以下、実施形態の臨床検査装置の一例として、自動分析装置について図面を参照して説明する。
〈第1の実施形態〉
図1は、第1の実施形態の臨床検査装置1の機能構成を表すブロック図である。この臨床検査装置1は、第1試薬及び当該第1試薬と対をなす第2試薬と反応した試料を分析する。臨床検査装置1は、分析部2と、算出部3と、選択部4aと、分析制御部4bと、分析データ処理部5と、出力部6と、操作部7と、システム制御部8とを有する。
図2は、第1の実施形態の臨床検査装置1に係る分析部2の概略を表す模式図である。分析部2は、第1試薬ボトル9a、第2試薬ボトル9b、第1試薬ラック10a、第2試薬ラック10b、第1試薬庫11a、第2試薬庫11b、反応管12、反応ディスク13、試料容器14、ディスクサンプラ15、第1分注アーム16a、第2分注アーム16b、サンプリングアーム17、攪拌ユニット18、測光ユニット19、及び洗浄ユニット20を有する。
第1試薬ボトル9aには、試料と反応する第1試薬が収容される。第2試薬ボトル9bには、第1試薬と異なる種類の試薬である第2試薬が収容される。第1試薬ラック10aは、複数の第1試薬ボトル9aを収容した状態で第1試薬庫11aに設置される。第2試薬ラック10bは複数の第2試薬ボトル9bを収容した状態で第2試薬庫11bに設置される。
反応管12は、試料と第1試薬及び第2試薬とを反応させる際に使用する容器である。反応ディスク13には、複数の反応管12が円状に配置される。
試料容器14は、試料が収められる容器である。1つの試料容器14には、該試料として、血液や尿等の被検試料、被測定物質の濃度が保証された試料である標準試料、又は検量線の精度管理のために用いられる精度管理試料が収められる。ディスクサンプラ15には、複数の試料容器14が配置される。
第1試薬ボトル9a内の第1試薬は、第1分注アーム16aによって、試料が分注されている反応管12内に分注される。第2試薬ボトル9b内の第2試薬は、第2分注アーム16bによって、試料及び第1試薬が分注されている反応管12内に分注される。試料容器14内の試料は、サンプリングアーム17によって反応管12内に分注される。
試料と第1試薬とが分注された反応管12、並びに、試料と第1試薬及び第2試薬とが分注された反応管12は、反応ディスク13の回動により、攪拌ユニット18の位置まで移動される。攪拌ユニット18は、反応管12内の試料と第1試薬とを攪拌し、また、反応管12内の試料と第1試薬及び第2試薬とを撹拌して、試料と第1試薬及び第2試薬とを混合させるユニットである。
撹拌された試料と第1試薬及び第2試薬とを含む反応管12は、反応ディスク13の回動により、測光ユニット19の位置まで移動される。測光ユニット19は、反応管12に対して光を照射し、試料と第1試薬及び第2試薬との混合液の吸光度変化等を測定するユニットである。
洗浄ユニット20は、測定が完了した反応管12内の混合液が廃棄された後、反応管12内の洗浄を行うユニットである。
算出部3は、第1試薬が収容された第1試薬ボトル9aにおける第1試薬の使用可能回数と第2試薬が収容された第2試薬ボトル9bにおける第2試薬の使用可能回数とに基づいて、第1試薬ボトル9a及び第2試薬ボトル9bの組み合わせであるボトルペアごとの残使用回数を算出する。
図3は、第1の実施形態の第1試薬ボトル9aにおける第1試薬の使用可能回数N1と第2試薬ボトル9bにおける第2試薬の使用可能回数N2との概略を表す模式図である。算出部3は、第1試薬ボトル9aにおける第1試薬の使用可能回数N1と第2試薬ボトル9bにおける第2試薬の使用可能回数N2とを表す情報を予め記憶する。第1試薬の使用可能回数N1は、1つの第1試薬ボトル9a当たりの使用可能回数である。ここでは、測定開始前からの第1試薬の使用可能回数N1が「330」である例について説明する。第1分注アーム16aが、第1試薬の使用可能回数N1回の吸引を行うと、当該第1試薬ボトル9aは空になる。そして、第1分注アーム16aは、次の第1試薬ボトル9aからの吸引を開始する。第1試薬ボトル9aのそれぞれは、第1試薬庫11aにおける配置位置(9a1,9a2,9a3,9a4,・・・)に設けられる。なお、本実施形態においては、第1試薬ボトル9aには、同じ種類の第1試薬が収納されているものとする。第1試薬ボトルが使用される順序は、各配置位置に基づいて予め定められる。ここでは、この順序が、配置位置9a1、配置位置9a2、配置位置9a3、配置位置9a4の順に定められている例について説明する。
