JP6507619B2 - 工作機械の熱変位量推定装置に用いる温度検出位置の条件決定方法 - Google Patents

工作機械の熱変位量推定装置に用いる温度検出位置の条件決定方法 Download PDF

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Description

本発明は、工作機械の熱変位量推定装置に用いる温度検出位置の条件決定方法に関するものである。
特許文献1には、工作機械の構造体モデルを複数のブロックに分割して、各々のブロック温度を均一値として構造解析を行うことにより、構造体モデルの熱変位量を推定することが記載されている。つまり、同一のブロック内に含まれる節点における温度が、同一値となる。そして、各節点の熱変位量ベクトルは、{δ}=[K]−1[F]{T}で表される。ここで、{δ}は各節点の熱変位量ベクトルであり、[K]は構造体モデルの剛性マトリックスであり、[F]は各節点の力係数マトリックスであり、{T}は各ブロックの温度ベクトルである。なお、本明細書において用いるベクトルは、すべて列ベクトルを意味する。
各ブロックの温度ベクトル{T}の要素数はブロック数に応じたものであり、各節点数に比べて大幅に少ない。そのため、各節点の熱変位量ベクトル{δ}の演算量が、大幅に低減する。従って、各節点の熱変位量ベクトル{δ}の演算速度の高速化を図ることができる。その結果、当該演算を加工中にリアルタイムに行いながら、リアルタイムな熱変位補正が可能となる。
国際公開第2012/157687号
ここで、各ブロック温度は、ブロック内に配置される温度センサにより取得される。上記演算においては、同一ブロック内に含まれる節点における温度は、実際には異なる温度であるが、演算の高速化のため均一値としている。つまり、温度センサが配置される節点と温度センサから離れた節点とを均一温度として構造解析が行われる。従って、温度センサから離れた節点においては、実際の温度と構造解析に用いる温度とのずれが大きくなる。温度のずれが大きいほど、実際の熱変位量と推定される熱変位量とのずれが大きくなる。
多数の温度センサを配置して、分割するブロック数を多くすることにより、同一ブロック内における温度のずれが小さくなる。その結果、高精度な熱変位量が推定できる。しかし、温度センサの数が多くなればなるほど、高コストとなる。
本発明は、分割するブロックの数を少なくしつつ、高精度な熱変位量が推定できる、工作機械の熱変位量推定装置に用いる温度検出位置の条件決定方法を提供することを目的とする。
本発明に係る工作機械の熱変位量推定装置に用いる温度検出位置の条件決定方法は、工作機械の構造体モデルの熱解析を行うことにより前記構造体モデルの第一温度分布を作成する第一温度分布作成工程と、前記第一温度分布に基づいて前記構造体モデルの構造解析を行うことにより、前記構造体モデルの所定節点における第一熱変位量を取得する第一構造解析工程と、前記構造体モデルを複数のブロックに分割して各々のブロック温度を均一値とするときに、前記第一温度分布に基づいて前記各々のブロック温度の第二温度分布を作成する第二温度分布作成工程と、前記第二温度分布に基づいて前記構造体モデルの構造解析を行うことにより、前記構造体モデルの前記所定節点における第二熱変位量を取得する第二構造解析工程と、前記第二温度分布を複数の温度傾向パターンに応じた所定の複数の条件のそれぞれで変化させて、複数の前記各々のブロック温度の第三温度分布を作成する第三温度分布作成工程と、前記複数の第三温度分布に基づいて前記構造体モデルの構造解析をそれぞれ行うことにより、複数の第三熱変位量をそれぞれ取得する第三構造解析工程と、前記第一熱変位量と前記第二熱変位量との基準相違傾向、及び、前記第二熱変位量と前記複数の第三熱変位量のそれぞれのとの相違傾向に基づいて、前記複数の第三熱変位量の中から1つの第三熱変位量を選択する第三熱変位量選択工程と、前記基準相違傾向、及び、選択した前記第三熱変位量に対応する前記相違傾向に基づいて、前記基準相違傾向と選択した前記第三熱変位量に対応する前記相違傾向との相違度合いを算出する相違度合い算出工程と、前記第二温度分布、選択した前記第三熱変位量に対応する前記第三温度分布、及び、前記相違度合いに基づいて、前記各々のブロック温度の最適温度分布を算出する最適温度分布算出工程と、前記第一温度分布及び前記最適温度分布に基づいて、前記工作機械の構造体における温度検出位置を決定する温度検出位置決定工程と、を備える。
第一熱変位量は、熱解析により取得された構造体モデルの第一温度分布に基づいて構造体モデルの構造解析を行っているため、実際の構造体の熱変位量にほぼ等しい。一方、第二熱変位量は、構造体モデルを複数のブロックに分割した場合に各々のブロック温度を均一値とする第二温度分布に基づいているため、実際の構造体の熱変位量からずれた値となる。
そこで、第一熱変位量と第二熱変位量との基準相違傾向を補完するような変位を与える複数の第三温度分布、すなわち第二温度分布を任意の条件で変化させた第三温度分布を想定し、複数の第三熱変位量を予め算出する。そして、基準相違傾向を、第二熱変位量と複数の第三熱変位量のそれぞれとの相違傾向が打ち消すような第三熱変位量を選択する。
