JP5751611B2 - 工作機械、工作機械の温度測定部の数及び配置の決定方法及びプログラム - Google Patents
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Description
本発明の工作機械によれば、温度センサ選択部が各温度センサの有用性を示す温度センサ評価値を算出し、上記温度センサ評価値に基づいて温度測定部として使用する温度センサを選択するので、予め温度センサを数多く設置しておき、それらの温度センサのうち、有用性の高いものを温度測定部として用いて近似熱流入量の探索を行うことによって、温度測定部の数を最小限にしつつ近似熱流入量の精度を高くすることができる。
本発明の工作機械によれば、予め温度センサを数多く設置しておいて、それらの温度センサのうち有用性の高いものを温度測定部として用いるので、熱環境の変化に応じて温度測定部として使用する温度センサを変更することができ、熱環境の変化に柔軟に対応することができる。
図1は、本実施形態に係る複数の駆動機構によって工具と被削材を相対運動させてその被削材を所定形状に加工する工作機械の構造例を説明するための斜視図である。左右に工作物を回転させる主軸が設定設置されており、特に刃物台211はXYZ軸方向への3軸に加えて傾斜加工ができるよう旋回軸が備わり、多軸制御加工が可能となっている。
2−1.機能ブロック
図5は、上記のアイデアがもとになって発明された、実施形態に係る多軸制御工作機械の構成を説明するための機能ブロック図である。この多軸制御工作機械1000は、複数の駆動機構300によって工具と被削材を相対運動させてその被削材を所定形状に加工する工作機械1000である。この工作機械1000は、全体として、被測定構造体の温度を測定する複数の温度センサ202と、工作機械の操作者からの種々のデータ入力を受け付け、入力されたデータに基づいて被測定構造体モデルデータを生成する入力受付・モデルデータ生成部101と、温度センサ202のうち温度測定に使用されるものを温度測定部として選択する温度センサ選択部204と、そのようにして測定された温度分布に基づいて熱変位補正データを算出する熱変位補正装置100と、そのようにして導き出された熱変位補正データに基づいて駆動パターンに補正を加える複数の駆動機構300と、を備える工作機械である。
まず、この工作機械1000を構成する温度センサ202について以下説明する。この多軸制御工作機械1000には、被測定構造体200の外表面の周縁部における温度を測定するための温度センサ202が設けられている。この温度センサ202は、被測定構造体200の外表面の周縁部に密着させられて、その表面温度を測定・記録するデータロガーとして働く。また、この温度センサ202は、測定・記録した温度データに対応する電気信号をコンピュータが解読可能な形式の温度データに変換して出力する。複数の温度センサ202のうち温度測定部として使用されるものが温度センサ選択部204によって選択され、選択された温度センサ202からの出力が熱変位補正装置100に伝達される。
次に、この工作機械1000を構成する入力受付・モデルデータ生成部101について説明する。入力受付・モデルデータ生成部101は、工作機械の操作者からの種々のデータ入力を受け付け、入力されたデータに基づいて被測定構造体モデルデータを生成する。
次に、温度センサ選択部204について以下説明する。この多軸制御工作機械1000には、温度センサ202のうち温度測定に使用されるものを温度測定部として選択する温度センサ選択部204が設けられている。以下、図6に示すフローチャートを用いて温度センサ選択部の動作について詳細に説明する。以下の説明では明示はしないが、入力又は生成された各種データは、その後のデータ処理に利用可能なように、所定の記憶部に格納される。また、以下の各ステップは、主記憶又は外部記憶装置に格納された所定のコンピュータプログラムをCPUが実行することによって実現される。
まず、ステップSA1では、温度センサ選択部204は、温度センサ202のそれぞれを使用するかどうかに基づいて直交表に従って温度センサの複数の組み合わせを生成する。直交表とは、任意の2因子(列)について,その水準のすべての組合せが同数回ずつ現れるという性質をもつ表である。本実施形態では、ある温度センサ202を用いるかどうかが問題であるので二水準の直交表を用いる。二水準の直交表の例としては、L4、L8、L12、L16、L32、L64、L128などが挙げられる。L12及びL16の直交表を図7〜図8に示す。L32の直交表は、(1)L16の直交表の各行を2行にし、(2)15列目の右側に01010101....0101からなる第16列を追加し、(3)第16列と、第1〜15列との排他的論理和からなる列を第17列目以降に追加することによって作成することができる。L64の直交表は、L32の直交表に対して同様の作業を行い、L128の直交表は、L64の直交表に対して同様の作業を行うことによって作成することができる。L12、L16、L32、L64、L128の直交表に割り当てることができる温度センサ202の最大数は、それぞれ、11個、15個、31個、63個、127個である。従って、温度センサ選択部204が考慮する温度センサ202の数に応じて使用する直交表を選択すればよい。例えば、温度センサ選択部204が考慮する温度センサ202の数が11個以下であれば、L12の直交表を用いることが好ましい。
なお、ステップSA1は、後述するステップSB3において最初の組み合わせを選択する前のどの段階で行ってもよいので、ステップSA2を開始する前に行ってもよく、ステップSA2を開始した後にステップSB3を実行する前に行ってもよい。
次に、ステップSA2では、温度センサ選択部204は、ステップSA1で作成した温度センサ202の複数の組み合わせのそれぞれについて組み合わせ評価値を算出する。組み合わせ評価値は、温度センサ202の組み合わせの良否を判断するための指標であり、その算出方法は特に限定されない。
以下、図9のフローチャートを用いて組み合わせ評価値の算出処理についてさらに詳細に説明する。
ステップSB1では、温度センサ選択部204は、各熱源候補領域から流入する熱流入量を設定する。ここで、設定する熱流入量は、後述するステップSB6での対比・ギャップ解析をする際の基準となる基準温度分布を作成するために用いられる。ここで設定する熱流入量を以下「基準熱流入量」と称する。基準熱流入量は、熱源となるモーター等の仕様を考慮して設定したり、後述する近似データ算出部134が以前に算出した近似熱流入量に設定したりすることができる。後者の場合、近似データ算出部134が以前に算出した近似熱流入量と、近似データ算出部134がこれから算出しようとする近似熱流入量は、比較的近接していると考えられるので、近似データ算出部134が以前に算出した近似熱流入量を基準熱流入量に設定することによって、近似データ算出部134が近似熱流量をさらに精度良く算出することができる。また、工作機械の周囲温度が変化したり、工作機械の運転条件が変更されたりした場合に工作機械がさらされる熱環境が変化する場合がありが、このような熱環境の変化に対応させるために温度測定部として使用する温度センサを再選択する場合があるが、その場合、基準熱流入量を近似データ算出部134が以前に算出した近似熱流入量に設定することによって、人為的に基準熱流入量を設定する手間を省くことができる。また、近似データ算出部134が直前に算出した近似熱流入量は、熱環境の変化が反映された値であるため、この近似熱流量を基準熱流入量に設定することによって熱環境の変化により確実に対応することができる。複数の熱源候補領域が存在している場合は、それぞれの熱源候補領域に対して基準熱流入量を設定する。
