく、3°未満であることがより好ましい。
また、「同一」とは、技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含むものとする。また、「対称」、「線対称」、「いずれも」または「全面」等は、100%である場合のほか、技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含み、例えば、99%以上、95%以上、または90%以上である場合を含むものとする。
図1に示す熱電変換装置10は、温度差を利用して熱電変換モジュール12で発電するものである。熱電変換装置10は、蛇腹状の熱電変換モジュール12が基台14上に設けられており、熱電変換モジュール12と基台14との間には熱伝導シート15が設けられている。
なお、熱電変換モジュール12は、図1では基台14上に配置したが、これに限定されるものではなく、例えば、円筒の表面等の曲面上に配置してもよい。
また、図2に示す熱電変換装置10aのように、熱電変換モジュール12を折り畳み、フレーム16で挟み込む形態でもよい。熱電変換装置10aでは、熱電変換モジュール12は熱伝導シート15を介してホットプレート18上に配置されている。フレーム16は、例えば、アルミニウムまたはアルミニウム合金で構成される。フレーム16の熱電変換モジュール12との接触面は、例えば、陽極酸化処理等の絶縁処理により、電気的に絶縁状態にされている。
熱電変換モジュール12は、図1に示すように開いた状態でも、図2に示すように、折り畳み閉じた状態でも発電に利用することができる。
図3は本発明の実施形態の熱電変換モジュールの側面図であり、図4は本発明の実施形態の熱電変換モジュールの構成を説明するための模式的側面図であり、図5は本発明の実施形態の熱電変換モジュールの構成を説明するための模式的上面図であり、図6は本発明の実施形態の熱電変換モジュールの構成を説明するための模式的下面図である。図4、図5および図6は側面視三角波状にする前の状態の熱電変換モジュール12を示す。
絶縁性基板22は、第1の部40と、第1の部40と向きが異なる第2の部42とが交互に繰り返された蛇腹状のものである。
第1の部40と第2の部42とは連結部44で連結されており、連結部44を通る直線Cに対して線対称である。連結部44と隣接する連結部44とは、水平線Gに対して垂直な方向で、その高さが交互に変わる。
なお、直線Cは水平線Gに対して垂直な線である。例えば、絶縁性基板22の第1の部40と第2の部42とは予め設定された角度、傾斜した平面状のもので、互いに向きが異なり、絶縁性基板22は側面視三角波状である。熱電変換モジュール12は、蛇腹構造であり、具体的には絶縁性基板22の形状を反映しており、側面視三角波状である。
ここで、山折りとは、側面視で水平線Gに対して凸の状態にすることである。谷折りとは、水平線Gに対して山折りの反対にすることであり、側面視で水平線Gに対して凹の状態にすることである。
第1の部40と第2の部42とは、向きが異なれば特に限定されるものではなく、第1の部40と第2の部42とは対称であってもよく、線対称であってもよい。また、第1の部40と第2の部42とは長さが同じでも異なっていてもよく、角度も同じでも異なっていてもよい。
図3に示すように絶縁性基板22の、同じ向きに傾いた第2の部42の、表面22aとは反対側の裏面22bに、第1の部40の表面22aとは違う極性のN型の熱電変換素子26が設けられている。図4および図6に示す側面視三角波状にする前の状態では、絶縁性基板22の第2の部42の裏面22bに、延在方向Dにおいて間隔をあけてN型の熱電変換素子26が設けられている。
この場合、絶縁性基板22の表面22aが一方の面に相当し、絶縁性基板22の裏面22bが他方の面に相当する。
N型の熱電変換素子26は、N型の熱電変換層32と、一対の接続電極34とを有する。N型の熱電変換層32の両側に接続電極34が電気的に接続されている。
P型の熱電変換素子24の接続電極34と、これに隣接するN型の熱電変換素子26とは、絶縁性基板22の延在方向Dにおいて接続電極34が一部重ねて設けられている。P型の熱電変換素子24の接続電極34とN型の熱電変換素子26の接続電極34とは、絶縁性基板22を貫通する貫通電極28で電気的に接続されている。
