JP6503989B2 - トロッカーカテーテル - Google Patents

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本発明は、胸腔内又は腹腔内に留置し、持続的に排気及び/又は排液するために使用するトロッカーカテーテルに関するものである。
外套カテーテルとその外套カテーテル内を挿通するトロッカー針とを組み合わせたドレーンカテーテルは、体内に穿刺した後、トロッカー針を抜去して外套カテーテルのみを体内に留置し、持続的に体液等を排出させるために使用される。このドレーンカテーテルは、トロッカーカテーテルとも称され、先端部に側孔を有する外套カテーテルと当該外套カテーテル内に挿入するトロッカー針とを組み合わせたものが一般的に使用されている(例えば、特許文献1及び2)。
特開2002−272755号公報 特開2002−248164号公報 特公平2−17185号公報 特開2014−18366号公報
従来のトロッカーカテーテルでは、側孔及び先端孔によって体液等の吸引がなされるため、臓器等の軟部組織を体液等と共に吸引してしまい、これが側孔及び先端孔に密着してしまう可能性があった。これによって、側孔及び先端孔が塞がってしまい、排液、排気等ができなくなり、カテーテルの抜去、再挿入を行わなければならないという問題点があった。その結果、患者への侵襲及び術者への負担が生じる恐れがあった(例えば、特許文献1及び2)。
このような側孔及び先端孔の密着による排液トラブルを解消するため、例えば、特許文献3では、基端側部分を円筒状に成形し、患者の創部に留置される集液部に中心軸を挟んで区分けされた複数の流路を設けた創部用ドレーンカテーテルが提案されている。この創部用ドレーンカテーテルの集液部には、各流路を形成する壁部のうちの外周部分をそれぞれ切り欠くことによってスリットが形成されている。このようなスリットを設けると、創部用ドレーンカテーテルの開口部が大きくなるため、臓器等の軟部組織に吸着しにくく、効率的に排液を吸引することができる。
そこで、上記のようなトロッカーカテーテルの側孔に臓器等が密着し、排液及び排気ができなくなるという問題点を解決すべく、創部用ドレーンカテーテルのようなスリット構造を側孔の代わりに設けた、排液性及び排気性に優れたトロッカーカテーテルも提案されている。(特許文献4参照)
一般的に、トロッカーカテーテルの使用方法として、まず、トロッカーカテーテルを穿刺し、体腔空間に挿入する。続いて、トロッカーカテーテルを体腔空間に挿入した後、外套カテーテルからトロッカー針を数cm手前に引いた状態で、外套カテーテルを更に押し込み、目的の留置位置まで外套カテーテルの先端を誘導する。そして、外套カテーテルの先端を目的の留置位置まで誘導した後、トロッカー針を抜去して、外套カテーテルを留置する。外套カテーテルを留置した後、排液又は排気の量が不十分な場合には、外套カテーテルに再びトロッカー針を再挿入して、外套カテーテルを再操作し、外套カテーテルの先端の留置位置を微調整する場合がある。
しかしながら、特許文献4で提案されているトロッカーカテーテルは、外套カテーテルの主流路にトロッカー針の主内針を、外套カテーテルの副流路にトロッカー針の副内針を挿入して使用する。そのため、このトロッカーカテーテルでは、外套カテーテルを留置した後、当該外套カテーテルを再操作するために一度引き抜いたトロッカー針を外套カテーテルに再挿入する際に、各内針を各ルートに適合させて挿入するのが困難であった。そして、副内針の入るルートに主内針が誤って挿入されてしまうと、当該主内針によって外套カテーテルに傷がつく可能性があった。したがって、このトロッカーカテーテルには、迅速な処理を求められる臨床現場において、慎重にルートを確認しながらトロッカー針を再挿入するという操作が、作業性を悪化させ使用者に負担をかけるという問題点があった。
また、上記のとおり、トロッカーカテーテルを目的の留置位置まで挿入するためには、トロッカーカテーテルを穿刺し、体腔空間に挿入後、外套カテーテルからトロッカー針を数cm手前に引いた状態で、外套カテーテルを更に押し込むという留置手技が行われる。そのため、特許文献1及び2で例示される単針のトロッカー針でも、留置手技の最中にトロッカー針が外套カテーテルの内壁に接触し、当該外套カテーテルに傷がついてしまうリスクがあるという問題点があった。
更に、特許文献4のトロッカーカテーテルに用いられるトロッカー針は、複数の針を周方向に束ねたような複雑な構造を有する。そのため、トロッカー針のコストが高くなってしまうという問題点があった。
本発明は、一側面では、このような実情を鑑みてなされたものであり、その目的は、操作性の向上したトロッカーカテーテルを提供することである。
本発明は、上述した課題を解決するために、以下の構成を採用する。
すなわち、本発明の一側面に係るトロッカーカテーテルは、外套カテーテルと、当該外套カテーテル内に挿通するトロッカー針と、を備える。前記外套カテーテルは、内部流路を有する筒状の排液部と、前記排液部の先端側に連結される筒状の集液部と、を備える。前記集液部は、径方向中央に位置する筒状の内筒壁であって、軸方向に貫通して前記トロッカー針が挿通する1つの主流路を内部に形成する内筒壁と、前記内筒壁を周方向に囲うように当該内筒壁の径方向外方に位置する外壁であって、前記内筒壁の外周に沿って配置される1つ以上の副流路を前記内筒壁との間に形成する外壁と、を備える。そして、前記主流路の軸方向の一端部は前記排液部の内部流路と連通し、前記主流路の軸方向の他端部は前記集液部の先端に形成される先端開口を介して外部に開放され、前記副流路の軸方向の一端部は前記排液部の内部流路と連通し、前記副流路の軸方向の他端部は前記集液部の内部において終端するとともに、前記副流路は、前記外壁の外周面に形成された周面開口を介して外部に開放される。
当該構成によれば、外套カテーテルの集液部に複数の流路を形成することで排液性及び排気性の向上が図られているところ、その複数の流路は、径方向中央に配置される1つの主流路と、該主流路の径方向外方に配置される1つ以上の副流路に分かれている。そして、当該構成では、これら複数の流路のうちの主流路にトロッカー針を挿入してトロッカーカテーテルの穿刺挿入が実施される。したがって、留置した外套カテーテルを再操作する際には、一度引き抜いたトロッカー針を径方向中央に配置される主流路に挿入するだけで、留置した外套カテーテルを再操作することが可能になる。そのため、当該構成によれば、迅速な処理を求められる臨床現場に適合した、操作性の向上したトロッカーカテーテルを提供することができる。また、これによって、トロッカー針は簡易な構造で済むため、トロッカー針のコストを抑えることができる。
また、上記一側面に係るトロッカーカテーテルの別の形態として、前記外套カテーテルは、前記集液部と前記排液部との間に配置される移行部を更に備えてもよい。そして、前記外套カテーテルにおいて、前記集液部の内筒壁の外径は前記排液部の内部流路の内径と同じ又はそれよりも大きく形成されてもよく、前記移行部には、前記集液部の主流路と前記排液部の内部流路とを連結する主内腔、及び、該主内腔の径方向外方に位置し、前記集液部の副流路と前記排液部の内部流路とを連結する副内腔が形成されてもよい。
集液部の主流路の内径が比較的に小さくなると、挿入するトロッカー針が細くなってしまい、トロッカー針の機械的強度が低下してしまう。そのため、トロッカーカテーテルを穿刺し挿入する際にトロッカー針が折れ曲がりやすくなってしまい、トロッカーカテーテルを体腔空間内に挿入し辛くなってしまう。
これに対して、当該構成によれば、主流路を設ける内筒壁の外径を排液部の内部流路の内径と同じ又はそれよりも大きく形成するため、トロッカー針の挿通する主流路の内径を比較的に大きくすることができる。そのため、当該構成によれば、トロッカー針を比較的に太くすることができ、トロッカーカテーテルの体腔空間への挿入性を高めることができる。なお、集液部の副流路と排液部の内部流路とを連結する副内腔の内径をトロッカー針の外径よりも小さくすることで、トロッカー針が副流路に誤って挿入されることを防止することができる。
また、上記一側面に係るトロッカーカテーテルの別の形態として、前記副流路は断面円弧状に形成されてもよい。当該構成によれば、主流路を設ける内筒壁の外周に沿って配置される副流路を断面円弧状に形成することで副流路の径方向の幅を抑えることができ、これによって、トロッカー針の挿通する主流路の内径を比較的に大きくすることができる。そのため、当該構成によれば、トロッカー針を比較的に太くすることができ、トロッカーカテーテルの体腔空間への挿入性を高めることができる。また、副流路を円弧状のように平たく形成することで、トロッカー針が副流路に誤って挿入されることを防止することができる。