ステップSB2では、温度センサ選択部204は、基準温度分布を計算する。基準温度分布とは、基準熱流入量が被測定構造体モデルデータに流れ込んだ場合に、所定の時間経過後に被測定構造体の温度分布がどのようになるのか、有限要素解析法などの計算アルゴリズムを用いて計算して得られる被測定構造体の温度分布である。
ステップSB3では、温度センサ選択部204は、ステップSA1で生成した温度センサの複数の組み合わせのうちの一つを選択する。具体的には例えば、図7に示すL12の直交表の第1行を選択する。この場合、全ての列の値が0であるので、基礎温度センサのみが温度測定部となる。基礎温度センサがない場合には、第2行を最初の組み合わせとして選択するとよい。
温度センサ選択部204は、ここで選択した温度センサの組み合わせについて、ステップSB4〜ステップSB8を実行することによって組み合わせ評価値を算出する。温度センサ選択部204は、ステップSA1で生成した温度センサの複数の組み合わせのうちの全てについて組み合わせ評価値を算出するために、ステップSB9において、全ての組み合わせについて組み合わせ評価値を算出したかどうかを確認し、未算出の組み合わせが存在している場合には(ステップSB9のN)、ステップSB10において、次の組み合わせを選択する。未算出の組み合わせが存在していない場合には(ステップSB9のY)、温度センサ選択部204は、組み合わせ評価値の算出処理を完了する。
ステップSB4では、温度センサ選択部204は、各熱源候補領域から流入する熱流入量を仮定する。ここで仮定する熱流入量は、後述するステップSB6での対比・ギャップ解析をする際の基準となる推定温度分布をステップSB5で計算するために用いられる。ここで仮定する熱流入量を以下「仮定熱流入量」と称する。仮定熱流入量は、ステップSB6での対比・ギャップ解析の結果が、ステップSB7で規定されている終了条件を充足するまで、繰り返し設定される。仮定熱流量の初期値の設定方法は、特に限定されないが、温度センサの組み合わせの良否を反映した組み合わせ評価値を算出するという目的を鑑みると、仮定熱流量は、基準熱流入量とは異なっていることが好ましく、基準熱流入量の1/2以下又は2倍以上の値にすることがさらに好ましい。仮定熱流入量と基準熱流入量とが近すぎると、組み合わせ評価値が温度センサの組み合わせの良否を反映しにくいからである。
ステップSB5では、温度センサ選択部204は、推定温度分布を計算する。推定温度分布とは、仮定熱流入量が被測定構造体モデルデータに流れ込んだ場合に、所定の時間経過後に被測定構造体の温度分布がどのようになるのか、有限要素解析法などの計算アルゴリズムを用いて計算して得られる被測定構造体の温度分布である。
ステップSB6では、温度センサ選択部204は、対比・ギャップ解析を行う。ここでは、対比・ギャップ解析とは、ステップSB2で生成した基準温度分布と、ステップSB5で生成した推定温度分布との差異の大きさについての解析である。この解析は、具体的には、(1)ステップSB3又はSB10で選択された温度センサの組み合わせに含まれる温度センサに対応する各箇所において、ステップSB2で生成した基準温度分布上での温度(以下、「温度基準値」と称する)と、ステップSB5で生成した推定温度分布上での温度(以下、「温度推定値」と称する)を取得し、(2)温度センサに対応する各箇所についての温度基準値と温度推定値との差分を計算し、(3)計算した差分についての絶対値の和又は残差二乗和に基づくギャップ評価値を計算することによって行うことができる。ギャップ評価値は、一例では、下記式(1)に基づいて計算することができる。式(1)において、Tiは、温度推定値であり、Tsは、温度基準値であり、nは、ステップSB3又はSB10で選択された温度センサの組み合わせに含まれる温度センサの数である。
ステップSB7では、温度センサ選択部204は、ステップSB4〜SB6の繰り返し処理を終了することができるかどうかの判定を行う。この判定は、種々の基準に基づいて行うことができる。例えば、(a)ギャップ評価値が閾値を超えている否か、(b)繰り返しの回数が閾値以上であるか否か、(c)計算時間が閾値以上であるか否か等の条件のうちの何れかを終了条件として採用してもよく、これらの組み合わせを終了条件として採用してもよい。
終了条件が充足されていない場合は(ステップSB7のN)、ステップSB4に戻り、温度基準値と温度推定値との差分の絶対値の和又は残差二乗和が小さくなるように(言い換えると、上記式(1)の値を最大化するように)、仮定熱流量の値を変更し、再度、ステップSB5以降の処理を行う。終了条件が充足された場合は(ステップSB7のY)、繰り返し処理を終了し、ステップSB8に進む。
ステップSB8では、温度センサ選択部204は、組み合わせ評価値の算出を行う。組み合わせ評価値とは、温度センサの組み合わせの良否を判断するための指標となる値であればよい。組み合わせ評価値は、具体的には、例えば(1)組み合わせ評価値の算出に用いる温度センサに対応する各箇所において、温度基準値と温度推定値との差分を計算し、(2)計算した差分についての絶対値の和又は残差二乗和に基づく値を計算することによって算出することができる。組み合わせ評価値は、例えば、下記式(2)で定まる値にすることができる。式(2)において、Tiは、温度推定値であり、Tsは、温度基準値であり、mは、組み合わせ評価値の算出に用いる温度センサの数である。
式(1)でのnの値は、温度センサの組み合わせ毎に異なるが、式(2)でのmの値は、温度センサのどの組み合わせでも同じ値であり、組み合わせ評価値の算出には常に同一の温度センサが使用される。これによって、温度センサの複数の組み合わせを同じ基準で比較することができる。組み合わせ評価値の算出には、工作機械1000に設置されている全ての温度センサを用いることが好ましい。この場合、組み合わせ評価値をより精度良く算出することができるからである。算出された組み合わせ評価値の例を図10に示す。
組み合わせ評価値の算出方法は、ここで示したものに限定されず、例えば、(1)全ての熱源候補領域について、ステップSB4で最後に設定した仮定熱流入量と、ステップSB1で設定した基準熱流入量との差分を計算し、(2)計算した差分についての絶対値の和又は残差二乗和に基づく値を計算することによって算出してもよい。
次に、ステップSA3では、温度センサ選択部204は、温度センサ評価値を算出する。温度センサ評価値とは、温度センサ202の有用性を示す指標となる値である。温度センサ202の各組み合わせについて算出された組み合わせ評価値をある温度センサが使用されているかどうかに基づいて分類することによってその温度センサの温度センサ評価値を算出することができる。
以下、図10に示した組み合わせ評価値の例を用いて、図11に示すフローチャートに従って、温度センサ評価値の算出方法をさらに具体的に説明する。
まず、ステップSC1では、温度センサ選択部204は、温度センサ評価値を算出する最初の温度センサ202を選択する。例えば、図10の温度センサAを選択する。
