JP6508911B2 - カラーフィルターの製造方法及びカラーフィルター - Google Patents

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Description

本発明は、カラーフィルターの製造方法及びカラーフィルターに関する。特に、耐熱温度が150℃以下の基材におけるカラーフィルターの製造方法及びそのような製造方法で製造されたカラーフィルターに関する。
現在、液晶表示デバイスや白色有機ELデバイス、あるいは固体撮像素子等のカラー化のため、カラーフィルターが広く用いられている。基材上にカラーフィルターを形成する方法としては感光性樹脂組成物を用いたフォトリソグラフィーが主流であり、これまではガラスやシリコンウエハー等の比較的耐熱温度の高い基材を用いて、感光性樹脂組成物を200℃以上の高温で処理(ポストベークともいう)して最終硬化させることが行われてきた。
最近、デバイスのフレキシブル化やワンチップ化を目的として、プラスチック基板上や白色有機ELデバイス上に直接カラーフィルターを形成することが求められている。ところが、これらの基材は耐熱性が悪く、高々150℃程度の耐熱温度しか有さない場合がある。このような耐熱温度の低い基材に対してカラーフィルターを製造する場合に第1の色のカラーフィルター部を150℃以下(基材の耐熱温度以下)で形成すると、第1の色のカラーフィルター部は硬化膜の強度が不十分となって、第2の色を塗布した際に色の滲み出しが生じるという問題があった。
基材の耐熱温度の制約を回避するために、特殊な製造方法の提案がある。例えば特許文献1にはUV硬化インキをフレキソ印刷してカラーフィルターを製造する方法が、特許文献2にはパターンに電子ビームを照射してカラーフィルターを製造する方法が開示されている。
一方、特許文献3及び4には、ポスト露光を行うカラーフィルターの製造方法が開示されている。
特開2003−107226号公報 特開2010−107928号公報 特開平11−174221号公報 特開2008−65150号公報
しかし、特許文献1及び2に記載のような特殊な方法においては、従来法と比較してカラーフィルターの品質や歩留まりが課題となりやすい。生産性を考慮すれば特殊な製造方法によることなくカラーフィルターを形成できることが最も有利であり、そのような目的に対して適して使用できる感光性樹脂組成物が強く望まれていた。
なお、特許文献3及び4は、耐熱温度の低い基材へのカラーフィルターの形成には何ら言及していない。
本発明はかかる従来技術の課題に鑑みてなされたものであり、耐熱温度の低い基材上、例えばプラスチック基板上や白色有機ELデバイス上に直接カラーフィルターを形成可能とするカラーフィルターの製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために検討した結果、本発明者等は特定の構造を有する化合物を用いた感光性樹脂組成物が本目的に適していることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、感光性樹脂組成物を硬化させた第1の色のカラーフィルター部が形成されている基材に、第1の色とは異なる第2の色のカラーフィルター用の感光性樹脂組成物を塗布し硬化させる工程を含む、カラーフィルターを製造する方法であって、前記感光性樹脂組成物は、(A)ビスフェノールフルオレン型エポキシ化合物とエチレン性不飽和結合基含有カルボン酸とを反応させたヒドロキシ基含有化合物に対して環状酸無水物を反応させて得られた化合物、(B)少なくとも1個のエチレン性不飽和結合を有する重合性モノマー、及び(C)光重合開始剤を含有し、前記基材の耐熱温度は150℃以下であり、前記基材の耐熱温度を超えない環境温度下で行われることを特徴とするカラーフィルターの製造方法である。
ここで、上記製造方法は、(ア)感光性樹脂組成物を基材に塗布する工程、(イ)感光性樹脂組成物を乾燥させる工程、(ウ)感光性樹脂組成物を画像露光する工程、(エ)感光性樹脂組成物を現像する工程、及び(オ)感光性樹脂組成物をポスト露光する工程を順に含むことが好ましく、また、赤色、緑色及び青色の感光性樹脂組成物をそれぞれ使用してカラーフィルターを形成することが好ましい。更に、本発明は、上記のいずれかの方法で製造されたカラーフィルターである。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の製造方法は、感光性樹脂組成物を硬化させた第1の色のカラーフィルター部が形成されている基材に、第1の色とは異なる第2の色のカラーフィルター用の感光性樹脂組成物を塗布する工程を含む。色相の異なる複数の感光性樹脂組成物を使用してカラーフィルターを形成することは広く行われており、典型的には赤色、緑色、青色の3種類の感光性樹脂組成物を用いて画素が形成される。また、必要に応じて黄色、橙色、紫色、シアン色、マゼンタ色等も使用されるほか、画面の明るさの改善のために透明色の画素を付加することも行われている。更に、黒色ないし遮光性の感光性樹脂組成物を用いて、画面の周辺部や画素間の遮光のための構造物(ブラックマトリクスともいう)を形成することも一般的である。本発明で使用する感光性樹脂組成物の色相は特に制限されるものではなく、上述した色相以外であってもよい。
本発明の製造方法は、耐熱温度が150℃以下の基材を使用して、前記基材の耐熱温度を超えない環境温度下で行われることを特徴とする。基材の耐熱温度とは、当該基材を用いてデバイスを作製するにあたりデバイスの機能に影響を及ぼすような寸法変化や特性変化が生じない温度の上限をいい、プラスチック基板の例としてはPETフィルムで100℃程度、PENフィルムで150℃程度が一般的である。白色有機ELデバイスを基材とする場合は、有機EL素子が熱に弱いことから、PETフィルムと同様に100℃程度が耐熱温度である場合が多い。また、カラーフィルターの製造が基材の耐熱温度を超えない環境温度下で行われるとは、単に設備上の設定の温度のみをいうものではなく、その工程のすべての過程において基材及び基材上の感光性樹脂組成物が基材の耐熱温度を超える温度に達しないことを意味する。