また、上記一側面に係るトロッカーカテーテルの別の形態として、前記内筒壁は円筒形状であり、前記外壁は、前記周面開口に近付くにつれて前記内筒壁との間隔が拡がる形状であってもよい。当該構成によれば、副流路は、周面開口に対向する部分において、内筒壁の外周面との間隔(径方向の幅)が最も広くなる。これにより、外壁の周囲の流体が周面開口を通って副流路内に流入する際に、周面開口の近傍において滞留することが抑制される。その結果、外壁の周囲の流体を、副流路を介して効率よく体外に排出できる。
また、上記一側面に係るトロッカーカテーテルの別の形態として、前記外壁は、当該外壁の軸方向と直交する方向に沿った断面において前記内筒壁の外周面における接線方向に沿った内面を有していてもよい。当該構成によれば、副流路の断面積が拡がるために、外壁の周囲の流体を、副流路を介して、さらに効率よく体外に排出できる。
また、上記一側面に係るトロッカーカテーテルの別の形態として、前記周面開口は、前記集液部の軸方向に沿って延びるスリット状に形成されてもよい。当該構成によれば、副流路を外部に連通する周面開口をスリット状に形成するため、当該周面開口の面積を比較的に大きくすることができる。そのため、体液等の吸引面積を大きくして、臓器等の軟部組織に周面開口が吸着するのを防止することができる。すなわち、当該構成によれば、上記排液トラブルを解消することができる。
また、上記一側面に係るトロッカーカテーテルの別の形態として、前記周面開口は、前記集液部の軸方向に沿って螺旋状に延びるスリット状に形成されてもよい。当該構成によっても、臓器等の軟部組織に周面開口が吸着するのを防止することができる。また、螺旋状に延びるスリット状の周面開口により、外壁の周囲の流体を、軸方向だけでなく、周方向に沿っても副流路内に吸引することができる。これにより、外壁の周囲の流体を効率よく体外に排出できる。
また、上記一側面に係るトロッカーカテーテルの別の形態として、前記内筒壁は、前記主流路を前記副流路に連通する貫通孔をさらに有していてもよい。当該構成により、主流路の内部が減圧されると、副流路の内部も貫通孔を介して減圧される。これにより、外壁の周囲の流体が周面開口を通って副流路の内部に流入し、さらに、副流路内から貫通孔を通って主流路内に流入する。主流路内に流入した流体は体外に排出される。
また、上記一側面に係るトロッカーカテーテルの別の形態として、前記副流路の数は1〜12個であってもよく、各副流路に応じて前記周面開口が形成されてもよい。当該構成によれば、体液等の集液性を確保しつつ、操作性の向上したトロッカーカテーテルを提供することができる。
また、上記一側面に係るトロッカーカテーテルの別の形態として、前記外套カテーテルの外周面又は内周面には、前記主流路又は前記副流路に沿って軸方向に延びる線状の目印が設けられてもよい。当該構成によれば、外套カテーテルを患者の体内に留置した後に、留置位置を確認する等の所定の確認操作を当該目印に基づいて行うことができる。
また、上記一側面に係るトロッカーカテーテルの別の形態として、前記トロッカー針は、筒状の外套針と、当該外套針内に挿通し、穿刺するために鋭利な先端部を有する内套針と、で構成された二重針構造を有していてもよい。当該構成によれば、トロッカーカテーテルを留置する際には、トロッカーカテーテルを体腔空間内に挿入後、穿刺するために鋭利な先端部を有する内套針を抜去し、外套針を用いることで外套カテーテルを目的の留置位置まで操作することができる。また、トロッカーカテーテルを留置した後の再操作において、内套針を用いずに外套針を外套カテーテルに挿入して外套カテーテルの留置位置を微調整することができる。したがって、当該構成によれば、トロッカーカテーテルの留置手技の際及び留置位置の微調整の際に外套カテーテルに傷がついてしまうのを防止することができる。
また、上記一側面に係るトロッカーカテーテルの別の形態として、前記集液部の主流路の先端側には、前記外套針の軸方向の端面が係止する段差が設けられていてもよい。当該構成によれば、外套カテーテルの先端側からトロッカー針の外套針が突出するのを防止するとともに、このように設けられる段差をトロッカー針の外套針を挿入する目安に用いることができる。そのため、トロッカーカテーテルにおいて、トロッカー針の挿入に係る操作性の向上を図ることができる。
本発明のカテーテルは、生体内の液体、気体等の流体を体外に排出するために使用されるカテーテルであって、内部流路を有する筒状の排液部と、前記排液部の先端側に連結される筒状の集液部と、を備える。前記集液部は、径方向中央に位置する筒状の内筒壁であって、軸方向に貫通する1つの主流路を内部に形成する内筒壁と、前記内筒壁を周方向に囲うように当該内筒壁の径方向外方に位置する外壁であって、前記内筒壁の外周に沿って配置される1つ以上の副流路を前記内筒壁との間に形成する外壁と、を備える。また、前記主流路の軸方向の一端部は前記排液部の内部流路と連通し、前記主流路の軸方向の他端部は前記集液部の先端に形成される先端開口を介して外部に開放される。さらに、前記副流路の軸方向の一端部は前記排液部の内部流路と連通し、前記副流路の軸方向の他端部は前記集液部の内部において終端するとともに、前記副流路は、前記外壁の外周面に形成された周面開口を介して外部に開放される。
当該構成によれば、内筒壁の主流路内には、集液部の先端開口から流体が流入し、副流路内には、周面開口から流体が流入する。主流路及び副流路内に流入した流体は、軸方向に沿って流れて、排液部の内部流路内を通って体外に排出される。これにより、流体を、効率よく確実に体外に排出することができる。
上記一側面に係るカテーテルの別の形態として、前記周面開口は、前記集液部の外周面に軸方向に沿って延びるスリット状に形成されていてもよい。さらに別の形態として、前記周面開口は、前記集液部の外周面に軸方向に沿って螺旋状に延びるスリット状に形成されていてもよい。いずれの場合にも、周面開口が周囲の人体組織に吸着するおそれがないために、外壁の周囲の流体を、効率よく確実に体外に排出することができる。
上記一側面に係るカテーテルの別の形態として、前記外壁は、前記集液部の軸方向と直交する方向に沿った断面において前記内筒壁の外周面における接線方向に沿った内面を有していてもよい。当該構成によれば、副流路の断面積が広がるために、外壁の周囲の流体を、副流路を介して、さらに効率よく体外に排出できる。
上記一側面に係るカテーテルの別の形態として、前記主流路と前記副流路とを連通させる貫通孔を有していてもよい。当該構成によれば、主流路の内部が減圧されると、副流路の内部も貫通孔を介して減圧される。これにより、外壁の周囲の流体が周面開口を通って副流路の内部に流入し、さらに、副流路内から貫通孔を通って主流路内に流入する。主流路内に流入した流体は体外に排出される。
本発明によれば、操作性の向上したトロッカーカテーテルを提供することができる。また、体内の液体及び気体を効率よく確実に体外に排出できるカテーテルを提供することができる。
図1は、実施の形態に係るトロッカーカテーテルを例示する斜視図である。 図2は、実施の形態に係る外套カテーテルを例示する正面図である。 図3は、図2のA−A線(排液部)の断面を例示する。 図4は、図2のB−B線(スリット部)の断面を例示する。 図5は、実施の形態に係るトロッカーカテーテルの先端部分(先端部)を模式的に例示する。 図6は、図2のC−C線(移行部)の断面を例示する。 図7は、排液部の断面形状とスリット部の断面形状との関係の一例を示す。 図8は、排液部の断面形状とスリット部の断面形状との関係の一例を示す。 図9は、排液部の断面形状とスリット部の断面形状との関係の一例を示す。 図10は、実施の形態に係るトロッカー針を例示する斜視図である。 図11は、変形例に係るスリット部の斜視図である。 図12は、他の変形例に係るスリット部の断面図である。 図13は、さらに他の変形例に係るスリット部の斜視図である。 図14は、図13に示される変形例におけるスリット部の断面図である。
以下、本発明の一側面に係る実施の形態(以下、「本実施形態」とも表記する)を、図面に基づいて説明する。ただし、以下で説明する本実施形態は、あらゆる点において本発明の例示に過ぎない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。つまり、本発明の実施にあたって、実施形態に応じた具体的構成が適宜採用されてもよい。なお、以下の説明では、説明の便宜のため、図面内の向きを基準として説明を行う。
