JP6509637B2 - 多色化粧料の充填装置 - Google Patents

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Description

本発明は、化粧皿に複数色のスラリー状の化粧料を充填する多色化粧料の充填装置に関する。
従来、複数色のスラリー状の化粧料を化粧皿に充填する多色化粧料の充填装置が知られている。例えば、特許文献1には、樹脂製の中皿(化粧皿)を複数の充填部に仕切る仕切り部材(仕切り型)と、中皿に形成された貫通孔(充填孔)を介して複数色の化粧料を複数の充填部のそれぞれに充填する充填ノズルと、中皿に向かって仕切り部材を押し付けるとともに、中皿の開口を閉塞し、充填ノズルにて中皿内に充填された複数の化粧料中の溶剤を除去するバキュームパット(吸引ヘッド)とを備えた湿式化粧料の多色充填成形装置(多色化粧料の充填装置)が開示されている。この湿式化粧料の多色充填成形装置では、中皿は、その内底面および内側面を接続する境界位置に形成された複数のガイド突起を有し、このガイド突起に仕切り部材を嵌め込むことによって、中皿に仕切り部材を位置決めしている。
ここで、樹脂製の化粧皿は、アルミ合金などの金属をプレス加工した金属製の化粧皿と比較して容易に成形することができ、複雑な形状にも成形することができるメリットを有しているが、皿底および側壁に厚みがでてしまうので、側壁の上端縁は汚れやすく、化粧皿のサイズは大きくなってしまうというデメリットを有している。
これに対して、金属製の化粧皿は、樹脂製の化粧皿と比較して皿底および側壁を薄くすることができるので、側壁の上端縁は汚れにくく、化粧皿のサイズはスタイリッシュに小さくすることができるというメリットを有している。
特開2012−192020号公報
しかしながら、金属製の化粧皿は、アルミ合金などの金属をプレス加工しているので、内底面および内側面の接続部は、一般的にR0.5以上の湾曲面を有し、この湾曲面は、樹脂製の化粧皿と比較して大きくなっている。このような化粧皿に多色化粧料を充填する際には、化粧皿は、仕切り型を押し付けられることによって、その皿底が変形してしまう場合があるという問題がある。
本発明の目的は、仕切り型にて化粧皿の皿底を変形させることなく、複数色のスラリー状の化粧料を化粧皿に充填することができる多色化粧料の充填装置を提供することである。
本発明の多色化粧料の充填装置は、内底面と、少なくとも1つの内側面と、内底面および内側面を接続する湾曲面とを有する化粧皿に複数色のスラリー状の化粧料を充填する多色化粧料の充填装置であって、金属製の化粧皿と、化粧皿を複数の収容部に仕切る仕切り型と、複数の収容部のそれぞれに対応するようにして化粧皿に形成された複数の充填孔を介して複数色の化粧料を複数の収容部のそれぞれに充填する充填ノズルと、化粧皿に向かって仕切り型を押し付けるとともに、化粧皿の開口を閉塞し、充填ノズルにて化粧皿内に充填された複数色の化粧料中の溶剤を除去する吸引ヘッドとを備え、仕切り型は、化粧皿の内側面に沿って形成された枠体部と、枠体部に架け渡されることによって、化粧皿を複数の収容部に仕切る架設部とを備え、枠体部は、化粧皿の湾曲面を避けて化粧皿の内底面に当接することを特徴とする。
このような構成によれば、多色化粧料の充填装置は、金属製の化粧皿を備え、金属製の化粧皿は、樹脂製の化粧皿と比較して皿底および側壁を薄くすることができるので、側壁の上端縁は汚れにくく、化粧皿のサイズはスタイリッシュに小さくすることができる。また、多色化粧料の充填装置は、化粧皿を複数の収容部に仕切る仕切り型を備え、仕切り型は、化粧皿の内側面に沿って形成された枠体部を備え、枠体部は、化粧皿の湾曲面を避けて化粧皿の内底面に当接するので、仕切り型にて化粧皿の皿底を変形させることなく、複数色のスラリー状の化粧料を化粧皿に充填することができる。
本発明では、化粧皿の内底面は、多角形状に形成され、吸引ヘッドは、化粧皿の開口を閉塞する閉塞面の隅のそれぞれに形成された凹部を有することが好ましい。
