JP6508990B2 - 多孔質金属およびその製造方法並びに蓄電装置 - Google Patents

多孔質金属およびその製造方法並びに蓄電装置 Download PDF

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Description

本発明は多孔質金属およびその製造方法並びに蓄電装置に関し、例えばサイズの異なる細孔を有する多孔質金属およびその製造方法並びに蓄電装置に関する。
電池やキャパシタ等の蓄電装置等の電極材料として多孔質金属が用いられている。多孔質金属の表面積を大きくすることにより、蓄電装置の性能を向上させることができる。例えば非特許文献1および2には、ニッケル(Ni)およびマンガン(Mn)からなる合金を脱合金化(dealloying)することにより、単位重量あたりの表面積が61m/gの多孔質金属が形成できることが記載されている。この多孔質金属をキャパシタの電極材料とすることで、単位面積当たりの容量を、0.68から1.01F/cm(非特許文献1)および1.3から1.4F/cm(非特許文献2)とすることができることが記載されている。
非特許文献3には、FSH(Fibre Space Holder)法を用いることにより、多孔質金属を形成することが記載されている。
Advanced Materials 2014, 26, 269-272 Journal of Power Source 247 (2014) 896-905 Powder Metallurgy 2014, Vol. 57, 168-170
しかしながら、非特許文献1から3の多孔質金属は表面積の大きさが十分ではない。また、表面積を大きくしようとすると製造工程が複雑化するため、大量生産が難しい。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、表面積の大きい多孔質金属の大量生産を可能とすること、または多孔質金属の表面積を大きくすることを目的とする。
本発明は、ニッケルとマンガンとからなる金属リガメントと第1細孔とを含み、前記金属リガメントには、前記第1細孔より小さい第2細孔が形成されており、前記金属リガメントの表面積は65m/g以上であり、前記金属リガメントのマンガン濃度は30モル%以下であり、前記金属リガメントの表面はニッケル原子に結合した水酸基および酸化マンガンを有することを特徴とする多孔質金属である。
本発明は、上記多孔質金属を含む電極を具備することを特徴とする蓄電装置である。
本発明は、炭素を含む複数の繊維を有する網状構造体にNiMn合金からなる粉体を付着させる工程と、前記粉体が付着した網状構造体を熱処理することにより、前記網状構造体を焼失させ、前記粉体を焼結し、前記粉体から第1細孔を有する合金を形成する工程と、前記合金のうちMnを選択的に腐食する溶液を用いMnを除去することにより、前記第1細孔と前記第1細孔より小さい第2細孔とを含み、ニッケルおよびマンガンからなり、マンガン濃度は30モル%以下であり、表面にニッケル原子に結合した水酸基と酸化マンガンを有する多孔質金属を形成する工程と、を含むことを特徴とする多孔質金属の製造方法である。
上記構成において、前記網状構造体は、和紙である構成とすることができる。
本発明によれば、表面積の大きい多孔質金属の大量生産を可能とすること、または多孔質金属の表面積を大きくすることができる。
図1(a)から図1(d)は、実施形態1に係る多孔質金属の製造方法を示す図である。 図2(a)は、実施形態1に係る多孔質金属の製造方法を示すフローチャートであり、図2(b)は、実施形態2に係る蓄電装置を示す断面図である。 図3(a)から図3(c)は、実施例1に係る多孔質金属10aのSEM画像である。 図4は、実施例1に係る多孔質金属10aのTEM明視野画像である。 図5(a)は、実施例1に多孔質金属10aの走査型TEM暗視野画像、図5(b)は、STEM EELS法を用いた各元素の画像である。 図6(a)から図6(c)は、実施例1に係る多孔質金属10aのXPS分析結果を示す図である。 図7(a)は、実施例1における電圧に対する電極の単位重量あたりの電流を示す図であり、図7(b)は、充放電特性を示す図である。 