§1 構成例
[トロッカーカテーテル]
図1を用いて、本実施形態に係るトロッカーカテーテル1を説明する。図1は、本実施形態に係るトロッカーカテーテル1を例示する斜視図である。図1に例示されるように、本実施形態に係るトロッカーカテーテル1は、円筒状に形成された外套カテーテル2と、この外套カテーテル2内に挿通し、当該外套カテーテル2の内部に収容されるトロッカー針10と、を備えている。以下、各構成要素について詳細に説明する。
[外套カテーテル]
<構成例>
まず、図2〜図6を用いて、外套カテーテル2の構成例を説明する。図2は、本実施形態に係る外套カテーテル2を例示する正面図である。図3は、図2のA−A線(排液部4)の断面を例示する。図4は、図2のB−B線(スリット部6)の断面を例示する。図5は、トロッカーカテーテル1の先端部分(先端部7)を模式的に例示する。また、図6は、図2のC−C線(移行部5)の断面を例示する。なお、図2の左右方向は、本発明の軸方向に相当し、外套カテーテル2(トロッカーカテーテル1)の延びる方向に対応する。
図2〜図6に例示されるように、外套カテーテル2は、外周部分が略円形状に形成されており、軸方向に延びる長尺状の成形体として構成されている。具体的には、図2に例示されるように、外套カテーテル2は、基端側から先端側に向かって、ハブ3、排液部4、移行部5及び集液部8をこの順で備えている。これらの部材の接合は、接着、熱溶着等によって行われる。以下、各部材について説明する。
(ハブ)
ハブ3は、外套カテーテル2の基端側の最後尾に設けられており、硬質の樹脂材料によって円筒状に形成されている。ハブ3の基端側の端部は、後述するトロッカー針の針基122が備えるロックリング123が着脱可能に連結するように構成されている。具体的には、ハブ3の基端側の外周面には雄ネジ部31が形成されており、後述するトロッカー針10のロックリング123の内周面に形成された雌ネジ部がこの雄ネジ部31に螺合することによって、ハブ3の基端側の端部にロックリング123が着脱可能に連結するようになっている。一方、このハブ3の先端側の端部には円筒状の排液部4が連結している。
(排液部)
排液部4は、後述する集液部8で集液した体液等を排液するための領域である。この排液部4は、可撓性のある樹脂材料で形成され、外套カテーテル2の大部分の長さを占めている。具体的には、図3に例示されるように、排液部4は、円筒状に形成された外壁41を備えており、この外壁41の内部には、軸方向に沿って延びる断面円形状の内部流路40が形成されている。そして、この排液部4の先端側の端部には、移行部5を介して円筒状の集液部8が連結している。
(集液部)
集液部8は、体腔空間から体液等を集液するための領域である。この集液部8は、基端側のスリット部6とスリット部6の先端側の端部に連結する先端部7とによって構成されており、可撓性のある樹脂材料で形成される。図4及び図5を用いて、この集液部8について説明する。
図4に例示されるように、スリット部6は、径方向中央に位置する円筒状の内筒壁61を備えている。内筒壁61の内部には、軸方向に沿って延びる断面円形状の主流路60が1つ形成されている。主流路60は軸方向に貫通しており、後述するトロッカー針10はこの主流路60を挿通する。この主流路60の基端側の端部は、後述する移行部5を介して排液部4の内部流路40に連通している。一方、主流路60の先端側の端部は、後述する図5に例示されるように、先端部7に形成された先端開口74を介して外部に開放されている。
また、内筒壁61の外周面には周方向に約120度の間隔を空けて3つの隔壁62a〜62cが連結しており、各隔壁62a〜62cは径方向外方に若干延びて、円筒状の外壁63に連結している。そのため、この外壁63は、内筒壁61を周方向に囲うように当該内筒壁61の径方向外方に配置され、各隔壁62a〜62cによって区分けされた3つの副流路64a〜64cを内筒壁61との間で形成している。なお、説明の便宜上、これらを第1〜第3副流路64a〜64cと称してもよく、また、各副流路64a〜64cを区別しない場合には、単に「副流路64」と称してもよい。
各副流路64a〜64cは、断面円弧状に形成されており、それぞれほぼ同じ形状に構成されている。各副流路64a〜64cは、内筒壁61の外周に沿って所定間隔を空けて配置され、軸方向に沿って延びている。各副流路64a〜64cの基端側の端部は、後述する移行部5を介して排液部4の内部流路40に連通している。一方、各副流路64a〜64cの先端側の端部は、このスリット部6の内部において終端している。
ここで、図2に例示されるように、スリット部6の外壁63は、排液部4の外壁41の外径とほぼ同じ外径の外周面を構成している。そして、図2及び図4に例示されるように、このスリット部6の外壁63には、軸方向に沿ってスリット状に延びる3つの周面開口65a〜65cが形成されている。なお、説明の便宜上、これらを第1〜第3周面開口65a〜65cと称してもよく、また、各周面開口65a〜65cを区別しない場合には、単に「周面開口65」と称してもよい。
各周面開口65a〜65cは、各副流路64a〜64cに対応するように配置されており、外壁63の外周面から各副流路64a〜64cまで貫通している。そのため、各副流路64a〜64cは、この各周面開口65a〜65cを介して外部に連通し、開放される。集液部8のスリット部6は以上のように構成されている。
一方、図5に例示されるように、スリット部6の先端側には、先端方向に先細りになるテーパーが形成された先端部7が一体的に形成されている。スリット部6の各副流路64a〜64cの先端側の端部は、スリット部6の先端側の端部付近で終端しており、この先端部7まで到達していない。これに対して、スリット部6の主流路60は先端部7に到達しており、先端部7に設けられた先端開口74を介して外部に連通している。
具体的には、先端部7では、主流路60の一領域として、比較的に大径の断面円形状に形成された大径部71と、当該大径部71に連結し、当該大径部71よりも小径の断面円形状に形成された小径部72と、が形成されている。そして、小径部72の先端側に円形状の先端開口74が設けられており、これによって、集液部8の主流路60が外部に連通する。
なお、図5に例示されるように、大径部71と小径部72との径の大きさの違いによって、大径部71と小径部72との境には段差73が形成される。この段差73は、後述するトロッカー針10の段差、具体的には、外套針12の先端側の端面121が係止するように構成されている。集液部8の先端部7は以上のように構成されている。
(移行部)
次に、図6を用いて、移行部5について説明する。この移行部5は、集液部8のスリット部6と排液部4との間に配置されて、スリット部6と排液部4とを連結するように構成される。この移行部5は、スリット部6及び排液部4とは同種又は異なる種の樹脂材料等の部材で形成されてもよい。
具体的には、図2及び図6に例示されるように、移行部5は、排液部4の外壁41の外径とほぼ同じ外径の外周面を構成する円筒状の外壁51を備えている。図6に例示されるように、この外壁51の内部には、軸方向に沿って延びる断面円形状の主内腔50が形成されている。この主内腔50の基端側の端部は排液部4の内部流路40に連結するように構成されている。また、主内腔50の先端側の端部はスリット部6の主流路60に連結するように構成されている。したがって、スリット部6の主流路60は、この主内腔50を介して排液部4の内部流路40に連結する。
一方、この外壁51の肉厚部分には、周方向に所定の間隔を空けて配置された3つの副内腔52a〜52cが設けられている。説明の便宜上、これらを第1〜第3の副内腔52a〜52cと称してもよく、また、各副内腔52a〜52cを区別しない場合には、単に「副内腔52」と称してもよい。
各副内腔52a〜52cは断面円形状に形成され、軸方向に沿って延びるように構成されている。第1〜第3副内腔52a〜52cはそれぞれ、主内腔50の径方向外方に離間し、第1〜第3副流路64a〜64cそれぞれに対応するように配置されており、これによって、各副内腔52a〜52cの先端側の端部はスリット部6の各副流路64a〜64cに連結するよう構成されている。また、各副内腔52a〜52cの基端側の端部は排液部4の内部流路40に連結するように構成されている。したがって、スリット部6の各副流路64a〜64cは、各副内腔52a〜52cを介して排液部4の内部流路40に連結する。
