以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。ただし、図面中、各部の寸法、比率等は、実際のものと完全に一致するようには図示されていない場合がある。また、図面によっては、説明の都合上、実際には存在する構成要素が省略されていたり、寸法が実際よりも誇張されて描かれていたりする場合がある。また、以下の説明において、シート材の前後左右は図4に示す方向であるとして説明する。
(実施形態)
まず、図1、図2及び図3を参照しつつ、実施形態の製函装置100の概略構成を説明する。図1は実施形態の製函装置100の概略構成を示す斜視図である。図2は実施形態の製函装置100のブロック図である。図3(A)は実施形態の製函装置100の本体部を前側から観た斜視図であり、図3(B)は実施形態の製函装置100の本体部を後側から観た斜視図である。
図1を参照すると、製函装置100は、フレーム101を備える。フレーム101の下部には、製函装置100を移動させるためのキャスター101aが装着されている。また、フレーム101の下部の四隅には、製函装置100を安定して設置するための脚部101bが設けられている。フレーム101内には、支持柱103が設置されており、支持柱103には、本体部102が設置されている。支持柱103には、本体部102に含まれる天板104が設置されている。天板104には、釣板105が釣設されている。釣板105には、2つの第1押子106及び一つの第2押子107が設けられている。釣板105は、釣シャフト106a及び釣シャフト107aによって天板104に昇降自在に設けられている。フレーム101内には、組み立てられる函11の材料となるシート材1が設置される設置台108が配置されている。シート材1は、吸引によって位置決めされている。
図2を参照すると、製函装置100は、二つの第1押子106と一つの第2押子107を備える。第1押子106及び第2押子107は、後に説明する緩衝部の数及び位置に応じて設けられている。第1押子106及び第2押子107は、後に説明するシート材1に設けられた各折曲げ線の位置に合わせて下降し、各折曲げ線に沿ってシート材1を折り曲げる。第1押子106は、それぞれ昇降駆動部106b及び位置決駆動部106cを備える。第2押子107も同様に昇降駆動部107b及び位置決駆動部107cを備える。昇降駆動部106b及び昇降駆動部107bは、同期して釣板105を昇降させて第1押子106及び第2押子107を昇降させる。位置決駆動部106c及び位置決駆動部107cは、それぞれ第1押子106及び第2押子107を所望の折曲げ線の位置に移動させる。
製函装置100は、案内部材としての案内板109を備える。図1を参照すると、案内板109は、函11の材料となるシート材1が設置される設置板108の上面から突出できるように設けられている。案内板109は。昇降駆動部109aによって昇降自在に設置されている。案内板109は、後に詳説するように、第2差込孔2bに抜き差し自在に設けられている。そして、差込片5a1が第2差込孔2bに差し込まれるときに、第2差込孔2bに差し込まれた状態とされる。第2差込孔2bに差し込まれた案内板109は、差込片5a1を接触させつつ第2差込孔2bに案内する。
製函装置100は、保形部材としての第1爪部110を備える。本実施形態の製函装置100は、後に詳細に説明するように、2か所の第2緩衝部4を形成するため、四つの第1爪部110を備える。すなわち、一つの第2緩衝部4を形成するために二つの第1爪部110が設けられている。第1爪部110は、それぞれ開閉駆動部110aを備える。製函装置100は、保形部材としての第2爪部111を備える。第2爪部111は、第3緩衝部5を形成するために用いられる。第2爪部111は、開閉駆動部111aを備える。
