JP6507820B2 - 温度補正装置 - Google Patents

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Description

本発明は、温度補正装置に関し、特に対象機器と端末機器とが別体に構成されている機器制御装置において、端末機器で検出した温度を補正する温度補正装置に関する。
例えば空調機器のような機器制御装置では、制御の対象となる制御対象機器と、この制御対象機器に各種の指示を入力する端末機器とは別体に構成されている。制御対象機器は、入力された設定室温など設定情報を目標値として制御対象機器へ各種の指示を出力する。この場合、雰囲気の温度を検出する温度検出手段は、端末機器に設けられている。一般に端末機器は、温度検出手段が設けられた基板を収容するケーシングを備えている。そのため、端末機器の温度検出手段が検出する温度は、端末機器の外部の雰囲気温度ではなく、ケーシングの内側における温度である。
ケーシングは、演算手段や照明手段をはじめとする各種の発熱体を含んでいる。そのため、温度検出手段が検出する温度は、ケーシングの外部の雰囲気温度と異なっている。これにより、ケーシングの外部と内部との温度差が生じ、温度検出手段で検出した温度をそのまま用いると、制御対象機器の制御の精度が低いという問題がある。そこで、取得した発熱体の状態に応じて、温度検出手段で検出した検出温度を補正することが知られている。
しかしながら、この検出温度の補正値は、発熱体の発熱によって温度が変化した後の最終的な温度を前提として設定されている。例えば照明手段の発熱を考慮する場合、この照明手段の発熱が特定の設定で想定される最大値となったときの温度を前提に補正値が設定されている。そのため、端末機器の電源がオンされたとき、あるいは発熱体の設定が変更されたときなど、温度が想定される最大値へ移行する過渡期において補正値は過大または過小となる。その結果、温度検出手段で検出した温度を補正値を用いて補正しても、ケーシングの外側の雰囲気温度との間に齟齬が生じ、制御対象機器の制御の精度が低下するという問題がある。
特開平7−113540号公報
そこで、本発明の目的は、電源のオン直後であっても、検出した温度を高精度に補正する温度補正装置を提供することにある。
機器制御装置では、発熱体の発熱量は、電力の供給のオンまたはオフだけでなく、発熱体の状態によっても変化する。このように、発熱体の状態が変化すると、発熱体の温度の変化にともない、端末機器の内部の温度も変化する。そのため、端末装置の外部の温度と温度検出手段が検出した端末装置の内部の温度との間には齟齬が生じる。そこで、請求項1記載の発明では、外部温度推定手段は、前回補正値、目標補正値および設定熱容量から、最新の温度補正値を算出する。すなわち、外部温度推定手段は、一定の時間間隔で取得した発熱体の発熱量に相関する最新の相関値から、この最新の相関値に応じて目標とする目標補正値を設定する。つまり、外部温度推定手段は、最新の相関値から、この最新の相関値のときに想定される最終的な補正値を目標補正値とする。そして、外部温度推定手段は、前回の処理で算出した温度補正値である前回補正値、および設定熱容量から最新の温度補正値を算出する。このように、外部温度推定手段は、一定の時間間隔で発熱体の発熱量に相関する相関値から目標補正値を設定する。そして、外部温度推定手段は、前回の温度補正値である前回補正値を、目標補正値および設定熱容量を用いてさらに補正することにより、最新の温度補正値を算出する。これにより、発熱体の状態が変化しても、最新の温度補正値は目標補正値に追従する。したがって、発熱体の発熱量に相関する相関値が変更されたときでも、検出した温度を高精度に補正することができる。
一実施形態による温度補正装置を適用した空調システムにおける端末機器の概略的な構成を示すブロック図 一実施形態による空調システムを適用した家屋を示す模式図 一実施形態による温度補正装置を適用した空調システムにおける端末機器を示す模式図 端末機器への電力の供給がオフされたとき、経過時間に対する内部温度の変化を示す模式図 端末機器の照明部の輝度が変化したとき、内部温度の時間的な変化を示す模式図 一実施形態による温度補正装置における起動時処理の流れを示す概略図 一実施形態による温度補正装置における変更時処理の流れを示す概略図
以下、一実施形態による温度補正装置を適用した空調システムを図面に基づいて説明する。
まず、図2に示す空調システム10を説明する。
