JP5163554B2 - プレス装置 - Google Patents

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Description

本発明は、回転カムを用いて板状素材の成形を行うプレス装置に関する。
近年、例えば車両のアウター部品に用いられるパネル等には、品質の向上や形状の多様化が求められている。こうした要求を満たすため、パネルの成形を行うプレス装置には、回転カムが使用されることが多い。これは、回転カムを使用することにより、成形後にパネルの取り外しが困難となる負角部の加工等を容易に行うことができるからである。なお、本明細書において、負角部とは、成形後にカム等の成形用部材がパネルの内側に入り込むパネルの成形部位をいうものとする。
例えば、特許文献1に開示されたプレス装置100では、図8に示すように、昇降可能な上型101に吊りカム102がスライド可能に設けられ、下型103に回転カム104が回転可能に配置されている。吊りカム102には、パネルWを成形するための成形部102aが設けられている。回転カム104には、吊りカム102の成形部102aを挿入可能なU字溝104aが形成されている。このU字溝104aの一方面には、下型103に当接して成形位置を決定するとともに上型101の吊りカム102を成形位置までガイドするスライド板105がボルト108で締結されている。U字溝104aの他方面には、パネルWの先端を内側から支持する支持部106が形成されている。また、下型103には、往復部107aを有するシリンダ107が設けられており、往復部107aの先端は回転カム104に連結されている。
そして、シリンダ107により回転カム104を成形位置に移動させた状態で、吊りカム102がスライド板105に沿ってU字溝104aに挿入されると、吊りカム102の先端部102aがパネルWの先端を回転カム104の支持部106へ押し付けて負角部Waが成形されるようになっている。また、成形後には、上型101の上昇により吊りカム102がU字溝104aから退出して、回転カム104が戻り方向(図8において右回り)へ回転することにより、支持部106が負角部Waから外れるようになっている。これにより、負角部Waの成形後に、パネルWを回転カム104と干渉させることなく容易に取り出すことができる。
特開平7−155847号公報
しかしながら、上記した特許文献1に記載の技術によると、図9に示すように、シリンダ107の故障等により回転カム104が成形位置まで回転していない場合には、吊りカム102をU字溝104aへ挿入するのが困難となる。ここで、吊りカム102によりスライド板105を押圧しながら吊りカム102をU字溝104aへ挿入することもできるが、この場合には、吊りカム102やスライド板105、スライド板105と回転カム104とを締結するボルト108等に過度な負荷をかけるおそれがあった。そして、上記した状況下で板状素材Wが成形されると、板状素材Wの成形不良を招くおそれもあった。
そこで、本発明は、上記した問題点を解決するためになされたものであり、回転カムを成形位置まで確実に回転させることができるプレス装置を提供することを課題とする。
上記問題点を解決するためになされた本発明に係るプレス装置は、上型にスライド可能に保持された吊りカムと、下型に回転可能に保持された回転カムと、下型にスライド可能に保持されて前記回転カムの回転を規制する回転規制部材とを備え、前記回転カムは、成形対象となる板状素材を支持する支持部を有し、前記吊りカムは、前記支持部に支持された板状素材を成形する成形部を有し、前記回転規制部材は、前記回転カムを周方向へ押圧可能な押圧部を有し、前記吊りカムに押圧されてスライドすることにより、前記回転カムが前記板状素材を成形する成形位置に位置していない場合に、前記回転カムを前記押圧部で押圧して前記成形位置へ向けて回転させることを特徴とする。