次に、ステップSC2では、温度センサ選択部204は、選択した温度センサが含まれているかどうかで、温度センサの組み合わせを「無しグループ」と「有りグループ」とに分類する。例えば、温度センサAを例に挙げると、第1行〜第6行の温度センサの組み合わせでは、温度センサAの列が0になっているので、これらの組み合わせには、温度センサAが含まれておらず、「無しグループ」に分類される。また、第7行〜第12行の温度センサの組み合わせでは、温度センサAの列が1になっているので、これらの組み合わせには、温度センサAが含まれており、「有りグループ」に分類される。
次に、ステップSC3では、温度センサ選択部204は、無しグループに属する温度センサの組み合わせについての組み合わせ評価値の代表値(無し代表値)を算出する。代表値とは、無しグループに属する温度センサの組み合わせについての組み合わせ評価値に対して所定の算術処理を行って得られる値であり、例えば、平均値や合計値である。代表値が平均値であり、選択された温度センサが温度センサAの場合を例に挙げると、第1行〜第6行の温度センサの組み合わせが「無しグループ」に属しているので、これらの組み合わせについての組み合わせ評価値の平均値が無し代表値となる。第1行〜第6行の温度センサの組み合わせの組み合わせ評価値は、それぞれ、25.8, 57.4, 51.3, 30.9, 44.6, 47.9であるので、これらの平均値は、43.0である。従って、温度センサAの無し代表値は、43.0である。
次に、ステップSC4では、温度センサ選択部204は、有りグループに属する温度センサの組み合わせについての組み合わせ評価値の代表値(有り代表値)を算出する。代表値とは、有りグループに属する温度センサの組み合わせについての組み合わせ評価値に対して所定の算術処理を行って得られる値であり、例えば、平均値や合計値である。代表値が平均値であり、選択された温度センサが温度センサAの場合を例に挙げると、第7行〜第12行の温度センサの組み合わせが「有りグループ」に属しているので、これらの組み合わせについての組み合わせ評価値の平均値が有り代表値となる。第7行〜第12行の温度センサの組み合わせの組み合わせ評価値は、それぞれ、36.7, 41.0, 49.9, 38.4, 36.5, 54.1であるので、これらの平均値は、42.8である。従って、温度センサAの有り代表値は、42.8である。
次に、ステップSC5では、温度センサ選択部204は、無し代表値と有り代表値の違いに基づいて温度センサ評価値を算出する。温度センサ評価値は、無し代表値と有り代表値の違いが反映される値であればよく、例えば、「(有り代表値)−(無し代表値)」によって求まる値や、「(有り代表値)/(無し代表値)」によって求まる値にすることができる。温度センサ評価値が「(有り代表値)−(無し代表値)」であり、選択された温度センサが温度センサAの場合を例に挙げると、温度センサAの有り代表値が42.8で、温度センサAの無し代表値が43.0であるので、温度センサ評価値は、-0.2である。
次に、ステップSC6では、温度センサ選択部204は、全ての温度センサについて温度センサ評価値が算出されたかどうかを確認し、未算出の温度センサが残っている場合には(ステップSC6のN)、次の温度センサを選択し、(ステップSC7)、ステップSC2に戻って選択した温度センサについて温度センサ評価値を算出する。未算出の温度センサが残っていない場合には(ステップSC6のY)、温度センサ評価値の算出処理を終了する。
ステップSA4では、温度センサ選択部204は、温度センサ評価値に基づいて、温度センサの選択を行う。温度センサの選択方法は、特に限定されないが、例えば、以下に示す2つの方法で行うことができる。
以下、図13のフローチャートを用いて、温度センサの選択方法の一つ目について説明する。一つ目の方法では、温度センサの複数の組み合わせを予め生成し、それぞれの組み合わせについて組み合わせ評価値を算出し、算出した組み合わせ評価値に基づいて温度センサを選択する。
ステップSD1では、温度センサ選択部204は、温度センサ評価値による評価が高いものから順に使用する温度センサを追加することによって温度センサの複数の組み合わせを生成する。図12で示した温度センサ評価値を例に挙げると、まず、温度センサ評価値が高い物から降順で温度センサを並べ、使用する温度センサを一つずつ増やすと、図14に示す表が得られ、この表の第1行〜第12行が、温度センサの複数の組み合わせに対応する。例えば、第6行では、温度センサI,J,F,E,Gの列が1で、残りの列が0であるので、第6行は、温度センサI,J,F,E,Gからなる組み合わせを意味する。また、図14では示していないが、基礎温度センサがある場合には、全ての組み合わせに基礎温度センサが追加される。なお、図14の第1行のような場合は、使用するセンサは、基礎温度センサのみであるが、このように使用するセンサが一つの場合でも、本明細書では、便宜上、「組み合わせ」という用語を用いる。また、温度センサ評価値による評価が同程度である温度センサが複数存在している場合には、それらのセンサを択一的に選択して温度センサの組み合わせを生成してもよい。例えば、図12の例では、温度センサCとHや温度センサDとKは、温度センサ評価値が同程度であるので、温度センサCとHの何れか一方を使用する組み合わせを生成してもよい。
ステップSD2では、温度センサ選択部204は、ステップSD1で生成した全ての組み合わせについて、組み合わせ評価値を算出する。組み合わせ評価値は、ステップSB3〜SB10において説明した方法で算出することができる。
図14で示す12個の組み合わせのそれぞれに基礎温度センサを追加した組み合わせについて算出される組み合わせ評価値の一例を図15に示す。図15の例では、図14の第1行〜第12行の組み合わせのそれぞれについての組み合わせ評価値を示している。第1行の組み合わせでは、組み合わせ評価値は比較的小さいが、第4行の組み合わせまでは温度センサを追加する度に組み合わせ評価値が上昇している。第5行の組み合わせでは、第4行の組み合わせに比べて組み合わせ評価値が少し低下しているが、第6行の組み合わせでは、組み合わせ評価値が再度上昇し、全ての組み合わせの中で最大の値になっている。
ステップSD3では、温度センサ選択部204は、組み合わせ評価値に基づいて温度センサの組み合わせを選択する。選択方法は、特に限定されず、例えば、温度センサの使用数は考慮せずに組み合わせ評価値による評価が最高である組み合わせを選択してもよく、温度センサの使用数と組み合わせ評価値の総合評価によって組み合わせを選択してもよい。前者の選択方法によれば、図15の例では、第6行の組み合わせが選択される。この場合、基礎温度センサと、温度センサI,J,F,E,Gが温度測定部として選択される。また、後者の選択方法によれば、温度センサの使用数が少なく組み合わせ評価値が比較的高い、第4行の組み合わせが選択される場合がある。この場合、基礎温度センサと、温度センサI,J,Fが温度測定部として選択される。
以下、図16のフローチャートを用いて、温度センサの選択方法の二つ目について説明する。二つ目の方法では、温度センサの組み合わせを一つずつ生成し、生成する度に組み合わせ評価値を算出し、組み合わせ評価値の値が所定の条件を満たした場合に温度センサの組み合わせの生成を終了して、温度センサの選択を行う。この方法によれば、一つ目の方法よりも、組み合わせ評価値を算出する組み合わせの数を減らすことができるので、計算時間を短縮することができる。
