JP6505432B2 - 着色硬化性樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、着色硬化性樹脂組成物に関する。
着色硬化性樹脂組成物は、液晶表示装置、エレクトロルミネッセンス表示装置、プラズマディスプレイ等の表示装置に使用されるカラーフィルタの製造に用いられている。このような着色硬化性樹脂組成物としては、下記の化合物を含む着色硬化性樹脂組成物が知られている(特許文献1)。
Figure 0006505432
特開2013-7032
従来から知られる上記の化合物を含む着色硬化性樹脂組成物は、耐熱性の点で十分満足できるものではなかった。
本発明は、以下の[1]〜[]を提供するものである。
[1]式(I)で表される化合物を含む着色剤(A)、樹脂(B)、光重合性化合物(C)及び光重合開始剤(D)を含む着色硬化性樹脂組成物。
Figure 0006505432

[式(I)中、X-式(A0)で表されるアゾ染料に由来するアニオンを表し、Y+は式(Y)で表される化合物に由来するカチオンを表す。
Figure 0006505432

(式(A0)中、R 1 〜R 18 は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10の1価のアルキル基、ニトロ基又は−SO 2 29 を表す。
29 は、−OH、−NHR 30 又は−R 32 を表す。
30 は、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよいシクロヘキシル基、−R 31 −O−R 32 、−R 34 −CO−O−R 35 、−R 36 −O−CO−R 37 、又は炭素数7〜10のアラルキル基を表す。
31 、R 34 及びR 36 は、それぞれ独立に、炭素数1〜8のアルカンジイル基を表す。
32 、R 35 及びR 37 は、それぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基を表す。
19 及びR 20 は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、エチル基又はアミノ基を表す。
1 は、Cr又はCoを表す。)
Figure 0006505432

(式(Y)中、nは、1〜8の整数を表し、R40は、炭素数1〜4のアルキル基を表す。3つの−(OR40)基は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。)]
]着色剤(A)が、さらに顔料を含む[1]に記載の着色硬化性樹脂組成物。
][1]または[2]に記載の着色硬化性樹脂組成物により形成されるカラーフィルタ。
][]に記載のカラーフィルタを含む表示装置。
本発明の着色硬化性樹脂組成物によれば、耐熱性に優れたカラーフィルタを得ることができる。
本発明の着色硬化性樹脂組成物は、式(I)で表される化合物(以下、「化合物(I)」と記載することもある。)を含む着色剤(A)、樹脂(B)、光重合性化合物(C)及び光重合開始剤(D)を含有する。
Figure 0006505432
[式(I)中、Xは染料に由来するアニオンを表し、Yは式(Y)で表される化合物に由来するカチオンを表す。]
Figure 0006505432
[式(Y)中、nは、1〜8の整数を表し、R40は、炭素数1〜4のアルキル基を表す。3つの−(OR40)基は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。]
染料としては、アゾ染料、トリアリールメタン染料、キサンテン染料及びシアニン染料が挙げられ、なかでも、アゾ染料またはトリアリールメタン染料が好ましく、アゾ染料がより好ましい。X-は、これらの染料に由来するアニオンを表す。
ゾ染料に由来するアニオンとしては、例えば、下記のようなダイレクトイエロー112に由来するアニオン及びアシッドブルー158に由来するアニオンなどが挙げられる。
Figure 0006505432
ゾ染料に由来するアニオンのなかでも、下式(A0)で表されるアニオンが好ましい。
Figure 0006505432

式(A0)中、R1〜R18は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10の1価のアルキル基、ニトロ基又は−SO229を表す。
29は、−OH、−NHR30又は−R32を表す。
30は、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよいシクロヘキシル基、−R31−O−R32、−R34−CO−O−R35、−R36−O−CO−R37、又は炭素数7〜10のアラルキル基を表す。
31、R34及びR36は、それぞれ独立に、炭素数1〜8のアルカンジイル基を表す。
32、R35及びR37は、それぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基を表す。
19及びR20は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、エチル基又はアミノ基を表す。
1は、Cr又はCoを表す。
式(A0)において、炭素数1〜10のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、デシル基、1−メチルブチル基、1,1,3,3−テトラメチルブチル基、1,5−ジメチルヘキシル基、1,6−ジメチルヘプチル基、2−エチルヘキシル基及び1,1,5,5−テトラメチルヘキシル基等が挙げられる。
炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。
炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよいシクロヘキシル基としては、2−メチルシクロヘキシル基、2−エチルシクロヘキシル基、2−プロピルシクロヘキシル基、2−イソプロピルシクロヘキシル基、2−ブチルシクロヘキシル基、4−メチルシクロヘキシルキ基、4−エチルシクロヘキシル基、4−プロピルシクロヘキシル基、4−イソプロピルシクロヘキシル基、4−ブチルシクロヘキシル基等が挙げられる。
炭素数7〜10のアラルキル基としては、例えば、フェニルメチル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等を挙げることができる。
炭素数1〜8のアルカンジイル基としては、メチレン基、エチレン基、プロパン−1,3−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ブタン−1,3−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基、ヘプタン−1,7−ジイル基、オクタン−1,8−ジイル基等が挙げられる。
炭素数1〜8のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等が挙げられる。
〜R18で表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、が挙げられ、中でもフッ素原子または塩素原子が好ましい。
〜R18で表される炭素数1〜10のアルキル基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基が好ましい。
〜R18で表される−SO29としては、−SOHで表されるスルホ基、−SONHR30で表されるスルファモイル基、−SO32が挙げられる。
30で表される炭素数1〜10のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基が好ましい。
30で表される炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよいシクロヘキシル基としては、2−メチルシクロヘキシル基、2−エチルシクロヘキシル基、2−プロピルシクロヘキシル基、2−イソプロピルシクロヘキシル基、2−ブチルシクロヘキシル基、4−メチルシクロヘキシルキ基、4−エチルシクロヘキシル基、4−プロピルシクロヘキシル基、4−イソプロピルシクロヘキシル基、4−ブチルシクロヘキシル基等が挙げられ、2−メチルシクロヘキシル基が好ましい。
30で表される−R31−O−R32としては、メトキシメチル基、エトキシメチル基、プロポキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、プロポキシエチル基、メトキシプロピル基、エトキシプロピル基、プロポキシプロピル基、2−オキソ−4−メトキシブチル基、オクチルオキシプロピル基、3−エトキシプロピル基、3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピル基等が挙げられ、メトキシメチル基。またはエトキシメチル基が好ましい。
30で表される−R34−CO−O−R35としては、メトキシカルボニルメチル基、メトキシカルボニルエチル基、エトキシカルボニルメチル基、エトキシカルボニルエチル基、プロポキシカルボニルメチル基、プロポキシカルボニルエチル基、ブトキシカルボニルメチル基、ブトキシカルボニルエチル基等が挙げられ、メトキシカルボニルメチル基またはメトキシカルボニルエチル基が好ましい。