第2試薬の使用可能回数N2は、1つの第2試薬ボトル9b当たりの使用可能回数である。ここでは、測定開始前からの第2試薬の使用可能回数N2が「1000」である例について説明する。第2分注アーム16bが、第2試薬の使用可能回数N2回の吸引を行うと、当該第2試薬ボトル9bは空になる。そして、第2分注アーム16bは、次の第2試薬ボトル9bからの吸引を開始する。第2試薬ボトル9bのそれぞれは、第2試薬庫11bにおける配置位置(9b1,9b2,・・・)に設けられる。なお、本実施形態においては、第2試薬ボトル9bには、同じ種類の第2試薬が収納されているものとする。ここでは、この順序が、配置位置9b1、配置位置9b2の順に定められている例について説明する。
図4は、第1の実施形態のボトルペアの概略を表す模式図である。図5は、第1の実施形態に係るボトルペアの残使用回数の概略を表す模式図である。図5に示されたボトルペア群は、試料との反応に用いられ得るボトルペアのリストである。算出部3は、組み合わされる第1試薬の使用可能回数N1及び第2試薬の使用可能回数N2のうち、ボトルペアが使用され始めるときに少ない方の使用回数であるボトルペア使用可能回数を、当該ボトルペアの残使用回数として算出する。なお、第1試薬の使用可能回数N1と第2試薬の使用可能回数N2とが同じである場合、算出部3により残使用回数として算出される使用回数は、第1試薬の使用可能回数N1でもよく、第2試薬の使用可能回数N2でもよい。
配置位置9a1の第1試薬ボトル9aと配置位置9b1の第2試薬ボトル9bとのボトルペアBP1は、第1試薬の使用可能回数N1及び第2試薬の使用可能回数N2のうち、少ない方の使用回数である330回の使用が可能である。したがって、算出部3は、このボトルペアBP1のボトルペア使用可能回数すなわち残使用回数を「330」と算出する。配置位置9a1の第1試薬ボトル9aの第1試薬が330回使用されると、この第1試薬ボトル9aは空となり、配置位置9a2の第1試薬ボトル9aと配置位置9b1の第2試薬ボトル9bとのボトルペアBP2が使用され始めることとなる。このとき、配置位置9b1の第2試薬ボトル9bの第2試薬は330回使用された状態であるので、該ボトルペアBP2が使用され始めるとき、該第2試薬ボトル9bに係る第2試薬の使用可能回数N2は「670」である。したがって、算出部3は、該ボトルペアBP2のボトルペア使用可能回数すなわち残使用回数を「330」と算出する。同様に、算出部3は、配置位置9a3の第1試薬ボトル9aと配置位置9b1の第2試薬ボトル9bとのボトルペアBP3について、ボトルペア使用可能回数すなわち残使用回数を「330」と算出する。
配置位置9a3の第1試薬ボトル9aの第1試薬が330回使用されると、この第1試薬ボトル9aは空となり、配置位置9a4の第1試薬ボトル9aと配置位置9b1の第2試薬ボトル9bとのボトルペアBP4が使用され始めることとなる。このとき、配置位置9b1の第2試薬ボトル9bの第2試薬は990回使用された状態であるので、該ボトルペアが使用され始めるとき、該第2試薬ボトル9bに係る第2試薬の使用可能回数N2は「10」である。したがって、算出部3は、該ボトルペアBP4のボトルペア使用可能回数すなわち残使用回数を「10」と算出する。配置位置9b1の第2試薬ボトル9bが空になると、配置位置9a4の第1試薬ボトル9aと配置位置9b2の第2試薬ボトル9bとのボトルペアBP5が使用され始めることとなる。このとき、配置位置9a4の第1試薬ボトル9aの第1試薬は10回使用された状態であるので、該ボトルペアBP5が使用され始めるとき、該第1試薬ボトル9aに係る第1試薬の使用可能回数N1は「320」である。したがって、算出部3は、該ボトルペアBP5のボトルペア使用可能回数すなわち残使用回数を「320」と算出する。算出部3は、各ボトルペアと算出された残使用回数との対応関係を表す対応情報を選択部4aへ出力する。この対応情報の一例には、図5に示したテーブル情報が挙げられる。
選択部4aは、残使用回数に基づいて、試料との反応に用いられるボトルペアから除外されるボトルペアを選択可能に構成される。選択部4aは、報知部41と、受付部42とを含む。報知部41は、残使用回数及び当該ボトルペアを報知する。例えば、報知部41は、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro‐Luminescence)ディスプレイ等の表示デバイス411を有する。報知部41は、この表示デバイス411に算出部3からの対応情報を表示させる。それにより、操作者は、ボトルペアごとの残使用回数を把握することができる。なお、報知部41は、印刷機(プリンタ)412を有してもよい。この場合、報知部41は、印刷機412に算出部3からの対応情報を印刷させる。それにより、操作者は、ボトルペアごとの残使用回数を把握することができる。