ステップSE1では、温度センサ選択部204は、温度センサの最初の組み合わせを生成する。温度センサの最初の組み合わせは、例えば、基礎温度センサがある場合は、最初に基礎温度センサからなる組み合わせを生成し、基礎温度センサがない場合は、温度センサ評価値が最も高い温度センサからなる組み合わせを生成する。温度センサの最初の組み合わせに含まれる温度センサの数は、1つであっても2つ以上であってもよい。例えば、2つの場合は、基礎温度センサと、温度センサ評価値が最も高い温度センサの組み合わせにしたり、温度センサ評価値が高い順に選択した2つの温度センサの組み合わせにしたりすることができる。
ステップSE2では、温度センサ選択部204は、ステップSE1又はステップSE5で生成した組み合わせについて組み合わせ評価値を算出する。組み合わせ評価値は、ステップSB4〜SB8で説明した方法によって算出することができる。
ステップSE3では、温度センサ選択部204は、温度センサを追加する前後の組み合わせ評価値を比較する。このステップは、ステップSE1で生成した最初の組み合わせについては実行せず、ステップSE2においてステップSE5で生成した組み合わせについて組み合わせ評価値を算出した場合にのみ実行する。例えば、図14の例の場合、ステップSE5で第3行の組み合わせが生成された場合、ステップSE3では、第2行の組み合わせの組み合わせ評価値と、第3行の組み合わせの組み合わせ評価値を比較する。
ステップSE4では、温度センサ選択部204は、温度センサを追加する前後での組み合わせ評価値による評価の低下が閾値を超えているかどうかを判断する。閾値を超えていない場合には(ステップSE4のN)、ステップSE5において、温度センサを追加して新たな組み合わせを生成し、ステップSE2に戻る。閾値を超えている場合には(ステップSE4のY)、温度センサの追加を終了して、ステップSE6に進む。
例えば、図14及び図15の例の場合、第4行の組み合わせまでは、組み合わせ評価値は、温度センサを追加する度に上昇するが、第5行の組み合わせの組み合わせ評価値は、第4行の組み合わせの組み合わせ評価値よりも低い値となっている。これらの組み合わせ評価値の差が予め設定していた閾値よりも小さければ、ステップSE4での判断がNとなり、ステップSE5に進んで温度センサの追加を継続する。これらの組み合わせ評価値の差が予め設定していた閾値よりも大きければ、ステップSE4での判断がYとなり、温度センサの追加を終了する。
ステップSE6では、温度センサ選択部204は、すでに組み合わせ評価値を算出した温度センサの組み合わせのうち、組み合わせ評価値が最大である組み合わせを選択する。例えば、図14及び図15の例において、第5行の組み合わせの組み合わせ評価値が第4行のものよりも低下したところで温度センサの追加を終了した場合、第1〜第4行の組み合わせの組み合わせ評価値を比較し、組み合わせ評価値が最大である組み合わせ(この場合、第4行の組み合わせ)を選択する。第4行の組み合わせには、温度センサI,J,Fが含まれているので、温度センサI,J,Fが温度測定部として選択される(基礎温度センサがある場合は、基礎温度センサと温度センサI,J,Fが温度測定部として選択される)。
次に、図17のブロック図を用いて、工作機械1000を構成する熱変位補正装置100について以下説明する。
この熱変位補正装置100には、温度センサ選択部204によって選択された温度センサ202からの出力を受け取る温度データ受付部108を有している。温度データ受付部108によって受け取られた温度データは、温度データ記憶部110に格納される。
この熱変位補正装置100には、熱源候補領域からの熱流入量を仮定する熱流入量仮定部124が設けられている。この熱流入量仮定部124は、上述した被測定構造体モデルデータ記憶部122に記憶された被測定構造体モデルデータを読み出し、その被測定構造体モデルデータに、所定のルールに基づいて仮定される熱流入量を熱源候補領域のデータにひも付けしたうえで書き込む。このようにして、所定のルールに基づいて仮定された熱流入量が書き込まれた被測定構造体モデルデータは、後述する温度分布推定部126に受け渡される。
この熱変位補正装置100には、上述したように熱流入量仮定部によって仮定された熱流入量に基づいて、工作機械の推定温度分布を生成する温度分布推定部126が、設けられている。温度分布推定部126は熱流入量仮定部124より所定のルールに基づいて仮定された熱流入量が書き込まれた被測定構造体モデルデータを受け取り、その仮定された熱流入量の場合には、所定の時間経過後に被測定構造体の温度分布がどのようになるのか有限要素解析法などの計算アルゴリズムを用いて計算して、被測定構造体の温度分布を推定する。こうして推定された温度分布は、温度分布記憶部128に格納される。
この熱変位補正装置100には、温度データ記憶部110に格納されている温度測定部によって検出された被測定構造体の複数の温度測定部における温度検出値と、温度分布記憶部128に格納されている被測定構造体のモデルデータにおける上記の温度測定部に対応する箇所の温度推定値とを対比して、その温度検出値およびその温度推定値の間のギャップが小さくなるように後述するように解析を行う対比・ギャップ解析部130が設けられている。すなわち、この対比・ギャップ解析部130は、その温度検出値およびその温度推定値の間のギャップが小さくなるように、すでに説明した熱流入量仮定部124に対して熱流入量を所定のルールに基づいて別の値に再仮定させるように指示する信号を伝達する。すると、このような信号を伝達された熱流入量仮定部124は、所定のルールに基づいて別の値に再仮定された熱流入量仮定データを生成して温度分布推定部126に伝達することになる。一方、この対比・ギャップ解析部130は、熱流入量仮定部124および温度分布推定部126に、これまで説明した各種計算をさらに繰り返し計算させる信号をあわせて伝達する。そのため、その信号を伝達された温度分布推定部126は、熱流入量仮定部124から受け取った別の値に再仮定された熱流入量仮定データに基づいて、その別の値に再仮定された熱流入量の場合には、所定の時間経過後に被測定構造体の温度分布がどのようになるのか有限要素解析法などの計算アルゴリズムを用いて計算して、再び被測定構造体の温度分布を推定する。こうして推定された温度分布は、温度分布記憶部128に格納される。その後は、このような計算が、温度検出値および温度推定値の間のギャップが小さくなるように繰り返されていく。
さらに、この熱変位補正装置100には、繰り返し計算判定部132が設けられている。この繰り返し計算判定部132は、対比・ギャップ解析部130の指示によって、温度検出値および温度推定値の間のギャップが小さくなるように、熱流入量仮定部124および温度分布推定部126によって繰り返される計算結果を対比・ギャップ解析部130を介して毎回受け取るようになっている。そして、この繰り返し計算判定部132は、そのギャップが十分小さくなるなどして、繰り返し計算の終了判定が所定のルールに基づいて可となった場合、その終了判定を指示する信号を、後述する近似データ算出部134に伝達する。一方、この繰り返し計算の終了判定が不可となった場合には、そのまま熱流入量仮定部124および温度分布推定部126は計算を繰り返し続けることになる。
この熱変位補正装置100には、近似データ算出部134が設けられている。この近似データ算出部134は、繰り返し計算判定部132から終了判定を指示する信号を受け取ると、繰り返し計算の結果を基にして、もっとも上記のギャップが小さい熱源候補領域からの近似熱流入量および工作機械の近似温度分布の組み合わせデータからなる近似データを算出する。そして、こうして算出された近似データは、近似データ記憶部136に格納される。