30で表される−R36−O−CO−R37としては、アセチルオキシメチル基、アセチルオキシエチル基、エチルカルボニルオキシメチル基、エチルカルボニルオキシエチル基、プロピルカルボニルオキシメチル基、プロピルカルボニルオキシエチル基、ブチルカルボニルオキシメチル基、ブチルカルボニルオキシエチル基等が挙げられ、アセチルオキシメチル基またはアセチルオキシエチル基が好ましい。
30としては、水素原子が好ましい。
−SONHR30で表されるスルファモイル基としては、N−メチルスルファモイル基、N−エチルスルファモイル基、N−プロピルスルファモイル基、N−イソプロピルスルファモイル基、N−ブチルスルファモイル基、N−イソブチルスルファモイル基、N−sec−ブチルスルファモイル基、N−tert−ブチルスルファモイル基、N−ペンチルスルファモイル基、N−(1−エチルプロピル)スルファモイル基、N−(1,1−ジメチルプロピル)スルファモイル基、N−(1,2−ジメチルプロピル)スルファモイル基、N−(2,2−ジメチルプロピル)スルファモイル基、N−(1−メチルブチル)スルファモイル基、N−(2−メチルブチル)スルファモイル基、N−(3−メチルブチル)スルファモイル基、N−シクロペンチルスルファモイル基、N−ヘキシルスルファモイル基、N−(1,3−ジメチルブチル)スルファモイル基、N−(3,3−ジメチルブチル)スルファモイル基、N−ヘプチルスルファモイル基、N−(1−メチルヘキシル)スルファモイル基、N−(1,4−ジメチルペンチル)スルファモイル基、N−オクチルスルファモイル基、N−(2−エチルヘキシル)スルファモイル基、N−(1,5−ジメチル)ヘキシルスルファモイル基、N−(1,1,2,2−テトラメチルブチル)スルファモイル基、N−アリルスルファモイル基等の脂肪族炭化水素基で置換されたスルファモイル基;
N−(2−メトキシエチル)スルファモイル基、N−(2−エトキシエチル)スルファモイル基、N−(1−メトキシプロピル)スルファモイル基、N−(3−メトキシプロピルスル)ファモイル基、N−(3−エトキシプロピル)スルファモイル基、N−(3−プロポキシプロピル)スルファモイル基、N−(3−イソプロポキシプロピル)スルファモイル基、N−(3−ヘキシロキシプロピルスル)ファモイル基、N−(2−エチルヘキシルオキシプロピル)スルファモイル基、N−(3−tert−ブトキシプロピル)スルファモイル基、N−(4−オクチルオキシブチル)スルファモイル基等の−R31−O−R32で置換されたスルファモイル基;
N−(メトキシカルボニルメチル)スルファモイル基、N−(メトキシカルボニルエチル)スルファモイル基、N−(エトキシカルボニルメチル)スルファモイル基、N−(エトキシカルボニルエチル)スルファモイル基、N−(プロポキシカルボニルメチル)スルファモイル基、N−(プロポキシカルボニルエチル)スルファモイル基、N−(ブトキシカルボニルメチル)スルファモイル基、N−(ブトキシカルボニルエチル)スルファモイル基等の−R31−CO−O−R32で置換されたスルファモイル基;
N−(アセチルオキシメチル)スルファモイル基、N−(アセチルオキシエチル)スルファモイル基、N−(エチルカルボニルオキシメチル)スルファモイル基、N−(エチルカルボニルオキシエチル)スルファモイル基、N−(プロピルカルボニルオキシメチル)スルファモイル基、N−(プロピルカルボニルオキシエチル)スルファモイル基、N−(ブチルカルボニルオキシメチル)スルファモイル基、N−(ブチルカルボニルオキシエチル)スルファモイル基等の−R31−O−CO−R32で置換されたスルファモイル基;
N−シクロヘキシルスルファモイル基、N−(2−メチルシクロヘキシル)スルファモイル基、N−(3−メチルシクロヘキシル)スルファモイル基、N−(4−メチルシクロヘキシル)スルファモイル基、N−(4−ブチルシクロヘキシル)スルファモイル基、等の置換基を有するシクロヘキシル基で置換されたスルファモイル基;
N−ベンジルスルファモイル基、N−(1−フェニルエチル)スルファモイル基、N−(2−フェニルエチル)スルファモイル基、N−(3−フェニルプロピル)スルファモイル基、N−(4−フェニルブチル)スルファモイル基、N−[2−(2−ナフチル)エチル]スルファモイル基、N−[2−(4−メチルフェニル)エチル]スルファモイル基、N−(3−フェニル−1−プロピル)スルファモイル基、N−(3−フェニル−1−メチルプロピル)スルファモイル基等のアラルキル基で置換されたスルファモイル基等が挙げられる。
−SONHR30としては、−SONHが好ましい。
−SO32としては、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、n−ブチルスルホニル基、sec−ブチルスルホニル基、tert−ブチルスルホニル基、ペンチルスルホニル基、ヘキシルスルホニル基、ヘプチルスルホニル基、オクチルスルホニル基、1−メチルブチルスルホニル基、1,1,3,3−テトラメチルブチルスルホニル基、1,5−ジメチルヘキシルスルホニル基、1,6−ジメチルヘプチルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基及び1,1,5,5−テトラメチルヘキシルスルホニル基等が挙げられる。中でも、メチルスルホニル基及びエチルスルホニル基が好ましく、メチルスルホニル基がより好ましい。
耐熱性が優れたパターンなどを形成できる傾向にあることから、R〜R18のうち、少なくとも1つはニトロ基であることが好ましい。
また、R〜Rの少なくとも1つ及びR〜R10のうち少なくとも1つは、−SO29であることが好ましい。−SO29を複数個有する場合、複数のR29は互いに同一であっても異なっていてもよい。
−SO29としては−SO32が好ましく、メチルスルホニル基がより好ましい。
式(A0)で表されるアニオンが−SO32を有する場合、R11〜R14の少なくとも1つ及びR15〜R18のうち少なくとも1つが、−SO32であることが好ましい。−SO32を複数個有する場合、複数のR32は互いに同一であっても異なっていてもよい。
19及びR20としては、メチル基、エチル基又はアミノ基が好ましく、メチル基がより好ましい。
式(A0)で表されるアニオンとしては、式(1−b1)で表されるアニオン〜式(1−b60)で表されるアニオンが挙げられる。
Figure 0006505432
Figure 0006505432
Figure 0006505432
Figure 0006505432
Figure 0006505432
Figure 0006505432
Figure 0006505432
Figure 0006505432
Figure 0006505432
Figure 0006505432
Figure 0006505432
Figure 0006505432
Figure 0006505432
Figure 0006505432
Figure 0006505432
式(A0)で表されるアニオンは、式(d0)
Figure 0006505432
(式中、R〜R、R11〜R14及びR19は、それぞれ上記と同じ意味を表す。)
で表される化合物と、式(d1)
Figure 0006505432
(式中、R〜R10、R15〜R18及びR20は、それぞれ上記と同じ意味を表す。)
で表される化合物と、クロム化合物とを反応させることにより得ることができる。
クロム化合物としては、ギ酸クロム、酢酸クロム、塩化クロム、フッ化クロム、硫酸アンモニウムクロムなどが挙げられ、好ましくはギ酸クロム、硫酸アンモニウムクロムが挙げられる。
クロム化合物の使用量は、式(d0)で表される化合物又は式(d1)で表される化合物1モルに対して、0.5〜1モルであることが好ましい。
式(d0)で表される化合物、式(d1)で表される化合物及びクロム化合物は、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等溶媒中で反応させることが好ましい。反応時間は通常3〜10時間であり、反応温度は通常70〜150℃である。式(d0)で表される化合物、式(d1)で表される化合物及びクロム化合物の反応は、式(d0)で表される化合物、式(d1)で表される化合物及びクロム化合物を混合することにより実施される。
式(d0)で表される化合物は、式(a2)で表されるジアゾニウム塩と、式(b1)で表される化合物とをジアゾカップリングすることにより得ることができる。
式(a2)で表されるジアゾニウム塩は、例えば、式(a1)で表される化合物を、亜硝酸、亜硝酸塩又は亜硝酸エステルでジアゾ化することによって得ることができる。
Figure 0006505432
[式(a1)、式(a2)及び式(b1)中、R〜R、R11〜R14及びR19は、上記と同じ意味を表す。Aは、1価のアニオンを表す。]
で表される1価のアニオンとしては、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等のハロゲン化物イオン;過塩素酸イオン;次亜塩素酸イオン;CHCOO;PhCOO等が挙げられ、好ましくは、塩化物イオン、臭化物イオン、CHCOOである。
式(a2)で表されるジアゾニウム塩と式(b1)で表される化合物とのジアゾカップリングは、反応温度は、−5℃〜60℃が好ましく、0℃〜30℃がより好ましい。反応時間は、1時間〜12時間が好ましく、1時間〜4時間がより好ましい。
