JP6504360B2 - インク、インク収容容器、インクジェット記録方法、インクジェット記録装置及び記録物 - Google Patents

インク、インク収容容器、インクジェット記録方法、インクジェット記録装置及び記録物 Download PDF

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Description

本発明は、インク、これを用いたインク収容容器、インクジェット記録方法、インクジェット記録装置及び記録物に関する。
インクジェット記録方式は、他の記録方式に比べてプロセスが簡単で、かつフルカラー化が容易であり、簡略な構成の装置であっても高解像度の画像が得られるという利点があることから普及し、パーソナルからオフィス用途、商業印刷や工業印刷の分野へと広がりつつある。このようなインクジェット記録方式では、色材として水溶性染料を用いた水系インク組成物が主に使用されているが、耐水性及び耐光性に劣るという欠点があるため、水溶性染料に代わる水不溶性の顔料を用いた顔料インクの開発が進められている。
オフィス用途のインクジェット印刷では、記録媒体として主に普通紙が使用され、高い画像濃度が要求されている。一般に、顔料インクを普通紙に印字した場合、顔料は紙表面に留まることなく紙中へ浸透するため、紙表面の顔料密度が低くなり、画像濃度が低下する。インク中の顔料濃度を高くすれば画像濃度は高くなるが、インクの粘度が増大し、吐出安定性が低下する。
高速印字化対策として記録媒体に付着したインクの乾燥速度を速めるため、インクに疎水性溶剤等の浸透剤を添加して水を記録媒体中に浸透させることにより乾燥を速める手段がとられる。
水溶媒の顔料分散体と疎水性溶媒のインクの両方の環境下で分散安定性を満たすことが求められている。
また、上記のインクジェット記録方式や筆記具に使用する水性顔料インクは、染料を水に溶解して調製する水性染料インクと異なり、水に溶解しない顔料を水中に長期間安定的に分散させる必要があるため、種々の顔料分散材が開発されている。例えば、特許文献1では、側鎖に芳香環を含むグラフトポリマーが提案されている。このグラフトポリマーを顔料分散材として用いることにより、70℃で3日間のインク保存安定性が確保されているが長期間の保存安定性の点では不十分である。
本発明は、良好な保存安定性を有し、吐出安定性に優れたインクを提供することを目的とする。
本発明のインクは、保存安定性及び吐出安定性に優れている。
上記課題は、次の(1)の発明によって解決される。
(1)顔料と
下記一般式(1)で表される化合物と
下記一般式(2)で表される構造単位または一般式(3)で表される構造単位を有する共重合体と、
水と、
を含むインク。
Figure 0006504360
(一般式(1)中、Xは水素原子又は一価の陽イオンを表す。nは0〜5の整数でありスルホン酸基の置換数を表す。)
なお、上記一般式(1)はスルホン酸基が芳香族環のいずれか一つ以上の炭素結合していることを示している。
Figure 0006504360
(一般式(2)中、Rは水素原子またはメチル基を表し、Lは炭素数2〜18のアルキレン基を表す。)
Figure 0006504360
(一般式(3)中、Rは水素原子またはメチル基を表し、Lは単結合又はその酸素原子がビフェニルと結合している−(CH)n−O−であり、nは2〜18の整数である。)
本発明のインク収容容器の一例を示す図である。 図1のインク収容容器のケース(外装)も含めた説明図である。 本発明のシリアル型インクジェット記録装置の一例を示す斜視図。 図3に示すインクジェット記録装置における一部拡大断面図。 図3に示すインクジェット記録装置における他の一部拡大断面図。
本発明のインクは少なくとも顔料と、下記一般式(1)で表される化合物と、下記一般式(2)で表される構造単位または一般式(3)で表される構造単位を有する共重合体とを有する。
また、前記共重合体は一般式(2)で表される構造単位と一般式(3)で表される構造単位とを同時に含んでいても良い。
Figure 0006504360
(一般式(1)中、Xは水素原子又は一価の陽イオンを表す。nは0〜5の整数でありスルホン酸基の置換数を表す。)
Figure 0006504360
(一般式(2)中、Rは水素原子またはメチル基を表し、Lは炭素数2〜18のアルキレン基を表す。)
Figure 0006504360
(一般式(3)中、Rは水素原子またはメチル基を表し、Lは単結合又はその酸素原子がビフェニルと結合している−(CH)n−O−であり、nは2〜18の整数である。)
インクにおける前記共重合体の含有量は、顔料分散剤として使用する場合は特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、顔料100質量部に対して、10〜100質量部が好ましい。含有量がこの範囲であれば高い画像濃度が得られる。また、共重合体の分散剤としての効果を損なわない範囲で、他の分散剤を併用してもよい。
前記水としては、イオン交換水等が挙げられ、水性インクにおける水の含有量はインク全体の20〜60質量%が好ましい。
また、本発明の水性インクは、少なくとも1種の水溶性有機溶剤及び/又は界面活性剤を含有することが好ましい。
顔料としては特に限定されず公知の顔料が使用できるが、アゾ顔料を用いることが好ましい。
本発明で用いることができるアゾ顔料の例としては、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、5、6、10、12、13、14、16、17、49、55、60、63、65、73、74、75、81、83、87、90、93、94、95、97、98、106、111、113、114、116、120、121、124、126,127、128、130、136、151、152、154、155、165、166、167、170、171、172、174、175、176、180、181、188などから選ばれる黄色顔料を挙げることができる。
これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
比較的に安価に入手でき、色調に優れ広い色再現範囲をとることができるため、この中でもC.I.ピグメントイエロー74を使用することが好ましい。
一般式(1)で表される化合物は、水性インク(以下、インクということもある)中の色材である顔料とのπ−πスタッキングにより、優れた顔料吸着力を有する。
また、スルホン酸基の立体障害により顔料同士の凝集を防ぎ、顔料を分散させる。
なお、上記一般式(1)はスルホン酸基が芳香族環のいずれか一つ以上の炭素結合していることを示している。
一般式(1)で表される化合物の1分子あたりのスルホン酸基の平均導入数は0.5〜3.0個であることが好ましく、0.8〜2.0個がより好ましい
スルホン酸基が上記の範囲内であると、立体障害性を保ちながら前記化合物の顔料への吸着率を高めることができる。
一般式(2)において、Rは水素原子又はメチル基であり、Lは炭素数が2〜18のアルキレン基であり、好ましくは炭素数が2〜16のアルキレン基、より好ましくは炭素数が2〜12のアルキレン基である。1端がオープンエンド(開放端、つまり換言すればペンダント構造部)中のLを介して末端に存在するナフチル基は、水性インク中の色材である顔料とのπ−πスタッキングにより、優れた顔料吸着力を有する。
上記「ペンダント中のLを介して末端に存在するナフチル基」の記載から理解されるように、一般式(2)で表される構造単位は、典型的にはLを介して垂下する末端ナフチル基や側鎖カルボキシル基のようなペンダント基を有する共重合体の主鎖であってよい。しかし、当然、一部が側鎖に含まれる場合を除外するものではない。
例えば、分枝構造を生成する副次的ラジカル重合反応を完全に排除するのが困難であることはよく知られている事実である。
一般式(3)において、Rは水素原子又はメチル基であり、Lは単結合、又はその酸素原子がビフェニルと結合している−(CH−O−であり、nは2〜18の整数であり、好ましくは炭素数が2〜12の整数である。Lを介して末端に存在するビフェニル基は、水性インク中の色材である顔料とのπ−πスタッキングにより、優れた顔料吸着力を有する。
一般式(3)で表される構造単位は、典型的にはLを介して垂下する末端ビフェニル基のようなペンダント基を有する共重合体の主鎖であってよい。しかし、当然、一部が側鎖に含まれる場合を除外するものではない。
例えば、分枝構造を生成する副次的ラジカル重合反応を完全に排除するのが困難であることはよく知られている事実である。
また、顔料を水に分散した顔料分散体を調製する際に、本発明における一般式(2)で表される構造単位または一般式(3)で表される構造単位を有する共重合体を用いると、共重合体の側鎖の末端にナフチル基またはビフェニル基が存在するため、顔料表面に吸着し易く、顔料との吸着力が高いため、分散性の高い長期間安定な分散体が得られる。
共重合体の重量平均分子量Mwはポリスチレン換算で、好ましくは5000〜80000の範囲であり、より好ましく10000〜60000の範囲であり、更に好ましくは13000〜40000の範囲である。
分子量が5000以上であると共重合体の立体障害により分散安定性が向上する。
また、80000以下であると共重合体同士の絡まりが少なくなることにより粘度上昇がおきず、吐出安定性が向上する。
前記共重合体の重量平均分子量は、重合温度や重合開始剤量及び反応時のモノマー濃度により、ある程度制御が可能である。前記重合温度については、高温かつ短時間で重合すると低分子量の共重合体を得やすく、低温で長時間かけて重合すると高分子量の共重合体を得やすい傾向にある。
前記共重合体において、一般式(2)で表される構造単位または一般式(3)で表される構造単位が90質量%以下となるように溶媒と親和性のある構造単位を含むことで溶媒に対して良好に溶解することができるようになる。
一般式(1)で表される化合物のみでは、インク溶媒下で顔料を安定に分散させることは難しい。
また、一般式(2)で表される構造単位または一般式(3)で表される構造単位を含む共重合体のみで顔料を分散させた場合、インクジェットプリンタのヘッドノズル部等においてインクが乾燥しインク中の固形分比率が増加した時、顔料粒子は凝集状態となる。このとき、一般式(2)で表される構造単位または一般式(3)で表される構造単位を含む共重合体により架橋凝集が起き、顔料の再分散性が低下する場合がある。
ここで、立体障害をもつ一般式(1)で表される化合物を併用することで、一般式(2)または一般式(3)で表される構造単位を含む共重合体による顔料間の架橋を防ぐことができる。
顔料の再分散性を向上させることにより、インク乾燥後にもクリーニングで迅速に顔料分散状態に復帰することができ、優れた吐出信頼性を有することができる。