製函装置100は、第1挟持部112と第2挟持部113を備える。第1挟持部112は、第2緩衝部4を形成するために用いられる。第2緩衝部4は、2か所に形成されるため、これに併せて第1挟持部112も2つ準備されている。第1挟持部112は、それぞれ前後進駆動部112aと回転駆動部112bを備える。第2挟持部113は、第3緩衝部5を形成するために用いられる。第3緩衝部5は、左右方向に並列させて2か所に設けられる。このため、第2挟持部113は、並列させて2つ準備されている。第2挟持部113は、それぞれ前後進駆動部113aを備える。また、第2挟持部113は、回転駆動部113bを備える。ただし、回転駆動部113bは、2つの第2挟持部113を同時に回転させる一つの回転駆動部113bが準備されている。
製函装置100は、制御部120を備える。制御部120は、第1押子106、第2押子107、案内板109、第1爪部110、第2爪部111、第1挟持部112及び第2挟持部113と電気的に接続されており、これらの動作を制御する。
つぎに、図3を参照しつつ、製函装置100の本体部102について詳説する。具体的に、製函装置100が備える各構成要素の配置について説明する。本体部102は、設置台108の両側にそれぞれ第1段差ブロック114が設けられており、この第1段差ブロック114に並列して第1挟持部112が配置されている。すなわち、第1挟持部112も設置台108の両側に設けられている。第1段差ブロック114は、片側に2つ設けられており、その間に第1挟持部112が配置されている。第1段差ブロック114は、それぞれ上方に配置されている第1押子106と協働してシート材1を折り曲げる。すなわち、第1押子106により第1段差ブロック114にシート材1を押し付けることにより、第1段差ブロック114の段差に沿った折り目が形成される。第1段差ブロック114の側方には、第1爪部110が配置されている。
設置台108の後側には第2段差ブロック115が設けられており、この第2段差ブロック115に並列して第2挟持部113が配置されている。第2段差ブロック115は、上方に配置されている第2押子107と協働してシート材1を折り曲げる。すなわち、第2押子107により第2段差ブロック115にシート材1を押し付けることにより、第2段差ブロック115の段差に沿った折り目が形成される。第2段差ブロック115は4つ準備されており、中央部には、第2爪部111が配置され、第2段差ブロック115を隔てて第2挟持部113が設置されている。
ここで、図4及び図5を参照して、組み立てられることにより函11となるシート材1について説明する。図4を参照すると、シート材1は、中央部に矩形の底板部となる第1面部2を備える。第1面部2の四隅には、第1差込孔2aが設けられている。第1差込孔2aの長手方向は、いずれもシート材1の前後方向と一致している。第1差込孔2aには、後に説明するように立上り壁部3aの端部に設けられた差込片3a1が差し込まれるとともに、第2緩衝部4を形成する第4面部4aの解放された端部に形成された差込片4a1が差し込まれる。立上り壁部3aには、延長部3a2が設けられている。延長部3a2は、第1緩衝部3上に載置された物品の位置決めをする。
第1面部2の後方には第1緩衝部3を形成する立上り壁部3a、第3面部3b、第2面部3cが連設されている。具体的に、第1面部2の後方に第2面部3cが連設されており、第2面部3cの後方に、さらに第3面部3bが連設されている。第3面部3bの左右両側には、それぞれ立上り壁部3aが連設されている。立上り壁部3aの端部には、差込片3a1が設けられている。立上り壁部3aは、差込片3a1が第1差込孔2aに差し込まれると、第1面部2に立設された壁面を形成する。この立上り壁部3aは、後に詳述するように差込片4a1が第1差込孔2aに差し込まれるときの案内板として機能する。第2面部3cは、組み立てられたときに第1緩衝部3の前面板となる。第3面部3bは、組み立てられたときに第1緩衝部3の天板となる。第1面部2と第2面部3cとの境界には、第1折曲げ線L1が設定されている。そして、この第1折曲げ線L1に沿って、2つの第2差込孔2bが設けられている。