式(a2)で表されるジアゾニウム塩と、式(b1)で表される化合物とのジアゾカップリングは、N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等溶媒中で実施することが好ましい。
式(a2)で表されるジアゾニウム塩と式(b1)で表される化合物とのジアゾカップリングは、無機塩基の存在下で実施されてもよい。無機塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、酢酸ナトリウム、酢酸カルシウム等が挙げられ、好ましくは炭酸ナトリウム、酢酸ナトリウムである。
トリアリールメタン染料に由来するアニオンとは、トリアリールメタン骨格を有し、さらに、スルホ基などのアニオン基を有するアニオンである。
トリアリールメタン染料に由来するアニオンの具体例としては、式(2−b1)で表されるアニオン〜式(2−b3)で表されるアニオンが挙げられる。
Figure 0006505432
式(I)におけるYは、式(Y)で表される化合物に由来するカチオンを表す。
Figure 0006505432
3つある(−OR40)基は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
式(Y)において、nは1〜3の整数が好ましく、R40で表される炭素数1〜4のアルキル基は、メチル基またはエチル基が好ましい。
式(Y)で表される化合物に由来するカチオンの具体例としては、式(3−b1)で表されるカチオン〜式(3−b9)で表されるカチオン等が挙げられる。
Figure 0006505432
式(I)で表される化合物としては、以下に示す化合物が好ましい。
Figure 0006505432
次に、式(I)で表される化合物の製造方法について説明する。
化合物(I)の製造方法としては、例えば、Xで表される染料に由来するアニオンと金属カチオンとの塩(以下、塩(I)という場合がある。)、及び式(Y)で表される化合物を溶媒中で混合する方法が挙げられる。塩を形成する金属カチオンとしては、リチウムカチオン、ナトリウムカチオン及びカリウムカチオン等のアルカリ金属カチオンが挙げられる。
溶媒としては、N,N−ジメチルホルミアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、酢酸エチル、トルエン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、水及びクロロホルムが挙げられる。
中でも、N,N−ジメチルホルミアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、メタノール、エタノール、イソプロパノール及び水が好ましい。
溶媒が水である場合、酢酸や塩酸等の酸を加えてもよい。
塩(I)と式(Y)で表される化合物の混合温度は、好ましくは0℃〜150℃、より好ましくは10℃〜120℃、さらに好ましくは20℃〜100℃である。混合時間は、好ましくは1時間〜72時間、より好ましくは2時間〜48時間、さらに好ましくは3時間〜24時間である。
水と相溶する溶媒を用いた場合は、塩(I)と式(Y)で表される化合物との混合溶液を、必要に応じてさらに1〜3時間攪拌して、その後、濾過により取得することにより、式(I)で表される化合物を固体として取り出すことができる。
水と相溶しない溶媒を用いた場合は、塩(I)と式(Y)で表される化合物との反応溶液に、水を加えて、結晶を析出させ、その後、濾過することにより、式(I)で表される化合物を固体として取り出すことができる。
<着色剤(A)>
着色剤(A)は、化合物(I)とは異なる染料をともに含んでもよい。該染料としては、油溶性染料、酸性染料、酸性染料のアミン塩や酸性染料のスルホンアミド誘導体などの染料が挙げられ、例えば、カラーインデックス(The Society of Dyers and Colourists出版)で染料に分類されている化合物や、染色ノート(色染社)に記載されている公知の染料が挙げられる。
具体的には、C.I.ソルベントイエロー4(以下、C.I.ソルベントイエローの記載を省略し、番号のみの記載とする。)、14、15、23、24、38、62、63、68、82、94、98、99、162;
C.I.ソルベントレッド45、49、125、130;
C.I.ソルベントオレンジ2、7、11、15、26、56;等のC.I.ソルベント染料、
C.I.アシッドイエロー1、3、7、9、11、17、23、25、29、34、36、38、40、42、54、65、72、73、76、79、98、99、111、112、113、114、116、119、123、128、134、135、138、139、140、144、150、155、157、160、161、163、168、169、172、177、178、179、184、190、193、196、197、199、202、203、204、205、207、212、214、220、221、228、230、232、235、238、240、242、243、251;
C.I.アシッドレッド1、4、8、14、17、18、26、27、29、31、34、35、37、42、44、50、51、52、57、66、73、80、87、88、91、92、94、97、103、111、114、129、133、134、138、143、145、150、151、158、176、182、183、198、206、211、215、216、217、227、228、249、252、257、258、260、261、266、268、270、274、277、280、281、195、308、312、315、316、339、341、345、346、349、382、383、394、401、412、417、418、422、426;
C.I.アシッドオレンジ6、7、8、10、12、26、50、51、52、56、62、63、64、74、75、94、95、107、108、169、173;
C.I.アシッドバイオレット6B、7、9、17、19;等のC.I.アシッド染料、
C.I.ダイレクトイエロー2、33、34、35、38、39、43、47、50、54、58、68、69、70、71、86、93、94、95、98、102、108、109、129、136、138、141;
C.I.ダイレクトレッド79、82、83、84、91、92、96、97、98、99、105、106、107、172、173、176、177、179、181、182、184、204、207、211、213、218、220、221、222、232、233、234、241、243、246、250;
C.I.ダイレクトオレンジ34、39、41、46、50、52、56、57、61、64、65、68、70、96、97、106、107;
C.I.ダイレクトバイオレット47、52、54、59、60、65、66、79、80、81、82、84、89、90、93、95、96、103、104;等のC.I.ダイレクト染料、
C.I.モーダントイエロー5、8、10、16、20、26、30、31、33、42、43、45、56、61、62、65;
C.I.モーダントレッド1、2、3、4、9、11、12、14、17、18、19、22、23、24、25、26、30、32、33、36、37、38、39、41、43、45、46、48、53、56、63、71、74、85、86、88、90、94、95;
C.I.モーダントオレンジ3、4、5、8、12、13、14、20、21、23、24、28、29、32、34、35、36、37、42、43、47、48;
C.I.モーダントバイオレット1、2、4、5、7、14、22、24、30、31、32、37、40、41、44、45、47、48、53、58;等のC.I.モーダント染料等が挙げられる。
着色剤(A)は、さらに顔料をともに含んでもよい。
顔料としては、有機顔料、例えば、C.I.ピグメントバイオレット1、19、23、29、32、36、38等のバイオレット色顔料;
C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、15、16、17、20、24、31、53、83、86、93、94、109、110、117、125、128、137、138、139、147、148、150、153、154、166、173、194、214等の黄色顔料;
C.I.ピグメントオレンジ13、31、36、38、40、42、43、51、55、59、61、64、65、71、73等のオレンジ色顔料;
C.I.ピグメントレッド9、97、105、122、123、144、149、166、168、176、177、180、192、209、215、216、224、242、254、255、264、265等の赤色顔料等が挙げられる。
なかでも、C.I.ピグメントイエロー138、139、150、C.I.ピグメントレッド177、242、254から選ばれる少なくとも1種を含有していることが好ましい。前記の顔料を含むことで、透過スペクトルの最適化が容易であり、耐薬品性が良好になる。
これらの顔料は、単独でも、2種以上を混合して用いてもよい。