ここで、化粧皿の内底面を多角形状に形成した場合には、その隅(例えば、化粧皿の内底面を矩形状に形成した場合には、その四隅)の湾曲面は、その他の部位の湾曲面と比較して大きくなる。したがって、本発明の多色化粧料の充填装置では、化粧皿の隅は、化粧皿の内側面と、仕切り型の枠体部との間隔が大きくなるので、多色化粧料の充填装置にて化粧皿に複数色のスラリー状の化粧料を充填した後、この化粧料にプレス処理を施して打型したときに化粧料が広がりきらず、化粧皿の内側面と、化粧料との間に隙間が出来てしまう場合がある。
本発明の多色化粧料の充填装置によれば、吸引ヘッドが、化粧皿の開口を閉塞する閉塞面の隅のそれぞれに形成された凹部を有するので、化粧皿の隅に多くの化粧料を充填することができる。したがって、多色化粧料の充填装置にて化粧皿に複数色のスラリー状の化粧料を充填した後、この化粧料にプレス処理を施して打型したときに化粧皿の内側面と、化粧料との間に隙間が出来てしまうことを抑制することができる。
本発明では、充填ノズルを化粧皿に向かって付勢する付勢機構を備えることが好ましい。
このような構成によれば、多色化粧料の充填装置は、充填ノズルを化粧皿に向かって付勢する付勢機構を備えるので、付勢機構にて充填ノズルを化粧皿に向かって付勢する力を調整することによって、充填ノズルにて化粧皿の皿底を変形させることなく、複数色のスラリー状の化粧料を化粧皿に充填することができる。
本発明では、充填ノズルは、化粧料を吐出するノズル本体と、ノズル本体の先端部に設けられるとともに、付勢機構にてノズル本体を化粧皿に向かって付勢することによって、化粧皿と当接して弾性変形し、ノズル本体の吐出口から化粧皿の充填孔に至る化粧料の流路を密閉する弾性部材とを備えることが好ましい。
このような構成によれば、充填ノズルは、ノズル本体を化粧皿に向かって付勢することによって、化粧皿と当接して弾性変形し、ノズル本体の吐出口から化粧皿の充填孔に至る化粧料の流路を密閉する弾性部材を備えているので、充填ノズルにて化粧皿の皿底を変形させることなく、複数色のスラリー状の化粧料を化粧皿に充填することができる。また、充填ノズルは、このような弾性部材を備えているので、化粧料の漏れを抑制することができ、化粧皿が汚れてしまうことを抑制することができる。
本発明の一実施形態に係る多色化粧料の充填装置を示す概略模式図 化粧皿の上面図および断面図 化粧皿、ハカマ、および仕切り型の上面図および断面図 充填ノズルと、充填孔との関係を示す模式図 充填装置の初期状態を示す図 基台に化粧皿を載置した状態を示す図 狭持機構によって化粧皿を狭持した状態を示す図 付勢機構によって複数の充填ノズルを付勢した状態を示す図 複数色の化粧料を化粧皿に充填している状態を示す図 充填ノズルの先端部の近傍を拡大した図 基台および充填ノズルの近傍を拡大した図 化粧皿に充填された複数色の化粧料にプレス処理を施している状態を示す図 本発明の変形例に係る充填ノズルと、充填孔との関係を示す模式図 充填ノズルの先端部の近傍を拡大した図
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る多色化粧料の充填装置を示す概略模式図である。
充填装置1は、複数色のスラリー状の化粧料を化粧皿10に充填する多色化粧料の充填装置である。ここで、スラリー状の化粧料とは、ファンデーション、フェイスパウダー、アイシャドウなどの固形粉末化粧料の化粧料基材と、エタノール、水、流動パラフィン、イソパラフィン、イソプロピルアルコールなどの揮発性溶剤とを混合した流動物である。
図2は、化粧皿の上面図および断面図である。具体的には、図2の上図は、化粧皿10の上面図であり、下図は、化粧皿10の中央を紙面左右方向に沿って切断した断面図である。
化粧皿10は、図2に示すように、矩形状の皿底11と、4つの矩形状の側壁12とを有し、アルミ合金などの金属をプレス加工して形成されている。したがって、この化粧皿10は、矩形状の内底面11Aと、4つの内側面12Aとを有し、内底面11Aおよび内側面12Aを接続する湾曲面13は、樹脂製の化粧皿と比較して大きくなっている。