図8(a)は、実施例1における放電電流に対する容量および単位面積あたりの容量を示す図であり、図8(b)は、サイクル特性を示す図である。 図9(a)は、実施例1における電圧に対する電流密度を示す図、図9(b)は、ターフェルプロットであり電流密度に対する電圧を示す図である。 図10(a)から図10(c)は、実施例2に係る多孔質金属10bのSEM画像である。 図11(a)から図11(c)は、実施例3に係る多孔質金属10cのSEM画像である。 図12(a)は、実施例4に係る脱合金化前の網状合金15のSEM画像、図12(b)から図12(d)は、EDX法を用いた各元素の画像である。 図13(a)は、実施例4に係る脱合金化前の網状合金15の拡大したSEM画像、図13(b)から図13(d)は、EDX法を用いた各元素の画像である。 図14は、実施例4に係る脱合金化後の多孔質金属10dのSEM画像である。
本発明の実施形態について説明する。
脱合金化を行ない多孔質金属の表面積を大きくする方法として、複数回の脱合金化を行なうことが考えられる。例えば、前駆体となる合金を脱合金化することでリガメントと細孔を形成する。その後、熱処理する。再度脱合金化することで、リガメント内にさらに細孔を形成する。この方法により、階層構造の細孔を形成できる。これにより、多孔質金属の表面積を大きくできる。しかしながら、1回目の脱合金化は、細孔の形成されていない状態で行なうため、脱合金化に時間を要する。また、脱合金化を2回行なうこととなる。これらにより、大量生産に適さない。以下に、表面積が大きくかつ大量生産に適した多孔質金属の実施形態について説明する。
(実施形態1)
図1(a)から図1(d)は、実施形態1に係る多孔質金属の製造方法を示す図である。図2(a)は、実施形態1に係る多孔質金属の製造方法を示すフローチャートである。図1(a)および図2(a)に示すように、複数の繊維12を有する網状構造体11を準備する(ステップS10)。繊維12の間は空間14が形成されている。繊維12は、例えば炭素を含む繊維であり、例えば有機物繊維である。有機物繊維は例えばセルロース等の炭水化物を主成分とする。網状構造体11は、例えば紙であり、例えば和紙である。繊維12の直径は例えば100nmから50μmであり、例えば1μmから10μmである。空間14の大きさは例えば100nmから100μmであり、例えば1μmから50μmである。
図1(b)および図2(a)に示すように、網状構造体11に金属粉体または合金粉体16を付着させる(ステップS12)。金属粉体または合金粉体16は、2以上の純金属または2以上の金属を含む合金である。2以上の純金属は、例えば金(Au)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、ルテニウム(Ru)、鉄(Fe)、白金(Pt)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、マンガン(Mn)および亜鉛(Zn)の少なくとも2つである。2以上の金属を含む合金は、例えば金、銀、パラジウム、ルテニウム、鉄、白金、アルミニウム、ニッケル、銅、マンガンおよび亜鉛の少なくとも2つからなる合金である。例えば、多孔質金を製造する場合、繊維12に金と銀を付着させる。例えば多孔質ニッケルを製造する場合、繊維12にニッケルおよびマンガンからなる合金、またはニッケル、銅およびマンガンからなる合金を付着させる。金属粉体または合金粉体16の粒径は100nmから10μmであり、例えば1μmから5μmである。金属粉体または合金粉体16は、例えば水アトマイズ法を用い形成し、さらにフィルタにより粒径を揃えてもよい。金属粉体を水に分散したスラリーを繊維12に染み込ませることにより、金属粉体または合金粉体16を繊維12に付着させる。
図1(c)および図2(a)に示すように、金属粉体または合金粉体16が付着した網状構造体11から網状合金15を形成する(ステップS14)。網状合金15は、リガメント18および細孔20を有する。例えば、金属粉体または合金粉体16が付着した網状構造体11を熱処理する。これにより、金属粉体または合金粉体16が2以上の純金属の場合、2以上の純金属から網状合金15が形成される。金属粉体または合金粉体16が合金の場合、金属粉体または合金粉体16の粒子が焼結し網状合金15が形成される。さらに、繊維12が炭素を含む場合、繊維12が熱処理により消失する。熱処理の温度は、例えば500℃から1200℃である。