そして、この熱変位補正装置100には、熱変位補正データ生成部139が設けられている。この熱変位補正データ生成部139は、近似データ記憶部136から取得する近似データを基にして、被測定構造体の立体構造の各位置に導き出される熱変位量を打ち消すために必要な熱変位補正量を演算し、その熱変位補正量を被測定構造体の立体構造の各位置にひも付けして書き込んだ熱変位補正データを生成する。そして、このようにして得られた熱変位補正データは、熱変位補正装置100の出力部138を介して、熱変位補正装置100の外部にある多軸制御工作機械の駆動機構に出力され、被削材の加工精度向上のために用いられる。あるいは、このようにして得られた熱変位補正データは、熱変位補正装置100の出力部138を介して、熱変位補正装置100の外部にあるサーバー、ネットワーク、プリンタなどに出力されて、操作者によって画面上の画像データまたは紙上の印字として目視されてもよい。
図18は実施形態に係る多軸制御工作機械の一部の構成を詳しく説明するための拡大された機能ブロック図である。まず温度分布記憶部128および温度データ記憶部110のデータが対比・ギャップ計算部130に受け渡される。対比・ギャップ解析部130においては、差分データ計算部302により計算されたデータを残差二乗和計算部304により残差二乗和が計算され、繰り返し計算判定部132に渡される。繰り返し計算判定部132においては閾値記憶部308に記憶されたデータを基に残差二乗和・閾値大小判定部306において残差二乗和と閾値の大小の判定が行われる。この繰り返し計算判定部132は、対比・ギャップ解析部130の指示によって、温度検出値および温度推定値の間のギャップが小さくなるように、熱流入量仮定部124および温度分布推定部126によって繰り返される計算結果を対比・ギャップ解析部130を介して毎回受け取るようになっている。そして、この繰り返し計算判定部132は、そのギャップが十分小さくなるなどして、繰り返し計算の終了判定が所定のルールに基づいて可となった場合、その終了判定を指示する信号を、後述する近似データ算出部134に伝達する。一方、この繰り返し計算の終了判定が不可となった場合には、そのまま熱流入量仮定部124および温度分布推定部126は計算を繰り返し続けることになる。
図6に図示するように、対比・ギャップ解析部130には、互いに対応するデータ同士を付き合わせて差分を求める差分データ計算部302と、差分データ計算部302で得られた複数項の差分の残差二乗和を計算する残差二乗和計算部304とが設けられている。
繰り返し計算判定部132には、繰り返し計算を継続するか否かの判定に用いるための上記の残差二乗和の閾値を格納する閾値記憶部308と、その閾値記憶部308から取得した閾値を用いて、上記の残差二乗和およびその閾値の間の大小を判定する残差二乗和・閾値大小判定部306とが設けられている。すなわち、繰り返し計算判定部132においては、閾値記憶部308に記憶されたデータを基に、残差二乗和・閾値大小判定部306で、残差二乗和計算部304から取得した残差二乗和と閾値記憶部308から呼び出された閾値との大小の判定が行われる。そして、こうして得られた残差二乗和・閾値大小判定部306の判定結果は、総合判定部318に渡される。
以下、本実施形態に係る多軸制御工作機械の動作について説明する。図19は本実施形態に係る多軸制御工作機械の動作について説明するためのフローチャートである。
ステップSF1では、入力受付・モデルデータ生成部101が、工作機械の操作者からの種々のデータ入力を受け付け、入力されたデータに基づいて被測定構造体モデルデータを生成する。以下、図20のフローチャートを用いて、入力受付・モデルデータの生成処理について詳細に説明する。
ステップSG1では、熱源候補領域設定部104は、熱源候補領域の設定を受け付ける。具体的には、例えば、工作機械1000の電源をONにするなどして、一連の動作をスタートさせると、工作機械1000に付属する液晶画面などに、この工作機械1000の操作者に対して、自らの過去の経験に基づいてこの工作機械の立体構造のうち熱源となる可能性の高い領域を熱源候補領域として設定することを促す画面が表示される。すると、この工作機械の操作者は、工作機械1000に付属する入力装置などを用いて自らの過去の経験に基づいてこの工作機械1000の立体構造のうち熱源となる可能性の高い領域を熱源候補領域として設定することになる。
ステップSG2では、温度センサ位置データ受付部116は、温度センサ202の位置の入力を受け付ける。具体的には、例えば、工作機械1000に付属する液晶画面などに、この工作機械1000の操作者に対して、この工作機械1000の立体構造のうち温度センサ202が設置されている領域を設定することを促す画面が表示される。すると、この工作機械の操作者は、この工作機械1000に付属する入力装置などを用いて温度センサ202が設置されている領域を設定することになる。あるいは、この温度センサが設置されている領域が毎回固定された領域なのであれば、この工作機械1000は、上記の画面表示の代わりに、あらかじめ用意された温度センサが設置されている領域を記録したデータテーブルなどを読み出してもよい。いずれにしても、このようにして、温度センサ202の位置が入力される。
ステップSG3では、被測定構造体構造・物性データ受付部118は、被測定構造体の構造・物性データの入力を受け付ける。具体的には、工作機械1000に付属する液晶画面などに、この工作機械1000の操作者に対して、この工作機械1000の立体構造データおよび材料物性データを入力することを促す画面が表示される。すると、この工作機械の操作者は、この工作機械1000に付属する入力装置などを用いてこの工作機械1000の立体構造データおよび材料物性データを入力することになる。あるいは、この工作機械1000の立体構造データおよび材料物性データが毎回同じ立体構造データおよび材料物性データなのであれば、この工作機械1000は、上記の画面表示の代わりに、あらかじめ用意された立体構造データおよび材料物性データを記録した3DCADデータ(材料物性データ付き)などを読み出してもよい。いずれにしても、このようにして、立体構造データおよび材料物性データが入力される。
ステップSG4では、被測定構造体モデルデータ生成部120は、被測定構造体モデルデータの生成を行う。具体的には、被測定構造体モデルデータ生成部120は、ステップSG1〜SG3で入力された熱源候補領域、温度センサ位置及び被測定構造体の構造・物性データのついての情報が集約されて、これらのデータを互いに組み合わせて、コンピュータによる各種3Dシミュレーションの対象として用いる際に適したデータとなるように、被測定構造体モデルデータを生成する。
ステップSF2では、温度センサ選択部204が、工作機械1000に設置されている温度センサ202の中から、温度選択部として使用する温度センサ202を選択する。この選択は、図6及び「2−4.温度センサ選択部」で説明した方法で行うことができる。
ステップSF3では、熱変位補正装置100が、熱変位補正処理を行う。以下、図21のフローチャートを用いて、熱変位補正処理について詳細に説明する。
ステップSH1では、温度データ受付部108が、温度センサ選択部204によって選択された温度選択部において、工作機械の温度を取得する。