また、化粧皿10は、内底面11Aの略中央位置と、この位置の両側(紙面左右両側)の2箇所の位置とにそれぞれ形成された複数の充填孔14を有している。これらの充填孔14は、皿底11の内底面11A(内面)から皿底11の裏面(外面)まで貫通して断面円形状に形成されている。
なお、本実施形態では、内底面11Aは、矩形状に形成されているが、これ以外の多角形状や、円形状などの他の形状であってもよい。要するに、化粧皿は、内底面と、少なくとも1つの内側面と、内底面および内側面を接続する湾曲面とを有していればよい。
また、充填装置1は、図1に示すように、化粧皿10を載置する基台2と、化粧皿10を狭持する狭持機構3と、複数の充填孔14と対応して設けられた複数の充填ノズル4と、複数の充填ノズル4のそれぞれを基台2に向かって付勢する付勢機構5とを有する。化粧皿10は、ハカマ15に収納されるとともに、仕切り型16にて複数の収容部10A〜10Cに仕切られた状態で搬送され、基台2における所定の位置に載置される。なお、図1では、基台2、狭持機構3の一部、化粧皿10、ハカマ15、および仕切り型16のそれぞれを断面で示している。
図3は、化粧皿、ハカマ、および仕切り型の上面図および断面図である。具体的には、図3の上図は、化粧皿10、ハカマ15、および仕切り型16の上面図であり、下図は、化粧皿10、ハカマ15、および仕切り型16の中央を紙面左右方向に沿って切断した断面図である。
ハカマ15は、図3に示すように、化粧皿10を内部に収納する矩形枠状の部材である。このハカマ15は、その四隅にそれぞれ形成されたピン15Aを備えている。
仕切り型16は、図3に示すように、化粧皿10の上端縁を押さえるべく矩形枠状に形成された天板部16Aと、化粧皿10の内側面12Aに沿って形成された枠体部16Bと、枠体部16Bに架け渡されることによって、化粧皿10を複数の収容部10A〜10Cに仕切る架設部16Cとを備えている。
天板部16Aは、その四隅にそれぞれ形成された貫通孔16A1を有している。仕切り型16は、天板部16Aの貫通孔16A1のそれぞれにハカマ15のピン15Aを挿入することによって、化粧皿10に対して位置決めされる。
ここで、架設部16Cにて化粧皿10を複数の収容部10A〜10Cに仕切った状態において、化粧皿10の全ての収容部10A〜10Cは露出する。また、枠体部16Bは、化粧皿10の湾曲面13を避けて化粧皿10の内底面11Aに当接する形状に形成されている。換言すれば、化粧皿10の内側面12Aと、仕切り型16の枠体部16Bとの間隔は、化粧皿10の湾曲面13の分だけ離間している。
基台2は、図1に示すように、充填ノズル4と対応する位置にそれぞれ形成された複数の貫通孔2Aを有する。貫通孔2Aは、充填ノズル4の外面形状と同じ内面形状に形成されている。また、充填ノズル4の先端は、充填ノズル4を貫通孔2Aに収納し、充填ノズル4を基台2に向かって付勢した状態において、基台2の上面から突出するように設定されている。
狭持機構3は、化粧皿10の上方に配設された台座31と、台座31を昇降させるサーボモータ32と、台座31および化粧皿10の間に配設された吸収性の高い紙や不織布などからなる吸収シート33Aの供給ローラ33とを有する。
台座31は、化粧皿10側の面に設けられた吸引ヘッド31Aを有する。この吸引ヘッド31Aは、台座31を下降させることによって、仕切り型16の天板部16Aを押さえるベース31A1と、仕切り型16の天板部16Aの内側を通過するとともに、化粧皿10の全ての収容部10A〜10Cを覆う閉塞面31A2とを有する矩形板状に形成される。この閉塞面31A2は、仕切り型16の架設部16Cと嵌合する溝部31A3と、その四隅のそれぞれに形成された凹部31A4とを有している。この凹部31A4は、閉塞面31A2の四隅に向かうにしたがって徐々に凹みが大きくなるように形成されている。