図2(a)に示すように、網状合金15を脱合金化する(ステップS16)。脱合金化は、網状合金15内の2以上の金属のうち一部の金属を選択的に除去することにより行なう。例えば2以上の金属のうち一部の金属を選択的に除去(例えば腐食)する溶液を用いる。すなわち、複数の金属のうち一部の金属は除去されるが、残りの金属はほとんど除去されない溶液を用い脱合金化を行なう。溶液は、網状合金15を構成する金属により適宜選択することができる。網状合金15が金と銀との合金の場合、溶液として例えば硝酸水溶液を用いる。網状合金15がニッケルとマンガンの合金の場合、溶液として例えば硫酸アンモニウム水溶液を用いる。
図1(d)は、脱合金化後の多孔質金属10のリガメント18の拡大断面図である。図1(d)に示すように、脱合金化によりリガメント18内にリガメント22と細孔20より小さい細孔24が形成される。このように階層構造の細孔20および24を形成できる。これにより、多孔質金属10は、リガメント18および22と細孔20および24とを含み、リガメント18および22には、細孔20より小さい細孔24が形成される。リガメント18および細孔20の大きさは、例えば100nmから50μmである。リガメント22および細孔24の大きさは、例えば1nmから100nmである。
実施形態1によれば、図1(b)およびステップS12ように、複数の繊維12を有する網状構造体11に金属粉体または合金粉体16等の金属を付着させる。図1(c)およびステップS14のように、金属粉体または合金粉体16から細孔20(第1細孔)を有する網状合金15を形成する。図1(d)およびステップS16のように、リガメント18のうち一部の金属を選択的に除去することにより、細孔20と細孔24(第2細孔)とを含む多孔質金属10を形成する。ステップS12およびS14のように、網状構造体11を用いることにより、脱合金化することなく細孔20を有する網状合金15を簡単に形成できる。そして、ステップS16において、脱合金化の溶液は細孔20を介しリガメント18に容易に達することができる。よって、脱合金化の時間を短縮でき、大量生産が容易となる。さらに、小さい細孔24を形成できるため、多孔質金属10の表面積を大きくできる。
例えば、多孔質金属10(すなわちリガメント18および22)の表面積を65m/g以上とすることができる。ニッケルは安価であり、蓄電装置の電極材料として検討されている。リガメント18および22がニッケルを含む多孔質金属では、非特許文献1および2のように、単位重量あたりの表面積は61m/gがこれまで最も大きい値であった。実施形態1では、表面積を65m/g以上とでき、さらに80m/g以上、または100m/g以上とすることができる。
また、繊維12を炭素は含み、ステップS14において合金を形成するときに、網状構造体11を熱処理することにより、繊維を消失させる。炭素を含む繊維は安価に準備でき、かつ熱処理において繊維を消失させることができる。網状構造体11としては、例えば和紙等の紙を用いることができる。
ステップS14の熱処理とステップS16の脱合金化を複数回行なうこともできる。この場合でも、1回目の脱合金化を細孔20がある状態で行なうことができる。このため、1回目の脱合金化の時間を短縮でき、大量生産に適する。
(実施形態2)
図2(b)は、実施形態2に係る蓄電装置を示す断面図である。図2(b)に示すように、蓄電装置30は、正極32、負極36および電解質34を備えている。蓄電装置30は、例えば、リチウム空気電池、二次電池、または電気二重層キャパシタである。正極32および負極36の少なくとも一方の電極に実施形態1の多孔質金属10を用いることができる。多孔質金属10は、例えば導電性材料に保持されていてもよいし、多孔質金属10を単独で用いてもよい。
実施形態2によれば、実施形態1の多孔質金属10を含む電極を具備することにより、蓄電装置の性能を向上させることができる。