さらに、基準相違傾向を最もよく打ち消すことができる相違度合いを算出し、最適温度分布を算出する。最適温度分布が算出された後には、当該最適温度分布に対応する温度検出位置を決定する。温度検出位置の決定に際しては、熱解析による温度分布を用いる。従って、得られた温度検出位置に温度センサを配置することで、高精度な熱変位量の推定が可能となる。
本実施形態の工作機械の機械構成を示す図である。 本実施形態の工作機械の非構造体の構成を示すブロック図である。 コラムの構造体モデルを示す斜視図である。 コラムの構造体モデルにおいてブロック及びブロック境界位置を示す図である。 条件決定装置による条件(温度検出位置)の決定方法のフローチャートである。 図5のS3にて作成される第二温度分布である。 (a),(b),(c),(d)は、それぞれ図5のS5にて使用される温度傾向パターンの例を示す図である。 (a),(b),(c),(d)は、それぞれ図7の(a),(b),(c),(d)の変形状態を示す図である。 図5のS8にて使用される相違度合いを説明するためのコラムの変化量を示す図である。 図5のS8にて使用される相違度合い説明するためのコラムの変形状態を示す図である。 図5のS12にて決定される温度検出位置を示すコラムの図である。
(1.工作機械の機械構成)
工作機械10の一例としての横型マシニングセンタについて図1を参照して説明する。工作機械10は移動軸として、相互に直交する3つの直進軸(X,Y,Z軸)及び鉛直方向の回転軸(B軸)を有する工作機械である。なお、本発明が適用される工作機械10は、以下に説明する工作機械10に限られるものではない。
図1に示すように、工作機械10の機械本体は、構造体としての、ベッド11、コラム12、サドル13、主軸14、スライドテーブル15及びターンテーブル16を備える。ベッド11は、ほぼ矩形状からなり、床上に配置される。ベッド11上には、コラム12が、X軸方向(図1の紙面前後方向)に移動可能に設けられる。コラム12の側面には、サドル13が、Y軸方向(図1の紙面上下方向)に移動可能に設けられる。
サドル13には、主軸14が、Z軸方向に平行な軸回りに回転可能に設けられる。主軸14の先端には、回転工具19が取り付けられる。また、ベッド11上には、スライドテーブル15がZ軸方向に移動可能に設けられる。スライドテーブル15上には、ターンテーブル16がY軸回り(B軸)に回転可能に設けられる。ターンテーブル16には、被加工物Wが治具を介して固定している。
(2.工作機械の非構造体の構成の概要)
図2に示すように、工作機械10は、上述した構造体11〜16に加えて、非構造体としての、熱変位量推定装置20、熱変位補正装置30及び制御装置40を備える。本発明の条件決定方法は、熱変位量推定装置20の条件を決定するものである。
制御装置40は、移動体としての構造体12〜16を駆動するためのアクチュエータ(図示せず)を制御して、回転工具19による被加工物Wの加工を行う。詳細には、制御装置40は、移動する構造体12〜16に対する位置指令値に基づいて、各アクチュエータを制御する。
熱変位量推定装置20は、構造体11〜16の所定位置に配置された複数の温度センサ21a〜21h(図1参照)の各々により検出される検出温度T1〜T8に基づいて、リアルタイムに構造体モデルの構造解析を行うことにより、各構造体11〜16の所定位置における熱変位量を推定する。
例えば、熱変位量推定装置20は、コラム12に配置された複数の温度センサ21a〜21hによる検出温度T1〜T8に基づいてコラム12の構造体モデルの構造解析を行うことにより、加工点熱変位に寄与するコラム12のサドル13との摺動面(図1の左側面)の複数位置における熱変位量を推定する。なお、複数の温度センサ21a〜21hは、コラム12のみに限らず、工作機械10の各構造体11〜16の所定位置に配置されるようにしてもよい。熱変位量推定装置20の詳細は、後述する。
熱変位補正装置30は、工作機械10の各構造体11〜16の熱変位に伴って生じる被加工物Wと回転工具19との相対位置のずれを解消するために、移動体としての構造体12〜16の位置指令値に対する補正を行う。
具体的には、図2に示すように、熱変位補正装置30は、補正値演算部31と、補正部32とを備える。補正値演算部31は、熱変位量推定装置20により得られた熱変位量に基づいて、リアルタイムに、移動体としての構造体12〜16に対する位置指令値の補正値を演算する。補正部32は、補正値演算部31により得られた補正値に基づいて、制御装置40による位置指令値を補正する。
(3.構造解析の基本説明)
次に、熱変位量推定装置20の構造解析部23(図2参照)による構造解析の基本について説明する。工作機械10の構造体の一つであるコラム12の熱変位に伴う熱変位補正を行う場合を例に挙げて、コラム12の熱変位量を推定する場合における構造解析の基本について図3を参照して説明する。なお、構造解析部23による構造解析は、コラム12の他に、ベッド11などの他の構造体にも同様に適用できる。
構造解析部23は、構造体モデルを用いて、有限要素法による構造解析を行う。図3において、太線L1は、コラム12の形状線であり、細線L2は、有限要素法による構造解析における要素Sの境界線分である。各細線L2の端点が節点Po1,Po2,Po3,・・・となる。図3においては、各要素Sは、四面体一次要素としている。なお、各要素Sは、四面体一次要素に限られることなく、四面体二次要素、六面体一次要素、六面体二次要素などを適用できる。