有機顔料は、必要に応じて、ロジン処理、酸性基又は塩基性基が導入された顔料誘導体等を用いた表面処理、高分子化合物等による顔料表面へのグラフト処理、硫酸微粒化法等による微粒化処理、又は不純物を除去するための有機溶剤や水等による洗浄処理、イオン性不純物のイオン交換法等による除去処理等が施されていてもよい。
有機顔料は、粒径が均一であることが好ましい。顔料分散剤を含有させて分散処理を行うことで、顔料が溶液中で均一に分散した状態の顔料分散液を得ることができる。
前記の顔料分散剤としては、例えば、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、ポリエステル系、ポリアミン系、アクリル系等の界面活性剤等が挙げられる。これらの顔料分散剤は、単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。顔料分散剤としては、商品名でKP(信越化学工業(株)製)、フローレン(共栄社化学(株)製)、ソルスパース(ゼネカ(株)製)、EFKA(BASF社製)、アジスパー(味の素ファインテクノ(株)製)、Disperbyk(ビックケミー社製)などが挙げられる。
顔料分散剤を用いる場合、その使用量は、顔料に対して、好ましくは100質量%であり、より好ましくは5質量%以上50質量%以下である。顔料分散剤の使用量が前記の範囲にあると、均一な分散状態の顔料分散液が得られる傾向がある。
化合物(I)の含有量は、着色剤(A)に対して、好ましくは3〜100質量%であり、より好ましくは5〜90質量%であり、さらに好ましくは10〜80質量%である。
着色剤(A)の含有量は、着色硬化性樹脂組成物中の固形分に対して、好ましくは5〜60質量%であり、より好ましくは8〜55質量%であり、さらに好ましくは10〜50質量%である。ここで、固形分とは、着色硬化性樹脂組成物中の、溶剤を除く成分の合計をいう。着色剤(A)の含有量が前記の範囲にあると、カラーフィルタとしたときの色濃度が十分であり、かつ組成物中にバインダーポリマーを必要量含有させることができるので、機械的強度が十分なパターンを形成することができる。
<樹脂(B)>
本発明の着色硬化性樹脂組成物は、樹脂(B)を含む。樹脂(B)としては、特に限定されるものではないが、アルカリ可溶性樹脂であることが好ましい。
樹脂(B)としては、例えば、以下の樹脂[K1]〜[K4]等が挙げられる。
[K1]炭素数2〜4の環状エーテル構造とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(a)(以下「(a)」という場合がある)と、不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種(b)(以下「(b)」という場合がある)との共重合体。
[K2](a)と(b)と、(a)と共重合可能な単量体(c)(ただし、(a)及び(b)とは異なる。)(以下「(c)」という場合がある)との共重合体
[K3](b)と(c)との共重合体
[K4](b)と(c)との共重合体に(a)を反応させて得られる樹脂。
樹脂(B)が(a)に由来する構造単位を含むことにより、得られる着色パターンの耐熱性、耐薬品性等の信頼性をより高くすることができる。
(a)は、例えば、炭素数2〜4の環状エーテル構造(例えば、オキシラン環、オキセタン環及びテトラヒドロフラン環(オキソラン環)からなる群から選ばれる少なくとも1種)とエチレン性不飽和結合とを有する重合性化合物をいう。(a)は、炭素数2〜4の環状エーテルと(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する単量体が好ましい。
尚、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸及びメタクリル酸よりなる群から選ばれる少なくとも1種を表す。「(メタ)アクリロイル」及び「(メタ)アクリレート」等の表記も、同様の意味を有する。
(a)としては、例えば、オキシラニル基とエチレン性不飽和結合とを有する単量体、オキセタニル基とエチレン性不飽和結合とを有する単量体、テトラヒドロフリル基とエチレン性不飽和結合とを有する単量体等が挙げられる。
(a)としては、得られる着色パターンの耐熱性、耐薬品性等の信頼性をより高くすることができる点で、オキシラニル基とエチレン性不飽和結合とを有する単量体であることが好ましい。
(b)としては、具体的には、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、o−、m−、p−ビニル安息香酸等の不飽和モノカルボン酸類;
マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、3−ビニルフタル酸、4−ビニルフタル酸、3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸、1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸、ジメチルテトラヒドロフタル酸、1、4−シクロヘキセンジカルボン酸等の不飽和ジカルボン酸類;
メチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸、5−カルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジカルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシ−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシ−5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシ−6−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシ−6−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン等のカルボキシ基を含有するビシクロ不飽和化合物類;
無水マレイン酸、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、3−ビニルフタル酸無水物、4−ビニルフタル酸無水物、3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸無水物、1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、ジメチルテトラヒドロフタル酸無水物、5,6−ジカルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン無水物(ハイミック酸無水物)等の不飽和ジカルボン酸類無水物;
こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕、フタル酸モノ〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕等の2価以上の多価カルボン酸の不飽和モノ〔(メタ)アクリロイルオキシアルキル〕エステル類;
α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸のような、同一分子中にヒドロキシ基及びカルボキシ基を含有する不飽和アクリレート類等が挙げられる。
これらのうち、共重合反応性の点やアルカリ水溶液への溶解性の点から、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸等が好ましい。
(c)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル(メタ)アクリレート(当該技術分野では、慣用名として、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレートといわれている。)、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、プロパルギル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル類;
マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジエチル等のジカルボン酸ジエステル;