なお、スリット部6において各副流路64a〜64cの径方向の幅が比較的に小さく形成される場合には、移行部5の各副内腔52a〜52cは比較的に小径に形成される。そのため、移行部5の軸方向の長さが長くなると、この各副内腔52a〜52cにおいて排液が詰まりやすくなってしまう。そのため、移行部5の軸方向の長さは、比較的に短く構成されるのが好ましく、0.1mm〜20mmの範囲で設定されるのが好ましく、0.1mm〜10mmの範囲で設定されるのが更に好ましく、0.1mm〜5mmの範囲で設定されるのが更に好ましい。
また、移行部5の各副内腔52a〜52cを比較的に大径に形成すると、トロッカー針10を外套カテーテル2に挿通する際に、移行部5の3つの副内腔52a〜52cのいずれかを経由して、3つの副流路64a〜64cのいずれかにトロッカー針10を挿通してしまう可能性がある。そのため、このようなトラブルを避けるため、トロッカー針10の先端が挿通しない程度に、移行部5の各副内腔52a〜52cを小径に形成してもよい。
<集液部と排液部との連結態様>
ここで、図7〜図9を用いて、集液部8(スリット部6)の断面形状及び排液部4の断面形状と集液部8(スリット部6)及び排液部4の連結態様との関係について説明する。例えば、集液部8の内筒壁61の外径が排液部4の内部流路40の内径よりも小さい場合には、軸方向において各副流路64a〜64cと排液部4の内部流路40とは重なるため、各副流路64a〜64cの端部を排液部4の内部流路40に直接連結することが可能である。そのため、この場合には、移行部5を省略して、集液部8(スリット部6)を排液部4に直接連結することが可能である。したがって、移行部5が集液部8と排液部4とを連結する態様は、集液部8(スリット部6)の断面形状と排液部4の断面形状との関係によって相違しうる。そこで、以下では、集液部8の内筒壁61の外径が排液部4の内部流路40の内径よりも小さい場合(以下の(1))と集液部8の内筒壁61の外径が排液部4の内部流路40の内径と同じ又はそれよりも大きい場合(以下の(2))とに場合分けして、集液部8と排液部4との連結態様を説明する。
(1)集液部8の内筒壁61の外径<排液部4の内部流路40の内径
図7は、この場合における、スリット部6の断面形状と排液部4の断面形状との関係を例示する。図7に例示されるように、スリット部6の内筒壁61の外径を排液部4の内部流路40の内径よりも小さく形成した場合には、上記のとおり、軸方向において各副流路64a〜64cと排液部4の内部流路40とが重なる(図中の「重複領域」)。そのため、各副流路64a〜64cの端部を排液部4の内部流路40に直接連結することが可能である。したがって、この場合、移行部5を省略して、集液部8のスリット部6を排液部4に直接連結してもよい。
ただし、この場合、スリット部6の内筒壁61の外径は排液部4の内部流路40の内径よりも小さく形成されるため、この内筒壁61の内部に形成される主流路60の内径が小さくなってしまう可能性がある。そうすると、後述のトロッカー針10はこの主流路60を挿通可能に構成されるため、トロッカー針10の外径も細くなってしまう可能性がある。トロッカー針10の外径が細くなると、トロッカー針10の機械的強度が低下し、トロッカー針10を体腔空間に挿入する際に、トロッカー針10が折れ曲がりやすくなってしまう恐れがある。すなわち、トロッカーカテーテル1の体腔空間への挿入性が損なわれてしまう。そのため、スリット部6の内筒壁61の外径を排液部4の内部流路40の内径よりも小さく形成してもよいが、次のとおり、スリット部6の内筒壁61の外径を排液部4の内部流路40の内径と同じか又はそれよりも大きく形成するのが好ましい。
(2)集液部8の内筒壁61の外径≧排液部4の内部流路40の内径
図8及び図9は、この場合における、スリット部6の断面形状と排液部4の断面形状との関係を例示する。スリット部6の内筒壁61の外径を排液部4の内部流路40の内径と同じか又はそれよりも大きく形成した場合には、軸方向において各副流路64a〜64cと排液部4の内部流路40とが重ならない。そのため、各副流路64a〜64cの端部を排液部4の内部流路40に直接連結することはできない。
したがって、この場合、スリット部6と排液部4の間に移行部5を設けることによって、各副流路64a〜64cを排液部4の内部流路40に連結することができる。具体的には、上記のように、スリット部6の各副流路64a〜64cの端部が移行部5の各副内腔52a〜52cに連結する。そして、移行部5の各副内腔52a〜52cは、排液部4の方に延びて、外壁41の肉厚部分から内部流路40に臨むように構成される。これによって、スリット部6の各副流路64a〜64cを排液部4の内部流路40に連結することができる。
このようにスリット部6の断面形状を構成すると、トロッカー針10の挿通するスリット部6の主流路60を設ける内筒壁61の外径を排液部4の内部流路40の内径と同じか又はそれよりも大きく形成するため、当該主流路60の内径を比較的に大きくすることができる。そのため、当該構成によれば、トロッカー針10の外径を比較的に太くすることができ、トロッカーカテーテル1の体腔空間への挿入性を高めることができる。
ただし、図8に例示されるように、排液部4の内部流路40の内径を主流路60の内径よりも極端に小さく形成すると、上記(1)の場合と同様に、トロッカー針10の外径が細くなってしまい、トロッカーカテーテル1の体腔空間への挿入性が損なわれてしまう。そのため、図9に例示されるように、排液部4の内部流路40の内径は、スリット部6の主流路60の内径とほぼ同程度に設定されるのが好ましい。
すなわち、スリット部6の主流路60の内径は、径方向外方に各副流路64a〜64cが配置される分だけ、排液部4の内部流路40の内径よりも小さく形成されがちである。これに対して、本実施形態では、スリット部6の内筒壁61の外径を排液部4の内部流路40の内径と同じか又はそれよりも大きく形成する。これによって、図9に例示されるように、スリット部6の主流路60の内径及び排液部4の内部流路40の内径をそれぞれ適切に設定しやすいようにすることができる。
具体的には、スリット部6の内筒壁61の外径を排液部4の内部流路40の内径と同じか又はそれよりも大きく形成した状態で、排液部4の内部流路40の内径を排液部4の外径の30〜90%の範囲で設定することができ、40〜80%の範囲で設定するのが好ましく、50〜75%の範囲で設定するのが更に好ましい。また、これに対応して、スリット部6の主流路60の内径は、排液部4における内部流路40の内径の50〜100%の範囲で設定することができ、60〜95%の範囲で設定するのが好ましい。
<その他>
(目印)
次に、外套カテーテル2に設けられる目印9について説明する。図2及び図3に例示されるように、外套カテーテル2の外周面には、排液部4の基端側の端部から集液部8にかけて、X線を透過しない不透過性材料で形成された線状の目印9が設けられている。ここで、外套カテーテル2の外周面は、例えば、各外壁(41、51)の外周面によって構成される。そのため、この目印9は、軸方向に沿って延びており、外套カテーテル2を患者の体内の留置した後にX線照射により所定の確認操作を行う際に、当該外套カテーテル2の造影に利用することができる。
なお、この目印9は、外套カテーテル2の内周面に設けられてもよい。ここで、外套カテーテル2の内周面は、例えば、各外壁(41、51)の内周面によって構成される。外套カテーテル2の内周面に目印9を設ける場合、外套カテーテル2の外部から目印9の位置を視認可能にするためには、目印9を設ける領域を透明の材料で構成すればよい。
(素材)
次に、外套カテーテル2の材料について説明する。上述した外套カテーテル2の排液部4、移行部5及び集液部8の材料は、体内、特に血管内に留置して安全な弾性のある材料であればよい。そのような材料の一例として、例えば、ポリウレタン、シリコーン、ポリ塩化ビニル、ポリブタジエン、ポリアミド、エチレン−酢酸ビニル共重合体等を挙げることができる。これらの材料のうち、体外では適度な硬度を保ち、体内では柔軟になる性質を有するポリウレタンを外套カテーテル2の材料として用いることが好ましい。
(表面処理)