本発明の共重合体は、前記一般式(2)または一般式(3)で表される構造単位以外に、少なくとも一種類以上のその他の親水性の重合性モノマーからなる繰り返し単位を有する。
前記重合性の親水性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸又はその塩、マレイン酸又はその塩、マレイン酸モノメチル、イタコン酸、イタコン酸モノメチル、フマル酸、4−スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、或いはリン酸、ホスホン酸、アレンドロン酸又はエチドロン酸を含有した不飽和エチレンモノマー等のアニオン性不飽和エチレンモノマー;(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、N−オクチルアクリルアミド、N−t−オクチルアクリルアミド等の非イオン性不飽和エチレンモノマー;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、メタクロイルコリンクロリド等のカチオン性不飽和エチレンモノマーなどが挙げられる。
本発明の共重合体は、前記一般式(2)で表される構造単位または一般式(3)で表される構造単位以外に、その他の重合性モノマーからなる繰り返し単位を有すことができる。
前記その他の重合性モノマーとしては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、重合性の疎水性モノマー、重合性界面活性剤などが挙げられる。
前記重合性の疎水性モノマーとしては、例えば、α−メチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、4−クロロメチルスチレン等の芳香族環を有する不飽和エチレンモノマー;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、マレイン酸ジメチル、イタコン酸ジメチル、フマル酸ジメチル、(メタ)アクリル酸ラウリル(C12)、(メタ)アクリル酸トリデシル(C13)、(メタ)アクリル酸テトラデシル(C14)、(メタ)アクリル酸ペンタデシル(C15)、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル(C16)、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル(C17)、(メタ)アクリル酸ノナデシル(C19)、(メタ)アクリル酸エイコシル(C20)、(メタ)アクリル酸ヘンイコシル(C21)、(メタ)アクリル酸ドコシル(C22)等の(メタ)アクリル酸アルキル;1−ヘプテン、3,3−ジメチル−1−ペンテン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ヘキセン、4−メチル−1−ヘキセン、5−メチル−1−ヘキセン、1−オクテン、3,3−ジメチル−1−ヘキセン、3,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、1−ノネン、3,5,5−トリメチル−1−ヘキセン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン、1−ドコセン等のアルキル基を持つ不飽和エチレンモノマー、などが挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記重合性界面活性剤は、ラジカル重合可能な不飽和二重結合性基を分子内に少なくとも1つ以上有するアニオン性又は非イオン性の界面活性剤である。
前記アニオン性界面活性剤としては、硫酸アンモニウム塩基(−SO NH )などの硫酸塩基とアリル基(−CH−CH=CH)とを有する炭化水素化合物、硫酸アンモニウム塩基(−SO NH )などの硫酸塩基とメタクリル基〔−CO−C(CH)=CH〕とを有する炭化水素化合物、又は硫酸アンモニウム塩基(−SO NH )などの硫酸塩基と1−プロペニル基(−CH=CHCH)とを有する芳香族炭化水素化合物が挙げられる。その具体例としては、三洋化成社製のエレミノールJS−20、及びRS−300、第一工業製薬社製のアクアロンKH−10、アクアロンKH−1025、アクアロンKH−05、アクアロンHS−10、アクアロンHS−1025、アクアロンBC−0515、アクアロンBC−10、アクアロンBC−1025、アクアロンBC−20、及びアクアロンBC−2020などが挙げられる。
前記非イオン性界面活性剤としては、1−プロペニル基(−CH=CHCH)とポリオキシエチレン基〔−(CO)n−H〕とを有する炭化水素化合物又は芳香族炭化水素化合物が挙げられる。その具体例としては、第一工業製薬社製のアクアロンRN−20、アクアロンRN−2025、アクアロンRN−30、及びアクアロンRN−50、花王社製のラテムルPD−104、ラテムルPD−420、ラテムルPD−430、及びラテムルPD−450などが挙げられる。
前記重合性界面活性剤は、1種又は2種以上を混合し前記一般式(1)で表される構造単位、前記一般式(2)で表される構造単位、及び前記一般式(3)で表される構造単位を形成するモノマーの合計量に対して、0.1〜10質量%使用してもよい。
共重合体の構造は、NMRやIRなど一般的な分析方法を使用すれば分析可能である。
また、共重合体を構成する構造単位のモル比は、共重合体を合成する際に用いたモノマーのモル比により求めることができる。また、共重合体から、NMRにより求めることができる。
前記一般式(2)で表される構造単位を有するモノマーは、例えば、下記反応式(1)〜(2)に示す反応により得ることができる。まず、下記反応式(1)に示すように、ナフタレンカルボニルクロリド(A−1)と過剰量のジオール化合物を、アミン又はピリジンなどの酸受容剤の存在下で縮合反応させて、ナフタレンカルボン酸ヒドロキシアルキルエステル(A−2)を得る。次いで、下記反応式(2)に示すように、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(A−3)と前記(A−2)とを反応さて、一般式(2)で表される構造単位を有する化合物であるモノマー(A−4)を得る。
その後、ラジカル重合開始剤の存在下でモノマー(A−4)と少なくとも一種以上の親水性モノマーとを共重合させれば、本発明の共重合体が得られる。
ここで、モノマー(A−4)の重量平均分子量は、一般式(2)のLが炭素数2〜18のアルキレン基、及びRが水素原子またはメチル基であることから、357〜596である。
Figure 0006504360
Figure 0006504360
前記一般式(3)で表される構造単位を有するモノマーは、例えば、下記反応式(3)〜(4)に示す反応により得ることができる。まず、下記反応式(3)に示すように、フェニルフェノール(A−1)と臭素化アルコール化合物を、炭酸カリウムの存在下で反応させて、ヒドロキシアルキルエーテル(A−2)を得る。次いで、下記反応式(2)に示すように、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(A−3)と前記(A−2)とを反応さて、一般式(3)で表される構造単位を有する化合物であるモノマー(A−4)を得る。
その後、ラジカル重合開始剤の存在下でモノマー(A−4)と少なくとも一種以上の親水性モノマーとを共重合させれば、本発明の共重合体が得られる。
ここで、モノマー(A−4)の重量平均分子量は、一般式(3)のLが単結合または−(CH−O−であり、nは2〜18の整数であり、Rが水素原子またはメチル基であることから、311〜594である。
Figure 0006504360
Figure 0006504360
前記ラジカル重合開始剤としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。その例としては、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート、パーオキシエステル、シアノ系のアゾビスイソブチロニトリル、アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、アゾビス(2,2’−イソバレロニトリル)、非シアノ系のジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、などが挙げられる。これらの中でも、分子量の制御がしやすく分解温度が低い点から、有機過酸化物、アゾ系化合物が好ましく、アゾ系化合物が特に好ましい。
前記ラジカル重合開始剤の含有量は特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、重合性モノマーの総量に対して、1〜10質量%が好ましい。
前記ポリマーの分子量を調整するために、連鎖移動剤を適量添加してもよい。
前記連鎖移動剤の例としては、メルカプト酢酸、メルカプトプロピオン酸、2−プロパンチオール、2−メルカプトエタノール、チオフェノール、ドデシルメルカプタン、1−ドデカンチオール、チオグリセロール、などが挙げられる。
重合温度は特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、50℃〜150℃が好ましく、60℃〜100℃がより好ましい。重合時間も特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、3〜48時間が好ましい。
顔料・分散剤・シナジスト比率
本発明のインクを構成する顔料と、一般式(1)で表される化合物と、一般式(2)で表される構造単位または(3)で表される構造単位を少なくとも有する共重合体との質量比は、顔料に対して前記化合物と前記共重合体が吸着する能力の点から、顔料:化合物:共重合体=4.0:0.01:0.3〜4.0:0.6:2.5が好ましく、より好ましくは4.0:0.05:0.4〜4.0:0.4:2.0、更に好ましくは4.0:0.1:0.6〜4.0:0.3:1.8である。
本発明の水性インクは、普通紙やコート紙などへの浸透性を高めて、更にビーディングの発生を抑制するために、また、湿潤効果を利用してインクの乾燥を防止するために、水溶性有機溶剤を使用することが好ましい。