つまり、構造解析部23は、図3の各要素Sに基づいて、コラム12の構造体モデルについてリアルタイムに有限要素法による構造解析を行い、加工点熱変位に寄与するコラム12の構造体モデルの一部の節点Po1,Po2,Po3における熱変位量を推定する。ここで、コラム12の構造体モデルについて有限要素法による構造解析における解析条件として、全ての節点の温度が必要である。
(4.構造解析のブロック化及びブロック温度の説明)
構造解析部23は、構造体モデルの全ての節点の温度を実際の構造体11〜16の対応する位置における温度として構造解析を行うと、非常に多数の演算回数を要し、長時間の演算時間を要する。
そこで、構造解析部23は、構造体モデルを複数のブロックに分割して、複数のブロックの各々のブロック温度が均一値であるとして、構造解析を行う。設定するブロック温度の均一値としては、ブロック内の特定の節点、例えばブロックの重心位置に最も近接する節点の温度や、全節点温度の平均値もしくは中央値などが挙げられる。従って、構造解析部23が構造解析に用いる各節点の温度は、実際の構造体11〜16の各部位の温度とは異なる値となるが、ブロック温度を均一値とすることにより、構造解析部23による構造解析の演算量が大幅に低減し、高速な演算が可能となる。
コラム12の構造体モデルを分割した複数のブロックB1〜B8について、図4を参照して説明する。図4に示すように、コラム12の構造体モデルは、Y方向ブロック境界Ly1,Ly2,Ly3及びZ方向ブロック境界Lzにより分割される。つまり、コラム12の構造体モデルは、複数のブロックB1〜B8に分割される。実際には、コラム12の構造体モデルは、X軸方向についても複数のブロックに分割されるが、図4においては、簡易的に示すため、Y−Z平面のみにおいて分割するものとする。
複数のブロックB1〜B8の各々の内部には、各々の温度センサ21a〜21hが配置される。つまり、ブロックB1〜B8の数は、温度センサ21a〜21hの数と一致する。複数のブロックB1〜B8の各々のブロック温度T1〜T8は、均一値であって、複数の温度センサ21a〜21hの各々による検出温度T1〜T8である。従って、ブロックB1〜B8の各々に含まれる節点の温度は、対応するブロック温度T1〜T8とされる。例えば、ブロックB1に含まれる全ての節点の温度は、ブロックB1の内部に配置される温度センサ21aによる検出温度T1となる。
ここで、温度センサ21a〜21hによる検出温度T1〜T8は、温度センサ21a〜21hが配置される位置によって異なる値となる。従って、構造解析に用いるブロック温度T1〜T8は、温度センサ21a〜21hの位置によって異なる値となる。ブロック温度T1〜T8は、解析精度に影響を及ぼす。そこで、以下に説明する条件決定方法によって、高精度な熱変位量を推定できる温度センサ21a〜21hの位置を決定する。
(5.熱変位量推定装置20の詳細説明)
次に、熱変位量推定装置20による熱変位量推定方法について、図2及び図4を参照して説明する。熱変位量推定装置20は、図2に示すように、温度センサ21a〜21hと、ブロック温度取得部22と、構造解析部23とを備える。
温度センサ21a〜21hは、図1に示すように、コラム12の内部に配置される。図4に示すように、各々の温度センサ21a〜21hは、ブロックB1〜B8の内部に配置される。ブロック温度取得部22は、ブロック温度T1〜T8を、対応する温度センサ21a〜21hの検出温度として取得する。
構造解析部23は、複数のブロックB1〜B8の各々におけるブロック温度T1〜T8に基づいて、コラム12の構造体モデルの構造解析を行う。本実施形態においては、構造解析部23は、コラム12の構造体モデルについて有限要素法による構造解析を行い、コラム12におけるサドル13の摺動面のうち、所定の節点Po1,Po2,Po3の熱変位量を推定する。構造解析の条件として、材料定数、各節点における温度、構造上の拘束条件、支持構造におけるばね要素等が必要となる。ここで、構造解析の条件のうち各節点における温度のみ変化するものであって、他の条件は既知である。そして、各節点における温度情報は、ブロック温度取得部22により取得されたブロック温度T1〜T8を用いる。
構造解析部23による構造解析は、式(1)のような行列演算式により表される。式(1)の演算回数は、Npart1×2×Nblock回となる。ここで、以下の式において、行数及び列数、もしくは要素数を示す表記としている。
Figure 0006507619
ここで、{δpart1}は、節点Po1,Po2,Po3の熱変位量ベクトル(要素数Npart1)である。[P1part1]は、節点Po1,Po2,Po3に関係する係数マトリックス(行数Npart1、列数Nblock)である。{Tblock}は、各ブロックB1〜B8の温度ベクトル(要素数Nblock)である。つまり、{Tblock}は、ブロック温度T1〜T8を列ベクトルとして表示したものに相当する。
つまり、構造解析部23は、予め記憶する係数マトリックス[P1part1]、ブロック温度取得部22により取得されたブロック温度T1〜T8を用いて、式(1)に従って節点Po1,Po2,Po3の熱変位量を得る。
(6.構造解析式の導出方法)