本発明に係るプレス装置では、成形対象となる板状素材が、回転カムに備わる支持部により支持され、吊りカムに備わる成形部により成形される。これにより、板状素材に対して、成形後に取り外しが困難となる負角部の加工等を容易に行うことができる。また、このプレス装置では、回転規制部材が吊りカムに押圧されてスライドすることにより、回転カムが板状素材を成形する成形位置に位置していない場合に、回転カムを押圧部で押圧して成形位置へ向けて回転させるようになっている。これにより、例えば回転カムを回転させる回転装置(シリンダ等)が故障や動作不良等により正常に作動しなかった場合であっても、回転カムを無理なく確実に成形位置まで回転させることができる。その結果、装置部品に過度な負荷をかけることなく、板状素材を高品質に成形することができる。
本発明に係るプレス装置において、前記回転規制部材は、前記回転カムに当接可能な当接部を有し、前記回転カムを前記押圧部で押圧して前記成形位置へ向けて回転させた後、前記当接部を前記回転カムに当接させて前記回転カムの回転を禁止することが望ましい。
このプレス装置では、あらかじめ回転カムを回転規制部材の押圧部で押圧して成形位置へ向けて回転した後、回転規制部材の当接部を回転カムに当接させて回転カムの回転を禁止する。これにより、板状素材の成形中に回転カムが回転するのを防止できるため、板状素材の成形不良を確実に防止して板状素材をより高品質に成形することができる。
本発明に係るプレス装置によれば、上記した通り、回転カムを成形位置まで確実に回転させることができる。
本発明の実施形態に係るプレス装置の全体構成を示す断面図である。 同プレス装置の成形対象となるパネルを示す平面図である。 同プレス装置に備わる上下スライダを示す拡大平面図である。 同プレス装置に備わる回転カムを成形位置へ回転させた状態を示す説明図である。 同プレス装置に備わる上型を下死点まで降下させた状態を示す説明図である。 同プレス装置に備わる回転カムを初期位置へ回転させた状態を示す説明図である。 同プレス装置に備わる上型を上死点まで上昇させた状態を示す説明図である。 従来例に係るプレス装置を示す断面図である。 従来例に係るプレス装置を示す断面図である。
以下、本発明に係るプレス装置を具体化した好適な実施の形態について、図面に基づき詳細に説明する。
まず、本実施形態に係るプレス装置の全体構成について、図1〜図3を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施形態に係るプレス装置の全体構成を示す断面図である。図2は、同プレス装置の成形対象となるパネルを示す平面図である。図3は、同プレス装置に備わる上下スライダを示す拡大平面図である。
プレス装置10は、図1に示すように、昇降可能に設けられた上型11と、基台(図示略)に動かないように固定された下型40とを備えている。このプレス装置10は、図2に示すように、車両のアウター部品に用いられる湾曲したパネルWの、短手方向における両端部である左端部Wa及び右端部Wbを成形するものである。
上型11は、パッド12を上下方向へ移動可能に保持するパッド保持部11aと、第1の吊りカム20を左右方向へスライド可能に保持する吊りカム保持部11bと、第2の吊りカム30を左右方向へスライド可能に保持する吊りカム保持部11cとを備えている。
パッド12は、上型11のパッド保持部11aに固定されたサイドピン13,14により、上型11に対して上下方向へ移動可能に保持されている。このパッド12は、パネルWの湾曲形状に応じた押さえ面12aを備えている。
第1の吊りカム20は、パネルWを成形するための成形部20aと、上型11の吊りカム保持部11bに対して左右方向へスライド可能に設けられたスライド板21と、後述する回転カム50のスライド面51bに対してスライド可能に設けられたスライド板22と、下型40のスライド面40bに対してスライド可能に設けられたスライド板23と、上下スライダ60を下方へ押圧する押圧板24とを備えている。また、第1の吊りカム20は、リターンスプリング25により、初期位置(図1において吊りカム保持部11bの左端)へ付勢されている。なお、本実施形態の第1の吊りカム20が、本発明の「吊りカム」に相当する。