前記水溶性有機溶剤としては特に制限はなく、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ヘキシレングリコール、グリセリン、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、イソプロピリデングリセロール、ペトリオール等の多価アルコール類;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類;エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミイダゾリジノン、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクトン等の含窒素複素環化合物;ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド、3−ブトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド等のアミド類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等のアミン類;ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物類;3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、プロピレンカーボネート、炭酸エチレンなどが挙げられる。これらは1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、普通紙におけるカール防止の点から、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、イソプロピリデングリセロール、N,N−ジメチル−β−メトキシプロピオンアミド、N,N−ジメチル−β−ブトキシプロピオンアミドが好ましい。
また、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,3−ブタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、グリセリンが、水分蒸発による吐出不良を防止する上で優れている。
また、湿潤性が比較的少なく、浸透性を有する水溶性有機溶剤として、例えば、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール[溶解度:4.2%(25℃)]、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール[溶解度:2.0%(25℃)]、などが挙げられる。
上記以外の水溶性有機溶剤としては、脂肪族ジオールとして、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、3,3−ジメチル−1,2−ブタンジオール、2,4−ジメチル−2,4−ペンタンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、5−ヘキセン−1,2−ジオールなどを用いることができる。
また、上記水溶性有機溶剤と併用できる水溶性有機溶剤として、例えば、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、テトラエチレングリコールクロロフェニルエーテル等の多価アルコールのアルキル及びアリールエーテル類、エタノール等の低級アルコール類などを、目的に応じて適宜選択して使用することができる。
水溶性溶剤は保湿効果の付与によるインクの吐出安定化の向上のため使用する。含有量は、インク全体の10〜60質量%が好ましい。含有量が10質量%以上であると、インクが水分蒸発しにくくなり、インクジェット記録装置内のインク供給系でのインクの水分蒸発が抑制され、インク詰まり等が起きにくくなる。また、含有量が50質量%以下であると、顔料や樹脂等の固形分を多く含んでいても、インク粘度が低く抑えられ、高い画像濃度を得ることができる。
本発明の水性インクは、普通紙やコート紙などへの浸透性と濡れ性を高め、更にビーディングの発生を抑制するために、界面活性剤を使用することが好ましい。
界面活性剤としては、例えばフッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、ベタイン系界面活性剤を使用することができる。これらの界面活性剤は、1種を単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。
水性インクの表面張力は、25℃で、40mN/m以下が好ましく、30mN/m以下がより好ましい。
これ界面活性剤の中でも、表面張力を30mN/m以下に下げることが可能な点から、フッ素系界面活性剤及びシリコーン系界面活性剤が好ましい。
前記フッ素系界面活性剤としては、例えばノニオン系フッ素系界面活性剤、アニオン系フッ素系界面活性剤、両性フッ素系界面活性剤、オリゴマー型フッ素系界面活性剤などが挙げられる。また、フッ素置換した炭素数が2〜16のものが好ましく、フッ素置換した炭素数が4〜16のものがより好ましい。前記炭素数が2以上であることにより、フッ素系界面活性剤特有の効果が得られ、16以下であることにより保存性などの問題が生じることがない。
前記ノニオン系フッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物などが挙げられる。これらの中でも、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物は起泡性が少ないため好ましく、下記一般式(I)または下記一般式(II)または下記一般式(III)で表されるフッ素系界面活性剤がより好ましい。
CFCF(CFCF)m−CFCF(CFCF)nH ・・一般式(I)
(式中、mは0〜10、nは0〜40)
CF(CF)i−CHCH(OH)CH−O−(CHCHO)j−H
・・・一般式(II)
(式中、iとjは5〜10)
CF(CF)a−CHCH(OH)CH−O−(CHCHO)b−CHCH(OH)CH−(CFCF ・・・一般式(III)
(式中、aとbは5〜10)
前記アニオン系フッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸化合物、パーフルオロアルキルカルボン酸化合物、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物などが挙げられる。
前記パーフルオロアルキルスルホン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸、パーフルオロアルキルスルホン酸塩などが挙げられる。
前記パーフルオロアルキルカルボン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸塩などが挙げられる。
前記パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルリン酸エステルの塩、などが挙げられる。
前記パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物としては、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの硫酸エステル塩、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの塩などが挙げられる。
これらのフッ素系界面活性剤における塩の対イオンとしては、Li、Na、K、NH、NHCHCHOH、NH(CHCHOH)、NH(CHCHOH)などが挙げられる。
フッ素系界面活性剤の市販品としては、例えばサーフロンS−111、S−112、S−113、S−121、S−131、S−132、S−141、S−145(いずれも、旭硝子社製);フルラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129、FC−135、FC−170C、FC−430、FC−431(いずれも、住友スリーエム社製);メガファックF−470、F−1405、F−474(いずれも、大日本インキ化学工業社製);ゾニール(Zonyl)TBS、FSP、FSA、FSN−100、FSN、FSO−100、FSO、FS−300、UR(いずれも、DuPont社製);フタージェントFT−110、FT−250、FT−251、FT−400S、FT−150、FT−400SW(いずれも、ネオス社製)、ポリフォックスPF−136A、PF−156A、PF−151N、PF−154、PF−159(オムノバ社製)などが挙げられる。
これらの中でも、良好な印字品質、特に発色性、紙に対する均染性が著しく向上する点から、DuPont社製のFS−300、ネオス製のFT−110、FT−250、FT−251、FT−400S、FT−150、FT−400SW、及びオムノバ社製のポリフォックスPF−151Nが特に好ましい。
前記シリコーン系界面活性剤としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。その例としては、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサンなどが挙げられ、変性基としてポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基を有するポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤が水系界面活性剤として良好な性質を示すので特に好ましい。
シリコーン系界面活性剤の市販品は、例えば、ビックケミー社、信越化学工業社、東レ・ダウコーニング・シリコーン社、日本エマルジョン社、共栄社化学社などから容易に入手できる。
前記アニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートの塩などが挙げられる。
前記ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミドなどが挙げられる。
本発明のインクには、その他の成分として、pH調整剤、防腐防黴剤、防錆剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、酸素吸収剤、光安定化剤などを、必要に応じて適宜添加することができる。
本発明のインクは、例えば、水、水溶性溶剤、顔料、一般式(1)で表される化合物、前記共重合体、及び必要に応じてその他の成分を水性媒体中に分散又は溶解し、攪拌混合して製造することができる。また、前記共重合体は顔料分散体作製の際の顔料分散樹脂として用いてもよい。
前記分散は、例えば、サンドミル、ホモジナイザー、ボールミル、ペイントシャイカー、超音波分散機等により行うことができ、攪拌混合は通常の攪拌羽を用いた攪拌機、マグネチックスターラー、高速の分散機等で行うことができる。
製造に際しては、必要に応じて、フィルター、遠心分離装置などで粗大粒子をろ過し、脱気することが好ましい。
本発明の水性インクの物性には特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、粘度、表面張力等が以下の範囲であることが好ましい。
