JP6508775B2 - 削り魚節の製造方法 - Google Patents
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Description
具体的には、魚節を0.15〜0.30mmのチップ形状の肉厚に削成して、チップ形状の最長寸法と最短寸法の和を4cm以下の大きさに調整する工程を備えた厚削りの削り魚節の製造方法が提案されている。
この製造方法によれば、得られる削り魚節は計量スプーンで計量することができ、火が通りやすいとされる(特許文献1)。
しかし、この製造方法により得られた削り魚節は計量スプーンで計量することができるチップ状に成形されているため、表面積が大きく液体と接触させた際に旨味成分が流出しやすい。このためだしをとった後に醤油、味噌、マヨネーズなどで味付けする必要があり、削り魚節に十分な旨味成分が残っているといえない問題があった。また、だしをとった上述の削り魚節は、内部に堅い芯こそないものの、それだけでは優れた食感を有するものとはいえない。
具体的には、魚節の繊維方向に対して魚節を略垂直に削成するものである。
しかし、この先行技術では厚削りの魚節を食用に供する点についても、また厚削りの魚節を用いて食べて美味しいと言える魚節を提供する点についても開示も示唆もされていない。
そもそも薄削りにしろ厚削りにしろ削り魚節は、だしをとった後は廃棄されることが前提となっている食材である。削り魚節のうち、そのままふりかけて用いるのは、薄削りであり、柔らかく優れた食感を期待されるのは、薄削りに限られるのが実情である。
本発明の目的は、だしをとった後、削り魚節に十分な旨味成分が残っていて、そのまま食べることができ、柔らかく優れた食感を有する削り魚節の製造方法を提供することにある。
[1]魚節を95℃〜125℃の温度範囲で1分〜15分の間加熱する蒸煮工程と、
魚節の繊維方向に対して魚節を略垂直に切削して削り魚節の肉厚を0.20mm〜0.30mmの範囲とする切削工程と、
を備え、
前記切削工程における魚節の温度が45℃〜90℃の範囲であり、
前記切削工程が、前記削り魚節のうち100重量パーセント中80重量パーセント以上を4.0cm 2 を超えて225.0cm 2 の範囲の大きさに魚節を切削する工程を含むことを特徴とする、削り魚節の製造方法を提供するものである。
[2]前記魚節が、かつお、さば、まぐろ、いわしおよびあじからなる群から選ばれる少なくとも一つを原料とする、上記[1]に記載の削り魚節の製造方法を提供するものである。
このため、本発明により得られる削り魚節は、柔らかく優れた食感を有するようになる。
魚節の繊維方向に対して魚節を略垂直に削成する製造方法は、従来薄削りに用いられるものである。魚節の繊維方向に対して魚節を略垂直に削成する製造方法に適用した場合、一定品質の削り魚節がえられにくいとの問題がある。
本発明の場合は、魚節の繊維方向に対して魚節を略垂直に切削する工程を採用することにより、得られた厚削りの削り魚節を食感向上のために破砕する工程が必要なくなり、火の通りやすいチップ形状ではないにもかかわらず、柔らかく優れた食感を実現し、食べやすいものを提供することが可能となる。
本発明により得られる削り魚節は、肉厚が厚い厚削りであるため、だしを取る用途に使用した場合でも旨味成分が流出し尽くすことはなく、美味しい食感を実現することができる。
本発明により得られる削り魚節は、破砕する工程を必要としないためチップ形状ではない。チップ形状の削り魚節と比較すると、だしをとる際、水に接する面積を小さくすることができる。このため、旨味成分の必要以上の流出を抑えることができ、本発明の削り魚節に十分な旨味成分が残すことができる。
本発明の製造方法を実施するに際して、既に製造されている魚節を入手して使用してもよいし、魚節を製造する工程により得られる魚節を使用してもよい。
魚節を製造する工程としては、例えば、原料魚の身卸し工程、焙乾・あん蒸工程等を含めることも可能である。
通常は0.3〜8kg、好ましくは0.5〜6kg、さらに好ましくは1〜3kgの範囲
である。
身卸し工程は、原料魚から骨、腹肉、内臓、鱗等を除去する操作等により実施される。
前記身卸し工程により得られた魚肉片を専用の燻製室に入れて、樫、楢、椚等の落葉広葉樹を薪として前記魚肉片を燻製する操作を実施する。この燻製操作のことを焙乾という。
前記焙乾は、原料魚の種類、量等に応じて適宜実施されるが、一例を挙げるとすれば、例えば、前記燻製室の温度が通常50〜100℃の範囲となるようにして行うことができる。