受付部42は、報知された残使用回数及び当該ボトルペアに基づく操作者からの選択指示を受付可能に構成される。例えば受付部42は、キーボード、マウス等の操作デバイス421を含んで構成される。例えば操作者は、ボトルペアごとの残使用回数を把握しながら、操作デバイス421を操作することによって、報知された残使用回数及び当該ボトルペアに基づく選択指示を行う。この選択指示を行うとき、操作者は、残使用回数が少ないボトルペアについての選択指示を行うことができる。ここでは、配置位置9a4の第1試薬ボトル9aと配置位置9b1の第2試薬ボトル9bとのボトルペアBP4についての選択指示が行われた例について説明する。
選択部4aは、試料との反応に用いられるボトルペアから除外されるボトルペアとして受付部42が受け付けた選択指示に係るボトルペアBP4を選択する。それにより、図5に示したボトルペア群から、選択指示に係るボトルペアBP4が除外される。そして、選択部4aは、該ボトルペアBP4が除外された後のボトルペア群を表す情報を算出部3及び分析制御部4bへ出力する。なお、操作者は、試料との反応に用いられるボトルペアから除外したいボトルペアが無い場合、「除外ボトルペア無し」の旨を表す指示を受付部42へ入力可能である。この場合、選択部4aは、図5に示した当初のボトルペア群及び該ボトルペア群の残使用回数を表す情報を分析制御部4bへ出力する。
図6は、第1の実施形態の選択指示に係るボトルペアBP4が除外された後のボトルペア群と各ボトルペアの残使用回数を表す模式図である。図6の例において、図5に示したボトルペア群から、選択指示のボトルペア(配置位置9a4の第1試薬ボトル9aと配置位置9b1の第2試薬ボトル9bとのボトルペアBP4)が除外されている。算出部3は、選択部4aからのボトルペア群を表す情報を受けて、残使用回数を新たに算出する。図6の例では、配置位置9a4の第1試薬ボトル9aと配置位置9b2の第2試薬ボトル9bとのボトルペアBP5の新たな残使用回数が「330」と算出されている。算出部3は、新たに算出された残使用回数を表す情報を分析制御部4bへ出力する。
分析制御部4bは、選択部4aから受けた情報のボトルペア群に含まれる各ボトルペアについて、第1試薬及び第2試薬と反応した標準試料の測定を行うように、分析部2を制御する。分析制御部4bは、ボトルペア群に含まれる各ボトルペアの第1試薬及び第2試薬が使用されるように、第1試薬ラック10a及び第2試薬ラック10bの回動を制御する。分析制御部4bは、分析部2を制御して、該測定により得られた標準試料測定データを分析データ処理部5へ出力させる。分析データ処理部5は、分析部からの標準試料測定データに基づいて、選択部4aから受けた情報のボトルペア群に含まれる各ボトルペアについて検量線を作成する。
そして、分析制御部4bは、分析部2を制御して、選択部4aからのボトルペア群に含まれる各ボトルペアの第1試薬及び第2試薬と反応した被検試料の測定を行わせる。分析制御部4bは、選択部4aからのボトルペア群を表す情報と算出部3からの残使用回数を表す情報とに基づいて、ボトルペア群に含まれる各ボトルペアの第1試薬及び第2試薬が使用されるように、第1試薬ラック10a及び第2試薬ラック10bの回動を制御する。なお、分析制御部4bは、分析部2を制御して、該測定により取得された被検試料測定データを分析データ処理部5へ出力させる。分析データ処理部5は、作成された検量線と分析部2からの被検試料測定データに基づいて、被測定物質に係る分析データを算出する。分析データ処理部5は、算出された分析データを出力部6へ出力する。
出力部6は、例えば液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等の表示デバイス61により構成される。出力部6は、分析データ処理部5からの分析データを表示デバイス61に表示させる。ハードウェア構成としては、表示デバイス61と上述した表示デバイス411とが同一のデバイスとして構成されてもよい。なお、出力部6は、印刷機62を含んで構成されてもよい。この場合、出力部6は、分析データ処理部5からの分析データを印刷機62に印刷させる。ハードウェア構成としては、印刷機62と上述した印刷機412とが同一のデバイスとして構成されてもよい。なお、出力部6は、通信インターフェース63を含んで構成されてもよい。通信インターフェース63は、一般的な医用データ管理サーバ等と通信可能に構成される。この場合、出力部6は、通信インターフェース63を介して、分析データ処理部5からの分析データを医用データ管理サーバ等の外部装置へ出力する。