以下に、構造解析部23による構造解析に用いる行列演算式(式(1))の導出方法について説明する。構造体モデルの剛性方程式は、式(2)により表される。{f}は、各節点の外力ベクトル(要素数Nall)である。[K]は、剛性マトリックス(行数Nall、列数Nall)であって、コラム12の材料定数及びコラム12の形状により得られる既知の値である。{δall}は、各節点の変位ベクトル(要素数Nall)である。allは、全ての節点数を意味する。明細書において用いるベクトルは、すべて列ベクトルを意味する。
Figure 0006507619
また、節点の温度に応じた節点力の関係式は、式(3)により表される。[F]は、節点力係数マトリックス(行数Nall、列数Nall)であって、コラム12の材料定数及びコラム12の形状により得られる既知の値である。{Tall}は、各節点の温度ベクトル(要素数Nall)である。
Figure 0006507619
式(2)(3)の左辺が共通するため、各節点の熱変位量ベクトル{δall}は式(4)のように表される。つまり、式(4)における各節点の熱変位量ベクトル{δall}は、各節点の熱変位量に相当する。ここで、後の説明の容易化のため、式(5)のように、剛性マトリックス[K]の逆行列と節点力係数マトリックス[F]の乗算行列は[P]と表す。
Figure 0006507619
Figure 0006507619
式(5)に基づいて全ての節点の熱変位量ベクトル{δall}、すなわち全ての節点の熱変位量を演算するためには、非常に多数の演算回数を要し、長時間の演算時間を要する。しかし、本実施形態においては、コラム12の構造体モデルを複数に分割したブロックB1〜B8の各々における節点の温度は、均一値である。つまり、温度の種類は、ブロックB1〜B8の総数と同数となる。そうすると、上述した式(5)は、以下のように、式(6)のように表される。
Figure 0006507619
式(6)の演算回数は、上述した式(5)の演算回数に比べると大幅に少なくできるが、以下のようにすることで、さらに少なくなる。熱変位量ベクトル{δall}は、コラム12の構造体モデルの全ての節点における熱変位量を示している。しかし、熱変位補正装置30による補正を行うためには、コラム12全体の熱変位量は必要ではなく、コラム12のうちサドル13が摺動する部位だけで十分である。そこで、式(6)における熱変位量ベクトル{δall}を、コラム12の一部の節点Po1,Po2,Po3における熱変位量ベクトル{δpart1}と、それ以外の部位の節点における熱変位量ベクトル{δpart2}とに分けて表すと、式(7)のようになる。
Figure 0006507619
式(7)のうち、コラム12の構造体モデルの節点Po1,Po2,Po3における熱変位量ベクトル{δpart1}のみを抽出すると、上述した式(1)のように表すことができる。
(7.条件決定方法)
本実施形態の条件決定方法は、温度センサ21a〜21hを配置する位置、すなわちブロック温度T1〜T8を検出する位置を決定する。条件決定方法について、図5〜図10を参照して説明する。ここで、条件決定方法は、コンピュータによって構成される条件決定装置によって行われる。つまり、以下の処理は、条件決定装置による処理である。
図5に示すように、条件決定装置は、コラム12の構造体モデルについて、熱解析を行うことにより当該構造体モデルの第一温度分布θ1を作成する(図5のS1:第一温度分布作成工程)。熱解析は、構造体モデル、構造体の熱伝達条件、構造体に付与される外的付与熱条件、拘束条件等に基づいて行われる。熱伝達条件は、例えば構造体の材料に応じたものである。外的付与熱条件は、例えば、構造体の環境温度、外部の構造体(例えば主軸14など)から受ける熱などである。拘束条件は、熱変位が規制される条件などである。
続いて、条件決定装置は、熱解析により取得されたコラム12の構造体モデルの第一温度分布θ1に基づいて構造体モデルの第一構造解析を行う(図5のS2:第一構造解析工程)。その結果、条件決定装置は、構造体モデルの節点数nの第一熱変位量δNo1,Z1、δNo1,Z2、δNo1,Z3、・・・、δNo1,Zn(以下、単にδ1とする)を取得する。本実施形態においては、条件決定装置が取得する第一熱変位量δ1は、Z軸方向の熱変位量のみを取得するものとする。添え字No1は、第一熱変位量であることに対応し、添え字Z1,Z2,Z3・・・,Znは、節点に対応する。
条件決定装置は、第一構造解析工程と並列に、以下の処理を行う。条件決定装置は、構造体モデルを複数のブロックB1〜B8に分割して各々のブロック温度を均一値とするときに、熱解析により取得されたコラム12の構造体モデルの第一温度分布θ1に基づいて各々のブロック温度の第二温度分布θ2を作成する(図5のS3:第二温度分布作成工程)。
図6に示すように、第二温度分布θ2は、ブロックB1〜B8の各々について、節点温度の最小値TaB1,1、TaB2,1、TaB3,1、TaB4,1、TaB5,1、TaB6,1、TaB7,1、TaB8,1から最大値TaB1,n1、TaB2,n2、TaB3,n3、TaB4,n4、TaB5,n5、TaB6,n6、TaB7,n7、TaB8,n8の順に並べて配置される。節点温度の添え字B1〜B8は、ブロックB1〜B8に対応し、添え字n1,n2,n3,n4,n5,n6,n7,n8は、ブロックB1〜B8の各々における節点温度の種類の数に対応する。つまり、n1,n2,n3,n4,n5,n6,n7,n8は、ブロックB1〜B8の各々の節点数以下の数となる。