したがって、本実施形態では、化粧皿10の内底面11Aは、多角形状に形成され、吸引ヘッド31Aは、化粧皿10の開口を閉塞する閉塞面31A2の隅のそれぞれに形成された凹部31A4を有している。
なお、本実施形態では、凹部31A4は、閉塞面31A2の四隅に向かうにしたがって徐々に凹みが大きくなるように形成されているが、これ以外の形状に形成されていてもよい。要するに、凹部31A4は、化粧皿10の開口を閉塞する閉塞面31A2の隅のそれぞれに形成されていればよい。
狭持機構3は、サーボモータ32を回転させて台座31を下降させることによって、仕切り型16、吸引ヘッド31A、および吸収シート33Aを介して化粧皿10を基台2に向かって開口側から付勢する。換言すれば、狭持機構3は、仕切り型16、吸引ヘッド31A、および吸収シート33Aと、基台2とによって化粧皿10を狭持する。
付勢機構5は、充填ノズル4の基端にそれぞれ接続された複数のバネ51と、バネ51を介して充填ノズル4を支持する支持部材52と、支持部材52を基台2に対して昇降させる昇降装置53とを有する。なお、バネ51に代えて、例えば、Oリングなどの他の弾性体を採用してもよい。
この付勢機構5は、昇降装置53を動作させて支持部材52を上昇させることによって、充填ノズル4を基台2に向かって付勢する。
ここで、充填ノズル4の基端には、バネ51が接続されているので、付勢機構5は、複数の充填ノズル4をそれぞれ付勢することになる。そして、充填ノズル4の先端は、基台2の貫通孔2Aを介して化粧皿10の充填孔14と当接する。したがって、付勢機構5は、充填ノズル4を化粧皿10に向かって付勢する。
バネ51は、ネジ51Aを回転させることによって、その強度を調整することができる。すなわち、付勢機構5は、基台2に向かって付勢する力を充填ノズル4ごとに調整可能である。これによれば、付勢機構5にて複数の充填ノズル4を付勢する際に化粧皿10の皿底11を変形させてしまうことを防止することができる。
図4は、充填ノズルと、充填孔との関係を示す模式図である。
充填ノズル4は、図4に示すように、化粧料を吐出する金属製のノズル本体41と、ノズル本体41の先端部に設けられるゴム製の弾性部材42とを備えている。
ノズル本体41は、円筒状の先端部を有し、この先端部の内径φAは、充填孔14の内径φBと同一に設定されている。
弾性部材42は、円筒状に形成されるとともに、化粧皿10の裏面と互いに平行な端面43を有し、ノズル本体41よりも化粧皿10側に突出して設けられている。
図5〜図9は、充填装置による多色化粧料の充填方法を説明する工程図である。具体的には、図5は、充填装置の初期状態を示す図である。図6は、基台に化粧皿を載置した状態を示す図である。図7は、狭持機構によって化粧皿を狭持した状態を示す図である。図8は、付勢機構によって複数の充填ノズルを付勢した状態を示す図である。図9は、複数色の化粧料を化粧皿に充填している状態を示す図である。以下、これらの図を参照して多色化粧料の充填方法を説明する。
まず、充填装置1は、図5に示すように、サーボモータ32を回転させて台座31を上昇させるとともに、昇降装置53を動作させて支持部材52を下降させた状態とする。次に、充填装置1は、図6に示すように、ハカマ15を搬送して基台2における所定の位置に化粧皿10を載置する(図6矢印)。
次に、充填装置1は、図7に示すように、サーボモータ32を回転させて台座31を下降させることによって、吸引ヘッド31Aの閉塞面31A2は、仕切り型16の天板部16Aの内側を通過するとともに、化粧皿10の全ての収容部10A〜10Cを覆い、吸引ヘッド31Aのベース31A1は、仕切り型16の天板部16Aを押さえる(図7矢印)。この際、閉塞面31A2の溝部31A3は、仕切り型16の架設部16Cと嵌合する。
次に、充填装置1は、図8に示すように、昇降装置53を動作させて支持部材52を上昇させることによって、複数の充填ノズル4のそれぞれを基台2に向かって付勢する(図8矢印)。