第2の吊りカム30は、パネルWを成形するための成形部30aと、後述するサブリフタ42のリフト部42aを押圧するために下方へ突出形成された先行押さえ部32と、上型11の吊りカム保持部11cに対して左右方向へスライド可能に設けられたスライド板33と、下型40のスライド面40cに対してスライド可能に設けられたスライド板34とを備えている。また、第2の吊りカム30は、リターンスプリング35により、初期位置(図1において吊りカム保持部11cの右端)に付勢されている。
下型40は、パネルWを下方から支持するポンチ41と、回転カム50を回転可能に保持するカム溝40aと、第1の吊りカム20に備わるスライド板23をスライドさせるスライド面40bと、第2の吊りカムに備わるスライド板34をスライドさせるスライド面40cと、上下スライダ60に備わるスライド板62をスライドさせるスライド面40dとを備えている。
ポンチ41は、パネルWの湾曲形状に応じた支持面41aと、パネルWの右端部Wbを支持可能な支持面41bとを備えている。そして、パネルWは、支持面41aに下方から支持された状態で、パッド12の押さえ面12aにより上方から押さえられて固定されるようになっている。また、ポンチ41の支持面41b側には、下型40に固定されたサブリフタ42が配置されている。このサブリフタ42は、第2の吊りカム30に備わる先行押さえ部32に押圧されて下降するリフト部42aを備えている。このリフト部42aは、バネ(図示略)により初期位置(図1に示す位置)へ付勢されている。
回転カム50は、全体として略円柱形状をなしており、第1の吊りカム20を成形位置(図5に示す成形時の位置)へ案内するU字溝51と、上下スライダ60の当接板63に当接される被当接面52とを備えている。
U字溝51の一方面には、パネルWの左端部Waを内側から支持する支持部51aが形成されている。U字溝51の他方面には、第1の吊りカム20に備わるスライド板22をスライドさせるスライド面51bが設けられている。
被当接面52は、回転カム50の一部を平面で切り取った平面形状をなしている。被当接面52の下端には、後述する上下スライダ60の凸部61により押圧可能なトリガ53が、上下スライダ60側へ突出形成されている。
また、回転カム50には、回転カム50を回転させるシリンダ57と、回転カム50の回転角度を成形位置(図4及び図5に示す成形時の位置)を越えない範囲に制限する角度制限機構とが設けられている。
シリンダ57は、下型40に固定されており、左右方向へ往復可能に設けられた往復部57aを備えている。往復部57aの先端は、回転カム50に連結されている。そして、シリンダ57が往復部57aを左方向又は右方向へ移動させると、それに伴って回転カム50が右回り又は左回りに回転する構成となっている。
角度制限機構は、下型40に固定された断面四角形状の下死点ストッパ55と、回転カム50に設けられた断面扇形状の切欠溝56とから構成されている。下死点ストッパ55の一部は、切欠溝56内に位置しており、シリンダ57によって回転カム50を回転させると、切欠溝56と下死点ストッパ55とが当接して回転カム50の回転が禁止される構成となっている。これにより、回転カム50の回転角度を成形位置を越えない範囲に制限することができる。
上下スライダ60は、下型40のスライド面40dと回転カム50との間に配置されている。この上下スライダ60は、回転カム50側の下端部から下方へ突出形成された凸部61と、下型40のスライド面40dに対してスライド可能に設けられたスライド板62と、回転カム50の被当接面52に当接可能な当接板63とを備えている。また、この上下スライダ60は、リターンスプリング64によって初期位置(図1に示される位置)に付勢されている。そして、上下スライダ60は、第1の吊りカム20に押圧されて下方へスライドすることにより、当接板63を回転カム50の被当接面52に当接させて、パネルWの成形中に回転カム50の回転を禁止するようになっている。本実施形態の上下スライダ60が、本発明の「回転規制部材」に相当し、本実施形態の凸部61が、本発明の「押圧部」に相当し、本実施形態の当接板63が、本発明の「当接部」に相当する。本実施形態において、上下スライダ60は、図3に示すように、回転カム50の軸方向両端より内側に二つ配置されている。