続いて、条件決定装置は、コラム12の構造体モデルの各々のブロック温度の第二温度分布θ2に基づいて構造体モデルの第二構造解析を行う(図5のS4:第二構造解析工程)。その結果、条件決定装置は、構造体モデルの節点数nの第二熱変位量δNo2,Z1、δNo2,Z2、δNo2,Z3、・・・、δNo2,Zn(以下、単にδ2とする)を取得する。
条件決定装置は、第二構造解析工程と並列に、以下の処理を行う。条件決定装置は、コラム12の構造体モデルの各々のブロック温度の第二温度分布θ2を複数の温度傾向パターンC1〜Cjに応じた所定の複数の条件のそれぞれで変化させて、複数の各々のブロック温度の第三温度分布θ31〜θ3jを作成する(図5のS5:第三温度分布作成工程)。
温度傾向パターンC1〜Cjとは、構造体モデルの任意のブロック温度を任意の条件で変化、すなわち任意の変化割合(r%)で正負に変化させたときのパターンをいう。任意の変化割合(r%)としては、例えば、基準温度からの変化量の±10%、±5%等が用いられる。この基準温度としては、例えば、設計上の設定温度、常温等が用いられる。このような温度傾向パターンCは、図7に示すように、予め複数作成される。例えば、図7(a)に示す温度傾向パターンC1(θC1(+10%))は、全ブロックB1〜B8のブロック温度を+10%上昇させたときのパターン、図7(b)に示す温度傾向パターンC2(θC2(+10%))は、全ブロックのうちY軸方向でベッド11に隣接するブロックB4及びB8のブロック温度を+10%上昇させたときのパターン、図7(c)に示す温度傾向パターンC3(θC3(+10%))は、全ブロックのうちZ軸方向で主軸13から遠い側のブロックB5〜B8のブロック温度を+10%上昇させたときのパターン、図7(d)に示す温度傾向パターンC4(θC4(+10%))は、全ブロックのうちZ軸方向で主軸13に近い側(加工点に近い側)のブロックB2,B3,B6,B7のブロック温度を+10%上昇させたときのパターンを表す。なお、添え字C1、C2、・・・C4は、温度傾向パターンC1〜C4に対応する。
変化割合rは、第二温度分布θ2のブロックB1〜B8の各々についての節点温度の最小値TaB1,1、TaB2,1、TaB3,1、TaB4,1、TaB5,1、TaB6,1、TaB7,1、TaB8,1と最大値TaB1,n1、TaB2,n2、TaB3,n3、TaB4,n4、TaB5,n5、TaB6,n6、TaB7,n7、TaB8,n8との範囲内で決定する。又は、予め決定した変化割合rでのブロック温度が、上記最大値より大きくなったとき、もしくは上記最小値より小さくなったとき、決定した変化割合rを変更して最小値と最大値との範囲内に収まったとき、その変化割合rを再決定する。
続いて、条件決定装置は、コラム12の構造体モデルの複数の各々のブロック温度の第三温度分布θ31〜θ3jに基づいて構造体モデルの第三構造解析を行う(図5のS6:第三構造解析工程)。その結果、条件決定装置は、構造体モデルの節点数nの第三熱変位量δNo3,Z1,C1〜δNo3,Z1,Cj、δNo3,Z2,C1〜δNo3,Z2,Cj、δNo3,Z3,C1〜δNo3,Z3,Cj、・・・、δNo3,Zn,C1〜δNo3,Zn,Cj(以下、単にδ31、δ32、・・・、δ3とする)を取得する。本実施形態においては、条件決定装置が取得する第三熱変位量δ3は、Z軸方向の熱変位量のみを取得するものとする。添え字No3は、第三熱変位量であることに対応し、添え字Z1,Z2,Z3・・・,Znは、節点数nに対応する。
ここで、条件決定装置における第二構造解析は、構造解析部23にて式(1)に従って行われる構造解析である。ブロック数が8つであり、節点数がnであるため、式(1)における係数マトリックス[P1part1]は、式(8)のように表される。
Figure 0006507619
そうすると、温度傾向パターンC1における第三熱変位量δ31は、式(9)のように表される。また、温度傾向パターンCjにおける第三熱変位量δ3jは、式(10)のように表される。
Figure 0006507619
Figure 0006507619
例えば、図7(a)〜(d)に示す温度傾向パターンC1〜C4(θC1(+10%)〜θC4(+10%))における第三熱変位量δ31〜δ34に基づく変位形状は、コラム12の底面が床面に拘束されているとすると以下のようになる。温度傾向パターンC1(θC1(+10%))の場合は、図8(a)に示すように図の左右に広がるように変形し、温度傾向パターンC2(θC2(+10%))の場合は、図8(b)に示すように図の左方に傾くように変形し、温度傾向パターンC3(θC3(+10%))の場合は、図8(c)に示すように図の右に傾くように変形し、温度傾向パターンC4(θC4(+10%))の場合は、図8(d)に示すように図の中央が左右に広がるように変形する。
続いて、条件決定装置は、第二熱変位量δ2と第一熱変位量δ1との差分(誤差)を基準相違傾向δ2−δ1として求めるとともに、複数の第三熱変位量δ31〜δ3jのそれぞれと第二熱変位量δ2との差分(誤差)を相違傾向δ3−δ2、・・・、δ3−δ2として求める。そして、第二熱変位量δ2と第一熱変位量δ1との差分(誤差)を最小化するために、複数の相違傾向δ3−δ2、・・・、δ3−δ2の中から基準相違傾向δ2−δ1に最も近い1つの相違傾向δ3f−δ2を選択し、選択した相違傾向に対応する1つの第三熱変位量δ3fを複数の第三熱変位量δ31〜δ3jの中から選択する(図5のS7:第三熱変位量選択工程)。