第2差込孔2bの長手方向は、シート材1の左右方向に一致している。第2差込孔2bには、後に説明するように第3緩衝部5を形成する第4面部5aの解放された端部に形成された差込片5a1が差し込まれる。第2面部3cと第3面部3bとの境界には、第2折曲げ線L2が設定されている。第3面部3bと立上り壁部3aとの境界には、それぞれ第3折曲げ線L3が設定されている。このような第1折曲げ線L1、第2折曲げ線L2及び第3折曲げ線L3でシート材1を折り曲げ、差込片3a1を第1差込孔2aに差し込むことにより、図5(A)〜図5(D)に示すようにシート材1の中央部に第1緩衝部3を形成する。差込片3a1の長手方向は、第1折曲げ線L1、第2折曲げ線L2と直交する方向に延びている。
第1面部2の左右両側には、それぞれ、第2緩衝部4を形成する第4面部4a、第3面部4b及び第2面部4cが連設されている。具体的に、第1面部2の側方に第2面部4cが連設されており、第2面部4cには第3面部4bが連設されている。さらに、第3面部4bの側方には、第4面部4aが形成されている。第4面部4aの解放された端部には、差込片4a1が設けられている。ここで、解放された端部とは、他の部分と切り離されており、輪郭を画定することができる端部であることを意味している。第4面部4aと第3面部4bとの境界には、第4折曲げ線L4が設定されている。第3面部4bと第2面部4cとの境界には、第5折曲げ線L5が設定されている。第2面部4cと第1面部2との境界には第6折曲げ線L6が設定されている。第4折曲げ線L4に沿ってシート材1を折り曲げると図5(B)に示すように第4面部4aと第3面部4bとの間に角が形成される。第5折曲げ線L5に沿ってシート材1を折り曲げると図5(C)に示すように第3面部4bと第2面部4cとの間に角が形成される。第6折曲げ線L6に沿ってシート材1を折り曲げると図5(D)に示すように第2面部4cと第1面部2との間に角が形成される。そして、差込片4a1を第1差込孔2aに差し込むことにより、断面が矩形である第2緩衝部4が形成される。ここで、第1差込孔2aの長手方向は、折曲げ線L4、L5、L6の延びる方向と一致しており、第1差込孔2aは、折曲げ線L4、L5、L6と平行に設けられた状態となっている。
第1面部2の後端側には、第1緩衝部3を形成する第2面部3c及び第3面部3bを打ち抜いて形成され、第3緩衝部5を形成する第4面部5a、第3面部5b、及び第2面部5cが連設されている。具体的に、第1面部2に設けられた拡張部21の後方に第2面部5cが連設されており、第2面部5Cには第3面部5bが連設されている。さらに、第3面部5bの後方には、第4面部5aが形成されている。第4面部5aの解放された端部には、差込片5a1が設けられている。ここで、解放された端部とは、他の部分と切り離されており、輪郭を画定することができる端部であることを意味している。すなわち、第4面部5aは、第3面部3b内に打ち抜かれて形成されているが、組み立て工程において、第4面部5aを引き起こすことにより、他の部分と切り離されて輪郭が画定される。解放された端部とは、このような形態の端部を含む趣旨である。第4面部5aと第3面部5bとの境界には、第7折曲げ線L7が設定されている。第3面部5bと第2面部5cとの境界には、第8折曲げ線L8が設定されている。第2面部5cと拡張部21との境界には第9折曲げ線L9が設定されている。第7折曲げ線L7に沿ってシート材1を折り曲げると図5(B)に示すように第4面部5aと第3面部5bとの間に角が形成される。第8折曲げ線L8に沿ってシート材1を折り曲げると図5(C)に示すように第3面部5bと第2面部5cとの間に角が形成される。第9折曲げ線L9に沿ってシート材1を折り曲げると図5(D)に示すように第2面部5cと拡張部21との間に角が形成される。そして、差込片5a1を第2差込孔2bに差し込むことにより、断面が矩形である第3緩衝部5が形成される。ここで、第2差込孔2bの長手方向は、折曲げ線L7、L8、L9の延びる方向と一致しており、第2差込孔2bは、折曲げ線L7、L8、L9と平行に設けられた状態となっている。なお、シート部1は、第1面部2の前方に壁部6a及び重なり部6bを含む蓋部6が連設されている。蓋部6は、第1緩衝部3内に物品を収納した後に重なり部6bが第3面部3bに重なるように折り曲げられて第1緩衝部3を封鎖する。