本発明の製造方法で使用する感光性樹脂組成物は、(A)ビスフェノールフルオレン型エポキシ化合物とエチレン性不飽和結合基含有カルボン酸を反応させたヒドロキシ基含有化合物に対して環状酸無水物を反応させて得られた化合物、(B)少なくとも1個のエチレン性不飽和結合を有する重合性モノマー、及び(C)光重合開始剤を含有する。A成分は、ビスフェノールフルオレン型エポキシ化合物とエチレン性不飽和結合基含有カルボン酸とを反応させたヒドロキシ基含有化合物に対して環状酸無水物を反応させて得られた化合物である。かかる化合物は感光性樹脂として公知であり、その例としては特開平5−339356号公報に記載の化合物等が挙げられる。A成分の物性の好ましい範囲としては、重量平均分子量が1千〜2万、より好ましくは2千〜1万、酸価が50〜150mgKOH/g、より好ましくは70〜120mgKOH/gを例示できる。A成分は、1種類の化合物のみを用いてもよく、複数を組み合わせて用いてもよい。
本発明において、A成分の重量平均分子量は、サンプリングした溶液をテトラヒドロフランに溶解させて東ソー社製HLC−8220GPCで分子量分布測定を行い、標準ポリスチレン換算の重量平均分子量を算出した値を用いる。またA成分の酸価は、サンプリングした溶液をテトラヒドロフランと水の混合液に溶解させて0.1規定の水酸化カリウム水溶液で中和滴定し、当量点からサンプル溶液の固形分換算の酸価を算出した値を用いる。
A成分の合成原料となるビスフェノールフルオレン型エポキシ化合物とは下記一般式(1)で表される化合物を指し、特にnの値が0〜20の範囲にあるものをいう。実用上はnの平均値が0〜2のものが好ましく、更には0.1〜1.0のものがより好ましい。
Figure 0006508911
(ただし、Rはそれぞれ独立に炭素数1〜20の飽和又は不飽和の炭化水素基を表し、mはRの数を表し、mはそれぞれ独立に0〜4の数を表す。上記炭化水素基は、好ましくは炭素数1〜6のアルキル基又はフェニル基である。)
ビスフェノールフルオレン型エポキシ化合物の合成方法は特に制限されないが、特開平9−328534号公報に記載の方法、すなわち9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンとエピクロロヒドリンをアルカリ存在下縮合させて得る方法が最も一般的で好ましい。9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンは、一般式(1)に示したようにm個のRで置換されていてもよい。nの値はエポキシ化合物の重合度であり、合成時に原料化合物のモル比や反応条件を常法により調整することで所望の値とすることができる。
ビスフェノールフルオレン型エポキシ化合物にエチレン性不飽和結合基含有カルボン酸を反応させると、A成分の合成中間体であるヒドロキシ基含有化合物が得られる。エチレン性不飽和結合基含有カルボン酸の具体的な例としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸ダイマー、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと無水コハク酸のハーフエステル、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと無水フタル酸のハーフエステル、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物のハーフエステル、4−ビニル安息香酸等が挙げられるが、(メタ)アクリル酸が最も好ましい。ここで(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸又はメタクリル酸をいい、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートをいう(以下も同様)。
ビスフェノールフルオレン型エポキシ化合物にエチレン性不飽和結合基含有カルボン酸を反応させる方法は特に制限されないが、特開平3−205417号公報に記載の方法、すなわち触媒の存在下に加熱して反応させる方法が最も一般的で好ましい。触媒としては3級アミン、4級アンモニウム塩、3級ホスフィン、4級ホスホニウム塩等を用いることができる。理想的にはビスフェノールフルオレン型エポキシ化合物のエポキシ基とエチレン性不飽和結合基含有カルボン酸のカルボキシ基とを1対1で反応させ、官能基をエステル結合及びヒドロキシ基に完全に変換することが望ましいが、反応に要する時間の制約や副反応の進行の懸念等から必要十分な反応率に達した時点で反応を終了してもよい。反応率はエポキシ当量や酸価を測定することで計算することができ、一般には反応率98モル%以上に達すれば十分である。
こうして得られたヒドロキシ基含有化合物に対して、環状酸無水物を反応させることによりA成分の化合物が得られる。ここで環状酸無水物とは多価カルボン酸の分子内酸無水物をいい、例えば無水コハク酸、無水マレイン酸、シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物、シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、シクロヘキセン−4,5−ジカルボン酸無水物、ノルボルナン−2,3−ジカルボン酸無水物、無水フタル酸、ベンゼン−1,2,4−トリカルボン酸−1,2−無水物、シクロヘキサン−1,2,4−トリカルボン酸−1,2−無水物、ベンゼン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、ビフェニル−3,3′,4,4′−テトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノン−3,3′,4,4′−テトラカルボン酸二無水物、ジフェニルスルホン−3,3′,4,4′−テトラカルボン酸二無水物、4,4′−オキシジフタル酸二無水物、4,4′−[1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2,2−ジイル]ジフタル酸二無水物等を挙げることができる。また、グルタル酸無水物のような6員環の酸無水物も使用できる。