実施例1は、階層構造の細孔を有する多孔質ニッケルの例である。図1(a)およびステップS10において、網状構造体11として和紙(traditional Japanese “Washi“ paper)として阿波和紙(Awgami factory(登録商標))を用いた。和紙の膜厚は50から400μmであり、密度は8g/mから60g/mである。図1(b)およびステップS12において、金属粉体または合金粉体16として、福田金属箔粉工業社製のNi30Mn70合金粉体を用いた。水溶性バインダとして日本製紙社製のCMC(carboxymethyl cellulose)であるサンローズ(登録商標)MACシリーズを用いた。水溶性バインダは、CMC:水を1:9重量比で混合した。さらに、金属粉体とバインダを1:9体積比で混合しスラリーを作製した。スラリーを和紙に浸潤させた。スラリーと和紙は9:1体積比である。
図1(c)およびステップS14において、1173Kの温度で2時間熱処理することにより、金属粉体を焼結し網状合金15を形成した。図1(d)およびステップS16において、1M(モル/リットル)硫酸アンモニウム((NHSO)水溶液を用い323Kで13時間の脱合金化処理を行なった。これにより、実施例1に係る多孔質金属10aを作製した。
図3(a)から図3(c)は、実施例1に係る多孔質金属10aのSEM(Scanning Electron Microscope)画像である。図3(b)は、図3(a)の領域Aの拡大画像であり、図3(c)は、図3(b)の領域Bの拡大画像である。図3(a)に示すように、多孔質金属10aは、リガメント18(明るい領域)および細孔20(暗い領域)を有している。リガメント18および細孔20のサイズは10μmから50μm程度である。図3(b)および図3(c)に示すように、リガメント18にはリガメント22(明るい領域)および細孔24(暗い領域)が形成されている。リガメント22および細孔24のサイズは10nmから50nmである。BET(Brunauer-Emmett-Teller)法を用いて測定した多孔質金属10aの表面積は101m/gである。EDX(Energy Dispersive X-ray spectrometry)法を用い測定した多孔質金属10aにおけるマンガンの含有量は約20モル%である。
このように、実施例1の多孔質金属10aのリガメントの表面積は約100m/gであり、これは、多孔質ニッケルでこれまで報告(例えば非特許文献1、2)されている61m/gを大きく越えている。
図4は、実施例1に係る多孔質金属10aのTEM(Transmission Electron Microscope)明視野画像である。図4に示すように、リガメント22(暗い領域)と細孔24(明るい領域)の微細構造が観察できる。
図5(a)は、実施例1に多孔質金属10aの走査型TEM暗視野画像、図5(b)は、STEM EELS(Electron Energy-loss Spectroscopy)法を用いた各元素の画像である。図5(a)において、リガメント22は明るく、細孔24は暗い。図5(b)の各図は、図5(a)の領域AにおけるNi、Mn、OおよびNi+Mn+Oの画像を示す。白い領域には各元素が多く含まれている。図5(b)に示すように、リガメント22にNi、MnおよびOが多く含まれている。
図6(a)から図6(c)は、実施例1に係る多孔質金属10aのXPS(X-ray Photoelectron Spectroscopy)分析結果を示す図である。実線は測定された信号を示す。点線、破線および一点鎖線は算出された各結合の信号を示す。細点線は各信号の和である。図6(a)に示すように、Ni原子同士の結合であるNi2p3/2のピークおよび水酸基(OH)が結合したNiのピークであるNi(OH)およびNi(OH)のサテライトのピークが観察される。図6(b)のように、Mn2+結合のピークおよびMn4+結合のピークが観察される。図6(c)に示すように、O2−結合のピークおよびOH結合のピークが観察される。HO結合のピークは大きくない。