次に、外套カテーテル2の表面処理について説明する。外套カテーテル2は、体腔空間に留置している間に血液と接触して血栓を形成するのを防ぐために、抗血栓処理が施されていてもよい。抗血栓処理を実施する方法は、ウロキナーゼ等のプラスミノーゲンアクチベーターを化学結合法により基材のカテーテル表面に固定化する方法(詳細は、特許第1406830号公報参照)、ヘパリン等の抗凝固因子をカテーテル表面に固定化する方法等様々な方法が開発されているが、特定の方法に限定されるものではない。なお、抗血栓処理を施す範囲は、生体内と接触する可能性のある領域であれば、外套カテーテル2の内周面、外周面又はその両方であってもよい。
また、外套カテーテル2は、皮下組織又は血管への挿入を容易にするために基材表面を親水性高分子化合物でコーティングする等の潤滑性処理が施されていてもよい(例えば、特開平10−248919号公報参照)。潤滑性処理を実施する方法は、多くの方法が開発されているが、実施の形態に応じて適宜選択してもよい。なお、潤滑性処理を施す範囲は、人体に接触する可能性のある領域、外套カテーテル2を留置する用具等に接触する可能性のある領域等、適宜設定されてよい。
(寸法)
次に、外套カテーテル2の各部寸法について説明する。外套カテーテル2の寸法は、実施の形態に応じて適宜設定することができる。例えば、外套カテーテル2の全長は、50mm〜500mmの範囲で設定されてよく、50mm〜400mmの範囲で設定されるのがより好ましく、100mm〜300mmの範囲で設定されるのが更に好ましい。また、外套カテーテル2の外径は、1mm〜30mmの範囲で設定されてよく、2mm〜12mmの範囲で設定されるのがより好ましく、2mm〜4mmの範囲で設定されるのが更に好ましい。
更に、外套カテーテル2の排液部4における内部流路40の内径は、外套カテーテル2の外径の30〜90%の範囲で設定されてよく、40〜80%の範囲で設定されるのがより好ましく、50〜75%の範囲で設定されるのが更に好ましい。そして、集液部8の軸方向の長さは、10mm〜300mmの範囲で設定されてよく、20mm〜200mmの範囲で設定されるのが好ましく、20mm〜100mmの範囲で設定されるのが更に好ましい。
[トロッカー針]
次に、図10を用いて、トロッカー針10について説明する。図10は、本実施形態に係るトロッカー針10を例示する斜視図である。図10に例示されるように、本実施形態に係るトロッカー針10は、軸方向に延びる円筒状の外套針12と、この外套針12内に挿通する内套針11と、を備えている。
内套針11の基端側には、内套針11よりも大径で筒状の針基112が取り付けられており、この針基112の基端側の外周面には雄ネジ部115が形成されている。また、この針基112の先端側には、円筒状のロックリング113が装着されている。このロックリング113の先端側の内周面には雌ネジ部(不図示)が形成されている。内套針11は、針基112から針先まで一定の外径を有しており、その先端側には、穿刺するための鋭利な先端部111が形成されている。
同様に、外套針12の基端側には、外套針12よりも大径で筒状の針基122が取り付けられており、この針基122の基端側の外周面には、上記内套針11のロックリング113に形成された雌ネジ部に適合する雄ネジ部(不図示)が形成されている。また、この針基122の先端側には、円筒状のロックリング123が装着されている。このロックリング123の先端側の内周面には、外套カテーテル2のハブ3に形成された雄ネジ部に適合する雌ネジ部(不図示)が形成されている。外套針12は、針基122から針先まで一定で、かつ、上記内套針11よりも大きな外径を有している。外套針12の先端部には、径方向に平坦な端面121が形成されている。
そして、この外套針12は軸方向に貫通する内腔を有しており、この内腔の径は内套針11の外径よりもやや大きめに構成されている。そのため、外套針12の針基122に内套針11のロックリング113が当接するまで、内套針11を外套針12の内腔に挿入することができる。
また、外套針12の軸方向の長さは、内套針11の軸方向の長さよりも短く構成されている。そのため、外套針12の内腔に内套針11を挿入し、外套針12の針基122に形成された雄ネジ部に内套針11のロックリング113に形成された雌ネジ部を螺合させて内套針11と外套針12を固定すると、内套針11の先端側の一領域が外套針12の先端から突出する。
内套針11は外套針12よりも小径であり、外套針12の先端側には径方向に平坦な端面121が設けられている。そのため、トロッカー針10の先端側には、内套針11と外套針12との径の差分、すなわち、この端面121の分だけ段差が生じる。そして、外套針12の先端から突出した内套針11の一領域は、トロッカー針10の先端側の細径部10aを構成する。この細径部10aの先端は、先端部111によって鋭利になっている。
そのため、この状態でトロッカー針10として利用することができる。具体的には、針基122にロックリング113を螺合することで内套針11を外套針12に固定した状態で、トロッカー針10を外套カテーテル2内にハブ3側から挿通する。トロッカー針10の先端は、ハブ3、排液部4の内部流路40、移行部5の主内腔50及び集液部8の主流路60をこの順で経由し、先端部7の先端開口74から外部に若干突出する。
このとき、外套カテーテル2のハブ3に形成された雄ネジ部31にトロッカー針10のロックリング123に形成された雌ネジ部を螺合させることで、トロッカー針10(外套針12)を外套カテーテル2に固定することができる。ここで、トロッカー針10の先端側には段差(端面121)が設けられており、これに応じて、外套カテーテル2の先端部7には段差73が設けられている。そのため、ロックリング123をハブ3に螺合させていくと、トロッカー針10は外套カテーテル2の先端側に若干進んでいき、トロッカー針10の先端側の段差、すなわち、外套針12の端面121が外套カテーテル2の先端部7における段差73に係止する。この状態になると、ロックリング123をハブ3に更に螺合させることはできなくなり、トロッカー針10と外套カテーテル2とは強く固定される。
なお、内套針11は筒状に形成されており、内套針11の内部空間として軸方向に貫通する内腔114が設けられている。これによって、内套針11の針基112にシリンジ等の吸引装置を取り付け、内套針11の先端部111から排液等を吸引することで、留置手技の際に外套カテーテル2が目的の位置まで届いているか否かを確認することができる。ただし、内套針11の構成はこのような例に限られず、この内腔114を省略し、内套針11を中実の棒状材で形成してもよい。
このようなトロッカー針10の細径部10aの長さは、1mm〜50mmの範囲で設定することができ、2mm〜40mmの範囲で設定するのがより好ましく、2mm〜25mmの範囲で設定するのが更に好ましい。また、トロッカー針10の外径、すなわち、外套針12の外径は、外套カテーテル2のスリット部6における主流路60の内径の50〜95%の範囲で設定することができ、70〜95%の範囲で設定するのが好ましく、80〜95%の範囲で設定するのが更に好ましい。更に、トロッカー針10の細径部10aの外径、すなわち、内套針17の外径は、トロッカー針10の外径の20〜95%の範囲で設定することができ、40〜90%の範囲で設定するのが好ましく、50〜85%の範囲で設定するのが更に好ましい。
また、内套針11及び外套針12をそれぞれ構成する材料は、実施の形態に応じて適宜選択可能である。例えば、内套針11及び外套針12をそれぞれ構成する材料として、ステンレス鋼等の金属材料の他、ナイロン、ポリプロピレン、ポリアセタール、ポリ塩化ビニル等のプラスチック材料を用いることができる。
§2 使用例
次に、上記のように構成されたトロッカーカテーテル1の使用方法について説明する。本実施形態に係るトロッカーカテーテル1は次のようにして使用することができる。
まず、外套針12を内套針11に固定することで、図10に例示されるトロッカー針0を形成する。そして、このトロッカー針10を外套カテーテル2の内部に基端側から挿入し、上述のとおり、トロッカー針10を外套カテーテル2に固定することで、図1に例示されるトロッカーカテーテル1を形成する。
続いて、患者の刺入部位に局所麻酔を行い、皮膚に小切開を加えて、上記トロッカーカテーテル1を体腔空間に穿刺し、挿入する。トロッカーカテーテル1を挿入後、ロックリング113を操作して内套針11と外套針12との固定を解除し、トロッカー針10の内套針11を抜去して、トロッカーカテーテル1を目的の位置まで挿入する。