水性インクの25℃での粘度は、3〜20mPa・sが好ましい。粘度が3mPa・s以上であると、印字濃度や文字品位を向上させる効果が得られる。また、20mPa・s以下とすることにより、インクの吐出性を確保できる。
前記粘度は、例えば、粘度計(RE80L、東機産業社製)を用いて、25℃で測定することができる。
(インク収容容器)
本発明のインク収容容器は、本発明のインクを収容するインク収容部を備え、更に必要に応じて適宜選択したその他の部材を有する。
前記容器の形状、構造、大きさ、材質には特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できるが、例えば、アルミニウムラミネートフィルム、樹脂フィルムなどで形成されたインク収容部を少なくとも有するものなどが好適に挙げられる。
本発明のインク収容容器の一例を図1、図2に示す。図1はインク収容容器の概略平面図、図2は図1のインク収容容器のケース(外装)を含めた概略平面図である。
インク収容容器200は、図1に示すように、インク注入口242からインク収容部241内にインクを充填し、排気した後、該インク注入口242を融着により閉じる。使用時には、ゴム部材からなるインク排出口243に装置本体の針を刺して装置に供給する。インク収容部241は、透気性のないアルミニウムラミネートフィルム等の包装部材により形成されている。このインク収容部241は、図2に示すように、通常、プラスチックス製の収容容器ケース244内に収容され、各種インクジェット記録装置に着脱可能に装着して用いられるようになっている。
(インクジェット記録装置)
本発明のインクジェット記録装置は、本発明のインクをインクジェットヘッドを用いて記録媒体に情報又は画像を記録する。この記録装置は、インクを吐出させるインク飛翔手段を少なくとも有し、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段、例えば刺激発生手段、制御手段等を有する。
前記インク飛翔手段は、本発明のインクに刺激を印加し飛翔させて画像を形成する手段である。該インク飛翔手段としては特に制限はなく、例えば、インク吐出用の各種のノズル、などが挙げられる。
前記刺激は、例えば、前記刺激発生手段により発生させることができ、該刺激としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、熱(温度)、圧力、振動、光、などが挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、熱、圧力が好適である。また、前記刺激発生手段としては、例えば過熱装置、加圧装置、圧電素子、振動発生装置、超音波発振器、ライト等が挙げられる。具体的には、圧電素子などの圧電素子等の圧電アクチュエータ、発熱抵抗体等の電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータ、などが挙げられる。
前記インクの飛翔の態様には特に制限はなく、前記刺激の種類等に応じて異なる。
例えば、前記刺激が「熱」の場合、記録ヘッド内の前記インクに対し、記録信号に対応した熱エネルギーを例えばサーマルヘッド等を用いて付与し、該熱エネルギーにより前記インクに気泡を発生させ、該気泡の圧力により、該記録ヘッドのノズル孔から該インクを液滴として吐出噴射させる方法、などが挙げられる。また、前記刺激が「圧力」の場合、例えば記録ヘッド内のインク流路内にある圧力室と呼ばれる位置に接着された圧電素子に電圧を印加することにより、圧電素子を撓ませ、圧力室の容積を縮小させて、前記記録ヘッドのノズル孔から該インクを液滴として吐出噴射させる方法、などが挙げられる。
なお、前記制御手段としては、前記各手段の動きを制御することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シークエンサー、コンピュータ等の機器が挙げられる。
ここで、実施例でも用いた本発明のインクジェット記録装置、及び該記録装置を用いたインクジェット記録方法について概要を説明する。
図3は、本発明のシリアル型インクジェット記録装置の一例を示す斜視図である。この記録装置は、装置本体101と、装置本体101に装着した用紙を装填するための給紙トレイ102と、装置本体101に装着され画像が記録(形成)された用紙をストックするための排紙トレイ103と、装置本体101の前面112の一端部側に、前面112から前方側に突き出し、上カバー111よりも低くなったインク収容容器装填部104とを有する。インク収容容器装填部104の上面には、操作キーや表示器などの操作部105が配置されている。インク収容容器装填部104は、インク収容容器200の脱着を行うための開閉可能な前カバー115を有している。
装置本体101内では、図4、図5(図3の記録装置の一部拡大断面図)に示すように、図示を省略している左右の側板に横架したガイド部材であるガイドロッド131とステー132とで、キャリッジ133を主走査方向に摺動自在に保持し、主走査モータによって図5に示すように矢示方向に移動走査する。
キャリッジ133には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色のインク滴を吐出する4個のインクジェット記録用ヘッドからなる記録ヘッド134を、複数のインク吐出口が主走査方向と交叉するように配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。
記録ヘッド134を構成するインクジェット記録用ヘッドとしては、圧電素子などの圧電アクチュエータ、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータなどインクを吐出するためのエネルギー発生手段として備えたものなどを使用できる。また、キャリッジ133には、記録ヘッド134に各色のインクを供給するための各色のサブタンク135を搭載している。サブタンク135には、図示しないインク供給チューブを介して、インク収容容器装填部104に装填された本発明のインク収容容器200からインクが供給されて補充される。
一方、給紙トレイ102の用紙積載部(圧板)141上に積載した用紙142を給紙するための給紙部として、用紙積載部141から用紙142を1枚ずつ分離給送する半月コロ(給紙コロ143)、及び給紙コロ143に対向し、摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド144を備え、この分離パッド144は給紙コロ143側に付勢されている。
この給紙部から給紙された用紙142を記録ヘッド134の下方側で搬送するための搬送部として、用紙142を静電吸着して搬送するための搬送ベルト151と、給紙部からガイド145を介して送られる用紙142を搬送ベルト151との間で挟んで搬送するためのカウンタローラ152と、略鉛直上方に送られる用紙142を略90°方向転換させて搬送ベルト151上に倣わせるための搬送ガイド153と、押さえ部材154で搬送ベルト151側に付勢された先端加圧コロ155とを備えている。
また、搬送ベルト151表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ156を備えている。搬送ベルト151は、無端状ベルトであり、搬送ローラ157とテンションローラ158との間に張架されて、ベルト搬送方向に周回可能である。この搬送ベルト151は、例えば、抵抗制御を行っていない厚さ40μm程度の樹脂材〔例えば、テトラフルオロエチレンとエチレンの共重合体(ETFE)〕で形成した用紙吸着面となる表層と、この表層と同材質でカーボンによる抵抗制御を行った裏層(中抵抗層、アース層)とを有している。搬送ベルト151の裏側には、記録ヘッド134による印写領域に対応してガイド部材161が配置されている。
なお、記録ヘッド134で記録された用紙142を排紙するための排紙部として、搬送ベルト151から用紙142を分離するための分離爪171と、排紙ローラ172及び排紙コロ173とが備えられており、排紙ローラ172の下方に排紙トレイ103が配されている。
装置本体101の背面部には、両面給紙ユニット181が着脱自在に装着されている。
両面給紙ユニット181は、搬送ベルト151の逆方向回転で戻される用紙142を取り込んで反転させて再度カウンタローラ152と搬送ベルト151との間に給紙する。なお、両面給紙ユニット181の上面には手差し給紙部182が設けられている。
このインクジェット記録装置においては、給紙部から用紙142が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙142は、ガイド145で案内され、搬送ベルト151とカウンタローラ152との間に挟まれて搬送される。更に先端を搬送ガイド153で案内されて先端加圧コロ155で搬送ベルト151に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。このとき、帯電ローラ156によって搬送ベルト157が帯電されており、用紙142は、搬送ベルト151に静電吸着されて搬送される。そこで、キャリッジ133を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド134を駆動することにより、停止している用紙142にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙142を所定量搬送後、次行の記録を行う。
記録終了信号又は用紙142の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより記録動作を終了し、用紙142を排紙トレイ103に排紙する。そして、サブタンク135内のインクの残量ニアーエンドが検知されると、インク収容容器200から所要量のインクがサブタンク135に補給される。
このインクジェット記録装置において、インク収容容器200中のインクを使い切ったときには、インク収容容器200における筐体を分解して内部のインク収容部だけを交換することができる。また、インク収容容器200は、縦置きで前面装填構成としても安定したインクの供給を行うことができる。したがって、装置本体101の上方が塞がって設置されているような場合、例えば、ラック内に収納したりする場合、あるいは装置本体101の上面に物が置かれているような場合でも、インク収容容器200の交換を容易に行うことができる。
なお、キャリッジが走査するシリアル型(シャトル型)インクジェット記録装置に適用した例で説明したが、ライン型ヘッドを備えたライン型インクジェット記録装置にも同様に適用することができる。
本発明のインクジェット記録装置は、インクジェット記録方式による各種記録に適用することができ、例えば、インクジェット記録用プリンタ、ファクシミリ装置、複写装置、プリンタ/ファックス/コピア複合機、などに特に好適に適用することができる。
(記録物及び記録物の製造方法)