当接板63は、平面形状をなしており、回転カム50の被当接面52と面接触可能に設けられている。また、当接板63は、回転カム50のトリガ53と干渉しないように、トリガ53の両側に一つずつ、すなわち二つの板63a,63bが一組となって配置されている。
凸部61は、各板63a,63bの間に、各板63a,63bより回転カム50側へはみ出さないように設けられている。
スライド板62は、下型40に備わるスライド面40dに対してスライド可能な複数の板部材62a〜62cから構成されている。
次に、上記構成を有するプレス装置10の動作について、図1、図4〜図7を参照しながら説明する。図4は、同プレス装置に備わる回転カムを成形位置へ回転させた状態を示す説明図である。図5は、同プレス装置に備わる上型を下死点まで降下させた状態を示す説明図である。図6は、同プレス装置に備わる回転カムを初期位置へ回転させた状態を示す説明図である。図7は、同プレス装置に備わる上型を上死点まで上昇させた状態を示す説明図である。
このプレス装置10では、上型11を上下へ一往復させることによりパネルWの成形が完了する。
まず、図1に示すように、成形対象となるパネルWを、下型40に設けられたポンチ41の支持面41aにセットする。その後、上型11を下降させていく。上型11の下降に伴って、シリンダ57は、往復部57aを右方向へ移動させる。そして、図4に示すように、切欠溝56が下死点ストッパ55に当接すると、回転カム50が成形位置に到着する。回転カム50が成形位置に到着すると、回転カム50の支持部51aは、パネルWの左端部Waを支持する。
第1の吊りカム20は、上型11の下降に伴って下降し、押圧板24により上下スライダ60の上面を下方へ押圧する。下方へ押圧された上下スライダ60は、下型40のスライド面40dに対してスライド板62をスライドさせながら下降する。ここで、本実施形態では、上下スライダ60の下端に凸部61が形成され、回転カム50の被当接面52の下端にトリガ53が形成されており、たとえシリンダ57の故障等により回転カム50が成形位置まで回転していない場合であっても、上下スライダ60の下降に伴って凸部61がトリガ53を下方へ押圧して回転カム50を成形位置へと回転させることができる。これにより、回転カム50を無理なく確実に成形位置まで回転させるとともに、第1の吊りカム20や回転カム50に過度な負荷がかかるのを防止することができる。
上下スライダ60がさらに下降していくと、上下スライダ60の当接板63は、回転カム50の被当接面52に当接する。ここで、本実施形態では、当接板63と被当接面52とが、平面形状をなしており、面接触して当接する。このように当接板63と被当接面52とを面接触させることにより、上下スライダ60で回転カム50の回転を容易かつ確実に禁止することがきる。このプレス装置10においては、当接板63の面積を大きく設定することで、当接板63と被当接面52との接触面積を増加させて、回転カム50の回転をより確実に禁止することができる。なお、凸部61は、各板63a,63bより回転カム50側へはみ出さないように設けられているので、当接板63と被当接面52との接触を妨げることはない。
ところで、本実施形態では、回転カム50と下型40のスライド面40dとの間に配置された上下スライダ60を、下方へスライドさせることにより、上下スライダ60の当接板63と回転カム50の被当接面52とを面接触させている。このため、回転カム50がパネルWを成形する成形位置に位置していない場合には、上下スライダ60の当接板63と回転カム50の被当接面52とが干渉して上下スライダ60を下方へスライドさせるのが困難となる。
これに対して、プレス装置10では、当接板63と被当接面52とを当接させる前に、あらかじめ上下スライダ60の下端に設けられた凸部61によって回転カム50を成形位置まで回転させることができる。このため、上下スライダ60を回転カム50とを干渉させることなく容易にスライドさせて、当接板63と被当接面52とを容易に面接触させることができる。
