JP6507978B2 - 電池パックの固定構造 - Google Patents

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Description

本発明は、電池パックの固定構造に関し、特に、リヤシートの下方に配置される電池パックの固定構造に関する。
特開2009−029159号公報(特許文献1)に開示されているように、走行用のモータ等に供給するための電力を蓄電する電池パック(バッテリ)を、リヤシートの下方に配置することが知られている。この公報は、リヤシート周辺のスペースを有効に活用することにより、車両室内の居住性を損なうことなく、電池パックと燃料タンクとの搭載スペースを確保することができると述べている。
特開2009−029159号公報
車両に搭載される電池パックは、その電池パックが使用される振動環境に耐えて、所定の製品寿命まで性能を発揮し続けることが要求される。電池パックを固定している箇所においては、振動が繰り返し発生したとしても、ねじやボルトが緩んでしまうことを抑制したり、亀裂や破損が生じることを抑制したりする必要がある。また、電池パックの固定構造に係る性能に関して、国によっては、ランダム加振(板金に対して亀裂が進行しやすい試験)を行なう振動試験に合格しなければならない旨を定めているところもある。しかしながら、電池パックの固定構造に必要以上に大きな補強(板厚の増加や締結数の増加)を施してしまうと、車体重量が増加して走行性能を低下させたり、車両室内の居住性が低下したり、組み付け工数が増大したりする。
本発明は、上記のような実情に鑑みて為されたものであって、車体重量を大幅に増加させることなく、振動環境に対してより強い電池パックの固定構造を提供することを目的とする。
電池パックの固定構造は、リヤシートの下方に配置される電池パックの固定構造であって、上記電池パックは、上記電池パックの前方下部に位置し、フロントクロスメンバに固定される第1固定部と、上記電池パックの後方上部に位置し、リヤクロスメンバに固定される第2固定部と、を含み、上記電池パックとボデーフロアとの間には、緩衝材が介在している。
電池パックが、緩衝材を介在させてボデーフロア上に配置されていることで、緩衝材が振動吸収機能を発揮し、振動環境により強い電池パックの固定構造とすることが可能となる。緩衝材の振動吸収機能によって、各ブラケット等のサイズを特段大きくする必要もないため、車体重量が大幅に増加することもない。
実施の形態における電池パックの固定構造を示す断面図である。 実施の形態における電池パックの固定構造を示す斜視図である。 実施の形態における電池パックの固定構造により固定される電池パックを示す平面図である。 実施の形態における電池パックの固定構造により固定される電池パックを示す側面図である。
実施の形態について、以下、図面を参照しながら説明する。同一の部品および相当部品には同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。図中に適宜記す矢印Frは車両前後方向の前方向を示し、矢印UPは車両上下方向の上方向を示し、矢印RHは車幅方向の一方側である車両右側を示す。
(電池パックの固定構造10)
図1および図2は、それぞれ、実施の形態における電池パックの固定構造10を示す断面図および斜視図である。電池パックの固定構造10は、エンジンおよびモータジェネレータ(いずれも図示せず)を動力源とするハイブリッド車両に適用される。電池パックの固定構造10は、エンジン(内燃機関)を備えない電気自動車に適用されることもできる。
図1に示すように、電池パックの固定構造10が適用される車両は、リヤシート1、リヤシート1の下方の領域2内に配置された電池パック3、ボデーフロア4、フロントクロスメンバ5、リヤクロスメンバ6、および緩衝材7,8を備える。ボデーフロア4は、車両室内の床面を形成する部材であり、ボデーフロア4の下面には、左右一対のリヤサイドメンバ(図示せず)が接合されている。各リヤサイドメンバの前端部は、フロントクロスメンバ5の両端部にそれぞれ接続されている。
図1および図2を参照して、本実施の形態のボデーフロア4は、フロントボデーフロア4a、センタボデーフロア4b、段部4c、およびリヤボデーフロア4dを含む。フロントボデーフロア4aは、フロントクロスメンバ5に対して前側に位置する。センタボデーフロア4bは、フロントクロスメンバ5に対して後側に位置する。フロントボデーフロア4aおよびセンタボデーフロア4bは、予め一体的に作製されていてもよいし、分割構造とされフロントクロスメンバ5によって接合および一体化されていてもよい。