前記焙乾の実施後、前記魚肉片を一晩静置することにより、前記魚肉片の内部から水分
が前記魚肉片の表面に滲出する。この静置操作のことをあん蒸という。
前記あん蒸後、引き続き前記焙乾を実施する。
この焙乾、あん蒸を2週間程度の時間をかけて交互に通常実施する。
この焙乾・あん蒸工程により、荒節を得ることができる。
ことにより、枯節を得ることができる。
前記黴付け工程に特に限定はなく、通常枯節を製造する際に実施される方法を適宜選択
して実施することができる。
本発明に使用する魚節は、水洗およびブラッシングすることが好ましい。水洗およびブラッシングをすることにより、本発明の製造方法により得られる削り魚節にかび、骨等の夾雑物が混入することを防ぐことができる。
前記蒸煮工程は、前記魚節を95℃〜125℃の温度範囲で1分〜15分の間加熱するものである。
前記温度範囲は100℃〜120℃の範囲であれば好ましい。また加熱時間は3分〜8分以下であれば好ましい。
蒸煮工程に続く切削工程の前に前記魚節を上記の条件により処理することにより、比較的安定した形状の魚節を製造することができる。
前記温度範囲が90℃未満となると、得られる削り魚節に含まれる粉末成分が多くなり、前記温度範囲が130℃を超えると、得られる削り魚節の色調が低下する。
前記切削工程は、前記魚節の温度を45℃〜90℃の範囲に保って実施される。
前記魚節の温度が40℃未満となると、得られる削り魚節に含まれる粉末成分が多くなり、前記温度範囲が95℃を超えると、得られる削り魚節の厚さの変動が大きくなり安定した製品を得るのが困難となる。
また前記魚節を切削する際には、魚節の繊維方向に対して魚節を略垂直に切削する。
ここで魚節を略垂直に切削する、とは、魚節の繊維方向に略垂直に切断することを意味する。
通常、魚節中では長手方向に繊維が概略一方向に沿って配列している。魚節を魚節の長手方向に切削した場合には、得られた削り魚節を顕微鏡で観察すると1mm以上の長さの繊維配列が存在することを観察することができる。
これに対して本発明により得られる削り魚節は魚節の繊維方向に対して魚節が略垂直に切削されているため、得られた削り魚節を顕微鏡で観察しても1mm以上の長さの繊維配列を観察することができない。
この通り1mm以上の長さの繊維配列を観察することができるかどうかにより魚節の繊維方向に魚節が略垂直に切断されているかどうかを確認することができる。
かつお節を水洗し、ブラッシングして、かつお節に付着しているかびや骨等を除去した。
次に前記かつお節を水蒸気に接触させて110℃の温度で3分〜8分以下の時間加熱した。
加熱後のかつお節を70℃の温度に保って、回転する円盤状刃にかつお節を接触させて削りかつお節の肉厚が0.20mmとなるように削りかつお節を切削した。
得られた削りかつお節を容器に受けて扇風機の冷風により2時間以上冷却した。
次に窒素ガスを封入する機能を備えた自動計量充填装置を用いて、ポリエチレン製の包装袋に削りかつお節を一つの袋当たり10〜11g入るように窒素と共に充填した。
次に包装された削りかつお節を金属探知器にかけて金属異物が混入していないことを確認して箱詰めして梱包し削りかつお節を得た。
実施例1により得られた削りかつお節を使用してだし汁を作成し、そのままだし汁と共に実施例1により得られた削りかつお節を14名の者により試食した。
その結果、14名中、11名がだし汁および削りかつお節が美味しいと回答した。結果を表1に示す。
その結果、14名中、13名がだし汁および削りかつお節が美味しいと回答した。結果を表1に示す。
その結果、14名中、12名がだし汁および削りかつお節が美味しいと回答した。
美味しいと思うとの回答が過半数を超えたのは、肉厚の厚さが0.20mm〜0.30mmの範囲のみであった。肉厚の厚さが薄くなると、かさばるとの回答が多く、肉厚の厚さが厚くなると食感が気になるとの回答が多かった。結果を表1に示す。
実施例1の場合で、削りかつお節の肉厚が0.10mmとなるように削りかつお節を切削した他は実施例1の場合と全く同様に実験を実施した。
その結果、14名中、削りかつお節が美味しいと回答した者はいなかった。結果を表1に示す。
実施例1の場合で、削りかつお節の肉厚が0.15mmとなるように削りかつお節を切削した他は実施例1の場合と全く同様に実験を実施した。
その結果、14名中、4名がだし汁および削りかつお節が美味しいと回答したものの、美味しいと回答した者の総数は過半数に満たなかった。結果を表1に示す。
実施例1の場合で、削りかつお節の肉厚が0.35mmとなるように削りかつお節を切削した他は実施例1の場合と全く同様に実験を実施した。