なお、貫通電極28は、スルーホール(図示せず)内に形成されるものである。貫通電極28の数は、接続電極34同士の電気的接続を確保することができれば、その数は、特に限定されるものではなく、少なくとも1つあればよい。接続電極34同士の電気的接続の安定性を確保するために貫通電極28は複数あってもよい。
絶縁性基板22の蛇腹構造の形成時に、接続電極34が山部45の山の頂点から第2の部42側に形成されないため、蛇腹を折りたたんだ際に、山部45における接続電極34同士の短絡を防ぐことができる。
熱電変換モジュール12では、極性が異なるP型の熱電変換素子24とN型の熱電変換素子26とが絶縁性基板22の異なる面に設けられている。このため、折り畳んで絶縁性基板22において、第1の部40と第2の部42を近接させてもP型の熱電変換素子24とN型の熱電変換素子26とが接触することがなく短絡が発生することがない。このように、谷部47において、熱電変換素子同士が向かい合うことがないため、熱電変換素子間の不要な短絡を防止することができる。
また、絶縁性基板22に、プラスチック基板等の可撓性を有する基板を用いることにより、熱電変換モジュール12は、図1に示す状態から図2に示すように折り畳むことができる。これにより、単位長さ当りのP型の熱電変換素子24とN型の熱電変換素子26の数を多くすることができ、高集積化が可能となる。
ここで、可撓性とは、熱電変換モジュール12を折り畳んだ際に、絶縁性基板22が破壊されないことをいう。
熱電変換モジュール100のように、絶縁性基板22の片面のみに、熱電変換素子を設けて蛇腹構造とした場合、熱電変換素子間の短絡を防止するために、谷部47に絶縁性フィルムを導入したり、熱電変換素子を絶縁コートしたりする必要が生じる。絶縁性フィルムの導入は、熱電変換モジュールのコストを増加させ、山部45と谷部47間の温度差の低下による発電量の低下を引き起こし、さらには熱電変換モジュール面積の増加に繋がる。しかしながら、熱電変換モジュール12では、このような短絡の発生を、上述のように抑制することができるため、製造コストを低減し、安価に熱電変換モジュール12を作製することができる。しかも、低設置面積で、高い発電量を持つ熱電変換モジュール12を実現することができる。
また、熱電変換モジュール12は、第1の部40と第2の部42は大きさが均一でなくてもよい。例えば、熱電変換モジュール12において、中央部の第1の部40と第2の部42を長くすることで、中央部を他のよりも突出させた構成にしてもよい。この場合、放熱性が向上し、より温度差を得ることができ、発電効率を向上させることができるため、好ましい。
まず、接続電極34の製造方法について説明する。
図10〜図15は本発明の実施形態の熱電変換モジュールの接続電極の製造方法を工程順に示す模式図である。
図10に示すように、絶縁性基板22の両面に銅層52が形成された銅基板50を用意する。
次に、図11に示すように、銅基板50の一方の銅層52に、絶縁性基板22に達する穴54を、1つ、スルーホール27の形成位置に、例えば、フォトリソグラフィー法とエッチングを組み合わせて形成する。
次に、図12に示すように、穴54を臨む絶縁性基板22を、例えば、エッチングして、絶縁性基板22を貫通し、他方の銅層52に達するスルーホール27を形成する。
次に、図13に示すように、スルーホール27に、例えば、銅のスルーホールメッキを施し、貫通電極28を形成する。スルーホールメッキは、例えば、無電解メッキおよび/または電解メッキである。
次に、接続電極34を形成していない銅層52に、例えば、フォトリソグラフィー法とエッチングを組み合わせて、図15に示すように、1対の離間した接続電極34をパターン形成し、N型の熱電変換層32が形成される形成領域25を得る。これにより、図7〜図9に示すように絶縁性基板22の両面に、貫通電極28で電気的に接続された接続電極34を含む、接続電極34が形成される。
次に、絶縁性基板22の裏面22bのN型の熱電変換層32の形成領域25に、例えば、メタルマスクを用いた印刷法により、N型の熱電変換層32を形成する。これにより、図6に示すように接続電極34とN型の熱電変換層32とを有するN型の熱電変換素子26が形成される。
絶縁性基板22の山折りと谷折りは、例えば、表面に、山折りと谷折りとピッチに対応した大きさの断面視三角形状の突起が形成された1対のローラで絶縁性基板22を挟み込むことで実行される。