このように、函11は、各折曲げ線でシート材1を複数回折り曲げ、最終的に差込片を差込孔に差し込むことによって形成される第1緩衝部3、第2緩衝部4及び第3緩衝部5を形成する。ここで、第2緩衝部4の形成工程に着目すると、まず、シート材1を折曲げ線L4、L5、L6に沿って折り曲げる。そして、シート材1の解放された端部に設けられた差込片4a1を、折曲げ線L4、L5、L6に平行にシート材1に形成された第1差込孔2aに差し込むことによって第2緩衝部4を形成している。このように、複数回のシート材1の折り曲げ動作を繰り返し、最終的に差込片4a1を第1差込孔2aに差し込む場合、最後の折り曲げ動作は、図6に示すように、第6折曲げ線L6を回転軸とした回転動作を伴う。このように、回転動作を伴って差込片4a1を第1差込孔2aに差し込む場合、差込片4a1の描く軌跡が、正確に第1差込孔2aに導かれることが求められる。
また、第3緩衝部5の形成工程に着目すると、まず、シート材1を折曲げ線L7、L8、L9に沿って折り曲げる。そして、シート材1の解放された端部に設けられた差込片5a1を、折曲げ線L7、L8、L9に平行にシート材1に形成された第2差込孔2bに差し込むことによって第3緩衝部5を形成している。このように、複数回のシート材1の折り曲げ動作を繰り返し、最終的に差込片5a1を第2差込孔2bに差し込む場合、最後の折り曲げ動作は、図6に示す第2緩衝部4の場合と同様に、第9折曲げ線L9を回転軸とした回転動作を伴う。このように、回転動作を伴って差込片5a1を第2差込孔2bに差し込む場合、差込片5a1の描く軌跡が、正確に第2差込孔2bに導かれることが求められる。本実施形態の製函装置100は、これらの動作を実現するため、案内板109、第1爪部110、第2爪部111、第1挟持部112及び第2挟持部113を備えている。
ここで、案内板109、第1爪部110、第2爪部111、第1挟持部112及び第2挟持部113について、詳細に説明する。まず、図7(A)〜(F)を参照して案内板109について説明する。案内板109は、第2挟持部113によって挟持されて回転する差込片5a1を接触させつつ、差込片5a1を第2差込孔2bへ案内する案内部材として機能する。案内板109は、設置台108が備える設置板108aの下面に側に設けられた昇降駆動部109aにより、設置板108aに設けられた貫通孔108a1に対して出没可能に設けられている。貫通孔108a1は、シート材1に設けられた第2差込孔2bの位置に合わせて設けられている。このため、シート材1を設置台108に設置した状態で昇降駆動部109aを作動させると、案内板109は、第2差込孔2bに抜き差し自在な状態となる。案内板109は、差込片5a1が第2差込孔2bに差し込まれるときに、第2差込孔2bに差し込まれた状態としておく。これにより、回転してきた差込片5a1が案内板109に接触し、第2差込孔2bに案内される。なお、第2緩衝部4を形成する差込片4a1も回転しながら、第1差込孔2aに差し込まれるため、差込片4a1を正確に第1差込孔2aに導くことが求められる。このため、差込片4a1の第1差込孔2aへの差し込み動作にあっても、案内部材が設けられていると都合がよい。このような要請に対し、差込片4a1は、第1緩衝部3を形成する立上り壁部3aが案内部材として機能する。すなわち、立上り壁部3aは、差込片3a1を第1差込孔2aに差し込んで第1面部2に立設された状態となっているため、差込片4a1を第1差込孔2aに導くことができる。このため、案内板109に相当する部材は不要である。なお、本実施形態において、案内板109は、回転しながら第2差込孔2bに差し込まれる差込片5a1を案内するが、差込孔に差し込むための動作として、回転動作を伴わない差込片を案内することもできる。