そして、上型11がさらに下降していくと、図5に示すように、パッド12は、パネルWの成形が開始される前に、押さえ面12aにより、ポンチ41の支持面41aに支持されたパネルWを上方から押さえて固定する。これにより、成形中にパネルWが位置ずれするのを防止することができる。その後、第1の吊りカム20は、スライド板23を下型40のスライド面40bにスライドさせるとともに、スライド板22をスライド面51bにスライドさせる。このように、下型40及びU字溝51に沿って第1の吊りカム20をスライドさせることにより、第1の吊りカム20の成形部20aをパネルWの左端部Waへと確実に導くことができる。そして、回転カム50のU字溝51に挿入された成形部20aは、パネルWの左端部Waを回転カム50の支持部51aへ押し付けて成形する。このとき、回転カム50の支持部51aがパネルWの左端部Wa内側に入り込むため、パネルWの左端部Waは負角部となる。
プレス装置10は、パネルWの成形が終了すると、図6に示すように、上型11を上昇させる。上型11を上昇させると、吊りカム20がU字溝51から退出していく。これに伴って、上下スライダ60は、リターンスプリング64の付勢力により上方へ移動する。上下スライダ60が上方へ移動すると、上下スライダ60の当接板63が回転カム50の被当接面52から離間して、回転カム50の回転が許可される。シリンダ57は、往復部57aを左方へ移動させて、回転カム50を戻り方向(図において右回り)へ回転させ、初期位置へと復帰させる。これにより、回転カム50の支持部51aが左端部Waから外れる。
このプレス装置10では、パネルWの成形後にリターンスプリング64によって上下スライダ60を初期位置へ戻すことにより、パネルWの成形後に速やかに回転カム50の回転を許可することができる。これにより、回転カム50の戻りを早めることができるため、パネルWを取り外す際、回転カム50とパネルWとが干渉するのを回避することができる。その結果、パネルWの取出開始時期を早めて、生産効率をより高めることができる。
上型11を初期位置(図1参照)まで上昇させると、図7に示すように、第1の吊りカム20は、リターンスプリング25により初期位置までスライドする。このように、リターンスプリング25によって第1の吊りカム20を初期位置へ戻すことにより、パネルWの取出時に第1の吊りカム20がパネルWや回転カム50と干渉するのを防止することができる。その結果、パネルWの取出開始時期を早めて、生産効率をさらに高めることができる。
続いて、第2の吊りカム30の動作について説明する。第2の吊りカム30は、図4に示すように、上型11の下降に伴って、スライド板34を下型40のスライド面40cにスライドさせるとともに、先行押さえ部32でサブリフタ42のリフト部42aを下方へ押圧する。そして、上型11がさらに下降すると、図5に示すように、支持部30aによりパネルWの右端部Wbをポンチ41の右側端面41bに押し付けて成形する。
そして、パネルWの成形後、図6に示すように、上型11を上昇させると、第2の吊りカム30も上昇する。これに伴って、サブリフタ42は、リフト部42を上昇させる。そして、上型11がさらに上昇していくと、図7に示すように、サブリフタ42のリフト部42aが初期位置まで復帰する。このとき、リフト部42aは、成形されて屈曲したパネルWの右端部Wbを上方へ押し上げる。これにより、パネルWを、ポンチ41の支持部41aから取り外すことができる。
以上、詳細に説明したように本実施形態に係るプレス装置10では、上下スライダ60が第1の吊りカム20に押圧されてスライドすることにより、回転カム50がパネルWを成形する成形位置に位置していない場合に、回転カム50を凸部61で押圧して成形位置へ向けて回転させることができる。これにより、回転カム50を回転させるためのシリンダ57等が故障や動作不良等により正常に作動しなかった場合であっても、回転カム50を無理なく確実に成形位置まで回転させることができる。その結果、装置部品に過度な負荷をかけることなく、パネルWを高品質に成形することができる。
また、このプレス装置10では、あらかじめ回転カム50のトリガ53を上下スライダ60の凸部61で押圧して成形位置へ向けて回転した後、上下スライダ60の当接板63を回転カム50の被当接面52に当接させて回転カム50の回転を禁止している。これにより、パネルWの成形中に回転カム50が回転するのを防止できるため、パネルWの成形不良を確実に防止してパネルWをより高品質に成形することができる。