空調システム10は、空調ユニット11および端末機器12を備えている。空調システム10は特許請求の範囲の機器制御装置に相当し、空調ユニット11は特許請求の範囲の制御対象機器に相当する。なお、制御対象機器は、空調ユニット11に限らず、端末機器12で制御されるものであれば任意に適用することができる。空調ユニット11は、室内機13および室外機14を有している。室内機13は、家屋などの建物15の内部に設けられている。室外機14は、建物15の外部に設けられている。空調ユニット11は、ヒータや冷媒を用いたヒートポンプなどを有している。空調ユニット11は、暖房時であれば温風を建物15の内部に供給し、冷房時であれば冷風を建物15の内部に供給する。
端末機器12は、空調ユニット11と別体に設けられている。端末機器12は、空調ユニット11と一対の専用機器であってもよく、例えばスマートフォンなどのように汎用的に用いられる機器であってもよい。端末機器12は、図3に示すように表示部21および入力部22を有している。表示部21は、例えば液晶や有機ELなどのディスプレイを有している。入力部22は、表示部と一体に構成されたタッチパネルスイッチ23などを有している。入力部22は、タッチパネルスイッチ23に限らず、機械的なボタンスイッチ24やロータリースイッチなど任意の入力手段を有していてもよい。ユーザは、端末機器12の入力部22から空調システム10の設定温度や運転時間など、空調システム10の制御に必要な各種の設定情報を入力する。端末機器12は、ケーシング25に収容された基板26を備えている。表示部21および入力部22は、この基板26に搭載されている。また、端末機器12は、表示部21を照明する照明部27を有している。照明部27は、例えばLEDなどを有しており、表示部21を照明する。例えば透過型のディスプレイの場合、照明部27は表示部21の裏面側に設けられている。端末機器12は、上記に加え、制御部30を有している。制御部30は、基板26に搭載されており、CPU、ROMおよびRAMからなるマイクロコンピュータのチップを有している。空調ユニット11と端末機器12との間は、例えば無線や有線によって通信可能に接続されている。
端末機器12には、図1に示すように温度補正装置31が設けられている。温度補正装置31は、電源部32を備えている。電源部32は、端末機器12に供給する電力をオンまたはオフする。例えば建物15に固定された端末機器12の場合、電源部32は商用電源から供給される電力をオンまたはオフする。また、スマートフォンなどのように汎用的な端末機器12の場合、電源部32は図示しないバッテリから供給される電力をオンまたはオフする。
また、温度補正装置31は、制御部30および温度検出手段としての温度センサ33を備えている。本実施形態の場合、温度補正装置31の制御部30は、端末機器11の制御部30と共用される。なお、温度補正装置31の制御部30は、端末機器11の制御部30と別に設けてもよい。温度センサ33は、図3に示すように端末機器12の基板26に設けられている。温度センサ33は、端末機器12のケーシング25の内側における温度を内部温度Tiとして検出する。温度センサ33は、検出した内部温度Tiを電気信号として制御部30へ出力する。
温度補正装置31は、上記に加え、図1に示すように経過時間取得部34、相関値取得部35および外部温度推定部36を備えている。これら経過時間取得部34、相関値取得部35および外部温度推定部36は、いずれも制御部30においてコンピュータプログラムを実行することにより、ソフトウェア的に実現されている。なお、経過時間取得部34、相関値取得部35および外部温度推定部36は、いずれもソフトウェア的に実現するだけでなく、ハードウェア的に実現してもよく、ソフトウェアとハードウェアとの協働によって実現してもよい。温度補正装置31は、記憶部37を備えている。記憶部37は、例えばEEPROMなどの不揮発性のメモリを有している。記憶部37は、制御部30のROMおよびRAMと共用してもよい。
経過時間取得部34は、経過時間tを取得する。具体的には、経過時間取得部34は、端末機器12へ供給される電力が電源部32によってオフされてからの経過時間tを取得する。経過時間取得部34は、例えば電力の供給がオフされた時刻を記憶部37に記憶する。そして、経過時間取得部34は、電源部32によって電力の供給がオンされたときの時刻と、記憶部37に記憶したオフ時の時刻とから経過時間tを算出する。電源部32は、端末機器12への電力の供給がオフされても、経過時間取得部34における経過時間tの取得のように、機能の維持に必要な最低限の電力を供給する。なお、経過時間取得部34は、インターネットなどに接続し、ネットワーク上で発信されている時刻を取得し、経過時間tを算出する構成としてもよい。