図5(a)、図5(b)および図6(a)から図6(c)により、多孔質金属10aのリガメント22は、主に、酸素と結合していないNi、Ni(OH)およびMnOxで構成されると考えられる。
膜厚が約130μmの実施例1に係る多孔質金属10aを用い、サイクリックボルタンメトリー測定を行なった。実施例1を作用極、白金(Pt)を対極、AgCl/Agを参照電極とし、1MのKOHを電解質とした。
図7(a)は、実施例1における電圧に対する電極の単位重量あたりの電流を示す図であり、1mV/sから50mV/sの電圧印加レートで測定したサイクリックボルタンメトリー曲線を示す図である。電圧印加レートが1mV/sにおいて0.25Vおよび0.4Vのピークは、それぞれNi2+およびNi3+とOHイオンとの化学反応を示す。図7(b)は、充放電特性を示す図であり、電流を0.04A/gから0.8A/gとしている。図7(b)において、0.25Vから0.3Vにおいて電圧が平坦となっている。
図8(a)は、実施例1における放電電流に対する容量(Specific Capacitance)および単位面積あたりの容量(Areal Capacitance)を示す図であり、図8(b)は、サイクル特性を示す図である。図8(a)に示すように、放電電流が0.04から1A/g(これは単位面積当たりの電流で1.04から26mA/cmに相当する)で、Specific Capacitanceは140から180F/gである。また、単位面積あたりの容量は3.7から4.4F/cmである。この値は非特許文献1,2に比べ3−4倍高い。多孔質金属10aの単位面積あたりの容量が4.4F/cmは、単位体積当たりの容量として887g/cmに相当する。
図8(b)に示すように、1A/g(26mA/cm2)の電流でサイクル特性を測定した。容量保持率は、1サイクル目の容量を100%としている。約500サイクルで容量は最大となり、その後減少する。2000回充放電を繰り返しても容量は1サイクル目の約85%である。このように、充放電を繰り返しても容量の劣化は小さい。
以上のように、実施例1の多孔質金属10aをキャパシタの電極として用いたときのキャパシタ特性では、電極の表面積に対する容量は、多孔質ニッケルでこれまで報告(例えば非特許文献1、2)されていた値の3倍から4倍となる。また、サイクル特性も良好である。
次に、酸素発生反応(OER)特性を測定した。実施例1に係る多孔質金属10aを作用極、白金(Pt)を対極、可逆水素電極(RHE)を参照電極とし、1MのKOHを電解質とした。
図9(a)は、実施例1における電圧に対する電流密度を示す図、図9(b)は、ターフェルプロットであり電流密度に対する電圧を示す図であり、過電圧は水素と酸素の酸化還元反応が平衡となる1.23Vからの電圧を示す。図9(a)に示すように、酸素発生反応が開始される過電圧(オンセット電圧)は307mVである。図9(b)に示すように、1サイクル目のターフェルプロットのスロープ(点線)は54mV/decadeであり、1000サイクル目のスロープ(点線)は57mV/decadeである。
以上のように、実施例1の多孔質金属10aを酸素発生反応の電極として用いたとき、酸素発生反応のオンセット電圧が307mV、ターフェルスロープが54から57mV/decadeである。これは、これまで報告されている他の材料を用いた酸素発生反応特性と遜色がない。また、サイクル特性も良好である。
実施例1によれば、図3(a)から図3(c)のように、金属リガメント18および22と細孔20と24と、を含み、金属リガメントの表面積は65m/g以上となる多孔質金属を提供できる。この多孔質金属を、キャパシタおよび電池等の蓄電装置の電極材料として用いることにより、蓄電装置の特性を向上できる。
金属リガメント18および22にニッケルを含む多孔質金属において、65m/g以上のリガメントの表面積を実現することは、実施例1の製造方法を用いることにより、初めて可能となった。リガメントの表面積は70m/g以上が好ましく、80m/g以上がさらに好ましい。金属リガメント18および22は、ニッケルとマンガンからなり、マンガンの濃度は30モル%以下であり、好ましくは20モル%以下である。