ここで、図16は本発明の実施形態の熱電変換モジュールの構成の変形例を示す模式的側面図である。
図16に示すように連結部44を折り曲げることなく曲面状としてもよい。連結部44を曲面状にした場合、絶縁性基板22を折り畳んだ際の連結部44での応力集中を避けることができる。また、第1の部40および第2の部42も、曲面状としてもよい。この場合、熱電変換モジュール12aは側面視正弦波状となる。なお、側面視正弦波状の熱電変換モジュール12aも上述の熱電変換モジュール12と同様の効果を得ることができる。
また、絶縁性基板22の第1の部40の裏面22bに、P型の熱電変換素子24およびN型の熱電変換素子26のうち、少なくとも一方を設け、第2の部の表面22aに、P型の熱電変換素子24およびN型の熱電変換素子26のうち、少なくとも、第1の部40の裏面22bとは違う極性のP型の熱電変換素子24またはN型の熱電変換素子26を設ける構成でもよい。この場合、第1の部40の裏面22bが一方の面であり、第2の部42の表面22aが他方の面である。
図17は本発明の実施形態の熱電変換モジュールの他の例を示す模式的上面図であり、図18は本発明の実施形態の熱電変換モジュールの他の例を示す模式的下面図である。
図17および図18おいて、図1および図3〜図6に示す熱電変換モジュール12と同一構成物には同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
熱電変換モジュール12bのように、複数のP型の熱電変換素子24と複数のN型の熱電変換素子26を直列に接続させて設ける構成とすることで、熱電変換モジュール12に比して、直列接続された熱電変換素子数が増え、高い発電電圧を得ることができる。
また、熱電変換モジュール12bにおいても、図16に示す熱電変換モジュール12aのように連結部44を曲面状にしてもよく、さらには第1の部40、第2の部42を曲面状にしてもよい。
なお、熱電変換モジュール12、熱電変換モジュール12a、熱電変換モジュール12bは、基本的な構成は同じであるため、熱電変換モジュール12を代表にして説明する。
絶縁性基板22は、P型の熱電変換素子24およびN型の熱電変換素子26が形成されるものである。P型の熱電変換素子24およびN型の熱電変換素子26の支持体として機能する。熱電変換モジュール12は電圧が生じるので、絶縁性基板22には電気的絶縁性が要求され、絶縁性基板22には電気的に絶縁性を有する基板が用いられる。絶縁性基板22に要求される電気的絶縁性は、熱電変換モジュール12で発生する電圧により短絡等が生じないことである。絶縁性基板22については熱電変換モジュール12で発生する電圧に応じたものが適宜選択される。
利用可能なプラスチックフィルムとしては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート等のポリエステル樹脂、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエーテルスルホン、シクロオレフィンポリマー、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、トリアセチルセルロース(TAC)等の樹脂、ガラスエポキシ、液晶性ポリエステル等からなるフィルム、またはシート状物もしくは板状物等が例示される。
中でも、熱伝導率、耐熱性、耐溶剤性、入手の容易性および経済性等の点で、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等からなるフィルムは、絶縁性基板22に好適に利用される。
P型の熱電変換層30とN型の熱電変換層32を構成する熱電変換材料としては、例えば、ニッケルまたはニッケル合金がある。
ニッケル合金は、温度差を生じることで発電するニッケル合金が、各種、利用可能である。具体的には、バナジウム、クロム、シリコン、アルミニウム、チタン、モリブデン、マンガン、亜鉛、錫、銅、コバルト、鉄、マグネシウム、ジルコニウムなどの1成分、または2成分以上と混合したニッケル合金等が例示される。
P型の熱電変換層30とN型の熱電変換層32にニッケルまたはニッケル合金を用いる場合、P型の熱電変換層30とN型の熱電変換層32は、ニッケルの含有量が90原子%以上であるのが好ましく、ニッケルの含有量が95原子%以上であるのがより好ましく、ニッケルからなるのが特に好ましい。ニッケルからなるP型の熱電変換層30とN型の熱電変換層32とは、不可避的不純物を有するものも含む。