その結果、14名中、5名がだし汁および削りかつお節が美味しいと回答したものの、美味しいと回答した者の総数は過半数に満たなかった。結果を表1に示す。
実施例1の場合で、削りかつお節の肉厚が0.40mmとなるように削りかつお節を切削した他は実施例1の場合と全く同様に実験を実施した。
その結果、14名中、1名がだし汁および削りかつお節が美味しいと回答したものの、美味しいと回答した者の総数は過半数に満たなかった。結果を表1に示す。
従来のかつお節の製造方法と同様の製造方法に従い、削りかつお節の肉厚が0.10mmとなるように削りかつお節を切削した他は実施例1の場合と全く同様に試食試験を実施した。
その結果、14名中、1名がだし汁および削りかつお節が美味しいと回答したものの、美味しいと回答した者の総数は過半数に満たなかった。結果を表2に示す。
従来のかつお節の製造方法と同様の製造方法に従い、削りかつお節の肉厚が0.15mmとなるように削りかつお節を切削した他は実施例1の場合と全く同様に試食試験を実施した。
その結果、14名中、1名がだし汁および削りかつお節が美味しいと回答したものの、美味しいと回答した者の総数は過半数に満たなかった。結果を表2に示す。
従来のかつお節の製造方法と同様の製造方法に従い、削りかつお節の肉厚が0.20mmとなるように削りかつお節を切削した他は実施例1の場合と全く同様に試食試験を実施した。
その結果、14名中、3名がだし汁および削りかつお節が美味しいと回答したものの、美味しいと回答した者の総数は過半数に満たなかった。結果を表2に示す。
従来のかつお節の製造方法と同様の製造方法に従い、削りかつお節の肉厚が0.25mmとなるように削りかつお節を切削した他は実施例1の場合と全く同様に試食試験を実施した。
その結果、14名中、4名がだし汁および削りかつお節が美味しいと回答したものの、美味しいと回答した者の総数は過半数に満たなかった。結果を表2に示す。
従来のかつお節の製造方法と同様の製造方法に従い、削りかつお節の肉厚が0.30mmとなるように削りかつお節を切削した他は実施例1の場合と全く同様に試食試験を実施した。
その結果、14名中、削りかつお節が美味しいと回答したものはいなかった。結果を表2に示す。
従来のかつお節の製造方法と同様の製造方法に従い、削りかつお節の肉厚が0.35mmとなるように削りかつお節を切削した他は実施例1の場合と全く同様に試食試験を実施した。
その結果、14名中、削りかつお節が美味しいと回答したものはいなかった。結果を表2に示す。
従来のかつお節の製造方法と同様の製造方法に従い、削りかつお節の肉厚が0.40mmとなるように削りかつお節を切削した他は実施例1の場合と全く同様に試食試験を実施した。
その結果、14名中、削りかつお節が美味しいと回答したものはいなかった。結果を表2に示す。
この際の結果を表3に示した。
かつお節を水蒸気に接触させて加熱する温度が90℃と130℃の場合には市場に提供するレベルにある製品を得ることができないことが判明した。
この際の結果を表4に示した。
かつお節を切削する際の温度が40℃と95℃の場合には市場に提供するレベルにある製品を得ることができないことが判明した。
2 実施例2で美味しいと回答した人数
3 実施例3で美味しいと回答した人数
4 比較例1で美味しいと回答した人数
5 比較例2で美味しいと回答した人数
6 比較例3で美味しいと回答した人数
7 比較例4で美味しいと回答した人数
8 比較例5で美味しいと回答した人数
9 比較例6で美味しいと回答した人数
10 比較例7で美味しいと回答した人数
11 比較例8で美味しいと回答した人数
12 比較例9で美味しいと回答した人数
13 比較例10で美味しいと回答した人数
14 比較例11で美味しいと回答した人数
Claims (2)
- 魚節を95℃〜125℃の温度範囲で1分〜15分の間加熱する蒸煮工程と、
魚節の繊維方向に対して魚節を略垂直に切削して削り魚節の肉厚を0.20mm〜0.30mmの範囲とする切削工程と、
を備え、
前記切削工程における魚節の温度が45℃〜90℃の範囲であり、
前記切削工程が、前記削り魚節のうち100重量パーセント中80重量パーセント以上を4.0cm 2 を超えて225.0cm 2 の範囲の大きさに魚節を切削する工程を含むことを特徴とする、削り魚節の製造方法。 - 前記魚節が、かつお、さば、まぐろ、いわしおよびあじからなる群から選ばれる少なくとも一つを原料とする、請求項1に記載の削り魚節の製造方法。
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