つぎに、図8(A)、図8(B)を参照しつつ、第1爪部110について説明する。図8(A)を参照すると、第1爪部110は、鉤状となっており、回転軸部1101によって回転可能に設けられている。第1爪部110は、開閉駆動部110aによって回転軸部1101を回転中心とした回転動作を行う。第1爪部110は、シート材1の複数回折り曲げられた箇所の形状を保つ保形部材として機能する。第1爪部110は、シート材1を第4折曲げ線L4及び第5折曲げ線L5で折り曲げることによって形成されたシート材1に囲まれた空間に出没可能に設けられる。これにより、第4折曲げ線L4で折り曲げられた角部と第5折曲げ線L5で折り曲げられた角部がそれぞれおおよそ90°となるようにその形状を保持する。このように、角部の角度がおおよそ90°となっていると、差込片4a1が第1差込孔2aに差し込みやすくなる。図8(B)を参照すると、二つの第1爪部110は、対向配置され、それぞれ開閉動作を行うことによってシート材1に囲まれた空間に出没可能とされている。なお、図8(B)において、実線は閉じた状態、すなわち、保形している状態を示し、2点鎖線は、開いた状態の第1爪部110を示している。
つぎに、図9(A)、図9(B)を参照しつつ、第2爪部111について説明する。図9(A)を参照すると、二つの第2爪部111は、それぞれ鉤状となっており、それぞれ回転軸部1111によって回転可能に設けられている。第2爪部111は、背中合わせの状態で配置されており、一つの開閉駆動部111aによってそれぞれの回転軸部1111を回転中心とした回転動作を行う。第2爪部111は、シート材1の複数回折り曲げられた箇所の形状を保つ保形部材として機能する。第2爪部111は、シート材1を第7折曲げ線L7及び第8折曲げ線L8で折り曲げることによって形成されたシート材1に囲まれた空間に出没可能に設けられる。これにより、第7折曲げ線L7で折り曲げられた角部と第8折曲げ線L8で折り曲げられた角部がそれぞれおおよそ90°となるようにその形状を保持する。このように、角部の角度がおおよそ90°となっていると、差込片5a1が第2差込孔2bに差し込みやすくなる。図9(B)を参照すると、二つの第2爪部111は、それぞれ開閉動作を行うことによってシート材1に囲まれた空間に出没可能とされている。なお、図9(B)において、実線は閉じた状態、すなわち、保形している状態を示し、2点鎖線は、開いた状態の第2爪部111を示している。
つぎに、図10(A)〜図10(D)を参照しつつ、第1挟持部112について、説明する。第1挟持部112は、シート材1の第1爪部110によって形状が保たれた箇所を挟持し、差込片4a1を第1差込孔2aに向かって回転させ、差込片4a1を第1差込孔2aに差し込む。また、第2挟持部113は、シート材1の第2爪部111によって形状が保たれた箇所を挟持し、差込片5a1を第2差込孔2bに向かって回転させ、差込片5a1を第2差込孔2bに差し込む。このように、第1挟持部112と第2挟持部113は、共通する動作を行うものであり、その基本的な構成も両者で共通する。従って、以下、第1挟持部112についてのみ説明し、第2挟持部113の説明は省略する。また、図10(A)〜図10(D)は模式的に描いたものであり、実際の寸法関係を示すもではない。図10(A)を参照すると、折り曲げられた第4面部4a、第3面部4b及び第2面部4cを咥えるような形状を有する第1挟持部112は、基台1121上に摺動可能に設置されている。基台1121は、回転軸部1122を軸として回転可能な状態とされている。第1挟持部112は、前後進駆動部112aによって基台1121に沿って前進及び後進可能に設けられている。このような第1挟持部112が、図10(A)に示すように折り曲げられた第4面部4a、第3面部4b及び第2面部4cを挟持しようとする場合、仮に、第1爪部110による保形が行われていないと、例えば、以下の不都合が想定される。