また、P型の熱電変換層30とN型の熱電変換層32としてニッケルまたはニッケル合金を用いる場合であって、電極としてもニッケルまたはニッケル合金を用いる場合には、P型の熱電変換層30とN型の熱電変換層32と接続電極34とを一体的に形成してもよい。
このようなP型の熱電変換層30とN型の熱電変換層32が得られる熱電変換材料としては、具体的には、導電性高分子または導電性ナノ炭素材料等の有機系熱電変換材料が例示される。
導電性高分子としては、共役系の分子構造を有する高分子化合物(共役系高分子)が例示される。具体的には、ポリアニリン、ポリフェニレンビニレン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリフルオレン、アセチレン、ポリフェニレン等の公知のπ共役高分子等が例示される。特に、ポリジオキシチオフェンは、好適に使用できる。
導電性ナノ炭素材料としては、具体的には、カーボンナノチューブ(以下、CNTともいう)、カーボンナノファイバー、グラファイト、グラフェン、カーボンナノ粒子等が例示される。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、熱電特性がより良好となる理由から、CNTが好ましく利用される。
単層CNTは、半導体性のものであっても、金属性のものであってもよく、両者を併せて用いてもよい。半導体性CNTと金属性CNTとを両方を用いる場合、組成物中の両者の含有比率は、組成物の用途に応じて適宜調整することができる。また、CNTには金属等が内包されていてもよく、フラーレン等の分子が内包されたものを用いてもよい。
また、CNTの直径は特に限定されないが、耐久性、透明性、成膜性、導電性等の観点から、0.4〜100nmが好ましく、50nm以下がより好ましく、15nm以下が特に好ましい。
特に、単層CNTを用いる場合には、0.5〜2.2nmが好ましく、は1.0〜2.2nmがより好ましく、1.5〜2.0nmが特に好ましい。
得られた導電性組成物中に含まれるCNTには、欠陥のあるCNTが含まれていることがある。このようなCNTの欠陥は、組成物の導電性を低下させるため、低減化することが好ましい。組成物中のCNTの欠陥の量は、ラマンスペクトルのG−バンドとD−バンドの比率G/Dで見積もることができる。G/D比が高いほど欠陥の量が少ないCNT材料であると推定できる。CNTは、組成物のG/D比が10以上であるのが好ましく、30以上であるのがより好ましい。
また、CNTを利用する場合には、単層CNTおよび多層CNTの他に、カーボンナノホーン、カーボンナノコイル、カーボンナノビーズ、グラファイト、グラフェン、アモルファスカーボン等のナノカーボンが含まれてもよい。
P型の熱電変換層またはN型の熱電変換層にCNTを利用する場合、P型ドーパントまたはN型ドーパントを含むことが好ましい。
P型ドーパントとしては、ハロゲン(ヨウ素、臭素等)、ルイス酸(PF5、AsF5等)、プロトン酸(塩酸、硫酸等)、遷移金属ハロゲン化物(FeCl3、SnCl4等)、金属酸化物(酸化モリブデン、酸化バナジウム等)、有機の電子受容性物質等が例示される。有機の電子受容性物質としては、例えば、2,3,5,6−テトラフルオロ−7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン、2,5−ジメチル−7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン、2−フルオロ−7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン、2,5−ジフルオロ−7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン等のテトラシアノキノジメタン(TCNQ)誘導体、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−p−ベンゾキノン、テトラフルオロ−1,4−ベンゾキノン等のベンゾキノン誘導体等、5,8H−5,8−ビス(ジシアノメチレン)キノキサリン、ジピラジノ[2,3−f:2’,3’−h]キノキサリン−2,3,6,7,10,11−ヘキサカルボニトリル等が好適に例示される。