相関値取得部35は、発熱体の発熱量に相関する相関値を取得する。端末機器12は、ケーシング25の内部に照明部27および制御部30などの発熱体を有している。例えば、照明部27は、表示部21を照明する光を発生することにより発熱する。また、制御部30は、演算を繰り返すことにより発熱する。他にもバッテリを有する端末機器12は、充電や放電によっても発熱する。このように、ケーシング25の内部には、発熱する発熱体が収容されている。これら発熱体の発熱は、温度センサ33で検出する内部温度Tiに影響を与える。すなわち、温度センサ33はケーシング25の内部に設けられているため、温度センサ33が検出する内部温度Tiは発熱体の発熱の影響によって本来検出すべき端末機器12の外部における外部温度Toと異なる。
相関値取得部35は、この温度センサ33で検出する内部温度Tiに影響を与える発熱体の発熱量に相関する相関値を取得する。例えば表示部21を照明する照明部27を発熱体とする場合、照明部27の輝度によって発熱量は変化する。そこで、相関値取得部35は、この照明部27の輝度を指示する指令値を相関値として取得する。本実施形態において照明部27の輝度の指令値を相関値として用いるのは一例である。相関値は、例えば照明部27へ供給される電流、制御部30の演算処理数やバッテリの充電電流などであってもよい。このように、端末機器12の内部において様々な素子や機器が発熱体として機能する。相関値取得部35は、この発熱体の発熱量に相関する各種の値を取得する。この場合、相関値取得部35は、相関値として発熱体の温度や発熱量を直接取得する構成としてもよい。以下、説明の簡単のために、特に記載しない限り発熱体として照明部27を適用し、相関値として照明部27の輝度を指示する指令値Vを用いることとする。
外部温度推定部36は、温度センサ33で検出した内部温度Tiを、温度補正値Osで補正して、端末機器12の外部の温度を外部温度Toとして推定する。本実施形態の場合、外部温度推定部36は、起動時処理および変更時処理において外部温度Toを推定する。
起動時処理は、端末機器12への電力の供給がオフされた後、再びオンされたときに実行される。端末機器12への電力の供給がオフされると、端末機器12の内部に設けられている発熱体の発熱量は減少する。そのため、図4に示すように、端末機器12の内部における内部温度Tiは、経過時間tとともに低下し、最終的に外部温度Toに近似する。外部温度推定部36は、この経過時間tとともに低下する内部温度Tiに対応するように温度補正値Osを算出する。そして、外部温度推定部36は、温度センサ33で検出した内部温度Tiを温度補正値Osで補正することにより、外部温度Toを推定する。
詳細には、外部温度推定部36は、端末機器12への電力の供給がオフされたときに取得した温度補正値Osを停止時補正値Ossとする。外部温度推定部36は、この停止時補正値Ossを初期値として、経過時間tおよび設定熱容量Mを用いて温度補正値Osを算出する。ここで、設定熱容量Mは、温度センサ33が設けられている基板26の周囲における熱容量である。この設定熱容量Mが小さいとき、経過時間tに対する温度センサ33で検出する内部温度Tiの変化は大きくなる。一方、設定熱容量Mが大きいとき、経過時間tに対する内部温度Tiの変化は小さくなる。設定熱容量Mは、端末機器12に固有の値として取得される。取得された設定熱容量Mは、記憶部37に記憶されている。外部温度推定部36は、停止時補正値Ossを、経過時間tおよび設定熱容量Mを用いて、温度補正値Osを、次の式1を用いて算出する。
Figure 0006507820
ここで、eは自然対数である。なお、式1は、本実施形態の一例であり、適用する端末機器12に応じて任意に設定することができる。
外部温度推定部36は、式1を用いることにより、経過時間tとともに変化する温度補正値Osを算出する。外部温度推定部36は、算出した温度補正値Osを用いて、温度センサ33で検出した内部温度Tiを補正する。これにより、外部温度推定部36で推定された外部温度Toは、温度センサ33で検出した内部温度Tiを温度補正値Osで補正した値となる。図4の場合、外部温度Toは気温に相当する。したがって、温度補正値Osは、内部温度Tiと外部温度Toとの温度差に相当する。