すなわち、第1挟持部112が摩擦で第4面部4aを押してしまい、第4面部4aと第3面部4bとの角度が90°よりも大きくなり、差込片4a1の位置が所望の位置よりも突き出た形になることが想定される。仮に、差込片4a1の位置が所望の位置よりも突き出た形となったまま差込片4a1が回転しつつ第1差込孔2aに向かうと、差込片4a1がずれる。そこで、図10(B)に示すように第1爪部110によって形状を保持した箇所を第1挟持部112によって挟持する。これにより、差込片4a1の位置を所望の位置に維持したまま第1挟持部112による挟持動作を終了することができる。第1挟持部112が適切に第4面部4a、第3面部4b及び第2面部4cを挟持した後は、図10(C)に示すように、第1爪部110を退避させ、図10(D)に示すように第1挟持部112を、回転軸部1122を軸として回転させる。これにより、差込片4a1を適切な軌跡を描いて回転させ、第1差込孔2aに差し込むことができる。
つぎに、図11〜図22を参照しつつ、製函装置100による製函の様子について説明する。製函装置100は、図11〜図22に描かれた工程に沿って、シート材1を加工し、函11を組み立てる。
図11(A)は一回目の折り曲げを行う製函装置100の本体部102を前側から観た斜視図である。図11(B)は一回目の折り曲げを行う製函装置100の本体部102を後側から観た斜視図である。シート材1は、第1緩衝部3が形成された状態で、本体部102に設置される。すなわち、製函装置100は、図5(A)に示すシート材1の状態から組み立て作業を開始する。そして、図11(A)、図11(B)に示すように、二つの第1押子106を及び第2押子107を下降させる。このとき、第1押子106第4折曲げ線L4の位置に合わせられており、第2押子107は、第7折曲げ線L7の位置に合わされている。第4折曲げ線L4は、図12に示すように第1段差ブロック114の段差に合わせて設置されており、第1押子106が下降してシート材1が第1段差ブロック114に押し付けられると、シート材1は第4折曲げ線L4で折り曲げられる。シート材1は、同様に第7折曲げ線L7においても折り曲げられる。
図13(A)は二回目の折り曲げを行う位置に第1押子106及び第2押子107を移動させる製函装置100の本体部102を前側から観た斜視図である。図13(B)は二回目の折り曲げを行う位置に第1押子106及び第2押子107を移動させる製函装置100の本体部102を後側から観た斜視図である。すなわち、本体部102は、一回目の折り曲げを行った後、一旦、第1押子106及び第2押子107を上方に退避させる。そして、二回目の折り曲げを行うべく、第1押子106の位置を位置決駆動部106cにより第5折曲げ線L5の位置へ移動させる。また、第2押子107の位置を位置決駆動部107cにより第8折曲げ線L8の位置へ移動させる。
図14(A)は二回目の折り曲げを行うとともに、案内板109を第2差込孔2bに差し込む製函装置100の本体部102を前側から観た斜視図である。図14(B)は二回目の折り曲げを行うとともに、案内板109を第2差込孔2bに差し込む製函装置100の本体部102を後側から観た斜視図である。製函装置100は、二回目の折り曲げを一回目の折り曲げと同様の要領で行う。また、これと併せて昇降駆動部109aにより案内板109を上昇させ、案内板109を第2差込孔2bに差し込んでおく。なお、案内板109は、差込片5a1が第2差込孔2bに差し込まれるタイミングに先行して行われていればよい。従って、案内板109を準備するタイミングは、二回目の折り曲げ動作と同時に行われることを求められるものではない。