本発明の記録物は、本発明のインクを用いて記録媒体(記録用メディア)に情報又は画像が記録されたものである。本発明の記録物は、インクをインクジェットヘッドから吐出させて記録媒体に記録を行う工程により製造することができる。
前記記録媒体としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、普通紙、印刷用塗工紙、光沢紙、特殊紙、布、フィルム、OHPシート、などが挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、普通紙及び印刷用塗工紙のいずれかが好ましい。前記普通紙は安価である点で有利である。また、前記印刷用塗工紙は光沢紙に比べて比較的安価でしかも平滑な光沢ある画像を与える点で有利である。しかし、乾燥性が悪く一般にインクジェット用には使用困難であったが、本発明のインクにより乾燥性が向上し使用可能となった。
本発明の記録物は、高画質で滲みがなく、経時安定性に優れ、各種の印字乃至画像の記録された資料等として各種用途に好適に使用することができる。
以下、実施例及び比較例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。なお、例中の「部」及び「%」は、特に明示しない限り「質量部」及び「質量%」を表す。
(共重合体の重量平均分子量)
カラム恒温槽には島津製作所製CTO−20A、検出器には島津製作所製RID−10A、溶離液流路ポンプには島津製作所製LC−20AD、デガッサには島津製作所製DGU−20A、オートサンプラーには島津製作所製SIL−20Aを用いてGPC法によって測定した。カラムは東ソー株式会社製の水系SECカラムTSKgelG3000PWXL(排除限界分子量2×105)とTSKgelG5000PWXL(排除限界分子量2.5×106)とTSKgelG6000PWXL(排除限界分子量5×107)を接続したものを用いた。サンプルは溶離液で2g/100mLの濃度に調製し、測定に用いた。溶離液には酢酸、及び酢酸ナトリウムを各々0.5モル/リットルに調整した水溶液を使用した。カラム温度は40℃、流速は1.0mL/分で実施した。
標準サンプルとして分子量1,065、5,050、24,000、50,000、107,000、140,000、250,000、540,000、920,000の9種のポリエチレングリコールを用いて較正曲線を求め、その較正曲線を基に、共重合体の重量平均分子量を求めた。
[1]一般式(2)で表される構造単位を有する共重合体をインク成分として用いた実施の形態についての説明
[製造例1−1:化合物Sy−1の合成]
<中間物pSy−1の合成>
500ml4ツ口フラスコに、クロロスルホンサン450部を仕込み、C.I.Pigment Yellow 138(BASF社製パリオトールイエロー0962HD)45部を少しずつ添加した。80℃で3時間攪拌を行い、原料の消失を液体クロマトグラフィーにより確認した。反応溶液を氷水5000部中に攪拌しながら加えてスルホン化物を析出させた。次いで、濾別して、0.1%塩酸2000部で洗浄し、更に精製水2000部で洗浄し、黄色の中間物pSy−1を得た。
<化合物Sy−1の合成>
中間物pSy−1を80℃で乾燥させ、化合物Sy−1を得た。
[製造例1−2:化合物Sy−2の合成]
前記中間物pSy−1を水5000部に再分散し(再分散したスラリーのpHは2.3)、25%苛性ソーダ液を攪拌しながら加え、pH11.5に1時間続けて調整した。更に、pH11.5にて60℃に加熱し、3時間攪拌を行った。この溶液に、塩化亜鉛47部を溶解した水溶液を少しずつ滴下し析出物を得た。その後、析出物を濾過し多量の水で水洗した後、80℃で乾燥させ、化合物Sy−2を得た。
[製造例2−1:共重合体CP1−1の合成]
62.0g(525mmol)の1,6−ヘキサンジオール(東京化成社製)を700mLの塩化メチレンに溶解し、20.7g(262mmol)のピリジンを加えた。
この溶液に、50.0g(262mmol)の2−ナフタレンカルボニルクロリド(東京化成社製)を100mLの塩化メチレンに溶解した溶液を、2時間かけて攪拌しながら滴下した後、室温で6時間攪拌した。得られた反応溶液を水洗した後、有機相を単離し、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を留去した。残留物を、溶離液として塩化メチレン/メタノール(体積比98/2)混合溶媒を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、52.5gの2−ナフトエ酸−2−ヒドロキシエチルエステルを得た。
次に、42.1g(155mmol)の2−ナフトエ酸−2−ヒドロキシエチルエステルを80mLの乾燥メチルエチルケトンに溶解し、60℃まで加熱した。この溶液に、24.0g(155mmol)の2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工社製、カレンズMOI)を20mLの乾燥メチルエチルケトンに溶解した溶液を、1時間かけて攪拌しながら滴下した後、70℃で12時間攪拌した。室温まで冷却した後、溶媒を留去した。残留物を、溶離液として塩化メチレン/メタノール(体積比99/1)混合溶媒を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、57.0gの下記構造式(2−1)で表される構造を有するモノマーM2−1を得た。
Figure 0006504360
次いで、2.60g(36mmol)のアクリル酸(東京化成社製)、及び15.42g(36mmol)のモノマーM2−1を90mLの乾燥メチルエチルケトンに溶解してモノマー溶液を調製した。モノマー溶液の10%をアルゴン気流下で75℃まで加熱した後、残りのモノマー溶液に0.592(3.6mmol)の2,2’−アゾイソ(ブチロニトリル)(東京化成社製)を溶解した溶液を1.5時間かけて滴下し、75℃で6時間撹拌した。室温まで冷却し、得られた反応溶液をヘキサンに投下した。上澄み液を捨て、析出した共重合体を得た。得られた共重合体をテトラヒドロフランに溶解させ、エバポレーションを行った後、減圧乾燥して、18.00gの共重合体(重量平均分子量Mw:25000、数平均分子量Mn:10000)を得た。
次いで、得られた共重合体を、共重合体の濃度が20%かつpHが8.0となるようにテトラエチルアンモニウムヒドロキシド溶液に溶解して共重合体CP1−1の水溶液を調製した。
[製造例2−2:共重合体CP1−2の合成]
ポリエチレングリコールモノメタクリレート(n≒4.5)(日油社製)、及び製造例2−1で合成したモノマーM2−1を用いて、製造例2−1と同様にして共重合体(重量平均分子量Mw:23000、数平均分子量Mn:9200)を得た。次に、得られた共重合体を、共重合体の濃度が20%となるようにイオン交換水に溶解して共重合体CP1−2の水溶液を調製した。
[製造例2−3:共重合体CP1−3の合成]
ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド(東京化成社製)、及び製造例2−1で合成したモノマーM2−1を用いて、製造例2−1と同様にして共重合体を得た。次に、得られた共重合体を、共重合体の濃度が20%かつpH8.0となるように塩酸溶液に溶解して共重合体CP1−3の水溶液を調製した。
[製造例2−4:共重合体CP1−4の合成]
1,6−ヘキサンジオールに代えて、エチレングリコール(東京化成社製)を用いた点以外は、製造例2−1と同様にして下記構造式(2−2)で表される構造を有するモノマーM2−2を得た。
Figure 0006504360
次に、アクリル酸及び得られたモノマーM2−2を用いて、製造例2−1と同様にして共重合体(重量平均分子量Mw:24000、数平均分子量Mn:9600)を得た。製造例2−1と同様にして共重合体CP1−4の水溶液を調製した。
[製造例2−5:共重合体CP1−5の合成]
1,6−ヘキサンジオールに代えて、1,12−ドデカンジオール(東京化成社製)を用いた点以外は、製造例2−1と同様にして下記構造式(2−3)で表される構造を有するモノマーM2−3を得た。
Figure 0006504360
次に、アクリル酸及び得られたモノマーM2−3を用いて、製造例2−1と同様にして共重合体(重量平均分子量Mw:26000、数平均分子量Mn:10400)を得た。製造例2−1と同様にして共重合体CP1−5の水溶液を調製した。
[製造例2−6:共重合体CP1−6の合成]
1,6−ヘキサンジオールに代えて、1,16−ヘキサデカンジオール(東京化成社製)を用いた点以外は、製造例2−1と同様にして下記構造式(2−4)で表される構造を有するモノマーM2−4を得た。
Figure 0006504360
次に、アクリル酸及び得られたモノマーM2−4を用いて、製造例2−1と同様にして共重合体(重量平均分子量Mw:28000、数平均分子量Mn:11200)を得た。製造例2−1と同様にして共重合体CP1−6の水溶液を調製した。
[製造例2−7:共重合体CP1−7の合成]
アクリル酸、及び製造例2−1で合成したモノマーM2−1を225mLの乾燥メチルエチルケトンに溶解させた以外は製造例2−1と同様にして共重合体(重量平均分子量Mw:13000、数平均分子量Mn:5600)を得た。製造例2−1と同様にして共重合体の濃度が20%となるように共重合体CP1−7の水溶液を調製した。
[製造例2−8:共重合体CP1−8の合成]
アクリル酸、及び製造例2−1で合成したモノマーM2−1を60mLの乾燥メチルエチルケトンに溶解させた以外は製造例2−1と同様にして共重合体(重量平均分子量Mw:40000、数平均分子量Mn:16000)を得た。製造例2−1と同様にして共重合体の濃度が20%となるように共重合体CP1−8の水溶液を調製した。
[製造例2−9:共重合体CP1−9の合成]
アクリル酸、及び製造例2−1で合成したモノマーM2−1を45mLの乾燥メチルエチルケトンに溶解させた以外は製造例2−1と同様にして共重合体(重量平均分子量Mw:60000、数平均分子量Mn:24000)を得た。製造例2−1と同様にして共重合体の濃度が20%となるように共重合体CP1−9の水溶液を調製した。
[製造例2−10:共重合体CP1−10の合成]
アクリル酸及び製造例2−1で合成したモノマーM2−1を表1に示す割合に変更した以外は製造例2−1と同様にして共重合体(重量平均分子量Mw:27000、数平均分子量Mn:10800)を得た。製造例2−1と同様にして、共重合体CP1−10の水溶液を調製した。
[製造例2−11:共重合体CP1−11の合成]
2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートに代えて、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネートを用いた点以外は、製造例2−1と同様にして下記構造式(2−5)で表される構造を有するモノマーM2−5を得た。