ヒドロキシ基含有化合物に環状酸無水物を反応させる方法は特に制限されないが、特開平5−339356号公報に記載の方法、すなわち触媒の存在下に加熱して反応させる方法が最も一般的で好ましい。触媒としては3級アミン、4級アンモニウム塩、3級ホスフィン、4級ホスホニウム塩等を用いることができる。環状酸無水物はヒドロキシ基をハーフエステル化してカルボキシ基に変換することで化合物に酸価を付与する効果を有するが、酸二無水物を選択すればそれが架橋点となって同時に分子量を高めることができるため有用である。中でも酸二無水物及び酸一無水物を併用して酸価と分子量を共に制御する方法が特に有利であり、酸二無水物1モルに対して酸一無水物を0.01〜10モルの範囲で組み合わせて用いることが好ましい。ヒドロキシ基に対する環状酸無水物の付加量は目的とする酸価に合わせて設定すればよいが、ヒドロキシ基1モルに対して0.5〜1.0モルであることが好ましい。反応の進行の確認は、赤外分光法で酸無水物基の特性吸収スペクトルを観察すればよい。
A成分は、ビスフェノールフルオレン骨格に由来する耐熱性や光学特性(高透明、高屈折率、低複屈折)、エチレン性不飽和結合基含有カルボン酸に由来する重合性、環状酸無水物に由来するアルカリ溶解性を併せ持つことから、カラーフィルター用感光性樹脂組成物に適して用いることができる化合物である。耐熱温度の低い基材上に直接カラーフィルターを形成する場合、ポストベークによる最終硬化が制限されるため従来の製造方法と比較して感光性樹脂組成物の硬化度が低下するが、A成分については剛直なビスフェノールフルオレン骨格が硬化系に取り込まれるという構造の特異性から低い硬化度においても高い硬化膜物性が得られる利点がある。そのため、A成分を使用した感光性樹脂組成物は、耐熱温度の低い基材上における直接的なカラーフィルターの形成に好適に用いることができる。一方、A成分を用いない場合は硬化膜に十分な物性を付与することが困難となり、例えばカラーフィルターの3色の画素を順次形成しようとても、2色目の感光性樹脂組成物の溶剤で1色目の感光性樹脂組成物が侵されるといった問題が生じてしまう。
B成分は少なくとも1個のエチレン性不飽和結合を有する重合性モノマーであり、従来感光性材料に用いられている公知の化合物を特に制限なく使用することができる。具体的には、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル誘導体や、ビスフェノールA型エポキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールF型エポキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールフルオレン型エポキシジ(メタ)アクリレート、フェノールノボラック型エポキシポリ(メタ)アクリレート、クレゾールノボラック型エポキシポリ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エポキシエステル誘導体等を例示できる。また、上記(メタ)アクリル酸誘導体と、構造中に(好ましくは複数の)イソシアネート基や酸無水物基等を有する化合物との反応生成物等も適している(ただしA成分に該当する化合物は除く)。なお、(メタ)アクリル酸誘導体以外にも、マレイン酸誘導体、マレイミド誘導体、クロトン酸誘導体、イタコン酸誘導体、ケイヒ酸誘導体、ビニル誘導体、ビニルアルコール誘導体、ビニルケトン誘導体、ビニル芳香族誘導体等も挙げることができる。これらのエチレン性不飽和結合を有する化合物は、更にエポキシ基等の熱反応性の官能基やカルボキシ基等のアルカリ溶解性の官能基等を有して、複合機能化されたものであってもよい。B成分は、1種類の化合物のみを用いてもよく、複数を組み合わせて用いてもよい。
C成分は光重合開始剤であり、従来感光性材料に用いられている公知の化合物を特に制限なく使用することができる。具体的には、アセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール等のアセトフェノン化合物、ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4,4′−ビス(N,N−ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン化合物、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾイン−tert−ブチルエーテル等のベンゾインエーテル化合物、2−メチル−1−[4−(メチルスルファニル)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−(N,N−ジメチルアミノ)−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン等のα−アミノアルキルフェノン化合物、チオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等のチオキサントン化合物、3,3′,4,4′−テトラキス(tert−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン等の有機過酸化物、2,2′−ビス(2−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニル−1,2−ビイミダゾール等のビイミダゾール化合物、ビス(η−シクロペンタジエニル)ビス[2,6−ジフルオロ−3−(1−ピロリル)フェニル]チタン等のチタノセン化合物、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[3,4−(メチレンジオキシ)フェニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン等のトリアジン化合物、(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド等のアシルホスフィンオキシド化合物、カンファーキノン等のキノン化合物、1−[4−(フェニルスルファニル)フェニル]オクタン−1,2−ジオン=2−O−ベンゾイルオキシム、1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)カルバゾール−3−イル]エタノン=O−アセチルオキシム、(9−エチル−6−ニトロカルバゾール−3−イル)[4−(2−メトキシ−1−メチルエトキシ)−2−メチルフェニル]メタノン=O−アセチルオキシム等のオキシムエステル化合物等を挙げることができるが、特にオキシムエステル化合物が好ましい。C成分は、1種類の化合物のみを用いてもよく、複数を組み合わせて用いてもよい。