図15(A)は第1爪部110及び第2爪部111を閉じてシート材1を第1段差ブロック114及び第2段差ブロック115に押し当てて保持する製函装置100の本体部102を前側から観た斜視図である。図15(B)は第1爪部110及び第2爪部111を閉じてシート材1を第1段差ブロック114及び第2段差ブロック115に押し当てて保持する製函装置100の本体部102を後側から観た斜視図である。製函装置100は、シート材1の二回目の折り曲げが行われた箇所に、それぞれ第1爪部110と第2爪部111を配置する。具体的に、第4折曲げ線L4と第5折曲げ線L5で折り曲げられた箇所に第1爪部110を配置する。そして、第1爪部110によって第3面部4bを第1段差ブロック114の壁面に押し当てる。また、第7折曲げ線L7と第8折曲げ線L8で折り曲げられた箇所に第2爪部111を配置する。そして、第2爪部111によって第3面部5bを第2段差ブロック115の壁面に押し当てる。
図16(A)は第1押子106及び第2押子107を退避させた製函装置100の本体部102を前側から観た斜視図である。図16(B)は第1押子106及び第2押子107を退避させた製函装置100の本体部102を後側から観た斜視図である。この状態において、第1爪部110によって第3面部4bを第1段差ブロック114の壁面に押し当てた状態、第2爪部111によって第3面部5bを第2段差ブロック115の壁面に押し当てた状態は維持されている。また、第4折曲げ線L4、第5折曲げ線L5、第7折曲げ線L7及び第8折曲げ線L8は、いずれも一旦降り加工が施されているので、容易に折れ曲がることができる状態となっている。
図17(A)は第1挟持部112及び第2挟持部113により折り曲げられた状態のシート材1を挟持した製函装置100の本体部102を前側から観た斜視図である。図17(B)は第1挟持部112及び第2挟持部113により折り曲げられた状態のシート材1を挟持した製函装置100の本体部102を後側から観た斜視図である。第1挟持部112は、前後進駆動部112aにより、第1挟持部112を前進させ、シート材1の折り曲げられた箇所を挟持する。このとき、第1爪部110によって第3面部4bを第1段差ブロック114の壁面に押し当てた状態が維持されているので、第1挟持部112が第4面部4aを前方に押し出してしまうことがない。これにより、第4面部4aと第3面部4bとにより形成される角度と、第3面部4bと第2面部4cとにより形成される角度がいずれもほぼ90°に保たれ、この結果、差込片4a1は適切な位置に保たれる。同様に、第2挟持部113は、前後進駆動部113aにより、第2挟持部113を前進させ、シート材1の折り曲げられた箇所を挟持する。このとき、第2爪部111によって第3面部5bを第2段差ブロック115の壁面に押し当てた状態が維持されているので、第2挟持部113が第4面部5aを前方に押し出してしまうことがない。これにより、第4面部5aと第3面部5bとにより形成される角度と、第3面部5bと第2面部5cとにより形成される角度がいずれもほぼ90°に保たれ、この結果、差込片5a1は適切な位置に保たれる。
図18(A)は第1爪部110及び第2爪部111を退避させた製函装置100の本体部102を前側から観た斜視図である。図18(B)は第1爪部110及び第2爪部111を退避させた製函装置100の本体部102を後側から観た斜視図である。すなわち、第1挟持部112及び第2挟持部113でシート材1を挟持した後は、第1爪部110と第2爪部111を折り曲げられた箇所から退避する。第1挟持部112及び第2挟持部113により、折り曲げた箇所の形状は維持されているため、第1爪部110及び第2爪部111による保形は不要となるからである。