変更時処理は、端末機器12へ電力の供給がオンされているとき、相関値の変更に対応するために実行される。外部温度推定部36は、端末機器12への電力の供給がオンされている期間、定期的に変更時処理を実行する。この変更時処理のとき、相関値取得部35は、予め設定された一定の時間間隔dtで相関値を定期的に取得する。端末機器12の発熱体の相関値が変更されると、発熱体の発熱量が変化する。近年、電力消費の低減の要求から、表示部21を照明する照明部27は、入力部22による入力時にオンされ、入力が停止されてから所定期間が経過すると自動的にオフされる。また、表示部21の照明部27は、ユーザの必要に応じて輝度が適宜変更される。そのため、照明部27の輝度を変化させると、輝度の相関値である指令値Vも変化する。その結果、図5に示すように、端末機器12の内部における内部温度Tiは、輝度が変更されるごとに時間とともに変化する。このとき、内部温度Tiは、輝度が変更されるとすぐに変更された輝度に応じた温度に到達するのではなく、時間とともに変更された輝度に応じた温度に徐々に近似する。そこで、外部温度推定部36は、照明部27の輝度とともに刻々と変化する内部温度Tiに対応するように温度補正値Osを算出する。そして、外部温度推定部36は、温度センサ33で検出した内部温度Tiを、温度補正値Osで補正することにより、外部温度Toを推定する。
図5の場合、外部温度Toは気温に相当する。そのため、温度補正値Osは、図5における内部温度Tiと外部温度Toとの差に相当する。図5において、例えば時間t1で輝度が増す側へ変更されると、その変更された輝度に応じた目標補正値Ot1が設定される。そして、時間t2で輝度が減じる側へ変更されると、その変更された輝度に応じた目標補正値Ot2が設定される。このように、外部温度推定部36は、相関値である輝度の指令値Vが変化するごとに、目標補正値Otを更新する。
詳細には、外部温度推定部36は、繰り返し実行する変更時処理において前回の処理で算出した温度補正値Osを前回補正値Ospとして取得する。この前回補正値Ospは、変更時処理の前回の処理において算出した温度補正値Osである。この前回の処理で算出した温度補正値Osは、前回の処理において前回補正値Ospとして記憶部37に記憶される。外部温度推定部36は、記憶部37からこの前回補正値Ospを読み取ることにより、前回補正値Ospを取得する。
外部温度推定部36は、相関値取得部35で取得した最新の相関値から、この最新の相関値に応じた目標補正値Otを設定する。すなわち、外部温度推定部36は、相関値取得部から今回の処理で最新の相関値を取得する。本実施形態の場合、外部温度推定部36は、照明部27における最新の輝度に相当する指令値Vを取得する。目標補正値Otは、照明部27の輝度、つまり輝度の指令値Vに応じて異なる。例えば照明部27の輝度が増す側へ変化したとき、照明部27の発熱量が大きくなるため、目標補正値Otは温度が上昇する側へ変化する。一方、照明部27の輝度が減じる側へ変化したとき、照明部27の発熱量が減少するため、目標補正値Otは温度が低下する側へ変化する。このように、目標補正値Otは、照明部27の輝度、つまり輝度の指令値Vによって決定される。この場合、外部温度推定部36は、輝度の指令値Vだけでなく、照明部27を含む基板26全体の発熱量を加味して目標補正値Otを設定してもよい。
外部温度推定部36は、読み出した前回補正値Osp、決定された目標補正値Ot、および設定熱容量Mから最新の温度補正値Osを算出する。ここで、設定熱容量Mは、上述のように端末機器12に固有の値として記憶部37に記憶されている。外部温度推定部36は、これらを用いて、最新の温度補正値Os、すなわち今回の処理における温度補正値Osを、以下の式2を用いて算出する。
Os=Osp+(Ot−Osp)/M 式2
外部温度推定部36は、式2を用いて一定の時間間隔dtで温度補正値Osを算出する。外部温度推定部36は、算出した温度補正値Osを用いて、温度センサ33で検出した内部温度Tiを補正する。これにより、外部温度推定部36で推定された外部温度Toは、温度センサ33で検出した内部温度Tiを温度補正値Osで補正した値となる。外部温度推定部36は、算出した最新の温度補正値Osを、次回の処理で利用する前回補正値Ospとして記憶部37に記憶する。
次に、上記の構成による温度補正装置31の処理の流れについて説明する。
(起動時処理)
図6に基づいて起動時処理の流れを説明する。起動時処理は、端末機器12への電力の供給がオンされたときに実行される。端末機器12は、電力の供給のオンおよびオフが繰り返される。そこで、起動時処理は、端末機器12への電力の供給がオフされた後、再びオンされたときに実行される。