複数の相違傾向δ3−δ2、・・・、δ3−δ2の中から基準相違傾向δ2−δ1に最も近い1つの相違傾向を選択する方法としては、基準相違傾向δ2−δ1の加工点変位に影響する部位の変位を座標に対する何らかの関数、例えば二次関数aX+bX+cで近似し、aX,bX,cの絶対値の最も大きな次数から優先して複数の相違傾向δ3−δ2、・・・、δ3−δ2の中から近いものを選択する。
続いて、条件決定装置は、選択した第三熱変位量δ3fに対応する相違傾向δ3f−δ2そのままではなく、当該相違傾向δ3f−δ2に係数を掛けた値で第二熱変位量δ2と第一熱変位量δ1との差分(誤差)を最小化できる場合は、当該係数、すなわち基準相違傾向δ2−δ1と相違傾向δ3f−δ2との相違度合いrの最適値を算出する(図5のS8:相違度合い算出工程)。
ここで、相違度合いrについて説明する。図9に示すように、コラム12の変化量が0のときをコラム12の高さ方向に延びる実線で表す。基準相違傾向としての第一熱変位量δ1と第二熱変位量δ2との差δ2−δ1によるコラム12の変化量は、図9に示す一点鎖線Q´で表すことができ、選択した相違傾向としての第二熱変位量δ2と第三熱変位量δ3fとの差δ3f−δ2によるコラム12の変化量は、図9に示す点線R´で表すことができる。よって、選択した相違傾向によるコラム12の変化量R´を、基準相違傾向によるコラム12の変化量Q´に近付けるためには、変化量Q´に係数を乗算すればよい。すなわち、式(11)で表される第一熱変位量δ1と第二熱変位量δ2との差δ2−δ1(基準値)と、第二熱変位量δ2と第三熱変位量δ3fとの差δ3f−δ2に係数r´を乗算した値(比較値)との差s´の二乗が最小となるようにすればよい。
Figure 0006507619
以上のことから、例えば、コラム12のブロックB6(図4参照)の第二温度分布におけるブロック温度がTaのとき、第二熱変位量δ2に基づくコラム12の変形状態を簡略的にコラム12を高さ方向に延びる線で表すと図10に示す実線Pとする。そして、コラム12のブロックB6のブロック温度をTbに変化(第三温度分布)させたとき、選択した第三熱変位量に基づくコラム12の変形状態を図10に示す点線Rとする。しかし、実際は、図10に示す一点鎖線Qのような第一熱変位量δ1に基づく変形状態にしたい場合、変形状態Rとずれがあるので、式(11)を変形した式(12)で表される第三熱変位量δ3と相違度合いrとの乗算値r・δ3、及び第二熱変位量δ2と1から相違度合いrを減算した値との乗算値(1−r)・δ2との和と、第一熱変位量δ1との差sの二乗が最小となるときの当該相違度合いrを算出する。
Figure 0006507619
条件決定装置は、第二温度分布θ2と、選択した第三熱変位量δ3fに対応する第三温度分布θ3fとを相違度合いrで内分した和に基づいて、各々のブロック温度の最適温度分布θgを算出する(図5のS9:最適温度分布算出工程)。そして、算出した各々のブロック温度の最適温度分布θgに対応する熱変位量δgを算出し、算出した熱変位量δgと第一熱変位量δ1との差δg−δ1が、予め設定した閾値内で収束したか否かを判断し(図5のS10)、算出した熱変位量δgと第一熱変位量δ1との差が閾値内に収束していないときは、S3に戻って上述の処理を繰り返す。一方、算出した熱変位量δgと第一熱変位量δ1との差が閾値内に収束したときは、当該熱変位量δgを最適熱変位量と推定する(図5のS11)。
閾値は、加工精度に影響する部位、例えばコラム12の案内面等の誤差が、要求される加工精度を下回るように設定する。なお、他の誤差が加わることも考慮して、閾値は、要求精度に対して十分に小さく設定することが望ましい。なお、算出した熱変位量δgと第一熱変位量δ1との差δg−δ1が、予め設定した許容誤差内になったとき当該熱変位量δgを最適熱変位量と推定するようにしてもよい。
続いて、条件決定装置は、第一温度分布θ1及び最適温度分布θgに基づいて、工作機械10の構造体(コラム12)における温度検出位置、すなわち温度センサ21a〜21hの配置位置を決定する(図5のS12:温度検出位置決定工程)。すなわち、条件決定装置は、熱解析により得られたブロック内の温度分布の中から、最適なブロック温度に一致する節点、または最も温度の近い節点を抽出する。抽出された節点の位置が、温度検出位置、すなわち温度センサが配置される位置となる。
図11は、第一温度分布θ1及び最適温度分布θgに基づいて温度センサ21a〜21fを配置した状態を示す。温度センサ21a〜21fが図11に示す位置に配置され、図2に示すブロック温度取得部22が各ブロック温度T1〜T8を取得し、構造解析部23がブロック温度T1〜T8に基づいて構造解析を行う。