操作部7は、臨床検査装置1に対する各種の指示入力や情報入力に用いられる。操作部7は、例えばキーボード、マウス等の操作デバイスにより構成される。ハードウェア構成としては、操作部7と上述した操作デバイス421とが同一のデバイスとして構成されてもよい。
システム制御部8は、臨床検査装置1の各部の動作を制御する。システム制御部8は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disc Drive)等の記憶装置を含んで構成される。記憶装置には、臨床検査装置1の各部の機能を実行するためのコンピュータプログラムが記憶されている。システム制御部8は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphic Processing Unit)、又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の処理装置を含んで構成される。処理装置は、これらコンピュータプログラムを実行することで、上記機能を実現する。例えば、システム制御部8は、以下に示す動作を表すコンピュータプログラムを実行する。
図7は、第1の実施形態の臨床検査装置1の動作を表すフローチャートである。
ステップS101:算出部3は、第1試薬が収容された第1試薬ボトル9aにおける第1試薬の使用回数と第2試薬が収容された第2試薬ボトル9bにおける第2試薬の使用可能回数とに基づいて、第1試薬ボトル9a及び第2試薬ボトル9bの組み合わせであるボトルペアごとの残使用回数を算出する。このとき、算出部3は、組み合わされる第1試薬の使用可能回数N1及び第2試薬の使用可能回数N2のうち、ボトルペアが使用され始めるときに少ない方の使用回数であるボトルペア使用可能回数を、当該ボトルペアの残使用回数として算出する。算出部3は、ボトルペアと算出された残使用回数との対応関係を表す対応情報を選択部4aへ出力する。
ステップS102:選択部4aに含まれる報知部41は、残使用回数及び当該ボトルペアを報知する。例えば、報知部は、表示デバイス411に算出部3からの対応情報を表示させる。
ステップS103:受付部42が、試料との反応に用いられるボトルペアから除外されるボトルペアの選択指示を受け付けたとき(Yes)、この動作はステップS104へ進む。受付部42が、「除外ボトルペア無し」の旨を表す指示を受け付けたとき(No)、この動作はステップS106へ進む。
ステップS104:選択部4aは、試料との反応に用いられるボトルペアから除外されるボトルペアとして受付部42が受け付けた選択指示に係るボトルペアを選択する。それにより、試料との反応に用いられ得るボトルペア群から、選択指示に係るボトルペアが除外される。そして、選択部4aは、該ボトルペアが除外された後のボトルペア群を表す情報を算出部3及び分析制御部4bへ出力する。
ステップS105:算出部3は、選択部4aからのボトルペア群すなわち選択指示に係るボトルペアが除外された後のボトルペア群について、残使用回数を算出する。算出部3は、新たに算出した残使用回数を表す情報を分析制御部4bへ出力する。
ステップS106:選択部4aは、試料との反応に用いられ得るボトルペア群及び該ボトルペア群の残使用回数を表す情報を分析制御部4bへ出力する。
ステップS107:分析制御部4bは、選択部4aからのボトルペア群に含まれる各ボトルペアについて、第1試薬及び第2試薬と反応した標準試料の測定を行うように、分析部2を制御する。分析データ処理部5は、分析部からの標準試料測定データに基づいて、選択部4aから受けた情報のボトルペア群に含まれる各ボトルペアについて検量線を作成する。
ステップS108:分析制御部4bは、分析部2を制御して、選択部4aから受けた情報のボトルペア群に含まれる各ボトルペアの第1試薬及び第2試薬と反応した被検試料の測定を行わせる。分析データ処理部5は、作成された検量線と分析部2からの被検試料測定データに基づいて、被測定物質に係る分析データを算出する。