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(2’−ヒドロキシエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジヒドロキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジ(ヒドロキシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジ(2’−ヒドロキシエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジメトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジエトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシ−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシ−5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシメチル−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−tert−ブトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シクロヘキシルオキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−フェノキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ビス(tert−ブトキシカルボニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ビス(シクロヘキシルオキシカルボニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン等のビシクロ不飽和化合物類;
N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−スクシンイミジル−3−マレイミドベンゾエート、N−スクシンイミジル−4−マレイミドブチレート、N−スクシンイミジル−6−マレイミドカプロエート、N−スクシンイミジル−3−マレイミドプロピオネート、N−(9−アクリジニル)マレイミド等のジカルボニルイミド誘導体類;
スチレン、α−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メトキシスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリルアミド、メタクリルアミド、酢酸ビニル、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等が挙げられる。
これらのうち、共重合反応性及び耐熱性の点から、スチレン、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン等が好ましい。
樹脂(B)は、例えば、文献「高分子合成の実験法」(大津隆行著 発行所(株)化学同人 第1版第1刷 1972年3月1日発行)に記載された方法及び当該文献に記載された引用文献を参考にして製造することができる。
なお、得られた共重合体は、反応後の溶液をそのまま使用してもよいし、濃縮あるいは希釈した溶液を使用してもよいし、再沈殿等の方法で固体(粉体)として取り出したものを使用してもよい。特に、この重合の際に溶剤として、後述する溶剤(E)を使用することにより、反応後の溶液をそのまま使用することができ、製造工程を簡略化することができる。
樹脂(B)としては、具体的に、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02.6]デシルアクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体等の樹脂[K1];グリシジル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、グリシジル(メタ)アクリレート/スチレン/(メタ)アクリル酸共重合体、3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02.6]デシルアクリレート/(メタ)アクリル酸/N−シクロヘキシルマレイミド共重合体、3−メチル−3−(メタ)アクリルロイルオキシメチルオキセタン/(メタ)アクリル酸/スチレン共重合体等の樹脂[K2];ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン/(メタ)アクリル酸共重合体等の樹脂[K3];ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた樹脂トリシクロデシル(メタ)アクリレート/スチレン/(メタ)アクリル酸共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた樹脂、トリシクロデシル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた樹脂等の樹脂[K4]等が挙げられる。中でも、樹脂[K1]及び樹脂[K2]が好ましく、樹脂[K1]がより好ましく、3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02.6]デシルアクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体がさらに好ましい。
樹脂(B)のポリスチレン換算の重量平均分子量は、好ましくは3,000〜100,000であり、より好ましくは5,000〜50,000であり、さらに好ましくは5,000〜35,000であり、特に好ましくは6,000〜30,000であり、とりわけ好ましくは7,000〜28,000である。分子量が前記の範囲にあると、塗膜硬度が向上し、残膜率も高く、未露光部の現像液に対する溶解性が良好で、解像度が向上する傾向がある。
樹脂(B)の分子量分布[重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)]は、好ましくは1.1〜6であり、より好ましくは1.2〜4である。
樹脂(B)の酸価は、好ましくは50〜150mg−KOH/gであり、より好ましくは60〜135mg−KOH/g、さらに好ましくは70〜135mg−KOH/gである。ここで酸価は樹脂(B)1gを中和するに必要な水酸化カリウムの量(mg)として測定される値であり、例えば水酸化カリウム水溶液を用いて滴定することにより求めることができる。
樹脂(B)の含有量は、着色硬化性樹脂組成物の固形分に対して、好ましくは7〜65質量%であり、より好ましくは13〜60質量%であり、さらに好ましくは17〜55質量%である。樹脂(B)の含有量が、前記の範囲にあると、パターンが形成でき、また解像度及び残膜率が向上する傾向がある。
<光重合性化合物(C)>
本発明の着色硬化性樹脂組成物は光重合性化合物(C)を含む。光重合性化合物(C)は、光を照射されることによって光重合開始剤(D)から発生した活性ラジカル及び酸等によって重合しうる化合物であって、例えば、重合性のエチレン性不飽和結合を有する化合物等が挙げられ、好ましくは(メタ)アクリル酸エステル化合物が挙げられる。
中でも、光重合性化合物(C)としては、エチレン性不飽和結合を3つ以上有する光重合性化合物であることが好ましい。このような光重合性化合物としては、例えば、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート等が挙げられる。光重合性化合物(C)は、単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。
光重合性化合物(C)の含有量は、着色硬化性樹脂組成物の固形分に対して、7〜65質量%であることが好ましく、より好ましくは13〜60質量%であり、さらに好ましくは17〜55質量%である。前記の光重合性化合物(C)の含有量が、前記の範囲にあると、硬化が十分におこり、現像前後での膜厚比率が向上し、パターンにアンダーカットが入りにくくなって密着性が良好になる傾向があることから好ましい。
<光重合開始剤(D)>
本発明の着色硬化性樹脂組成物は光重合開始剤(D)を含む。
前記の光重合開始剤(D)としては、光の作用により活性ラジカル、酸等を発生し、重合を開始する化合物であれば特に限定されることなく、公知の重合開始剤を用いることができる。
光重合開始剤(D)としては、光の作用により活性ラジカルを発生する化合物が好ましく、アルキルフェノン化合物、トリアジン化合物、アシルホスフィンオキサイド化合物、オキシム化合物及びビイミダゾール化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む光重合開始剤がより好ましく、オキシム化合物を含む光重合開始剤がさらに好ましい。
アルキルフェノン化合物としては、ジエトキシアセトフェノン、2−メチル−2−モルホリノ−1−(4−メチルスルファニルフェニル)プロパン−1−オン、2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−2−ベンジルブタン−1−オン、2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−2−(4−メチルフェニルメチル)ブタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕プロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−〔4−(1−メチルビニル)フェニル〕プロパン−1−オンのオリゴマー等が挙げられ、好ましくは2−メチル−2−モルホリノ−1−(4−メチルスルファニルフェニル)プロパン−1−オン、2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−2−ベンジルブタン−1−オン等が挙げられる。イルガキュア(登録商標)369、907(以上、BASF社製)等の市販品を用いてもよい。