本実施形態の工作機械10の熱変位量推定装置20に用いる温度検出位置の条件決定方法は、工作機械10の構造体モデルの熱解析を行うことにより構造体モデルの第一温度分布θ1を作成する第一温度分布作成工程S1と、第一温度分布θ1に基づいて構造体モデルの構造解析を行うことにより、構造体モデルの所定節点における第一熱変位量δ1を取得する第一構造解析工程S2とを備える。そして、構造体モデルを複数のブロックB1〜B8に分割して各々のブロック温度を均一値とするときに、第一温度分布θ1に基づいて各々のブロック温度の第二温度分布θ2を作成する第二温度分布作成工程S3と、第二温度分布θ2に基づいて構造体モデルの構造解析を行うことにより、構造体モデルの所定節点における第二熱変位量δ2を取得する第二構造解析工程S4とを備える。
そして、第二温度分布θ2を複数の温度傾向パターンC1〜Cjに応じた所定の複数の条件のそれぞれで変化させて、複数の各々のブロック温度の第三温度分布δθ31〜θ3jを作成する第三温度分布作成工程S5と、複数の第三温度分布θ31〜θ3jに基づいて構造体モデルの構造解析をそれぞれ行うことにより、複数の第三熱変位量δ31、δ32、・・・、δ3をそれぞれ取得する第三構造解析工程S6と、第一熱変位量δ1と第二熱変位量δ2との基準相違傾向δ2−δ1、及び、第二熱変位量δ2と複数の第三熱変位量δ31、δ32、・・・、δ3のそれぞれのとの相違傾向δ3−δ2、・・・、δ3−δ2に基づいて、複数の第三熱変位量δ31、δ32、・・・、δ3の中から1つの第三熱変位量δ3fを選択する第三熱変位量選択工程S7とを備える。
そして、基準相違傾向δ2−δ1、及び、選択した第三熱変位量δ3fに対応する相違傾向δ3f−δ2に基づいて、基準相違傾向δ2−δ1と選択した第三熱変位量δ3fに対応する相違傾向δ3f−δ2との相違度合いrを算出する相違度合い算出工程S8と、第二温度分布θ2、選択した第三熱変位量δ3fに対応する第三温度分布θ3f、及び、相違度合いrに基づいて、各々のブロック温度の最適温度分布θgを算出する最適温度分布算出工程S9と、第一温度分布θ1及び最適温度分布θgに基づいて、構造体における温度検出位置を決定する温度検出位置決定工程S12と、を備える。
第一熱変位量δ1は、熱解析により取得された構造体モデルの第一温度分布θ1に基づいて構造体モデルの構造解析を行っているため、実際の構造体の熱変位量にほぼ等しい。一方、第二熱変位量δ2は、構造体モデルを複数のブロックB1〜B8に分割した場合に各々のブロック温度を均一値とする第二温度分布θ2に基づいているため、実際の構造体の熱変位量からずれた値となる。
そこで、第一熱変位量δ1と第二熱変位量δ2との基準相違傾向δ2−δ1を補完するような変位を与える複数の第三温度分布θ31〜θ3j、すなわち第二温度分布θ2を任意の条件で変化させた第三温度分布θ31〜θ3jを想定し、複数の第三熱変位量δ31、δ32、・・・、δ3を予め算出する。そして、基準相違傾向δ2−δ1を、第二熱変位量δ2と複数の第三熱変位量θ31〜θ3jのとのそれぞれとの相違傾向δ3−δ2、・・・、δ3−δ2が打ち消すような第三熱変位量δ3fを選択する。
さらに、基準相違傾向δ2−δ1を最もよく打ち消すことができる相違度合いrを算出し、最適温度分布θgを算出する。最適温度分布θgが算出された後には、当該最適温度分布θgに対応する温度検出位置を決定する。温度検出位置の決定に際しては、熱解析による温度分布を用いる。従って、得られた温度検出位置に温度センサ21a〜21fを配置することで、高精度な熱変位量の推定が可能となる。
また、第三熱変位量選択工程S7は、複数の相違傾向δ3−δ2、・・・、δ3−δ2の中から基準相違傾向δ2−δ1に最も近い1つの相違傾向δ3f−δ2を選択し、選択した相違傾向δ3f−δ2に対応する第三熱変位量δ3fを選択する。これにより、基準相違傾向δ2−δ1を最もよく打ち消すことができるので、高精度な熱変位量の推定が可能となる。
また、相違度合い算出工程S8は、基準相違傾向としての第一熱変位量δ1と第二熱変位量δ2との差δ2−δ1を基準値とし、選択した相違傾向としての第二熱変位量δ2と第三熱変位量δ3fとの差δ3f−δ2に相違度合いrを乗算した値を比較値とし、基準値と比較値との差の二乗が最小となるときの当該相違度合いを算出する。これにより、基準相違傾向δ2−δ1を最もよく打ち消すことができる相違度合いrを算出できる。
また、相違度合い算出工程S8は、第三熱変位量δ3fと相違度合いrとの乗算値r・δ3、及び第二熱変位量δ2と1から相違度合いrを減算した値との乗算値(1−r)・δ2との和r・δ3f+(1−r)・δ2と、第一熱変位量δ1との差の二乗が最小となるときの当該相違度合いrを算出する。これにより、基準相違傾向δ2−δ1を最もよく打ち消すことができる相違度合いrを算出できる。
また、最適温度分布算出工程S9は、第二温度分布θ2と、選択した第三熱変位量δ3fに対応する第三温度分布θ3fとを相違度合いrで内分した和r・δ3f+(1−r)・δ2に基づいて、各々のブロック温度の最適温度分布θgを算出する。これにより、温度センサ21a〜21fを最適な位置に配置できるので、高精度な熱変位量の推定が可能となる。
また、最適温度分布算出工程S9は、算出した各々のブロック温度の最適温度分布θgに対応する熱変位量δgを算出し、算出した熱変位量δgと第一熱変位量δ1との差δg−δ1が、予め設定した閾値内で収束したとき当該熱変位量を最適熱変位量δgと推定する。これにより、加工精度を向上できる。
また、最適温度分布算出工程S9は、算出した各々のブロック温度の最適温度分布θgに対応する熱変位量δgを算出し、算出した熱変位量δgと第一熱変位量δ1との差δg−δ1が、予め設定した許容誤差内になったとき当該熱変位量を最適熱変位量δgと推定する。これにより、加工精度を向上できる。