なお、C成分のオキシムエステル化合物としては下記一般式(2)で表される化合物も好適であり、これは非常に高感度でかつ露光による変色(黄変)が小さいことから、本発明の使用に適している。
Figure 0006508911
(ただし、R〜R11はそれぞれ独立に水素原子又は1価の有機基を表す。上記1価の有機基は、好ましくは炭素数1〜20の飽和又は不飽和の炭化水素基であり、より好ましくは炭素数1〜10のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、イソプロピル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基等)、炭素数6〜10のアリール基(フェニル基、ナフチル基等)、炭素数6〜10のアリール基で置換された炭素数1〜4のアルキル基(フェニルメチル基、2−フェニルエチル基、ナフタレン−1−イルメチル基等)、及び炭素数1〜4のアルキル基で置換された炭素数6〜10のアリール基(2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、2−エチルフェニル基、4−メチルナフタレン−1−イル基等)である。上記のアルキル基は分岐構造や環構造を有していてもよい。)
本発明で用いる感光性樹脂組成物は、A〜C成分以外の成分として、(D)顔料、(E)分散剤、及び(Z)溶剤を含有することが好ましい。
D成分は顔料であり、カラーフィルター用の着色剤として知られている公知の化合物(有機顔料、無機顔料、カーボンブラック、チタンブラック等)を特に制限なく使用することができる。カラーフィルターの画素(赤色、緑色、青色等)を形成するための感光性樹脂組成物としてはD成分として有機顔料を含有することが好ましく、より具体的にはアゾ顔料、縮合アゾ顔料、アゾメチン顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリノン顔料、イソインドリン顔料、ジオキサジン顔料、スレン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、キノフタロン顔料、ジケトピロロピロール顔料、チオインジゴ顔料等が挙げられる。有機顔料のカラーインデックス名としては、ピグメント・レッド2、同3、同4、同5、同9、同12、同14、同22、同23、同31、同38、同112、同122、同144、同146、同147、同149、同166、同168、同170、同175、同176、同177、同178、同179、同184、同185、同187、同188、同202、同207、同208、同209、同210、同213、同214、同220、同221、同242、同247、同253、同254、同255、同256、同257、同262、同264、同266、同272、同279、ピグメント・オレンジ5、同13、同16、同34、同36、同38、同43、同61、同62、同64、同67、同68、同71、同72、同73、同74、同81、ピグメント・イエロー1、同3、同12、同13、同14、同16、同17、同55、同73、同74、同81、同83、同93、同95、同97、同109、同110、同111、同117、同120、同126、同127、同128、同129、同130、同136、同138、同139、同150、同151、同153、同154、同155、同173、同174、同175、同176、同180、同181、同183、同185、同191、同194、同199、同213、同214、ピグメント・グリーン7、同36、同58、ピグメント・ブルー15、同15:1、同15:2、同15:3、同15:4、同15:6、同16、同60、同80、ピグメント・バイオレット19、同23、同37等を例示することができる。D成分は1種類の化合物のみを用いてもよく、複数を組み合わせて用いてもよい。カラーフィルターの色特性の制御のために、複数の有機顔料を所定の比率で選定して用いることは一般的である。
上記の有機顔料は微粒化の加工が施され、BET法による比表面積が50m/g以上であるものが好ましい。有機顔料の微粒化の方法としては公知の方法が利用でき、例えばドライミリング法、ソルベントミリング法、ソルトミリング法、ソルベントソルトミリング法、アシッドペースティング法、アシッドスラリー法等を挙げることができる。微粒化においては粒径を小さくすると同時に、粒径を均一に揃えることが重要である。
E成分は分散剤であり、従来顔料等の分散に用いられている公知の化合物、例えば分散剤、分散安定剤、分散湿潤剤、分散促進剤等の名称で市販されている化合物等を本発明の効果が得られる限りにおいて特に制限なく使用することができる。顔料の分散安定化に有効な分散剤としては、カチオン性高分子分散剤、アニオン性高分子分散剤、ノニオン性高分子分散剤、顔料誘導体型分散剤(分散助剤)等を例示することができるが、特に顔料への吸着点としてイミダゾリル基、ピロリル基、ピリジル基、一級、二級又は三級のアミノ基等のカチオン性の官能基を有し、アミン価が1〜100mgKOH/g、数平均分子量が1千〜10万の範囲にあるカチオン性高分子分散剤は好適である。このようなカチオン性高分子分散剤の例は、特開平9−169821号公報に開示されている。E成分は1種類の化合物のみを用いてもよく、複数を組み合わせて用いてもよい。E成分の市販品の例としては、ビックケミー社製「BYK(登録商標)」シリーズ、BASF社製「エフカ(登録商標)」シリーズ、ルーブリゾール社製「ソルスパース(登録商標)」シリーズ、味の素ファインテクノ社製「アジスパー(味の素社の登録商標)」シリーズが挙げられる。なお、樹脂類のような高粘度物質は一般に分散を安定させる作用をも有するが、分散促進能を有しないものは分散剤とは扱わない。しかし、本発明は、分散を安定させる目的で樹脂類のような高粘度物質を使用することを制限するものではない。