トロッカーカテーテル1を目的の位置まで挿入した後、ロックリング123を操作して外套カテーテル2と外套針12との固定を解除し、外套カテーテル2から外套針12を抜去する。そして、外套カテーテル2のハブ3に吸引器具を接続し、患者の胸腔内に生じる液体及び気体を除去する。この場合、体液等の排液は、主流路60及び各副流路64a〜64cから吸引され、排液部4の内部流路40を経由して、吸引器具の貯留容器に吸い込まれる。
§3 作用・効果
以上、本実施形態によれば、体液等の吸引を行う外套カテーテル2の集液部8では、主流路60及び副流路64の複数の流路が形成される。そのため、本実施形態に係るトロッカーカテーテル1は排液性及び排気性に優れている。
ここで、本実施形態によれば、これら複数の流路のうち副流路64は専ら排液及び排気に利用され、トロッカー針10の挿入には利用されない。すなわち、外套カテーテル2の留置の際には、トロッカー針10は、径方向外方側に配置される副流路64ではなく、径方向中央に配置される主流路60に挿入されることになる。すなわち、留置した外套カテーテル2を再操作する際には、一度引き抜いたトロッカー針10をこの径方向中央に配置される主流路60に挿入するだけで済むため、トロッカー針10を挿入する部位を迷うことなく再挿入することが可能である。したがって、本実施形態によれば、迅速な処置を求められる臨床現場に適合した、操作性の向上したトロッカーカテーテル1を提供することができる。
また、当該構成によれば、トロッカーカテーテル1は、トロッカー針10を主流路60に挿入するというシンプルな構成で形成される。そのため、トロッカー針10を簡易な構成にして、当該トロッカー針10のコストを抑えることができる。
また、本実施形態によれば、スリット部6と排液部4との間に配置された移行部5により、スリット部6の各副流路64a〜64cを排液部4の内部流路40に連結する。そのため、上記のとおり、スリット部6の内筒壁61の外径を排液部4の内部流路40の内径と同じか又はそれよりも大きく形成することができ、これによって、トロッカー針10の挿通するスリット部6の主流路60の内径及び排液部4の内部流路40の内径を共に比較的に大きく構成することができる。したがって、本実施形態によれば、外套カテーテル2内に挿通するトロッカー針10の外径を比較的に大きく構成することができ、トロッカーカテーテル1の体腔空間への挿入性を高めることができる。
また、本実施形態によれば、副流路64は断面円弧状に形成される。そのため、集液部8において、副流路64の径方向の幅を抑えることができ、主流路60の内径を比較的に大きくすることができる。したがって、当該主流路60に挿入するトロッカー針10の外径を比較的に大きく構成することができ、トロッカーカテーテル1の体腔空間への挿入性を高めることができる。更に、副流路64を円弧状のように平たく形成することで、トロッカー針10が副流路64に誤って挿入されることを防止することができる。
また、本実施形態によれば、集液部8の各副流路64a〜64cは、軸方向に沿ってスリット状に延びる各周面開口65a〜65cを介して外部に連通する。そのため、各副流路64a〜64cが外部に連通する各周面開口65a〜65cの面積を比較的に大きくし、体液等を吸引する際に、臓器等の軟部組織に各周面開口65a〜65cが吸着するのを防止することができる。
さらに、本実施形態では、図4に示されるように、外套カテーテル2における集液部8の内筒壁61は円筒形状であり、また、内筒壁61を周方向に囲う外壁63は、内筒壁61の外周面に沿うように湾曲している。この場合、外壁63は、内筒壁61の外周面との間隔が、各隔壁62a、62b、62cの隣接位置において最も短く、周面開口65a、65b、65cのそれぞれに近付くにつれて順次拡がっている。
従って、各副流路64a〜64cにおける径方向に沿った幅は、周面開口65a〜65cの対向部分において最も拡がっており、周面開口65a〜65cから離れるにつれて順次狭くなる。このため、スリット部6の周囲の流体が、周面開口65a〜65cを通って各副流路64a〜64c内に流入する際に、周面開口65a〜65cの近傍において滞留することが抑制される。その結果、スリット部6の周囲の流体は、各副流路64a〜64c内に効率よく流入し、各副流路64a〜64cを通って、効率よく体外に排出される。
また、外壁63は、内筒壁61の外周面に沿っており、内筒壁61の外径との差が比較的小さな外径を有する円筒形状に構成されているために、外壁63の体積と、内筒壁61の体積との差が比較的小さくなっている。従って、外套カテーテル2の全体の大きさが、内筒壁61の大きさに対して比較的小さくすることができる。その結果、外套カテーテル2を、体腔空間内における比較的狭小なスペース、生体の管腔内等にも容易に留置することができる。
また、本実施形態によれば、トロッカー針10は、内套針11と外套針12とで構成される二重針構造を有している。そのため、上記のとおり、トロッカーカテーテル1を目的の留置位置まで操作する際には、鋭利な先端部111を有する内套針11を抜去することができる。また、外套カテーテル2を留置した後に、先端部に平らな端面121を有する外套針12によって、内套針11を用いることなく、外套カテーテル2を微調整することができる。したがって、当該構成によれば、トロッカーカテーテル1の留置手技の際及び留置位置の微調整の際に、外套カテーテル2に傷がついてしまうのを防止することができる。
また、本実施形態によれば、集液部8の主流路60の先端側には、外套針12の先端側の端面121が係止する段差73が設けられている。そのため、外套カテーテル2の先端開口74からトロッカー針10の外套針12が突出するのを防止するとともに、トロッカー針10の外套針12を挿入する目安に段差73を用いることができる。そのため、本実施形態によれば、トロッカー針10の挿入に係る操作性の優れたトロッカーカテーテル1を提供することができる。
§4 変形例
以上、本発明の実施の形態を詳細に説明してきたが、前述までの説明はあらゆる点において本発明の例示に過ぎない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。例えば、上記トロッカーカテーテル1の各構成要素に関して、実施の形態に応じて、適宜、構成要素の省略、置換、及び追加が行われてもよい。また、上記トロッカーカテーテル1の各構成要素の形状及び大きさも、実施の形態に応じて、適宜、設定されてよい。例えば、以下の変更が可能である。
<4.1>
例えば、上記実施形態では、集液部8において、3つの副流路64が形成されている。しかしながら、集液部8に設ける副流路64の数は、3つに限定されなくてもよく、実施の形態に応じて適宜設定されてよい。
ただし、副流路64の数が多くなると、各副流路64が狭くなってしまい、これを防ぐために、各副流路64を十分な大きさに形成しようとすると、主流路60が狭くなってしまう可能性がある。しかしながら、主流路60は、後述するトロッカー針10が挿通するため、比較的に大きく形成されるのが好ましい。そのため、主流路60を圧迫しないよう、副流路64の数は、1〜12個の範囲で設定されるのが好ましく、1〜6個の範囲で設定されるのが更に好ましく、2〜4個の範囲で設定されるのが特に好ましい。
<4.2>
また、例えば、上記実施形態では、1つの副流路64に1つの周面開口65が設けられている。しかしながら、1つの副流路64に設けられる周面開口65の数は1つに限定されなくてもよく、1つの副流路64に複数の周面開口65を形成してもよい。なお、1つの副流路64に1つの周面開口65を設ける場合には、上記実施形態と同様に、周面開口65の数は副流路64と同数になる。
<4.3>
また、例えば、上記実施形態では、移行部5の各副内腔52a〜52cの断面形状は円形である。しかしながら、移行部5の各副内腔52a〜52cの断面形状は、円形に限定されなくてもよく、三角形、四角形、楕円等実施の形態に応じて適宜選択可能である。
<4.4>
また、上記実施形態では、ロックリング113の雌ネジ部と針基122の雄ネジ部とを利用することで、内套針11と外套針12とを固定している。同様に、ロックリング123の雌ネジ部とハブ3の雄ネジ部31とを利用することで、外套針12と外套カテーテル2とを固定している。しかしながら、これらの構成要素を互いに固定する方法は、このような例に限定されなくてもよく、実施の形態に応じて適宜選択されてもよい。更には、各ロックリング(113、123)は省略されてもよい。
<4.5>