リヤシート1(図1)は、ボデーフロア4(センタボデーフロア4b)の上方に設けられる。リヤシート1の前端の位置は、前後方向におけるフロントクロスメンバ5の位置に略一致しており、リヤシート1の後端の位置は、前後方向におけるリヤクロスメンバ6の位置に略一致している。
フロントクロスメンバ5は、たとえば、L字状を有する一対の部材を接合することで、略矩形の断面形状を有している(図示省略)。リヤクロスメンバ6も、たとえば、L字状を有する一対の部材を接合することで、略矩形の断面形状を有している(図示省略)。リヤクロスメンバ6は、ボデーフロア4のうちの段部4cとリヤボデーフロア4dとの間の部分に下面側からに接合されている。リヤクロスメンバ6の上面は、フロントクロスメンバ5の上面よりも上側に位置している。
(電池パック3)
図3および図4は、それぞれ、実施の形態における電池パックの固定構造により固定される電池パックを示す平面図および側面図である。電池パック3は、リヤシート1(図1)とボデーフロア4(センタボデーフロア4b)との間に配置され、走行用のモータ等に供給するための電力を蓄電する。本実施の形態の電池パック3は、リヤシート1および電池パック3を平面視した際に、電池パック3の全体がリヤシート1にオーバラップする(覆われる)形状、大きさおよび配置とされている。
図2〜図4に示すように、本実施の形態の電池パック3は、全体として略直方体状に形成されており、上面3a、前面3b、下面3c、後面3d、右側面3e、および左側面3fを有している。電池パック3の内部には、複数のセルを含むセルスタック3S(図3,図4)が設けられる。本実施の形態の電池パック3は、電池パック3の前面3bがフロントクロスメンバ5の直上方に配置されると共に、電池パック3の後面3dがリヤクロスメンバ6(段部4c)の直前方に配置されている。
ここで、電池パック3には、電池パック3の前方下部に位置し、フロントクロスメンバ5に固定される一対の前方ブラケット3FL,3FRと、電池パック3の後方上部に位置し、リヤクロスメンバ6に固定される一対の後方ブラケット3BL,3BRとが設けられている。前方ブラケット3FL,3FRおよび後方ブラケット3BL,3BRは、溶接等にて電池パック3に接合される。
前方ブラケット3FLは、電池パック3の左側面3fの下端部から車幅方向の左側に向かって延出する形状を有しており、前方ブラケット3FRは、電池パック3の右側面3eの下端部から車幅方向の右側に向かって延出する形状を有している。後方ブラケット3BLおよび後方ブラケット3BRは、車幅方向に離間して配置されており、いずれも、電池パック3の後面3dの上端部から車両前後方向の後ろ側に向かって延出する形状を有している。前方ブラケット3FL,3FRのうちの少なくとも一方は、第1固定部として機能し得る。後方ブラケット3BL,3BRのうちの少なくとも一方は、第2固定部として機能し得る。
ボルトおよびナット等を用いて、電池パック3は、前方ブラケット3FLにおいてフロントクロスメンバ5の左部に締結され、前方ブラケット3FRにおいてフロントクロスメンバ5の右部に締結される。同様に、電池パック3は、後方ブラケット3BLにおいてリヤクロスメンバ6の左部に締結され、後方ブラケット3BRにおいてリヤクロスメンバ6の右部に締結される。上述のとおり、リヤクロスメンバ6の上面は、フロントクロスメンバ5の上面よりも上側に位置しており、後方ブラケット3BL,3BRは、前方ブラケット3FL,3FRよりも上側に位置している。
そして、電池パック3は、電池パック3の下面3cとボデーフロア4(センタボデーフロア4b)との間にゴムなどからなる緩衝材7,8を介在させて、ボデーフロア4上に配置されている。本実施の形態では、セルスタック3Sの前縁部分に沿うように3つの緩衝材7a,7b,7cが車幅方向に並んで配置されており、セルスタック3Sの後縁部分に沿うように3つの緩衝材8a,8b,8cが車幅方向に並んで配置されている。緩衝材7a,7b,7cは、セルスタック3Sの前縁よりも前方に位置しており、緩衝材8a,8b,8cは、セルスタック3Sの後縁よりも前方に位置している(図3参照)。
(作用および効果)