中でも、材料の安定性、CNTとの相溶性等の点で、TCNQ(テトラシアノキノジメタン)誘導体またはベンゾキノン誘導体等の有機の電子受容性物質は好適に例示される。
P型ドーパントおよびN型ドーパントは、いずれも単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
N型ドーパントとしては、(1)ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、(2)トリフェニルホスフィン、エチレンビス(ジフェニルホスフィン)等のホスフィン類、(3)ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン等のポリマー類等の公知の材料を用いることができる。また、例えば、ポリエチレングリコール型の高級アルコールエチレンオキサイド付加物、フェノールまたはナフトール等のエチレンオキサイド付加物、脂肪酸エチレンオキサイド付加物、多価アルコール脂肪酸エステルエチレンオキサイド付加物、高級アルキルアミンエチレンオキサイド付加物、脂肪酸アミドエチレンオキサイド付加物、油脂のエチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物、ジメチルシロキサン−エチレンオキサイドブロックコポリマー、ジメチルシロキサン−(プロピレンオキサイド−エチレンオキサイド)ブロックコポリマー等、または多価アルコール型のグリセロールの脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールの脂肪酸エステル、ソルビトールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、ショ糖の脂肪酸エステル、多価アルコールのアルキルエーテル、アルカノールアミン類の脂肪酸アミド等が挙げられる。また、アセチレングリコール系とアセチレンアルコール系のオキシエチレン付加物、フッ素系、シリコーン系等の界面活性剤も同様に使用することができる。なお、市販品を使用することもできる。
中でも、樹脂材料に導電性ナノ炭素材料を分散してなる熱電変換層は、より好適に例示される。その中でも、高い導電性が得られる等の点で、樹脂材料にCNTを分散してなる熱電変換層は、特に好適に例示される。
樹脂材料は、公知の各種の非導電性の樹脂材料(ポリマー)が利用可能である。
具体的には、ビニル化合物、(メタ)アクリレート化合物、カーボネート化合物、エステル化合物、エポキシ化合物、シロキサン化合物、ゼラチン等の公知の各種の樹脂材料が利用可能である。
樹脂材料に熱電変換材料を分散してなる熱電変換層において、樹脂材料と熱電変換材料との量比は、用いる材料、要求される熱電変換効率、印刷に影響する溶液の粘度または固形分濃度等に応じて、適宜設定すればよい。
また、熱電変換素子における熱電変換層の別の構成として、主にCNTと界面活性剤とからなる熱電変換層も好適に利用される。
熱電変換層をCNTと界面活性剤とで構成することにより、熱電変換層を界面活性剤を添加した塗布組成物で形成できる。そのため、熱電変換層の形成を、CNTを無理なく分散した塗布組成物で行うことができる。その結果、長くて欠陥が少ないCNTを多く含む熱電変換層によって、良好な熱電変換性能が得られる。
従って、界面活性剤は、イオン性でも非イオン性でもよい。また、イオン性の界面活性剤は、カチオン性、アニオン性および両性のいずれでもよい。
一例として、アニオン性界面活性剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、ドデシルフェニルエーテルスルホン酸塩等の芳香族スルホン酸系界面活性剤、モノソープ系アニオン性界面活性剤、エーテルサルフェート系界面活性剤、フォスフェート系界面活性剤およびでデオキシコール酸ナトリウムまたはコール酸ナトリウム等のカルボン酸系界面活性剤、カルボキシメチルセルロースおよびその塩(ナトリウム塩、アンモニウム塩等)、ポリスチレンスルホン酸アンモニウム塩、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム塩等の水溶性ポリマー等が例示される。