Z成分は溶剤であり、例えばエステル系溶剤(ブチルアセテート、シクロヘキシルアセテート等)、ケトン系溶剤(メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、エーテル系溶剤(ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル等)、アルコール系溶剤(3−メトキシブタノール、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル等)、芳香族系溶剤(トルエン、キシレン等)、脂肪族系溶剤、アミン系溶剤、アミド系溶剤等の公知の溶剤を特に制限なく使用することができる。安全性の点からはプロピレングリコール骨格を有するエステル系やエーテル系の溶剤、例えばプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテート等が好ましく用いられる。また、類似の構造の3−メトキシブチルアセテート、3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート等も好ましい。Z成分は1種類の化合物のみを用いてもよく、複数を組み合わせて用いてもよいが、本発明においては硬化膜中に残存する溶剤量を低減させるため常圧における沸点が150℃未満の溶剤を主成分として選定することが有利であり、常圧における沸点が150℃以上の溶剤は全溶剤中20重量%以内で用いることが好ましい。なお本発明で用いる感光性樹脂組成物の固形分濃度については特に制限はないが、10〜30重量%の範囲に調整されることが一般的である。
本発明の感光性樹脂組成物における各成分の重量比は、A〜E成分の合計を100とした場合に、A:B:C:D:E=(1〜80):(1〜50):(0.1〜10):(0〜80):(0〜40)が好ましく、(5〜60):(5〜40):(0.5〜5):(10〜70):(2〜30)がより好ましく、(10〜40):(10〜30):(1〜3):(20〜60):(4〜20)が最も好ましい。カラーフィルターを薄膜化し色純度を向上させるためにはD成分の含有量を高めることが重要となるが、本発明の製造方法によればそのような高顔料濃度条件下でも耐熱温度の低い基材へのカラーフィルターの形成が可能となる。更に、A〜E成分の合計に対して30重量%以内で、その他の好ましい成分を添加してもよい。
上記のその他の好ましい成分としては、例えば、エポキシ樹脂、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエーテル樹脂、メラミン樹脂等の樹脂類や、架橋剤、界面活性剤、シランカップリング剤、粘度調整剤、湿潤剤、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、連鎖移動剤等の添加剤類等、カラーフィルター用感光性樹脂組成物に適用される公知の化合物を本発明の効果が得られる限りにおいて特に制限なく使用することができる。より具体的には、樹脂類としてエポキシ樹脂(ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビスフェノールフルオレン型エポキシ化合物、テトラメチルビフェニル型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、多価アルコールのグリシジルエーテル、多価カルボン酸のグリシジルエステル、(メタ)アクリル酸グリシジルをユニットとして含む重合体、3,4−エポキシシクロヘキサンカルボン酸(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルに代表される脂環式エポキシ化合物、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物(例えばダイセル社製「EHPE3150」)、エポキシ化ポリブタジエン(例えば日本曹達社製「NISSO−PB・JP−100」)、シリコーン骨格を有するエポキシ化合物等)、添加剤類として界面活性剤(フッ素系界面活性剤(例えばDIC社製「メガファック」シリーズ)、シリコーン系界面活性剤(例えば東レ・ダウコーニング社製「FZ」シリーズ)等)、及びシランカップリング剤(3−(グリシジルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、3−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等)を使用することが有利である。また、シリカ、タルク等のフィラー類、有機染料等の顔料以外の着色剤類も使用することができる。
なお、その他の好ましい成分として、熱重合開始剤を使用してもよい。熱重合開始剤としては公知のアゾ系や過酸化物系の化合物を利用できるが、感光性樹脂組成物との相溶性の高い1,1′−アゾビス(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)、2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオン酸)ジメチル、過酸化ベンゾイル等が好ましい。熱重合開始剤の10時間半減期温度は50〜80℃であることが有利であり、このような熱重合開始剤は基材の耐熱温度を超えない環境温度においても感光性樹脂組成物の硬化を促進させることができる。一方、10時間半減期温度が50℃を下回る熱重合開始剤は、反応性が高すぎて感光性樹脂組成物の保存安定性を低下させるおそれがある。