トリアジン化合物としては、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシナフチル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−ピペロニル−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシスチリル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(フラン−2−イル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。
アシルホスフィンオキサイド化合物としては、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等が挙げられる。イルガキュア(登録商標)819(BASF社製)等の市販品を用いてもよい。
オキシム化合物としては、N−ベンゾイルオキシ−1−(4−フェニルスルファニルフェニル)ブタン−1−オン−2−イミン、N−ベンゾイルオキシ−1−(4−フェニルスルファニルフェニル)オクタン−1−オン−2−イミン、N−アセトキシ−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタン−1−イミン、N−アセトキシ−1−[9−エチル−6−{2−メチル−4−(3,3−ジメチル−2,4−ジオキサシクロペンタニルメチルオキシ)ベンゾイル}−9H−カルバゾール−3−イル]エタン−1−イミン等が挙げられる。イルガキュア(登録商標)OXE−01、OXE−02(以上、BASF社製)、N−1919(ADEKA社製)等の市販品を用いてもよい。
ビイミダゾール化合物としては、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2,3−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール(例えば、特開平6−75372号公報、特開平6−75373号公報等参照。)、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(アルコキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(ジアルコキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(トリアルコキシフェニル)ビイミダゾール(例えば、特公昭48−38403号公報、特開昭62−174204号公報等参照。)、4,4’,5,5’−位のフェニル基がカルボアルコキシ基により置換されているイミダゾール化合物(例えば、特開平7−10913号公報等参照。)等が挙げられる。好ましくは2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2、3−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2、4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾールが挙げられる。
光により酸を発生する酸発生剤としては、例えば、4−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウムp−トルエンスルホナート、4−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−アセトキシフェニルジメチルスルホニウムp−トルエンスルホナート、4−アセトキシフェニル・メチル・ベンジルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムp−トルエンスルホナート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウムp−トルエンスルホナート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート等のオニウム塩類や、ニトロベンジルトシレート類、ベンゾイントシレート類等を挙げることができる。
光重合開始剤(D)は、例えば、トリアジン化合物のように、光により活性ラジカルと酸とを同時発生する化合物であってもよい。
さらに光重合開始剤(D)としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン化合物;ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’−テトラ(tert−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン等のベンゾフェノン化合物;9,10−フェナンスレンキノン、2−エチルアントラキノン、カンファーキノン等のキノン化合物;10−ブチル−2−クロロアクリドン、ベンジル、フェニルグリオキシル酸メチル、チタノセン化合物等が挙げられる。これらは、後述の光重合開始助剤(D1)(特にアミン類)と組み合わせて用いることが好ましい。
光重合開始剤(D)の含有量は、樹脂(B)及び光重合性化合物(C)の合計量100質量部に対して、好ましくは0.1〜30質量部であり、より好ましくは1〜20質量部である。光重合開始剤の含有量が、前記の範囲にあると、高感度化して露光時間が短縮され生産性が向上する。
<光重合開始助剤(D1)>
本発明の着色硬化性樹脂組成物には、さらに光重合開始助剤(D1)が含まれていてもよい。光重合開始助剤(D1)は、通常、光重合開始剤(D)と組み合わせて用いられ、光重合開始剤によって重合が開始された光重合性化合物の重合を促進するために用いられる化合物、もしくは増感剤である。
光重合開始助剤(D1)としては、アミン化合物、アルコキシアントラセン化合物、チオキサントン化合物、カルボン酸化合物等が挙げられる。
アミン化合物としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸2−ジメチルアミノエチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、N,N−ジメチルパラトルイジン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(通称ミヒラーズケトン)、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(エチルメチルアミノ)ベンゾフェノン等が挙げられ、中でも4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンが好ましい。EAB−F(保土谷化学工業(株)製)等の市販品を用いてもよい。
アルコキシアントラセン化合物としては、9,10−ジメトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジエトキシアントラセン、9,10−ジブトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジブトキシアントラセン等が挙げられる。
チオキサントン化合物としては、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン等が挙げられる。
カルボン酸化合物としては、フェニルスルファニル酢酸、メチルフェニルスルファニル酢酸、エチルフェニルスルファニル酢酸、メチルエチルフェニルスルファニル酢酸、ジメチルフェニルスルファニル酢酸、メトキシフェニルスルファニル酢酸、ジメトキシフェニルスルファニル酢酸、クロロフェニルスルファニル酢酸、ジクロロフェニルスルファニル酢酸、N−フェニルグリシン、フェノキシ酢酸、ナフチルチオ酢酸、N−ナフチルグリシン、ナフトキシ酢酸等が挙げられる。
光重合開始助剤(D1)は、単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの光重合開始助剤(D1)を用いる場合、その使用量は、樹脂(B)及び重合性化合物(C)の合計量100質量部に対して、好ましくは0.01〜50質量部、より好ましくは0.1〜40質量部である。また、光重合開始剤(D)1モルに対して、好ましくは0.01〜10モル、より好ましくは0.01〜5モルである。重合開始助剤(D1)の量がこの範囲にあると、さらに高感度でパターンを形成することができ、パターンの生産性が向上する傾向にある。
<溶剤(E)>
本発明の着色硬化性樹脂組成物は、溶剤(E)を含んでもよい。
溶剤(E)は、特に限定されず、当該分野で通常使用される溶剤を用いることができる。例えば、エステル溶剤(−COO−を含む溶剤)、エステル溶剤以外のエーテル溶剤(−O−を含む溶剤)、エーテルエステル溶剤(−COO−と−O−とを含む溶剤)、エステル溶剤以外のケトン溶剤(−CO−を含む溶剤)、アルコール溶剤、芳香族炭化水素溶剤、アミド溶剤、ジメチルスルホキシド等の中から選択して用いることができる。