さらに、非イオン性界面活性剤としては、ソルビタン脂肪酸エステル等の糖エステル系界面活性剤、ポリオキシエチレン樹脂酸エステルどの脂肪酸エステル系界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等のエーテル系界面活性剤等が例示される。
中でも、イオン性の界面活性剤は好適に利用され、その中でも、コール酸塩またはデオキシコール酸塩は好適に利用される。
界面活性剤/CNTの質量比を5以下とすることにより、より高い熱電変換性能が得られる等の点で好ましい。
なお、有機材料からなる熱電変換層は、必要に応じて、SiO2、TiO2、Al2O3、ZrO2等の無機材料を有してもよい。
なお、熱電変換層が、無機材料を含有する場合には、その含有量は20質量%以下であるのが好ましく、10質量%以下であるのがより好ましい。
熱電変換素子において、熱電変換層の厚さ、面方向の大きさ、絶縁性基板に対する面方向の面積率等は、熱電変換層の形成材料、熱電変換素子の大きさ等に応じて、適宜設定すればよい。
調製した熱電変換層となる塗布組成物を、形成する熱電変換層に応じてパターンニングして塗布する。この塗布組成物の塗布は、マスクを使う方法、印刷法等、公知の方法で行えばよい。
塗布組成物を塗布したら、樹脂材料に応じた方法で塗布組成物を乾燥して、熱電変換層を形成する。なお、必要に応じて、塗布組成物を乾燥した後に、紫外線照射等による塗布組成物(樹脂材料)の硬化を行ってもよい。
また、絶縁性基板表面全面に、調製した熱電変換層となる塗布組成物を塗布し、乾燥した後、エッチング等によって、熱電変換層をパターン形成してもよい。
絶縁性基板両面に熱電変換層を成膜するには、上述のいずれかの方法により片面の印刷後、裏面に同じように成膜すれば良い。
他の熱電変換モジュール12bの場合、絶縁性基板22の第1の部40の表面22aにP型の熱電変換層30をパターン形成し、その後N型の熱電変換層32をパターン形成する。
次に、絶縁性基板22の第2の部42の裏面22bにP型の熱電変換層30をパターン形成し、その後N型の熱電変換層32をパターン形成する。なお、P型の熱電変換層30とN型の熱電変換層32のパターン形成順は、逆であってもよい。
熱電変換モジュール12、12aは、熱電変換モジュール12bに比べて、P型の熱電変換層30とN型の熱電変換層32のパターン形成工程を半分にすることが可能であり、製造コストを削減することができる。
導電性等の観点から貫通電極28は、銅で構成することが好ましい。貫通電極28を接続電極34と同じく銅で構成することで、抵抗損失等を抑制することができる。また、貫通電極28は、銅合金で構成してもよい。
スルーホール27は、NC(numerically controlled)ドリリング、レーザー加工、化学エッチング、プラズマエッチング法等により形成できる。スルーホール27内の導電性材料による充填には、Cuメッキ等が用いられる。
使用形態としては、図1に示す熱電変換装置10および図2に示す熱電変換装置10aがあるが、これに限定されるものではない。
熱電変換モジュールは、ステンレス、銅、アルミニウム、アルミニウム合金等の公知の高熱伝導性材料からなるフレームに、熱電変換素子を形成した絶縁性基板の端部を接触させ、フレームを高温部に接触させることで、高温部に接触した端部から、反対側の端部方向に熱流が形成され、発電を行うことができる。反対側の端部にも、ステンレス、銅、アルミニウム、アルミニウム合金等の公知の高熱伝導性材料からなるフレームを接触させ、さらにフレームに放熱フィンを取り付けることで、絶縁性基板の両端の温度差を大きくすることができ、発電量を向上することができる。
熱電変換モジュールを熱源に接着し、発電する際には、熱伝導シート、熱伝導接着シートまたは熱伝導性接着剤を用いてもよい。
さらに、熱電変換モジュールの冷却側の表面には、ステンレス、銅、アルミニウム、アルミニウム合金等の公知の材料からなる放熱フィン(ヒートシンク)または放熱シートを設けてもよい。放熱フィン等を用いることで、熱電変換モジュールの低温側をより好適に冷却することができ、熱源側と冷却側との温度差が大きくなり、熱電効率がより向上する点で好ましい。
放熱フィンのフィン高さとしては10〜56mm、フィンピッチとしては2〜10mm、板厚としては0.1〜0.5mmが好ましく、放熱特性が高く、熱電変換モジュールの冷却ができ発電量が高くなる点で、フィン高さが25mm以上であるのがより好ましい。また、フィンのフレキシブル性が高い、軽量である等の点で、板厚0.1〜0.3mmのアルミニウム製を用いるのが好ましい。