本発明の感光性樹脂組成物は、上述の構成によりネガ型のフォトリソグラフィー用材料として好ましく用いることができる。ネガ型のフォトリソグラフィーでは、画像露光によって選択的に光照射された部分(露光部ともいう)が硬化膜としてパターン形成される。その反対に光照射されなかった部分(未露光部ともいう)は、現像工程で取り除かれる。
本発明の製造方法において、各色のカラーフィルターを形成する工程は、(ア)感光性樹脂組成物を基材に塗布する工程、(イ)感光性樹脂組成物を乾燥させる工程、(ウ)感光性樹脂組成物を画像露光する工程、(エ)感光性樹脂組成物を現像する工程、及び(オ)感光性樹脂組成物をポスト露光する工程を順に含むことが好ましい。ここで順に含むとは、上記工程(ア)〜(オ)の順序が入れ替わることなく実施されることを意味するが、必ずしも工程(ア)〜(オ)は連続的に行われる必要はなく、その間に他の工程(例えば輸送工程等)を含むものであってもよい。
(ア)感光性樹脂組成物を基材に塗布する工程では、公知の塗布装置を用いて感光性樹脂組成物を基材に塗布する。塗布装置の例としては、スピンコーター、スリットコーター、バーコーター、カーテンコーター、スプレーコーター等が挙げられるが、スピンコーターやスリットコーターが好ましい。塗布の条件は感光性樹脂組成物の固形分濃度や粘度に影響されるが、使用する塗布装置において所望の膜厚が得られるように調整を行えばよい。
(イ)感光性樹脂組成物を乾燥させる工程では、公知の乾燥装置を用いて基材上の感光性樹脂組成物を乾燥させる。乾燥装置の例としては、減圧乾燥機、ホットプレート、オーブン等が挙げられるが、減圧乾燥機やホットプレートが好ましい。乾燥後は感光性樹脂組成物中の溶剤が除去されて平滑な塗布膜が形成されることが必要であり、感光性樹脂組成物の固形分濃度や形成する膜厚、使用した溶剤の沸点等を勘案して条件を調整する。乾燥の条件は、減圧乾燥の到達圧力としては1〜100Pa、加熱乾燥としては50〜100℃で1〜10分を例示できる。加熱乾燥の場合は温度の上限に注意し、基材の耐熱温度を超えないようにしなければならない。
(ウ)感光性樹脂組成物を画像露光する工程では、公知のフォトリソグラフィー用露光機及びフォトマスクを用いて、基材上の感光性樹脂組成物に選択的に光照射を行う。露光用の光源としては、キセノンランプ、ハロゲンランプ、タングステンランプ、超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、LEDランプ等を挙げることができ、特に分光分布に波長300nm台の紫外光を含む光源(超高圧水銀ランプ等)が好ましい。光照射の条件は、例えば365nm基準で、照度としては1〜100mW/cm、露光量としては10〜1000mJ/cmを例示できる。また、フォトマスクを用いず、レーザー等を光源として直接画像描写を行う方法(ダイレクトイメージング)も適用することができる。
(エ)感光性樹脂組成物を現像する工程では、公知の現像液を用いて未露光部の感光性樹脂組成物を除去する。現像液としては、未露光部を溶解し露光部を溶解しない現像液であれば特に制限はないが、種々の添加剤を含むアルカリ水溶液であることが好ましい。ここで、現像液のアルカリ成分としては、例えばアルカリ金属の炭酸塩、アルカリ金属の水酸化物、四級アンモニウムの水酸化物等を挙げることができる。アルカリ成分の濃度は現像液中0.001〜5重量%が好ましく、0.01〜0.5重量%がより好ましい。また添加剤としては、例えば界面活性剤、消泡剤、防カビ剤等を適用することができるが、特にノニオン系の界面活性剤を現像液中0.001〜5重量%使用することが好ましい。環境負荷の点からはアルカリ現像方式が有利であり、本発明で示した感光性樹脂組成物の構成はそれに対応するものであるが、有機溶剤による溶剤現像方式も適用することができる。なお現像方法についても公知の方法が利用でき、例えば浸漬現像、パドル現像、シャワー現像、スプレー現像、ブラシ現像、超音波現像等を挙げることができる。現像条件は感光性樹脂組成物の溶解速度やその膜厚に影響されるが、現像液の温度としては10〜30℃、処理時間としては10〜120秒を例示できる。現像後は、純水で十分に洗浄して現像液成分を洗い流した後、水切りや乾燥を行うことが好ましい。
(オ)感光性樹脂組成物をポスト露光する工程では、画像形成された硬化膜の強度を高めるため、現像後に再度露光を行う。ポスト露光は画像露光と同一の光源を用いてもよいが、より短い波長の光源を使用することが好ましく、例えば低圧水銀ランプによる光照射は効果的である。ポスト露光は画像形成を目的としないため散乱光による照射でもよく、可能であれば基材の両面から照射を行ってもよい。光照射の条件は、例えば254nm基準で、照度としては1〜100mW/cm、露光量としては100〜10000mJ/cmを例示できる。
なお、工程(オ)の前もしくは後、又は工程(オ)と同時に、基材の耐熱温度を超えない温度で熱硬化を行ってもよい。例えば、ホットプレートやオーブン等を用いて、100〜150℃で1〜60分の加熱焼成を実施することができる。
本発明の製造方法は、赤色、緑色及び青色の感光性樹脂組成物をそれぞれ使用してカラーフィルターを形成する場合に最も適しており、2色目の感光性樹脂組成物の溶剤で1色目の感光性樹脂組成物の硬化膜が侵されるといった問題を生じることなく工程を進めることができる。なお、具体的なカラーフィルターのデザインやそれを作製する方法としては、公知の方法を利用できる。
本発明の製造方法は、耐熱温度の低い基材上、例えばプラスチック基板上や白色有機ELデバイス上に直接カラーフィルターを形成できることから、極めて有用である。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。なお、部数及び百分率(%)は特に断りのない限り重量部及び重量百分率(重量%)を表す。
実施例及び比較例で使用した成分を以下に示す。
A−1〜3:合成例1〜3で合成した成分(50%溶液の固形分)
AX−1:合成例4で合成した成分(50%溶液の固形分)
B−1:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
B−2:ペンタエリスリトールテトラアクリレート