Figure 0006504360
次に、アクリル酸及び得られたモノマーM2−5を用いて、製造例2−1と同様にして共重合体CP1−11(重量平均分子量Mw:24000、数平均分子量Mn:9600)を得て、製造例2−1と同様にして共重合体CP1−11の水溶液を調製した。
下記表1−1に、共重合体の構造を示す。共重合体は構造1と構造2からなり、構造2は一般式(2)で表される構造を示す。
Figure 0006504360
[実施例1−1;インクINK1−1の調製]
(顔料分散体PD1−1の調製)
製造例1で調製した1.0部の化合物Sy−1と製造例2−1で調製した25.0部の共重合体水溶液と20.0部のイエロー顔料(P.Y.74、クロモファインエロー6270AJC、大日精化製)とにイオン交換水を54.0部を加えて12時間攪拌した。得られた混合物をディスクタイプのビーズミル(シンマルエンタープライゼス社製、KDL型、メディア:直径0.1mmのジルコニアボール使用)を用いて、周速10m/sで1時間循環分散した後、孔径1.2μmのメンブレンフィルターでろ過し、調整量のイオン交換水を加えて、顔料分散体PD1−1(顔料固形分濃度:20%)を得た。
(インクの作製)
30.0部の顔料分散体PD1−1、10.0部の1,3−ブタンジオール、10.0部のグリセリン、10.0部の3−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド、1.0部のゾニールFS−300(Dupont社製、フッ素系界面活性剤、固形分40質量%)、及び39.0部のイオン交換水を混合し、1時間攪拌した後、孔径1.2μmのメンブレンフィルターでろ過して、本発明の水性インクINK1−1を得た。
[実施例1−2;インクINK1−2の調製]
実施例1−1の顔料分散体の調製における共重合体CP1−1の水溶液の代わりに、共重合体CP1−2の水溶液を用いた点以外は同様にして、顔料分散体PD1−2を得た。
次に、実施例1−1のインクの作製における顔料分散体PD1−1の代わりに、顔料分散体PD1−2を用いた点以外は同様にして、本発明の水性インクINK1−2を得た。
[実施例1−3;インクINK1−3調製]
実施例1−1の顔料分散体の調製における共重合体CP1−1の水溶液の代わりに、共重合体CP1−3の水溶液を用いた点以外は同様にして、顔料分散体PD1−3を得た。
次に、実施例1−1のインクの作製における顔料分散体PD1−1の代わりに、顔料分散体PD1−3を用いた点以外は同様にして、本発明の水性インクINK1−3を得た。
[実施例1−4;インクINK1−4の調製]
実施例1−1の顔料分散体の調製における共重合体CP1−1の水溶液の代わりに、共重合体CP1−4の水溶液を用いた点以外は同様にして、顔料分散体PD1−4を得た。
次に、実施例1−1のインクの作製における顔料分散体PD1−1の代わりに、顔料分散体PD1−4を用いた点以外は同様にして、本発明の水性インクINK1−4を得た。
[実施例1−5;インクINK1−5の調製]
実施例1−1の顔料分散体の調製における共重合体CP1−1の水溶液の代わりに、共重合体CP1−5の水溶液を用いた点以外は同様にして、顔料分散体PD1−5を得た。
次に、実施例1−1のインクの作製における顔料分散体PD1−1の代わりに、顔料分散体PD1−5を用いた点以外は同様にして、本発明の水性インクINK1−5を得た。
[実施例1−6;インクINK1−6の調製]
実施例1−1の顔料分散体の調製における共重合体CP1−1の水溶液の代わりに、共重合体CP1−6の水溶液を用いた点以外は同様にして、顔料分散体PD1−6を得た。
次に、実施例1−1のインクの作製における顔料分散体PD1−1の代わりに、顔料分散体PD1−6を用いた点以外は同様にして、本発明の水性インクINK1−6を得た。
[実施例1−7;インクINK1−7の調製]
実施例1−1の顔料分散体の調製における共重合体CP1−1の水溶液の代わりに、共重合体CP1−7の水溶液を用いた点以外は同様にして、顔料分散体PD1−7を得た。
次に、実施例1−1のインクの作製における顔料分散体PD1−1の代わりに、顔料分散体PD1−7を用いた点以外は同様にして、本発明の水性インクINK1−7を得た。
[実施例1−8;インクINK1−8の調製]
実施例1−1の顔料分散体の調製における共重合体CP1−1の水溶液の代わりに、共重合体CP1−8の水溶液を用いた点以外は同様にして、顔料分散体PD1−8を得た。
次に、実施例1−1のインクの作製における顔料分散体PD1−1の代わりに、顔料分散体PD1−8を用いた点以外は同様にして、本発明の水性インクINK1−8を得た。
[実施例1−9;インクINK1−9の調製]
実施例1−1の顔料分散体の調製における共重合体CP1−1の水溶液の代わりに、共重合体CP1−9の水溶液を用いた点以外は同様にして、顔料分散体PD1−9を得た。
次に、実施例1−1のインクの作製における顔料分散体PD1−1の代わりに、顔料分散体PD1−9を用いた点以外は同様にして、本発明の水性インクINK1−9を得た。
[実施例1−10;インクINK1−10の調製]
実施例1−1の顔料分散体の調製における共重合体CP1−1の水溶液の代わりに、共重合体CP1−10の水溶液を用いた点以外は同様にして、顔料分散体PD1−10を得た。
次に、実施例1−1のインクの作製における顔料分散体PD1−1の代わりに、顔料分散体PD1−10を用いた点以外は同様にして、本発明の水性インクINK1−10を得た。
[実施例1−11;水性インクINK1−11の調製]
実施例1−1の顔料分散体の調製における共重合体CP1−1の水溶液の代わりに、共重合体CP1−11の水溶液を用いた点以外は同様にして、顔料分散体PD1−11を得た。
次に、実施例1−1のインクの作製における顔料分散体PD1−1の代わりに、顔料分散体PD1−11を用いた点以外は同様にして、本発明の水性インクINK1−11を得た。
[実施例1−12;インクINK1−12の調製]
実施例1−1の顔料分散体の調製における共重合体、化合物、顔料の比率を表2に記載の比率に変更した以外は同様にして、顔料分散体PD1−12を得た。
次に、実施例1−1のインクの作製における顔料分散体PD1−1の代わりに、顔料分散体PD1−12を用いた点以外は同様にして、本発明の水性インクINK1−12を得た。
[実施例1−13;インクINK1−13の調製]
実施例1−1の顔料分散体の調製における共重合体、化合物、顔料の比率を表2に記載の比率に変更した以外は同様にして、顔料分散体PD1−13を得た。
次に、実施例1−1のインクの作製における顔料分散体PD1−1の代わりに、顔料分散体PD1−13を用いた点以外は同様にして、本発明の水性インクINK1−13を得た。
[実施例1−14;インクINK1−14の調製]
実施例1−1の顔料分散体の調製における共重合体、化合物、顔料の比率を表2に記載の比率に変更した以外は同様にして、顔料分散体PD1−14を得た。
次に、実施例1−1のインクの作製における顔料分散体PD1−1の代わりに、顔料分散体PD1−14を用いた点以外は同様にして、本発明の水性インクINK1−14を得た。
[実施例1−15;インクINK1−15の調製]
実施例1の顔料分散体の調製における共重合体、化合物、顔料の比率を表2に記載の比率に変更した以外は同様にして、顔料分散体PD1−15を得た。
次に、実施例1のインクの作製における顔料分散体PD1−1の代わりに、顔料分散体PD1−15を用いた点以外は同様にして、本発明の水性インクINK1−15を得た。
[実施例1−16;インクINK1−16の調製]
実施例1−1の顔料分散体の調製における共重合体、化合物、顔料の比率を表2に記載の比率に変更した以外は同様にして、顔料分散体PD1−16を得た。
次に、実施例1−1のインクの作製における顔料分散体PD1−1の代わりに、顔料分散体PD1−16を用いた点以外は同様にして、本発明の水性インクINK1−16を得た。
[実施例1−17;インクINK1−17の調製]
実施例1−1の顔料分散体の調製における共重合体、化合物、顔料の比率を表2に記載の比率に変更した以外は同様にして、顔料分散体PD1−17を得た。
次に、実施例1−1のインクの作製における顔料分散体PD1−1の代わりに、顔料分散体PD1−17を用いた点以外は同様にして、本発明の水性インクINK1−17を得た。
[実施例1−18;インクINK1−18の調製]
実施例1−1の顔料分散体の調製における顔料を表1−2に記載のピグメントイエロー155(クラリアント社製、Ink JET Yellow 4GC)に変更した以外は同様にして、顔料分散体PD1−18を得た。
次に、実施例1−1のインクの作製における顔料分散体PD1−1の代わりに、顔料分散体PD1−18を用いた点以外は同様にして、本発明の水性インクINK1−18を得た。
[実施例1−19;インクINK1−19の調製]
実施例1−1の顔料分散体の調製における顔料を表1−2に記載のピグメントイエロー185(BASF社製、Paliotol Yellow D 1155)変更した以外は同様にして、顔料分散体PD1−19を得た。
次に、実施例1−1のインクの作製における顔料分散体PD1−1の代わりに、顔料分散体PD1−19を用いた点以外は同様にして、本発明の水性インクINK1−19を得た。
[比較例1−1;インクRINK1−1の調製]
実施例1−1の顔料分散体の調製における化合物Sy−1の代わりに、化合物Sy−2を用いた点以外は同様にして、顔料分散体RPD1−1を得た。
次に、実施例1−1のインクの作製における顔料分散体PD1−1の代わりに、顔料分散体RPD1−1を用いた点以外は同様にして、本発明の水性インクRINK1−1を得た。
[比較例1−2;インクRINK1−2の調製]
実施例1−1の顔料分散体の調製において化合物Sy−1を配合しなかったこと以外は同様にして、顔料分散体RPD1−2を得た。
次に、実施例1−1のインクの作製における顔料分散体PD1−1の代わりに、顔料分散体RPD1−2を用いた点以外は同様にして、本発明の水性インクRINK1−2を得た。
[比較例1−3;インクRINK1−3の調製]
実施例1−1の顔料分散体の調製において共重合体CP1−1を配合しなかったこと以外は同様にして、顔料分散体RPD1−3を得た。
次に、実施例1−1のインクの作製における顔料分散体PD1−1の代わりに、顔料分散体RPD1−3を用いた点以外は同様にして、本発明の水性インクRINK1−3を得た。
[比較例1−4;インクRINK1−4の調製]
製造例2−1におけるモノマーM2−1を下記構造式(4)で表される構造を有するモノマーに代えた点以外は同様にして6.36gの共重合体RCP1−1(重量平均分子量Mw:20000、数平均分子量Mn:8000)を得て、実施例1−1と同様にして比較共重合体RCP1−1の水溶液を調製した。