ステップSH2では、熱流入量仮定部124が、各熱源候補領域から流入する熱流入量を仮定する。ここで仮定する熱流入量は、後述するステップSH4での対比・ギャップ解析をする際の基準となる推定温度分布をステップSH3で計算するために用いられる。ここで仮定する熱流入量を以下「仮定熱流入量」と称する。仮定熱流入量は、ステップSH4での対比・ギャップ解析の結果が、ステップSH5規定されている終了条件を充足するまで、繰り返し設定される。仮定熱流量の初期値の設定方法は、特に限定されないが、熱源候補領域から流入する熱流入量を精度良く推定するという目的を鑑みると、各熱源候補領域が実際に発熱している熱量を過去の知見やモーターの仕様書などから推測して、できるだけ真の値に近い値を初期値として設定することが好ましい。
ステップSH3では、温度分布推定部126が、推定温度分布を計算する。推定温度分布とは、仮定熱流入量が被測定構造体モデルデータに流れ込んだ場合に、所定の時間経過後に被測定構造体の温度分布がどのようになるのか、有限要素解析法などの計算アルゴリズムを用いて計算して得られる被測定構造体の温度分布である。
ステップSH4では、対比・ギャップ解析部130が、温度測定部で検出された温度検出値と上記の所定の時間経過後における被測定構造体の推定温度分布とを対比して、その温度検出値およびその温度推定値の間のギャップが小さくなるようにギャップの解析を行う。
続いて、ステップSH5では、繰り返し計算判定部132が、繰り返し計算の終了条件が充足しているかどうかを確認し、充足していると判断した場合には(ステップSH5のY)、繰り返し計算を終了して、ステップSH6に進む。一方、終了条件が充足していないと判断した場合には(ステップSH5のN)、ステップSH2に戻り計算を繰り返し続けることになる。
ステップSH6では、近似データ算出部134が、これまでに行った繰り返し計算の結果を基にして、上記のギャップが最も小さくなる、熱源候補領域からの近似熱流入量および工作機械の近似温度分布の組み合わせデータからなる近似データを算出する。
ステップSH7では、熱変位補正データ生成部139が、ステップSH6で算出された近似データを基にして、被測定構造体の立体構造の各位置について導き出される熱変位量を打ち消すために必要な熱変位補正量を演算し、その熱変位補正量を被測定構造体の立体構造の各位置にひも付けして書き込んだ熱変位補正データを生成する。
ステップSH8では、出力部138が、ステップSH7で生成された熱変位補正データを熱変位補正装置100の外部にある多軸制御工作機械の駆動機構300に出力する。
ステップSF4では、工作機械1000は、ステップSH8で出力されたデータに従って、熱変位補正を行って駆動機構300で被削材の加工を行う。
工作機械1000は、ステップSF4の運転をしばらく継続するが、運転時間が長くなると、加工時に発生した熱の蓄積や周囲温度の変化によって、ステップSH8で出力した熱変位補正データでは適切な熱変位補正ができなくなる場合がある。そこで、ステップSF5では、工作機械1000は、熱変位再補正の条件が充足しているかどうかを確認し、充足している場合には(ステップSF5のY)、ステップSF3に戻って、再度、熱変位補正処理を行う。充足していない場合には(ステップSF5のN)、ステップSF4に戻って、運転を継続する。熱変位再補正の条件としては、(1)加工時間が閾値を超えた場合、(2)温度測定部での温度変化が閾値を超えた場合、(3)周囲温度の変化が閾値を超えた場合等が挙げられる。
また、加工時に発生した熱の蓄積や周囲温度の変化が大きい場合には、温度測定部として使用する温度センサを変更した方が、熱変位補正の精度を向上させることができる場合がある。そこで、ステップSF6では、工作機械1000は、温度センサ再選択の条件が充足しているかどうかを確認し、充足している場合には(ステップSF6のY)、ステップSF2に戻って、再度、温度測定部として使用する温度センサの選択を行う。充足していない場合には(ステップSF5のN)、ステップSF4に戻って、運転を継続する。温度センサ再選択の条件としては、(1)加工時間が閾値を超えた場合、(2)温度測定部での温度変化が閾値を超えた場合、(3)周囲温度の変化が閾値を超えた場合等が挙げられる。温度センサの再選択は、熱変位の再補正ほどは頻繁に行う必要がないので、温度センサ再選択の条件は、熱変位再補正の条件よりも緩やかにすることが好ましい。
以下、本実施形態に係る多軸制御工作機械の作用効果について説明する。
本実施形態に係る工作機械1000は、複数の駆動機構によって工具と被削材を相対運動させて該被削材を所定形状に加工する工作機械1000である。ここで、この工作機械1000には、複数の温度センサ202と、温度測定部として使用する温度センサを選択する温度センサ選択部204と、工作機械1000における熱源候補領域を設定する熱源候補領域設定部104とが設けられている。また、この工作機械1000には、熱源候補領域からの熱流入量を仮定する熱流入量仮定部124が設けられている。さらに、この工作機械1000には、熱流入量仮定部124によって仮定された熱流入量に基づいて、工作機械1000の温度分布を推定する温度分布推定部126が設けられている。くわえて、この工作機械1000には、温度測定部による温度検出値と、温度分布推定部126によって推定された温度分布のうち温度測定部に対応する箇所の温度推定値とを対比して、その温度検出値およびその温度推定値の間のギャップが小さくなるように、熱流入量仮定部124に熱流入量を別の値に再仮定させて、熱流入量仮定部124および温度分布推定部126に繰り返し計算をさせる対比・ギャップ解析部130が設けられている。そして、この工作機械1000には、この繰り返し計算の結果を基にして、熱源候補領域からの近似熱流入量および工作機械1000の近似温度分布を算出する近似データ算出部134が設けられている。
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
ここまでは、工作機械の実施形態について説明を行ってきたが、温度センサ選択部204が具現化している技術的思想は、工作機械から離れたコンピュータ等においても、類似した形態で具現化することができる。この点において、本発明は、工作機械とは別のコンピュータ等において、工作機械の温度測定部の数及び配置を決定するための方法を提供する。以下の方法は、各ステップをコンピュータに実行させるコンピュータプログラムによって実現可能である。
すなわち、入力受付・モデルデータ生成部101は、温度センサの位置の代わりに、複数の評価ポイントの位置の入力を受け付け、ステップSA1では、直交表に従って評価ポイントの複数の組み合わせを生成し、ステップSA2では、生成した各組み合わせについて組み合わせ評価値を算出し、ステップSA3では、各評価ポイントについて評価ポイント評価値を算出し、ステップSA4では、評価ポイント評価値に基づいて評価ポイントの選択を行う。この選択された評価ポイントが温度測定部を配置する位置である。例えば、ステップSA4で、評価ポイントI,J,F,E,Gが選択されたとすると、これらの評価ポイントに温度センサを配置し、温度測定部とする。
一方、本実施形態の方法では、コンピュータ等上で、有用性が高い評価ポイントを予め選択しておき、その評価ポイントに温度センサを設置し、その温度センサを温度測定部として使用する。従って、温度センサの設置数を最小限にすることができるという利点がある。
実施例1では、モデル上に複数の評価ポイントを設置し、各評価ポイントについて評価ポイント評価値を算出し、算出した評価ポイント評価値に基づいて温度測定部を配置する評価ポイントを選択した。以下、本実施例の詳細を説明する。