エステル溶剤としては、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、2−ヒドロキシイソブタン酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸ペンチル、酢酸イソペンチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、シクロヘキサノールアセテート、γ−ブチロラクトンなどが挙げられる。
エーテル溶剤としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、3−メトキシ−1−ブタノール、3−メトキシ−3−メチルブタノール、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、アニソール、フェネトール、メチルアニソールなどが挙げられる。
エーテルエステル溶剤としては、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートなどが挙げられる。
ケトン溶剤としては、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、アセトン、2−ブタノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、4−メチル−2−ペンタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、イソホロンなどが挙げられる。
アルコール溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなどが挙げられる。
芳香族炭化水素溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレンなどが挙げられる。
アミド溶剤としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどが挙げられる。
これらの溶剤は、単独でも2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
上記の溶剤のうち、塗布性、乾燥性の点から、1atmにおける沸点が120℃以上180℃以下である有機溶剤が好ましい。中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等が好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル等がより好ましい。これらの溶剤を含むと、塗布時の平坦性に優れる。
着色硬化性樹脂組成物における溶剤(E)の含有量は、着色硬化性樹脂組成物に対して、好ましくは70〜95質量%であり、より好ましくは75〜92質量%である。言い換えると、着色硬化性樹脂組成物の固形分は、好ましくは5〜30質量%、より好ましくは8〜25質量%である。溶剤(E)の含有量が前記の範囲にあると、塗布時の平坦性が良好になり、またカラーフィルタを形成した際に色濃度が不足しないために表示特性が良好となる傾向がある。
本発明の着色硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、界面活性剤、充填剤、他の高分子化合物、密着促進剤、酸化防止剤、レべリング剤、紫外線吸収剤、光安定剤、連鎖移動剤等の種々の添加剤を含んでもよい。
本発明の着色硬化性樹脂組成物を用いて着色パターンを形成する方法としては、例えば、本発明の着色硬化性樹脂組成物を、基板又は別の樹脂層(例えば、基板の上に先に形成された別の着色硬化性樹脂組成物層等)の上に塗布し、溶剤等揮発成分を除去/乾燥して着色層を形成し、フォトマスクを介して該着色層を露光して、現像するフォトリソグラフ法、インクジェット法等が挙げられる。
この場合の塗膜の膜厚は、特に限定されず、用いる材料、用途等によって適宜調整することができ、例えば、0.1〜30μm、好ましくは1〜20μm、さらに好ましくは1〜6μmである。
着色硬化性樹脂組成物の塗布方法は、例えば、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、CAPコーティング法、ダイコーティング法等が挙げられる。また、ディップコーター、バーコーター、スピンコーター、スリット&スピンコーター、スリットコーター(ダイコーター、カーテンフローコーター、スピンレスコーターとも呼ばれることがある)等のコーターを用いて塗布してもよい。
溶媒の除去/乾燥は、例えば、自然乾燥、通風乾燥、減圧乾燥、加熱乾燥等が挙げられる。具体的な乾燥温度は、10〜120℃が好ましく、25〜100℃がより好ましい。
乾燥時間は、10秒間〜60分間が好ましく、30秒間〜30分間がより好ましい。
減圧乾燥は、50〜150Paの圧力下、20〜25℃の範囲で行うことが好ましい。
乾燥後の塗膜は、目的のパターンを形成するためのフォトマスクを介して、露光する。
この際のフォトマスク上のパターン形状は特に限定されず、目的とする用途に応じたパターン形状が用いられる。
露光に用いられる光源としては、250〜450nmの波長の光を発生する光源が好ましい。具体的には、水銀灯、発光ダイオード、メタルハライドランプ、ハロゲンランプ等が挙げられ、特定波長域をカットするフィルタを用いてカットしたり、特定波長域を取り出すバンドパスフィルタを用いて選択的に取り出したりして露光してもよい。
露光面全体に均一に平行光線を照射したり、マスクと基材との正確な位置合わせを行うことができるため、マスクアライナ、ステッパ等の装置を使用することが好ましい。
露光後、現像液に接触させて所定部分、例えば、未露光部を溶解させ、現像することにより、パターンを得ることができる。現像液としては、アルカリ性化合物(水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等)の水溶液等が挙げられる。該現像液は、界面活性剤を含んでいてもよい。
現像方法は、パドル法、ディッピング法、スプレー法等のいずれでもよい。さらに現像時に基板を任意の角度に傾けてもよい。現像後は、水洗することが好ましい。
さらに必要に応じて、ポストベークを行ってもよい。ポストベークは、例えば、150〜230℃、10〜240分間の範囲が好ましい。
本発明の着色硬化性樹脂組成物によれば、明度とコントラストが良好な塗膜、パターン及び高品質なカラーフィルタを得ることができる。また、これらのカラーフィルタ又はパターンをその構成部品の一部として備える表示装置、例えば、公知の液晶表示装置、有機EL装置、固体撮像素子等の種々の着色画像に関連する機器の全てに、公知の態様で、利用することができる。
次に実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。例中、含有量ないし使用量を表す%及び部は、特記ない限り、質量基準である。
以下において、化合物の構造は質量分析(LC;Agilent製1200型、MASS;Agilent製LC/MSD型)で確認した。
〔合成例1〕
2−アミノ−4−メチルスルホニル−6−ニトロフェノール(CAS No.101861−04−5)7.5部に水65部を加えた後、水酸化ナトリウム1.3部を加え、溶解させた。氷冷下、35%亜硝酸ナトリウム(和光純薬工業(株)製)水溶液6.1部を加え、ついで35%塩酸19.4部を少しずつ加えて溶解させ2時間撹拌し、ジアゾニウム塩を含む懸濁液を得た。ついでアミド硫酸(和光純薬工業(株)製)5.6部を水26部に溶解させた水溶液をゆっくりと加え、過剰の亜硝酸ナトリウムを不活性化させた。
ついで、3−メチル−1−フェニル−5−ピラゾロン(和光純薬工業(株)製)5.6部を水70部に懸濁させ、水酸化ナトリウムを用いて、pHを8.0に調整した。ここに、前記ジアゾニウム塩を含む懸濁液を15分かけて、pHが7から7.5の範囲におさまるように10%水酸化ナトリウム溶液を適宜追加しながら、滴下した。滴下終了後、さらに30分間撹拌することで黄色の懸濁液を得た。1時間攪拌した。濾過して得た黄色固体を減圧下60℃で乾燥し、式(p−2)で表される化合物11.7部(収率87%)を得た。
Figure 0006505432
式(p−2)の化合物10部をジメチルホルムアミド(東京化成工業(株)製)100部に入れて溶解し、硫酸アンモニウムクロム(III)12水和物(和光純薬工業(株)製)3.1部、酢酸ナトリウム(和光純薬工業(株)製)1.1部を加えた後、4時間半の間加熱還流した。室温まで冷却した後、反応溶液を20%食塩水1500部へ注入し、ろ過後に得られた赤橙色固体を60℃で乾燥し、式(z−2)で表される化合物13.6部(収率63%)を得た。
Figure 0006505432
〔合成例2〕
式(z−2)で表される化合物9.1部を水100部に溶解させた液(d−1)を作成した。液(d−1)に3-アミノプロピルトリエトキシシラン(東京化成工業(株)製)2.2部を1時間かけて加え、その後24時間撹拌した。生じた沈殿物をろ過し、水1000部で洗浄した後、24時間、60度で減圧乾燥させ、式(z−3)で表される化合物を1.0部得た。
Figure 0006505432
〔合成例3〕