Figure 0006504360
実施例1−1の顔料分散体の調製における共重合体CP1−1の水溶液の代わりに、比較共重合体RCP1−1の水溶液を用いた点以外は同様にして、比較顔料分散体RPD1−4を得た。
次に、実施例1−1のインクの作製における顔料分散体PD1−1の代わりに、比較顔料分散体RPD1−4を用いた点以外は同様にして、比較水性インクRINK1−4を得た。
Figure 0006504360
<顔料分散体の保存安定性>
各顔料分散体をガラス容器に充填して70℃で3週間保存し、保存前の粘度に対する保存後の粘度の変化率を下記式から求め、下記の基準で評価した。
Figure 0006504360
粘度の測定には、粘度計(RE80L、東機産業社製)を使用し、25℃における粘度を、50回転で測定した。
〔評価基準〕
A:粘度の変化率が±3%以内
B:粘度の変化率が±3%を超え、±5%以内
C:粘度の変化率が±5%を超え、±8%以内
D:粘度の変化率が±8%を超え、±10%以内
E:粘度の変化率が±10%を超え、±30%以内
F:粘度の変化率が±30%を超える(ゲル化して評価不能)
<インクの保存安定性>
各インクをインクカートリッジに充填して70℃で2週間保存し、保存前の粘度に対する保存後の粘度の変化率を下記式から求め、下記の基準で評価した。
Figure 0006504360
粘度の測定には、粘度計(RE80L、東機産業社製)を使用し、25℃における粘度を、50回転で測定した。
〔評価基準〕
A:粘度の変化率が±3%以内
B:粘度の変化率が±3%を超え、±5%以内
C:粘度の変化率が±5%を超え、±8%以内
D:粘度の変化率が±8%を超え、±10%以内
E:粘度の変化率が±10%を超え、±30%以内
F:粘度の変化率が±30%を超える(ゲル化して評価不能)
<吐出安定性>
各インクを、インクジェットプリンタ(IPSiO GX−e5500(リコー製))に充填してセットし、10分間連続印字を行ない、ヘッド面にインクが付着した状態で保湿キャップをしてプリンタを50℃60%RH環境下で1ヶ月間放置した後、クリーニングを実施して放置前と同等に復帰させた。この後、以下の条件で間欠印写試験を行ない吐出安定性を評価した。
即ち、印刷パターンチャートを20枚連続で印字した後、20分間印字を実施しない休止状態にし、これを50回繰り返し、累計で1000枚印写した後、もう1枚同じチャートを印写した時の5%チャートベタ部の筋、白抜け、噴射乱れの有無を目視により下記の基準で評価した。なお、印刷パターンは、紙面全面積中、各色の印字面積が5%であるチャートにおいて、各インクを100%dutyで印字した。印字条件は、記録密度600×300dpi、ワンパス印字とした。
評価結果を表4に示す。ランクA、Bが許容範囲である。
[評価基準]
A:ベタ部にスジ、白抜け、噴射乱れが無い
B:ベタ部にスジ、白抜け、噴射乱れが若干認められる
C:ベタ部にスジ、白抜け、噴射乱れが認められる
D:ベタ部全域にわたってスジ、白抜け、噴射乱れが認められる
Figure 0006504360
実施例1−1〜実施例1−19の、本発明の上記一般式(2)で表される構造単位を有する共重合体を用いて作製した顔料分散体は、比較例4の、一般式(2)で表される構造単位を有さない共重合体を用いて作製した顔料分散体に比べ、優れた保存安定性を有していた。これは、共重合体の一般式(2)で表される構造単位のナフチル基と顔料とのπ−π相互作用により顔料への吸着性が高まったためと考えられる。
[2]一般式(3)で表される構造単位を有する共重合体をインク成分として用いた実施の形態についての説明
[製造例3−1:共重合体CP2−1の合成]
40.0g(235mmol)の2−フェニルフェノール(東京化成社製)、及び51.06g(282mmol)の6−ブロモ−1−ヘキサノール(東京化成社製)を600mLのメチルエチルケトンに溶解した。この溶液に97.4gの炭酸カルシウムを加え、8時間加熱還流した。室温まで冷却した後、ろ過し、ろ液を濃縮した。得られた薄茶色液体を塩化メチレンに溶解し、水洗した。有機相を単離し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を留去した。残留物を、溶離液として塩化メチレンを用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、105.3gの6−(2−フェニルフェノキシ)ヘキサン−1−オールを得た。
次に、14.10g(52mmol)の6−(2−フェニルフェノキシ)ヘキサン−1−オールを50mLの乾燥メチルエチルケトンに溶解し、40℃まで加熱した。この溶液に、8.09g(52mmol)の2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工社製、カレンズMOI)を、30分間かけて攪拌しながら滴下した後、70℃で12時間攪拌した。室温まで冷却し、溶媒を留去した。残留物を、溶離液として塩化メチレン/メタノール(体積比98/2)混合溶媒を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、18.88gの下記構造式(3−1)で表される構造を有するモノマーM3−1を得た。
Figure 0006504360
次いで、2.60g(36 mmol)のアクリル酸(東京化成社製)、及び15.36g(36mmol)のモノマーM3−1を65mLの乾燥メチルエチルケトンに溶解してモノマー溶液を調製した。モノマー溶液の10%をアルゴン気流下で75℃まで加熱した後、残りのモノマー溶液に0.592(3.6mmol)の2,2’−アゾイソ(ブチロニトリル)(東京化成社製)を溶解した溶液を1.5時間かけて滴下し、75℃で6時間撹拌した。室温まで冷却し、得られた反応溶液をヘキサンに投下した。上澄み液を捨て、析出した共重合体を得た。得られた共重合体をテトラヒドロフランに溶解させ、エバポレーションを行った後、減圧乾燥して、17.56gの共重合体(重量平均分子量Mw:24000、数平均分子量Mn:9900)を得た。
次いで、得られた共重合体を、共重合体の濃度が20%かつpHが8.0となるようにテトラエチルアンモニウムヒドロキシド溶液に溶解して共重合体CP2−1の水溶液を調製した。
[製造例3−2:共重合体CP2−2の合成]
ポリエチレングリコールモノメタクリレート(n≒4.5)(日油社製)、及び製造例3−1で合成したモノマーM3−1を用いて、表1に記載の比率で、製造例3−1と同様にして共重合体(重量平均分子量Mw:22000、数平均分子量Mn:9100)を得た。次に、得られた共重合体を、共重合体の濃度が20%となるようにイオン交換水に溶解して共重合体CP2−2の水溶液を調製した。
[製造例3−3:共重合体CP2−3の合成]
ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド(東京化成社製)、及び製造例3−1で合成したモノマーM3−1を用いて、製造例3−1と同様にして共重合体を得た。次に、得られた共重合体を、共重合体の濃度が20%かつpH8.0がとなるように塩酸溶液に溶解して共重合体CP2−2の水溶液を調製した。
[製造例3−4:共重合体CP2−4の合成]
12.00g(86mmol)の4−フェニルフェノールを50mLの乾燥メチルエチルケトンに溶解し、40℃まで加熱した。この溶液に、12.68g(74mmol)の2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工社製、カレンズMOI)を、30分間かけて攪拌しながら滴下した後、70℃で12時間攪拌した。室温まで冷却し、
溶媒を留去した。残留物を、溶離液として塩化メチレン/メタノール(体積比98/2)混合溶媒を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、20.67gの下記構造式(3−2)で表される構造を有するモノマーM3−2を得た。
Figure 0006504360
次に、アクリル酸及び得られたモノマーM3−2を用いて、製造例3−1と同様にして共重合体(重量平均分子量Mw:23000、数平均分子量Mn:8900)を得た。製造例3−1と同様にして共重合体CP2−4の水溶液を調製した。
[製造例3−5:共重合体CP2−5の合成]
6−ブロモ−1−ヘキサノールに代えて、2−ブロモエタノール(東京化成社製)を用いた点以外は、製造例3−1と同様にして下記構造式(3−3)で表される構造を有するモノマーM3−3を得た。
Figure 0006504360
次に、アクリル酸及び得られたモノマーM3−3を用いて、製造例3−1と同様にして共重合体(重量平均分子量Mw:23500、数平均分子量Mn:9400)を得た。実施例2と同様にして共重合体CP2−5の水溶液を調製した。
[製造例3−6:共重合体CP2−6の合成]
6−ブロモ−1−ヘキサノールに代えて、16−ブロモ−1−ヘキサデカノール(Astatech,Inc社製)を用いた点以外は、製造例3−1と同様にして下記構造式(3−4)で表される構造を有するモノマーM3−4を得た。
Figure 0006504360
次に、アクリル酸及び得られたモノマーM3−4を用いて、製造例3−1と同様にして共重合体(重量平均分子量Mw:25500、数平均分子量Mn:10700)を得た。製造例3−1と同様にして共重合体CP2−6の水溶液を調製した。
[製造例3−7:共重合体CP2−7の合成]
アクリル酸、及び製造例3−1で合成したモノマーM3−1を160mLの乾燥メチルエチルケトンに溶解させた以外は製造例3−1と同様にして共重合体(重量平均分子量Mw:13000、数平均分子量Mn:5500)を得た。製造例3−1と同様にして共重合体CP2−7の水溶液を調製した。
[製造例3−8:共重合体CP2−8の合成]
アクリル酸、及び製造例3−1で合成したモノマーM3−1を45mLの乾燥メチルエチルケトンに溶解させた以外は製造例3−1と同様にして共重合体(重量平均分子量Mw:40000、数平均分子量Mn:15900)を得た。製造例3−1と同様にして共重合体CP2−8の水溶液を調製した。
[製造例3−9:共重合体CP2−9の合成]
アクリル酸、及び製造例3−1で合成したモノマーM3−1を35mLの乾燥メチルエチルケトンに溶解させた以外は製造例3−1と同様にして共重合体(重量平均分子量Mw:60000、数平均分子量Mn:23900)を得た。製造例3−1と同様にして共重合体CP2−9の水溶液を調製した。
[製造例3−10:共重合体CP2−10の合成]
アクリル酸及び製造例3−1で合成したモノマーM3−1を表1に示す割合に変更した以外は製造例3−1と同様にして共重合体(重量平均分子量Mw:26000、数平均分子量Mn:10700)を得た。製造例3−1と同様にして、共重合体CP2−10の水溶液を調製した。