以上の条件で作成したモデルについてシミュレーションによって温度分布を計算したところ、図24に示す結果が得られた。図24中のMAX、MINで示す位置において、温度上昇量が、それぞれ最高(32.995K)、最低(30.800K)となった。
ここまでのステップは、図19のステップSF1と、ステップSF2の一部(図9に示すステップSB1〜SB2(ステップSA2))に対応する。
また、図33と図34を比較すると、図33では評価ポイントの数が少ないときは組み合わせ評価値が非常に低いが、図34では評価ポイントが少ないときでも組み合わせ評価値が高い値になっていることが分かる。図33と図34の違いは、基礎評価ポイントがf12であるかf15であるかの違いであり、評価ポイントf15は、図24の温度分布での温度上昇量が最も小さい位置に配置された評価ポイントである。この結果は、温度変化が小さい位置に配置された評価ポイントや温度センサを基礎評価ポイント又は基礎温度センサとして選択することによって、少ない測定点数で良好な結果を得ることができることを示している。
以上の方法により、温度測定部の数及び配置を決定することができた。
実施例2では、工作機械に設置されている全ての温度センサを温度測定部として選択した場合において、熱源からのモデルへの熱流入量を推定した。以下、詳述する。
図35は本実施例の実験目的を表した実験概念図である。図示するように、本実施例で行った実験では、恒温室でのクロススライドの温度測定によって得られた一定時間経過後の温度上昇量を求める実験値と、熱源を仮定して一定時間経過後の温度上昇量の解析による各点の温度上昇量の解析値を比較して、繰り返し計算によって、実験の温度測定結果と一致する熱源(温度上昇量)を探索することにより、クロススライドモデルの熱源分布の推定を行った。なお、具体的な実験手順および実験結果について以下説明する。
δ2=(kp99−tc_04)2+(kp42−tc_05)2+・・・・
+(kp43−tc_o)2・・・(式A)
におけるδ2が最小になる熱流束の組み合わせを探索した。実験値と完全に一致する場合はδ2=0となるものである。一つの熱流束の組み合わせの温度解析に約3分を要した。この温度解析の繰り返し計算により目的関数を最小化する熱流束の組み合わせを探した。この繰り返し計算の時間には約24時間、約500回程度の繰り返し計算を行った。その結果を以下の表4に示す。また、繰り返し計算において最適条件におけるクロススライドモデルの温度分布を図37に示す。よって最適条件における熱源分布から既知熱源の流入がほぼ推定可能となった。
図38は、工作機械機体の熱流入量推定において温度センサの配置を検討するために用いた複合加工機クロススライドモデルの概略図を示す.本実施例では、クロススライドモ
デルは単体で取り扱い、準定常温度上昇実験結果に基づいて温度センサの配置と数を検討した。クロススライドモデルの温度上昇は、図38中の15個の点(t1〜t15)に温度センサを設置して測定した。面熱源には、出力 300 W のシリコンラバーヒータを用いた。
図40は、表5中に示したNo.1〜No.8それぞれの温度センサの組み合わせに対する熱流入量の推定結果を示す。図40中に示した熱流入量は、熱流束の最適解の値にその熱源候補領域の面積を乗じて求めた。シリコンラバーヒータを設置した熱源候補領域Bの熱流入量の推定結果がその出力300Wに最も近かったのはNo.1であり、その熱流入量は251.7Wであった。ただし、図40中に示したように、No.1のδは他の温度センサの組み合わせ比べてかなり大きかった。この原因としては、No.1で用いた温度センサの数が他の組み合わせにおける3よりも多い7であったことが考えられる。ここで、表5中のNo.1〜No.8の温度センサの組み合わせで熱流入量を推定するのに最適なものを見出すため、No.1〜No.8それぞれの組み合わせに対する熱流入量の最適解を用いてクロススライドモデルの準定常温度上昇を解析し、式(6)で与えられる、図38中に示した15箇所の全準定常温度上昇の測定値を用いるΔを求めた。
これまでの実施例は、熱源位置が特定されている場合の温度センサ設置方法について検討を行ったが、実施例4では、熱源位置が特定できない場合の温度センサ設置方法について検討する。
次に、表7に示すように、直交表L4に従って面熱源32,33,34を熱源とするか又はここから放熱させるかに基づいて、4種類の熱源パターンを作成した。各熱源パターンで熱流入量を推定する際には、表7において「放熱」と表示されている面番号以外の面熱源を熱源とした。例えば、熱源パターン1では、面熱源3,7,12,21を熱源とし、熱源パターン2では、面熱源3,7,12,21,33,34を熱源とした。
増分が大きいほど、好ましい評価ポイントであるということがいえるので、増分が大きいものから順に、評価ポイントの点数を3点、2点、1点とした。
熱源パターン2〜4についても同様の方法で、各評価ポイントの点数付けを行った。熱源パターンが変われば、評価ポイントの点数も変わる。例えば、評価ポイント「5」は、熱源パターン1では点数が1であったが、熱源パターン2では点数が3であった。
そこで、本実施例では、表15に示すように、4つの熱源パターンでの各評価ポイントの点数を平均し、その平均値を評価ポイントの点数とした。表15によると、評価ポイント「287」の平均点は2.5であり、評価ポイント「5」と「288」の平均点はどちらも「1.75」であった。この結果から、熱源位置の変動を考慮した場合、評価ポイント「287」が最も重要な評価ポイントであると結論付けることができる。
また、評価ポイント「5」と「288」は、平均点が同じである。このような場合、実機の運転モードに近い熱源パターンでの点数が高い評価ポイントをより重要な評価ポイントであると判断することができる。例えば、実機の運転モードでの熱源パターンが熱源パターン1に近い場合には、評価ポイント「288」の方が重要であるといえ、一方、実機の運転モードでの熱源パターンが熱源パターン2に近い場合には、評価ポイント「5」の方が重要であるといえる。
101 入力受付・モデルデータ生成部
102 入力部
104 熱源候補領域設定部
110 温度データ記憶部
114 サーバー
116 温度センサ位置データ受付部
118 被測定構造体構造・物性データ受付部
120 被測定構造体モデルデータ生成部
122 被測定構造体モデルデータ記憶部
124 熱流入量仮定部
126 温度分布推定部
128 温度分布記憶部
130 対比・ギャップ解析部
132 繰り返し計算判定部
134 近似データ算出部
136 近似データ記憶部
138 出力部
139 熱変位補正データ生成部
200 傾斜支持体(クロススライドモデル(クロススライド))
201 温度測定部
202 温度センサ
204 温度センサ選択部
205 クロススライドの傾斜面
207a 往復スライドウェイ
207b 往復スライドウェイ
211 刃物台
212 ベッド
300 多軸制御工作機械の駆動機構
302 差分データ計算部
304 残差二乗和計算部
306 残差二乗和・閾値大小判定部
308 閾値記憶部
310 時刻・回数上限到達判定部
312 上限値記憶部
314 時刻計算部
316 回数計算部
318 総合判定部
1000 工作機械
Claims (10)
- 複数の駆動機構によって工具と被削材を相対運動させて該被削材を所定形状に加工する工作機械であって、
前記工作機械に設けられている複数の温度センサと、
前記温度センサのうち温度測定に使用されるものを温度測定部として選択する温度センサ選択部と、
前記工作機械における熱源候補領域を設定する熱源候補領域設定部と、