なお、複数の相違傾向δ3−δ2、・・・、δ3−δ2の中から基準相違傾向δ2−δ1に最も近い1つの相違傾向を選択する別の方法として、二次関数aX+bX+cの各次数の係数の比が最も近い第三熱変位量を選択するようにしてもよい。この場合、a,b,cのどれもが突出して大きくないとき、ある係数を基準に割算した値、例えばb/a,c/a等が合うものを選択する。また、各相違傾向δ3−δ2、・・・、δ3−δ2と基準相違傾向δ2−δ1との差分が最も小さくなる相違傾向を選択するようにしてもよい。
10:工作機械、 11:ベッド、 12:コラム、 13:サドル、 14:主軸、 15:スライドテーブル、 16:ターンテーブル、 19:回転工具、 20:熱変位量推定装置、 21a−21h:温度センサ、 B1−B8:ブロック、 Ly1、Ly2,Ly3,Lz:ブロック境界

Claims (7)

  1. 工作機械の構造体モデルの熱解析を行うことにより前記構造体モデルの第一温度分布を作成する第一温度分布作成工程と、
    前記第一温度分布に基づいて前記構造体モデルの構造解析を行うことにより、前記構造体モデルの所定節点における第一熱変位量を取得する第一構造解析工程と、
    前記構造体モデルを複数のブロックに分割して各々のブロック温度を均一値とするときに、前記第一温度分布に基づいて前記各々のブロック温度の第二温度分布を作成する第二温度分布作成工程と、
    前記第二温度分布に基づいて前記構造体モデルの構造解析を行うことにより、前記構造体モデルの前記所定節点における第二熱変位量を取得する第二構造解析工程と、
    前記第二温度分布を複数の温度傾向パターンに応じた所定の複数の条件のそれぞれで変化させて、複数の前記各々のブロック温度の第三温度分布を作成する第三温度分布作成工程と、
    前記複数の第三温度分布に基づいて前記構造体モデルの構造解析をそれぞれ行うことにより、複数の第三熱変位量をそれぞれ取得する第三構造解析工程と、
    前記第一熱変位量と前記第二熱変位量との基準相違傾向、及び、前記第二熱変位量と前記複数の第三熱変位量のそれぞれのとの相違傾向に基づいて、前記複数の第三熱変位量の中から1つの第三熱変位量を選択する第三熱変位量選択工程と、
    前記基準相違傾向、及び、選択した前記第三熱変位量に対応する前記相違傾向に基づいて、前記基準相違傾向と選択した前記第三熱変位量に対応する前記相違傾向との相違度合いを算出する相違度合い算出工程と、
    前記第二温度分布、選択した前記第三熱変位量に対応する前記第三温度分布、及び、前記相違度合いに基づいて、前記各々のブロック温度の最適温度分布を算出する最適温度分布算出工程と、
    前記第一温度分布及び前記最適温度分布に基づいて、前記工作機械の構造体における温度検出位置を決定する温度検出位置決定工程と、
    を備える、工作機械の熱変位量推定装置に用いる温度検出位置の条件決定方法。
  2. 前記第三熱変位量選択工程は、前記複数の相違傾向の中から前記基準相違傾向に最も近い1つの前記相違傾向を選択し、選択した前記相違傾向に対応する第三熱変位量を選択する、請求項1に記載の工作機械の熱変位量推定装置に用いる温度検出位置の条件決定方法。
  3. 前記相違度合い算出工程は、前記基準相違傾向としての前記第一熱変位量と前記第二熱変位量との差を基準値とし、選択した前記相違傾向としての前記第二熱変位量と前記第三熱変位量との差に前記相違度合いを乗算した値を比較値とし、前記基準値と前記比較値との差の二乗が最小となるときの当該相違度合いを算出する、請求項1又は2に記載の工作機械の熱変位量推定装置に用いる温度検出位置の条件決定方法。
  4. 前記相違度合い算出工程は、前記第三熱変位量と前記相違度合いとの乗算値r・δ3、及び第二熱変位量δ2と1から相違度合いrを減算した値との乗算値(1−r)・δ2との和と、前記第一熱変位量との差の二乗が最小となるときの当該相違度合いを算出する、請求項1又は2に記載の工作機械の熱変位量推定装置に用いる温度検出位置の条件決定方法。
  5. 前記最適温度分布算出工程は、前記第二温度分布と、選択した前記第三熱変位量に対応する前記第三温度分布とを前記相違度合いで内分した和に基づいて、前記各々のブロック温度の最適温度分布を算出する、請求項1〜4の何れか一項に記載の工作機械の熱変位量推定装置に用いる温度検出位置の条件決定方法。
  6. 前記最適温度分布算出工程は、算出した前記各々のブロック温度の最適温度分布に対応する熱変位量を算出し、算出した前記熱変位量と前記第一熱変位量との差が、予め設定した閾値内で収束したとき当該熱変位量を最適熱変位量と推定する、請求項1〜5の何れか一項に記載の工作機械の熱変位量推定装置に用いる温度検出位置の条件決定方法。
  7. 前記最適温度分布算出工程は、算出した前記各々のブロック温度の最適温度分布に対応する熱変位量を算出し、算出した前記熱変位量と前記第一熱変位量との差が、予め設定した許容誤差内になったとき当該熱変位量を最適熱変位量と推定する、請求項1〜5の何れか一項に記載の工作機械の熱変位量推定装置に用いる温度検出位置の条件決定方法。
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