また、放熱シートとしては、パナソニック社製のPSGグラファイトシート、沖電線社製のクールスタッフ、セラミッション社製のセラックα等の公知の放熱シートを用いることができる。
なお、熱電変換モジュールを、温度差を利用した熱電変換装置に用いた例について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、通電によって冷却する冷却装置として利用することもできる。
単層CNTとしてEC(名城ナノカーボン社製、CNTの平均長さ1μm以上)と、デオキシコール酸ナトリウムとを、質量比がCNT/デオキシコール酸ナトリウムの比で25/75となるように、20mlの水に加えて調製する。
この溶液を、メカニカルホモジナイザーを用いて、7分間混合して予備混合物を得る。
得られた予備混合物を、薄膜旋回型高速ミキサーを用いて、10℃の恒温槽中、周速10m/秒で2分間、次いで周速40m/秒で5分間、高速旋回薄膜分散法で分散処理して、熱電変換層となる塗布組成物を調製する。
P型熱電変換材料のゼーベック係数は、アドバンス理工株式会社製ZEM−3により評価した結果50μV/Kである。
単層CNTとしてEC(名城ナノカーボン社製、CNTの平均長さ1μm以上)と、エマルゲン350(花王社製)とを、質量比がCNT/エマルゲン250の比で25/75となるように、20mlの水に加えて調製する。
この溶液を、メカニカルホモジナイザーを用いて、7分間混合して予備混合物を得る。
得られた予備混合物を、薄膜旋回型高速ミキサーを用いて、10℃の恒温槽中、周速10m/秒で2分間、次いで周速40m/秒で5分間、高速旋回薄膜分散法で分散処理して、熱電変換層となる塗布組成物を調製する。
N型熱電変換材料のゼーベック係数は、アドバンス理工株式会社製ZEM−3により評価した結果−30μV/Kである。
12.5μm厚のポリイミド基板の両面に12μm厚の銅層52(図10参照)を形成した、銅基板50(図10参照)を用意する。ポリイミド基板が絶縁性基板22(図10参照)である。
次に、銅基板50の一方の銅層52をフォトリソグラフィー法によりエッチングして、スルーホール形成部の位置に穴54(図11参照)を形成する。次に、ポリイミド基板をエッチングしてスルーホール27(図12参照)を形成する。次に、スルーホール27に銅のスルーホールメッキを施し、貫通電極28(図13参照)を形成する。スルーホールメッキは、無電解メッキ、および電解メッキによって行う。
次に、一方の銅層52(図13参照)をフォトリソグラフィー法によりエッチングして、接続電極34(図14参照)をパターン形成する。次に、他方の銅層52(図14参照)をフォトリソグラフィー法によりエッチングして、接続電極34(図15参照)をパターン形成する。
絶縁性基板22(図5参照)の一方の面に、メタルマスク印刷によってP型の熱電変換層30(図5参照)を形成する。
メタルマスク印刷によって、アタック角度20°、スキージ方向は熱電変換素子の直列接続方向、クリアランス1.5mm、印圧0.3MPa、押込み量0.1mmの条件で、塗布組成物のパターンを形成し、50℃で5分間、120℃で5分間乾燥する。
次いで、絶縁性基板22(図6参照)のもう一方の面にメタルマスク印刷によってN型の熱電変換層32(図6参照)を形成する。印刷条件は、P型の熱電変換層と同じである。
次いで、エタノールに1時間浸漬させることで、P型の熱電変換層およびN型の熱電変換層からデオキシコール酸ナトリウムを除去し、50℃で10分間、120℃で120分間乾燥させる。乾燥後のP型の熱電変換層およびN型の熱電変換層は、それぞれ膜厚が10μmである。
次に、絶縁性基板22(図4参照)を、接続電極34(図4参照)の位置で、山折りと谷折りを繰り返し、折込みを入れ蛇腹構造とする。このようにして、熱電変換モジュール12(図3参照)を作製することができる。
[熱電変換モジュールの折り畳み]
次に、図2に示すように、作製した蛇腹構造の熱電変換モジュール12を折り畳み、外側からアルミニウム製のフレーム16を用いて圧着固定する。アルミニウム製のフレーム16は熱電変換モジュール12との接触面をアルマイト処理してある。熱電変換モジュール12とフレーム16との接触面は谷部47(図3参照)の接続電極34(図3参照)の形成エリアである。