[製造例3−11:共重合体CP2−11の合成]
24.51g(90mmol)の6−(2−フェニルフェノキシ)ヘキサン−1−オールを60mLの乾燥塩化メチレンに溶解し、40℃まで加熱した。この溶液に、14.61g(104mmol)の2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工社製、カレンズAOI)を、30分間かけて攪拌しながら滴下した後、40℃で12時間攪拌した。室温まで冷却し、溶媒を留去した。残留物を、溶離液として塩化メチレン/メタノール(体積比98/2)混合溶媒を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、31.28gの下記構造式(3−5)で表される構造を有するモノマーM3−5を得た。
Figure 0006504360
次に、アクリル酸及び得られたモノマーM3−5を用いて、製造例3−1と同様にして共重合体CP2−11(重量平均分子量Mw:23000、数平均分子量Mn:9500)を得て、製造例3−1と同様にして共重合体CP2−11の水溶液を調製した。
下記表2−1に、共重合体の構造を示す。共重合体は構造1と構造2からなり、構造2は一般式(3)で表される構造を示す。
Figure 0006504360
[実施例2−1;水性インクINK2−1の調製]
(顔料分散体PD2−1の調製)
製造例1−1で調製した1.0部の化合物Sy−1と製造例3−1で調製した25.0部の共重合体水溶液と20.0部のイエロー顔料(P.Y.74、クロモファインエロー6270AJC、大日精化製)とにイオン交換水を54.0部を加えて12時間攪拌した。得られた混合物をディスクタイプのビーズミル(シンマルエンタープライゼス社製、KDL型、メディア:直径0.1mmのジルコニアボール使用)を用いて、周速10m/sで1時間循環分散した後、孔径1.2μmのメンブレンフィルターでろ過し、調整量のイオン交換水を加えて、顔料分散体PD2−1(顔料固形分濃度:20%)を得た。
(インクの作製)
30.0部の顔料分散体PD2−1、10.0部の1,3−ブタンジオール、10.0部のグリセリン、10.0部の3−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド、1.0部のゾニールFS−300(Dupont社製、フッ素系界面活性剤、固形分40質量%)、及び39.0部のイオン交換水を混合し、1時間攪拌した後、孔径1.2μmのメンブレンフィルターでろ過して、本発明の水性インクINK2−1を得た。
[実施例2−2〜実施例2−17;水性インクINK2−2〜2−17の調製]
実施例2−1の顔料分散体の調製における共重合体、化合物、顔料の比率を表2に記載の比率に変更した以外は同様にして、顔料分散体PD2−1−2〜17を得た。
次に、実施例2−1のインクの作製における顔料分散体PD2−1の代わりに、顔料分散体PD2−2〜17を用いた点以外は同様にして、本発明の水性インクINK2−2〜2−17を得た。
[実施例2−18;インクINK2−18の調製]
実施例2−1の顔料分散体の調製における顔料を表2に記載のピグメントイエロー155(クラリアント社製、Ink JET Yellow 4GC)に変更した以外は同様にして、顔料分散体PD2−18を得た。
次に、実施例2−1のインクの作製における顔料分散体PD2−1の代わりに、顔料分散体PD2−18を用いた点以外は同様にして、本発明の水性インクINK2−18を得た。
[実施例2−19;インクINK2−19の調製]
実施例2−1の顔料分散体の調製における顔料を表2−2に記載のピグメントイエロー185(BASF社製、Paliotol Yellow D 1155)変更した以外は同様にして、顔料分散体PD2−19を得た。
次に、実施例2−1のインクの作製における顔料分散体PD2−1の代わりに、顔料分散体PD2−19を用いた点以外は同様にして、本発明の水性インクINK2−19を得た。
[比較例2−1;水性インクRINK2−1の調製]
実施例2−1の顔料分散体の調製における化合物Sy−1の代わりに、化合物Sy−2を用いた点以外は同様にして、顔料分散体RPD2−1を得た。
次に、実施例2−1のインクの作製における顔料分散体PD2−1の代わりに、顔料分散体RPD2−1を用いた点以外は同様にして、本発明の水性インクRINK2−1を得た。
[比較例2−2;水性インクRINK2−2の調製]
実施例2−1の顔料分散体の調製における共重合体、化合物、顔料の比率を表2に記載の比率に変更した以外は同様にして、顔料分散体RPD2−2を得た。
次に、実施例2−1のインクの作製における顔料分散体PD2−1の代わりに、顔料分散体RPD2−2を用いた点以外は同様にして、本発明の水性インクRINK2−2を得た。
[比較例2−3;水性インクRINK2−3の調製]
実施例2−1の顔料分散体の調製における共重合体、化合物、顔料の比率を表2に記載の比率に変更した以外は同様にして、顔料分散体RPD2−3を得た。
次に、実施例2−1のインクの作製における顔料分散体PD2−1の代わりに、顔料分散体RPD2−3を用いた点以外は同様にして、本発明の水性インクRINK2−3を得た。
[比較例2−4;水性インクRINK2−4の調製]
実施例2−1におけるモノマーM3−1を下記構造式(4)で表される構造を有するモノマーに代えた点以外は同様にして6.36gの共重合体RCP2−1(重量平均分子量Mw:20000、数平均分子量Mn:8000)を得て、実施例2−1と同様にして共重合体RCP2−4の水溶液を調製した。
Figure 0006504360
実施例2−1の顔料分散体の調製における共重合体CP2−1の水溶液の代わりに、比較共重合体RCP2−1の水溶液を用いた点以外は同様にして、比較顔料分散体RPD2−4を得た。
次に、実施例2−1のインクの作製における顔料分散体PD2−1の代わりに、比較顔料分散体RPD2−4を用いた点以外は同様にして、比較水性インクRINK2−4を得た。
Figure 0006504360
上記で得た実施例2−1〜2−19及び比較例2−1〜比較例2−4のインクについて、実施例2−1と同様にして、顔料分散体及びインクの保存安定性、及びインクの吐出安定性について評価した。結果を表2−3に示す。
Figure 0006504360
実施例2−1〜実施例2−19の、本発明の上記一般式(3)で表される構造単位を有する共重合体を用いて作製した顔料分散体は、比較例4の、一般式(3)で表される構造単位を有さない共重合体を用いて作製した顔料分散体に比べ、優れた保存安定性を有していた。これは、共重合体の一般式(3)で表される構造単位のビフェニル基と顔料とのπ−π相互作用により顔料への吸着性が高まったためと考えられる。
101 装置本体
102 給紙トレイ
103 排紙トレイ
104 インク収容容器装填部
105 操作部
111 上カバー
112 前カバーの前面
115 前カバー
131 ガイドロッド
132 ステー
133 キャリッジ
134 記録ヘッド
135 サブタンク
141 用紙載置部
142 用紙
143 給紙コロ
144 分離パッド
145 ガイド
151 搬送ベルト
152 カウンタローラ
153 搬送ガイド
154 押さえ部材
155 加圧コロ
156 帯電ローラ
157 搬送ローラ
158 テンションローラ
161 ガイド部材
171 分離爪
172 排紙ローラ
173 排紙コロ
181 両面給紙ユニット
182 手差し給紙部
200 インク収容容器
241 インク収容部
242 インク注入口
243 インク排出口
244 収容容器ケース
特開2011−105866号公報 特許第4320991号公報

Claims (11)

  1. 顔料と
    下記一般式(1)で表される化合物と、
    下記一般式(2)で表される構造単位または下記一般式(3)で表される構造単位を有する共重合体と、
    水と、
    を含むインク。
    Figure 0006504360
    (一般式(1)中、Xは水素原子又は一価の陽イオンを表す。nは0〜5の整数でありスルホン酸基の置換数を表す。)
    Figure 0006504360
    (一般式(2)中、Rは水素原子またはメチル基を表し、Lは炭素数2〜18のアルキレン基を表す。)
    Figure 0006504360
    (一般式(3)中、Rは水素原子またはメチル基を表し、Lは単結合又はその酸素原子がビフェニルと結合している−(CH)n−O−であり、nは2〜18の整数である。)
  2. 前記共重合体が、更に、ノニオン性基またはアニオン性基を有する構造単位を有することを特徴とする請求項1に記載のインク。
  3. が炭素数2以上12以下のアルキレン基であり、Lが−(CH)n−O−であってnが2以上12以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のインク。
  4. 前記共重合体の重量平均分子量Mwが13000以上40000以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のインク。
  5. 前記共重合体における前記一般式(2)で表される構造単位または一般式(3)で表される構造単位の含有率が90質量%以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のインク。
  6. 前記顔料、前記一般式(1)で表される化合物、及び前記共重合体の質量比が、顔料:一般式(1)で表される化合物:共重合体=4.0/0.1/0.6〜4.0/0.3/1.8であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のインク。
  7. 前記顔料がアゾ顔料であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のインク。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載のインクを容器中に収容してなることを特徴とするインク収容容器。
  9. 請求項1〜7のいずれかに記載のインクにインク飛翔手段を介して刺激を印加し、記録ヘッドから該インクを飛翔させて記録媒体に画像を記録するインク飛翔工程を少なくとも含むことを特徴とするインクジェット記録方法。
  10. 請求項1〜7のいずれかに記載のインクを記録ヘッドから飛翔させて記録媒体に画像を記録するインク飛翔手段を有することを特徴とするインクジェット記録装置。
  11. 請求項1〜7のいずれかに記載のインクジェット記録用インクにより記録された画像を記録媒体上に有してなることを特徴とする記録物。
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