C−1:1−[4−(フェニルスルファニル)フェニル]オクタン−1,2−ジオン=2−O−ベンゾイルオキシム
C−2:1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)カルバゾール−3−イル]エタノン=O−アセチルオキシム
C−3:1−[7−(2−メチルベンゾイル)−9,9−ジプロピル−9H−フルオレン−2−イル]エタノン=O−アセチルオキシム (一般式(2)において、R・R・R・R・R・R=水素原子、R・R11=メチル基、R=2−メチルフェニル基、R・R10=プロピル基である化合物)
D−1:微粒化されたピグメント・レッド177(BET法による比表面積70m/g)
D−2:微粒化されたピグメント・レッド254(BET法による比表面積85m/g)
D−3:微粒化されたピグメント・グリーン36(BET法による比表面積65m/g)
D−4:微粒化されたピグメント・グリーン58(BET法による比表面積75m/g)
D−5:微粒化されたピグメント・イエロー138(BET法による比表面積70m/g)
D−6:微粒化されたピグメント・ブルー15:6(BET法による比表面積90m/g)
D−7:微粒化されたピグメント・バイオレット23(BET法による比表面積50m/g)
E−1:味の素ファインテクノ社製「アジスパーPB822」
S−1:メタクリル酸及びメタクリル酸ベンジルのランダム共重合体(酸価100mgKOH/g、重量平均分子量1万、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートの35%溶液として合成されたものの固形分)
S−2:ダイセル社製「EHPE3150」
S−3:東レ・ダウコーニング社製「FZ−2122」
Z−1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
Z−2:プロピレングリコールジアセテート
ここで、「A−」「B−」「C−」「D−」「E−」「Z−」はそれぞれ本発明のA、B、C、D、E、Z成分に該当することを示し、「S−」は必要に応じて用いられるその他の成分を示す。また「AX−」は本発明のA成分の構造を有しないことを示す。
[A−1成分の合成例1]
一般式(1)で表されるビスフェノールフルオレン型エポキシ化合物(エポキシ当量255)510g、アクリル酸(エチレン性不飽和結合基含有カルボン酸)2.0モル、トリフェニルホスフィン(触媒)0.10モル、BHT(重合禁止剤)0.05モルをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート255gに溶解させ、乾燥空気をバブリングさせながら100℃で反応させた。エポキシ基とカルボキシ基の反応率が99モル%に達したところでビフェニル−3,3′,4,4′−テトラカルボン酸二無水物(環状酸無水物)0.50モル及びシクロヘキセン−4,5−ジカルボン酸無水物(環状酸無水物)0.50モルを添加し、更に反応させた。赤外分光法で酸無水物基の消費を確認した後、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで希釈して室温に冷却し、A−1成分の固形分濃度50%溶液を得た。A−1成分の酸価は96mgKOH/g、重量平均分子量は4千であった。
[A−2成分の合成例2]
一般式(1)で表されるビスフェノールフルオレン型エポキシ化合物(エポキシ当量315)630g、アクリル酸(エチレン性不飽和結合基含有カルボン酸)2.0モル、トリフェニルホスフィン(触媒)0.10モル、BHT(重合禁止剤)0.05モルをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート315gに溶解させ、乾燥空気をバブリングさせながら100℃で反応させた。エポキシ基とカルボキシ基の反応率が99モル%に達したところでビフェニル−3,3′,4,4′−テトラカルボン酸二無水物(環状酸無水物)0.50モル及びシクロヘキセン−4,5−ジカルボン酸無水物(環状酸無水物)0.50モルを添加し、更に反応させた。赤外分光法で酸無水物基の消費を確認した後、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで希釈して室温に冷却し、A−2成分の固形分濃度50%溶液を得た。A−2成分の酸価は84mgKOH/g、重量平均分子量は6千であった。
[A−3成分の合成例3]
一般式(1)で表されるビスフェノールフルオレン型エポキシ化合物(エポキシ当量255)510g、アクリル酸(エチレン性不飽和結合基含有カルボン酸)2.0モル、トリフェニルホスフィン(触媒)0.10モル、BHT(重合禁止剤)0.05モルをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート255gに溶解させ、乾燥空気をバブリングさせながら100℃で反応させた。エポキシ基とカルボキシ基の反応率が99モル%に達したところでビフェニル−3,3′,4,4′−テトラカルボン酸二無水物(環状酸無水物)0.65モル及びシクロヘキセン−4,5−ジカルボン酸無水物(環状酸無水物)0.02モルを添加し、更に反応させた。赤外分光法で酸無水物基の消費を確認した後、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで希釈して室温に冷却し、A−3成分の固形分濃度50%溶液を得た。A−3成分の酸価は87mgKOH/g、重量平均分子量は9千であった。
[AX−1成分の合成例4]
ビスフェノールA型エポキシ化合物(エポキシ当量185)370g、アクリル酸(エチレン性不飽和結合基含有カルボン酸)2.0モル、トリフェニルホスフィン(触媒)0.10モル、BHT(重合禁止剤)0.05モルをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート185gに溶解させ、乾燥空気をバブリングさせながら100℃で反応させた。エポキシ基とカルボキシ基の反応率が99モル%に達したところでビフェニル−3,3′,4,4′−テトラカルボン酸二無水物(環状酸無水物)0.50モル及びシクロヘキセン−4,5−ジカルボン酸無水物(環状酸無水物)0.50モルを添加し、更に反応させた。赤外分光法で酸無水物基の消費を確認した後、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで希釈して室温に冷却し、AX−1成分の固形分濃度50%溶液を得た。AX−1成分の酸価は114mgKOH/g、重量平均分子量は3千であった。