アルミニウム製のフレーム16で圧着固定した熱電変換モジュール12を熱源に接触させることで、熱電変換モジュール12の山部45(図3参照)と谷部47(図3参照)の間に温度差が形成され、電圧計により発電を確認することができ、発電している。
また、上述のように図19〜図22に示すように、絶縁性基板22の片面のみに熱電素子が作製された熱電変換モジュール100では、熱電変換素子間の短絡を防止するために、熱電変換モジュール100の谷部47への絶縁性フィルムの導入、または熱電変換素子の絶縁コートが必要になるが、本発明では不要であり、安価に、低設置面積で、高い発電量を持つ熱電モジュールを実現することができる。
12、12a、12b 熱電変換モジュール
14 基台
15 熱伝導シート
16 フレーム
18 ホットプレート
22 絶縁性基板
22a 表面
22b 裏面
23 形成領域
24 P型の熱電変換素子
25 形成領域
26 N型の熱電変換素子
27 スルーホール
28 貫通電極
30 P型の熱電変換層
32 N型の熱電変換層
34 接続電極
40 第1の部
42 第2の部
44 連結部
45 山折り部分(山部)
47 谷折り部分(谷部)
50 銅基板
52 銅層
54 穴
100 熱電変換モジュール
B 折曲線
D 延在方向
G 水平線
Claims (8)
- 第1の部と、前記第1の部と向きが異なる第2の部とが交互に繰り返された蛇腹状の絶縁性基板を有し、
前記絶縁性基板の前記第1の部の一方の面に、P型の熱電変換素子およびN型の熱電変換素子のうち、少なくとも一方が設けられ、
前記絶縁性基板の前記第2の部の、前記一方の面とは反対側の他方の面に、前記P型の熱電変換素子および前記N型の熱電変換素子のうち、少なくとも、前記一方の面とは違う極性の前記P型の熱電変換素子または前記N型の熱電変換素子が設けられており、
前記P型の熱電変換素子は、P型の熱電変換層と前記P型の熱電変換層に電気的に接続された1対の接続電極を有し、
前記N型の熱電変換素子は、N型の熱電変換層と前記N型の熱電変換層に電気的に接続された1対の接続電極を有し、
前記第1の部の前記接続電極と前記第2の部の前記接続電極とは前記絶縁性基板に形成された貫通電極で電気的に接続されており、
前記貫通電極は、前記第1の部と前記第2の部の連結部よりも、前記第1の部側または前記第2の部側に設けられ、
前記1対の接続電極のうち、前記第1の部と前記第2の部の連結部で、前記第1の部と前記第2の部で挟まれる側の接続電極は、他の接続電極よりも、前記絶縁性基板の延在方向の長さが長く、前記P型の熱電変換層と前記N型の熱電変換層とは大きさが合わされており、かつ前記蛇腹状の前記絶縁性基板の山折り部分において山の頂点から前記第2の部側に、前記第1の部と前記第2の部で挟まれる側の前記接続電極が形成されないことを特徴とする熱電変換モジュール。 - 前記第1の部と、前記第2の部とは対称である請求項1に記載の熱電変換モジュール。
- 前記第1の部と前記第2の部は平面状であり、前記絶縁性基板は側面視三角波状である請求項1または2に記載の熱電変換モジュール。
- 第1の部と第2の部は曲面状であり、前記絶縁性基板は側面視正弦波状である請求項1または2に記載の熱電変換モジュール。
- 前記P型の熱電変換層および前記N型の熱電変換層は、有機系熱電変換材料で構成される請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱電変換モジュール。
- 前記P型の熱電変換層および前記N型の熱電変換層は、カーボンナノチューブを含有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱電変換モジュール。
- 前記絶縁性基板は、プラスチック基板である請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱電変換モジュール。
- 前記絶縁性基板はポリイミド基板であり、前記接続電極は銅、銀および半田のうち少なくとも1つで構成され、前記貫通電極は銅または半田で構成される請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱電変換モジュール。
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