図19(A)は第1挟持部112及び第2挟持部113を回転させて三回目の折り曲げを行いつつ第1差込孔2a及び第2差込孔2bにそれぞれ差込片4a1、5a1を差し込む製函装置100の本体部102を前側から観た斜視図である。図19(B)は第1挟持部112及び第2挟持部113を回転させて三回目の折り曲げを行いつつ第1差込孔2a及び第2差込孔2bにそれぞれ差込片4a1、5a1を差し込む製函装置100の本体部102を後側から観た斜視図である。第1挟持部112は、シート材1を挟持した状態で、回転駆動部112bにより回転する。このとき、回転軸は、第6折曲げ線L6となる。第1挟持部112で挟持されたシート材1は、適切な形状で保持されており、差込片4a1も適切な位置に保たれている。このため、差込片4a1は、第1差込孔2aに差し込みやすくなっている。さらに、第1差込孔2aには、先行して第1緩衝部3を形成する立上り壁部3aに設けられた差込片3a1が差し込まれた状態となっている。これにより、立上り壁部3aが案内板として機能する。すなわち、差込片4a1は、立上り壁部3aに摺接しながら回転し、立上り壁部3aの下縁に位置する第1差込孔2aに導かれる。このように、適切な位置に保形された差込片4a1が、立上り壁部3aに案内されることにより、差込片4a1は、滑らかに第1差込孔2aに差し込まれる。一方、第2挟持部113は、シート材1を挟持した状態で、回転駆動部113bにより回転する。このとき、回転軸は、第9折曲げ線L9となる。第2挟持部113で挟持されたシート材1は、適切な形状で保持されており、差込片5a1も適切な位置に保たれている。このため、差込片5a1は、第2差込孔2bに差し込みやすくなっている。さらに、第2差込孔2bには、先行して案内板109が差し込まれた状態となっている。差込片5a1は、案内板109に摺接しながら回転し、案内板109が差し込まれた第2差込孔2bに導かれる。このように、適切な位置に保形された差込片5a1が、案内板109に案内されることにより、差込片4a1は、滑らかに第1差込孔2aに差し込まれる。このように、第1挟持部112で挟持した箇所、第2挟持部113で挟持した箇所を回転させ、差込片4a1、5a1を、第1差込孔2a、第2差込孔2bに差し込んで第2緩衝部4、第3緩衝部5を形成する。
図20(A)は第1挟持部112及び第2挟持部113を上方へ退避させた製函装置100の本体部102を前側から観た斜視図である。図20(B)は第1挟持部112及び第2挟持部113を上方へ退避させた製函装置100の本体部102を後側から観た斜視図である。第1挟持部112は、回転駆動部112bにより回転した状態で、前後進駆動部112aを作動させることにより、第1挟持部112を退避させる。第1挟持部112は、回転した状態となっているので、退避する方向は、上方となる。同様に、第2挟持部113は、回転駆動部113bにより回転した状態で、前後進駆動部113aを作動させることにより、第2挟持部113を退避させる。第2挟持部113は、回転した状態となっているので、退避する方向は、上方となる。
図21(A)は第1挟持部112及び第2挟持部113を回転させて退避させた製函装置100の本体部102を前側から観た斜視図である。図21(B)は第1挟持部112及び第2挟持部113を回転させて退避させた製函装置100の本体部102を後側から観た斜視図である。第1挟持部112は、上方に退避した状態からさらに、回転駆動部112bにより回転して元の位置に復帰する。第1挟持部112は、上方に退避した状態となっているので、シート材1に干渉することなく元の位置に復帰することができる。同様に、第2挟持部113は、上方に退避した状態からさらに、回転駆動部113bにより回転して元の位置に復帰する。第2挟持部113は、上方に退避した状態となっているので、シート材1に干渉することなく元の位置に復帰することができる。
図22(A)は組み立てた函11を排出した製函装置100の本体部102を前側から観た斜視図である。図22(B)は組み立てた函11を排出した製函装置100の本体部102を後側から観た斜視図である。このように、本実施形態の製函装置100を用いることで、シート材1を折り曲げ、そのシート材1が備える差込片4a1、5a1をそのシート材1に設けられた第1差込孔2a、第2差込孔2bに適切に差し込むことができる。
以上本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。