[カラーフィルター用感光性樹脂組成物の調製]
(カラーフィルター用感光性樹脂組成物の調製例1)
A−1成分の固形分濃度50%溶液(合成例1で得た溶液)10.0部、D−1成分6.0部、D−2成分6.0部、E−1成分3.0部、及びZ−1成分75.0部を混合し、冷却水で30℃以下の状態に保ちながら、直径0.3mmのジルコニアビーズを80%充填した内容積600mLのビーズミルで安定状態となるまで周速8.5m/sで分散して分散液を得た。次にA−1成分10.0部、B−1成分2.0部、B−2成分2.0部、C−1成分0.4部、S−2成分0.5部、S−3成分0.1部、Z−1成分20.0部及びZ−2成分15.0部を上記分散液に配合し、ミキサーを用いて室温で3時間撹拌混合した。最後に濾過精度0.6μmのメンブレンフィルターを用いて圧力0.05MPaで加圧濾過を行い、赤色のカラーフィルター用感光性樹脂組成物を得た。
調製例1のカラーフィルター用感光性樹脂組成物の作製条件を表1に示す。本表ではA−1成分としては固形分量のみを記載し、50%溶液の溶剤分はZ−1成分に含めて表した(以下、A−2、A−3、AX−1、S−1成分についても同様)。
Figure 0006508911
[カラーフィルター用感光性樹脂組成物の調製例2〜9]
調製例1の作製条件を表1に示すようにそれぞれ変更し、その他は調製例1と同様にして、調製例2〜9のカラーフィルター用感光性樹脂組成物の作製を行った。
[実施例1]
(カラーフィルターの作製)
ガラス基板に保持したPENフィルム上に、調製例1のカラーフィルター用感光性樹脂組成物を硬化後の膜厚が1.0μmとなるような回転数でスピンコートし(工程(ア))、90℃のホットプレートで2分間乾燥させて(工程(イ))試験片を作製した。次に、カラーフィルターの画素のテストパターン形状を有するフォトマスクを介して照度30mW/cmの超高圧水銀ランプで150mJ/cmの紫外線(数値はi線基準)を照射し、画像露光を行った(工程(ウ))。その後、試験片を25℃の水酸化カリウム系アルカリ現像液(新日鉄住金化学社製「NSID」の100倍希釈液)で1分間処理し、更に水洗を行って画像を現像した(工程(エ))。最後に試験片に照度10mW/cmの低圧水銀ランプで1500mJ/cmの紫外線(数値は254nm基準)を照射し、ポスト露光を行った(工程(オ))。こうして赤色の色相のカラーフィルター用感光性樹脂組成物の硬化膜(1色目の画素)を得た。
次に、上記の手順を調製例2のカラーフィルター用感光性樹脂組成物を用いて同一のPENフィルム上に繰り返して実施し、緑色の色相のカラーフィルター用感光性樹脂組成物の硬化膜(2色目の画素)を得た。更に、上記の手順を調製例3のカラーフィルター用感光性樹脂組成物を用いて同一のPENフィルム上に繰り返して実施し、青色の色相のカラーフィルター用感光性樹脂組成物の硬化膜(3色目の画素)を得た。こうして赤色・緑色・青色の鮮明な3色の画素を有するカラーフィルターを作製した。
[実施例2]
実施例1で使用した調製例1の組成物を調製例4に、調製例2の組成物を調製例5に、調製例3の組成物を調製例6にそれぞれ変更し、その他は実施例1と同様にして、赤色・緑色・青色の鮮明な3色の画素を有するカラーフィルターを作製した。
[比較例1]
実施例1で使用した調製例1の組成物を調製例7に、調製例2の組成物を調製例8に、調製例3の組成物を調製例9にそれぞれ変更し、その他は実施例1と同様にしてカラーフィルターの作製を行った。2色目の画素を形成しようとすると、調製例8の組成物の溶剤で1色目の画素(調製例7の組成物の硬化膜)が侵されて色が滲み出し、鮮明な画素を得ることができなくなった。画素の色相を形成する順番を変更し、1色目の画素を調製例8又は調製例9の組成物で形成しても、2色目の画素を形成する際に同様に色の滲み出しが観察され、鮮明な画素を得ることはできなかった。
本発明の製造方法を適用することにより、プラスチック基板上や白色有機ELデバイス上に直接カラーフィルターを形成することが可能となり、デバイスのフレキシブル化やワンチップ化が容易に実現できる。また、本発明で用いる感光性樹脂組成物は、カラーフィルターの作製のみならず、塗料、印刷インキ、筆記具インキ、プラスチック等の着色成分としても利用することが可能である。

Claims (4)

  1. 感光性樹脂組成物を硬化させた第1の色のカラーフィルター部が形成されている基材に、第1の色とは異なる第2の色のカラーフィルター用の感光性樹脂組成物を塗布し硬化させる工程を含む、カラーフィルターを製造する方法であって、前記感光性樹脂組成物は、(A)ビスフェノールフルオレン型エポキシ化合物とエチレン性不飽和結合基含有カルボン酸とを反応させたヒドロキシ基含有化合物に対して環状酸無水物を反応させて得られた化合物、(B)少なくとも1個のエチレン性不飽和結合を有する重合性モノマー、及び(C)光重合開始剤を含有し、前記基材の耐熱温度は150℃以下であり、前記基材の耐熱温度を超えない環境温度下で行われることを特徴とするカラーフィルターの製造方法。
  2. (ア)感光性樹脂組成物を基材に塗布する工程、(イ)感光性樹脂組成物を乾燥させる工程、(ウ)感光性樹脂組成物を画像露光する工程、(エ)感光性樹脂組成物を現像する工程、及び(オ)感光性樹脂組成物をポスト露光する工程を順に含む請求項1に記載のカラーフィルターの製造方法。
  3. 赤色、緑色及び青色の感光性樹脂組成物をそれぞれ使用する請求項1又は2に記載のカラーフィルターの製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法で製造されたカラーフィルター。
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