なお、上記した実施形態及びその変更例は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることはもちろんである。以下にその例を示す。
上記した実施形態では、車両のアウター部品に用いられる湾曲したパネルWの左右端部Wa,Wbを成形するプレス装置10に対して本発明を適用したが、これに限られず、回転カムを用いて板状素材の成形を行うプレス装置に広く本発明を適用することができる。
上記した実施形態では、昇降可能に設けられた上型11と、基台に固定された下型40とを備えたプレス装置10に本発明を適用した場合について説明したが、これに限られず、上型が固定されて下型が昇降可能なプレス装置、あるいは上型と下型との双方が移動可能なプレス装置に本発明を適用することができる。
上記した実施形態では、シリンダ57により回転カム50を回転させるプレス装置10に本発明を適用した場合について説明したが、バネ等を利用して回転カム50を回転させてもよく、シリンダやバネ等を用いずにスライダ60の凸部61のみを利用して回転カム50を回転させてもよい。
上記した実施形態では、二つの吊りカム20,30によりパネルWを成形するプレス装置10に本発明を適用した場合について説明したが、これに限られず、一又は三以上の吊りカムによりパネルWを成形するプレス装置に本発明を適用することができる。
上記した実施形態では、一つの回転カム50を備えたプレス装置10に本発明を適用した場合について説明したが、これに限られず、複数の回転カムを備えたプレス装置に本発明を適用することができる。
上記した実施形態では、二つの上下スライダ60を備えたプレス装置10について説明したが、これに限られず、一つ又は三つ以上の上下スライダ60を備えたプレス装置に本発明を適用することができる。
上記した実施形態では、一つの凸部61により一つのトリガ53を押圧するプレス装置10について説明したが、これに限られず、複数の凸部61やトリガ53を備えたプレス装置に本発明を適用することができる。また、凸部61や当接板63、トリガ53等の配置については、本発明の範囲内で適宜変更することができる。
10 プレス装置
11 上型
20 第1の吊りカム
20a 成形部
21 スライド板
22 スライド板
23 スライド板
24 押圧板
25 リターンスプリング
40 下型
40a カム溝
40b スライド面
40d スライド面
50 回転カム
51 U字溝
51a 支持部
51b スライド面
52 被当接面(被当接部)
53 トリガ
57 シリンダ
60 上下スライダ(回転規制部材)
61 凸部(押圧部)
62 スライド板
63 当接板(当接部)
64 リターンスプリング
W パネル(板状素材)
Wa 左端部(負角部)
Wb 右端部

Claims (2)

  1. 上型にスライド可能に保持された吊りカムと、下型に回転可能に保持された回転カムと、下型にスライド可能に保持されて前記回転カムの回転を規制する回転規制部材とを備え、
    前記回転カムは、成形対象となる板状素材を支持する支持部を有し、
    前記吊りカムは、前記支持部に支持された板状素材を成形する成形部を有し、
    前記回転規制部材は、前記回転カムを周方向へ押圧可能な押圧部を有し、前記吊りカムに押圧されてスライドすることにより、前記回転カムが前記板状素材を成形する成形位置に位置していない場合に、前記回転カムを前記押圧部で押圧して前記成形位置へ向けて回転させる
    ことを特徴とするプレス装置。
  2. 請求項1に記載するプレス装置において、
    前記回転規制部材は、前記回転カムに当接可能な当接部を有し、前記回転カムを前記押圧部で押圧して前記成形位置へ向けて回転させた後、前記当接部を前記回転カムに当接させて前記回転カムの回転を禁止する
    ことを特徴とするプレス装置。
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