また、上記実施形態では、トロッカー針10は、内套針11と外套針12とで構成された二重針構造を有している。しかしながら、本実施形態に係る外套カテーテル2に適用可能なトロッカー針はこのような例に限定されなくてもよく、単一の針で構成された単針構造を有するトロッカー針が本実施形態に用いられてもよい。
<4.6>
上記実施形態では、外套カテーテル2における集液部8のスリット部6に設けられた3つの周面開口65a、65b、65cは、それぞれが軸方向に沿ったスリット状に形成されている。しかし、このような構成に限らず、図11に示されるように、スリット状の各周面開口65a、65b、65cを集液部8の軸方向に対して螺旋状に形成してもよい。各周面開口65a、65b、65cは、外壁63の周面に、周方向に120°の間隔を空けた位置において、軸方向に対して等しい螺旋角で螺旋状に形成されている。このような構成により、螺旋形状の各周面開口65a、65b、65cによって、スリット部6の周囲の流体を、軸方向だけでなく、周方向にも吸引することができる。その結果、スリット部6の周囲の流体を効率よく体外に排出することができる。
この場合、螺旋状に形成された各周面開口65a、65b、65cの捻れ方向は、図11に示されるように、それぞれが同一の方向になっている。各周面開口65a、65b、65cの捻れ方向は、同一方向であればよく、従って、図11とは反対方向であってもよい。また、螺旋状の各周面開口65a、65b、65cの螺旋角は、特に限定されるものではないが、3°〜30°の範囲が好ましく、更に好ましくは4°〜15°である。
<4.7>
上記実施形態では、集液部8の内筒壁61によって形成される主流路60は、先端部7に形成された先端開口74を介して外部に開放されているが、内筒壁61の周面部分(肉厚部分)は、主流路60を外部に開放する構成になっていない。しかし、このような構成に限られるものではなく、内筒壁61の周面部分に、主流路60を外部に開放する構成が設けられていてもよい。
例えば、図13に示されるように、スリット状の各周面開口65a、65b、65cが螺旋状に設けられる構成において、内筒壁61の先端部における周面部分に、第1の周面開口65aに対向して第1の貫通孔66aが設けられる。この場合、図14に示されるように、内筒壁61の先端部における周面部分には、第1の貫通孔66aだけでなく、第2の貫通孔66b及び第3の貫通孔66cが設けられる。第2の貫通孔66b及び第3の貫通孔66cのそれぞれは、第2の周面開口65b及び第3の周面開口65cに対向している。
各貫通孔66a、66b、66cのそれぞれは、内筒壁61の周面部分における軸方向の同一位置に配置されており、それぞれが、内筒壁61の周面部分を径方向に沿って貫通している。従って、内筒壁61の内部に設けられた主流路60は、各貫通孔66a、66b、66cを介して、副流路64a、64b、64cにそれぞれ連通している。なお、以下の説明において、第1〜第3の貫通孔66a、66b、66cを区別しない場合には、単に「貫通孔66」と称される場合がある。また、各貫通孔66a、66b、66cの配置は、内筒壁61の周面部分において、軸方向の先端側が好ましいが特に限定されるものではない。また、各貫通孔66a、66b、66cの配置は、内筒壁61の周面部分において軸方向の同一位置でなくともよい。
このような構成のトロッカーカテーテル1でも、前述したように、集液部8が生体内の所定位置に挿入されると、集液部8の周囲の流体を体外に排出するために、吸引器具により、排液部4の内部流路40内が減圧される。これにより、主流路60の内部が減圧状態になるとともに、各副流路64a、64b、64cの内部が、副内腔52a、52b、52cのそれぞれを介して減圧状態になる。減圧状態になった主流路60の内部には、先端部7の周囲の流体が、先端開口74を通って吸引される。主流路60内に吸引された流体は、主流路60を通って体外に排出される。また、減圧状態になった各副流路64a、64b、64cの内部には、集液部8の周囲の流体が、周面開口65a、65b、65cを通って吸引される。各副流路64a、64b、64cの内部に吸引された流体は、各副流路64a、64b、64c及び副内腔52a、52b、52cを通って体外に排出される。
この場合、主流路60と、各副流路64a、64b、64cの内部とが貫通孔66a、66b、66cによって連通されている。これにより、各副流路64a、64b、64cの内部を流れる流体の一部は、各貫通孔66a、66b、66cを通って、主流路60内に流入し、主流路60を通って体外に排出される。
例えば、移行部5における第1副内腔52aが、流体に混入した異物等によって詰まった状態になると、第1副内腔52aに連通する第1副流路64aの内部は減圧されなくなる。しかし、このような状態であっても、第1副流路64aと主流路60とが第1貫通孔66aを介して連通状態になっているために、第1副流路64aの内部は、第1貫通孔66aを介して減圧される。これにより、集液部8の周囲の流体は、第1周面開口65aを通って第1副流路64aの内部に吸引される。第1副流路64a内に吸引された流体は、貫通孔66aを通って主流路60内に流入し、主流路60を通って体外に排出される。以上のように、第1副内腔52aが詰まった場合にも、集液部8の周囲の流体を体外に排出する処理を継続して行うことができる。
移行部5における第2副内腔52b及び第3副内腔52cのそれぞれが詰まった状態になった場合も同様であり、第2貫通孔66b及び第3貫通孔66cのそれぞれにより、副流路64b及び64cの内部が減圧状態になる。従って、第2副内腔52b及び第3副内腔52cのそれぞれが詰まった場合にも、集液部8の周囲の流体を体外に排出する処理を継続して行うことができる。
なお、内筒壁61に貫通孔66を設ける構成は、スリット状の周面開口66が螺旋状に形成される場合に限らず、集液部8の軸方向に沿って延びるスリット状に形成される場合にも適用することができる。
<4.8>
上記実施形態では、外壁63は、内筒壁61の外周面に沿うように湾曲している。しかし、外壁63は、このような構成に限定されなくてもよい。すなわち、外壁63は、図12に示されるように、軸方向とは直交する横断面において、内筒壁61の外周面における接線方向に沿った内面63aを有していてもよい。これにより、副流路64a〜64cのそれぞれの断面積を広げることができる。その結果、スリット部6の周囲の流体を、さらに効率よく体外に排出することができる。この場合、内筒壁61内の主流路60の大きさ及び形状は、図4に示される場合と同様であるために、主流路60内にトロッカー針10を挿入する際の操作性が損なわれるおそれがない。
なお、図12に示される構成の場合にも、外壁63に形成されるスリット状の周面開口65a、65b、65cのそれぞれは、軸方向に沿って直線状に延びる構成に限らず、螺旋状であってもよい。
<4.9>
上記実施形態では、外套カテーテル2と、トロッカー針10とを有するトロッカーカテーテル1について説明した。しかし、上記実施形態の外套カテーテル2は、生体内の液体等を排出するドレナージのためのカテーテル(以下、「ドレーンカテーテル」と称する)として、単独での使用も可能である。このために、上記実施形態において説明された外套カテーテル2が、ドレーンカテーテルとして使用される場合について以下に説明する。なお、以下の説明では、上記実施形態における外套カテーテル2と同じ構成のカテーテルを、「ドレーンカテーテル20」と称する。
ドレーンカテーテル20は、例えば、経皮的経肝胆道ドレナージにおいて、ガイドワイヤーを用いたセルディンガー法によって、胆道内の所定位置に留置される。この場合、まず、人体におけるドレーンカテーテル20の挿入部位に局所麻酔を行う。次いで、導入針を用いて当該部位を穿刺する。導入針は、シースの内部に内針が挿通される構成であり、内針の先端によって局所麻酔された部位を穿刺して、シースを体内に導入する。さらに、内針によって胆管を穿刺して、シースを胆管内に導入する。次いで、導入針におけるシースを残して内針だけを抜去する。その後、シース内にガイドワイヤーを挿入してシースを抜去し、ガイドワイヤーを操作することにより、ガイドワイヤーの先端部を胆管内に位置させる。このような状態になると、ガイドワイヤーをドレーンカテーテル20の主流路60に挿入させつつ、ガイドワイヤーに沿ってドレーンカテーテル20を胆管内に挿入する。その後、ドレーンカテーテル20が胆管における所定位置に達すると、当該位置にドレーンカテーテル20を留置して、ガイドワイヤーを抜去する。