第1の実施形態の臨床検査装置1の効果について説明する。この実施形態の臨床検査装置1は、ボトルペア使用可能回数を残使用回数として算出し、算出された残使用回数を報知する。そして、操作者は、残使用回数が少ないボトルペアの選択指示を行うことができる。臨床検査装置1は、選択指示を受け付け、該選択指示のボトルペアを分析に用いられるボトルペアから除外する。臨床検査装置1は、除外されたボトルペアの第1試薬及び第2試薬を、検量線の作成及び被検試料との反応に用いず、その他のボトルペアの第1試薬及び第2試薬を検量線の作成及び被検試料との反応に用いる。それにより、残使用回数が少ないボトルペアのために有効期間が短い(測定可能回数が少ない)検量線が取得されることを防止することができる。このことは、測定回数(検査数)に対する検量線の取得回数の割合を減らすことに相当する。したがって、測定の効率を向上させることができる。また、標準試料の無駄な使用の抑制を図ることができる。
〈第1の実施形態の変形例1〉
第1の実施形態の変形例1に係る臨床検査装置1について説明する。この臨床検査装置1は、算出部3の構成が第1の実施形態と異なる。以下、第1の実施形態と異なる内容について主に説明する。
変形例1の算出部3は、第1試薬が収容された第1試薬ボトル9aにおける第1試薬の使用回数と第2試薬が収容された第2試薬ボトル9bにおける第2試薬の使用可能回数とに基づいて、第1試薬ボトル9a及び第2試薬ボトル9bの組み合わせであるボトルペアごとの残使用回数を算出する。そして、算出部3は、検量線を求めるために第1試薬及び第2試薬が使用される回数であるキャリブレーションテスト数をボトルペア使用可能回数から減算した数である第1の測定可能回数を、当該ボトルペアの残使用回数として算出する。
図8は、変形例1の実施形態に係るボトルペアの残使用回数の概略を表す模式図である。キャリブレーションテスト数は、予め定められている。図8の例では、キャリブレーションテスト数が「5」と定められている。キャリブレーションテスト数は、フルキャリブレーションのために第1試薬及び第2試薬が使用される回数に定められてもよく、補正キャリブレーションのために第1試薬及び第2試薬が使用される回数に定められてもよい。各ボトルペアの第1試薬及び第2試薬は、検量線を作成するための測定において、キャリブレーションテスト数の回数分、標準試料とともに使用される。
算出部3は、キャリブレーションテスト数をボトルペア使用可能回数から減算することにより、検量線作成後に第1試薬及び第2試薬を使用可能な回数である第1の測定可能回数を当該ボトルペアの残使用回数として算出する。算出部3は、ボトルペアと算出された残使用回数(第1の測定可能回数)との対応関係を表す対応情報を選択部4aへ出力する。選択部4aの報知部41は、この対応情報に基づいて、残使用回数(第1の測定可能回数)及び当該ボトルペアを報知する。それにより、操作者は、ボトルペアごとの残使用回数(第1の測定可能回数)を把握することができる。また、操作者は、残使用回数(第1の測定可能回数)が少ないボトルペアについての選択指示を行うことができる。ここでは、配置位置9a4の第1試薬ボトル9aと配置位置9b1の第2試薬ボトル9bとのボトルペアBP4についての選択指示が行われた例について説明する。
選択部4aは、試料との反応に用いられるボトルペアから除外されるボトルペアとして受付部42が受け付けた選択指示に係るボトルペアBP4を選択する。選択部4aは、該ボトルペアBP4が除外された後のボトルペア群を表す情報を算出部3及び分析制御部4bへ出力する。
図9は、変形例1の選択指示に係るボトルペアBP4が除外された後のボトルペア群と各ボトルペアの残使用回数(第1の測定可能回数)を表す模式図である。図9の例において、算出部3は、選択部4aからのボトルペア群について、残使用回数(第1の測定可能回数)を新たに算出する。図9の例では、配置位置9a4の第1試薬ボトル9aと配置位置9b2の第2試薬ボトル9bとのボトルペアBP5の新たな残使用回数(第1の測定可能回数)が「325」と算出されている。算出部3は、新たに算出された残使用回数を表す情報を分析制御部4bへ出力する。
このように、変形例1の臨床検査装置1は、第1の測定可能回数を残使用回数として算出し、算出された残使用回数(第1の測定可能回数)を報知する。そして、操作者は、残使用回数(第1の測定可能回数)が少ないボトルペアの選択指示を行うことができる。臨床検査装置1は、選択指示を受け付け、該選択指示のボトルペアを分析に用いられるボトルペアから除外する。それにより、残使用回数(第1の測定可能回数)が少ないボトルペアのために有効期間が短い(測定可能回数が少ない)検量線が取得されることを防止することができる。このことは、測定回数(検査数)に対する検量線の取得回数の割合を減らすことに相当する。したがって、変形例1の臨床検査装置1においても、測定の効率を向上させることができる。また、標準試料の無駄な使用の抑制を図ることができる。
〈第1の実施形態の変形例2〉