外部温度推定部36は、電源部32による端末機器12への電力の供給がオンされたか否かを判断する(S101)。上述のように、端末機器12は、主となる電力の供給がオフされているときでも、最低限に必要な機能を維持するための電力が供給されている。外部温度推定部36は、この機能を維持するための電力でなく、主となる電力の供給がオンされたか否かを判断する。外部温度推定部36は、電力の供給がオンされていないとき(S101:No)、電力の供給がオンされるまで待機する。
外部温度推定部36は、端末機器12への電力の供給がオンされたと判断すると(S101:Yes)、停止時補正値Ossを取得する(S102)。具体的には、外部温度推定部36は、記憶部37に記憶されている停止時補正値Ossを読み出す。外部温度推定部36は、電源部32が端末機器12の電力の供給をオフしたとき、そのオフしたときに設定されている温度補正値Osを停止時補正値Ossとして記憶部37に記憶している。外部温度推定部36は、この電力の供給がオフされたとき記憶部37に記憶された停止時補正値Ossを取得する。
これとともに、外部温度推定部36は、経過時間tを取得する(S103)。具体的には、外部温度推定部36は、経過時間取得部34から経過時間tを取得する。経過時間取得部34は、電源部32による端末機器12への電力の供給がオフされたときから、S101で電力の供給がオンされたと判断したときまでに経過した時間を経過時間tとして取得する。詳細には、経過時間取得部34は、電力の供給がオフされた時刻を記憶部37に記憶する。そして、経過時間取得部34は、電源部32によって電力の供給がオンされたときの時刻と、記憶部37に記憶されたオフ時の時刻とを用いて経過時間tを算出する。
外部温度推定部36は、S102で取得した停止時補正値Oss、およびS103で取得した経過時間tと、予め設定されている設定熱容量Mとを用いて温度補正値Osを算出する(S104)。設定熱容量Mは、端末機器12に固有の値として記憶部37に記憶されている。外部温度推定部36は、記憶部37から設定熱容量Mを読み取って温度補正値Osを算出する。温度補正値Osは、上記の式1を用いて算出される。つまり、温度補正値Osは、停止時補正値Ossを初期値とし、設定熱容量Mを定数として、経過時間tの関数として算出される。
外部温度推定部36は、S104で算出した温度補正値Osを用いて、端末機器12の外部の温度である外部温度Toを推定する(S105)。すなわち、外部温度推定部36は、温度センサ33で検出した内部温度Tiを、S104で算出した温度補正値Osで補正し、外部温度Toとして推定する。これにより、端末機器12への電力の供給がオンされた起動時における外部温度Toは、経過時間tとともに変化する温度補正値Osを含めて推定される。端末機器12は、S105において外部温度推定部36で推定した外部温度Toを用いて、起動時における空調ユニット11の制御を実行する。
(変更時処理)
外部温度推定部36は、起動時処理が完了すると、図7に示す変更時処理に移行する。上述のように、起動時処理は、端末機器12の電力の供給がオフされた後にオンされた際の処理である。詳細には、起動時処理は、端末機器12の電力の供給がオンされた起動時において、温度センサ33で検出した内部温度Tiと外部温度Toとの差を解消するために、端末機器12がオフされてからの経過時間tに依存する温度補正値Osを算出している。一方、起動時処理が完了し、端末機器12が運転状態へ移行すると、温度補正値Osは端末機器12に設けられている発熱体の発熱量に依存して変化する。そこで、外部温度推定部36は、起動時処理が完了すると、端末機器12に設けられている発熱体の状態にあわせて温度補正値Osを算出する。
外部温度推定部36は、変更時処理に移行すると、前回補正値Ospを取得する(S201)。外部温度推定部36は、記憶部37に記憶されている前回補正値Ospを取得する。前回補正値Ospは、一定の時間間隔dtで繰り返される変更時処理において、前回の変更時処理に算出した温度補正値Osである。つまり、外部温度推定部36は、変更時処理を実行するごとに温度補正値Osを算出し、算出した温度補正値Osを次回の変更時処理で用いる前回補正値Ospとして記憶部37に記憶する。また、起動時処理から変更時処理に移行したとき、前回補正値Ospは図6のS104で算出した温度補正値Osである。