胆管内に留置されたドレーンカテーテル20は、前記実施形態と同様に、ドレーンカテーテル20のハブ3に吸引器具が接続されて、吸引器具により排液部4内が減圧される。これにより、先端開口74から内筒壁60の主流路60内に、胆道内の胆汁が流入する。また、主流路60内の減圧とともに、副流路64a〜64c内が減圧されることから、胆道内の胆汁が、外壁63の周面に形成された各周面開口65a〜65cを通って、各副流路64a〜64c内に流入する。主流路60及び各副流路64a〜64c内に流入した胆汁は、排液部4に設けられた内部流路40を通って体外に排出される。
この場合、外壁63の周面に形成された各周面開口65a〜65cは、軸方向に沿ったスリット状に形成されている。このために、周面開口65a〜65cのそれぞれが、外壁63の周囲の人体組織に吸着するおそれがない。これにより、ドレーンカテーテル20を用いて、人体組織を傷つけることなく、流体を体外へ効率よく確実に排出することができる。
なお、このようなドレーンカテーテル20においても、外壁63の周面に形成される各周面開口65a〜65cは、集液部8の軸方向に沿って延びるスリット状に限らず、それぞれが集液部8の軸方向に沿って螺旋状に延びるスリット状であってもよい。
さらに、外壁63は、図12に示されるように、軸方向とは直交する横断面において、内筒壁61の外周面における接線方向に沿った内面63aを有する構成であってもよい。これにより、副流路64a〜64cのそれぞれの断面積が拡がるために、生体内の流体を、さらに効率よく体外に排出することができる。
ドレーンカテーテル20は、内筒壁61の内部に形成される主流路60にトロッカー針10を挿通させる必要がない。このために、主流路60の内径を、トロッカー針10の外径よりも小さくしてもよい。これにより、外壁63の外径を小さくすることができる。また、外壁63の外径を変更せずに主流路60の内径を小さくすることにより、副流路64a〜64cのそれぞれの断面積を広げることもできる。この場合には、スリット部6の周囲の流体を効率よく体外に排出することができる。
さらに、このようなドレーンカテーテル20においても、図13及び図14に示されるように、内筒壁61に貫通孔66を設ける構成としてもよい。これにより、副内腔52内において詰まりが生じた場合にも、排液部8の周囲の流体を体外に排出する処理を継続して実行することができる。
1…トロッカーカテーテル、2…外套カテーテル、
3…ハブ、31…雄ネジ部、
4…排液部、40…内部流路、41…外壁、
5…移行部、50…主内腔、51…外壁、52a〜52c…第1〜第3副内腔、
6…スリット部、60…主流路、61…内筒壁、62a〜62c…隔壁、
63…外壁、63a…内面、64a〜64c…第1〜第3副流路、
65a〜65c…周面開口、66a〜66c…第1〜第3貫通孔、
7…先端部、71…大径部、72…小径部、73…段差、74…先端開口、
8…集液部、9…目印、
10…トロッカー針、10a…細径部、
11…内套針、111…先端部、112…針基、113…ロックリング、
114…内腔、
12…外套針、121…端面、122…針基、123…ロックリング

Claims (17)

  1. 外套カテーテル及び当該外套カテーテル内に挿通するトロッカー針を備えるトロッカーカテーテルであって、
    前記外套カテーテルは、
    内部流路を有する筒状の排液部と、
    前記排液部の先端側に連結される筒状の集液部と、
    を備え、
    前記集液部は、
    径方向中央に位置する筒状の内筒壁であって、軸方向に貫通して前記トロッカー針が挿通する1つの主流路を内部に形成する内筒壁と、
    前記内筒壁を周方向に囲うように当該内筒壁の径方向外方に位置する外壁であって、前記内筒壁の外周に沿って配置される1つ以上の副流路を前記内筒壁との間に形成する外壁と、
    を備え、
    前記主流路の軸方向の一端部は前記排液部の内部流路と連通し、前記主流路の軸方向の他端部は前記集液部の先端に形成される先端開口を介して外部に開放され、
    前記副流路の軸方向の一端部は前記排液部の内部流路と連通し、前記副流路の軸方向の他端部は前記集液部の内部において終端するとともに、前記副流路は、前記外壁の外周面に形成された周面開口を介して外部に開放される、
    トロッカーカテーテル。
  2. 前記外套カテーテルは、前記集液部と前記排液部との間に配置される移行部を更に備え、
    前記外套カテーテルにおいて、前記集液部の内筒壁の外径は前記排液部の内部流路の内径と同じ又はそれよりも大きく形成され、
    前記移行部には、前記集液部の主流路と前記排液部の内部流路とを連結する主内腔、及び、該主内腔の径方向外方に位置し、前記集液部の副流路と前記排液部の内部流路とを連結する副内腔が形成される、
    請求項1に記載のトロッカーカテーテル。
  3. 前記副流路は断面円弧状に形成される、
    請求項1又は2に記載のトロッカーカテーテル。
  4. 前記内筒壁は円筒形状であり、
    前記外壁は、前記周面開口に近付くにつれて前記内筒壁との間隔が拡がる形状である、請求項1又は2に記載のトロッカーカテーテル。
  5. 前記外壁は、前記集液部の軸方向と直交する方向に沿った断面において前記内筒壁の外周面における接線方向に沿った内面を有する、請求項4に記載のトロッカーカテーテル。
  6. 前記周面開口は、前記集液部の軸方向に沿って延びるスリット状に形成されている、
    請求項1から5のいずれか1項に記載のトロッカーカテーテル。
  7. 前記周面開口は、前記集液部の軸方向に沿って螺旋状に延びるスリット状に形成されている、
    請求項1から5のいずれか1項に記載のトロッカーカテーテル。
  8. 前記内筒壁は、前記主流路と前記副流路とを連通させる貫通孔を有する、
    請求項1から7のいずれか1項に記載のトロッカーカテーテル。
  9. 前記副流路の数は1〜12個であり、各副流路に応じて前記周面開口が形成される、
    請求項1から8のいずれか1項に記載のトロッカーカテーテル。
  10. 前記外套カテーテルの外周面又は内周面には、前記主流路又は前記副流路に沿って軸方向に延びる線状の目印が設けられている、
    請求項1から9のいずれか1項に記載のトロッカーカテーテル。
  11. 前記トロッカー針は、筒状の外套針と、当該外套針内に挿通し、穿刺するために鋭利な先端部を有する内套針と、で構成された二重針構造を有している、
    請求項1から10のいずれか1項に記載のトロッカーカテーテル。
  12. 前記集液部の主流路の先端側には、前記外套針の軸方向の端面が係止する段差が設けられている、
    請求項11に記載のトロッカーカテーテル。
  13. 生体内の液体、気体等の流体を体外に排出するために使用されるカテーテルであって、
    内部流路を有する筒状の排液部と、
    前記排液部の先端側に連結される筒状の集液部と、を備え、
    前記集液部は、
    径方向中央に位置する筒状の内筒壁であって、軸方向に貫通する1つの主流路を内部に形成する内筒壁と、
    前記内筒壁を周方向に囲うように当該内筒壁の径方向外方に位置する外壁であって、前記内筒壁の外周に沿って配置される1つ以上の副流路を前記内筒壁との間に形成する外壁と、を備え、
    前記主流路の軸方向の一端部は前記排液部の内部流路と連通し、前記主流路の軸方向の他端部は前記集液部の先端に形成される先端開口を介して外部に開放され、
    前記副流路の軸方向の一端部は前記排液部の内部流路と連通し、前記副流路の軸方向の他端部は前記集液部の内部において終端するとともに、前記副流路は、前記外壁の外周面に形成された周面開口を介して外部に開放される、
    カテーテル。
  14. 前記周面開口は、前記集液部の外周面に軸方向に沿って延びるスリット状に形成されている、
    請求項13に記載のカテーテル。
  15. 前記周面開口は、前記集液部の外周面に軸方向に沿って螺旋状に延びるスリット状に形成されている、
    請求項13に記載のカテーテル。
  16. 前記外壁は、前記集液部の軸方向と直交する方向に沿った断面において前記内筒壁の外周面における接線方向に沿った内面を有する、請求項13から15のいずれか1項に記載のカテーテル。
  17. 前記内筒壁は、前記主流路と前記副流路とを連通させる貫通孔を有する、
    請求項13から16のいずれか1項に記載のカテーテル。
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