第1の実施形態の変形例2に係る臨床検査装置1について説明する。この臨床検査装置1は算出部3の構成が第1の実施形態と異なる。以下、第1の実施形態と異なる内容について主に説明する。
変形例2の算出部3は、第1試薬が収容された第1試薬ボトル9aにおける第1試薬の使用回数と第2試薬が収容された第2試薬ボトル9bにおける第2試薬の使用可能回数とに基づいて、第1試薬ボトル9a及び第2試薬ボトル9bの組み合わせであるボトルペアごとの残使用回数を算出する。算出部3は、検量線を求めるために第1試薬及び第2試薬が使用される回数であるキャリブレーションテスト数をボトルペア使用可能回数から減算した数である第1の測定可能回数をボトルペアごとに算出する。そして、算出部3は、コントロール測定のために第1試薬及び第2試薬が使用される回数であるコントロールテスト数を第1の測定可能回数から減算した数である第2の測定可能回数を、当該ボトルペアの残使用回数として算出する。
図10は、変形例2の実施形態に係るボトルペアの残使用回数の概略を表す模式図である。キャリブレーションテスト数及びコントロールテスト数は予め定められている。図10の例では、キャリブレーションテスト数が「5」と定められ、コントロールテスト数が「3」と定められている。キャリブレーションテスト数は、フルキャリブレーションのために第1試薬及び第2試薬が使用される回数に定められてもよく、補正キャリブレーションのために第1試薬及び第2試薬が使用される回数に定められてもよい。各ボトルペアの第1試薬及び第2試薬は、検量線を作成するための測定において、キャリブレーションテスト数の回数分、標準試料とともに使用される。コントロールテスト数は、作成された検量線の精度管理測定(コントロール測定)のために第1試薬及び第2試薬が使用される回数に定められる。精度管理測定において、分析部2は、第1試薬及び第2試薬と精度管理試料との測定を行う。この測定に基づいて、作成された検量線の精度が算出される。この精度の具体的な算出方法には、一般的に知られた算出方法が用いられてよい。各ボトルペアの第1試薬及び第2試薬は、検量線の精度管理テストにおいて、コントロールテスト数の回数分、精度管理試料とともに使用される。
算出部3は、キャリブレーションテスト数をボトルペア使用可能回数から減算することにより、検量線作成後に第1試薬及び第2試薬を使用可能な回数である第1の測定可能回数を当該ボトルペアの残使用回数として算出する。そして、算出部3は、コントロールテスト数を第1の測定可能回数から減算することにより、精度管理測定後に第1試薬及び第2試薬を使用可能な回数である第2の測定可能回数を当該ボトルペアの残使用回数として算出する。算出部3は、ボトルペアと算出された残使用回数(第2の測定可能回数)との対応関係を表す対応情報を選択部4aへ出力する。選択部4aの報知部41は、この対応情報に基づいて、残使用回数(第2の測定可能回数)及び当該ボトルペアを報知する。それにより、操作者は、ボトルペアごとの残使用回数(第2の測定可能回数)を把握することができる。操作者は、残使用回数(第2の測定可能回数)が少ないボトルペアについての選択指示を行うことができる。ここでは、配置位置9a4の第1試薬ボトル9aと配置位置9b1の第2試薬ボトル9bとのボトルペアBP4についての選択指示が行われた例について説明する。
選択部4aは、試料との反応に用いられるボトルペアから除外されるボトルペアとして受付部42が受け付けた選択指示に係るボトルペアBP4を選択する。選択部4aは、該ボトルペアBP4が除外された後のボトルペア群を表す情報を算出部3及び分析制御部4bへ出力する。
図11は、変形例2の選択指示に係るボトルペアBP4が除外された後のボトルペア群と各ボトルペアの残使用回数(第2の測定可能回数)を表す模式図である。図11の例において、算出部3は、選択部4aからのボトルペア群について、残使用回数(第2の測定可能回数)を新たに算出する。図11の例では、配置位置9a4の第1試薬ボトル9aと配置位置9b2の第2試薬ボトル9bとのボトルペアBP5の新たな残使用回数(第1の測定可能回数)が「322」と算出されている。算出部3は、新たに算出された残使用回数を表す情報を分析制御部4bへ出力する。