前記熱源候補領域からの熱流入量を仮定する熱流入量仮定部と、
前記熱流入量仮定部によって仮定された熱流入量に基づいて前記工作機械の推定温度分布を生成する温度分布推定部と、
前記温度測定部による温度検出値と、前記温度分布推定部によって推定された温度分布のうち前記温度測定部に対応する箇所の温度推定値とを対比して、該温度検出値および該温度推定値の間のギャップが小さくなるように、前記熱流入量仮定部に前記熱流入量を別の値に再仮定させて、前記熱流入量仮定部および前記温度分布推定部に繰り返し計算をさせる対比・ギャップ解析部と、
前記繰り返し計算の結果を基にして、前記熱源候補領域からの近似熱流入量および前記工作機械の近似温度分布を算出する近似データ算出部とを備え、
前記温度センサ選択部は、前記温度センサのそれぞれを使用するかどうかに基づいて直交表に従って温度センサの複数の組み合わせを生成し、前記組み合わせのそれぞれについて組み合わせ評価値を算出し、各組み合わせについて算出された前記組み合わせ評価値をある温度センサが使用されているかどうかに基づいて分類することによってその温度センサの温度センサ評価値を算出し、前記温度センサ評価値に基づいて温度測定部として使用する温度センサを選択する、工作機械。 - 前記温度センサの選択は、前記温度センサ評価値による評価が高いものから順に使用する温度センサを追加することによって温度センサの複数の組み合わせを生成し、ここで生成した組み合わせのそれぞれについて組み合わせ評価値を算出し、算出した組み合わせ評価値による評価に基づいて温度センサの組み合わせを選択することによって行われる請求項1に記載の工作機械。
- 前記温度センサの組み合わせの選択は、算出した組み合わせ評価値による評価が最高である組み合わせを選択することによって行われる請求項2に記載の工作機械。
- 前記温度センサの選択は、前記温度センサ評価値が大きいものから順に使用する温度センサを追加することによって温度センサの組み合わせを生成し、生成した組み合わせについて前記組み合わせ評価値を算出し、温度センサを追加する前後の前記組み合わせ評価値を比較し、温度センサの追加後の前記組み合わせ評価値による評価の低下が所定の閾値を超える場合に温度センサの追加を終了して組み合わせ評価値が最大になる組み合わせを選択することによって行われる請求項1に記載の工作機械。
- 前記組み合わせ評価値は、
前記熱源候補領域からの基準熱流入量を設定し、
前記基準熱流入量に基づいて前記熱源候補領域での基準温度分布を生成し、
前記熱源候補領域からの仮定熱流入量を設定し、
前記仮定熱流入量に基づいて前記工作機械の推定温度分布を生成し、
前記基準温度分布のうち前記組み合わせに含まれる温度センサに対応する箇所の温度基準値と、前記推定温度分布のうち前記組み合わせに含まれる温度センサに対応する箇所の温度推定値とを対比して、前記温度基準値および前記温度推定値の間のギャップが小さくなるように、前記仮定熱流入量を別の値に再設定して繰り返し計算し、
前記繰り返し計算の結果として得られた最終の推定温度分布と基準温度分布との差異又は最終の仮定熱流入量と基準熱流入量との差異を評価することによって算出する請求項1〜4の何れか1つに記載の工作機械。 - 前記温度センサのうち前記基準温度分布で温度上昇量が最も小さい位置に配置されているものが基礎温度センサである請求項5に記載の工作機械。
- 前記基準熱流入量は、近似データ算出部が以前に算出した近似熱流入量に設定される請求項5又は6に記載の工作機械。
- 前記熱源候補領域設定部は、直交表に基づいて複数の熱源候補領域を組み合わせた複数の熱源パターンを設定し、
前記温度センサ選択部は、各熱源パターンについて温度センサ評価値を算出し、その平均値に基づいて温度測定部として使用する温度センサを選択する、請求項1〜7の何れか1つに記載の工作機械。 - 複数の駆動機構によって工具と被削材を相対運動させて該被削材を所定形状に加工する工作機械の温度測定部の数及び配置の決定方法であって、
前記工作機械のモデル上に熱源候補領域及び複数の評価ポイントを設定するステップと、
前記評価ポイントのそれぞれを使用するかどうかに基づいて直交表に従って評価ポイントの複数の組み合わせを生成するステップと、
前記組み合わせのそれぞれについて組み合わせ評価値を算出するステップと、
各組み合わせについて算出された前記組み合わせ評価値をある評価ポイントが使用されているかどうかに基づいて分類することによってその評価ポイントの評価ポイント評価値を算出するステップと、
前記評価ポイント評価値に基づいて温度測定部を配置する評価ポイントを選択するステップを備え、
以下の(1)又は(2)の特徴を有する、工作機械の温度測定部の数及び配置の決定方法。
(1)前記評価ポイントの選択は、前記評価ポイント評価値による評価が高いものから順に使用する評価ポイントを追加することによって評価ポイントの複数の組み合わせを生成し、ここで生成した組み合わせのそれぞれについて組み合わせ評価値を算出し、算出した組み合わせ評価値による評価に基づいて評価ポイントの組み合わせを選択することによって行われる。
(2)前記評価ポイントの選択は、前記評価ポイント評価値が大きいものから順に使用する評価ポイントを追加することによって評価ポイントの組み合わせを生成し、生成した組み合わせについて前記組み合わせ評価値を算出し、評価ポイントを追加する前後の前記組み合わせ評価値を比較し、評価ポイントの追加後の前記組み合わせ評価値による評価の低下が所定の閾値を超える場合に評価ポイントの追加を終了して組み合わせ評価値が最大になる組み合わせを選択することによって行われる。 - 複数の駆動機構によって工具と被削材を相対運動させて該被削材を所定形状に加工する工作機械の温度測定部の数及び配置の決定プログラムであって、
前記工作機械のモデル上に熱源候補領域及び複数の評価ポイントを設定するステップと、
前記評価ポイントのそれぞれを使用するかどうかに基づいて直交表に従って評価ポイントの複数の組み合わせを生成するステップと、
前記組み合わせのそれぞれについて組み合わせ評価値を算出するステップと、
各組み合わせについて算出された前記組み合わせ評価値をある評価ポイントが使用されているかどうかに基づいて分類することによってその評価ポイントの評価ポイント評価値を算出するステップと、
前記評価ポイント評価値に基づいて温度測定部を配置する評価ポイントを選択するステップをコンピュータに実行させ、
以下の構成(1)又は(2)を有する、工作機械の温度測定部の数及び配置の決定プログラム。
(1)前記評価ポイントの選択は、前記評価ポイント評価値による評価が高いものから順に使用する評価ポイントを追加することによって評価ポイントの複数の組み合わせを生成し、ここで生成した組み合わせのそれぞれについて組み合わせ評価値を算出し、算出した組み合わせ評価値による評価に基づいて評価ポイントの組み合わせを選択することによって行われる。
(2)前記評価ポイントの選択は、前記評価ポイント評価値が大きいものから順に使用する評価ポイントを追加することによって評価ポイントの組み合わせを生成し、生成した組み合わせについて前記組み合わせ評価値を算出し、評価ポイントを追加する前後の前記組み合わせ評価値を比較し、評価ポイントの追加後の前記組み合わせ評価値による評価の低下が所定の閾値を超える場合に評価ポイントの追加を終了して組み合わせ評価値が最大になる組み合わせを選択することによって行われる。
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