外部温度推定部36は、前回補正値Ospを取得すると、相関値として照明部27の輝度の指令値Vを取得する(S202)。外部温度推定部36は、相関値取得部35から発熱体である照明部27の発熱量に相関する相関値として輝度の指令値Vを取得する。相関値取得部35は、制御部30から照明部27へ出力される輝度の指令値Vを読み取る。
外部温度推定部36は、輝度の指令値Vを取得すると、目標補正値Otを設定する(S203)。目標補正値Otは、相関値、すなわち輝度の指令値Vに応じて異なる。照明部27の輝度が大きいとき目標補正値Otは大きくなり、輝度が小さいとき目標補正値Otは小さくなる。そこで、外部温度推定部36は、取得した輝度の指令値Vに基づいて、この指令値Vに相当する目標補正値Otを設定する。輝度の指令値Vと目標補正値Otとの関係は、例えば関数またはテーブルとして記憶部37に記憶されている。この場合、外部温度推定部36は、輝度の指令値Vだけでなく、照明部27を含む基板26全体の発熱量を加味して目標補正値Otを設定してもよい。
外部温度推定部36は、目標補正値Otを設定すると、最新の温度補正値Osを算出する(S204)。すなわち、外部温度推定部36は、S201で取得した前回補正値Osp、S203で設定された目標補正値Ot、および設定熱容量Mを用いて温度補正値Osを算出する。このS204で算出される温度補正値Osは、今回の処理で算出される最新の温度補正値Osである。外部温度推定部36は、上記の式2を用いて温度補正値Osを算出する。
外部温度推定部36は、S204で算出した温度補正値Osを用いて、端末機器12の外部の温度である外部温度Toを推定する(S205)。すなわち、外部温度推定部36は、温度センサ33で検出した内部温度Tiを、S204で算出した温度補正値Osで補正し、外部温度Toとして推定する。これにより、外部温度Toは、照明部27の輝度の変化にともなう発熱量の変化を含めて推定される。端末機器12は、S205において外部温度推定部36で推定した外部温度Toを用いて、空調ユニット11の制御を実行する。
外部温度推定部36は、S204で算出した温度補正値Osを、次回の処理で用いる前回補正値Ospとして記憶部37に記憶する(S206)。そして、外部温度推定部36は、端末機器12への電力の供給がオフされたか否かを判断する(S207)。外部温度推定部36は、端末機器12への電力の供給がオフされたと判断すると(S207:Yes)、S206で記憶部37に記憶した前回補正値Ospを、図6に示す起動時処理で用いる停止時補正値Ossに設定する(S208)。これにより、起動時処理で用いる停止時補正値Ossは、端末機器12への電力の供給がオフされるごとに記憶部37に記憶される。また、経過時間取得部34は、端末機器12への電力の供給がオフされたときの時刻を取得し、記憶部37に記憶する。
一方、外部温度推定部36は、端末機器12への電力の供給がオフされていないと判断すると(S207:No)、時間間隔dtが経過したか否かを判断する(S209)。外部温度推定部36は、時間間隔dtが経過していないと判断すると(S209:No)、S207へリターンし、S207以降の処理を繰り返す。このように、外部温度推定部36は、サンプリング期間である時間間隔dtが経過するまで端末機器12への電力の供給を監視しつつ、温度補正値Osを変更することなく待機する。時間間隔dtは、例えば10秒程度に設定されている。
外部温度推定部36は、時間間隔dtが経過したと判断すると(S209:Yes)、S202へリターンする。そして、外部温度推定部36は、S206で記憶部37に記憶した前回補正値Ospを用いて、S203以降の処理を繰り返す。すなわち、外部温度推定部36は、時間間隔dtが経過するごとに温度補正値Osを更新する。
以上説明した一実施形態では、外部温度推定部36は、電力の供給がオフされてから再びオンされたとき、電力の供給がオフされてからの経過時間tに応じて温度補正値Osを算出する。すなわち、外部温度推定部36は、電力の供給がオフされたとき、そのときの温度補正値Osを停止時補正値Ossとして取得する。そして、外部温度推定部36は、この停止時補正値Ossを、経過時間tおよび設定熱容量Mを用いて温度補正値Osを算出する。つまり、外部温度推定部36は、経過時間tに依存する温度補正値Osを算出する。電力の供給がオフされると、発熱体である照明部27の発熱が停止し、発熱量が減少する。そのため、端末機器12の内部における温度センサ33の周囲は、時間の経過とともに温度が低下する。この温度の低下は、経過時間tおよび設定熱容量Mに依存している。そこで、外部温度推定部36は、電力の供給がオフされた際の停止時補正値Ossを初期値として、経過時間tとともに減少する発熱量を考慮して、温度センサ33で検出した内部温度Tiを補正する温度補正値Osを算出する。これにより、電力の供給が再びオンされたとき、外部温度推定部36は、経過時間tに応じて算出した温度補正値Osを用いて外部温度Toを推定する。したがって、電力の供給がオンされた直後であっても、温度センサ33で検出した温度を高精度に補正することができる。