このように、変形例2の臨床検査装置1は、第2の測定可能回数を残使用回数として算出し、算出された残使用回数(第2の測定可能回数)を報知する。そして、操作者は、残使用回数(第2の測定可能回数)が少ないボトルペアの選択指示を行うことができる。臨床検査装置1は、選択指示を受け付け、該選択指示のボトルペアを分析に用いられるボトルペアから除外する。それにより、残使用回数(第2の測定可能回数)が少ないボトルペアのために有効期間が短い(測定可能回数が少ない)検量線が取得されることを防止することができる。このことは、測定回数(検査数)に対する検量線の取得回数の割合を減らすことに相当する。したがって、変形例2の臨床検査装置1においても、測定の効率を向上させることができる。また、標準試料の無駄な使用の抑制を図ることができる。
〈第2の実施形態〉
図12は、第2の実施形態の臨床検査装置1の機能構成を表すブロック図である。この臨床検査装置1は、選択部の構成が第1の実施形態と異なる。以下、第1の実施形態と異なる内容について主に説明する。
第2の実施形態の選択部4cは、比較部43を含み、第1の実施形態と同様に、選択指示(後述)に基づいて、選択指示のボトルペアを試料との反応に用いられるボトルペアから除外したボトルペア群を表す情報を分析制御部4bへ出力する。比較部43は、算出部3により算出された残使用回数と予め定められた閾値との大小関係をボトルペアごとに比較し、ボトルペアごとの比較結果を表す情報を報知部41へ出力する。残使用回数は、上述したボトルペア使用可能回数、第1の測定可能回数及び第2の測定可能回数のうちいずれでもよい。閾値は、例えば操作者により予め入力されることによって定められる。例えば、比較部43による比較結果において、残使用回数が閾値未満又は閾値以下であるボトルペアは、被検試料の測定に使用される回数が少ないボトルペアであると見なすことができる。
報知部41は、残使用回数及び当該ボトルペアとともに、比較部43による比較結果を報知する。図13は、報知部41により報知される残使用回数及び当該ボトルペア並びに比較結果の概略を表す模式図である。図13の例では、残使用回数としての第2の測定可能回数との比較結果の概略を表している。報知部41は、比較結果に基づく大小関係をボトルペアごとに識別可能に報知する。例えば、報知部41は、残使用回数が閾値以上又は閾値超であるボトルペアを「OK」というテキスト情報で表し、残使用回数が閾値未満又は閾値以下であるボトルペアを「NG」というテキスト情報で表している。それにより、操作者は、ボトルペアごとの比較結果を把握することができる。また、操作者は、残使用回数が閾値より小さい比較結果であるボトルペアについての選択指示を行うことができる。
図14は、第2の実施形態の臨床検査装置1の動作を表すフローチャートである。
ステップS201の処理内容は、図7に示した第1の実施形態の臨床検査装置1の動作におけるステップS101の処理内容と同様である。
ステップS202:比較部43は、算出部3により算出された残使用回数と予め定められた閾値との大小関係をボトルペアごとに比較する。比較部43は、ボトルペアごとの比較結果を表す情報を報知部41へ出力する。
ステップS203:報知部41は、残使用回数及び当該ボトルペアとともに、比較部43による比較結果を報知する。このとき、報知部41は、比較結果に基づく大小関係をボトルペアごとに識別可能に報知する。
ステップS204〜ステップS209の処理内容は、図7に示した第1の実施形態の臨床検査装置1の動作におけるステップS103〜ステップS109の処理内容と同様である。
第2の実施形態の臨床検査装置1の効果について説明する。第2の実施形態の臨床検査装置1は、ボトルペア使用可能回数を残使用回数として算出し、算出された残使用回数と予め定められた閾値とを比較する。そして、臨床検査装置1は、比較結果をボトルペアごとに報知する。それにより、操作者は、残使用回数が少ないボトルペアを簡便に把握して分析に用いられるボトルペアから除外する選択指示を行うことができる。そして、残使用回数が少ないボトルペアのために有効期間が短い(測定可能回数が少ない)検量線が取得されることが防止される。このことは、測定回数(検査数)に対する検量線の取得回数の割合を減らすことに相当する。したがって、測定の効率を向上させることができる。また、標準試料の無駄な使用の抑制を図ることができる。
〈第3の実施形態〉
図15は、第3の実施形態の臨床検査装置1の機能構成を表すブロック図である。この臨床検査装置1は、選択部の構成が第1の実施形態と異なる。以下、第1の実施形態と異なる内容について主に説明する。
第3の実施形態における選択部4dは、比較部43と選択処理部44とを有して構成されている。比較部43は、算出部3により算出された残使用回数と予め定められ閾値との大小関係をボトルペアごとに比較する。ここで、残使用回数は、上述したボトルペア使用可能回数、第1の測定可能回数及び第2の測定可能回数のうちいずれでもよい。閾値は、例えば、操作者により予め入力されることによって定められる。例えば、比較部43による比較結果において、残使用回数が閾値未満又は閾値以下であるボトルペアは、被検試料の測定に使用される回数が少ないボトルペアであると見なすことができる。