実施例1に係る多孔質金属10aをキャパシタの電極として用いた場合、電極面積あたりの容量はこれまの報告より数倍大きくなる。また、多孔質金属10aを酸素発生反応の電極として用いた場合、酸素発生反応特性はこれまでの報告と同程度である。実施例1では、脱合金化の回数が1回であり、大量生産が可能である。このように、良好な電極を大量生産可能な方法で実現できる。
また、実施例1においては、図6(a)および図6(c)のように、金属リガメント18および22の表面はニッケル元素に結合した水酸基を有する。これにより、良好な電気的な特性を得ることができると考えられる。
さらに、図6(b)および図6(c)のように、金属リガメント18および22の表面は酸化マンガンを有する。酸化マンガンがニッケル金属と接着することにより、良好な電気的な特性を得ることができると考えられる。
実施例2は、2階層構造の細孔を有する多孔質金の例である。図1(a)およびステップS10における網状構造体11は実施例1と同じである。図1(b)およびステップS12において、金属粉体または合金粉体16として、田中貴金属工業社製の水アトマイズ法を用い作製した純金および純銀の金属粉体を用いた。純金および純銀の粒径は5μmより小さい。金属粉体の金と銀は35:65モル比とした。スラリーの作製方法は実施例1と同じである。図1(c)およびステップS14において、1123Kの温度で2時間熱処理することにより、金と銀とから網状合金15を形成した。図1(d)およびステップS16において、69重量パーセントの硝酸(HNO)水溶液を用い室温で12時間の脱合金化処理を行なった。これにより、実施例2に係る多孔質金属10bを作製した。
図10(a)から図10(c)は、実施例2に係る多孔質金属10bのSEM画像である。図10(b)は図10(a)の領域Aの拡大画像であり、図10(c)は図10(b)の領域Bの拡大画像である。図10(a)および図10(b)に示すように、多孔質金属10bは、リガメント18および細孔20を有している。リガメント18および細孔20のサイズは数μmから50μm程度である。図10(b)および図10(c)に示すように、リガメント18にはリガメント22および細孔24が形成されている。リガメント22および細孔24のサイズは10nmから100nmである。多孔質金属10bの表面積は7.6m/gである。多孔質金属10bにおける銀の含有量は7モル%である。多孔質金属10bの表面積はまだ大きくないが、各条件の最適化により、さらに表面積を大きくできる。
実施例3は、3階層構造の細孔を有する多孔質金の例である。図1(a)およびステップS10における網状構造体11は実施例1と同じである。図1(b)およびステップS12において、金属粉体の金と銀の比を5:95モル比とした。その他のスラリーの作製方法は実施例1と同じである。図1(c)およびステップS14において、1125Kの温度で2時間熱処理することにより、金と銀とから網状合金15を形成した。図1(d)およびステップS16において、69重量パーセントの硝酸(HNO)水溶液を用い室温で1時間の脱合金化処理を行なった。さらに、773Kで1時間の熱処理を行なった。69重量パーセントの硝酸水溶液を用い室温で2時間の2回目の脱合金化処理を行なった。これにより、実施例3に係る多孔質金属10cを作製した。
図11(a)から図11(c)は、実施例3に係る多孔質金属10cのSEM画像である。図11(b)は図11(a)の領域Aの拡大画像であり、図11(c)は図11(b)の領域Bの拡大画像である。図11(a)に示すように、多孔質金属10cは、リガメント18および細孔20を有している。リガメント18および細孔20のサイズは数μmから20μm程度である。図11(b)および図11(c)に示すように、リガメント18にはリガメント22および細孔24が形成されている。リガメント22および細孔24のサイズは数100nmから1μmである。図11(c)に示すように、リガメント22に細孔26が形成されている。細孔26のサイズは、10nm程度である。多孔質金属10cの表面積は17m/gである。多孔質金属10cにおける銀の含有量は約2モル%である。このように、脱合金化を2回行なうことによりリガメントの表面積をさらに大きくできる。
実施例2および3のように、階層構造の細孔を有する多孔質金を作製することもできる。