また、一実施形態では、外部温度推定部36は、前回補正値Osp、目標補正値Otおよび設定熱容量Mから、最新の温度補正値Osを算出する。すなわち、外部温度推定部36は、一定の時間間隔dtで取得した発熱体である照明部27の発熱量に相関する輝度の指令値Vから、この最新の指令値Vに応じて目標とする目標補正値Otを設定する。そして、外部温度推定部36は、前回の処理で算出した温度補正値Osである前回補正値Osp、および設定熱容量Mから最新の温度補正値Osを算出する。このように、外部温度推定部36は、一定の時間間隔dtで発熱体である照明部27の発熱量に相関する輝度の指令値Vから目標補正値Otを設定する。そして、外部温度推定部36は、前回の処理で算出した前回補正値Ospを、目標補正値Otおよび設定熱容量Mを用いてさらに補正することにより、最新の温度補正値Osを算出する。これにより、発熱体である照明部27の輝度が変化しても、最新の温度補正値Osは目標補正値Otに追従する。したがって、発熱体である照明部27の輝度が変更されても、温度センサ33で検出した温度を高精度に補正することができる。
一実施形態では、温度センサ33で検出した内部温度Tiは、温度センサ33の周囲における設定熱容量Mを用いた温度補正値Osで補正される。このように、内部温度Tiを補正するための温度補正値Osは、端末機器12に固有の設定熱容量M、および発熱体である照明部27の輝度の指令値Vを用いて算出される。そのため、温度センサ33は内部温度Tiを検出すればよく、端末機器12はケーシング25の外部の空気と温度センサ33とを接触させるための構造が不要となる。すなわち、端末機器12は、ケーシング25の外部の空気と温度センサ33とを接触させなくても、温度補正値Osを算出可能である。これにより、ケーシング25は、例えば内部と外部との間で空気の流れを形成するための孔などを必要としない。したがって、ケーシング25の設計における自由度が向上し、美感の向上を図ることができる。
以上説明した本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の実施形態に適用可能である。
図面中、10は空調システム(機器制御装置)、1は空調ユニット(制御対象機器)、12は端末機器、21は表示部、27は照明部(照明手段)、31は温度補正装置、32は電源部(電源手段)、33は温度センサ(温度検出手段)、34は経過時間取得部(経過時間取得手段)、35は相関値取得部(相関値取得手段)、36は外部温度推定部(外部温度推定手段)を示す。

Claims (2)

  1. 制御対象機器と、前記制御対象機器と別体であり前記制御対象機器へ設定情報を入力する端末機器とを備える機器制御装置において、前記端末機器で検出した温度を補正する温度補正装置であって、
    前記端末機器の内部に設けられ、前記端末機器の内部の温度を内部温度として検出する温度検出手段と、
    予め設定された一定の時間間隔で前記端末機器に設けられている発熱体の発熱量に相関する相関値を取得する相関値取得手段と、
    前記温度検出手段で検出した前記内部温度を、前記相関値取得手段で取得した前記相関値に基づく温度補正値で補正して、前記端末機器の外部の温度を外部温度として推定する外部温度推定手段と、を備え、
    前記外部温度推定手段は、
    前回の処理で算出した前記温度補正値を前回補正値として取得し、
    前記相関値取得手段で取得した最新の前記相関値から、この最新の相関値に応じて目標とする目標補正値を設定し、
    前記前回補正値、前記目標補正値、および前記端末機器の内部において前記温度検出手段が設けられている周囲の熱容量を示す設定熱容量から、最新の前記温度補正値を算出する温度補正装置。
  2. 前記発熱体は、前記端末機器に設けられている表示部を照明する照明手段を有する請求項1記載の温度補正装置。
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