そして、充填装置1は、図9に示すように、ポンプ(図示略)から供給される複数色の化粧料を充填ノズル4から吐出することによって、化粧皿10の収容部10A〜10Cに複数色の化粧料を充填するとともに、吸引ヘッド31Aおよび吸収シート33Aを介して化粧料中の揮発性溶剤を複数色の化粧料から吸引する。
したがって、本実施形態では、充填ノズル4は、複数の収容部10A〜10Cのそれぞれに対応するようにして化粧皿10に形成された複数の充填孔14を介して複数色の化粧料C1〜C3を複数の収容部10A〜10Cのそれぞれに充填する。ここで、化粧皿10の収容部10Aに充填された化粧料をC1とし、収容部10Bに充填された化粧料をC2とし、収容部10Cに充填された化粧料をC3とする。
また、吸引ヘッド31Aは、化粧皿10に向かって仕切り型16を押し付けるとともに、化粧皿10の開口を閉塞し、充填ノズル4にて化粧皿10内に充填された複数色の化粧料C1〜C3中の溶剤を除去する。
図10は、充填ノズルの先端部の近傍を拡大した図である。
充填ノズル4のノズル本体41を化粧皿10に向かって付勢することによって、図10(A)に示すように、まず、弾性部材42の端面43と、化粧皿10の裏面とが当接する。そして、ノズル本体41を化粧皿10に向かって更に付勢することによって、弾性部材42は、図10(B)に示すように、化粧皿10と当接して弾性変形し、ノズル本体41の吐出口から充填孔14に至る化粧料の流路を密閉する。換言すれば、弾性部材42の弾性力は、付勢機構5によって複数の充填ノズル4を付勢する力よりも小さくなるように設定されている。
図11は、基台および充填ノズルの近傍を拡大した図である。
また、充填ノズル4を化粧皿10に向かって付勢することによって、複数の充填ノズル4のそれぞれを基台2に向かって付勢すると、充填ノズル4は、図11に示すように、基端側に沈み込むことになる(図11矢印)。
図12は、化粧皿に充填された複数色の化粧料にプレス処理を施している状態を示す図である。具体的には、図12(A)は、プレス装置6のプレス位置に化粧皿10を配置した状態を示す図であり、図12(B)は、化粧皿10に充填された複数色の化粧料C1〜C3にプレス処理を施している状態を示す図である。
充填装置1にて複数色の化粧料C1〜C3を化粧皿10に充填し、仕切り型16を化粧皿10から抜いた後、図12(A)に示すように、プレス装置6に設けられたプレスヘッド61のプレス位置に化粧皿10およびハカマ15が配置される。このプレスヘッド61のプレス面(下面)の形状および大きさは、化粧皿10の開口のそれと対応している。ここで、前述したように、吸引ヘッド31Aは、化粧皿10の開口を閉塞する閉塞面31A2の隅のそれぞれに形成された凹部31A4を有しており、この凹部31A4が閉塞面31A2の四隅に向かうにしたがって徐々に凹みが大きくなるように形成されているので、化粧料C1,C3の表面に凸部C1A,C3Aが形成される。換言すれば、充填装置1は、化粧皿10の隅に多くの化粧料を充填している。
そして、プレス装置6は、図12(B)に示すように、プレスヘッド61を下降させることによって(図中下向矢印)、化粧皿10に充填された複数色の化粧料C1〜C3にプレス処理を施して打型する。この際、化粧料C1,C3の表面に形成された凸部C1A,C3Aは、プレス処理にて化粧皿10の隅に向かって伸び広がっていくことになる。
その後、この化粧料に対して後処理を行うことによって、固形化粧料を製造することができる。
このような本実施形態によれば、以下の作用・効果を奏することができる。
(1)多色化粧料の充填装置1は、金属製の化粧皿10を備え、金属製の化粧皿10は、樹脂製の化粧皿と比較して皿底11および側壁12を薄くすることができるので、側壁12の上端縁は汚れにくく、化粧皿10のサイズはスタイリッシュに小さくすることができる。