実施例4は、CuNiMn合金を用いて作製した多孔質金属の例である。図1(a)およびステップS10における網状構造体11は実施例1と同じである。図1(b)およびステップS12において、金属粉体または合金粉体16として、Cu15Ni15Mn70合金粉体を用いた。図1(c)およびステップS14において、1123Kの温度で2時間熱処理することにより、金属粉体を焼結し網状合金15を形成した。図1(d)およびステップS16において、1M(モル/リットル)硫酸アンモニウム((NHSO)水溶液を用い323Kで13時間の脱合金化処理を行なった。これにより、実施例4に係る多孔質金属10dを作製した。
図12(a)は、実施例4に係る脱合金化前の網状合金15のSEM画像、図12(b)から図12(d)は、EDX法を用いた各元素の画像である。図13(a)は、実施例4に係る脱合金化前の網状合金15の拡大したSEM画像、図13(b)から図13(d)は、EDX法を用いた各元素の画像である。図12(a)および図13(a)に示すように、網状合金15はリガメント18と細孔20を有する。リガメント18および細孔20のサイズは数10μmである。図12(b)から図12(d)および図13(b)から図13(d)に示すように、リガメント18は、マンガン、ニッケルおよび銅を含む。
図14は、実施例4に係る脱合金化後の多孔質金属10dのSEM画像である。図14に示すように、多孔質金属10dにおいて、リガメント18(白い領域)に細孔(灰色の領域)が観察できる。細孔のサイズは100nm以下である。EDS法を用いた分析では、脱合金化によりリガメント内のMnが溶出し、Cu濃度が増加することが確認できた。
実施例4のように、階層構造の細孔を有し、ニッケルと銅を含む多孔質金属を作製することもできる。
実施例1から4として、多孔質ニッケル、多孔質金、ニッケルと銅を含む多孔質金属を作製したが、他の金属からなる多孔質金属を作製することもできる。階層構造の細孔を有する多孔質金属を大量生産が容易な製造方法で製造できる。また、この多孔質金属を蓄電装置の電極として用いることにより、蓄電装置の性能を高めることができる。
以上、発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
10、10a−10d 多孔質金属
11 網状構造体
12 繊維
14 空間
15 網状合金
16 金属粉体または合金粉体
18、22 リガメント
20、24、26 細孔
30 蓄電装置
32 正極
34 電解質
36 負極

Claims (5)

  1. ニッケルとマンガンとからなる金属リガメントと第1細孔とを含み、
    前記金属リガメントには、前記第1細孔より小さい第2細孔が形成されており、
    前記金属リガメントの表面積は65m/g以上であり、
    前記金属リガメントのマンガン濃度は30モル%以下であり、
    前記金属リガメントの表面はニッケル原子に結合した水酸基および酸化マンガンを有することを特徴とする多孔質金属。
  2. 前記請求項1記載の多孔質金属を含む電極を具備することを特徴とする蓄電装置。
  3. 炭素を含む複数の繊維を有する網状構造体にNiMn合金からなる粉体を付着させる工程と、
    前記粉体が付着した網状構造体を熱処理することにより、前記網状構造体を焼失させ、前記粉体を焼結し、前記粉体から第1細孔を有する合金を形成する工程と、
    前記合金のうちMnを選択的に腐食する溶液を用いMnを除去することにより、前記第1細孔と前記第1細孔より小さい第2細孔とを含み、ニッケルおよびマンガンからなり、マンガン濃度は30モル%以下であり、表面にニッケル原子に結合した水酸基と酸化マンガンを有する多孔質金属を形成する工程と、
    を含むことを特徴とする多孔質金属の製造方法。
  4. 前記多孔質金属の表面積は65m /g以上であることを特徴とする請求項3記載の多孔質金属の製造方法
  5. 前記網状構造体は、和紙であることを特徴とする請求項3または4記載の多孔質金属の製造方法。
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