撹拌機、温度計、還流冷却器及び、滴下ロートを備えたフラスコ内に窒素を0.02L/分で流して窒素雰囲気とし、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート305部を入れ、撹拌しながら70℃まで加熱した。次いで、アクリル酸60部、3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02.6]デシルアクリレート(式(I−1)で表される化合物及び式(II−1)で表される化合物を、モル比で、50:50で混合。)440部を、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート140部に溶解して溶液を調製し、該溶解液を、滴下ロートを用いて4時間かけて、70℃に保温したフラスコ内に滴下した。
Figure 0006505432
一方、重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)30部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート225部に溶解した溶液を、別の滴下ロートを用いて4時間かけてフラスコ内に滴下した。重合開始剤の溶液の滴下が終了した後、4時間、70℃に保持し、その後室温まで冷却して、重量平均分子量(Mw)は、9.1×10、分子量分布が2.16、固形分34.8%、固形分換算の酸価は81mg−KOH/gの樹脂B1溶液を得た。樹脂B1は下記に示す構造単位を有する。
Figure 0006505432
合成例で得られた樹脂の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)の測定は、GPC法を用いて、以下の条件で行った。
装置;K2479((株)島津製作所製)
カラム;SHIMADZU Shim−pack GPC−80M
カラム温度;40℃
溶媒;THF(テトラヒドロフラン)
流速;1.0mL/min
検出器;RI校正用標準物質 ;TSK STANDARD POLYSTYRENE F−40、F−4、F−288、A−2500、A−500(東ソー(株)製)
上記で得られたポリスチレン換算の重量平均分子量及び数平均分子量の比(Mw/Mn)を分子量分布とした。
実施例1、2および比較例1
実施例1
化合物(A):式(z−3)で表される化合物 5.1部
顔料:C.I.ピグメントレッド254 40.1部
樹脂(B):樹脂B1 15.0部
光重合性化合物(C):ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(KAYARAD(登録商標) DPHA;日本化薬(株)製) 52.1部
光重合開始剤(D):2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン(イルガキュア(登録商標)369;BASF社製)
2.0部
光重合開始剤(D):イルガキュア(登録商標)OXE01(BASF社製)
8.5部
光重合開始助剤(D1):2,4−ジエチルチオキサントン(KAYACURE(登録商標) DETX−S;日本化薬(株)製) 2.1部
溶剤(E):プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 690.1部
溶剤(E):プロピレングリコールモノメチルエーテル 62.1部
を混合し、着色硬化性樹脂組成物を得た。
実施例2
化合物(A):式(z−3)で表される化合物 7.3部
樹脂(B):樹脂B1 12.0部
光重合性化合物(C):ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(KAYARAD(登録商標) DPHA;日本化薬(株)製) 52.1部
光重合開始剤(D):2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン(イルガキュア(登録商標)369;BASF社製)
2.0部
光重合開始剤(D):イルガキュア(登録商標)OXE01(BASF社製)
8.5部
光重合開始助剤(D1):2,4−ジエチルチオキサントン(KAYACURE(登録商標) DETX−S;日本化薬(株)製) 2.1部
溶剤(E):プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 895.1部
溶剤(E):プロピレングリコールモノメチルエーテル 73.2部
を混合し、着色硬化性樹脂組成物を得た。
比較例1
化合物(A):式(z−2)で表される化合物 10.3部
顔料:C.I.ピグメントレッド254 80.1部
樹脂(B):樹脂B1 31.1部
重合性化合物(C):ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(KAYARAD(登録商標) DPHA;日本化薬(株)製) 50.0部
光重合開始剤(D):2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン(イルガキュア(登録商標)369;BASF社製)
11.4部
重合開始剤(D):イルガキュア(登録商標)OXE01(BASF社製)
8.5部
重合開始助剤(D1):2,4−ジエチルチオキサントン(KAYACURE(登録商標) DETX−S;日本化薬(株)製) 2.1部
溶剤(E):プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 1120.8部
溶剤(E):プロピレングリコールモノメチルエーテル 12.5部
溶剤(E):ダイアセトンアルコール 180.2部
を混合し、着色硬化性樹脂組成物を得た。
〔着色パターンの作製〕
2インチ角のガラス基板(イーグルXG;コーニング社製)上に、赤色着色硬化性樹脂組成物をスピンコート法で塗布したのち、100℃で3分間プリベークして、2.5μmの組成物層を形成した。放冷後、基板上の組成物層とパターンを有する石英ガラス製フォトマスクとの間隔を100μmとして、露光機(TME−150RSK;トプコン(株)製)を用いて、大気雰囲気下、150mJ/cmの露光量(365nm基準)で光照射した。尚、フォトマスクとしては、100μmラインアンドスペースパターンが形成されたマスクを使用した。光照射後、上記塗膜を、非イオン系界面活性剤0.12%と炭酸ナトリウム2%を含む水系現像液に23℃で80秒間浸漬現像し、水洗後、オーブン中、230℃で20分間ポストベークを行い、着色パターンを得た。
〔耐熱性評価〕
着色感光性樹脂組成物の塗布膜を230℃で20分加熱し、塗布膜の加熱前後の色差(ΔEab*)を測色機(OSP−SP−200;OLYMPUS社製)を用いて測定した。実施例1および2で得られた塗布膜について、耐熱性評価を実施した結果、色差(ΔEab*)は、それぞれ4.2および4.8であった。また、比較例1についても同様に耐熱性評価を実施した結果、色差(ΔEab*)は5.1であり、本願化合物が耐熱性に優れていることが分かった。
本発明の化合物を含む着色硬化性樹脂組成物を用いると、耐熱性に優れたカラーフィルタを提供することができる。該カラーフィルタは、表示装置(例えば、液晶表示装置、有機EL装置、電子ペーパー等)及び固体撮像素子に用いられるカラーフィルタとして有用である。

Claims (4)

  1. 式(I)で表される化合物を含む着色剤(A)、樹脂(B)、光重合性化合物(C)及び光重合開始剤(D)を含む着色硬化性樹脂組成物。
    Figure 0006505432

    [式(I)中、X-式(A0)で表されるアゾ染料に由来するアニオンを表し、Y+は式(Y)で表される化合物に由来するカチオンを表す。
    Figure 0006505432

    (式(A0)中、R 1 〜R 18 は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10の1価のアルキル基、ニトロ基又は−SO 2 29 を表す。
    29 は、−OH、−NHR 30 又は−R 32 を表す。
    30 は、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよいシクロヘキシル基、−R 31 −O−R 32 、−R 34 −CO−O−R 35 、−R 36 −O−CO−R 37 、又は炭素数7〜10のアラルキル基を表す。
    31 、R 34 及びR 36 は、それぞれ独立に、炭素数1〜8のアルカンジイル基を表す。
    32 、R 35 及びR 37 は、それぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基を表す。
    19 及びR 20 は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、エチル基又はアミノ基を表す。
    1 は、Cr又はCoを表す。)
    Figure 0006505432

    (式(Y)中、nは、1〜8の整数を表し、R40は、炭素数1〜4のアルキル基を表す。3つの−(OR40)基は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。)]
  2. 着色剤(A)が、さらに顔料を含む請求項1に記載の着色硬化性樹脂組成物。
  3. 請求項1または2に記載の着色硬化性樹脂組成物により形成されるカラーフィルタ。
  4. 請求項に記載のカラーフィルタを含む表示装置。
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