本実施の形態の電池パックの固定構造10によれば、ボデーフロア4とリヤシート1との間に電池パック3が配置されている。リヤシート1の後ろ側の荷室内に電池パック3を搭載することがないので、荷室容量の確保、ラゲッジスペースの有効利用(シートアレンジなどを含む)を図ることができる。また、電池パック3の前面3bの直下方にフロントクロスメンバ5が位置しているため、電池パック3の前面3bの直前方にフロントクロスメンバ5が位置する場合に比べて足元スペースを広く確保することも可能となっている。
電池パックの固定構造10によれば、電池パック3が、前方ブラケット3FL,3FRにおいて車体(フロントクロスメンバ5)に直接的に締結固定されており、後方ブラケット3BL,3BRにおいて斜体(リヤクロスメンバ6)に直接的に締結固定されている。したがって本実施の形態の電池パック3は、電池パック3がボデーフロア4に締結固定される場合に比べて、車体に対して安定して支持されることが可能となる。
ここで、板金等の部材に発生した亀裂は、その部材に同じ方向、同じ大きさの力を繰り返し付与する場合よりも、その部材に異なる方向、異なる大きさの力を繰り返し付与する場合の方が、早く進行することとなる。これに対し、本実施の形態においては、前方ブラケット3FL,3FRは、電池パック3から車幅方向に延出する形状を有しており、後方ブラケット3BL,3BRは、車両前後方向に延出する形状を有している。そして、後方ブラケット3BL,3BRは、前方ブラケット3FL,3FRよりも上側に位置している。電池パック3の前方側におけるモーメントが大きくなり、振動の際の振動モードとしては、図4中の矢印Mに示すような斜め前の動き方が支配的となる。したがって、電池パック3が、緩衝材7,8を介在させてボデーフロア4上に配置されていることで、緩衝材7,8が振動吸収機能を発揮し、振動環境により強い電池パックの固定構造10とすることが可能となる。緩衝材7,8の振動吸収機能によって、各ブラケット等のサイズを特段大きくする必要もないため、車体重量が大幅に増加することもない。
特に、前後方向の振動が支配的となる上記の振動モード(図4中の矢印M)を考慮すれば、セルスタック3Sの前縁部分に沿うように緩衝材7a,7b,7cを配置し、セルスタック3Sの後縁部分に沿うように緩衝材8a,8b,8cを配置することが好ましいと言える。また、電池パック3からボデーフロア4(センタボデーフロア4b)への荷重が均一に分散され、電池パック3は、車体に対してより安定して支持されるように構成することがより好ましいと言える。
以上、実施の形態について説明したが、上記の開示内容はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 リヤシート、2 領域、3 電池パック、3BL,3BR 後方ブラケット(第2固定部)、3FL,3FR 前方ブラケット(第1固定部)、3S セルスタック、3a 上面、3b 前面、3c 下面、3d 後面、3e 右側面、3f 左側面、4 ボデーフロア、4a フロントボデーフロア、4b センタボデーフロア、4c 段部、4d リヤボデーフロア、5 フロントクロスメンバ、6 リヤクロスメンバ、7,7a,7b,7c,8,8a,8b,8c 緩衝材、10 電池パックの固定構造、AR,Fr,RH,UP 矢印。

Claims (1)

  1. リヤシートの下方に配置される電池パックの固定構造であって、
    前記電池パックは、
    前記電池パックの前方下部に位置し、フロントクロスメンバに固定される第1固定部と、
    前記電池パックの後方上部に位置し、リヤクロスメンバに固定される第2固定部と、を含み、
    前記電池パックとボデーフロアとの間には、複数の緩衝材が介在しており、
    前記第1固定部は、前記電池パックの側面の下端部から車幅方向の外側に向かって延出する形状を有し、
    前記第2固定部は、前記電池パックの後面の上端部から車両前後方向の後ろ側に向かって延出する形状を有し、
    前記第2固定部は、前記第1固定部よりも上側に位置し、
    前記電池パックの内部には、複数のセルを含むセルスタックが設けられ、
    前記セルスタックの前縁部分に沿うように複数のうちのいくつかの前記緩衝材が前記車幅方向に並んで配置されており、
    前記セルスタックの後縁部分に沿うように複数のうちの他のいくつかの前記緩衝材が前記車幅方向に並んで配置されている、
    電池パックの固定構造。
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