選択処理部44は、比較部43から出力されたボトルペアごとの比較結果に基づいて、残使用回数が閾値未満又は閾値以下であるボトルペアを、試料との反応に用いられるボトルペアから除外されるボトルペアとして選択する。そして、選択処理部44は、除外された後のボトルペア群を表す情報を算出部3及び分析制御部4bへ出力する。第2の実施形態では、比較部43からの比較結果が報知部41によって報知され、最終的な選択指示は操作者を介して受付部42から出力されていた。この第3の実施形態では、残使用回数が少ないボトルペアが、分析に用いられるボトルペアから自動的に除外される。そして、その除外後のボトルペア群を表す情報が自動的に選択情報として出力される。
なお、比較部43による比較結果において、残使用回数が閾値未満又は閾値以下であるボトルペアが無い場合、選択処理部44は、当初のボトルペア群及び該ボトルペア群の残使用回数を表す情報を分析制御部4bへ出力する。
図16は、第3の実施形態の臨床検査装置1の動作を表すフローチャートである。
ステップS301の処理内容は、図7に示した第1の実施形態の臨床検査装置1の動作におけるステップS101の処理内容と同様である。
ステップS302:比較部43は、算出部3により算出された残使用回数と予め定められた閾値との大小関係をボトルペアごとに比較する。
ステップS303:残使用回数が閾値未満又は閾値以下であるボトルペアがある場合(Yes)、選択部4dは、比較部43による比較結果に基づいて、使用可能回数が閾値未満閾値以下であるボトルペアを、試料との反応に用いられるボトルペアから除外されるボトルペアとして選択する。選択部4dは、該ボトルペアが除外された後のボトルペア群を表す情報を算出部3及び分析制御部4bへ出力する。残使用回数が閾値未満又は閾値以下であるボトルペアが無い場合(No)、選択部4dは、当初のボトルペア群及び該ボトルペア群の残使用回数を表す情報を分析制御部4bへ出力する。
ステップS304〜ステップS307の処理内容は、図7に示した第1の実施形態の臨床検査装置1の動作におけるステップS105〜ステップS108の処理内容と同様である。
第3の実施形態の臨床検査装置1の効果について説明する。第3の実施形態の臨床検査装置1は、ボトルペア使用可能回数を残使用回数として算出し、算出された残使用回数と予め定められた閾値とを比較する。そして、臨床検査装置1は、残使用回数が閾値未満閾値以下であるボトルペアを、試料との反応に用いられるボトルペアから除外されるボトルペアとして選択する。それにより、臨床検査装置1は、残使用回数が少ないボトルペアを、分析に用いられるボトルペアから自動的に除外することができる。そして、残使用回数が少ないボトルペアのために有効期間が短い(測定可能回数が少ない)検量線が取得されることが防止される。このことは、測定回数(検査数)に対する検量線の取得回数の割合を減らすことに相当する。したがって、測定の効率を向上させることができる。また、標準試料の無駄な使用の抑制を図ることができる。
以上述べた少なくともひとつの実施形態の臨床検査装置によれば、残使用回数をボトルペアごとに算出し、試料との反応に用いられるボトルペア群から除外するボトルペアを選択することにより、標準試料の使用量の低減を図ることが可能となる。そして、標準試料の無駄な使用の抑制を図ることができる。
なお、上記実施形態において説明した構成は、自動分析装置以外の臨床検査装置にも適用することができる。
臨床検査装置としては、例えば、自動分析装置や血液ガス分析装置や電気泳動装置や液体クロマトグラフィー装置などの臨床化学分析機器、ラジオイムノアッセイ装置などの核医学機器、ラテックス凝集反応測定装置やネフェロメータなどの免疫血清検査機器、自動血球計数装置、血液凝固測定装置などの血液検査機器、微生物分類同定装置や血液培養検査装置やDNA・RNA測定装置などの細菌検査機器、尿分析装置や便潜血測定装置などの尿検査機器、自動組織細胞染色装置などの病理検査機器、生理機能検査機器、マイクロピペットや洗浄装置分注装置や遠心分離装置などのその他の臨床検査機器等が挙げられる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これら実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。