(2)多色化粧料の充填装置1は、化粧皿10を複数の収容部10A〜10Cに仕切る仕切り型16を備え、仕切り型16は、化粧皿10の内側面12Aに沿って形成された枠体部16Bを備え、枠体部16Bは、化粧皿10の湾曲面13を避けて化粧皿10の内底面11Aに当接するので、仕切り型16にて化粧皿10の皿底11を変形させることなく、複数色のスラリー状の化粧料C1〜C3を化粧皿10に充填することができる。
(3)吸引ヘッド31Aは、化粧皿10の開口を閉塞する閉塞面31A2の隅のそれぞれに形成された凹部31A4を有するので、多色化粧料の充填装置1は、化粧皿10の隅に多くの化粧料C1,C3を充填することができる。したがって、多色化粧料の充填装置1にて化粧皿10に複数色のスラリー状の化粧料C1〜C3を充填した後、この化粧料にプレス処理を施して打型したときに化粧皿10の内側面12Aと、化粧料との間に隙間が出来てしまうことを抑制することができる。
(4)多色化粧料の充填装置1は、充填ノズル4を化粧皿10に向かって付勢する付勢機構5を備えるので、付勢機構5にて充填ノズル4を化粧皿10に向かって付勢する力を調整することによって、充填ノズル4にて化粧皿10の皿底11を変形させることなく、複数色のスラリー状の化粧料C1〜C3を化粧皿10に充填することができる。
(5)充填ノズル4は、ノズル本体41を化粧皿10に向かって付勢することによって、化粧皿10と当接して弾性変形し、ノズル本体41の吐出口から化粧皿10の充填孔14に至る化粧料の流路を密閉する弾性部材42を備えているので、充填ノズル4にて化粧皿10の皿底11を変形させることなく、複数色のスラリー状の化粧料C1〜C3を化粧皿10に充填することができる。また、充填ノズル4は、このような弾性部材42を備えているので、化粧料の漏れを抑制することができ、化粧皿10が汚れてしまうことを抑制することができる。
(6)化粧皿10の裏面と、化粧皿10に当接する弾性部材42の端面43とは、互いに平行であるので、化粧皿10の裏面と、弾性部材42の端面43との接触面積を大きくすることができる。したがって、充填装置1によれば、ノズル本体41の吐出口から充填孔14に至る化粧料の流路を確実に密閉することができ、化粧料の漏れを抑制することができる。
(7)弾性部材42は、ノズル本体41よりも化粧皿10側に突出して設けられているので、ノズル本体41を化粧皿10に向かって付勢したときに、ノズル本体41と、化粧皿10とが先に当接することによって、化粧皿10の裏面と、弾性部材42の端面43とが当接しにくくなってしまうことを防止することができる。
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、前記実施形態では、吸引ヘッド31Aは、化粧皿10の開口を閉塞する閉塞面31A2の隅のそれぞれに形成された凹部31A4を有していたが、これを有していなくてもよい。
前記実施形態では、充填装置1は、充填ノズル4を化粧皿10に向かって付勢する付勢機構5を備えていたが、これを備えていなくてもよい。
前記実施形態では、弾性部材42は、ゴム製であったが、これ以外の材質であってもよい。要するに、弾性部材は、ノズル本体を化粧皿に向かって付勢することによって、化粧皿と当接して弾性変形し、ノズル本体の吐出口から充填孔に至る化粧料の流路を密閉することができればよい。
前記実施形態では、充填ノズル4は、化粧皿10と当接して弾性変形し、ノズル本体41の吐出口から充填孔14に至る化粧料の流路を密閉する弾性部材42を備えていたが、これを備えていなくてもよい。
図13は、本発明の変形例に係る充填ノズルと、充填孔との関係を示す模式図である。
前記実施形態では、充填ノズル4は、ノズル本体41と、弾性部材42とを備え、ノズル本体41は、充填孔14の内径φBと同一の内径φAを有し、弾性部材42は、ノズル本体41よりも化粧皿10側に突出して設けられていた。
これに対して、充填ノズル4Aは、図13に示すように、ノズル本体41Aと、弾性部材42Aとを備え、ノズル本体41Aは、充填孔14の内径φBよりも小さい外径φA1を有し、弾性部材42Aよりも化粧皿10側に突出して設けられていてもよい。
図14は、図13に示した充填ノズルの先端部の近傍を拡大した図である。
支持部材52を上昇させて充填ノズル4Aのノズル本体41Aを化粧皿10に向かって付勢することによって、図14(A)に示すように、まず、ノズル本体41Aが充填孔14の内部に挿入されるとともに弾性部材42Aの端面43Aと、化粧皿10の裏面とが当接する。そして、ノズル本体41Aを化粧皿10に向かって更に付勢することによって、弾性部材42Aは、図14(B)に示すように、化粧皿10と当接して弾性変形し、ノズル本体41Aの吐出口から充填孔14に至る化粧料の流路を密閉する。換言すれば、弾性部材42Aの弾性力は、付勢機構5によって複数の充填ノズル4Aを付勢する力よりも小さくなるように設定されている。
これによれば、ノズル本体41Aは、充填孔14の内径φBよりも小さい外径φA1を有し、弾性部材42Aよりも化粧皿10側に突出しているので、ノズル本体41Aを充填孔14の内部に挿入することができる。したがって、充填孔14が形成された化粧皿10の裏面に化粧料が付着して汚れてしまうことを確実に防止することができる。
以上のように、本発明は、化粧皿に複数色のスラリー状の化粧料を充填する多色化粧料の充填装置に好適に利用できる。
1 充填装置
2 基台
3 狭持機構
4,4A 充填ノズル
5 付勢機構
6 プレス装置
10 化粧皿
10A〜10C 収容部
11A 内底面
12A 内側面
13 湾曲面
14 充填孔
15 ハカマ
16 仕切り型
16A 天板部
16B 枠体部
16C 架設部
31 台座
31A 吸引ヘッド
31A1 ベース
31A2 閉塞面
31A3 溝部
31A4 凹部
41,41A ノズル本体
42,42A 弾性部材

Claims (4)

  1. 内底面と、少なくとも1つの内側面と、内底面および内側面を接続する湾曲面とを有する化粧皿に複数色のスラリー状の化粧料を充填する多色化粧料の充填装置であって、
    金属製の前記化粧皿と、
    前記化粧皿を複数の収容部に仕切る仕切り型と、
    前記複数の収容部のそれぞれに対応するようにして前記化粧皿に形成された複数の充填孔を介して前記複数色の化粧料を前記複数の収容部のそれぞれに充填する充填ノズルと、
    前記化粧皿に向かって前記仕切り型を押し付けるとともに、前記化粧皿の開口を閉塞し、前記充填ノズルにて前記化粧皿内に充填された前記複数色の化粧料中の溶剤を除去する吸引ヘッドとを備え、
    前記仕切り型は、
    前記化粧皿の内側面に沿って形成された枠体部と、
    前記枠体部に架け渡されることによって、前記化粧皿を複数の収容部に仕切る架設部とを備え、
    前記枠体部は、前記化粧皿の湾曲面を避けて前記化粧皿の内底面に当接することを特徴とする多色化粧料の充填装置。
  2. 請求項1に記載された多色化粧料の充填装置において、
    前記化粧皿の内底面は、多角形状に形成され、
    前記吸引ヘッドは、前記化粧皿の開口を閉塞する閉塞面の隅のそれぞれに形成された凹部を有することを特徴とする多色化粧料の充填装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載された多色化粧料の充填装置において、
    前記充填ノズルを前記化粧皿に向かって付勢する付勢機構を備えることを特徴とする多色化粧料の充填装置。
  4. 請求項3に記載された多色化粧料の充填装置において、
    前記充填ノズルは、
    前記化粧料を吐出するノズル本体と、
    前記ノズル本体の先端部に設けられるとともに、前記付勢機構にて前記ノズル本体を前記化粧皿に向かって付勢することによって、前記化粧皿と当接して弾性変形し、前記ノズル本体の吐出口から前記化粧皿の充填孔に至る前記化粧料の流路を密閉する弾性部材とを備えることを特徴とする多色化粧料の充填装置。
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